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課題

非小細胞肺癌において、薬剤併用投与における副作用の低減が図れる効果的治療法の提供。

解決手段

概要

背景

2.背景情報
上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤は、臨床的に研究され、特定の癌の治療に対する有効が実証されてきた。チロシンキナーゼによる情報伝達阻害する化合物、例えばヒトEGF受容体は、チロシンキナーゼの機能亢進による病態生理学的過程の治療に有用であることが示された(David W. Fry、Pharmacol. Ther. Vol. 82、Nos. 2-3、pp.207-218、1999)。ゲフィチニブのような可逆的阻害剤と比較して、いくつかの不可逆的阻害剤持続性腫瘍抑制などの治療上の利点を有することが示された(DeBono & Rowinsky、Br. Med. Bull. 64:227-254(2002))。例えば良性又は悪性腫瘍、特には上皮及び神経上皮由来の、血管内皮細胞転移及び異常増殖(血管新生)の治療、チロシンキナーゼによる刺激により引き起こされる粘液産生の増加又は変化を伴う、気道疾患及び肺疾患の治療、並びにチロシンキナーゼの破壊活動に伴う消化管胆管及び胆嚢の疾患の治療に適切な、erbb1受容体(EGFR)及びerbB2(Her2/neu)受容体チロシンキナーゼ二重阻害剤としての化合物が、WO02/50043、WO2004/074263及びWO2005/037824に開示された。
BIBW2992は、EGFR及びHER2の高度選択的で、強力、不可逆的なチロシン阻害剤であり、非小細胞肺癌(NSCLC)患者において期待できる効果が観察された(Drugs of the Future 2008、33(8):649-654;Li, D.ら、Oncogene(2008)27、4702-4711)。BIBW2992の薬物動態特性(PK)は、単回及び複数回の投与後に程よく速い吸収を示した(British Journal of Cancer(2008)98、80-85)。BIBW2992は、健常者及び癌患者への曝露において、用量比例の増加より多くを示した。
皮膚毒性及び下痢は、肺腺癌及び活性化EGFR変異を有する患者におけるフェーズIIの臨床試験暫定的結果において、最も一般的な副作用であった(Mukherji, D.ら、Expert Opin. Investig. Drugs(2009)18(3)、293-300)。

P-gpは、膜貫通排出ポンプタンパク質であり、細胞から潜在的に有害な物質を排出することにより、それらから細胞組織を保護する障壁重要な要素であるようである。癌の標準的な化学療法は、一般的に、腫瘍細胞殺すために設計された毒性が高い化合物の使用を伴う。多剤耐性(MDR)において、治療薬が腫瘍に浸透して効果的に癌を排除する前に、腫瘍細胞はP-gpを利用して治療薬を排出するようになる(Juranka PFら、FASEB J. 1989 Dec;3(14):2583-92)。これによりP-gpの活動を阻害するための薬剤の開発がされたが、P-gp調節因子との組み合わせにおいて又は組み合わせなしで使用するP-gp基質薬剤を評価する多くの無作為に制御された試験は有意な改善結果を示さなかったことから、このアプローチ予測し得ないものであった(Ferry DRら、Eur J Cancer. 1996 Jun;32A(6):1070-81)。従って、in vivoでのP-gp阻害剤の効果を制限する他の要因が存在しうる。ある研究は、P-gp阻害剤の効果が血管からの細胞の距離によって異なることを示した:P-gp過剰発現の腫瘍は、隣接細胞におけるドキソルビシンの摂取を増加させ、血管から中間距離においては薬物摂取が細小又は効果なしであったが、より抹消細胞においては薬物摂取が減少した(Patel、Krupa J.ら、BMCCancer 2009;9:356)。これまでに行われてきたP-gp調節因子に関する研究は、化学療法薬の有効性を増大させるのに利用されてP-gp調節因子のそのような限界及び予測不可能性を示してきており、また新規治療法の設計及び開発において薬物分布を考慮することの重要性示唆する。

概要

非小細胞肺癌において、薬剤の併用投与における副作用の低減がれる効果的治療法の提供。上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤:N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-7-[[(3S)-テトラヒドロ-3-フラニル]オキシ]-6-キナゾリニル]-4-(ジメチルアミノ)-,(2E)-,(2Z)-2-ブテンジオエート(BIBW2992)投与の少なくとも6時間後に、シクロスポリンエリスロマイシンケトコナゾール等のP糖タンパク質調節因子を投与する方法。なし

目的

本発明は、EGFR阻害剤を用いた治療方法であって、
(a)EGFR阻害剤、好ましくはBIBW2992を用いた治療を必要とする患者を識別するステップと;
(b)患者がP-gp調節因子を用いた治療を受けていることを決定するステップと;
(c)EGFR阻害剤を用いた治療の前にP-gp調節因子を用いた患者の治療を停止させるステップと;
(d)EGFR阻害剤を患者に投与するステップと;
(e)P-gp調節因子を用いた治療をEGFR阻害剤の投与後6時間以上後に再開するステップと、を含む治療方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

EGFR阻害剤を用いた治療方法であって、(a)EGFR阻害剤を用いた治療を必要とする患者識別するステップと;(b)患者がP-gp調節因子を用いた治療を受けていることを決定するステップと;(c)EGFR阻害剤を用いた治療期間中にP-gp調節因子を用いた患者の治療を停止させるステップと;及び(d)EGFR阻害剤を患者に投与するステップと、を含む治療方法。

請求項2

EGFR阻害剤を用いた治療方法であって、(a)EGFR阻害剤を用いた治療を必要とする患者を識別するステップと;(b)患者がP-gp調節因子を用いた治療を受けていることを決定するステップと;(c)EGFR阻害剤の投与開始前に前記P-gp調節因子の投与を修正するステップと;及び(d)EGFR阻害剤を患者に投与するステップと、を含む治療方法。

請求項3

前記P-gp調節因子がP-gp阻害剤である、請求項1又は2に記載の方法。

請求項4

前記P-gp調節因子がP-gp誘導剤である、請求項1又は2に記載の方法。

請求項5

前記EGFR阻害剤が可逆的EGFR阻害剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。

請求項6

前記EGFR阻害剤が不可逆的EGFR阻害剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。

請求項7

前記EGFR阻害剤がBIBW2992又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。

請求項8

BIBW2992を用いた治療方法であって、(a)P-gp調節因子を用いた治療を受けている患者にBIBW2992を投与するステップと;(b)患者のBIBW2992の副作用の症状を検出するステップと;及び(c)BIBW2992を用いた治療継続中にP-gp調節因子を用いた治療を減少又は停止させるステップと、を含む治療方法。

請求項9

BIBW2992を用いた治療方法であって、(a)BIBW2992を用いた治療を必要とする患者を識別するステップと;(b)P-gp調節因子の薬物の一覧表を患者及び/又は患者の介護者に提供するステップと;(c)患者及び/又は患者の介護者に、BIBW2992を用いた治療期間中に一覧表の薬物を用いて患者を治療しないように忠告するステップと;及び(d)BIBW2992を患者に投与するステップと、を含む治療方法。

請求項10

EGFR調節因子含む医薬組成物であって、(a)患者がP-gp調節因子を用いた治療を受けていることを決定するステップと;(b)EGFR阻害剤を用いた治療期間中にP-gp調節因子を用いた患者の治療を停止させるステップと;及び(d)EGFR阻害剤を患者に投与するステップと、を含む方法による癌患者の治療において使用するための、医薬組成物。

請求項11

EGFR調節因子を含む医薬組成物であって、(a)患者がP-gp調節因子を用いた治療を受けていることを決定するステップと;(b)EGFR阻害剤の投与開始前に前記P-gp調節因子の投与を修正するステップと;及び(c)EGFR阻害剤を患者に投与するステップと、を含む方法による癌患者の治療において使用するための、医薬組成物。

請求項12

前記P-gp調節因子がP-gp阻害剤である、請求項10又は11に記載の医薬組成物。

請求項13

前記P-gp調節因子がP-gp誘導剤である、請求項10又は11に記載の医薬組成物。

請求項14

EGFR阻害剤が可逆的EGFR阻害剤である、請求項10〜13のいずれか1項に記載の医薬組成物。

請求項15

EGFR阻害剤が不可逆的EGFR阻害剤である、請求項10〜13のいずれか1項に記載の医薬組成物。

請求項16

EGFR阻害剤がBIBW2992又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項10〜13のいずれか1項に記載の医薬組成物。

