図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2019年9月5日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (16)

課題

in vivo治療目的のmRNAの作製に極めて好適な改善されたRNA転写ベクターの提供。

解決手段

転写可能な核酸配列、5'翻訳エンハンサー(TE)配列、及び3'核内係留要素(ENE)を含む、RNA転写ベクター。前記翻訳エンハンサー(TE)配列が5'UTR(非翻訳領域)のTOP(末端オリゴピリミジントラクト;Terminal OligoPyrimidine tract)領域、IRES内部リボソーム導入部位;InternalRibosome Entry Site)及び上流のORF(オープンリーディングフレーム;Open Reading Frame)を含むリストから選択されてよい。

概要

背景

ヒトの免疫系は健常細胞腫瘍細胞及び感染因子とを区別することが可能であるが、異常を適切に認識し、反応するのに失敗することがある。したがって、医学では腫瘍細胞及び感染因子の監視及び排除において免疫系を補助する幾つかの戦略の開発が注目されている。樹状細胞(DC)は免疫応答刺激(instigation)における中心的存在として知られる抗原提示細胞APC)であり、免疫療法におけるDCの活用に相当な努力が注がれている。例えば癌の場合、腫瘍細胞量を特異的に減少させ、腫瘍再発を制御する免疫記憶誘導することができるエフェクターT細胞を誘発することによる腫瘍特異的な免疫応答の誘導及び永続化が目的とされる。標的化可能な腫瘍関連抗原(TAA)が同定されれば、これをプロフェッショナルなAPC、すなわち樹状細胞を負荷するためにin vivo又はex vivoで使用することができる。

ペプチドタンパク質全腫瘍細胞抽出物プラスミドDNA又はmRNA等の種々の抗原フォーマットがDCに関してin vivo又はexvivo免疫療法で評価されている。これらのアプローチの中でも、抗原をコードするmRNAが特に有望なものとして浮上している。ペプチドによる古典的なワクチン接種に優る利点は、mRNAが全抗原についての遺伝情報をコードしていることである。完全長抗原を処理することで、HLA特異的ペプチドを決定する必要なしに全ての利用可能なエピトープ患者MHC分子提示される。利用可能なペプチドがそのHLA型に適合しないという理由で患者を治療から除外する必要はない。加えて、mRNAにはゲノム組込みのリスクがなく、DNA又はウイルスベクターと比較して好都合な安全性プロファイルをもたらす。mRNAはその一時的性質のために短時間しか発現されず、最終的に天然生成物へと分解される。さらに、mRNAは共刺激シグナルを引き起こすそれ自身のアジュバントとして作用し、mRNAベースの免疫療法において有利である。ex vivoでのその後のトランスフェクトDCの養子移入による又はmRNAの直接投与及びin vivoでの取込みによる、2つのDCへの外因性mRNA送達経路が適用されている。

Diken et al. (2011)によって行われた研究から、mRNAの取込みがDC成熟の際に失われる未熟DCの機能であるマクロピノサイトーシスに依存するため、成熟刺激及び/又はその送達のタイミングを慎重に選択する必要があることが強調される。その結果として、リポ多糖LPS)等の古典的成熟刺激因子とTAA mRNAとの同時送達は、抗原特異的T細胞応答の誘導を共同決定するパラメーターである抗原のバイオアベイラビリティに悪影響を与える(非特許文献1、非特許文献2)。これまで、TAAmRNAでDCを同時に負荷し、それらをin vivoで活性化する2つの異なる戦略が調査されている。

Fotin-Mleczek et al. (2011)は、適応免疫のための抗原供給源をもたらすとともに病原体認識受容体TLR7の誘発を増強する、遊離mRNA及びプロタミン複合mRNAを含有する二成分系を記載している。この免疫化戦略は、記憶T細胞が腫瘍再発を回避することから重要な強い抗腫瘍免疫応答の誘導及び持続記憶応答をもたらした。

Bonehill et al., 2008は、初めにex vivo生成DCの活性化のためのアジュバント目的でmRNAの特定の組合せの使用を評価したが、これはin vivoでの直接投与及び取込みに同様に適用可能である(非特許文献3)。これは特許出願(特許文献1)につながり、発明者らはここで、抗原性ペプチドパルス抗原提示細胞又はTAAをコードするmRNAを用いて(同時)電気穿孔した抗原提示細胞のT細胞刺激能が、2つ以上の免疫刺激因子をコードするmRNA又はDNA分子の混合物を用いる電気穿孔によって種々の分子アジュバントを与えることで大幅に増強し得ることを記載している。標的特異的ペプチドでパルスした又は標的特異的抗原をコードするmRNAを用いて同時電気穿孔したかかる修飾抗原提示細胞が、抗原特異的T細胞をin vitro及びワクチン接種後の両方で刺激し、それにより抗腫瘍抗ウイルス、抗細菌又は抗真菌免疫療法のための新たな有望なアプローチを得ることができるという概念実証が提示される。この発明で使用される免疫刺激因子の好ましい組合せはCD40L及びcaTLR4、又はCD40L及びCD70である。他の好ましい実施の形態では、CD40L、CD70及びcaTLR4免疫刺激分子の組合せが使用され、これを以下で「TriMix」と呼ぶ。

本発明は、5'翻訳エンハンサー配列と3'核内係留配列とを含有するRNA転写ベクターに関する。本発明によるベクターは、in vitro転写mRNAによってコードされるタンパク質の発現において空pUCベクター、又は翻訳エンハンサー若しくは核内係留配列のいずれかを含有するベクターと比較して予期せぬ改善を示す。これらの改善は、特にベクターにおける2つの成分:翻訳エンハンサー及びRNA安定化配列の同時存在、並びにそれにより得られる発現産物におけるその組込みによるものである。さらに、マウスモデルにおける本発明のベクターから得られるTriMix mRNAのin vivo適用は、より遅い腫瘍の成長及び該マウスの平均余命の増大をもたらす。

概要

in vivo治療目的のmRNAの作製に極めて好適な改善されたRNA転写ベクターの提供。転写可能な核酸配列、5'翻訳エンハンサー(TE)配列、及び3'核内係留要素(ENE)を含む、RNA転写ベクター。前記翻訳エンハンサー(TE)配列が5'UTR(非翻訳領域)のTOP(末端オリゴピリミジントラクト;Terminal OligoPyrimidine tract)領域、IRES内部リボソーム導入部位;InternalRibosome Entry Site)及び上流のORF(オープンリーディングフレーム;Open Reading Frame)を含むリストから選択されてよい。

目的

本発明は、配列番号1に対して少なくとも80 %の配列同一性を有する翻訳エンハンサー(TE)配列と、転写可能な核酸配列と、配列番号4によって表される核内係留配列とを含む、核酸ベクターを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

列番号1に対して少なくとも80 %の配列同一性を有する翻訳エンハンサー(TE)配列と、転写可能な核酸配列と、配列番号4によって表される核内係留配列とを含む、核酸ベクター

請求項2

前記転写可能な核酸配列がCD40L、CD70、caTLR4をコードするmRNA又は抗原/疾患特異的なmRNAを含むリストから選択される、請求項1に記載の核酸ベクター。

請求項3

前記翻訳エンハンサーが配列番号1によって表される、請求項1又は2に記載の核酸ベクター。

請求項4

in vitro転写RNAの安定性及び/又は翻訳効率を増大する方法であって、(i)前記転写可能な核酸配列が転写対象の前記RNAに対応する転写可能なDNA配列である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のベクターを準備する工程と、(ii)前記転写可能なDNA配列をinvitroで転写する工程と、を含む、方法。

請求項5

配列番号1に対して少なくとも80 %の配列同一性を有する翻訳エンハンサー(TE)と、転写可能な核酸配列と、配列番号4によって表される核内係留配列とを含む、RNA分子

請求項6

ポリAテールを含むリストから選択される1つ又は複数の要素を更に含む、請求項5に記載のRNA分子。

請求項7

前記転写可能な核酸配列がCD40L、CD70、caTLR4をコードするmRNA又は抗原/疾患特異的なmRNAを含むリストから選択される、請求項5又は6に記載のRNA分子。

請求項8

前記翻訳エンハンサーが配列番号1によって表される、請求項5〜7のいずれか一項に記載のRNA分子。

請求項9

請求項5〜8のいずれか一項に記載の1つ又は複数のRNA分子を含む組成物

請求項10

前記1つ又は複数のRNA分子がCD40L、CD70及びcaTLR4をコードするmRNA分子である、請求項9に記載の組成物。

請求項11

抗原/疾患特異的なmRNAをコードするmRNAを更に含む、請求項10に記載の組成物。

請求項12

宿主細胞への導入のための請求項5〜8のいずれか一項に記載のRNA分子、又は請求項9〜11のいずれか一項に記載の組成物の使用。

請求項13

薬剤への使用のための請求項5〜8のいずれか一項に記載のRNA分子、又は請求項9〜11のいずれか一項に記載の組成物。

請求項14

請求項1〜3のいずれか一項に記載の1つ若しくは複数のベクター、請求項5〜8のいずれか一項に記載の1つ若しくは複数のRNA分子、又は請求項9〜11のいずれか一項に記載の組成物を含むキット

技術分野

0001

本発明は概して、in vivo治療目的のmRNAの作製に極めて好適な改善されたRNA転写ベクターに関する。ベクターにおける改善は、特に転写エンハンサー及び核内係留要素(nuclear retention element:核内保持要素)の存在下で見られる。

背景技術

0002

ヒトの免疫系は健常細胞腫瘍細胞及び感染因子とを区別することが可能であるが、異常を適切に認識し、反応するのに失敗することがある。したがって、医学では腫瘍細胞及び感染因子の監視及び排除において免疫系を補助する幾つかの戦略の開発が注目されている。樹状細胞(DC)は免疫応答刺激(instigation)における中心的存在として知られる抗原提示細胞APC)であり、免疫療法におけるDCの活用に相当な努力が注がれている。例えば癌の場合、腫瘍細胞量を特異的に減少させ、腫瘍再発を制御する免疫記憶誘導することができるエフェクターT細胞を誘発することによる腫瘍特異的な免疫応答の誘導及び永続化が目的とされる。標的化可能な腫瘍関連抗原(TAA)が同定されれば、これをプロフェッショナルなAPC、すなわち樹状細胞を負荷するためにin vivo又はex vivoで使用することができる。

0003

ペプチドタンパク質全腫瘍細胞抽出物プラスミドDNA又はmRNA等の種々の抗原フォーマットがDCに関してin vivo又はexvivo免疫療法で評価されている。これらのアプローチの中でも、抗原をコードするmRNAが特に有望なものとして浮上している。ペプチドによる古典的なワクチン接種に優る利点は、mRNAが全抗原についての遺伝情報をコードしていることである。完全長抗原を処理することで、HLA特異的ペプチドを決定する必要なしに全ての利用可能なエピトープ患者MHC分子提示される。利用可能なペプチドがそのHLA型に適合しないという理由で患者を治療から除外する必要はない。加えて、mRNAにはゲノム組込みのリスクがなく、DNA又はウイルスベクターと比較して好都合な安全性プロファイルをもたらす。mRNAはその一時的性質のために短時間しか発現されず、最終的に天然生成物へと分解される。さらに、mRNAは共刺激シグナルを引き起こすそれ自身のアジュバントとして作用し、mRNAベースの免疫療法において有利である。ex vivoでのその後のトランスフェクトDCの養子移入による又はmRNAの直接投与及びin vivoでの取込みによる、2つのDCへの外因性mRNA送達経路が適用されている。

