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技術 ストロンチウムを含むバルク体及びその製造方法

出願人 東ソー株式会社
発明者 召田雅実倉持豪人秋池良
出願日 2018年2月28日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2018-034962
公開日 2019年9月5日 (7ヶ月経過) 公開番号 2019-147728
状態 未査定
技術分野 熱電素子 珪素及び珪素化合物 セラミック製品
主要キーワード 塊形状 ストロンチウム含有量 粒径部分 低酸素量 バルク多結晶 合金体 Sr含有量 被溶解物
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重要な関連分野

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課題

本発明の目的は、低酸素含有量かつ高い機械強度を持つ珪化ストロンチウムを提供することにある。

解決手段

珪化ストロンチウム中の酸素量及びかさ密度を制御することにより機械強度の高い珪化ストロンチウムを作製できることを見出した。かさ密度が3.0g/cm3以上であり、含有酸素量が1.5wt%以下である珪化ストロンチウムバルク多結晶体を提供する。当該バルク多結晶体は、1mmより大きい径のストロンチウム源及び珪素源を含む原料合金化する合金化工程を有する製造方法により得ることができる。

概要

背景

概要

本発明の目的は、低酸素含有量かつ高い機械強度を持つ珪化ストロンチウムを提供することにある。 珪化ストロンチウム中の酸素量及びかさ密度を制御することにより機械強度の高い珪化ストロンチウムを作製できることを見出した。かさ密度が3.0g/cm3以上であり、含有酸素量が1.5wt%以下である珪化ストロンチウムバルク多結晶体を提供する。当該バルク多結晶体は、1mmより大きい径のストロンチウム源及び珪素源を含む原料合金化する合金化工程を有する製造方法により得ることができる。 なし

目的

さらには、自動車廃熱回収に使用するには軽量で資源的に豊富な材料が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

かさ密度が3.0g/cm3以上であり、含有酸素量が1.5wt%以下である珪化ストロンチウムバルク多結晶体。

請求項2

主な結晶相が珪化ストロンチウムに関する結晶相である請求項1に記載のバルク多結晶体。

請求項3

主な結晶相が立方晶SrSi2結晶相である請求項2に記載のバルク多結晶体。

請求項4

Si/Sr原子量比が1.8以上2.4以下である請求項3に記載のバルク多結晶体

請求項5

主な結晶相が正方晶Sr2Si3結晶相である請求項2に記載のバルク多結晶体。

請求項6

Si/Sr原子量比が1.3以上1.8未満である請求項5に記載のバルク多結晶体

請求項7

主な結晶相が斜方晶SrSi結晶相である請求項2に記載のバルク多結晶体。

請求項8

Si/Sr原子量比が0.7以上1.3未満である請求項7に記載のバルク多結晶体

請求項9

X線回折パターンにおける珪化ストロンチウム結晶相に起因した最大ピーク強度に対する、Si結晶相に起因した最大ピーク強度の強度比が10%以下である請求項1ないし請求項8いずれか一項に記載のバルク多結晶体。

請求項10

粒径45μm以上の粗粒を含まない請求項1乃至9いずれか一項に記載のバルク多結晶体。

請求項11

珪素源及び1mmより大きい径のストロンチウム源を含む原料合金化する合金化工程を有する請求項1乃至10のいずれか一項に記載の珪化ストロンチウムバルク多結晶体の製造方法。

