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技術 調質圧延方法、調質圧延装置、鋼帯の製造方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 木島秀夫
出願日 2019年1月25日 (1年11ヶ月経過) 出願番号 2019-011432
公開日 2019年9月12日 (1年3ヶ月経過) 公開番号 2019-150869
状態 未査定
技術分野 金属圧延一般
主要キーワード 円相当半径 ピーク面圧 高次方程式 鋼帯材 材料表 軸方向ピッチ 荷重制御装置 込みモデル
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題

予備圧延実験を必要とせず計算のみで十分に高い精度のピーク面圧転写率との相関性を求めることができ、これにより荷重一定制御条件下での調質圧延後鋼帯の表面粗さを所定の範囲に調節することのできる調質圧延方法調質圧延装置、及び鋼帯の製造方法を提供すること。

解決手段

鋼帯に対して圧延荷重を一定に制御した状態でワークロールにより調質圧延を行う調質圧延方法であって、2次元の押し込みモデルにおけるワークロール表面の凸部の偏平形状を模擬したモデル粗さ曲線を用いて、有限要素法により転写率とピーク面圧との関係を算出し、該転写率とピーク面圧との関係に基づき、圧延中のピーク面圧を決定し、該ピーク面圧を用いて、圧延荷重の目標値を設定する調質圧延方法。

概要

背景

一般に、鋼帯調質圧延は、冷間圧延プロセスにより目標厚さに仕上げられた冷延鋼帯焼鈍した後、調質圧延機圧延スタンド)によって例えば伸び率1%程度の軽圧下を施すことによって行われる。また、場合によっては溶融亜鉛めっき電気錫めっきなどの表面処理を焼鈍後の冷延鋼帯に施した後、調質圧延を施す場合もある。調質圧延を施すと鋼帯が一様に伸ばされることによって、鋼帯の形状が矯正されるとともに鋼帯の機械的性質(例えば降伏点伸び降伏応力、引っ張り強さ、伸びなど)が調整される。したがって、調質圧延は鋼帯の形状を調整したり、あるいは鋼帯の機械的性質を調整したりする上で重要であり、さらに鋼帯の表面粗さなどの性状を調整することも調質圧延の重要な目的の一つである。

このような調質圧延に用いられるワークロールの直径は、通常、300〜700mm程度であり、調質圧延に供される鋼帯の厚みが0.15〜3.0mm程度であることから、鋼帯を調質圧延する際には鋼帯厚み(およびその変化)に対して非常に大きな径を有するワークロールが用いられることとなる。また調質圧延はワークロールに潤滑材を供給せずに鋼帯を圧延するドライ圧延方式、あるいはワークロール表面への鋼帯材料の付着を防止するため、潤滑性の低い潤滑材をワークロールに供給して鋼帯を圧延する圧延方式が用いられる。つまり、鋼帯を調質圧延するときには、摩擦係数の低減を目的とした高潤滑性の潤滑材を用いないのが一般的であり、ワークロールと鋼帯表面との摩擦係数が非常に大きくなることが推察される。

従来、調質圧延において鋼帯の表面粗さを目標範囲に制御しようとする場合には、例えば特許文献1のような方法で平均面圧、すなわち圧延荷重目標値を決定した後、コイル内における圧延時の変動に対して常に圧延荷重が該目標値に一致するように、ロールギャップ圧延張力を変更していた。これを一般に荷重一定制御と呼ぶ。

荷重一定制御の下で、鋼帯の表面粗さを目標範囲に制御しようとする場合、圧延荷重と圧延時におけるロールから鋼帯への粗さ転写率(単に「転写率」と称することもある。)との関係を求め、所望の転写率が得られるように圧延荷重の目標値を設定することが重要である。

圧延荷重と粗さ転写率との関係を求めるにあたり、従来、ピーク面圧との関係に注目する方法が知られている。具体的には、圧延荷重とピーク面圧との関係、及びピーク面圧と粗さ転写率との関係に基づき、圧延荷重と粗さ転写率との関係を求める。例えば、特許文献2には、ピーク面圧を説明変数の一つとして転写を制御する方法が開示されている。

