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技術 修飾型RNA(MOD−RNA)を使用する効率的なインビボタンパク質発現

出願人 ザジェネラルホスピタルコーポレーションドゥーイングビジネスアズマサチューセッツジェネラルホスピタルザチルドレンズメディカルセンターコーポレーション
発明者 シーンケネスアール.プタチェクレオンエム.リュイキャシーオワ-ランザンギーリオール蝦名渉ロッシデリックジェイ.
出願日 2019年4月18日 (1年0ヶ月経過) 出願番号 2019-078998
公開日 2019年9月5日 (7ヶ月経過) 公開番号 2019-147811
状態 未査定
技術分野 化合物または医薬の治療活性 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 突然変異または遺伝子工学 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬
主要キーワード 電気機械式システム 装着室 分岐有機 シャンバー 音波力 心発生 AC線 間接接触
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重要な関連分野

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図面 (20)

課題

組織、例えば、心臓組織及び筋肉組織においてタンパク質発現インビボ誘導できる合成修飾型RNA(MOD−RNA)の使用の提供。

解決手段

組織においてタンパク質をインビボ発現させるための方法であって、ポリペプチドをコードする合成修飾型RNA分子を含む組成物を該組織を接触させる工程を含み、該組織中の細胞への該合成修飾型RNAの導入によって、1つ以上の修飾を含まない該ペプチドをコードする合成RNA分子と接触した該組織中の細胞と比較して自然免疫応答が低下するように、該合成修飾型RNA分子が1つ以上の修飾を含む、前記方法。更に、前記合成修飾型RNA分子を含む前記組成物が、脂質複合体中に存在する少なくとも1つの前記合成修飾型RNA分子を含む前記方法。

概要

背景

心血管疾患は、心血管系に関連する疾患または障害を含む。そのような疾患および障害は心膜心臓弁心筋、血管および静脈のものを含む。

ここ二十年心不全罹患率死亡率が著しく上昇した(Tavazzi, 1998)。それ故、有効な治療法発見公衆衛生における今世紀の最大の課題のうちの一つである。心不全の治療には冠動脈バイパス移植および全心臓移植などのいくつかの代替法が存在するが、厳格適格規準と共に心筋線維症および器官不足のため、この疾患を治療する新しいアプローチの探索が要求されている。細胞移植によっても収縮性筋細胞の数を損傷を受けた心臓において増加させることができることが明らかになっている。しかしながら、心筋細胞(cardiomyocyte)は心筋の細胞(cardiac muscle cell)としても知られるが、それは終末分化細胞であり、分裂することができず、そして、それらの細胞移植での使用は、梗塞を起こした広い部位の心筋の修復に充分な量の心筋細胞を得ることができないことから限定的である。

したがって、1つのストラテジーは、細胞死から細胞を保護するための、傷害後の心臓、例えば、心筋細胞における遺伝子発現誘導またはタンパク質発現であり得、あるいは、機械的ストレス低酸素誘導ストレスへの細胞の耐性を上昇させるための、細胞への作用物質もしくは遺伝子の導入などの予防ストラテジーであり得る。作用物質の導入または遺伝子発現の誘導のための伝統的な方法は外来性DNAによるもの、または組換えウイルスベクターによるものであったが、そのような遺伝子治療法の使用は意図しない変異形成性のゲノム変化を導入する潜在的なリスクを有し、ならびに細胞に有毒である可能性や自然免疫応答を誘発する可能性がある。さらに、タンパク質補充療法も、タンパク質のインビボ送達が自然免疫応答を誘導するという問題およびタンパク質の安定性や特定の組織種および細胞種への送達に関する問題のために難しいことがある。したがって、有益な研究用途や治療用途に適したインビボ遺伝子発現やタンパク質発現能率的な方法の必要性が存在する。

概要

組織、例えば、心臓組織及び筋肉組織においてタンパク質発現をインビボで誘導できる合成修飾型RNA(MOD−RNA)の使用の提供。組織においてタンパク質をインビボ発現させるための方法であって、ポリペプチドをコードする合成修飾型RNA分子を含む組成物を該組織を接触させる工程を含み、該組織中の細胞への該合成修飾型RNAの導入によって、1つ以上の修飾を含まない該ペプチドをコードする合成RNA分子と接触した該組織中の細胞と比較して自然免疫応答が低下するように、該合成修飾型RNA分子が1つ以上の修飾を含む、前記方法。更に、前記合成修飾型RNA分子を含む前記組成物が、脂質複合体中に存在する少なくとも1つの前記合成修飾型RNA分子を含む前記方法。C

目的

本明細書は、合成修飾型RNA配列を使用するインビボ遺伝子発現の方法を提供し、ならびに、特に、インビボでの組織および器官における、およびまた細胞、例えば、心筋細胞および筋原細胞を含むが、これらに限定されない筋肉細胞におけるインビボタンパク質発現のための方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

組織においてタンパク質インビボ発現させるための方法であって、ポリペプチドをコードする合成修飾型RNA分子を含む組成物と該組織を接触させる工程を含み、該組織中の細胞への該合成修飾型RNA分子の導入によって、1つ以上の修飾を含まない該ポリペプチドをコードする合成RNA分子と接触した該組織中の細胞と比較して自然免疫応答が低下するように、該合成修飾型RNA分子が該1つ以上の修飾を含む、前記方法。

請求項2

前記組織が心臓組織または心臓性組織である、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記組織が筋肉組織である、請求項1に記載の方法。

請求項4

前記筋肉組織が骨格筋である、請求項3に記載の方法。

請求項5

前記筋肉組織が心筋である、請求項3に記載の方法。

請求項6

前記筋肉組織が平滑筋である、請求項3に記載の方法。

請求項7

前記組織が膵臓組織である、請求項1に記載の方法。

請求項8

前記合成修飾型RNA分子がベクターにおいて発現しない、請求項1に記載の方法。

請求項9

前記合成修飾型RNA分子を含む前記組成物がの合成修飾型RNA分子を含む、請求項1に記載の方法。

請求項10

前記合成修飾型RNA分子を含む前記組成物が、脂質複合体中に存在する少なくとも1つの合成修飾型RNA分子を含む、請求項1に記載の方法。

請求項11

前記組織が哺乳類の組織である、請求項1に記載の方法。

請求項12

前記哺乳類の組織がヒトの組織である、請求項11に記載の方法。

請求項13

前記合成修飾型RNA分子が少なくとも2つの修飾ヌクレオシドを含む、請求項1に記載の方法。

請求項14

前記少なくとも2つの修飾ヌクレオシドが、5−メチルシチジン(5mC)、N6−メチルアデノシン(m6A)、3,2'−O−ジメチルウリジン(m4U)、2−チオウリジン(s2U)、2'フルオロウリジンシュードウリジン、2'−O−メチルウリジン(Um)、2'デオキシウリジン(2'dU)、4−チオウリジン(s4U)、5−メチルウリジン(m5U)、2'−O−メチルアデノシン(m6A)、N6,2'−O−ジメチルアデノシン(m6Am)、N6,N6,2'−O−トリメチルアデノシン(m62Am)、2'−O−メチルシチジン(Cm)、7−メチルグアノシン(m7G)、2'−O−メチルグアノシン(Gm)、N2,7−ジメチルグアノシン(m2,7G)、N2,N2,7−トリメチルグアノシン(m2,2,7G)、およびイノシン(I)からなる群より選択される、請求項13に記載の方法。

請求項15

前記合成修飾型RNA分子、その中で前記少なくとも2つの修飾ヌクレオシドが5−メチルシチジン(5mC)およびシュードウリジンである、請求項13に記載の方法。

請求項16

前記合成修飾型RNA分子が5'キャップをさらに含む、請求項1に記載の方法。

請求項17

前記合成修飾型RNA分子、その中で前記5'キャップが5'キャップ類似体である、請求項16に記載の方法。

請求項18

前記5'キャップ類似体が5'グアノシンキャップである、請求項17に記載の方法。

請求項19

前記合成修飾型RNA分子が5'三リン酸を含まない、請求項1に記載の方法。

請求項20

前記合成修飾型RNA分子が、ポリ(A)テールコザック配列、3'非翻訳領域、5'非翻訳領域、またはそれらの任意の組合せをさらに含む、請求項1に記載の方法。

請求項21

前記ポリ(A)テール、コザック配列、3'非翻訳領域、5'非翻訳領域、またはそれらの任意の組合せが1つ以上の修飾ヌクレオシドを含む、請求項20に記載の方法。

請求項22

前記1つ以上の修飾ヌクレオシドが、5−メチルシチジン(5mC)、N6−メチルアデノシン(m6A)、3,2'−O−ジメチルウリジン(m4U)、2−チオウリジン(s2U)、2'フルオロウリジン、シュードウリジン、2'−O−メチルウリジン(Um)、2'デオキシウリジン(2'dU)、4−チオウリジン(s4U)、5−メチルウリジン(m5U)、2'−O−メチルアデノシン(m6A)、N6,2'−O−ジメチルアデノシン(m6Am)、N6,N6,2'−O−トリメチルアデノシン(m62Am)、2'−O−メチルシチジン(Cm)、7−メチルグアノシン(m7G)、2'−O−メチルグアノシン(Gm)、N2,7−ジメチルグアノシン(m2,7G)、N2,N2,7−トリメチルグアノシン(m2,2,7G)、およびイノシン(I)からなる群より選択される、請求項21に記載の方法。

請求項23

前記合成修飾型RNA分子がアルカリホスファターゼで処理される、請求項1に記載の方法。

請求項24

前記合成修飾型RNA分子がVEGFポリペプチドをコードする、請求項1に記載の方法。

請求項25

前記VEGFポリペプチドがヒトVEGF(hVEGF)である、請求項23に記載の方法。

請求項26

前記合成修飾型RNA分子がジストロフィンポリペプチドをコードする、請求項1に記載の方法。

請求項27

前記合成修飾型RNA分子がα1アンチトリプシンポリペプチドをコードする、請求項1に記載の方法。

請求項28

前記合成修飾型RNA分子が機能欠損型疾患のためのポリペプチドをコードする、請求項1に記載の方法。

請求項29

前記機能欠損型疾患が嚢胞性線維症である、請求項27に記載の方法。

請求項30

前記合成修飾型RNA分子が嚢胞性線維症膜コンダクタンス調節因子(CFTR)ポリペプチドをコードする、請求項29に記載の方法。

請求項31

前記合成修飾型RNA分子が、表1、2、3、4、5、6または7のいずれかに開示されるポリペプチドをコードする、請求項1に記載の方法。

請求項32

前記合成修飾型RNA分子と前記組織を接触させる工程が筋肉への直接注入を含む、請求項1に記載の方法。

請求項33

前記合成修飾型RNA分子と前記組織を接触させる工程が、該合成修飾型RNA分子を含むかまたはそれで被覆されている埋め込み型装置と該組織を接触させることを含む、請求項1に記載の方法。

請求項34

前記埋め込み型装置がステントである、請求項33に記載の方法。

請求項35

前記埋め込み型装置が埋め込み型送達ポンプである、請求項33に記載の方法。

請求項36

前記合成修飾型RNA分子と前記組織を接触させる工程が、カテーテルによって該合成修飾型RNA分子を送達することを含む、請求項1に記載の方法。

請求項37

前記合成修飾型RNA分子と前記組織を接触させる工程が、内視鏡を介して該合成修飾型RNA分子を送達することを含む、請求項1に記載の方法。

請求項38

前記組成物が、100ng/μlよりも高い濃度の合成修飾型RNA分子を含む、請求項1に記載の方法。

請求項39

前記組成物が、1〜25μg/μlの間の濃度の合成修飾型RNA分子を含む、請求項1に記載の方法。

請求項40

前記組成物が、25μg/μlと50μg/μlの間の濃度の合成修飾型RNA分子を含む、請求項1に記載の方法。

請求項41

対象において心機能を増強するための方法であって、該対象において心機能を増強するポリペプチドをコードする合成修飾型RNA分子を含む組成物を該対象に投与する工程を含み、該合成修飾型RNA分子の該対象への投与によって、1つ以上の修飾を含まない該ポリペプチドをコードする合成RNA分子の投与と比較して自然免疫応答が低下するように、該合成修飾型RNA分子が前記1つ以上の修飾を含み、かつ、該合成修飾型RNA分子からの該ポリペプチドの発現が該対象において心機能を増強する、前記方法。

請求項42

前記合成修飾型RNA分子が請求項8〜22のいずれか一項に記載のものである、請求項41に記載の方法。

請求項43

前記対象が、不十分な心機能を特徴とする疾患または障害を患っている、請求項41に記載の方法。

請求項44

前記対象が構造的心疾患を患っている、請求項41に記載の方法。

請求項45

前記疾患または障害が、うっ血性心不全心筋症心筋梗塞組織虚血心臓虚血血管病後天性心臓疾患先天性心臓疾患、アテローム性硬化症、心筋症、刺激伝達系機能不全冠動脈機能不全肺性心高血圧症である、請求項41に記載の方法。

請求項46

前記疾患が、うっ血性心不全、冠動脈疾患、心筋梗塞、心筋虚血、アテローム性硬化症、心筋症、特発性心筋症心不整脈筋ジストロフィー、筋量異常、筋変性感染性心筋炎、薬物または毒素誘導性の筋異常、過敏性心筋炎自己免疫性心内膜炎および先天性心臓疾患からなる群より選択される、請求項41に記載の方法。

請求項47

前記合成修飾型RNA分子がVEGFポリペプチドをコードする、請求項41に記載の方法。

請求項48

前記VEGFポリペプチドがヒトVEGF(hVEGF)である、請求項41に記載の方法。

請求項49

前記合成修飾型RNA分子がジストロフィンポリペプチドをコードする、請求項41に記載の方法。

請求項50

前記合成修飾型RNA分子がα1アンチトリプシンポリペプチドをコードする、請求項41に記載の方法。

請求項51

前記合成修飾型RNA分子が機能欠損型疾患のためのポリペプチドをコードする、請求項41に記載の方法。

請求項52

前記合成修飾型RNA分子が、心臓で発現しないポリペプチド、または心臓での正常な発現と比較して低レベルで発現するポリペプチド、または天然野生型のポリペプチドと比較して機能獲得型タンパク質もしくは変異型タンパク質として発現するポリペプチドを、前記対象において発現する、請求項41に記載の方法。

請求項53

前記合成修飾型RNA分子が、表1、2、3、4、5、6または7のいずれかに開示されるポリペプチドをコードする、請求項41に記載の方法。

請求項54

前記対象が哺乳類である、請求項41に記載の方法。

請求項55

前記哺乳類がヒトである、請求項54に記載の方法。

請求項56

前記対象が心筋梗塞を患ったことがある、請求項41に記載の方法。

請求項57

前記対象が心不全を有するかまたは心不全のリスクを有する、請求項41に記載の方法。

請求項58

前記心不全が後天性心不全である、請求項57に記載の方法。

請求項59

前記心不全が、アテローム性硬化症、心筋症、うっ血性心不全、心筋梗塞、虚血性心疾患心房性不整脈および心室性不整脈高血圧性血管疾患末梢血管疾患と関係がある、請求項57に記載の方法。

請求項60

前記対象が先天性心臓疾患を有する、請求項41に記載の方法。

請求項61

前記対象が、高血圧血流障害症候性不整脈肺性高血圧関節硬化症、刺激伝達系機能不全、冠動脈機能不全、冠動脈樹機能不全および冠動脈側副血行路形成からなる群より選択される健康状態を有する、請求項41に記載の方法。

請求項62

心機能の増強が、心不全を治療または予防するための方法である、請求項41に記載の方法。

請求項63

前記組成物が、心内膜心筋投与経路、心筋外投与経路、心室内投与経路、冠内投与経路、後洞投与経路、動脈内投与経路、心膜内投与経路、または静脈内投与経路を経て投与される、請求項41に記載の方法。

請求項64

前記組成物が前記対象の血管系に投与される、請求項41に記載の方法。

請求項65

前記組成物が心臓への直接注入により前記対象に投与される、請求項41に記載の方法。

請求項66

前記組成物が、前記合成修飾型RNA分子を含むかまたはそれで被覆されている埋め込み型装置を使用して前記対象に投与される、請求項41に記載の方法。

請求項67

前記埋め込み型装置がステントである、請求項66に記載の方法。

請求項68

前記埋め込み型装置が埋め込み型送達ポンプである、請求項66に記載の方法。

請求項69

前記組成物がカテーテルによって前記対象に投与される、請求項41に記載の方法。

請求項70

前記組成物が内視鏡を介して前記対象に投与される、請求項41に記載の方法。

請求項71

前記組成物が、100ng/μlよりも高い濃度の合成修飾型RNA分子を含む、請求項41に記載の方法。

請求項72

前記組成物が、1〜25μg/μlの間の濃度の合成修飾型RNA分子を含む、請求項41に記載の方法。

請求項73

前記組成物が、25μg/μlと50μg/μlの間の濃度の合成修飾型RNA分子を含む、請求項41に記載の方法。

請求項74

前記合成修飾型RNA分子が、心臓で発現しないポリペプチド、または心臓での正常な発現と比較して低レベルで発現するポリペプチド、または天然の野生型のポリペプチドと比較して機能獲得型タンパク質もしくは変異型タンパク質として発現するポリペプチドを、前記対象において発現する、請求項41に記載の方法。

請求項75

インビボCre動物モデルにおける遺伝子をノックアウトするための、Creリコンビナーゼポリペプチドをコードする合成修飾型RNA分子の使用。

請求項76

心臓始原細胞動員、増殖、および/または分化を増大させる方法であって、対象における心臓始原細胞の動員、増殖、および/または分化を増大させるポリペプチドをコードする合成修飾型RNA分子を含む組成物を該対象に投与する工程を含み、該合成修飾型RNA分子の該対象への投与によって、1つ以上の修飾を含まない該ポリペプチドをコードする合成RNA分子の投与と比較して自然免疫応答が低下するように、該合成修飾型RNA分子が該1つ以上の修飾を含み、かつ、該合成修飾型RNA分子からの該ポリペプチドの発現が、該対象における心臓始原細胞の動員、増殖、および/または分化を増大させる、前記方法。

請求項77

前記対象における心臓始原細胞の動員、増殖、および/または分化を増大させる前記ポリペプチドがVEGFポリペプチドを含む、請求項76に記載の方法。

請求項78

前記VEGFポリペプチドがVEGF−Aを含む、請求項77に記載の方法。

請求項79

前記対象が、高血圧、血流障害、症候性不整脈、肺性高血圧、関節硬化症、刺激伝達系機能不全、冠動脈機能不全、冠動脈樹機能不全および冠動脈側副血行路形成からなる群より選択される健康状態を有する、請求項76に記載の方法。

請求項80

前記対象がヒトである、請求項76に記載の方法。

請求項81

前記対象が心筋梗塞を患ったことがある、請求項79に記載の方法。

請求項82

前記心臓始原細胞がWT−1始原細胞を含む、請求項76に記載の方法。

請求項83

以下の工程を含む、対象において腫瘍を治療するための方法:該対象において血管新生を増強するポリペプチドをコードする合成修飾型RNA分子を含む組成物を投与する工程であって、該合成修飾型RNA分子の該対象への投与によって、1つ以上の修飾を含まない該ポリペプチドをコードする合成RNA分子の投与と比較して自然免疫応答が低下するように、該合成修飾型RNA分子が前記1つ以上の修飾を含み、かつ、該合成修飾型RNA分子からの該ポリペプチドの発現が該腫瘍における血管新生を増強する、工程;および、化学療法剤を該対象に投与する工程であって、該血管新生が該対象に投与される化学療法剤の効果を増大させ、それによって該腫瘍が治療される、工程。

