図面 (/)

技術 圧電基材、力センサー、及びアクチュエータ

出願人 三井化学株式会社
発明者 大西克己谷本一洋吉田光伸
出願日 2018年2月27日 (2年11ヶ月経過) 出願番号 2018-033728
公開日 2019年9月5日 (1年5ヶ月経過) 公開番号 2019-149481
状態 未査定
技術分野 圧電、電歪、磁歪装置 力の測定一般
主要キーワード 金属疲労破壊 長尺平板 スリット加工機 張力センサー エネルギーハー 包み方 自動車ウィンドウ ウラ面側
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年9月5日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (17)

課題

圧電感度に優れた圧電基材、並びに、この圧電基材を用いた力センサー及びアクチュエータを提供する。

解決手段

圧電基材100は、長尺状の内部導体12Aと、内部導体の外周面被覆する圧電体14Aと、圧電体の外周に配置された外部導体16と、を備え、圧電体よりも高いガラス転移点を有する樹脂を含有する機能層15を有する。さらに樹脂が、シアノアクリレート系樹脂ポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種類以上を含む。

概要

背景

近年、ヘリカルキラル高分子を含む圧電体を、センサーアクチュエータ等の圧電デバイスへ応用をすることが検討されている。このような圧電デバイスには、フィルム形状の圧電体が用いられている。
上記圧電体におけるヘリカルキラル高分子として、ポリペプチドポリ乳酸系高分子等の光学活性を有する高分子を用いることが着目されている。中でも、ポリ乳酸系高分子は、機械的な延伸操作のみで圧電性発現することが知られている。ポリ乳酸系高分子を用いた圧電体においては、ポーリング処理が不要であり、また、圧電性が数年にわたり減少しないことが知られている。
例えば、ポリ乳酸系高分子を含む圧電体として、圧電定数d14が大きく、透明性に優れる圧電体が報告されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
また、最近、圧電性を有する材料を、導体被覆して利用する試みもなされている。
例えば、中心から外側に向って順に同軸状に配置された中心導体圧電材料層外側導体及び外被から構成される、ピエゾケーブルが知られている(例えば、特許文献3参照)。
また、圧電性高分子からなる繊維を導電性繊維に被覆してなる圧電単位が知られている(例えば、特許文献4参照)。

概要

圧電感度に優れた圧電基材、並びに、この圧電基材を用いた力センサー及びアクチュエータを提供する。圧電基材100は、長尺状の内部導体12Aと、内部導体の外周面を被覆する圧電体14Aと、圧電体の外周に配置された外部導体16と、を備え、圧電体よりも高いガラス転移点を有する樹脂を含有する機能層15を有する。さらに樹脂が、シアノアクリレート系樹脂ポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種類以上を含む。B

目的

本発明の目的は、圧電感度に優れた圧電基材、並びに、この圧電基材を用いた力センサー及びアクチュエータを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

長尺状の内部導体と、前記内部導体の外周面被覆する圧電体と、前記圧電体の外周に配置された外部導体と、を備え、前記圧電体よりも高いガラス転移点を有する樹脂を含有する機能層を有する、圧電基材

請求項2

前記樹脂が、シアノアクリレート系樹脂ポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種類以上を含む請求項1に記載の圧電基材。

請求項3

前記機能層が、厚さが0.001mm以上0.2mm以下であり、幅が0.1mm以上30mm以下であり、前記厚さに対する前記幅の比が2以上である長尺平板形状のフィルムを被覆した層である請求項1又は請求項2に記載の圧電基材。

請求項4

前記圧電体が、光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、前記圧電体の長さ方向と、前記圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行であり、下記式(a)によって求められる前記圧電体の配向度Fが0.5以上1.0未満の範囲である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の圧電基材。配向度F=(180°−α)/180°・・(a)(式(a)中、αはX線回折により測定される配向由来ピーク半値幅を表す。)

請求項5

前記圧電体は、カルボジイミド基エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基を有する重量平均分子量が200〜60000の安定化剤(B)を、前記ヘリカルキラル高分子(A)100質量部に対して0.01質量部〜10質量部含む、請求項4に記載の圧電基材。

請求項6

前記圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)が、下記式(1)で表される構造単位を含む主鎖を有するポリ乳酸系高分子である請求項4又は請求項5に記載の圧電基材。

請求項7

前記圧電体が、長尺状であり、前記内部導体の外周面に沿って一方向に螺旋状に巻回されている請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の圧電基材。

請求項8

長尺状の内部導体と、前記内部導体の外周面を被覆する圧電体と、前記内部導体の外周面を被覆し、前記圧電体よりも高いガラス転移点を有する樹脂を含有する機能層であって、前記機能層が前記圧電体と共に組紐構造の少なくとも一部を形成する機能層と、前記圧電体及び前記機能層の外周に配置された外部導体と、を備える圧電基材。

請求項9

前記圧電体が、前記内部導体の軸方向に対して、15°〜75°の角度を保持して巻回されている、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の圧電基材。

請求項10

前記圧電体が繊維形状を有し、前記圧電体の、前記内部導体の長軸方向と直交する断面の平均長軸径が、0.0001mm以上10mm以下である請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の圧電基材。

請求項11

前記圧電体が長尺平板形状を有し、前記圧電体の平均厚さが0.001mm以上0.2mm以下であり、前記圧電体の幅が0.1mm以上30mm以下であり、前記圧電体の平均厚さに対する前記圧電体の幅の比が2以上である請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の圧電基材。

請求項12

さらに、帯電防止層アンチブロック層、及び電極層からなる群より選択される少なくとも1種を有する請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の圧電基材。

請求項13

前記内部導体が錦糸線である請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の圧電基材。

請求項14

請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の圧電基材を備える力センサー

請求項15

請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の圧電基材を備えるアクチュエータ

技術分野

0001

本発明は、圧電基材力センサー、及びアクチュエータに関する。

背景技術

0002

近年、ヘリカルキラル高分子を含む圧電体を、センサー、アクチュエータ等の圧電デバイスへ応用をすることが検討されている。このような圧電デバイスには、フィルム形状の圧電体が用いられている。
上記圧電体におけるヘリカルキラル高分子として、ポリペプチドポリ乳酸系高分子等の光学活性を有する高分子を用いることが着目されている。中でも、ポリ乳酸系高分子は、機械的な延伸操作のみで圧電性発現することが知られている。ポリ乳酸系高分子を用いた圧電体においては、ポーリング処理が不要であり、また、圧電性が数年にわたり減少しないことが知られている。
例えば、ポリ乳酸系高分子を含む圧電体として、圧電定数d14が大きく、透明性に優れる圧電体が報告されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
また、最近、圧電性を有する材料を、導体被覆して利用する試みもなされている。
例えば、中心から外側に向って順に同軸状に配置された中心導体圧電材料層外側導体及び外被から構成される、ピエゾケーブルが知られている(例えば、特許文献3参照)。
また、圧電性高分子からなる繊維を導電性繊維に被覆してなる圧電単位が知られている(例えば、特許文献4参照)。

先行技術

0003

特許第4934235号公報
国際公開第2010/104196号
特開平10−132669号公報
国際公開第2014/058077号

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、圧電体(例えば、特許文献1及び2の実施例における圧電体)を、圧電体に含まれる高分子のガラス転移温度よりも高い温度で使用した場合、変形により圧電体中に伸び、折れ、シワ等の損傷が生じ、その結果、圧電感度(例えば、圧電体をセンサーとして用いた場合のセンサー感度、及び、圧電体をアクチュエータとして用いた場合の動作感度。以下同じ。)が低下する場合がある。
また、特許文献3では、上述のように中心から外側に向って順に同軸状に配置された中心導体、圧電材料層、外側導体及び外被から構成されるピエゾケーブルが記載され、圧電材料としてポリフッ化ビニリデンPVDF)が記載されている。しかし、PVDFは経時的に圧電定数の変動が見られ、経時により圧電定数が低下する場合がある。また、PVDFは、強誘電体であるため焦電性を有し、このため、周囲の温度変化により圧電信号出力が変動する場合がある。従って、特許文献3に記載のピエゾケーブルでは、圧電感度の安定性不足する場合がある。
また、特許文献4には、ポリ乳酸を含む圧電繊維(以下、圧電性繊維と称する)を被覆してなり、例えば、圧電性繊維で作製した編組チューブや丸打組紐を導電性繊維に巻き付けてなる圧電単位が記載されている。しかし、特許文献4に記載の圧電繊維を高温条件にした場合、圧電感度が不足する場合がある。従って、特許文献4に記載の圧電性繊維では、圧電感度が不足する場合がある。

0005

即ち、本発明の目的は、圧電感度に優れた圧電基材、並びに、この圧電基材を用いた力センサー及びアクチュエータを提供することである。

課題を解決するための手段

0006

上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1>長尺状の内部導体と、前記内部導体の外周面を被覆する圧電体と、前記圧電体の外周に配置された外部導体と、を備え、前記圧電体よりも高いガラス転移点を有する樹脂を含有する機能層を有する、圧電基材。
<2> 前記樹脂が、シアノアクリレート系樹脂ポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種類以上を含む<1>に記載の圧電基材。
<3> 前記機能層が、厚さが0.001mm以上0.2mm以下であり、幅が0.1mm以上30mm以下であり、前記厚さに対する前記幅の比が2以上である長尺平板形状のフィルムを被覆した層である<1>又は<2>に記載の圧電基材。
<4> 前記圧電体が、光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、前記圧電体の長さ方向と、前記圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行であり、下記式(a)によって求められる前記圧電体の配向度Fが0.5以上1.0未満の範囲である<1>から<3>のいずれか1つに記載の圧電基材。
配向度F=(180°−α)/180°・・(a)
(式(a)中、αはX線回折により測定される配向由来ピーク半値幅を表す。)
<5> 前記圧電体は、カルボジイミド基エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基を有する重量平均分子量が200〜60000の安定化剤(B)を、前記ヘリカルキラル高分子(A)100質量部に対して0.01質量部〜10質量部含む、<4>に記載の圧電基材。
<6> 前記圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)が、下記式(1)で表される構造単位を含む主鎖を有するポリ乳酸系高分子である<4>又は<5>に記載の圧電基材。




<7> 前記圧電体が、長尺状であり、前記内部導体の外周面に沿って一方向に螺旋状に巻回されている<1>〜<6>のいずれか1つに記載の圧電基材。
<8> 長尺状の内部導体と、前記内部導体の外周面を被覆する圧電体と、前記内部導体の外周面を被覆し、前記圧電体よりも高いガラス転移点を有する樹脂を含有する機能層であって、前記機能層が前記圧電体と共に組紐構造の少なくとも一部を形成する機能層と、前記圧電体及び前記機能層の外周に配置された外部導体と、を備える圧電基材。
<9> 前記圧電体が、前記内部導体の軸方向に対して、15°〜75°の角度を保持して巻回されている、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の圧電基材。
<10> 前記圧電体が繊維形状を有し、前記圧電体の、前記内部導体の長軸方向と直交する断面の平均長軸径が、0.0001mm以上10mm以下である<1>〜<9>のいずれか1つに記載の圧電基材。
<11> 前記圧電体が長尺平板形状を有し、前記圧電体の平均厚さが0.001mm以上0.2mm以下であり、前記圧電体の幅が0.1mm以上30mm以下であり、前記圧電体の平均厚さに対する前記圧電体の幅の比が2以上である<1>〜<10>のいずれか1つに記載の圧電基材。
<12> さらに、帯電防止層アンチブロック層、及び電極層からなる群より選択される少なくとも1種を有する<1>〜<11>のいずれか1つに記載の圧電基材。
<13> 前記内部導体が錦糸線である<1>〜<12>のいずれか1つに記載の圧電基材。
<14> <1>〜<13>のいずれか1つに記載の圧電基材を備える力センサー。
<15> <1>〜<13>のいずれか1項に記載の圧電基材を備えるアクチュエータ。

