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技術 クッションピン均圧化装置、クッションピン均圧化機能付きダイクッション装置及びクッションピン均圧化方法

出願人 アイダエンジニアリング株式会社
発明者 河野泰幸
出願日 2018年3月5日 (2年0ヶ月経過) 出願番号 2018-038745
公開日 2019年9月12日 (6ヶ月経過) 公開番号 2019-150854
状態 未査定
技術分野 型打ち,へら絞り,深絞り プレス機械及び付属装置
主要キーワード グレードダウン 圧力精度 補償定数 圧力エア源 起動摩擦 抑え力 各液圧シリンダ 弁制御器
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (15)

課題

複数のクッションピンの高さのバラツキを吸収し、かつダイクッション荷重を高精度に制御することができるクッションピン均圧化装置、クッションピン均圧化機能付きダイクッション装置及びクッションピン均圧化方法を提供する。

解決手段

複数のクッションピン126a〜126nの高さのバラツキを吸収する均圧化用液圧シリンダ群151の上昇側加圧室初期圧を、適正な圧力になるように制御する。これにより、スライド110がクッションパッド128に衝突後、スライド110の最短ストロークで複数のクッションピンの高さのバラツキを吸収し、各クッションピンに加わるダイクッション荷重を均圧化し、かつスライド110の最短ストロークで目標ダイクッション荷重を発生させ、ダイクッション荷重の作用応答を必要以上に遅滞化させること無く、安定化させることが可能になる。

概要

背景

従来、ダイクッション装置の複数のクッションピンの高さのバラツキを吸収し、複数のクッションピンに作用する皺抑え力を均一化する装置として、特許文献1〜3に記載のものがある。

特許文献1に記載のプレス機械は、ブランクホルダを支持する複数のクッションピンの下端を、それぞれ均圧化用油圧シリンダを介してダイクッションクッションパッドに連結し、初期圧調整手段により各油圧シリンダに供給される初期油圧を調整可能にしている。

特に初期圧調整手段は、全部のクッションピンがストローク端まで押し切られることなく、各油圧シリンダに共通に作用する油圧プレス荷重釣り合っているときに生ずるべき油圧の値(均圧値)になるように、各油圧シリンダの初期油圧を調整する。この初期油圧を調整することにより、初期油圧が高すぎることにより生じる、クッションピンの長さのバラツキによって短いクッションピンがブランクホルダに当接しない状態や、初期油圧が低すぎることにより生じる、複数のクッションピンの一部(長いクッションピン)が油圧シリンダのストローク端まで押し切られた胴突き状態になることを防止している。

特許文献2に記載のプレス機械の均圧クッション装置調整装置は、特許文献1と同様に均圧化用の油圧シリンダの初期油圧を調整するが、特にプレス加工時における油圧シリンダのピストン追込み寸法(全てのクッションピンをブランクホルダに当接させるための油圧シリンダのピストン下降量の平均値)が、プレス金型に応じて予め定められた設定寸法となるように調整し、これにより適正なプレス品質が得られるようにしている。

特許文献3に記載のプレス機械のダイクッション装置は、複数のクッションピンの下端をそれぞれ支持する均圧化用の油圧シリンダの油圧室に連通させられている配管に、開き量流通断面積)を連続的に変化させることが可能な流量調整弁を配設し、クッションピン、油圧シリンダ及びクッションパッドが一体的に下降させられるプレス加工時に、コントローラによって流量調整弁を開き制御して作動油を流出させ、これにより油圧シリンダ内の油圧を一時的に低下させて皺押え荷重ダイクッション荷重)を制御している。

概要

複数のクッションピンの高さのバラツキを吸収し、かつダイクッション荷重を高精度に制御することができるクッションピン均圧化装置、クッションピン均圧化機能付きダイクッション装置及びクッションピン均圧化方法を提供する。複数のクッションピン126a〜126nの高さのバラツキを吸収する均圧化用の液圧シリンダ群151の上昇側加圧室の初期圧を、適正な圧力になるように制御する。これにより、スライド110がクッションパッド128に衝突後、スライド110の最短ストロークで複数のクッションピンの高さのバラツキを吸収し、各クッションピンに加わるダイクッション荷重を均圧化し、かつスライド110の最短ストロークで目標ダイクッション荷重を発生させ、ダイクッション荷重の作用応答を必要以上に遅滞化させること無く、安定化させることが可能になる。

目的

本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、複数のクッションピンの高さのバラツキを吸収し、クッションピン毎の皺押え荷重(ダイクッション荷重)の均圧化を図るとともに、ダイクッション荷重を高精度に制御することができるクッションピン均圧化装置、クッションピン均圧化機能付きダイクッション装置及びクッションピン均圧化方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

プレス機械ボルスタ挿通される複数のクッションピンと、ブランクホルダを前記複数のクッションピンを介して支持するクッションパッドと、前記クッションパッドを支持し、該クッションパッドにダイクッション荷重を発生させるダイクッション荷重発生器と、前記ダイクッション荷重発生器から発生するダイクッション荷重が、設定された目標ダイクッション荷重になるように前記ダイクッション荷重発生器を制御するダイクッション制御器と、を備えたダイクッション装置に適用されるクッションピン均圧化装置であって、前記クッションパッド上に設けられた液圧シリンダ群であって、前記ボルスタに挿通される前記クッションピンの下端が前記液圧シリンダ群のピストンロッドに当接し、かつ前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室がそれぞれ連通された液圧シリンダ群と、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室に作動液を供給し、又は前記上昇側加圧室から作動液を排出させる液圧装置と、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の圧力を検出する圧力検出器と、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の初期圧を設定する初期圧設定器と、前記初期圧設定器により設定された初期圧と前記圧力検出器により検出された圧力とに基づいて前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の圧力が、前記ダイクッション装置によるダイクッション荷重作用開始前に前記初期圧になるように前記液圧装置を制御する制御器と、を備え、前記初期圧設定器は、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室及び管路総容積、前記複数のクッションピンの高さのバラツキが吸収される場合の前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の最小の容積変化量、及び前記作動液の体積弾性係数に基づいて、前記総容積の前記初期圧の作動液が前記容積変化量だけ圧縮された場合に上昇する当該作動液の圧力が、前記設定された目標ダイクッション荷重のうちの最低ダイクッション荷重に対応する圧力になるように前記初期圧を設定するクッションピン均圧化装置。

請求項2

前記制御器は、前記プレス機械の1サイクル運転中の加工工程及びノックアウト工程を除く前記クッションパッドの待機中に、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の圧力が、前記初期圧になるように前記液圧装置を制御する請求項1に記載のクッションピン均圧化装置。

請求項3

プレス機械のボルスタに挿通される複数のクッションピンと、ブランクホルダを前記複数のクッションピンを介して支持するクッションパッドと、前記クッションパッドを支持し、該クッションパッドにダイクッション荷重を発生させる液圧シリンダと、前記液圧シリンダの上昇側加圧室に作動液を供給し、又は前記上昇側加圧室から作動液を排出させる第1の液圧装置と、前記液圧シリンダの上昇側加圧室の圧力を検出する第1の圧力検出器と、前記第1の圧力検出器により検出された圧力に基づいて前記液圧シリンダから発生するダイクッション荷重が、設定された目標ダイクッション荷重になるように前記第1の液圧装置を制御する第1の制御器と、前記クッションパッド上に設けられた液圧シリンダ群であって、前記ボルスタに挿通される前記クッションピンの下端が前記液圧シリンダ群のピストンロッドに当接し、かつ前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室がそれぞれ連通された液圧シリンダ群と、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室に作動液を供給し、又は前記上昇側加圧室から作動液を排出させる第2の液圧装置と、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の圧力を検出する第2の圧力検出器と、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の初期圧を設定する初期圧設定器と、前記初期圧設定器により設定された初期圧と前記第2の圧力検出器により検出された圧力とに基づいて前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の圧力が、ダイクッション荷重作用開始前に前記初期圧になるように前記第2の液圧装置を制御する第2の制御器と、を備え、前記第1の液圧装置は、前記第2の液圧装置として兼用され、前記初期圧設定器は、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室及び管路の総容積、前記複数のクッションピンの高さのバラツキが吸収される場合の前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の最小の容積変化量、及び前記作動液の体積弾性係数に基づいて、前記総容積の前記初期圧の作動液が前記容積変化量だけ圧縮された場合に上昇する当該作動液の圧力が、前記設定された目標ダイクッション荷重のうちの最低ダイクッション荷重に対応する圧力になるように前記初期圧を設定するクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置。

請求項4

前記第1の液圧装置及び前記第2の液圧装置は、前記液圧シリンダの上昇側加圧室及び前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室に配管を介して吐出口が接続された第1の液圧ポンプモータと、前記第1の液圧ポンプ/モータの回転軸に接続された第1のサーボモータとが共通化されている請求項3に記載のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置。

請求項5

前記第1の制御器により前記第1の液圧装置を制御する場合に、前記第1の液圧ポンプ/モータの吐出口と前記液圧シリンダの上昇側加圧室とを連通するとともに、前記第1の液圧ポンプ/モータの吐出口と前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室とを遮断し、前記第2の制御器により前記第2の液圧装置を制御する場合に、前記第1の液圧ポンプ/モータの吐出口と前記液圧シリンダの上昇側加圧室とを遮断するとともに、前記第1の液圧ポンプ/モータの吐出口と前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室とを連通する弁装置を備えた請求項4に記載のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置。

請求項6

前記第2の制御器は、前記プレス機械の1サイクルの運転中の加工工程及びノックアウト工程を除く前記クッションパッドの待機中に、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の圧力が、前記初期圧になるように前記第1のサーボモータを制御する請求項5に記載のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置。

請求項7

前記第1の液圧装置は、前記液圧シリンダの上昇側加圧室に配管を介して吐出口が接続された第2の液圧ポンプ/モータと、前記第2の液圧ポンプ/モータの回転軸に接続された第2のサーボモータとを備え、前記第1の制御器は、前記第2の制御器により前記第1のサーボモータが制御される期間は、前記第2のサーボモータのみを制御して前記クッションパッドの待機中の位置を制御し、前記プレス機械の1サイクルの運転中の少なくとも加工工程の期間は、前記第1のサーボモータ及び前記第2のサーボモータをそれぞれ制御する請求項6に記載のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置。

請求項8

前記液圧シリンダは、前記クッションパッドに対して複数設けられ、前記液圧シリンダ群は、複数の前記液圧シリンダにそれぞれ対応する複数の液圧シリンダ群毎に上昇側加圧室が連通され、前記第1の圧力検出器は、複数の前記液圧シリンダの上昇側加圧室の圧力をそれぞれ検出し、前記第2の圧力検出器は、複数の前記液圧シリンダ群毎の上昇側加圧室の圧力をそれぞれ検出し、前記初期圧設定器は、複数の前記液圧シリンダ群毎に各液圧シリンダ群の上昇側加圧室の初期圧の設定が可能であり、前記第1の液圧ポンプ/モータ及び前記第1のサーボモータは、それぞれ複数の前記液圧シリンダ毎に設けられ、前記第1の制御器は、前記プレス機械の1サイクルの運転中の少なくとも加工工程中に、前記第1の圧力検出器によりそれぞれ検出された圧力に基づいて複数の前記液圧シリンダから発生するダイクッション荷重が、それぞれ設定された目標ダイクッション荷重になるように複数の前記第1のサーボモータを制御し、前記第2の制御器は、前記プレス機械の1サイクルの運転中の加工工程及びノックアウト工程を除く前記クッションパッドの待機中に、前記第2の圧力検出器によりそれぞれ検出される圧力に基づいて、複数の前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の圧力が、前記液圧シリンダ群毎に設定可能な前記初期圧になるように複数の前記第1のサーボモータをそれぞれ制御する請求項6又は7に記載のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置。

請求項9

プレス機械のボルスタに挿通される複数のクッションピンと、ブランクホルダを前記複数のクッションピンを介して支持するクッションパッドと、前記クッションパッドを支持し、該クッションパッドにダイクッション荷重を発生させるダイクッション荷重発生器と、前記ダイクッション荷重発生器から発生するダイクッション荷重が、設定された目標ダイクッション荷重になるように前記ダイクッション荷重発生器を制御するダイクッション制御器と、を備えたダイクッション装置に適用されるクッションピン均圧化方法であって、前記クッションパッド上に設けられた液圧シリンダ群であって、前記ボルスタに挿通される前記クッションピンの下端が前記液圧シリンダ群のピストンロッドに当接し、かつ前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室がそれぞれ連通された液圧シリンダ群を準備するステップと、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の初期圧を設定するステップと、前記プレス機械の1サイクルの運転中の前記クッションパッドの待機中に、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の圧力が、前記設定された初期圧になるように前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室に封入する作動液の圧力を制御するステップと、を含み、前記初期圧を設定するステップは、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室及び管路の総容積、前記複数のクッションピンの高さのバラツキが吸収される場合の前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の最小の容積変化量、及び前記作動液の体積弾性係数に基づいて、前記総容積の前記初期圧の作動液が前記容積変化量だけ圧縮された場合に上昇する当該作動液の圧力が、前記設定された目標ダイクッション荷重のうちの最低ダイクッション荷重に対応する圧力になるように前記初期圧を設定するクッションピン均圧化方法。