請求項84

前記合成修飾型RNA分子がベクターにおいて発現しない、請求項83に記載の方法。

請求項85

前記合成修飾型RNA分子を含む前記組成物が裸の合成修飾型RNA分子を含む、請求項83に記載の方法。

請求項86

前記合成修飾型RNA分子を含む前記組成物が、脂質複合体中に存在する少なくとも1つの合成修飾型RNA分子を含む、請求項83に記載の方法。

請求項87

前記合成修飾型RNA分子が少なくとも2つの修飾ヌクレオシドを含む、請求項83に記載の方法。

請求項88

前記少なくとも2つの修飾ヌクレオシドが、5−メチルシチジン(5mC)、N6−メチルアデノシン(m6A)、3,2'−O−ジメチルウリジン(m4U)、2−チオウリジン(s2U)、2'フルオロウリジン、シュードウリジン、2'−O−メチルウリジン(Um)、2'デオキシウリジン(2'dU)、4−チオウリジン(s4U)、5−メチルウリジン(m5U)、2'−O−メチルアデノシン(m6A)、N6,2'−O−ジメチルアデノシン(m6Am)、N6,N6,2'−O−トリメチルアデノシン(m62Am)、2'−O−メチルシチジン(Cm)、7−メチルグアノシン(m7G)、2'−O−メチルグアノシン(Gm)、N2,7−ジメチルグアノシン(m2,7G)、N2,N2,7−トリメチルグアノシン(m2,2,7G)、およびイノシン(I)からなる群より選択される、請求項87に記載の方法。

請求項89

前記合成修飾型RNA分子、その中で前記少なくとも2つの修飾ヌクレオシドが5−メチルシチジン(5mC)およびシュードウリジンである、請求項87に記載の方法。

請求項90

前記合成修飾型RNA分子が5'キャップをさらに含む、請求項83に記載の方法。

請求項91

前記合成修飾型RNA分子、その中で前記5'キャップが5'キャップ類似体である、請求項90に記載の方法。

請求項92

前記5'キャップ類似体が5'グアノシンキャップである、請求項91に記載の方法。

請求項93

前記合成修飾型RNA分子が5'三リン酸を含まない、請求項83に記載の方法。

請求項94

前記合成修飾型RNA分子が、ポリ(A)テール、コザック配列、3'非翻訳領域、5'非翻訳領域、またはそれらの任意の組合せをさらに含む、請求項83に記載の方法。

請求項95

前記ポリ(A)テール、コザック配列、3'非翻訳領域、5'非翻訳領域、またはそれらの任意の組合せが1つ以上の修飾ヌクレオシドを含む、請求項94に記載の方法。

請求項96

前記1つ以上の修飾ヌクレオシドが、5−メチルシチジン(5mC)、N6−メチルアデノシン(m6A)、3,2'−O−ジメチルウリジン(m4U)、2−チオウリジン(s2U)、2'フルオロウリジン、シュードウリジン、2'−O−メチルウリジン(Um)、2'デオキシウリジン(2'dU)、4−チオウリジン(s4U)、5−メチルウリジン(m5U)、2'−O−メチルアデノシン(m6A)、N6,2'−O−ジメチルアデノシン(m6Am)、N6,N6,2'−O−トリメチルアデノシン(m62Am)、2'−O−メチルシチジン(Cm)、7−メチルグアノシン(m7G)、2'−O−メチルグアノシン(Gm)、N2,7−ジメチルグアノシン(m2,7G)、N2,N2,7−トリメチルグアノシン(m2,2,7G)、およびイノシン(I)からなる群より選択される、請求項95に記載の方法。

請求項97

前記合成修飾型RNA分子がアルカリホスファターゼで処理される、請求項83に記載の方法。

請求項98

前記対象が腺癌を患っている、請求項83に記載の方法。

請求項99

前記対象が、線維形成性組織の層を有する腫瘍を含む癌を患っている、請求項83に記載の方法。

請求項100

前記癌が膵管腺癌(PDAC)である、請求項98に記載の方法。

請求項101

前記合成修飾型RNA分子がVEGFポリペプチドをコードする、請求項83に記載の方法。

請求項102

前記VEGFポリペプチドがヒトVEGF(hVEGF)である、請求項83に記載の方法。

請求項103

前記合成修飾型RNA分子が、表3に開示されるポリペプチドをコードする、請求項83に記載の方法。

請求項104

前記対象が哺乳類である、請求項83に記載の方法。

請求項105

前記哺乳類がヒトである、請求項104に記載の方法。

請求項106

前記組成物が静脈内投与経路または経腫瘍投与経路を介して投与される、請求項83に記載の方法。

請求項107

前記組成物が前記対象の血管系に投与される、請求項83に記載の方法。

請求項108

前記組成物が前記腫瘍への直接注入によって前記対象に投与される、請求項83に記載の方法。

請求項109

前記組成物が、前記合成修飾型RNA分子を含むかまたはそれで被覆されている埋め込み型装置を使用して前記対象に投与される、請求項83に記載の方法。

請求項110

前記組成物がカテーテルによって前記対象に投与される、請求項83に記載の方法。

請求項111

前記組成物が内視鏡を介して前記対象に投与される、請求項83に記載の方法。

請求項112

前記組成物が、100ng/μlよりも高い濃度の合成修飾型RNA分子を含む、請求項83に記載の方法。

請求項113

前記組成物が、1〜25μg/μlの間の濃度の合成修飾型RNA分子を含む、請求項83に記載の方法。

請求項114

前記組成物が、25μg/μlと50μg/μlの間の濃度の合成修飾型RNA分子を含む、請求項83に記載の方法。

請求項115

前記化学療法剤が、ゲムシタビンフルオロウラシルカペシタビン、シプラスチン(ciplastin)、イリノテカンオキサリプラチン5−フルオロウラシルフォリン酸、およびエルロチニブからなる群より選択される、請求項83に記載の方法。

請求項116

以下の工程を含む、対象において腫瘍を治療するための方法:該腫瘍においてヘッジホッグ(Hedgehog)シグナル伝達を増強するポリペプチドの発現を阻害する合成修飾型RNA分子を含む組成物を投与する工程であって、該合成修飾型RNA分子の該対象への投与によって、1つ以上の修飾を含まない該ポリペプチドをコードする合成RNA分子の投与と比較して自然免疫応答が低下するように、該合成修飾型RNA分子が該1つ以上の修飾を含み、かつ、ヘッジホッグシグナル伝達を増強する該ポリペプチドの発現の該合成修飾型RNA分子による阻害が該腫瘍と関連する線維形成性組織の量または増殖を低下させる、工程;および、化学療法剤を該対象に投与する工程であって、該線維形成性組織の量または増殖の低下が該対象に投与される化学療法剤の効果を増大させ、それによって該腫瘍が治療される、工程。

請求項117

前記合成修飾型RNA分子がベクターにおいて発現しない、請求項116に記載の方法。

請求項118

前記合成修飾型RNA分子を含む前記組成物が裸の合成修飾型RNA分子を含む、請求項116に記載の方法。

請求項119

前記合成修飾型RNA分子を含む前記組成物が、脂質複合体中に存在する少なくとも1つの合成修飾型RNA分子を含む、請求項116に記載の方法。

請求項120

前記合成修飾型RNA分子が少なくとも2つの修飾ヌクレオシドを含む、請求項116に記載の方法。

請求項121

前記少なくとも2つの修飾ヌクレオシドが、5−メチルシチジン(5mC)、N6−メチルアデノシン(m6A)、3,2'−O−ジメチルウリジン(m4U)、2−チオウリジン(s2U)、2'フルオロウリジン、シュードウリジン、2'−O−メチルウリジン(Um)、2'デオキシウリジン(2'dU)、4−チオウリジン(s4U)、5−メチルウリジン(m5U)、2'−O−メチルアデノシン(m6A)、N6,2'−O−ジメチルアデノシン(m6Am)、N6,N6,2'−O−トリメチルアデノシン(m62Am)、2'−O−メチルシチジン(Cm)、7−メチルグアノシン(m7G)、2'−O−メチルグアノシン(Gm)、N2,7−ジメチルグアノシン(m2,7G)、N2,N2,7−トリメチルグアノシン(m2,2,7G)、およびイノシン(I)からなる群より選択される、請求項120に記載の方法。

請求項122

前記合成修飾型RNA分子、その中で前記少なくとも2つの修飾ヌクレオシドが5−メチルシチジン(5mC)およびシュードウリジンである、請求項120に記載の方法。

請求項123

前記合成修飾型RNA分子が5'キャップをさらに含む、請求項116に記載の方法。

請求項124

前記合成修飾型RNA分子、その中で前記5'キャップが5'キャップ類似体である、請求項123に記載の方法。

請求項125

前記5'キャップ類似体が5'グアノシンキャップである、請求項123に記載の方法。

請求項126

前記合成修飾型RNA分子が5'三リン酸を含まない、請求項116に記載の方法。

請求項127

前記合成修飾型RNA分子が、ポリ(A)テール、コザック配列、3'非翻訳領域、5'非翻訳領域、またはそれらの任意の組合せをさらに含む、請求項116に記載の方法。

請求項128

前記ポリ(A)テール、コザック配列、3'非翻訳領域、5'非翻訳領域、またはそれらの任意の組合せが1つ以上の修飾ヌクレオシドを含む、請求項127に記載の方法。

請求項129

前記1つ以上の修飾ヌクレオシドが、5−メチルシチジン(5mC)、N6−メチルアデノシン(m6A)、3,2'−O−ジメチルウリジン(m4U)、2−チオウリジン(s2U)、2'フルオロウリジン、シュードウリジン、2'−O−メチルウリジン(Um)、2'デオキシウリジン(2'dU)、4−チオウリジン(s4U)、5−メチルウリジン(m5U)、2'−O−メチルアデノシン(m6A)、N6,2'−O−ジメチルアデノシン(m6Am)、N6,N6,2'−O−トリメチルアデノシン(m62Am)、2'−O−メチルシチジン(Cm)、7−メチルグアノシン(m7G)、2'−O−メチルグアノシン(Gm)、N2,7−ジメチルグアノシン(m2,7G)、N2,N2,7−トリメチルグアノシン(m2,2,7G)、およびイノシン(I)からなる群より選択される、請求項128に記載の方法。

請求項130

前記合成修飾型RNA分子がアルカリホスファターゼで処理される、請求項116に記載の方法。

請求項131

前記対象が腺癌を患っている、請求項116に記載の方法。

請求項132

前記対象が、線維形成性組織の層を有する腫瘍を含む癌を患っている、請求項116に記載の方法。

請求項133

前記癌が膵管腺癌(PDAC)である、請求項131に記載の方法。

請求項134

前記合成修飾型RNA分子が、ヘッジホッグ(Hh)、スムーズンド(Smoothened;Smo)、パッチド1(Patched1;Ptc1)、およびGliからなる群より選択されるタンパク質をコードするmRNAアンチセンス阻害剤である、請求項116に記載の方法。

請求項135

ヘッジホッグシグナル伝達を増強する前記ポリペプチドがヒトポペプチドである、請求項116に記載の方法。

請求項136

前記対象が哺乳類である、請求項116に記載の方法。

請求項137

前記哺乳類がヒトである、請求項136に記載の方法。

請求項138

前記組成物が静脈内投与経路または経腫瘍投与経路を介して投与される、請求項116に記載の方法。

請求項139

前記組成物が前記対象の血管系に投与される、請求項116に記載の方法。

請求項140

前記組成物が、前記腫瘍への直接注入によって前記対象に投与される、請求項116に記載の方法。

請求項141

前記組成物が、前記合成修飾型RNA分子を含むかまたはそれで被覆されている埋め込み型装置を使用して前記対象に投与される、請求項116に記載の方法。

請求項142

前記組成物がカテーテルによって前記対象に投与される、請求項116に記載の方法。

請求項143

前記組成物が内視鏡を介して前記対象に投与される、請求項116に記載の方法。

請求項144

前記組成物が、100ng/μlよりも高い濃度の合成修飾型RNA分子を含む、請求項116に記載の方法。

請求項145

前記組成物が、1〜25μg/μlの間の濃度の合成修飾型RNA分子を含む、請求項116に記載の方法。

請求項146

前記組成物が、25μg/μlと50μg/μlの間の濃度の合成修飾型RNA分子を含む、請求項116に記載の方法。

請求項147

前記化学療法剤が、ゲムシタビン、フルオロウラシル、カペシタビン、シプラスチン(ciplastin)、イリノテカン、オキサリプラチン、5−フルオロウラシル、フォリン酸、およびエルロチニブからなる群より選択される、請求項116に記載の方法。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2011年4月3日に提出された米国特許仮出願番号第61/471,166号、および2011年4月4日に提出された同第61/471,584号の利益を主張する。これらのそれぞれの内容は、それらの全体の参照により本明細書に組み込まれる。

0002

配列表
本願はEFS−Webを介してASCII形式で提出された配列表を含み、その配列表はその全体の参照によりここに組み込まれる。前記のASCIIコピーは、2012年3月12日に作成され、32587153.txtという名称であり、サイズが2,105,668バイトである。

0003

本発明の分野
本発明は、概して、合成修飾型RNAを使用するインビボでの筋細胞および心筋細胞における遺伝子発現ならびにその使用法に関する。本発明は、概して、合成修飾型RNAを使用する腫瘍における遺伝子発現の調節およびその使用法にさらに関する。

背景技術

0004

心血管疾患は、心血管系に関連する疾患または障害を含む。そのような疾患および障害は心膜心臓弁心筋、血管および静脈のものを含む。

0005

ここ二十年心不全罹患率死亡率が著しく上昇した(Tavazzi, 1998)。それ故、有効な治療法発見公衆衛生における今世紀の最大の課題のうちの一つである。心不全の治療には冠動脈バイパス移植および全心臓移植などのいくつかの代替法が存在するが、厳格適格規準と共に心筋線維症および器官不足のため、この疾患を治療する新しいアプローチの探索が要求されている。細胞移植によっても収縮性筋細胞の数を損傷を受けた心臓において増加させることができることが明らかになっている。しかしながら、心筋細胞(cardiomyocyte)は心筋の細胞(cardiac muscle cell)としても知られるが、それは終末分化細胞であり、分裂することができず、そして、それらの細胞移植での使用は、梗塞を起こした広い部位の心筋の修復に充分な量の心筋細胞を得ることができないことから限定的である。

0006

したがって、1つのストラテジーは、細胞死から細胞を保護するための、傷害後の心臓、例えば、心筋細胞における遺伝子発現の誘導またはタンパク質発現であり得、あるいは、機械的ストレス低酸素誘導ストレスへの細胞の耐性を上昇させるための、細胞への作用物質もしくは遺伝子の導入などの予防ストラテジーであり得る。作用物質の導入または遺伝子発現の誘導のための伝統的な方法は外来性DNAによるもの、または組換えウイルスベクターによるものであったが、そのような遺伝子治療法の使用は意図しない変異形成性のゲノム変化を導入する潜在的なリスクを有し、ならびに細胞に有毒である可能性や自然免疫応答を誘発する可能性がある。さらに、タンパク質補充療法も、タンパク質のインビボ送達が自然免疫応答を誘導するという問題およびタンパク質の安定性や特定の組織種および細胞種への送達に関する問題のために難しいことがある。したがって、有益な研究用途や治療用途に適したインビボ遺伝子発現やタンパク質発現能率的な方法の必要性が存在する。

0007

本明細書は、合成修飾型RNA配列を使用するインビボ遺伝子発現の方法を提供し、ならびに、特に、インビボでの組織および器官における、およびまた細胞、例えば、心筋細胞および筋原細胞を含むが、これらに限定されない筋肉細胞におけるインビボタンパク質発現のための方法を提供する。他の本発明の態様は、対象における疾患および障害、例えば、限定されないが、筋肉障害ならびに心血管系の疾患および障害の治療のための、目的のタンパク質をコードする修飾型RNAの使用法に関する。他の本発明の態様は、対象の疾患または障害の治療のために対象に投与するための、目的のタンパク質をコードする少なくとも1つの合成修飾型RNAを含む医薬組成物およびそのキットに関する。いくつかの実施形態では、その疾患または障害は心血管系の疾患または障害であり、合成修飾型RNAによって発現されるその目的のタンパク質は心機能増強タンパク質である。

0008

最近、合成修飾型RNA(本明細書において「MOD−RNA」と呼ぶ)は、哺乳類細胞における目的の遺伝子の過剰発現のためにインビトロで使用することができることが報告された。合成mRNAに行われる化学修飾および配列修飾がその分子を安定化し、転写を増強する。MOD−RNAからのポリペプチドの発現が、宿主細胞に取り込まれ得るDNAまたはウイルス性配列の導入を必要とすることなく、目的の遺伝子の非常に効率的で一過性のインビトロ発現を可能にする。

0009

本明細書において、発明者らは合成修飾型RNAを使用する効率的なインビボタンパク質発現を実証する。本明細書において示されるように、タンパク質をインビボで発現させるためのMOD−RNAの使用は急速に生じ、そして、非MOD RNA(例えば、普通のRNA配列)の導入、または自然免疫系を活性化し得るタンパク質の直接細胞内導入よりもずっと効率的で細胞への有害性が低い。本明細書は、目的に合わせた形質移入技術を用いる合成修飾型RNAの送達を実証し、そしていくつかの実施形態では、組成物中のMOD−RNAの投与は導入された合成修飾型RNAの分解を阻害する特定の試薬を含むこともできる。

0010

本発明の1つの態様は、目的のタンパク質をコードする合成修飾型RNAを組織に導入することによるインビボタンパク質発現のための組成物、方法およびキットに関する。本明細書において開示されるように、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される少なくとも1つのインビボ合成修飾型RNAを導入するための方法はいくつかの独自の特徴を含み、それには特定の形質移入プロトコル、例えば、目的のタンパク質をコードする高濃度ベル、例えば、少なくとも約1μg/μlまたは約100μg/μlのMOD−RNAの送達、ならびに目的の器官や組織への修飾型RNAを含む組成物の特異的な導入を可能とする組織特異的外科的手技が含まれる。

0011

いくつかの実施形態では、本明細書において開示される方法、組成物およびキットはインビボタンパク質補充療法のための方法での使用に合わせることができる。いくつかの実施形態では、目的のタンパク質をコードする合成修飾型RNAは、タンパク質発現が望ましい様々な異なる疾患の治療のための方法において、インビボタンパク質発現のために組織や器官に送達することができる。いくつかの実施形態では、疾患は本明細書において開示される機能欠損型疾患、例えば、限定されないが、筋ジストロフィー嚢胞性線維症、ならびに特定のタンパク質のタンパク質発現のレベルが不適切であるおよび/または遺伝子発現によって非機能性タンパク質がもたらされる他の疾患であり得る。

0012

さらに、いくつかの実施形態では、本明細書において開示される、インビボタンパク質発現のための合成修飾型RNA技術のインビボ送達のための方法は、器官全体および全身病態生理学を研究するために使用することができる動物モデルプラットフォームの作製に用いることができる。いくつかの実施形態では、本明細書において開示される方法は、ヒトの患者での臨床用途のための治療法の試験や開発のための小動物モデルおよび大動物モデル、例えば、霊長類モデルおよびモデル、の両方を使用するインビボシステムを提供する。

0013

いくつかの実施形態では、合成修飾型RNAを使用するインビボタンパク質発現のための本明細書において開示される方法および組成物およびキットは、疾患または障害の発生と治療のための物であり得る。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、特定のタンパク質の不十分な発現または正常に動作しない型のタンパク質の発現の結果である遺伝性障害や後天性障害である。いくつかの実施形態では、疾患または障害は後天性障害、例えば、本明細書において開示される心血管系の疾患または障害である。