発明の効果

0007

本発明によれば、圧電感度に優れた圧電基材、並びに、この圧電基材を用いた力センサー及びアクチュエータを提供することができる。

図面の簡単な説明

0008

第1実施形態に係る圧電基材を構成する同軸線構造体の側面図である。
第1実施形態に係る圧電基材の側面図である。
図1BのX−X’線断面図である。
第2実施形態に係る圧電基材を構成する同軸線構造体の側面図である。
第2実施形態に係る圧電基材の側面図である。
実施例1の同軸線構造体の写真及び同軸線構造体に更に外部導体を配置した状態を示すI−I線に沿った模式断面図である。
第4実施形態に係る圧電基材を示す斜視図であり、矢印X1方向のねじり力が印加されたときのPLLAの分極方向を示す図である。
第4実施形態に係る圧電基材を示す斜視図であり、矢印X2方向のねじり力が印加されたときのPLLAの分極方向を示す図である。
第5実施形態に係る圧電基材を示す斜視図であり、矢印X1方向のねじり力が印加されたときのPDLAの分極方向を示す図である。
第5実施形態に係る圧電基材を示す斜視図であり、矢印X2方向のねじり力が印加されたときのPDLAの分極方向を示す図である。
粘着テープを用いて平板を貼り付けた第1実施形態に係る圧電基材を示す概略図である。
粘着テープを用いて平板を貼り付けた第1実施形態に係る圧電基材を押圧したときの概略図である。
粘着テープを用いて平板を貼り付けた第1実施形態に係る圧電基材の一例である。
接着剤を用いて平板を貼り付けた第1実施形態に係る圧電基材の一例である。
本開示の実施形態に係る力センサーの概念図である。
PETフィルムで圧電体を被覆した本開示の圧電基材の一例である。

0009

以下、本発明の一例である実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、長尺状とは、長さ寸法が幅寸法よりも十分に大きい形状を意味する。その長さ寸法は、通常、幅寸法の5倍以上であり、好ましくは10倍以上である。
本明細書において、長尺平板状の圧電体の「主面」とは、長尺平板状の圧電体の厚さ方向に直交する面(言い換えれば、長さ方向及び幅方向を含む面)を意味する。
明細書中において、部材の「面」は、特に断りが無い限り、部材の「主面」を意味する。
本明細書において、厚さ、幅、及び長さは、通常の定義どおり、厚さ<幅<長さの関係を満たす。
本明細書において、2つの線分のなす角度は、0°以上90°以下の範囲で表す。
本明細書において、「フィルム」は、一般的に「フィルム」と呼ばれているものだけでなく、一般的に「シート」と呼ばれているものをも包含する概念である。
本明細書において、「MD方向」とはフィルムの流れる方向(Machine Direction)、すなわち、延伸方向であり、「TD方向」とは、前記MD方向と直交し、フィルムの主面と平行な方向(Transverse Direction)である。
本明細書において、図面を参照して実施形態を説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。

0010

次いで、本開示の圧電基材、並びに、この圧電基材を用いた力センサー及びアクチュエータについて詳細に説明する。

0011

[圧電基材]
本発明の圧電基材は、長尺状の内部導体と、前記内部導体の外周面を被覆する圧電体と、前記圧電体の外周に配置された外部導体と、を備え、前記内部導体の外周側に、圧電体よりも高いガラス転移点を有する樹脂含有する機能層を有する。

0012

本発明は、上記の構成を備えることにより、圧電感度に優れた圧電基材、並びに、この圧電基材を用いた力センサー及びアクチュエータを提供することができる。
この効果が奏される理由は以下のように推測される。

0013

従来、同軸線構造圧電センサは、例えばPLA等の樹脂が圧電部材として使用されており、圧電部材に含まれる樹脂のガラス転移点を超える高温度環境下で使用したのち、室温に戻すと、圧電感度が下がってしまう。
この原因として、同軸線構造圧電センサに張力が加わると、PLAの配向方向に対して45°方向に力が加わるが、上記の高温度環境下で使用した場合、PLAがガラス転移点以上の温度になっていると、上記張力の影響でPLAの配向が崩れると考えられる。この同軸線構造圧電センサを、室温に戻して再度使用した場合、圧電性が劣化していた。
一方、本開示の圧電基材(例えば、同軸線構造圧電センサ等)は、圧電体よりも高いガラス転移点を有する樹脂(例えば、PLAのガラス転移点よりも高いガラス転移点を有する材質)を含有する層(以下、「機能層」ともいう。)が設けられている。そのため、上記の高温度環境下でも、機能層が高い弾性力を発揮し、上記張力によるPLAへの応力緩和し、PLAの配向方向が崩れることが抑制されるものと考えられる。
したがって、本開示の圧電基材、並びに、この圧電基材を用いた力センサー及びアクチュエータは、圧電感度に優れている。

0014

<内部導体>
圧電基材における内部導体は、信号線導体であることが好ましい。信号線導体とは、圧電体から効率的に電気的信号を検出するための導体を意味する。より具体的には、圧電基材に張力が印加されたときに、印加された張力に応じた電圧信号電荷信号)を検出するための導体である。

0015

内部導体は、芯材と、芯材の周囲を被覆する導体Aとを備えるコード状物体を用いることができる。このような構成の内部導体は、錦糸線とも称される。
また、内部導体として導電性繊維を用いることもできる。導電性繊維としては、導電性を示すものであればよく、公知のあらゆるものが用いられ、例えば、金属繊維導電性高分子からなる繊維、炭素繊維、繊維状もしくは粒状の導電性フィラーを分散させた高分子からなる繊維、又は繊維状物の表面に導電性を有する層を設けた繊維が挙げられる。繊維状物の表面に導電性を有する層を設ける方法としては、金属コート、導電性高分子コート、導電性繊維の巻付けなどが挙げられる。なかでも金属コートが導電性、耐久性、柔軟性などの観点から好ましい。金属をコートする具体的な方法としては、蒸着スパッタ電解メッキ無電解メッキなどが挙げられるが、生産性などの観点から電解メッキ又は無電解メッキが好ましい。このような金属がメッキされた繊維は金属メッキ繊維ということができる。

0016

芯材と導体Aの種類を適切に選択することで、高い屈曲性や可とう性(例えば、衣服内装するウェアラブルセンサー等の用途)に好適な圧電基材を得ることができる。

0017

内部導体として具体的には、例えば、綿糸等の短繊維撚糸した繊維、ポリエテステル糸、ナイロン糸等の長繊維などを芯材として、その周囲に金属箔が螺旋状に巻回された構造を有するものが挙げられる。

0018

芯材の周囲に金属箔を巻回して内部導体を作製する場合、金属箔は平角線状であることが好ましい。平角線状の金属箔は、金属線圧延したり、金属箔を細幅スリットしたりすることで作製できる。金属箔を平角線状にすることで、内部導体の周囲に巻き付けられる圧電体との間の空隙を減らし、圧電体への密着性を高めることができる。その結果、圧電体から発生する電荷変動を検出しやすくなり、張力に対する感度がより向上する。

0019

金属箔が平角線状である場合、その断面(好ましくは、矩形状断面)において、厚さに対する幅の比率は、2以上であることが好ましい。

0020

金属箔の材質は特に制限されないが、銅箔が好ましい。電気伝導度の高い銅を用いることで、出力インピーダンスを低下することが可能となる。従って、圧電基材に張力が印加されたときに、張力に応じた電圧信号がより検出されやすくなる。この結果、圧電感度がより向上する傾向にある。また、銅箔は屈曲変形時に弾性変形領域の変形に収まり、塑性変形しにくくなるため、金属疲労破壊が起こりにくくなり、繰り返し屈曲耐性を著しく向上させることが可能となる。

0021

内部導体における芯材は、内部導体の中心に位置し、張力を支え構造材としての機能を有する。芯材の材質、断面積等を適宜選択することで、内部導体に付与される張力、歪量等の値にあわせた設計が可能となる。

0022

芯材の材質は特に制限されず、圧電基材の所望の特性に応じて選択できる。屈曲性と強度を高いレベル両立する観点からは、天然繊維合成繊維等の繊維(フィラメント)が挙げられる。

0023

芯材の太さは特に制限されず、圧電基材の所望の特性に応じて選択できる。例えば、線外径が0.1mm〜10mmの範囲内であることが好ましい。

0024

<圧電体>
本開示の圧電基材は、圧電体を備える。
圧電体は、圧電感度を向上する観点から、長尺平板形状又は繊維形状を有することが好ましい。
以下、長尺平板形状を有する圧電体(以下、長尺平板状圧電体ともいう)、及び繊維形状を有する圧電体(以下、繊維状圧電体ともいう)について順に説明する。

0025

−長尺平板状圧電体−
圧電体として、長尺平板状圧電体を用いることにより、内部導体に対する密着面を大きくでき、効率的に圧電効果により発生した電荷を電圧信号として検出することが可能となる。
以下、長尺平板状圧電体の寸法に関し、より詳細に説明する。

0026

長尺平板状圧電体の平均厚さ(以下、単に「厚さ」ともいう)は、0.001mm〜0.2mmであることが好ましい。長尺平板状圧電体の厚さが0.001mm以上であると、充分な強度が確保される傾向にある。更に、製造適性にも優れる傾向にある。一方、長尺平板状圧電体の厚さが0.2mm以下であると、厚さ方向の変形の自由度(柔軟性)が向上する傾向にある。

0027

長尺平板状圧電体の幅は、0.1mm〜30mmであることが好ましく、0.5mm〜15mmであることがより好ましい。長尺平板状圧電体の幅が0.1mm以上であると、充分な強度が確保される傾向にある。更に、製造適性(例えば、後述するスリット工程における製造適性)にも優れる傾向にある。一方、長尺平板状圧電体の幅が30mm以下であると、変形の自由度(柔軟性)が向上する傾向にある。

0028

長尺平板状圧電体の厚さに対する幅の比(以下、「比〔幅/厚さ〕」ともいう)は、2以上であることが好ましい。長尺平板状圧電体の比〔幅/厚さ〕が2以上であると、主面が明確となるので、長尺平板状圧電体の長さ方向に渡って向きを揃えて外部導体を形成し易い。

0029

長尺平板状圧電体の幅は、0.5mm〜15mmであることがより好ましい。長尺平板状圧電体の幅が0.5mm以上であると、強度がより向上する傾向にある。更に、長尺平板状圧電体のねじれをより抑制できるので、圧電感度及びその安定性がより向上する傾向にある。一方、長尺平板状圧電体の幅が15mm以下であると、長尺平板状圧電体の変形の自由度(柔軟性)がより向上する傾向にある。

0030

長尺平板状圧電体は、幅に対する長さの比(以下、比〔長さ/幅〕ともいう)が、10以上であることが好ましい。長尺平板状圧電体の比〔長さ/幅〕が10以上であると、変形の自由度(柔軟性)がより向上する。

0031

長尺平板状圧電体の製造方法には特に限定はなく、公知の方法により製造することができる。
例えば、圧電フィルムから長尺平板状圧電体を製造する方法としては、原料をフィルム状に成形して未延伸フィルムを得、得られた未延伸フィルムに対し、延伸及び結晶化を施し、得られた圧電フィルムをスリットする(圧電フィルムを長尺状にカットする)ことにより得ることができる。
また、公知のフラットヤーン製法を用いて長尺平板状圧電体を製造してもよい。例えば、インフレーション成形により得られた幅広のフィルムをスリットして細幅のフィルムにした後、熱板延伸ロール延伸等による延伸、及び結晶化を施すことにより、長尺平板状圧電体を得てもよい。
なお、上記延伸及び結晶化は、いずれが先であってもよい。また、未延伸フィルムに対し、予備結晶化、延伸、及び結晶化(アニール)を順次施す方法であってもよい。延伸は、一軸延伸であっても二軸延伸であってもよい。二軸延伸の場合には、好ましくは一方(主延伸方向)の延伸倍率を高くする。
圧電フィルムの製造方法については、特許第4934235号公報、国際公開第2010/104196号、国際公開第2013/054918号、国際公開第2013/089148号、等の公知文献を適宜参照できる。

