図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2019年9月12日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題

Cas9タンパク質欠失変異体、およびキメラCas9タンパク質の作製方法の提供。

解決手段

タンパク質の一部が削除されるように改変されているが、標的DNAに結合して標的DNA中に二本鎖切断を形成することができるRNA誘導型DNA結合ヌクレアーゼとして機能し、DNAに結合し且つ1種類または複数種類のRNAによってガイドされる、または標的DNAに結合して標的DNA中に一本鎖切断またはニックを形成することができるRNA誘導型DNA結合ニッカーゼとして機能する、II型RISPRシステムのRNA誘導型DNA結合タンパク質であるCas9タンパク質。

概要

背景

細菌および古細菌のCRISPR‐Casシステムは、Casタンパク質複合体を形成した短鎖ガイドRNAに依存して、侵入する外来核酸中に存在する相補配列を分解する。Deltcheva, E. et al. CRISPR RNA maturation by trans-encoded small RNA and host factorRNaseIII. Nature 471, 602-607 (2011); Gasiunas, G., Barrangou, R., Horvath, P. & Siksnys, V. Cas9-crRNAribonucleoprotein complex mediates specific DNA cleavage for adaptive immunity in bacteria. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 109, E2579-2586 (2012); Jinek, M. et al. A programmable dual-RNA-guided DNA endonuclease in adaptive bacterial immunity. Science 337, 816-821 (2012); Sapranauskas, R. et al. The Streptococcus thermophilus CRISPR/Cas system provides immunity in Escherichia coli. Nucleic acidsresearch 39, 9275-9282 (2011);およびBhaya, D., Davison, M. & Barrangou, R. CRISPR-Cas systems in bacteria and archaea: versatile small RNAs for adaptive defense and regulation. Annual review of genetics 45, 273-297 (2011) を参照されたい。近年、ストレプトコッカスピオゲネス(S. pyogenes)のII型CRISPRシステムインビトロ再構成により、通常はトランスにコードされるtracrRNA(「トランス活性化型CRISPR RNA」)と融合したcrRNA(「CRISPR RNA」)が、そのcrRNAに一致する標的DNA配列をCas9タンパク質に配列特異的に切断させるのに十分であることが実証された。標的部位相同なgRNAの発現により、Cas9が動員され、標的DNAが分解される。H. Deveau et al, Phage response to CRISPR-encoded resistance in Streptococcus thermophilus. Journal of Bacteriology 190, 1390 (Feb, 2008) を参照されたい。

概要

Cas9タンパク質の欠失変異体、およびキメラCas9タンパク質の作製方法の提供。タンパク質の一部が削除されるように改変されているが、標的DNAに結合して標的DNA中に二本鎖切断を形成することができるRNA誘導型DNA結合ヌクレアーゼとして機能し、DNAに結合し且つ1種類または複数種類のRNAによってガイドされる、または標的DNAに結合して標的DNA中に一本鎖切断またはニックを形成することができるRNA誘導型DNA結合ニッカーゼとして機能する、II型CRISPRシステムのRNA誘導型DNA結合タンパク質であるCas9タンパク質。なし

目的

ある態様によれば、本開示は、NMのC末端ドメインをST1と交換することにより、機能的NM‐ST1‐Cas9キメラなどのドメイン交換Cas9キメラを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

DNA結合タンパク質ファミリー内で、低度保存された2つの隣接アミノ酸配列と隣接する高度保存されたアミノ酸配列であるか、または高度保存された2つの隣接アミノ酸配列と隣接する低度保存されたアミノ酸配列である、第1のアミノ酸配列を同定すること、前記第1のアミノ酸配列に対応する核酸配列を同定すること、前記第1のアミノ酸配列に対応する核酸配列を欠いた、標的DNA結合タンパク質のための核酸配列を作製すること、および前記作製された核酸配列から変異DNA結合タンパク質を作製することを含む、変異DNA結合タンパク質を作製する方法。

請求項2

前記標的DNA結合タンパク質がヌクレアーゼ活性を有する、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記標的DNA結合タンパク質がニッカーゼである、請求項1に記載の方法。

請求項4

前記標的DNA結合タンパク質がヌクレアーゼ欠損である、請求項1に記載の方法。

請求項5

前記第1のアミノ酸配列に対応する核酸配列を、前記標的DNA結合タンパク質のための核酸配列から欠失させる、請求項1に記載の方法。

請求項6

前記第1のアミノ酸配列に対応する核酸配列を、前記標的DNA結合タンパク質のための核酸配列から欠失させてリンカー置換する、請求項1に記載の方法。

請求項7

前記第1のアミノ酸配列に対応する核酸配列を、前記標的DNA結合タンパク質のための核酸配列から欠失させてSGGGSリンカーで置換する、請求項1に記載の方法。

請求項8

前記DNA結合タンパク質がCas9タンパク質である、請求項1に記載の方法。

請求項9

前記第1のアミノ酸配列が、前記第1のアミノ酸配列を隣接アミノ酸配列から区別する一対のエッジアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の方法。

請求項10

列番号1の変異Cas9タンパク質。

請求項11

配列番号2の変異Cas9タンパク質。

請求項12

高度には保存されていないか、または低度保存されたCas9タンパク質のファミリー内の1または複数のアミノ酸配列を同定すること、前記1または複数の同定されたアミノ酸配列に対応する核酸配列を同定すること、前記1または複数の同定されたアミノ酸配列に対応する核酸配列を欠いた、標的Cas9タンパク質のための核酸配列を作製すること、および前記作製された核酸配列から変異Cas9タンパク質を作製することを含む、変異Cas9タンパク質を作製する方法。

請求項13

前記標的Cas9タンパク質がヌクレアーゼ活性を有する、請求項12に記載の方法。

請求項14

前記標的Cas9タンパク質がニッカーゼである、請求項12に記載の方法。

請求項15

前記標的Cas9タンパク質がヌクレアーゼ欠損である、請求項12に記載の方法。

請求項16

前記1または複数の同定されたアミノ酸配列に対応する核酸配列を、前記標的Cas9タンパク質のための核酸配列から欠失させる、請求項12に記載の方法。

請求項17

前記1または複数の同定されたアミノ酸配列に対応する核酸配列を、前記標的Cas9タンパク質のための核酸配列から欠失させてリンカーで置換する、請求項12に記載の方法。

請求項18

前記1または複数の同定されたアミノ酸配列に対応する核酸配列を、前記標的Cas9タンパク質のための核酸配列から欠失させてSGGGSリンカーで置換する、請求項12に記載の方法。

請求項19

第1のCas9タンパク質種C末端ドメインを第2のCas9タンパク質種のC末端ドメインで置換することを含む、変異Cas9タンパク質を作製する方法。

請求項20

前記第1のCas9タンパク質種がNM‐Cas9であり、前記第2のCas9タンパク質種がST1‐Cas9である、請求項19に記載の方法。

請求項21

第1のCas9タンパク質種のN末端ドメインを第2のCas9タンパク質種のN末端ドメインで置換することを含む、キメラCas9タンパク質を作製する方法。

請求項22

前記第1のCas9タンパク質種がNM‐Cas9であり、前記第2のCas9タンパク質種がST1‐Cas9である、請求項21に記載の方法。

技術分野

0001

関連出願
本願は、2013年11月19日に提出された米国仮特許出願第61/906,374号に基づく優先権を主張するものであり、あらゆる目的のために、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。

0002

政府利益の陳述
本発明は、米国国立衛生研究所助成番号第P50HG005550号の政府助成を受けてなされた。米国政府は、本発明における一定の権利を有する。

背景技術

0003

細菌および古細菌のCRISPR‐Casシステムは、Casタンパク質複合体を形成した短鎖ガイドRNAに依存して、侵入する外来核酸中に存在する相補配列を分解する。Deltcheva, E. et al. CRISPR RNA maturation by trans-encoded small RNA and host factorRNaseIII. Nature 471, 602-607 (2011); Gasiunas, G., Barrangou, R., Horvath, P. & Siksnys, V. Cas9-crRNAribonucleoprotein complex mediates specific DNA cleavage for adaptive immunity in bacteria. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 109, E2579-2586 (2012); Jinek, M. et al. A programmable dual-RNA-guided DNA endonuclease in adaptive bacterial immunity. Science 337, 816-821 (2012); Sapranauskas, R. et al. The Streptococcus thermophilus CRISPR/Cas system provides immunity in Escherichia coli. Nucleic acidsresearch 39, 9275-9282 (2011);およびBhaya, D., Davison, M. & Barrangou, R. CRISPR-Cas systems in bacteria and archaea: versatile small RNAs for adaptive defense and regulation. Annual review of genetics 45, 273-297 (2011) を参照されたい。近年、ストレプトコッカスピオゲネス(S. pyogenes)のII型CRISPRシステムインビトロ再構成により、通常はトランスにコードされるtracrRNA(「トランス活性化型CRISPR RNA」)と融合したcrRNA(「CRISPR RNA」)が、そのcrRNAに一致する標的DNA配列をCas9タンパク質に配列特異的に切断させるのに十分であることが実証された。標的部位相同なgRNAの発現により、Cas9が動員され、標的DNAが分解される。H. Deveau et al, Phage response to CRISPR-encoded resistance in Streptococcus thermophilus. Journal of Bacteriology 190, 1390 (Feb, 2008) を参照されたい。

