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技術 光電変換素子、およびその製造方法

出願人 パナソニックIPマネジメント株式会社
発明者 平出雅哉中田学能澤克弥井上恭典
出願日 2019年1月21日 (1年3ヶ月経過) 出願番号 2019-007677
公開日 2019年9月5日 (7ヶ月経過) 公開番号 2019-149542
状態 未査定
技術分野 固体撮像素子
主要キーワード フィードバック線 エネルギ図 行信号線 ゲイン切替 傷欠陥 物理的気相堆積法 n型半導体 高周波マグネトロンスパッタリング
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重要な関連分野

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図面 (20)

課題

傷欠陥をより抑制する。

解決手段

本開示の一態様に係る光電変換素子の製造方法は、主面を有する半導体基板と、前記主面の上方に位置する第1電極と、前記主面の上方に位置し、1次元または2次元に配列された複数の第2電極と、前記複数の第2電極を少なくとも覆う光電変換膜と、を含む基体を準備する工程と、前記光電変換膜のうち、平面視において前記複数の第2電極と重なる部分を覆う被覆部を含み、かつ導電性を有するマスク層を、前記光電変換膜上に形成する工程と、前記基体および前記マスク層をエッチャントに浸漬することにより前記光電変換膜の一部を除去する工程と、を含む。

概要

背景

半導体基板の上方に光電変換部を配置した撮像装置が知られている。このような構成は、積層型とも呼ばれ、例えば下記の特許文献1から4は、半導体基板の上方に光電変換膜を有する撮像装置を開示している。

積層型の構成では、光電変換部を支持する半導体基板に、信号の読み出しのためのCCD(Charge Coupled Device)回路またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)回路が設けられる。積層型の構成によれば、光電変換を担う部分が半導体基板の上方に位置するので高い開口率を得やすい。また、Siでは吸収を示さない近赤外領域においても感度を持たせることが可能という利点も得られる。参考のために、特開2006−032714号公報、特開2011−228648号公報、特開2015−056554号公報および特開2003−234460号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。

光電変換膜を形成するための材料としては、典型的には、有機材料が用いられる。特許文献1は、光電変換膜である有機材料層ドライエッチングによるパターニング方法を開示している。特許文献2および3は、有機光電変換膜にかかる応力を低減することによる、白傷欠陥の抑制を提案している。ここで、「白傷欠陥」とは、局所的に応力が集中するなどの要因によって光電変換膜が損傷を受け、損傷を受けた箇所に暗電流が生じることにより白い傷のような明るい部分が画像中に生じる現象を指す。

概要

傷欠陥をより抑制する。本開示の一態様に係る光電変換素子の製造方法は、主面を有する半導体基板と、前記主面の上方に位置する第1電極と、前記主面の上方に位置し、1次元または2次元に配列された複数の第2電極と、前記複数の第2電極を少なくとも覆う光電変換膜と、を含む基体を準備する工程と、前記光電変換膜のうち、平面視において前記複数の第2電極と重なる部分を覆う被覆部を含み、かつ導電性を有するマスク層を、前記光電変換膜上に形成する工程と、前記基体および前記マスク層をエッチャントに浸漬することにより前記光電変換膜の一部を除去する工程と、を含む。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

主面を有する半導体基板と、前記主面の上方に位置する第1電極と、前記主面の上方に位置し、1次元または2次元に配列された複数の第2電極と、前記複数の第2電極を少なくとも覆う光電変換膜と、を含む基体を準備する工程と、前記光電変換膜のうち、平面視において前記複数の第2電極と重なる部分を覆う被覆部を含み、かつ導電性を有するマスク層を、前記光電変換膜上に形成する工程と、前記基体および前記マスク層をエッチャントに浸漬することにより前記光電変換膜の一部を除去する工程と、を含む、光電変換素子の製造方法。

請求項2

前記マスク層を形成する工程は、有機材料を用いて前記マスク層を形成する工程を含み、前記光電変換膜の一部を除去する工程における前記マスク層のエッチングレートは、前記光電変換膜の一部を除去する工程における前記光電変換膜のエッチングレートよりも低い、請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。

請求項3

前記有機材料は、光電変換材料である、請求項2に記載の光電変換素子の製造方法。

請求項4

前記マスク層を形成する工程は、酸化物半導体材料を用いて前記マスク層を形成する工程を含む、請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。

請求項5

前記光電変換膜の一部を除去する工程の後に、前記被覆部を覆い、かつ前記被覆部を前記第1電極に電気的に接続する透光性の第3電極を形成する工程をさらに含む、請求項2から4のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。

請求項6

前記マスク層を形成する工程は、透明導電性材料を用いて前記マスク層を形成する工程を含む、請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。

請求項7

前記光電変換膜の一部を除去する工程の後に、前記被覆部を前記第1電極に電気的に接続する第3電極を形成する工程をさらに含む、請求項6に記載の光電変換素子の製造方法。

請求項8

前記半導体基板は、前記複数の第2電極に電気的に接続された読み出し回路を含む、請求項1から7のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。

請求項9

前記基体を準備する工程は、前記主面の上方に前記複数の第2電極を形成する工程と、前記複数の第2電極を形成する工程の後に、前記主面の上方に前記光電変換膜を形成する工程と、を含む、請求項1から8のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法。

請求項10

主面を有する半導体基板と、前記主面の上方に位置する第1電極と、前記主面の上方に位置し、1次元または2次元に配列された複数の第2電極と、前記複数の第2電極を少なくとも覆う光電変換膜と、前記光電変換膜のうち、平面視において前記複数の第2電極と重なる部分を覆う被覆部を含む導電層と、を備え、前記主面に垂直な断面において、前記導電層は、前記光電変換膜の側端部よりも、前記導電層の表面に沿って外側方向に延びている、光電変換素子。

請求項11

前記断面において、前記光電変換膜はテーパー形状の側面を有する、請求項10に記載の光電変換素子。

請求項12

前記導電層は、有機材料により構成される、請求項10に記載の光電変換素子。

請求項13

前記有機材料は、光電変換材料である、請求項12に記載の光電変換素子。

請求項14

前記導電層は、酸化物半導体材料により構成される、請求項10に記載の光電変換素子。

請求項15

前記被覆部を覆い、かつ前記被覆部を前記第1電極に電気的に接続する透光性の第3電極をさらに備える、請求項12から14のいずれかに記載の光電変換素子。

請求項16

前記導電層は、透明導電性材料により構成される、請求項10に記載の光電変換素子。

請求項17

前記被覆部を前記第1電極に電気的に接続する第3電極をさらに備える、請求項16に記載の光電変換素子。

請求項18

前記半導体基板は、前記複数の第2電極に電気的に接続された読み出し回路を含む、請求項10から17のいずれかに記載の光電変換素子。

技術分野

0001

本開示は、光電変換素子、およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

半導体基板の上方に光電変換部を配置した撮像装置が知られている。このような構成は、積層型とも呼ばれ、例えば下記の特許文献1から4は、半導体基板の上方に光電変換膜を有する撮像装置を開示している。

0003

積層型の構成では、光電変換部を支持する半導体基板に、信号の読み出しのためのCCD(Charge Coupled Device)回路またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)回路が設けられる。積層型の構成によれば、光電変換を担う部分が半導体基板の上方に位置するので高い開口率を得やすい。また、Siでは吸収を示さない近赤外領域においても感度を持たせることが可能という利点も得られる。参考のために、特開2006−032714号公報、特開2011−228648号公報、特開2015−056554号公報および特開2003−234460号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。

0004

光電変換膜を形成するための材料としては、典型的には、有機材料が用いられる。特許文献1は、光電変換膜である有機材料層ドライエッチングによるパターニング方法を開示している。特許文献2および3は、有機光電変換膜にかかる応力を低減することによる、白傷欠陥の抑制を提案している。ここで、「白傷欠陥」とは、局所的に応力が集中するなどの要因によって光電変換膜が損傷を受け、損傷を受けた箇所に暗電流が生じることにより白い傷のような明るい部分が画像中に生じる現象を指す。

先行技術

0005

特開2006−032714号公報
特開2011−228648号公報
特開2015−056554号公報
特開2003−234460号公報

発明が解決しようとする課題

0006

暗電流に起因する白傷欠陥の抑制には、さらなる改善の余地があった。

課題を解決するための手段

0007

本開示の限定的ではないある例示的な実施形態に係る光電変換素子の製造方法は、主面を有する半導体基板と、前記主面の上方に位置する第1電極と、前記主面の上方に位置し、1次元または2次元に配列された複数の第2電極と、前記複数の第2電極を少なくとも覆う光電変換膜と、を含む基体を準備する工程と、前記光電変換膜のうち、平面視において前記複数の第2電極と重なる部分を覆う被覆部を含み、かつ導電性を有するマスク層を、前記光電変換膜上に形成する工程と、前記基体および前記マスク層をエッチャントに浸漬することにより前記光電変換膜の一部を除去する工程と、を含む。