0032

−繊維状圧電体−
圧電体として、繊維状圧電体を用いることにより、より柔軟性と可撓性に優れた形態として利用することができ、効率的に圧電効果により発生した電荷を電圧信号として検出することが可能となる。
繊維形状としては特に制限はないが、例えば、単繊維の形状、繊維束(複数の繊維からなる束)の形状が挙げられる。
以下、繊維状圧電体の寸法に関し、より詳細に説明する。
繊維状圧電体の、内部導体の長軸方向と直交する断面の平均長軸径(以下、単に「長軸径」ともいう)は、圧電感度を向上する観点から、0.0001mm〜10mmであることが好ましく、0.001mm〜5mmであることがより好ましく、0.002mm〜1mmであることが更に好ましい。
繊維状圧電体の長軸径が0.0001mm以上であると、強度がより向上する傾向にある。一方、繊維状圧電体の長軸径が10mm以下であると、繊維状圧電体の変形の自由度(柔軟性)がより向上する傾向にある。
ここで、「断面の長軸径」は、繊維状圧電体の断面が円形状である場合、「直径」に相当する。
繊維状圧電体の断面が円形とは異なる形状である場合、「断面の長軸径」は、断面における最も長い距離とする。
繊維状圧電体が繊維束からなる圧電体の場合、「断面の長軸径」とは、繊維束からなる圧電体の断面の長軸径とする。
具体的に、繊維状圧電体としては、例えば、モノフィラメント糸マルチフィラメント糸が挙げられる。

0033

・モノフィラメント糸
モノフィラメント糸の単糸繊度は、好ましくは3dtex〜30dtexであり、より好ましくは5dtex〜20dtexである。
単糸繊度が3dtex未満になると、織物準備工程製織工程において糸を取り扱うことが困難となる。一方、単糸繊度が30dtexを超えると、糸間融着が発生し易くなる。
モノフィラメント糸は、コストの点を考慮すれば直接的に紡糸、延伸して得ることが好ましい。なお、モノフィラメント糸は入手したものであってもよい。

0034

・マルチフィラメント糸
マルチフィラメント糸の総繊度は、好ましくは30dtex〜600dtexであり、より好ましくは100dtex〜400dtexである。
マルチフィラメント糸は、例えば、スピンドロー糸などの一工程糸の他、UDY(未延伸糸)やPOY(高配向未延伸糸)などを延伸して得る二工程糸のいずれもが採用可能である。なお、マルチフィラメント糸は入手したものであってもよい。
ポリ乳酸系モノフィラメント糸ポリ乳酸系マルチフィラメント糸の市販品としては、東レ製のエコディア(R)PLA、ユニチカ製のテラマック(R)、クラレ製プラスターチ(R)が使用可能である。

0035

繊維状圧電体の製造方法には特に限定はなく、公知の方法により製造することができる。
例えば、繊維状圧電体としてのフィラメント糸(モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸)は、原料(例えばポリ乳酸)を溶融紡糸した後、これを延伸することにより得ることができる(溶融紡糸延伸法)。なお、紡出後において、冷却固化するまでの糸条近傍の雰囲気温度を一定温度範囲に保つことが好ましい。
また、フィラメント糸は、例えば、上記溶融紡糸延伸法で得られたフィラメント糸をさらに分繊することにより得てもよい。

0036

(ヘリカルキラル高分子(A))
本開示における圧電体は、光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含むことが好ましい。
ここで、「光学活性を有するヘリカルキラル高分子」とは、分子構造螺旋構造であり分子光学活性を有する高分子を指す。

0037

上記ヘリカルキラル高分子(A)としては、例えば、ポリペプチド、セルロース誘導体、ポリ乳酸系高分子、ポリプロピレンオキシド、ポリ(β—ヒドロキシ酪酸)等を挙げることができる。
上記ポリペプチドとしては、例えば、ポリ(グルタル酸γ−ベンジル)、ポリ(グルタル酸γ−メチル)等が挙げられる。
上記セルロース誘導体としては、例えば、酢酸セルロースシアノエチルセルロース等が挙げられる。

0038

ヘリカルキラル高分子(A)は、圧電体の圧電性を向上する観点から、光学純度が95.00%ee以上であることが好ましく、96.00%ee以上であることがより好ましく、99.00%ee以上であることがさらに好ましく、99.99%ee以上であることがさらにより好ましい。望ましくは100.00%eeである。ヘリカルキラル高分子(A)の光学純度を上記範囲とすることで、圧電性を発現する高分子結晶パッキング性が高くなり、その結果、圧電性が高くなるものと考えられる。

0039

ここで、ヘリカルキラル高分子(A)の光学純度は、下記式にて算出した値である。
光学純度(%ee)=100×|L体量−D体量|/(L体量+D体量)
すなわち、ヘリカルキラル高分子(A)の光学純度は、
『「ヘリカルキラル高分子(A)のL体の量〔質量%〕とヘリカルキラル高分子(A)のD体の量〔質量%〕との量差(絶対値)」を「ヘリカルキラル高分子(A)のL体の量〔質量%〕とヘリカルキラル高分子(A)のD体の量〔質量%〕との合計量」で割った(除した)数値』に、『100』をかけた(乗じた)値である。

0040

なお、ヘリカルキラル高分子(A)のL体の量〔質量%〕とヘリカルキラル高分子(A)のD体の量〔質量%〕は、高速液体クロマトグラフィーHPLC)を用いた方法により得られる値を用いる。具体的な測定の詳細については後述する。

0041

上記ヘリカルキラル高分子(A)は、光学純度を上げ、圧電性を向上させる観点から、下記式(1)で表される構造単位を含む主鎖を有する高分子であることが好ましい。

0042

0043

上記式(1)で表される構造単位を主鎖とする高分子としては、ポリ乳酸系高分子が挙げられる。
ここで、ポリ乳酸系高分子とは、「ポリ乳酸(L−乳酸及びD−乳酸から選ばれるモノマー由来の構造単位のみからなる高分子)」、「L−乳酸又はD−乳酸と、該L−乳酸又はD−乳酸と共重合可能化合物とのコポリマー」、又は、両者の混合物をいう。
ポリ乳酸系高分子の中でも、ポリ乳酸が好ましく、L−乳酸のホモポリマー(PLLA、単に「L体」ともいう)又はD−乳酸のホモポリマー(PDLA、単に「D体」ともいう)が最も好ましい。

0044

ポリ乳酸は、乳酸がエステル結合によって重合し、長く繋がった高分子である。
ポリ乳酸は、ラクチドを経由するラクチド法;溶媒中で乳酸を減圧下加熱し、水を取り除きながら重合させる直接重合法;などによって製造できることが知られている。
ポリ乳酸としては、L−乳酸のホモポリマー、D−乳酸のホモポリマー、L−乳酸及びD−乳酸の少なくとも一方の重合体を含むブロックコポリマー、及び、L−乳酸及びD−乳酸の少なくとも一方の重合体を含むグラフトコポリマーが挙げられる。
なお、ポリ乳酸のガラス転移点は、分子量や、延伸による結晶化度多寡によっても異なるが、50℃〜70℃程度である。

0045

上記「L−乳酸又はD−乳酸と共重合可能な化合物」としては、グリコール酸ジメチルグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシカプロン酸、4−ヒドロキシカプロン酸、5−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシメチルカプロン酸マンデル酸等のヒドロキシカルボン酸グリコリド、β−メチル−δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の環状エステルシュウ酸マロン酸コハク酸、グルタル酸、アジピン酸ピメリン酸アゼライン酸セバシン酸ウンデカン二酸ドデカン二酸テレフタル酸等の多価カルボン酸及びこれらの無水物;エチレングリコールジエチレングリコールトリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコールテトラメチレングリコール、1,4−ヘキサンジメタノール等の多価アルコールセルロース等の多糖類α−アミノ酸等のアミノカルボン酸;等を挙げることができる。

0046

上記「L−乳酸又はD−乳酸と、該L−乳酸又はD−乳酸と共重合可能な化合物とのコポリマー」としては、らせん結晶を生成可能なポリ乳酸シーケンスを有する、ブロックコポリマー又はグラフトコポリマーが挙げられる。

0047

また、ヘリカルキラル高分子(A)中におけるコポリマー成分に由来する構造の濃度は20mol%以下であることが好ましい。
例えば、ヘリカルキラル高分子(A)が、ポリ乳酸系高分子である場合、ポリ乳酸系高分子中における、乳酸に由来する構造と、乳酸と共重合可能な化合物(コポリマー成分)に由来する構造と、のモル数の合計に対して、コポリマー成分に由来する構造の濃度が20mol%以下であることが好ましい。

0048

ポリ乳酸系高分子は、例えば、特開昭59−096123号公報、及び特開平7−033861号公報に記載されている乳酸を直接脱水縮合して得る方法;米国特許2,668,182号及び4,057,357号等に記載されている乳酸の環状二量体であるラクチドを用いて開環重合させる方法;などにより製造することができる。

0049

さらに、上記各製造方法により得られたポリ乳酸系高分子は、光学純度を95.00%ee以上とするために、例えば、ポリ乳酸をラクチド法で製造する場合、晶析操作により光学純度を95.00%ee以上の光学純度に向上させたラクチドを、重合することが好ましい。

0050

−重量平均分子量−
ヘリカルキラル高分子(A)の重量平均分子量(Mw)は、5万〜100万であることが好ましい。
ヘリカルキラル高分子(A)のMwが5万以上であることにより、圧電体の機械的強度が向上する。上記Mwは、10万以上であることが好ましく、20万以上であることがさらに好ましい。
一方、ヘリカルキラル高分子(A)のMwが100万以下であることにより、成形(例えば押出成形、溶融紡糸)によって圧電体を得る際の成形性が向上する。上記Mwは、80万以下であることが好ましく、30万以下であることがさらに好ましい。

0051

また、ヘリカルキラル高分子(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、圧電体の強度の観点から、1.1〜5であることが好ましく、1.2〜4であることがより好ましい。さらに1.4〜3であることが好ましい。

0052

なお、ヘリカルキラル高分子(A)の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用いて測定された値を指す。ここで、Mnは、ヘリカルキラル高分子(A)の数平均分子量である。
以下、GPCによるヘリカルキラル高分子(A)のMw及びMw/Mnの測定方法の一例を示す。

0053

−GPC測定装置
Waters社製GPC−100
カラム
昭和電工社製、ShodexLF−804
サンプルの調製−
圧電体を40℃で溶媒(例えば、クロロホルム)へ溶解させ、濃度1mg/mlのサンプル溶液を準備する。
測定条件
サンプル溶液0.1mlを溶媒〔クロロホルム〕、温度40℃、1ml/分の流速でカラムに導入する。

0054

カラムで分離されたサンプル溶液中のサンプル濃度示差屈折計で測定する。
ポリスチレン標準試料にてユニバーサル検量線を作成し、ヘリカルキラル高分子(A)の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を算出する。

0055

ヘリカルキラル高分子(A)の例であるポリ乳酸系高分子としては、市販のポリ乳酸を用いることができる。
市販品としては、例えば、PURAC社製のPURASORB(PD、PL)、三井化学社製のLACEA(H−100、H−400)、NatureWorksLLC社製のIngeoTM biopolymer、等が挙げられる。
ヘリカルキラル高分子(A)としてポリ乳酸系高分子を用いるときに、ポリ乳酸系高分子の重量平均分子量(Mw)を5万以上とするためには、ラクチド法、又は直接重合法によりポリ乳酸系高分子を製造することが好ましい。

0056

本開示における圧電体は、上述したヘリカルキラル高分子(A)を、1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
本開示における圧電体中におけるヘリカルキラル高分子(A)の含有量(2種以上である場合には総含有量)は、圧電体の全量に対し、80質量%以上が好ましい。

0057

(安定化剤)
圧電体は、更に、一分子中に、カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる1種類以上の官能基を有する重量平均分子量が200〜60000の安定化剤(B)を含有することが好ましい。これにより、耐湿熱性をより向上させることができる。

0058

安定化剤(B)としては、国際公開第2013/054918号の段落0039〜0055に記載された「安定化剤(B)」を用いることができる。

0059

安定化剤(B)として用い得る、一分子中にカルボジイミド基を含む化合物(カルボジイミド化合物)としては、モノカルボジイミド化合物ポリカルボジイミド化合物環状カルボジイミド化合物が挙げられる。
モノカルボジイミド化合物としては、ジシクロヘキシルカルボジイミドビス−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、等が好適である。
また、ポリカルボジイミド化合物としては、種々の方法で製造したものを使用することができる。従来のポリカルボジイミドの製造方法(例えば、米国特許第2941956号明細書、特公昭47−33279号公報、J.0rg.Chem.28,2069−2075(1963)、Chemical Review 1981,Vol.81 No.4、p619−621)により、製造されたものを用いることができる。具体的には特許4084953号公報に記載のカルボジイミド化合物を用いることもできる。
ポリカルボジイミド化合物としては、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルフェニレン−2,4−カルボジイミド、等が挙げられる。
環状カルボジイミド化合物は、特開2011−256337号公報に記載の方法などに基づいて合成することができる。
カルボジイミド化合物としては、市販品を用いてもよく、例えば、東京化成社製、B2756(商品名)、日清紡ケミカル社製、カルボジライトLA−1(商品名)、ラインケミー社製、Stabaxol P、Stabaxol P400、Stabaxol I(いずれも商品名)等が挙げられる。