0014

別の実施形態では、合成修飾型RNAを使用するインビボタンパク質発現のための本明細書において開示される方法および組成物およびキットは再生医療ストラテジーにおいてでも用いられ得る。例えば、いくつかの実施形態では、目的のタンパク質をコードする少なくとも1つの合成修飾型RNAを含む組成物は目的の細胞集団を含むこともできる。言い換えると、いくつかの実施形態では、本発明は、目的の細胞集団と少なくとも1つの合成修飾型RNAの組合せを対象に投与する工程を含む、再生細胞療法のための方法を提供する。いくつかの実施形態では、細胞集団は幹細胞集団であり、いくつかの実施形態では、幹細胞集団は心臓前駆細胞または心臓始原細胞集団である。いくつかの実施形態では、幹細胞はIsl1+幹細胞集団であり、または血管始原細胞集団である。そのような細胞集団は当技術分野において周知であり、そして、国際特許出願公開第2008/054819号、同第2010/144678号、同第2010/042856号、および米国特許出願公開第2010/0166714号、同第2011/0033430号、同第2010/021713号および同第2011/0003327号に開示される細胞集団を含むが、これらに限定されない。それらは参照により全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、細胞集団はIsl1+始原細胞、または国際公開第2010/144678号に開示されるその子孫細胞である。

0015

本明細書において開示されるように、本発明の1つの態様は、組織、例えば、限定されないが、心筋細胞および筋細胞など、心臓組織および筋肉組織においてタンパク質発現をインビトロでもインビボでも誘導するための合成修飾型RNA(本明細書において「MOD−RNA」と呼ぶ)の使用に関する。いくつかの実施形態では、その心筋細胞は哺乳類の心筋細胞、例えば、ヒト心筋細胞である。

0016

特に、本明細書の実施例において示されるように、MOD−RNAによる機能性心筋細胞(CM)のインビトロおよびインビボでの形質移入により、非常に速いタンパク質発現の開始が、非MOD RNAで形質移入されている細胞と比較して有意に高い、例えば、少なくとも約2倍高いタンパク質発現レベルと共にもたらされる。本明細書はまた、MOD−RNAによるマウス新生児の形質移入およびヒト胎児心筋細胞のインビトロでの形質移入に最適な用量の範囲が1000細胞当たり10〜30ngの間であり、そのような用量は細胞に無毒であることを実証する。

0017

本明細書はまた、MOD−RNAによる心臓および筋肉組織の形質移入の後の非常に効率的で急速であるインビボタンパク質発現を実証する。発明者らは、タンパク質発現が形質移入後から少なくとも3時間以内までに起こること、および、MOD−RNAからのインビボタンパク質発現が筋肉または心臓へのMOD−RNAの直接注入から少なくとも4〜5日間生じることを示す。本明細書の実施例において開示されるように、MOD−RNAによる心臓組織および筋肉のインビボ形質移入によって、低免疫応答がもたらされる。重要なことに、発明者らは、インビボタンパク質発現のレベルは心臓または筋肉にインビボで注入されたMOD−RNAの量に対して用量依存的であり、そのことが、所望の量の必要なタンパク質発現のためにその組織に投与されるMOD−RNAの量を決定することを可能とすることを示す。したがって、合成修飾型RNAがタンパク質補充療法または他の治療法においてインビボタンパク質発現のために使用されている場合、発現するタンパク質の量を決定する能力は非常に有用である。

0018

本発明の別の態様は、ポリペプチドをコードする合成修飾型RNAを含む組成物をその対象に投与する工程を含む、該対象の疾患または障害を治療する方法に関する。いくつかの実施形態では、組成物は対象の特定の組織に送達することができ、いくつかの実施形態では、その組織は筋肉組織である。いくつかの実施形態では、筋肉組織は骨格筋、心筋または平滑筋である。

0019

いくつかの実施形態では、本明細書において開示される方法は、1つ以上の疾患、例えば、限定されないが、次の筋肉疾患心筋症虚血性および非虚血性)、骨格筋障害、嚢胞性線維症、筋ジストロフィーの治療のために対象の筋肉組織に目的のポリペプチドをコードする合成修飾型RNAを送達する工程を含む。いくつかの実施形態では、心筋症の治療のために、VEGF、例えば、hVEGFをコードする合成修飾型RNAを対象の心臓に送達することができる。いくつかの実施形態では、VEGFをコードする合成修飾型RNAは、直接心筋内注入により心筋に送達することができる。

0020

発明者らは本明細書において、心筋梗塞のマウスモデルの心臓へのhVEGFポリペプチドをコードする合成修飾型RNAのインビボ送達が心筋梗塞が発生することを防ぎ、虚血性発作後の心臓への損傷を顕著に予防することを実証している。いくつかの実施形態では、hVEGFポリペプチドをコードする合成修飾型RNAのインビボ送達はまた心臓の虚血からの回復を促進した。したがって、1つの実施形態では、本明細書において開示される方法は、心臓発作や心筋梗塞の治療のために対象の心臓組織、例えば、心筋組織にVEGFをコードする合成修飾型RNAを送達する方法に関する。

0021

いくつかの実施形態では、前記方法と組成物は、例えば、1つ以上の遺伝子をコードする合成修飾型RNAを送達することができる場合、筋ジストロフィーの治療のための方法に有用であり、そして、1つ以上の筋肉組織の標的に送達することができる。例えば、いくつかの実施形態では、前記方法がデュシェンヌ型/ベッカー型筋ジストロフィーの治療のためのものである場合、非変異型ジストロフィンタンパク質をコードする合成修飾型RNAを送達することができる。前記方法がエメリー・ドレヒュ型筋ジストロフィーの治療のためのものである別の実施形態では、エメリンおよび/またはラミンタンパク質をコードする合成修飾型RNAを送達することができる。

0022

いくつかの実施形態では、ジストロフィンおよび/またはエメリンおよび/またはラミンタンパク質をコードする合成修飾型RNAは、前記の健康状態、特に胸郭横隔膜衰弱に起因する不十分な呼吸および姿勢筋の衰弱に起因する歩行不能に関連する最も顕著な障害を有する筋肉組織に送達することができる。横隔膜注射については、ジストロフィンおよび/またはエメリンおよび/またはラミンタンパク質をコードする合成修飾型RNAの横隔膜筋への直接注入のための胸腔鏡アプローチを用いることができる。いくつかの実施形態では、骨格筋への注射、例えば、それぞれ姿勢の維持と腕全体の動作に関連する腰帯筋および肩帯筋への直接注入により直接的に、ジストロフィンをコードする合成修飾型RNAを送達することができる。

0023

別の実施形態では、前記方法と組成物は、例えば、非変異型(野生型CFTRタンパク質をコードする合成修飾型RNAを対象の横隔膜に送達することができる場合、嚢胞性線維症の治療のための方法において有用である。いくつかの実施形態では、CFTRをコードする合成修飾型RNAは、非変異型CFTRタンパク質をコードする合成修飾型RNAの直接実質注入や気管支内導入によって送達することができる。したがって、疾患または障害の治療のための所望のポリペプチドをコードする合成修飾型RNAを送達するためのあらゆる手段が本明細書に包含され、例えば、それぞれ腹腔鏡アプローチおよび内視鏡アプローチを介する腸および膵臓への、これらの器官および系に関連する障害を有する対象の治療のための直接注入が本明細書に包含される。

0024

いくつかの実施形態では、本明細書において開示される方法は、1つ以上の疾患の治療のために目的のポリペプチドをコードする合成修飾型RNAを対象の組織に送達することに向けられており、その場合、合成修飾型RNAは、埋め込み型装置、例えば、薬物送達ポンプなどの薬物送達装置によって、または代わりに、例えば、単一の進入口からの複数回の注入や単一の部位への反復注射を容易にする柔軟な注射用カテーテルを使用して送達される。

0025

いくつかの実施形態では、目的のポリペプチドをコードする合成修飾型RNAは、埋め込み型装置の外側に着いて対象の組織に送達され、例えば、目的のポリペプチドをコードする合成修飾型RNAが埋め込み型装置の外側を被覆する。いくつかの実施形態では、治療される疾患が本明細書において開示される心臓の疾患または障害である場合、目的のポリペプチドをコードする合成修飾型RNAがステントを被覆する。

0026

さらに、発明者らはまた、複数のMOD−RNA、例えば、少なくとも2つの異なるタンパク質を同時に発現する少なくとも2つのMOD−RNAを用いて心筋細胞をインビトロおよびインビボで形質移入することができること、ならびに、MOD−RNAによるヒト胎児心筋細胞の二重形質移入が細胞は、その細胞で翻訳された異なるMOD−RNAと両方のRNAを区別することができないことを明らかにすることを実証している。

0027

いくつかの実施形態では、合成修飾型RNAを使用するインビボタンパク質発現のための本明細書において開示される方法および組成物およびキットは、研究者が単一の遺伝子産物または遺伝子産物群についてのタンパク質発現の器官全体および全身性の効果を調査することができるような、そのための基盤を提供する。特定の指向性タンパク質発現を容易に実行する能力が、(遺伝子導入マウス技術および他の動物全体での遺伝的修飾技術と比較して)器官生理および全身性生理の研究における新境地を開く。そのような強力な基盤は生物学者および臨床科学者の間で広範な関心対象となり得る。いくつかの実施形態では、本発明は、遺伝子発現を活性化および/または不活化する動物モデル、例えば、誘導性タンパク質発現系の動物モデルに合成修飾型RNAをインビボ送達するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、前記方法は、特定の組織や細胞種における遺伝子のノックアウトの効果を見るために、Creリコンビナーゼタンパク質をコードする合成修飾型RNAを動物モデルに送達する。いくつかの実施形態では、動物モデルは大動物モデル、例えば、豚モデルである。

0028

例えば、本明細書は、Cre遺伝子座からの遺伝子発現を選択的に誘導するCre MOD−RNAによるROSA−Creストップ−LacZマウスのインビボ形質移入を実証する。そのインビボ形質移入は、研究目的用のツールとして有用な指向性で可逆的、且つ、特定的な一過性遺伝子発現方法のための方法を可能にする。

0029

本発明の1つの態様は、組織においてタンパク質をインビボ発現させるための方法であって、ポリペプチドをコードする合成修飾型RNA分子を含む組成物とその組織を接触させる工程を含み、該組織中の細胞への該合成修飾型RNA分子の導入によって、1つ以上の修飾を含まない該ポリペプチドをコードする合成RNA分子と接触した該組織中の細胞と比較して自然免疫応答が低下するように、該合成修飾型RNA分子が該1つ以上の修飾を含む方法に関する。

0030

いくつかの実施形態では、前記組織は心臓組織または心臓性組織、または筋肉組織、例えば、骨格筋、心筋、もしくは平滑筋である。いくつかの実施形態では、その組織は哺乳類の組織、例えば、ヒトの組織である。

0031

本明細書において開示される組成物、方法およびキットにおいて使用される合成修飾型RNAは、2010年9月28日に提出された米国特許仮出願第61/387,220号、および2010年4月16日に提出された米国特許仮出願第61/325,003号に記載されており、それらの両方は参照により全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子がベクターにおいて発現せず、合成修飾型RNA分子はの合成修飾型RNA分子であり得る。いくつかの実施形態では、組成物は脂質複合体中に存在する少なくとも1つの合成修飾型RNA分子を含むことができる。

0032

いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子は少なくとも2つの修飾ヌクレオシドを含み、例えば、少なくとも2つの修飾ヌクレオシドは、5−メチルシチジン(5mC)、N6−メチルアデノシン(m6A)、3,2'−O−ジメチルウリジン(m4U)、2−チオウリジン(s2U)、2'フルオロウリジンシュードウリジン、2'−O−メチルウリジン(Um)、2'デオキシウリジン(2'dU)、4−チオウリジン(s4U)、5−メチルウリジン(m5U)、2'−O−メチルアデノシン(m6A)、N6,2'−O−ジメチルアデノシン(m6Am)、N6,N6,2'−O−トリメチルアデノシン(m62Am)、2'−O−メチルシチジン(Cm)、7−メチルグアノシン(m7G)、2'−O−メチルグアノシン(Gm)、N2,7−ジメチルグアノシン(m2、7G)、N2,N2,7−トリメチルグアノシン(m2,2,7G)、およびイノシン(I)からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子は5'キャップ類似体などの5'キャップ、例えば、5'ジグアノシンキャップをさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書において開示される方法および組成物において使用される合成修飾型RNA分子は5'三リン酸を含まない。いくつかの実施形態では、本明細書において開示される方法および組成物において使用される合成修飾型RNA分子はポリ(A)テールコザック配列、3'非翻訳領域、5'非翻訳領域、またはそれらの任意の組合せをさらに含み、いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子は任意によりアルカリホスファターゼで処理されることもできる。

0033

いくつかの実施形態では、本明細書において開示される方法、キットおよび組成物において使用される合成修飾型RNA分子は、表1に記載されるもののいずれか、またはそれらの組合せから選択される目的のタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子はVEGFポリペプチド、例えば、ヒトVEGF(hVEGF)をコードする。いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子はジストロフィンポリペプチド、またはα1アンチトリプシンポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子は機能欠損型疾患のためのポリペプチド、例えば、嚢胞性線維症のためのポリペプチドをコードし、その場合、そのMOD−RNAから発現されるタンパク質は嚢胞性線維症膜コンダクタンス調節因子(CFTR)ポリペプチドである。

0034

いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子は筋肉に直接注入される。いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子は埋め込み型装置の中、またはその上に存在し(例えば、その上に被覆されている)、例えば、その場合、前記埋め込み型装置はステントまたは移植可能薬物送達ポンプである。いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子はカテーテルまたは内視鏡を介して標的組織に送達される。

0035

いくつかの実施形態では、標的組織でのインビボタンパク質発現のための、目的のタンパク質をコードする合成修飾型RNA分子を含む組成物は、100ng/μlを超える濃度の、例えば、約1〜25μg/μlの濃度、または25μg/μlと50μg/μlの間の濃度の合成修飾型RNA分子を含む。

0036

本発明の別の態様は、対象において心機能を増強するための方法であって、該対象において心機能を増強するポリペプチドをコードする合成修飾型RNA分子を含む組成物を該対象に投与する工程を含み、該合成修飾型RNA分子の該対象への投与によって、1つ以上の修飾を含まない該ポリペプチドをコードする合成RNA分子の投与と比較して自然免疫応答が低下するように、該合成修飾型RNA分子が該1つ以上の修飾を含み、かつ、該合成修飾型RNA分子からの該ポリペプチドの発現が該対象における心機能を増強する方法に関する。

0037

いくつかの実施形態では、対象は不十分な心機能を特徴とする疾患または障害を患っており、または対象は構造的心疾患を患っている。いくつかの実施形態では、本明細書において開示される方法は、うっ血性心不全、心筋症、心筋梗塞、組織虚血心臓虚血血管病、後天性心臓疾患先天性心臓疾患、アテローム性硬化症、心筋症、刺激伝達系機能不全、冠動脈機能不全肺性心高血圧症である疾患または障害の治療に有用である。いくつかの実施形態では、前記疾患は、うっ血性心不全、冠動脈疾患、心筋梗塞、心筋虚血、アテローム性硬化症、心筋症、特発性心筋症心不整脈、筋ジストロフィー、筋量異常、筋変性感染性心筋炎、薬物または毒素誘導性の筋異常、過敏性心筋炎自己免疫性心内膜炎および先天性心臓疾患からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、心機能を増強する方法のための方法、キットおよび組成物において使用される合成修飾型RNA分子は、表1、表2、表3、表4、表5、または表6に記載されるもののいずれか、またはそれらの組合せから選択される目的のタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、リポソーム性蓄積症を治療する方法のための方法、キットおよび組成物において使用される合成修飾型RNA分子は、そこでMOD−RNAは、限定されないが、表7に記載されるポリペプチドのうちのいずれか、またはそれらの組合せから選択されるタンパク質をコードする。

0038

いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子によって発現される心臓増強タンパク質はVEGFポリペプチド、例えば、ヒトVEGF(hVEGF)である。いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子はα1アンチトリプシンポリペプチドをコードし、または機能欠損型疾患のためのポリペプチドをコードし、例えば、合成修飾型RNA分子は心臓で発現しないポリペプチド、または心臓での正常な発現と比較して低レベルで発現するポリペプチド、または天然の野生型のポリペプチドと比較して機能獲得型もしくは変異型のタンパク質として対象において発現するポリペプチドを発現する。

0039

いくつかの実施形態では、本明細書において開示される方法は哺乳類の対象、例えば、ヒトの治療に関連する。いくつかの実施形態では、対象は心筋梗塞を患ったことが有り、または心不全を有するかまたは心不全のリスクを有し、例えば、その場合、その対象は後天性心不全を有する。さらなる実施形態では、その心不全は、アテローム性硬化症、心筋症、うっ血性心不全、心筋梗塞、虚血性心疾患心房性不整脈および心室性不整脈高血圧性血管疾患末梢血管疾患と関係がある。いくつかの実施形態では、本明細書において開示される方法は、先天性心臓疾患を有する対象の治療に関し、例えば、その場合、その対象は、高血圧血流障害症候性不整脈肺性高血圧関節硬化症、刺激伝達系機能不全、冠動脈機能不全、冠動脈樹機能不全および冠動脈側副血行路形成からなる群より選択される健康状態を有する。いくつかの実施形態では、本明細書において開示される方法は心不全の治療または予防に関する。

0040

いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子は、心内膜心筋投与経路、心筋外投与経路、心室内投与経路、冠内投与経路、後洞の投与経路、動脈内投与経路、心膜内投与経路、または静脈内投与経路を介して対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子は筋肉内注射を介して対象に投与することができ、例えば、その場合、筋肉はインビボタンパク質発現のための生物学的なポンプ(例えば、生体ポンプ)として働き、例えば、その場合、そのMOD−RNAは分泌タンパク質をコードする。

0041

本発明の別の態様は、インビボCre動物モデルにおける遺伝子をノックアウトするための、Creリコンビナーゼポリペプチドをコードする合成修飾型RNA分子の使用に関する。

0042

1つの態様では、本明細書に記載される発明は、以下の工程を含む、対象において腫瘍を治療するための方法に関する:該対象において血管新生を増強するポリペプチドをコードする合成修飾型RNA分子を含む組成物を投与する工程であって、該合成修飾型RNA分子の該対象への投与によって、1つ以上の修飾を含まない該ポリペプチドをコードする合成RNA分子の投与と比較して自然免疫応答が低下するように、該合成修飾型RNA分子が該1つ以上の修飾を含み、かつ、該合成修飾型RNA分子からの該ポリペプチドの発現が該腫瘍における血管新生を増強する、工程;および、化学療法剤を該対象に投与する工程であって、該血管新生が該対象に投与される化学療法剤の効果を増大させ、それによって該腫瘍が治療される、工程。さらなる態様では、本明細書に記載される発明は、以下の工程を含む、対象において腫瘍を治療するための方法に関する:該腫瘍においてヘッジホッグ(Hedgehog)シグナル伝達を増強するポリペプチドの発現を阻害する合成修飾型RNA分子を含む組成物を投与する工程であって、該合成修飾型RNA分子の該対象への投与によって、1つ以上の修飾を含まない該ポリペプチドをコードする合成RNA分子の投与と比較して自然免疫応答が低下するように、該合成修飾型RNA分子が該1つ以上の修飾を含み、かつ、ヘッジホッグシグナル伝達を増強する該ポリペプチドの発現の該合成修飾型RNA分子による阻害が該腫瘍と関連する線維形成性組織の量または増殖を低下させる、工程;および、化学療法剤を該対象に投与する工程であって、該線維形成性組織の量または増殖の低下が該対象に投与される化学療法剤の効果を増大させ、それによって該腫瘍が治療される、工程。

