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技術 構造物の補強用積層材料、補強方法及び補強構造体

出願人 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
発明者 小林朗小森篤也
出願日 2018年2月28日 (2年4ヶ月経過) 出願番号 2018-035491
公開日 2019年9月12日 (9ヶ月経過) 公開番号 2019-150953
状態 未査定
技術分野 橋または陸橋 積層体(2) ポリウレタン,ポリ尿素 トンネルの覆工・支保 高分子組成物 既存建築物への作業 船体構造
主要キーワード 接着側面 接着応力 角パイプ形状 横断面形 略円形断面形状 スダレ状 接着補強 中間樹脂
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図面 (15)

課題

現場での作業工程を少なくし、かつ、使用する樹脂品質管理を容易とした、作業効率の向上を図ることができ、また、補強材剥離を抑制して高い補強効果を得ることのできる構造物補強用積層材料を提供する。

解決手段

構造物100の被補強面接着して一体化することにより構造物を補強する補強用積層材料10であって、繊維強化複合材11と、繊維強化複合材11の構造物への接着側の面に形成された高伸度弾性樹脂層12と、繊維強化複合材11と高伸度弾性樹脂層12との間に配置された中間樹脂層13とを有する。

概要

背景

近年、既存或いは新設の上記種々の構造物補強方法として、構造物の表面に補強材として炭素繊維シートアラミド繊維シートなどの樹脂未含浸繊維シートを貼り付けたり、巻き付けたりする炭素繊維シート接着工法やアラミド繊維シート接着工法などの繊維シート接着工法がある。また、未硬化樹脂繊維束含浸させた繊維シートを接着した後に硬化させる工法、がある。

更には、現場での樹脂の含浸を省略するため、工場にて強化繊維樹脂含浸硬化させて生産した板厚1〜2mm、幅5〜10cm程度のプレート状の繊維強化複合体FRP板)を構造物表面パテ状接着樹脂を用いて接着するFRP板接着補強工法も開発されている。

このような補強方法を施した構造物は、繊維シートが構造物と一体に接着されている限りにおいては、繊維シートによる高い補強効果を得ることができる。しかしながら、負荷により構造物が変形することなどにより、繊維シートが破断する前にこれが構造物表面から剥離した場合には、所期の目的を達成することができなくなる。

そこで、特許文献1(特許第5380551号)及び特許文献2(特許第5820435号)には、鋼構造物の接着面にポリウレア樹脂パテ剤などとされる弾性層を設けることにより、繊維シートの付着性能を向上させることができる鋼構造物の補強方法を開示している。これら鋼構造物の補強方法は、本願添付の図13を参照して説明すると、
(a)鋼構造物100の表面にポリウレア樹脂パテ剤を塗布して硬化させ弾性層104を形成する工程と、
(b)弾性層104が形成された鋼構造物100の表面に接着剤105を塗布する工程と、
(c)接着剤105が塗布された鋼構造物100の接着面に樹脂未含浸(或いは樹脂含浸硬化)の繊維シート1を押圧して接着する工程と、
を有している。この時、特に、剛性の高い連続繊維シートなどで補強した場合にも十分に応力を繊維シート1に伝達し得るように、弾性層104は、硬化時における引張伸びが400%以上、引張強度が8N/mm2以上、引張弾性率が60N/mm2以上500N/mm2以下とされる、ことが開示されている。

また、別法として、上記(b)、(c)工程の代わりに、繊維シート1に接着剤104を塗布し、この接着剤が塗布された繊維シートを、弾性層104が形成された鋼構造物の表面に押圧して接着する方法をも開示している。

また、特許文献3(特許第5478651号)には、本願添付の図14を参照して説明すると、
(a)樹脂が含浸され、硬化された繊維シート1の表面に弾性樹脂を塗布して硬化させ弾性層104を形成する工程と、
(b)コンクリート構造物100の表面に接着剤105を塗布する工程と、
(c)弾性層104が形成された繊維シート1を、接着剤105が塗布されたコンクリート構造物100の表面に押圧して接着する工程と、
を有するコンクリート構造物の補強方法を開示している。また、弾性樹脂としては、ポリウレア樹脂ウレアウレタン樹脂などを使用することとしている。

概要

現場での作業工程を少なくし、かつ、使用する樹脂の品質管理を容易とした、作業効率の向上をることができ、また、補強材の剥離を抑制して高い補強効果を得ることのできる構造物の補強用積層材料を提供する。構造物100の被補強面に接着して一体化することにより構造物を補強する補強用積層材料10であって、繊維強化複合材11と、繊維強化複合材11の構造物への接着側の面に形成された高伸度弾性樹脂層12と、繊維強化複合材11と高伸度弾性樹脂層12との間に配置された中間樹脂層13とを有する。

目的

本発明の目的は、現場での作業工程を少なくし、かつ、使用する樹脂の品質管理を容易とした、作業効率の向上を図ることができ、また、補強材の剥離を抑制して高い補強効果を得ることのできる構造物の補強用積層材料を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

構造物の被補強面接着して一体化することにより構造物を補強する補強用積層材料であって、繊維強化複合材と、前記繊維強化複合材の前記構造物への接着側の面に形成された高伸度弾性樹脂層と、前記繊維強化複合材と前記高伸度弾性樹脂層との間に配置された中間樹脂層とを有することを特徴とする構造物の補強用積層材料。

請求項2

前記中間樹脂層は、硬化時における引張弾性率が1000N/mm2以上10000N/mm2以下であることを特徴とする請求項1に記載の構造物の補強用積層材料。

請求項3

前記中間樹脂層は、厚さが0.05mm以上5.0mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物の補強用積層材料。

請求項4

前記中間樹脂層は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の構造物の補強用積層材料。

請求項5

前記中間樹脂層を形成する前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂エポキシアクリレート樹脂アクリル樹脂MMA樹脂ビニルエステル樹脂不飽和ポリエステル樹脂、又は、光硬化型樹脂であることを特徴とする請求項4に記載の構造物の補強用積層材料。

請求項6

前記中間樹脂層を形成する前記熱可塑性樹脂は、ポリアミド樹脂ナイロン樹脂ポリプロピレン樹脂フェノキシ樹脂、又は、ABS樹脂であることを特徴とする請求項4に記載の構造物の補強用積層材料。

請求項7

前記高伸度弾性樹脂層は、硬化時における引張伸びが400%以上、引張強度が8N/mm2以上、引張弾性率が60N/mm2以上500N/mm2以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の構造物の補強用積層材料。

請求項8

前記高伸度弾性樹脂層は、ポリウレア樹脂ウレタン樹脂、又は、エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の構造物の補強用積層材料。

請求項9

前記高伸度弾性樹脂層を形成する前記ポリウレア樹脂は、主剤硬化剤充填剤添加剤を含み、(i)主剤:イソシアネートを反応成分とするプレポリマーであり、末端残存イソシアネートがNCO重量%で1〜16重量部に調整されたものを使用する。(ii)硬化剤:主成分として芳香族アミンを含む硬化剤を使用し、主剤のNCO:アミン比で、1.0:0.55〜0.99重量部で計算されたものを使用する。(iii)充填剤:硅石粉、搖変剤等が含まれ、1〜500重量部で適宜配合される。(iv)添加剤:着色剤粘性調整剤可塑剤等が含まれ、1〜50重量部で適宜配合される。組成とされることを特徴とする請求項8に記載の構造物の補強用積層材料。

