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技術 熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法並びに成形品

出願人 テクノUMG株式会社
発明者 大野征紀渡辺丈一浜本茂樹
出願日 2018年2月7日 (2年4ヶ月経過) 出願番号 2018-019903
公開日 2019年8月22日 (10ヶ月経過) 公開番号 2019-137733
状態 特許登録済
技術分野 高分子組成物
主要キーワード 臨界歪み バーナー炎 試験治具 沈殿成分 事務機器用部品 電子機器用部品 短冊試験片 メルトボリュームフローレート
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重要な関連分野

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課題

リサイクルABS樹脂使用率が高く、耐薬品性流動性耐衝撃性及び難燃性のいずれもが優れ、実用性が高い熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法を提供する。

解決手段

本発明の熱可塑性樹脂組成物は、特定のグラフト共重合体(A)と特定の硬質共重合体(B)とリサイクルABS樹脂(C)と難燃剤(D)とを含有し、前記難燃剤(D)はリン系難燃剤及びハロゲン系難燃剤の少なくとも一方であり、前記難燃剤(D)の含有量が、前記グラフト共重合体(A)と前記硬質共重合体(B)と前記リサイクルABS樹脂(C)の合計100質量部に対して10質量部以上20質量部以下である。

概要

背景

近年、地球環境への負荷低減の観点から、使用済みの機器等のリサイクル推進されている。家電製品においてもリサイクルが進められており、特に、エアコンテレビ冷蔵庫及び洗濯機の4品目については、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)によって、材料のリサイクルが推進されている。また、米国及び欧州においては、リサイクル材使用率が高い製品を積極的に使用する動きもある。
前記4品目の家電製品の廃棄物からはABS樹脂回収される。ところが、回収されたリサイクルABS樹脂は、成形材料として適した物性を有さないため、そのままでは再利用しにくく、ほぼ全量がサーマルリサイクルに使用されていた。
リサイクルABS樹脂をマテリアルリサイクルすることも検討されている(例えば、特許文献1)。
しかし、従来、リサイクルABS樹脂の使用率が高く、耐薬品性流動性耐衝撃性及び難燃性のいずれもが優れた実用性の高い熱可塑性樹脂組成物は知られていなかった。
特に、リサイクルABS樹脂の使用率が高いと、難燃性と耐薬品性との両立が困難になる傾向にあった。UL94試験において難燃性を評価した場合、V−0、V−1、V−2、HBの順で難燃性能が優れることが知られている。V−2程度の難燃性を得る場合でも、リサイクルABS樹脂の使用率を高くした際には、難燃剤添加量をある程度多くする必要があり、その結果として耐薬品性が低下する傾向にあった。

概要

リサイクルABS樹脂の使用率が高く、耐薬品性、流動性、耐衝撃性及び難燃性のいずれもが優れ、実用性が高い熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法を提供する。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、特定のグラフト共重合体(A)と特定の硬質共重合体(B)とリサイクルABS樹脂(C)と難燃剤(D)とを含有し、前記難燃剤(D)はリン系難燃剤及びハロゲン系難燃剤の少なくとも一方であり、前記難燃剤(D)の含有量が、前記グラフト共重合体(A)と前記硬質共重合体(B)と前記リサイクルABS樹脂(C)の合計100質量部に対して10質量部以上20質量部以下である。なし

目的

本発明は、リサイクルABS樹脂の使用率が高く、耐薬品性、流動性、耐衝撃性及び難燃性のいずれもが優れ、実用性が高い熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

グラフト共重合体(A)と硬質共重合体(B)とリサイクルABS樹脂(C)と難燃剤(D)とを含有し、前記グラフト共重合体(A)は、ゴム質重合体40質量部以上70質量部以下の存在下で、シアン化ビニル系単量体20質量%以上40質量%以下と芳香族ビニル系単量体80質量%以下60質量%以上とを含む単量体混合物60質量部以下30質量部以上をグラフト重合して得られるグラフト共重合体であって、アセトン可溶分質量平均分子量が50,000以上150,000未満であり、前記硬質共重合体(B)は、ゴム質重合体の非存在下で、シアン化ビニル系単量体20質量%以上40質量%以下と芳香族ビニル系単量体80質量%以下60質量%以上とを含む単量体混合物を共重合して得られる共重合体であって、質量平均分子量が50,000以上150,000以下であり、前記難燃剤(D)はリン系難燃剤及びハロゲン系難燃剤の少なくとも一方であり、前記難燃剤(D)の含有量が、前記グラフト共重合体(A)と前記硬質共重合体(B)と前記リサイクルABS樹脂(C)の合計100質量部に対して10質量部以上20質量部以下である、熱可塑性樹脂組成物

請求項2

前記リサイクルABS樹脂(C)は、ゴム質重合体を除いた単量体単位の合計を100質量%とした際のアクリロニトリル単位含有割合が25質量%以上40質量%以下であり、ISO1133に従い、温度220℃、荷重10kgの条件で測定されたメルトボリュームフローレートが5cm3/10分以上15cm3/10分以下であるABS樹脂を含有する、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。

請求項3

前記グラフト共重合体(A)のグラフト率が40%以上70%以下である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。

請求項4

グラフト共重合体(A)は、ゴム質重合体にグラフト重合した、シアン化ビニル系単量体単位及び芳香族ビニル系単量体単位を有する硬質重合体の質量平均分子量が50,000以上250,0000以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。

請求項5

請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を含有する成形品

請求項6

グラフト共重合体(A)と硬質共重合体(B)とリサイクルABS樹脂(C)と難燃剤(D)とを混合する工程を有し、前記グラフト共重合体(A)は、ゴム質重合体40質量部以上70質量部以下の存在下で、シアン化ビニル系単量体20質量%以上40質量%以下と芳香族ビニル系単量体80質量%以下60質量%以上とを含む単量体混合物60質量部以下30質量部以上をグラフト重合して得られるグラフト共重合体であって、アセトン可溶分の質量平均分子量が50,0000以上150,000未満であり、前記硬質共重合体(B)は、ゴム質重合体の非存在下で、シアン化ビニル系単量体20質量%以上40質量%以下と芳香族ビニル系単量体80質量%以下60質量%以上とを含む単量体混合物を共重合して得られる共重合体であって、質量平均分子量が50,000以上150,000以下であり、前記難燃剤(D)はリン系難燃剤及びハロゲン系難燃剤の少なくとも一方であり、前記難燃剤(D)の配合量を、前記グラフト共重合体(A)と前記硬質共重合体(B)と前記リサイクルABS樹脂(C)の合計100質量部に対して10質量部以上20質量部以下にする、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。

請求項7

前記リサイクルABS樹脂(C)は、ゴム質重合体を除いた単量体単位の合計を100質量%とした際のアクリロニトリル単位含有割合が25質量%以上40質量%以下であり、ISO1133に従い、温度220℃、荷重10kgの条件で測定されたメルトボリュームフローレートが5cm3/10分以上15cm3/10分以下であるABS樹脂を含有する、請求項6に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、リサイクルABS樹脂を使用した熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法、並びに成形品に関する。