0043

いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子はベクターにおいて発現しない。いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子を含む組成物は裸の合成修飾型RNA分子を含む。いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子を含む組成物は、脂質複合体中に存在する少なくとも1つの合成修飾型RNA分子を含む。

0044

いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子は少なくとも2つの修飾ヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態では、その少なくとも2つの修飾ヌクレオシドは、5−メチルシチジン(5mC)、N6−メチルアデノシン(m6A)、3,2'−O−ジメチルウリジン(m4U)、2−チオウリジン(s2U)、2'フルオロウリジン、シュードウリジン、2'−O−メチルウリジン(Um)、2'デオキシウリジン(2'dU)、4−チオウリジン(s4U)、5−メチルウリジン(m5U)、2'−O−メチルアデノシン(m6A)、N6,2'−O−ジメチルアデノシン(m6Am)、N6,N6,2'−O−トリメチルアデノシン(m62Am)、2'−O−メチルシチジン(Cm)、7−メチルグアノシン(m7G)、2'−O−メチルグアノシン(Gm)、N2,7−ジメチルグアノシン(m2、7G)、N2,N2,7−トリメチルグアノシン(m2,2,7G)、およびイノシン(I)からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子、その中で少なくとも2つの修飾ヌクレオシドは5−メチルシチジン(5mC)およびシュードウリジンである。

0045

いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子は5'キャップをさらに含む。いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子、その中で5'キャップは5'キャップ類似体である。いくつかの実施形態では、5'キャップ類似体は5'グアノシンキャップである。いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子は5'三リン酸を含まない。

0046

いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子はポリ(A)テール、コザック配列、3'非翻訳領域、5'非翻訳領域、またはそれらの任意の組合せをさらに含む。いくつかの実施形態では、そのポリ(A)テール、コザック配列、3'非翻訳領域、5'非翻訳領域、またはそれらの任意の組合せは1つ以上の修飾ヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態では、その1つ以上の修飾ヌクレオシドは、5−メチルシチジン(5mC)、N6−メチルアデノシン(m6A)、3,2'−O−ジメチルウリジン(m4U)、2−チオウリジン(s2U)、2'フルオロウリジン、シュードウリジン、2'−O−メチルウリジン(Um)、2'デオキシウリジン(2'dU)、4−チオウリジン(s4U)、5−メチルウリジン(m5U)、2'−O−メチルアデノシン(m6A)、N6,2'−O−ジメチルアデノシン(m6Am)、N6,N6,2'−O−トリメチルアデノシン(m62Am)、2'−O−メチルシチジン(Cm)、7−メチルグアノシン(m7G)、2'−O−メチルグアノシン(Gm)、N2,7−ジメチルグアノシン(m2、7G)、N2,N2,7−トリメチルグアノシン(m2,2,7G)、およびイノシン(I)からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子はアルカリホスファターゼで処理される。

0047

いくつかの実施形態では、対象は腺癌を患っている。いくつかの実施形態では、対象は、線維形成性組織の層を有する腫瘍を含む癌を患っている。いくつかの実施形態では、その癌は膵管腺癌(PDAC)である。

0048

血管新生が増加するいくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子はVEGFポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、VEGFポリペプチドはヒトVEGF(hVEGF)である。いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子は表3に開示されるポリペプチドをコードする。

0049

ヘッジホッグシグナル伝達を増強するポリペプチドの発現が阻害されるいくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子は、ヘッジホッグ(Hh)、スムーズンド(Smoothened;Smo)、パッチド1(Patched 1;Ptc1)、およびGliをコードするmRNAからなる群より選択されるmRNAのアンチセンス阻害剤である。いくつかの実施形態では、ヘッジホッグシグナル伝達を増強する前記ポリペプチドはヒトポペプチドである。

0050

いくつかの実施形態では、対象は哺乳類である。いくつかの実施形態では、その哺乳類はヒトである。

0051

いくつかの実施形態では、組成物は静脈内投与経路または経腫瘍投与経路を介して投与される。いくつかの実施形態では、組成物は対象の血管系に投与される。いくつかの実施形態では、組成物は腫瘍への直接注入によって対象に投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、合成修飾型RNA分子を含む、またはそれで被覆されている埋め込み型装置を使用して対象に投与される。いくつかの実施形態では、組成物はカテーテルによって対象に投与される。いくつかの実施形態では、組成物は内視鏡を介して対象に投与される。

0052

いくつかの実施形態では、組成物は100ng/μlよりも高い濃度の合成修飾型RNA分子を含む。いくつかの実施形態では、組成物は1〜25μg/μlの間の濃度の合成修飾型RNA分子を含む。いくつかの実施形態では、組成物は25μg/μlと50μg/μlの間の濃度の合成修飾型RNA分子を含む。

0053

いくつかの実施形態では、前記化学療法剤は、ゲムシタビンフルオロウラシルカペシタビン、シプラスチン(ciplastin)、イリノテカンオキサリプラチン5−フルオロウラシルフォリン酸、およびエルロチニブからなる群より選択される。

図面の簡単な説明

0054

図1A〜1Bは、eGFP修飾mRNA(MOD−RNA)を形質移入されたマウス新生児心臓細胞FACS分析を示す。新生児心臓細胞が、2ng/細胞1000個で形質移入された。図1Aは、蛍光FL−4およびFL−1を示し、図1Bは蛍光Thy−1およびeGFP MOD−RNAを示す。形質移入された心臓細胞は全部で58.5%であり、62.2%の心臓線維芽細胞が形質移入され、52.2%の心臓非線維芽細胞が形質移入された。
図2A〜2Bは、マウス新生児心筋細胞にインビトロでeGEP MOD−RNAを形質移入する最適用量の実施形態を示す。単離したマウス新生児心筋細胞が異なる用量のeGFPMOD−RNA(グリーン、0〜50ng/細胞1000個)を形質移入された。図2Aは、生存率計測した細胞数と、eGFPが存在または不存在のトロポニン陽性細胞数の結果のヒストグラムを示す。図示されているのはトロポニンTおよびeGFPに対してダブルポジティブである形質移入された細胞の%で、3ng/細胞1000個では81.4%の細胞がTnT+/eGFP+であり、15ng/細胞1000個では89.1%の細胞がTnT+/eGFP+であり、30ng/細胞1000個では90.5%の細胞がTnT+/eGFP+であることが示されている。図2Bは、eGFP MOD−RNAの増量に伴うインタクト生細胞%を示し、0〜30ng/細胞1000個のMOD−RNA濃度では細胞死が誘導されないことを示している。
図3A〜3Bは、ヒト胎児心筋細胞にインビトロでeGEP MOD−RNAを形質移入する最適用量の実施形態を示す。単離したヒト心筋細胞は様々な用量のeGFP MOD−RNA(グリーン、0〜50ng/細胞1000個)を形質移入された。図3Aは、生存率を測定したヒト胎児心筋細胞数と、eGFPが存在または不存在のトロポニンT陽性細胞数の結果のヒストグラムを示す。図示されているのはトロポニンTとeGFPに対してダブルポジティブである形質移入された細胞%であり、1ng/細胞1000個では21.6%の細胞がTnT+/eGFP+であり、2ng/細胞1000個では34.4%の細胞がTnT+/eGFP+であり、5ng/細胞1000個では43.3%の細胞がTnT+/eGFP+であり、10ng/細胞1000個では63.3%の細胞がTnT+/eGFP+であり、30ng/細胞1000個では71.9%の細胞がTnT+/eGFP+であることが示されている。図3Bは、eGFP MOD−RNAの増量に伴うインタクトな生細胞の%を示し、1〜30ng/細胞1000個のMOD−RNA濃度では細胞死が誘導されないことを示している。
ルシフェラーゼMOD−RNAのマウス心筋細胞(CM)または心臓線維芽細胞(CF)へのインビトロの形質移入を示す。新生児マウス心筋細胞(CM)および心臓線維芽細胞(CF)がインビトロで1μg/ウェル(100000/ウェル)のルシフェラーゼ(Luc)MOD−RNAを形質移入された。図4は、ルシフェラーゼMOD−RNAを10μg/細胞1000個の濃度でインビトロ形質移入した後の心筋細胞(CM)または心臓線維芽細胞(CF)におけるルシフェラーゼ(luc)タンパク質の発現を定量化する生物発光分析の結果を示す。CMとCFの両方で高レベルルシフェラーゼ発現が形質移入の少なくとも約24時間後に検出され、MOD−RNAルシフェラーゼの発現は形質移入後少なくとも約50時間生じた。
ルシフェラーゼMOD−RNAのマウス心臓細胞およびマウス大腿四頭筋へのインビボの形質移入を示す。Balb/c骨格筋(脚部)および心筋にLuc MOD RNAを様々な用量でインビボ注射した。ルシフェラーゼMOD−RNAを100μg/組織の濃度でインビボ形質移入した後の心筋または四頭筋におけるルシフェラーゼ(luc)タンパク質の発現を定量化する生物発光分析の結果を示す。心組織と四頭筋の両方で高レベルのルシフェラーゼ発現がインビボ形質移入の少なくとも約24時間後に検出され、ルシフェラーゼの発現は形質移入後心筋では少なくとも約50時間、脚筋では少なくとも約25時間生じた。
ルシフェラーゼMOD−RNAのマウス心臓細胞およびマウス大腿四頭筋へのインビボの形質移入を示す。Balb/c骨格筋(脚部)および心筋にLuc MOD RNAを様々な用量でインビボ注射した。Luc MOD RNAの注射(100μg/心臓)後測定したLuc発現(Y軸)の経時変化を示す。
インビトロのhVEGF MOD−RNAの翻訳および機能性を示す。ヒト心臓線維芽細胞にhVEGF MOD−RNAまたは非MOD RNAを形質移入し、ELISAを用いてhVEGFを測定した。心臓線維芽細胞(CF)に1μg/ウェル(100,000/ウェル)でインビトロ形質移入したhVEGF MOD−RNAと非MOD−RNAの比較が図示され、MOD−RNAからのhVEGFタンパク質の発現は非MOD−RNAからの発現の2倍であることを示しているが、これは非MOD−RNAの翻訳の低減を示す。高VEGFタンパク質発現が、1μgのhVEGF MOD−RNA(左のパネル、全40.8ngのhVEGF)を形質移入した心筋細胞から分泌された。より低レベルのhVEGFが1μgの非MOD RNA hVEGF(22.9ng、右のパネル)を形質移入した心筋細胞から発現し分泌された。
MOD−RNAがインビボで自然免疫応答を誘発しないことを示す。マウス心臓にhVEGF MOD−RNAまたは非MOD RNAをインビボで形質移入した後の遺伝子発現レベルの結果を示すヒストグラムが図示されている。hVEGF MOD−RNAの形質移入後、非MOD RNAと比較して高レベルのhVEGF遺伝子発現が検出される。さらに、自然免疫応答が誘発されたシグナルとしてのINFα遺伝子の高レベルの発現がhVEGF非Mod RNAで検出されたが、hVEGF RNA−MODのインビボ形質移入後は不存在であった。
インビボのhVEGF MOD−RNAの免疫原性および機能性を示す。Balb/c骨格(脚)筋肉に100μgのhVEGF MOD−RNAまたは非MOD−RNAをインビボ注射した。送達後1日または4日後、筋肉を除去してRNAを抽出し、hVEGF、mVEGF、INFα、INFβ、CD31およびFlk−1のqPCRを実施した。図8は、hVEGF MOD−RNAのインビボ送達1日後(左のパネル)および4日後(右のパネル)の遺伝子発現のヒストグラムを示す。
非常に効率的なインビトロのMOD RNAおよびhVEGF−A MOD RNAの心筋細胞形質移入を示す。ヒト胎児の心臓(妊娠13週)の明白な区画消化し、リアルタイムqPCRを用いてVEGFの様々なアイソフォームの遺伝子発現を調査した実験結果を示す。過形成性内皮細胞(outgrowth endothelial cells)を対照として用いた(破線)。区画ごとに5本のバーが示され、1本目のバーはVEGF−Aの発現を表し、2本目のバーはVEGF−Bの発現を表し、3本目のバーはVEGF−Cの発現を表し、4本目のバーはVEGF−Dの発現を表し、5本目のバーはPLGFの発現を表す。
非常に効率的なインビトロのMOD RNAおよびhVEGF−A MOD RNAの心筋細胞形質移入を示す。ベヒクルのみか、またはeGFP MOD RNAを様々な用量で形質移入した後の、MOD RNA形質移入心筋細胞(cTropTおよびeGFPに対してダブルポジティブである細胞)を百分率で示す。
非常に効率的なインビトロのMOD RNAおよびhVEGF−A MOD RNAの心筋細胞形質移入を示す。ベヒクルのみか、またはeGFP MOD RNAを様々な用量で形質移入した後の、生存細胞を百分率で示す。
非常に効率的なインビトロのMOD RNAおよびhVEGF−A MOD RNAの心筋細胞形質移入を示す。Lucタンパク質の翻訳と発現の経時変化を示す。
非常に効率的なインビトロのMOD RNAおよびhVEGF−A MOD RNAの心筋細胞形質移入を示す。hVEGF−A MOD RNAを形質移入後のVEGF−Aタンパク質の翻訳と分泌の経時変化を示す。
MI(心筋梗塞)後の成体心臓におけるhVEGF−A MOD RNAによる心臓再生を示す。実験計画の概略図である。
MI(心筋梗塞)後の成体心臓におけるhVEGF−A MOD RNAによる心臓再生を示す。対照心臓(C)対被験心臓(E)の毛細血管密度の定量化を示す。
MI(心筋梗塞)後の成体心臓におけるhVEGF−A MOD RNAによる心臓再生を示す。対照心臓(左のバー)と被験心臓(右のバー)における線維細胞パーセントで示す。
MI(心筋梗塞)後の成体心臓におけるhVEGF−A MOD RNAによる心臓再生を示す。様々な細胞種のうちKi67+細胞を百分率で示す。各細胞群の左側のバーは対照群を表し、右側のバーは実験群を表す。
MI(心筋梗塞)後の成体心臓におけるhVEGF−A MOD RNAによる心臓再生を示す。対照群(左のバー)対実験群(右のバー)におけるTUNEL陽性細胞を百分率で示す。
MI(心筋梗塞)後の成体心臓におけるhVEGF−A MOD RNAによる心臓再生を示す。処置の心臓(上のバー)、ベヒクル処置心臓(中間のバー)またはhVEGF−A MOD RNA処置心臓(下のバー)の拡大時および収縮時の体積Cine−MRI画像を示す。
hVEGF−A MOD RNAがEPDCの増殖と心血管系列への細胞運命切り替えを誘導することを示す。**p<0.01;***p<0.001。本明細書における実験プロトコルの概略図である。
hVEGF−A MOD RNAがEPDCの増殖と心血管系列への細胞運命の切り替えを誘導することを示す。**p<0.01;***p<0.001。本明細書における実験プロトコルの概略図である。
hVEGF−A MOD RNAがEPDCの増殖と心血管系列への細胞運命の切り替えを誘導することを示す。**p<0.01;***p<0.001。異なる処置後の遺伝子標識したWT1 eGFP+細胞のFACS分別を示す。
hVEGF−A MOD RNAがEPDCの増殖と心血管系列への細胞運命の切り替えを誘導することを示す。**p<0.01;***p<0.001。異なる処置後のWT1由来細胞のFACS分別を示す(eGFP+およびTomato)。
hVEGF−A MOD RNAがEPDCの増殖と心血管系列への細胞運命の切り替えを誘導することを示す。**p<0.01;***p<0.001。異なる処置後のWT−1由来細胞の定量化を示す(MI+ベヒクル処置(左のバー)とMI+hVEGF−A MOD RNA(右のバー)。
hVEGF−A MOD RNAがEPDCの増殖と心血管系列への細胞運命の切り替えを誘導することを示す。**p<0.01;***p<0.001。異なる処置後のWT1由来細胞の細胞運命の系列追跡を示す。Luc MOD RNA (100μg/心臓)注射後に測定したLuc発現(Y軸)の経時変化。
hVEGF−A MOD RNAがEPDCの増殖と心血管系列への細胞運命の切り替えを誘導することを示す。**p<0.01;***p<0.001。線維性から心血管系列への細胞運命切り替えモデルを示す。
hVEGF−A MOD RNAが非修飾型RNAよりも低い免疫原性を呈することを示す。hVEGF−A非MOD RNAを形質移入された細胞からのVEGF−Aタンパク質の翻訳および分泌の経時変化を示す。
hVEGF−A MOD RNAが非修飾型RNAよりも低い免疫原性を呈することを示す。1μgのhVEGF−A MODまたは非MOD RNAを成体心臓細胞に形質移入後10日間にわたり上清から回収した全hVEGF−Aタンパク質を示す。
hVEGF−A MOD RNAが非修飾型RNAよりも低い免疫原性を呈することを示す。処置なし(形質移入なし)またはベヒクル処置、hVEGF−A MOD RNA処置または非MOD RNA処置の生存細胞総数を示す。
hVEGF−A MOD RNAが非修飾型RNAよりも低い免疫原性を呈することを示す。異なる処置群アネキシンV染色を示す。
hVEGF−A MOD RNAが非修飾型RNAよりも低い免疫原性を呈することを示す。成体心臓細胞にhVEGF−A MODまたは非MOD RNAをインビトロまたはインビボで形質移入した後4日目のマウス(各群左のバー)またはヒト(右のバー)VEGF−Aの遺伝子発現の比較を示す。
hVEGF−A MOD RNAが非修飾型RNAよりも低い免疫原性を呈することを示す。異なる群間で比較した異なる自然免疫遺伝子の遺伝子発現を示す。各群の1本目のバーは遺伝子INF−αの発現を示し;2本目のバーはINF−βの発現を示し;3本目のバーはRIG−1の発現を示す。
hVEGF−A MOD RNAをMI後のマウスの心臓に送達すると、毛細血管密度の上方調整および線維症の軽減が得られる効果があったが、偽処置の心臓では得られなかったことを示す。実験計画の概略図である。
hVEGF−A MOD RNAをMI後のマウスの心臓に送達すると、毛細血管密度の上方調整および線維症の軽減が得られる効果があったが、偽処置の心臓では得られなかったことを示す。梗塞部を切除して様々な心臓遺伝子の遺伝子発現を調査したMIの7日後のデータを示す。MI後ベヒクルのみで処置した心臓を標準化に用いた(破線)。
hVEGF−A MOD RNAをMI後のマウスの心臓に送達すると、毛細血管密度の上方調整および線維症の軽減が得られる効果があったが、偽処置の心臓では得られなかったことを示す。異なる治療後の毛細血管密度の定量化を示す(左のバーはMI+ベヒクル処置を表し;右のバーはMI+hVEGF−A MOD RNA処置を表す)。
hVEGF−A MOD RNAをMI後のマウスの心臓に送達すると、毛細血管密度の上方調整および線維症の軽減が得られる効果があったが、偽処置の心臓では得られなかったことを示す。異なる治療後の線維性部位の定量化を示す(左のバーはMI+ベヒクル処置を表し;右のバーはMI+hVEGF−A MOD RNA処置を表す)。
hVEGF−A MOD RNAが、線維性系列から心血管系列へEPDCの細胞運命切り替えを誘導することを示す。実験計画の概略図である。
hVEGF−A MOD RNAが、線維性系列から心血管系列へEPDCの細胞運命切り替えを誘導することを示す。実験計画の概略図である。
hVEGF−A MOD RNAが、線維性系列から心血管系列へEPDCの細胞運命切り替えを誘導することを示す。FACS分別し遺伝子標識したWT1 eGFP+細胞の様々な心臓遺伝子の遺伝子発現について調査したMIの7日後のデータを示す。ベヒクル処置のみの心臓から単離したWT1 eGFP+細胞を標準化に使用した(破線)。
hVEGF−A MOD RNAが、線維性系列から心血管系列へEPDCの細胞運命切り替えを誘導することを示す。FACS分別したWT1由来細胞(eGFP+およびTomato+細胞)を様々な心臓遺伝子の遺伝子発現について調査したMIの7日後のデータを示す。ベヒクル処置のみの心臓から単離したWT1由来細胞(eGFP+およびTomato+細胞)を標準化に使用した(破線)。
hVEGF−A MOD RNAが、線維性系列から心血管系列へEPDCの細胞運命切り替えを誘導することを示す。異なる処置後FLK−1染色したWT1 eGFP+細胞を示す。最初のピーク二次抗体のみの処置を示し;2番目のピークは非MI処置を示し;3番目のピークはMI7日後+ベヒクル処置を示し;4番目のピークはMI7日後+VEGF−A MOD RNAを示す。
hVEGF−A MOD RNAが、線維性系列から心血管系列へEPDCの細胞運命切り替えを誘導することを示す。hVEGF−A MOD RNAの存在または非存在下でのWT1/CreERT2/+::R26 mTmGマウスモデルにおける漏れやすさを決定する実験計画の概略図である。