0008

包括的または具体的な態様は、素子デバイス、装置またはシステムで実現されてもよい。また、包括的または具体的な態様は、素子、デバイス、装置、システムおよび方法の任意の組み合わせによって実現されてもよい。

0009

開示された実施形態の追加的な効果および利点は、明細書および図面から明らかになる。効果および/または利点は、明細書および図面に開示の様々な実施形態または特徴によって個々に提供され、これらの1つ以上を得るために全てを必要とはしない。

発明の効果

0010

本開示の一態様によれば、傷欠陥がより抑制された光電変換素子が提供される。

図面の簡単な説明

0011

本開示の実施形態による製造方法によって得られる例示的な光電変換素子の断面を模式的に示す図である。
図1に示す光電変換素子を半導体基板の主面側から見たときの模式的な平面図である。
図2に示す画素の例示的な回路構成を示す図である。
図2に示す画素の例示的なデバイス構造を示す模式的な断面図である。
本開示の実施形態による製造方法によって得られる他の例示的な光電変換素子の断面を模式的に示す図である。
本開示の例示的な実施形態による光電変換素子の製造方法の概要を示すフローチャートである。
本開示の例示的な実施形態による光電変換素子の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
本開示の例示的な実施形態による光電変換素子の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
光電変換膜の構成の一例を示す模式的な断面図である。
図9に例示する光電変換膜に関するエネルギ図である。
本開示の例示的な実施形態による光電変換素子の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
本開示の例示的な実施形態による光電変換素子の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
本開示の例示的な実施形態による光電変換素子の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
本開示の例示的な実施形態による光電変換素子の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
本開示の例示的な実施形態による光電変換素子の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
ウェットエッチングによって光電変換膜の一部を除去する工程後における、光電変換膜の側端部を拡大して示す模式的な断面図である。
ウェットエッチングによって光電変換膜の一部を除去する工程後における、光電変換膜の側端部を拡大して示す模式的な断面図である。
本開示の例示的な実施形態による光電変換素子の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
対向電極の形成後における、光電変換構造の側端部を拡大して示す模式的な断面図である。
本開示の他の例示的な実施形態による光電変換素子の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
本開示の他の例示的な実施形態による光電変換素子の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
本開示の他の例示的な実施形態による光電変換素子の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
本開示の他の例示的な実施形態による光電変換素子の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
比較例1による積層体の構成を示す模式的な断面図である。
エッチング後の積層体の構成を示す模式的な断面図である。

0012

本開示の一態様の概要は以下のとおりである。

0013

項目1]
本開示の項目1に係る光電変換素子の製造方法は、
主面を有する半導体基板と、前記主面の上方に位置する第1電極と、前記主面の上方に位置し、1次元または2次元に配列された複数の第2電極と、前記複数の第2電極を少なくとも覆う光電変換膜と、を含む基体を準備する工程と、
前記光電変換膜のうち、平面視において前記複数の第2電極と重なる部分を覆う被覆部を含み、かつ導電性を有するマスク層を、前記光電変換膜上に形成する工程と、
前記基体および前記マスク層をエッチャントに浸漬することにより前記光電変換膜の一部を除去する工程と、
を含む。

0014

項目1の構成によれば、光電変換膜の一部の除去がウェットエッチングによって実行されるので、光電変換膜の応力が緩和され、傷欠陥の発生を抑制する効果が得られる。また、ウェットエッチングの適用にあたって導電性のマスク層を用いているので、マスク層のうちエッチング後に残った部分を例えば電荷ブロッキング層または透光性の電極として利用することが可能である。

0015

[項目2]
項目1に記載の光電変換素子の製造方法において、
前記マスク層を形成する工程は、有機材料を用いて前記マスク層を形成する工程を含み、
前記光電変換膜の一部を除去する工程における前記マスク層のエッチングレートは、前記光電変換膜の一部を除去する工程における前記光電変換膜のエッチングレートよりも低くてもよい。

0016

項目2の構成によれば、ウェットエッチングにおいて光電変換膜を優先的に溶解させることができるのでマスク層の材料に有機材料を用いながらも、ウェットエッチング後に光電変換膜上にマスク層を残すことができる。

0017

[項目3]
項目2に記載の光電変換素子の製造方法において、
前記有機材料は、光電変換材料であってもよい。

0018

項目3の構成によれば、マスク層の一部である被覆部のうち、エッチング後に残った部分を光電変換構造の一部、例えば電荷ブロッキング層として利用することが可能である。

0019

[項目4]
項目1に記載の光電変換素子の製造方法において、
前記マスク層を形成する工程は、酸化物半導体材料を用いて前記マスク層を形成する工程を含んでいてもよい。

0020

項目4の構成によれば、マスク層の一部である被覆部のうち、エッチング後に残った部分を光電変換構造の一部、例えば電荷ブロッキング層として利用することが可能であり、より高い電圧を有機光電変換膜に印加させて光電変換効率を向上させるという利点が得られる。

0021

[項目5]
項目2から4のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法は、
前記光電変換膜の一部を除去する工程の後に、前記被覆部を覆い、かつ前記被覆部を前記第1電極に電気的に接続する透光性の第3電極を形成する工程をさらに含んでいてもよい。

0022

項目5の構成によれば、被覆部を透光性の対向電極として利用し得る。

0023

[項目6]
項目1に記載の光電変換素子の製造方法において、
前記マスク層を形成する工程は、透明導電性材料を用いて前記マスク層を形成する工程を含んでいてもよい。

0024

項目6の構成によれば、マスク層の一部である被覆部を透光性の電極として利用することが可能である。

0025

[項目7]
項目6に記載の光電変換素子の製造方法は、
前記光電変換膜の一部を除去する工程の後に、前記被覆部を前記第1電極に電気的に接続する第3電極を形成する工程をさらに含んでいてもよい。

0026

項目7の構成によれば、被覆部をその一部に含む対向電極を形成することができる。

0027

[項目8]
項目1から7のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法において、
前記半導体基板は、前記複数の第2電極に電気的に接続された読み出し回路を含んでいてもよい。

0028

[項目9]
項目1から8のいずれかに記載の光電変換素子の製造方法において、
前記基体を準備する工程は、
前記主面の上方に前記複数の第2電極を形成する工程と、
前記複数の第2電極を形成する工程の後に、前記主面の上方に前記光電変換膜を形成する工程と、
を含んでいてもよい。

0029

[項目10]
本開示の項目10に係る光電変換素子は、
主面を有する半導体基板と、
前記主面の上方に位置する第1電極と、
前記主面の上方に位置し、1次元または2次元に配列された複数の第2電極と、
前記複数の第2電極を少なくとも覆う光電変換膜と、
前記光電変換膜のうち、平面視において前記複数の第2電極と重なる部分を覆う被覆部を含む導電層と、を備える。

0030

前記主面に垂直な断面において、前記導電層は、前記光電変換膜の側端部よりも、前記導電層の表面に沿って外側方向に延びている。

0031

[項目11]
項目10に記載の光電変換素子において、
前記断面において、前記光電変換膜はテーパー形状の側面を有していてもよい。

0032

[項目12]
項目10に記載の光電変換素子において、
前記導電層は、有機材料により構成されていてもよい。

0033

[項目13]
項目12に記載の光電変換素子において、
前記有機材料は、光電変換材料であってもよい。

0034

[項目14]
項目10に記載の光電変換素子において、
前記導電層は、酸化物半導体材料により構成されていてもよい。

0035

[項目15]
項目12から14のいずれかに記載の光電変換素子は、
前記被覆部を覆い、かつ前記被覆部を前記第1電極に電気的に接続する透光性の第3電極をさらに備えていてもよい。

0036

[項目16]
項目10に記載の光電変換素子において、
前記導電層は、透明導電性材料により構成されていてもよい。

0037

[項目17]
項目16に記載の光電変換素子は、
前記被覆部を前記第1電極に電気的に接続する第3電極をさらに備えていてもよい。

0038

[項目18]
項目10から17のいずれかに記載の光電変換素子において、
前記半導体基板は、前記複数の第2電極に電気的に接続された読み出し回路を含んでいてもよい。

0039

以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも包括的または具体的な例を示す。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。本明細書において説明される種々の態様は、矛盾が生じない限り互いに組み合わせることが可能である。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。