請求項12

請求項1乃至10いずれか一項に珪化ストロンチウムバルク多結晶体を有する熱電変換素子

技術分野

0001

熱エネルギー電気エネルギーとの相互変換が可能な素子として熱電変換素子が知られている。この熱電変換素子は、p型及びn型の二種類の熱電変換材料熱電材料)を用いて構成されており、この二種類の熱電材料を電気的に直列に接続し、熱的に並列に配置した構成とされている。この熱電変換素子は、両端子間電圧印加すれば、正孔の移動及び電子の移動が起こり、両面間に温度差が発生する(ペルチェ効果)。また、この熱電変換素子は、両面間に温度差を与えれば、やはり正孔の移動及び電子の移動が起こり、両端子間に起電力が発生する(ゼーベック効果)。このため、ペルチェ効果を利用したパーソナルコンピュータのCPU、冷蔵庫カーエアコン等の冷却用の素子としての検討、ゼーベック効果を利用したごみ焼却炉等から生ずる廃熱を利用した発電装置用の素子としての検討が進められている。特に、自動車エンジン廃熱量は無視できないほど多量であるため、エンジンの廃熱を利用して発電することも考えられており、その温度域は数百度と言われている。

0002

従来、熱電変換素子を構成する熱電材料として、Bi2Te3が主に実用化されており、Bi−Te系の材料でn型の熱電材料を形成する際には一般にSeが添加される。しかし、これらの熱電材料を構成する元素のBi、Te及びSeは毒性が強いため、環境汚染のおそれがある。そのため、環境負荷の少ない、即ち毒性を有しない熱電材料が望まれている。また、Bi−Te系の材料は100℃程度での利用が主であり、自動車の排熱利用に対しては適していない。さらには、自動車の廃熱回収に使用するには軽量で資源的に豊富な材料が望まれている。

0003

珪化物系の熱電材料としてMg2Siが知られている(例えば、特許文献1参照)。同族元素を用いた薄膜作製方法としてBaSi2系(例えば、特許文献2参照)並びにBaSi2系のBaの部分をSrに置換したもの(例えば、特許文献3参照)が提案されているが、SrSi2バルク体熱電特性に関する検討はなされているが、(たとえば非特許文献1)含有酸素量機械強度及びバルク体の組織に関する検討はなされていなかった。

先行技術

0004

特開2002−368291号公報
特開2016−008316号公報
特開2005−294810号公報
Journal of Applied Physics102、063703(2007)

発明が解決しようとする課題

0005

本発明の目的は、低酸素含有量かつ高い機械強度を持つ珪化ストロンチウムを提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

このような背景に鑑み、本発明者らは鋭意検討を重ねた。その結果、珪化ストロンチウム中の酸素量及びかさ密度を制御することにより機械強度の高い珪化ストロンチウムを作製できることを見出し、本発明を完成するに至った。

0007

すなわち、本発明の態様は以下の通りである。
(1)かさ密度が3.0g/cm3以上であり、含有酸素量が1.5wt%以下である珪化ストロンチウムバルク多結晶体。
(2)主な結晶相が珪化ストロンチウムに関する結晶相である(1)に記載のバルク多結晶体。
(3)主な結晶相が立方晶SrSi2結晶相である(2)に記載のバルク多結晶体。
(4)Si/Sr原子量比が1.8以上2.4以下である(3)に記載のバルク多結晶体。
(5)主な結晶相が正方晶Sr2Si3結晶相である(2)に記載のバルク多結晶体。
(6)Si/Sr原子量比が1.3以上1.8未満である(5)に記載のバルク多結晶体。
(7)主な結晶相が斜方晶SrSi結晶相である(2)に記載のバルク多結晶体。
(8)Si/Sr原子量比が0.7以上1.3未満である(7)に記載のバルク多結晶体。
(9)X線回折パターンにおける珪化ストロンチウム結晶相に起因した最大ピーク強度に対する、Si結晶相に起因した最大ピーク強度の強度比が10%以下である(1)乃至(8)いずれかに記載のバルク多結晶体。
(10)粒径45μm以上のSi粗粒を含まない(1)乃至(9)いずれかに記載のバルク多結晶体。
(11)珪素源及び1mmより大きい径のストロンチウム源珪素源を含む原料合金化する合金工程を有する(1)乃至(10)のいずれかに記載の珪化ストロンチウムバルク多結晶体の製造方法。
(12)(1)乃至(10)のいずれかに記載の珪化ストロンチウムバルク多結晶体を有する熱電変換素子。