発明が解決しようとする課題

0004

Cas9は、標的化が望まれるゲノム領域相補的な20塩基対とCas9を動員するモチーフとを含むガイドRNA(gRNA)を発現させることにより、ゲノムのほぼ全ての領域を標的化するようにプログラムし得るDNAヌクレアーゼである。特徴解析されているCas9ファミリーメンバーおよび推定上のCas9ファミリーのメンバーの全ては、サイズが数キロベース(>3000塩基対)であり、機能的に検証されている最小のメンバーであるNM‐Cas9(ナイセリアメニンティディス(Neisseria meningitides)のCas9)のサイズは3,249塩基対である。このタンパク質はサイズが大きいため、送達および操作が難しく、生命工学および治療的応用への可能性が制限される。

課題を解決するための手段

0005

本開示の態様は、タンパク質の一部が削除(omit)されるように改変されているが、標的DNAに結合して標的DNA中に二本鎖切断を形成することができるRNA誘導型DNA結合ヌクレアーゼとして機能する、DNAに結合し且つ1種類または複数種類のRNAによってガイドされるII型CRISPRシステムのRNA誘導型DNA結合タンパク質に関する。ある態様によれば、II型CRISPRシステムのRNA誘導型DNA結合タンパク質はCas9タンパク質である。

0006

本開示の態様は、タンパク質の一部が削除されるように改変されているが、標的DNAに結合して標的DNA中に一本鎖切断またはニックを形成することができるRNA誘導型DNA結合ニッカーゼとして機能する、II型CRISPRシステムのRNA誘導型DNA結合タンパク質に関する。ある態様によれば、II型CRISPRシステムのRNA誘導型DNA結合タンパク質はCas9タンパク質である。

0007

本開示の態様は、タンパク質の一部が削除されるように改変されているが、ヌクレアーゼ欠損(nuclease null)である、すなわちRNA誘導型DNA結合タンパク質がヌクレアーゼ活性を欠いている、RNA誘導型DNA結合タンパク質として機能する、II型CRISPRシステムのRNA誘導型DNA結合タンパク質に関する。ある態様によれば、II型CRISPRシステムのRNA誘導型DNA結合タンパク質はCas9タンパク質である。

0008

ある態様によれば、特定のRNA誘導型DNA結合タンパク質ファミリー内であまり保存されていないかまたは高度に分岐したRNA誘導型DNA結合タンパク質配列、および/または特定のRNA誘導型DNA結合タンパク質ファミリー内の、本明細書中で「保存エッジ(conservation edge)」と呼ばれる、低度保存と高度保存との境界の間のタンパク質配列を、種の集団内で同定することによって、RNA誘導型DNA結合タンパク質の部分を欠失のために同定する。この態様によれば、本明細書に記載され、当業者に知られているような方法を用いて、Cas9などのRNA誘導型DNA結合タンパク質などのDNA結合タンパク質内のアミノ酸配列が、高度保存されているか、または低度保存されていると特定される。ある態様によれば、高度保存されたアミノ酸配列および低度保存されたアミノ酸配列は、全体として、DNA結合タンパク質のタンパク質配列内で互いに隣接、例えば直接隣接している。高度保存されたアミノ酸配列および低度保存されたアミノ酸配列は、高度保存されたアミノ酸配列を低度保存されたアミノ酸配列から切り離すアミノ酸によって区別される。このように、高度保存されたアミノ酸配列を低度保存されたアミノ酸配列から切り離すアミノ酸は、高度保存されたアミノ酸配列または低度保存されたアミノ酸配列のいずれかのエッジまたは末端部分である限りは、本明細書では「エッジアミノ酸」または「保存エッジ」と呼ばれる。したがって、本開示の方法は、高度保存されたアミノ酸配列を低度保存されたアミノ酸配列と切り離す、あるいは高度保存されたアミノ酸配列と低度保存されたアミノ酸配列を区別する、アミノ酸の同定を検討する。そのようなアミノ酸を本明細書では「エッジアミノ酸」と呼ぶ。この態様によれば、一対のエッジアミノ酸が、高度保存されたアミノ酸配列のいずれかの端部に隣接または接していてもよい。同様に、一対のエッジアミノ酸が、低度保存されたアミノ酸配列のいずれかの端部に隣接または接していてもよい。さらにこの態様によれば、ある例示的実施形態は、DNA結合タンパク質全体のタンパク質配列内での、高度保存された隣接アミノ酸配列の同定、および低度保存されたアミノ酸配列の同定に関する。特に、ある例示的実施形態は、DNA結合タンパク質全体のタンパク質配列内での、低度保存された配列とタンデムまたは直列に存在する高度保存された配列の同定、特に、いずれかの末端が低度保存(LC)された配列に隣接している高度保存(HC)配列、またはいずれかの末端が高度保存(HC)された配列に隣接している低度保存(LC)配列の同定に関する。このように、本明細書に記載の方法によって同定される例示的なタンデム配列または直列配列は、模式的にLC‐HC‐LCまたはHC‐LC‐HCと表され得る。この態様によれば、高度保存または低度保存された中央配列には、それぞれ低度保存または高度保存された隣接配列が接している。例示的なタンデム配列LC‐HC‐LCでは、一対のエッジアミノ酸により、高度保存(HC)されたアミノ酸配列が、高濃度アミノ酸配列の両端にあるかまたは高濃度アミノ酸配列に隣接している2つの隣接する低度保存(LC)されたアミノ酸配列から、区別されるかまたは切り離されている。例示的なタンデム配列HC‐LC‐HCでは、一対のエッジアミノ酸により、低度保存(LC)されたアミノ酸配列が、低度保存されたアミノ酸配列の両端にあるかまたは低度保存されたアミノ酸配列に隣接している2つの隣接する高度保存(HC)されたアミノ酸配列から、区別されるかまたは切り離されている。中央配列が高度保存されたアミノ酸配列または低度保存されたアミノ酸配列のいずれであっても、本明細書に記載の方法を用いてこのような例示的タンデム配列が同定された場合、本明細書に記載の方法に従って中央配列を除去することにより、DNA結合活性が維持されており、且つ野生型DNA結合タンパク質よりサイズが小さい、変異DNA結合タンパク質を作成する。エッジアミノ酸は、中央配列に隣接することにより、または直列する隣接配列から中央配列を切り離すことにより、変異DNA結合タンパク質を作成するために除去される中央配列を規定する。本開示の特定の態様によれば、変異DNA結合タンパク質が有用なDNA結合タンパク質活性を保持している限り、中央配列が高度保存されたアミノ酸配列であるか低度保存されたアミノ酸配列であるかに関係なく、タンデム配列中の中央配列が除去され得る。

0009

本開示におけるあまり保存されていない配列、または保存エッジ間のタンパク質配列を同定するために、アラインメントを、PFAMから得るか、またはCas9ホモログデータベースサーチにより得られた配列のコレクションから作成した。このアラインメントを計算的に調整し、位置ごとのアミノ酸頻度の(相対)エントロピーとして保存度を計算した。次に、RNA誘導型DNA結合タンパク質から配列を除去して変異体を作製する。

0010

ある態様によれば、欠失に適していると考えられるマルチドメインCas9タンパク質内の領域を同定するために、バイオインフォマテクスによるアプローチを用いて、Cas9タンパク質における潜在的なドメイン境界を同定する。MUSCLEを用いてPFAMデータベース中のCas9配列(PF13395)をリアライメントすることにより多重配列アラインメントを作成し、多様性および全長配列についてアラインメントを計算的に調整する。大腸菌の全遺伝子の平均頻度を基準として、観察されたアミノ酸頻度の相対エントロピーとして配列保存度を計算する。保存プロファイルマルチスケールエッジフィルタガウス差分(DoG)バンドパスフィルタ)を適用して、本明細書で保存エッジと呼ばれる潜在的なタンパク質ドメイン境界を帰属させる。保存エッジ間の領域を1回目欠失変異体の欠失のために選択する。

0011

ある態様によれば、本開示は、サイズがより小さいが、野生型のタンパク質に近い活性を保持している、合成NM‐Cas9欠失変異体を記載する。合成NM‐Cas9欠失変異体は、細胞中でガイドRNAとの共局在複合体としてDNAに結合させて二本鎖切断もしくは一本鎖切断を生じさせるため、または目的の標的DNAの近傍にエフェクター基を配置させて所望の機能を発揮させるために用いることができる。