0060

安定化剤(B)として用い得る、一分子中にイソシアネート基を含む化合物(イソシアネート化合物)としては、イソシアン酸3−(トリエトキシシリルプロピル、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、等が挙げられる。

0061

安定化剤(B)として用い得る、一分子中にエポキシ基を含む化合物(エポキシ化合物)としては、フェニルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂クレゾールノボラック型エポキシ樹脂エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。

0062

安定化剤(B)の重量平均分子量は、上述のとおり200〜60000が好ましく、200〜30000がより好ましく、300〜18000がさらに好ましい。
分子量が上記範囲内ならば、安定化剤(B)がより移動しやすくなり、耐湿熱性改良効果がより効果的に奏される。
安定化剤(B)の重量平均分子量は、200〜900であることが特に好ましい。なお、重量平均分子量200〜900は、数平均分子量200〜900とほぼ一致する。また、重量平均分子量200〜900の場合、分子量分布が1.0である場合があり、この場合には、「重量平均分子量200〜900」を、単に「分子量200〜900」と言い換えることもできる。

0063

以下、安定化剤(B)の具体例(安定化剤B−1〜B−3)を示す。

0064

0065

以下、上記安定化剤B−1〜B−3について、化合物名、市販品等を示す。
・安定化剤B−1 … 化合物名は、ビス−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドである。重量平均分子量(この例では、単なる「分子量」に等しい)は、363である。市販品としては、ラインケミー社製「Stabaxol I」、東京化成社製「B2756」が挙げられる。
・安定化剤B−2 … 化合物名は、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)である。市販品としては、重量平均分子量約2000のものとして、日清紡ケミカル社製「カルボジライトLA−1」が挙げられる。
・安定化剤B−3 … 化合物名は、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルフェニレン−2,4−カルボジイミド)である。市販品としては、重量平均分子量約3000のものとして、ラインケミー社製「Stabaxol P」が挙げられる。また、重量平均分子量20000のものとして、ラインケミー社製「Stabaxol P400」が挙げられる。

0066

圧電体が安定化剤(B)を含有する場合、上記圧電体は、安定化剤を1種のみ含有してもよいし、2種以上含有してもよい。
圧電体が安定化剤(B)を含む場合、安定化剤(B)の含有量は、ヘリカルキラル高分子(A)100質量部に対し、0.01質量部〜10質量部であることが好ましく、0.01質量部〜5質量部であることがより好ましく、0.1質量部〜3質量部であることがさらに好ましく、0.5質量部〜2質量部であることが特に好ましい。
上記含有量が0.01質量部以上であると、耐湿熱性がより向上する。
また、上記含有量が10質量部以下であると、透明性の低下がより抑制される。

0067

安定化剤(B)の好ましい態様としては、カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる1種類以上の官能基を有し、且つ、数平均分子量が200〜900の安定化剤(B1)と、カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる1種類以上の官能基を1分子内に2以上有し、且つ、重量平均分子量が1000〜60000の安定化剤(B2)とを併用するという態様が挙げられる。なお、数平均分子量が200〜900の安定化剤(B1)の重量平均分子量は、大凡200〜900であり、安定化剤(B1)の数平均分子量と重量平均分子量とはほぼ同じ値となる。
安定化剤として安定化剤(B1)と安定化剤(B2)とを併用する場合、安定化剤(B1)を多く含むことが透明性向上の観点から好ましい。
具体的には、安定化剤(B1)100質量部に対して、安定化剤(B2)が10質量部〜150質量部の範囲であることが、透明性と耐湿熱性の両立という観点から好ましく、50質量部〜100質量部の範囲であることがより好ましい。

0068

<その他の成分>
圧電体は、必要に応じ、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン樹脂ポリスチレン樹脂等の公知の樹脂;シリカヒドロキシアパタイトモンモリロナイト等の公知の無機フィラーフタロシアニン等の公知の結晶核剤;安定化剤(B)以外の安定化剤;等が挙げられる。
無機フィラー及び結晶核剤としては、国際公開第2013/054918号の段落0057〜0058に記載された成分を挙げることもできる。

0069

本開示の圧電体は、圧電基材において、圧電体が、光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、第1の圧電体の長さ方向と、圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行であり、下記式(a)によって求められる圧電体の配向度Fが0.5以上1.0未満の範囲であることが好ましい。
配向度F=(180°−α)/180°・・(a)
(式(a)中、αはX線回折により測定される配向由来のピークの半値幅を表す。)

0070

ここで、圧電体の配向度Fは、圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)の配向の度合いを示す指標であり、例えば、広角X線回折装置(リガク社製RINT2550、付属装置回転試料台X線源:CuKα、出力:40kV、370mA、検出器シンチレーションカウンター)により測定されるc軸配向度である。
なお、圧電体の配向度Fの測定方法の例は、後述の実施例に示すとおりである。

0071

より詳細には、上記態様の圧電基材では、圧電体がヘリカルキラル高分子(A)を含むこと、圧電体の長さ方向とヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向とが略平行であること、及び、圧電体の配向度Fが0.5以上1.0未満であることにより圧電性が発現される。
これにより、圧電基材に例えば張力を印加した場合に、より発生電荷量が増加する。

0072

また、本開示の圧電基材において、圧電体は、長尺状であり、内部導体の外周面に沿って一方向に螺旋状に巻回されていることが好ましい。
ここで、「一方向」とは、本開示の圧電基材を内部導体の軸方向の一端側から見たときに、圧電体が内部導体の手前側から奥側に向かって巻回されている方向をいう。具体的には、右方向(右巻き、即ち時計周り)又は左方向(左巻き、即ち反時計周り)をいう。

0073

また、圧電体が長尺状であることにより、内部導体の軸方向に対して、圧電体が螺旋角度βを保持して一方向に螺旋状に配置されやすくなる。
ここで、「螺旋角度β」とは、内部導体の軸方向と、内部導体の軸方向に対して圧電体が配置される方向(圧電体の長さ方向)とがなす角度を意味する。
これにより、例えば、圧電基材の長さ方向に張力が印加されたときに、ヘリカルキラル高分子(A)の分極が、圧電基材の径方向に発生しやすくなる。この結果、効果的に張力に比例した電圧信号(電荷信号)が検出され、圧電感度が向上しやすい。
さらに、本開示の圧電基材は、同軸ケーブルに備えられる内部構造と同一の同軸線構造体(内部導体及び誘電体)を備えるため、例えば、上記圧電基材を同軸ケーブルに適用した場合、電磁シールド性が高く、ノイズに強い構造となり得る。

0074

本開示の圧電基材において、圧電感度を向上する観点から、圧電体は、内部導体の軸方向に対して、15°〜75°(45°±30°)の角度(つまり螺旋角度β)を保持して巻回されていることが好ましく、35°〜55°(45°±10°)の角度を保持して巻回されていることがより好ましい。
これにより、圧電基材の長さ方向に張力(応力)が印加されたときに、ヘリカルキラル高分子(A)にずり力が加わりやすく、圧電基材の径方向にヘリカルキラル高分子(A)の分極が生じやすい。
また、本開示の圧電基材では、圧電体を一方向に螺旋状に配置することにより、圧電基材の長さ方向に張力(応力)が印加されたときに、ヘリカルキラル高分子(A)にずり力が加わり、圧電基材の径方向にヘリカルキラル高分子(A)の分極が生じる。その分極方向は、螺旋状に巻回された第一の圧電体を、その長さ方向に対して平面と見做せる程度の微小領域の集合体とみなした場合、その構成する微小領域の平面に、張力(応力)に起因したずり力がヘリカルキラル高分子に印加された場合、圧電定数d14に起因して発生する電界の方向と略一致する。
具体的には、例えばポリ乳酸においては、分子構造が左巻き螺旋構造からなるL−乳酸のホモポリマー(PLLA)の場合、PLLAの主配向方向と長さ方向が略平行な圧電体を、内部導体に対して、左巻きに螺旋状に巻回した構造体に、張力(応力)が印加されると、径方向に平行に、張力と垂直な円状断面の円の中心から外側方向への電界(分極)が発生する。また、これとは逆にPLLAの主配向方向と長さ方向が略平行な圧電体を、内部導体に対して、右巻きに螺旋状に巻回した構造体に、張力(応力)が印加された場合、径方向に平行に、張力と垂直な円状断面の円の外側から中心方向への電界(分極)が発生する。

0075

また、例えば分子構造が右巻き螺旋構造からなるD−乳酸のホモポリマー(PDLA)の場合、PDLAの主配向方向と長さ方向が略平行な圧電体を、内部導体に対して、左巻きに螺旋状に巻回した構造体に、張力(応力)が印加されると、径方向に略平行に、張力と垂直な円状断面の円の外側から中心方向への電界(分極)が発生する。また、これとは逆にPDLAの主配向方向と長さ方向が略平行な圧電体を、内部導体に対して、右巻きに螺旋状に巻回した構造体に、張力(応力)が印加されると、径方向に平行に、張力と垂直な円状断面の円の中心から外側方向への電界(分極)が発生する。
これにより、圧電基材の長さ方向に張力が印加された際、螺旋状に配置された圧電体の各部位において、張力に比例した電位差が位相の揃った状態で発生するため、効果的に張力に比例した電圧信号が検出されると考えられる。
これにより、圧電感度により優れた圧電基材が得られやすい。
また、本開示の圧電基材は、内部導体に対して、圧電体を右巻きに螺旋状に巻回し、かつ一部の圧電体を左巻きに螺旋状に巻回した構造体を含むものであってもよい。一部の圧電体を左巻きに螺旋状に巻回した場合、圧電感度の低下を抑制する観点から、左巻きの割合は全体(右巻き及び左巻きの合計)に対して50%未満であることが好ましい。
また、本開示の圧電基材は、内部導体に対して、圧電体を左巻きに螺旋状に巻回し、かつ一部の圧電体を右巻きに螺旋状に巻回した構造体を含むものであってもよい。一部の圧電体を右巻きに螺旋状に巻回した場合、圧電感度の低下を抑制する観点から、右巻きの割合は全体(右巻き及び左巻きの合計)に対して50%未満であることが好ましい。

0076

ここで、圧電体の長さ方向と、ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行であることは、圧電体が長さ方向への引張に強い(即ち、長さ方向の引張強度に優れる)という利点を有する。従って、圧電体を、内部導体に対して一方向に螺旋状に巻回しても破断しにくくなる。
更に、圧電体の長さ方向と、ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、が略平行であることは、例えば、延伸された圧電フィルムをスリットして圧電体(例えばスリットリボン)を得る際の生産性の面でも有利である。
本明細書中において、「略平行」とは、2つの線分のなす角度が、0°以上30°未満(好ましくは0°以上22.5°以下、より好ましくは0°以上10°以下、更に好ましくは0°以上5°以下、特に好ましくは0°以上3°以下)であることを指す。
また、本明細書中において、ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向とは、ヘリカルキラル高分子(A)の主たる配向方向を意味する。ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向は、圧電体の配向度Fを測定することによって確認できる。
また、原料を溶融紡糸した後にこれを延伸して、圧電体を製造する場合、製造された圧電体におけるヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向は、主延伸方向を意味する。主延伸方向とは、延伸方向を指す。
同様に、フィルムの延伸及び延伸されたフィルムのスリットを形成して圧電体を製造する場合、製造された圧電体におけるヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向は、主延伸方向を意味する。ここで、主延伸方向とは、一軸延伸の場合には延伸方向を指し、二軸延伸の場合には、延伸倍率が高い方の延伸方向を指す。