0008

以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。

0009

本発明は、含有酸素量が1.5wt%以下である珪化ストロンチウムバルク多結晶体である。これにより強度の高い珪化ストロンチウム多結晶体を得ることが可能となる。

0010

本発明のバルク多結晶体の含有酸素量は、好ましくは1.0wt%以下、さらに好ましくは0.7wt%以下、またさらに好ましくは0.5wt%以下である。これにより多結晶体中に混入した酸素に起因する結晶のひずみを低減することができ、当該多結晶体の強度がより向上する。

0011

ここで含有酸素量の測定方法として、当該多結晶体を熱分解させ、炭素窒素水素分析装置を用いて熱伝導度法により酸素量を測定する方法を例示できる。また、XPS(X線光電子分光)、EPMAなどの元素分析により測定する方法なども挙げられる。

0012

本発明のバルク多結晶体は、その密度が3.0g/cm3以上であることが好ましく、3.2g/cm3以上であることがさらに好ましい。これにより、バルク体中に開気孔が少なくなり、表面の酸化が進みにくくなる。

0013

ここで密度とはかさ密度のことであり、寸法計測による方法、アルキメデス法による方法を例示することができる。

0014

珪化ストロンチウムの結晶相は組成により異なり、Sr2Si相、Sr5Si3相、SrSi相、Sr2Si3相、SrSi2相等があげられる。X線回折測定にて珪化ストロンチウムに関係する相が見られる場合に、本発明のバルク多結晶体が珪化ストロンチウムの結晶相を有すると見なす。バルク体のXRDパターンにおいて、もっとも強いピーク強度を示す回折角を示す結晶相を、バルク体の有する主な結晶相とする。

0015

本発明のバルク多結晶体はSrSi2を含むことが好ましい。これにより、多結晶体の強度がより高くなり、かつ、高い熱電特性を示す。SrSi2の結晶相は、立方晶、正方晶または三方晶の少なくとも一つの結晶相であることが好ましい。また、立方晶SrSi2相を主晶として含むことが好ましい。これにより、バルク体の強度がより向上する。ここで、立方晶SrSi2相が主相であることは、バルク体のXRDパターンにおいて、もっとも強いピーク強度を示す回折角を示す結晶相が立方晶SrSi2相であることを表す。

0016

ここで珪化ストロンチウムの結晶相を有することは、XRD回折試験において以下のように確認することができる。すなわち、珪化ストロンチウム結晶構造帰属されるピークとは、Cuを線源とするXRDの2θ=20〜80°の範囲内に検出される回折ピークが、JCPDS(Joint Committee for Powder Diffraction Standardsカード各結晶相に帰属するNo.である(例えば、SrSi2立方晶ならば、01−071−0491に帰属されるピークパターンまたはそれに類似したピークパターン(シフトしたピークパターン)に指数付けできるものであることを指す。

0017

本発明のバルク多結晶体は、正方晶Sr2Si3を主相として含むことが好ましい。これにより、多結晶体の強度がより高くなり、かつ、高い熱電特性を示す。ここで、正方晶Sr2Si3相が主相であることは、バルク体のXRDパターンにおいて、もっとも強いピーク強度を示す回折角を示す結晶相が正方晶Sr2Si3相であることを表す。

0018

本発明のバルク多結晶体は、斜方晶SrSiを主相として含むことが好ましい。これにより、多結晶体の強度がより高くなり、かつ、高い熱電特性を示す。ここで、斜方晶SrSi相が主相であることは、バルク体のXRDパターンにおいて、もっとも強いピーク強度を示す回折角を示す結晶相が斜方晶SrSi相であることを表す。

0019

本発明のバルク多結晶体は、粒径45μm以上のSi粗粒を含まないことが好ましい。これにより、本発明の多結晶体へのSiの混入を抑制することでき、強度を向上することが可能となる。粗粒の存在は電子顕微鏡を用いた観察により確認することができる。