0004

Diken et al. (2011)によって行われた研究から、mRNAの取込みがDC成熟の際に失われる未熟DCの機能であるマクロピノサイトーシスに依存するため、成熟刺激及び/又はその送達のタイミングを慎重に選択する必要があることが強調される。その結果として、リポ多糖LPS)等の古典的成熟刺激因子とTAA mRNAとの同時送達は、抗原特異的T細胞応答の誘導を共同決定するパラメーターである抗原のバイオアベイラビリティに悪影響を与える(非特許文献1、非特許文献2)。これまで、TAAmRNAでDCを同時に負荷し、それらをin vivoで活性化する2つの異なる戦略が調査されている。

0005

Fotin-Mleczek et al. (2011)は、適応免疫のための抗原供給源をもたらすとともに病原体認識受容体TLR7の誘発を増強する、遊離mRNA及びプロタミン複合mRNAを含有する二成分系を記載している。この免疫化戦略は、記憶T細胞が腫瘍再発を回避することから重要な強い抗腫瘍免疫応答の誘導及び持続記憶応答をもたらした。

0006

Bonehill et al., 2008は、初めにex vivo生成DCの活性化のためのアジュバント目的でmRNAの特定の組合せの使用を評価したが、これはin vivoでの直接投与及び取込みに同様に適用可能である(非特許文献3)。これは特許出願(特許文献1)につながり、発明者らはここで、抗原性ペプチドパルス抗原提示細胞又はTAAをコードするmRNAを用いて(同時)電気穿孔した抗原提示細胞のT細胞刺激能が、2つ以上の免疫刺激因子をコードするmRNA又はDNA分子の混合物を用いる電気穿孔によって種々の分子アジュバントを与えることで大幅に増強し得ることを記載している。標的特異的ペプチドでパルスした又は標的特異的抗原をコードするmRNAを用いて同時電気穿孔したかかる修飾抗原提示細胞が、抗原特異的T細胞をin vitro及びワクチン接種後の両方で刺激し、それにより抗腫瘍抗ウイルス、抗細菌又は抗真菌免疫療法のための新たな有望なアプローチを得ることができるという概念実証が提示される。この発明で使用される免疫刺激因子の好ましい組合せはCD40L及びcaTLR4、又はCD40L及びCD70である。他の好ましい実施の形態では、CD40L、CD70及びcaTLR4免疫刺激分子の組合せが使用され、これを以下で「TriMix」と呼ぶ。

0007

本発明は、5'翻訳エンハンサー配列と3'核内係留配列とを含有するRNA転写ベクターに関する。本発明によるベクターは、in vitro転写mRNAによってコードされるタンパク質の発現において空pUCベクター、又は翻訳エンハンサー若しくは核内係留配列のいずれかを含有するベクターと比較して予期せぬ改善を示す。これらの改善は、特にベクターにおける2つの成分:翻訳エンハンサー及びRNA安定化配列の同時存在、並びにそれにより得られる発現産物におけるその組込みによるものである。さらに、マウスモデルにおける本発明のベクターから得られるTriMix mRNAのin vivo適用は、より遅い腫瘍の成長及び該マウスの平均余命の増大をもたらす。

0008

国際公開第2009034172号

先行技術

0009

Van Lint 2012
Diken 2011
Bonehill, 2008

0010

第1の態様では、本発明は、配列番号1に対して少なくとも80 %の配列同一性を有する翻訳エンハンサー(TE)配列と、転写可能な核酸配列と、配列番号4によって表される核内係留配列とを含む、核酸ベクターを提供する。

0011

特定の実施の形態では、上記転写可能な核酸配列がCD40L、CD70、caTLR4をコードするmRNA又は抗原/疾患特異的なmRNAを含むリストから選択される。

0012

好ましい実施の形態では、上記翻訳エンハンサーが配列番号1、配列番号2、又は配列番号3のいずれか1つ、特に配列番号1によって表される。

0013

更なる態様では、本発明は、in vitro転写RNAの安定性及び/又は翻訳効率を増大する方法であって、
(i)上記転写可能な核酸配列が転写対象の上記RNAに対応する転写可能なDNA配列である、本発明によるベクターを準備する工程と、
(ii)上記転写可能なDNA配列をinvitroで転写する工程と、
を含む、方法を提供する。

0014

また更なる実施の形態では、本発明は、配列番号1に対して少なくとも80 %の配列同一性を有する翻訳エンハンサー(TE)と、転写可能な核酸配列と、配列番号4によって表される核内係留配列とを含む、RNA分子を提供する。

0015

上記RNA分子は、ポリAテールを更に含むことができる。

0016

本発明のRNA分子に関して、上記転写可能な核酸配列はCD40L、CD70、caTLR4をコードするmRNA又は抗原/疾患特異的なmRNAを含むリストから選択することができる。

0017

RNA分子の好ましい実施の形態では、上記翻訳エンハンサーが配列番号1、配列番号2、又は配列番号3のいずれか1つ、特に配列番号1によって表される。

0018

本発明は、本発明による1つ又は複数のRNA分子を含む組成物を更に提供し、特に上記1つ又は複数のRNA分子がCD40L、CD70及びcaTLR4をコードするmRNA分子である。

0019

本発明による組成物は、抗原/疾患特異的なmRNAをコードするmRNAを更に含むことができる。

0020

本発明は、例えば宿主細胞へのin vivo若しくはin vitro導入等の多数の目的、又は薬剤への使用のための、RNA分子(複数の場合もあり)及び/又は該RNA分子を1つ又は複数含む組成物(複数の場合もあり)の使用を更に提供する。

0021

本発明による1つ若しくは複数のベクター、1つ若しくは複数のRNA分子、又は組成物を含むキットを提供することも本発明の態様である。

0022

本発明は、それを必要とする患者を本発明による1つ又は複数のRNA分子又は組成物で治療する方法であって、該RNA分子を同時に又は間隔を空けて順次に投与することができる、方法も提供する。

0023

本発明によるRNA分子又は組成物は、それを必要とする患者に例えば節間、皮内、リンパ管内及び腫瘍内等の任意の好適な投与経路によって投与することができる。さらに、例えば癌患者を治療する場合、本発明によるRNA分子又は組成物の投与は、患者において腫瘍から腫瘍mRNAを放出させる方法、例えばアブレーション又はソノポレーション(sonoporation)と組み合わせて用いることができる。

0024

本発明の数字の付いた記述
1. 配列番号1に対して少なくとも80 %の配列同一性を有する翻訳エンハンサー(TE)配列と、転写可能な核酸配列と、配列番号4によって表される核内係留配列とを含む、核酸ベクター。
2. 上記転写可能な核酸配列がCD40L、CD70、caTLR4をコードするmRNA又は抗原/疾患特異的なmRNAを含むリストから選択される、請求項1に記載の核酸ベクター。
3. 上記翻訳エンハンサーが配列番号1、配列番号2、又は配列番号3のいずれか1つ、特に配列番号1によって表される、請求項1又は2に記載の核酸ベクター。
4. in vitro転写RNAの安定性及び/又は翻訳効率を増大する方法であって、
(i)上記転写可能な核酸配列が転写対象の上記RNAに対応する転写可能なDNA配列である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のベクターを準備する工程と、
(ii)上記転写可能なDNA配列をinvitroで転写する工程と、
を含む、方法。
5. 配列番号1に対して少なくとも80 %の配列同一性を有する翻訳エンハンサー(TE)と、転写可能な核酸配列と、配列番号4によって表される核内係留配列とを含む、RNA分子。
6.ポリAテールを更に含む、請求項5に記載のRNA分子。
7. 上記転写可能な核酸配列がCD40L、CD70、caTLR4をコードするmRNA又は抗原/疾患特異的なmRNAを含むリストから選択される、請求項5又は6に記載のRNA分子。
8. 上記翻訳エンハンサーが配列番号1によって表される、請求項5〜7のいずれか一項に記載のRNA分子。
9. 請求項5〜8のいずれか一項に記載の1つ又は複数のRNA分子を含む組成物。
10. 上記1つ又は複数のRNA分子がCD40L、CD70及びcaTLR4をコードするmRNA分子である、請求項9に記載の組成物。
11. 抗原/疾患特異的なmRNAをコードするmRNAを更に含む、請求項10に記載の組成物。
12.宿主細胞への導入のための請求項5〜8のいずれか一項に記載のRNA分子、又は請求項9〜11のいずれか一項に記載の組成物の使用。
13.薬剤への使用のための請求項5〜8のいずれか一項に記載のRNA分子、又は請求項9〜11のいずれか一項に記載の組成物。
14. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の1つ若しくは複数のベクター、請求項5〜8のいずれか一項に記載の1つ若しくは複数のRNA分子、又は請求項9〜11のいずれか一項に記載の組成物を含むキット。

0025

ここで図面を具体的に参照すると、示される詳細が例示によるものであり、本発明の種々の実施形態の説明のための論考のみを目的することが強調される。図面は、本発明の原理及び概念的見地の最も有用かつ容易な説明であると考えられるものを提供するために提示される。この点で、本発明の基礎的理解に必要とされるよりも詳細に本発明の構造的細部を示す試みは為されない。図面とともに併用される説明により、本発明の幾つかの形態を実際にどのように具体化することができるかが当業者に明らかとなる。

図面の簡単な説明

0026

iDCをpUCベクター、pUC-TEベクター、pUC-ENEベクター又はpUC TE ENEベクターによってコードされるTriMixmRNAを用いて電気穿孔した図である。陽性DC集団MFI(平均蛍光強度)値を示す。データは平均±SEMとして提示する。(対応のあるt検定、*P<0.05)。N pUC=6;N pUC-TE=15;NpUC-ENE=15;N pUC TE ENE=19
WT1 mRNAを用いて電気穿孔したDCにおけるWT1発現を示す図である。iDCを種々のベクターによってコードされるWT1 mRNAを用いて電気穿孔し、そのWT1発現について電気穿孔の4時間、24時間及び48時間後の細胞内染色によって分析した。種々のWT1コードベクターを用いたiDCの電気穿孔後のMFI値の比較を示す。データは平均±SEMとして提示する。(対応のあるt検定、*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001)。N=6
DCのeGFP発現の動態を示す図である。iDCをpUCベクター又はpUC TE ENEベクターによってコードされるeGFP及びTriMix mRNAを用いて同時電気穿孔した。eGFP発現を電気穿孔後の幾つかの時点で分析した。eGFP陽性DC集団のMFI値を分析した。データは平均±SEMとして提示する。(対応のあるt検定、*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001)。N=9
未熟及び成熟DCの表現型を示す図である。指定の分子のMFI値をiDCの電気穿孔の24時間後に調査した。データを平均±SEMとして表す。(対応のあるt検定、*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001)。CD40 N=9;CD70 N=19;CD80N=12;CD83 N=12;CCR7 N=12。
同上
P815による両側腫瘍モデル対照であるtNGFR又はpUC TE ENE TriMixによる一方の腫瘍の単回治療を示す図である。対側非治療腫瘍を用いて全身抗腫瘍免疫応答を評価した。腫瘍成長一群(n=6)当たりの個々のマウスそれぞれについて示し、続いて平均腫瘍容量概要を示した。生存カプランマイヤープロットにおいて可視化した。生存の差をログランク検定によって分析した。
同上
同上
P815による両側腫瘍モデル:tNGFR又は対照としての0.8容量のハートマン液による一方の腫瘍の単回治療を示す図である。対側非治療腫瘍を用いて全身抗腫瘍免疫応答を評価した。腫瘍成長を一群(n=6)当たりの個々のマウスそれぞれについて示し、続いて平均腫瘍容量の概要を示した。生存をカプランマイヤープロットにおいて可視化した。生存の差をログランク検定によって分析した。
同上
同上
同上
最も重要な要素を有するpUC TE ENEベクターを示す図である。
EMBLのClustal 2.1によって作製された3つの可変TE配列(配列番号1、配列番号2及び配列番号3)の配列比較を示す図である。
(A)はWT1 mRNAを用いて電気穿孔したDCにおけるWT1発現を示す。iDCを種々のベクターによってコードされる10 μgのWT1 mRNAを用いて電気穿孔し、そのWT1発現について電気穿孔の4時間、24時間及び48時間後の細胞内染色によって分析した。種々のWT1(eGFP)コードベクターを用いたiDCの電気穿孔後のMFI値の比較を示す。N=3 (B)はeGFP mRNAを用いて電気穿孔したDCにおけるeGFP発現を示す。iDCを種々のベクターによってコードされる10 μgのeGFP mRNAを用いて電気穿孔し、そのeGFP発現について電気穿孔の4時間、24時間及び48時間後の細胞内染色によって分析した。種々のWT1コードベクターを用いたiDCの電気穿孔後のMFI値の比較を示す。N=3

