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技術 植物病害防除剤

出願人 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明者 冨山千春
出願日 2019年2月13日 (1年2ヶ月経過) 出願番号 2019-023480
公開日 2019年8月29日 (8ヶ月経過) 公開番号 2019-142847
状態 未査定
技術分野 微生物、その培養処理 農薬・動植物の保存
主要キーワード 成長状況 スマッシュ 種もみ バイオフィルム形成能 温湯処理 こうじ クリスタルバイオレット水溶液 伝染源
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年8月29日)のものです。
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図面 (9)

課題

イネ科植物等の植物における病害に対して優れた防除効果を発揮する、新規細菌株2種以上を有効成分とする植物病害防除剤の提供。

解決手段

ステノトロフォモナスマルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)SMAL株(受託番号:NITEP−02617)、同SMALUV17株(受託番号:NITE P−02864)、同SMALUV28株(受託番号:NITE P−02865)から選択される1種以上と、シュードモナスプチダ(Pseudomonas putida)RSB1株(受託番号:NITE P−02614)、同RSB10株(受託番号:NITE P−02615)、同RSB15株(受託番号:NITE P−02616)から選択される1種以上を有効成分として含有する植物病害防除剤。

概要

背景

病害感受性のイネ等の植物に病原菌などが接触し、増殖することで発症する植物病害は、農作物生産における大きな脅威であり、世界の食糧生産の損失の1割にも達するといわれている。例えば、植物育苗中に発生する植物病害には、大きく分けて種子伝染性病害土壌伝染性病害の2つがある。種子伝染性病害は、種子や球根等に病気が付着していて、催芽時あるいは出芽時に病気が拡散する病害である。また、土壌伝染性病害は、土壌中で腐生的生存しているカビ育苗土壌中で増殖することにより発生する病害である。近年では、箱育苗人工培土を使用することが多いため、折衷苗代畑苗代に比べ、カビ等が原因となる立枯病等の土壌伝染性病害は減少している。
これらの植物病害としては、代表的に細菌によりひき起こされるイネもみ枯細菌病イネ苗立枯細菌病、白葉枯細菌病褐条病などや、糸状菌によりひき起こされるばか苗病、ごま葉枯病いもち病などが挙げられる。特に、イネもみ枯細菌病やイネ苗立枯細菌病は、幼苗腐敗と萎凋枯死を、ばか苗病は幼苗腐敗や徒長苗を生じるため、感染・発症した苗をそのまま本田やに植え込むと、伝染源となり、本田や畑での病害の発生を助長してしまい、移植不能となり廃棄するほかないのが現状である。幼病腐敗等の被害発現していない場合でも、保菌した苗を本田や畑に移植すれば、イネもみ枯細菌病はイネもみ枯症発生の原因となり、ばか苗病については不稔や枯死株発生の原因となるほか、このような植物体から収穫された種子は保菌しているため、次年度病害発生源となる。

植物育苗中の病害を防ぐために、育苗箱や使用する培土等を十分に消毒洗浄し、塩水洗した健全な種子を使い消毒剤を使用して消毒した種子を播種する予防法推奨されている。発前の種子の消毒に用いられる化学農薬としては、モミガードC・DFスミチオン乳剤スポタック乳剤、トリフミン水和剤、ヘルシード水和剤、スターナ水和剤、スポルタックスターナSE、テクリードフロアブルなどが知られている(例えば、非特許文献1等)。また、化学農薬以外による殺菌処理として、種子に対し60℃の温湯で10分間の浸漬処理を行なう温湯処理、および、エコホープ 、エコホープDJ 、タフブロック 、モミゲンキ水和剤 、モミホープ水和剤などの微生物農薬による防除が知られている(例えば、非特許文献2、3等)。
化学農薬は顕著な殺菌効果が得られるが、ある程度の期間使用すると耐性菌出現するという問題がある。また、生物農薬は、化学農薬に比べて短期間で開発できることや、薬剤耐性菌の発生が少なく環境負荷が低いことから、農薬散布回数カウントされないというメリットもあるが、化学農薬に比べ防除効果が病害の発生程度や処理時の環境条件に大きく左右されやすいという問題がある。

概要

イネ科植物等の植物における病害に対して優れた防除効果を発揮する、新規細菌株2種以上を有効成分とする植物病害防除剤の提供。ステノトロフォモナスマルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)SMAL株(受託番号:NITEP−02617)、同SMALUV17株(受託番号:NITE P−02864)、同SMALUV28株(受託番号:NITE P−02865)から選択される1種以上と、シュードモナスプチダ(Pseudomonas putida)RSB1株(受託番号:NITE P−02614)、同RSB10株(受託番号:NITE P−02615)、同RSB15株(受託番号:NITE P−02616)から選択される1種以上を有効成分として含有する植物病害防除剤。

目的

本発明は、植物における病害に対して優れた防除効果を発揮する、新規な細菌株2種以上を有効成分とする植物病害防除剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ステノトロフォモナスマルトフィリア(Stenotrophomonasmaltophilia)SMAL株(受託番号:NITEP−02617)、ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonasmaltophilia)SMALUV17株(受託番号:NITEP−02864)、ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonasmaltophilia)SMALUV28株(受託番号:NITEP−02865)から選択される1種以上と、シュードモナスプチダ(Pseudomonasputida)RSB1株(受託番号:NITEP−02614)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonasputida)RSB10株(受託番号:NITEP−02615)およびシュードモナス・プチダ(Pseudomonasputida)RSB15株(受託番号:NITEP−02616)から選択される1種以上を有効成分として含有することを特徴とする、植物病害防除剤

請求項2

上記植物がイネ科植物であることを特徴とする、請求項1記載の植物病害防除剤。

請求項3

上記病害細菌病害であることを特徴とする、請求項1または2に記載の植物病害防除剤。

請求項4

ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonasmaltophilia)SMAL株(受託番号:NITEP−02617)、SMALUV17株(受託番号:NITEP−02864)またはSMALUV28株(受託番号:NITEP−02865)である細菌。

請求項5

シュードモナス・プチダ(Pseudomonasputida)RSB1株(受託番号:NITEP−02614)、RSB10株(受託番号:NITEP−02615)またはRSB15株(受託番号:NITEP−02616)である細菌。