0012

ある態様によれば、DNAへの結合に不必要であり、野生型DNA結合タンパク質よりサイズの小さい変異DNA結合タンパク質を形成するために除去可能である、Cas9などのDNA結合タンパク質の領域を同定するための、アラインメントに基づくドメイン検出方法が提供される。本明細書に記載の方法によれば、細菌細胞およびヒト細胞において強力な活性を示す最小化されたCas9バリアントが作製される。本明細書に記載の態様によれば、野生型DNA結合タンパク質より小さい、変異機能性Cas9バリアントなどの変異機能性DNA結合タンパク質バリアントが提供される。

0013

ある態様によれば、例示的なDNA結合タンパク質としては、原核生物および高等真核生物の両方で機能することが示されている、ナイセリア・メニンジティディス(Neisseria meningitides)のCas9(NM、GI:218767588)およびストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)のCas9(ST1、GI:116627542)などのCas9オルソログが挙げられる。その全体が参照により援用されるHou, Z. et al. Efficient genome engineering in human pluripotent stem cells using Cas9 from Neisseria meningitidis. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 110, 15644-15649, doi:10.1073/pnas.1313587110 (2013) を参照されたい。

0014

これらの例示的Cas9オルソログは、トレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)のCas9(SP、GI:13622193)より遺伝子サイズが小さく、すなわち、4100塩基対に対して約3200塩基対である。したがって、本開示の態様は、特に遺伝子長がウイルス価に大きく影響し得るウイルスパッケージング技術を用いて、DNA結合タンパク質Cas9を送達可能な効率が上昇するように、DNA結合タンパク質Cas9のサイズを小さくすることに関する。それぞれの全体が参照により援用されるKumar, M., Keller, B., Makalou, N. & Sutton, R. E. Systematic determination of the packaging limit of lentiviral vectors. Human gene therapy 12, 1893-1905, doi:10.1089/104303401753153947 (2001); Wu, Z., Yang, H. & Colosi, P. Effect of genome size on AAV vector packaging. Molecular therapy : the journal of the American Society of Gene Therapy 18, 80-86, doi:10.1038/mt.2009.255 (2010); およびGelinas, C. & Temin, H. M. Nondefective spleen necrosis virus-derived vectors define the upper size limit for packaging reticuloendotheliosis viruses. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 83, 9211-9215 (1986) を参照されたい。

0015

Cas9遺伝子のサイズを合成的に小さくすることで、より複雑な制御系および機能的ドメインを単一ベクター内にパッケージングすることができる。別の態様によれば、標的化能が向上したより小さなCas9バリアントの作製を可能にする、PAM特異性を合成的に変化させる方法が提供される。

0016

ある態様によれば、第1の種類のCas9のC末端ドメインを第2の種類のCas9のC末端ドメインと交換することによりCas9キメラを作製する方法が提供される。ある態様によれば、本開示は、NMのC末端ドメインをST1と交換することにより、機能的NM‐ST1‐Cas9キメラなどのドメイン交換Cas9キメラを提供する。キメラCas9タンパク質はST1のガイドRNAおよびPAMに対する特異性を示す。

0017

ある態様によれば、細胞は、原核細胞または真核細胞である。ある態様によれば、細胞は、細菌細胞、酵母細胞植物細胞、または動物細胞である。ある態様によれば、細胞は、哺乳動物細胞である。

0018

ある態様によれば、RNAは約10〜約500ヌクレオチドである。ある態様によれば、RNAは約20〜約100ヌクレオチドである。

0019

ある態様によれば、1種類または複数種類のRNAはガイドRNAである。ある態様によれば、1種類または複数種類のRNAはcrRNAである。ある態様によれば、1種類または複数種類のRNAはtracrRNAである。ある態様によれば、1種類または複数種類のRNAはtracrRNA‐crRNA融合体である。

0020

ある態様によれば、標的DNAは、ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、ウイルスDNA、結合可能なエレメント、または外来性DNAである。

0021

ある態様によれば、RNA誘導型DNA結合タンパク質は、DNAに結合し、且つ1種類または複数種類のRNAによってガイドされる、II型CRISPRシステムのRNA誘導型DNA結合タンパク質である。ある態様によれば、RNA誘導型DNA結合タンパク質は、DNAに結合し、且つ1種類または複数種類のRNAによってガイドされる、Cas9タンパク質である。

0022

本発明の特定の実施形態のその他の特徴および利点は、以下の実施形態およびそれらの図面の説明において、および特許請求の範囲から、さらに充分に明らかになるであろう。

0023

本特許または出願ファイルは、カラーで作製された少なくとも1枚の図面を含む。カラー図面を含む本特許または特許出願公開コピーは、特許申請し、必要な料金を支払うことで提供される。本発明の、前述した特徴およびその他の特徴、ならびに利点は、添付の図面と共に、具体的実施形態についての以下の詳細な説明からより十分に理解されるであろう。

図面の簡単な説明

0024

NM‐Cas9活性に対するYFPレポーターを含み、種々のNM‐Cas9ヌクレアーゼ欠損遺伝子で形質転換された大腸菌細胞の画像を示す図である。NM‐Cas9の非存在下では細胞は蛍光性であり(右上の陰性対照)、全長ヌクレアーゼ欠損NM‐Cas9存在下では細胞は非蛍光性である(左上の陽性対照)。作製したNM‐Cas9欠失体のうちの2つが示されており、NM‐Cas9‐Δ255‐449は、野生型レベルに近い抑制を示し(左下)、NM‐Cas9‐Δ874‐922は、DNA結合能の大部分の欠如を示している(右下)。
その全体が参照により援用されるFonfara I, et al., (2014) Phylogeny of Cas9 determines functional exchangeability of dual-RNA and Cas9 among orthologous type II CRISPR-Cas systems, Nucleic AcidsRes. 42, 2577-90に記載されるような系統樹を示す図である。赤色で印が付けられているのが、PFAMリアラインメント初期シードとして用いた配列である。
NM‐Cas9の位置まで短縮(truncate)した後のCas9アラインメントの保存プロファイルを示す図である。
SP‐Cas9における位置まで短縮(truncate)した保存プロファイルを示す図である。
Cas9タンパク質内の一次アミノ酸保存プロットを示す図である。大腸菌の全遺伝子の平均アミノ酸頻度に対する相対エントロピーが計算されている。プロットの上の縦線は、アラインメントに基づく境界検出アルゴリズムにより決定された境界を表し、太線は検出された最も有意な6つの境界を表す。
その全体が参照により援用されるFonfara, I. et al. Phylogeny of Cas9 determines functional exchangeability of dual-RNA and Cas9 among orthologous type II CRISPR-Cas systems. Nucleic acids research 42, 2577-2590, doi:10.1093/nar/gkt1074 (2014) に基づくドメイン帰属を示す図である。RuvCI〜IIIは、RuvCヌクレアーゼドメインへと折り畳まれる部分である。HNHはHNHヌクレアーゼドメインである。RRRアルギニンリッチαヘリックス領域である。網掛けは、140位周辺のアルギニンリッチな区間に基づくこの領域の伸長部である。
NM Cas9転写レポーターのデザインを示す模式図である。プロトスペーサーおよびNM特異的PAMの位置を示す。
大腸菌において試験した種々のヌクレアーゼ欠損NM変異体を用いた、NM Cas9転写抑制アッセイデータのグラフを示す図である。データは平均値±標準偏差を表す(n=4)。
NM Cas9のドメイン構造を示す模式図である。輪郭破線である白い四角は、DNA結合活性にほとんど変化を起こさないNM変異体からの最も大きな切出し領域の範囲を示す。
NM Cas9欠失解析に関し、NM Cas9転写レポーターのデザインを示す図である。プロトスペーサーおよびNM特異的PAMの位置を示す。種々のヌクレアーゼ欠損NM変異体を用いたNM Cas9転写抑制アッセイを大腸菌において試験した。データは平均値±標準偏差を表す(n=5)。
大腸菌およびヒト細胞におけるST1 Cas9欠失解析および機能検証ならびに特にST1 Cas9転写レポーターのデザインを示す図である。プロトスペーサーおよびST1特異的PAMの位置を示す。大腸菌において試験したST1ヌクレアーゼ欠損の欠失変異体を用いた、ST1 Cas9転写抑制因子アッセイ。データは平均値±標準偏差を表す(n=4)。
tdTomatoレポーターの上流に最小CMVプロモーター(min CMV)を含む、ST1活性化試験用レポーターコンストラクトを示す模式図である。最小CMVプロモーターの上流へのST1ヌクレアーゼ欠損Cas9‐VP64融合タンパク質の結合により、ヒト細胞内での転写活性化および蛍光が引き起こされる。
欠失変異体を含むST1活性化因子をsgRNAおよびtdTomatoレポーターと共にトランスフェクトして蛍光顕微鏡可視化した細胞の画像を示す図である。
フローサイトメトリーによる図8CのST1活性化の定量化を示すグラフである。データは平均値±標準偏差を表す(n=3)。
大腸菌におけるTD Cas9欠失解析および機能検証に関する図である。転写抑制因子アッセイを用いてTDヌクレアーゼ欠損欠失変異体を試験した。データは平均値±標準偏差を表す(n=4)。
転写抑制アッセイにより測定されるNM‐ST1ドメイン交換解析、および特に図示されているNM特異的PAMまたはST1特異的PAMの配列を有するNM転写レポーターおよびST1転写レポーターのデザインに関する図である。
NMおよびST1のCas9の概略をアミノ酸交換ポイントの位置と共に示す模式図である。
NMのCas9に特異的なPAM配列を有するレポーターと共に、NMのCas9に特有なガイドRNAと同時発現されたNM‐ST1ヌクレアーゼ欠損ドメイン交換変異体の蛍光のグラフを示す図である。データは平均値±標準偏差を表す(n=4)。
ST1のCas9に特異的なPAM配列を有するレポーターと共に、NMのCas9に特有なガイドRNAと同時発現されたNM‐ST1ヌクレアーゼ欠損ドメイン交換変異体の蛍光のグラフを示す図である。データは平均値±標準偏差を表す(n=4)。
ST1のCas9に特異的なPAM配列を有するレポーターと共に、ST1のCas9に特有なガイドRNAと同時発現されたNM‐ST1ヌクレアーゼ欠損ドメイン交換変異体の蛍光のグラフを示す図である。データは平均値±標準偏差を表す(n=4)。
NMのCas9に特異的なPAM配列を有するレポーターと共に、ST1のCas9に特有なガイドRNAと同時発現されたNM‐ST1ヌクレアーゼ欠損ドメイン交換変異体の蛍光のグラフを示す図である。データは平均値±標準偏差を表す(n=4)。
転写抑制アッセイにより測定されるNM‐ST1ドメイン交換解析、および特に図示されているST1特異的PAMの配列を有するST1転写レポーターのデザインに関する図である。
NMおよびST1 Cas9の概略を、アミノ酸交換ポイントの位置と共に示す模式図である。
ST1のCas9に特異的なPAM配列を有するレポーターと共に、ST1のCas9に特有なガイドRNAと同時発現されたNM‐ST1ヌクレアーゼ欠損ドメイン交換変異体の蛍光のグラフを示す図である。データは平均値±標準偏差を表す(n=4)。
ST1のCas9に特異的なPAM配列を有するレポーターと共に、NMのCas9に特有なガイドRNAと同時発現されたNM‐ST1ヌクレアーゼ欠損ドメイン交換変異体の蛍光のグラフを示す図である。データは平均値±標準偏差を表す(n=4)。