0027

第1の態様では、本発明は翻訳エンハンサー(TE)と、核内係留配列とを含む核酸ベクターを提供する。特に、上記核酸ベクターは、配列番号1に対して少なくとも80 %の配列同一性を有する翻訳エンハンサー(TE)配列と、転写可能な核酸配列と、配列番号4によって表される核内係留配列とを含む。

0028

「ベクター」という用語は本明細書において最も一般的な意味で使用され、例えば核酸原核生物及び/又は真核生物の宿主細胞に導入し、適切な場合にはゲノムに組み込むことを可能にする核酸用の任意の中間ビヒクルを含む。かかるベクターは細胞内で複製及び/又は発現させるのが好ましい。ベクターはプラスミド、ファージミド又はウイルスゲノムを含む。「プラスミド」という用語は本明細書で使用される場合、概して染色体外遺伝材料の構築物、通常は染色体DNAとは独立して複製し得る環状DNA二重鎖に関する。

0029

本発明によると、核酸分子又は核酸配列は、好ましくはデオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)である核酸を指す。本発明によると、核酸はゲノムDNA、cDNA、mRNA、組み換え調製及び化学合成される分子を含む。本発明によると、核酸は一本鎖又は二本鎖及び線状又は共有結合閉環状分子の形態であり得る。「核酸」という用語はヌクレオチド塩基、糖又はリン酸上の核酸の化学的誘導体化、並びに非天然ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体を含有する核酸を更に含む。

0030

本発明により記載される核酸は単離されているのが好ましい。「単離核酸」という用語は本発明によると、核酸が1)in vitroで例えばポリメラーゼ連鎖反応PCR)により増幅され、2)クローニングにより組み換え作製され、3)例えば切断及びゲル電気泳動分画により精製され、又は4)例えば化学合成により合成されたことを意味する。単離核酸は組み換えDNA法による操作に利用可能な核酸である。

0031

5'翻訳エンハンサー(TE)
翻訳の転写後調節は主に翻訳開始期に制御される。開始因子の複合体が5'CAP構造に結合し、リボソームサブユニット動員する。次いで、この複合体は好適な状況でAUGコドン遭遇するまでのmRNAに沿ったスキャニング動作を開始する。このプロセスの効率は、mRNAの5'及び3'UTR(非翻訳領域;UnTranslated Region)の両方の多数の構造的特徴によって制御され得る。これらの特徴としては、5'UTRのTOP(末端オリゴピリミジントラクト;Terminal OligoPyrimidine tract)領域、IRES内部リボソーム導入部位;InternalRibosome Entry Site)及び上流のORF(オープンリーディングフレーム;Open Reading Frame)が挙げられる。3'UTRにおいては、CITE(Cap非依存性翻訳エンハンサー;Cap Independent Translation Enhancer)モチーフが記載されている。PABP(ポリA結合タンパク質;Poly-A Binding Protein)はCAP部位上のポリAテール及びeIF4複合体の両方に結合する必要があるため、ポリAテールの長さが翻訳開始において重要な役割を果たすことも示されている。

0032

IRESは、5'CAP構造との相互作用とは独立してリボソームを動員することが可能なモチーフである。最初のIRES要素ピコルナウイルス(例えばEMCV(脳心筋炎ウイルス;EncephaloMyoCarditisVirus))において記載されている。感染中にCAP依存性翻訳は停止し、ウイルスタンパク質のCAP非依存性翻訳の利点がもたらされる。幾つかの真核生物のIRES配列が近年記載されている。ストレス状況ではCAP依存性翻訳は下方調節され、一部の必須遺伝子のCAP非依存性翻訳は持続し得る。より具体的には、例えばToll様受容体4へのLPSのライゲーションによって活性化される樹状細胞もCAP依存性翻訳を停止させるが、一部の遺伝子のCAP非依存性翻訳は細胞をアポトーシスから保護する。

0033

Hu et al.は、マウスGtxホメオドメインタンパク質をコードするmRNAの5'リーダーにおける配列を研究した。Hu et al.は18SリボソームRNAの配列に相補的な配列を記載している。Hu et al.は、このモチーフが翻訳の効率に著しい影響を与えることを見出した(Huet al., 1999)。

0034

後に、このモチーフが内部リボソーム導入部位(IRES)として機能することが示され、この5'リーダーのより短い非重複セグメントが二シストロン性mRNAの第2のシストロンの翻訳を増強し得ることが示された。これらのセグメントの1つは長さが9ヌクレオチドであり、このIRESモジュールの多数のコピーが互いに連結すると、IRES活性が大幅に増強した。ヒトβグロビン5'UTRの9nフラグメントによって離された同じ9nセグメントのタンデムリピートは、mRNAの5'末端でORFの前に位置する場合に単シストロン性mRNAにおいて翻訳エンハンサー(TE)として機能することが示された。

0035

したがって、本発明においてはmRNAの翻訳エンハンサーとして機能する任意の配列、例えば本明細書で上に記載される要素を使用することができる。特に、翻訳エンハンサーは翻訳を促進する転写RNA中の配列である。考え得る一作用機序は、mRNAの5'末端へのリボソームの結合の促進によるものである。

0036

特定の例では、本発明によるベクターはGtxリーダー配列由来する野生型9n配列:CCGGCGGGTの10×タンデムリピートを含有するRNAをもたらし得る。これらのモチーフはヒトβグロビンの5'UTRに由来する9n配列:TTCTGACATによって連結する。このDNAフラグメントは、プラスミド中のバクテリオファージプロモーター配列とORF(オープンリーディングフレーム)との間にクローニングすることができる。

0037

特定の実施形態では、本発明による翻訳エンハンサーは配列番号1に対して少なくとも80 %の配列同一性を有する。図8から明らかなように、配列番号2及び配列番号3は配列番号1と比較して少なくとも80%の配列同一性を有するため、本発明に関連した使用に好適である。より好ましくは、本発明による翻訳エンハンサーは配列番号1に対して少なくとも85 %、86 %、87 %、88 %又は89 %の配列同一性を有する。図8から明らかなように、配列番号2及び配列番号3は配列番号1と比較して少なくとも85%の配列同一性を有する。更により好ましくは、本発明による翻訳エンハンサーは配列番号1に対して少なくとも90 %、91 %、92 %、93 %、94 %、95 %、96 %、97 %、98 %、99 %又は100 %の配列同一性を有する。図8から明らかなように、配列番号3は配列番号1と比較して少なくとも90%の配列同一性を有する。更により好ましくは、翻訳エンハンサーは配列番号1、配列番号2又は配列番号3のいずれか、最も好ましくは配列番号1によって表される。

0038

核内係留配列
転写後遺伝子制御プロセスの重要性は、近年ますます明白になっている。これらのプロセス中でも、mRNA安定性の制御が相当な注目を受け始めている。mRNA分解が遺伝子発現に対して重大な影響を与え、mRNA減衰速度を環境及び発生シグナルに応答して調整することができるという認識の高まりにより、このプロセスの理解を目的とした精力的な研究努力が現在なされている。顕著な進展が見られ、過去20年にわたる研究によりmRNA分解の多数の一般的特徴解明されている。

0039

細胞及びウイルスのmRNAはどちらも強固なRNA減衰経路に供される。ウイルスは、そのmRNAを宿主脱アデニル化機構から保護する種々の方法を生み出してきた。カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)のポリアデニル化非翻訳RNA(PAN)は、感染細胞の核内に非常に多く見られる。このRNAは脱アデニル化及び分解に抵抗性を示す。PANの蓄積は、ENE(発現及び核内係留要素;Expressionand Nuclear retention Element)と呼ばれる3'領域中の79ヌクレオチドRNA要素の活性に左右される。Conrad et al.は2005年にENEに関する最初の記事発表し、イントロンを含まない転写産物の核内存在量を増大させるカポジ肉腫ウイルスRNA要素としてENEを記載している(Conrad, 2005)。ENEフラグメントは、ポリAテールと相互作用する特定のUリッチヘアピン構造を含有する。それにより、核内へのRNAの係留をもたらし、したがって核内係留要素と名付けられる二次構造が得られる。二次的影響はUリッチヘアピン構造とmRNAのポリAテールとの相互作用であり、免疫療法目的でのmRNAの作製において特に興味が持たれる特質である宿主による分解からの「遮蔽」効果をもたらす。

0040

ポリアデニル化核(PAN)RNA(T1.1又はnut-1 RNAとしても知られる)は、発癌ガンマヘルペスウイルスであるカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)によって作製されるlncRNAである(Sun et al., 1996)。PAN RNAは溶菌感染中に並外れて高いレベル(約500000コピー/細胞)まで蓄積し、後期ウイルスタンパク質及び感染性ウイルスの作製に必要とされる(Sun et al., 1996)。PAN RNAのポリアデニル化部位の約120 nt上流に位置する発現及び核内係留要素(ENE)は、この核内における高い蓄積に必須である(Conrad and Steitz, 2005)。ENEは脱アデニル化を阻止することによってPAN RNAの急速な減衰阻害する(Conrad et al., 2006)。PAN RNAはタンパク質発現を生じない。核内係留はRNAを細胞質中の翻訳機構から遠ざけ、ポリAテールの遮蔽は効率的な翻訳に必須であるPABP(ポリA結合タンパク質)への結合を妨げる。したがって、トランスフェクションにおけるこの配列の使用は明らかでない。