圧延荷重とピーク面圧との関係については従来広く知られており、例えば特許文献2の式(3)にその関係式が開示されている。

一方で、ピーク面圧と粗さ転写率との間における具体的な相関性については知られていない。

概要

予備の圧延実験を必要とせず計算のみで十分に高い精度のピーク面圧と転写率との相関性を求めることができ、これにより荷重一定制御条件下での調質圧延後の鋼帯の表面粗さを所定の範囲に調節することのできる調質圧延方法調質圧延装置、及び鋼帯の製造方法を提供すること。 鋼帯に対して圧延荷重を一定に制御した状態でワークロールにより調質圧延を行う調質圧延方法であって、2次元の押し込みモデルにおけるワークロール表面の凸部の偏平形状を模擬したモデル粗さ曲線を用いて、有限要素法により転写率とピーク面圧との関係を算出し、該転写率とピーク面圧との関係に基づき、圧延中のピーク面圧を決定し、該ピーク面圧を用いて、圧延荷重の目標値を設定する調質圧延方法。

目的

したがって、調質圧延は鋼帯の形状を調整したり、あるいは鋼帯の機械的性質を調整したりする上で重要であり、さらに鋼帯の表面粗さなどの性状を調整することも調質圧延の重要な目的の一つである

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

鋼帯に対して圧延荷重を一定に制御した条件でワークロールにより調質圧延を行う調質圧延方法であって、2次元の押し込みモデルにおけるワークロール表面の凸部の偏平形状を模擬したモデル粗さ曲線を用いて、有限要素法により転写率ピーク面圧との関係を算出し、該転写率とピーク面圧との関係に基づき、圧延中のピーク面圧を決定し、該ピーク面圧を用いて、圧延荷重の目標値を設定する調質圧延方法。

請求項2

前記モデル粗さ曲線としては、以下の式(1)を用いる請求項1に記載の調質圧延方法。r:凸部の円相当半径(μm)x:圧延方向座標(μm)y:圧下方向座標(μm)N:凸部の偏平具合を調整するパラメータ(−)

請求項3

鋼帯に対して圧延荷重を一定に制御した条件で調質圧延を行う調質圧延装置であって、鋼帯を圧延するワークロールを有する圧延スタンドと、圧延スタンドにおける圧延荷重を制御する荷重制御装置と、を備え、前記荷重制御装置では、2次元の押し込みモデルにおけるワークロール表面の凸部の偏平形状を模擬したモデル粗さ曲線を用いて、有限要素法により転写率とピーク面圧との関係を算出し、該転写率とピーク面圧との関係に基づいて圧延中のピーク面圧を決定し、該ピーク面圧を用いて圧延荷重の目標値が設定される調質圧延装置。

請求項4

前記モデル粗さ曲線としては、以下の式(1)を用いる請求項3に記載の調質圧延装置。r:凸部の円相当半径(μm)x:圧延方向座標(μm)y:圧下方向座標(μm)N:凸部の偏平具合を調整するパラメータ(−)

請求項5

冷間圧延および焼鈍後、またはさらにめっき処理後の鋼帯に対して、請求項1又は2に記載の調質圧延方法を用いて調質圧延を施す鋼帯の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、圧延荷重を一定に制御した条件下での調質圧延において、ワークロールから鋼帯への粗さの転写率を所望の範囲とするのに有効な圧延荷重の目標値を設定することのできる調質圧延方法調質圧延装置、及び鋼帯の製造方法に関する。

背景技術

0002

一般に、鋼帯の調質圧延は、冷間圧延プロセスにより目標厚さに仕上げられた冷延鋼帯焼鈍した後、調質圧延機圧延スタンド)によって例えば伸び率1%程度の軽圧下を施すことによって行われる。また、場合によっては溶融亜鉛めっき電気錫めっきなどの表面処理を焼鈍後の冷延鋼帯に施した後、調質圧延を施す場合もある。調質圧延を施すと鋼帯が一様に伸ばされることによって、鋼帯の形状が矯正されるとともに鋼帯の機械的性質(例えば降伏点伸び降伏応力、引っ張り強さ、伸びなど)が調整される。したがって、調質圧延は鋼帯の形状を調整したり、あるいは鋼帯の機械的性質を調整したりする上で重要であり、さらに鋼帯の表面粗さなどの性状を調整することも調質圧延の重要な目的の一つである。