請求項10

前記ダイクッション荷重発生器は、前記クッションパッドにダイクッション荷重を発生させる液圧シリンダと、前記液圧シリンダの上昇側加圧室に作動液を供給し、又は前記上昇側加圧室から作動液を排出させる液圧装置を備え、前記初期圧を設定するステップは、前記クッションパッドの待機中に前記液圧装置を使用し、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の圧力が、前記初期圧になるように制御する請求項9に記載のクッションピン均圧化方法。

技術分野

0001

本発明はクッションピン均圧化装置、クッションピン均圧化機能付きダイクッション装置及びクッションピン均圧化方法に係り、特にダイクッション装置の複数のクッションピンの高さのバラツキを吸収し、クッションピン毎に良好な(均一な)皺抑え(分)力を作用させ、絞り成形精度を向上させる技術に関する。

背景技術

0002

従来、ダイクッション装置の複数のクッションピンの高さのバラツキを吸収し、複数のクッションピンに作用する皺抑え力を均一化する装置として、特許文献1〜3に記載のものがある。

0003

特許文献1に記載のプレス機械は、ブランクホルダを支持する複数のクッションピンの下端を、それぞれ均圧化用油圧シリンダを介してダイクッションクッションパッドに連結し、初期圧調整手段により各油圧シリンダに供給される初期油圧を調整可能にしている。

0004

特に初期圧調整手段は、全部のクッションピンがストローク端まで押し切られることなく、各油圧シリンダに共通に作用する油圧プレス荷重釣り合っているときに生ずるべき油圧の値(均圧値)になるように、各油圧シリンダの初期油圧を調整する。この初期油圧を調整することにより、初期油圧が高すぎることにより生じる、クッションピンの長さのバラツキによって短いクッションピンがブランクホルダに当接しない状態や、初期油圧が低すぎることにより生じる、複数のクッションピンの一部(長いクッションピン)が油圧シリンダのストローク端まで押し切られた胴突き状態になることを防止している。

0005

特許文献2に記載のプレス機械の均圧クッション装置調整装置は、特許文献1と同様に均圧化用の油圧シリンダの初期油圧を調整するが、特にプレス加工時における油圧シリンダのピストン追込み寸法(全てのクッションピンをブランクホルダに当接させるための油圧シリンダのピストン下降量の平均値)が、プレス金型に応じて予め定められた設定寸法となるように調整し、これにより適正なプレス品質が得られるようにしている。

0006

特許文献3に記載のプレス機械のダイクッション装置は、複数のクッションピンの下端をそれぞれ支持する均圧化用の油圧シリンダの油圧室に連通させられている配管に、開き量流通断面積)を連続的に変化させることが可能な流量調整弁を配設し、クッションピン、油圧シリンダ及びクッションパッドが一体的に下降させられるプレス加工時に、コントローラによって流量調整弁を開き制御して作動油を流出させ、これにより油圧シリンダ内の油圧を一時的に低下させて皺押え荷重ダイクッション荷重)を制御している。

先行技術

0007

特開平5−69050号公報
特開平8−1247号公報
特開平6−190464号公報

発明が解決しようとする課題

0008

複数のクッションピンの高さのバラツキを吸収し、複数のクッションピンに作用する皺抑え力を均一化する、特許文献1〜3に記載の装置に代表されるクッションピン均圧化機能は、絞り成形精度を向上させる一機能として従来から定評がある。

0009

しかし、従来のクッションピン均圧化装置には様々な課題がある。均圧化用の油圧シリンダの(ピストンシール等の)保守が大変(a)であったり、クッションピン均圧化機能だけでは絞り成形機能上不十分(b)であったり、課題は多い。

0010

以下、上記の課題a及び課題bについて詳述する。

0011

<課題a.均圧化用の油圧シリンダの(ピストンシール等の)保守が大変である点>
特許文献1〜3では、エア式エアシリンダによりダイクッション荷重を作用させる)ダイクッション装置を使用した実施例が説明されている。エア式ダイクッション装置は、ダイクッション荷重作用開始時に、ダイクッション荷重にサージ(衝撃)が生じ易い。

0012

この理由は、エア式ダイクッション装置は、クッションパッド加速反力が大きくなる為である。これは衝撃力に相当する。エア式ダイクッションのエアシリンダ推力は、ダイクッション荷重作用開始前に、プレス機械フレームの一端に対して(上方向に)作用している。ダイクッション荷重作用開始時は、プレススライド上型−材料−ブランクホルダ−クッションピン等のダイクッション加圧部材を介してクッションパッドに接触すると、先ず負荷収縮していたフレームの一端が除荷され始めると同時に、ダイクッション加圧部材が加圧・収縮され始め、次に加圧部材にダイクッション荷重が負荷された時点、つまりフレームの一端およびダイクッション加圧部材の除荷、収縮が完了した瞬間に、クッションパッドは急激に下方向に加速される。この時の加速度が大きい為、クッションパッドに連動する全質量(連動質量)を加速する加速反力(衝撃力)が大きくなる。しかも、クッションパッド昇降機構粘性抵抗係数)は非常に小さい為、衝撃に伴い発生した振動減衰し難い。

0013

したがって、エア式ダイクッション装置に適用される特許文献1〜3に記載のクッションピン均圧化装置は、ダイクッション荷重作用開始時の衝撃的に作用するダイクッション荷重が、均圧化用の油圧シリンダに直接作用する為、油圧シリンダ内にも、それに比例したサージ圧が生じる。サージ圧の(サイクル毎の)繰り返し作用は、均圧化用の油圧シリンダのピストンシール等に悪影響を及ぼし、劣化を早める。

0014

さらに、均圧化用の油圧シリンダに初期油圧を毎サイクル発生させる油圧装置発熱油温)の問題も無視できない。

0015

特許文献1及び特許文献2に概略して示されているように、油圧ポンプを回転させて吐出した圧油量の一部を、開閉弁を開/閉させてタンク側に開放リリーフ)することによって初期油圧を制御したり、あるいは開閉弁の代わりにリリーフ弁を機能させて初期油圧を発生させたりする一般的な構成の油圧装置を使用した(弁制御による初期圧発生手段を用いた)場合は、油温が40℃を定常的に超える場合が殆どであり、50℃を超える場合も珍しく無い。標準的なニトリルゴム製のピストンシールの寿命は油温と相関があり、このような定常的に高油温下で使用すると、著しく劣化を早める。

0016

<課題b.クッションピン均圧化機能だけでは絞り成形機能上不十分である点>
特許文献3には、クッションピン均圧化機能だけではなく、皺押え荷重(ダイクッション荷重)を制御する技術が記載されている。

0017

特許文献3には、「プレスストロークすなわちプレス加工の進行に応じて皺押え荷重を極め細かく制御できるようにすれば、例えば、皺押え荷重をプレス途中で低減してワークの破断を防止したり、そのワーク破断防止により素材グレードダウンを図ったりすることができるなど、種々の利点が得られる。かかる皺押え荷重制御機能(機能A)と皺押え荷重の均圧化(機能B)と相俟って一層良好なプレス加工を行い得るようになる」と、目的が記載されており、それら(機能Aと機能B)を安価に実現する手段が記載されている。

0018

その手段は、(流出制御手段で制御される)流量調整弁から、(皺押え荷重を均等に作用させる)均圧化用の油圧シリンダ内の作動油を流出させることにより、プレス加工の過程で皺押え荷重を変更させるとされているが、これは正しく無い(物理的に誤りである)。

0019

均圧化用の油圧シリンダ内の作動油を如何に流出させても、皺抑え荷重を変更する事は出来ない。皺抑え荷重(=ダイクッション荷重)を決定(付与)しているのは、皺抑え荷重付与手段であり、皺抑え荷重は、クッションパッド、均圧化用の油圧シリンダ、クッションピン、ブランクホルダ、材料、及び上型等のダイクッション加圧部材を直列に介して、プレス・スライドに伝わる。

0020

均圧化用の油圧シリンダは、皺抑え荷重が作用する“1つの通り道”に(直列に)配列された一要素であり、物理的(必然的)に、皺抑え荷重付与手段で発生させた皺抑え荷重を負担する。仮に、特許文献3に記載されているように、皺抑え荷重作用中に流量調整弁を(多かれ少なかれ)開くとどうなるか、その瞬間、均圧化用の油圧シリンダのピストンロッドが、流量調整弁から流出する作動油の容積に相当する量だけ急降下し、それに伴いクッションピン、ブランクホルダが降下する。降下中は皺抑え荷重が疎(0)になり、降下後は元の皺抑え荷重に戻る。つまり、一瞬皺抑え荷重が消滅した中で絞り成形が進行する、絞り皺の発生を煽り成形上きわめて相応しく無い状況が生じるだけである。

0021

つまり、特許文献3は、均圧化用の油圧シリンダ(及びその油圧駆動装置)を、皺抑え荷重制御装置としても兼用しようとしたものであって、物理的に矛盾を生じた(機能的に失敗した)ものである。

0022

したがって、特許文献3に記載のプレス機械のダイクッション装置は、皺押え荷重の均圧化(機能B)を備えているが、皺押え荷重制御機能(機能A)は失われている。

0023

本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、複数のクッションピンの高さのバラツキを吸収し、クッションピン毎の皺押え荷重(ダイクッション荷重)の均圧化を図るとともに、ダイクッション荷重を高精度に制御することができるクッションピン均圧化装置、クッションピン均圧化機能付きダイクッション装置及びクッションピン均圧化方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0024

上記目的を達成するために一の態様に係る発明は、プレス機械のボルスタ挿通される複数のクッションピンと、ブランクホルダを前記複数のクッションピンを介して支持するクッションパッドと、前記クッションパッドを支持し、該クッションパッドにダイクッション荷重を発生させるダイクッション荷重発生器と、前記ダイクッション荷重発生器から発生するダイクッション荷重が、設定された目標ダイクッション荷重になるように前記ダイクッション荷重発生器を制御するダイクッション制御器と、を備えたダイクッション装置に適用されるクッションピン均圧化装置であって、前記クッションパッド上に設けられた液圧シリンダ群であって、前記ボルスタに挿通される前記クッションピンの下端が前記液圧シリンダ群のピストンロッドに当接し、かつ前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室がそれぞれ連通された液圧シリンダ群と、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室に作動液を供給し、又は前記上昇側加圧室から作動液を排出させる液圧装置と、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の圧力を検出する圧力検出器と、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の初期圧を設定する初期圧設定器と、前記初期圧設定器により設定された初期圧と前記圧力検出器により検出された圧力とに基づいて前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の圧力が、前記ダイクッション装置によるダイクッション荷重作用開始前に前記初期圧になるように前記液圧装置を制御する制御器と、を備え、前記初期圧設定器は、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室及び管路総容積、前記複数のクッションピンの高さのバラツキが吸収される場合の前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の最小の容積変化量、及び前記作動液の体積弾性係数に基づいて、前記総容積の前記初期圧の作動液が前記容積変化量だけ圧縮された場合に上昇する当該作動液の圧力が、前記設定された目標ダイクッション荷重のうちの最低ダイクッション荷重に対応する圧力になるように前記初期圧を設定する。

0025

本発明の一の態様によれば、複数のクッションピンの高さのバラツキを吸収する均圧化用の液圧シリンダ群の上昇側加圧室の初期圧を、適正な圧力(液圧シリンダ群の上昇側加圧室及び管路の総容積、複数のクッションピンの高さのバラツキが吸収される場合の液圧シリンダ群の上昇側加圧室の最小の容積変化量、及び作動液の体積弾性係数に基づいて、総容積の初期圧の作動液が容積変化量だけ圧縮された場合に上昇する当該作動液の圧力が、設定された目標ダイクッション荷重のうちの最低ダイクッション荷重に対応する圧力になる場合の初期圧)に設定する。

0026

これにより、スライドがクッションパッドに衝突後、スライドの最短ストローク(最短時間)で複数のクッションピンの高さのバラツキを吸収し、各クッションピンに加わる皺抑え力(ダイクッション荷重)を均圧化することができる。また、スライドの最短ストローク(最短時間)で目標ダイクッション荷重を発生させることができ、これにより、ダイクッション制御器が、設定された目標ダイクッション荷重になるようにダイクッション荷重発生器を制御する際に、ダイクッション荷重(皺抑え荷重)の作用応答を必要以上に遅滞化させること無く、安定化させることが可能になる。

0027

本発明の他の態様に係るクッションピン均圧化装置において、前記制御器は、前記プレス機械の1サイクルの運転中の加工工程及びノックアウト工程を除く前記クッションパッドの待機中に、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の圧力が、前記初期圧になるように前記液圧装置を制御することが好ましい。前記クッションパッドの待機中は、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室に封入される作動液の圧力変動がなく、初期圧の設定に適しているからである。