0077

本開示の圧電体は、長尺状であり、前記内部導体の外周面に沿って一方向に螺旋状に巻回されている「第1の圧電体」と、さらに、内部導体の外周面に沿って前記一方向とは異なる方向に巻回された長尺状の「第2の圧電体」とを備えた態様でもよい。
第2の圧電体は、第1の圧電体と同様の特性を有していることが好ましい。
但し、第1の圧電体及び第2の圧電体の巻回方向、並びに、第1の圧電体及び第2の圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)のキラリティについては、本開示の効果がより奏される観点から、圧電基材の態様に応じて適宜選択すればよい。
また、第2の圧電体は、第1の圧電体と異なる特性を有していてもよい。

0078

(配向度F)
本開示における圧電体の配向度Fは、上述したとおり、0.5以上1.0未満であることが好ましく、0.7以上1.0未満であることがより好ましく、0.8以上1.0未満であることが更に好ましい。
圧電体の配向度Fが0.5以上であれば、延伸方向に配列するヘリカルキラル高分子(A)の分子鎖(例えばポリ乳酸分子鎖)が多く、その結果、配向結晶の生成する率が高くなり、より高い圧電性を発現することが可能となる。
圧電体の配向度Fが1.0未満であれば、縦裂強度が更に向上する。

0079

(結晶化度)
本開示における圧電体の結晶化度は、上述のX線回折測定(広角X線回折測定)によって測定される値である。
本開示における圧電体の結晶化度は、好ましくは20%〜80%であり、より好ましくは25%〜70%であり、更に好ましくは30%〜60%である。
結晶化度が20%以上であることにより、圧電性が高く維持される。結晶化度が80%以下であることにより、圧電体の透明性が高く維持される。
結晶化度が80%以下であることにより、例えば、圧電体の原料となる圧電フィルムを延伸によって製造する際に白化や破断がおきにくいので、圧電体を製造しやすい。また、結晶化度が80%以下であることにより、例えば、圧電体の原料(例えばポリ乳酸)を溶融紡糸後に延伸によって製造する際に屈曲性が高く、しなやかな性質を有する繊維となり、圧電体を製造しやすい。

0080

(透明性(内部ヘイズ))
本開示における圧電体において、透明性は特に要求されないが、透明性を有していてももちろん構わない。
圧電体の透明性は、内部ヘイズを測定することにより評価することができる。ここで、圧電体の内部ヘイズとは、圧電体の外表面の形状によるヘイズを除外したヘイズを指す。
圧電体は、透明性が要求される場合には、可視光線に対する内部ヘイズが5%以下であることが好ましく、透明性及び縦裂強度をより向上させる観点からは、2.0%以下がより好ましく、1.0%以下が更に好ましい。圧電体の前記内部ヘイズの下限値は特に限定はないが、下限値としては、例えば0.01%が挙げられる。
圧電体の内部ヘイズは、厚さ0.03mm〜0.05mmの圧電体に対して、JIS−K7105に準拠して、ヘイズ測定機〔(有)東京電色社製、TC−HIIIDPK〕を用いて25℃で測定したときの値である。
以下、圧電体の内部ヘイズの測定方法の例を示す。
まず、ガラス板2枚の間に、シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製信越シリコーン商標)、型番:KF96−100CS)のみを挟んだサンプル1を準備し、このサンプル1の厚さ方向のヘイズ(以下、ヘイズ(H2)とする)を測定する。
次に、上記のガラス板2枚の間に、シリコーンオイルで表面を均一に塗らした複数の圧電体を隙間なく並べて挟んだサンプル2を準備し、このサンプル2の厚さ方向のヘイズ(以下、ヘイズ(H3)とする)を測定する。
次に、下記式のようにこれらの差をとることにより、圧電体の内部ヘイズ(H1)を得る。
内部ヘイズ(H1)=ヘイズ(H3)−ヘイズ(H2)
ここで、ヘイズ(H2)及びヘイズ(H3)の測定は、それぞれ、下記測定条件下で下記装置を用いて行う。
測定装置:東京電色社製、HAZE METERTC−HIIIDPK
試料サイズ:幅30mm×長さ30mm
測定条件:JIS−K7105に準拠
測定温度:室温(25℃)

0081

絶縁体
本開示の圧電基材は、絶縁体を備えることがある。例えば後述する第2実施形態の圧電基材は、絶縁体をさらに備えることがある。
絶縁体は、内部導体の外周面に沿って螺旋状に巻回されることが好ましい。この場合、圧電体と絶縁体とは交互に交差された組紐構造をなすことが好ましい。
なお、絶縁体の巻回方向は、圧電体の巻回方向と同じ方向であってもよく、異なる方向であってもよい。
詳細については後述するが、第2実施形態に係る圧電基材では、圧電体が組紐構造を形成することにより、圧電基材が屈曲変形する時に、内部導体と外部導体の電気的短絡の発生を抑制しやすくなるという利点がある。

0082

絶縁体としては、特に限定はないが、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン樹脂PTFE)、四フッ化エチレン・パーフロロプロピルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ素ゴム、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂ポリアミド樹脂ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ゴムエラストマーを含む)等が挙げられる。
絶縁体の形状は、内部導体に対する巻回の観点から、長尺形状であることが好ましい。

0083

<外部導体>
本開示の圧電基材は、圧電体の外周に配置された外部導体を備える。
本開示における外部導体は、グラウンド導体であることが好ましい。
グラウンド導体とは、信号を検出する際、例えば、内部導体(好ましくは信号線導体)の対となる導体を指す。

0084

グラウンド導体には特に限定はないが、断面形状によって、主に以下のものが挙げられる。
例えば、矩形断面を有するグラウンド導体としては、円形断面の銅線を圧延して平板状に加工した銅箔リボンや、アルミ箔リボンなどを用いることが可能である。
例えば、円形断面を有するグラウンド導体としては、銅線、アルミ線、SUS線、絶縁皮膜被覆された金属線、カーボンファイバー、カーボンファイバーと一体化した樹脂繊維、繊維に銅箔がスパイラルに巻回された錦糸線を用いることが可能である。
また、グラウンド導体として、有機導電材料絶縁材料コーティングしたものを用いてもよい。
また、グラウンド導体として導電性繊維を用いることもできる。導電性繊維は、既述の内部導体として適用できる導電性繊維と同義であり、その好ましい範囲も同様である。

0085

グラウンド導体は、内部導体(好ましくは信号線導体)と短絡しないように、内部導体及び圧電体を包むように配置されていることが好ましい。
このような内部導体の包み方としては、銅箔などを螺旋状に巻回して包む方法や、銅線などを筒状の組紐にして、その中に包みこむ方法などを選択することが可能である。
なお、内部導体の包み方は、これら方法に限定されない。内部導体を包み込むことにより、静電シールドすることが可能となり、外部の静電気の影響による、内部導体の電圧変化を防ぐことが可能となる。
また、グラウンド導体の配置は、本開示における内部導体及び圧電体を円筒状に包接するように配置することも好ましい形態の一つである。
グラウンド導体の断面形状は、円形状、楕円形状、矩形状、異形状など様々な断面形状を適用することが可能である。特に、矩形断面は、内部導体(好ましくは信号線導体)、圧電体、必要に応じて絶縁体などに対して、平面で密着することが可能となるため、効率的に圧電効果により発生した電荷を電圧信号として検出することが可能となる。

0086

<機能層>
本開示の圧電基材は、圧電体よりも高いガラス転移点を有する樹脂を含有する機能層を備える。
機能層に含まれる樹脂のガラス転移点は圧電体よりも高ければよく、圧電基材が機能層を備えることにより、高温環境下で使用しても圧電感度の低下を抑制することができる。 また、機能層に含まれる樹脂のガラス転移点が高いほど耐熱性が高くなるという観点から、圧電体よりも3℃〜90℃高い温度が好ましく、圧電体よりも5℃〜80℃高い温度がより好ましく、圧電体よりも10℃〜70℃高い温度がさらに好ましい。
機能層に使用する樹脂のガラス転移点として、65℃以上140度未満であることが好ましく、80℃以上135度未満であることがより好ましく、100℃以上130度未満であることがさらに好ましい。

0087

機能層として使用する樹脂としては、特に限定はないが、アクリル樹脂メタクリル樹脂ウレタン樹脂セルロース系樹脂酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂ナイロンエポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、クロロプレンゴム系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、シリコーン系樹脂変性シリコーン系樹脂水性高分子イソシアネート系樹脂スチレン-ブタジエンゴム系樹脂、ニトリルゴム系樹脂、アセタール樹脂フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂ユリア樹脂臭素樹脂、デンプン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、圧電感度に優れた圧電基材を得る観点から、シアノアクリレート系樹脂、ポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種類以上を含むことが好ましく、シアノアクリレート系樹脂を含むことがより好ましい。

0088

(ガラス転移点の測定)
なお、圧電体及び機能層に含まれる樹脂のガラス転移点は下記の方法で測定した。
ティーエーインスツルメント社製動的粘弾性装置RSA−IIIを用い、試料を窒素雰囲気で0〜150℃の温度範囲を3℃/分で昇温した。試料に印加した歪は0.1%、周波数は1Hzとした。損失弾性率(E’’)が極大値を示す温度を、ガラス転移点(Tg)とした。

0089

機能層の厚さは、圧電感度に優れた圧電基材を得る観点から、0.001mm〜0.2mmであることが好ましい。厚さが、0.001mm以上であれば、高温環境下においても機能層が高い弾性率を保つ点で有利であり、また、厚さが0.2mm以下であることが、圧電感度に優れた圧電基材を得る観点から好ましく、0.1mm以下であることがより好ましく、0.05mm以下であることがさらに好ましい。
機能層の幅は、耐久性を保ち、圧電基材を製造する際のカバリング加工における破断を防止し、歩留りを向上させる、という観点から、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましく、0.3mm以上がさらに好ましい。
また、圧電基材の単位長当りの巻回回数が多い方が、可撓性が良くなるという観点から、機能層の幅は30mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましく、10mm以下がさらに好ましい。
機能層は、機能層の厚さに対する幅の比が2以上である長尺平板状のフィルムを被覆した層であることが好ましい。

0090

機能層を設ける態様は特に限定されるものでない。
機能層は、いずれの箇所にも設けることが可能である。外周側とは、内部導体の径方向外側のことをいう。
機能層は、例えば、内部導体と圧電体との間に設けられていてもよいし、圧電体と外部導体との間に設けられていてもよいし、圧電基材の最外層に設けられていてもよい。
また、機能層が内部導体と圧電体との間に設けられる態様とは、内部導体の外周面に機能層を直接設ける態様や、他の層を介して設ける態様も含む。また、内部導体の外周面に設ける態様とは、内部導体の外周面全面に設ける態様でもよいし、外周面の一部を除く面に設ける態様でもよい。
また、内部導体に錦糸線を用いる場合は、中心糸とそれを被覆する導体との間に機能層を設ける態様でもよい。
本開示の機能層は、圧電基材において、1層のみ設けられていてもよいし、2層以上設けられていてもよい。機能層を2層以上設ける場合は、それぞれの機能層の性質が同一であっても異なる性質であってもよい。

0091

本開示の機能層の形成方法は特に限定されるものではない。
機能層は、例えば、樹脂分散液を塗布や含浸することにより設けたり、長尺状にスリットしたものを一方向に螺旋状に巻回することにより設けたり、フィルム形状のものを内部導体の周方向に巻き付けて被覆することにより設けたり、従来公知の被覆法により形成することができる。
機能層は、内部導体の外周面に沿って螺旋状に巻回されることが好ましい。この場合、機能層が圧電体と共に組紐構造の少なくとも一部を形成することが好ましい。

0092

(その他の層)
必要に応じ、圧電基材はその他の層を備えていてもよい。その他の層の種類は特に制限されず、用途に応じて選択できる。例えば、帯電防止層、アンチブロック層、及び電極層からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。圧電基材がその他の層を備えることで、例えば、圧電デバイス、力センサー、アクチュエータ、生体情報取得デバイスへの適用がより容易になる。その他の層は、1層のみでも2層以上であってもよく、2層以上のその他の層を備える場合は種類が異なる層を備えてもよい。

0093

圧電基材がその他の層を備える場合、圧電体の少なくとも一方の主面の側にその他の層が設けられた状態であってもよい。圧電体の両方の主面にその他の層が設けられている場合は、オモテ面側に配置されるその他の層及びウラ面側に配置されるその他の層は、同じ層であっても、異なる層であってもよい。