0003

このような調質圧延に用いられるワークロールの直径は、通常、300〜700mm程度であり、調質圧延に供される鋼帯の厚みが0.15〜3.0mm程度であることから、鋼帯を調質圧延する際には鋼帯厚み(およびその変化)に対して非常に大きな径を有するワークロールが用いられることとなる。また調質圧延はワークロールに潤滑材を供給せずに鋼帯を圧延するドライ圧延方式、あるいはワークロール表面への鋼帯材料の付着を防止するため、潤滑性の低い潤滑材をワークロールに供給して鋼帯を圧延する圧延方式が用いられる。つまり、鋼帯を調質圧延するときには、摩擦係数の低減を目的とした高潤滑性の潤滑材を用いないのが一般的であり、ワークロールと鋼帯表面との摩擦係数が非常に大きくなることが推察される。

0004

従来、調質圧延において鋼帯の表面粗さを目標範囲に制御しようとする場合には、例えば特許文献1のような方法で平均面圧、すなわち圧延荷重の目標値を決定した後、コイル内における圧延時の変動に対して常に圧延荷重が該目標値に一致するように、ロールギャップ圧延張力を変更していた。これを一般に荷重一定制御と呼ぶ。

0005

荷重一定制御の下で、鋼帯の表面粗さを目標範囲に制御しようとする場合、圧延荷重と圧延時におけるロールから鋼帯への粗さ転写率(単に「転写率」と称することもある。)との関係を求め、所望の転写率が得られるように圧延荷重の目標値を設定することが重要である。

0006

圧延荷重と粗さ転写率との関係を求めるにあたり、従来、ピーク面圧との関係に注目する方法が知られている。具体的には、圧延荷重とピーク面圧との関係、及びピーク面圧と粗さ転写率との関係に基づき、圧延荷重と粗さ転写率との関係を求める。例えば、特許文献2には、ピーク面圧を説明変数の一つとして転写を制御する方法が開示されている。

0007

圧延荷重とピーク面圧との関係については従来広く知られており、例えば特許文献2の式(3)にその関係式が開示されている。

0008

一方で、ピーク面圧と粗さ転写率との間における具体的な相関性については知られていない。

先行技術

0009

特開昭59−107701号公報
特開2012−171008号公報

発明が解決しようとする課題

0010

上述のように荷重一定制御を行う場合の適切なピーク面圧を求めるにあたり、特許文献2には実際に圧延対象材を用いて圧延荷重を変化させた調質圧延実験を行い、鋼帯の粗さ転写率(圧延後鋼帯の表面粗さ/ロール表面粗さ)を測定し、該転写率とピーク面圧の相関調査する方法が開示されている。

0011

しかしこの方法では、実操業の前に予め圧延実験を行う必要があり、時間的・金銭的コストがかかる。また、実操業と実験装置との間で各種条件に相違があると、十分に精度の高い相関式を求めることができないという問題もある。

0012

本発明は、予備の圧延実験を必要とせず計算のみで十分に高い精度のピーク面圧と転写率との相関性を求めることができ、これにより荷重一定制御条件下での調質圧延後の鋼帯の表面粗さを所定の範囲に調節することのできる調質圧延方法、調質圧延装置、及び鋼帯の製造方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0013

上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1]鋼帯に対して圧延荷重を一定に制御した条件でワークロールにより調質圧延を行う調質圧延方法であって、2次元の押し込みモデルにおけるワークロール表面の凸部の偏平形状を模擬したモデル粗さ曲線を用いて、有限要素法により転写率とピーク面圧との関係を算出し、該転写率とピーク面圧との関係に基づき、圧延中のピーク面圧を決定し、該ピーク面圧を用いて、圧延荷重の目標値を設定する調質圧延方法。
[2]前記モデル粗さ曲線としては、以下の式(1)を用いる[1]に記載の調質圧延方法。

r:凸部の円相当半径(μm)
x:圧延方向座標(μm)
y:圧下方向座標(μm)
N:凸部の偏平具合を調整するパラメータ(−)
[3] 鋼帯に対して圧延荷重を一定に制御した条件で調質圧延を行う調質圧延装置であって、鋼帯を圧延するワークロールを有する圧延スタンドと、圧延スタンドにおける圧延荷重を制御する荷重制御装置と、を備え、前記荷重制御装置では、2次元の押し込みモデルにおけるワークロール表面の凸部の偏平形状を模擬したモデル粗さ曲線を用いて、有限要素法により転写率とピーク面圧との関係を算出し、該転写率とピーク面圧との関係に基づいて圧延中のピーク面圧を決定し、該ピーク面圧を用いて圧延荷重の目標値が設定される調質圧延装置。
[4]前記モデル粗さ曲線としては、以下の式(1)を用いる[3]に記載の調質圧延装置。

r:凸部の円相当半径(μm)
x:圧延方向座標(μm)
y:圧下方向座標(μm)
N:凸部の偏平具合を調整するパラメータ(−)
[5]冷間圧延および焼鈍後、またはさらにめっき処理後の鋼帯に対して、[1]又は[2]に記載の調質圧延方法を用いて調質圧延を施す鋼帯の製造方法。