0028

本発明の更に他の態様に係るクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置は、プレス機械のボルスタに挿通される複数のクッションピンと、ブランクホルダを前記複数のクッションピンを介して支持するクッションパッドと、前記クッションパッドを支持し、該クッションパッドにダイクッション荷重を発生させる液圧シリンダと、前記液圧シリンダの上昇側加圧室に作動液を供給し、又は前記上昇側加圧室から作動液を排出させる第1の液圧装置と、前記液圧シリンダの上昇側加圧室の圧力を検出する第1の圧力検出器と、前記第1の圧力検出器により検出された圧力に基づいて前記液圧シリンダから発生するダイクッション荷重が、設定された目標ダイクッション荷重になるように前記第1の液圧装置を制御する第1の制御器と、前記クッションパッド上に設けられた液圧シリンダ群であって、前記ボルスタに挿通される前記クッションピンの下端が前記液圧シリンダ群のピストンロッドに当接し、かつ前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室がそれぞれ連通された液圧シリンダ群と、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室に作動液を供給し、又は前記上昇側加圧室から作動液を排出させる第2の液圧装置と、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の圧力を検出する第2の圧力検出器と、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の初期圧を設定する初期圧設定器と、前記初期圧設定器により設定された初期圧と前記第2の圧力検出器により検出された圧力とに基づいて前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の圧力が、ダイクッション荷重作用開始前に前記初期圧になるように前記第2の液圧装置を制御する第2の制御器と、を備え、前記第1の液圧装置は、前記第2の液圧装置として兼用され、前記初期圧設定器は、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室及び管路の総容積、前記複数のクッションピンの高さのバラツキが吸収される場合の前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の最小の容積変化量、及び前記作動液の体積弾性係数に基づいて、前記総容積の前記初期圧の作動液が前記容積変化量だけ圧縮された場合に上昇する当該作動液の圧力が、前記設定された目標ダイクッション荷重のうちの最低ダイクッション荷重に対応する圧力になるように前記初期圧を設定する。

0029

本発明の更に他の態様によれば、均圧化用の液圧シリンダ群の上昇側加圧室の初期圧を適正な圧力に設定することにより、スライドがクッションパッドに衝突後、スライドの最短ストローク(最短時間)で複数のクッションピンの高さのバラツキを吸収し、各クッションピンに加わる皺抑え力(ダイクッション荷重)を均圧化することができる。また、スライドの最短ストローク(最短時間)で目標ダイクッション荷重を発生させることができ、ダイクッション制御器が、設定された目標ダイクッション荷重になるようにダイクッション荷重発生器を制御する際に、ダイクッション荷重(皺抑え荷重)作用応答を必要以上に遅滞化させること無く、安定化させることが可能になる。更に、前記第1の液圧装置は、前記第2の液圧装置の全部又は一部と兼用されるため、独立した均圧化用の液圧装置が不要となり、システム全体を安価にすることができる。

0030

本発明の更に他の態様に係るクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置において、前記第1の液圧装置及び前記第2の液圧装置は、前記液圧シリンダの上昇側加圧室及び前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室に配管を介して吐出口が接続された第1の液圧ポンプモータと、前記第1の液圧ポンプ/モータの回転軸に接続された第1のサーボモータとが共通化されていることが好ましい。

0031

本発明の更に他の態様に係るクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置において、前記第1の制御器により前記第1の液圧装置を制御する場合に、前記第1の液圧ポンプ/モータの吐出口と前記液圧シリンダの上昇側加圧室とを連通するとともに、前記第1の液圧ポンプ/モータの吐出口と前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室とを遮断し、前記第2の制御器により前記第2の液圧装置を制御する場合に、前記第1の液圧ポンプ/モータの吐出口と前記液圧シリンダの上昇側加圧室とを遮断するとともに、前記第1の液圧ポンプ/モータの吐出口と前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室とを連通する弁装置を備えることが好ましい。

0032

第1の液圧ポンプ/モータ及び第1のサーボモータを、ダイクッション用の第1の液圧装置、又は均圧化用の第2の液圧装置として使用できるように弁装置により切り換え、これにより第1の液圧ポンプ/モータ及び第1のサーボモータの共通化を可能にしている。

0033

本発明の更に他の態様に係るクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置において、前記第2の制御器は、前記プレス機械の1サイクルの運転中の加工工程及びノックアウト工程を除く前記クッションパッドの待機中に、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の圧力が、前記初期圧になるように前記第1のサーボモータを制御することが好ましい。

0034

本発明の更に他の態様に係るクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置において、前記第1の液圧装置は、前記液圧シリンダの上昇側加圧室に配管を介して吐出口が接続された第2の液圧ポンプ/モータと、前記第2の液圧ポンプ/モータの回転軸に接続された第2のサーボモータとを備え、前記第1の制御器は、前記第2の制御器により前記第1のサーボモータが制御される期間は、前記第2のサーボモータのみを制御して前記クッションパッドの待機中の位置を制御し、前記プレス機械の1サイクルの運転中の少なくとも加工工程の期間は、前記第1のサーボモータ及び前記第2のサーボモータをそれぞれ制御することが好ましい。

0035

プレス機械の1サイクルの運転中の加工工程の期間は、初期圧作用に比べてダイクッション荷重作用に対応する大きな仕事率を発生させる必要があるため、第1のサーボモータの他に第2のサーボモータも使用する。

0036

そして、第2の液圧ポンプ/モータ及び第2のサーボモータを更に備えることで、第1のサーボモータを駆動して液圧シリンダ群の上昇側加圧室の初期圧を制御する期間中も、初期圧の制御に使用しない第2のサーボモータを駆動して液圧シリンダの位置(クッションパッドの待機中の位置)を制御し続けることができ、一方、プレス機械の1サイクルの運転中の加工工程の期間は、第1のサーボモータ及び第2のサーボモータを駆動してダイクッション荷重作用に伴う大きな仕事率を発生可能にしている。

0037

本発明の更に他の態様に係るクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置において、前記液圧シリンダは、前記クッションパッドに対して複数設けられ、前記液圧シリンダ群は、複数の前記液圧シリンダにそれぞれ対応する複数の液圧シリンダ群毎に上昇側加圧室が連通され、前記第1の圧力検出器は、複数の前記液圧シリンダの上昇側加圧室の圧力をそれぞれ検出し、前記第2の圧力検出器は、複数の前記液圧シリンダ群毎の上昇側加圧室の圧力をそれぞれ検出し、前記初期圧設定器は、複数の前記液圧シリンダ群毎に各液圧シリンダ群の上昇側加圧室の初期圧の設定が可能であり、前記第1の液圧ポンプ/モータ及び前記第1のサーボモータは、それぞれ複数の前記液圧シリンダ毎に設けられ、前記第1の制御器は、前記プレス機械の1サイクルの運転中の少なくとも加工工程中に、前記第1の圧力検出器によりそれぞれ検出された圧力に基づいて複数の前記液圧シリンダから発生するダイクッション荷重が、それぞれ設定された目標ダイクッション荷重になるように複数の前記第1のサーボモータを制御し、前記第2の制御器は、前記プレス機械の1サイクルの運転中の加工工程及びノックアウト工程を除く前記クッションパッドの待機中に、前記第2の圧力検出器によりそれぞれ検出される圧力に基づいて、複数の前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の圧力が、前記液圧シリンダ群毎に設定可能な前記初期圧になるように複数の前記第1のサーボモータをそれぞれ制御することが好ましい。

0038

本発明の更に他の態様によれば、複数の液圧シリンダ毎にそれぞれ設定可能な目標ダイクッション荷重になるようにダイクッション荷重を個別に制御することができ、また、複数の液圧シリンダにそれぞれ対応する複数の液圧シリンダ群毎に、各液圧シリンダ群の上昇側加圧室の初期圧をそれぞれ設定することができ、これにより異形状の製品に対して、金型の部位毎に必要なダイクッション荷重を作用させることができ、成形品質を向上させることができる。

0039

更に他の態様に係る発明は、プレス機械のボルスタに挿通される複数のクッションピンと、ブランクホルダを前記複数のクッションピンを介して支持するクッションパッドと、前記クッションパッドを支持し、該クッションパッドにダイクッション荷重を発生させるダイクッション荷重発生器と、前記ダイクッション荷重発生器から発生するダイクッション荷重が、設定された目標ダイクッション荷重になるように前記ダイクッション荷重発生器を制御するダイクッション制御器と、を備えたダイクッション装置に適用されるクッションピン均圧化方法であって、前記クッションパッド上に設けられた液圧シリンダ群であって、前記ボルスタに挿通される前記クッションピンの下端が前記液圧シリンダ群のピストンロッドに当接し、かつ前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室がそれぞれ連通された液圧シリンダ群を準備するステップと、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の初期圧を設定するステップと、前記プレス機械の1サイクルの運転中の前記クッションパッドの待機中に、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の圧力が前記設定された初期圧になるように前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室に封入する作動液の圧力を制御するステップと、を含み、前記初期圧を設定するステップは、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室及び管路の総容積、前記複数のクッションピンの高さのバラツキが吸収される場合の前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の最小の容積変化量、及び前記作動液の体積弾性係数に基づいて、前記総容積の前記初期圧の作動液が前記容積変化量だけ圧縮された場合に上昇する当該作動液の圧力が、前記設定された目標ダイクッション荷重のうちの最低ダイクッション荷重に対応する圧力になるように前記初期圧を設定する。

0040

本発明の更に他の態様に係るクッションピン均圧化方法において、前記ダイクッション荷重発生器は、前記クッションパッドにダイクッション荷重を発生させる液圧シリンダと、前記液圧シリンダの上昇側加圧室に作動液を供給し、又は前記上昇側加圧室から作動液を排出させる液圧装置を備え、前記初期圧を設定するステップは、前記クッションパッドの待機中に前記液圧装置を使用し、前記液圧シリンダ群の上昇側加圧室の圧力が前記初期圧になるように制御することが好ましい。

発明の効果

0041

本発明によれば、複数のクッションピンの高さのバラツキを吸収する均圧化用の液圧シリンダ群の上昇側加圧室の初期圧を適正な圧力に設定することで、スライドがクッションパッドに衝突後、スライドの最短ストローク(最短時間)で複数のクッションピンの高さのバラツキを吸収し、各クッションピンに加わる皺抑え力(ダイクッション荷重)を均圧化することができ、これにより、目標ダイクッション荷重になるようにダイクッション荷重発生器を制御する際に、ダイクッション荷重(皺抑え荷重)の作用応答を必要以上に遅滞化させること無く、安定化させることができる。

図面の簡単な説明

0042

図1は、本発明に係る第1の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置を備えたプレスシステムを示す主要構成図である。
図2は、複数のクッションピン126a,126b、…、126nの高さ(長さ)のバラツキ等を示す図である。
図3は、主として図1に示した第1の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置に適用される制御装置の第1の実施形態を示すブロック図である。
図4は、図1に示した第1の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置における主要な物理量の(連続運転中の)1サイクルの波形図である。
図5は、図3に示した初期圧制御器188の詳細を示すブロック図である。
図6は、図5に示した初期圧制御器188のブロック図に基づき初期圧(PkL0)を制御した場合の初期圧(PkL0)の時間応答波形等を示す波形図である。
図7は、図1に示した第1の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置における主要な物理量の(連続運転中の)1サイクルの他の波形図である。
図8は、本発明に係る第2の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置を備えたプレスシステムを示す主要構成図である。
図9は、主として図8に示した第2の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置に適用される制御装置の第2の実施形態を示すブロック図である。
図10は、本発明に係る第3の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置を備えたプレスシステムを示す主要構成図である。
図11は、主として図10に示した第3の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置に適用される制御装置の第3の実施形態を示すブロック図である。
図12は、本発明に係る第4の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置を備えたプレスシステムを示す主要構成図である。
図13は、ダイクッション荷重の成分を示すブロック図である。
図14は、エア式ダイクッション装置及びサーボダイクッション装置における主要な物理量の(連続運転中の)1サイクルの波形図である。

実施例

0043

以下添付図面に従って本発明に係るクッションピン均圧化装置、クッションピン均圧化機能付きダイクッション装置及びクッションピン均圧化方法の好ましい実施形態について詳説する。

0044

〔プレスシステム〕
図1は、本発明に係る第1の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置を備えたプレスシステムを示す主要構成図である。

0045

<プレス機械>
図1に示すプレス機械100は、ベッド102、コラム104等によりフレームが構成され、スライド110は、コラム104に設けられた摺動部材108により鉛直方向に移動自在に案内されている。スライド110は、図示しない駆動手段によって回転駆動力が伝達されるクランク軸を含むクランク機構によって図1上で上下方向に移動させられる。

0046

プレス機械100のベッド102側には、スライド110の高さ位置を検出するスライド位置検出器115が設けられている。

0047

スライド110には上金型120が装着され、ベッド102上(のボルスタ上)には下金型122が装着されている。

0048

<クッションピン均圧化機能付きダイクッション装置の第1の実施形態>
図1に示す第1の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置は、クッションピン均圧化装置150とダイクッション装置160とから構成されている。