0020

Siの混入量はなるべく少ないことが好ましい。その指標として、XRDパターンにおいて、主相である珪化ストロンチウムの最大となる回折ピーク強度に対する、シリコン(100)面に帰属する回折ピーク強度比が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがさらに好ましく、とくに好ましくは1%以下である。これにより、本発明の多結晶体へのSiの混入を抑制することでき、強度を向上することが可能となる。

0021

シリコンの混入量を評価するに当たりX線回折装置で得たピーク強度を元に、下記の式を用いた。
Si/SrSix(%)=シリコン最大ピーク強度/珪化ストロンチウム最大
ピーク強度×100
(ここで、SrSixとは、SrとSiから構成される合金を一般的に表記するものであり、SrとSiから構成される合金のいずれかを示す。)
例えば、珪化ストロンチウムの主相が立方晶SrSi2相である場合、Si(100)に帰属されるピークと、珪化ストロンチウム立方晶SrSi2相(112)面とのピーク強度の比で表すことができる。

0022

本発明のバルク多結晶体のSi/Sr原子量比は、1.8以上2.4以下であることが好ましい。これにより、主相としてSrSi2相が存在しやすく、かつ、で良好なSrSi2相を得ることが可能となる。

0023

本発明のバルク多結晶体のSi/Sr原子量比は、1.3以上1.8未満であることが好ましい。これにより、主相としてSr2Si3相が存在しやすく、かつ、良好なSr2Si3相を得ることが可能となる。

0024

本発明のバルク多結晶体のSi/Sr原子量比は、0.7以上1.3未満であることが好ましい。これにより、主相としてSrSi相が存在しやすく、かつ、良好なSrSi相を得ることが可能となる。

0025

次に、本発明のバルク多結晶体の製造方法について説明する。

0026

(合金化工程)
本発明の製造方法は、ストロンチウム源及び珪素源を含む原料を合金化する合金化工程を有する。合金化方法は特に限定されないが、極力酸素を含有させないような方法が好ましく、そのためには容器などに酸素を含有する機材をなるべく使用しない装置であるアーク溶解法が好ましい。アーク溶解法とは電極から放電させることで被処理物質局所的に加熱し溶融する手法である。この方法は簡便に高温処理が可能となり、合金化処理方法として優れている。また、雰囲気制御もできるために、不活性ガス雰囲気中などで処理が可能であり、得られる合金の含有する酸素量をより低酸素量とすることが可能となる。例えば、ストロンチウム源に金属ストロンチウム、珪素源にシリコンを用いた場合、ストロンチウムの融点が約780℃、沸点が約1400℃、シリコンの融点が約1400℃であることから、双方を均一に溶融するためにも、高速昇温が可能であるアーク溶解炉は有効である。

0027

ストロンチウム源はストロンチウムの単体金属、ストロンチウム合金の少なくともいずれかであることが好ましく、特に好ましいストロンチウム合金として、珪化ストロンチウム合金をあげることができる。

0028

珪素源はシリコンの単体金属、シリコン合金の少なくともいずれかであることが好ましく、特に好ましいシリコン合金として、珪化ストロンチウム合金をあげることができる。

0029

ここで、原料に珪化ストロンチウム合金を含む場合、当該珪化ストロンチウム合金はストロンチウム源、及び珪素源とすることもできる。

0030

ストロンチウム源の平均粒径は1mmより大きいことが好ましく、さらに好ましくは8mm以上である。これにより、酸化が抑制され、安定してバルク多結晶体中の酸素量を低下させる効果が得られる。

0031

特に、ストロンチウム源として、金属ストロンチウムを利用する場合、塊形状であることが好ましい。これにより、表層酸化が進行しにくく、得られる合金に酸素が取り込まれにくくなると共に、ストロンチウム溶解時に酸化膜揮発しにくいため、得られるバルク多結晶体におけるストロンチウム含有量が変動しにくい。その直径は1mmより大きいことが好ましく、5mm以上がさらに好ましく、更に好ましくは10mm以上である。これにより表層を低減し、酸化を抑制すると共に、安定的にストロンチウムを投入することが可能となる。