発明の効果

0014

本発明によると、実験によらず計算のみで、所望の表面粗さを鋼帯に付与するのに必要な圧延荷重の目標値を精度よく決定することができる。

図面の簡単な説明

0015

図1は、本発明に係る調質圧延装置の例を示す図である。
図2は、2次元の押し込みモデルの一例を示す模式図である。
図3は、実施例におけるピーク面圧と粗さ転写率との関係を示すグラフである。

0016

以下、本発明を実施するための形態について説明する。

0017

本実施の形態においては熱間圧延した素材を冷間圧延し、焼鈍後、鋼帯原板を調質圧延して所望の鋼帯を製造する。

0018

冷間圧延および焼鈍は常法に従って実施すればよく、条件などは特に限定されるものではない。また、調質圧延の対象となる鋼帯の材質には特に制限はなく、焼鈍後に必要に応じてめっき処理を施した鋼帯に対しても調質圧延を施すことができる。めっき処理の具体例としては、溶融めっき電気めっき、めっき後に合金化を行う処理等が挙げられる。

0019

調質圧延は、1以上の圧延スタンドからなる調質圧延装置によって行われる。具体例を図1に示す。圧延スタンド11は、1対のワークロール1とワークロールを支持する1対のバックアップロール2とを備える。鋼帯3はワークロール1によって圧延され、圧延の過程でワークロール1から鋼帯3の表面へ所定のダル性状が転写される。また、圧延中にかかる圧延荷重は、ロードセル4によって測定される。

0020

本発明では、調質圧延中の圧延荷重を一定に制御する、荷重一定制御を行う。具体的には、調質圧延中の鋼帯3の表面に係る圧力の平均値(平均面圧)、すなわち圧延荷重の目標値を予め設定し、荷重制御装置12によって実際の圧延荷重が当該目標値と一致するように、圧延条件を制御する。具体的には、ワークロール1のロールギャップや鋼帯3にかかる圧延張力等を制御して、圧延荷重を調節する。

0021

ワークロール1の表面粗さは、圧延後の鋼帯表面に所望のダル性状を付与できるように、適宜変更することができる。一例として、ダル加工により表面粗さが平均粗さ(表面平均粗さともいう。)Raで0.5〜10μmに調整されたワークロールを用いることができる。

0022

前記ワークロール表面への粗さの付与は、ワークロール表面にダル加工を施すことにより行うことができる。ここで、ダル加工の方法としては、ショットブラスト加工方式、放電ダル加工方式、レーザーダル加工方式、電子ビームダル加工方式等を用いる事が出来る。さらに摩耗対策として、ダル加工後のロールにクロムめっき加工をすることもある。

0023

上述した平均粗さRaは「JIS B 0601(2001)」に基づいて測定されるものであり、表面の粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さ(l)だけを抜き取り、この抜き取り部分の平均線の方向にx軸を、縦倍率の方向のy軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、以下の式(2)によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。

0024

なお、本発明における前記ワークロールの表面平均粗さRaの値としては、ワークロール表面の代表位置において測定した値としてもよく、また、ワークロール表面の複数位置において測定したRaの値を平均した値としてもよい。複数位置の平均値を用いる場合には、例えば、ワークロールの少なくとも鋼帯と接触する部分において、周方向に90°間隔で4点、幅方向に中央及び両端部で3点の計12点の平均値を用いるようにしてもよい。また、通常、評価長さ(粗さのパラメータを求めるために断面曲線から抜き取った部分の長さ)4mm、カットオフ(断面曲線から除去される所定の波長)0.8mmが用いられる。測定方向ロール軸方向(幅方向)とするとよい。

0025

また、鋼帯の表面平均粗さRaの値は、例えば幅方向中央のような代表位置において測定したRaとしてもよく、また、鋼帯表面の複数位置において測定した値の平均としてもよい。