0049

ダイクッション装置160は、主としてプレス機械100のベッド102及びベッド102上のボルスタに挿通される複数(n)本のクッションピン126a,126b,126c,…,126nと、ブランクホルダ124をn本のクッションピン126a,126b,126c,…,126nを介して支持するクッションパッド128と、クッションパッド128を支持し、クッションパッド128にダイクッション荷重を発生させるダイクッション荷重発生器として機能する液圧シリンダ(油圧シリンダ)130と、油圧シリンダ130のヘッド側油圧室である上昇側加圧室130bに作動液(作動油)を供給し、又は上昇側加圧室130bから作動油を排出させる第1の液圧装置(第1の油圧装置)と、主として油圧シリンダ130から発生するダイクッション荷重が、設定された目標ダイクッション荷重になるように第1の油圧装置を制御する第1の制御器(後述するダイクッション制御器181(図3))と、から構成されている。

0050

油圧シリンダ130は、クッションパッド128の下面にピストンロッド130cが接続されたダイクッション駆動用であり、主にダイクッション荷重作用工程で、クッションパッド128にダイクッション荷重を発生させ、ノックアウト工程でクッションパッド128を待機位置まで上昇させる。

0051

第1の油圧装置は、第1の圧力検出器132と、固定容量式の第1の液圧ポンプ/モータ(第1の油圧ポンプ/モータ)135及び第2の液圧ポンプ/モータ(第2の油圧ポンプ/モータ)137と、第1の油圧ポンプ/モータ135及び第2の油圧ポンプ/モータ137の回転軸にそれぞれ軸接続された第1のサーボモータ136及び第2のサーボモータ138と、第1のサーボモータ136及び第2のサーボモータ138の駆動軸に設けられたエンコーダ156、158と、アキュムレータ162と、リリーフ弁164とから構成されている。

0052

第1の油圧ポンプ/モータ135の一方のポート油圧接続口)は、アキュムレータ162が接続された低圧ラインを介して油圧シリンダ130のロッド側油圧室130aに接続され、他方のポートは、第2のロジック弁173を介して油圧シリンダ130の上昇側加圧室130bに接続可能になっている。

0053

第2の油圧ポンプ/モータ137の一方のポートは、低圧ラインを介して油圧シリンダ130のロッド側油圧室130aに接続され、他方のポートは、油圧シリンダ130の上昇側加圧室130bに接続されている。

0054

アキュムレータ162は、5〜10kg/cm2程度の略一定低圧システム圧)を保持する。一般的な油圧装置のタンクに相当する機能を担う。

0055

リリーフ弁164は、油圧シリンダ130の上昇側加圧室130bに作用し、ダイクッション装置用の安全弁として機能する。

0056

第1の圧力検出器132は、油圧シリンダ130の上昇側加圧室130bに作用する圧力を検出し、主にダイクッション荷重に相当する圧力を制御する為に用いられる。

0057

また、ダイクッション装置160には、クッションパッド128の位置(ダイクッション位置)を検出するダイクッション位置検出器133が設けられている。ダイクッション位置検出器133は、主にダイクッション(クッションパッド128)の位置制御を行う為に用いられる。

0058

第1のサーボモータ136及び第2のサーボモータ138は、プレス機械100の1サイクルを通して、基本的にダイクッションを駆動する為に用いられるが、第1のサーボモータ136は、プレス機械100の1サイクル中、クッションパッド128が待機位置(ダイクッション荷重制御を開始するスライド位置)に待機中の一時点近傍では、クッションピン均圧化装置150の初期圧を発生させる為に用いられる。

0059

クッションピン均圧化装置150は、主としてクッションピン均圧化用の複数(n)本の油圧シリンダ151a,151b,151c,…、151nからなる油圧シリンダ群(液圧シリンダ群)151と、油圧シリンダ群151の上昇側加圧室に作動油を供給し、又は上昇側加圧室から作動液を排出させる第2の液圧装置(第2の油圧装置)と、初期圧設定器188aを有し、油圧シリンダ群151の上昇側加圧室の圧力が、設定された初期圧になるように第2の油圧装置を制御する第2の制御器(初期圧制御器)188(図3)とから構成されている。

0060

油圧シリンダ群151は、クッションパッド128上(のピンプレート127上)であって、ベッド102及びベッド102上のボルスタに挿通される少なくともn本のクッションピン126a,126b,126c,…,126nの投影面下に一基ずつ配列され、各クッションピンの下端が油圧シリンダ群151のピストンロッドに当接可能になっている(油圧シリンダ群を準備するステップ)。また、油圧シリンダ群151の上昇側加圧室は、それぞれ配管により連通されている。

0061

尚、本例の油圧シリンダ群151は、n本のクッションピン126a,126b,126c,…,126nと同数であるが、実際に使用されるクッションピンの本数よりも多く配置されていてもよい。ボルスタに挿通されるクッションピンの本数や配置は、使用する金型等に応じて適宜設定可能であるが、クッションピンの本数や配置にかかわらず、各クッションピンの投影面下には、必ず一基のクッションピン均圧化用の油圧シリンダが存在するようにするためである。この場合でも、実際に使用されるn本のクッションピンに対応するn本のクッションピン均圧化用の油圧シリンダの上昇側加圧室のみをそれぞれ配管により連通し、使用しないクッションピン均圧化用の油圧シリンダは油圧回路から切り離すことが好ましい。圧力を制御する作動油の全容積を可能な限り小さくするためである。

0062

第2の油圧装置は、主としてクッションピン均圧化用の油圧回路170と、第1の液圧ポンプ/モータ135と、第1の油圧ポンプ/モータ135の回転軸に軸接続された第1のサーボモータ136とから構成されている。

0063

ここで、第2の油圧装置を構成する第1の液圧ポンプ/モータ135及び第1のサーボモータ136は、油圧シリンダ130の上昇側加圧室130bに作動油を供給し、又は上昇側加圧室130bから作動油を排出させる第1の油圧装置のものと共通化されている。

0064

また、クッションピン均圧化用の油圧回路170は、第2の圧力検出器140、リリーフ弁141、第1の電磁弁175、第2の電磁弁177、逆止弁143、145、絞り弁146、148、及び第1のロジック弁171、第2のロジック弁173を備えている。

0065

第2の圧力検出器140は、油圧シリンダ群151の上昇側加圧室に作用する圧力を検出し、主にクッションピン均圧化用の初期圧(Pk0)を制御する為に用いられる。リリーフ弁141は、油圧シリンダ群151に作用し、クッションピン均圧化装置用の安全弁として機能する。電磁弁142は、機械不使用時に油圧シリンダ群151に作用している(保持されている)圧力を、安全に脱圧する為に用いられる。

0066

第1のロジック弁171及び第2のロジック弁173は、それぞれ第1の電磁弁175及び第2の電磁弁177により開閉が制御され、第1のサーボモータ136に軸接続された第1の油圧ポンプ/モータ135により油圧シリンダ130を駆動する状態と油圧シリンダ群151を駆動する状態とに切り換える弁装置として機能する。

0067

第1の電磁弁175は、OFF/ON時に第1のロジック弁171を閉/開させ、第2の電磁弁177は、OFF/ON時に第2のロジック弁173を開/閉させる。第1の電磁弁175及び第2の電磁弁177がOFF(ノーマル)時は、ダイクッションを駆動する基本状態である。第1の電磁弁175及び第2の電磁弁177を経て第1のロジック弁171及び第2のロジック弁173のパイロットポートに作用する(パイロット)圧力は、逆止弁143介して油圧シリンダ群151に作用する圧力と、逆止弁145介して第1の油圧ポンプ/モータ135の吐出圧力のうちの大きい方が選択されるようになっている。

0068

第1の電磁弁175及び第2の電磁弁177がそれぞれOFFの場合、第1のロジック弁171が閉、第2のロジック弁173が開となり、油圧シリンダ130を駆動する状態に切り換えられる。即ち、第1の油圧ポンプ/モータ135の吐出口と油圧シリンダ130の上昇側加圧室130bとが第2のロジック弁173及び配管を通じて連通し、第1の液圧ポンプ/モータ135の吐出口と油圧シリンダ群151の上昇側加圧室とが遮断される。

0069

一方、第1の電磁弁175及び第2の電磁弁177がそれぞれONの場合、第1のロジック弁171が開、第2のロジック弁173が閉となり、油圧シリンダ群151を駆動する状態に切り換えられる。即ち、第1の油圧ポンプ/モータ135の吐出口と油圧シリンダ群151の上昇側加圧室とが、第1のロジック弁171及び第2のロジック弁173及び配管を通じて連通し、第1の液圧ポンプ/モータ135の吐出口と油圧シリンダ130の上昇側加圧室130bとが遮断される。

0070

≪初期圧≫
次に、クッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151の上昇側加圧室に封入する初期圧について説明する。

0071

本発明では、特別な弾性要素を保有せず、作動油が本来有している弾性を利用して複数のクッションピン長さのバラツキやクッションパッドの傾きを吸収する、クッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151の必要最小限の平均収縮量(ΔLk)を発生させる為に、最低ダイクッション荷重(FL)に基づく油圧シリンダ群151の上昇側加圧室の初期圧(PkL0)を高精度に(初期圧目標値Pk0r±0.1kg/cm2範囲内程度に)制御する。これに伴い、ダイクッション荷重(皺抑え荷重)の作用応答を必要以上に遅滞化させること無く、安定化させることが可能になる。このことを以下に示すように、具体的に例示しながら説明する。

0072

先ず、クッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151やそれらを連通する配管や作動油に関して、本例では、以下のように仮定する。

0073

各油圧シリンダの断面積Sk[cm2] 28.27(シリンダ直径6cm相当)
油圧シリンダの数 n 30
油圧シリンダ群の総断面積ΣSk[cm2] ΣSk=n×Sk=848.1
油圧シリンダの全ストロークLk[cm] 5
配管内径d[cm]、長さ l[cm] 2.5 500
油圧シリンダ群と配管内の全容積Vk[cm3] Vk=ΣSk×Lk+d2×π/4×l
≒6695
作動油の(実際の)体積弾性係数K[kg/cm2] 10000
次に、複数(n本)のクッションピンのバラツキ具合を、本例では、図2に示すように仮定する。

0074

図2は、複数のクッションピン126a,126b、…、126nの高さ(長さ)のバラツキ等を示す図である。

0075

図2に示す例では、クッションパッド128やブランクホルダ124の傾きは無い。クッションピンは30本あり、長さは30本の内、クッションピン126a,126c,126eを含む16本が所定値であり、クッションピン126dを含む10本は所定値より1.0mm長く、クッションピン126bを含む4本は所定値より0.6mm短いものとする。

0076

図2に示す状態において、クッションピン126cの下端がピストンロッドに当接するクッションピン均圧化用の油圧シリンダ151cのピストンロッドの収縮量bは、0.75mmであり、クッションピン126dの下端がピストンロッドに当接する油圧シリンダ151dのピストンロッドの収縮量cは、1.75mmであり、クッションピン126bの下端がピストンロッドに当接する油圧シリンダ151bのピストンロッドの収縮量aは、0.15mmである。

0077

したがって、クッションピン126dは、所定値のクッションピン126cよりも1.0(=1.75−0.75)mm長く、クッションピン126bは、所定値のクッションピン126cよりも0.6(=0.75−0.15)mm短い。

0078

上記のようにクッションピンの長さにバラツキがある場合、プレス機械100による加工開始時には、クッションパッド128−ブランクホルダ124間で、最初に1.0mm長いクッションピン、次に所定値のクッションピン、最後に0.6mm短いクッションピンがブランクホルダ124に接触する。

0079

短いクッションピンが接触する時点で、クッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151は、平均的に{(1.0+0.6)×10+0.6×16}/30=0.85mm収縮されなければならない。全てのクッションピンが確実に均圧化される為には、短いクッションピンが接触した後で、更に全てのクッションピンが平均的に圧縮されなければならない。その為の平均追加(余裕)収縮量を0.15mmと仮定すれば、油圧シリンダ群151の必要な平均収縮量ΔLk[cm]は、0.85+0.15=1mmとなる。

0080

次に、プレス機械100による加工工程中の最低ダイクッション荷重(FL)を2000[kN]と仮定すると、それが作用した場合の最低ダイクッション荷重に相当する圧力(PkLD)は、以下に示すように240.6 [kg/cm2]である。

0081

PkLD=1000×FL/g/ΣSk≒240.6
また、初期圧(PkL0[kg/cm2])は、次式
[数1]
PkL0=PkLD−K×ΔLk×ΣSk/Vk
により算出することができ、本例では、PkL0≒113.9[kg/cm2]である。

0082

最低ダイクッション荷重(FL)から演算される最低ダイクッション荷重に相当する圧力(PkLD)と油圧シリンダ群151の必要な平均収縮量(ΔLk)を満足する初期圧(PkL0)は、本例をとりまく環境において、作動油の圧縮性が上記体積弾性係数Kの元、一定と仮定した場合に成立する[数1]式より、113.9[kg/cm2]と演算される。クッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151の圧力発生室の初期圧(PkL0)は、113.9[kg/cm2]になるように精度よく設定すれば良い。