0025

本発明の実施形態は、II型CRISPRシステムの変異RNA誘導型DNA結合タンパク質に関する。そのような変異体は、II型CRISPRシステムのRNA誘導型DNA結合タンパク質属内の種間であまり保存されていないか、または高度に分岐した(divergent)配列を除去することにより作成される。ある態様によれば、RNA誘導型DNA結合タンパク質のファミリー内の種の配列をアライメントし、低度保存配列または保存エッジ間配列を決定する。次に、これらの配列を特定のRNA誘導型DNA結合タンパク質から欠失させる。例示的なRNA誘導型DNA結合タンパク質としては、例えばII型CRISPRシステム中に存在するCas9タンパク質が挙げられる。そのようなCas9タンパク質およびII型CRISPRシステムは、当該技術分野で十分に裏付けられている。Makarova et al., Nature Reviews, Microbiology, Vol. 9, June 2011, pp. 467-477を参照されたい。本明細書に記載の変異DNA結合タンパク質は、標的DNAにおける二本鎖切断もしくは標的DNAにおける一本鎖切断を生じさせるため、または標的DNAの近くにエフェクター基が配置されてエフェクター基が標的DNAと相互作用できるように標的DNAに結合するために用いることができる。そのようなエフェクター基としては、当業者に公知の活性化因子、抑制因子、またはエピジェネティック修飾因子が挙げられる。

0026

ヌクレアーゼ活性を有する例示的なDNA結合タンパク質は、二本鎖DNAにニックを形成するか、または二本鎖DNAを切断するように機能する。そのようなヌクレアーゼ活性は、ヌクレアーゼ活性を示す1つまたは複数のポリペプチド配列を有するDNA結合タンパク質から生じ得る。そのような例示的なDNA結合タンパク質は、それぞれが二本鎖DNAの特定のストランドを切断すること、またはニックを形成することに関与する、2つの別個のヌクレアーゼドメインを有していてもよい。当業者に知られているヌクレアーゼ活性を有する例示的なポリペプチド配列としては、McrA‐HNHヌクレアーゼ関連ドメインおよびRuvC様ヌクレアーゼドメインが挙げられる。したがって、例示的なDNA結合タンパク質は、McrA‐HNHヌクレアーゼ関連ドメインおよびRuvC様ヌクレアーゼドメインのうちの1つまたは複数を含む天然タンパク質である。

0027

ある態様によれば、2つ以上のヌクレアーゼドメインを有するDNA結合タンパク質は、ヌクレアーゼドメインのうちの1つを除いた全てが不活性化されるように修飾または改変されてもよい。そのような修飾または改変されたDNA結合タンパク質は、DNA結合タンパク質が二本鎖DNAの一方のストランドのみを切断する、またはニックを形成するものである限り、DNA結合タンパク質ニッカーゼと呼ばれる。RNAによってDNAにガイドされる場合、DNA結合タンパク質ニッカーゼは、RNA誘導型DNA結合タンパク質ニッカーゼと呼ばれる。