0040

図1は、本開示の実施形態による製造方法によって得られる例示的な光電変換素子の断面を模式的に示す。図1に示す光電変換素子100Aは、概略的には、主面190aを有する半導体基板190と、半導体基板190の主面190a側に配置された第1電極110および複数の第2電極120と、複数の第2電極120を覆う光電変換構造130Aと、光電変換構造130Aの上面130aを少なくとも覆う透光性の対向電極140とを含む。対向電極140は、酸化インジウム錫(ITO)などに代表される透明導電材料から形成される。なお、本明細書における「透光性」および「透明」の用語は、光電変換構造130Aが吸収可能な波長の光の少なくとも一部を透過することを意味し、可視光波長範囲全体にわたって光を透過することは必須ではない。また、本明細書における「上方」、「上面」および「下面」などの用語は、部材間の相対的な配置を示すために用いられており、本開示の光電変換素子の姿勢を限定する意図ではない。

0041

図1においては図示が省略されているが、光電変換構造130Aを支持する半導体基板190には、光電変換素子100Aを駆動させるための駆動回路照度に応じた信号の読み出しのための読み出し回路などが形成されている。半導体基板190は、その全体が半導体である基板に限定されず、複数の第2電極120が形成される側の表面に半導体層が設けられた絶縁基板などであってもよい。

0042

図1に模式的に示すように、対向電極140は、第1電極110の上方まで延び、第1電極110に接続されている。すなわち、対向電極140は、第1電極110を介して、光電変換素子100Aの動作時に所定の電圧を対向電極140に印加することができるように構成されている。

0043

後述するように、複数の第2電極120は、主面190aの上方に1次元または2次元に配列される。第2電極120の各々には、読み出し回路が接続される。図示する例において、光電変換素子100Aは、積層型の撮像装置と同様の構成を有しており、デジタルカメラ光センサなどとして利用可能である。

0044

この例では、光電変換構造130Aは、複数の第2電極120を覆う光電変換層132と、光電変換層132上の有機層134とを含んでいる。有機層134は、例えば正孔ブロッキング層または電子ブロッキング層などの電荷ブロッキング層であり得る。有機層134が光電変換の機能を有していてもよい。

0045

図1に例示する構成において、光電変換素子100Aは、保護層150と、層間絶縁層160とをさらに含む。保護層150は、透光性の絶縁材料から形成され、対向電極140を覆う。層間絶縁層160は、主面190aと光電変換構造130Aとの間に位置する。図1に模式的に示すように、層間絶縁層160は、互いに隣接する2つの第2電極120を電気的に分離する。また、層間絶縁層160は、第1電極110と複数の第2電極120とを電気的に分離する。

0046

図2は、光電変換素子100Aを半導体基板190の主面190a側から見たときの模式的な平面図である。説明の便宜のために、図2では、図1を参照して説明した構成のうち、光電変換構造130A、対向電極140および保護層150を除いた構造を図示している。

0047

図2に模式的に示すように、光電変換素子100Aは、複数の画素10を含む撮像領域500を有する。ここで、撮像領域500は、それぞれが第2電極120と第2電極120に接続された読み出し回路とを含む単位である画素10の繰り返し構造を有する領域であるといってよい。この例では、複数の第2電極120が半導体基板190の主面190a側に複数の行および列状に配列されており、したがって、半導体基板190の主面190a側に矩形状の撮像領域500が形成されている。複数の第2電極120の配置は、図2に例示するようなマトリクス状に限定されない。例えば、複数の第2電極120を1次元に配列することにより、光電変換素子100Aをラインセンサとして用いてもよい。複数の第2電極120の数も任意である。

0048

他方、第1電極110は、撮像領域500の外側の周辺領域510に位置し、半導体基板190に形成された回路または配線を介して不図示の電圧供給回路に接続される。第1電極110には、光電変換素子100Aの動作時、所定の電圧が印加される。

0049

図2に模式的に示すように、光電変換素子100Aは、複数の画素10の行ごとに設けられた複数の行信号線R0,R1,…,Ri,…,Rm-1と、複数の画素10の列ごとに設けられた複数の出力信号線S0,S1,…,Sj,…,Sn-1とを有する。ここで、mは、0以上の整数であり、同一行に属する1以上の画素10は、対応する行信号線に電気的に接続される。nは、0以上の整数であり、同一列に属する1以上の画素10は、対応する出力信号線に電気的に接続される。

0050

行信号線R0,R1,…,Ri,…,Rm-1は、例えばアドレス信号線である。これら行信号線は、行走査回路を構成するトランジスタなどが形成された行ドライバ領域520まで延び、例えば行走査回路に接続される。出力信号線S0,S1,…,Sj,…,Sn-1は、列走査回路を構成するトランジスタなどが形成された列ドライバ領域530まで延びる。出力信号線S0,S1,…,Sj,…,Sn-1には、画素10から読み出された出力信号に対し、相関二重サンプリングに代表される雑音抑圧信号処理、アナログ−デジタル変換などを行う列走査回路が接続され得る。

0051

図3は、画素10の例示的な回路構成を示す。簡単のために、ここでは、複数の画素10のうち第i行第j列に位置する画素を取り出して示している。

0052

図3に示す画素10は、第2電極120、対向電極140および光電変換構造130Aを含む光電変換部540と、第2電極120に接続された読み出し回路550とを有する。対向電極140は、図3において不図示の第1電極110を介して配線142に接続されており、動作時、不図示の電圧供給回路から所定の電圧の供給を受ける。配線142を介して対向電極140に所定の電圧を印加して、対向電極140の電位画素電極として機能する第2電極120の電位よりも例えば高くすることにより、光の入射によって光電変換構造130Aに生成された電荷のうち、正の電荷を信号電荷として第2電極120によって収集することができる。

0053

図3に例示する構成において、読み出し回路550は、信号検出トランジスタ32およびアドレストランジスタ34を有する。信号検出トランジスタ32およびアドレストランジスタ34は、典型的には、半導体基板190に形成された電界効果トランジスタである。以下では、トランジスタとしてnチャンネルMOSFETを用いた例を説明する。

0054

信号検出トランジスタ32のゲートは、第2電極120に接続され、ドレインは、ソースフォロワ電源として機能する電源線22に接続される。光電変換部540と信号検出トランジスタ32のゲートとの間のノード44は、光電変換部540で生成された信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域の少なくとも一部を構成する。アドレストランジスタ34は、信号検出トランジスタ32と出力信号線Sjとの間に接続され、アドレストランジスタ34がオンとされることにより、照度に応じた電圧信号が出力信号線Sjに読み出される。

0055

図示する例において、読み出し回路550は、第1リセットトランジスタ36、第2リセットトランジスタ38、第1容量素子41および第2容量素子42をも含む。さらに、この例では、光電変換素子100Aは、複数の画素10の列ごとに配置された反転増幅器24を有する。反転増幅器24の反転入力端子は、出力信号線Sjに接続されており、非反転入力端子には、動作時、所定の参照電圧Vrefが印加される。図示するように、第1リセットトランジスタ36および第2リセットトランジスタ38は、反転増幅器24の出力端子に接続されたフィードバック線25と、第2電極120との間に直列に接続される。

0056

第1容量素子41は、ソースおよびドレインの一方が第2電極120に接続された第1リセットトランジスタ36に並列に接続される。第2容量素子42は、一方の電極が、第1リセットトランジスタ36と第2リセットトランジスタ38との間のノード46に接続される。第2容量素子42の他方の電極は、蓄積制御線52に接続されており、動作時、第2容量素子42の他方の電極には、所定の電圧が印加される。なお、典型的には、第2容量素子42は、第1容量素子41よりも大きな容量値を有する。

0057

第1リセットトランジスタ36のゲートに接続された第1リセット制御線26および第2リセットトランジスタ38のゲートに接続された第2リセット制御線28の電位の制御により、信号検出トランジスタ32の出力信号の一部または全部を電気的に帰還させるフィードバックループを形成することができる。フィードバックループの形成により、第1リセットトランジスタ36および第2リセットトランジスタ38のオフに伴って発生するkTCノイズの影響を低減することが可能である。帰還を利用したこのようなノイズキャンセルの詳細は、特開2017−046333号公報に説明されている。また、図3に例示するような回路構成によれば、第1リセットトランジスタ36をゲイン切替え用のトランジスタとしても機能させ得る。このようなモード切り替えの詳細も、特開2017−046333号公報に説明されている。参考のために、特開2017−046333号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。

0058

図4は、画素10の例示的なデバイス構造を模式的に示す。半導体基板190は、不純物領域191、192、193、194、195と、画素10ごとに設けられた読み出し回路550を画素10間で電気的に分離する素子分離領域196とを有する。不純物領域191、192、193、194、195は、典型的には、N型拡散領域である。なお、図4では、図面が過度に複雑となることを避けるために、読み出し回路550を構成する要素のうち、信号検出トランジスタ32、アドレストランジスタ34および第1リセットトランジスタ36を代表して示している。