0083

最低ダイクッション荷重(FL)にしたがって初期圧(PkL0)を算出設定する理由は、複数のクッションピンの高さのバラツキを吸収する必要な収縮量(ΔLk)を満足させる為である。仮に本例における加工工程中に生じうる最低ではないダイクッション荷重(F*)が3000[kN]である時、これに基づいて、[数1]式のPkLDの代わりに、ダイクッション荷重(F*)に対応する圧力Pk*D[kg/cm2](=1000×F*/g/ΣSk≒361.0)を用いて初期圧(Pk*0=361.0-K×ΔLk×ΣSk/Vk=234.3)を演算し作用させると、最低ダイクッション荷重(2000[kN])が作用した時点の収縮量(ΔLk*)は、[数1]式に対応する次式、
[数2]
ΔLk*=Vk(PkD−Pk0)/K/ΣSk
により算出することができる。[数2]式の一般化したダイクッション荷重に対応する圧力(PkD)に最低ダイクッション荷重に対応する圧力であるPkLD(=240.6[kg/cm2])を、一般化した初期圧(Pk0)にPk*0(≒234.3[kg/cm2])を代入すると、収縮量(ΔLk*)は、0.005[cm](0.05[mm])と演算される。この場合、複数のクッションピンの高さのバラツキを吸収するために必要な収縮量(ΔLk)1mmを満足せず、ダイクッション荷重が、加工工程中に最低ダイクッション荷重に変化した時点でクッションピンの均圧化作用が失われる。

0084

以上のことから、最低ダイクッション荷重(FL)から演算される最低ダイクッション荷重に対応する圧力(PkLD)と、油圧シリンダ群151によるクッションピン均圧化に必要な収縮量(ΔLk)を満足する初期圧(PkL0)を算出し、“きちんと”作用させれば、加工工程中の全域において、複数のクッションピンの均圧化作用は確保可能になり、かつダイクッション荷重(皺抑え荷重)の作用応答を必要以上に遅滞化させること無く、安定化させることができる。

0085

[制御装置の第1の実施形態]
図3は、主として図1に示した第1の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置に適用される制御装置の第1の実施形態を示すブロック図である。

0086

図3に示す制御装置180は、ダイクッション用の油圧シリンダ130を駆動する第1の油圧装置を制御するダイクション制御器(第1の制御器)181と、クッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151を駆動する第2の油圧装置を制御する初期圧制御器(第2の制御器)188とを有している。

0087

<ダイクッション制御器>
ダイクッション制御器181は、クッションパッド位置及びダイクッション荷重を制御する制御器であり、ダイクッション荷重設定器181aを備えている。

0088

ダイクッション制御器181には、第1の圧力検出器により検出される油圧シリンダ130の上昇側加圧室130bの圧力を示すダイクッション圧力信号194と、ダイクッション位置検出器133により検出されるクッションパッド128の位置を示すダイクッション位置信号196と、スライド位置検出器115により検出されるスライド110の位置を示すスライド位置信号195と、角度検出器(スライド110を駆動するクランク軸の角度を検出する角度検出器)111のクランク角度信号から信号変換器155を経て生成されるスライド110の速度を示すスライド速度信号197と、第1のサーボモータ136及び第2のサーボモータ138の角度を検出するエンコーダ156、158から信号変換器157、159を経て生成されるサーボモータ角速度信号192、193とが加えられている。

0089

ダイクッション制御器181は、スライド位置信号195、又は図示しないクランク角度信号に基づいてスライド110が非加工工程の領域にあるか、又は加工工程の領域にあるかを判断し、スライド110が非加工工程の領域にある場合には、クッションパッド位置を制御するダイクッション位置制御状態に切り換え、スライド110が加工工程の領域にある場合には、ダイクッション荷重(圧力)制御状態に切り換えられる。

0090

<ダイクッション位置制御>
ダイクッション制御器181は、ダイクッション位置制御状態の場合、図示しないダイクッション位置指令器からのダイクッション位置指令、及び第1のサーボモータ136及び第2のサーボモータ138のサーボモータ角速度信号192、193、及びスライド位置信号195に基づいてトルク指令190、191を演算し、これらのトルク指令190、191によりサーボアンプ182、183を介して第1のサーボモータ136及び第2のサーボモータ138を制御し、第1の油圧ポンプ/モータ135及び第2の油圧ポンプ/モータ137から油圧シリンダ130の上昇側加圧室130bに圧油を供給する。

0091

これにより、油圧シリンダ130のピストンロッド130cの伸縮方向の位置を制御することにより、クッションパッド128の高さ位置(ダイクッション位置)を制御することができる。

0092

尚、ダイクッション位置指令器には、位置指令生成における初期値生成用に使用するためにダイクッション位置信号が加えられており、ダイクッション位置指令器は、スライド110が下死点に到達し、ダイクッション荷重制御終了後に、製品ノックアウト動作を行うとともに、クッションパッド128を初期位置であるダイクッション待機位置に待機させるために、クッションパッド128の高さ位置を制御するダイクッション位置指令を出力する。

0093

≪ダイクッション荷重制御の原理
ダイクッション荷重は、油圧シリンダ130の上昇側加圧室130bの圧力とシリンダ面積の積で表すことができるため、ダイクッション荷重を制御することは、油圧シリンダ130の上昇側加圧室130bの圧力を制御することを意味する。

0094

いま、油圧シリンダ・ダイクッション圧発生側断面積:a
油圧シリンダ・ダイクッション圧発生側体積:V
ダイクッション圧:P
油圧モータ負荷トルク:t
サーボモータ駆動トルク:T
サーボモータの慣性モーメント:I
サーボモータの粘性抵抗係数DM
サーボモータの摩擦トルク:fM
油圧モータの押し退け容積:Q
スライドから油圧シリンダピストンロッドに加わる力:Fslide
プレスに押されて発生するパッド速度:v
油圧シリンダピストンロッド+パッド慣性質量:M
油圧シリンダの粘性抵抗係数:DS
油圧シリンダの摩擦力:fS
圧油に押されて回転するサーボモータ角速度:ω
作動油の体積弾性係数:K
比例定数:k1、k2
とすると、静的な挙動は、[数3]式及び[数4]式で表すことができる。

0095

[数3]
P=∫K((v・A−2・k1Q・ω)/V)dt(油圧モータを2基使用する場合)
[数4]
t=k2・PQ/(2π)
また、動的な挙動は、[数3]式、[数4]式に加えて[数5]式、[数6]式で表すことができる。

0096

[数5]
PA−Fslide=M・dv/dt+DS・v+fS
[数6]
T−t=I・dω/dt+DM・ω+fM
上記[数3]式〜[数6]式が意味するもの、即ち、スライド110からクッションパッド128を介して油圧シリンダ130に伝わった力(ダイクッション荷重)は、油圧シリンダ130の上昇側加圧室130bを圧縮し、ダイクッション圧を発生させる。

0097

図3に示す例では、ダイクッション圧を発生させるために、第1の油圧ポンプ/モータ135及び第2の油圧ポンプ/モータ137を油圧モータ作用させ、第1の油圧ポンプ/モータ135及び第2の油圧ポンプ/モータ137に発生する負荷トルクが第1のサーボモータ136及び第2のサーボモータ138の駆動トルクに抗じたところで、第1のサーボモータ136及び第2のサーボモータ138を回転させ、圧力の上昇が抑制される。結局、ダイクッション圧は、第1のサーボモータ136及び第2のサーボモータ138の駆動トルクに応じて決定される。

0098

<ダイクッション荷重(圧力)制御>
ダイクッション制御器181は、ダイクッション荷重設定器181aを備えている。ダイクッション荷重設定器181aは、スライド位置検出器115により検出されるスライド位置信号195に基づいてスライド110の位置に応じた目標ダイクッション荷重を示すダイクッション荷重(圧力)指令を出力する。

0099

ダイクッション制御器181は、ダイクッション荷重(圧力)制御状態の場合、ダイクッション荷重設定器181aから加えられるダイクッション圧力指令どおりにダイクッション圧力を制御するために、第1の圧力検出器132により検出された油圧シリンダ130の上昇側加圧室130bの圧力を示すダイクッション圧力信号194を入力している。

0100

ダイクッション制御器181は、ダイクッション位置制御状態(ダイクッション待機位置(保持)制御状態)からダイクッション圧力制御状態に制御が切り換えられると、ダイクッション圧力指令、ダイクッション圧力信号194、及び第1のサーボモータ136及び第2のサーボモータ138のサーボモータ角速度信号192、193、及びスライド速度信号197を用いて演算したトルク指令190、191を、サーボアンプ182、183を介して第1のサーボモータ136及び第2のサーボモータ138に出力することでダイクッション圧力を制御する。

0101

ダイクッション圧力制御時の、スライド110が材料121(及びブランクホルダ124)に衝突してから下死点に至るまでの下降工程(加工工程)は、第1のサーボモータ136及び第2のサーボモータ138のトルク出力方向と発生速度が反対になる。即ち、スライド110からクッションパッド128が受ける動力によって油圧シリンダ130の上昇側加圧室130bから圧油が第1の油圧ポンプ/モータ135及び第2の油圧ポンプ/モータ137に流入し、第1の油圧ポンプ/モータ135及び第2の油圧ポンプ/モータ137がそれぞれ油圧モータとして作用する。第1の油圧ポンプ/モータ135及び第2の油圧ポンプ/モータ137によって第1のサーボモータ136及び第2のサーボモータ138が従動して発電機として作用する。第1のサーボモータ136及び第2のサーボモータ138によって発電された電力は、サーボアンプ182、183及び電力回生器付き直流電源186、187を介して交流電源184に回生される。

0102

尚、ダイクッション制御器181は、図示しない弁制御器を有し、弁制御器は、クッションパッド128が待機位置(ダイクッション荷重制御開始のスライド位置)での待機(位置制御)中の一時点(時点TTaiki)近傍では、第1の電磁弁175と第2の電磁弁177を共にONさせ、第1のロジック弁171を開き、第2のロジック弁173を閉じる共に、ダイクッション位置制御用に第2のサーボモータ138のみを駆動するトルク指令191を演算し、第2のサーボモータ138に出力する(第2のサーボモータ138のみを使用して、ダイクッション位置制御を行う)。

0103

また、ダイクッション制御器181において、第1のサーボモータ136及び第2のサーボモータ138のサーボモータ角速度信号192、193は、それぞれダイクッション位置制御及びダイクッション圧力制御において圧力位相遅れ特性を改善させ(進ませ)動的安定性を確保する為に使用され、スライド速度信号197は、圧力精度を向上させる制御補償に使用し、スライド位置信号195は、クッションパッド128がスライド110に衝突(干渉)することを自動的に抑制しながら上昇させる為に(自動干渉抑制移動機能用に)使用される。

0104

<初期圧制御>
初期圧制御器188は、初期圧設定器188aを備えている。初期圧設定器188aは、前述した[数1]式に示したように油圧シリンダ群151の上昇側加圧室及び管路の総容積(Vk)、n本のクッションピン126a〜126nの高さのバラツキが吸収される場合の油圧シリンダ群151の最小限の平均収縮量(ΔLk)と油圧シリンダ群151の総断面積(ΣSk)とから算出される油圧シリンダ群151の上昇側加圧室の最小の容積変化量(ΔLk×ΣSk)及び作動油の体積弾性係数(K)に基づいて、総容積の初期圧(PkL0)の作動油が容積変化量(ΔLk×ΣSk)だけ圧縮された場合に上昇する当該作動油の圧力が、ダイクッション荷重作用開始前にダイクッション荷重設定器181aにて設定された目標ダイクッション荷重のうちの最低ダイクッション荷重に対応する圧力(PkLD)になるように初期圧(PkL0)を設定する(初期圧を設定するステップ)。

0105

初期圧制御器188は、ダイクッション荷重作用開始前である、クッションパッド128が待機位置(ダイクッション荷重制御開始のスライド位置)に待機(位置制御)中の一時点(時点TTaiki)近傍において、油圧シリンダ群151の上昇側加圧室に、初期圧設定器188aにより設定された初期圧(PkL0)が発生するようにトルク指令190を演算する。このトルク指令190は、初期圧設定器188aにより設定された初期圧(PkL0)を示す初期圧指令、第2の圧力検出器140により検出される油圧シリンダ群151の上昇側加圧室の圧力を示す圧力信号198、及び第1のサーボモータ136のエンコーダ156から信号変換器157を経て生成されるサーボモータ角速度信号192に基づいて演算される。

0106

初期圧制御器188は、演算したトルク指令190によりサーボアンプ182を介して第1のサーボモータ136を制御し、第1の油圧ポンプ/モータ135から第2のロジック弁173、第1のロジック弁171を経由して油圧シリンダ群151の上昇側加圧室及びそれに連通する配管に圧油を供給する(圧力を制御するステップ)。