請求項17

BIBW2992を含む医薬組成物であって、(a)P-gp調節因子を用いた治療を受けている患者にBIBW2992を投与するステップと;(b)患者のBIBW2992の副作用の症状を検出するステップと;及び(c)BIBW2992を用いた治療継続中にP-gp調節因子を用いた治療を修正又は停止させるステップと、を含む方法による癌患者の治療において使用するための、医薬組成物。

請求項18

BIBW2992を含む医薬組成物であって、(a)P-gp調節因子の薬物の一覧表を患者及び/又は患者の介護者に提供するステップと;(b)患者及び/又は患者の介護者に、BIBW2992を用いた治療期間中に一覧表の薬物を用いて患者を処置しないように忠告するステップと;及び(c)BIBW2992を患者に投与するステップと、を含む方法による癌患者の治療において使用するための、医薬組成物。

請求項19

癌の治療に使用するための上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤であって、前記使用がP-gp調節因子との併用投与を除外する、EGFR阻害剤。

請求項20

P-gp調節因子の治療と併用でのEGFR阻害剤の治療の主要な副作用に従って調整された投薬計画を用いて癌の治療に使用するためのEGFR阻害剤であって、前記副作用が、患者がEGFR阻害剤の治療を開始した後の時点における、CTCAE第3版評価により決定される副作用の頻度及び重症度の測定により監視される、EGFR阻害剤。

請求項21

癌治療に使用するための上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤であって、前記治療のEGFR阻害剤が唯一抗癌有効成分である、EGFR阻害剤。

請求項22

P-gp調節因子との併用をしていない癌患者の治療に使用するための、上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤。

請求項23

EGFR阻害剤を用いた治療に適格である患者を診断するためのin vitroの方法であって、患者から得られた試料において、患者が野生型EGFR又は突然変異型EGFRを発現している腫瘍を有しているかどうかを決定するステップと、及び前記患者に関する収集データから患者がP-gp調節因子の投薬中でないかどうかを決定するステップと、を含み、ここで前記両方の決定が肯定的でありうる場合にのみ、患者がEGFR阻害剤の治療に適格である、方法。

請求項24

EGFR阻害剤の治療中に癌を監視する方法であって、患者から得られた試料を提供して、EGFR阻害剤の治療中に疾患の進行又は退行を監視するステップと、及びP-gp調節因子の治療を中止させるか、若しくはその1日用量を調整するか、又はEGFR阻害剤の1日用量を増加させるステップと、を含む方法。

技術分野

0001

(出願データ)
本件出願は、2010年8月26日出願の米国仮出願番号第61/377,177号に対する利益を主張する。
(発明の背景)
1.技術分野
本発明は、EGFR阻害剤P糖タンパク質(P-gp)調節因子、すなわちP-gp誘導剤又はP-gp阻害剤との併用投与を回避又は修正する積極的な手段が存在する癌患者に対して、1つ又は複数のEGFR阻害剤を投与する方法に関する。

背景技術

0002

2.背景情報
上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤は、臨床的に研究され、特定の癌の治療に対する有効が実証されてきた。チロシンキナーゼによる情報伝達阻害する化合物、例えばヒトEGF受容体は、チロシンキナーゼの機能亢進による病態生理学的過程の治療に有用であることが示された(David W. Fry、Pharmacol. Ther. Vol. 82、Nos. 2-3、pp.207-218、1999)。ゲフィチニブのような可逆的阻害剤と比較して、いくつかの不可逆的阻害剤持続性腫瘍抑制などの治療上の利点を有することが示された(DeBono & Rowinsky、Br. Med. Bull. 64:227-254(2002))。例えば良性又は悪性腫瘍、特には上皮及び神経上皮由来の、血管内皮細胞転移及び異常増殖(血管新生)の治療、チロシンキナーゼによる刺激により引き起こされる粘液産生の増加又は変化を伴う、気道疾患及び肺疾患の治療、並びにチロシンキナーゼの破壊活動に伴う消化管胆管及び胆嚢の疾患の治療に適切な、erbb1受容体(EGFR)及びerbB2(Her2/neu)受容体チロシンキナーゼ二重阻害剤としての化合物が、WO02/50043、WO2004/074263及びWO2005/037824に開示された。
BIBW2992は、EGFR及びHER2の高度選択的で、強力、不可逆的なチロシン阻害剤であり、非小細胞肺癌(NSCLC)患者において期待できる効果が観察された(Drugs of the Future 2008、33(8):649-654;Li, D.ら、Oncogene(2008)27、4702-4711)。BIBW2992の薬物動態特性(PK)は、単回及び複数回の投与後に程よく速い吸収を示した(British Journal of Cancer(2008)98、80-85)。BIBW2992は、健常者及び癌患者への曝露において、用量比例の増加より多くを示した。
皮膚毒性及び下痢は、肺腺癌及び活性化EGFR変異を有する患者におけるフェーズIIの臨床試験暫定的結果において、最も一般的な副作用であった(Mukherji, D.ら、Expert Opin. Investig. Drugs(2009)18(3)、293-300)。

0003

P-gpは、膜貫通排出ポンプタンパク質であり、細胞から潜在的に有害な物質を排出することにより、それらから細胞組織を保護する障壁重要な要素であるようである。癌の標準的な化学療法は、一般的に、腫瘍細胞殺すために設計された毒性が高い化合物の使用を伴う。多剤耐性(MDR)において、治療薬が腫瘍に浸透して効果的に癌を排除する前に、腫瘍細胞はP-gpを利用して治療薬を排出するようになる(Juranka PFら、FASEB J. 1989 Dec;3(14):2583-92)。これによりP-gpの活動を阻害するための薬剤の開発がされたが、P-gp調節因子との組み合わせにおいて又は組み合わせなしで使用するP-gp基質薬剤を評価する多くの無作為に制御された試験は有意な改善結果を示さなかったことから、このアプローチ予測し得ないものであった(Ferry DRら、Eur J Cancer. 1996 Jun;32A(6):1070-81)。従って、in vivoでのP-gp阻害剤の効果を制限する他の要因が存在しうる。ある研究は、P-gp阻害剤の効果が血管からの細胞の距離によって異なることを示した:P-gp過剰発現の腫瘍は、隣接細胞におけるドキソルビシンの摂取を増加させ、血管から中間距離においては薬物摂取が細小又は効果なしであったが、より抹消細胞においては薬物摂取が減少した(Patel、Krupa J.ら、BMCCancer 2009;9:356)。これまでに行われてきたP-gp調節因子に関する研究は、化学療法薬の有効性を増大させるのに利用されてP-gp調節因子のそのような限界及び予測不可能性を示してきており、また新規治療法の設計及び開発において薬物分布を考慮することの重要性示唆する。

課題を解決するための手段

0004

(本発明の概要)
上記の研究は、EGFR阻害剤を用いた癌患者の治療が、(1)そのような薬物とP-gp調節因子との併用投与を回避又は修正する;又は(2)EGFR阻害剤の用量を修正する積極的な手段を必要とするという原則を裏付けている。

0005

(発明の詳細な説明)
本願発明者らは、P-gp阻害剤及びEGFR阻害剤の両方の薬物を一緒に摂取することにより、前記EGFR阻害剤の薬物曝露が増加することを初めて発見した。この発見に対する直接的な帰結は、P-gp誘導剤及びEGFR阻害剤の両方の薬物を一緒に摂取することにより、EGFR阻害剤の薬物曝露が減少するということである。いずれの場合においても、P-gp阻害剤/誘導剤をEGFR阻害剤と一緒に同時投与することは、回避及び/又は修正しなくてはならず、又はEGFR阻害剤の用量を修正しなくてはならない。
もう1つの方法として、EGFR阻害剤の投与後少なくとも6時間に強力なP-gp阻害剤を投与することにより、EGFR阻害剤をP-gp阻害剤/誘導剤と一緒に同時摂取する場合に見られるDDI(薬物薬物相互作用)を最小限にすることができる。

0006

従って本発明は、EGFR阻害剤を用いた治療方法であって、
(a)EGFR阻害剤、好ましくはBIBW2992を用いた治療を必要とする患者を識別するステップと;
(b)患者がP-gp調節因子を用いた治療を受けていることを決定するステップと;
(c)EGFR阻害剤を用いた治療の前にP-gp調節因子を用いた患者の治療を停止させるステップと;
(d)EGFR阻害剤を患者に投与するステップと;
(e)P-gp調節因子を用いた治療をEGFR阻害剤の投与後6時間以上後に再開するステップと、を含む治療方法を提供する。
従って本発明の別の態様は、EGFR阻害剤を用いた治療方法であって、
(a)EGFR阻害剤、好ましくはBIBW2992を用いた治療を必要とする患者を識別するステップと;
(b)患者がP-gp調節因子を用いた治療を受けていることを決定するステップと;
(c)EGFR阻害剤を用いた治療期間中にP-gp調節因子を用いた患者の治療を停止させるステップと;及び
(d)EGFR阻害剤を患者に投与するステップと、
を含む治療方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、EGFR阻害剤を用いた治療方法であって、
(a)EGFR阻害剤、好ましくはBIBW2992を用いた治療を必要とする患者を識別するステップと;
(b)患者がP-gp調節因子を用いた治療を受けていることを決定するステップと;
(c)EGFR阻害剤の投与開始前に前記P-gp調節因子の投与を修正、好ましくは減少させるステップと;及び
(d)EGFR阻害剤を患者に投与するステップと、
を含む治療方法を提供する。