請求項10

前記繊維強化複合材は、強化繊維と、前記強化繊維に含侵されて硬化された樹脂とを有する強化繊維を含む強化繊維含有部材であり、前記強化繊維含有部材の断面形状は板状、山形状、チャンネル形状、T字形状、又は、角パイプ形状とされ、前記強化繊維含有部材の前記構造物への接着側の面に前記中間樹脂層と前記高伸度弾性樹脂層とが積層されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかの項に記載の構造物の補強用積層材料。

請求項11

前記繊維強化複合材の前記樹脂は、熱硬化性樹脂若しくは熱可塑性樹脂であるか、又は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合樹脂であることを特徴とする請求項10に記載の構造物の補強用積層材料。

請求項12

前記高伸度弾性樹脂層の前記繊維強化複合材に対する積層側とは反対側の外側面に剥離シートを有することを特徴とする請求項1〜11のいずれかの項に記載の構造物の補強用積層材料。

請求項13

構造物の被補強面に補強用積層材料を接着剤にて接着して一体化することにより構造物を補強する構造物の補強方法であって、前記補強用積層材料は、請求項1〜12のいずれかの項に記載の補強用積層材料であることを特徴とする構造物の補強方法。

請求項14

前記接着剤は、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アクリル樹脂、MMA樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又は、光硬化型樹脂であることを特徴とする請求項13に記載の構造物の補強方法。

請求項15

前記接着剤はエポキシ樹脂接着剤とされ、このエポキシ樹脂接着剤は、主剤、硬化剤の2成分型により提供され、(i)主剤:主成分としてエポキシ樹脂を含み、接着増強付与剤として、必要に応じてシランカップリング剤等を含むものを使用する。(ii)硬化剤:主成分としてアミン類を含む。組成とされることを特徴とする請求項14に記載の構造物の補強方法。

請求項16

前記構造物の被補強面に前記補強用積層材料を接着する前に、前記構造物の被補強面を下地処理する工程及び/又はプライマーを塗布する工程、を有することを特徴とする請求項13〜15のいずれかの項に記載の構造物の補強方法。

請求項17

構造物の被補強面に繊維強化複合材が接着剤にて接着して一体化された構造物の補強構造体であって、前記繊維強化複合材と、前記繊維強化複合材の前記構造物への接着側の面に形成された高伸度弾性樹脂層と、前記繊維強化複合材と前記高伸度弾性樹脂層との間に配置された中間樹脂層とを有し、前記高伸度弾性樹脂層は、硬化時における引張伸びが400%以上、引張強度が8N/mm2以上、引張弾性率が60N/mm2以上500N/mm2以下であることを特徴とする構造物の補強構造体。

請求項18

前記接着剤はエポキシ樹脂接着剤とされ、このエポキシ樹脂接着剤は、主剤、硬化剤の2成分型により提供され、(i)主剤:主成分としてエポキシ樹脂を含み、接着増強付与剤として、必要に応じてシランカップリング剤等を含むものを使用する。(ii)硬化剤:主成分としてアミン類を含む。組成とされることを特徴とする請求項17に記載の構造物の補強構造体。

技術分野

0001

本発明は、橋、桟橋煙突等、更には、、車両、航空機等の鋼構造物、梁及び桁部材、壁、柱、床版などのスラブ部材など、建築土木建造物であるコンクリート構造物、更には、FRP繊維強化プラスチック構造物、鋼とコンクリート合成構造物、鋼とFRPの合成構造物、コンクリートとFRPの合成構造物、その他種々の構造物(以下、単に「構造物」という。)を補強するのに使用する、強化繊維樹脂含浸して硬化させた繊維強化複合材を有する構造物の補強用積層材料に関するものである。更には、本発明は、斯かる補強用積層材料を使用して構造物を補修補強(以下、単に「補強」という。)する構造物の補強方法及び補強構造体に関するものである。

背景技術

0002

近年、既存或いは新設の上記種々の構造物の補強方法として、構造物の表面に補強材として炭素繊維シートアラミド繊維シートなどの樹脂未含浸繊維シートを貼り付けたり、巻き付けたりする炭素繊維シート接着工法やアラミド繊維シート接着工法などの繊維シート接着工法がある。また、未硬化の樹脂を繊維束に含浸させた繊維シートを接着した後に硬化させる工法、がある。

0003

更には、現場での樹脂の含浸を省略するため、工場にて強化繊維に樹脂含浸硬化させて生産した板厚1〜2mm、幅5〜10cm程度のプレート状の繊維強化複合体FRP板)を構造物表面パテ状接着樹脂を用いて接着するFRP板接着補強工法も開発されている。

0004

このような補強方法を施した構造物は、繊維シートが構造物と一体に接着されている限りにおいては、繊維シートによる高い補強効果を得ることができる。しかしながら、負荷により構造物が変形することなどにより、繊維シートが破断する前にこれが構造物表面から剥離した場合には、所期の目的を達成することができなくなる。

0005

そこで、特許文献1(特許第5380551号)及び特許文献2(特許第5820435号)には、鋼構造物の接着面にポリウレア樹脂パテ剤などとされる弾性層を設けることにより、繊維シートの付着性能を向上させることができる鋼構造物の補強方法を開示している。これら鋼構造物の補強方法は、本願添付の図13を参照して説明すると、
(a)鋼構造物100の表面にポリウレア樹脂パテ剤を塗布して硬化させ弾性層104を形成する工程と、
(b)弾性層104が形成された鋼構造物100の表面に接着剤105を塗布する工程と、
(c)接着剤105が塗布された鋼構造物100の接着面に樹脂未含浸(或いは樹脂含浸硬化)の繊維シート1を押圧して接着する工程と、
を有している。この時、特に、剛性の高い連続繊維シートなどで補強した場合にも十分に応力を繊維シート1に伝達し得るように、弾性層104は、硬化時における引張伸びが400%以上、引張強度が8N/mm2以上、引張弾性率が60N/mm2以上500N/mm2以下とされる、ことが開示されている。

0006

また、別法として、上記(b)、(c)工程の代わりに、繊維シート1に接着剤104を塗布し、この接着剤が塗布された繊維シートを、弾性層104が形成された鋼構造物の表面に押圧して接着する方法をも開示している。

0007

また、特許文献3(特許第5478651号)には、本願添付の図14を参照して説明すると、
(a)樹脂が含浸され、硬化された繊維シート1の表面に弾性樹脂を塗布して硬化させ弾性層104を形成する工程と、
(b)コンクリート構造物100の表面に接着剤105を塗布する工程と、
(c)弾性層104が形成された繊維シート1を、接着剤105が塗布されたコンクリート構造物100の表面に押圧して接着する工程と、
を有するコンクリート構造物の補強方法を開示している。また、弾性樹脂としては、ポリウレア樹脂ウレアウレタン樹脂などを使用することとしている。