0059

信号検出トランジスタ32は、不純物領域191、192、193、194、195のうち、不純物領域193および不純物領域194と、ゲート絶縁層を介して半導体基板190上に配置されたゲート電極32eとを含む。アドレストランジスタ34は、半導体基板190上のゲート絶縁層およびゲート電極と、不純物領域194および不純物領域195とを含む。この例では、アドレストランジスタ34は、不純物領域194を信号検出トランジスタ32と共有している。

0060

第1リセットトランジスタ36は、不純物領域191および不純物領域192と、半導体基板190上のゲート絶縁層およびゲート電極とを含む。図4に模式的に示すように、素子分離領域196は、第1リセットトランジスタ36と信号検出トランジスタ32との間にも設けられる。

0061

層間絶縁層160は、各々が例えば二酸化シリコンから形成された複数の絶縁層を含み、半導体基板190に形成された読み出し回路550を覆う。画素10は、第2電極120を読み出し回路550に電気的に接続する導電構造170を層間絶縁層160の内部に有する。導電構造170は、銅などの金属から形成されたビアポリシリコンから形成されたプラグなどを含み、図4に模式的に示すように、第2電極120と、不純物領域191および信号検出トランジスタ32のゲート電極32eとを互いに電気的に接続する。

0062

光電変換部540の対向電極140は、被写体からの光が到来する側に位置する。対向電極140は、典型的には、複数の画素10に跨って連続した単一の電極層の形で設けられる。光電変換構造130Aも、複数の画素10に跨って連続した単一の光電変換構造の形で設けられ得る。対向電極140の、光電変換構造130Aとは反対側の主面上には、カラーフィルタなどの光学フィルタ182、マイクロレンズ184などが配置され得る。

0063

図5は、本開示の実施形態による製造方法によって得られる他の例示的な光電変換素子の断面を模式的に示す。図5に示す光電変換素子100Bと、図1を参照して説明した光電変換素子100Aとの主な相違点は、光電変換素子100Bが、光電変換構造130Aに代えて光電変換構造130Bを有する点である。

0064

図5に模式的に示すように、光電変換構造130Bは、複数の第2電極120を覆う光電変換層132と、光電変換層132上の酸化物半導体層136とを含んでいる。酸化物半導体層136は、上述の有機層134と同様に、例えば正孔ブロッキング層として機能し得る。酸化物半導体層136が光電変換の機能を有していてもよい。光電変換構造130Bが、例えば電子ブロッキング層としての酸化物半導体層を含んでいてもよい。

0065

(光電変換素子の例示的な製造方法)
図6は、本開示の例示的な実施形態による光電変換素子の製造方法の概要を示すフローチャートである。図6に例示された光電変換素子の製造方法は、概略的には、半導体基板、複数の電極および光電変換膜を含む基体を準備する工程(図6の工程S1)と、光電変換膜の一部を覆う導電性のマスク層を光電変換膜上に形成する工程(図6の工程S2)と、基体およびマスク層をエッチャントに浸漬することにより、光電変換膜のうちマスク層に覆われていない部分を除去する工程(図6の工程S3)とを含む。

0066

<基体を準備する工程>
まず、主面を有する半導体基板と、主面の上方に位置する複数の電極と、複数の電極を少なくとも覆う光電変換膜と、を含む基体を準備する。基体は、購入によって準備されてもよいし、以下に説明するように、半導体基板の一方の主面側に複数の電極および光電変換膜を順次に形成することによって準備されてもよい。

0067

ここでは、まず、支持基板としてのn型シリコン基板を準備し、n型シリコン基板の一方の主面上にpウェル層を形成する。その後、pウェル層が形成された主面側に信号検出トランジスタ32などを形成することにより、読み出し回路550を形成する。これにより、半導体基板190が得られる。読み出し回路550の形成には、公知の半導体プロセスを適用できる。上述したように、半導体基板190は、その全体が半導体である基板に限定されない。例えば、支持基板として、ガラス基板石英基板なども用い得る。基板内部および/または基板上に電子回路を設置できる基板であれば支持基板として用いることができる。n型シリコン基板に代えて、p型シリコン基板を用いてもよい。

0068

次に、図7に示すように、半導体基板190の主面190a側に画素電極としての複数の第2電極120を形成する。こここでは、複数の第2電極120の形成の工程において、主面190a側に第1電極110も形成する。

0069

典型的には、読み出し回路550が形成された主面190aを覆う絶縁膜を形成し、その後、絶縁膜上に第1電極110および複数の第2電極120を形成する。図2を参照しながら説明したように、複数の第2電極120が撮像領域500に配置されることに対し、第1電極110は、周辺領域510に配置される。

0070

第1電極110および複数の第2電極120の形成には、物理的気相堆積法PVD)および化学的気相堆積法CVD)を適用できる。第1電極110および第2電極120の材料としては、半導体集積回路の分野で一般的に使用されている配線材料を用い得る。第1電極110および第2電極120の材料の例は、Ag、Pt、Auなどの貴金属、または、ITOなどの透明導電材料である。第1電極110および第2電極120の材料が共通である必要はない。

0071

より微細電極パターンを形成する場合には、例えば、電極材料堆積後にドライエッチングによって不要な部分を除去することによって第1電極110および第2電極120を形成してもよい。第1電極110および第2電極120の材料にAl、Ti、Mo、Ta、Wもしくはこれらの1種以上を含む合金、導電性を有する珪化物もしくは窒化物、または、多結晶Siを適用することにより、ドライエッチングによる高精度なパターニングが可能になる。

0072

第1電極110および第2電極120の形成後、互いに隣接する2つの第2電極120の間、および、第1電極110と第2電極120との間を絶縁材料で充填し、第1電極110、第2電極120および絶縁材料の層の表面が整合するようにこれらの表面を処理する。これにより、図7に模式的に示すように、層間絶縁層160を形成することができる。なお、図7では、あたかも第1電極110の下面および第2電極120の下面が主面190aに接しているように描かれているが、これは、第1電極110および第2電極120の配置をあくまでも模式的に示しているに過ぎない。図4を参照して説明したように、第1電極110および第2電極120は、層間絶縁層160の内部に配置された導電構造によって読み出し回路550に電気的に接続され得る。特に、第2電極120の各々は、対応する信号検出トランジスタ32のゲートにプラグなどによって接続されることにより、対応する読み出し回路550に電気的に接続される。

0073

次に、複数の第2電極120を少なくとも覆う光電変換膜を形成する。ここでは、まず、図8に示すように、半導体基板190の主面190a側の全体を覆う光電変換膜130rを形成する。以下に説明する例では、光電変換膜130rの材料として有機材料を用いる。光電変換膜130rは、典型的には、有機p型半導体と、有機n型半導体とを含む。光電変換膜130rの形成には、乾式の成膜法および湿式の成膜法のいずれも用い得る。乾式成膜法としては、例えば真空蒸着法を適用でき、湿式成膜法としては、インクジェット法スプレー法ノズルプリント法スピンコート法ディップコート法キャスト法ダイコート法ロールコート法バーコート法グラビアコート法などを適用できる。光電変換膜130rの形成により、図8に示すように、主面190a側に光電変換膜130rを有する基体200が得られる。

0074

図9は、光電変換膜130rの構成の一例を模式的に示す。この例では、光電変換膜130rは、有機材料から形成された複数の層を含む積層構造を有する。この積層構造は、電子ブロッキング膜14、p型半導体膜13p、混合膜13x、n型半導体膜13nおよび正孔ブロッキング膜16が第2電極120側から順に積層された構成を有している。p型半導体膜13pは、混合膜13xと電子ブロッキング膜14との間に位置し、正孔輸送層として機能する。n型半導体膜13nは、混合膜13xと正孔ブロッキング膜16との間に位置し、電子輸送層として機能する。図9は、光電変換によって生成される正および負の電荷のうち、正の電荷を第2電極120によって収集し、正孔を信号電荷として利用する構成における例である。なお、光電変換によって生成される正および負の電荷のうち、負の電荷を第2電極120によって収集し、電子を信号電荷として利用する構成の場合、光電変換膜130rに含まれる各膜の積層順反転する。すなわち、正孔ブロッキング膜16、n型半導体膜13nが第2電極120側に配置され、電子ブロッキング膜14、p型半導体膜13pが第2電極120とは反対側に配置される。

0075

図10は、図9に例示する光電変換膜130rに関するエネルギ図である。図10中の矩形の下側の辺は、各層の材料に関する最高被占分子軌道(HOMO)の準位を模式的に表現している。矩形の上側の辺は、各層の材料に関する最低空分子軌道(LUMO)のエネルギ準位を模式的に表現している。図10中の太い横線は、対向電極140および第2電極120の例示的なフェルミ準位を模式的に表現している。以下では、最高被占分子軌道の準位を単にHOMO準位を呼ぶことがあり、最低空分子軌道のエネルギ準位をLUMO準位と呼ぶことがある。