0007

本発明のさらなる態様は、EGFR調節因子、好ましくはBIBW2992を含む医薬組成物であって、
(a)患者がP-gp調節因子を用いた治療を受けていることを決定するステップと;
(b)EGFR阻害剤を用いた治療期間中にP-gp調節因子を用いた患者の治療を停止させるステップと;及び
(d)EGFR阻害剤を患者に投与するステップと、
を含む方法による癌患者の治療において使用するための、医薬組成物を提供する。
本発明のさらなる態様は、EGFR調節因子、好ましくはBIBW2992を含む医薬組成物であって、
(a)患者がP-gp調節因子を用いた治療を受けていることを決定するステップと;
(b)EGFR阻害剤の投与開始前に前記P-gp調節因子の投与を修正、好ましくは減少させるステップと;及び
(c)EGFR阻害剤を患者に投与するステップと、
を含む方法による癌患者の治療において使用するための、医薬組成物を提供する。
P-gp調節因子は、強力なP-gp阻害剤又は強力なP-gp誘導剤のいずれかであり、EGFR阻害剤は可逆的又は不可逆的EGFR阻害剤である。好ましくは、P-gp調節因子は強力なP-gp阻害剤であり、EGFR阻害剤は不可逆的EGFR阻害剤、より好ましくは、前記EGFR阻害剤はBIBW2992である。

0008

従って本発明は、BIBW2992を用いた治療方法であって、
(a)P-gp阻害剤を用いた治療を受けている患者にBIBW2992を投与するステップと;
(b)患者のBIBW2992の副作用の症状を検出するステップと;及び
(c)BIBW2992を用いた治療継続中にP-gp阻害剤を用いた治療を修正、好ましくは減少又は停止させるステップと、
を含む治療方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、BIBW2992を含む医薬組成物であって、
(a)P-gp阻害剤を用いた治療を受けている患者にBIBW2992を投与するステップと;
(b)患者のBIBW2992の副作用の症状を検出するステップと;及び
(c)BIBW2992を用いた治療継続中にP-gp阻害剤を用いた治療を修正、好ましくは減少又は停止させるステップと、
を含む治療方法による癌患者の治療において使用するための、医薬組成物を提供する。

0009

好ましい態様において、本発明はBIBW2992を用いた癌患者の治療方法であって、可能であれば、BIBW2992と誘導剤及び阻害剤からなるP-gp調節因子との併用投与を回避する積極的な手段が存在する治療方法に関する。
好ましい態様において、本発明はEGFR阻害剤を用いた癌患者の治療方法であって、可能であれば、前記EGFR阻害剤の投与前にP-gp誘導剤又は阻害剤の投与を停止する積極的な手段が存在し、ここで前記EGFR阻害剤は好ましくは不可逆的EGFR阻害剤であり、より好ましくは、前記EGFR阻害剤はBIBW2992である、治療方法に関する。
別の態様において、本発明はEGFR阻害剤、好ましくはBIBW2992を用いた癌患者の治療方法であって、EGFR阻害剤とP-gp誘導剤又は阻害剤が併用投与されている場合に、EGFR阻害剤の用量を調整する、治療方法に関する。
さらに好ましい態様において、本発明は有効成分としてEGFR阻害剤、好ましくはBIBW2992を含み、医薬に添付された指示によりP-gp誘導剤又は阻害剤との併用投与を回避するためにカスタマイズされた、癌患者を治療するための医薬に関する。

0010

従って本発明は、BIBW2992を用いた治療方法であって、
(a)BIBW2992を用いた治療を必要とする患者を識別するステップと;
(b)P-gp調節因子の薬物の一覧表を患者及び/又は患者の介護者に提供するステップと;
(c)患者及び/又は患者の介護者に、BIBW2992を用いた治療期間中に一覧表の薬物を用いて患者を治療しないよう、好ましくはP-gp調節因子及びBIBW2992を同時投与してはならないことを忠告するステップと;及び
(d)BIBW2992を患者に投与するステップと、
を含む治療方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、BIBW2992を含む医薬組成物であって、
(a)P-gp調節因子の薬物の一覧表を患者及び/又は患者の介護者に提供するステップと;
(b)患者及び/又は患者の介護者に、BIBW2992を用いた治療期間中に一覧表の薬物を用いて患者を処置しないよう、好ましくはP-gp調節因子及びBIBW2992を同時投与してはならないことを忠告するステップと;及び
(c)BIBW2992を患者に投与するステップと、
を含む治療方法による癌患者の治療において使用するための、医薬組成物を提供する。

0011

本発明のある態様において、癌治療のためにEGFR阻害剤、好ましくはBIBW2992を用いた方法であって、患者がEGFR阻害剤の投与前にP-gp調節因子の投与を受けている場合に、EGFR阻害剤の毒性/副作用の発生又は前記癌の進行のいずれかを減少させるように、ヒト患者において、好ましくは前記癌の1次、2次又は3次の治療としての方法が提供される。
前記方法は、
EGFR阻害剤の1日1回用量を癌治療のために患者へ投与するステップであって、P-gp調節因子の同時投与が存在するステップであり、続いて、
i)患者がEGFR阻害剤の治療を開始した後の時点における患者の癌の進行を監視し、ここで癌の進行は、癌が治療計画に対する応答が良くないことを示し;及び
ii)患者がEGFR阻害剤の治療を開始した後の時点における患者のEGFR阻害剤の治療の副作用を、例えば、Cancer Therapy Evaluation Program、Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)第3.0版、DCTDNCI、NIH、DHHS、2003年3月31日、2006年8月9日発行(http://ctep.cancer.gov/protocoldevelopment/electronic_applications/docs/ctcaev3.pdf)により決定されるような副作用の頻度及び重症度を測定することにより監視するステップであって;
ここで癌の進行は、i)a)P-gp調節因子の投与の積極的な回避及び/又はb)EGFR阻害剤の1日用量の増加のいずれかを必要とするか、又は
許容できないレベルのEGFR阻害剤の治療の副作用が、ii)a)P-gp調節因子の投与を修正して、好ましくは減少させて積極的に回避すること、及び/又はb)EGFR阻害剤の1日用量を減少させることのいずれかを必要とするステップ、
を含む、方法である。

0012

本発明のある態様において、癌治療のためにEGFR阻害剤を用いた方法であって、患者がEGFR阻害剤の投与前にP-gp調節因子の投与を受けている場合に、EGFR阻害剤の副作用の発生を減少させるように、ヒト患者において、好ましくは前記癌の1次、2次又は3次の治療としての方法が提供される。
前記方法は、
EGFR阻害剤の1日1回用量を癌治療のために患者へ投与するステップであって、P-gp調節因子の同時投与が存在するステップであり、続いて、
P-gp調節因子が阻害剤である場合にはEGFR阻害剤の用量を減少させ、又はP-gp調節因子が誘導剤である場合にはEGFR阻害剤の用量を増加させることを含む、方法である。