0032

珪素源は粉末であることが好ましく、粉末の平均粒径は10mm以下、更には5mm以下であることが好ましい。平均粒径とは粉末もしくは粉砕後の破砕物平均粒子径を示しており、その粒径は例えば粒度分布計、粒子寸法計測などで測定される粒径における平均粒径を指す。平均粒径が10mmより大きくとなると、溶解時に未溶解や未反応のシリコンの残渣が残ることで珪化ストロンチウム合金体中にシリコン粗粒が発生し、割れが生じるため、珪化ストロンチウムバルク多結晶体を製造する事が困難となる。また、粒径が0.1mmよりも小さいとアーク溶解法を利用する際に放電のエネルギーによりシリコン粉末が溶融する前に飛散し、また、表面張力により溶液中に浮遊してしまうため、安定的、かつ必要な組成比に溶解することが困難となる可能性があるため、シリコン粉末の平均粒径は0.1mm以上のものを使うことが望ましい。

0033

合金化工程において、ストロンチウム源、珪素源を混合しアーク溶解処理を行う、アーク溶解処理を一段階行う方法、又は、ストロンチウム源と珪素源をアーク溶解処理し、その後溶解物反転し、改めてアーク溶解処理を行う、アーク溶解処理を二段階行う方法のいずれでもよいが、前述のアーク溶解処理を二段階行う方法が好ましい。ここで、二段階行うとは、溶解中に被溶解物上下反転させることを表す。これにより、本発明のバルク多結晶体において、珪素が十分に拡散する、すなわち、珪化ストロンチウムへの固溶が十分におきるため、固溶していない珪素の存在により焼結体強度が低下するという問題を解決することもできる。具体的に溶解する手段として、先にストロンチウムが溶解されるように原料を設置する。例えば水冷鋳型の底部にシリコンを設置後、その上部に金属ストロンチウムを設置することで、アーク溶解初期にストロンチウムがアーク放電に晒されるようにする。そうすることで初期にストロンチウムを溶解し、その後シリコン後合金化できるようになる。ただし、水冷鋳型の底部は温度が低いため、溶解時間を長くするなどの工夫が必要である。

0034

合金化処理においてアーク溶解法を用いる場合、材料重量当たりのアークの出力の強さが重要となる。それにより、融点差の大きな材料を合金化できるかどうかが決まる。例えばバリウムと珪素の合金化の場合は、バリウムの融点約730℃、沸点約1640℃と融解後揮発までの温度に一定の幅があるため、初期出力100〜200A、溶解中の出力は10〜30A/g(溶解金属投入量当たりの放電電流量)の出力範囲で溶解が可能であり、ある程度容易に溶解が可能であるが、金属ストロンチウムは融点約780℃、沸点が1400℃とシリコンの溶融温度範囲ではストロンチウムが揮発し所望の組成比の珪化ストロンチウム合金を得ることができない。

0035

特にストロンチウム源として金属ストロンチウムを用いる場合、合金化工程初期の放電電流は100A未満であることが好ましく、より好ましくは70A以下、さらに好ましくは50A以下である。下限値としては20A以上が好ましく、更に好ましくは30A以上である。そうすることで金属ストロンチウムを溶解させ、かつ揮発を抑制した状態で合成を開始することが可能となる。溶解後の合金物に対しては5〜10A/Sr−g(ストロンチウム投入量当たりの放電電流値)の放電電流をかける。そしてその反応時間を3分以上行うことで、珪素の溶融温度よりも低い温度で珪化ストロンチウムへの合金化が進行することで、揮発を抑制し、珪素が残留しない、珪素とストロンチウムの合金化を進めることが可能となる。また、アーク溶解法を利用することで局所的に加熱を行うことにより、ストロンチウムと珪素の界面のみを優先的に加熱し、反応を促進することが可能となる。