技術分野

0001

本発明は、新規ステノトロフォモナス属細菌株、新規のシュードモナスプチダ属細菌株および、これら新規の細菌株2種を含有する植物病害防除剤に関する。

背景技術

0002

病害感受性のイネ等の植物に病原菌などが接触し、増殖することで発症する植物病害は、農作物生産における大きな脅威であり、世界の食糧生産の損失の1割にも達するといわれている。例えば、植物育苗中に発生する植物病害には、大きく分けて種子伝染性病害土壌伝染性病害の2つがある。種子伝染性病害は、種子や球根等に病気が付着していて、催芽時あるいは出芽時に病気が拡散する病害である。また、土壌伝染性病害は、土壌中で腐生的生存しているカビ育苗土壌中で増殖することにより発生する病害である。近年では、箱育苗人工培土を使用することが多いため、折衷苗代畑苗代に比べ、カビ等が原因となる立枯病等の土壌伝染性病害は減少している。
これらの植物病害としては、代表的に細菌によりひき起こされるイネもみ枯細菌病イネ苗立枯細菌病、白葉枯細菌病褐条病などや、糸状菌によりひき起こされるばか苗病、ごま葉枯病いもち病などが挙げられる。特に、イネもみ枯細菌病やイネ苗立枯細菌病は、幼苗腐敗と萎凋枯死を、ばか苗病は幼苗腐敗や徒長苗を生じるため、感染・発症した苗をそのまま本田やに植え込むと、伝染源となり、本田や畑での病害の発生を助長してしまい、移植不能となり廃棄するほかないのが現状である。幼病腐敗等の被害発現していない場合でも、保菌した苗を本田や畑に移植すれば、イネもみ枯細菌病はイネもみ枯症発生の原因となり、ばか苗病については不稔や枯死株発生の原因となるほか、このような植物体から収穫された種子は保菌しているため、次年度病害発生源となる。

0003

植物育苗中の病害を防ぐために、育苗箱や使用する培土等を十分に消毒洗浄し、塩水洗した健全な種子を使い消毒剤を使用して消毒した種子を播種する予防法推奨されている。発前の種子の消毒に用いられる化学農薬としては、モミガードC・DFスミチオン乳剤スポタック乳剤、トリフミン水和剤、ヘルシード水和剤、スターナ水和剤、スポルタックスターナSE、テクリードフロアブルなどが知られている(例えば、非特許文献1等)。また、化学農薬以外による殺菌処理として、種子に対し60℃の温湯で10分間の浸漬処理を行なう温湯処理、および、エコホープ 、エコホープDJ 、タフブロック 、モミゲンキ水和剤 、モミホープ水和剤などの微生物農薬による防除が知られている(例えば、非特許文献2、3等)。
化学農薬は顕著な殺菌効果が得られるが、ある程度の期間使用すると耐性菌出現するという問題がある。また、生物農薬は、化学農薬に比べて短期間で開発できることや、薬剤耐性菌の発生が少なく環境負荷が低いことから、農薬散布回数カウントされないというメリットもあるが、化学農薬に比べ防除効果が病害の発生程度や処理時の環境条件に大きく左右されやすいという問題がある。

先行技術

0004

「イネ苗立枯細菌病及びもみ枯細菌病の育苗期における薬剤防除法」、関東東山病害虫研究会年報、第41集、第9〜11頁、1994年
水稲種子消毒で使用できる生物農薬の効果的な使用方法」、研究レポートNo.304、岩手県農業研究センター、平成17年4月
「生物農薬(殺菌剤)の現状」、関西病虫研報(50)、第33〜34頁、2008年

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は、植物における病害に対して優れた防除効果を発揮する、新規な細菌株2種以上を有効成分とする植物病害防除剤を提供することを課題としている。

課題を解決するための手段

0006

本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、植物病害に感染した植物から、当該植物病害の発症抑制能を有する新たな細菌株が得られ、この新たな細菌株を親株とする変異株も含めたこれらの細菌株を2種組み合わせることにより、植物病害に対して優れた防除効果を発揮する植物病害防除剤とし得ることを見出し、上記課題を解決するに至ったものである。

0007

本発明は、具体的には次の事項を要旨とする。
1.ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)SMAL株(受託番号:NITEP−02617)、ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)SMALUV17株(受託番号:NITE P−02864)、ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)SMALUV28株(受託番号:NITE P−02865)から選択される1種以上と、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)RSB1株(受託番号:NITE P−02614)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)RSB10株(受託番号:NITE P−02615)およびシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)RSB15株(受託番号:NITE P−02616)から選択される1種以上を有効成分として含有することを特徴とする、植物病害防除剤。
2.上記植物がイネ科植物であることを特徴とする、1.記載の植物病害防除剤。
3.上記病害が細菌病害であることを特徴とする、1.または2.に記載の植物病害防除剤。
4.ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)SMAL株(受託番号:NITE P−02617)、SMALUV17株(受託番号:NITE P−02864)またはSMALUV28株(受託番号:NITE P−02865)である細菌。
5.シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)RSB1株(受託番号:NITE P−02614)、RSB10株(受託番号:NITE P−02615)またはRSB15株(受託番号:NITE P−02616)である細菌。

発明の効果

0008

本発明のステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)SMAL株、ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)SMALUV17株(受託番号:NITEP−02864)、ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)SMALUV28株(受託番号:NITE P−02865)から選択される1種以上と、同じく本発明のシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)RSB1株、RSB10株およびRSB15株から選択される1種以上を有効成分として含有する植物病害防除剤は、それぞれ単独での植物病害防除効果に比べ、相加効果以上の相乗効果を発揮するものである。この本発明の植物病害防除剤は、植物における病原菌による発症を強く抑制することができるほか、薬害等の心配がなく、収穫直前まで使用することが可能であるため、非常に有用である。

図面の簡単な説明

0009

実施例1のイネもみ枯細菌病菌接種8日後の成長状況を示す写真である。
実施例3の催芽処理+イネもみ枯細菌病菌接種により増殖した細菌確認試験における細菌培養状況等を示す写真である。
ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株の塩基配列である。
シュードモナス・プチダRSB1株の塩基配列である。
シュードモナス・プチダRSB10株の塩基配列である。
シュードモナス・プチダRSB15株の塩基配列である。
ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMALUV17株の塩基配列である。
ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMALUV28株の塩基配列である。

0010

本発明は、優れた植物病害防除能を有する新規のステノトロフォモナス属の細菌株と新規のシュードモナス属の細菌株を含有する植物病害防除剤に関する。
以下、本発明について詳細に説明する。

0011

(新規な細菌株)
本発明における新規のステノトロフォモナス属の細菌株と新規のシュードモナス属の細菌株は、組み合わせることにより優れた植物病害防除能を発揮する。このステノトロフォモナス属の細菌株は、ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)SMAL株、SMALUV17株およびSMALUV28株として、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに寄託されており、その受託番号は、それぞれNITEP−02617(受託日:2018年 1月24日)、NITE P−02864(受託日:2019年 1月16日)およびNITE P−02865(受託日:2019年 1月16日)である。また、新規のシュードモナス属の細菌株は、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)RSB1株、RSB10株およびRSB15株として、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに寄託されており、その受託番号は、それぞれNITE P−02614(受託日:2018年 1月24日)、NITE P−02615(受託日:2018年 1月24日)およびNITE P−02616(受託日:2018年 1月24日)である。
また、これらの新たな細菌株の16SrRNA塩基配列は、それぞれ配列番号1〜6の配列表に示されるもの、または、本発明の相乗的な植物病害防除効果を損なわないことを限度として、1個もしくは複数個塩基欠損置換、付加することにより配列表の配列番号1〜6に示された塩基配列と相同性を有する塩基配列を有する。なお、配列番号1は、ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)SMAL株の配列表であり、配列番号2、3、4は、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)RSB1株、RSB10株およびRSB15株、さらに、配列番号5、6は、ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)SMALUV17株およびSMALUV28株それぞれの配列表である。