背景技術

0002

近年、地球環境への負荷低減の観点から、使用済みの機器等のリサイクルが推進されている。家電製品においてもリサイクルが進められており、特に、エアコンテレビ冷蔵庫及び洗濯機の4品目については、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)によって、材料のリサイクルが推進されている。また、米国及び欧州においては、リサイクル材使用率が高い製品を積極的に使用する動きもある。
前記4品目の家電製品の廃棄物からはABS樹脂も回収される。ところが、回収されたリサイクルABS樹脂は、成形材料として適した物性を有さないため、そのままでは再利用しにくく、ほぼ全量がサーマルリサイクルに使用されていた。
リサイクルABS樹脂をマテリアルリサイクルすることも検討されている(例えば、特許文献1)。
しかし、従来、リサイクルABS樹脂の使用率が高く、耐薬品性流動性耐衝撃性及び難燃性のいずれもが優れた実用性の高い熱可塑性樹脂組成物は知られていなかった。
特に、リサイクルABS樹脂の使用率が高いと、難燃性と耐薬品性との両立が困難になる傾向にあった。UL94試験において難燃性を評価した場合、V−0、V−1、V−2、HBの順で難燃性能が優れることが知られている。V−2程度の難燃性を得る場合でも、リサイクルABS樹脂の使用率を高くした際には、難燃剤添加量をある程度多くする必要があり、その結果として耐薬品性が低下する傾向にあった。

先行技術

0003

特開2013−36019号公報

発明が解決しようとする課題

0004

本発明は、リサイクルABS樹脂の使用率が高く、耐薬品性、流動性、耐衝撃性及び難燃性のいずれもが優れ、実用性が高い熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。本発明は、リサイクルABS樹脂の使用率が高く、耐薬品性、耐衝撃性及び難燃性のいずれもが優れた成形品を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0005

[1]グラフト共重合体(A)と硬質共重合体(B)とリサイクルABS樹脂(C)と難燃剤(D)とを含有し、
前記グラフト共重合体(A)は、ゴム質重合体40質量部以上70質量部以下の存在下で、シアン化ビニル系単量体20質量%以上40質量%以下と芳香族ビニル系単量体80質量%以下60質量%以上とを含む単量体混合物60質量部以下30質量部以上をグラフト重合して得られるグラフト共重合体であって、アセトン可溶分質量平均分子量が50,000以上150,000未満であり、
前記硬質共重合体(B)は、ゴム質重合体の非存在下で、シアン化ビニル系単量体20質量%以上40質量%以下と芳香族ビニル系単量体80質量%以下60質量%以上とを含む単量体混合物を共重合して得られる共重合体であって、質量平均分子量が50,000以上150,000以下であり、
前記難燃剤(D)はリン系難燃剤及びハロゲン系難燃剤の少なくとも一方であり、前記難燃剤(D)の含有量が、前記グラフト共重合体(A)と前記硬質共重合体(B)と前記リサイクルABS樹脂(C)の合計100質量部に対して10質量部以上20質量部以下である、熱可塑性樹脂組成物。
[2]前記リサイクルABS樹脂(C)は、ゴム質重合体を除いた単量体単位の合計を100質量%とした際のアクリロニトリル単位含有割合が25質量%以上40質量%以下であり、ISO 1133に従い、温度220℃、荷重10kgの条件で測定されたメルトボリュームフローレートが5cm3/10分以上15cm3/10分以下であるABS樹脂を含有する、[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3]前記グラフト共重合体(A)のグラフト率が40%以上70%以下である、[1]又は[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4]グラフト共重合体(A)は、ゴム質重合体にグラフト重合した、シアン化ビニル系単量体単位及び芳香族ビニル系単量体単位を有する硬質重合体の質量平均分子量が50,000以上250,0000以下である、[1]〜[3]のいずれか一に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5][1]〜[4]のいずれか一に記載の熱可塑性樹脂組成物を含有する成形品。
[6]グラフト共重合体(A)と硬質共重合体(B)とリサイクルABS樹脂(C)と難燃剤(D)とを混合する工程を有し、
前記グラフト共重合体(A)は、ゴム質重合体40質量部以上70質量部以下の存在下で、シアン化ビニル系単量体20質量%以上40質量%以下と芳香族ビニル系単量体80質量%以下60質量%以上とを含む単量体混合物60質量部以下30質量部以上をグラフト重合して得られるグラフト共重合体であって、アセトン可溶分の質量平均分子量が50,000以上150,000未満であり、
前記硬質共重合体(B)は、ゴム質重合体の非存在下で、シアン化ビニル系単量体20質量%以上40質量%以下と芳香族ビニル系単量体80質量%以下60質量%以上とを含む単量体混合物を共重合して得られる共重合体であって、質量平均分子量が50,000以上150,000以下であり、
前記難燃剤(D)はリン系難燃剤及びハロゲン系難燃剤の少なくとも一方であり、前記難燃剤(D)の配合量を、前記グラフト共重合体(A)と前記硬質共重合体(B)と前記リサイクルABS樹脂(C)の合計100質量部に対して10質量部以上20質量部以下にする、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[7]前記リサイクルABS樹脂(C)は、ゴム質重合体を除いた単量体単位の合計を100質量%とした際のアクリロニトリル単位含有割合が25質量%以上40質量%以下であり、ISO 1133に従い、温度220℃、荷重10kgの条件で測定されたメルトボリュームフローレートが5cm3/10分以上15cm3/10分以下であるABS樹脂を含有する、[6]に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。

発明の効果

0006

本発明の熱可塑性樹脂組成物は、リサイクルABS樹脂の使用率が高く、耐薬品性、流動性、耐衝撃性及び難燃性のいずれもが優れ、実用性が高い。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法によれば、前記効果を有する熱可塑性樹脂組成物を容易に製造できる。
本発明の成形品は、リサイクルABS樹脂の使用率が高く、耐薬品性、耐衝撃性及び難燃性のいずれもが優れている。

0007

<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の熱可塑性樹脂組成物の一態様について説明する。
本態様の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)と硬質共重合体(B)とリサイクルABS樹脂(C)と難燃剤(D)とを含有する。
本態様の熱可塑性樹脂組成物においては、グラフト共重合体(A)と硬質共重合体(B)とリサイクルABS樹脂(C)の合計質量を100質量部としたときに、グラフト共重合体(A)の含有量が5質量部以上50質量部以下、硬質共重合体(B)の含有量が5質量部以上60質量部以下、リサイクルABS樹脂(C)の含有量が5質量部以上90質量部以下であることが好ましい。また、本態様の熱可塑性樹脂組成物においては、ハロゲン系難燃剤(D)の含有量が、グラフト共重合体(A)と硬質共重合体(B)とリサイクルABS樹脂(C)の合計100質量部に対して10質量部以上20質量部以下である。