0055

目的のポリペプチドをコードする合成修飾型RNA(MOD−RNA)を送達することによる、組織でのタンパク質のインビボ発現のための組成物および方法およびキットが本明細書に記載される。その組織は対象の任意の組織であり、例えば、いくつかの実施形態では、その組織は筋肉組織または心臓組織である。いくつかの実施形態では、目的のポリペプチドをコードする合成修飾型RNA(MOD−RNA)を使用する、組織でのタンパク質のインビボ発現のための本明細書において開示される方法、組成物およびキットは疾患または障害の治療のための方法に有用である。いくつかの実施形態では、その疾患または障害は本明細書において開示される心血管系の疾患または障害である。

0056

いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法、組成物およびキットは、細胞、例えば、筋細胞、例えば、心筋細胞の性質のインビトロ、エクスビボまたはインビボでの合成修飾型RNA(MOD−RNA)を使用する改変に有用である。いくつかの実施形態では、筋細胞例えば、心筋細胞は哺乳類細胞であり、例えば、それはヒト筋細胞またはヒト心筋細胞であり得る。

0057

他の態様は、対象の心血管系の疾患または障害の治療のための方法での本明細書において開示される合成修飾型RNAの使用に関する。本発明の他の態様は、心臓の疾患または障害の治療において使用される合成修飾型RNAを含む医薬に関する。別の実施形態では、心臓細胞の集団、例えば、心筋細胞の集団、または心筋細胞前駆細胞(例えば、心臓幹細胞)の集団は合成修飾型RNA(MOD−RNA)とインビトロ、インビボまたはエクスビボで接触することができ、いくつかの実施形態では、その接触がインビトロまたはエクスビボで起こる場合、心臓細胞の集団、例えば、心筋細胞の集団は、心臓疾患の治療や予防のために、または疾患もしくは傷害により損傷を受けている既存の心筋の治療のために対象に移植され得る。別の実施形態では、本発明は、対象の心血管系の疾患または障害を治療するための方法であって、心臓細胞の集団、例えば、心臓幹細胞または心室心臓幹細胞の集団、および本明細書において開示される目的のタンパク質をコードする少なくとも1つの合成修飾型RNAを含む組成物を前記対象に投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、心臓細胞は人工多能性幹細胞(iPS)から分化した心臓細胞の集団であり、いくつかの実施形態では、そのiPS細胞自己iPS細胞例えば、前記医薬組成物が投与されている対象から得られた体細胞から再プログラム化されたiPS細胞である。いくつかの実施形態では、心臓細胞は、国際特許出願公開第2008/054819、同第2010/144678号、同第2010/042856号、および米国特許出願公開第2010/0166714号、同第2011/0033430号、同第2010/021713号および同第2011/0003327号に開示される心臓始原細胞または心臓前駆細胞の集団である。それらの文献は参照により全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、細胞集団はIsll+始原細胞、または国際公開第2010/144678号に開示されるその子孫細胞である。

0058

したがって、本発明の1つの態様は、医薬組成物、例えば、心臓再生療法の必要がある対象、例えば、先天性心臓疾患を有する対象ならびに、例えば、疾患または傷害により損傷を受けた心筋のような獲得型先天性欠損症または疾患を有する対象への移植用の医薬組成物の作製のためのMOD−RNAの使用に関する。いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書に記載される心臓増強タンパク質をコードするMOD−RNAを含み、および任意により心臓細胞を含むこともできる。いくつかの実施形態では、組成物は、心臓増強タンパク質をコードするMOD−RNAとインビトロまたはエクスビボで接触させた心臓細胞を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において開示される医薬組成物での治療を受け入れられる対象は、例えば、うっ血性心不全、冠動脈疾患、心筋梗塞、心筋虚血、アテローム性硬化症、心筋症、特発性心筋症、心不整脈、筋ジストロフィー、筋量異常、筋変性、感染性心筋炎、薬物または毒素誘導性の筋異常、過敏性心筋炎、自己免疫性心内膜炎および先天性心臓疾患を含む。

0059

本願において記載される本発明の他の態様は、MOD−RNAの送達を介して化学療法剤の効力を増加させることにより患者において腫瘍を治療する方法に関する。化学療法剤の効力は、(i)血管新生を上昇させること、および/または(ii)化学療法剤では通常効果が無い、腫瘍の維形成性組織の増殖量もしくは増殖速度を低減させることによりその作用物質の腫瘍への浸透能を上昇させて増強される。いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子は対象における血管新生を増強させるポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、合成修飾型RNA分子は、腫瘍においてヘッジホッグシグナル伝達を増強するポリペプチドの発現を阻害するアンチセンス阻害剤である。

0060

定義
便宜上、本願全体(明細書、実施例および別記の特許請求の範囲を含む)において使用されるある特定の用語がここにまとめられる。別途定義されない限り、本願において使用される全ての技術用語および科学用語は本発明が属する分野の当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。

0061

「心筋細胞」という用語は、本明細書において使用される場合、心臓の筋肉細胞を広く指す。心筋細胞という用語は、心臓の平滑筋細胞ならびに心筋細胞を含み、横紋筋細胞、ならびに自然拍動性心筋細胞も含む。

0062

「分化」という用語は、本内容では、さらに分化することができない、より特殊化し、週末分化細胞に近づきつつある細胞である細胞に関連することが知られているマーカーを発現する細胞を形成することを意味する。細胞が、あまりコミットされていない細胞から益々特定の細胞種にコミットされている細胞へ進行し、最終的に終末分化細胞へ進行する経路は漸進的分化または漸進的コミットメントと呼ばれる。より特殊化しているが(例えば、漸進的分化のある経路に沿って進行し始めたが)、未だ終末分化に至っていない細胞は部分的分化されていると呼ばれる。分化とは、細胞がより特殊化した表現型を呈する、例えば、他の細胞種と別個の1つ以上の特徴または機能を獲得する発生過程である。いくつかの事例では、分化表現型は、ある発生経路成熟エンドポイントにある細胞の表現型(いわゆる終末分化細胞)を指す。全ての組織ではないが、多くの組織で分化過程細胞周期からの離脱を伴う。これらの事例では、終末分化細胞はそれらの増殖する能力を失う、またはその能力を大いに制限する。しかしながら、我々は、本明細書の内容では、「分化」または「分化した」という用語は細胞の発生のある時点よりもそれらの運命または機能において特殊化している細胞を指すことに留意する。

0063

細胞を「濃縮すること」という用語は細胞を「単離すること」と同義で使用され、ある種類の細胞の収量(割合)が開始培養物または調製物におけるその種の細胞の割合よりも増加することを意味する。

0064

コミットされていない細胞(例えば、幹細胞)から特定の分化細胞種へのコミットメントの程度が上昇した細胞への、および最終的に終末分化細胞への細胞の発生は漸進的分化または漸進的コミットメントとして知られる。始原細胞と比較して「分化した」細胞はその始原細胞と比較して1つ以上の表現型の差異を有する。表現型の差異には、形態上の差異ならびに発現マーカーの有無ばかりかマーカーの量の差および一組のマーカーの共発現パターンの差をも含む遺伝子発現および生物活性の差異が含まれるが、これらに限定されない。

0065

「マーカー」は、本明細書において使用される場合、細胞の特徴や表現型を説明する。マーカーは目的の特徴を含む細胞の選択に使用することができる。マーカーは特定の細胞によって異なる。マーカーは、形態的特徴であれ、機能的特徴であれ、生化学的(酵素的)特徴であれ、細胞種またはその細胞種が発現する分子に特定の特徴である。そのようなマーカーはタンパク質であることが好ましく、当技術分野において利用可能な抗体または他の結合分子エピトープを有することがより好ましい。マーカーは、細胞内または細胞の表面上に見出される、タンパク質(ペプチドおよびポリペプチド)、脂質、多糖類核酸およびステロイドを含むが、これらに限定されないあらゆる分子から構成され得る。形態的な特徴または形質の例には、形、大きさ、および細胞質に対する核の比率が含まれるが、これらに限定されない。機能的な特徴または形質の例には、特定の物質に付着する能力、特定の色素を取り込む、または排除する能力、特定の条件下で遊走する能力、および特定の系列に沿って分化する能力が含まれるが、これらに限定されない。マーカーは、当業者が一般に利用可能な任意の方法で検出され得る。

0066

レポーター遺伝子」は、本明細書において使用される場合、幹細胞の表現型に加える、細胞に遺伝的に導入されているあらゆる遺伝子を包含する。本発明において開示されるレポーター遺伝子は蛍光遺伝子酵素遺伝子および耐性遺伝子を包含するが、当業者が容易に検出できる他の遺伝子も包含することが意図されている。本発明のいくつかの実施形態では、レポーター遺伝子は、特定の幹細胞、心血管系幹細胞およびそれらの分化した子孫細胞の特定のためのマーカーとして使用される。

0067

「系列」という用語は、本明細書において使用される場合、共通の祖先細胞を有する細胞、例えば、同じ心血管系幹細胞または他の幹細胞に由来する細胞を説明する用語を指す。

0068

本明細書において使用される場合、「クローン細胞株」という用語は、培養で維持され得、そして、無期限で増殖する可能性を有する細胞系列を指す。クローン細胞株は幹細胞株であり得、または幹細胞に由来するものであり得、そして、そのクローン細胞株が幹細胞を含むクローン細胞株という内容で用いられる場合、その用語は、数か月〜数年の間に分化することなく増殖することを可能とするインビトロ条件下で培養されてきた幹細胞を指す。そのようなクローン幹細胞株は、元の幹細胞からいくつかの細胞系列に沿って分化する可能性を有する。

0069

「表現型」という用語は、実際の遺伝子型にかかわらず、特定のセットの環境条件下で細胞または生物を限定する1つの、または多数の全生物学的特徴を指す。

0070

「組織」という用語は、ある特別の機能を一緒に実行する、同様に特殊化した細胞の群または層を指す。「組織特異的」という用語は、特定の組織に由来する細胞の供給源、またはその限定的特徴を指す。

0071

「減少した(reduced)」または「減少する(reduce)」という用語は、本明細書において使用される場合、統計的に有意な量の減少を一般に意味する。しかしながら、誤解を避けるために付け加えると、「減少した(reduced)」は、基準レベルと比べて少なくとも10%の減少、例えば、少なくとも約20%、または少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%の減少、または100%の減少を含む100%までの減少(すなわち、基準試料と比べて存在しないレベル)、または基準レベルと比べた10〜100%の間の任意の減少を意味する。

0072

「増加した(increased)」または「増加する(increase)」という用語は、本明細書において使用される場合、統計的に有意な量の増加を一般に意味する。誤解を避けるために付け加えると、「増加した(increased)」は、基準レベルと比べて少なくとも10%の増加、例えば、少なくとも約20%、または少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%の増加、または100%の増加を含む100%までの増加、または基準レベルと比べた10〜100%の間の任意の増加、または少なくとも約2倍、または少なくとも約3倍、または少なくとも約4倍、または少なくとも約5倍または少なくとも約10倍の増加、または基準レベルと比べた2倍と10倍の間もしくはそれ以上の任意の増加を意味する。

0073

「濃縮すること(enriching)」または「濃縮した(enriched)」という用語は本明細書において互換的に使用され、ある種類の細胞の収量(割合)が開始培養物または調製物におけるその種の細胞の割合よりも少なくとも10%増加することを意味する。

0074

特定の細胞集団に関して「実質的に純粋な」という用語は、全細胞集団を構成する細胞に関して少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%、および最も好ましくは少なくとも約95%純粋な細胞の集団を指す。書き直すと、「実質的に純粋な」または「基本的に精製された」という用語は、1つ以上の部分的分化細胞種や終末分化細胞種の調製に関して、約20%より少ない、より好ましくは約15%、10%、8%、7%より少ない、最も好ましくは約5%、4%、3%、2%、1%より少ない、または1%未満の幹細胞ではない細胞または幹細胞の子孫細胞ではない細胞を含む細胞の集団を指す。

0075

本明細書において使用される場合、「タンパク質」は、20アミノ酸のうちのいずれかより基本的になる高分子である。「ポリペプチド」は、多くの場合、比較的に大きいポリペプチドへの言及で使用され、「ペプチド」は、多くの場合、小さいポリペプチドへの言及で使用されるが、当技術分野におけるこれらの用語の使用は重複しており、そして、変化する。「ペプチド」、「タンパク質」および「ポリペプチド」という用語は、本明細書において互換的に使用される。

0076

「野生型」という用語は、通常インビボで存在するように、それぞれ天然のタンパク質もしくはその一部をコードするポリヌクレオチド配列、またはタンパク質配列、またはその一部を指す。

0077

変異体」という用語は、生物の遺伝物質のあらゆる変化は、特に野生型ポリヌクレオチド配列における変化(すなわち、欠失置換、付加、または変化)または野生型タンパク質配列におけるあらゆる変化を指す。「異型体」という用語は「変異体」と互換的に使用される。遺伝物質中の変化がタンパク質の機能の変化をもたらすとみなされることが多いが、「変異体」および「異型体」という用語は、その変化がそのタンパク質の機能を変える(例えば、機能を増強する、機能を低減する、新しい機能を加える)かどうかに関係なく、またはその変化がそのタンパク質の機能に影響を有する(例えば、その変異または異型がサイレントである)かどうかに関係なく、野生型タンパク質の配列の中の変化を指す。変異という用語は、本願において多型と本明細書において互換的に使用される。

0078

本明細書において使用される場合、「核酸」という用語はデオキシリボ核酸(DNA)および適切な場合はリボ核酸(RNA)などのポリヌクレオチドを指す。その用語はまた、等価物として、ヌクレオチド類似体から形成されるRNAまたはDNAのどちらかの類似体を、および記載されているところの実施形態に適用可能である場合は、一本鎖ポリヌクレオチドセンスまたはアンチセンス)および二本鎖ポリヌクレオチドを含むと理解されるべきである。「ポリヌクレオチド配列」および「ヌクレオチド配列」という用語もまた本明細書において互換的に使用される。

0079

本明細書において使用される場合、「遺伝子」または「組換え遺伝子」という用語は、エクソンと(任意により)イントロンの配列の両方を含む、ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含む核酸を指す。

0080

組換え」という用語は、本明細書において使用される場合、タンパク質が原核生物の発現系または真核生物の発現系から得られることを意味する。

0081

本明細書において使用される場合、「ベクター」という用語はそれが結合した別の核酸を伝達することができる核酸分子を指す。好ましいベクターは自律的複製とそれらが結合している核酸の発現の両方、またはいずれか一方ができるものである。機能するようにベクターに結合している遺伝子の発現を導くことができるベクターは本明細書において「発現ベクター」と呼称される。

0082

「対象」および「個体」という用語は本明細書において互換的に使用され、そして、本明細書に記載される方法および組成物を用いる、予防的処置を含む治療が提供される動物、例えば、ヒトを指す。ヒト対象などの特定の動物に特異的な感染症、健康状態または疾患状態の治療にとって、「対象」という用語はその特定の動物を指す。「非ヒト動物」および「非ヒト哺乳類」という用語は本明細書において互換的に使用され、そして、ラット、マウス、ウサギヒツジネコイヌウシブタ、および非ヒト霊長類などの哺乳類を含む。

0083

「再生」という用語は疾患または外傷の後の細胞集団、器官または組織の再成長を意味する。

0084

「疾患」または「障害」という用語は本明細書において互換的に使用され、そして、機能の実施を中断もしくは妨害する、および/または症状、例えば、不快、機能不全、苦痛もしくは死さえも苦しめられている人物もしくは人と接触している人物に引き起こす、身体または器官のいくつかの状態のあらゆる変化を指す。疾患または障害は病気(distemper)、病気(ailing)、病気(ailment)、疾病(malady)、障害(disorder)、病気(sickness)、病気(illness)、病状(complaint)、不快(indisposition)または疾患(affection)にも関連し得る。

0085

本明細書において使用される場合、「心血管系の健康状態、疾患または障害」という語句は不十分な、望ましくない、または異常な心機能、例えば、虚血性心臓疾患高血圧性心臓疾患および肺性高血圧性心臓疾患、弁膜症、先天性心臓疾患、および対象、特にヒト対象においてうっ血性心不全を引き起こすあらゆる健康状態を特徴とする全ての障害を含むことが意図されている。不十分または異常な心機能は疾患、傷害や加齢の結果であり得る。背景として、心筋の傷害に対する応答は、いくつかの細胞は死ぬが、他の細胞は、細胞は未だ死んではいないが、機能不全である休止状態に入る、明確に定義された経路に従う。この後に炎症性細胞浸潤瘢痕化の一部としてのコラーゲン沈着続き、それらの全てが新しい血管の内殖およびある程度の継続的細胞死と並行して起こる。本明細書において使用される場合、「虚血」という用語は、血液の流入の低下に起因するあらゆる局所組織の虚血を指す。「心筋虚血」という用語は、冠動脈アテローム性硬化症や心筋への不十分な酸素供給を原因とする循環障害を指す。例えば、急性心筋梗塞は心筋組織への不可逆性虚血性発作を表す。この発作は、冠循環閉塞性(例えば、血栓性または塞栓性事象をもたらし、心筋の代謝要求が心筋組織への酸素の供給を越える環境を作り出す。

0086

病的状態」という用語は、本明細書において使用される場合、疾患または障害の原因となる、症状、例えば、細胞、組織または器官における構造的および機能的変化を指す。例えば、病的状態は特定の核酸配列、すなわち全体的または部分的にその病的状態の原因となる核酸配列を指す「病的核酸」に関連する場合があり、例として、その病的核酸は、特定の病的状態を引き起こす、または特定の病的状態に関連する変異または多型を有する遺伝子をコードする核酸であり得る。病的状態は、全体的または部分的に、特定の疾患または障害と関連がある病的状態の原因となる病的タンパク質または病的ポリペプチドの発現と関係がある場合がある。別の実施形態では、病的状態は、例えば、他の要因、例えば、虚血などと関連がある。