0107

これにより、クッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151の上昇側加圧室の圧力が、初期圧設定器188aにより設定された初期圧(PkL0)になるように制御される。

0108

尚、ダイクッション制御器181の弁制御器(図示せず)は、クッションパッド128が待機位置での待機中の一時点近傍では、第1の電磁弁175と第2の電磁弁177を共にONさせ、第1のロジック弁171を開き、第2のロジック弁173を閉じ、また、トルク指令選択器189は、クッションパッド128が待機位置に待機中の一時点近傍では、初期圧制御器188から出力されるトルク指令を選択してトルク指令190とし、サーボアンプ182を介して第1のサーボモータ136に出力する。

0109

これにより、クッションパッド128が待機位置での待機中の一時点近傍において、第1のサーボモータ136及び第1の油圧ポンプ/モータ135を使用し、クッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151の上昇側加圧室(及びそれに連通する配管)の初期圧を制御する。即ち、本例では、第1のサーボモータ136及び第1の油圧ポンプ/モータ135は、主としてダイクッション位置制御及びダイクッション圧力制御に使用されるが、クッションパッド128が待機位置で待機している期間に、一時的にクッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151の上昇側加圧室の圧力を、初期圧(PkL0)に設定するために使用される。

0110

また、初期圧制御器188による油圧シリンダ群151の上昇側加圧室の初期圧を制御する際に、第1のサーボモータ136のサーボモータ角速度信号192は、圧力位相遅れ特性を改善させ(進ませ)、動的安定性を確保する為に使用される。

0111

[クッションピン均圧化機能付きダイクッション装置の作用]
図4は、図1に示した第1の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置における主要な物理量の(連続運転中の)1サイクルの波形図である。

0112

図4の1段目にはプレス・スライド位置とダイクッション位置、2段目にはダイクッション荷重、3段目には連通したクッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151の圧力、4段目には第1の電磁弁175及び第2の電磁弁177のON/OFF状態を示す。

0113

本例のダイクッション荷重設定器181aにて設定される目標ダイクッション荷重のダイクッション荷重値は、2000[kN]の一定値(加工工程中の最低ダイクッション荷重値も同じ値)、クッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151の必要最小限の平均収縮量(ΔLk)は1mm、それに基づいて(予め初期圧制御器188内で演算され、初期圧設定器188aに設定される)油圧シリンダ群151の初期圧PkL0は、113.9[kg/cm2]である。平均収縮量の設定値が小さい程、初期圧Pk0は大きくなり、ダイクッション荷重作用時の油圧シリンダ群151の収縮量は減少する(ダイクッション荷重応答が早まる)為、平均収縮量の設定値は、複数のクッションピンの長さのバラツキ範囲の程度に応じて必要な最小値にすることが望ましい。

0114

<0〜約1.25sプレス・スライド下降&ダイクッション待機&未成形>
プレス・スライドは上死点から下降中で、未だ成形は開始されていない。ダイクッション(クッションパッド128)は待機位置(ダイクッション荷重作用開始のスライド位置)に待機中である(待機位置に位置制御されている)。

0115

待機中の(一時点(TTaiki=0.7s)近傍の)0.59sで、油圧シリンダ群151の初期圧Pk0が、設定された目標値(初期圧PkL0)の113.9±0.1[kg/cm2]の範囲内であるか否かを初期圧制御器188内で確認する。そして、否の場合に限り、初期圧Pk0が目標値の範囲内に入るように初期圧制御を行う。本例では、初期圧Pk0が、113.77[kg/cm2]であるため、否である(初期圧制御を行う)。

0116

初期圧制御を行う場合、0.6sの時点で第2の電磁弁177をONさせ、第2のロジック弁173を閉弁動作させる。続いて、0.65sの時点で第2のロジック弁173が閉弁を完了すると、クッションパッド128は、第2のサーボモータ138のみで待機位置に位置制御(保持)される。

0117

同時にトルク指令選択器189は、初期圧制御器188側のトルク指令を選択し、初期圧制御器188は、初期圧の目標値113.9[kg/cm2]に程度(例えば、113.9+5[kg/cm2])に相当(比例する)するトルク開ループ)指令190を、トルク指令選択器189を介してサーボアンプ182に出力するとともに、第1の電磁弁175をONさせ、第1のロジック弁171を開弁動作させる。尚、第2のロジック弁173の閉弁後に前記トルク(開ループ)指令190を作用させた状態で第1のロジック弁171を開弁するのは、第1のロジック弁171が開弁過程で、初期圧Pk0を降下させない為の配慮である。

0118

続いて、0.7sの時点で第1のロジック弁171が開弁を完了すると、初期圧制御器188は、主に初期圧Pk0の目標値113.9[kg/cm2]と第2の圧力検出器140からの圧力信号198に基づいて、油圧シリンダ群151の初期圧Pk0を目標値113.9[kg/cm2]よりも0.1[kg/cm2]高い指令値114.0[kg/cm2]に制御すべくトルク(閉ループ)指令190をサーボアンプ182に出力する。

0119

0.73s付近で、初期圧Pk0が114.0±0.02[kg/cm2]範囲内に整定し、0.75sの時点で第1の電磁弁175をOFFさせ、第1のロジック弁171を閉弁動作させる。続いて、0.8sの時点で第1のロジック弁171が閉弁を完了すると、トルク指令選択器189はダイクッション制御器181側のトルク指令を選択し、クッションパッド128は再度、第1のサーボモータ136をも使用して、待機位置に位置制御される。

0120

同時に、第2の電磁弁177をOFFさせ、第2のロジック弁173を開弁動作させる。0.85sの時点で、第2のロジック弁173は開弁動作を完了し、一連の初期圧Pk0の再制御、圧油の封入作用は完了する。初期圧Pk0は、113.932[kg/cm2]である。第2の電磁弁177がOFFされる(第2のロジック弁173が開弁動作する)過程で、(ポペット式)電磁弁のポペットが切り換わる(動く)際、初期圧Pk0が、微小油量が油圧シリンダ群151から低圧(システム圧)ラインにリークし、0.1[kg/cm2]以下程度低下する分、初期圧Pk0の指令値を目標値より0.1[kg/cm2]大きくしている。本例(クッションピン均圧化用の油圧回路170)において、初期圧Pk0は基本的にノンリークに保持される為、初期圧Pk0の再制御、封入操作は数サイクル〜数10サイクルに1度行われる。

0121

<1.25s〜2.15sプレス・スライド下降⇒下死点&ダイクッション荷重作用&成形>
スライド110が、上金型120、材料121、ブランクホルダ124、クッションピン126a〜126n、油圧シリンダ群151等を介して、クッションパッド128に衝突する時点(ダイクッション荷重の作用開始時点)で、ダイクッション制御器181の作用によって、所定の(設定された)本例では2000[kN]のダイクッション荷重が、上方向に(ブランクホルダ124と上金型120間で材料121を抑える方向に)作用開始し、約0.05s後に作用完了する。それと共に(それに比例して)、油圧シリンダ群151の上昇側加圧室の圧力も初期圧Pk0(113.93[kg/cm2])からダイクッション荷重(2000[kN])に対応する圧力PkD(240.6[kg/cm2])に昇圧する。この時(昇圧過程で)、クッションピンの長さのバラツキ(30本のクッションピンの内、16本が所定値であり、10本は所定値より1mm長く、4本は所定値より0.5mm短い傾向)を吸収して、全てのクッションピンに均一な荷重約66.7(=2000/30)[kN]が作用する。

0122

クッションピン毎に均一な所定のダイクッション荷重分力が、ブランクホルダ124−上金型120間の材料121に作用しながら、材料121の各部位に絞り皺が生じること無く、破断すること無く、絞り成形が進行する。

0123

プレス下死点近傍(下死点より1mm以下程度上方)で、絞り成形が終了し、ダイクッション制御器181の作用によって、ダイクッション荷重(相当圧)は脱圧される。それと共に(それに比例して)、油圧シリンダ群151の圧力もダイクッション荷重に対応する圧力PkD(240.6[kg/cm2])から初期圧Pk0(113.92[kg/cm2])に降圧する。初期圧Pk0は殆ど変化(低下)していない為、次サイクルのダイクッション待機時に、初期圧Pk0の再制御し封入操作は行われない(不要である)。

0124

<2.15s〜4.3sプレス・スライド上昇⇒上死点&製品ノックアウト⇒待機位置>
スライド110は、下死点から上死点まで上昇する。ダイクッション(クッションパッド128)は、ダイクッション荷重(相当圧)がほぼ脱圧完了する時点で、ダイクッション制御器181の作用によってダイクッション圧力制御からダイクッション位置制御に変更され、ノックアウト用設定値(下死点(近傍)停留時間の設定値や上昇速度の設定値に)基づいて自動的に生成された、プレス下死点の近傍位置からダイクッション待機位置に連続的に変化するダイクッション位置指令に沿って製品をノックアウトしながら待機位置に移動する。

0125

ところで、設定される初期圧(PkL0)に誤差が生じた場合、例えば、初期圧(PkL0)が目標の初期圧指令値(PkL0Ref)に対して大きくなった場合は、それに応じて油圧シリンダ群151の収縮量が減少し、所定の均圧化作用が弱まる懸念が生じる。一方、初期圧(PkL0)が、初期圧指令値(PkL0Ref)に対して小さくなった場合は、それに応じて油圧シリンダ群151の収縮量が増加し、ダイクッション荷重の作用応答が遅滞化する懸念が生じる。

0126

初期圧(PkL0)が初期圧指令値(PkL0Ref)に対して大きくなった場合も小さくなった場合も、油圧シリンダ群151の収縮量が変動し、ダイクッション荷重の応答が変動する懸念が生じる。

0127

したがって、初期圧(PkL0)を初期圧指令値(PkL0Ref)通りに精度良く制御し発生させることは、現実的に非常に重要なことである。以下には、このことについて詳述する。

0128

図5は、図3に示した初期圧制御器188の詳細を示すブロック図である。

0129

図5における各記号及び符号は、下記の通りである。

0130

190:第1のサーボモータ136のトルク指令[kgm]
192:サーボモータ角速度信号ω[rad/s]
198:第2の圧力検出器140からの圧力信号Pk[kg/cm2]
PkLoRef:初期圧指令[kg/cm2]
q:第1の油圧ポンプ/モータ135の押し退け容積[cm3/rev]
KP:比例補償定数KI積分補償定数、1/S:積分
Kω:角速度補償定数
図5において、初期圧指令値(PkLoRef)、クッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151の圧力(Pk)、第1のサーボモータ136のサーボモータ角速度信号(ω)に基づいて制御する。具体的には、初期圧指令値(PkLoRef)に比例させるフィードフォワードオープン補償成分と、初期圧指令値(PkLoRef)と現在の圧力(Pk)の偏差に比例させる成分(比例補償定数KPを有する比例補償器の出力)と偏差の積分に比例させる成分(積分補償定数KIを有する積分補償器の出力)の和(PI補償)からサーボモータ角速度信号ωを減算した結果に比例させるフィードバッククローズド)補償成分の和をトルク指令190とし、サーボアンプ182に出力し、第1のサーボモータ136を駆動する。

0131

フィードフォワード補償成分は、物理的に初期圧指令(PkLoRef)に比例する基本的なトルク成分を担い無理なくPkLoRefを発生させる役割を担い、フィードバック補償成分は、制御的に初期圧(PkL0)を初期圧指令値(PkLoRef)に(主にKpの作用で)早く、(主にKIの作用で)精度良く、(主にKωの作用で)安定に応答させる役割を担う。

0132

図6は、図5に示した初期圧制御器188のブロック図に基づき初期圧(PkL0)を制御した場合の初期圧(PkL0)の時間応答波形等を示す波形図であり、図6の1段目には初期圧指令(PkLoRef)とその時間応答を示す初期圧(PkL0)、2段目には第1のサーボモータ136のサーボモータトルク、3段目には第1の油圧ポンプ/モータ135の吐出油量を示す。

0133

本例において、使用する第1のサーボモータ136のトルク応答性角周波数)は一次近似すると600[rad/s]、第1のサーボモータ136とそれに軸接続する第1の油圧ポンプ/モータ135の回転軸の慣性モーメントは0.4[kgm2]、第1の油圧ポンプ/モータ135の押し退け容積(q)は500[cm3/rev]の時、制御パラメータ(定数)Kp、KI、Kωを適性に調整することによって、図6の1段目に示すように、初期圧PkL0は、初期圧指令PkLoRef(113.9[kg/cm2])に対して、0.1s以内に±0.02[kg/cm2]範囲内の精度で応答する。

0134

このように、第1のサーボモータ136に軸接続された第1の油圧ポンプ/モータ135を駆動して圧力制御する方式は、第2の圧力検出器140から検出される油圧シリンダ群151の圧力を目標値通り(悪くとも目標値±0.1[kg/cm2]範囲内)に制御することに適する。