0008

(グラフト共重合体(A))
グラフト共重合体(A)は、粒子状のゴム質重合体の存在下にシアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体とをグラフト重合させることにより得られる共重合体である。グラフト共重合体(A)は、粒子状のゴム質重合体からなる幹ポリマーにシアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体との共重合体からなる枝ポリマーが結合したグラフト物と、シアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体との共重合体からなる非グラフト物とを含む。

0009

グラフト共重合体(A)を構成するゴム質重合体としては、例えば、ブタジエン系ゴムイソプレン系ゴムアクリル系ゴムオレフィン系ゴム等が挙げられる。
ブタジエン系ゴムとしては、例えば、ポリブタジエンスチレンブタジエン共重合体アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体等が挙げられる。
イソプレン系ゴムとしては、例えば、ポリイソプレン、スチレン−イソプレン共重合体等が挙げられる。
アクリルゴムとしては、ポリアクリル酸ブチル等が挙げられる。
オレフィン系ゴムとしては、例えば、エチレンプロピレン共役ジエン共重合体エチレン−プロピレン共重合体等が挙げられる。
前記ゴム質重合体は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム質重合体のなかでも、熱可塑性樹脂組成物の物性バランスがより良好になることから、ポリブタジエン系ゴムが好ましい。
前記ゴム質重合体が2種以上である場合には、コアシェル構造を形成した粒子状のゴム質重合体であってもよい。例えば、ゴム質重合体は、ポリブタジエンがコア、ポリアクリル酸エステルシェルのコア−シェル粒子でもよい。

0010

ゴム質重合体は、ゲル含有量が40質量%以上99質量%以下であることが好ましく、50質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上85質量%以下であることがさらに好ましい。ゴム質重合体のゲル含有量が前記範囲内であれば、熱可塑性樹脂組成物の機械的物性、特に耐衝撃性を向上させることができる。
ゴム質重合体のゲル含有量は、下記の方法により測定される。
具体的には、量したゴム質重合体を、ゴム質重合体の種類に応じて適切な溶剤に室温(23℃)で20時間かけて溶解させて溶液にする。その溶液を100メッシュ金網でろ過し、金網上に残った不溶分を回収し、60℃で24時間乾燥した後に秤量する。{(乾燥後の不溶分の質量)×(溶剤に溶解させる前のゴム質重合体の質量)}×100の式より、ゴム質重合体のゲル含有量(単位:質量%)を求める。
ゴム質重合体の溶解に用いる溶剤としてはゴム質重合体がポリブタジエンである場合にはトルエンを使用し、ゴム質重合体がポリアクリル酸ブチルである場合にはアセトンを用いることが好ましい。

0011

ゴム質重合体の平均粒子径は特に制限されないが、0.1μm以上1μm以下が好ましく、0.1μm以上0.5μm以下であることがより好ましい。前記平均粒子径は、染色剤によりゴム質重合体を染色したグラフト共重合体(A)を、透過型電子顕微鏡TEM)を用いて撮影し、得られた画像を画像解析処理して測定した数平均粒子径である。ゴム質重合体の平均粒子径を測定するための試料は、グラフト共重合体(A)単体でもよいし、グラフト共重合体(A)を含む熱可塑性樹脂組成物でもよい。
なお、グラフト共重合体(A)にする前のゴム質重合体の平均粒子径は、光学的な方法、例えば、レーザ回折散乱法、動的光散乱法等により測定できる。
レーザ回折散乱法、動的光散乱法により体積平均粒子径を測定できる。動的光散乱法により測定されるゴム質重合体の体積平均粒子径は、0.1μm以上0.7μm以下が好ましく、0.18μm以上0.48μm以下であることがより好ましい。

0012

ゴム質重合体にグラフト重合させるシアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリルメタクリロニトリル等が挙げられ、これらのなかでもアクリロニトリルが好ましい。
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンブロムスチレン等が挙げられ、これらのなかでもスチレンが好ましい。
シアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体との組み合わせは、アクリロニトリルとスチレンの組み合わせが好ましい。
グラフト重合の際には、シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体以外の他のビニル系単量体を共重合させてもよい。すなわち、単量体混合物が他のビニル系単量体を含んでもよい。他のビニル系単量体としては、アクリル系単量体マレイミド系単量体等が挙げられる。
アクリル系単量体としては、メタクリル酸メチルアクリル酸メチルメタクリル酸エチルアクリル酸エチルメタクリル酸アクリル酸等が挙げられる。
マレイミド系単量体としては、N−フェニルマレイミド等が挙げられる。

0013

単量体混合物においては、シアン化ビニル系単量体の割合が20質量%以上40質量%以下、芳香族ビニル系単量体の割合が80質量%以下60質量%以上である。好ましくは、単量体混合物においては、シアン化ビニル系単量体の割合が25質量%以上35質量%以下、芳香族ビニル系単量体の割合が75質量%以下65質量%以上、さらに好ましくはシアン化ビニル系単量体の割合が25質量%以上30質量%以下、芳香族ビニル系単量体の割合が75質量%以下70質量%以上である。なお、単量体混合物がシアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体とからなる場合には、シアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体との合計が100質量%である。単量体混合物がシアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体と他のビニル系単量体からなる場合には、シアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体と他のビニル系単量体の合計が100質量%である。
グラフト共重合体(A)を形成する単量体混合物におけるシアン化ビニル系単量体の割合が前記下限値未満で芳香族ビニル系単量体の割合が前記上限値超であると、熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品の耐薬品性が低下することがある。グラフト共重合体(A)を形成する単量体混合物におけるシアン化ビニル系単量体の割合が前記上限値超で芳香族ビニル系単量体の割合が前記下限値未満であると、熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品の耐衝撃性が低下することができる。

0014

グラフト共重合体(A)のアセトン可溶分の質量平均分子量は、50,000以上150,000未満であり、60,0000以上120,000以下であることが好ましい。グラフト共重合体(A)のアセトン可溶分の質量平均分子量が前記下限値未満であると、熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品の耐衝撃性が低下することがある。グラフト共重合体(A)のアセトン可溶分の質量平均分子量が前記上限値を超えると、熱可塑性樹脂組成物の流動性が低下することがある。
グラフト共重合体(A)のアセトン可溶分の質量平均分子量は、以下の方法により測定される。
グラフト共重合体(A)をアセトン中で攪拌し、得られたアセトン可溶分をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、その溶液を、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置に導入して測定する。分子量が既知標準ポリスチレンを用いて作成した検量線を利用してアセトン可溶分の分子量を測定し、質量基準の平均分子量を求める。
グラフト共重合体(A)のアセトン可溶分は非グラフト物である。