0012

本発明の新たなステノトロフォモナス属のSMAL株と、シュードモナス属のRSB1株、RSB10株およびRSB15株それぞれの細菌株は、植物病害に感染した植物から新たに見出されたものであり、さらに、新たなステノトロフォモナス属のSMALUV17株とSMALUV28株は、上記SMAL株を親株とする紫外線変異株である。後述する実施例において詳細に説明するが、見出された経緯について、以下簡単に説明する。
アンチルミンによる殺菌処理後催芽処理をしたイネ籾に対して、イネもみ枯細菌病菌を感染させたところ、催芽処理せずにイネもみ枯細菌病菌を感染させた場合に比べて、イネもみ枯細菌病の発症がより強く抑制されることが確認された。ここで「催芽」とは、イネ籾をあらかじめ発芽させることをいい、本発明における催芽処理は、30℃の温水にイネ籾を2日間浸漬させて、発芽し成長を開始させることを意味する。
催芽処理をしたイネ籾が、催芽処理をしないイネ籾に比べて、イネもみ枯細菌病の発症がより強く抑制された原因を探るために、イネ籾の細胞内で増殖した菌類の数を計測したところ、催芽処理せずにイネもみ枯細菌病菌を感染させた場合には、感染させたイネもみ枯細菌病菌のみが増殖するのに対し、催芽処理をしたイネ籾にイネもみ枯細菌病菌を感染させた場合は、感染させたイネもみ枯細菌病菌以外の菌類が増殖していることが判明した。このイネもみ枯細菌病菌以外の菌類を、抗生物質クロラムフェニコール)を含む寒天培地上コロニー選抜し、16SrRNA系統解析を行った結果、形態の異なるステノトロフォモナス属の細菌株1種と、シュードモナス属の細菌株3種であることが確認された。
これらのことは、催芽処理をしたイネ籾の細胞内で増殖し、今回新たに得られたステノトロフォモナス属の細菌株1種と、シュードモナス属の細菌株3種が、イネもみ枯細菌病菌の増殖を抑え、イネもみ枯細菌病の発症抑制に関与していることを示唆するものと考えられる。
さらに、新たに見出されたステノトロフォモナス属の細菌株1種を親株として、紫外線照射により変異させた中にバイオフィルム形成能が増強されたものが見出された。この新たに得られたUV変異株2種は、上記の新規なシュードモナス属の細菌株3種の何れかとの併用により、イネもみ枯細菌病菌の増殖を抑え、イネもみ枯細菌病の発症抑制において、より優れた効果を発揮することが明らかとなった。

0013

(相乗効果)
新たに得られたステノトロフォモナス属の細菌株3種と、シュードモナス属の細菌株3種について、イネもみ枯細菌病の発症抑制効果の有無について確認したところ、シュードモナス属の細菌株3種は、単独でも発症抑制効果を示すが、ステノトロフォモナス属の細菌株は単独では発症抑制効果を示さないにも関わらず、ステノトロフォモナス属の細菌株とシュードモナス属の細菌株とを組み合わせると、イネもみ枯細菌病の発症を極めて有効に抑制することが明らかとなった。中でも、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株の細菌と、シュードモナス・プチダRSB15株の細菌との組み合わせにおいて、さらには、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMALUV17株またはSMALUV28株の細菌と、シュードモナス・プチダRSB15株の細菌との組み合わせにおいて、より優れたイネもみ枯細菌病の発症抑制効果が得られることも明らかとなった。
本発明のステノトロフォモナス属の細菌株とシュードモナス属の細菌株との組み合わせにおいて、相加効果以上の相乗的な植物病害防除効果が得られるメカニズムについての詳細は明確ではないものの、下記実施例において説明するように、本発明のステノトロフォモナス属の細菌株が、極めて高いバイオフィルム形成能を有し、この高いバイオフィルム形成能がシュードモナス属の細菌株の定着性を向上させることが、この相乗的な植物病害防除効果の発現に大きく関与しているものと推測される。したがって、この相乗効果は、本発明のステノトロフォモナス属の細菌株とシュードモナス属の細菌株とを組み合わせることにより初めて得られる効果であり、これは本発明者が初めて確認した格別顕著な効果である。
さらに、本発明のステノトロフォモナス属の細菌株とシュードモナス属の細菌株との組み合わせは、イネ苗立枯細菌病に対しても相乗的に発症抑制効果を発揮することが確認されている。このことから、本発明の植物病害防除剤は、イネもみ枯細菌病のみならず植物病害全般にわたり、発症抑制効果を発揮するものと考えられる。

0014

(植物病害)
本発明の植物病害防除剤は、細菌、糸状菌などによる各種植物病害に対し有用であるが、特にこれらに限定されるものではない。例えば、シューペロノスポラ(Pseudoperonospora)属菌(例えばキュウリべと病菌)、ベンチュリア(Venturia)属菌(例えばリンゴ黒星病菌)、エリシフェ(Erysiphe)属菌(例えばコムギうどんこ病菌)、ボトリチス(Botrytis)属菌(例えばキュウリ灰色かび病菌)、リゾクトニア(Rhizoctonia)属菌(例えばナス立枯病菌)、パクシニア(Puccinia)属菌(例えばコムギ赤さび病菌)、セプトリア(Septoria)属菌(例えばコムギふ枯病菌)、スクレティニア(Sclerotinia)属菌(例えばキュウリ菌核病菌)、ピシウム(Pythium)属菌(例えばキュウリ苗立枯病菌)、スフェロテカ(Sphaerotheca)属菌(例えばキュウリうどんこ病菌)、シュードモナス(Pseudomonas)属細菌(例えばトマトえそ細菌病菌)などによる植物病害が挙げられる。
中でも、本発明の植物病害防除剤は、イネ科植物病害に対して有用である。例えば、いもち病(Pyricularia oryzae)、紋枯病(Thanatephorus cucumeris, Rhizoctonia solani)、鹿苗病(Gibberella fujikuroi)、ごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、苗立枯病(Fusarium avenaceum)、イネ苗立枯細菌病(Burkholderia plantarii)、白葉枯病(Xanthomonas oryzae pv.oryzae)、褐条病(Acidovorax avenae subsp. avenae)、イネもみ枯細菌病(Burkholderia glumae, Burkholderia gladioli)、株腐病(Dickeya zeae)、かさ枯病(Pseudomonas syringae pv. oryzae)、内頴褐変病(Pantoea ananatis)、葉鞘褐変病(Pseudomonas fuscovaginae)、稲こうじ病(Villosiclava virens)、疫病(Phytophthora japonica)、黄化萎縮病(Sclerophthora macrospora)、褐色米(Curvularia intermedius)、褐色菌核病(Ceratobasidium setariae)、褐色小粒菌核病(Waitea circinata)、褐色葉枯病(Monographella albescens)、褐色紋枯病(Thanatephorus cucumeris)、褐紋病(Nigrospora oryzae)、眼病(Drechslera gigantea)、黒しゅ病(Entyloma dactylidis)、シナモンかび病(Peziza ostracoderma)、小球菌核病(Magnaporthe salvinii)、白病(Sclerotium rolfsii, Thanatephorus cucumeris)、黒穂病(Tilletia barclayana)、赤色菌核病(Waitea circinata)、立枯病(Gaeumannomyces graminisvar. graminis)、にせいもち病(Alternaria oryzae)、綿疫病(Phytophthora sojae)、ブラキスポリウム病(Curvularia senegalensis)、葉枯病(Phaeosphaeria oryzae)、灰色葉枯病(Hendersonia oryzae)、灰色菌核病(Ceratobasidium cornigerum)、灰紋病(Cladosporium miyakei)、斑点病(Cochliobolus sativus)、黒粒病(Epicoccum hyalopes)、株枯病(Gibberella fujikuroi)、黄枯病(Pyrenochaeta oryzae)、小黒菌核病(Helminthosporium sigmoideum var. irregulare)、黒変病(Cladosporium herbarum)、黒粒菌核病(Helicoceras oryzae)、球状菌核病(Sclerotium hydrophilum)、種もみ腐敗病(Fusarium merismoides)、もみ枯病(Phoma glumarum)、苗腐病(Achlya americana)、ねずみかび病(Alternaria oryzae)、さび色小粒菌核病(Sclerotium sp.)、ささら病(Sphaerulina miyakei)、すす病(Cladosporium herbarum)、すす紋病(Pseudocochliobolus lunatus)、すじ葉枯病(Sphaerulina oryzina)、葉しょう網斑病(Cylindrocladium scoparium)、葉しょう腐敗病(Sarocladium oryzae)、葉しょう褐斑病(Pyrenochaeta sp.)などを挙げることができる。これらのうち、本発明の植物病害防除剤は、細菌によるイネ科植物病害に対し有用であり、特に、イネもみ枯細菌病菌またはイネ苗立枯細菌病菌に起因する病害の防除に好適である。