先行技術

0008

特許第5380551号公報
特許第5820435号公報
特許第5478651号公報

発明が解決しようとする課題

0009

上記特許文献1〜3に記載する補強方法は、鋼或いはコンクリート構造物100の接着面にポリウレア樹脂パテ剤などとされる弾性層104を設けることにより、繊維シートの付着性能を向上させることができる、といった特長を有している。

0010

しかしながら、上記特許文献1、2に記載する補強方法は、図13に示すように、いずれも、現場で鋼構造物100に弾性層104を塗布し、養生を行い、養生後に接着剤105を用いて繊維シート1を接着することが必要とされる。そのため、これらの補強方法は、現場での作業工程が多く、また、現場で構造物の表面に塗布する弾性樹脂であるポリウレア樹脂パテ剤104等の現場での品質管理が難しいといった問題を有している。

0011

一方、特許文献3には、図14を参照して上述したように、樹脂が含浸され、硬化された繊維シート、即ち、FRP板1の表面に弾性樹脂であるポリウレア樹脂パテ剤104を直接塗布して硬化させて弾性層104を形成し、その後、この弾性層104が形成されたFRP板1を、接着剤105が塗布されたコンクリート構造物100の表面に押圧して接着する補強方法を開示している。

0012

この特許文献3に記載の補強方法によれば、上記特許文献1、2に記載の補強方法に比較すると、現場での作業工程が低減され、改善されてはいるものの、本発明者らの研究実験の結果によれば、FRP板1に、ポリウレア樹脂パテ剤104を直接塗布して硬化させて弾性層104を形成した場合、この補強用積層材料を構造物表面に接着した補強構造体では、該補強構造体に引張荷重が負荷された場合に、補強用積層材料におけるFRP板1と弾性層104との間にて剥離が生じ、弾性層104を設けたことによる利点を十分に発揮し得ていないことが分かった。

0013

そこで、本発明者らは更に多くの実験研究を行った結果、繊維強化複合材に、高伸度弾性樹脂であるポリウレア樹脂などを直接塗布して弾性層、即ち、高伸度弾性樹脂層を形成するのではなく、繊維強化複合材と高伸度弾性樹脂層との間に、例えばエポキシ樹脂などとされる中間樹脂層を形成した補強用積層材料を作製することによって、応力集中を緩和することができ、上記剥離の問題が改善され、高伸度弾性樹脂層を設けることによってもたらされる補強材である繊維シートの付着性能の向上を大幅に改善し、繊維強化複合材料が有する強度を最大限に利用し、十分な補強を行うことができることが分かった。また、工場等の整った環境下でFRP板に中間樹脂層としてエポキシ樹脂と、高伸度弾性樹脂層としてポリウレア樹脂を塗布して、養生を行い、補強用積層材料を作製し、その後、この補強用積層材料を現場へ搬入して接着剤を用いて構造物に接着するようにした場合には、現場での作業工程を大幅に省略化し、即ち、現場施工の省力化を図り、且つ、ポリウレア樹脂等の現場での品質管理が不要とされ、作業効率を大幅に向上させ得ることが分かった。

0014

そこで、本発明の目的は、現場での作業工程を少なくし、かつ、使用する樹脂の品質管理を容易とした、作業効率の向上を図ることができ、また、補強材の剥離を抑制して高い補強効果を得ることのできる構造物の補強用積層材料を提供することである。

0015

本発明の他の目的は、上記補強用積層材料を使用し、補強用積層材料の強化繊維が有する強度を最大限に利用し、十分な補強を行うことができ、更に、強化繊維が破断に至る前に構造物表面から剥がれることを回避若しくは抑制することのできる構造物の補強方法及び補強構造体を提供することである。

課題を解決するための手段

0016

上記諸目的は、本発明に係る構造物の補強用積層材料、補強方法及び補強構造体にて達成される。要約すれば、第1の本発明によれば、構造物の被補強面に接着して一体化することにより構造物を補強する補強用積層材料であって、
繊維強化複合材と、前記繊維強化複合材の前記構造物への接着側の面に形成された高伸度弾性樹脂層と、前記繊維強化複合材と前記高伸度弾性樹脂層との間に配置された中間樹脂層とを有することを特徴とする構造物の補強用積層材料が提供される。

0017

第1の本発明の一実施態様によれば、前記中間樹脂層は、硬化時における引張弾性率が1000N/mm2以上10000N/mm2以下である。

0018

第1の本発明の他の実施態様によれば、前記中間樹脂層は、厚さが0.05mm以上5.0mm以下である。

0019

第1の本発明の他の実施態様によれば、前記中間樹脂層は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂である。好ましくは、前記中間樹脂層を形成する前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂アクリル樹脂MMA樹脂ビニルエステル樹脂不飽和ポリエステル樹脂、又は、光硬化型樹脂である。また、好ましくは、前記中間樹脂層を形成する前記熱可塑性樹脂は、ポリアミド樹脂ナイロン樹脂ポリプロピレン樹脂フェノキシ樹脂、又は、ABS樹脂である。

0020

第1の本発明の他の実施態様によれば、前記高伸度弾性樹脂層は、硬化時における引張伸びが400%以上、引張強度が8N/mm2以上、引張弾性率が60N/mm2以上500N/mm2以下である。

0021

第1の本発明の他の実施態様によれば、前記高伸度弾性樹脂層は、ポリウレア樹脂、ウレタン樹脂、又は、エポキシ樹脂である。

0022

第1の本発明の他の実施態様によれば、前記高伸度弾性樹脂層を形成する前記ポリウレア樹脂は、主剤硬化剤充填剤添加剤を含み、
(i)主剤:イソシアネートを反応成分とするプレポリマーであり、末端残存イソシアネートがNCO重量%で1〜16重量部に調整されたものを使用する。
(ii)硬化剤:主成分として芳香族アミンを含む硬化剤を使用し、主剤のNCO:アミン比で、1.0:0.55〜0.99重量部で計算されたものを使用する。
(iii)充填剤:硅石粉、搖変剤等が含まれ、1〜500重量部で適宜配合される。
(iv)添加剤:着色剤粘性調整剤可塑剤等が含まれ、1〜50重量部で適宜配合される。
組成とされる。

0023

第1の本発明の他の実施態様によれば、前記繊維強化複合材は、強化繊維と、前記強化繊維に含侵されて硬化された樹脂とを有する強化繊維を含む強化繊維含有部材であり、前記強化繊維含有部材の断面形状は板状、山形状、チャンネル形状、T字形状、又は、角パイプ形状とされ、前記強化繊維含有部材の前記構造物への接着側の面に前記中間樹脂層と前記高伸度弾性樹脂層とが積層されている。

0024

第1の本発明の他の実施態様によれば、前記繊維強化複合材の前記樹脂は、熱硬化性樹脂若しくは熱可塑性樹脂であるか、又は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合樹脂である。

0025

第1の本発明の他の実施態様によれば、前記高伸度弾性樹脂層の前記繊維強化複合材に対する積層側とは反対側の外側面に剥離シートを有する。

0026

第2の本発明によれば、構造物の被補強面に補強用積層材料を接着剤にて接着して一体化することにより構造物を補強する構造物の補強方法であって、
前記補強用積層材料は、上記いずれかの構成の補強用積層材料であることを特徴とする構造物の補強方法が提供される。