0015

グラフト共重合体(A)においては、ゴム質重合体にグラフト重合した、シアン化ビニル系単量体単位及び芳香族ビニル系単量体単位を有する硬質重合体の質量平均分子量が、50,000以上250,000以下であることが好ましく、50,000以上220,000以下であることがより好ましく、60,000以上200,000以下であることがさらに好ましい。
ゴム質重合体にグラフト重合した硬質重合体の質量平均分子量が前記下限値以上であれば、熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品の耐衝撃性がより高くなる。ゴム質重合体にグラフト重合した硬質重合体の質量平均分子量が前記上限値以下であれば、熱可塑性樹脂組成物の流動性がより高くなる。
ゴム質重合体にグラフト重合した硬質重合体の質量平均分子量は、以下の方法により測定される。
グラフト共重合体(A)をアセトン中で攪拌し、アセトンに溶解しなかったアセトン不溶分を回収する。そのアセトン不溶分に含まれるゴム質重合体のみをオゾンによって分解処理する。この処理によって得られた硬質重合体を回収する。回収した硬質重合体をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、その溶液を、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)装置に導入して測定する。分子量が既知の標準ポリスチレンを用いて作成した検量線を利用してアセトン可溶分の分子量を測定し、質量基準の平均分子量を求める。
グラフト共重合体(A)のアセトン不溶分はグラフト物である。

0016

グラフト共重合体(A)を製造する際には、ゴム質重合体40質量部以上70質量部以下に対して、シアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体を含む単量体混合物60質量部以下30質量部以上をグラフト重合する。ゴム質重合体の割合は45質量部以上65質量部以下、単量体混合物の割合は55質量部以下35質量部以上にすることが好ましい。なお、ゴム質重合体と単量体混合物の合計は100質量部である。
グラフト重合の際のゴム質重合体の割合が前記下限値未満又は前記上限値を超えると、熱可塑性樹脂組成物の物性バランスを調整しにくくなる。

0017

グラフト共重合体(A)のグラフト率は40%以上70%以下であることが好ましく、45%以上65%以下であることがより好ましい。グラフト共重合体(A)のグラフト率が前記下限値以上及び前記上限値以下であれば、熱可塑性樹脂組成物の物性バランスを調整しやすくなる。
グラフト共重合体(A)におけるグラフト率は、以下の方法により測定できる。
グラフト共重合体(A)をアセトンに添加し、65℃以上70℃以下の範囲にて3時間加熱還流する。これにより得られた懸濁アセトン溶液遠心分離機によって14,000rpm、30分間遠心分離して、沈殿成分(アセトン不溶分)とアセトン溶液(アセトン可溶分)を分取する。そして、沈殿成分(アセトン不溶分)を乾燥させてその質量(Y(g))を測定し、下記式(1)からグラフト率を算出する。なお、式(1)におけるYは、グラフト共重合体(A)のアセトン不溶分の質量(g)、Xは、Yを求める際に用いたグラフト共重合体(A)の全質量(g)、ゴム分率は、グラフト共重合体(A)におけるゴム質重合体の固形分の含有割合である。
グラフト率(%)={(Y−X×ゴム分率)/X×ゴム分率}×100 ・・・(1)

0018

なお、グラフト共重合体(A)の構造を詳細に特定することは容易ではない。したがって、グラフト共重合体(A)については、その構造または特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的ではないという事情(不可能・非実際的事情)が存在する。

0019

グラフト共重合体(A)が容易に得られることから、グラフト重合は、乳化重合法を適用することが好ましい。通常、ゴム質重合体は、水中に乳化分散したエマルションの形態で得られるから、ゴム質重合体エマルションに、シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体を添加してグラフト重合すればよい。
グラフト重合の際には、ラジカル重合開始剤連鎖移動剤界面活性剤を添加してもよい。
ラジカル重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等を用いることができる。
連鎖移動剤としては、t−ドデシルメルカプタン等のチオール、α−メチルスチレンダイマー等を用いることができる。
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤カチオン系界面活性剤ノニオン系界面活性剤両性界面活性剤のいずれも使用できる。

0020

(硬質共重合体(B))
硬質共重合体(B)は、グラフト共重合体(A)とは異なる共重合体であり、ゴム質重合体の非存在下で、シアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体を含む単量体混合物を共重合して得られる共重合体である。すなわち、硬質共重合体(B)は、シアン化ビニル系単量体単位と芳香族ビニル系単量体単位を有し、ゴム質重合体を含まない重合体である。また、硬質共重合体(B)は、通常、直鎖状の重合体である。
硬質共重合体(B)は、シアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体と共に、これら単量体以外の他のビニル系単量体をさらに共重合させて得た共重合体であってもよい。

0021

前記単量体混合物の重合は、懸濁重合法、乳化重合法、塊状重合法溶液重合法のいずれの重合法であってもよい。
また、前記単量体混合物の重合は、通常、ラジカル重合が適用される。単量体混合物をラジカル重合する際には、ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤を添加してもよい。ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤は、グラフト共重合体(A)を製造する際に使用するラジカル重合開始剤、連鎖移動剤と同様のものを使用できる。
硬質共重合体(B)を形成するシアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、及びそれら以外の他のビニル系単量体は、グラフト共重合体(A)を製造する際に使用する単量体と同様のものを使用できる。硬質共重合体(B)を形成する単量体は、グラフト共重合体(A)を製造する際に使用する単量体と同一であってもよいし、異なってもよい。
硬質共重合体(B)において、シアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体との組み合わせは、アクリロニトリルとスチレンの組み合わせが好ましい。

0022

硬質共重合体(B)は、シアン化ビニル系単量体20質量%以上40質量%以下、芳香族ビニル系単量体80質量%以下60質量%以上の単量体混合物を共重合して得た共重合体である。前記単量体混合物においては、シアン化ビニル系単量体の割合が22質量%以上38質量%以下、芳香族ビニル系単量体の割合が78質量%以下62質量%以上であることが好ましく、シアン化ビニル系単量体の割合が25質量%以上35質量%以下、芳香族ビニル系単量体の割合が75質量%以下65質量%以上であることがより好ましい。なお、単量体混合物がシアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体とからなる場合には、シアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体との合計が100質量%である。単量体混合物がシアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体と他の単量体からなる場合には、シアン化ビニル系単量体と芳香族ビニル系単量体と他の単量体の合計が100質量%である。
硬質共重合体(B)を形成する単量体混合物におけるシアン化ビニル系単量体の割合が前記下限値未満で芳香族ビニル系単量体の割合が前記上限値超であると、熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品の耐薬品性が低下することがある。硬質共重合体(B)を形成する単量体混合物におけるシアン化ビニル系単量体の割合が前記上限値超で芳香族ビニル系単量体の割合が前記下限値未満であると、熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品の耐衝撃性が低下することがある。

0023

硬質共重合体(B)を製造する際には、シアン化ビニル系単量体及び芳香族ビニル系単量体以外の他の単量体を使用する場合、その含有量は50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、全く含まないことが特に好ましい。他の単量体の含有量は、硬質共重合体(B)を形成する単量体混合物を100質量%とした際の含有割合である。
他の単量体の含有量が少なければ、熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品の耐衝撃性をより向上させることができる。

0024

硬質共重合体(B)は、質量平均分子量が50,000以上150,000以下であり、60,000以上150,000以下であることがより好ましく、60,000以上120,000以下であることがさらに好ましい。硬質共重合体(B)の質量平均分子量が前記下限値未満であると、熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品の耐衝撃性が低下することがある。硬質共重合体(B)の質量平均分子量が前記上限値を超えると、熱可塑性樹脂組成物の流動性が低下することがある。
硬質共重合体(B)の質量平均分子量を調整する方法としては、例えば、連鎖移動剤の使用量を調整する方法、ラジカル重合開始剤の使用量を調整する方法、重合温度を調整する方法、ビニル系単量体の供給速度を調整する方法等が挙げられる。