0015

本発明におけるステノトロフォモナス属の細菌株3種と、シュードモナス属の細菌株3種の培養方法固定化、製剤化、また、本発明の植物病害防除剤の施用方法調製方法は、慣用の手法で行うことができる。

0016

(培養方法)
本発明におけるステノトロフォモナス属の細菌株3種と、シュードモナス属の細菌株3種の培養方法については、特に制限はなく、これらの細菌を、それぞれ別々に培養してもよいが、2つの細菌を混合させた後に、培養することもできる。しかしながら、これら2つの細菌をそれぞれ別々に培養する方が、取り扱いが容易であるため好ましい。培養の際に用いる培地についても、特に制限はなく、ステノトロフォモナス属の細菌株とシュードモナス属の細菌株を、別々に、または混合させた場合でも同様に実施することができる。培地としては、ステノトロフォモナス属の細菌株およびシュードモナス属の細菌株が増殖するものであれば特に限定するものではない。生育に可能な炭素源窒素源無機物を適当に含有している培地であれば、天然培地合成培地のいずれも用いることができる。培地としては、例えば、802培地、ブイヨン培地キングB培地、PS培地、PDB培地などが挙げられる。これらの培地で15〜42℃、好ましくは28℃〜35℃で、10〜35時間培養し増殖させたのち、遠心分離機もしくは膜濃縮機により濃縮して集菌を行い、培地成分を取り除く。この操作によりそれぞれの菌体の濃度は通常1〜50×1010CFU/ml(colony forming unit (CFU)/ml)程度に濃縮される。得られた湿菌体は、糖類とグルタミン酸ナトリウムリン酸ナトリウム緩衝液等の保護剤を加え、真空乾燥する。この操作を、固定化という。真空乾燥する前に保護剤と混合した菌体を予備凍結し、凍結したまま真空乾燥することが、菌の生存率を維持するためには好ましい。なお、保護剤は水溶液の状態で菌体と混合してもよく、固体のまま混合してもよい。

0017

(固定化)
固定化についても特に制限はなく、ステノトロフォモナス属の細菌株とシュードモナス属の細菌株を、それぞれ別々に固定化してもよく、それぞれを混合させて固定化することもできる。固定化の際に用いる保護剤としては、サッカロースフルクトースグルコースソルビトール等の1種または2種以上からなる糖類を用い、菌体と混合し、真空乾燥もしくは凍結真空などの方法で乾燥することにより行うことができる。
(製剤化)
本発明のステノトロフォモナス属の細菌株とシュードモナス属の細菌株は、培養後の生菌をそのまま使用しても良いが、菌体を上述した固定化後に固体(粉剤粒剤もしくは水和剤)または液体担体と混合し、製剤化することができる。ここで、液体の担体と混合した場合は、菌体懸濁液として製剤化される。
製剤の調製方法としては、2つの細菌を、それぞれ別々に製剤化しても、混合した後に製剤化しても何れでもよいが、それぞれ別々に製剤にした方が、取り扱いが容易であるため好ましい。本発明の植物病害防除剤は、有効成分であるステノトロフォモナス属の細菌株とシュードモナス属の細菌株とが、予め混合された混合物の状態であってもよいし、使用時まで混合せず別々に含まれた状態でもよく、その態様は限定されない。

0018

本発明の植物病害防除剤は、不活性な液体または固体の担体で希釈し、必要に応じて界面活性剤、その他の補助剤を加えてもよい。具体的な製剤例としては、例えば粉剤、粒剤、乳剤、水和剤、懸濁製剤、フロアブル剤等の剤型が挙げられる。また、好ましい担体の例としては、タルクベントナイトクレーカオリン珪藻土ホワイトカーボンバーミキュライト消石灰珪砂硫安尿素多孔質固体担体、水、イソプロピルアルコールグリコールなどの液体担体が挙げられる。界面活性剤および分散剤としては、例えばジナフチルメタンスルホン酸塩アルコール硫酸エステル塩アルキルアリールスルホン酸塩リグニンスルホン酸塩ポリオキシエチレングリコールエーテルポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルポリオキシエチレンソルビタンモノアルキレート等が挙げられる。補助剤としては、例えばカルボキシメチルセルロースポリエチレングリコールプロピレングリコールアラビアガムキサンタンガム等が、保護剤としては、例えばスキムミルク、pH緩衝剤等が挙げられる。これらの使用量は、本発明のステノトロフォモナス属の細菌株とシュードモナス属の細菌株の量、薬剤施用時期や施用量などに応じて適宜設定すれば良い。
本発明の植物病害防除剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、他の殺虫成分除草成分、植物生長調節成分肥料成分を併用することができる。