0013

本発明の別の態様において、患者がEGFR阻害剤の投与前にP-gp調節因子の投与を受けている場合に、EGFR阻害剤の副作用又は癌の進行のいずれかの発生を減少させるように、ヒト患者において好ましくは前記癌の1次、2次又は3次の治療としての、癌治療において使用するためのEGFR阻害剤を含む医薬組成物であって、
EGFR阻害剤の1日用量を癌治療のために患者へ投与するステップであって、P-gp調節因子の同時投与が存在するステップであり、続いて、
i)患者がEGFR阻害剤の治療を開始した後の時点における患者の癌の進行を監視し、ここで癌の進行は、癌が治療計画に対する応答が良くないことを示し;及び
ii)患者がEGFR阻害剤の治療を開始した後の時点における患者のEGFR阻害剤の治療の副作用を、例えば、Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)第3版評価、2006年8月9日発行(http://ctep.cancer.gov/protocoldevelopment/electronic_applications/docs/ctcaev3.pdf)により決定されるような副作用の頻度及び重症度を測定することにより監視するステップであって;
ここで癌の進行は、i)a)P-gp調節因子の投与の積極的な回避及び/又はb)EGFR阻害剤の1日用量の増加のいずれかを必要とするか、又は
許容できないレベルのEGFR阻害剤の治療の副作用が、ii)a)P-gp調節因子の投与を積極的に回避/減少させること、及び/又はb)EGFR阻害剤の1日用量を減少させることのいずれかを必要とするステップ、
を含む方法による癌治療において使用するための、EGFR阻害剤を含む医薬組成物を提供する。
本発明の別の態様において、ヒト患者における癌治療のためにEGFR阻害剤を使用する方法であって、前記患者が前記EGFR阻害剤の投与前にP-gp調節因子の投与を受けている場合に、EGFR阻害剤の副作用の発生を減少させるような方法が提供され、前記方法は、EGFR阻害剤を投与するステップと、患者がP-gp調節因子の投与を積極的に回避するステップとを含む方法を提供する。

0014

本発明の別の態様において、ヒト患者における癌治療のためにEGFR阻害剤の治療上の有効性を最適化する方法であって、
(a)患者がP-糖タンパク質(P-gp)の阻害剤又は誘導剤を投与されていることを決定するステップと;
(b)EGFR阻害剤の投与開始前に前記P-gp阻害剤又は誘導剤の投与を修正、好ましくは減少又は完全に回避するステップと;及び
(c)EGFR阻害剤を、前記癌を患う被験者に投与するステップと、
を含む方法を提供する。
本発明の別の態様において、癌治療に付随する副作用を減少させる方法であって、
(a)患者がP-糖タンパク質(P-gp)の阻害剤を投与されていることを決定するステップと;
(b)EGFR阻害剤の投与開始前に前記P-gp調節因子の投与を減少又は完全に回避するステップと;及び
(c)EGFR阻害剤を、前記癌を患う被験者に投与するステップと、
を含む方法を提供する。
さらなる態様において、本発明は有効成分としてEGFR阻害剤を含み、医薬又は前記医薬を含む包装に添付された指示によりP-gp誘導剤及び/又は阻害剤との併用投与を回避するためにカスタマイズされた、癌患者を治療するための医薬に関する。
本発明のさらに別の態様において、患者がEGFR阻害剤の投与前にP-gp調節因子の投与を受けている場合に、EGFR阻害剤の副作用又は前記癌の進行のいずれかの発生を減少させるように、EGFR阻害剤を投与するステップと、患者がP-gp調節因子の投与を積極的に回避するステップとを含む方法による、ヒト患者における癌治療のためのEGFR阻害剤を含む医薬組成物を提供する。

0015

本発明の別の態様において、医薬組成物であって、
(a)患者がP-糖タンパク質(P-gp)の阻害剤又は誘導剤を投与されていることを決定するステップと;
(b)EGFR阻害剤の投与開始前に前記P-gp阻害剤又は誘導剤の投与を修正、好ましくは減少又は完全に回避するステップと;及び
(c)EGFR阻害剤を、前記癌を患う被験者に投与するステップと、
を含む方法により、ヒト患者における癌治療のためにEGFR阻害剤の治療上の有効性を最適化するための医薬組成物を提供する。
本発明の別の態様において、医薬組成物であって、
(a)患者がP-糖タンパク質(P-gp)の阻害剤又は誘導剤を投与されていることを決定するステップと;
(b)EGFR阻害剤の投与開始前に前記P-gp阻害剤又は誘導剤の投与を修正、好ましくは減少又は完全に回避するステップと;及び
(c)EGFR阻害剤を、前記癌を患う被験者に投与するステップと、
を含む方法により、癌の治療に付随する副作用又は癌の進行のいずれかを減少させるための医薬組成物を提供する。

0016

本発明の別の態様においては、癌治療に使用するためのEGFR阻害剤を提供し、前記使用はP-gp調節因子の同時使用を排除するものである。
別の態様においては、上記のEGFR阻害剤を提供し、ここで
(a)患者がEGFR阻害剤を未摂取の癌患者であり、
(b)患者が野生型EGFRを発現している腫瘍を有しており、
(c)患者がEGFRの突然変異型を発現している腫瘍を有しており、
(d)患者が以前EGFR阻害剤を用いた治療を受けたことがあり、改善点としてEGFR阻害剤に対する一次耐性又は獲得耐性の克服を含み、
好ましくは:
(e)患者がEGFR阻害剤を用いた治療に対する獲得耐性を有し、改善点として前記耐性の克服を含み、又は
(g)患者がT790M(T790M+)に起因する一次耐性又は獲得耐性を有し、ここで改善点としてEGFR阻害剤の治療に対する耐性の抑制又は克服を含み、及び/又は
(h)患者がT790M(T790M-)に起因しない一次耐性又は獲得耐性を有し、ここで改善点としてEGFR阻害剤の治療に対する耐性の抑制/克服を含む。

0017

別の態様において、上記いずれかの態様のEGFR阻害剤を提供し、ここで排除される前記P-gp調節因子の併用は、同時使用、前記P-gp調節因子の前の使用及び前記P-gp調節因子の後の使用を包含する。
別の態様において、上記いずれかの態様のEGFR阻害剤を提供し、ここで前記EGFR阻害剤はBIBW2992であり、前記癌はNSCLCである。
別の態様において、上記いずれかの態様のEGFR阻害剤を提供し、ここで前記EGFR阻害剤は、約10〜50mg/日、好ましくは約20〜50mg/日、より好ましくは40mg/日の用量で、好ましくは1日1回摂取される錠剤の形態で投与される。
別の態様において、上記いずれかの態様のEGFR阻害剤を提供し、ここでEGFR阻害剤は、食物(食事の少なくとも1時間前から食事の少なくとも3時間後までを意味するものと理解されるべきである)なしで投与される。
別の態様において、上記いずれかの態様のEGFR阻害剤を提供し、ここでEGFR阻害剤は、分散性の錠剤/顆粒/ペレット/粉末として製剤化される。
別の態様において、上記いずれかの態様のEGFR阻害剤を提供し、ここで分散性の錠剤/顆粒/ペレット/粉末は、水性溶媒、好ましくは水に分散可能である。
別の態様において、上記いずれかの態様のEGFR阻害剤を提供し、ここでEGFR阻害剤は、水性溶媒中、好ましくは水中で少なくとも5分間、好ましくは少なくとも10分間、さらにより好ましくは5分間好ましくは撹拌して、前記阻害剤を分散又は溶解させた後に経口投与するために製剤化される。
別の態様において、上記いずれかの態様のEGFR阻害剤を提供し、ここでEGFR阻害剤は、経鼻胃管を通した投与のために製剤化される。
別の態様において、キットに添付された指示によりP-gp調節因子との併用投与を回避するためにカスタマイズされた、上記いずれかの態様のEGFR阻害剤を含む医薬キットを提供する。

0018

本発明の別の態様において、前記EGFR阻害剤の治療の副作用、P-gp調節因子との併用療法に従って調整された投薬計画を用いて癌の治療に使用するためのEGFR阻害剤を提供し、ここで前記副作用は、患者がEGFR阻害剤の治療を開始した後の時点において、例えば、CTCAE第3.0版評価(http://ctep.cancer.gov/protocoldevelopment/electronic_applications/docs/ctcaev3.pdf)により決定されるような副作用の頻度及び重症度の測定により監視される。
別の態様において、上記態様のEGFR阻害剤を提供し、ここで癌の進行は、i)a)P-gp調節因子の投与の積極的な回避及び/又はb)EGFR阻害剤の1日用量の増加のいずれかを必要とするか、又は許容できないレベルのEGFR阻害剤の治療の副作用が、a)P-gp調節因子の投与の積極的な回避/修正及び/又はb)EGFR阻害剤の1日用量の減少のいずれかを必要とする。
本発明の別の態様において、癌の治療に使用するための上記いずれかの態様の上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤を提供し、ここで前記EGFR阻害剤の治療は唯一抗癌有効成分である。