0028

例示的なDNA結合タンパク質は、II型CRISPRシステムのRNA誘導型DNA結合タンパク質である。例示的なDNA結合タンパク質は、Cas9タンパク質である。

0029

ストレプトコッカス・ピオゲネス(S. pyogenes)では、Cas9は、タンパク質中の2つの触媒ドメイン、すなわちDNAの相補鎖を切断するHNHドメインおよび非相補鎖を切断するRuvC様ドメインが介在するプロセスによって、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の3bp上流に平滑末端二本鎖切断を形成する。その全体が参照により援用されるJinke et al., Science 337, 816-821 (2012) を参照されたい。Cas9タンパク質は、Makarova et al., Nature Reviews, Microbiology, Vol. 9, June 2011, pp. 467-477の補足情報で確認されている以下のものを含む、多数のII型CRISPRシステム中に存在することが知られている。メタノコッカス・マリパルディス(Methanococcus maripaludis)C7株;コリネバクテリウムジフテリアエ(Corynebacterium diphtheriae);コリネバクテリウム・エフィシエンス(Corynebacterium efficiens)YS‐314株;コリネバクテリウム・グルタニカム(Corynebacterium glutamicum)ATCC13032 Kitasato株;コリネバクテリウム・グルタニカム ATCC13032 Bielefeld株;コリネバクテリウム・グルタニカムR株;コリネバクテリウム・クロペンステッティイ(Corynebacterium kroppenstedtii)DSM44385株;マイコバクテリウムアブサス(Mycobacterium abscessus)ATCC19977株;ノカルディアファルシニカ(Nocardia farcinica)IFM10152株;ロドコッカスエリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)PR4株;ロドコッカス・ジョスティイ(Rhodococcus jostii)RHA1株;ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus)B4 uid36573株;アシドサーマスセルロリティカス(Acidothermus cellulolyticus)11B株;アルスロバクター・クロロフェノリカス(Arthrobacter chlorophenolicus)A6株;クリベラフラビダ(Kribbella flavida)DSM17836 uid43465株;サーモモノスポラ・カーバタ(Thermomonospora curvata)DSM43183株;ビフィドバクテリウム・デンティウム(Bifidobacterium dentium)Bd1株;ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)DJO10A株;スラキアヘリトリニレデュセンス(Slackia heliotrinireducens)DSM20476株;パーセフォネラ・マリナ(Persephonella marina)EX H1株;バクテロイデスフラギリス(Bacteroides fragilis)NCTC9434株;カプノサイトファガ・オクラセア(Capnocytophaga ochracea)DSM7271株;フラボバクテリウムサイクロフィルム(Flavobacterium psychrophilum)JIP02 86株;アッカーマンシアムシフィラ(Akkermansia muciniphila)ATCC BAA835株;ロゼイフレクサスキャステンホルツィイ(Roseiflexus castenholzii)DSM13941株;ロゼイフレクサス(Roseiflexus)RS1株;シネコシスティス(Synechocystis)PCC6803株;エルシミクロビウム・ミヌトゥム(Elusimicrobium minutum)Pei191株;未培養細菌Termite group 1 bacterium phylotype Rs D17;フィブロバクター・サクシノゲネス(Fibrobacter succinogenes)S85株;バチルスセレウス(Bacillus cereus)ATCC10987株;リステリア・イノキュア(Listeria innocua);ラクトバチルスカゼイ(Lactobacillus casei);ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)GG株;ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)UCC118株;ストレプトコッカス・アガラクティアエ(Streptococcus agalactiae)A909株;ストレプトコッカス・アガラクティアエ NEM316株;ストレプトコッカス・アガラクティアエ 2603株;ストレプトコッカス・ディスガテクティア亜種エクイシミリス(Streptococcus dysgalactiae equisimilis)GGS124株;ストレプトコッカス・エクイ亜種ズーエピデミカス(Streptococcus equi zooepidemicus)MGCS10565株;ストレプトコッカス・ガロリティカス(Streptococcus gallolyticus)UCN34 uid46061株;ストレプトコッカス・ゴルドニイ(Streptococcus gordonii)チャリス(Challis)株CH1亜株;ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)NN2025 uid46353株;ストレプトコッカス・ミュータンス;ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)M1 GAS株;ストレプトコッカス・ピオゲネスMGAS5005株;ストレプトコッカス・ピオゲネス MGAS2096株;ストレプトコッカス・ピオゲネスMGAS9429株;ストレプトコッカス・ピオゲネス MGAS10270株;ストレプトコッカス・ピオゲネス MGAS6180株;ストレプトコッカス・ピオゲネス MGAS315株;ストレプトコッカス・ピオゲネスSSI‐1株;ストレプトコッカス・ピオゲネス MGAS10750株;ストレプトコッカス・ピオゲネス NZ131株;ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophiles)CNRZ1066株;ストレプトコッカス・サーモフィラス LMD‐9株;ストレプトコッカス・サーモフィラス LMG18311株;クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)A3 Loch Maree株;クロストリジウム・ボツリヌム B Eklund 17B株;クロストリジウム・ボツリヌム Ba4 657株;クロストリジウム・ボツリヌム F Langeland株;クロストリジウム・セルロリティカム(Clostridium cellulolyticum)H10株;フィネゴルディア・マグナ(Finegoldia magna)ATCC29328株;ユウバクテリウム・レクターレ(Eubacterium rectale)ATCC33656株;マイコプラズマガリセプティカム(Mycoplasma gallisepticum);マイコプラズマ・モービレ(Mycoplasma mobile)163K株;マイコプラズマ・ペネトランス(Mycoplasma penetrans);マイコプラズマ・シノビアエ(Mycoplasma synoviae)53株;ストレプトバチルス・モニリフォルミス(Streptobacillus moniliformis)DSM12112株;ブラリゾビウム(Bradyrhizobium)BTAi1株;ニトロバクター・ハンブルゲンシス(Nitrobacter hamburgensis)X14株;ロドシュードモナスパルストリス(Rhodopseudomonas palustris)BisB18;ロドシュードモナス・パルストリス BisB5株;パルビバクラムラバメンティボランス(Parvibaculum lavamentivorans)DS‐1株;ディノロセオバクター・シバエ(Dinoroseobacter shibae)DFL12株;グルコンアセトバクタージアゾトロフィクス(Gluconacetobacter diazotrophicus)Pal 5FAPERJ株;グルコンアセトバクター・ジアゾトロフィクス Pal 5JGI株;アゾスピリルム(Azospirillum)B510 uid46085株;ロドスピリラム・ルブラム(Rhodospirillum rubrum)ATCC11170株;ディアフォロバクター(Diaphorobacter)TPSY uid29975株;フェルミネフォロバクター・エイニアエ(Verminephrobacter eiseniae)EF01‐2株;ナイセリア・メニンジティディス(Neisseria meningitides)053442株;ナイセリア・メニンジティディス alpha14;ナイセリア・メニンジティディス Z2491株;デスルホビブリオ・サレキシゲンス(Desulfovibrio salexigens)DSM 2638株;キャンピロバククー・ジェジュニ亜種ドイレイ(Campylobacter jejuni doylei)269 97株;キャンピロバククー・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)81116株;キャンピロバククー・ジェジュニ;キャンピロバクター・ラリ(Campylobacter lari)RM2100株;ヘリコバクターヘパティカス(H Helicobacter hepaticus);ウォリネラ・サクシノゲネス(Wolinella succinogenes);トルナス・アウエンシス(Tolumonas auensis)DSM9187株;シュードアルテロモナスアトランティカ(Pseudoalteromonas atlantica)T6c株;シューワネラ・ペアレアナ(Shewanella pealeana)ATCC700345株;レジオネラニューモフィラ(Legionella pneumophila)Paris株;アクチノバチルス・サクシノゲネス(Actinobacillus succinogenes)130Z株;パスツレラムルトシダ(Pasteurella multocida);フランシセラ・ツラレンシス亜種ノビシダ(Francisella tularensis novicida)U112株;フランシセラ・ツラレンシス亜種ハラークティカ(Francisella tularensis holarctica);フランシセラ・ツラレンシスFSC198株;フランシセラ・ツラレンシス亜種ツラレンシス(Francisella tularensis tularensis);フランシセラ・ツラレンシス WY96‐3418株;およびトレポネーマデンティコラ(Treponema denticola)ATCC35405株。したがって、本開示の態様は、上記で特定される種のいずれか1つなど、II型CRISPRシステム中に存在するCas9タンパク質の変異体に関する。例示的なCas9タンパク質は、ナイセリア・メニンジティディス(Neisseria meningitidis)053442株、ナイセリア・メニンジティディス α14株、ナイセリア・メニンジティディス Z2491株などのナイセリア・メニンジティディスにおいて見出されるCas9タンパク質である。

0030

本開示に係る細胞には、本明細書に記載されるように外来核酸の導入でき、発現させることができるあらゆる細胞が含まれる。本明細書に記載される本開示の基本的概念は細胞の種類によって限定されないと理解されるべきである。本開示に係る細胞には、真核細胞、原核細胞、動物細胞、植物細胞、真菌細胞、古細菌細胞、真正細菌細胞などが含まれる。細胞には、酵母細胞、植物細胞、および動物細胞などの真核細胞が含まれる。具体的な細胞としては、哺乳動物細胞が挙げられる。具体的な細胞としては、ヒト誘導多能性幹細胞など、多能性幹細胞などの幹細胞が挙げられる。

0031

標的核酸としては、変異RNA誘導型DNA結合タンパク質ヌクレアーゼがニック形成または切断に有用であり得る任意の核酸配列が挙げられる。標的核酸としては遺伝子が挙げられる。本開示の目的のために、二本鎖DNAなどのDNAは標的核酸を含んでいてもよく、共局在複合体は、共局在複合体が標的核酸に対する所望の効果を与えられ得るよう、その標的核酸において、またはその標的核酸に隣接して、またはその標的核酸の近傍で、DNAに結合、またはDNAと共局在することができる。そのような標的核酸は、内在性(または天然)の核酸および外来性(または外来)の核酸を含んでいてもよい。当業者は、本開示に基づき、標的核酸を含むDNAに共局在するガイドRNAおよび変異Cas9タンパク質を容易に特定またはデザインすることができる。DNAには、ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、ウイルスDNA、結合可能なエレメント、または外来性DNAが含まれる。

0032

外来核酸(すなわち、細胞の天然核酸組成物の一部でないもの)は、当業者に公知の任意の導入方法を用いて細胞に導入されてもよい。そのような方法には、遺伝子導入法形質導入法、ウイルス形質導入法、マイクロインジェクション法リポフェクション法、ヌクレオフェクション法、ナノ粒子(nanoparticle bombardment)法、形質転換法結合法(conjugation)などが含まれる。当業者は、容易に特定可能な文献資料を用いてそのような方法を容易に理解し、適用するであろう。

0033

ある態様によれば、Cas9のファミリー内の種内であまり保存されていないか、もしくは分岐したCas9タンパク質の一部分、またはCas9のファミリー内の種内の保存エッジ間にあるCas9タンパク質の一部分を欠失させることにより、Cas9タンパク質をコードするために必要な遺伝物質を小さくする。機能的Cas9をコードするために必要な核酸のサイズを小さくすることにより、Cas9を送達するようにデザインされたベクターに、ガイドRNAまたは調節エレメントまたはエフェクタードメインをコードする核酸などの付加的な核酸を含めることができる。最も小さな特徴解析されているCas9ファミリーメンバーを使用する場合、Cas9を所望のゲノム座位に適切に局在させるために必要な遺伝因子(Cas9タンパク質およびgRNA)をコードするのに約4,500キロベースのDNAが必要となる。約4,500塩基対のCas9は、アデノ随伴ウイルス(AAV)系ウイルスベクター(欧州で規制承認されているウイルスベクター)内へのパッケージングのサイズ限度に近い。さらに、プログラム可能なDNA結合タンパク質に融合される第1の転写ドメインおよびエピジェネティックエフェクタードメインのいくつかは2,000塩基対より大きいため、Cas9に融合させた場合、AAVベクターのパッケージング限度を遙かに超え、レンチウイルスパッケージングシステムの限度(約8,000塩基対)に近づく。