0019

(植物病害防除剤の施用方法)
本発明の植物病害防除剤の施用方法は、防除対象である植物体に接触させる方法であれば特に制限はなく、例えば、本発明の植物病害防除剤を植物体に直接塗布または散布する方法、葉や茎に接種する方法が挙げられる。例えば、本発明のステノトロフォモナス属の細菌株とシュードモナス属の細菌株を、そのまま水に希釈した菌体懸濁液を散布して施用してもよいし、上記2つの細菌株を、前述した固体または液体の担体を用いて製剤化した後に、水に希釈し(菌体懸濁液の態様も含む)散布して施用してもよい。また、別の施用方法としては、植物を栽培している土壌に接触させる方法、例えば、本発明の植物病害防除剤を、植物を栽培している土壌に混和させる方法で施用することもできる。本発明の効果を損なわない範囲において、施用方法は施用する植物病害や植物体に合わせ、適宜調整することができる。
本発明の植物病害防除剤は、ステノトロフォモナス属の細菌株とシュードモナス属の細菌株を、それぞれを別々に固体または液体の担体を用いて製剤にした後、2つの製剤を混合して水に希釈して散布させるか、2つの細菌株を先に混合させて、その混合した細菌株を固体または液体の担体を用いて製剤化した後に、水に希釈して散布させることで使用できる。本発明では、これら2つの細菌株を、それぞれ別々に固体または液体の担体を用いて製剤にした後に、2つの製剤を混合して水に希釈し(菌体混合物)散布させて使用することが好ましい。

0020

本発明のステノトロフォモナス属の細菌株とシュードモナス属の細菌株を施用する際の具体的な菌濃度について説明する。
2つの細菌株をそのまま水に希釈して散布する場合、菌濃度は、それぞれの細菌について、通常106CFU/ml〜108 CFU/mlの範囲内に調整すると良い。
一方、前述した固体または液体の担体を用いて製剤化した後に、水に希釈して散布する場合、菌濃度は、それぞれの細菌について、通常104CFU/ml〜1011CFU/mlの範囲内に調整すると良いが、好ましくは105CFU/ml〜1010CFU/ml、より好ましくは105CFU/ml〜109CFU/mlである。また、固体の担体として水和剤を用いて得られた製剤の場合、通常106CFU/ml〜1012CFU/mlの範囲内に調整すると良いが、好ましくは107CFU/ml〜1011CFU/ml、より好ましくは108CFU/ml〜1011CFU/mlである。なお、液体の担体を用いて得られた製剤を水に希釈して散布する場合に関しては、上記の固体の担体を用いて得られた製剤と同様の濃度範囲にて調製すればよい。
次に、ステノトロフォモナス属の細菌株とシュードモナス属の細菌株の各菌体の混合比率重量比)については、特に限定はないが、通常ステノトロフォモナス属の細菌株:シュードモナス属の細菌株=1〜100:1〜100であるが、好ましくは1〜50:1〜50、より好ましくは1〜10:1〜10の比率で、植物病害の発症抑制を好適に行うことができる。

0021

以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の技術範囲はこれらにより限定されるものではない。
<実施例1>催芽処理の有無による、植物病害発症確認試験
(1)試験検体の調製
アンチホルミンで10分間表面殺菌したコシヒカリの籾を、30℃の温水に2日間浸漬させて催芽処理をしたイネ籾に対して、イネもみ枯細菌病菌(Burkholderia glumae、OD=0.004)「MAFF301682」または「MAFF3011169」を減圧接種し、試験検体A(「MAFF301682」を接種)または試験検体B(「MAFF3011169」を接種)を得た。また、催芽処理を行わない以外は同様の操作を行い、試験検体a(「MAFF301682」を接種)および試験検体b(「MAFF301169」を接種)を得た。ここで、「MAFF301682」は病原性が強いイネもみ枯細菌病菌であり、「MAFF301169」は病原性が弱いイネもみ枯細菌病菌である。
(2)植物病害発症に関する確認試験
試験検体A、B、a、bそれぞれ20個を、ボンソル1号土壌に播種し、明期14時間(28℃)と暗期10時間(24℃)の反復環境下で育成し、接種後8日目の葉の長さを計測し、その平均値をもってイネもみ枯細菌病の発症を確認する指標とした。その結果を表1に示す。図1は、接種後8日目の成長の様子を示す写真であり、図1中左より、試験検体A、試験検体a、試験検体B、試験検体bを示す。

0022

0023

(3)結果
表1および図1より、接種したイネもみ枯細菌病菌の病原性の強弱に関わらず、催芽処理をしないイネ籾(試験検体a、b)に比べて、催芽処理をしたイネ籾(試験検体A、B)は、葉が概略3〜5倍程度成長しており、イネもみ枯細菌病の発症が抑制され、イネもみ枯細菌病菌による葉の伸長阻害されることなく順調に生育していることが確認された。この結果から、発明者は、イネ籾の催芽処理がイネもみ枯細菌病の発症抑制に関与しているのではないかと考え、次なる実験を行った。

0024

<実施例2>催芽処理の有無による、増殖細菌確認試験
(1)試験検体における細菌数の確認
前記「実施例1」の試験検体A、aを使用して、前記「実施例1」と同じ条件で育成した。イネもみ枯細菌病菌を接種した日(接種日、0日)、1日目、2日目、3日目、4日目それぞれの、試験検体3個における茎葉も含めた植物全体の細菌数(cfu/3個の植物体)を計測した。すなわち、接種0〜4日目の植物体3個それぞれをエッペンドルフチューブ回収し、蒸留水1ml及びステレンスビーズ(4.8mm)2個を添加した後、マイクロスマッシュ撹拌し、植物粉砕液を得た。得られた植物粉砕液を段階希釈し、抗生物質(クロラムフェニコール)を補充した寒天培地において30℃にて3日間培養し、コロニー数を計測した。このコロニー数を上記希釈率で除した値を、試験検体3個における細菌数とした。その結果を表2に示す。

0025

0026

(2)結果
表2より、イネもみ枯細菌病菌を接種後の植物体内の細菌数は、催芽処理の有無により大きく変化することが明らかとなった。詳しくは、植物体内の細菌数は、イネもみ枯細菌病菌接種後1日目以降は、催芽処理をしないイネ籾(試験検体a)に比べ、催芽処理をしたイネ籾(試験検体A)の方が常に多く、特に、接種後1〜2日目は、概略3〜4倍程度多いことが確認された。詳細な試験の結果、催芽処理をしないイネ籾(試験検体a)は、感染したイネもみ枯細菌病菌のみの増殖が確認された一方で、催芽処理をしたイネ籾(試験検体A)には、感染したイネもみ枯細菌病菌以外の細菌が増殖していることが判明した。この試験検体Aにおいて増殖した、イネもみ枯細菌病菌以外の細菌を確認するために、次の試験を行った。

0027

<実施例3>催芽処理+イネもみ枯細菌病菌接種により増殖した細菌確認試験
(1)試験検体の調製
上記「実施例1」の試験検体A、aを使用して、接種後4日目の植物体3個(図2のIII)をエッペンドルフチューブに回収し、蒸留水1ml及びステレンスビーズ(4.8mm)2個を添加した後、マイクロスマッシュで撹拌し、植物粉砕液を得た。得られた植物粉砕液を段階希釈し図2中に示された希釈率で、抗生物質(クロラムフェニコール)を補充した寒天培地において30℃にて3日間培養した。この3日培養後の状態を、図2のIa、b(試験検体A)、IIa、b(試験検体a)に示す。得られたコロニーからさらに1コロニーを選択し、1晩液体培養し、OD1.0に調整した菌液を2μl寒天培地上に接種し、30℃で3日間培養した。この3日培養後の状態を、図2のIV〜VIIに示す。