0027

第2の本発明の一実施態様によれば、前記接着剤は、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アクリル樹脂、MMA樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又は、光硬化型樹脂である。

0028

第2の本発明の他の実施態様によれば、前記接着剤はエポキシ樹脂接着剤とされ、このエポキシ樹脂接着剤は、主剤、硬化剤の2成分型により提供され、
(i)主剤:主成分としてエポキシ樹脂を含み、接着増強付与剤として、必要に応じてシランカップリング剤等を含むものを使用する。
(ii)硬化剤:主成分としてアミン類を含む。
組成とされる。

0029

第2の本発明の他の実施態様によれば、前記構造物の被補強面に前記補強用積層材料を接着する前に、前記構造物の被補強面を下地処理する工程及び/又はプライマーを塗布する工程、を有する。

0030

第3の本発明によれば、構造物の被補強面に繊維強化複合材が接着剤にて接着して一体化された構造物の補強構造体であって、
前記繊維強化複合材と、前記繊維強化複合材の前記構造物への接着側の面に形成された高伸度弾性樹脂層と、前記繊維強化複合材と前記高伸度弾性樹脂層との間に配置された中間樹脂層とを有し、
前記高伸度弾性樹脂層は、硬化時における引張伸びが400%以上、引張強度が8N/mm2以上、引張弾性率が60N/mm2以上500N/mm2以下であることを特徴とする構造物の補強構造体が提供される。

0031

第3の本発明の一実施態様によれば、前記接着剤はエポキシ樹脂接着剤とされ、このエポキシ樹脂接着剤は、主剤、硬化剤の2成分型により提供され、
(i)主剤:主成分としてエポキシ樹脂を含み、接着増強付与剤として、必要に応じてシランカップリング剤等を含むものを使用する。
(ii)硬化剤:主成分としてアミン類を含む。
組成とされる。

発明の効果

0032

本発明の構造物の補強用積層材料、補強方法及び補強構造体によれば、
(1)現場での作業工程を少なくし、かつ、使用する樹脂の品質管理を容易とした、作業効率の向上を図ることができ、また、補強材の剥離を抑制して高い補強効果を得ることができる。
(2)補強用積層材料の強化繊維が有する強度を最大限に利用し、十分な補強を行うことができ、更に、強化繊維が破断に至る前に構造物表面から剥がれることを回避若しくは抑制することができる。
といった特長を有している。

図面の簡単な説明

0033

図1(a)〜(c)は、本発明の補強用積層材料の実施例を示す断面図である。
図2(a)、(b)は、本発明の補強用積層材料を使用した構造物の補強方法及び補強構造体を説明するための図である。
図3は、本発明の補強用積層材料を構成する繊維強化複合材の作製方法の一例を説明する概略図である。
図4(a)〜(f)は、本発明の補強用積層材料の種々の形状の実施例を説明するための図であり、図4(a)は斜視図であり、図4(b)〜(f)は断面図である。
図5(a)は、本発明の補強用積層材料を構成する繊維強化複合材の作製方法の他の例を説明する概略図であり、図5(b)、(c)は、本発明の補強用積層材料の作製方法の実施例を説明する図である。
図6は、本発明の補強用積層材料を構成する繊維強化複合材の一実施例を示す斜視図である。
図7は、本発明の補強用積層材料に使用し得る繊維シートの一実施例を示す図である。
図8は、本発明の補強用積層材料に使用し得る繊維シートを構成する繊維強化プラスチック線材の一例を示す断面図である。
図9は、本発明の構造物の補強方法の一実施例を説明する工程図である。
図10(a)〜(d)は、本発明の補強用積層材料及び補強方法の有効性を実証するための試験装置におけるコンクリート試験体概要を説明する図である。
図11は、本発明の実験例と比較例とを比較するための最大荷重時における補強材サンプルのひずみ分布を示す図である。
図12は、本発明の実験例と比較例とを比較するための補強材サンプルの実験における最大荷重を示す図である。
図13は、従来の構造物の補強方法の一例を説明するための図である。
図14は、従来の構造物の補強方法の他の例を説明するための図である。

実施例

0034

以下、本発明に係る構造物の補強用積層材料、補強方法及び補強構造体を図面に則して更に詳しく説明する。

0035

図1(a)を参照すると、本発明に係る構造物の補強用積層材料10の一実施例を示す。本実施例によると、本発明の補強用積層材料10は、繊維強化複合材11と、繊維強化複合材11の構造物への接着側の面に形成された高伸度弾性樹脂層12と、繊維強化複合材11と高伸度弾性樹脂層12との間に配置された中間樹脂層13とを有する。

0036

また、必要に応じて、図1(b)に示すように、中間樹脂層13と高伸度弾性樹脂層12との間に、プライマー層14を形成し、中間樹脂層13と高伸度弾性樹脂層12との間の付着性能を更に向上させることもできる。

0037

更に、図1(c)に示すように、補強用積層材料10にて高伸度弾性樹脂層12の繊維強化複合材11に対する積層側とは反対側の外側表面に、高伸度弾性樹脂層12を保護するために、剥離シート60を積層して設けることができる。補強用積層材料10を使用するに際してこの剥離シート60は剥がされる。

0038

本発明の好ましい実施態様によると、高伸度弾性樹脂層12は、硬化時における引張伸びが400%以上、引張強度が8N/mm2以上、引張弾性率が60N/mm2以上500N/mm2以下とされる。ただ、斯かる高伸度弾性樹脂層12の物性は、使用する高伸度弾性樹脂によって適宜変更し得るものであり、必要とされる構造物の補強強度により選択することができ、上記特性に限定されるものではない。

0039

上記構成とされる本発明の補強用積層材料10は、図2(a)、(b)に示すように、構造物100の表面に接着剤20を介して接着されて一体化され、構造物100の補強構造体200を形成する。構造物100としては、上述したように、橋、桟橋、煙突等、更には、船、車両、航空機等の鋼構造物、梁及び桁部材、壁、柱、床版などのスラブ部材など、建築、土木建造物であるコンクリート構造物、更には、FRP(繊維強化プラスチック)構造物、鋼とコンクリートの合成構造物、鋼とFRPの合成構造物、コンクリートとFRPの合成構造物、その他種々の構造物とすることができる。

0040

次に、本発明に係る補強用積層材料10を構成する各部材について説明する。

0041

(繊維強化複合材)
補強用積層材料10を構成する繊維強化複合材11は、強化繊維に樹脂が含浸され、樹脂が硬化された強化繊維を含む強化繊維含有部材であり、詳しくは後述するように、横断面形状は種々の形状に賦形することができ、例えば、平板などの板状、その他、平板以外の山形、チャンネル形、T字形、或いは、角パイプなどの形状とすることもできる。ただ、本明細書では、以下、連続繊維強化複合材11を、単に「FRP板」と呼ぶこともある。

0042

FRP板11の強化繊維としては、PAN系或いはピッチ系炭素繊維ガラス繊維バサルト繊維ボロン繊維チタン繊維スチール繊維などの金属繊維;更には、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミドポリアリレートポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用することができる。