0041

KSHVENEは、隣接塩基対とともにENEの機能的コアを構成する非対称内部Uリッチループを有するステムループ構造から構成される79 nt長のRNA要素である。オリゴ(A)9に結合したENEコアの結晶構造から、Uリッチループとオリゴ(A)9との間に形成される5つの連続U-A-U三塩基が明らかとなり(Mitton-Fry et al., 2010)、これは下部ステムの3つのG-C塩基対とのAマイナー相互作用(A-minor interactions)によって伸長する。遺伝学的及び生化学的分析から、in vivoでのPAN RNAのポリ(A)テールとENEとの同様の相互作用が示される(Mitton-Fry et al., 2010)。

0042

したがって、本発明においてはmRNAの核内係留要素として機能する任意の配列、例えば本明細書で上に記載される要素を使用することができる。特に、核内係留要素は細胞質の劣化に対してmRNAを保護する能力を有するシス作用性配列である。

0043

特定の実施形態では、核内係留要素はRNA安定化配列としても機能する。

0044

特定の例では、核内係留要素はKSHVの発現及び核内係留要素である。PAN(ポリアデニル化非翻訳;Poly Adenylated Non translated)RNAから単離された79bp配列は、RNA産生プラスミドにおいてA124ストレッチの上流に位置する。ENEはポリAテールと結合し、その分解を防ぐUリッチループを形成する。

0045

特定の実施形態では、本発明による核内係留要素は配列番号4によって表される。

0046

本発明のベクター内の更なる要素
更なる実施形態では、本発明の核酸ベクターはバクテリオファージプロモーター、転写可能な核酸配列及びポリAテールを含むリストから選択される更なる要素を含有し得る。

0047

メッセンジャーRNA又はリボ核酸(mRNA)は4ヌクレオチド(アデノシングアノシンシチジン及びウリジン一リン酸)の一本鎖ポリマーからなる。5'末端修飾又は5'CAPは翻訳開始複合体によるmRNAの認識、リボソームへのmRNAの適切な付着、及び5'エキソヌクレアーゼからの保護に必要とされる。この修飾は、第1の転写ヌクレオチドに付加した7-メチルグアノシンヌクレオチドからなる。コード領域は開始コドン(通常はAUG)から始まり、終止コドン(通常はUAA、UAG又はUGA)で終わる。成熟mRNAは開始コドンの前及び終止コドンの後に5'非翻訳領域(UTR)及び3'UTRを含有する。これらの領域はmRNAの安定性又は不安定性及び翻訳効率に寄与する。

0048

転写可能な核酸配列、特にペプチド又はタンパク質をコードする核酸と発現制御配列とは、転写可能な核酸、特にコード核酸の転写又は発現が発現制御配列の制御下又は影響下であるように互いに共有結合する場合に互いに「機能的に」連結している。

0049

本明細書で指定される核酸、特に転写可能なコード核酸は、該核酸に対して相同又は非相同であり得る任意の発現制御配列、特にプロモーターと組み合わせることができ、「相同」という用語は核酸が天然で発現制御配列にも機能的に連結することを指し、「非相同」という用語は核酸が天然で発現制御配列に機能的に連結しないことを指す。

0050

「発現制御配列」という用語は、本発明によると遺伝子の転写又は誘導RNAの翻訳を制御するプロモーター、リボソーム結合配列及び他の制御要素を含む。本発明の特定の実施形態では、発現制御配列を調節することができる。発現制御配列の正確な構造は種又は細胞型に応じて変化し得るが、通常はそれぞれ転写及び翻訳の開始に関与するTATAボックスキャッピング配列、CAAT配列等のような5'非転写配列並びに5'及び3'非翻訳配列を含む。より具体的に、5'非転写発現制御配列としては、機能的に連結する遺伝子の転写制御のためのプロモーター配列を包含するプロモーター領域が挙げられる。発現制御配列はエンハンサー配列又は上流のアクティベーター配列を含んでいてもよい。

0051

特定の実施形態では、核酸は本発明によると核酸に関して相同又は非相同であり得る発現制御配列に機能的に連結する。

0052

「プロモーター」又は「プロモーター領域」という用語は、RNAポリメラーゼの認識及び結合部位をもたらすことによってコード配列の発現を制御する遺伝子の上記コード配列の上流(5')のDNA配列を指す。プロモーター領域は、上記遺伝子の転写の調節に関与する更なる因子の更なる認識又は結合部位を含み得る。プロモーターは原核生物又は真核生物の遺伝子の転写を制御し得る。プロモーターは「誘導性」であり、インデューサーに応答して転写を開始することができるか、又は転写がインデューサーによって制御されない場合に「構成的」であることができる。誘導性プロモーターは、インデューサーが存在しない場合に極めて僅かにしか又は全く発現されない。インデューサーの存在下で、遺伝子が「オンになり」又は転写レベルが増大する。これは通常は特定の転写因子の結合によって媒介される。

0053

特定の実施形態では、転写可能な核酸配列はCD40L(NM_000074)、CD70(NM_001252)、caTLR4(LAMP1(リソソーム膜タンパク質)のシグナルペプチド先行する遺伝子の膜貫通領域及び細胞質領域のみを含有するヒトTLR4遺伝子の切断型)をコードするmRNA又は抗原/疾患特異的なmRNAを含むリストから選択される。

0054

本発明によるバクテリオファージプロモーターはRNA転写のための任意の好適なプロモーターとすることができ、好ましくはT7プロモーター、SP6プロモーター及びT3プロモーター、より具体的にはT7プロモーターを含むリストから選択される。

0055

本発明において使用されるポリAテールは、好ましくは約100〜150のアデノシン、より具体的には120〜125のアデノシン、好ましくは約124のアデノシンからなる。

0056

ポリアデニルカセット」又は「ポリA配列」という用語は、通例RNA分子の3'末端に位置するアデニル残基の配列を指す。本発明は、コード鎖に相補的な鎖中の反復チミジル残基に基づくDNA鋳型によってRNA転写中に付着するかかる配列を提供し、該配列は通常はDNA中にコードされないが、核内での転写後に鋳型非依存性RNAポリメラーゼによってRNAの遊離3'末端に付着する。本発明によると、この種のポリ(A)配列は少なくとも20、好ましくは少なくとも40、好ましくは少なくとも80、好ましくは少なくとも100、好ましくは最大500、好ましくは最大400、好ましくは最大300、好ましくは最大200、特に最大150の連続Aヌクレオチド、特に約120の連続Aヌクレオチドのヌクレオチド配列を意味するものと理解され、ここで「Aヌクレオチド」という用語はアデニル残基を指す。

0057

本発明は、本発明による核酸ベクターの転写によって得ることができるRNA分子を更に提供する。

0058

更なる態様では、本発明は、in vitro転写RNAの安定性及び/又は翻訳効率を増大する方法であって、
(i)上記転写可能な核酸配列が転写対象の上記RNAに対応する転写可能なDNA配列である、本発明によるベクターを準備する工程と、
(ii)上記転写可能なDNA配列をinvitroで転写する工程と、
を含む、方法と、本方法によって得ることができるRNA分子とを提供する。

0059

本発明によると、「転写」という用語は「in vitro転写」を含み、「in vitro転写」という用語はRNA、特にmRNAをin vitroで細胞を用いずに合成する方法に関する。転写産物の調製は、概して転写ベクターと称され、本発明によると「ベクター」という用語に含まれるクローニングベクターを用いるのが好ましい。

0060

「核酸配列から転写された核酸配列」という用語は、適切な場合に後者の核酸配列の転写産物である完全なRNA分子の一部であるRNAを指す。

0061

「転写して共通の転写産物を得ることができる核酸」という用語は、適切な場合には該核酸を含む核酸分子、特に閉環状核酸分子制限酵素切断等の直線化後に、プロモーターの制御下の転写が適切な場合には中間に位置する配列によって分離する互いに共有結合した該核酸の転写産物を含むRNA分子をもたらすように、該核酸が互いに機能的に連結することを意味する。

0062

本発明によると、「発現」という用語は最も一般的な意味で用いられ、RNA及び/又はタンパク質の作製を含む。この用語は核酸の部分発現も含む。さらに、発現は一時的発現であっても又は安定発現であってもよい。RNAに関して、「発現」又は「翻訳」という用語は特にペプチド又はタンパク質の作製を指す。

0063

「核酸配列の翻訳効率及び/又は安定性を増大するために活性な核酸配列」という用語は、第1の核酸が第2の核酸と共通の転写産物において、該第2の核酸の翻訳効率及び/又は安定性を、該翻訳効率及び/又は安定性が上記第1の核酸の非存在下での該第2の核酸の翻訳効率及び/又は安定性と比較して増大するように修飾することが可能であることを意味する。これに関連して、「翻訳効率」という用語は特定の期間でRNA分子によってもたらされる翻訳産物の量に関し、「安定性」という用語はRNA分子の半減期に関する。

0064

特定の実施形態では、本発明は翻訳エンハンサー(TE)と核内係留要素(ENE)とを含むRNA分子、又は該RNA分子を1つ又は複数含む組成物を提供する。より詳細には、本発明は、配列番号1に対して少なくとも80 %の配列同一性を有する翻訳エンハンサー(TE)と、転写可能な核酸配列と、配列番号4によって表される核内係留配列とを含む、RNA分子、又は該RNA分子を含む組成物を提供する。

0065

上記RNA分子は翻訳可能な核酸配列及びポリAテールを含むリストから選択される1つ又は複数の要素を更に含むことができ、ここで上記翻訳可能な核酸配列はCD40L、CD70、caTLR4をコードするmRNA又は抗原/疾患特異的なmRNAを含むリストから選択することができる。

0066

本発明において、TE要素は好ましくは転写可能/翻訳可能なRNA分子の5'末端、核内係留配列(ENE)の好ましくは3'末端に位置する。

0067

「核酸の3'末端」は本発明によると遊離ヒドロキシル基を有する末端を指す。「核酸の5'末端」は本発明によると遊離リン酸基を有する末端を指す。

0068

本発明において「mRNA」は「メッセンジャーRNA」を意味し、DNAを鋳型として用いて作製され、それ自体がペプチド又はタンパク質をコードする転写産物を指す。mRNAは通例5'非翻訳領域、タンパク質コード領域及び3'非翻訳領域を含む。mRNAは細胞中で限られた半減期を有する。本発明によると、mRNAはin vitro転写によってDNA鋳型から調製することができる。mRNAは、本発明による修飾に加えて更なる安定化修飾及びキャッピングによって修飾することができる。

0069

特定の実施形態では、本発明による組成物は抗原/疾患特異的なmRNAをコードするmRNAと組み合わせて又は組み合わせずにCD40L、CD70及びcaTLR4をコードするmRNAを含む。

0070

本発明による抗原/疾患特異的なmRNAは、腫瘍抗原病原体由来抗原、アレルゲン等を含む非限定的なリストから選択することができる。

0071

本発明は多数の目的、例えば宿主細胞へのin vivo若しくはin vitro導入、又は薬剤への使用のためのRNA分子(複数の場合もあり)及び/又は該RNA分子を1つ又は複数含む組成物(複数の場合もあり)の使用を更に提供する。

0072

本発明による1つ若しくは複数のベクター、1つ若しくは複数のRNA分子又は組成物を含むキットを提供することも本発明の態様である。

0073

本発明は、それを必要とする患者を本発明による1つ又は複数のRNA分子又は組成物で治療する方法も提供し、該RNA分子は同時に又は間隔を空けて順次に投与することができる。