0028

(2)菌株の同定
上記選抜コロニーから分離した菌株について、発生したコロニーを鋳型に、16S rDNA増幅プライマー(AAGGAGGGGATCCAGCCGCA及びGTGCCAGCAGCCGCGGもしくはTGGAAAGCTTGATCCTGGCT及びAAGGAGGGGATCCAGCCGCA)にてポリメラーゼ連鎖反応PCR)を行い、アガロース電気泳動にて増幅したバンドについてゲルから切り出し精製した後、シークエンスを行った。16SrRNA遺伝子解析による細菌の系統分類方法に準拠して、遺伝子解析を行い菌の同定を行った。日本DNAデータバンクDDBJ)のデータベースでblastn(Basic Local Alignment Search Tool)を利用して相同性の高い菌を検索した。
ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)SMAL株は、Stenotrophomonas maltophilia strain AA1の 16S rRNA遺伝子の1468個のうち1445個が一致した(98%) 。よって本菌は、ステノトロフォモナス・マルトフィリアに属すると考えられる。
シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)RSB1株はPseudomonas putidaの16S rRNA遺伝子の880個のうち863個が一致した(98%)。
シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)RSB10株はPseudomonas putida strain KT2440の16S rRNA遺伝子の991個のうち989個が一致した(99%)。
シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)RSB15株はPseudomonas putida strain IARI−RP55の16S rRNA遺伝子の990個のうち989個が一致した(99%)。
よってRSB菌は、シュードモナス・プチダに属すると考えられる。

0029

(3)菌株の性質
新たに見出された本発明の菌株の性状・性質は以下のとおりである。
SMAL株細胞形態状、コロニー:黄白色、特徴:運動性低い、バイオフィルム形成能高い。
RSB1株 細胞形態:桿状、コロニー:黄白色、特徴:グラム陰性、運動性を有する。
RSB10株 細胞形態:桿状、コロニー:黄色、特徴:運動性を有する。
RSB15株 細胞形態:桿状、コロニー:白色、特徴:運動性低い。

0030

<実施例4>新たな細菌株の植物病害抑制能の確認試験
(1)試験検体の調製
催芽処理をしていないイネ籾に対して、イネもみ枯細菌病菌(Burkholderia glumae)「MAFF301682」を以下に示す濃度で減圧接種時に、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株、シュードモナス・プチダRSB1株、RSB10株およびRSB15株の何れか1種を作用させて試験検体C〜Fを得た。また、イネもみ枯細菌病菌のみを減圧接種した試験検体Gを得た。さらに、催芽処理をしてイネもみ枯細菌病菌を減圧接種して試験検体Hを得た。試験検体の詳細は以下のとおりである。なお、「OD(Optical Density)」は菌体濃度「g-dry-cell/L」を意味する用語であり
、OD1は109CFU/ml(colony forming unit (CFU)/ml)に相当する。
試験検体C:イネもみ枯細菌病菌(OD0.00004)+SMAL株(OD0.04)
試験検体D:イネもみ枯細菌病菌(OD0.00004)+RSB1株(OD0.04)
試験検体E:イネもみ枯細菌病菌(OD0.00004)+RSB10株(OD0.04)
試験検体F:イネもみ枯細菌病菌(OD0.00004)+RSB15株(OD0.04)
試験検体G:イネもみ枯細菌病菌(OD0.00004)のみ
試験検体H:催芽処理+イネもみ枯細菌病菌(OD0.00004)
(2)植物病害抑制能に関する確認試験
上記「実施例1」の「(2)植物病害発症に関する確認試験」と同じように、試験検体C〜Hを育成し、接種8日後の試験検体の葉の長さと根の長さを計測した。20個体の葉及び根の長さを測定し、その平均値を表3に示す。

0031

0032

(3)結果
表3の結果より、イネもみ枯細菌病菌を接種時にシュードモナス・プチダRSB1株、RSB10株およびRSB15株の何れかを作用させたイネ籾(試験検体D、E、F)は、イネもみ枯細菌病菌のみを接種したイネ籾(試験検体G)に比べて、葉または根が概略2〜5倍程度成長しており、イネもみ枯細菌病の発症が抑制され順調に生育していることが確認された。特に、イネもみ枯細菌病菌を接種時にシュードモナス・プチダRSB15株を作用させたイネ籾(試験検体F)は、催芽処理をしてイネもみ枯細菌病菌のみを接種したイネ籾(試験検体H)と比べて、根は同等程度、葉はそれ以上に成長しており、イネもみ枯細菌病の発症の抑制効果に優れていることも確認された。一方、イネもみ枯細菌病菌を接種時にステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株を作用させたイネ籾(試験検体C)は、イネもみ枯細菌病菌のみを接種したイネ籾(試験検体G)に比べて、葉または根が概略半分程度しか成長しておらず、イネもみ枯細菌病の発症を抑制し得ないことが確認された。
この結果から、シュードモナス・プチダRSB1株、RSB10株およびRSB15株の何れか、特に、シュードモナス・プチダRSB15株は、イネもみ枯細菌病に関する発症抑制効果に優れていることが明らかとなった。

0033

<実施例5>相乗効果の確認試験1
(1)試験検体の調製
催芽処理をしていないイネ籾に対して、イネもみ枯細菌病菌(Burkholderia glumae、OD=0.00004)「MAFF301682」の減圧接種時に、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株(OD0.04)とシュードモナス・プチダRSB15株(OD0.04)を作用させて試験検体Xを得た。また、上記「実施例4」の試験検体G、C、Fを使用した。
(2)相乗効果確認試験
上記「実施例1」の「(2)植物病害発症に関する確認試験」と同じように、試験検体G、C、F、Xを20個育成し、接種8日後の試験検体の葉の長さを測定し、その平均値を表4に示す。

0034

0035

(3)結果
表4には、イネもみ枯細菌病菌を接種時にステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株とシュードモナス・プチダRSB15株を組み合わせて作用させたイネ籾(試験検体X)の葉の長さは5.48cmであることが示されている。一方、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株を作用させたイネ籾(試験検体C)の葉の長さは0.44cmであり、シュードモナス・プチダRSB15株を作用させたイネ籾(試験検体F)の葉の長さは1.76cmであることも示されている。詳しく説明すると、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株とシュードモナス・プチダRSB15株を組み合わせて作用させたイネ籾(試験検体X)の葉の長さ(5.48cm)は、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株とシュードモナス・プチダRSB15株をそれぞれ単独で作用させたイネ籾(試験検体C、F)の葉の長さの和(0.44+1.76=2.20)より、約2.5倍の長さに成長していることを示している。
すなわち、表4の結果より、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株とシュードモナス・プチダRSB15株を組み合わせて作用させることにより、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株とシュードモナス・プチダRSB15株それぞれを単独で作用させる場合に比べて葉が数倍成長し、イネもみ枯細菌病の発症を極めて良好に抑制し得ることが確認された。
このようにステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株とシュードモナス・プチダRSB15株を組み合わせることにより得られたイネもみ枯細菌病の発症の抑制効果は、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株またはシュードモナス・プチダRSB15株それぞれを単独の効果の単なる相加効果に留まらず、相乗的な効果であることが確認された。