0076

図10に示すように、典型的には、電子ブロッキング膜14のHOMO準位は、p型半導体膜13pのHOMO準位よりも低く、電子ブロッキング膜14のLUMO準位は、p型半導体膜13pのLUMO準位よりも高い。電子ブロッキング膜14は、例えば、有機p型半導体である、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニルアミノビフェニル(α−NPD)等の芳香族アミン化合物スチルベン誘導体ピラゾリン誘導体ポルフィン誘導体フタロシアニン誘導体トリアゾール誘導体オキサゾール誘導体イミダゾール誘導体フェニレンジアミン誘導体アリールアミン誘導体フルオレン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体フルオレノン誘導体ヒドラゾン誘導体、またはシラザン誘導体などから形成される。電子ブロッキング膜14は、第2電極120から光電変換膜130rに電子が注入されることによる暗電流を低減させる機能を有する。

0077

有機p型半導体は、主に正孔輸送性有機化合物に代表され、電子を供与しやすい性質を有する有機化合物を指す。より詳細には、2つの有機化合物を接触させて用いたときに、イオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、電子供与性を示す有機化合物であればいずれの有機化合物も有機p型半導体として用い得る。

0079

正孔ブロッキング膜16は、対向電極140から光電変換膜130rに正孔が注入されることによる暗電流を低減させる機能を有する。正孔ブロッキング膜16の材料としては、例えば有機n型半導体を用いることができる。後述するように、正孔ブロッキング層を形成するための材料として酸化物半導体材料を用いることもできる。

0080

正孔ブロッキング膜16を形成するための有機材料として、例えば、フラーレンフラーレン誘導体銅フタロシアニン、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物PTCDA)、アセチルアセトネート錯体、BCP、Alqなどを用いることができる。正孔ブロッキング膜16は、上述の有機層134の一例である。正孔ブロッキング膜16の、可視域から近赤外域における透過率が高いと、p型半導体膜13p、混合膜13xおよびn型半導体膜13nを含む積層構造13Lに、より多くの光を到達させることができる。正孔ブロッキング膜16の材料として、積層構造13Lが吸収を示す波長に大きな吸収をもたない材料を選択してもよい。あるいは、正孔ブロッキング膜16の厚さをなるべく小さくしてもよい。正孔ブロッキング膜16の厚さは、積層構造13Lの具体的な構成および対向電極140の厚さなどに依存するが、正孔ブロッキング膜16の厚さが2nm以上50nm以下の範囲にあってもよい。

0081

有機n型半導体は、主に電子輸送性有機化合物に代表され、電子を受容しやすい性質を有する有機化合物を指す。より詳細には、2つの有機化合物を接触させて用いたときに、電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。したがって、電子受容性を示す有機化合物であればいずれの有機化合物も有機n型半導体として用い得る。

0082

有機n型半導体の例は、C60およびC70などのフラーレン、フェニルC61酪酸メチルエステル(PCBM)などのフラーレン誘導体、縮合芳香族炭素環化合物(例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、窒素原子酸素原子、または硫黄原子を含有する5ないし7員のヘテロ環化合物(例えばピリジンピラジンピリミジンピリダジントリアジンキノリンキノキサリンキナゾリンフタラジンシンノリンイソキノリンプテリジンアクリジンフェナジンフェナントロリンテトラゾールピラゾールイミダゾールチアゾールオキサゾールインダゾールベンズイミダゾールベンゾトリアゾールベンゾオキサゾールベンゾチアゾールカルバゾールプリントリアゾロピリダジン、トリアゾロピリミジンテトラインデンオキサジアゾールイミダゾピリジン、ピロリジンピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、ジベンズアゼピントリベンズアゼピンなど)、サブフタロシアニン(SubPc)、ポリアリーレン化合物、フルオレン化合物シクロペンタジエン化合物シリル化合物ペリレンテトラカルボキシジイミド化合物(PTCDI)、ならびに含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体などである。これらに限らず、有機p型半導体として用いる有機化合物よりも電子親和力の大きい有機化合物であれば有機n型半導体として用い得る。

0083

光電変換膜130r中に電子ブロッキング膜14を設ける場合、第2電極120の材料は、例えば上述の材料の中から電子ブロッキング膜14との間の接合強度、安定性、電子親和力の差およびイオン化ポテンシャルの差などを考慮して選ばれる。対向電極140の材料についても同様に、隣接する層との間の接合強度、安定性、イオン化ポテンシャルの差および電子親和力の差などを考慮して公知の材料から選択することができる。なお、正孔ブロッキング膜16を設けず、対向電極140の仕事関数が例えば4.8eV程度と比較的大きい場合、対向電極140と積層構造13Lとの間のポテンシャル障壁が小さくなり、対向電極140からの積層構造13Lへの正孔注入が起こりやすくなる。その結果として、暗電流が増大する可能性がある。しかしながら、本実施形態では、対向電極140と積層構造13Lとの間に正孔ブロッキング膜16を介在させているので、暗電流抑制の効果が期待できる。

0084

積層構造13Lが有機半導体材料から構成される場合、光電変換膜130rは、電子供与性の有機化合物および電子受容性の有機化合物の積層構造、換言すれば、ヘテロ接合を含んでいてもよい。あるいは、バルへテロ接合構造を有する層を含んでいてもよい。光電変換膜130rは、これらの組み合わせであってもよい。

0085

光電変換膜130rに入射した光は、電子供与性の有機化合物および電子受容性の有機化合物のいずれか一方またはそれらの両方によって吸収され得る。光電変換構造130Aがバルクへテロ接合構造層を含むことにより、光電変換膜におけるキャリア拡散長が短いという欠点を補い、光電変換効率を向上させることができる。バルクへテロ接合構造は、特許第5553727号公報において詳細に説明されている。参考のために、特許第5553727号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。

0086

<導電性のマスク層を光電変換膜上に形成する工程>
次に、光電変換膜130r上にマスク層を形成する。後述するように、本開示の実施形態では、ウェットエッチングによって光電変換膜130rの一部を除去することにより、光電変換膜130rをその一部に含む光電変換構造130Aを形成する。マスク層は、光電変換膜130rのうち撮像領域500に位置する部分を保護するエッチマスクとして機能する。

0087

本開示のある実施形態では、有機材料および/または透明導電性材料から、光電変換膜130rのうち、平面視において、複数の第2電極120と重なる部分を少なくとも覆うマスク層を形成する。例えば、上述の正孔ブロッキング膜16のうち、例えば撮像領域500上に位置する部分以外の部分を選択的に除去して、正孔ブロッキング膜16の残余の部分をマスク層として利用し得る。すなわち、正孔ブロッキング膜16のパターニングにより、図11に示すような、被覆部560をその一部に含むマスク層16Cを形成することができる。後述するように、有機材料、酸化物半導体材料および透明導電性材料の1種以上から、光電変換膜のうち複数の第2電極120と重なる部分を少なくとも覆うマスク層を形成してもよい。

0088

正孔ブロッキング膜16のパターニングは、例えば、真空蒸着法または塗布法によって正孔ブロッキング膜16を形成した後、フォトリソグラフィーおよびエッチングを適用して、正孔ブロッキング膜16のうち、例えば撮像領域500上に位置する部分以外の部分を選択的に除去することによって実行することができる。インクジェット法、オフセット印刷法グラビア印刷法フレキソ印刷法、またはスクリーン印刷法によって有機光電変換材料パターンを直接的に形成してもよい。あるいは、マスクを介した真空蒸着法によって有機光電変換材料のパターンを形成してもよい。レジスト現像液またはリムーバーによる光電変換膜への影響の観点からは、フォトリソグラフィーを適用した場合と比較して、マスクを介した真空蒸着法の適用が有利である。なお、正孔ブロッキング膜16のうち、周辺領域510に位置する部分の全てを除去することは、必須ではない。マスク層16Cは、被覆部560のほかに、周辺領域510に位置する部分を有し得る。

0089

図11に模式的に示すように、マスク層16Cの被覆部560は、光電変換膜130qのうち、平面視において、複数の第2電極120と重なる部分を覆う。ここで、光電変換膜130qは、電子ブロッキング膜14、p型半導体膜13p、混合膜13xおよびn型半導体膜13nから構成される積層構造である。なお、正孔ブロッキング膜16のパターニング後においても、マスク層16Cの被覆部560は、正孔ブロッキング膜としての機能を保持し得る。したがって、電子ブロッキング膜14、p型半導体膜13p、混合膜13x、n型半導体膜13nおよびマスク層16Cの被覆部560の積層構造の全体を光電変換膜と呼ぶこともできる。