0074

本発明は患者に投与される核酸、特にRNAを提供する。核酸はex vivo方法、すなわち細胞を患者から取り出し、該細胞を(例えばトランスフェクションによって)遺伝子操作し、修飾細胞を患者に再導入することによって投与することができる。トランスフェクション及び形質導入の方法は当業者に既知である。本発明はin vivoで投与される核酸も提供する。

0075

本発明によると、「トランスフェクション」という用語は、生物又は宿主細胞に1つ又は複数の核酸を導入することを指す。本発明によると、核酸をin vitro又はin vivoで細胞に導入するために様々な方法を用いることができる。かかる方法としては、核酸CaP04沈殿物のトランスフェクション、DEAEと関連する核酸のトランスフェクション、対象の核酸を保有するウイルスによる感染のトランスフェクション、リポソーム媒介トランスフェクション等が挙げられる。特定の実施形態では、核酸を特定の細胞に指向することが好まれる。かかる実施形態では、核酸を細胞に投与するために使用される担体(例えばレトロウイルス又はリポソーム)は結合標的分子を有し得る。例えば、標的化細胞上の表面膜タンパク質に特異的な抗体等の分子、又は標的細胞上の受容体に対するリガンドは核酸担体に組み込むか又は結合させることができる。リポソームによる核酸の投与が所望される場合、エンドサイトーシスと関連する表面膜に結合するタンパク質を、標的化及び/又は吸収を可能にするためにリポソーム配合物に組み込むことができる。かかるタンパク質としては、特定の細胞型に特異的なカプシドタンパク質又はそのフラグメント、内在化するタンパク質に対する抗体、細胞内部位を標的とするタンパク質等が挙げられる。

0076

本発明によるRNA分子又は組成物は、それを必要とする患者に例えば節間、皮内、リンパ管内及び腫瘍内等の任意の好適な投与経路によって投与することができる。さらに、例えば癌患者を治療する場合、本発明によるRNA分子又は組成物の投与は、例えばアブレーション又はソノポレーション等の患者において腫瘍mRNAを腫瘍から放出させる方法と組み合わせて用いることができる。

0077

本発明によると、標準方法組み換え核酸の調製、細胞の培養、特に電気穿孔及びリポフェクションに用いられ得る。酵素反応取扱説明書に従って又はそれ自体が既知の方法で行われる。

0078

本発明によると、「核酸配列に由来する核酸配列」は、由来元の核酸と比較して単一又は複数のヌクレオチド置換欠失及び/又は付加を含有し、好ましくはそれが由来元の核酸に相補的である、すなわち上記核酸と該核酸のヌクレオチド配列との間に顕著に直接的又は相補的に一致する或る程度の相同性が存在する核酸を指す。

0079

本発明によると、核酸に由来する核酸は由来元の核酸の機能的特性を有する。かかる機能的特性としては、特にRNAへと転写することができる核酸(転写可能な核酸配列)との機能的連結において、完全なRNA分子でこの核酸から作製されるRNAの安定性及び/又は翻訳効率を増大する能力が挙げられる。

0080

2つの配列が互いにハイブリダイズし、安定した二重鎖を形成することができる場合に、核酸は別の核酸に対して「相補的」であり、上記ハイブリダイゼーションは好ましくはポリヌクレオチド間の特異的なハイブリダイゼーションを可能にする条件(ストリンジェント条件)下で行われる。ストリンジェント条件は、例えばMolecular Cloning: A laboratory manual, J Sambrook etalに記載されている。

0081

本発明によると、相補的核酸は少なくとも60 %、少なくとも70 %、少なくとも80%、少なくとも90 %、好ましくは少なくとも95 %、少なくとも98 %又は少なくとも99 %同一のヌクレオチドを有する。

0082

本発明によると、第1のポリヌクレオチド領域は、該第1のポリヌクレオチド領域の5'末端が第2のポリヌクレオチド領域の3'末端に最も近い該第1のポリヌクレオチド領域の一部である場合に第2のポリヌクレオチド領域の下流に位置するとみなされる。

0083

3'非翻訳領域は、通例翻訳産物の終止コドンから通常は転写プロセス後に付着するポリA配列まで広がる。哺乳動物mRNAの3'非翻訳領域は、通例AAUAAAヘキサヌクレオチド配列として知られる相同性領域を有する。この配列はおそらくはポリA付着シグナルであり、ポリA付着部位の10〜30塩基上流に位置することが多い。

0084

3'非翻訳領域は、フォールディングしてステムループ構造を生じることができ、エキソリボヌクレアーゼに対する障壁として作用するか、又は既知のタンパク質と相互作用してRNA安定性を増大する(例えばRNA結合タンパク質)1つ又は複数の逆方向反復を含有し得る。

0085

5'及び/又は3'非翻訳領域は、本発明によると転写可能な核酸、特にコード核酸に、これらの領域が核酸と結合して、該転写可能な核酸から転写されるRNAの安定性及び/又は翻訳効率が増大するように機能的に連結し得る。

0086

本発明によると、「遺伝子」という用語は1つ若しくは複数の細胞生成物の産生、及び/又は1つ若しくは複数の細胞生成物の達成、及び/又は1つ若しくは複数の細胞間機能若しくは細胞内機能の達成に関与する特定の核酸配列を指す。より具体的に、上記用語は特定のタンパク質又は機能的若しくは構造RNA分子をコードする核酸を含むDNA部分に関する。

0087

本発明によると、「宿主細胞」という用語は、外因性核酸により形質転換又はトランスフェクトすることができる任意の細胞を指す。「宿主細胞」という用語は、本発明によると原核細胞(例えば大腸菌(E. coli))又は真核細胞(例えば酵母細胞及び昆虫細胞)を含む。特にヒト、マウス、ハムスターブタヤギ及び霊長類に由来する細胞等の哺乳動物細胞が好まれる。細胞は多様な組織型に由来し、初代細胞及び細胞株を含むことができる。特定の例としては、ケラチノサイト末梢血白血球骨髄幹細胞及び胚性幹細胞が挙げられる。他の実施形態では、宿主細胞は抗原提示細胞、特に樹状細胞、単球又はマクロファージである。核酸は単一又は幾つかのコピーで宿主細胞中に存在してもよく、一実施形態では宿主細胞中で発現される。

0088

本発明によると、核酸によってコードされるペプチド又はタンパク質は細胞質、核、膜、細胞小器官中に位置する又は分泌形態のペプチド又はタンパク質である。これらとしては、構造タンパク質調節タンパク質ホルモン神経伝達物質成長調節因子分化因子、遺伝子発現調節因子、DNA関連タンパク質、酵素血清タンパク質、受容体、薬剤、免疫調節物質癌遺伝子毒素、腫瘍抗原又は抗原が挙げられる。上記ペプチド又はタンパク質は、その生物活性を増強、阻害、調節又は排除するために自然発生配列又は突然変異配列を有し得る。

0089

「ペプチド」という用語は、ペプチド結合によって互いに連結した2以上、好ましくは3以上、好ましくは4以上、好ましくは6以上、好ましくは8以上、好ましくは10以上、好ましくは13以上、好ましくは16以上、好ましくは100又は好ましくは150の連続アミノ酸を含む物質を指す。「タンパク質」という用語は大型ペプチド、好ましくは少なくとも151アミノ酸を有するペプチドを指すが、「ペプチド」及び「タンパク質」という用語は本明細書で通常は同義語として使用される。「ペプチド」及び「タンパク質」という用語は、本発明によるとアミノ酸成分だけでなく、糖構造及びリン酸構造等の非アミノ酸成分を含有する物質も含み、エステル結合チオエーテル結合又はジスルフィド結合等の結合を含有する物質も含まれる。

0090

レポーター」はレポーター遺伝子によってコードされ、レポーターアッセイにおいて測定される分子、通例ペプチド又はタンパク質に関する。従来のシステムでは通常は酵素レポーターが用いられ、該レポーターの活性が測定される。

0091

本発明によると、ヌクレオチド又はアミノ酸等の2つの要素は、途切れることなく互いに直接隣接する場合に連続している。

0092

制限エンドヌクレアーゼ」又は「制限酵素」は、特定の塩基配列においてDNA分子の両鎖のホスホジエステル結合を切断する酵素群を指す。これらの酵素は、二本鎖DNA分子上の認識配列と称される特定の結合部位を認識する。DNA中の上記ホスホジエステル結合が該酵素によって切断される部位は切断部位と称される。IIS型酵素の場合、切断部位はDNA結合部位から規定の距離に位置する。

0093

応用分野
本発明の応用分野はワクチン接種、すなわち接種への修飾mRNAの使用、又は接種剤としての修飾mRNAを含む医薬組成物の使用、又は接種目的の医薬組成物の調製における修飾mRNAの使用である。ワクチン接種は抗原を生物又は被験体、特に生物又は被験体の細胞に導入することに基づく。本発明においては抗原をコードする遺伝情報を、抗原をコードする修飾mRNA及び/又は種々のTriMix mRNA鎖の形態で生物又は被験体に導入する。医薬組成物中に含まれる修飾「抗原」mRNAは抗原へと翻訳され、すなわち修飾mRNAによってコードされるポリペプチド又は抗原ペプチドが発現され、ポリペプチド又は抗原ペプチドに対する免疫応答が刺激される。病原性生物、例えばウイルス、細菌又は原生動物に対するワクチン接種では、かかる生物の表面抗原を、免疫応答を誘発させる抗原として使用することができる。本発明において、かかる表面抗原をコードする修飾mRNAを含む医薬組成物をワクチンとして使用することができる。遺伝子ワクチンを癌の治療に使用する用途では、腫瘍抗原(複数の場合もあり)、特に癌細胞のみに発現されるタンパク質をコードする修飾mRNAを生成することによって腫瘍抗原に対して免疫応答を指向する。腫瘍抗原をコードするかかる修飾mRNAは単独で又は本発明による医薬組成物の成分として使用することができ、修飾mRNA又はその組成物の投与は生物における癌抗原(複数の場合もあり)の発現をもたらす。したがって、かかるワクチンに対する免疫応答は、ワクチン接種した被験体に免疫癌抗原と関連する癌に対する或る程度の防御免疫を与える。代替的には、かかる手段は癌患者の免疫応答を刺激して、コードされた抗原を発現する任意の癌細胞を攻撃するために、患者の癌細胞で発現される腫瘍抗原(複数の場合もあり)をコードする修飾mRNAを用いた癌患者のワクチン接種に使用することができる。