0034

以下の実施例は本開示の代表例として記載するものである。本開示、図面、および添付の特許請求の範囲を考慮して、これらの実施例および他の同等の実施形態が明らかになるので、これらの実施例は本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。

0035

実施例I
Cas9変異体
Cas9をコードする遺伝子サイズが大きいという問題を克服するために、最も小さい特徴解析されているCas9ファミリーメンバーの1つであるNM‐Cas9(ナイセリア・メニンジティディスのCas9)内で種々の領域の標的化欠失を行う。NM‐Cas9のサイズは3,249bpである。ゲノム標的化のための必要条件およびヌクレアーゼ活性に関わる残基を決定する。よりサイズの小さいNM‐Cas9を作製するために、Cas9タンパク質のアラインメントを作製し、低度保存された隣接区間または保存エッジ間の区間を欠失のために同定した。複数の目的領域を同定し、NM‐Cas9から選択的に除去した後、Cas9抑制因子アッセイを用いて機能を評価した。アッセイでは、ヌクレアーゼ活性を欠いているがレポーター遺伝子の5′領域を標的化可能なNM‐Cas9変異体を用いた。NM‐Cas9は、レポーター遺伝子に結合できる場合は転写を抑制し、蛍光レポーターの場合、細胞が非蛍光性となる。

0036

Cas9のアラインメントおよび欠失予測:PFAMデータベース、またはjackHMMER(その全体が参照により援用されるR.D. Finn, J. Clements, S.R. Eddy, Nucleic AcidsResearch (2011) Web Server Issue 39:W29-W37)などのデータベースサーチから、Cas9ホモログの全長配列を得た。配列のコレクションがアライメントされない場合、CLUSTALW(その全体が参照により援用されるSievers F, Wilm A, Dineen DG, Gibson TJ, Karplus K, Li W, Lopez R, McWilliam H, Remmert M, Soding J, Thompson JD, Higgins DG (2011))などのアラインメントアルゴリズムまたは同等物を用いてアラインメントを作成する。アラインメントを目的配列の位置まで計算的にカットし、アラインメントの偏りが少なくなるように調整した(例えば、ペアワイズ同一性が95%を超える配列を除去した)。その位置でのアミノ酸およびギャップの量を考慮して、位置当たりのアミノ酸頻度のエントロピーまたは相対エントロピーとして保存度を計算する。低度保存領域または保存エッジ間領域を欠失の標的とする。実験検証を反復して、欠失を拡大するか、またはシフトさせる。

0037

欠失体の構築および特徴解析:その全体が参照により援用されるEsvelt, K. M., Mali, P., Braff, J. L., Moosburner, M., Yaung, S. J., and Church, G. M. (2013) Nat Methods10, 1116-1121に記載されるように、ヌクレアーゼ欠損NM‐Cas9を発現する細菌プラスミドをあらかじめ作製した。NM‐Cas9内に標的欠失を生じさせるために、その全体が参照により援用されるGibson, D. G., Young, L., Chuang, R. Y., Venter, J. C., Hutchison, C. A., 3rd, and Smith, H. O. (2009) Nat Methods 6, 343-345に記載されるように、ギブソンアセンブリを用いた。重複する相補的部分を含み、NM‐Cas9内の標的領域を除去してSGGGSリンカーを挿入するようにデザインされたプライマー購入し、PCR反応に用いた。PCR断片をゲル精製し、ギブソン・アセンブリを用いてインビトロでアセンブルし、大腸菌に形質転換した。クローンの配列を検証し、(2つではなく)単一のプラスミドがNM‐Cas9のスペーサー、標的プロトスペーサー、およびNM‐Cas9活性に対するYFPレポーターを含む、あらかじめ作製されたNM‐Cas9レポータープラスミド((2013) Nat Methods 10, 1116-1121参照)の改変型を用いてクローンを試験した。簡潔に述べると、このアッセイでは、合成NM‐Cas9バリアントおよびレポータープラスミドで細胞を同時形質転換する。次に、二重に形質転換された細胞を37℃で生育し、蛍光プレートリーダーを用いてYFP蛍光の量を測定し、野生型ヌクレアーゼ欠損NM‐Cas9を有する対照プラスミドおよびレポータープラスミドで形質転換された細胞と比較する。

0038

以下の配列は、YFPレポーターアッセイにより測定されるように、ほぼ野生型レベルに近い活性を保持していた2つの最も大きなNM‐Cas9単一欠失変異体の配列である。NM‐cas9内の欠失領域置換しているSGGGSリンカーの配列は、大文字で示される。

0039

0040

0041

0042

本明細書に記載の方法に従って、NM‐Cas9内の複数の欠失が同定された。最大のNM‐Cas9‐Δ255‐449は595塩基対が除去されており、レポーターアッセイにより測定されるように、活性低下はわずか16%である。ある態様によれば、NM‐Cas9などの野生型Cas9より1000塩基対または900塩基対少なく、野生型レベルに近い活性を保持している、変異Cas9タンパク質が提供される。

0043

実施例II
欠失のためのCas9ヌクレアーゼドメインの標的化
Cas9のニッカーゼ欠損アレルまたはヌクレアーゼ欠損アレルが望まれる場合、低度配列保存領域または配列保存エッジ間領域を標的化すると共に、Cas9ヌクレアーゼドメインを周囲のヌクレオチドと共に欠失のための標的としてもよい。このようなアプローチを用いて、HNHモチーフおよび周囲のヌクレオチドを欠いた機能的NM‐Cas9アレルであるNM‐Cas9‐Δ567‐654を作製した。このアレルは、YFPレポーターアッセイで測定されるように、野生型とほぼ同じDNA結合能を保持していた。

0044

実施例III
偏りのないNM‐Cas9欠失ライブラリー構築方法
Cas9欠失体を作製するために標的アプローチに加えて、本開示の態様には、ランダム欠失生成および機能的変異体スクリーニングのためのハイスループットアプローチが含まれる。例示的な方法によれば、無差別(promiscuous)ヌクレアーゼ、超音波処理サンプルの反復ピペッティング、または他の化学的酵素的、もしくは環境的手段を用いて、所望のCas9アレルを含むプラスミドDNAを剪断してもよい。断片化後、プラスミドDNAをエキソヌクレアーゼで処理して、Cas9遺伝子からヌクレオチドを除去してもよい。エキソヌクレアーゼ処理後、断片化末端をマンビーンヌクレアーゼまたはクレノーポリメラーゼなどの酵素平滑末端化し、互いにライゲーションさせて、ランダム欠失を含むCas9プラスミドを再生する。Cas9の欠失部分内にリンカーまたはエフェクターモチーフなどの外来性ドメインを挿入するために、平滑末端化された断片DNAにそのようなドメインをライゲーションさせてもよく、次に、プラスミドの環状化により、Cas9の欠失部分内に外来性ドメインが挿入されたCas9コード配列が得られる。次に、環状化分子のライブラリーを大腸菌に形質転換し、プラスミドDNAを抽出する。

0045

この時点で、ライブラリーをCas9活性のレポーターアッセイを含む細胞に形質転換してもよく、機能的活性を維持しているライブラリーのメンバーを同定してもよい。あるいは、スクリーニングするライブラリーのサイズを小さくするために、新たに作製されたライブラリー由来のCas9のコード配列を消化またはPCRにより単離してもよく、最初の野生型Cas9遺伝子より短くなるように断片をサイズで選択してもよい。次に、これらのより小さいメンバーを最初のベクター中に再度ライゲーションし、Cas9活性に対するレポーターを含む細胞に形質転換してもよい。

0046

プラスミドの剪断に加えて、3′側にCas9遺伝子に対する相同性を有するが5′側には互いに対する相同性を有し、各オリゴヌクレオチドの3′末端がCas9内の約30塩基対の異なる区間に結合する、オリゴヌクレオチドのライブラリーを作製してもよい。これらのオリゴヌクレオチドはCas9コード配列のセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方をカバーする。次に、これらのオリゴヌクレオチドを用いてPCRを行い、所与のセンスPCR反応産物のそれぞれが他のアンチセンスPCR産物の全てに対する相補性を有し、逆も同じである、一連のCas9断片を作製することができる。次に、ギブソン・アセンブリまたはオーバーラップエクステンションPCRなどの方法を用いてこれらの断片同士をアニーリングさせた後、ベクター骨格中へのライゲーションおよび細胞への形質転換を行い、Cas9遺伝子のランダムな区間が除去されたCas9バリアントのライブラリーを作製することができる。より長いリンカーのため、または欠失領域内にエフェクタードメインを挿入するためには、オリゴヌクレオチドはその5′末端に、より長いリンカーまたはエフェクタードメインに対する相補性を有するべきであり、次に、このドメインは、ギブソン・アセンブリ反応中またはオーバーラップ・エクステンションPCR中に導入されるべきである。ライブラリー作製されると、本明細書に記載のYFPレポーターシステムなどのレポーターアッセイを用いて機能的バリアントを同定することができる。