0090

有機材料からマスク層を形成する場合、マスク層の材料としては、後述のウェットエッチングの工程で用いるエッチャントに対して光電変換膜130qの材料よりも低いエッチングレートを示す有機化合物が用いられる。これにより、ウェットエッチングにおいて光電変換膜130qを優先的に溶解させることができ、ウェットエッチング後に光電変換膜130q上に被覆部560を残すことが可能になる。

0091

特に、正孔ブロッキング膜16の一部をマスク層16Cとして利用する場合には、光電変換膜130rの形成の工程において、光電変換膜130qのウェットエッチングに用いるエッチャントに対するエッチングレートが光電変換膜130qよりも低くなるような有機材料を用いて正孔ブロッキング膜16を形成する。上述のように、有機層134としての正孔ブロッキング膜16は、光電変換の機能を有し得る。すなわち、正孔ブロッキング膜16を構成する材料は、有機光電変換材料であり得る。換言すれば、マスク層16Cの材料として光電変換材料を用い得る。

0092

有機材料に代えて、透明導電性材料からマスク層を形成してもよい。透明導電性材料をハードマスク材料として利用する場合であれば、まず、スパッタリングまたは塗布法により光電変換膜130r上に透明導電性材料を堆積した後、フォトリソグラフィーおよびエッチングを適用して、透明導電性材料の膜のうち、周辺領域510上に位置する部分を選択的に除去する。マスク層を形成するための透明導電性材料としては、対向電極140の材料と同様の透明導電性材料を用い得る。マスク層の形成に有機材料を用いる場合と同様に、インクジェット法によって光電変換膜130r上に透明導電性材料のパターンを直接的に形成してもよい。あるいは、マスクを介した真空蒸着法によって透明導電性材料のパターンを形成してもよい。レジスト、現像液またはリムーバーによる光電変換膜への影響の観点からは、フォトリソグラフィーを適用した場合と比較して、マスクを介した真空蒸着法の適用が有利である。

0093

透明導電性材料の膜のパターニングにより、透明導電性材料の膜のうち、例えば撮像領域500上に位置する部分以外の部分を選択的に除去して、図12に示すように、被覆部560を有する導電性のマスク層140Cを形成することができる。図11を参照して説明した例と同様に、マスク層140Cの被覆部560は、光電変換膜130rのうち、平面視において、複数の第2電極120と重なる部分を覆う。図11を参照して説明した例と同様に、透明電極材料の膜のうち、周辺領域510に位置する部分の全てを除去することは、必須ではない。マスク層140Cは、被覆部560のほかに、周辺領域510に位置する部分を含んでいてもよい。

0094

あるいは、正孔ブロッキング膜16および正孔ブロッキング膜16上の透明導電性材料の膜の両方をパターニングすることによってマスク層を形成してもよい。例えば、図13に示すように、正孔ブロッキング膜16の一部である有機層16mと、透明導電性材料の膜の一部である透明導電層140mとを含む被覆部560を有するマスク層146Cを光電変換膜130q上に形成してもよい。マスク層146Cの被覆部560は、やはり、光電変換膜130qのうち、平面視において、複数の第2電極120と重なる部分を覆っている。

0095

<ウェットエッチングによって光電変換膜の一部を除去する工程>
次に、基体200およびマスク層をエッチャントに浸漬することにより、光電変換膜の一部を除去する。例えば、図11に示すような、正孔ブロッキング膜16から形成されたマスク層16Cを有する基体200Aをエッチャント300に浸漬する。上述したように、ここでは、エッチャント300に対するマスク層16Cのエッチングレートは、光電変換膜130qのエッチングレートと比較して小さい。そのため、エッチャント300への浸漬により、図14に模式的に示すように、光電変換膜130qのうち、マスク層16Cで覆われていない部分を選択的に除去して、被覆部560に応じた形状の光電変換構造130Aを形成することができる。被覆部560のうちウェットエッチングの工程の完了後に残る部分、および、光電変換膜130qのうちウェットエッチングの工程の完了後に残る部分は、それぞれ、図1に示す有機層134および光電変換層132に相当する。この例では、被覆部560のうちウェットエッチングの工程の完了後に残る部分を正孔ブロッキング層として機能させ得る。

0096

マスク層16Cのエッチングレートよりも光電変換膜130qのエッチングレートが大きければ、任意の液体をエッチャント300として用い得る。マスク層16Cおよび光電変換膜130qに対するエッチングレートは、エッチャントの分子極性芳香環の有無などのパラメーターによりエッチングレートを制御できる。エッチャント300の例は、アセトン、または、アセトンおよびエタノール混合溶液である。

0097

図12に示す基体200Bまたは図13に示す基体200Cを用いる場合には、基体200Aに代えて、これらをエッチャント300に浸漬すればよい。例えば、基体200Bをエッチャント300に浸漬することにより、図15Aに模式的に示すように、光電変換膜130rのうち被覆部560に覆われていない部分を選択的に除去して、被覆部560に応じた形状の光電変換構造130Aを形成することができる。基体200Cをエッチャント300に浸漬することによりウェットエッチングを実行する場合には、図14を参照して説明した例と同様に、マスク層146C中の有機層16mよりも光電変換膜130qの方のエッチングレートが大きくなるような液体をエッチャント300として用いればよい。

0098

図15Bおよび図15Cは、図14に示す、ウェットエッチングによって光電変換膜130qの一部を除去する工程後における、光電変換膜130qの側端部を拡大して示す断面図である。ウェットエッチングは等方的なエッチングであるため、エッチャント300により、光電変換膜130qのマスク層16Cに覆われた部分が、マスク層16Cの側面よりも水平方向に沿って内側にエッチングされる。その結果、図15Bおよび図15Cに示すように、マスク層16Cが、光電変換膜130qの側端部よりも、マスク層16Cの表面に沿って外側方向に延びている形状が得られる。主面190aに垂直な断面において、光電変換膜130qの側面は、図15Bに示すような直線状のテーパー形状、または図15Cに示すような曲線状のテーパー形状を有する。なお、図15Aに示す、透明導電性材料から形成されたマスク層140Cを用いてウェットエッチングによって光電変換膜130rの一部を除去する工程を行った場合も、光電変換膜130rの側面は同様の形状となる。

0099

<透光性の電極を形成する工程>
ここでは、まず、図11に示す基体200Aをエッチャント300に浸漬することによって光電変換構造130Aを形成した場合について次の工程を説明する。ウェットエッチングによって光電変換膜130qおよびマスク層16Cの被覆部560とから光電変換構造130Aを得た後、図16Aに示すように、被覆部560として利用した部分を覆う、透光性の第3電極としての対向電極140を形成する。対向電極140は、少なくとも第1電極110の位置まで延び、第1電極110の上面110aをも覆う。対向電極140の形成により、正孔ブロッキング膜16と、第1電極110とが対向電極140を介して電気的に接続される。

0100

対向電極140の形成には、例えば高周波マグネトロンスパッタリングを適用できる。例えば、1PaのAr雰囲気下でITOなどの透明電極材料を堆積させる。

0101

図12に示す基体200Bまたは図13に示す基体200Cをエッチャント300に浸漬することによって光電変換構造130Aを形成した場合であれば、透明電極材料の堆積により、透光性の被覆部560をその一部に含む対向電極140を形成して、図16Aに示す例と同様の構造を得ることができる。

0102

図16Bは、図16Aに示す、対向電極140の形成後における、光電変換構造130Aの側端部を拡大して示す断面図である。エッチャント300を用いて光電変換膜132の一部を除去する工程により、光電変換膜132の有機層134で覆われた部分が、有機層134の側面から水平方向に沿って内側にエッチングされるため、対向電極140と光電変換膜132の側面との間に空隙570が生じる。

0103

典型的には、対向電極140の形成後、半導体基板190上の構造を覆う保護層150を形成する。保護層150の形成により、外気に直接曝されることによる光電変換構造130Aの劣化を抑制できる。保護層150の例は、酸化アルミニウム酸化珪素窒化珪素または窒化酸化珪素単層膜またはこれらの2種以上を含む積層膜である。保護層150の形成には、スパッタリングなどのPVD法、プラズマCVD法触媒CVD法原子層堆積(ALD)法などを適用できる。あるいは、高周波マグネトロンスパッタリングを適用してもよい。例えば、ArおよびO2の1Paの雰囲気下で、対向電極140を覆うように酸化アルミニウムを堆積させることにより、保護層150を形成してもよい。

0104

以上の工程により、図1に示す光電変換素子100Aが得られる。ここでは、電子ブロッキング膜14の材料および正孔ブロッキング膜16の材料として有機材料を適用した例を説明したが、以下に説明するように、酸化物半導体から電子ブロッキング層および/または正孔ブロッキング層を形成してもよい。この場合、例えば酸化物半導体層、または、酸化物半導体層と透明導電層140mとの組をマスク層として利用し得る。