0094

その他の層の膜厚は、特に限定されるものではないが、0.01μm〜10μmの範囲が好ましい。上記厚さの上限値は、より好ましくは6μm以下であり、更に好ましくは3μm以下である。また、下限値はより好ましくは0.01μm以上であり、更に好ましくは0.02μm以上である。その他の層が複数の層からなる場合には、上記厚さは複数のその他の層の厚さの合計を表す。

0095

本開示の圧電基材において、その他の層は、電極層を含むことが好ましい。圧電基材が電極層を備えることで、圧電基材を、例えば、圧電デバイス(圧電織物、圧電編物等)、力センサー、アクチュエータ、生体情報取得デバイスの構成要素の一つとして用いた場合に、内部導体と外部導体との接続をより簡易に行うことができる。そのため、圧電基材に張力が印加されたときに、張力に応じた電圧信号が検出されやすくなる。

0096

圧電基材がその他の層を備える場合の態様としては、第1の圧電体の少なくとも一方の面にその他の層が配置された積層体の状態が挙げられる。この場合、第1のその他の層と、機能層と、が積層体の状態であり、積層体の一方面に表面層として電極層を有することが好ましい。

0097

以下、本開示の圧電基材の第1実施形態〜第5実施形態について順に説明する。

0098

〔第1実施形態〕
図1Aに、第1実施形態に係る圧電基材を構成する同軸線構造体の側面図を示し、図1Bに、第1実施形態に係る圧電基材の側面図を示し、図1Cに、図1BのX−X’線断面図を示す。
図1Aに示すように、圧電基材100(図1B参照)を構成する同軸線構造体10は、長尺状の内部導体12Aと、長尺状の圧電体14Aと、機能層15とを備えている。
図1Aに示すように、圧電体14Aは、内部導体12Aの外周面に沿って、螺旋角度β1で一端から他端にかけて、内部導体12Aが見えないように一方向に螺旋状に隙間なく巻回されている。
「螺旋角度β1」とは、内部導体12Aの軸方向G1と、内部導体12Aの軸方向に対する圧電体14Aの配置方向とがなす角度を意味する。
また、同軸線構造体10では、圧電体14Aは、内部導体12Aに対して左巻きで巻回している。具体的には、同軸線構造体10を内部導体12Aの軸方向の一端側(図1Aの場合、右端側)から見たときに、圧電体14Aは、内部導体12Aの手前側から奥側に向かって左巻きで巻回している。
また、図1A中、圧電体14Aに含まれるヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向は、両矢印E1で示されている。即ち、ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向と、圧電体14Aの配置方向(圧電体14Aの長さ方向)とは、略平行となっている。
また、機能層15は、内部導体12Aの外周面に設けられており、内部導体12Aと圧電体14Aの間に位置している。
図1Bに示すように、第1実施形態に係る圧電基材100は、図1Aに示す同軸線構造体10の外周に、外部導体16が一方向に螺旋状に巻回されて配置されている。即ち、圧電基材100は、内側から順に、長尺状の内部導体12Aと、機能層15と、長尺状の圧電体14Aと、外部導体16と、を備えている。

0099

以下、第1実施形態に係る圧電基材100の作用について説明する。
例えば、圧電基材100の長さ方向に張力が印加されると、圧電体14Aに含まれるヘリカルキラル高分子(A)にずり力が加わり、ヘリカルキラル高分子(A)は分極する。このヘリカルキラル高分子(A)の分極は、図1C中、矢印で示されるように、圧電基材100の径方向(同軸線構造体10の径方向)に生じ、その分極方向は位相が揃えられて生じると考えられる。これにより、効果的に張力に比例した電圧信号が検出される。
特に、第1実施形態に係る圧電基材100では、内部導体12Aの外周面に沿って内部導体12Aが見えないように、圧電体14Aを一方向に螺旋状に隙間なく巻回しているため、内部導体12Aと圧電体14Aとの密着性が高まり、内部導体12A及び外部導体16間に隙間が形成されにくくなる。
特に、第1実施形態に係る圧電基材100では、内部導体12Aの外周面に機能層15が設けられており、この圧電基材100を高温環境下で使用したとしても、圧電体14Aよりも高いガラス転移点を有する樹脂を含む機能層15の弾性力により、圧電体14Aにかかる張力の影響が緩和されるため、圧電体14Aに含まれる樹脂の配向が崩れることが抑制される。その結果、圧電基材100に張力を印加したときに、圧電体14Aよりも高いガラス転移点を有する樹脂を含む機能層を有さない圧電基材に比べ、高温環境下で使用しても圧電感度に優れたものとなる。
従って、圧電基材100によれば、圧電感度に優れたものとなる。

0100

なお、第1実施形態に係る圧電基材100は上記形態に限定されない。例えば、圧電基材100では、内部導体12Aと圧電体14Aとの間に接着層が配置されていてもよい。これにより、圧電基材100の長さ方向に張力が印加されても、圧電体14Aと内部導体12Aとの相対位置がずれにくくなるため、圧電体14Aに張力がより印加されやすくなる。
第1実施形態に係る圧電基材100では、前述したように、内部導体12Aと圧電体14Aとの間に機能層15が設けられているが、機能層はこれ以外に適宜設けてもよい。
また、圧電基材100においては、同軸線構造体10の外周面に、外部導体16を一方向に螺旋状に巻回して配置したが、外部導体16の配置方法はこれに限定されない。即ち、外部導体16は圧電体14Aの外周の少なくとも一部に配置されていればよい。また、外部導体16の巻回方向も特に限定されない。

0101

次に、第2実施形態に係る圧電基材について説明する。なお、以下の説明では、第1実施形態に係る圧電基材と同一のものには同一符号を付し、重複する説明は省略する。

0102

〔第2実施形態〕
図2Aに、第2実施形態に係る圧電基材を構成する同軸線構造体の側面図を示し、図2Bに、第2実施形態に係る圧電基材の側面図を示す。
図2Aに示すように、圧電基材100A(図2B参照)を構成する同軸線構造体10Aは、圧電体14A(以下、「第1の圧電体」と称する。)に加え、長尺状の第2の圧電体14Bを備えている点、及び、第1の圧電体14A及び第2の圧電体14Bが組紐構造をなしている点が第1実施形態に係る圧電基材100と異なる。ここで、第1の圧電体14Aに含まれるヘリカルキラル高分子(A)のキラリティと第2の圧電体14Bに含まれるヘリカルキラル高分子(A)のキラリティのキラリティとでは、互いに異なっている。また、機能層は、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に設けられているが、図示は省略する。
具体的には、図2Aに示すように、同軸線構造体10Aは、第1の圧電体14Aが、内部導体12Aの軸方向G2に対し、螺旋角度β1で一端から他端にかけて左巻きで螺旋状に巻回され、第2の圧電体14Bが螺旋角度β2で一端から他端にかけて右巻きで螺旋状に巻回され、かつ第1の圧電体14A及び第2の圧電体14Bが交互に交差されて組紐構造をなしている。即ち、第1の圧電体14A及び第2の圧電体14Bは、内部導体12Aの外周面に対し、内部導体12Aが見えないように組紐構造を形成している。
「右巻きで螺旋状に巻回」とは、同軸線構造体10Aを内部導体12Aの軸方向の一端側(図2Aの場合、右端側)から見たときに、第2の圧電体14Bが、内部導体12Aの手前側から奥側に向かって右巻きで巻回していることを意味する。
「螺旋角度β2」とは、前述の螺旋角度β1と同義である。
また、同軸線構造体10Aの組紐構造において、第1の圧電体14Aに含まれるヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向(両矢印E1)と、第1の圧電体14Aの配置方向とは、略平行となっている。同様に、第2の圧電体14Bに含まれるヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向(両矢印E2)と、第2の圧電体14Bの配置方向とは、略平行となっている。

0103

図2Bに示すように、第2実施形態に係る圧電基材100Aは、図2Aに示す同軸線構造体10Aの外周面に、外部導体16が一方向に螺旋状に巻回されて配置されている。即ち、圧電基材100Aは、内側から順に、長尺状の内部導体12Aと、組紐構造をなす第1の圧電体14A及び第2の圧電体14Bと、外部導体16と、を備えている。

0104

以下、第2実施形態に係る圧電基材100Aの作用について説明する。
例えば、圧電基材100Aの長さ方向に張力が印加されると、第1の圧電体14Aに含まれるヘリカルキラル高分子(A)及び第2の圧電体14Bに含まれるヘリカルキラル高分子(A)両方にずり応力が印加され、分極が生じる。分極方向はいずれも圧電基材100Aの径方向(同軸線構造体10Aの径方向)に生じ、かつ位相が揃えられて生じると考えられる。これにより、効果的に張力に比例した電圧信号が検出される。
特に、第2実施形態に係る圧電基材100Aでは、内部導体12Aの外周面に沿って、第1の圧電体14Aと第2の圧電体14Bとで組紐構造を形成することにより、組紐構造を形成しない場合に比べ、圧電基材が屈曲変形させるような力が働いた際にも、しなやかに屈曲変形しやすくなる。これにより、例えば圧電基材に引張力を印加したときの発生電荷量が増加しやすくなる。
従って、圧電基材100Aによれば、圧電感度に優れたものとなる。

0105

次に、第3実施形態に係る圧電基材について説明する。なお、以下の説明では、第1、2実施形態に係る圧電基材と同一のものには同一符号を付し、重複する説明は省略する。

0106

〔第3実施形態〕
第3実施形態に係る圧電基材(不図示)は、第2実施形態に係る圧電基材100Aの第2の圧電体14Bを機能層に置き換えた圧電基材である。
即ち、第3実施形態に係る圧電基材では、圧電体14Aが、内部導体12Aの軸方向G2に対し、螺旋角度β1で一端から他端にかけて左巻きで螺旋状に巻回され、機能層が螺旋角度β2で一端から他端にかけて右巻きで螺旋状に巻回され、かつ圧電体14A及び機能層が交互に交差されて組紐構造をなしている。

0107

第3実施形態に係る圧電基材では、機能層として、圧電体14Aと同等以上の柔軟性を有する機能層を用いることにより、例えば圧電基材の長さ方向に張力が印加されたときに、圧電体14Aに含まれるヘリカルキラル高分子(A)にずり応力が印加されやすくなる。即ち分極が生じやすくなる。これにより、効果的に張力に比例した電圧信号が検出される。
また、第3実施形態に係る圧電基材においても、第2実施形態に係る圧電基材と同様に、圧電体と機能層とで組紐構造を形成することにより、組紐構造を形成しない場合に比べ、圧電基材が屈曲変形させるような力が働いた際にも、しなやかに屈曲変形しやすくなる。これにより、例えば圧電基材に引張力を印加したときの発生電荷量が増加しやすくなる。
従って、第3実施形態に係る圧電基材においても、圧電感度に優れたものとなる。

0108

圧電体と機能層が組紐構造を形成することにより、圧電基材全体の厚みを薄くできると同時に圧電基材の初期感度を向上させることができ、また、機能層に含まれる、圧電体14Aよりも高いガラス転移点を有する樹脂の存在により、熱履歴による感度低下の抑制も可能である。
なお、第3実施形態に係る圧電基材は上記形態に限定されない。例えば機能層の巻回方向は上記形態に限定されない。また、例えば圧電体14Aに溶融紡糸PLAを使用してもよいし、機能層にPETフィルムを使用してもよい。このとき、溶融紡糸PLAとPETフィルムは組紐構造を形成する。

0109

〔第4実施形態及び第5実施形態の圧電基材〕
以下、第4実施態様及び第5実施態様に係る圧電基材について説明する。第4実施形態、及び第5実施形態における機能層の設け方については省略するが、第1実施形態と同様に設けてもよいし、それ以外の態様で設けてもよい。機能層の態様及びその設け方については、前述のとおりとする。
本開示の圧電基材としては、張力が印加されたときに生じる電荷(電界)を電圧信号として取り出す構成に限定されず、例えば、ねじり力が印加されたときに生じる電荷(電界)を電圧信号として取り出す構成であってもよい。