0087

本明細書において使用される場合、「治療する(treat)」または「治療(treatment)」または「治療すること(treating)」という用語は治療的処置を指し、ここで、目的は疾患の発生を予防することまたは遅らせること、例えば、心臓障害の発生を遅らせること、または心血管系の健康状態、疾患もしくは障害、すなわち、不十分なもしくは望ましくない心機能を特徴とするあらゆる障害の少なくとも1つの有害影響または症状を低減させることである。心臓障害の有害影響または症状は当技術分野において周知であり、それには呼吸困難胸部痛、心悸亢進めまい失神浮腫チアノーゼ蒼白倦怠感および死が含まれるが、これらに限定されない。1つ以上の症状または臨床マーカーが、本明細で定義される通りに減少する場合、治療は一般に「有効」である。あるいは、疾患の進行が低下または停止している場合、治療は「有効」である。すなわち、「治療」は症状の改善またはその疾患のマーカーの減少だけではなく、治療が無い場合に予想され得る症状の進行または悪化の停止または遅延化も含む。有益な、または望ましい臨床成果には、検出可能であれ、検出不可能であれ、1つ以上の症状の軽減、疾患の程度の縮小、疾患の安定化(すなわち、非悪化)状態、疾患進行の遅延または減速、疾患状態の改善または緩和、および(部分的にせよ、全体的にせよ)寛解が含まれるが、これらに限定されない。「治療」は、治療を受けなかった場合に予想される生存期間と比べた生存期間の延長を意味することもできる。治療を必要とする人には心臓疾患を有すると既に診断されている人、ならびに遺伝的感受性または体重、食事および健康などの他の要因のために心臓疾患を発生する可能性がある人が含まれる。いくつかの実施形態では、治療することという用語は予防的手段および/または予防的処置も包含し、それには疾患または障害の発症を防ぐために本明細書において開示される医薬組成物を投与することが含まれる。

0088

「有効量」という用語は、本明細書において使用される場合、医薬組成物からなる治療薬の量、例えば、疾患または障害の少なくとも1つ以上の症状を減少させるために十分な量のタンパク質を発現する合成修飾型RNAの量を指し、そして、所望の効果をもたらすために十分な量の薬理学的組成物に関連する。例えば、本明細書において開示される合成修飾型RNAの「治療上有効量」という語句は、本明細書において使用される場合、あらゆる医療に適用できる妥当なリスク・ベネフィット比で障害を治療するために十分な量の組成物を意味する。「治療上有効量」という用語は、したがって、本明細書において開示される組成物の、例えば、心血管系の健康状態、疾患または障害を有する典型的な対象に投与されると心機能不全または障害に関係がある症状または臨床マーカーの治療的または予防的に有意な軽減をもたらすために十分な量を指す。

0089

症状の治療的に有意な軽減は、例えば、対照または非治療対象と比べて測定パラメータの少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%またはそれ以上の軽減である。測定パラメータまたは測定可能パラメータには、疾患の臨床的に検出可能なマーカー、例えば、生物学的マーカーのレベルの上昇または抑制、ならびに疾患または障害の臨床的に許容される規模の症状またはマーカーに関連するパラメータが含まれる。本明細書において開示される組成物および製剤の総1日使用量は、確実な根拠がある医学的判断の範囲内で担当医によって決定されることが理解される。必要とされる正確な量は治療される疾患の種類などの要因に応じて左右される。

0090

例えば、対象における心血管系の健康状態または疾患の治療に関連して、「治療上有効量」という用語は、心血管系の疾患または障害の発生を防ぐ、または遅らせるために安全で十分な量を指す。その量は、そのため、心血管系の疾患もしくは障害を治癒することができ、または心血管系の疾患もしくは障害の寛解を引き起こすことができ、心血管疾患の進行過程を遅らせることができ、心血管系の疾患もしくは障害の症状を遅延化もしくは抑制することができ、心血管系の疾患もしくは障害の副次的症状の成立を遅延化もしくは抑制することができ、または心血管系の疾患もしくは障害の副次的症状の発生を抑制することができる。心血管系の疾患もしくは障害の治療にとっての有効量は、治療される心血管疾患の種類、その症状の重症度、治療されている対象、その対象の年齢および一般健康状態、投与モードなどによって左右される。したがって、正確な「有効量」を特定することは不可能である。しかしながら、あらゆる所与の事例にとって、適切な「有効量」は日常実験法のみを用いて当業者によって決定され得る。治療効力は当業者によって判断され得、例えば、効力は本明細書において考察されるとおりに心血管系の疾患または障害の動物モデルにおいて評価され得る。例えば、急性心筋梗塞または虚血再灌流障害を有するげっ歯類の治療、ならびに本明細書において開示される心血管系の疾患または障害の少なくとも1つの症状の減少、例えば、心臓の駆出率の上昇、心不全の割合の減少、梗塞巣のサイズの減少、合併症肺浮腫腎不全、不整脈)の罹患率の減少、運動耐容能または他の生活の質の測定基準の改善、および死亡率の低下をもたらすあらゆる治療または組成物もしくは製剤の投与が有効な治療を表す。その組成物が心血管系の疾患または障害の治療のために使用される実施形態では、その組成物の効力は心血管疾患の実験動物モデル、例えば、虚血再灌流障害の動物モデル(Headrick JP, Am J Physiol Heart circ Physiol 285;H1797;2003)および急性心筋梗塞の動物モデル(Yang Z, Am J Physiol HeartCirc. Physiol 282:H949:2002、Guo Y, J Mol Cell Cardiol 33;825〜830,2001)を使用して判断され得る。実験動物モデルを使用するとき、治療効力は、心血管系の疾患または障害の症状の低減、例えば、呼吸困難、胸部痛、心悸亢進、めまい、失神、浮腫、チアノーゼ、蒼白、倦怠感および高血圧のうちの1つ以上の症状の低減が治療されていない動物と比べて治療されている動物で早く起こるとき、明らかとなる。「より早く」という言葉によって、例えば、腫瘍のサイズの減少が少なくとも5%早く起こるが、好ましくはより早く起こる、例えば、1日早く、2日早く、3日早く、またはそれ以上早く起こることを意味する。

0091

本明細書において使用される場合、「治療すること(treating)」という用語は、心血管系の疾患または障害の治療に関して使用されるとき、心血管系の疾患または障害の症状や生化学的マーカーの低減について言及するために使用され、例えば、心血管疾患の少なくとも1つの生化学的マーカーの少なくとも約10%の低減は有効な治療とみなされ得る。心血管疾患のそのような生化学的マーカーの例には、血液中の、例えば、クレアチンホスフォキナーゼCPK)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼAST)、乳酸デヒドロゲナーゼLDH)の減少、および/または心血管疾患の症状の減少、および/または心電図(ECGまたはEKG)もしくは心エコー図(心臓超音波)、ドップラー超音波画像法および核医学画像法によって測定される、幾人かの当業者によって決定される血流および心機能の改善が含まれる。心血管疾患の症状の少なくとも約10%の減少も本明細書において開示される方法による有効な治療とみなされ得る。別の例として、心血管疾患の症状の減少、例えば、次の、呼吸困難、胸部痛、心悸亢進、めまい、失神、浮腫、チアノーゼなどのうちの少なくとも1つの少なくとも約10%の減少、またはそのような系の停止、または心血管疾患の1つのそのような症状のサイズの少なくとも約10%の減少も本明細書において開示される方法によって有効な治療とみなされ得る。いくつかの実施形態では、治療薬が、単に症状を管理可能な程度にまで軽減するよりも、実際に心血管系の疾患または障害を除去することが好ましいが、必須ではない。

0092

本明細書において開示される方法による治療を受け入れることができる対象は、心筋梗塞(一般に心臓発作と呼ばれる)または癌を診断するためのあらゆる方法によって特定され得る。これらの健康状態を診断する方法は当業者に周知である。非限定的な例として、心筋梗塞は(i)クレアチンホスフォキナーゼ(CPK)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)および心筋梗塞の間に放出される他の酵素のレベルを検出するための血液検査、(ii)心臓活動の紙またはコンピュータモニターのどちらかでの図による記録である心電図(ECGまたはEKG)によって診断され得る。ECGは、疾患や損傷の検出に有益であり得る。(iii)先天性心臓疾患の調査ならびに心臓の壁、弁および血管の機能の異常を含む心臓壁の異常を評価するために使用される心エコー図(心臓超音波)、(iv)ドップラー超音波画像法は心臓弁を越える血流の測定のために使用することができる。(v)核医学画像法(当技術分野において放射性核種スキャニング法とも呼称される)は生体構造と器官の機能の画像化を可能とし、冠動脈疾患、心筋梗塞、弁疾患、心臓移植拒絶反応を検出し、バイパス手術の有効性チェックし、または血管形成術または冠動脈バイパス移植の患者を選択するために使用することができる。

0093

「冠動脈疾患」および「急性冠動脈症候群」という用語は、本明細書において互換的に使用され、心筋梗塞を指す場合、心血管系の健康状態、疾患または障害を指し、不十分な、望ましくない、または異常な心機能を特徴とするあらゆる障害、例えば、虚血性心臓疾患、高血圧性心臓疾患および肺性高血圧性心臓疾患、弁膜症、先天性心臓疾患および対象、特にヒト対象においてうっ血性心不全に至るあらゆる健康状態を含む。不十分な、または異常な心機能は疾患、傷害や加齢の結果であり得る。背景として、心筋の傷害に対する応答は、いくつかの細胞は死ぬが、他の細胞は、細胞は未だ死んではいないが、機能不全である休止状態に入る、明確に定義された経路に従う。この後に炎症性細胞の浸潤、瘢痕化の一部としてのコラーゲンの沈着が続き、それらの全てが新しい血管の内殖およびある程度の継続的細胞死と並行して起こる。

0094

本明細書において使用される場合、「虚血」という用語は、血液の流入の低下に起因するあらゆる局所組織の虚血を指す。「心筋虚血」という用語は、冠動脈アテローム性硬化症や心筋への不十分な酸素供給を原因とする循環障害を指す。例えば、急性心筋梗塞は心筋組織への不可逆性虚血性発作を表す。この発作は、冠循環に閉塞性(例えば、血栓性または塞栓性)事象をもたらし、心筋の代謝要求が心筋組織への酸素の供給を越える環境を作り出す。

0095

本明細書において互換的に使用される「組成物」または「医薬組成物」という用語は、当技術分野において従来型であり、哺乳類および好ましくはヒトまたはヒト細胞への投与に適切である薬学的に許容可能な担体などの賦形剤を通常含む組成物または製剤を指す。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、標的の組織または器官への直接送達、例えば、標的組織への直接注入またはカテーテル注射による直接送達のために特定的に製剤され得る。他の実施形態では、組成物は、経口経路眼球非経口経路、静脈内経路、動脈内経路、皮下経路、鼻腔内経路、下経路、髄腔内経路、脳室経路などを含むが、これらに限定されない多数の経路のうちの1つ以上を介する投与のために特定的に製剤され得る。さらに、局所(例えば、口腔粘膜呼吸器粘膜)投与や経口投与のための組成物は溶液、懸濁液、錠剤丸剤カプセル剤持続放出性製剤含嗽剤、または粉剤を形成することができ、当技術分野において公知であるように本明細書に記載される。その組成物は安定化剤および保存剤を含むこともできる。担体、安定化剤およびアジュバントの例については、フィラデルフィア科学大学(2005年) Remington:The Science and Practice of Pharmacy with Facts and Comparisons,第21版。

0096

本明細書において使用される場合、「投与すること(administering)」、「導入すること(introducing)」および「移植すること(transplanting)」という用語は互換的に使用され、そして、少なくとも1つのMOD−RNAを含む医薬組成物、または細胞集団および少なくとも1つのMOD−RNAを含む組成物、または本明細書に記載されるようにMOD−RNAで形質移入されている心筋細胞の集団を含む組成物の対象への、その医薬組成物を所望の部位または組織の位置に少なくとも部分的に局在させる方法または投与経路による設置を指す。本明細書において使用される場合、「投与すること」、「導入すること」および「移植すること」という用語は互換的に使用され、そして、少なくとも1つのMOD−RNAを含む医薬組成物、または心臓細胞の集団および少なくとも1つのMOD−RNAを含む組成物、または本明細書に記載されるようにMOD−RNAで形質移入されている心筋細胞の集団を含む組成物の対象への、その医薬組成物を所望の部位または組織の位置に少なくとも部分的に局在させる方法または投与経路による設置を指す。いくつかの実施形態では、MOD−RNAを含むその医薬組成物は対象に有効な治療をもたらすあらゆる適切な経路により投与され得る、すなわち、投与によって、そのMOD−RNAが発現するタンパク質の少なくとも一部が所望の標的組織または標的細胞の位置に局在する、対象内の所望の位置または組織への送達がもたらされる。

0097

非経口投与」および「非経口的に投与される」という語句は、本明細書において使用される場合、経腸投与および局所投与以外の投与モードであって、通常注射による投与モードを意味し、そして、限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、心室内、関節包内、眼窩内心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内、脳脊髄内、および胸骨内の注射および点滴を包含する。「全身投与」、「全身投与される」、「末梢投与」および「末梢投与される」という語句は、本明細書において使用される場合、MOD−RNAを含む医薬組成物が動物の系に進入し、そうして代謝および他のそのような過程の対象となるような、標的の組織または器官への直接的な投与以外のMOD−RNAを含む医薬組成物の投与を意味する。

0098

「薬学的に許容可能な」という語句は、確実な根拠がある医学的判断の範囲内で、ヒトおよび動物の組織との接触での使用に適切な、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題、または合併症を持たず、妥当なリスク・ベネフィット比にふさわしい化合物、物質、組成物、および/または剤形を指すために本明細書において使用される。

0099

「薬学的に許容可能な担体」という語句は、本明細書において使用される場合、ある器官、または身体の部分から別の器官または身体の部分への対象作用物質の移送または輸送に関わる薬学的に許容可能な物質、組成物または液体もしくは固体充填剤希釈剤、賦形剤、溶媒もしくはカプセル化物質などのベヒクルを意味する。各担体は製剤の他の成分と適合するという意味で「許容可能」でなくてはならない。医薬製剤は1つ以上の薬学的に許容可能な成分と併せて本発明の化合物を含有する。担体は固形物半固形物、または液体希釈剤クリームまたはカプセルの形状であり得る。これらの医薬調製物は本発明のさらなる課題である。活性化合物の量は通常調製物の0.1〜95重量%の間であり、好ましくは非経口使用のための調製物においては0.2〜20重量%の間であり、そして、好ましくは調製物においては1重量%と50重量%の間である。いくつかの実施形態では、MOD−RNAを含む医薬組成物は1つ以上の薬学的に許容可能な成分と組み合わさっていてよい。担体は固形物、半固形物、または液体希釈剤、クリームまたはカプセルの形状であり得る。

0100

「薬物」または「化合物」という用語は、本明細書において使用される場合、疾患または健康状態を治療、または予防または管理するために対象に投与される化学物質または生物学的製剤、または複数の化学物質または生物学的製剤の組合せを指す。化学物質または生物学的製剤は、必ずしもそうではないが、低分子量化合物であることが好ましいが、より大きい化合物、例えば、限定されないが、タンパク質、オリゴヌクレオチドリボザイムDNAザイム糖タンパク質、siRNA、リポタンパク質アプタマー、ならびにそれらの修飾および組合せを含む、核酸、アミノ酸、または炭水化物からなるオリゴマーであってもよい。

0101

「作用物質」という用語は、通常存在しない、または細胞、組織もしくは対象に投与されているレベルでは存在しないあらゆる実体を指す。作用物質は、化学物質、小分子、核酸配列、核酸類似体、タンパク質、ペプチド、アプタマー、抗体、またはそれらの機能性断片を含む群から選択され得る。核酸配列はRNAまたはDNAであってよく、一本鎖または二本鎖であってよく、そして、目的のタンパク質をコードする核酸、オリゴヌクレオチド、および核酸類似体、例えば、ペプチド核酸(PNA)、偽相補性PNA(pc−PNA)、ロックド核酸(LNA)などを含む群より選択され得る。そのような核酸配列には、核酸配列をコードする例えば、転写抑制因子として作用するタンパク質、アンチセンス分子、リボザイム、低分子阻害性核酸配列、例えば、限定されないが、RNAi、shRNAi、siRNA、マイクロRNAi(mRNAi)、アンチセンスオリゴヌクレオチドをコードする核酸配列が含まれるが、これらに限定されない。タンパク質および/またはペプチドまたはその断片は細胞内で通常存在しないか、またはより低いレベルで発現しているタンパク質であるあらゆる目的のタンパク質、例えば、限定されないが、変異タンパク質治療用タンパク質、短縮型タンパク質であり得る。タンパク質は、変異タンパク質、遺伝的改変タンパク質、ペプチド、合成ペプチド組換えタンパク質キメラタンパク質、抗体、ミニボディトリボディヒト化タンパク質、ヒト化抗体キメラ抗体修飾化タンパク質およびそれらの断片を含む群から選択されることもできる。作用物質は培地に適用されてよく、そこでその作用物質は細胞と接触し、その効果を誘発する。あるいは、作用物質は、その作用物質をコードする核酸配列の細胞への導入の結果として細胞内に存在してよく、そして、その転写は、細胞内でその核酸および/またはタンパク質の環境刺激を産生することになる。いくつかの実施形態では、その作用物質は、限定されないが、合成および天然の非タンパク質性物質を含む、任意の化学物質の全体または部分である。ある特定の実施形態では、その作用物質は化学的成分を有する小分子である。例えば、化学的成分には、マクロライドレプマイシン類(leptomycins)および関連の天然産物またはそれらの類似体を含む、不飽和型または飽和型アルキル成分芳香族成分または複素環成分分が含まれた。作用物質は望ましい活性や特質を有することが知られていることがあり、または様々な化合物からなるライブラリーから選択することができる。

0102

「1つ」および「ある」という詞は、1つ、または1つよりも多く(すなわち、少なくとも1つ)のその冠詞の文法上の目的語を指すために本明細書において使用される。例として、「要素(an element)」は1つの要素、または1つよりも多くの要素を意味する。

0103

「統計的に有意な」または「有意に」という用語は統計的な有意性を指し、一般に平均より標準偏差の2倍分(2SD)下の、またはそれより下のマーカーの濃度を意味する。その用語は、差異が存在するという統計的な証拠を指す。それは、帰無仮説が実際に真であるときに、帰無仮説を拒絶する決定を行う確率として定義される。その決定は、多くの場合、p値を使用してなされる。

0104

実施例、または別途指示される場合を除いて、本明細書において使用される成分または反応条件の量を表す全ての数は全ての事例で「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。「約」という用語は、パーセンテージとの関連で使用されるとき、±1%を意味し得る。本発明は以下の実施例によって詳細にさらに説明されるが、本発明の範囲はそれらに限定されないべきである。

0105

本発明は、本明細書に記載される特定の方法、プロトコル、および試薬などに限定されず、したがって、変更し得ることが理解されるべきである。本明細書において使用される用語法は特定の実施形態を説明することを目的とするだけのものであり、本発明の範囲を制限するものと意図されてはおらず、その本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定される。

0106

インビボタンパク質補充療法の方法
本明細書に記載される合成修飾型RNAは、合成修飾型RNA組成物の個体への投与により、または別の実施形態では、細胞を合成修飾型RNAとエクスビボで接触させ、次にそのような細胞を対象に投与することにより、治療上の目的のタンパク質を標的の組織または器官で発現させるために使用されることもできる。1つの態様では、細胞を患者から取り出し、例えば、電気穿孔法またはリポフェクションにより形質移入し、そして、その患者に再導入するエクスビボアプローチを用いて、修飾型RNAにより細胞を形質移入して治療用タンパク質を発現させることができる。この方法での連続投与または持続型投与は、患者に再注入する血液細胞の電気穿孔法により達成することができる。