0105

<基体を準備する工程>
次に、本開示の一態様に係る光電変換素子の他の製造方法を説明する。上述の例と同様に、まず、主面を有する半導体基板と、主面の上方に位置する複数の電極と、複数の電極を少なくとも覆う光電変換膜と、を含む基体を準備する。例えば、半導体基板190を準備し、半導体基板190の主面190a側に複数の第2電極120と、第1電極110とを形成する。さらに、層間絶縁層160を形成する。これにより、図7に示す構造を得る。

0106

次に、複数の第2電極120を少なくとも覆う光電変換膜を形成する。ここでは、まず、半導体基板190の主面190a側に、複数の第2電極120上を少なくとも覆う電子ブロッキング層14sを形成する。電子ブロッキング層14sの材料の例は、酸化カルシウム酸化クロム、酸化クロム銅、酸化マンガン酸化コバルト酸化ニッケル酸化銅酸化ガリウム銅、酸化ストロンチウム銅、酸化ニオブ酸化モリブデン酸化インジウム銅、酸化インジウム銀、酸化イリジウムなどである。

0107

このような材料を適用する場合、上述のエッチャント300を用いても電子ブロッキング層14sは除去されない。そのため、電子ブロッキング層14sの材料の堆積または塗布の段階でパターニングを実行する。例えば、真空蒸着法または塗布法によって電子ブロッキング層14sの材料を付与した後、フォトリソグラフィーおよびエッチングを適用して、電子ブロッキング層14sの材料の膜のうち、周辺領域510上に位置する部分を選択的に除去する。あるいは、マスクを介した真空蒸着法、スパッタ法によって酸化物半導体のパターンを形成してもよい。これにより、図17に示すように、撮像領域500となるべき領域を覆う電子ブロッキング層14sを形成することができる。

0108

電子ブロッキング層14sを酸化物半導体材料から形成することにより、電子ブロッキング層14sを有機材料から形成した場合と比較して抵抗が小さくなることにより、電子ブロッキング層14sでの電圧降下が小さいため、より高い電圧を有機光電変換膜に印加させ得る。そのため、第2電極120と対向電極140との間に印加するバイアスを変えることなく、光電変換効率を向上させ得る。また、電子ブロッキング層14sの材料に酸化物半導体材料を用いることにより、後の工程で塗布法により電子ブロッキング層14s上に有機膜を形成した場合であっても、有機膜の材料の溶液による電子ブロッキング層14sの溶解の心配がない。したがって、光電変換構造として機能する積層構造の形成がより容易である。

0109

次に、主面190a側にp型半導体膜13p、混合膜13xおよびn型半導体膜13nを形成する。このとき、図18に示すように、電子ブロッキング層14s上だけでなく、周辺領域510となるべき領域を覆うようにp型半導体膜13p、混合膜13xおよびn型半導体膜13nが形成されてもかまわない。これにより、電子ブロッキング層14s、p型半導体膜13p、混合膜13x、およびn型半導体膜13nを含む光電変換膜130sを主面190a側に有する基体210が得られる。

0110

<導電性のマスク層を光電変換膜上に形成する工程>
次に、図19に示すように、p型半導体膜13p、混合膜13xおよびn型半導体膜13nの積層構造のうち、平面視において、複数の第2電極120と重なる部分を少なくとも覆うマスク層16Dを形成する。マスク層16Dとして、ここでは、酸化物半導体層を形成する。酸化物半導体層のうち、撮像領域500となるべき領域上に位置する部分が被覆部560として機能する。後述するように、エッチングの工程の完了後、酸化物半導体層のうち被覆部560に相当する部分を正孔ブロッキング層として機能させ得る。

0111

マスク層16Dの材料の例は、酸化チタン酸化スズ、酸化インジウム、酸化タングステン、酸化ニオブ、酸化亜鉛などの酸化物半導体である。マスク層16Dとしての正孔ブロッキング層の形成には、電子ブロッキング層14sと同様の方法を適用できる。例えば、真空蒸着法または塗布法によって酸化物半導体材料をn型半導体膜13n上に付与した後、フォトリソグラフィーおよびエッチングを適用して、酸化物半導体材料の膜のうち、周辺領域510上に位置する部分を選択的に除去する。あるいは、マスクを介した真空蒸着法、スパッタ法によって酸化物半導体のパターンを形成してもよい。また、インクジェット法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、またはスクリーン印刷法によって酸化物半導体のパターンを直接的に形成してもよい。これにより、被覆部560を有するマスク層16Dを形成することができる。

0112

<ウェットエッチングによって光電変換膜の一部を除去する工程>
次に、基体210およびマスク層16Dをエッチャント300に浸漬することにより、光電変換膜130sの一部を除去する。マスク層16Dは、エッチャント300に不溶である。エッチャント300への浸漬により、図20に模式的に示すように、光電変換膜130sのうち、マスク層16Dで覆われていない部分を選択的に除去して、被覆部560に応じた形状の光電変換構造130Bを形成することができる。被覆部560のうちウェットエッチングの工程の完了後に残る部分、および、光電変換膜130sのうちウェットエッチングの工程の完了後に残る部分は、それぞれ、図5に示す酸化物半導体層136および光電変換層132に相当する。この例では、被覆部560のうちウェットエッチングの工程の完了後に残る部分を正孔ブロッキング層16sとして機能させ得る。

0113

図20に示す光電変換構造130Bに関するエネルギ図は、図10を参照して説明した例におけるエネルギ図と同様であり得る。ただし、ここでは、電子ブロッキング層14sおよび正孔ブロッキング層16sの材料として酸化物半導体を用いているので、電子ブロッキング膜14および正孔ブロッキング膜16を表す矩形の上側の辺の位置をそれぞれ電子ブロッキング層14sおよび正孔ブロッキング層16sに関する伝導帯の底と読み替え、下側の辺の位置をそれぞれ電子ブロッキング層14sおよび正孔ブロッキング層16sに関する価電子帯の上端と読み替えればよい。正孔ブロッキング層16sの材料に酸化物半導体材料を用いることにより、電子ブロッキング層14sを酸化物半導体材料から形成した場合と同様に、抵抗が小さく電圧降下が小さいため、より高い電圧を有機光電変換膜に印加させて光電変換効率を向上させることができる。

0114

<透光性の電極を形成する工程>
次に、図16Aを参照して説明した例と同様に、被覆部560を覆う、透光性の第3電極としての対向電極140を形成する。以上の工程により、図5に示す光電変換素子100Bが得られる。この例のように、正孔ブロッキング層16sとしての酸化物半導体材料の層をエッチマスクとして利用してもよい。なお、図13を参照して説明した例と同様に、マスク層16Dの被覆部560上に透明導電層140mを形成し、マスク層16Dおよび透明導電層140mをエッチマスクとして利用して光電変換膜130sのエッチングを実行してもよい。

0115

以上の実施形態においては、電子ブロッキング層が第2電極120側に配置され、正孔ブロッキング層が対向電極140側に配置されている。反対に、正孔ブロッキング層が第2電極120側に配置され、電子ブロッキング層が対向電極140側に配置される場合においても、電子ブロッキング層または透明電極層をエッチマスクとして利用して光電変換膜のエッチングを実行することができる。

0116

本開示の実施形態によれば、光電変換膜のエッチングに、例えば有機材料、透明導電性材料および酸化物半導体材料の少なくともいずれかから形成されたマスク層を用いるので、エッチング後にエッチマスクを除去する工程を省略することができる。特に、マスク層の材料に有機光電材料を用いることにより、マスク層の一部である被覆部560のうち、エッチング後に残った部分を光電変換構造130Aの一部、例えば電荷ブロッキング層として利用することが可能である。また、マスク層の材料に透明導電材料を用いることにより、被覆部560をその一部に含む対向電極140を形成することができる。

0117

なお、本開示の実施形態では、ウェットエッチングの適用により、光電変換膜130rまたは光電変換膜130qのパターニングを実行している。ウェットエッチングの適用によれば、実施例を参照して後述するように、暗電流を抑制して白傷欠陥の発生を抑制し得る。したがって、歩留まり向上の効果が得られる。これは、光電変換膜の形成の直後には、光電変換膜130r、130qと第2電極120との界面、および、光電変換膜130r、130qとマスク層との界面に応力差が生じている状態であるが、ウェットエッチングの実行により、応力が緩和されるためであると推測される。