0036

また、原料であるストロンチウム源及び珪素源の酸素含有量は極力少ないことが望ましく、具体的には20atm%以下であることが好ましく、10atm%以下であることがより好ましい。原料中の酸素含有量を少なくすることで、多結晶体に残留する酸素が減少し、純度も向上する。例えば、ストロンチウム源として金属ストロンチウムを用いる場合、ストロンチウムは空気に触れると速やかに酸化が進行するため、酸素量を軽減するためには、空気に触れないように溶解装置に設置する必要がある。

0037

本発明のバルク多結晶体は、合金化工程で得られたものであってもよいが、合金化工程で得られたものを次の粉砕工程及びホットプレス工程で処理することがより好ましい。

0038

(粉砕工程)
本発明の製造方法は、合金化工程で得られたストロンチウム合金を粉砕する粉砕工程を有することが好ましい。この工程では、当該合金を粉砕して粉末状とする。当該合金の酸素含有量を増加させないため、合金化工程から粉砕工程の間において、珪化ストロンチウム合金は、不活性ガス、又は乾燥ガス雰囲気化に曝した状態であることが好ましく、粉砕も不活性ガス、乾燥ガス雰囲気で行うことが好ましい。ドープ元素含有合金の粉末表面の酸化を防ぎ、酸素含有量を低く抑えることができるからである。粉砕は、乳鉢を使用する方法、ボールミルを使用する方法、ビーズミルを使用する方法を例示することができる。

0039

(ホットプレス工程)
本発明のバルク多結晶体の製造方法は、珪化ストロンチウム合金の粉末を600℃以上1100℃以下でホットプレス処理するホットプレス工程を有することが好ましい。これにより、得られるバルク多結晶体がより均一となり、その熱電変換特性が安定したものとなる。ホットプレス法は粉末を加圧しながら温度を与えることで焼結を進める装置であり、加熱時に一軸加圧を行なうことで焼成時の被処理物内の元素の拡散を補助するため、拡散係数が低い元素を含有する場合、又は金属など粒子径が大きい粉末を処理する場合など、焼結しにくい材料でも焼結できる焼成法である。ホットプレス法により焼成を行なうことで従来よりも密度が向上し、例えば3.0g/cm3以上の高い密度を有する珪化ストロンチウム多結晶体を得ることが可能となる。

0040

ホットプレス工程に供する、珪化ストロンチウム合金の粉末は、ストロンチウム源、珪素源を含む原料を前述したアーク溶解により処理することで得られた珪化ストロンチウム合金を粉砕したものであることが好ましい。

0041

ホットプレス工程に供する珪化ストロンチウム合金の粒径は、10μm以上200μm以下が好ましく、更に好ましくは30μm以上150μm以下である。そうすることで、粉末が微細となり、焼結性が向上することで焼結後の粒子同士の結合が強固になるためバルク多結晶体の密度並びに強度が向上する。ただし、10μm未満では粉末の酸化が進行しやすく、また、粉末充填時の密度が低下するため、低酸素、高密度の焼結体を得ることが困難となる。

0042

ホットプレス処理における焼成温度は600℃以上1000℃以下であり、好ましくは、700℃以上1000℃以下で焼成する。600℃より低い温度では焼結が進まず、密度が成形体密度と同程度にしか向上しない。また、1000℃よりも高い温度にて焼成を行なうと融点が近いために珪化ストロンチウムが溶融する可能性がある。

0043

ホットプレス処理における圧力は10MPa以上100MPa以下であることが好ましい。これにより、多結晶体の密度をより向上させることができ、なおかつ、一般的に用いられるカーボン製の金型でも使用に耐えうるからである。

0044

ホットプレス処理における雰囲気は酸素を含まない雰囲気で行なう事が好ましく、真空窒素雰囲気アルゴン雰囲気の少なくともいずれかであることが好ましい。

0045

ホットプレス処理の焼成温度における保持時間は30分以上であることが望ましく、さらには1時間以上であることが望ましい。保持時間が短いと内部まで均一に加熱できず多結晶体として保形が難しい。