0107

本明細書において開示されるように、発明者らは、心臓および筋肉組織のMOD−RNAによる形質移入の後の非常に効率的で、迅速なインビボタンパク質発現を示す。発明者らは、タンパク質発現が形質移入後から3時間以内までに起こること、および、インビボタンパク質発現が筋肉または心臓へのMOD−RNAの直接注入後に少なくとも4〜5日間起こることを示す。重要なことに、発明者らは、インビボタンパク質発現のレベルは心臓または筋肉にインビボで注入されたMOD−RNAの量に対して用量依存的であり、そのことが、所望の量のタンパク質が発現するためにその組織に投与されるMOD−RNAの量を決定することを可能とすることを示す。したがって、合成修飾型RNAがタンパク質補充療法または他の治療法においてインビボタンパク質発現のために使用されている場合、発現するタンパク質の量を決定する能力は非常に有用である。

0108

本明細書の実施例において開示されるように、MOD−RNAを使用する心臓組織および筋肉のインビボ形質移入は低免疫応答をもたらす。

0109

したがって、本発明の1つの態様は、組織においてタンパク質をインビボ発現させるための方法(例えば、対象の組織)であって、目的のタンパク質をコードするMOD−RNAを含む組成物とその組織を接触させる工程を含む方法に関する。いくつかの実施形態では、組織は、目的のタンパク質のタンパク質発現を増加させたことが望ましい任意の器官である。

0110

「組織」という用語は、本明細書において使用される場合、特定の機能を実行する細胞からなる任意の群に適用される広義の用語であり、いくつかの例では、器官全体(例えば、副甲状腺)および/または膵島などの器官の一部を含む。組織は必ずしも層を形成せず、したがって、筋肉、心臓、骨髄、皮膚、結合組織(例えば、他の身体組織支え体性の中の線維を構成する細胞)、および造血性組織およびリンパ組織(例えば、身体を細菌や他の外来物質から保護するのに役立つ身体の免疫系の一部として機能する細胞)、膵臓、、腸、などを含む広範囲の組織を包含する。

0111

いくつかの実施形態では、MOD−RNAと接触する標的組織は筋肉組織、例えば、心筋、または骨格筋または平滑筋である。いくつかの実施形態では、その組織は心臓組織である。いくつかの実施形態では、その組織は心臓の血管新生化組織である。

0112

いくつかの実施形態では、組織を、目的のタンパク質をコードするMOD−RNAを含む組成物と接触させる。「接触させる」または「接触」という用語は、組織を本明細書において開示されるMOD−RNAと接触させることとの関連で本明細書において使用される場合、インビボでMOD−RNAを組織、器官または標的細胞集団と接触させること、またはMOD−RNAの極近傍に組織、器官または標的細胞集団を置くことを含む。したがって、いくつかの実施形態では、「組織を接触させる」または「細胞集団を接触させる」という語句は、曝露の方法であって、直接的または間接的であり得る方法を指す。一方法では、そのような接触は、直接心臓注射など、当技術分野において周知のあらゆる手法を介した組成物の組織への直接注入を含む。別の実施形態では、接触はまた、間接接触、例えば、組織を取り囲む局所的媒体を介した間接接触、または対象への投与、または当技術分野において公知の任意の経路を介した投与を包含する。別の実施形態では、「接触させる」という用語は、本明細書において開示されるMOD−RNA分子が治療を受けている対象に導入され、その分子がインビボで標的組織に接触することが可能になることを意味する。それぞれの可能性は本発明の異なる実施形態を表す。

0113

いくつかの実施形態では、MOD−RNAは組織の直接注入により組織に送達される。本明細書において開示されるように、MOD−RNAを含む組成物の心臓への直接注入によって、強固なタンパク質発現が約3日以内にそのMOD−RNAから起こり、発現が約4〜5日間続いた。

0114

いくつかの実施形態では、MOD−RNAは当業者に知られている任意の方法により組織に送達され得、そして、例えば、カテーテルによる送達を含むことができ、そのカテーテルは、MOD−RNA組成物を標的組織に送達するための永久カテーテルまたは一時的カテーテルであり得る。いくつかの実施形態では、MOD−DNAは内視鏡を使用して送達される。いくつかの実施形態では、カテーテルや内視鏡による送達のために、そのカテーテルや内視鏡は装着型カメラを有することができ、撮影によって臨床医がMOD−RNAを含む組成物を所望の組織位置へ正確に送達することを助けることができる。

0115

いくつかの実施形態では、本明細書において開示されるMOD−RNAを含む組成物は、埋め込み型装置を使用して標的組織に送達することができる。いくつかの実施形態では、その埋め込み型装置は薬物送達装置であり、その薬物送達装置はMOD−RNA組成物を標的組織に送達するための送達用カテーテルを含む。

0116

いくつかの実施形態では、「薬物送達装置」は、本明細書において使用される場合、送達用要素、例えば、MOD−RNAを含む医薬組成物を対象の所望の標的組織または標的生体構造、例えば、心臓に輸送するための送達用カテーテルを指す。いくつかの実施形態では、薬物送達装置は「薬物溶出モジュール」または「制御型薬物ポンプ装置」を含むことができ、それらは、本明細書に記載される方法に従った、MOD−RNAを含む組成物の貯蔵とそれの標的領域または標的組織への制御放出に適切なあらゆる埋め込み型装置を指す。そのような「薬物送達装置」の使用によって、MOD−RNAを含む組成物のポンプからの、その装置自身によって制御または決定される、制御された方式(例えば、放出速度、放出のタイミング)での放出が可能になる。「薬物溶出モジュール」という用語はまた、分散系、受食系または対流系を含む任意の作用機序を有する任意の埋め込み型装置、例えば、浸透圧ポンプ生体分解性移植物電気拡散システム電気浸透システム、蒸気圧ポンプ、電解ポンプ発泡性ポンプ、圧電ポンプ浸食系システム、または電気機械式システムを包含する。いくつかの実施形態では、MOD−RNAを含む組成物の薬物送達装置からの放出はプログラムすることができ、いくつかの実施形態では、その送達装置リモートコントロールを用いてプログラムすることができ、それは医師やその埋め込み型装置が移植される対象によってプログラムされ得る。

0117

別の実施形態では、本明細書において開示されるMOD−RNAを含む組成物は、特定の疾患または障害の治療のための埋め込み型装置を使用して標的組織に送達することができる。いくつかの実施形態では、前記埋め込み型装置はステントである。例えば、MOD−RNAを含む組成物が心血管系の疾患または障害の治療のために使用されるいくつかの実施形態では、そのMOD−RNAはステントを被覆するために使用することができる。

0118

心筋細胞および筋細胞細胞
本発明の1つの実施形態は、対象の心血管系の疾患または障害を治療する方法であって、本明細書において開示される少なくとも1つの合成修飾型RNA(MOD−RNA)を含む組成物の有効量を心血管系の疾患または障害を有する対象に投与する工程を含む方法に関する。

0119

発明者らは、hVEGFを発現するMOD−RNAの心臓または筋肉組織への直接注入後から3時間以内もの早さでの心臓組織における非常に効率的なインビボタンパク質発現を本明細書において示す。発明者らは、タンパク質発現が少なくとも4〜5日間続き、それが非修飾型RNAと比べて低免疫応答をもたらすことを示す。前に論じたように、発明者らはまた、インビボタンパク質発現のレベルは心臓または筋肉にインビボで注入されたMOD−RNAの量に対して用量依存的であり、そのことが、必要とされる所望の量のタンパク質発現のためにその組織に投与されるMOD−RNAの量を決定することを可能とすることも示す。

0120

したがって、本発明の1つの態様は、疾患または障害の治療のために対象の組織においてインビボでポリペプチドを発現する合成修飾型RNAを含む方法および組成物に関する。本発明の別の態様は、目的のポリペプチドをコードする合成修飾型RNAを含む組成物を投与する工程を含む、対象の疾患または障害を治療するための方法に関する。

0121

いくつかの実施形態では、前記組成物は、対象の特定の組織に送達することができ、いくつかの実施形態では、その組織は筋肉組織である。いくつかの実施形態では、その筋肉組織は骨格筋、心筋または平滑筋であり得る。

0122

いくつかの実施形態では、本明細書において開示される方法は、心血管疾患などの1つ以上の疾患の治療のために、心臓増強ポリペプチドをコードする合成修飾型RNAを対象の筋肉組織に送達する工程を含む。いくつかの実施形態では、心血管疾患は次の筋肉疾患、すなわち心筋症(虚血性および非虚血性)、骨格筋障害、嚢胞性線維症、筋ジストロフィーであるが、これらに限定されない。

0123

発明者らは、hVEGFポリペプチドをコードする合成修飾型RNAの心筋梗塞のマウスモデルの心臓へのインビボ送達は心筋梗塞巣が発生することを防ぎ、そして、心臓への損傷を有意に防ぎ、ならびに心臓の回復を促進したことを本明細書において示した。したがって、1つの実施形態では、本明細書において開示される方法は、心臓発作および心筋梗塞の治療のために、心臓増強ポリペプチド、例えば、VEGFをコードする合成修飾型RNAを対象の筋肉組織に送達する方法に関する。いくつかの実施形態では、心臓増強ペプチドをコードする合成修飾型RNAは、直接心筋内注入を介して心筋に送達することができる。

0124

いくつかの実施形態では、心血管疾患の治療にとり、MOD−RNAが発現する心臓増強ペプチドは心臓の血管新生を増強するための、および/または虚血もしくは心臓梗塞の後の心臓の再血管形成のためのポリペプチドである。いくつかの実施形態では、前記MOD−RNAが発現する心臓増強ペプチドはVEGF、例えば、hVEGFである。

0125

「血管新生を増強する」という用語は、本明細書において使用される場合、新生血管網の形成速度の上昇または加速化を指す。いくつかの実施形態では、血管新生の増強は、前記方法が無い場合(例えば、心臓増強ポリペプチドをコードするMOD−RNAを投与することが無い場合に起こり得る血管新生)と比較して、より密な毛細管または新生血管網の形成を指す。言い換えると、血管新生の増強は新生血管網の形成速度の統計的に有意な上昇、または代わりに、新生血管網のを形成する毛細管の量の統計的に有意な増加を指す。

0126

「再血管形成する(revascularize)」、「再血管形成すること(revascularizing)」、「血管新生(neovascularization)」、または「再血管形成(revascularization)」という用語は、本明細書において使用される場合、既存の血管網を改善もしくは修正すること、または疾患、先天性の欠陥、もしくは傷害に通常起因する虚血性区域の血管が無い、もしくは血管が少ない区域を有する組織もしくは器官に新しい機能的な、もしくは実質的に機能的な血管網を構築することを指す。そのような血管が無い、または血管が少ない組織または器官は、多くの場合、完全もしくは部分的に機能不全であり、または限定的な機能を有し、そして、再血管形成を必要とする場合がある。そのような組織または器官に血管を再形成することによって、器官または組織に機能が回復または増強することになる場合がある。

0127

いくつかの実施形態では、MOD−RNAは融合タンパク質、例えば、VEGFを特定の細胞に標的化するために標的化タンパク質にVEGFが融合されている融合タンパク質をコードすることができる。いくつかの実施形態では、VEGFを内皮細胞に標的化することが望ましい場合、MOD−RNAはVEGF−vWF融合タンパク質をコードすることができ、ここでvWFはVEGFを内皮細胞に標的化するためのホーミングペプチドとして機能する。他の標的化ペプチドおよびホーミングペプチドは本発明に包含される。

0128

いくつかの例では、MOD−RNAに分泌タンパク質をコードさせることが望ましい。そのような場合では、MOD−RNAはタンパク質の分泌を容易にする分泌シグナル配列を含むタンパク質をコードする。例えば、MOD−RNAが目的のタンパク質として血管新生性タンパク質をコードする場合、当業者であれば、天然のシグナル配列を有する血管新生性タンパク質、例えば、VEGFを選択することができるか、ルーチン遺伝子操作を用いてそのような配列を含むように遺伝子産物を修飾することができる(Nabel et al., 1993を参照のこと)。

0129

あるいは、いくつかの実施形態では、MOD−RNAは修飾されて、標的組織の特定の細胞種にMOD−RNAを標的化するために、本明細書において開示されるように付加された特定の標的化成分を有することができる。いくつかの実施形態では、その成分はMOD−RNAに直接付加された標的化成分、または代わりに、間接的に付加された標的化成分であることができ、例えば、そのMOD−RNAがリポソームまたはナノ粒子中に製剤される場合、そのリポソームまたはナノ粒子の表面は、組織内の特定の細胞によるMOD−RNAの取込を管理するための標的化成分を含むことができる。

0130

いくつかの実施形態では、MOD−RNAが発現する心臓増強ペプチドは、心臓細胞の生存および/または増殖を促進するためのあらゆる心臓栄養因子または成長因子であり得る。最近、心臓発作後の心筋梗塞巣に心臓幹細胞が存在することが報告された。したがって、心筋梗塞の治療のために心臓増強ペプチドをコードするMOD−RNAを心臓に投与することができる。心臓栄養因子は当技術分野において周知であり、そして、心臓栄養性作用物質、クレアチンカルニチンタウリン、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2003/0022367号に開示される心臓作用因子アクチビンA、アクチビンBなどのTGFβリガンドインスリン様成長因子骨形成タンパク質線維芽細胞増殖因子血小板由来増殖因子ナトリウム利尿因子インスリン白血病抑制因子(LIF)、上皮成長因子(EGF)、TGFα、およびBMPまたはクリプト経路の産物を含むが、これらに限定されない。MOD−RNAから発現し得る他の心臓増強ペプチドには、本明細書において開示される、サイトカインおよび成長因子のような細胞分化作用物質が含まれる。様々な細胞分化作用物質の例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願番号第2003/0022367号、またはGimble et al., 1995、 Lennon et al., 1995、 Majumdar et al., 1998、 Caplan and Goldberg, 1999、 Ohgushi and Caplan, 1999、 Pittenger et al., 1999、 Caplan and Bruder, 2001、 Fukuda, 2001、 Worster et al., 2001、 Zuk et al., 2001において開示される。

0131

別の実施形態では、本明細書において開示される合成修飾型RNAは、組織再生関与するそれらの能力を増強するために、または治療用タンパク質を投与部位に送達するために使用されてタンパク質を発現することができる。成長因子であるポリペプチドをコードする、本明細書において開示される合成修飾型RNAが特に興味深く、例えば、細胞が筋原細胞、例えば、心筋細胞である場合、本明細書において開示される方法において有用な合成修飾型RNAは様々な種類の1つ以上の成長因子、心房性ナトリウム利尿因子などの心臓作用因子、クリプト、ならびにGATA−4、Nkx2.5およびMef2−Cなどの心臓転写調節因子を発現することができる。本明細書において開示される方法および組成物の中のMOD−RNAによって発現され得るサイトカインおよび成長因子の他の例には、心臓栄養性作用物質、クレアチン、カルニチン、タウリン、アクチビンA、アクチビンBなどのTGFβリガンド、インスリン様成長因子、骨形成タンパク質、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子ナトリウム利尿因子、インスリン、白血病抑制因子(LIF)、上皮成長因子(EGF)、TGFα、およびBMPまたはクリプト経路の産物が挙げられるが、これらに限定されない。

0132

したがって、1つの実施形態では、本発明は、心筋梗塞を治療するための方法であって、心臓増強ポリペプチドをコードする少なくとも1つの合成修飾型RNA(MOD−RNA)を含む組成物を心筋梗塞を有する対象に、心臓発作を有する対象の心臓に、または心臓発作があったことがある対象の心臓に投与する工程を含む方法を提供する。

0133

さらに、出生後心房筋細胞は増殖することができないが、それらは再プログラム化されて、Isl1を再発現し、細胞周期に再び入り、そして、増殖することができる。そのような方法は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2011/0003327号に開示される。したがって、いくつかの実施形態では、Isl1タンパク質を発現するMOD−RNAを含む組成物は心房筋細胞においてIsl1を再発現するために使用することができ、その後、その心房筋細胞は、心臓栄養性成長因子を発現するMOD−RNAと接触させることにより血管平滑筋細胞ならびに心室筋細胞へ分化するように誘導され得る。したがって、本発明は、心房筋細胞をIsl1 MOD RNAで形質導入し、それらの増殖とその後の心室筋細胞への分化を誘導することを考えている。さらに、いくつかの実施形態では、MOD−RNAは、心筋細胞の増殖を促進するために使用されるタンパク質、例えば、表4に開示される任意の遺伝子を発現することができる。

0134

本明細書において使用される場合、「Isl1」という用語はIslet1遺伝子、および機能の構造に有害な影響を与えることがない保存的置換、付加、欠失をその中に含むそのホモログをコードする核酸を指す。Isl1は当技術分野においてIslet 1、ISL LIMホメオボックス1またはIsl−1とも呼ばれる。ヒトIsl1はGenBank受託番号BC031213またはNM_002202に対応する核酸によってコードされ、ヒトIsl1はRefSeq識別番号AAH31213に対応するタンパク質配列に対応する。

0135

いくつかの実施形態では、前記方法および組成物は、筋肉の疾患および障害の治療、例えば、筋ジストロフィーの治療のための筋肉タンパク質をコードするMOD−RNAの使用に関する。筋ジストロフィーは筋肉の遺伝性疾患ファミリーを表す。いくつかの型は子供を冒し(例えば、デュシェンヌ型ジストロフィー)、そして、20年〜30年以内に致死となる。他の型は成人期に存在し、より時間をかけて進行する。いくつかのジストロフィーの遺伝子が特定されており、それにはデュシェンヌ型ジストロフィー(ジストロフィン遺伝子内の変異によって引き起こされる)ならびに十代および成人発症性三好型ジストロフィーまたはその異型体である肢帯型ジストロフィー2BすなわちLGMD−2B(ジスフェリン遺伝子内の変異によって引き起こされる)が含まれる。これらは、筋肉での関連のタンパク質の発現を妨げ、それによって筋肉機能不全を引き起こす「機能欠損型」変異である。自然発生した、または、適切な遺伝子の不活化もしくは欠失により作製された、これらの変異のマウスモデルが存在する。これらのモデルは、筋肉内で失われているタンパク質を補充し、正常な筋肉機能を回復することができる治療法の試験に有用である。

0136

いくつかの実施形態では、1つ以上の遺伝子をコードする合成修飾型RNAを含む組成物は、1つ以上の筋肉組織標的に送達することができる。例えば、その方法がデュシェンヌ型/ベッカー型筋ジストロフィーの治療のためのものである実施形態では、非変異型のジストロフィンタンパク質をコードする合成修飾型RNAを送達することができ、それは1つ以上の筋肉組織標的に送達され得る。例えば、前記方法がエメリー・ドレヒュス型筋ジストロフィーの治療のためのものである実施形態では、エメリンおよび/またはラミンタンパク質をコードする合成修飾型RNAを送達することができ、それは1つ以上の筋肉組織標的に送達され得る。

0137

いくつかの実施形態では、前記方法および組成物は、筋肉の疾患および障害の治療、例えば、骨格筋障害の治療のための筋肉タンパク質をコードするMOD−RNAの使用に関する。いくつかの実施形態では、α1アンチトリプシンタンパク質をコードする合成修飾型RNAを含む組成物は、1つ以上の筋肉組織標的に送達することができる。

0138

いくつかの実施形態では、ジストロフィンおよび/またはエメリンおよび/またはラミンタンパク質をコードする合成修飾型RNAは、前記健康状態、特に胸郭の横隔膜の衰弱に起因する不十分な呼吸および姿勢筋の衰弱に起因する歩行不能に関連する最も顕著な障害を有する筋肉組織に送達することができる。横隔膜注射のために、ジストロフィンおよび/またはエメリンおよび/またはラミンタンパク質をコードする合成修飾型RNAの横隔膜筋への直接注入のための胸腔鏡アプローチを用いることができる。いくつかの実施形態では、骨格筋への注射、例えば、それぞれ姿勢の維持と腕全体の動作に関連する腰帯筋および肩帯筋への直接注入により直接的に、ジストロフィンをコードする合成修飾型RNAを送達することができる。