0025

本態様の熱可塑性樹脂組成物においては、硬質共重合体(B)を1種のみを用いてもよいし、単量体組成や物性等が異なる硬質共重合体(B)を2種以上組み合わせて用いてもよい。

0026

(リサイクルABS樹脂(C))
リサイクルABS樹脂(C)は、特定家庭用機器再商品化法第三十三条に規定される指定法人の再商品化等業務よって、特定家庭用機器廃棄物から回収されたリサイクルABS樹脂である。特定家庭用機器とは、エアコン、テレビ、冷蔵庫及び洗濯機のことである。
リサイクルABS樹脂(C)においては、冷蔵庫から回収された樹脂の含有割合が多く、具体的には80質量%以上であり、特に、冷蔵庫の内箱から回収された樹脂の含有割合が多い。冷蔵庫の内箱に使用するABS樹脂は、高い真空成形性が求められるため、高粘度、すなわち高分子量とされている。また、冷蔵庫の内箱に使用するABS樹脂は、食品等が接触しても割れ等が発生しないことが求められるため、アクリロニトリル単位含有量が多くされて耐薬品性が高められている。
具体的には、冷蔵庫の内箱に使用するABS樹脂は、ゴム質重合体を除いた単量体単位(例えば、アクリロニトリル単位及びスチレン単位)の合計を100質量%とした際、アクリロニトリル単位の含有割合が、例えば、25質量%以上40質量%以下の範囲、特に25質量%以上35質量%以下の範囲とされている。
また、冷蔵庫の内箱に使用するABS樹脂は、メルトボリュームフローレート(以下、「MVR」という。)が、例えば、3cm3/10分以上15cm3/10分以下の範囲、特に3cm3/10分以上10cm3/10分以下の範囲とされている。前記MVRは、ISO 1133に従い、温度220℃、荷重10kgの条件で測定した値である。
リサイクルABS樹脂(C)においては、ゴム質重合体を除いた単量体単位100質量%に対するアクリロニトリル単位含有割合が25質量%以上40質量%以下であってMVRが3cm3/10分以上15cm3/10分以下であるABS樹脂を80質量%以上100質量%以下の範囲で含有することが好ましい。本態様の熱可塑性樹脂組成物は、アクリロニトリル含有割合が高く且つ粘度が高いリサイクルABS樹脂を含む場合に特に適している。

0027

リサイクルABS樹脂は、主として、ポリブタジエンにアクリロニトリル及びスチレンがグラフト共重合したグラフト共重合体と、アクリロニトリル−スチレン共重合体からなる硬質重合体とを含有する。但し、リサイクルABS樹脂は、前記グラフト共重合体以外のグラフト共重合体を含んでもよいし、前記アクリロニトリル−スチレン共重合体以外の硬質重合体を含んでもよい。
例えば、リサイクルABS樹脂は、ポリブタジエン以外のゴム質重合体を有するグラフト共重合体を含んでもよい。ポリブタジエン以外のゴム質重合体としては、例えば、アクリルゴム、エチレン−プロピレン−共役ジエン共重合体ゴム等が挙げられる。
また、リサイクルABS樹脂は、アクリロニトリル及びスチレンに加えてそれら以外の単量体がゴム質重合体にグラフト共重合したグラフト共重合体を含んでもよい。アクリロニトリル及びスチレン以外の単量体としては、例えば、アクリル系単量体、マレイミド系単量体等が挙げられる。
また、リサイクルABS樹脂は、アクリロニトリル及びスチレンに加えてそれら以外の単量体が共重合した硬質共重合体を含んでもよい。
また、特定家庭用機器からリサイクルABS樹脂を回収する工程においては、ABS樹脂の純度を100質量%にできないことがある。そのため、リサイクルABS樹脂は、ABS樹脂以外の樹脂(例えば、ポリスチレン、ポリカーボネートポリブチレンテレフタレートポリエチレンテレフタレート等)を含むことがある。リサイクルABS樹脂におけるABS樹脂の純度は、例えば、98質量%以上100質量%以下である。

0028

本態様の熱可塑性樹脂組成物におけるリサイクルABS樹脂(C)の含有量は、グラフト共重合体(A)と硬質共重合体(B)とリサイクルABS樹脂(C)の合計100質量部に対して5質量部以上95質量部以下であることが好ましく、10質量部以上70質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上50質量部以下であることがさらに好ましい。リサイクルABS樹脂(C)の含有量が前記下限値以上であれば、リサイクル材の使用割合が高くなるから、環境への負荷を充分に小さくできる。リサイクルABS樹脂(C)の含有量が前記上限値以下であれば、熱可塑性樹脂組成物の物性バランスを良好にでき、射出成形用として好適になる。

0029

(難燃剤(D))
本態様の熱可塑性樹脂組成物で使用される難燃剤(D)は、リン系難燃剤及びハロゲン系難燃剤の少なくとも一方である。すなわち、難燃剤(D)は、リン系難燃剤のみでもよいし、ハロゲン系難燃剤のみでもよいし、リン系難燃剤とハロゲン系難燃剤の併用でもよい。

0030

リン系難燃剤としては、赤燐リン化合物が挙げられる。
リン化合物としては、ホスフィンホスフィンオキシドビスホスフィンホスホニウム塩ホスフィン酸塩リン酸エステル亜リン酸エステル等を挙げることができる。これらのなかでも、成形時における金型汚染及び腐食ガス発生の問題がない点で、リン酸エステル系難燃剤が好ましい。リン酸エステル系難燃剤としては、リン酸エステル化合物オキシ塩化リン二価フェノール系化合物との反応物である縮合リン酸エステル化合物が挙げられる。
リン系難燃剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。リン系難燃剤を2種以上併用する場合、リン酸エステル化合物と縮合リン酸エステルとを併用してもよい。

