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技術 糖鎖抗原を抽出し測定するためのイムノクロマト試験片及びそれを用いたイムノクロマト法

出願人 デンカ生研株式会社
発明者 加藤大介服部友洋村松志野
出願日 2016年6月9日 (3年5ヶ月経過) 出願番号 2016-115626
公開日 2019年8月15日 (3ヶ月経過) 公開番号 2019-135445
状態 未査定
技術分野 生物学的材料の調査,分析 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード 本発明試験片 液状酸 乾燥パッド 亜硝酸水溶液 バッキングシート 樹脂製ケース 固定化粒子 測定直前
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (2)

課題

本発明は、糖鎖抗原を特異的に測定することを可能にするイムノクロマト試験片及びそれを用いたイムノクロマト法を提供することを目的とする。

解決手段

検体を添加するサンプルパッド、糖鎖抗原に対する抗体を標識した標識抗体を含む標識体領域及び前記糖鎖抗原に対する抗体を固相化した検出領域を含み、検出領域において抗体-糖鎖抗原-標識抗体の複合体を形成させ、糖鎖抗原を測定するイムノクロマト試験片であって、前記標識体領域の上流中和試薬含浸させた領域を有し、さらに該中和試薬を含浸させた領域の上流に固形酸性試薬を含浸させた領域を有するイムノクロマト試験片を用いてイムノクロマト法により検体中の糖鎖抗原を測定する方法であって、検体を亜硝酸塩溶液と混合し、前記イムノクロマト試験片のサンプルパッドに添加することを含み、固形状酸性試薬を含浸させた領域において、亜硝酸塩と固形状酸性試薬の反応により発生した亜硝酸の作用により検体から糖鎖抗原が抽出され、中和試薬を含浸させた領域において、前記糖鎖抗原を含む酸性溶液中和され、検出領域において、抗体-糖鎖抗原-標識抗体の複合体が形成される、イムノクロマト法により検体中の糖鎖抗原を測定する方法。

概要

背景

糖鎖抗原抽出方法として亜硝酸抽出法が知られている。この方法は主にA群β溶血レンサ球菌口腔内レンサ球菌ストレプトコッカス属に属する微生物の糖鎖抗原の抽出に対して使用される。

この亜硝酸抽出法は、菌体亜硝酸水溶液を混合し、糖鎖抗原を露出させる方法であり、一般的な亜硝酸抽出法は、微生物を含む検体亜硝酸ナトリウム水溶液酢酸塩酸等の酸性溶液とを混合することで亜硝酸を生成させた亜硝酸抽出液を混合し、微生物と該亜硝酸とを十分な時間反応させることにより実施される。上記の抽出液は強酸性であるので、反応後にトリス、水酸化ナトリウム等の塩基性溶液を添加し、抽出液を中和した後に分析するのが一般的である。

一方、イムノクロマト原理とする迅速診断薬の多くは、ウイルス又は細菌感染症を迅速・簡便に測定し、治療方針を決定する一つの手段として広く使用されている。

一般的なイムノクロマトを原理とする迅速診断薬は、検体を検体浮遊液に浮遊させた後、その浮遊液イムノクロマト試験片に供給することで迅速・簡便に測定できる。

それに対し、例えばA群β溶血性レンサ球菌の糖鎖抗原を測定する際は、予め亜硝酸塩溶液と酸性溶液の2液を測定直前に混合し亜硝酸抽出液を調製し、検体と混合する。すなわち、A群β溶血性レンサ球菌と亜硝酸と反応させた後、塩基性水溶液で中和する。中和した抽出液をイムノクロマト試験片に供給する。

この方法で用いる亜硝酸抽出液は長時間保存することができないため、亜硝酸塩溶液と酸溶液試験直前に混合・調製をする必要がある。また、この亜硝酸抽出液はpHが低すぎて抗原抗体反応に支障をきたすことから、ある程度のpHまで中和する必要がある。

しかし、2液を混合する工程とさらに中和する工程が増えることから、一般的なイムノクロマト法を原理とする迅速診断薬と比較して試薬がより多くなり、操作が煩雑になりやすくなる。そのため、既存の迅速診断試薬では、中和試薬をイムノクロマト試験片にあらかじめ含ませることにより、亜硝酸塩溶液と酸性溶液を混合する操作のみで検体処理ができるよう工夫されている。しかし、依然として従来のイムノクロマト法を原理とした迅速診断試薬に比較し操作工程が多いことから、混合する液量の間違いや混合する溶液の取り違い、2液を混合せずに抽出する等、正しく操作されないことから、正確に測定できないという問題があった。