0094

例えば本発明の医薬組成物を使用する遺伝子療法用途では、その修飾mRNAは治療対象の患者において形成されない、又は不十分若しくは不完全に形成される少なくとも1つの生物活性ペプチド又はポリペプチドをコードする。少なくとも1つの生物活性ペプチド若しくはポリペプチド又はその組成物をコードする修飾mRNAをかかる患者に投与することで、患者における少なくとも1つの生物活性ペプチド又はポリペプチドの発現及び/又は活性を少なくとも部分的に回復させ、それにより患者の遺伝的欠陥補完する。生きた動物への正常な機能的遺伝子の直接導入は、欠陥のある遺伝情報を置き換える手段として研究されている。かかる研究においては、核酸配列を生きた動物の細胞に直接導入する。したがって、本発明の修飾mRNAによってコードされるポリペプチドの例としては、嚢胞性線維症において不完全に変化するジストロフィンクロライドチャネルフェニルケトン尿症ガラクトース血症ホモシスチン尿症アデノシンデアミナーゼ欠損症等の代謝異常において欠損する又は不完全な酵素等、並びにドーパミンノルエピネフリン及びGABA等の神経伝達物質の合成に関与する酵素、特にチロシンヒドロキシラーゼ及びDOPAデカルボキシラーゼ、並びにα-1-アンチトリプシン等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物は、細胞表面受容体及び(and)/又はかかる生物活性タンパク質若しくはペプチドをコードするそれに含まれる修飾mRNAの細胞表面受容体の結合パートナーの発現をもたらすために使用することもできる。細胞外の又は細胞表面受容体に結合するかかるタンパク質の例としては、例えば組織プラスミノーゲン活性剤TPA)、成長ホルモンインスリンインターフェロン顆粒球マクロファージコロニー刺激因子GM-CFS)及びエリトロポエチン(EPO)等が挙げられる。

0095

好適な成長因子を選ぶことによって、本発明の医薬組成物を例えば組織再生又は幹細胞との相互作用に使用することができる。このようにして、例えば組織変性を特徴とする疾患、中でもアルツハイマー病パーキンソン病等の神経変性疾患等、及び関節症等の他の変性病態を治療することができる。これらの場合、特に本発明の医薬組成物中に含まれる修飾mRNAは、好ましくは限定するものではないがTGF-βファミリーメンバー、NGF、ニューロトロフィン等の神経栄養因子等をコードする。

0096

治療方法
したがって、本発明は癌、アレルギー、及び細菌感染ウイルス感染又は真菌感染、例えばHIV感染等の感染性疾患、又は肝炎を含む非限定的なリストから選択される少なくとも1つの疾患又は障害を予防及び/又は治療する方法を更に提供する。

0097

本明細書全体を通して使用される「癌」及び/又は「腫瘍」という用語は、例示され得るタイプの癌又は腫瘍に限定されることを意図するものではない。それゆえ、この用語は、全ての増殖性障害、例えば、新生物(neoplasm)、形成不全症、前悪性又は前癌性病変、異常細胞増殖良性腫瘍悪性腫瘍、癌又は転移を包含し、癌は白血病非小細胞肺癌小細胞肺癌CNS癌、悪性黒色腫卵巣癌腎癌前立腺癌乳癌神経膠腫結腸癌膀胱癌肉腫膵癌大腸癌頭頸部癌肝癌骨肉腫骨髄癌、胃癌十二指腸癌、食道癌甲状腺癌血液癌、及びリンパ腫からなる群から選択される。癌に特異的な抗原は、例えば、MelanA/MART1、癌−生殖細胞抗原、gplOO、チロシナーゼCEA、PSA、Her-2/neu、サバイビンテロメラーゼであり得る。

0098

本明細書全体を通して使用される「感染性疾患」又は「感染」という用語は、本明細書で例示され得るタイプの感染に限定されることを意図するものではない。したがって、この用語はワクチン接種が被験体に有益であり得る全ての感染因子を包含する。非限定的な例として、以下のウイルス起因性感染又は障害:後天性免疫不全症候群アデノウイルス感染症アルファウイルス感染症アルボウイルス感染症ベル麻痺ボルナ病、ブニヤウイルス感染症カリシウイルス感染症、水痘感冒尖圭コンジロームコロナウイルス感染症コクサッキーウイルス感染症サイトメガロウイルス感染症、デング熱DNAウイルス感染症伝染性膿瘡脳炎アルボウイルス脳炎、単純ヘルペス脳炎、エプスタインバー感染症、伝染性紅斑突発性発疹慢性疲労症候群ハンタウイルス感染症、ウイルス性出血熱、ヒトウイルス性肝炎、口唇ヘルペス、単純ヘルペス、帯状ヘルペス性帯状ヘルペス、ヘルペスウイルス感染症HIV感染症伝染性単核症トリインフルエンザ、ヒトインフルエンザ、ラッサ熱麻疹ウイルス性髄膜炎伝染性軟属腫モンキーポックス流行性耳下腺炎脊髄炎パピローマウイルス感染症、パラミクソウイルス感染症、サシチョウバエ熱灰白髄炎ポリオーマウイルス感染症、ポリオ症候群狂犬病呼吸包体ウイルス感染症、リフトバレー熱RNAウイルス感染症風疹重症急性呼吸器症候群遅発ウイルス病天然痘亜急性硬化性全脳炎ダニ媒介疾患、腫瘍ウイルス感染症、疣贅西ナイル熱ウイルス疾患黄熱人畜共通伝染病等が挙げられる。ウイルスに特異的な抗原は、HIV-gag、HIV-tat、HIV-rev、若しくはHIV-nef、又はC型肝炎抗原であってよい。

0099

更なる非限定的な例として、以下の細菌又は真菌起因性感染又は疾患:膿瘍放線菌症アナプラズマ病炭疽病関節炎反応性アスペルギルス症菌血症細菌感染症、及び真菌症バルトネラ感染症、ボツリヌス中毒症脳膿瘍ブルセラ病バークホルデリア感染症、カンピロバクター感染症、カンジダ症外陰膣カンジダ症ひっかき病、蜂窩織炎中枢神経系感染症、軟性下疳クラミジア感染症、クラミジア類感染症、コレラクロストリジウム感染症、コクシジオイデス症角膜潰瘍交叉感染、クリプトコッカス症皮膚真菌症ジフテリアエーリキア症、膿胸細菌性心内膜炎眼内炎偽膜性腸炎丹毒、大腸菌感染症、壊死性筋膜炎、フルニエ壊疽、せつ腫症、フソバクテリウム感染症、ガス壊疽淋病グラム陰性細菌感染症グラム陽性細菌感染症、鼠径肉芽腫化膿性汗腺炎ヒストプラスマ症麦粒腫膿痂疹クレブシエラ感染症、レジオネラ症ハンセン病レプトスピラ症リステリア感染症、ルードウィヒ口峡炎肺膿瘍ライム病性病性リンパ肉芽腫マズラミコーシス類鼻疽細菌性髄膜炎マイコバクテリウム感染症マイコプラズマ感染症、真菌症、ノカルジア感染症、爪真菌症骨髄炎爪囲炎骨盤内炎症性疾患、疫病肺炎球菌感染症緑膿菌感染症、オウム病産褥感染Q熱鼠咬症回帰熱気道感染症、後咽頭膿瘍、リューマチ熱、硬腫リケッチア感染症、ロッキー山紅斑熱サルモネラ感染症猩紅熱ツツガムシ病敗血症細菌性性病、細菌性性病、敗血性ショック、細菌性皮膚疾患感染性皮膚疾患、ぶどう球菌感染症、ぶどう球菌感染症、梅毒先天性梅毒破傷風、ダニ媒介疾患、白癬症癜風トラコーマ結核脊椎結核、野兎病腸チフスシラミ媒介性発疹チフス尿路感染症ウィップル病百日咳ビブリオ感染症、イチゴ腫エルシニア感染症、人畜共通感染症接合菌症等が挙げられる。

0100

本明細書で使用される場合、特に指定のない限り「溶媒和物」という用語は、本発明のRNA分子(複数の場合もあり)と、限定されるものではないが注射用水、ハートマン液、PBS、0.9 %NaCl、無血清培地等の好適な無機溶媒(例えば水和物)又は有機溶媒とで形成され得る任意の組合せを含む。

0101

概して医薬用途については、本発明のRNA分子(複数の場合もあり)は、少なくとも1つの本発明のRNA分子と、少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤及び/又はアジュバントと、任意に1つ又は複数の更なる薬学的に活性な生成物とを含む医薬調製物又は医薬組成物として配合され得る。

0102

非限定的な例によると、かかる配合物経口投与非経口投与(リンパ管内、腫瘍内、静脈内、筋肉内若しくは皮下注射、又は静脈内注入等による)、局所投与(目を含む)、吸入皮膚パッチインプラント坐剤による投与等に好適な形態であり得る。投与方法に応じて固体半固体又は液体であり得るかかる好適な投与形態、並びにその調製に使用される方法及び担体、希釈剤及び賦形剤は当業者に明らかである。この場合も、例えば米国特許第6,372,778号、米国特許第6,369,086号、米国特許第6,369,087号及び米国特許第6,372,733号、並びにRemington's Pharmaceutical Sciencesの最新版等の標準ハンドブックを参照されたい。

0103

かかる調製物の幾つかの好ましいが非限定的な例としては、それ自体がかかる配合物に好適なラクトースデキストローススクロースソルビトールマンニトールデンプンアカシアゴムリン酸カルシウムアルギン酸塩トラガカントゼラチンケイ酸カルシウム微結晶性セルロースポリビニルピロリドンポリエチレングリコールセルロース、(滅菌)水、メチルセルロースメチルヒドロキシベンゾエート及びプロピルヒドロキシベンゾエートタルクステアリン酸マグネシウム食用油植物油及び鉱油、又はそれらの好適な混合物等の担体、賦形剤及び希釈剤が配合され得るボーラス投与及び/又は連続投与としての投与用の錠剤丸薬粉末舐剤サシェ剤、カシェ剤エリキシル、懸濁液、エマルション溶液シロップエアロゾル軟膏クリームローション軟ゼラチンカプセル及び硬ゼラチンカプセル、坐剤、点眼薬、滅菌注射液並びに滅菌包装粉末(通常は使用前に再構成される)が挙げられる。配合物は他の薬学的に活性な物質(本発明の生成物と相乗効果をもたらしても又はもたらさなくてもよい)及び医薬配合物に一般に使用される他の物質、例えば潤滑剤、湿潤剤乳化剤及び懸濁化剤分散剤崩壊剤(disintegrants)、充填剤フィラー保存剤甘味剤着香料流動調節剤放出剤等を任意に含有し得る。また、組成物は、例えば天然ゲル又は合成ポリマーに基づくリポソーム又は親水性ポリマーマトリクスを用いてそれに含有される活性生成物(複数の場合もあり)の急速、持続又は遅延放出をもたらすように配合されてもよい。本発明による医薬組成物の生成物の溶解性及び/又は安定性を増強するためには、α−、β−又はγ−シクロデキストリン又はそれらの誘導体を用いることが有利であり得る。

0104

より特には、組成物は本発明の生成物の固体分散剤と1つ又は複数の薬学的に許容可能な水溶性ポリマーとからなる治療的有効量の粒子を含む医薬配合物に配合することができる。

0105

「固体分散剤」という用語は、少なくとも2つの成分を含み、一方の成分が他方の成分(単数又は複数)全体にほぼ一様に分散した(液体又は気体状態に対して)固体状態の系を規定するものである。上記の成分の分散が、系全体が化学的及び物理的に均一若しくは均質であるか又は熱力学的に規定される1つの相からなるようなものである場合、かかる固体分散剤は「固溶体」と称される。固溶体は、その成分が通常はそれを投与する生物において容易に利用可能であるため好ましい物理系である。

0106

生成物を、1000 nm未満の効果的な平均粒子サイズを維持するのに十分な量で表面改質剤が表面に吸着したナノ粒子の形態で配合することが更に好都合である。好適な表面改質剤は好ましくは既知の有機及び無機医薬賦形剤から選択することができる。かかる賦形剤としては、様々なポリマー、低分子量オリゴマー、天然生成物及び界面活性剤が挙げられる。好ましい表面改質剤としては、非イオン性及びアニオン性界面活性剤が挙げられる。