0031

リン酸エステル化合物の具体例としては、ビス−(フェニル)−メチルホスフェート、ビス−(エチル)−フェニルホスフェート、ビス−(エチル)−2,6−ジメチルフェニルホスフェート、ビス−(フェニル)−エチルホスフェート、ビス−(フェニル)−ブチルホスフェート、ビス−(ネオペンチル)−フェニルホスフェート、ビス−(4−メチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスフェート、ビス−(2−エチルヘキシル)−フェニルホスフェート、ビス−(フェニル)−2−エチルヘキシルホスフェート、ビス−(フェニル)−オクチルホスフェート、ビス−(オクチル)フェニルホスフェート、ビス−(3 ,5,5−トリメチルヘキシル)フェニルホスフェート、ビス−(2,5,5−トリメチルヘキシル)−4−メチルフェニルホスフェート、ビス−(フェニル)−イソデシルホスフェート、ビス−(ドデシル)−4−メチルフェニルホスフェート、ビス−(ドデシル) フェニルホスフェート、トリス−(フェニル)ホスフェート、トリス−(2−メチルフェニル)ホスフェート、トリス−(4−メチルフェニル)ホスフェート、ビス−(2−メチルフェニル)フェニルホスフェート、ビス−(4−メチルフェニルフェニル)フェニルホスフェート、ビス−(フェニル)−2−メチルフェニルホスフェート、ビス−(フェニル)−4−メチルフェニルホスフェート、トリス−(イソプロピルフェニル)ホスフェート、ビス−(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、ビス−(フェニル)−イソプロピルフェニルホスフェート、トリス−(ノニルフェニル)ホスフェート、トリス−(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート、ビス−(2,6−ジメチルフェニル)フェニルホスフェート、ビス−(2,6−ジメチルフェニル)−2,6−ジメチルフェニルホスフェート、ビス−(2,6−ジメチルフェニル)−4−t−ブチルフェニルホスフェート、ビス−(2,6−ジメチルフェニル)−4−メチルフェニルホスフェート、ビス−(2,6−ジメチルフェニル)−3−メチルフェニルホスフェート、ビス−(2,6−ジメチルフェニル)−4−イソプロピルフェニルホスフェート、ビス−(2,6−ジメチルフェニル)−2−イソプロピルフェニルホスフェートが挙げられる。前記リン酸エステル化合物は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。

0032

ハロゲン系難燃剤としては、臭素系難燃剤塩素系難燃剤が挙げられ、難燃性がより高いことから、臭素系難燃剤が好ましい。
ハロゲン系難燃剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

0033

臭素系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)等のテトラブロモビスフェノールA誘導体ヘキサブロモジフェニルエーテルオクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、ビス(トリブロモフェノキシエタンヘキサブロモシクロドデカン等の臭素含有化合物が挙げられる。
また、臭素系難燃剤として、モノブロモフェノールトリブロモフェノールペンタブロモフェノール、トリブロモクレゾールジブロモプロピルフェノール、テトラブロモビスフェノールよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を重合することにより得られる臭素含有オリゴマー;モノブロモフェノール、トリブロモフェノール、ペンタブロモフェノール、トリブロモクレゾール、ジブロモプロピルフェノール、テトラブロモビスフェノールよりなる群から選ばれる1種又は2種以上と、前記臭素含有化合物の群から選ばれる少なくとも1種とを共重合することにより得られる臭素含有オリゴマーを使用することもできる。
また、臭素系難燃剤として、テトラブロモビスフェノールAのポリカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAとビスフェノールAとのポリカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールSのポリカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールSとのポリカーボネートオリゴマー、臭化エポキシオリゴマー等を使用することもできる。

0034

本態様の熱可塑性樹脂組成物における難燃剤(D)の含有量は、グラフト共重合体(A)と硬質共重合体(B)とリサイクルABS樹脂(C)の合計100質量部に対して10質量部以上20質量部以下であり、11質量部以上18質量部以下であることが好ましい。難燃剤(D)の含有量が前記下限値未満であると、熱可塑性樹脂組成物の難燃性が低下することがあり、前記上限値を超えると、熱可塑性樹脂組成物の難燃性以外の物性、例えば耐薬品性、耐衝撃性が低下することがある。

0035

(その他の樹脂)
本態様の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)、硬質共重合体(B)及びリサイクルABS樹脂(C)以外のその他の樹脂を含有してもよい。
その他の樹脂の具体例としては、例えば、ゴム強化スチレン系樹脂、AS樹脂、ポリスチレン樹脂ナイロン樹脂メタクリル樹脂ポリ塩化ビニル樹脂ポリブチレンテレフタレート樹脂ポリエチレンテレフタレート樹脂ポリフェニレンエーテル樹脂ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。なお、前記ゴム強化スチレン系樹脂は、HIPS樹脂、ABS樹脂、ASA樹脂AES樹脂、SAS樹脂等であって、グラフト共重合体(A)及びリサイクルABS樹脂(C)を含まない。前記AS樹脂は、硬質共重合体(B)を含まない。
前記その他の樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

0036

本態様の熱可塑性樹脂組成物におけるその他の樹脂の含有量は、グラフト共重合体(A)と硬質共重合体(B)とリサイクルABS樹脂(C)の合計100質量部に対して0質量部以上100質量部以下であることが好ましく、0質量部以上50質量部以下であることがより好ましく、0質量部以上20質量部以下であることがさらに好ましい。その他の樹脂の含有量が前記上限値以下であれば、本態様の熱可塑性樹脂組成物において、目的とする物性が得られやすい。

0037

添加剤
本態様の熱可塑性樹脂組成物は、難燃剤(D)以外の各種の添加剤を含有してもよい。
添加剤としては、公知の酸化防止剤光安定剤紫外線吸収剤滑剤可塑剤、安定剤、エステル交換反応抑制剤加水分解抑制剤離型剤帯電防止剤顔料染料炭素繊維ガラス繊維ウォラストナイト炭酸カルシウムシリカタルク等の充填材、リン系難燃剤、三酸化アンチモン等の難燃助剤フッ素樹脂等のドリップ防止剤抗菌剤防カビ剤シリコーンオイルカップリング剤等が挙げられる。これらの添加剤はいずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。

0038

本態様の熱可塑性樹脂組成物における難燃剤を除く添加剤の含有量は、グラフト共重合体(A)と硬質共重合体(B)とリサイクルABS樹脂(C)の合計100質量部に対して0質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。添加剤の含有量が前記上限値以下であれば、熱可塑性樹脂組成物の物性低下を防止できる。

0039

(熱可塑性樹脂組成物の製造方法)
本態様の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)と硬質共重合体(B)とリサイクルABS樹脂(C)と難燃剤(D)とを混合する工程を有する方法により得られる。グラフト共重合体(A)と硬質共重合体(B)とリサイクルABS樹脂(C)とハロゲン系難燃剤(D)とを混合する際には、必要に応じて、その他の樹脂及び添加剤をさらに混合してもよい。
各成分を混合した後には、ミキサを用いて充分に混合して混合物を調製し、前記混合物を、混練機を用いて溶融混練することが好ましい。
ミキサとしては、例えば、ヘンシェルミキサV型ブレンダタンブラーミキサ等を使用することができる。
混練機としては、例えば、一軸押出機二軸押出機バンバリーミキサー加圧ニーダーミキシングロール等を使用することができる。
溶融混練後、得られた溶融混練物を冷却した後、ペレタイザを用いてペレット化することが好ましい。