0139

本発明の別の実施形態は、対象の傷害を受けた組織を治療する方法であって、(a)その対象の組織傷害部位を決定する工程、および(b)少なくとも1つの合成修飾型RNA(MOD−RNA)を含む組成物を組織傷害部位およびその周りに投与する工程を含む方法であり、少なくとも1つの合成修飾型RNA(MOD−RNA)を含むその組成物がその傷害を受けた組織の治療にとって有益であるタンパク質を発現させる方法をさらに提供する。1つの実施形態では、その組織は心臓組織または心筋である。さらなる実施形態では、その組織傷害は心筋梗塞、心筋症または先天性心臓疾患である。いくつかの実施形態では、その組織は皮膚であり、その傷害を受けた組織は創傷治癒部である。前記組織が皮膚であるそのような実施形態では、MOD−RNAを含む組成物は皮膚に局所的に投与され得る。

0140

いくつかの実施形態では、表1、2、3、4、5および6に記載される1つ以上の遺伝子をコードする合成修飾型RNAを含む組成物は、インビボタンパク質発現のために対象の1つ以上の標的組織に送達することができる。いくつかの実施形態では、その標的組織は筋肉組織であり、いくつかの実施形態では、その筋肉組織は心筋組織、骨格組織または平滑筋組織である。

0141

(表1)対象の標的組織でのインビボタンパク質発現のための合成修飾型RNAによってコードされる遺伝子の例

0142

いくつかの実施形態では、少なくとも1つの合成修飾型RNA(MOD−RNA)を含む方法および組成物は、心筋症、心筋梗塞および先天性心臓疾患からなる群より選択される循環障害を治療するために使用することができる。いくつかの実施形態では、心血管系の疾患または障害は心筋梗塞である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの合成修飾型RNA(MOD−RNA)を含む組成物は組織、例えば、心筋梗塞巣を有する心臓組織と接触し、そこでタンパク質のインビボ発現が心筋梗塞巣のサイズを減少させることにより心筋梗塞を治療する。心臓増強タンパク質をインビボで発現する少なくとも1つの合成修飾型RNA(MOD−RNA)を含む組成物は、心筋梗塞巣の結果生じる瘢痕組織のサイズを減少させることにより心筋梗塞を治療するために使用され得ることも意図される。いくつかの実施形態では、本発明は、少なくとも1つの合成修飾型RNA(MOD−RNA)を含む組成物は対象の心臓組織に直接投与される、または全身的に投与されることを考えている。

0143

いくつかの実施形態では、少なくとも1つの合成修飾型RNA(MOD−RNA)を含む方法および組成物は、心筋症、心筋梗塞および先天性心臓疾患からなる群より選択される循環障害を治療するために使用することができ、例えば、MOD−RNAは、表2に開示されるような、心不全を治療するためのMOD−RNA、または血管形成を促進するためのMOD−RNA、例えば、表3に開示される遺伝子のうちのいずれか、またはそれらの組合せを発現することができる。

0144

(表2)心不全の治療用の対象の標的組織でのインビボタンパク質発現のための合成修飾型RNAによってコードされる遺伝子の追加の代表例

0145

(表3)心不全の治療用の対象の標的組織でのインビボタンパク質発現のための合成修飾型RNAによってコードされる遺伝子の追加の代表例

0146

いくつかの実施形態では、本発明はまた、対象の遺伝的欠陥、肉体的傷害、環境障害、または脳卒中、心臓発作もしくは(ほとんどの場合、虚血に起因する)心血管疾患に由来する損傷の結果として生じる心臓または末梢脈管構造の損傷が存在する場合に対象の心血管系の疾患または障害を治療する方法であって、対象の心臓において有効量の心臓増強ポリペプチドをインビボで発現させるための少なくとも1つの合成修飾型RNA(MOD−RNA)を含む組成物をその対象に投与する工程を含む方法に関する。そのような治療の医学的適応には、様々な種類の急性および慢性の心臓疾患、例えば、冠動脈心臓疾患、心筋症、心内膜炎、先天性心血管系障害およびうっ血性心不全の治療が含まれる。治療の効力は、瘢痕組織によって占められる面積の減少または瘢痕組織の再血管形成、および狭心症頻度と重症度において、または最大圧収縮期圧拡張終期圧、患者の運動能および生活の質の改善などの臨床的に受け入れられている基準によってモニターすることができる。

0147

いくつかの実施形態では、心臓増強ポリペプチドをコードする少なくとも1つの合成修飾型RNA(MOD−RNA)を含む組成物の投与の効果は、限定されないが、次の臨床的尺度:心臓駆出率の上昇、心不全の割合の減少、梗塞巣のサイズの減少、合併症の罹患率の減少(肺浮腫、腎不全、不整脈)運動耐容能または他の生活の質の測定基準の改善、および死亡率の低下のうちの1つによって実証され得る。心臓増強ポリペプチドのタンパク質発現の効果は組成物の投与計画投与開始後から数日〜数週間の期間にわたって明らかである場合があり、しかし、インビボ投与後から3時間もの早い時期にインビボタンパク質発現が検出され得るので、発現する心臓増強タンパク質の発現の有益な効果は最初の投与後から数時間もの早い時期に観察する場合があり、そして、その効果は少なくとも数日、数か月から数年持続する場合がある。

0148

いくつかの実施形態では、心臓増強タンパク質をインビボで発現する少なくとも1つの合成修飾型RNA(MOD−RNA)を含む組成物は、特別な装置を使用して心臓に送達することができ、その装置は組成物を心室および心房、心膜、または心筋の内側の所望の位置に直接投与するために利用可能であり、適合している。本明細書において開示される組成物は冠内注射により受容者の心臓に、例えば、冠循環に投与され得る。別の実施形態では、心臓増強タンパク質をインビボで発現する少なくとも1つの合成修飾型RNA(MOD−RNA)を含む組成物は、筋肉内注射により心臓の壁に投与することもできる。

0149

いくつかの実施形態では、心臓における目的のタンパク質、例えば、心臓増強タンパク質のインビボタンパク質発現のためのMOD−RNAを含む組成物は心臓への注射、例えば、心臓の心室壁への直接注入により投与され得る。

0150

いくつかの実施形態では、心臓における目的のタンパク質、例えば、心臓増強タンパク質のインビボタンパク質発現のためのMOD−RNAを含む組成物は、対象の遺伝的欠陥、肉体的傷害、環境障害、または脳卒中、心臓発作もしくは(ほとんどの場合、虚血に起因する)心血管疾患に由来する損傷の結果として生じる心臓または末梢脈管構造の循環損傷を治療するために使用することができ、その方法は、心臓における目的のタンパク質、例えば、心臓増強タンパク質のインビボタンパク質発現のためのMOD−RNAを含む組成物を対象に(移植する工程を含む)投与する工程を含む。そのような治療の医学的適応には、様々な種類の急性および慢性の心臓疾患、例えば、冠動脈心臓疾患、心筋症、心内膜炎、先天性心血管系障害およびうっ血性心不全の治療が含まれる。治療の効力瘢痕組織によって占められる面積の減少または瘢痕組織の再血管形成、および狭心症の頻度と重症度において、または最大圧、収縮期圧、拡張終期圧、患者の運動能および生活の質の改善などの臨床的に受容されている基準によってモニターすることができる。

0151

いくつかの実施形態では、心臓における目的のタンパク質、例えば、心臓増強タンパク質のインビボタンパク質発現のためのMOD−RNAを含む組成物の効果は、限定されないが、次の臨床的尺度:心臓駆出率の上昇、心不全の割合の減少、梗塞巣のサイズの減少、合併症の罹患率の減少(肺浮腫、腎不全、不整脈)運動耐容能または他の生活の質の測定基準の改善、および死亡率の低下のうちの1つによって実証され得る。心臓における目的のタンパク質、例えば、心臓増強タンパク質のインビボタンパク質発現のためのMOD−RNAを含む組成物の効果は前記手法後から数日〜数週間の期間にわたって明らかである場合がある。しかしながら、有益な効果は、前記手法後から数時間もの早い時期に観察する場合があり、そして、その効果は数年持続する場合がある。

0152

いくつかの実施形態では、心臓増強タンパク質をコードするMOD−RNAを含む組成物は、筋原細胞をエクスビボで修飾するために使用することができ、その筋原細胞は対象に移植することができ、いくつかの実施形態では、心臓増強タンパク質をコードする少なくとも1つの他のMOD−RNAの存在下で対象に移植することができる。いくつかの実施形態では、本明細書において開示される合成修飾型RNAが使用されて、例えば、遺伝子産物を置換するために、または心臓性組織の再生を促進するために、疾患を治療するために、または傷害後または筋原細胞の対象への移植後の筋原細胞の生存を改善するために(すなわち、移植拒絶を防ぐために)細胞、例えば、筋原細胞、例えば、心筋細胞を修飾することができる。

0153

別の実施形態では、合成修飾型RNAを使用するインビボタンパク質発現のための本明細書において開示される方法および組成物およびキットは再生医学ストラテジーにおいて同様に使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、目的のタンパク質をコードする少なくとも1つの合成修飾型RNAを含む組成物は目的の細胞集団を含むこともできる。言い換えると、いくつかの実施形態では、本発明は、目的の細胞集団と少なくとも1つの合成修飾型RNAの組合せを対象に投与する工程を含む再生細胞療法のための方法を提供する。したがって、目的のタンパク質をコードする少なくとも1つの合成修飾型RNAおよび目的の細胞の集団を含む組成物は、そのような治療を必要とするヒト患者または他の対象における組織の再構成または再生に使用することができる。MOD−RNAと細胞を含む組成物は、意図した組織部位に移植または移動することができ、機能的な欠損が有る領域を再構成または再生することができるような方式で投与され得る。

0154

いくつかの実施形態では、組織再生のために細胞と併せて投与される合成修飾型RNAを使用するインビボタンパク質発現のための本明細書において開示される方法および組成物およびキットは、心筋細胞の増殖や生存を促進するタンパク質をコードするあらゆるMOD−RNAであり得、例えば、そのような遺伝子は本明細書において開示される表4に記載される遺伝子を含むが、それらに記載されない。

0155

(表4)心不全の治療のための、または心筋細胞の増殖を促進するための対象の標的組織におけるインビボタンパク質発現のための合成修飾型RNAによってコードされる遺伝子の代表的な例

0156

他の機能欠損型疾患の治療
いくつかの実施形態では、合成修飾型RNAを使用するインビボタンパク質発現のための本明細書において開示される方法、組成物およびキットは、機能欠損型疾患の治療の方法において使用することができる。機能欠損型疾患は、タンパク質機能の低減または消失の原因となる遺伝子内の変異と関連がある疾患である。

0157

いくつかの実施形態では、機能欠損型遺伝子は腫瘍抑制遺伝子、またはDNA修復細胞分裂周期チェックポイント細胞運動能転写調節およびアポトーシスに機能する遺伝子内の変異である。機能欠損型は、本明細書において使用される場合、遺伝子または遺伝子産物の正常な活性の低下または消失を指す。活性の喪失は転写やRNAのプロセッシングの低減、翻訳、安定性、輸送もしくは遺伝子産物の活性の低減、またはそれらの任意の組合せに起因し得る。腫瘍抑制遺伝子および腫瘍抑制遺伝子であると疑われる遺伝子には、BRCA1、BRCA2、MLH1、MSH2、MSH6、EPHA3、EPHA4、APHB2、INI1、AXIN1、AXIN2、MLL3、EP300、NF1、TP53、APC、VHL、SMAD2、SMAD4、KEAP1、CDKN2A、RB1、MEN、NF2/SCH、PTCH、TGFBR1、TGFBR2、ACVR1B、AVCR2、MRE11、MAP2K4、およびLKB1/STK11が含まれるが、これらに限定されない。

0158

いくつかの実施形態では、本明細書において開示される方法、組成物およびキットは、本明細書において開示される表5〜7に記載される遺伝子のうちのいずれかをコードする合成修飾型RNAを使用する、対象の組織でのインビボタンパク質発現のために使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書において開示される方法、組成物およびキットは、不整脈の治療のために表5に記載される遺伝子のうちのいずれかをコードする合成修飾型RNAを使用する、対象の組織でのインビボタンパク質発現のために使用することができる。

0159

いくつかの実施形態では、本明細書において開示される方法、組成物およびキットは、ミオパチーの治療のために表6に記載される遺伝子のうちのいずれかをコードする合成修飾型RNAを使用する、対象の組織でのインビボタンパク質発現のために使用することができる。

0160

いくつかの実施形態では、本明細書において開示される方法、組成物およびキットは、対象のリポソーム性蓄積症の治療のために表7に記載される遺伝子のうちのいずれかをコードする合成修飾型RNAを使用する、対象の組織でのインビボタンパク質発現のために使用することができる。

0161

(表5)不整脈の治療のための対象の組織でのインビボタンパク質発現のための合成修飾型RNAによってコードされる遺伝子の代表例

0162

(表6)ミオパチーの治療のための対象の組織でのインビボタンパク質発現のための合成修飾型RNAによってコードされる遺伝子の代表例

0163

(表7)リポソーム性蓄積性疾患および障害の治療のための対象の組織でのインビボタンパク質発現のための合成修飾型RNAによってコードされる遺伝子の代表例

0164

別の実施形態では、合成修飾型RNAを使用するインビボタンパク質発現のための本明細書において開示される方法、組成物およびキットは、嚢胞性線維症の治療のための方法において使用することができる。いくつかの実施形態では、非変異型(野生型)CFTRタンパク質をコードする合成修飾型RNAを対象の横隔膜に送達することができる。いくつかの実施形態では、CFTRをコードする合成修飾型RNAは、非変異型CFTRの発現を管理する修飾型RNAの直接実質注入や気管支内導入によって送達することができる。疾患または障害の治療のための所望のポリペプチドをコードする合成修飾型RNAを送達するためのあらゆる手段が本明細書に包含され、例えば、それぞれ腹腔鏡アプローチおよび内視鏡アプローチを介する腸および膵臓への直接注入が、これらの器官系に関連する障害を有する対象の治療のために用いられ得る。

0165

14kDaの血管新生性リボヌクレアーゼをコードするANGは、ALSにおいて特定された機能欠損型遺伝子である。したがって、別の実施形態では、ANGポリペプチドを発現する少なくとも1つのMOD−RNAを含む組成物は、ALSの治療のために筋肉においてANGタンパク質を発現するために使用することができる。いくつかの実施形態では、ANGタンパク質をコードする合成修飾型RNAをALSと診断された対象の筋肉に送達することができる。

0166

他の機能欠損型疾患の治療は本発明の方法に包含され、そして、部分的機能欠損型疾患を含む。例えば、プレセニリンタンパク質をコードするMOD−RNAを含む組成物を対象のアルツハイマー病の治療のために投与することができる。

0167

機能欠損型疾患はαサラセミア、βサラセミア、ターナー症候群網膜芽細胞腫を含む。

0168

いくつかの実施形態では、本明細書において開示される方法は、1つ以上の疾患の治療のために目的のポリペプチドをコードする合成修飾型RNAを対象の組織に送達する工程を含み、その合成修飾型RNAは埋め込み型装置、例えば、薬物送達ポンプなどの薬物送達装置によって、または代わりに、例えば、単一の進入口からの複数回の筋肉注射を容易にし得る柔軟な注射用カテーテルを使用して送達される。いくつかの実施形態では、目的のポリペプチドをコードする合成修飾型RNA埋め込み型装置の外側に付いて対象の組織に送達され、例えば、目的のポリペプチドをコードする合成修飾型RNAで埋め込み型装置の外側を被覆する。いくつかの実施形態では、治療される疾患が本明細書において開示される心臓の疾患または障害であるとき、目的のポリペプチドをコードする合成修飾型RNAでステントを被覆する。

0169

いくつかの実施形態では、合成修飾型RNAを使用するインビボタンパク質発現のための本明細書において開示される方法、組成物およびキットは、皮膚障害、例えば、皮膚色素障害の治療のための方法において使用することができる。そのような実施形態では、目的のタンパク質をコードする合成修飾型RNAを含む組成物の局所投与は、皮膚障害や皮膚色素障害の治療において用いることができる。いくつかの実施形態では、前記方法は、白斑の治療のためのタンパク質をコードする合成修飾型RNAを使用するインビボタンパク質発現に関する。いくつかの実施形態では、皮膚障害は湿疹(多くの場合、機能欠損型のフィラグリン遺伝子と関連がある)、または白皮症、例えば、ヘルマンスキー・パドラック症候群(中でもHPS1遺伝子およびHPS3遺伝子の変異と関連がある)、色素失調症(IKBKG遺伝子の変異と関連がある)、眼皮膚白皮症(MC1R遺伝子、OCA2遺伝子、SLC45A2遺伝子、TYR遺伝子、SLC45A2遺伝子およびTYRP1遺伝子のうちの1つ以上の変異と関連がある)、ワーデンブルグ症候群(EDN3遺伝子、EDNRB遺伝子MITF遺伝子、PAX3遺伝子、SNAI2遺伝子、およびSOX10遺伝子の変異と関連がある)、および色素性乾皮症(ERCC2遺伝子、ERCC3遺伝子、POLH遺伝子、XPA遺伝子およびXPC遺伝子の変異と関連がある)である。したがって、本発明は、皮膚障害と関連があるタンパク質のインビボ発現によるそのような障害の治療であって、タンパク質発現がその皮膚障害に関連がある1つ以上のタンパク質をコードするMOD−RNAの局所投与によって起こる、治療に関する。

0170

癌の治療
多くの腫瘍、特に腺癌は、化学療法剤の送達に対して抵抗性を示す間質細胞からなる外層(線維形成性組織)を特徴とする。線維形成性組織の量を減少させること、線維形成性組織の増殖速度を低下させること、および/または線維形成性組織が化学療法剤では効果が無い程度にまで程度を減少させることにより、化学療法剤がより効果的に腫瘍に浸透することが可能となり、効力を増強し、必要な用量を減少させることができる。本明細書は、化学療法剤の効力を増大する2つの方法で線維形成性組織を変化させる方法を記載する。いくつかの実施形態では、線維形成性組織の血管形成の程度が上昇し、化学療法剤が腫瘍の全体に届く機会が多くなる。いくつかの実施形態では、線維形成性組織の量または線維形成性組織の増殖速度はヘッジホッグシグナル伝達を阻害することにより低下し、ヘッジホッグシグナル伝達は線維形成性組織の増殖に関連があるとされている。本明細書に記載される合成修飾型RNAは(i)対象の腫瘍の線維形成性組織において血管新生を増強するポリペプチドを発現するために、および/または(ii)標的の腫瘍においてヘッジホッグシグナル伝達を増強するポリペプチドの発現阻害剤として、合成修飾型RNA組成物の個体への投与により、または別の実施形態では、腫瘍をその合成修飾型RNAと接触させることにより使用することができる。いくつかの実施形態では、細胞を合成修飾型RNAとエクスビボで接触させ、次にそのような細胞を対象に投与する。1つの態様では、細胞を患者から取り出し、例えば、電気穿孔法またはリポフェクションにより形質移入し、そして、その患者に再導入するエクスビボアプローチを用いて、修飾型RNAにより細胞を形質移入して治療用タンパク質を発現させることができる。この方法での連続投与または持続型投与は、患者に再注入する血液細胞の電気穿孔法により達成することができる。

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