0043

また、FRP板11の強化繊維に含侵される樹脂は、熱硬化性樹脂若しくは熱可塑性樹脂であるか、又は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合樹脂とすることができる。熱硬化性樹脂としては、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂などが好適に使用され、又、熱可塑性樹脂としては、ナイロンビニロンなどが好適に使用可能である。又、FRP板11の繊維含有量は、30〜70体積%、好ましくは、40〜60体積%とされる。

0044

FRP板11は、当業者には周知の種々の方法にて作製することができる。例えば、樹脂Rとして熱硬化性樹脂を使用する場合は、プルトルージョン法により作製することができる。この場合は、例えば、図3に示すように、先ず、クリール30から強化繊維fを樹脂槽31に導入し、樹脂Rを含侵させる。樹脂が含浸された強化繊維は、ヒータ32を備えた加熱金型33を用いて、所定の断面形状とすると同時に硬化して、所望のFRP板11を連続して形成する。所定の断面形状に成形されたFRP板11は、引取り装置34により金型32より引き出され、必要に応じて更に後硬化炉35にて熱処理を行うことができる。

0045

FRP板11は、50m以上などの長尺にて作製され、ロール状に巻き取ることも、また、引取り装置34又は後硬化炉35の出口で1m〜10mなどの任意の長さに切断することもできる。なお、詳しくは後述する中間樹脂層13及び高伸度弾性樹脂層12は、図示してはいないが、加熱金型33の出口より後方でそれぞれの樹脂を塗布装置にて塗布して積層すること、また、加熱金型33の出口でFRP板11を切断した後に、それぞれの樹脂を塗布装置にて塗布して積層することもできる。

0046

また、図1(c)に示すように、補強用積層材料10の高伸度弾性樹脂層12の外側表面に高伸度弾性樹脂層12を保護するために、例えばポリチエンフィルムのような剥離シート60を積層する場合には、FRP板11に積層された高伸度弾性樹脂層12が乾燥する前に、或いは、乾燥した直後に貼り付けるのが良い。

0047

上述のプルトルージョン法にて作製されるFRP板11は、例えば、強化繊維fとして炭素繊維を使用した場合には、例えば平均径7μmの単繊維炭素繊維モノフィラメント)fを6000〜24000本収束した樹脂未含浸の繊維束を複数本、一方向に平行に引き揃えて使用される。

0048

また、FRP板11は、軸線方向に延在した長尺物とされ、上記説明では、図4(a)に図示するように、横断面にて幅方向長さ(W11)に対し厚さ方向の長さ(T11)が小さくされた(W11>T11)薄板状のものであり、幅(W11)が35〜150mm、厚さ(T11)が1〜4mmの、通常矩形断面とされる。また、軸方向の長さ(L11)は、任意とし得るが、通常、1m以上、100m以内、場合によっては100m以上とされる。なお、幅方向長さ(W11)と厚さ方向の長さ(T11)が同じであってもよく(W11=T11)、また、幅方向長さ(W11)に対し厚さ方向の長さ(T11)が大きくされた(W11<T11)ものとすることもできる。

0049

更に、FRP板11の横断面形状は、上述したように、種々の形状に賦形することができ、図4(a)に示す平板などの板状に限定されるものではない。その他、図4(b)〜(f)に図示するように、水平板11aと垂直板11bがL字形をなす山形状(図4(b))、水平板11aとその両端に形成された垂直板11bにて凹状溝形をなすチャンネル形状(図4(c))、水平板11aとその上に一つ或いは2つ(或いはそれ以上)が形成された垂直板11bにてT字形をなすT字形状(図4(d)、(e))、又は、複数の平板11aを組み合せて一体に形成される角パイプ形状(図4(f))などの形状とすることもできる。なお、中間樹脂層13、高伸度樹脂層12は、破線で示すように、これらFRP板11の構造物に対する接着面とされる水平板11aの領域に積層される。

0050

一方、含侵樹脂Rが熱可塑性樹脂とされる場合には、例えば、図5に示すように、クリール40から繰り出される強化繊維fに対して、樹脂Rが塗布された樹脂フィルム41を片面或いは両面から加熱加圧ローラ42により押し付けて含侵させ、その後、冷却炉43にて硬化して、FRP板11を作製することもできる。勿論、図示してはいないが、強化繊維fの片面或いは両面に樹脂コーターのような塗布装置を用いて、或いは、押出機エクストルーダ))を用いて樹脂を塗布し、その後、樹脂を硬化させ、FRP板11を作製することもできる。

0051

別法として、補強用積層材料10を構成するFRP板11は、図6に示すように、強化繊維fを含む繊維シート1に樹脂Rを含浸し、硬化して作製することもできる。この場合、FRP板11は、任意の形状のシート状或いは板状とされる。

0052

繊維シート1は、連続した繊維fをFRP板11の長手方向に沿って一方向に配列された一方向配列繊維シートとすることができる。例えば、強化繊維fとして炭素繊維を使用した場合には、例えば平均径7μmの単繊維(炭素繊維モノフィラメント)fを6000〜24000本収束した樹脂未含浸の繊維束を複数本、一方向に平行に引き揃えて使用される。炭素繊維シート1の繊維目付は、通常、30〜1000g/m2とされる。

0053

上記説明では、繊維シート1は、連続した繊維fをFRP板11の長手方向に沿って一方向に配列された一方向配列繊維シートであるとしたが、場合によっては、強化繊維を二方向に配向させた平織物綾織物朱子織物や、強化繊維を三方向、四方向に配向させた3軸、4軸織物などとされるクロス織物)にて作製された繊維シート1を使用することもできる。また、クロスは、1枚の織物シートで構成することもでき、または、同じ構成の、或いは、異なる構成の複数枚の織物シートを積層して構成しても良い。更には、繊維シート1は、マット状或いはフェルト状の強化繊維にてシート状に形成されたものでも良い。勿論、繊維シート1は、上記種々の形態の繊維シートを組み合わせて積層して形成することもできる。

0054

更に、繊維シート1は、図7図8(a)、(b)に示すように、マトリクス樹脂Reが含浸され硬化された細径の連続した繊維強化プラスチック線材2を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、各線材2を互いに線材固定材3にて固定した繊維シート1を使用することができる。ここで、繊維強化プラスチック線材2は、直径(d)が0.5〜3mmの略円形断面形状図8(a))であるか、又は、幅(w)が1〜10mm、厚み(t)が0.1〜2mmとされる略矩形断面形状(図8(b))とし得る。勿論、必要に応じて、その他の種々の断面形状とすることができる。上述のように、一方向に引き揃えスダレ状とされた繊維シート1において、各線材2は、互いに空隙(g)=0.05〜3.0mmだけ近接離間して、例えば、間隔Pにて配置された線材固定材3にて固定される。

0055

上記維強化プラスチック線材2を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃えて成る繊維シート1によれば、この繊維シート1に樹脂Rを塗布し、シート表面及び各線材2、2間に形成された空隙(g)を樹脂Rで充填して、前記樹脂を硬化することによりプレート状の連続繊維強化複合材、即ち、FRP板11が作製される。樹脂Rは、繊維強化プラスチック線材2に含浸されるマトリクス樹脂Reと同じであっても良く、また、異なる樹脂であっても良い。