上述のようにイムノクロマトを原理とする迅速診断薬において、誤った方法で操作された場合、その迅速性・簡便性が故に誤った診断治療を促し、治療を遅らせ、患者不利益が生じる場合もある。

そこで、イムノクロマト試験片に予め亜硝酸ナトリウムと中和試薬を含ませることにより、検体を酢酸等の酸性溶液に浮遊してイムノクロマト試験片に供給する操作のみで亜硝酸抽出処理をイムノクロマト試験片上で行う方法が報告されている(特許文献1)。

しかし、亜硝酸ナトリウムは毒物及び劇物取締法で劇物に指定され、消防法危険物第1類に属し、さらに水質汚濁防止法施行令第2条有害物質に指定されていることから、取り扱いの難しい薬品である。上記イムノクロマト試験片を製造するにあたり、高濃度の亜硝酸ナトリウム水溶液をイムノクロマト試験片の部材に塗布した上で乾燥させる製造工程が必要であるが、その作業は危険が伴われる。

そこで、亜硝酸ナトリウムではなく、酸性溶液を予めイムノクロマト試験片に含ませることが考えられるが、一般的に酸性溶液として使用される塩酸や酢酸では従来の予め2液を混合した亜硝酸抽出液で処理して中和する方法と比較して、著しく劣る性能しか示せなかった。

概要

本発明は、糖鎖抗原を特異的に測定することを可能にするイムノクロマト試験片及びそれを用いたイムノクロマト法を提供することを目的とする。検体を添加するサンプルパッド、糖鎖抗原に対する抗体を標識した標識抗体を含む標識体領域及び前記糖鎖抗原に対する抗体を固相化した検出領域を含み、検出領域において抗体-糖鎖抗原-標識抗体の複合体を形成させ、糖鎖抗原を測定するイムノクロマト試験片であって、前記標識体領域の上流に中和試薬を含浸させた領域を有し、さらに該中和試薬を含浸させた領域の上流に固形酸性試薬を含浸させた領域を有するイムノクロマト試験片を用いてイムノクロマト法により検体中の糖鎖抗原を測定する方法であって、検体を亜硝酸塩溶液と混合し、前記イムノクロマト試験片のサンプルパッドに添加することを含み、固形状酸性試薬を含浸させた領域において、亜硝酸塩と固形状酸性試薬の反応により発生した亜硝酸の作用により検体から糖鎖抗原が抽出され、中和試薬を含浸させた領域において、前記糖鎖抗原を含む酸性溶液が中和され、検出領域において、抗体-糖鎖抗原-標識抗体の複合体が形成される、イムノクロマト法により検体中の糖鎖抗原を測定する方法。なし

目的

本発明の目的は、亜硝酸抽出により糖鎖抗原を抽出する際に必要な酸性試薬と中和試薬を予めイムノクロマト試験片に含ませることにより、亜硝酸抽出の操作を簡便化し、かつ従来の亜硝酸抽出法と比較しても性能に遜色なく正確に、糖鎖抗原を特異的に測定することを可能にするイムノクロマト試験片及びそれを用いたイムノクロマト法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

検体を添加するサンプルパッド糖鎖抗原に対する抗体を標識した標識抗体を含む標識体領域及び前記糖鎖抗原に対する抗体を固相化した検出領域を含み、検出領域において抗体-糖鎖抗原-標識抗体の複合体を形成させ、糖鎖抗原を測定するイムノクロマト試験片であって、前記標識体領域の上流中和試薬含浸させた領域を有し、さらに該中和試薬を含浸させた領域の上流に固形酸性試薬を含浸させた領域を有するイムノクロマト試験片を用いてイムノクロマト法により検体中の糖鎖抗原を測定する方法であって、検体を亜硝酸塩溶液と混合し、前記イムノクロマト試験片のサンプルパッドに添加することを含み、固形状酸性試薬を含浸させた領域において、亜硝酸塩と固形状酸性試薬の反応により発生した亜硝酸の作用により検体から糖鎖抗原が抽出され、中和試薬を含浸させた領域において、前記糖鎖抗原を含む酸性溶液中和され、検出領域において、抗体-糖鎖抗原-標識抗体の複合体が形成される、イムノクロマト法により検体中の糖鎖抗原を測定する方法。