0019

本発明の別の態様において、EGFR阻害剤を用いた治療に適格である患者を診断するためのin vitroの方法であって、
患者から得られた試料において、患者が野生型EGFR又は突然変異型EGFRを発現している腫瘍を有しているかどうかを決定するステップと、及び
前記患者に関する収集データから患者がP-gp調節因子の投薬中でないかどうかを決定するステップと、
を含み、ここで前記両方の決定が肯定的でありうる場合にのみ、患者がEGFR阻害剤の治療に適格である、方法を提供する。
別の態様において、EGFR阻害剤の治療結果を改善し、及び/又は上記態様のEGFR阻害剤の治療中の患者の服薬順守を改善するためのin vitroの方法であって、
−患者がP-gp調節因子の治療中かどうかについての前記患者に関するデータの提供を含む、決定ステップが実施され、及び
−患者がP-gp調節因子の治療中である場合に、患者に指示を提供して前記投薬を中止させるか、若しくは前記投薬を調整、好ましくは減少させるか、又はEGFR阻害剤を用いた投薬を増加させる、方法を提供する。
本発明の別の態様において、EGFR阻害剤の治療中に癌を監視する方法であって、
−患者から得られた試料を提供して、EGFR阻害剤の治療中に疾患の進行又は退行を監視するステップと、及び
−P-gp調節因子の治療を中止させるか、若しくはその1日用量を調整、好ましくは減少させるか、又はEGFR阻害剤の1日用量を増加させるステップと、
を含む方法を提供する。

0020

(定義)
本明細書において使用される全ての用語は、他に指定しない限り、当技術分野で周知のそれらの通常の意味において理解されるべきである。他のより具体的な定義は以下のとおりである。
用語「ErbB1」、「上皮成長因子受容体」及び「EGFR」は、本明細書において区別しないで使用され、例えばCarpenterら、Ann. Rev. Biochem. 56:881-914(1987)において開示されるような天然配列EGFR、及びその変形(例えばHumphreyら、PNAS(USA)87:4207-4211(1990)における欠失変異体EGFR)を示す。erbB1は、EGFRタンパク生成物をコードする遺伝子を示す。本明細書で使用されるEGFRタンパク質は、erbB1遺伝子、GenBankアクセッション番号NM.sub.--005228によりコードされるGenBankアクセッション番号NP.sub.--005219として開示される。W. J. Gullickら、1986、Cancer Res.、46:285-292;S. Cohenら、1980、J. Biol. Chem.、255:4834-4842;A. B. Schreiberら、1983、J. Biol. Chem.、258:846-853も参照されたい。
EGFR阻害剤は可逆的又は不可逆的EGFR阻害剤を含む。
「可逆的EGFR」阻害剤として、構造的分類4-アニリノキナゾリン、4-[アラルキルアミノ]ピリドピリミジン、及び4-フェニルアミノピロロ-ピリミジンが挙げられる。David W. Fry、Pharmacol. Ther. Vol. 82、Nos. 2-3、pp.209-211、1999を参照されたい。具体例には、ゲフィチニブ(化合物ZD1839「イレッサ(IRESSA)」)、エルロチニブ(化合物OSI-774、「タルセバ(TARCEVA)」)、ラパチニブが挙げられ、イレッサ及びタルセバ両方を用いた通常の癌治療薬は、各化合物500mg以下の毎日の経口投与を伴う。
「不可逆的EGFR阻害剤」は、不可逆的にEGFR、好ましくはEGFRのシステイン773に結びつくいかなる化合物も含む。非限定的な例として、米国特許第6,002,008号、米国特許7,019,012号、米国特許第6,251,912号、WO02/50043、WO2004/074263、WO2005/037824に開示される化合物、BIBW2992、EKB-569、HKI-272、HKI-357、Cl-1033、イコチニブ又はPF-00299804及びそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。好ましくはBIBW2992ジマレエート:2-ブテンアミド、N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-7-[[(3S)-テトラヒドロ-3-フラニル]オキシ]-6-キナゾリニル]-4-(ジメチルアミノ)-,(2E)-,(2Z)-2-ブテンジオエート(1:2)である。

0021

0022

P-gp、P-糖タンパク質は、ABCB1遺伝子によりコードされる(Ueda K、ClarkDP、Chen CJ、Roninson IB、Gottesman MM、Pastan I(1987年1月))。「ヒト多剤耐性(mdr1)遺伝子cDNAクローニング転写の開始(The human multidrug resistance (mdr1) gene. cDNA cloning and transcription initiation)」J.Biol. Chem. 262(2):505-8.PMID 3027054)」。
P-gp調節因子には本明細書に定義される調節因子又は誘導剤、好ましくはP-gpの強力な調節因子又は誘導剤が含まれる。
強力なP-gp調節因子として、P-gpを強力に阻害することができる薬剤などが好ましい。
非限定的な例として、アルフェンタニルアミロリドアミオダロンアミトリプチリン(amitripyline)、アステミゾールアトバクオンアトルバスタチンアゼラスチンアジドピンアジスロマイシン、ペプリジル(bepidil)、ビリダール(biricodar)、ブロモクリプチンカルバマゼピンカルベジロールクロロキンクロルプロマジンクラリスロマイシンシクロスポリンシプロヘプタジンダルナビル、デスエルアミオロンデシプラミンデクスニグルジピン、デクスラゾキサンジルチアゼムジピリダモールジスルフィラムドキサゾシンエラクリダール(elicridqr)、エメチンエリスロマイシンフェロジピンフェノフィブレートフェンタニルフラボノイドフルオキセチンフルフェナジンフルボキサミン、フシジンガロパミル(gallpamil)、グリブリドグラミシジンD、グレーフルーツジュースガーリックグリーンティーハロペリドールヒドロコルチゾンヒドロキシジン(hyroxyzine)、ジョサマイシンケトコナゾールイミプラミンイトラコナゾールイベルメクチン、ケトコナゾール、ラニキダール(laniquidar)、ランゾプラゾールレボチロキシンリドカインロペラミドロピナビルロラタジンロバスタチンマプロチリンメフロキンメタドンミベフラジルミダゾラムマイトマイシンC、ネファドンネルフィナビルニカルジピンニトレンジピンノビレチン(nobilitin)、ノルベラパミルオメプラゾールオレンジジュースオフロキサシンパロキセチンパントプラゾールフェノチアジンフェノバルビタールピペリンピモジドプロベネシドプロゲステロンプロメタジンプロパフェノンプロプラノロールケルセチンキナクリンキニジンキニーネレセルピンリトナビルサキナビルセルトラリンシンバスタチンスピロノラクトンスフェンタニルタクロリムスタモキシフェンタリダルテリスロマイシンテルフェナジンテストステロンテトラベナジン(tetrabenzine)、チオリダジントリフルオペラジントリフルプロマジントリミプラミンバリノマイシンバナデートベンラファクシン、ベラパミル、ビンブラスチン、FK506、RU486(ミフェプリストン)、バルスポダールPSC 833、ゾスキダル、2n-プロピルキノリン及びそれらの組み合わせが挙げられる。好ましくはシクロスポリン、エリスロマイシン、ケトコナゾール、イトラコナゾール、キニジン、フェノバルビタール塩とキニジン、リトナビル、バルスポダール又はベラパミルである。

0023

P-gp誘導剤は強力にP-gpを誘導できる薬剤などが好ましい。非限定的な例としてセイヨウオトギリソウ、アミトリプチリン、アンプレナビル、ASA、ブロモクリプチン、クロラムブシルシスプラチンクロトリマゾールコルヒチン、シクロスポリン、デラビルジンダウノルビシンデキサメタゾン、ドキソルビシン、エファビレンツ、エリスロマイシン、エトポシドフルオロウラシル(flurouracil)、ヒドロキシウレアインスリン、ロピナビル、メトトレキサートミトキサントロンモルヒネ、ネファゾドン、ネルフィナビル、ネビラピン、ニカルジピン、ニフェジピンパクリタキセル、フェノバルビタール、フェノチアジン、フェニトインプラゾシン、プロベネシド、レセルピン、レチノイド酸、リトナビル、リファンピンリファンピシンセントジョーンズワート、タクロリムス、タモキシフェン、トラゾドン、ベラパミル、ビンブラスチン、ビンクリスチンヨヒンビン及びそれらの組み合わせが挙げられる。

0024

前記P-gp調節因子の投与を「修正する」とは、前記P-gp調節因子の用量又は投薬頻度を減らすことを意味するものと理解されるべきである。
前記P-gp調節因子の投与を完全に「回避する」とは、a)前記P-gp調節因子の投与を開始しないこと、又はb)前記P-gp調節因子の投与を停止し、その後前記P-gp調節因子の投与を再開しないことのいずれかを意味するものと理解されるべきである。