0026

次に、本発明における圧延荷重の目標値の決定方法について説明する。

0027

本発明では、鋼板に所望の表面性状を付与するのに必要となる転写率を予め定め、当該転写率に対応するピーク面圧を決定する。転写率とピーク面圧との関係は、FEM(有限要素法)によって計算することができる。

0028

FEMによる計算を行うにあたっては、2次元の押し込みモデルにおけるモデル粗さ曲線を用いる。より詳しくは、圧延方向—圧下方向の平面(以下で後述する、x−y平面)における、調質圧延中のロール表面のダルを形成する凸部の形状、挙動を模擬した曲線を用いて計算を行う。モデル粗さ曲線を定立する際に、凸部の偏平形状を模擬することで計算の精度を高めることができる。

0029

2次元の押し込みモデルの具体例を、模式図である図2を用いて説明する。図2のように、変形体である鋼帯サンプル3aの表面を、曲線状の剛体面であるワークロール1の表面のダル形状を形成する凸部1aの1つが押圧するモデルが採用される。図中x軸は圧延方向(鋼帯の長手方向)、y軸は圧下方向(鋼帯の板厚方向)に対応し、図2はx−y平面図である。当該モデルでは、凸部はx軸方向の1/2の部分のみを想定する。鋼帯サンプル3aのx軸方向長さ(以下、「モデル長さ」と称することがある。)は凸部1aのx軸方向ピッチの1/2、鋼帯サンプル3aのy軸方向長さは板厚の1/2と模擬する。尚、図中一点鎖線対称面を表す。調質圧延ではヘルツ接触条件に近づくことから、x軸の自由端(図2の右側)は固定して変形しないものとし、図2のような2次元下でy軸方向のみに鋼帯サンプルが変形を受けるとする。

0030

本発明者らは、2次元の押し込みモデルを用いたFEM解析にあたり、その精度を高めるためには圧延時における凸部の形状を、より実態に近いように模擬したモデル粗さ曲線を定立することが重要であることを想到した。通常は、図2の凸部1aの表面形状(凸部の輪郭線)を定式化するにあたり、その形状が円弧に近いと仮定して、以下の式(3)をモデル粗さ曲線として定立することが考えられる。
x2+y2=r2 (3)
但し、x:圧延方向座標(μm)、y:圧下方向座標(μm)、r:凸部の円相当半径(凸部の輪郭線が円弧と仮定した場合の半径に相当するパラメータ、単位はμm)とする。尚、x軸とy軸との交点原点)は、図2中のx軸対称線5(x軸対称面)の真上にある。

0031

しかし、上記の式(3)のような2次元の式では圧延中における凸部の形状を精度よく模擬することができず、これにより実績のピーク面圧と転写率との関係を精度よく算出することができず、ひいては圧延荷重の目標値も精度よく求めることができない場合がある。

0032

本発明者らは、実際の圧延中における凸部の形状は円弧形状とは異なり、より偏平状の形状を呈することに注目した。そこで、圧延中における凸部の偏平形状を考慮した高次方程式を定立してFEM解析を行うこととした。

0033

具体的には、以下の式(4)から定立される式(1)を用いることができる。
xN+yN=rN (4)

但し、r:凸部の円相当半径(μm)、x:圧延方向座標(μm)、y:圧下方向座標(μm)、及びN:凸部の偏平具合を調整するパラメータ(−)とする。尚、上記と同様、x軸とy軸との交点(原点)は、図2中のx軸対称線5(x軸対称面)の真上にある。

0034

尚、転写率とピーク面圧との関係を求めるにあたっては、式(1)を平均値からの偏差に変換した上で式(2)に代入して、ロール表面模擬粗さプロフィールの平均粗さRaを求める。

0035

凸部の偏平具合を案してパラメータのNを適切に設定すれば、実績のピーク面圧と粗さ転写率との関係をより忠実に模擬することができる。N及びrの値は、実際のワークロール表面に形成されたダルの凸部の形状、ロール表面のRaの値、Rzの値、凸部のピッチ等を考慮し決定することができる。尚、rの値は、Nの値を決定した後に上述の通りRa、Rz、及び凸部のピッチ等を勘案することで一義的に決定することができる。

0036

上述の式(1)及び(4)におけるNの値は、3以上6以下であることが好ましく、4以上5以下であることがより好ましい。このような数値範囲内では、実際の粗さ転写率とピーク荷重との関係を精度よく推定することができる。Nの値が3(或いは4)より小さいと、計算上の転写率を過大に見積もることとなり、6(或いは5)より大きいと転写率を過少に見積もることとなる。