0040

作用効果
リサイクルABS樹脂(C)は、物性が成形材料として適さなかったため、マテリアルリサイクルに不向きであった。
しかし、本態様の熱可塑性樹脂組成物では、リサイクルABS樹脂(C)に前記特定のグラフト共重合体(A)及び前記特定の硬質共重合体(B)を配合し、さらに特定量の難燃剤を配合したことにより、難燃性の成形材料として適したものとなっている。具体的に、本態様の熱可塑性樹脂組成物は、リサイクルABS樹脂の使用率が高いにもかかわらず、耐薬品性、流動性、耐衝撃性及び難燃性のいずれもが優れている。特に、UL94試験におけるV−2の難燃性を有しつつ、高い耐薬品性を得ることができる。このような熱可塑性樹脂組成物は、成形材料、特に射出成形用成形材料として使用でき、実用性が高い。したがって、本態様では、リサイクルABS樹脂(C)のマテリアルリサイクルを可能にしている。
本態様では、特に、リサイクルABS樹脂(C)として、アクリロニトリル含有割合が高く且つ粘度が高いリサイクルABS樹脂を用いても、耐薬品性、流動性、耐衝撃性及び難燃性のいずれもが優れた熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。さらには、本態様では、アクリロニトリル含有割合が高く且つ粘度が高いリサイクルABS樹脂の使用率を高くしても、耐薬品性、流動性、耐衝撃性及び難燃性のいずれもが優れた熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。したがって、本態様では、マテリアルリサイクルとしての適性が低かった、アクリロニトリル含有割合が高く且つ粘度が高いリサイクルABS樹脂を用いて、射出成形用成形材料を得ることができる。例えば、本態様では、ISO 1133に従い、温度220℃、荷重10kgの条件で測定されたメルトボリュームフローレートが15cm3/10分以上50cm3/10分以下の熱可塑性樹脂組成物を容易に得ることができる。

0041

<成形品>
本発明の成形品の一態様について説明する。
本態様の成形品は、前記態様の熱可塑性樹脂組成物を含有し、公知の成形方法によって成形加工して得られる。
成形方法としては、例えば、射出成形法プレス成形法押出成形法真空成形法ブロー成形法等が挙げられる。前記態様の熱可塑性樹脂組成物は、流動性を高めたものであるため、前記成形方法のなかでも射出成形法が好適である。
成形品の用途としては、事務機器用部品家電用部品電気機器用部品電子機器用部品自動車用部品建材用部品等が挙げられる。

0042

以下、具体的に実施例を示す。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
以下に記載の「%」は「質量%」、「部」は「質量部」を意味する。
以下の実施例および比較例において使用した材料を下記に示す。

0043

・グラフト共重合体(A)
グラフト共重合体(A)は、ポリブタジエンゴムの存在下にアクリロニトリルとスチレンとをグラフト重合して得たグラフト共重合体である。
(A−1)ポリブタジエンゴム含有率:60%、グラフト率:40%、未グラフトのSAN共重合体(スチレン−アクリロニトリル共重合体)の質量平均分子量:6万、グラフトしたSAN共重合体の質量平均分子量:7万、SAN共重合体におけるアクリロニトリル単位の割合:29%、SAN共重合体におけるスチレン単位の割合:71%
(A−2)ポリブタジエンゴム含有率:50%、グラフト率:65%、未グラフトのSAN共重合体の質量平均分子量:12万、グラフトしたSAN共重合体の質量平均分子量:20万、SAN共重合体におけるアクリロニトリル単位の割合:30%、SAN共重合体におけるスチレン単位の割合:70%
(A−3)ポリブタジエンゴム含有率:40%、グラフト率:70%、未グラフトのSAN共重合体の質量平均分子量:10万、グラフトしたSAN共重合体の質量平均分子量:10万、SAN共重合体におけるアクリロニトリル単位の割合:26%、SAN共重合体におけるスチレン単位の割合:74%
(A−4)ポリブタジエンゴム含有率:50%、グラフト率:65%、未グラフトのSAN共重合体の質量平均分子量:45万、グラフトしたSAN共重合体の質量平均分子量:9万、SAN共重合体におけるアクリロニトリル単位の割合:25%、SAN共重合体におけるスチレン単位の割合:75%
(A−5)ポリブタジエンゴム含有率:75%、グラフト率:40%、未グラフトのSAN共重合体の質量平均分子量:12万、グラフトしたSAN共重合体の質量平均分子量:10万、SAN共重合体におけるアクリロニトリル単位の割合:28%、SAN共重合体におけるスチレン単位の割合:72%
(A−6)アクリルゴム含有率:46%、グラフト率:50%、未グラフトのSAN共重合体の質量平均分子量:15万、グラフトしたSAN共重合体の質量平均分子量:不明、SAN共重合体におけるアクリロニトリル単位の割合:33%、SAN共重合体におけるスチレン単位の割合:67%

0044

・硬質共重合体(B)
硬質共重合体(B)は、ゴム質重合体の非存在下に、アクリロニトリルとスチレンとを共重合した共重合体である。
(B−1)アクリロニトリル単位:28%、スチレン単位:72%、質量平均分子量:10万
(B−2)アクリロニトリル単位:34%、スチレン単位:66%、質量平均分子量:7万
(B−3)アクリロニトリル単位:23%、スチレン単位:77%、質量平均分子量:14万
(B−4)アクリロニトリル単位:27%、スチレン単位:73%、質量平均分子量:20万
(B−5)アクリロニトリル単位:42%、スチレン単位:58%、質量平均分子量:6万

0045

・リサイクルABS樹脂(C)
(C−1)(株)グリーンサイクルステムズ製 リサイクルABSNABS
ゴム質重合体(主にポリブタジエン):14%、アクリロニトリル単位:27%、スチレン単位:73%、MVR:9cm3/10分
(C−2)次の方法により得たリサイクルABS樹脂。エアコン、テレビ、冷蔵庫及び洗濯機に使用されている射出成形により作製されたABS部品のみを回収し、前記ABS部品を破砕した後、磁力選別機を使用して異物を除去した。これにより回収した樹脂をダイプレート部分に80メッシュを設置した二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30α)を用い、溶融温度240℃の条件で溶融混練した。二軸押出機のダイスから吐出されたストランドを、ペレタイザを用いてペレット化して、リサイクルABS樹脂を得た。
ゴム質重合体(主にポリブタジエン):14%、アクリロニトリル単位:20%、スチレン単位:80%、MVR:30cm3/10分

0046

・難燃剤(D)
(D−1)大八化学工業(株)製リン系難燃剤(芳香族縮合リン酸エステル)PX−200
(D−2)DIC(株)製臭素系難燃剤(臭素化変性エポキシ樹脂)EC−14

0047

グラフト共重合体(A)におけるポリブタジエンゴム含有率は、ペレット熱プレスにて薄いフィルムにした後、FT赤外分光光度計(堀場製作所製)により測定した。

0048

グラフト共重合体(A)におけるグラフト率は、以下のように測定した。
グラフト共重合体(A)1gを80mLのアセトンに添加し、65℃以上70℃以下の範囲にて3時間加熱還流し、得られた懸濁アセトン溶液を遠心分離機(日立工機株式会社製「CR21E」)にて14,000rpm、30分間遠心分離して、沈殿成分(アセトン不溶分)とアセトン溶液(アセトン可溶分)を分取した。そして、沈殿成分(アセトン不溶分)を乾燥させてその質量(Y(g))を測定し、下記式(1)からグラフト率を算出した。なお、式(1)におけるYは、グラフト共重合体(A)のアセトン不溶分の質量(g)、Xは、Yを求める際に用いたグラフト共重合体(A)の全質量(g)、ゴム分率は、グラフト共重合体(A)におけるゴム質重合体の固形分の含有割合である。
グラフト率(%)={(Y−X×ゴム分率)/X×ゴム分率}×100 ・・・(1)