0025

治療には治療の組み合わせも含むことができ、限定されないが、他のチロシンキナーゼ阻害剤、化学療法、放射線療法等との組み合わせにおけるチロシンキナーゼ阻害剤が挙げられる。これに関連する参考文献は、EP09160202.9、PCT/EP/2010050338、WO2008/121467、US2009-0306101、US2006-0058311、US2005-0043233、US2003-0225079及びUS2009-0318480が挙げられる。
第1の医薬、例えばEGFR阻害剤を用いた患者の治療における、P-gp調節因子の同時使用とは、第1の医薬の用量単位反復投与により特徴付けられる、同時進行だが独立した治療計画に加えて、例えば1日1回、2回又は3回の規定された時間間隔での用量単位の反復投与により特徴付けられる治療計画に従って、P-gp調節因子を患者に投与することを意味する。また、P-gp調節因子をEGFR阻害剤と同時使用するとは、両方の薬物を平行に(同時に)又は両方の薬物の投与間が最大で1時間の時間枠内に投与することを意味する。
EGFR阻害剤未摂取の癌患者とは、EGFR阻害剤を摂取しておらず、EGFR阻害剤にこれまで全く曝露されてこなかった患者のことである。

0026

腫瘍進行の監視は、治療が開始された後の時点間の腫瘍状態の比較により、又は治療が開始された後の時点における腫瘍の状態を治療開始前の時点と比較することにより判断することができる。腫瘍進行は、治療中に視覚的に、例えば放射線撮影、例えばX線、CTスキャンにより、又は当業者に周知の他の監視方法、癌の触診又は腫瘍バイオマーカーレベルを監視する方法などにより監視することができる。腫瘍進行は、RECIST基準(例えばJ. Nat. Cancer Inst.、Vol92、No.3、2000、pp205-216、又はJ. Clin. Oncol. Vol24、No.20、2006、pp3245-3251において刊行)などの当技術分野で周知の方法により評価される。
WO02/50043、WO2004/074263及びWO2005/037824の開示内容には、その化合物の製造及び製剤処方が含まれ、これらの態様に関して参照により組み込まれるものとする。さらに、その化合物を単独療法又は他の抗腫瘍治療剤、例えばトポイソメラーゼ阻害剤(例えばエトポシド)、有糸分裂阻害薬(例えばビンブラスチン)、核酸相互作用する化合物(例えばシスプラチン、シクロホスファミドアドリアマイシン)、ホルモン拮抗薬(例えばタモキシフェン)、代謝過程の阻害剤(例えば5-FU等)、サイトカイン(例えばインターフェロン)又は抗体との併用で使用されうることは、腫瘍疾患の治療において公知である。

0027

表現「患者」は、癌を患っているため、その治療を必要とするヒト患者に関する。さらに、表現「患者」は、野生型EGF受容体を有する腫瘍を保持しているような癌患者及び活性化EGFR変異体を含む腫瘍を有する事前に選択された癌患者を含むと理解されるべきである。これらは、EGF受容体のチロシンキナーゼ領域、例えば活性ループ(エクソン21)内のL858R又はL861点変異体、又はELREA配列(エクソン19)内のインフレーム欠失/挿入変異体、又はヌクレオチド結合ループ(エクソン18)内に位置するG719中の置換体に位置しうる。さらなる活性化変異体は、様々な症状においてEGF受容体の細胞外領域にて報告されている(例えば、エクソン2-7欠失を示すEGFR vIII)。他の変異体、例えばエクソン20中のT790M点変異体及び特定のエクソン20挿入物(例えば、D770_N771insNPG)であって、特定の薬物に耐性を与えるもの、並びに二重変異体、例えば複合(combined)L858R/T790M変異体又はエクソン-19-del/T790Mが含まれるべきである。
表現「患者」は、野生型HER2受容体を有する腫瘍を保持しているような癌患者、及び活性化HER2変異体、例えばM774_A775insAYVMを含む腫瘍を有する事前に選択された癌患者を含むと理解されるべきである。

0028

BIBW2992などのEGFR阻害剤をP-gp誘導剤及び/又は阻害剤との併用を回避するための有効成分として含む薬剤又は医薬組成物を「カスタマイズする」とは、P-gp誘導剤及び/又は阻害剤との併用を回避するため、指示を薬物又は医薬組成物に添付することを意味するものと理解されるべきである。この指示は、医薬品に適切な形態、例えば補助的な包装内の薬剤に添付される説明書、又は本体又は補助的な包装上の刻印の形態をとることができる。
EGFR阻害剤、好ましくはBIBW2992の最大用量は、1日1回160mgを3日間、あるいは1日1回100mgを2週間である。

0029

NSCLC患者のサブグループにおけるEGF受容体のチロシンキナーゼ領域内の特定の機能獲得変異体の存在は、ゲフィチニブとエルロチニブでの治療に対する感受性の増加に関連している(Lynch、New England Journal Medicine 350、2129(2004);Paez、Science 304、1497(2004);Pao、Proceedings of the National Academy of Science of the United States 101、13306(2004))。EGFR阻害剤を用いた治療は、一次治療又は例えばゲフィチニブ/エルロチニブに感受性が高いと最初に診断されたか又はこれらの方法によってゲフィチニブ/エルロチニブに感受性が高いと予測された癌の後続の治療であってもよい。特に、L858R点突然変異(エクソン21)及びELREA配列中の欠失/挿入突然変異(エクソン19)は、大多数のゲフィチニブ応答者の主な原因となる。エクソン20、T790Mにおける第二の点突然変異は、ゲフィチニブ又はエルロチニブの獲得耐性に関連する。この突然変異は、CML患者に同定されるT315I突然変異と類似しており、その患者は、イマチニブ処理で再発する(イマチニブ耐性患者)。EGF受容体のチロシンキナーゼ領域における突然変異の検出方法は、当技術分野において周知であり、いくつかの対応する診断手段はFDAにより認められ、また市販もされている。例えば、非小細胞肺癌の患者における上皮成長因子受容体突然変異の検出に関するアッセイが挙げられる(Genzyme Corp.;またJournal of Clinical Oncology、2006 ASCO Annual Meeting Proceedings(ポストミーティング版)、Vol 24、No 18S(6月20日追補)、2006:Abstract 10060を参照されたい)。
非可逆的阻害剤は、可逆的阻害剤(例えば、ゲフィチニブ)とは対照的に、二重突然変異EGF受容体を発現する細胞系における増殖及びEGF-誘導EGFRリン酸化を阻害することができる(Kwak、Proceedings of the National Academy of Science of the United States 102、7665(2005)及びKobayashi、New England Journal Medicine 352、786(2005))。
従って、本発明のいずれかの態様には、EGF受容体のチロシンキナーゼ領域におけるEGFR突然変異に関する癌患者の任意の事前選択、及びHER2突然変異に関する癌患者の事前選択が含まれる。本文脈に好ましく関連するEGFR突然変異は、活性ループ(エクソン21)中のL858R及びL861点突然変異、ELREA配列(エクソン19)中のインフレーム欠失/挿入突然変異、ヌクレオチド結合ループ(エクソン18)に位置するG719における置換、エクソン2-7欠失を示すEGFR vIIIのようなEGF受容体の細胞外領域における活性化突然変異、エクソン20におけるT790点突然変異、エクソン20挿入、例えばD770_N771insNPG、及び二重突然変異、例えば複合L858R/T790M突然変異及びエクソン-19-del/T790Mからなる群より選択される。本文脈中に好ましく関連するHER2突然変異は、M774_A775insAYVM突然変異である。

0030

最も好ましい癌症状は、
−頭部及び頸部腫瘍:SCC、AC、移行細胞癌、粘膜表皮癌未分化カルシノーマ
結腸直腸癌、転移又は非転移:AC、例えばAC、カルチノイド肉腫遺伝型
膵癌:AC、例えば腺管及び腺房の癌、乳頭状扁平上皮、未分化、内分泌膵臓の腫瘍;
乳癌、転移又は非転移:AC、例えば、浸潤性腺管、小葉及び延髄の癌、管状、粘液性癌、パジェットカルシノーマ、炎症性カルシノーマ、原位置での腺管及び小葉カルシノーマ;
前立腺癌:AC、小細胞、SCC;
胃癌:AC、腺扁平上皮、未分化;
卵巣癌
−非小細胞肺癌(NSCLC):腺癌、SCC、紡錘細胞カルシノーマ、AC、気管支肺胞性カルシノーマ、大細胞NSCLC、明細胞NSCLC、NSCLCとEGFR突然変異;
からなる群から選ばれるが、特には、
−非小細胞肺癌(NSCLC):SCC、紡錘細胞カルシノーマ、AC、気管支肺胞性カルシノーマ、大細胞NSCLC、明細胞NSCLCであり、特に、少なくとも1つの前の化学療法に失敗した転移性の第2次患者、又は少なくとも12週間のタルセバ又はイレッサを受けてその後失敗した第3次/4次患者である。
さらに特には、癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭部及び頸部扁平上皮癌(HNSCC)、悪性神経膠腫、乳癌、食道癌、胃癌、腎癌子宮頸癌、前立腺癌、卵巣癌、膵癌、肝細胞癌、結腸直腸癌(CRC)及びそれらの転移性の形態からなる群より選ばれる。