0056

(高伸度弾性樹脂層)
本発明によれば、上記説明した繊維強化複合材(FRP板)11の一側、即ち、構造物100への接着側面に中間樹脂層13を介して高伸度弾性樹脂層12が配置される。図1(a)、(b)にてこの高伸度弾性樹脂層12は、高伸度弾性樹脂12aを所定の厚さ(T12)にて塗布し、硬化させて形成される。高伸度弾性樹脂1aとしては、ポリウレア樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、などを使用することができ、補強される構造物の種類、所望される補強の程度によって適宜選択される。例えば、温度等に影響されない高度の補強が要求される場合は、弾性率が低いポリウレア樹脂、ウレタン樹脂などが好適に使用される。この点については、更に後で詳しく説明する。

0057

高伸度弾性樹脂12aの塗布厚さ(T12)、即ち、高伸度弾性樹脂層12の厚さ(T12)は、使用されるFRP板11の厚さ(T11)や、適用される構造物の被接着面102の表面の凹凸に応じて適宜設定される。一般に、高伸度弾性樹脂12a塗布厚さ(T12)、即ち、高伸度弾性樹脂層12の厚さ(T12)は、0.05〜3.0mm程度とされる。高伸度弾性樹脂層12の厚さが、0.05mm未満であると、接着応力の集中を低減できないといった問題があり、また、3.0mmを超えると、補強効果として必要な応力伝達が十分行えないといった問題が生じる。通常、0.5〜1.5mmとされる。

0058

ここで、高伸度弾性樹脂層12を形成する高伸度弾性樹脂12aとして好ましい弾性率の低いポリウレア樹脂について説明する。高伸度弾性樹脂層12を形成するに適した弾性率の低いポリウレア樹脂12aは、主剤、硬化剤、充填剤、添加剤などを含んでおり、その組成の一例を示せば、下記の通りとされる。
(i)主剤:イソシアネート(例えば、4,−4’ジフェニルメタンジイソシアネート)を反応成分とするプレポリマーであり、末端残存イソシアネートがNCO重量%で1〜16重量部に調整されたものを使用する。
(ii)硬化剤:主成分として芳香族アミン(例えばアミン価80〜90)含む硬化剤を使用し、主剤のNCO:アミン比で、1.0:0.55〜0.99重量部で計算されたものを使用する。更には、硬化促進剤としてp−トルエンスルホン酸塩などを含むこともできる。
(iii)充填剤:硅石粉、搖変剤等が含まれ、1〜500重量部で適宜配合される。
(iv)添加剤:着色剤、粘性調整剤、可塑剤等が含まれ、1〜50重量部で適宜配合される。

0059

上記組成のポリウレア樹脂は、硬化時における引張伸びが400%以上(通常、400〜600%)、引張強度が8N/mm2以上(通常、8〜10N/mm2)、引張弾性率が60N/mm2以上500N/mm2以下(通常、60〜100N/mm2)とされる。

0060

例えば、鋼構造物の補強を施工する場合などには、高伸度弾性樹脂層12は、弾性率が60N/mm2未満では、必要な補強応力伝達ができず、また逆に、100N/mm2を越えると、特に、500N/mm2を超えると、伸び性能不足するといった問題が生じることがある。

0061

下記表1、表2に、本発明にて高伸度弾性樹脂層12を形成する材料として使用し得るエポキシ樹脂と、上記組成のポリウレア樹脂とが有する物性を比較した結果を示す。

0062

0063

0064

上記表1と、高伸度弾性樹脂層の温度と弾性率の関係表(上記表2)の結果から、エポキシ樹脂を使用した場合には、特に、高温時には、エポキシ樹脂の素材強度が低下し、また、冬季低温時には延び性能が低下することが分かる。

0065

これに対して、ポリウレア樹脂は、−20℃から+70℃まで安定した性能を示すことができる。従って、ポリウレア樹脂は、例えば、鋼構造物の補強に際して補強用積層材料の高伸度弾性樹脂層として使用し、温度に影響されない剥離防止、補修補強効果を達成することができ、特に、鋼構造物の補強工法に極めて好適に使用することができる。なお、ウレタン樹脂もポリウレア樹脂と同様の性能を発揮し得る。

0066

(中間樹脂層)
本発明によれば、本発明の補強用積層材料10は、繊維強化複合材11と高伸度弾性樹脂層12との間に中間樹脂層13が配置される。

0067

つまり、本発明によれば、上記説明した繊維強化複合材(FRP板)11の一側、即ち、高伸度弾性樹脂層12が配置され側に、高伸度弾性樹脂層12を形成するに先立って、中間樹脂層13が形成される。中間樹脂層13は、中間樹脂13aをFRP板に所定の厚さ(T13)にて塗布し、硬化させて形成される。中間樹脂13aとしては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を使用することができ、熱硬化性樹脂としては、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アクリル樹脂、MMA樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又は光硬化型樹脂などが好適に使用され、又、熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フェノキシ樹脂又はABS樹脂などが好適に使用可能である。

0068

中間樹脂13aの塗布厚さ(T13)、即ち、中間樹脂層13の厚さ(T13)は、一般に、0.05mm以上、5.0mm以下(好ましくは3.0mm以下)とされる。中間樹脂層13の厚さが、0.05mm未満であると、高伸度弾性樹脂層12とFRP板11間の剥離防止といった作用効果がなく、また、3.0mmを超えると、特に、5.0mmを超えると、板が厚くなる。不経済であるばかりでなく、中間樹脂層13の破断伸びが小さいことから中間樹脂層13の破壊が生じる。通常、0.1〜2.0mm程度とされる。

0069

ここで、中間樹脂層13は、硬化時における引張弾性率が1000N/mm2以上10000N/mm2以下とされる。引張弾性率が1000N/mm2未満では、必要な補強応力伝達ができず、また逆に、10000N/mm2を越えると、特に、5000N/mm2を超えると、伸び性能が不足するといった問題が生じる。従って、通常、引張弾性率は、1000〜5000N/mm2とされる。

0070

なお、図1(b)を参照して上述したように、必要に応じて、中間樹脂層13と高伸度弾性樹脂層12との間に、プライマー層14を形成し、中間樹脂層13と高伸度弾性樹脂層12との間の付着性能を更に向上させることもできる。プライマー層14は、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ変性ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが好適に使用される。厚さは、特に限定されるものではないが、通常、0.01mm〜2.0mm程度とされる。

0071

なお、図3を参照して上述したように、プルトルージョン法により作製する場合は、中間樹脂層13及び高伸度弾性樹脂層12は、加熱金型33の出口より後方でそれぞれの樹脂を塗布して積層すること、また、加熱金型出口でFRP板11を切断した後に、それぞれの樹脂を塗布して積層することができる。

0072

更には、図5(b)に示すように、高伸度弾性樹脂12aを必要により離型紙70に担持してフィルム或いはテープ状とした高伸度弾性樹脂層12を作製し、この高伸度弾性樹脂層12中間樹脂13aを塗布した後に、FRP板12に貼り合わせることもできる。また、図5(c)に示すように、必要により離型紙70に担持されたフィルム或いはテープ状に予め成形した高伸度弾性樹脂層12を、中間樹脂13aが塗布されたFRP板11に貼り合わせることもできる。勿論、高伸度弾性樹脂層12及びFRP板11の両方に中間樹脂13aを塗布した後、両者を貼り合わせてもよい。