0118

本開示の実施形態では、光電変換膜を含むデバイスとして機能可能な構造に対して、ウェットエッチングにより、光電変換膜に対する選択的なパターニングを実行し、エッチマスクをウェットエッチング後にも導電構造として利用している。したがって、光電変換構造における応力を緩和された状態としながら、エッチマスクを残した状態で光電変換素子を得ることができる。なお、光電変換膜のエッチングに一般に用いられているドライエッチングに代えてウェットエッチングを適用することにより、ドライエッチングによって形成される表面付近での感度の劣化を回避することができる。

0119

白傷欠陥は、光電変換構造中に、周囲と比較して比較的大きな暗電流が発生することによって生じる。したがって、光電変換構造を流れる暗電流の大きさによって、白傷欠陥の多寡を評価可能である。ここでは、光電変換素子に適用される光電変換構造を模したサンプルを製作し、各サンプルにおける暗電流の大きさを測定することにより、本開示の実施形態による、白傷欠陥抑制の効果を検討した。

0120

(参考例1、比較例1)
以下の手順により、参考例1および比較例1のサンプルを作製した。まず、150nmの厚さのITO膜を下部電極として一方の主面上に有する、厚さが0.7mmのガラス基板を準備した。次に、上述の第2電極120に相当する電極としての下部電極上に、下記の構造式に示す(OC2H5)8Sn(OSi(C6H13)3)2Ncと、PCBM(フロンティアカーボン株式会社社製)との混合溶液から塗布法により混合膜を形成した。成膜に用いた混合溶液中、(OC2H5)8Sn(OSi(C6H13)3)2NcおよびPCBMの重量比は、1:9であり、30mg/mlのクロロホルム溶液を用いた。なお、下記構造式中、Etは、C2H5を表し、Hexは、C6H13を表す。このときに得られた混合膜の厚さは、およそ250nmであった。

0121

さらに、真空蒸着法により、金属製の第1のシャドーマスクを介して、光電変換層としての上記の混合膜の一部の領域上にC60を50nmの厚さで堆積した。その後、スパッタリング法により、より小さな開口が設けられた第2のシャドーマスクを介して、厚さがおよそ30nmのITO膜を上部電極としてC60の層上に形成した。C60の層は、正孔ブロッキング層の役割を果たす。図21は、このときに得られた積層体の構成を模式的に示す。

0122

上部電極と下部電極との間に5Vのバイアスを印加させた状態で、キーイトテクノロジーズ・インク半導体デバイスパラメータアナライザB1500Aを用いて、上部電極と下部電極との間に生じる電流密度窒素雰囲気下で測定したところ、2.3×10-4(mA/cm2)の値が得られた。このときに得られた測定値を比較例1のサンプルに関する暗電流の値とした。

0123

次に、上述の積層体を窒素雰囲気下でアセトンに浸漬させることにより、光電変換層としての混合膜のウェットエッチングを実行した。5分経過後、エッチャントとしてのアセトンから積層体を取り出し、参考例1のサンプルとした。

0124

図22は、エッチング後の積層体の構成を模式的に示す。図22に模式的に示すように、参考例1のサンプルでは、混合膜のうち、C60の層に覆われていない部分がウェットエッチングによって除去された。このときの混合膜のエッチングレートは、50nm/minであった。ここで、C60は、アセトンに不溶である。C60の層のエッチングレートは、0nm/minと考えてよい。

0125

比較例1のときと同様にして、参考例1のサンプルについて上部電極と下部電極との間に生じる電流密度を窒素雰囲気下で測定したところ、7.5×10-5(mA/cm2)の値が得られた。

0126

(参考例2、比較例2)
まず、比較例1のサンプルと同様にして、図21に示す構成と同様の構成を有する積層体を準備した。次に、比較例1のときと同様にして、上部電極と下部電極との間に生じる電流密度を窒素雰囲気下で測定し、暗電流の大きさとして1.0×10-4(mA/cm2)の測定値を得た。このときに得られた暗電流の値を比較例2のサンプルに関する測定値とした。

0127

次に、積層体を窒素雰囲気下でアセトンとエタノールとの混合溶液に浸漬させることにより、光電変換層としての混合膜のウェットエッチングを実行し、図22に示す構成と同様の構成を有する積層体を作製した。このときに用いた混合溶液におけるアセトンおよびエタノールの比率は、体積比で3:1である。積層体を混合溶液に6分間浸漬させた後、エッチャントとしての混合溶液から積層体を取り出し、参考例2のサンプルとした。混合膜のエッチングレートは、40nm/minであった。参考例1、比較例1および2の各例のときと同様にして、上部電極と下部電極との間に生じる電流密度を窒素雰囲気下で測定し、暗電流の大きさとして1.6×10-5(mA/cm2)の測定値を得た。

0128

(参考例3、比較例3)
比較例1、2のサンプルと同様にして、図21に示す構成と同様の構成を有する積層体を準備した。次に、比較例1、2のときと同様にして、上部電極と下部電極との間に生じる電流密度を窒素雰囲気下で測定し、暗電流の大きさとして3.5×10-3(mA/cm2)の測定値を得た。このときに得られた暗電流の値を比較例3のサンプルに関する測定値とした。

0129

エッチャントとしてアセトンおよびエタノールの体積比が2:1である混合溶液を用い、積層体の浸漬の時間を8分に変更したこと以外は参考例2のサンプルと同様にして混合膜の選択的なウェットエッチングを実行し、参考例3のサンプルを作製した。混合膜のエッチングレートは、30nm/minであった。上述の各例のときと同様にして、上部電極と下部電極との間に生じる電流密度を窒素雰囲気下で測定し、暗電流の大きさとして2.5×10-4(mA/cm2)の測定値を得た。

0130

(参考例4、比較例4)
比較例1から3のサンプルと同様にして、図21に示す構成と同様の構成を有する積層体を準備した。次に、比較例1、2および3のときと同様にして、上部電極と下部電極との間に生じる電流密度を窒素雰囲気下で測定し、暗電流の大きさとして4.2×10-5(mA/cm2)の測定値を得た。このときに得られた暗電流の値を比較例4のサンプルに関する測定値とした。

0131

エッチャントとしてアセトンおよびエタノールの体積比が1:1である混合溶液を用い、積層体の浸漬の時間を12.5分に変更したこと以外は参考例2、3のサンプルと同様にして混合膜の選択的なウェットエッチングを実行し、参考例4のサンプルを作製した。混合膜のエッチングレートは、20nm/minであった。上述の各例のときと同様にして、上部電極と下部電極との間に生じる電流密度を窒素雰囲気下で測定し、暗電流の大きさとして1.9×10-5(mA/cm2)の測定値を得た。

0132

下記の表1は、参考例1から4および比較例1から4の各サンプルについての暗電流の測定値を示す。

0133

0134

表1から、比較例1から4のサンプルについては暗電流の測定値がある程度バラついているものの、対応する参考例の各サンプルに関する暗電流の測定値を参照すると、いずれのサンプルにおいてもウェットエッチングの実施により暗電流の値が低下することがわかった。つまり、光電変換膜に対するウェットエッチングの実行によって暗電流の値が低下し、白傷欠陥抑制の効果を得られることがわかった。暗電流の値の低下は、ウェットエッチングの実行によって混合膜の応力が緩和されたために生じたと推測される。このことは、光電変換膜を含む構造がエッチャントに浸漬されている状態においては光電変換膜中の分子が動きやすい状態にあり、エッチャントから引き揚げ、乾燥させる過程において分子が安定な状態に再配列した可能性を示唆しており、光電変換膜内にエッチャントが一部浸透していた可能性がある。

実施例

0135

上述の参考例1から4は、光電変換膜としての混合膜よりもエッチングレートの低い有機層であるC60層をエッチマスクとして利用する場合に相当するといえる。ただし、上部電極としてのITO膜をエッチマスクとして利用する場合、および、正孔ブロッキング層の材料としてC60に代えて酸化物半導体材料を適用した場合でも同様の効果が得られることが期待できる。本開示の実施形態によれば、光電変換膜と他の部材との界面に生じる応力の緩和と、エッチングによる光電変換膜の一部の除去とを同時に達成し得る。

0136

本開示の光電変換素子は、イメージセンサ太陽電池などに適用可能であり、例えば、暗電流の影響を受けやすい赤外域の光を検出するためのイメージセンサに好適に適用できる。

0137

10画素
14電子ブロッキング膜
14s電子ブロッキング層
16正孔ブロッキング膜
16s正孔ブロッキング層
16C、16D、140C、146Cマスク層
16m、134有機層
100A、100B光電変換素子
110 第1電極
120 第2電極
130A、130B光電変換構造
130q、130r、130s光電変換膜
132光電変換層
136酸化物半導体層
140対向電極
140m 透明導電層
150 保護層
160層間絶縁層
190半導体基板
191、192、193、194、195不純物領域
200、200A、200B、200C、210基体
300エッチャント
540 光電変換部
550読み出し回路
560被覆部

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