0031

好ましくは、以下からなる群より選択される非可逆的EGFR阻害剤の投与により治療されるものである:
(a)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロブチルオキシ-キナゾリン
(b)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロペンチルオキシ-キナゾリン、
(c)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン、
(d)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン(BIBW2992)、
(e)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-(テトラヒドロピラン-4-イルオキシ)-キナゾリン、
(f)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(g)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-3-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(h)4-[(R)-(1-フェニル-エチル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン、
(i)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(j)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(k)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン、及び
(r)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン、
又はこれらの薬学的に許容可能な塩。

0032

治療方法
癌の治療方法として、EGFR及び/又はHER2突然変異に関する癌患者の事前選択を含み、EGF受容体のチロシンキナーゼ領域におけるEGFR突然変異を保持すること示す、及び/又は活性化HER2突然変異を含む腫瘍を有する事前選択された癌患者に、治療上有効量のEGFR阻害剤を、所望により、化学療法、治療抗体などの生物学的療法mTOR阻害剤などの標的療法、放射線療法、放射線-免疫療法及び/又は手術による腫瘍切除との組み合わせにおいて投与することを含む。この方法は、さらに前記P-gp阻害剤又は誘導剤の投与を、EGFR阻害剤の投与開始前に修正又は完全に回避することを含む。
別の方法は、癌患者の癌を、所望により化学療法、治療抗体などの生物学的療法、mTOR阻害剤などの標的療法、放射線療法、放射線-免疫療法及び/又は手術による腫瘍切除との組み合わせにおいて、治療上有効な量のEGFR阻害剤を前記患者に投与することにより治療することであり、ここで前記癌患者は、a)可逆的EGFR阻害剤を用いた少なくとも12週間の治療を受けたこと、及びb)前記可逆的EGFR阻害剤を用いた治療に失敗したことに基づいて事前選択される。前記方法は、さらに前記P-gp阻害剤又は誘導剤を、EGFR阻害剤の投与開始前に修正又は完全に回避することを含む。
EGFR阻害剤は、所望によりその互変生体ラセミ体エナンチオマージアステレオマー及びそれらの混合物、並びに所望により薬理学的に許容可能なその酸付加塩溶媒和物水和物、多形体又は生理学的に官能性の誘導体でありうる。EGFR阻害剤は、経口、経腸経皮静脈内、腹膜投与により又は注射により投与され、好ましくは経口で投与される。いずれの場合においても、P-gp阻害剤/誘導剤は回避及び/又は修正されなければならない。

0033

用量:
EGFR阻害剤は、ヒト患者に対して1日の用量が0.01-4mg/kg体重(bw)、好ましくは0.1-2mg/kgbw、特に好ましくは0.2-1.3mg/kgbwで投与されうる。経口治療においては、EGFR阻害剤は、1日の総用量が10、20、30、40、50、60、70、100、200又は300mgで、所望により例えば1日に1から3用量が投与されるよう複数の用量に分割して投与されうる。好ましくは、経口での1日用量は1日1回のみ投与される。より好ましくは、BIBW2992の開始用量は40mgであり、好ましくは錠剤の形態で1日1回である。40mgの開始用量を許容する患者において、50mgの用量を検討することもできる。既にTKI(チロシンキナーゼ阻害剤)の治療を受けた患者において、開始用量は50mgであり、好ましくは錠剤の形態で1日1回である。特に、高用量では、治療期間と活性化EGFR阻害剤を投与しない回復期間とを交互にするべきである。例えば、治療は「7日投薬-7日休薬」、「14日投薬-14日休薬」、「21日投薬-7日休薬」又は連続的な投与計画に従うことができる。「投薬-休薬」期間は、特に高用量が投与される場合にはより短く選択でき、又は患者の必要性に応じて個々に適合させることができる。好ましくはBIBW2992の用量は20、30、40、50mgであり、最も好ましくは40mg1日1回である。
ボーラス投与又は特に何時間にもわたって、例えば約1、2、4、6、10、12又は24時間にわたって遅い静脈内注射で高用量が適用される場合には、EGFR阻害剤、例えばBIBW2992MA2の静脈内使用に関する用量は、1-1000mg、好ましくは5-300mg、特に好ましくは10-100mg(用量はBIBW2992の塩基形態に関する)である。
ある態様において、本発明は、上記の治療方法であって、EGFR阻害剤、又はその多形体、代謝物、水和物、溶媒和物、個々の光学異性体、個々のエナンチオマーの混合物又はそれらのラセミ体又は薬学的に許容可能なそれらの塩を断続的に、又は有効成分の血漿レベルが好ましくは少なくとも12時間の投与間隔で10〜5000nMであるような1日用量において投与することを特徴とする、前記治療方法に関する。
しかし、体重又は投与方法、薬剤に対する個々の応答、使用される配合物性質及び投与の時間又は間隔によっては、所望により、所定量から逸脱する必要があるかも知れない。従って、場合によっては、前記最少所定量未満での使用で十分であり、一方、他の場合には、所定の上限を超えなければならないことがある。多量で投与される場合、1日に単回投与を複数回行ってそれらを拡散させることが望ましいことがある。
さらに、EGFR阻害剤、好ましくはBIBW2992を、食物なしでかつ食事の少なくとも1時間前又は食事の少なくとも3時間後に摂取することが望ましい。
EGFR阻害剤、その互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及びそれらの混合物、並びに所望により薬理学的に許容可能なその酸付加塩、溶媒和物、水和物、多形体、生理学的に官能性の誘導体又はプロドラッグは、単独治療において、又は本発明による他の有効成分と組み合わせて、所望により、他の薬理学的有効成分と併せて使用してもよい。

0034

医薬配合物
本発明による使用のための好適な医薬製剤として、例えば、錠剤、カプセル坐剤溶液及び具体的には注射(s.c.、i.v.、i.m.)及び注入用溶液、シロップエマルジョン又は分散用粉末が挙げられる。各場合における医薬有効成分の量は、全組成物の0.1〜90重量%、好ましくは0.5〜50重量%、即ち、下記用量範囲を達成するのに十分な量であるべきである。必要に応じて、所定用量を1日投与してもよい。
好適な錠剤は、例えば、1つ又は複数の有効成分を公知の賦形剤、例えば不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウムリン酸カルシウム又はラクトース崩壊剤、例えば、コーンスターチ又はアルギン酸結合剤、例えばデンプン又はゼラチン滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム又はタルク及び/又は遅延放出剤、例えば、カルボキシメチルセルロースセルロースアセテートフタレート又はポリビニルアセテートと混合することにより得てもよい。また、錠剤は幾つかの層を含んでいてもよい。
被覆錠は、錠剤と同様に製造したコアを、錠剤被覆用に通常使用される物質、例えば、コリドン又はセラックアラビアゴム、タルク、二酸化チタン又は糖で被覆することにより製造してもよい。遅延放出を達成するか又は不適合性を防ぐために、コアは多層からなっていてもよい。同様に、錠剤コーティングは多層からなり、可能ならば、錠剤用の上記賦形剤を使用して、遅延放出を達成してもよい。
本発明の有効成分又はそれらの組み合わせを含むシロップ及びエリキシルは、甘味剤、例えば、サッカリンシクラメートグリセロール又は糖及び香味増強剤、例えば、香味料、例えばバニリン又はオレンジ抽出物をさらに含んでいてもよい。また、それらは、懸濁液のアジュバント又は増粘剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム湿潤剤、例えば、脂肪アルコール酸化エチレン縮合生成物、又は保存剤、例えばp-ヒドロキシベンゾエートを含んでいてもよい。