0073

(補強方法)
次に、構造物の補強方法について説明する。図2(a)、(b)を参照して上述したように、本発明によれば、前述のようにして製造された補強用積層材料10を用いて、構造物100の補強を行う。以下、本発明に従った構造物の補強方法を「積層材接着工法」と呼ぶこともある。

0074

本発明の積層材接着工法によれば、補強用積層材料10が構造物の表面に接着剤20を介して一体化される。これにより、FRP板11と、中間樹脂層13と、高伸度弾性樹脂層12と、を有する構造物の補強構造体200が形成される。

0075

構造物100の補強に際して、曲げモーメント及び軸力を主として受ける部材(構造物)に対しては、曲げモーメントにより生じる引張応力或いは圧縮応力主応力方向にFRP板11の強化繊維fの配向方向を概ね一致させて接着することで、FRP板11が効果的に応力を負担し、効率的に構造物の耐荷力を向上させることが可能である。

0076

また、直交する2方向に曲げモーメントが作用する場合、FRP板11の強化繊維fの配向方向が曲げモーメントにより生じる主応力に概ね一致するように2層以上の繊維シート1を直交させて積層接着することで効率的に耐荷力の向上が図れる。次に、図9を参照して積層材接着工法について更に詳しく説明する。

0077

(第1工程)
本発明の積層材接着工法を実施するに際しては、先ず、図9(a)、(b)に示すように、必要に応じて、構造物100の被補強面(即ち、被接着面)101の脆弱部101aを、ディスクサンダーサンドブラストスチールショットブラストウォータージェットなどの研削手段50により除去し、構造物100の被接着面101を下地処理をする。

0078

(第2工程)
下地処理した面102にエポキシ樹脂プライマー103を塗布する(図9(c))。プライマー103としては、エポキシ樹脂系に限ることなくMMA系樹脂など、接着剤20と被補強構造物100の材質に合わせて適宜選定される。なお、プライマー103の塗布工程は、省略することも可能である。

0079

(第3工程)
図9(d)に示すように、被補強構造物100の接着面上に接着剤20を塗布する。塗布量は、通常、1.0〜5.0kg/m2程度とされる。

0080

(第4工程)
次いで、図9(e)、(f)に示すように、補強用積層材料10の高伸度弾性樹脂層12を対向させて、補強用積層材料10を構造物100の接着面に押し付ける。これにより、補強用積層材料10を構造物表面102に接着剤20を介して接着する。この際、必要に応じて補強用積層材料10の接着面となる高伸度弾性樹脂層12の表面をサンドペーパーで下地処理したり、プライマーを塗布してもよい。また、図1(c)に示すように、補強用積層材料10の表面に剥離シート60が積層されている場合には、この剥離シート60を剥がした後に接着する。

0081

接着剤20としては、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アクリル樹脂、MMA樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又は光硬化型樹脂等が挙げられ、具体的には、常温硬化型エポキシ樹脂及びMMA樹脂が好適とされる。

0082

本実施例では、エポキシ樹脂接着剤を使用した。エポキシ樹脂接着剤は、主剤、硬化剤の2成分型により提供され、その組成の一例を示せば、下記の通りとされる。
(i)主剤:主成分としてエポキシ樹脂を含み、接着増強付与剤として、必要に応じてシランカップリング剤を含むものを使用する。エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、特に、靭性付与のためのゴム変性エポキシ樹脂とすることができ、更に、反応性希釈剤、充填剤及び搖変剤を用途に応じて添加しても良い。
(ii)硬化剤:主成分としてアミン類を含み、必要に応じて、硬化促進剤及び充填剤を含み、添加剤として着色剤等を含むものを使用することができる。アミン類は、例えば、メタキシレンジアミン及びイソホロンジアミンを含む脂肪族アミンとすることができる。

0083

尚、接着剤20は、構造物表面上に塗布するものとして説明したが、勿論、補強用積層材料10の高伸度弾性樹脂層12上に、或いは、構造物100の表面及び高伸度弾性樹脂層12の接着面の両面上に塗布しても良い。

0084

次に、本発明に係る補強用積層材料10における高伸度弾性樹脂層12及び中間樹脂層13の有効性(付着性能)、並びに、本発明に係る構造物の補強方法(積層材接着工法)及び補強構造体の作用効果を実証するために以下の実験を行った。

0085

実験概要(実験例1、2、比較例1〜3)
使用材料材料特性
本実験にて実験例1、2では、コンクリート構造物に貼付する補強材サンプルSとして本発明に従った補強用積層材料10を使用して、積層材接着工法に従ってコンクリート構造物100としてのコンクリート試験体100Tを補強した。本実験で使用したFRP板11は、図6を参照して上述したような連続した強化繊維fが一方向に配列された強化繊維に樹脂Rを含浸し、硬化したものであった。

0086

強化繊維fとしては、平均径7μm、収束本数24000本のPAN系炭素繊維含浸樹脂Rとしてエポキシ樹脂を使用して、プルトルージョン法によりFRP板11を作製した。試験に用いたFRP板11は、幅(W11)50mm、長さ(L11)1200mm、厚さ(T11)1mmであった。

0087

本実験例1、2で使用した本発明に従った補強用積層材料10は、図1(b)に示す構成とした。つまり、上記FRP板11に対して、中間樹脂として2液性エポキシ樹脂(新日鉄住金マテリアルズ株式会社製:商品名「FR−WE7」)を塗布して中間樹脂層13を形成した。次いで、2液性エポキシ変性ウレタン樹脂プライマー(新日鉄住金マテリアルズ株式会社製:商品名「FP−UL1」)を塗布してプライマー層14を形成し、プライマー層14が指触乾燥した後、更に、中間樹脂層13の上に高伸度弾性樹脂として、上述した組成とされるポリウレア樹脂を塗布して高伸度弾性樹脂層12を形成して、補強用積層材料10を作製した。エポキシ樹脂及びポリウレア樹脂の塗布厚さ、即ち、中間樹脂層13及び高伸度弾性樹脂層12の厚さは、それぞれ、T13=0.18mm、T12=0.8mmであった。また、上記プライマー層14は、0.03mmの厚さとした。

0088

本実験にて比較例1、2では、補強材サンプルSは、上記実験例1、2における補強用積層材料10とは異なり、FRP板11に対して直接、高伸度弾性樹脂12aを塗布し高伸度弾性樹脂層12を形成したものであり、中間樹脂層13を有していない。また、比較例3では、補強材サンプルSは、FRP板11のみであり、従来工法に従って、コンクリート試験体100Tに直接、FRP板11を接着剤にて接着する構成とした。

0089

下記表3、表4に、FRP板11、及び、使用したエポキシ樹脂(中間樹脂層13及び接着剤20)及びポリウレア樹脂(高伸度弾性樹脂層12)の材料特性を示す。また、表5には、実験例1、2、及び、比較例1〜3についての本実験の結果を示す。