0110

第4実施形態の圧電基材100B及び第5実施形態の圧電基材100Cは、図4図7に示すように、内部導体としての長尺状の内部導体12Aと、長尺状の圧電体14Aと、内部導体12Aと圧電体14Aとの間に配置された接着層(不図示)と、圧電体14Aの外表面に配置された外部導体13と、を備えている。また、圧電基材100B、100Cでは、圧電体14Aは、内部導体12Aに対して、主配向方向(両矢印E1)に螺旋状に巻回されており、圧電体14Aに含まれるヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向(両矢印E1)と、圧電体14Aの配置方向とは、略平行となっている。

0111

第4実施形態の圧電基材100Bは、圧電体14Aに含まれるヘリカルキラル高分子(A)がL−乳酸のホモポリマー(PLLA)であり、一方、第5実施形態の圧電基材100Cは、圧電体14Aに含まれるヘリカルキラル高分子(A)がD−乳酸のホモポリマー(PDLA)である。第4実施形態の圧電基材100Bにおけるねじり方向と発生分極方向との関係を図4図5に示し、第5実施形態の圧電基材100Cにおけるねじり方向と発生分極方向との関係を図6図7に示す。

0112

図4において、圧電基材100Bに螺旋軸中心軸として矢印X1方向のねじり力が印加されたとき、螺旋状に巻回された圧電体14Aにずり応力が印加され、円形断面の中心方向から外側方向にPLLAの分極が生じる。一方、図5において、圧電基材100Bに螺旋軸を中心軸として矢印X1方向と反対の矢印X2方向のねじり力が印加されたとき、螺旋状に巻回された圧電体14Aにずり応力が印加され、円形断面の外側方向から中心方向にPLLAの分極が生じる。したがって、圧電基材100Bにおいて、ねじり力に比例した電荷(電界)が発生し、発生した電荷は電圧信号(電荷信号)として検出される。

0113

また、図6において、圧電基材100Cに螺旋軸を中心軸として矢印X1方向のねじり力が印加されたとき、螺旋状に巻回された圧電体14Aにずり応力が印加され、円形断面の外側方向から中心方向にPDLAの分極が生じる。一方、図7において、圧電基材100Cに螺旋軸を中心軸として矢印X1方向と反対の矢印X2方向のねじり力が印加されたとき、螺旋状に巻回された圧電体14Aにずり応力が印加され、円形断面の中心方向から外側方向にPDLAの分極が生じる。したがって、圧電基材100Cにおいて、ねじり力に比例した電荷(電界)が発生し、発生した電荷は電圧信号(電荷信号)として検出される。

0114

<圧電基材の製造方法>
本開示の圧電基材の製造方法には特に限定はないが、例えば、圧電体を準備して、別途準備した内部導体(好ましくは信号線導体)に対して、圧電体を被覆し(好ましくは一方向に螺旋状に巻回し)、圧電体の外周に外部導体(好ましくはグラウンド導体)を配置することにより製造することができる。
圧電体は、公知の方法で製造したものであっても、入手したものであってもよい。
また、本開示の圧電基材は、圧電体として、第1の圧電体及び第2の圧電体、さらに絶縁体を備えていてもよい。かかる圧電基材は、第1の圧電体を螺旋状に巻回する方法に準じて、製造することができる。
但し、第1の圧電体及び第2の圧電体の巻回方向、並びに、第1の圧電体及び第2の圧電体に含まれるヘリカルキラル高分子(A)のキラリティについては、圧電基材の態様に応じて適宜選択することが好ましい。
なお、内部導体及び外部導体の少なくとも一方と圧電体との間、必要に応じて、本開示の圧電基材に備えられる各部材間を、接着剤を介して貼り合わせてもよい。

0115

<圧電基材の使用態様
本開示の圧電基材(例えば第1実施形態に係る圧電基材)は、例えば引張力を印加することで、引張力に比例したずり歪が、ヘリカルキラル(A)に印加され、電圧信号(電荷信号)として内部導体及び外部導体の少なくとも一方から検出される。圧電基材に引張力を印加する方法としては、様々な方法があり、圧電基材に直接張力を印加する方法、又は図8A及び図8Bに示すように、平板52に粘着テープ51を用いて圧電基材100(第1実施形態に係る圧電基材、以下同様)を貼り付けて平板付き圧電基材50とし、平板52に押圧力を印加し、平板52に生じる撓み変形を介して圧電基材100へ張力を印加して電圧信号を検出してもよい。なお、図8Aは、粘着テープ51を用いて平板52を貼り付けた圧電基材100(平板付き圧電基材50)を示す概略図であり、図8Bは粘着テープ51を用いて平板52を貼り付けた圧電基材100(平板付き圧電基材50)を押圧したときの概略図である。

0116

圧電基材100を平板52に貼り付けて機械的に一体化するための方法としては、様々な方法が挙げられる。例えば、図9に示すように、セロハンテープガムテープ等の粘着テープ51を用いて圧電基材100の一部を平板52に貼り付ける方法、図10に示すように、エポキシ樹脂等の熱硬化性接着剤ホットメルト接着剤等の熱可塑性接着剤等の接着剤61を用いて圧電基材100の一部を平板52に貼り付ける方法などが挙げられる。

0117

図9における平板付き圧電基材60では、粘着テープ51を用いて圧電基材100の一部が平板52に貼り付けられており、平板52上にFPC(フレキシブルプリント基板)54が配置されており、FPC54上に圧電基材100と導通する銅箔53が配置されている。また、平板付き圧電基材60は、圧電基材100に引張力が印加されて検出された圧電信号を検出して処理する信号処理回路ユニット55を備えている。また、図10における平板付き圧電基材70では、粘着テープ51の代わりに接着剤61を用いて圧電基材100の一部が平板52に貼り付けられている点以外は、上述の平板付き圧電基材60と同様である。

0118

また、圧電基材を貼り付ける対象としては、上述の平板の他、曲面などから構成される電子回路筐体の内側又は外側等に貼り付けてもよい。

0119

<圧電基材の用途>
本開示の圧電基材は、例えば、センサー用途(着座センサー等の力センサー、圧力センサー変位センサー変形センサー振動センサー超音波センサー生体センサーラケットゴルフクラブバット等の各種球技用スポーツ用具打撃時の加速度センサーインパクトセンサー等、ぬいぐるみのタッチ衝撃センサーベッドの見守りセンサー、ガラス窓枠等のセキュリティセンサー等)、アクチュエータ用途(シート搬送デバイス等)、エネルギーハースティング用途(発電ウェア、発電等)、ヘルスケア連用途(Tシャツスポーツウェアスパッツ、靴下等の各種衣類、サポーターギプス、おむつ、乳幼児用手押し車のシート、車いす用シート、医療用保育器マット、靴、靴の中敷時計等に本センサーを設けた、ウェアラブルセンサー等)などとして利用することができる。
また本開示の圧電基材は各種衣料(シャツスーツブレザーブラウス、コート、ジャケットブルゾンジャンパーベストワンピースズボンパンツ下着スリップペチコートキャミソールブラジャー)、靴下、手袋和服帯地、金襴、冷感衣料ネクタイハンカチーフマフラースカーフストールアイマスク)、サポーター(首用サポーター、肩用サポーター、用サポーター、腹用サポーター、腰用サポーター腕用サポーター、足用サポーター肘用サポーター膝用サポーター手首用サポーター足首用サポーター)、履物スニーカーブーツサンダルパンプスミュールスリッパバレエシューズカンフーシューズ)、インソールタオルリュックサック帽子ハットキャップキャスケットハンチング帽テンガロンハット、チューリップハット、サンバイザー、ベレー)、帽子顎紐ヘルメット、ヘルメット顎紐、頭巾ベルトシートカバーシーツ座布団クッション布団布団カバー毛布枕カバーソファーイスデスク、テーブル、シート、座席便座マッサージチェア、ベッド、ベッドパットカーペットかごマスク包帯ロープ、ぬいぐるみ、各種ネットバスタブ壁材床材窓材、窓枠、ドアドアノブパソコンマウスキーボードプリンタ、筐体、ロボット楽器義手義足自転車スケートボードローラースケートゴムボールシャトルコックハンドルペダル釣竿釣用浮き釣用リール釣竿受けルアー、スイッチ、金庫ATM取っ手ダイアル、橋、建物構造物トンネル化学反応容器及びその配管空圧機器及びその配管、油圧機器及びその配管、蒸気圧機器及びその配管、モータ電磁ソレノイドガソリンエンジン等の各種物品に配設され、センサー、アクチュエータ、エネルギーハーベスト用途に使用される。
配設方法としては、例えば、圧電基材を対象物に縫い込む、対象物で挟み込む、対象物に粘接着剤で固定する等の各種方法が挙げられる。
例えば、圧電織物、圧電編物、及び圧電デバイスは、これらの用途に適用することができる。
上記用途の中でも、本開示の圧電基材は、センサー用途、又はアクチュエータ用途として利用することが好ましい。
具体的に、本開示の圧電基材は、力センサーに搭載して利用されるか、又は、アクチュエータに搭載して利用されることが好ましい。
また、前述の圧電基材、圧電織物、圧電編物、及び圧電デバイスは、応力によって発生する電圧電界効果トランジスタFET)のゲートソース間に加えることでFETのスイッチングが可能であり、応力によってON−OFFが可能なスイッチとして利用することもできる。
本開示の圧電基材は、上述した用途以外のその他の用途に用いることもできる。
その他の用途としては、寝返り検知のための寝具移動検知のためのカーペット、移動検知のためのインソール、呼吸検知のための胸部バンド、呼吸検知のためのマスク、りきみ検知のための腕バンド、りきみ検知のための足バンド着座検知のための着座シート接触状態判別できる、ぬいぐるみ、ぬいぐるみ型ソーシャルロボット等が挙げられる。接触状態を判別できる、ぬいぐるみ、ぬいぐるみ型ソーシャルロボット等では、例えば、ぬいぐるみ等に局所的に配置された接触センサーによって圧力変化を検出し、人がぬいぐるみ等を「撫でた」のか「たたいた」のか「ひっぱった」のか等の各動作を判別することができる。
また、本開示の圧電基材は、例えば、車載用途振動・音響センシングを利用した自動車ハンドル把持検出用途、振動・音響センシングを利用した共振スペクトラムによる車載機器操作システム用途、車載ディスプレイタッチセンサー用途、振動体用途、自動車ドア及び自動車ウィンドウの挟まれ検知センサー用途、車体振動センサー用途等に特に適している。

0120

本開示の圧電基材には公知の取出し電極接合することができる。取出し電極としては、コネクター等の電極部品圧着端子などが挙げられる。電極部品は、半田付けなどのろう付け導電性接合剤等により圧電基材と接合することができる。

0121

〔力センサー〕
本開示に係る力センサーは、上述の圧電基材を備える。
本開示に係る力センサーは、圧電感度に優れた圧電基材を備えるので、センサー感度の向上が期待される。
以下、本開示の実施形態に係る力センサーの具体的態様について、図面を参照しながら説明する。
図11は、本開示に係る力センサーの概念図である。
本開示に係る力センサー40は、圧電基材100Dと、圧電基材100Dの外周に配置された円筒形状のゴム系熱収縮チューブ(以下、単に「収縮チューブ」とも称する)44と、収縮チューブ44の両端部に配置された一対の圧着端子(取出し電極)46と、を備える。一対の圧着端子46は、本体部46aと、圧着部46bとからなり、中央部に貫通孔46cを有する。圧電基材100Dは、内部導体12Cと、内部導体12Cの周りに一方向に螺旋状に巻回された圧電体14Dと、圧電体14Dの外周面に一方向に螺旋状に巻回された外部導体42(グラウンド導体)と、を備える。
圧電基材100Dにおいては、内部導体12Cの一端(図11の右端)が、収縮チューブ44の外側に延在して、圧着部46bで圧着されて圧着端子46に電気的に接続されている。一方、外部導体42は、内部導体12Cの一端側から他端側に向かって巻回された後、内部導体12Cの他端(図11の左端)を越えて延在し、その延在部分が収縮チューブ44内で応力緩和部42aを形成している。
外部導体42は、この応力緩和部42aを経た後、収縮チューブ44のさらに外側(図11の左端)に延在して、圧着部46bで圧着されて圧着端子46に電気的に接続されている。
応力緩和部42aは、図11に示すように、たるんだ外部導体42からなる。上記応力緩和部42aにおいては、力センサー40に張力(応力)が印加されたときに、たるんだ部分が延びることで圧電体14Dに過度な力が負荷されるのを抑制する。
また、圧電体14Dは、長尺平板形状の圧電体からなり、両面には機能層としてアルミ蒸着膜(不図示)が蒸着されている。なお、一対の圧着端子46は、力センサー40の出力信号を処理する外部回路等(不図示)に接続されている。
なお、図11で示した実施形態では、応力緩和部42aとしてたるんだ外部導体42が配置されているが、本開示の実施形態はこれに限定されず、圧電基材100Dの少なくともいずれか一方の端部又は両端部に、線状の応力緩和部を接着、糸結び目等の方法等により張力が伝達するように配置することにより応力を緩和する機能を力センサー40に付与してもよい。
このとき線状の応力緩和部には電気的な接続の機能は存在しないが、電気的接続機能は、応力緩和部とは独立に、圧電基材の端部から内部導体及び外部導体を同軸ケーブル等に接続することにより、応力や歪の電圧信号を検出することが可能となる。
このとき応力緩和部の材料及び形態は特に限定されず、例えば、天然ゴムシリコンゴムウレタンゴム等の伸縮性のある弾性材料からなる糸、チューブ等;リン青銅等の金属材料、線状のポリマー等からなるスプリング;等が挙げられる。応力緩和部と電気的接続部とをそれぞれ独立に別の部位に配置することにより、電気的接続部の最大伸長量に起因する応力緩和部の歪量の制限が無くなり、張力センサーとしての最大歪量を増大させることが可能となる。