0035

注射(injection)及び輸液(infusion)用の溶液は、通常の方法において、例えば、保存剤、例えば、p-ヒドロキシベンゾエート、又は安定化剤、例えばエチレンジアミン四酢酸アルカリ金属塩を添加し、所望により、乳化剤及び/又は分散剤を使用して製造されるが、水が希釈剤として使用される場合には、有機溶媒が所望により、可溶化剤又は補助溶媒として使用されてもよく、注射バイアル若しくはアンプル又は輸液ボトルに移される。
1つ以上の有効成分又は有効成分の組み合わせを含むカプセルは、有効成分を、不活性担体、例えばラクトース又はソルビトールと混合し、それらをゼラチンカプセルに詰めることにより製造してもよい。
好適な坐剤は、このために提供される担体、例えば中性脂肪又はポリエチレングリコール又はそれらの誘導体と混合することにより製造してもよい。
好適な賦形剤は、例えば、水、薬学的に許容可能な有機溶媒、例えば、パラフィン(例えば、石油留分)、植物起源の油(例えば、ラッカセイ油又はゴマ油)、単官能性又は多官能性アルコール(例えば、エタノール又はグリセロール)、担体、例えば天然無機粉末(例えば、カオリンクレー、タルク、チョーク)、合成無機粉末(例えば、高分散シリカ及びシリケート)、糖(例えば、グルコース、ラクトース及びデキストロース)、乳化剤(例えば、リグニン使用済亜硫酸液、メチルセルロース、デンプン及びポリビニルピロリドン)及び潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸及びラウリル硫酸ナトリウム)であってもよい。

0036

製剤は、通常の方法、好ましくは、経口又は経皮経路、特に好ましくは、経口経路で投与される。経口投与される場合、錠剤は、当然ながら、添加剤、例えば、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びリン酸二カルシウムを、様々な添加剤、例えば、デンプン、好ましくはジャガイモデンプン、ゼラチン等と、さらには上記担体と共に含んでいてもよい。潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクを使用して錠剤を形成してもよい。水性懸濁液の場合、有効成分を、様々な香味増強剤又は着色剤、さらには上記賦形剤と合わせてもよい。
非経口用には、有効成分の溶液は、好適な液体担体材料を使用して調製してもよい。
BIBW2992のための好適な配合物及び薬物形態は、WO2005/037824、WO2009147238及びWO2011003853に開示されている。

0037

(実施例)
以下の実施例は、本発明を限定するものと意図するものでも解釈されるものでもない。
(実施例1)EGFR阻害剤の製造方法
上記いずれかのEGFR阻害剤の製造方法は、当該技術分野において周知である。BIBW2992の具体的な実施例は、US7,019,012、WO2005/037824及びWO2007/085638で見つけることができる。
(実施例2)前臨床データはBIBW2992がP-糖タンパク質(P-gp)の基質であることを示した。
CaCo-2細胞膜(lavers)の受動透過性及びP-gp輸送プロファイリング
P-糖タンパク質(a.k.a. MDR1, ABCB1)による受動透過性及び潜在的輸送並びにBIBW2992によるP-gpの潜在的阻害を評価するために実験を実施した。
BlBW2992は高い受動透過性を示し、P-gp(Km10-30uMと推測される)の基質であり、3.4μMの推測Kiを有する(2つの独立試験の平均)P-gpの阻害剤でもある。

0038

(実施例3)臨床データはBIBW2992がP-糖タンパク質(P-gp)の基質であることを示した。
BIBW2992はin vitroでP-gp基質であることが分かったことから(上記参照)、実験者は、健常者における第I相試験を実施してBIBW2992(P-gp基質)の薬物動態(PK)における潜在的なP-gp阻害剤リトナビルの有効性を評価した。
この非盲検無作為化された双方向交差試験にて、男性健常者において、リトナビルの複数経口投与(200mgを1日2回、3日間)と併用されるBlBW2992(20mg)の単回経口投与後の相対曝露を、BIBW2992(20mg)のみの単回経口投与後の曝露と比較した。試験はBIBW2992のPKにおけるP-gp阻害の最大有効性を判断するために設計した。
BIBW2992 20mg1日1回をリトナビル200mg1日2回との組み合わせにおいて投与した場合に、単独投与のBIBW2992と比較して、BIBW2992のAUC0-∞は47.6%増加し(90%CI133.7%、162.9%)、AUC0-tzは49.0%増加し(90%CI 134.5%、165.1%)、及びCmaxは38.5%増加した(90%CI 120.6%、158.9%)。これは驚くべき結果であった。定常状態(I/Ki<0.1)でのBlBW2992の平均最大血漿濃度との相関関係における、マイクロモル範囲でのこの比較的高い濃度により、BIBW2992によるP-gpの阻害に基づく薬物-薬物相互作用は、起こる可能性が低いと考えられた。BIBW2992の平均tmaxは、リトナビルの有無において4.00時間であった。BIBW2992の分布及び排泄段階は、リトナビルの併用治療により影響を受けないことが分かった。また、BIBW2992の終末半減期不変であった。
CYP3A4酵素触媒代謝反応がin vivoでのBIBW2992の代謝に下位の役割を演じ、BIBW2992のCYP3A4依存のN-脱メチル化は健常者において定量的に検出するには低すぎることが前の試験によって分かったことから、リトナビル存在下でのBIBW2992の曝露増加は、BIBW2992の吸収段階でP-gp介在の輸送工程の阻害に貢献している可能性が高い。
これらの結果により、プロトコル修正として以下の測定をBIBW2992の臨床試験のために実施し、次のことが示された。強力なP-gp阻害剤(好ましくはシクロスポリン、エリスロマイシン、ケトコナゾール、イトラコナゾール、キニジン、キニジン、リトナビル、バルスポダール(Valspodar)、ベラパミルとフェノバルビタールとの塩を含む)及び強力なP-gp誘導剤(好ましくはセントジョーンズワート、リファンピシンを含む)の使用は、BIBW2992を用いた治療中は避ける必要がある。

0039

(実施例4)BIBW2992及びP-gp誘導剤の併用投与
強力なP-gp誘導剤をBIBW2992と一緒に投与する場合、P-gp阻害剤よりも逆の作用が起こる可能性が高く、すなわちBIBW2992の薬物曝露を低下させた。
(実施例5)BIBW2992を用いた肺癌患者の治療とその後の可逆的EGFR阻害剤での失敗
以前可逆的EGFR阻害剤(例えば、ゲフィチニブ又はエルロチニブ)で失敗したことがあり、前記可逆的阻害剤を用いた少なくとも12週の治療を受けたことがある肺腺癌の患者を、BIBW2992を用いた治療の候補者として特定した。しかし、BIBW2992を用いた治療の前に、ある患者が強力なP-gp阻害剤又はP-gp誘導剤を摂取していることが分かった。BIBW2992の治療開始前に、強力なP-gp阻害剤又はP-gp誘導剤を用いた治療を停止した。このP-gp阻害剤又はP-gp誘導剤の治療停止後、BIBW2992の治療を1日50mgの用量で開始した。
(実施例6)EGFR突然変異の腫瘍を有する肺癌患者のBIBW2992の治療
EGFR突然変異を有する肺腺癌の患者(非限定的に19欠失突然変異、エクソン19における他の突然変異、L858R突然変異、エクソン21における他の突然変異、エクソン18における突然変異、エクソン20における突然変異を含む)を、BIBW2992を用いた治療の候補者として特定した。しかし、BIBW2992を用いた治療の前に、ある患者が強力なP-gp阻害剤又はP-gp誘導剤を摂取していることが分かった。BIBW2992の治療開始前に、強力なP-gp阻害剤又はP-gp誘導剤を用いた治療を停止した。このP-gp阻害剤又はP-gp誘導剤の治療停止後、BIBW2992の治療を1日50mgの用量で開始した。
(実施例7)頭頸部癌の患者のBIBW2992の治療
BIBW2992を用いた頭頸部癌の患者の治療の前に、ある患者が強力なP-gp阻害剤又はP-gp誘導剤を摂取していることが分かった。BIBW2992の治療開始前に、強力なP-gp阻害剤又はP-gp誘導剤を用いた治療を停止した。このP-gp阻害剤又はP-gp誘導剤の治療停止後、BIBW2992の治療を1日50mgの用量で開始した。

実施例

0040

(実施例8)HER2の過剰発現又はHER2の遺伝子増幅を有する乳癌患者のBIBW2992の治療
HER2の過剰発現又はHER2の遺伝子増幅を有する乳癌患者が当該技術分野で周知の方法により特定され、例えば免疫組織化学又はFISHがBIBW2992を用いた治療の候補として特定された。しかし、BIBW2992を用いた治療前に、ある患者が強力なP-gp阻害剤又はP-gp誘導剤を摂取していることが分かった。BIBW2992の治療開始前に、強力なP-gp阻害剤又はP-gp誘導剤を用いた治療を停止した。このP-gp阻害剤又はP-gp誘導剤の治療停止後、BIBW2992の治療を1日40mgの用量で開始した。
全ての特許文献及び非特許文献がその全てにおいて本明細書に参照により組み込まれる。

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