0049

グラフト共重合体(A)及び硬質共重合体(B)における質量平均分子量は、以下のように測定した。
質量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー装置GPC装置、Waters社製「GPC/V2000」、カラム:昭和電工株式会社製「Shodex AT−G+AT−806MS」)を用いて測定した。分子量測定においては、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用いて重合体試料を溶解し、その重合体試料をGPC装置に導入した。分子量が既知の標準ポリスチレンによって予め得た検量線を利用して重合体試料のポリスチレン換算の分子量を測定し、質量平均分子量を求めた。
なお、グラフト共重合体(A)における未グラフトのSAN共重合体の質量平均分子量は、前記グラフト率の測定に際して得たアセトン可溶分の質量平均分子量である。
グラフト共重合体(A)における、グラフトしたSAN共重合体の質量平均分子量は、次のように測定した。前記グラフト率の測定に際して得たアセトン不溶分をオゾンにより処理してゴム質重合体のみを分解した。この処理によって得たSAN共重合体を回収し、その回収したSAN共重合体について質量平均分子量を測定した。

0050

硬質共重合体(B)におけるアクリロニトリル単位含有量及びスチレン単位含有量は、
ペレットを熱プレスにて薄いフィルムにした後、FT赤外分光光度計(堀場製作所製)により測定した。

0051

リサイクルABS樹脂におけるMVRは、ISO 1133に従い、温度220℃、荷重10kgの条件でMVRを測定した。
リサイクルABS樹脂におけるゴム質重合体、アクリロニトリル単位およびスチレン単位含有量は、成形用ペレットを熱プレスにて薄いフィルムにした後、FT赤外分光光度計(堀場製作所製)により測定した。
なお、アクリロニトリル単位含有量及びスチレン単位含有量は、ゴム質重合体を除いた単量体単位の合計100%に対する割合である。

0052

(実施例及び比較例)
表1〜3に示す配合により各成分を配合し、二軸押出機(株式会社日本製鋼所、TEX−30α)を用い、250℃の条件で溶融混練した。これにより得た溶融混練物を冷却後、ペレタイザを用いてペレット化して、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。

0053

<評価>
各実施例及び各比較例の熱可塑性樹脂組成物について、耐薬品性、流動性、耐衝撃性及び難燃性を評価した。その結果を表1〜3に示す。
また、各実施例及び各比較例の熱可塑性樹脂組成物におけるリサイクル材使用率を求めた。その結果を表1〜3に示す。

0054

[耐薬品性]
耐薬品性(臨界歪み
射出成形にて作製した短冊状試験片(長さ150mm、幅10mm、厚さ2mm)をベンディングホーム試験治具に沿わして固定した後、前記試験片薬品を塗布した。23℃の環境下で48時間放置した後、試験片表面におけるクレーズ又はクラックの発生位置を目視により調べた。クレーズ又はクラックの発生位置における試験治具の曲率から臨界歪み(%)を求めた。
試験に使用した薬品としては、エタノールサラダ油(日清オイリグループ株式会社製)、洗剤(花王株式会社製、バスマジックリン登録商標))を使用した。

0055

[流動性]
ISO 1133に従い、温度220℃、荷重10kgの条件でMVRを測定した。MVRの値が大きい程、流動性に優れる。

0056

[耐衝撃性]
各例の熱可塑性樹脂組成物を射出成形して試験片を作製し、ISO 179−1:2013年度版に記載の方法に従い、短冊試験片(タイプB1、ノッチ有:形状Aシングルノッチ)を用いて試験温度23℃においてシャルピー衝撃強度打撃方向:エッジワイズ)を測定した。シャルピー衝撃強度が高い程、耐衝撃性に優れる。

0057

[難燃性]
各例の熱可塑性樹脂組成物を成形して試験片(幅12.7mm、長さ127mm、厚さ0.75mm又は3.0mm)を作製し、UL94に準拠し、下記のようにして難燃性を評価した。
垂直に支持した前記試験片の下端バーナー炎をあてて10秒間保ち、その後バーナー炎を試験片から離した。炎が消えた後、再びバーナー炎をあて、同様の操作を行った。そして、1回目の接炎終了後の有炎燃焼持続時間、2回目の有炎燃焼持続時間と無炎燃焼持続時間の合計、ならびに燃焼落下物の有無により判定を行った。UL94におけるV-2の基準は概略下記の通りである。
V−2:1回目の有炎燃焼持続時間が10秒超30秒以内、2回目の有炎燃焼持続時間と無炎燃焼持続時間の合計が30秒超60秒以内であり、燃焼落下物があってもよい。
難燃性評価において、表中の「NG」は、V−2基準を満たさなかったものである。

0058

[リサイクル材使用率]
(リサイクルABS樹脂の部数/各成分の合計の部数)×100の式より、リサイクル材使用率を求めた。

0059

総合評価
前記評価結果より各例の熱可塑性樹脂組成物を、下記の基準で総合的に評価した。
A:リサイクル材使用率が高いにもかかわらず、耐薬品性、耐衝撃性、流動性及び難燃性のいずれもが優れており、成形材料としての実用性が高い。
B:耐薬品性、耐衝撃性、流動性及び難燃性のいずれか一つ以上が低く、成形材料として使用することは困難である。

0060

0061

0062

実施例

0063

<結果>
各実施例の熱可塑性樹脂組成物は、リサイクル材使用率が高く、耐薬品性、耐衝撃性、流動性及び難燃性のいずれもが優れていた。特に、実施例1〜7,9〜14,16〜18の熱可塑性樹脂組成物は、高粘度且つ高アクリロニトリル含有量のリサイクルABS樹脂を20%以上使用したにもかかわらず、耐薬品性、耐衝撃性、流動性及び難燃性のいずれもが優れていた。
アセトン可溶分である未グラフトのSAN共重合体の質量平均分子量質が15万を超えるグラフト共重合体(A)を使用した比較例1は流動性が低かった。
ゴム質重合体を70質量部以上含むグラフト共重合体(A)を使用した比較例2は流動性が低かった。
質量平均分子量が15万を超える硬質共重合体(B)を使用した比較例3の熱可塑性樹脂組成物は、流動性が低く、燃焼性(V-2)の基準を満たさなかった。
アクリロニトリル単位が40%以上である硬質共重合体(B)を使用した比較例4は難燃性が低かった。
リン系難燃剤及びハロゲン系難燃剤の含有量が10部未満である比較例5,7の熱可塑性樹脂組成物は、難燃性が低かった。
リン系難燃剤及びハロゲン系難燃剤の含有量が20部を超える比較例6,8の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性が低かった。

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