0135

尚、複数のクッションピンの精度が良く、クッションピンの長さのバラツキをとる必要が無い場合は、必要最小限の平均収縮量(ΔLk)は不要であり、初期圧は最初からダイクッション荷重(設定された目標ダイクッション荷重のうちの最大のダイクッション荷重以上)に対応する圧力にすれば良く、この場合、油圧シリンダ群151が介在することによるダイクッション荷重の応答遅延時間は、ほぼ消滅する。

0136

[クッションピン均圧化機能付きダイクッション装置の作用(加工工程中にダイクッション荷重が変化する場合)]
本発明の特徴の一つである、特殊材料を使用した場合の有効性について説明する。

0137

図7は、図1に示した第1の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置における主要な物理量の(連続運転中の)1サイクルの他の波形図であり、特に今後予想される特殊材料や難加工材の成形性を向上させるべく、材料特性や金型に固有の成形性に合わせて、ダイクッション荷重を成形中に変化させながら、ダイクッション荷重を材料に均一に作用させることが可能にする場合の主要な物理量の波形図である。

0138

図4と同様に、図7の1段目にはプレス・スライド位置とダイクッション位置、2段目にはダイクッション荷重、3段目には連通したクッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151の圧力、4段目には第1の電磁弁175及び第2の電磁弁177のON/OFF状態を示すが、特に図7に示した波形図は、2段目の加工工程中にダイクッション荷重が変化し、このダイクッション荷重の変化に伴って3段目のクッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151の圧力も変化する点で、図4に示した波形図と相違する。

0139

図7の2段目に示すようにダイクッション荷重設定器181aにて設定される目標ダイクッション荷重のダイクッション荷重値は、ダイクッション位置がダイクッション荷重開始(300mm)後の300mm〜160mmの間、一定の1800[kN]となり、ダイクッション位置が160mmから60mmに至るまで連続的に(テーパ状に)1200[kN]まで変化(降下)し、さらにダイクッション位置が下死点近傍で2000[kN]に変化(上昇)する。

0140

ダイクッション荷重値の最初の荷重降下作用は材料の破断を抑制する為のもので、最後の荷重上昇作用は、製品の精度を確保する為のものである。

0141

クッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151の必要な平均収縮量ΔLkは、1mm、それに基づいて(予め初期圧制御器188内で演算され、初期圧設定器188aに設定される)油圧シリンダ群151の初期圧Pk0は、図7の2段目に示したダイクッション荷重値のうちの最低ダイクッション荷重値1200[kN]に基づく17.7[kg/cm2]である。

0142

ダイクッション荷重が小さい程、一定の平均収縮量ΔLkに対して初期圧は小さくなり、その分、ダイクッション荷重の作用応答時間は必要最小限、延長する。

0143

このように、昨今では一般化しつつある加工工程中のダイクッション荷重の変化によらず、必要最小限の平均収縮量ΔLkに対応した初期圧PkL0が制御可能な点が本発明の特徴の1つである。

0144

[クッションピン均圧化機能付きダイクッション装置の第2の実施形態]
図8は、本発明に係る第2の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置を備えたプレスシステムを示す主要構成図である。尚、図8において、図1に示した第1の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。

0145

図8に示す第2の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置は、ダイクッション用の第1の油圧装置及びクッションピン均圧化用の第2の油圧装置が、両油圧装置において共通化された、第1のサーボモータ136とそれに軸接続された第1の油圧ポンプ/モータ135のみを備え、ダイクッション用の油圧シリンダ130を専用に駆動する第2のサーボモータ138とそれに軸接続される第2の油圧ポンプ/モータ137が存在しない点で、図1に示した第1の実施形態と相違する。

0146

第1のサーボモータ136とそれに軸接続された第1の油圧ポンプ/モータ135は、プレス機械の1サイクル中、クッションパッド128が待機位置(ダイクッション荷重制御開始のスライド位置)に待機中の一時点(時点TTaiki)近傍ではクッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151の初期圧を発生させる為に用いられ、それ以外は、ダイクッション用の油圧シリンダ130を駆動する為に用いられる。

0147

クッションパッド128が待機位置で待機中の時点TTaiki近傍では、クッションパッド128は、第1のサーボモータ136により駆動されないが、第2のロジック弁173を閉弁させることで、油圧シリンダ130(の上昇側加圧室130b)に作用中の、クッションパッド128を待機位置に維持する圧力を(第2のロジック弁173のポペット部が着座する作用で)ノンリークに保持することによって、待機位置に保持される。

0148

尚、クッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151の初期圧が制御される期間は、クッションパッド128が待機位置で待機中の時点TTaiki近傍の僅かな期間であり、この期間経過後は、再びダイクッション位置制御状態に復帰する。したがって、油圧シリンダ群151の初期圧の制御期間に、ダイクッション位置制御状態が非制御状態になっても、その後のダイクッション位置制御状態への復帰によりクッションパッド128は、クッションパッド128を待機位置に精度よく保持することができる。

0149

[制御装置の第2の実施形態]
図9は、主として図8に示した第2の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置に適用される制御装置の第2の実施形態を示すブロック図である。尚、図9において、図3に示した第1の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置に適用される第1の実施形態の制御装置と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。

0150

図9に示す制御装置180は、第1のサーボモータ136のみを制御する点で、図4に示した制御装置と相違する。即ち、図9に示すダイクッション制御器181は、ダイクッション位置制御状態又はダイクッション圧力制御状態において、第1のサーボモータ136のみを使用し、第1の油圧ポンプ/モータ135を介してダイクッション位置及びダイクッション圧力(荷重)を制御する。

0151

また、図9に示す初期圧制御器188は、第1のサーボモータ136のみを制御してクッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151の初期圧を制御するものであるため、図4に示した初期圧制御器188と同様である。

0152

[クッションピン均圧化機能付きダイクッション装置の第3の実施形態]
図10は、本発明に係る第3の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置を備えたプレスシステムを示す主要構成図である。尚、図10において、図1に示した第1の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置と共通する部分には枝番を除いて同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。

0153

図10に示す第3の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置は、図1に示した第1の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置が、複数(2セット)設けられている点で、第1の実施形態と相違する。

0154

即ち、図10上で、クッションピン126−1a〜126−1nと、クッションピン126−2a〜126−2nとが左右方向に区分され、同様にクッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151−1(油圧シリンダ151−1a〜151−1n)と油圧シリンダ群151−2(油圧シリンダ151−2a〜151−2n)とが左右方向に区分されている。

0155

クッションパッド128−1、128−2は中央で分割され、図10上で右側のクッションパッド128−1上(のピンプレート127−1上)には油圧シリンダ群151−1が配列され、左側のクッションパッド128−2上(のピンプレート127−2上)には油圧シリンダ群151−2が配列されている。

0156

ダイクッション用の油圧シリンダ130−1、130−2は、それぞれクッションパッド128−1、128−2を支持し、独立してクッションパッド128−1、128−2にダイクッション荷重を発生させる。

0157

ダイクッション用の油圧シリンダ130−1、130−2を駆動するための第1の油圧装置、クッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151−1、151−2の初期圧を設定するための第2の油圧装置、及び各種の検出器も左右に2セット存在する。

0158

上記構成の第3の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置によれば、クッションパッド128−1、128−2毎に必要なダイクッション荷重を作用させることが可能であり、それに応じてクッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151−1、151−2もクッションパッド128−1、128−2毎に連通し、それぞれの初期圧を独立して作用可能にしている。

0159

こうすることによって(左右間で)異形状の製品に対して、金型の必要部位毎に必要なダイクッション荷重を均一に作用させ易くなり、成形品質を向上させることができる。

0160

本例では、クッションパッド128−1、128−2は、中央で分割され、左右独立しているが、クッションパッドは左右一体でもよい。左右一体のクッションパッドであっても、その他の構成は、図10に示した第3の実施形態の如く、左右2基のダイクッション用の油圧シリンダ130−1、130−2毎に必要なダイクッション荷重を作用させ、クッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151−1、151−2毎に必要な初期圧を作用させることが望ましい。クッションパッドは一体でも、左右それぞれのダイクッション荷重に応じてクッションパッドは弾性変形して金型に作用する為、やはり金型の必要部位に必要なダイクッション荷重を均一に作用させ易くなり、(左右間で)異形状の製品を品質良く成形し易くすることができる。

0161

図10に示した第3の実施形態では、左右間でクッションパッド128−1、128−2あるいはダイクッション用の油圧シリンダ130−1、130−2毎にダイクッション荷重、クッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151−1、151−2毎に初期圧を制御可能にする一例を示したが、これに限らず、左右前後間で4分割されたクッションパッドあるいは4基のダイクッション用の油圧シリンダ毎にダイクッション荷重、クッションピン均圧化用の4群の油圧シリンダ群毎に初期圧を制御可能にする構成としてもよく、この場合、前後左右間で異形状の製品に対して、金型の必要部位毎に必要なダイクッション荷重を均一に作用させ易くなり、成形品質を向上させることができる。

0162

[制御装置の第3の実施形態]
図11は、主として図10に示した第3の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置に適用される制御装置の第3の実施形態を示すブロック図である。尚、図11において、図3に示した第1の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置に適用される第1の実施形態の制御装置と共通する部分には枝番を除いて同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。

0163

図11に示す制御装置180は、図10に示した2セットの第1のサーボモータ136−1、第2のサーボモータ138−1と、第1のサーボモータ136−2、第2のサーボモータ138−2とを、それぞれ独立に制御する第1のダイクション制御器181−1、第1の初期圧制御器188−1と、第2のダイクッション制御器181−2、第2の初期発制御器188−2とを備えている。

0164

第1のダイクッション荷重設定器181−1aと第2のダイクッション荷重設定器181−2aとは、それぞれ独立して目標ダイクッション荷重を設定することができ、第1のダイクション制御器181−1及び第2のダイクッション制御器181−2は、中央で分割されたクッションパッド128−1、128−2に付加するダイクッション荷重をそれぞれ独立して制御することができる。これにより異形状の製品に対して、金型の部位毎に必要なダイクッション荷重を作用させることができ、成形品質を向上させることができる。

0165

また、第1の初期圧設定器188−1aと第2の初期圧設定器188−2aとは、独立して設定されるそれぞれの目標ダイクッション荷重(それぞれの目標ダイクッション荷重のうちのそれぞれの最低ダイクッション荷重)に対応して、それぞれ独立して初期圧目標値を設定することができ、第1の初期圧設定器188−1a及び第2の初期圧設定器188−2aは、それぞれ設定された初期圧目標値にしたがってクッションピン均圧化の油圧シリンダ群151−1、151−2の初期圧を独立して制御することができる。

0166

[クッションピン均圧化機能付きダイクッション装置の第4の実施形態]
図12は、本発明に係る第4の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置を備えたプレスシステムを示す主要構成図である。尚、図12において、図10に示した第3の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。

0167

図12に示す第4の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置は、左右の第1の油圧ポンプ/モータとして油圧ポンプ/モータ135−1、137−1と、135−2、137−2とが設けられ、左右の第1のサーボモータとして油圧ポンプ/モータ135−1、137−1の回転軸にそれぞれ軸接続されたサーボモータ136−1、138−1と、油圧ポンプ/モータ135−2、137−2の回転軸にそれぞれ軸接続されたサーボモータ136−2、138−2とが設けられ、ダイクッション用の油圧シリンダ130−1、130−2を専用に駆動する第2のサーボモータが設けられていない点で、第3の実施形態と相違する。

0168

ダイクッション用の油圧シリンダ130−1、130−2を専用に駆動する第2のサーボモータが設けられていない点で、図8に示した第2の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置と近似する。

0169

したがって、第4の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置の制御装置は、図9に示した第2の実施形態の制御装置と同様の制御が行われ、左右各2基のサーボモータ136−1、138−1と136−2、138−2とは、プレスの1サイクル中、クッションパッド128−1、128−2が待機位置(ダイクッション荷重制御開始のスライド位置)に待機中の一時点(時点TTaiki)近傍では、クッションピン均圧化装置の初期圧を発生させる為に用いられ、それ以外はダイクッションを駆動する為に用いられる。

0170

サーボモータ136−1、138−1と136−2、138−2とが左右2基ずつ存在する理由は、ダイクッション荷重を、より高速なプレス・スライド下降動作下で作用させる為である。クッションピン均圧化装置の初期圧を発生させる時に(も)サーボモータを2基使用する理由は、主に同時に異なる(ダイクッション位置とクッションピン均圧化の油圧シリンダ群の初期圧)制御を行わないことによって制御器(制御演算)を単純化する為である。

0171

中央で2分割されたクッションパッド128−1、128−2毎に必要なダイクッション荷重とそれに応じたクッションピン均圧化用の油圧シリンダ群151−1、151−2の初期圧を作用可能にしている理由は、図10に示した第3の実施形態と同様に、(左右間で)異形状の製品に対して、金型の必要部位毎に必要なダイクッション荷重を均一に作用させ易くし、成形品質を向上させる為である。