0036

<実施例6>相乗効果の確認試験2
(1)試験検体の調製
催芽処理をしていないイネ籾に対して、イネもみ枯細菌病菌(Burkholderia glumae、OD=0.00004)「MAFF301682」の減圧接種時に、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株(OD0.04)とシュードモナス・プチダRSB1株(OD0.04)またはRSB10株(OD0.04)を作用させて試験検体Yまたは試験検体Zを得た。また、上記「実施例4」の試験検体G、C、D、Eを使用した。
(2)相乗効果確認試験
上記「実施例1」の「(2)植物病害発症に関する確認試験」と同じように、試験検体G、C、D、E、Y、Zを20個育成し、接種8日後の試験検体の葉の長さを測定し、その平均値をまとめて表5に示す。

0037

0038

(3)結果
表5には、イネもみ枯細菌病菌を接種時にステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株とシュードモナス・プチダRSB1株を組み合わせて作用させたイネ籾(試験検体Y)の葉の長さは2.29cmであることが示されている。一方、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株を作用させたイネ籾(試験検体C)の葉の長さは0.41cmであり、シュードモナス・プチダRSB1株を作用させたイネ籾(試験検体D)の葉の長さは1.13cmであることも示されている。詳しく説明すると、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株とシュードモナス・プチダRSB1株を組み合わせて作用させたイネ籾(試験検体Y)の葉の長さ(2.29cm)は、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株とシュードモナス・プチダRSB1株をそれぞれ単独で作用させたイネ籾(試験検体C、F)の葉の長さの和(0.41+1.13=1.54)より、約1.5倍の長さに成長していることを示している。
また、表5には、イネもみ枯細菌病菌を接種時にステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株とシュードモナス・プチダRSB10株を組み合わせて作用させたイネ籾(試験検体Z)の葉の長さは2.00cmであることが示されている。一方、シュードモナス・プチダRSB10株を作用させたイネ籾(試験検体E)の葉の長さは1.34cmであることも示されている。詳しく説明すると、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株とシュードモナス・プチダRSB10株を組み合わせて作用させたイネ籾(試験検体Z)の葉の長さ(2.00cm)は、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株とシュードモナス・プチダRSB10株をそれぞれ単独で作用させたイネ籾(試験検体C、E)の葉の長さの和(0.41+1.34=1.75)より、約1.2倍の長さに成長していることを示している。
すなわち、表5の結果より、イネもみ枯細菌病菌を接種時にステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株とシュードモナス・プチダRSB1株またはRSB10株を組み合わせて作用させたイネ籾(試験検体Y、Z)は、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株、シュードモナス・プチダRSB1株またはRSB10株それぞれを単独で作用させたイネ籾(試験検体C、D、E)に比べて葉が数倍成長しており、イネもみ枯細菌病の発症抑制効果に優れていることが確認された。
このようにステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株とシュードモナス・プチダRSB1株またはRSB10株を組み合わせることにより得られたイネもみ枯細菌病の発症の抑制効果も、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株とシュードモナス・プチダRSB15株との組み合わせと同様に、単なる相加効果に留まらず、相乗的な効果であることが確認された。

0039

<実施例7>イネ苗立枯細菌病に対する防除効果
(1)試験検体の調製
催芽処理をしていないイネ籾に対して、イネ苗立枯細菌病菌(Burkholderia plantarii、OD=0.004)を減圧接種時に、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株とシュードモナス・プチダRSB15株を作用させて試験検体Pを得た。また、下記に示す試験検体I、J、Kを同様に得た。
試験検体I:イネ苗立枯細菌病菌(OD0.004)のみ
試験検体J:イネ苗立枯細菌病菌(OD0.004)+SMAL株(OD0.04)
試験検体K:イネ苗立枯細菌病菌(OD0.004)+RSB15株(OD0.04)
(2)相乗効果確認試験
上記「実施例1」の「(2)植物病害発症に関する確認試験」と同じように、試験検体I、J、K、Pを20個育成し、接種8日後の試験検体の葉の長さを測定し、その平均値を表6に示す。

0040

0041

(3)結果
表6には、イネ苗立枯細菌病菌を接種時にステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株とシュードモナス・プチダRSB15株を組み合わせて作用させたイネ籾(試験検体P)の葉の長さは6.38cmであることが示されている。一方、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株を作用させたイネ籾(試験検体J)の葉の長さは0.98cmであり、シュードモナス・プチダRSB15株を作用させたイネ籾(試験検体K)の葉の長さは3.14cmであることも示されている。詳しく説明すると、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株とシュードモナス・プチダRSB15株を組み合わせて作用させたイネ籾(試験検体P)の葉の長さ(6.38cm)は、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株とシュードモナス・プチダRSB15株をそれぞれ単独で作用させたイネ籾(試験検体J、K)の葉の長さの和(0.98+3.14=4.12)より、約1.5倍の長さに成長していることを示している。
すなわち、表6の結果より、イネ苗立枯細菌病菌を接種時にステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株とシュードモナス・プチダRSB15株を組み合わせて作用させたイネ籾(試験検体P)は、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株、シュードモナス・プチダRSB5株それぞれを単独で作用させたイネ籾(試験検体J、K)に比べて葉が数倍成長しており、イネ苗立枯細菌病の発症抑制効果に極めて優れていることが確認された。
このようにステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株とシュードモナス・プチダRSB15株を組み合わせることにより得られたイネ苗立枯細菌病の発症の抑制効果も、イネもみ枯細菌病と同様に、単なる相加効果に留まらず、相乗的な効果であることが確認された。
これらのことより、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株と、シュードモナス・プチダRSB1株、RSB10株、RSB15株との組み合わせは、植物病害に対して相乗的な防除効果を発揮することが明らかとなった。

0042

上記実施例5〜7において具体的に示した、本発明の相乗的な植物病害防除効果について、その発現要因を明らかにするため、以下の実施例8〜10の試験を実施した。

0043

<実施例8>バイオフィルム形成能の確認試験
ステノトロフォモナス・マルトフィリア「SMAL」株、シュードモナス・プチダ「RSB1」株、「RSB10」株、「RSB15」株それぞれのバイオフィルム形成能を確認するため、下記試験を行った。念のため、イネもみ枯細菌病菌(Burkholderia glumae)MAFF「3011169」、MAFF「301682」のバイオフィルム形成能についても、併せ確認した。(1)バイオフィルム形成能の確認試験方法
一晩寒天培地で培養した上記6種類の細菌それぞれOD=0.1に調製した3mlを、30℃にて48時間静置培養した。培養液を除去して、同量滅菌水で3回洗浄後、0.1重量%のクリスタルバイオレット水溶液3mlを添加して、20分間静置した。引き続き、クリスタルバイオレット水溶液を除去して、同量の滅菌水で3回洗浄後、70容量%エタノール水溶液溶出して、595nmの吸光度よりOD595値を測定した。この結果を表7に示す。