0046

本発明のバルク多結晶体は、所定の寸法に加工してもよい。加工方法は特に限定しないが、平面研削法、ロータリー研削法または円筒研削法等を用いることができる。水と反応するために加工時の水の取扱には注意を要する。必要に応じて、熱電変換素子用途に適した形状に加工してもよい。

0047

以下、本発明の実施例をもって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

0048

(主な結晶相及びSi/SrSixピーク強度比確認方法
XRD装置一般的な粉末X線回折装置(装置名:UltimaIII、リガク社製)を用いた。XRD測定の条件は以下のとおりである。
線源:CuKα線(λ=0.15418nm)
測定モード : 2θ/θスキャン
測定間隔: 0.01°
発散スリット: 0.5deg
散乱スリット: 0.5deg
受光スリット: 0.3mm
計測時間 : 1.0秒
測定範囲: 2θ=20°〜80°
XRDパターンの同定分析には、XRD解析ソフトウェア商品名:JADE7、MID社製)を用いた。
ピーク強度比はSiの最大ピーク強度と珪化ストロンチウム(SrSix)の最大ピーク強度から下記のように計算した。
Si/SrSixピーク強度比=Si最大ピーク強度/珪化ストロンチウム最大ピーク強度×100(%)

0049

(SiとSrの組成比の測定方法)
ICP−AESを用いて、元素分析を実施し、測定した重量%から、SiとSrの原子量比を計算した。

0050

(酸素含有量の確認方法)
対象物を抽出炉に仕込みヘリウム気流中で直流電流をかけて3000℃まで昇温することで熱分解させ、酸素・窒素・水素分析装置(Leco社製)を用いて酸素量を熱伝導度法により測定した。

0051

粉末粒子径の測定方法)
筒井理化学ミクロ電磁振動ふるい器を用いて、355μm、250μm、150μm、106μm、90μm、75μm、53μm、32μm、受け皿を用いて5gの粉末を3分間最大メモリにて振動し、各篩受けに分級された粉末の粒径を677.5μm、302.5μm、200μm、128μm、98μm、82.5μm、64μm、42.5μm、28.5μm、12.5μmとし、その積算値グラフにおける50%粒径部分数値を粉末粒子径とした。

0052

抵抗率の測定方法)
レスタ(三菱アナリテック社製)もしくはハイレスタ(三菱アナリテック社製)により測定した。

0053

(かさ密度の測定方法)
多結晶体の重量並びに寸法を測定、もしくはJIS-R 1634におけるかさ密度を測定することで密度を測定した。

0054

(バルク多結晶体中Si粒径の測定方法)
バルク多結晶体中のシリコン粒子の大きさは試料研磨後、SEM透過型電子顕微鏡)を用いて、反射電子像、もしくはEDSにより最大のシリコン粒子を同定し、その断面積から換算される直径を算出した。観察範囲は2mm四方を観察し、100倍から1000倍の画像を必要に応じて使用した。

0055

ビッカース硬度の測定方法)
ビッカース硬度はミツトヨ製ビッカース硬度計HV115を用いてHV5の設定にて圧痕打ち込み、その圧痕の対角線の長さの平均から硬度(HV5)を測定した。

0056

抗折強度
抗折強度はJIS−R−1601の方法にのっとり測定を行った。

0057

(実施例1)
アーク溶解装置中の同性の水冷鋳型の底部にシリコン(純度5N平均粒径2mm)6.4gを敷き、その上部に金属ストロンチウム(純度99.9%フルウ化学平均径10mm)10gを載せ、金属ストロンチウム:シリコンの原子量比(以下、「仕込Si/Sr比」とも称する。)が1:2になるように原料を設置した。当該設置原料に対し、まず50A(5A/Sr−g)の電流値によるアーク放電を行い、目視によりストロンチウム溶解を確認した後、そのまま50Aにて3分間アーク放電により溶解を継続した。得られた合金を上下反転させ、50Aにて3分間、再びアーク放電による溶解を実施し、珪化ストロンチウム合金を作製した。得られた珪化ストロンチウム合金を、窒素ガス雰囲気下でメノウ乳鉢を用いて150μm篩通しが可能になるまで粉砕し、珪化ストロンチウム合金粉末を作製した。