0047

実施例IV
ベクター構築
Cas9ヌクレアーゼ欠損プラスミドは、ST1(Addgene#48659)であるか、またはNMプラスミドおよびTDプラスミド(それぞれ、Addgene#48646および48648)から、以下の点変異(NM:D16A D587A H588A N611A、およびTD:D13A D878A H879A N902A)を導入することにより構築した。ギブソン・アセンブリを用いてCas9欠失体を作製した。内部欠失体を作製する場合、連結断片間のリンカーを欠くNMΔ566‐620以外は、内部欠失体を5アミノ酸のSer‐Gly‐Gly‐Gly‐Serリンカーで連結した。N末端ドメイン交換により、ST1の残基1〜117をNMの残基118〜1082に融合させた。C末端ドメイン交換により、NMの残基1〜727をST1の残基743〜1121に融合させた。

0048

実施例V
細菌レポーターコンストラクト
欠失変異体の解析に用いるレポーターコンストラクトは、単一のSC101‐kanRプラスミド骨格中スペーサーエレメントおよびYFPレポーターを併せ持つこと以外は、以前に発表されているものと同様である。ドメイン交換解析のためのレポーターコンストラクトは以前に使用されているものと同じである。その全体が参照により援用されるEsvelt, K. M. et al. Orthogonal Cas9 proteins for RNA-guided gene regulation and editing. Nature methods10, 1116-1121, doi:10.1038/nmeth.2681 (2013) を参照されたい。

0049

実施例VI
哺乳動物レポーターコンストラクト
M‐ST1n‐VP64コンストラクト、ST1ガイドRNAプラスミド、およびST1特異的哺乳動物転写レポーターは、Esvelt, K. M. et al. Orthogonal Cas9 proteins for RNA-guided gene regulation and editing. Nature methods10, 1116-1121, doi:10.1038/nmeth.2681 (2013)において以前に発表されている(それぞれ、Addgene#48675、48672、および48678)。細菌のコンストラクトの場合と同様に欠失変異体を作製した。

0050

実施例VII
抑制アッセイ
試験対象の適切なスペーサー/レポーターコンストラクトおよびCas9ベクターでNEB 10‐beta細胞(New England NioLabs社)を同時形質転換することにより、Cas9抑制アッセイを行った。形質転換によって生じたコロニーピックアップし、96ウェルプレート中で連続振盪しながら37℃で生育した。翌日、Synergy Neoマイクロプレートリーダー(BioTek社)を用いてプレート読み取り、495〜528nmの蛍光および600nmの吸光度を測定した。交換実験では、以前に公開されている2つの異なったスペーサー/プロトスペーサーの組合せ(AおよびB)(Esvelt, K. M. et al. Orthogonal Cas9 proteins for RNA-guided gene regulation and editing. Nature methods10, 1116-1121, doi:10.1038/nmeth.2681 (2013) 参照)を試験した。他の全ての実験では、スペーサー/プロトスペーサーの組合せBのみを調べた。

0051

実施例VIII
細胞培養およびトランスフェクション
10%FBS(Invitrogen社)およびペニシリンストレプトマイシン(Invitrogen社)を添加した、高グルコースダルベッコ変法イーグル培地(Invitrogen社)中でHEK 293T細胞を維持した。加湿インキュベーター中に細胞を37℃、5%CO2で維持した。1ウェル当たり50,000細胞を播種した24ウェルプレート中で細胞に遺伝子導入した。2.5μlのリポフェクタミン2000を用いて、400ngのCas9活性化因子、100ngのgRNA、および60ngのレポータープラスミドを各ウェルに送達した。細胞をさらに36〜48時間生育した後、免疫蛍光またはFACSを用いてアッセイした。

0052

実施例IX
多重配列アラインメントおよびエッジフィルタ
MUSCLEでPFAMデータベースのCas9配列(PF13395、798個の配列)をリアライメントし、MATLABスクリプトを用いて多様性および全長配列についてアラインメントを調整することにより多重配列アラインメントを作成した。以下に更に具体的に説明するこの方法により、217個の配列が得られた。

0053

PFAMデータベース中のCas9配列(PF13395、798個の配列)の最終的なリアラインメントを得るために、以下のステッププログラムコードは全てMATLAB)を行った。Fonfara I, et al., (2014) Phylogeny of Cas9 determines functional exchangeability of dual-RNA and Cas9 among orthologous type II CRISPR-Cas systems, Nucleic AcidsRes. 42, 2577-90からのアラインメントを得、グループIIAおよびIICからの配列のみを含め、後者からは、IIAとIICを分離する分岐までの配列のみ(図2中で赤色の四角で印付けられている)の合計49個の配列を含めた。

0054

次に、配列を2つのグループ、すなわち150位付近に大きな挿入を有するグループおよび有さないグループに分けた(これは、例えば一方でNM‐Cas9とST‐Cas9を区別し、他方でSP‐Cas9とTD‐Cas9を区別する)。MUSCLE(Edgar, RC (2004) MUSCLE: multiple sequence alignment with high accuracy and high throughput, Nucleic AcidsRes 32, 1792-97参照)を用いてこれらのグループを別個にアライメントし、(配列の長さのため)ウィンドウアプローチ(windowed approach)を用いてリアライメントした後、1つのシードアラインメントへとプロファイル間アライメントを行った。

0055

PF13395中の配列を、MUSCLEでシードアラインメントを用いてリアライメントした。シードを用いた全てのアラインメントは、各標的配列を1つずつシードに対してアライメントすることにより行われる。このアラインメントを用いて、シードと標的配列の間でトップヒット同一性を決定し、トップヒット同一性の降順に再度整理する。次に、今度は同一性の降順に、標的配列をシードに対して1つずつリアライメントする。この2ステップのアプローチをとることでアラインメントのロバスト性を確保する。さらに、これらの配列を、挿入を含むか否かによって分け、2つの別個のグループをプロファイルとしてシードとリアライメントする。短い配列および大きな短縮を有する配列を手動で除く。90%を超えるペアワイズ類似性を有する配列を除く。

0056

得られた2つのアラインメントをプロファイル間で互いにアライメントし、合計217個の配列を得た。得られたアラインメントを、目的のCas9オルソログの位置まで短縮する。

0057

大腸菌O157の全遺伝子の平均アミノ酸バックグラウンド頻度に対する相対エントロピーとして配列保存度を計算した。得られた保存プロファイルにガウス差分(DoG)エッジフィルタ(その全体が参照により援用されるMarr, D. & Hildreth, E. Theory of edge detection. Proceedings of the Royal Society of London. Series B, Containing papers of a Biological character. Royal Society 207, 187-217 (1980) 参照)を適用し、パラメータ選択に対するロバスト性を実現するために複数の長さスケールで平均化し、種々の長さスケールで検出することにより、ドメイン境界検出を行った。

0058

具体的には、アラインメントの保存度を、大腸菌O157の全遺伝子の平均頻度に対するアミノ酸頻度の相対エントロピーとして計算した(Cover, TM and Thomas, JT (2006) Elements of Information Theory; 2nd edition, Wiley-Interscience参照)。

0059

0060

式中、piaは、位置iにおけるアミノ酸aの頻度であり、qaは、アミノ酸aの平均頻度である。20アミノ酸の全体の総和である。logの底は2であり、エントロピーはビットで与えられる。平均頻度qaは以下の通りである。
{A C D E F G H I K L M N P Q R S T V W Y}=0.094 0.012 0.052 0.058 0.038 0.073 0.022 0.059 0.045 0.104 0.027 0.041 0.044 0.044 0.057 0.060 0.055 0.070 0.015 0.029。NM‐Cas9の位置まで短縮した後、Cas9のアラインメントにより、図3の保存プロファイルが得られる。

0061

保存プロファイルを、(IIA型サブファミリーの、より大きなCas9タンパク質の一例である)SP‐Cas9における位置までプロット短縮する。N末端のおよそNM145(SP170)の位置まで、およびさらにNM200(SP400)の位置の後に、同様な特徴が観察され、これは前述の大きな挿入である。図4を参照されたい。