0122

以下、本開示の力センサー40の作用について説明する。
力センサー40に張力(応力)が印加されると、圧電基材100Dに張力が印加され、圧電基材100Dの圧電体14Dに含まれるヘリカルキラル高分子(A)にずり力が加わり、このずり力により圧電基材100Dの径方向にヘリカルキラル高分子(A)の分極が生じる。分極方向は圧電基材100Dの径方向である。これにより、張力に比例した電荷(電界)が発生し、発生した電荷は電圧信号(電荷信号)として検出される。なお、電圧信号は、圧着端子46に接続される外部回路等(不図示)で検出される。
従って、上記力センサー40は感度に優れたものとなる。
また、本開示の力センサー40は、同軸ケーブルに備えられる内部構造と同一の同軸線構造体(内部導体12C及び圧電体14D)を備えるため、電磁シールド性が高く、ノイズに強い構造となり得る。加えて、構造が簡易であるため、例えばウェアラブルセンサーとして、身体の一部に装着して用いることができる。

0123

本開示の力センサーとしては、圧電基材に張力が印加されたときに生じる電荷(電界)を電圧信号として取り出す構成に限定されず、例えば、圧電基材にねじり力が印加されたときに生じる電荷(電界)を電圧信号として取り出す構成であってもよい。

0124

〔アクチュエータ〕
本開示に係るアクチュエータは、上述の圧電基材を備える。
本開示に係るアクチュエータは、圧電感度に優れた圧電基材を備えるので、感度の向上が期待される。

0125

以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。

0126

<圧電体の作製>
ヘリカルキラル高分子としてのNatureWorksLLC社製ポリ乳酸(品名:IngeoTM biopolymer、銘柄:4032D)100質量部に対して、安定化剤〔ラインケミー社製Stabaxol P400(10質量部)、ラインケミー社製Stabaxol I(70質量部)、及び日清紡ケミカル社製カルボジライトLA−1(20質量部)の混合物〕1.0質量部を添加し、ドライブレンドして原料を作製した。
作製した原料を押出成形機ホッパーに入れて、210℃に加熱しながらTダイから押し出し、50℃のキャストロールに0.3分間接触させて、厚さ150μmの予備結晶化シート製膜した(予備結晶化工程)。前記予備結晶化シートの結晶化度を測定したところ6%であった。
得られた予備結晶化シートを70℃に加熱しながらロールツーロールで、延伸速度10m/分で延伸を開始し、3.5倍までMD方向に一軸延伸した(延伸工程)。得られたフィルムの厚さは49.2μmであった。
その後、前記一軸延伸フィルムを、ロールツーロールで、145℃に加熱したロール上に15秒間接触させアニール処理し、その後急冷を行って、圧電フィルムを作製した(アニール処理工程)。
次いで、圧電フィルムをスリット加工機を用いて、スリットする方向と圧電フィルムの延伸方向とが略平行となるようにスリットした。これにより、幅0.39mm、厚さ50μmのリボン状の圧電体(スリットリボン)を得た。なお、得られた圧電体の断面形状は矩形であった。
また、得られた圧電体のガラス転移点は68.8℃であった。

0127

−圧電体の物性測定
上記のようにして得られたリボン状圧電体について、以下の物性測定を行った。結果を表1に示す。
測定は、広角X線回折装置(リガク社製RINT2550、付属装置:回転試料台、X線源:CuKα、出力:40kV 370mA、検出器:シンチレーションカウンター)を用いて、サンプル(圧電体)をホルダーに固定し、結晶面ピーク[(110)面/(200)面]の方位角分布強度を測定することで行った。
得られた方位角分布曲線X線干渉図)において、結晶化度、及びピークの半値幅(α)から下記の式よりポリ乳酸の配向度F(C軸配向度)を算出して評価した。その結果、結晶化度は45%であり、配向度Fは0.97であった。
配向度(F)=(180°−α)/180°
(αは配向由来のピークの半値幅)

0128

0129

<圧電体の比誘電率
測定は、JIS C2151(2006)に準拠し、誘電率測定装置アジレント・テクノロジー社製、precision LCR meter HP4284A)を用いて測定周波数1kHz、試験環境22℃、60%RHにて行った。その結果、圧電体(スリットリボン)の比誘電率εSは2.75であった。

0130

〔実施例1〕
<圧電基材の作製>
図1Aに示す圧電基材10と同様の構成の圧電基材に、さらに外部導体(グラウンド導体)として銅箔リボンを備えた圧電基材を以下に示す方法により作製した。
まず内部導体(信号線導体)として、明清産業社製錦糸線U24−01−00(線外径0.3mm、長さ250mm)を準備した。なお、用いた錦糸線は、中心線メタ系アラミド繊維(40番手2本撚り)を用い、圧延銅箔(幅0.3mm×厚さ0.02mm)2本を用いて、中心線が露出しないように、10mm当たり22回、左巻きに螺旋状に2重に巻回して包接した。錦糸線の両端に、電気的接続部及び機械的接続部として圧着端子をかしめて、設けた。
次に、上記のようにして得た幅0.6mm、厚さ49.2μmのリボン状圧電体(スリットリボン)を錦糸線の周りに左巻きに、錦糸線の長軸方向に対して45°の方向を向くように(螺旋角度45°)、錦糸線が露出して見えないよう隙間なく、螺旋状に巻回し、錦糸線を包接した。なお、「左巻き」とは、信号線導体(錦糸線)の軸方向の一端(図1Aの場合、右端側)から見たときに、信号線導体の手前側から奥側に向かってリボン状圧電体が左巻きで巻回していることをいう。
次に、錦糸線とリボン状圧電体とを機械的に一体化するため、前記リボン状圧電体を巻回した部分に、接着剤として東亞合成社製のアロンアルファシアノアクリレート系接着剤)911P2を滴下、含浸させ、機能層を作成した。
次に、幅0.6mmにスリットした接着剤付の銅箔リボンを準備した。この銅箔リボンを、前記リボン状圧電体と同様の方法により、リボン状圧電体の周りに、リボン状圧電体が露出しないよう隙間なく巻回し包接した。
以上のようにして、実施例1の圧電基材を得た。
なお、錦糸線は、図1A中の内部導体12Aに相当する。リボン状圧電体は、図1A中の圧電体14Aに相当する。接着剤は、図1A中不図示だが、内部導体12A及び圧電体14Aの間に配置される。グラウンド導体も図1A中不図示である。

0131

<評価>
下記表2に示すものを圧電ライン表面(最外層)に塗布し、温度−感度特性を測定した。
また、得られた実施例1の圧電基材を用い、圧電基材に引張力を印加したときに発生する電荷量(発生電荷量)を測定し、発生電荷量から単位引張力当たりの発生電荷量を算出した。さらに、実施例1については、温度変化による発生電荷量の評価も行い、初期値に対する変化率を求めた。結果を表3に示す。

0132

0133

表2に示される商品の詳細情報について、下記に示す。
・「アルマテクスL1043(商品名)」・・・アクリル樹脂、三井化学社製
・「アロンアルファ♯911P2(商品名)」・・・シアノアクリレート系接着剤、東亞合成社製
・「アロンアルファ ♯901H2(商品名)」・・・シアノアクリレート系接着剤、東亞合成社製
・「アロンアルファ ♯901H3(商品名)」・・・シアノアクリレート系接着剤、東亞合成社製
・「アロンアルファ ♯201」・・・シアノアクリレート系接着剤、東亞合成社製

0134

0135

表3に示すように、実施例1〜実施例5は、初期値に対する変化率が比較例1の圧電基材に比べ、温度変化に対する単位引張力当たりの発生電荷量の変動が少なく、実施例の圧電基材は、圧電感度に優れていた。
これは、スリットリボン(圧電体)を圧電体のガラス転移点よりも高い機能層を設けたことにより、高温環境下でも高い弾性率を保てる材質(PLAよりも高いTgを有する材質)の機能層を設けることでスリットリボン(圧電体)への応力を緩和し、スリットリボン(圧電体)の配向方向が崩れることを防いだものと考えられる。

0136

<圧電基材の作製>
次に、図12に示すように、圧電体14Aと外部導体16との間に、機能層15であるPETフィルムを介在させて圧電基材101を作製した。
具体的には、内部導体12Aとして実施例1で使用した錦糸線と、圧電体14Aとして実施例1で使用したリボン状圧電体を接着剤を使用せず一体化し、リボン状圧電体にPETフィルム(Tg100℃程度)をカバリングさせ(巻回の確度は特に限定なし)、さらに外部導体(グラウンド導体)として実施例1で使用した銅箔リボンを備えた圧電基材を作製した。得られた圧電基材の温度-感度特性を測定した。結果を表4に示す。

0137

実施例

0138

表4に示すように、実施例6、7の圧電基材は、比較例3の圧電基材に比べ、初期値から感度が低下していない(つまり、変化率がマイナスでない)点で、圧電体の配向劣化を防ぐ効果があったといえる。初期値よりも感度が高くなっているのは、実施例6、7の圧電基材では、接着剤を使用していないため、圧電基材に引張力を印加した際に、巻回された各層が巻き締まり、各層間の隙間が減少したことによるものと考えられる。

0139

10,10A同軸線構造体、12A,12C内部導体、14A,14D圧電体(第1の圧電体)、13,16,42外部導体、14B 第2の圧電体、15機能層、22錦糸線、24スリットリボン、26銅箔リボン、40力センサー、42a応力緩和部、44収縮チューブ、46圧着端子、46a 本体部、46b圧着部、46c貫通孔、50,60,70平板付き圧電基材、51粘着テープ、52 平板、53 銅箔、55信号処理回路ユニット、61接着剤、100,100A,100B,100C,100D,101 圧電基材

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社村田製作所の「 圧電デバイス」が 公開されました。( 2020/12/17)

    【課題・解決手段】基部(110)と、メンブレン部(120)とを備えている。メンブレン部(120)は、基部(110)に間接的に支持されて、基部(110)より上側に位置している。メンブレン部(120)は、... 詳細

  • ロボセンサー技研株式会社の「 線状センサ、帯状センサ、および面状センサ」が 公開されました。( 2020/12/17)

    【課題・解決手段】内部導体と外部導体との間にピエゾ材料が配置された線状センサと、その線状センサを用いた、帯状センサおよび面状センサに関し、高品質なものを提供する。内部導体C11と、内部導体C11の外周... 詳細

  • 国立大学法人筑波大学の「 湾曲検出センサ」が 公開されました。( 2020/12/17)

    【課題・解決手段】曲率変化の大きな被測定対象に対して、歪を繰り返し正確に測定可能な湾曲検出センサを提供する。弾性限が1%以上で、ヤング率が互いに異なる第1金属板と第2金属板とを互いに接合してなることを... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