0058

次に、得られた珪化ストロンチウム合金粉末30g(平均粒径70μm)に対して、52mmφのカーボン製の金型を用いてホットプレス処理を行なった。加熱前の真空度は3×10−3Paであった。金型内を200℃/hにて昇温し、最終的に950℃まで温度を上昇させ、その際の加圧条件は950℃保持の際に40MPaまで上昇させ、保持時間1時間にてホットプレス処理を行い、珪化ストロンチウムバルク多結晶体の作製を行った。降温は5時間で約50℃まで降温し、金型を取り出し、バルク多結晶体の回収を行なった。各工程における条件を表1に示す。

0059

得られたバルク多結晶体は以下の性質を有していることを確認した
Sr含有量: 31.2atm%
Si含有量: 68.8atm%
Si/Sr比 : 2.2
酸素含有量 : 0.23wt%
かさ密度: 3.27g/cm3
Si最大粗粒径 : 20μm
主な結晶相: 主相:立方晶SrSi2
Si/SrSixピーク強度比: 1.0%
抵抗率: 2.0 × 10−3Ω・cm
ビッカース硬度: 412HV5
抗折強度: 未測定
得られたバルク多結晶体の各物性を表2に示す。

0060

(実施例2〜7)
各条件を表1に記載してあるとおりに実施した以外は、実施例1と同様の方法で珪化ストロンチウムバルク多結晶体を作製した。得られたバルク多結晶体の各物性を表2に示す。

0061

(比較例1)
アーク溶解時のストロンチウム金属の平均粒径を1mmとした以外は、実施例1と同様の方法で珪化ストロンチウムバルク多結晶体を作製した。得られたバルク多結晶体は、含有酸素量が多く、非常に大きなSiの粗粒も散見されるものであった。得られたバルク多結晶体の各物性を表2に示す。

0062

(比較例2)
合金化工程後の粉砕工程における篩通しを1000μmとした以外は、実施例1と同様の方法で珪化ストロンチウムバルク多結晶体を作製した。得られたバルク多結晶体は、含有酸素量が多かった。また、かさ密度が十分に上がっておらず抗折強度を測ることができないほど脆く、硬度も低かった。得られたバルク多結晶体の各物性を表2に示す。

0063

(比較例3)
合金化工程において、アーク放電処理の際に、設置した原料を上限反転せずに6分間処理を継続した以外は、実施例1と同様の方法で珪化ストロンチウムバルク多結晶体を作製した。得られたバルク多結晶体は、含有酸素量が多かった。また、非常に大きなSiの粗粒も散見され、抗折強度および硬度も低かった。得られたバルク多結晶体の各物性を表2に示す。

0064

(比較例4)
平均粒径180μmの、市販の珪化ストロンチウム(フルウチ化学製)粉末をホットプレスして珪化ストロンチウムバルク多結晶体を作製した。ホットプレスの条件は実施例1と同様とした。得られたバルク多結晶体は、含有酸素量が多かった。また、非常に大きなSiの粗粒も散見され、割れが生じ、抗折強度を測定するために必要な大きさが得られなかった。抗折強度を測ることができないほど脆いものであった。得られたバルク多結晶体の各物性を表2に示す。

0065

(比較例5)
ホットプレス工程における温度を500℃とした以外は実施例1と同様の方法で珪化ストロンチウムバルク多結晶体を作製した。得られたバルク多結晶体は、含有酸素量が多かった。また、かさ密度が十分に上がっておらず抗折強度を測ることができないほど脆く、硬度も低かった。得られたバルク多結晶体の各物性を表2に示す。

0066

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