0172

[比較例]
(1)システム全体を安価に構成可能である。

0173

従来の特許文献1等には、エア式ダイクッション装置にクッションピン均圧化装置を適用した実施形態が説明されている。

0174

特許文献1等に記載のクッションピン均圧化装置は、エア式ダイクッション装置の圧力エア源とは別に、クッションピン均圧化用の油圧シリンダ群に作動油を供給する油圧装置(初期圧発生手段)が必要であった。

0175

これに対し、本発明の第1〜第4の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置は、ダイクッション用の第1の油圧装置及びクッションピン均圧化用の第2の油圧装置において、第1のサーボモータ136とそれに軸接続された第1の油圧ポンプ/モータ135を共通化することができ、クッションピン均圧化用の油圧シリンダ群に作動油を供給する油圧装置(特に第1のサーボモータ136とそれに軸接続された第1の油圧ポンプ/モータ135の基幹要素)を、新たに追加する必要がない。

0176

つまり、クッションピン均圧化用の油圧シリンダ群に作動油を供給する(電動機や油圧ポンプが装備された)クッションピン均圧化装置専用の油圧装置や初期圧を制御する制御装置(併せて初期圧発生手段)が、従来のエア式ダイクッション装置に適用されたクッションピン均圧化装置では必要であったが、本発明の第1〜第4の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置では、サーボダイクッション装置の油圧装置が、初期圧発生手段として流用可能な為不要になり、システム全体をより安価に構成することが出来る。

0177

(2)クッションピン均圧化用の油圧シリンダ群の(ピストンシール等の)保守が容易である。

0178

従来の特許文献1等に記載のエア式ダイクッション装置は、ダイクッション荷重作用開始時にダイクッション荷重にサージ(衝撃)が生じ易い。

0179

図13は、ダイクッション荷重の成分を示すブロック図である。図13に示す記号は、以下の通りある。

0180

Vdc:クッションパッド速度(mm/s)
Ddc:粘性抵抗係数196(kN・s/m)
Sdc:総シリンダ断面積(cm2)
Sdc_a=40791.35・・・エア式ダイクッション
Sdc_s=815.83・・・サーボダイクッション
Pdc:ダイクッション用シリンダ圧力(kg/cm2)
(2000kN作用時の定格値
Pdc_a=5.0・・・エア式ダイクッション
Pdc_s=250.0・・・サーボダイクッション
g:重力加速度9.806(m/s2)
adc:クッションパッド加速度(m/s2)
Mdc:クッションパッド連動質量12900(kg)
f1:シリンダ推力(kN)
f1=Sdc×Pdc×g/1000
f2:クッションパッド加速反力(kN)
f2=−adc×Mdc/10002(kN)
f3:クッションパッド連動部重力(kN)
f3=Mdc×g/1000(kN)
f4:クッションパッド粘性抵抗力(kN)
f4=−Vdc×Ddc/1000(kN)
F:DC_force:ダイクッション荷重(kN)
F=f1+f2−f3+f4
ただし、クッションパッドの速度、加速度は上方向を正とする。

0181

図14は、エア式ダイクッション装置及びサーボダイクッション装置における主要な物理量の(連続運転中の)1サイクルの波形図であり、従来の特許文献1等に記載のエア式ダイクッション装置と、本発明の第1〜第4の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置(サーボモータに軸接続された油圧ポンプ/モータ、油圧シリンダを介してダイクッション荷重を発生させるサーボダイクッション装置)とで、それぞれおよそ2000[kN]のダイクッション荷重を作用させた場合に関して示している。

0182

図14の1段目は、プレス・スライド位置と、エア式ダイクッション(パッド)位置、サーボダイクッション(パッド)位置を示す。

0183

図14の2段目は、プレス・スライド速度と、エア式ダイクッション(パッド)速度、サーボダイクッション(パッド)速度を示す。

0184

図14の3段目は、エア式ダイクッションのエアシリンダ推力、サーボダイクッションの油圧シリンダ推力を示す。

0185

図14の4段目は、エア式ダイクッション荷重、サーボダイクッション荷重を示す。

0186

本来は、エア式ダイクッションあるいはサーボダイクッションのいずれか1つがプレス機械に連動するが、ここでは、両者の特性差異を比較し易くする為、同一のプレス機械の同一のモーションに連動させた場合の、それぞれのダイクッションの物理量を重ねて図示している。

0187

ダイクッションストロークは300mm、ダイクッション荷重作用開始時(スライドが上型、材料、ブランクホルダ、クッションピンを介して間接的にクッションパッドに衝突する時)点のスライド速度は約600mm/sである。

0188

エア式ダイクッション装置と、サーボダイクッション装置は、可能な限り等尺度で比較する為、原理に反しない限り構成条件は揃えている。

0189

エア式ダイクッションは、300mm下降(ストローク)した時点で、エアシリンダに連通する容積を20%圧縮する構成である(エアタンク配備している)。

0190

特許文献1等に記載のようにクッションピン均圧化装置をエア式ダイクッション装置に適用する場合には、ダイクッション荷重作用開始時の衝撃的に作用するダイクッション荷重が、クッションピン均圧化用の油圧シリンダ群に直接作用する為、油圧シリンダ群内にも、それに比例したサージ圧が生じる。サージ圧の(サイクル毎の)繰り返し作用は、油圧シリンダ群のピストンシール等に悪影響を及ぼし、劣化を早める。

0191

さらに、油圧シリンダ群に初期圧(Pk0)を毎サイクル発生させる油圧装置の発熱(油温)の問題も無視できない。特許文献1、2に概略して示されているように、油圧ポンプを回転させて吐出した圧油量の一部を、開閉弁を開/閉させてタンク側に開放(リリーフ)することによって初期圧を制御したり、あるいは開閉弁の代わりにリリーフ弁を機能させて初期圧を発生させたりする一般的な構成の油圧装置を使用した(弁制御による初期圧発生手段を用いた)場合は、油温が40℃を定常的に超える場合が殆どであり、50℃を超える場合も珍しく無い。標準的なニトリルゴム製のピストンシールの寿命は油温と相関があり、このような定常的に高油温下で使用すると、著しく劣化を早める。

0192

一方、サーボモータで油圧ポンプを回転させて吐出した圧油量を、弁を介しタンクに開放(リリーフ)すること無く(余すことなく)初期圧を発生させる、本発明の第1〜第4の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置の油圧装置(ポンプ制御による初期圧発生手段を用いた場合)は、エネルギ効率が良く、ダイクッション荷重に対応する圧力、及び油圧シリンダ群の初期圧を発生させる為に発熱を伴い難く、定常的に油温40℃を超えることは(理論上および経験上)無い。

0193

したがって、ダイクッション荷重にサージを伴い難く、油圧シリンダ群の油温を定常的に40℃以下に維持し易い本発明に係るクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置は、クッションピン均圧化用の油圧シリンダ群のピストンシール等の寿命を伸ばすことによって、油圧シリンダ群の保守性を向上させることができる。

0194

ここで、本発明の第1〜第4の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置の「ダイクッション装置」及び「クッションピン均圧化装置」のうちの「ダイクッション装置」は、特開2006−315074で公開されているサーボダイクッション装置に相当するものである。本サーボダイクッション装置は、平滑な圧力制御性と機械の高い耐久性に関して実績を有す。また、上記の比較例では、ダイクッション荷重作用形態に関して、本サーボダイクッション装置と一般的なエア式ダイクッション装置とを比較しているが、エア式ダイクッション装置では無く、例えば、クッションパッド昇降用に油圧シリンダを使用した、(本サーボダイクッション装置とは異なり)圧力制御用にリリーフ弁を配備した油圧回路を有すダイクッション装置や、クッションパッド昇降用にスクリュー機構等を用いたダイクッション装置と比較した場合でも、前者はリリーフ弁の開弁応答性、後者はスクリュー機構の起動摩擦力の影響等により、ダイクッション荷重作用開始時に、本サーボダイクッション装置と比較してダイクッション荷重にサージを伴い易い。したがって、本発明の第1〜第4の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置は、本サーボダイクッション装置に本発明に係るクッションピン均圧化装置を兼ね備えることに意義がある。

0195

(3)特許文献1、2にはクッションピン均圧化作用やダイクッション荷重作用(応答性と応答性の変動)に影響するクッションピン均圧化用の油圧シリンダ群の初期圧の発生(制御)方法の開示が不十分(不足)である。

0196

特許文献1(図2)や特許文献2(図3)には、クッションピン均圧化用の油圧シリンダ群の初期圧を発生させる方法について、詳細が説明されていない。つまり、初期圧が精度良く(例えば、初期圧を目標初期圧に対して±1kg/cm2以下程度で)発生させることが可能になる根拠が記載されてない。これらの発明の効果は、初期圧の発生精度によって上下する為、重要である。

0197

例えば、特許文献2では、金型毎に必要なピストン追込み寸法Xや適正しわ押え荷重Fsoに基づいて適正初期油圧Psso が算出される。このPssoを(実際に精度良く)発生させることが可能であれば、金型毎に、特許文献2の発明で意図した適正なプレス品質が得られる旨説明されている。

0198

しかしながら、Pssoを発生させる方法は、「油圧センサ38によって検出される油圧Psすなわち初期油圧Pssが上記適正初期油圧Psso となるように、ポンプ34および開閉弁36を制御する。」とのみ説明されている。ポンプ34と開閉弁36を如何に制御するのか、初期圧を発生し終えた段階では、開閉弁36は全閉させなければならず、その段階ではポンプ34は停止してなければならない。2要素の制御方法が不明であり、開示されている構成によって初期圧が“きちんと”制御可能な根拠が示されてない。

0199

本発明の実施形態では、特別な弾性要素を保有せず、作動油が本来有している弾性を利用してクッションパッドの傾きやクッションピン長さのバラツキを吸収する為に必要最小限の平均収縮量(ΔLk)を発生させる為に、最低ダイクッション荷重(FL)に基づくクッションピン均圧化用の油圧シリンダ群の初期圧(PkL0)をダイクッション制御用のサーボモータ等、サーボモータで、高精度に(初期圧目標値Pk0r±0.1[kg/cm2]範囲内程度に)制御する。これに伴い、ダイクッション荷重(皺抑え荷重)作用応答を必要以上に遅滞化させること無く、安定化させることができる。

0200

[その他]
本発明は、第1〜第4の実施形態のクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置に限らず、これらのクッションピン均圧化機能付きダイクッション装置を構成する「クッションピン均圧化装置」のみを含む。この場合でも「サーボダイクッション装置」のサーボモータ等を、「クッションピン均圧化装置」の初期圧発生手段の一部として共通化することはできないものの、本発明に係る「クッションピン均圧化装置」によりクッションピン均圧化用の油圧シリンダ群の上昇側加圧室の初期圧を制御することで、「サーボダイクッション装置」におけるダイクッション荷重(皺抑え荷重)作用応答を必要以上に遅滞化させること無く、安定化させる効果がある。また、この場合の「サーボダイクッション装置」は、クッションパッド昇降用にスクリュー機構等を用い、サーボモータでスクリュー機構を制御するものも含む。

0201

また、ダイクッション用の油圧シリンダ及びクッションピン均圧化用の油圧シリンダ群は、作動液として油を使用するが、これに限定されるものではなく、水やその他の液体を使用した液圧シリンダを本発明において使用できることは言うまでもない。

0202

更に、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。

0203

100プレス機械
102ベッド
104コラム
108摺動部材
110スライド
115 スライド位置検出器
120上金型
121 材料
122下金型
124ブランクホルダ
126a〜126n、126−1a〜126−1n、126−1a〜126−1nクッションピン
127、127−1、127−2ピンプレート
128、128−1、128−2クッションパッド
130、130−1、130−2油圧シリンダ
130b上昇側加圧室
130cピストンロッド
132 第1の圧力検出器
133ダイクッション位置検出器
135、135−1、135−2 第1の油圧ポンプ/モータ
136、136−1、136−2 第1のサーボモータ
137、137−1、137−2 第2の油圧ポンプ/モータ
138、138−1、138−2 第2のサーボモータ
140 第2の圧力検出器
141、164リリーフ弁
142電磁弁
143、145逆止弁
146、148絞り弁
150 クッションピン均圧化装置
151、151−1、151−2油圧シリンダ群
155、157、159信号変換器
156、158エンコーダ
160ダイクッション装置
162アキュムレータ
170油圧回路
171 第1のロジック弁
173 第2のロジック弁
175 第1の電磁弁
177 第2の電磁弁
180制御装置
181 ダイクション制御器
181aダイクッション荷重設定器
181−1 第1のダイクション制御器
181−1a 第1のダイクッション荷重設定器
181−2 第2のダイクッション制御器
181−2a 第2のダイクッション荷重設定器
182、183サーボアンプ
184交流電源
186、187電力回生器付き直流電源
188初期圧制御器
188a 初期圧設定器
188−1 第1の初期圧制御器
188−1a 第1の初期圧設定器
188−2 第2の初期発制御器
188−2a 第2の初期圧設定器
189トルク指令選択器

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