0107

本発明による生成物を配合する更に別の興味深い方法は、生成物を親水性ポリマーに組み込み、この混合物を塗膜として多くの小ビーズに塗布し、それにより好都合に製造することができ、経口投与用医薬投与形態の調製に好適な良好なバイオアベイラビリティを有する組成物を得ることによる医薬組成物を含む。ビーズのコアとして使用するのに好適な材料は、該材料が薬学的に許容可能であり、適切な寸法及び硬度を有する限りにおいてマニホールドである。かかる材料の例はポリマー、無機物質有機物質及びサッカリド、並びにそれらの誘導体である。

0108

調製物は、通常は少なくとも1つの本発明による生成物と1つ又は複数の薬学的に許容可能な担体とを、所望に応じて他の医薬活性生成物と組み合わせて、必要な場合に無菌条件で混合することを含むそれ自体が既知の方法で調製することができる。この場合も、米国特許第6,372,778号、米国特許第6,369,086号、米国特許第6,369,087号及び米国特許第6,372,733号、並びに上述の更なる従来技術、並びにRemington's Pharmaceutical Sciencesの最新版等の標準ハンドブックを参照されたい。

0109

本発明の医薬調製物は好ましくは単位投与形態であり、例えばボックスブリスターバイアルボトル、サシェ、アンプル、又は任意の他の好適な単回投与若しくは複数回投与用のホルダー若しくは容器(適切にラベリングすることができる)内に、任意に製品の情報を含む1つ又は複数のリーフレット及び/又は使用説明書とともに適切に包装することができる。概して、かかる単位用量は0.1 mg〜1000 mgを含有する。

0110

生成物は、主に使用される特定の調製物及び治療又は予防すべき病態に応じてリンパ管内、腫瘍内、経口、直腸、眼、経皮、皮下、静脈内、筋肉内又は鼻腔内経路を含む様々な経路によって投与することができる。本発明の少なくとも1つの生成物は概して、好適な投与の際に、それを投与する個体において所望の治療又は予防効果を達成するのに十分である任意の生成物の量を意味する「有効量」で投与される。通常は、予防又は治療すべき病態及び投与経路に応じて、かかる有効量は通常は患者の体重1キログラム当たり1日0.01 mg〜1000 mgであり、単回日用量として、1若しくは複数の日用量に分割して、又は例えば点滴を用いて本質的に連続して投与することができる。投与される量(複数の場合もあり)、投与経路及び更なる治療レジメンは、患者の年齢性別及び全身状態、並びに治療すべき疾患/症状の性質及び重症度等の因子に応じて治療を行う医師によって決定され得る。この場合も、米国特許第6,372,778号、米国特許第6,369,086号、米国特許第6,369,087号及び米国特許第6,372,733号、並びに上述の更なる従来技術、並びにRemington's Pharmaceutical Sciencesの最新版等の標準ハンドブックを参照されたい。

0111

本発明の方法に応じて、上記医薬組成物を療法の過程の種々の時点で別個に、又は分割した若しくは単一の複合形態で同時に投与することができる。したがって、本発明は同時又は交互の治療のかかるレジームを全て包含するように理解され、「投与する」という用語はそれに応じて解釈される。

0112

経口投与形態については、本発明の組成物は賦形剤、安定剤又は不活性希釈剤等の好適な添加剤と混合し、慣習的方法を用いて錠剤、コーティング錠硬カプセル水溶液アルコール溶液又は油性溶液等の好適な投与形態にすることができる。好適な不活性担体の例はアラビアゴムマグネシア炭酸マグネシウムリン酸カリウム、ラクトース、グルコース又はデンプン、特にトウモロコシデンプンである。この場合、調製は乾燥及び湿潤顆粒の両方として行うことができる。好適な油性賦形剤又は溶媒は、ヒマワリ油又は肝油等の植物油又は動物油である。水溶液又はアルコール溶液に好適な溶媒は水、エタノール糖溶液又はそれらの混合物である。ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールも他の投与形態の更なる助剤として有用である。即時放出錠剤として、これらの組成物は微結晶性セルロース、リン酸二カルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウム及びラクトース、及び/又は当該技術分野で既知の他の賦形剤、結合剤増量剤、崩壊剤、希釈剤及び潤滑剤を含有し得る。

0113

鼻エアロゾル又は吸入によって投与する場合、これらの組成物は医薬配合物の技術分野で既知の技法に従って調製することができ、ベンジルアルコール又は他の好適な保存料、バイオアベイラビリティを増強する吸収促進剤、フッ化炭素、及び/又は当該技術分野で既知の他の可溶化剤又は分散剤を用いて生理食塩溶液として調製することができる。エアロゾル又はスプレーの形態での投与に好適な医薬配合物、例えば本発明の生成物、又はエタノール若しくは水、若しくはかかる溶媒の混合物等の薬学的に許容可能な溶媒中のその生理的に許容される塩の溶液、懸濁液又はエマルションである。必要に応じて、配合物は界面活性剤、乳化剤及び安定剤、並びに噴射剤等の他の医薬助剤を更に含有していてもよい。

0114

皮下投与については、本発明による生成物はしたがって、所望に応じて可溶化剤、乳化剤又は更なる助剤等の慣習的な物質とともに溶液、懸濁液又はエマルションにする。本発明の生成物は凍結乾燥し、得られる凍結乾燥物を例えば注射又は注入調製物の作製に使用することができる。好適な溶媒は例えば水、生理食塩液、更にはグルコース溶液若しくはマンニトール溶液等の糖溶液、又は代替的には言及した様々な溶媒の混合物である。注射液又は懸濁液は、マンニトール、水、リンガー液若しくは等張塩化ナトリウム溶液、又は好適な分散剤若しくは湿潤剤及び懸濁化剤、例えば合成モノグリセリド又はジグリセリドを含む滅菌、無刺激の固定油、及びオレイン酸を含む脂肪酸等の好適な無毒性非経口的に許容される希釈剤又は溶媒を用いて、既知の技術に従って配合することができる。

0115

坐剤の形態で直腸投与する場合、これらの配合物は本発明による生成物と、常温で固体であるが、直腸腔で液化及び/又は溶解して薬物を放出するココアバター、合成グリセリドエステル又はポリエチレングリコール等の好適な非刺激性賦形剤とを混合することによって調製することができる。

0116

好ましい実施形態では、本発明の生成物及び組成物は局部的、例えば局所的に又は吸収用途及び非吸着用途の両方で使用することができる。

0117

組成物は、本明細書において、動物における疾患の予防及び/又は治療だけでなく、ウシ、ブタ、ヒツジニワトリ等の経済的に重要な動物について動物の成長及び/又は体重、及び/又は動物から得られる肉又は他の製品の量及び/又は品質の増強も目的とした獣医学分野で有用である。このため更なる態様では、本発明は、本発明の少なくとも1つの生成物と少なくとも1つの好適な担体(すなわち獣医学用途に好適な担体)とを含有する獣医学用途のための組成物に関する。本発明は、かかる組成物の調製における本発明の生成物の使用にも関する。

0118

一般的な材料及び方法
in vitro実験:単球由来DCの生成
末梢血単核細胞(PBMC)をDC前駆体の供給源として使用し、白血球搬出生成物から単離した。臨床グレードDCを、in vitroでプラスチック接着性画分から以下のように生成した。0日目に、PBMCを2 %自己血漿(AP)を添加した造血細胞培養に好適な培地中、10×106細胞/mLの密度プレーティングした。細胞を2時間静置し、単球を37℃でプラスチック接着させた。非接着性細胞洗浄によって除去し、接着性細胞をCell Factoryにおいて1 %AP、1000 U/mLのGM-CSF及び500U/mLのIL-4を添加した培地中で培養した。2日目及び4日目に、0日目のサイトカイン量を含有する培地をDC培養物に添加した。DC培養の6日目に細胞を採取し、凍結保存した。

0119

in vitro実験:DCの電気穿孔
6日目に、4〜8×106のDCを指定のようにmRNAを用いて電気穿孔した。電気穿孔前に、DCを初めにサプリメントを含まないPBS、続いてフェノールレッドを含まない低血清培地で2回洗浄した。2回目の洗浄工程の後、DCを、mRNAを含有する最終容量200 μlの低血清培地に再懸濁した。電気穿孔を4 mmギャップ電気穿孔キュベットにおいて行った。指数関数的減衰パルスを以下の条件:電圧、300 V;静電容量、150 μF及び抵抗、∞Ωで使用し、約11 msのパルス時間を得た。電気穿孔の直後に、DCを1 %huAB血清及びPS/L-GLUを添加した培地で希釈し、加湿5 %CO2雰囲気、37℃でインキュベートした。電気穿孔後にはDCに更なるサイトカインを添加しなかった。

0120

in vivo実験:マウス
雌性、6週齢〜12週齢のDBA/2マウス。

0121

in vivo実験:マウス細胞株
肥満細胞腫細胞株P815はC. Uyttenhove(ルーヴァン・カトリック大学(UniversiteCatholique de Louvain),Louvain-La-Neuve,Belgium)から得た。

0122

in vivo実験:腫瘍細胞の接種及びmRNAのin situ送達
触知腫瘍を成長させるために、実験で指定されるようにマウスの両脇腹に5×105のP815腫瘍細胞を皮下注射した。mRNAの腫瘍内送達のために、マウスをイソフルラン(Abbott)で麻酔した。腫瘍に10 μgの各TriMix mRNA成分を含有する混合物を、約100 mm3の容積に達するまで注射腫瘍当たり50 μlの0.8ハートマン液という最終容量で注射した。同量のmRNAを異なる群間で使用した。tNGFRをコードするmRNAは、対照となるpGEMベクターから作製した。

0123

実施例1
具体的な材料及び方法
iDCの生成及び電気穿孔を上記の一般的な材料及び方法の項に記載のように行う。iDCを5 μgのTriMixの各成分を用いて電気穿孔し、DCを成熟させた。全てのフローサイトメトリー染色をPBS/BSA/アジド中で行った。CD70の発現を分析するために、抗CD70フルオレセインイソチオシアネートFITC)を使用した。データ収集FACSFortessaフローサイトメーター(BD)で行い、FACS Divaソフトウェアを用いて分析した。

0124

結果:
電気穿孔の24時間後に、DCをそのCD70表面発現について染色した。これらの結果から、TriMixを用いたiDCの電気穿孔後に、両方の調節要素(TE+ENE)を含有するpUC TE ENEプラスミド(配列番号5)によってコードされるTriMixを用いた電気穿孔後のCD70発現の強度(平均蛍光強度(MFI))がpUCベクター(pUC TE ENEプラスミドのベース)、pUC TEベクター及びpUC ENEベクターと比較した場合に顕著に高いことが示される。pUC TE ENEプラスミドによってコードされるTriMixを用いた電気穿孔後のCD70発現は顕著に高いが、pUC TE及びpUC ENEの両方の使用は、これらの要素を欠くpUCと比較して低下した又は最大でも同レベルのCD70発現をもたらす(図1)。したがって、ベクターにおける両方の要素(TE及びENE)の存在は、pUC TEENEプラスミドによってコードされるTriMixを用いた電気穿孔後のCD70発現の増大に関して予期せぬ相乗効果を有するようである。