0090

ここで、表5、図11図12などに表記される各試験体名における「記号」は、次の通りである。
頭数字:プレート厚さ
HT:高強度タイプ
・S:高伸度弾性樹脂層(ポリウレア樹脂)有り
・N:高伸度弾性樹脂層(ポリウレア樹脂)無し
・PP:中間樹脂層(エポキシ樹脂)有り
・PN:中間樹脂層(エポキシ樹脂)無し
末尾数字試験体番号

0091

0092

0093

0094

(試験装置)
本実験の実験例1、2、及び、比較例1、2では、それぞれ、2体ずつ試験体を作製し、FRP板11と高伸度弾性樹脂層12との付着性能を確認するため、中間樹脂層13の有無を要因として付着性能の検討を行った。

0095

図10(a)〜(d)に、試験装置におけるコンクリート試験体100Tの概要、及び、貼付したひずみゲージGの位置を示す。コンクリート試験体100Tの寸法は、150×150×1200mm、試験に用いた補強材サンプルSは、幅50mm×長さ1200mm×厚さ1mmとし、コンクリート試験体100Tの両面に貼付した。また、補強材サンプルSの応力分布をみるために、ひずみゲージGは40mm間隔で貼付した。

0096

図10(a)の左側は計測部、右側は固定部であり、固定部は、補強材サンプルSとコンクリート試験体100Tとを固定用鉄板を介してボルト圧着した。コンクリート試験体中心部で図10(b)に示すように、コンクリート試験体内部の鋼棒100TRは中央で分断されており、試験体中央部にはひび割れを誘発するためにノッチ及び幅4mm、厚さ2.5mmのプラスチック製のべニア板(プラべニア板)100Tpを埋設した。

0097

補強材サンプルSは、上記表2に示す材料特性値を有する2液性エポキシ樹脂接着剤(新日鉄住金マテリアルズ株式会社製:商品名「FE−Z」)20を介してコンクリート試験体100Tに接着した。

0098

試験は、門型フレームにコンクリート試験体100Tを軸線が垂直に延在するようにして配置して設置し、両端の鋼棒100TRを上下方向に油圧ジャッキによって両引き引張載荷方式で行った。なお、載荷速度は5kN/minとした。

0099

なお、本実験で用いたコンクリート試験体100Tのコンクリートの圧縮強度は49.8N/mm2、引張強度は4.3N/mm2、ヤング係数(引張弾性率)は34000N/mm2であった。

0100

本実験の実験例1、2、比較例1、2では、補強材サンプルSは、コンクリート試験体100Tに対して、図9を参照して説明したと同様の工法により、次のようにして補強した。

0101

先ず、コンクリート試験体100Tの被補強面をショットブラストにて研掃し、適度の粗面とした。このコンクリート試験体100Tの表面102上にプライマー103として2液性エポキシ変性ウレタンプライマー(新日鉄住金マテリアルズ株式会社製「FORCAUL−1」(商品名))を0.15kg/m2塗布した。

0102

プライマー103が指触乾燥した後、接着剤20としてエポキシ樹脂を塗布量0.4kg/m2にて塗付した。次いで、補強材サンプルSをコンクリート試験体100Tへと押し付けて接着した。その後、室温で1週間養生した。補強材サンプルSの貼着面に、何らボイドを発生することなく、コンクリート試験体100Tに極めて良好に接着することができた。

0103

比較例3は、従来工法に従って、補強材サンプルSをコンクリート試験体100Tに接着した。つまり、上述したように、比較例3では、補強材サンプルSは、FRP板11のみであり、高伸度弾性樹脂が塗布されていないコンクリート試験体100TにFRP板11を接着剤にて直接接着した。

0104

実験結果及び考察
(ひずみ分布)
最大荷重時における各コンクリート試験体100における補強材サンプルSのひずみ分布をそれぞれ図11に示す。また、破線で示した比較例3は、上述したように、従来工法によるポリウレア樹脂無し試験体(1HTN)のひずみ分布図の一例である。

0105

今回の試験体を比較すると、実験例1、2で示す中間樹脂層有りの試験体は、比較例1、2で示す中間樹脂層無しの試験体と比較して、最大荷重が増加していることが分かる。また、どちらの試験体も中心から300mm付近まではほぼ一様なひずみ状態を呈し、それ以降は距離と共にひずみが漸減している。つまり、本発明に従った中間樹脂層有りの試験体を使用した場合(実験例1、2)が中間樹脂層無しの試験体を使用した場合(比較例1、2)より耐荷能力が優れていることが分かった。

0106

また、従来工法によるポリウレア樹脂(高伸度弾性樹脂層12)無し試験体(比較例3)と比較すると、本発明の積層材接着工法の試験体(実験例1、2)においては、ひずみがFRP板全体に分布しているため、ポリウレア樹脂(高伸度弾性樹脂層12)によって応力集中が緩和され、最大ひずみもポリウレア樹脂(高伸度弾性樹脂層12)無し試験体(比較例3)に比べて約2〜2.5倍となり付着性能が改善されていることが確認された。

0107

(最大荷重)
表5に各試験体(補強材サンプルS)の最大荷重Pmax、最大せん断応力度τmax、界面剥離破壊エネルギーGf及び破壊モードを示す。また、図12に、各試験体(補強材サンプルS)の実験における最大荷重の比較を示す。

0108

なお、最大せん断応力度τmax、界面剥離破壊エネルギーGfは、下記式(1)、式(2)より算出した。

0109

0110

なお、本実験においては、補強材サンプル幅(b)は、図6にて、幅(W11)であり50mmとされ、厚さ(t)は、厚さ(T11)であり1mmであり、付着長(l)は、補強材サンプル長さ(即ち、長さL11)1200mmである。また、補強材サンプルSの弾性係数(N/mm2)は、上述のように、167000(N/mm2)である。

0111

表5から、本発明に従った中間樹脂層13を有する補強用積層材料10を使用した試験体による積層材接着工法(実験例1、2)では、最大荷重Pmaxは128kN、最大せん断応力度τmaxは2.17N/mm2、界面剥離破壊エネルギーGfは4.93N/mmであることが分かる。一方、補強用積層材料10にて中間樹脂層13を有していない試験体を使用した場合(比較例1、2)には、最大荷重Pmaxは108kN、最大せん断応力度τmaxは1.83N/mm2、界面剥離破壊エネルギーGfは3.50N/mmであった。

0112

つまり、本発明の積層材接着工法によると、FRP板11と高伸度弾性樹脂層12との間に中間樹脂層13を形成することにより、各数値は1.2〜1.4倍向上しており、補強用積層材料10にて中間樹脂層13を設けることの有効性が確認できた。また、従来工法のポリウレア樹脂無し試験体(比較例3)と比較すると、最大せん断応力度τmaxで1.7〜2倍、界面剥離破壊エネルギーGfで2.7〜3.8倍増加し、本発明の積層材接着工法におけるポリウレア樹脂(高伸度弾性樹脂層12)の有効性が確認できた。

0113

このように、本発明に従った補強用積層材料、補強方法及び補強構造体によれば、構造物100を有効に補強できることが明らかとなった。

0114

1繊維シート
10補強用積層材料
11繊維強化複合材
12高伸度弾性樹脂層
13中間樹脂層
14プライマー層
20接着剤
100構造物
200 補強構造体

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