0062

マルチスケールエッジフィルタを保存プロファイルに適用することにより潜在的ドメイン境界を同定した。このフィルタにより、様々なスケールでガウス差分(DoG)(その全体が参照により援用されるMarr, D and Hildreth, E (1980) Theory of Edge Detection, Proc R Soc Lond B Biol Sci 207, 187-217参照)が計算され、得られたグラフが総計される。この曲線極値は、タンパク質中の低度保存領域と高度保存領域の境界であると解釈される。これらのドメインは、進化的分岐速度の差につながる潜在的に異なる機能的重要性のため、異なる保存レベルを示し得る。異なる保存度は、進化的時間軸にわたるドメイン挿入により生じたマルチドメインタンパク質の特徴であり得る。極値の値は、重要性の点から境界を順位付けるために用いられる。

0063

NMの位置に限定したCas9アラインメントでは、本明細書に記載の方法を用いて以下の境界または保存エッジまたはエッジアミノ酸が同定された。

0064

0065

実施例X
Cas9ファミリーメンバーの計算解析
欠失に適していると考えられるマルチドメインCas9タンパク質内の領域を同定するために、バイオインフォマティクス的アプローチを用いてドメイン間の潜在的境界を同定した。よく精選されたシードアラインメントを用いて、前述したように、PFAMから得た全長Cas9配列(PF13395)を再度アライメントし、高いペアワイズ同一性を有する配列を除去した。大腸菌の全遺伝子の平均頻度に対する観察されたアミノ酸頻度の相対エントロピー(Cover, T. M., Thomas, J.T. Elements of Information Theory, 2nd edition. (Wiley-Interscience, 2006) 参照)として一次配列保存度を計算した。マルチドメインタンパク質中のドメインは様々なレベルの配列保存度を示すと予想できるので、ドメイン境界の位置を同定するためには、保存プロファイルにマルチスケールエッジフィルタを適用することが好適であると考えられる。

0066

狭い範囲の空間周波数(spatial frequency)に対して感受性があるガウス差分(DoG)バンドパスフィルタを用いて保存プロファイルについてエッジ検出を行った。Marr, D. & Hildreth, E. Theory of edge detection. Proceedings of the Royal Society of London. Series B, Containing papers of a Biological character. Royal Society 207, 187-217 (1980) を参照されたい。種々の長さスケールでの検出を可能にするため、および特定のパラメータ選択に対してフィルタを非感受性にするため、複数のスケール(5〜50アミノ酸)にわたる平均化を行った。次に、Cas9アラインメントの保存プロファイルにバンドパスフィルタを適用した。NM‐Cas9についての同定された潜在的境界位置を図5Aに示す。上位6つの境界を赤色の長い太線で示す。図に示すように、それぞれの全体が参照により援用されるSapranauskas, R. et al. The Streptococcus thermophilus CRISPR/Cas system provides immunity in Escherichia coli. Nucleic acidsresearch 39, 9275-9282, doi:10.1093/nar/gkr606 (2011)およびFonfara, I. et al. Phylogeny of Cas9 determines functional exchangeability of dual-RNA and Cas9 among orthologous type II CRISPR-Cas systems. Nucleic acids research 42, 2577-2590, doi:10.1093/nar/gkt1074 (2014) において以前に帰属された500位の上流から始まり750位まで及ぶ既知のHNHおよびRuvCドメインの配置をフィルタは正確に同定している(図5B参照)。560位周辺および620位周辺のドメイン間境界も正確に予想されている。88位の第1のアルギニンリッチαヘリックスの境界も予想されている。144位にある、タンパク質のN末端側の上位の境界の1つは、過去にFonfara, I. et al. Phylogeny of Cas9 determines functional exchangeability of dual-RNA and Cas9 among orthologous type II CRISPR-Cas systems. Nucleic acids research 42, 2577-2590, doi:10.1093/nar/gkt1074 (2014) においてドメイン境界として同定されていないが、アルギニン(Arg)リッチαヘリックス領域をより詳細に描写しており、今回、第2の保存されたアルギニンリッチヘリックスを含んでいた。

0067

実施例XI
Cas9の短縮体および欠失解析
Cas9内の機能的ドメインおよび潜在的非機能的ドメインを実験的に探索するために、N末端およびC末端の短縮体、並びに、本明細書に記載のドメイン検出解析に基づく中程度の一連の内部欠失体を作製した。機能的ヌクレアーゼ欠損Cas9タンパク質がYFPレポーターの5′末端に結合し、それによりレポーターの発現レベルが低下する、大腸菌における転写抑制因子アッセイを用いて欠失の影響を解析した(図6A参照)。それぞれの全体が参照により援用されるQi, L. S. et al. Repurposing CRISPR as an RNA-guided platform for sequence-specific control of gene expression. Cell 152, 1173-1183, doi:10.1016/j.cell.2013.02.022 (2013); Esvelt, K. M. et al. Orthogonal Cas9 proteins for RNA-guided gene regulation and editing. Nature methods10, 1116-1121, doi:10.1038/nmeth.2681 (2013); およびBikard, D. et al. Programmable repression and activation of bacterial gene expression using an engineered CRISPR-Cas system. Nucleic acids research 41, 7429-7437, doi:10.1093/nar/gkt520 (2013) を参照されたい。N末端またはC末端の短縮体はいずれもレポーターを抑制できなかったが、288位の境界の下流および上流の2つの内部欠失体であるNMΔ255‐289およびNMΔ330‐389、ならびにNMΔ566‐620欠失体は野生型レベルに近い抑制を示した(図6Bおよび図7)。欠失を反復的に拡大した複数回の解析をさらに行い、レポーターを抑制する能力をアッセイした(図6B)。NM活性をほとんど低下させずに除去可能であった2つの大きな非重複領域254‐449および567‐654(それぞれ、タンパク質の全長の18%および8%を構成する)が同定された(図6C)。アラインメントに示されるように、NMの254‐449位は、Cas9タンパク質に特異的なタンパク質領域内において、比較的低度保存された区間である。567から654位はHNHドメインであり、これはCas9のDNA触媒に重要であることが知られているが、DNA結合については不必要であることが分かっているドメインである。

0068

NM‐Cas9から除去された領域がNMに固有でなく、他のCas9ファミリーメンバーから除去可能な一般的領域であることを実証するために、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)のCas9(ST1)およびトレポネーマ・デンティコラ(Treponema denticola)のCas9(TD、GI:42525843)のヌクレアーゼ欠損バリアント内で対応する欠失体を作製し、転写抑制アッセイを用いてこれらの機能を測定した(図8Aおよび図9)。ST1およびTDの両方における対応する欠失変異体がそれらの対応する野生型と同様な活性を示したことから、除去された領域が、Cas9系統樹全体において、さらにTDなどのタイプII‐Aサブファミリー内のより離れたメンバー間においても、Cas9のDNA結合に不必要であることが示唆される。

0069

本明細書に記載の2つの最も大きい機能的欠失体の活性を、転写活性化因子アッセイを用いてST1‐Cas9内で試験した(図8B)。大腸菌内での解析と一致して、VP64活性化ドメインに融合させてヒト細胞において蛍光レポーターを標的化した場合に、両方のST1欠失変異体が野生型タンパク質匹敵する活性を保持していた(図8C図8D)。2つの欠失変異体の大きい方であるΔ255‐450(ST1のナンバリング)は、サイズが2,793塩基対であるCas9遺伝子を生じる。

実施例

0070

実施例XII
Cas9ドメイン交換
Cas9のN末端ドメインおよびC末端ドメインは、crRNA:tracrRNA結合および/またはPAM選択性に重要な役割を果たし得る。活性を解析するために、NMのN末端および/またはC末端をST1の相同な領域と置換した、NMとST1との間の一連のドメイン交換変異体を作製した。次に、レポーター内のガイドRNAおよび/またはCas9特異的PAMを変更して、本明細書に記載の転写レポーターアッセイを用いてキメラタンパク質を試験して、タンパク質特異性に対するドメイン交換の影響を決定した(図10A)。ドメイン交換の正確な位置はドメイン境界解析に基づいて決定された。すなわち、同定された最も有意なN末端境界およびC末端境界(図5A)にできるだけ近い位置であると同時にアラインメント内でほぼ完全に保存されている位置を選択した(図10B)。NMとST1との間のN末端ドメイン交換体はいずれもNMに新規な特性を付与しなかったことから、ST1のN末端はモジュール式ではなく、導入されなかったST1の他の領域と関連して機能することが示唆される(図10C〜10F)。C末端交換により、ST1のcrRNA:tracrRNA複合体と相互作用可能であり、さらにST1特異的PAMを有するレポーターを抑制可能である、NM‐ST1ハイブリッドが作製された(図10E)。この結果は、図11(A)〜11(D)に示されているように、他のST1特異的レポーターを用いてさらに検証された。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