0125

実施例2
具体的な材料及び方法:
iDCの生成及び電気穿孔条件は上記の一般的な材料及び方法の項に記載のように行う。iDCを20 μgのWT1をコードするmRNAを用いて電気穿孔し、抗原負荷を行った。細胞内WT1発現を分析するために、細胞を固定及び透過処理し、抗WT1モノクローナル抗体クローン6F-H2;Dako Cytomation,Carpinteria,CA)で細胞内染色した。IgGアイソタイプ適合PE標識抗マウス抗体を二次Abとして使用した(Becton&Dickinson,Erembodegem,Belgium)。非反応性アイソタイプ適合抗体(eBioscience,Vienna,Austria)を対照として使用した。データ収集をFACSFortessaフローサイトメーター(BD)で行い、FACS Divaソフトウェアを用いて分析した。

0126

結果:
これらの結果から、pUC TE ENEベクターによってコードされるWT1を用いたiDCの電気穿孔後に、他のWT1mRNAをコードするベクターと比較してより持続的なWT1発現が観察されることが示される(図2)。これらのデータから、5'TE及び3'ENEセグメントの両方の異なる作用様式が良好に実証される。pUC-TEベクターからのmRNAの発現は4時間後に高く、急速に低下する。ENEを含有するRNAからの翻訳は、期間全体で他の全てよりも低い。pUC TE ENEベクターは、TEの高い翻訳可能性及び長期のENE配列効果を有する。WT1の発現レベルは、他のベクターよりも顕著に遅い速度で減少する。

0127

実施例3
具体的な材料及び方法:
iDCの生成及び電気穿孔条件は上記の一般的な材料及び方法の項に記載のように行う。iDCを5 μgのeGFPをコードするmRNA及びTriMix(5 μgの各成分)を用いて同時電気穿孔し、DCの抗原負荷及び成熟を行った。eGFP発現を幾つかの時点でフローサイトメトリーによって評価した。

0128

結果:
eGFP発現を電気穿孔後の幾つかの時点で追跡した(図3)。これらの結果から、両ベクターからのeGFPの発現レベルが電気穿孔の4時間後に同等であることが示される。しかしながら、後の時点でpUC TE ENE由来mRNAからの発現が顕著により高いことが明らかである。この場合も、導入遺伝子のより安定した及び持続的な発現が示される。

0129

実施例4
具体的な材料及び方法:
iDCの生成及び電気穿孔条件を上記のように行う。iDCを5 μgのTriMixの各成分を用いて電気穿孔し、DCを成熟させた。全てのフローサイトメトリー染色をPBS/BSA/アジド中で行った。DCの細胞表面上の表面分子の発現を分析するために、以下のモノクローナル抗体:CD40-APC(アロフィコシアニン)、CD70-FITC、CD80-PE、CD83-PE(フィコエリトリン)、CD86-PE及びCCR7-APCを使用した。データ収集をFACSFortessaフローサイトメーター(BD)で行い、FACS Divaソフトウェアを用いて分析した。

0130

結果:
pUC TE ENEベクターによってコードされるTriMixmRNAを用いたiDCの電気穿孔は、DCの成熟を誘導することが可能である(図4)。

0131

実施例5:P815による両側腫瘍モデル:一方の腫瘍の単回治療
具体的な材料及び方法:
触知腫瘍を成長させるために、マウスの両脇腹に5×105のP815腫瘍細胞を皮下接種した。両方の腫瘍が約100 mm3の注射可能容積に達した時点で療法を開始した。一方の腫瘍のみを治療する両側腫瘍モデルを用いて、ワクチン接種戦略の全身効果を評価することを目的とした。したがって、左の腫瘍のみに0.8×ハートマン液に溶解した対照mRNA又はpUC TE ENE TriMix mRNA(10 μgの各mRNA成分)を注射した。全身抗腫瘍免疫応答を、治療及び非治療の両方の対側腫瘍のサイズの測定並びに生存によって評価した。

0132

結果:
両側腫瘍モデルを用いることで、免疫化戦略の全身効果を評価することができた。pUC TE ENE TriMixmRNAの単回腫瘍内送達により、治療及び非治療の両方の対側腫瘍の顕著な低減が得られた(図5)。遠隔腫瘍に対するワクチン接種の効果により、単回腫瘍内TriMix注射を多数の腫瘍病巣の治療に使用することができることが示唆され得る。

0133

実施例6:P815による両側腫瘍モデル:一方の腫瘍の単回治療、ハートマン液及び対照としてのtNGFR
具体的な材料及び方法:
触知腫瘍を成長させるために、マウスの両脇腹に5×105のP815腫瘍細胞を皮下接種した。両方の腫瘍が約100 mm3の注射可能容積に達した時点で療法を開始した。一方の腫瘍のみを治療する両側腫瘍モデルを用いて、ワクチン接種戦略の全身効果を評価することを目的とした。したがって、左の腫瘍のみに全て50 μl/注射腫瘍の全容量で0.8×ハートマン液に溶解したビヒクル(0.8ハートマン液)、対照mRNA又はpUCTE ENE TriMix mRNA(10 μgの各mRNA成分)を注射した。全身抗腫瘍免疫応答を、治療及び非治療の両方の対側腫瘍のサイズの測定並びに生存によって評価した。

0134

結果:
両側腫瘍モデルを用いることで、免疫化戦略の全身効果を評価することができた。この実験から以前の観察結果が確認される。すなわち、
1. pUC TE ENE TriMixmRNAの単回腫瘍内送達が、治療及び非治療の両方の対側腫瘍の腫瘍成長を顕著に低減した。
2. pUC TE ENE TriMix mRNAの単回腫瘍内送達(delivery)が担腫瘍マウスの持続的な生存をもたらした。
3.ワクチン接種の効果は、治療腫瘍でより顕著であった。

0135

さらに、腫瘍をビヒクルで治療した群を持ち出すことで、mRNA自体のアジュバント効果を示すことができた。

0136

実施例7:種々のTE配列の比較
具体的な材料及び方法:
本明細書に関連する具体的なアッセイ方法に関する詳細は、上記の実施例2及び実施例3に見ることができる。

0137

結果:WT1又はeGFPを用いたiDCの電気穿孔
配列番号1、配列番号2又は配列番号3によって表されるTE要素のいずれかを含むpUC TE ENEベクターによってコードされるWT1(図9A)又はeGFP(図9B)を用いたiDCの電気穿孔は、それぞれWT1発現又はeGFP発現の顕著な差を生じなかった。

0138

これらのデータから、配列番号1に対して少なくとも80 %の配列同一性を有する配列、例えば配列番号1、配列番号2又は配列番号3等が、本発明によるベクターにおける翻訳エンハンサー要素として区別なく使用され得ることが明らかに示される。

実施例

0139

参考文献
BonehillA, Tuyaerts S, Van Nuffel AM, Heirman C, Bos TJ, Fostier K, Neyns B, ThielemansK - Enhancing the T-cell stimulatory capacity of humandendritic cells by co-electroporation with CD40L, CD70 and constitutivelyactiveTLR4 encodingmRNA. - Mol Ther.2008 Jun; 16(6):1170-80.
Conrad NK, Steitz JA - A Kaposi's sarcoma virus RNAelement that increases the nuclear abundance of intronless transcripts. -EMBO J. 2005 May 18;24(10):1831-41.
Conrad NK, Mili S, Marshall EL, Shu MD, Steitz JA - Identification of arapid mammalian deadenylation-dependent decay pathway and its inhibition by aviral RNA element. Mol Cell.2006;24:943-953.
Diken M, Kreiter S, Selmi A, Britten CM, Huber C, Tureci O, Sahin U - Selective uptake of naked vaccine RNA by dendriticcells is driven by macropinocytosis and abrogated upon DC maturation. - Gene Ther. 2011 Jul; 18(7):702-8.
Fotin-Mleczek M, DuchardtKM, Lorenz C, Pfeiffer R, Ojkic -Zrna S, Probst J, Kallen KJ - Messenger RNA-based vaccineswith dual activity induce balanced TLR-7 dependent adaptive immune responsesand provide antitumor activity. - J Immunother. 2011 Jan;34(1):1-15.
Hu MC, Tranque P, EdelmanGM, Mauro VP. -rRNA-complementarity in the 5' untranslated region of mRNA specifyingthe Gtx homeodomain protein: evidence that base- pairing to 18S rRNA affectstranslational efficiency. - Proc Natl Acad Sci U S A. 1999 Feb16;96(4):1339-44.
Mitton-Fry RM, DeGregorio SJ, Wang J, Steitz TA,Steitz JA. - Poly(A) tail recognition by a viral RNA element through assemblyof a triple helix. - Science. 2010;330:1244-1247.
Sun R, LinSF, Gradoville L, Miller G. -Polyadenylylated nuclear RNA encoded by Kaposi sarcoma-associatedherpesvirus. - Proc Natl Acad Sci USA. 1996;93:11883-11888.
Van Lint Sandra, Goyvaerts Cleo, Maenhout Sarah, et al. - Preclinical Evaluation of TriMix and AntigenmRNA-Based Antitumor Therapy - CancerRes 2012;72:1661-1671.

0140

図1
24h post-electroporation電気穿孔後24時間
expression発現
図2
4h post-electroporation 電気穿孔後4時間
expression 発現
24hpost-electroporation 電気穿孔後24時間
48hpost-electroporation 電気穿孔後48時間
図3
expression 発現
hours afterelectroporation 電気穿孔後の時間
図4
24hpost-electroporation 電気穿孔後24時間
expression 発現
図5
ControlmRNA対照mRNA
Treated tumor治療腫瘍
Tumor volume腫瘍容積
Time aftertumor inoculation (days)腫瘍接種後の時間(日)
ContralateralNon-treated tumor 対側非治療腫瘍
days afterP815 tumor inoculation P815腫瘍接種後の日数
Treated tumorControl mRNA 対照mRNA治療腫瘍
Non-treatedtumor Control mRNA 対照mRNA非治療腫瘍
Treated tumorTriMix mRNA TriMix mRNA治療腫瘍
Non-treatedtumor TriMix mRNA TriMix mRNA非治療腫瘍
Percentsurvival生存率
Time afterP815 tumor inoculation (days) P815腫瘍接種後の時間(日)
mediansurvival生存期間中央値
図6
Treated tumor 治療腫瘍
Tumor volume 腫瘍容積
Time aftertumor inoculation (days) 腫瘍接種後の時間(日)
Vehicleビヒクル
Control mRNA 対照mRNA
ContralateralNon-treated tumor 対側非治療腫瘍
Treated tumorVehicle ビヒクル治療腫瘍
Non-treatedtumor Vehicle ビヒクル非治療腫瘍
Treated tumorControl mRNA 対照mRNA治療腫瘍
non-treatedtumor Control mRNA 対照mRNA非治療腫瘍
Treated tumorTriMix mRNA TriMix mRNA治療腫瘍
Non-treatedtumor TriMix mRNA TriMix mRNA非治療腫瘍
Percentsurvival 生存率
mediansurvival 生存期間中央値
図8
SEQID N゜ 配列番号
図9
expression 発現
Hours afterelectroporation 電気穿孔後の時間
Control 対照
SEQ ID N゜ 配列番号

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