0044

0045

(2)結果
表7より、ステノトロフォモナス・マルトフィリア「SMAL」株は、シュードモナス・プチダ「RSB1」株、「RSB10」株、「RSB15」株やイネもみ枯細菌病菌(Burkholderia glumae)MAFF「301682」、「3011169」に比べて、バイオフィルム形成能が極めて高いことが明らかとなった。
このステノトロフォモナス・マルトフィリア「SMAL」株のバイオフィルム形成能が、上記実施例5〜7により確認された相乗的な植物病害防除効果の発現に関与しているかを確認するために、以下の実施例9、10の試験を行った。

0046

<実施例9>バイオフィルム形成能増強株/抑制株の創出試験
(1)バイオフィルム形成能増強株/抑制株の創出方法
一晩培養したステノトロフォモナス・マルトフィリア「SMAL」株について5ml分を集菌し、1mlの滅菌水に再懸濁した。得られた菌液を10−6CFU/mlとなるように希釈し、LBプレートプレーティングした。30℃で90分静置後、UV(クリーンベンチ内の殺菌灯:Germicidal f15t8 / UVB)を1分照射し、30℃で2日間培養し、得られたコロニーを変異体とした。なお、このUV照射の結果、コロニー数はUV照射なしの場合と比較して半数となった。
得られた約1000の変異体について、マイクロプレートを用いた簡易法にてバイオフィルム形成能を測定する1次スクリーニングを行った。1次スクリーニングにおいて、バイオフィルム形成能に変化のあった変異体19株について、実施例8と同じ方法により、バイオフィルム形成能を測定する2次スクリーニングを行った。この2次スクリーニングの結果から、バイオフィルム形成能増強株としてNo.17、No.28を、バイオフィルム形成能抑制株としてNo.45、No.60を選抜した。
表8に2次スクリーニングの結果を示す。表8中の水平軸数字は、1次スクリーニングにより選抜した株番号であり、「SMAL」はUV照射していない、ステノトロフォモナス・マルトフィリア「SMAL」株を意味する。

0047

0048

(2)菌株の同定
上記選抜コロニーから分離した菌株について、発生したコロニーを鋳型に、16S rDNA増幅プライマー(GTTTGATCCTGGCTCA及びTACCAGGGTATCTAATCC)にてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、アガロース電気泳動にて増幅したバンドについてゲルから切り出し精製した後、シークエンスを行った。16SrRNA遺伝子解析による細菌の系統分類方法に準拠して、遺伝子解析を行い菌の同定を行った。日本DNAデータバンク(DDBJ)のデータベースでblastn(Basic Local Alignment Search Tool)を利用して相同性の高い菌を検索した。
ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)SMALUV17株は、Stenotrophomonas maltophilia strain OUC Est10の 16S rRNA遺伝子の763個のうち763個が一致し (100%)、SMALUV28株は、同様に764個のうち764個が一致した(100%) 。よって、上記2つのSMALUV株は、ステノトロフォモナス・マルトフィリアに属すると考えられる。

0049

(3)菌株の性質
新たに見出された本発明の菌株の性状・性質は以下のとおりである。
SMALUV17株細胞形態:桿状、コロニー:黄白色、特徴:運動性低い、バイオフィルム形成能高い。
SMALUV28株 細胞形態:桿状、コロニー:黄白色、特徴:運動性低い、バイオフィルム形成能高い。

0050

<実施例10>バイオフィルム形成能増強株/抑制株を使用したイネもみ枯細菌病に対する防除効果
(1)試験検体の調製
催芽処理をしていないイネ籾に対して、イネもみ枯細菌病菌(Burkholderia glumae、OD=0.0004)を減圧接種時に、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株とシュードモナス・プチダRSB15株を作用させて試験検体8を得た。また、下記に示す試験検体1〜7、9〜12を同様に得た。
試験検体1:イネもみ枯細菌病菌(OD0.0004)のみ
試験検体2:イネもみ枯細菌病菌(OD0.0004)+RSB15株(OD0.04)
試験検体3:イネもみ枯細菌病菌(OD0.0004)+SMAL株(OD0.04)
試験検体4:イネもみ枯細菌病菌(OD0.0004)+No.17株(OD0.04)
試験検体5:イネもみ枯細菌病菌(OD0.0004)+No.28株(OD0.04)
試験検体6:イネもみ枯細菌病菌(OD0.0004)+No.45株(OD0.04)
試験検体7:イネもみ枯細菌病菌(OD0.0004)+No.60株(OD0.04)
試験検体8:イネもみ枯細菌病菌(OD0.0004)+RSB15株(OD0.04)+SMAL株(OD0.04)
試験検体9:イネもみ枯細菌病菌(OD0.0004)+RSB15株(OD0.04)+No.17株(OD0.04)
試験検体10:イネもみ枯細菌病菌(OD0.0004)+RSB15株(OD0.04)+No.28株(OD0.04)
試験検体11:イネもみ枯細菌病菌(OD0.0004)+RSB15株(OD0.04)+No.45株(OD0.04)
試験検体12:イネもみ枯細菌病菌(OD0.0004)+RSB15株(OD0.04)+No.60株(OD0.04)

0051

(2)バイオフィルム形成能増強株/抑制株による相乗効果確認試験
上記「実施例1」の「(2)植物病害発症に関する確認試験」と同じように、試験検体1〜12を20個育成し、接種8日後の試験検体の葉の長さを測定し、その平均値を表9に示す。

0052

実施例

0053

(3)結果
表9には、試験検体8の葉の長さに比べて、試験検体9、10は長くなり、試験検体11、12は短くなることが示されている。すなわち、表9の結果より、バイオフィルム形成能増強株であるNo.17、No.28は、ステノトロフォモナス・マルトフィリア「SMAL」株に比べて、シュードモナス・プチダRSB15株との併用によるイネもみ枯細菌病の発症抑制効果における相乗効果を、より高めることが理解できる。一方、バイオフィルム形成能抑制株であるNo.45、No.60は、ステノトロフォモナス・マルトフィリア「SMAL」株に比べて、シュードモナス・プチダRSB15株との併用によるイネもみ枯細菌病の発症抑制効果における相乗効果を、低下させることが理解できる。
したがって、実施例8〜10の結果より、本発明のステノトロフォモナス・マルトフィリア「SMAL」株が、極めて高いバイオフィルム形成能を有し、この高いバイオフィルム形成能が、シュードモナス・プチダRSB1株、RSB10株、RSB15株の定着性を向上させて、本発明の植物病害防除剤における相乗的な植物病害防除効果を発現させる要因の1つとなっているのではないかと推測された。

0054

このように、本発明の植物病害防除剤は、ステノトロフォモナス・マルトフィリアSMAL株、SMALUV17およびSAMLUV28株から選択される1種以上と、シュードモナス・プチダRSB1株、RSB10株およびRSB15株から選択される1種以上とを共に有効成分として含むことにより、イネ科植物等の植物体における細菌等の病原菌による発症を強く抑制することができるほか、化学農薬と異なり薬害等の心配がなく、収穫直前まで使用することが可能であるため、非常に有用である。しかも、薬剤耐性菌の発生が少なく環境負荷が低いことから、農薬の散布回数にカウントされないというメリットがある。

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