0037

本発明では、上述したFEM解析により算出した粗さ転写率とピーク面圧との関係を用いて、所望の転写率を得るのに必要なピーク面圧を決定する。さらに、当該ピーク面圧を付与するのに必要な圧延荷重の目標値を決定した後に、当該目標値を維持するように、荷重一定制御下で調質圧延を行う。具体的に図1の例では、荷重制御装置21によって、上述したFEM解析により算出した粗さ転写率とピーク面圧との関係を用いて、圧延荷重の目標値を算出することができる。

0038

ピーク面圧から圧延荷重の目標値を計算するにあたっては、従来公知の方法を用いることができる。一例として、以下の式(5)を用いることができる。

ただし、π:円周率(−)、R:ワークロール半径(mm)、νR:ワークロールのポアソン比(−)、ER:ワークロールのヤング率(GPa)、w:鋼帯の幅(mm)、pp:ピーク面圧(MPa)、P:圧延荷重(kN)とする。

0039

尚、粗さの転写率としては、例えば以下の式(6)で示されるように、圧延前の鋼帯表面の粗さを控除した、ロールから鋼帯への転写率を計算することができる。
粗さ転写率(%)=(圧延後の鋼帯の粗さ−圧延前の鋼帯の粗さ)/(ワークロールの粗さ−圧延前の鋼帯の粗さ)×100 (6)

0040

また、ピーク面圧とは、調質圧延中の鋼帯表面にかかる圧延荷重の分布面圧分布)のうち、最も大きい垂直接触圧力を意味する。

0041

以下、実施例に基づき、本発明について説明する。

0042

図1に示した調質圧延装置により調質圧延を行った。ワークロールは上下とも直径が600mm、胴長1400mm、バックアップロールは上下とも直径が2000mm、胴長1400mmのものを用いた。ワークロールの材質は5%クロム鍛鋼とした。ワークロール表面を放電ダル加工法により表面平均粗さRa=3.0μm、8.0μmに仕上げた。

0043

調質圧延を行う鋼帯として板厚0.6mm、板幅1200mmで、幅方向に測定した平均粗さが0.5μm、降伏応力160MPaの低炭素鋼を用いた。圧延速度(ワークロールの外周速度VRを200mpmで一定とした。前方、後方張力を98MPaとし、圧延荷重を変化させて出側での鋼板表面粗さを測定した。さらに式(5)により圧延荷重からピーク面圧を計算した。

0044

一方、2次元の押し込みモデルを用いてFEM解析を行った。Ra=3.0μmの条件については表1の通り、Ra=8.0μmの条件については表2の通り、式(1)におけるN、rを調整してロールの粗さ形状を模擬した。さらに、押し込み時材料表面の形状から、平均値からの偏差として式(2)に代入することで鋼帯表面の平均粗さを計算した。また、圧延におけるピーク面圧は該解析モデルの平均面圧であるので、押し付け荷重をモデル長さで除して求めた。尚、粗さ転写率を求める際には、上述の式(6)で定義される計算を行った(但し、圧延前の鋼帯の粗さをゼロとした)。

0045

0046

0047

図3に、実圧延における圧延荷重から計算されるピーク面圧と粗さ転写率との関係、及びFEM解析によるピーク面圧と粗さ転写率との関係を、重ねて示す。実圧延における結果は図3中でプロットしたものであり、FEM解析の結果は図中で直線とした。尚、図3横軸のピーク面圧は降伏応力で除した比率とし、単位は無次元である。

0048

図3より、凸部の偏平形状を考慮してNを2よりも大きい値、具体的には3〜6とすることで、実圧延の粗さ転写率をより精度よく推定できることが分かった。特に、N=4〜5における曲線を用いると、更に精度よく実圧延時の結果に近づけられた。

実施例

0049

上記の結果より、本発明では計算により粗さ転写率を推定し、荷重一定制御における圧延荷重の目標値を精度よく決定できることが明らかとなった。

0050

1ワークロール
1a 凸部
2バックアップロール
3鋼帯
3a 鋼帯サンプル
4ロードセル
5 x軸対称線
6 y軸対称線
11圧延スタンド
12荷重制御装置
21 調質圧延装置

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