請求項2

固形状酸性試薬を含浸させた領域が、サンプルパッド上もしくは、標識体領域が塗布されたパッド上に存在する、請求項1記載のイムノクロマト法により検体中の糖鎖抗原を測定する方法。

請求項3

固形状酸性試薬が、マロン酸リンゴ酸マレイン酸クエン酸及び酒石酸からなる群から選択される、請求項1又は2に記載のイムノクロマト法により検体中の糖鎖抗原を測定する方法。

請求項4

中和試薬が、トリスヒロキシメチルアミノメタン又は水酸化ナトリウムである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のイムノクロマト法により検体中の糖鎖抗原を測定する方法。

請求項5

糖鎖抗原が、原生動物真菌、細菌、マイコプラズマリケッチアクラミジア又はウイルスの糖鎖抗原である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のイムノクロマト法により検体中の糖鎖抗原を測定する方法。

請求項6

検体を添加するサンプルパッド、糖鎖抗原に対する抗体を標識した標識抗体を含む標識体領域及び前記糖鎖抗原に対する抗体を固相化した検出領域を含み、検出領域において抗体-糖鎖抗原-標識抗体の複合体を形成させ、糖鎖抗原を測定するイムノクロマト試験片であって、前記標識体領域の上流に中和試薬を含浸させた領域を有し、さらに該中和試薬を含浸させた領域の上流に固形状酸性試薬を含浸させた領域を有する検体中の糖鎖抗原を抽出し測定するためのイムノクロマト試験片。

請求項7

固形状酸性試薬を含浸させた領域が、サンプルパッド上もしくは、標識体領域が塗布されたパッド上に存在する、請求項6記載のイムノクロマト試験片。

請求項8

固形状酸性試薬が、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、クエン酸及び酒石酸からなる群から選択される、請求項6又は7に記載のイムノクロマト試験片。

請求項9

中和試薬が、トリスヒドロキシルメチルアミノメタン又は水酸化ナトリウムである、請求項6〜8のいずれか1項に記載のイムノクロマト試験片。

請求項10

糖鎖抗原が、原生動物、真菌、細菌、マイコプラズマ、リケッチア、クラミジア又はウイルスの糖鎖抗原である、請求項6〜9のいずれか1項に記載のイムノクロマト試験片。

技術分野

0001

本発明は、イムノクロマト試験片上で糖鎖抗原亜硝酸抽出処理をすることが可能な、糖鎖抗原を抽出し測定するためのイムノクロマト試験片及びそれを用いたイムノクロマト法に関する。

背景技術

0002

糖鎖抗原の抽出方法として亜硝酸抽出法が知られている。この方法は主にA群β溶血レンサ球菌口腔内レンサ球菌ストレプトコッカス属に属する微生物の糖鎖抗原の抽出に対して使用される。

0003

この亜硝酸抽出法は、菌体亜硝酸水溶液を混合し、糖鎖抗原を露出させる方法であり、一般的な亜硝酸抽出法は、微生物を含む検体亜硝酸ナトリウム水溶液酢酸塩酸等の酸性溶液とを混合することで亜硝酸を生成させた亜硝酸抽出液を混合し、微生物と該亜硝酸とを十分な時間反応させることにより実施される。上記の抽出液は強酸性であるので、反応後にトリス、水酸化ナトリウム等の塩基性溶液を添加し、抽出液を中和した後に分析するのが一般的である。

0004

一方、イムノクロマト原理とする迅速診断薬の多くは、ウイルス又は細菌感染症を迅速・簡便に測定し、治療方針を決定する一つの手段として広く使用されている。

0005

一般的なイムノクロマトを原理とする迅速診断薬は、検体を検体浮遊液に浮遊させた後、その浮遊液をイムノクロマト試験片に供給することで迅速・簡便に測定できる。

0006

それに対し、例えばA群β溶血性レンサ球菌の糖鎖抗原を測定する際は、予め亜硝酸塩溶液と酸性溶液の2液を測定直前に混合し亜硝酸抽出液を調製し、検体と混合する。すなわち、A群β溶血性レンサ球菌と亜硝酸と反応させた後、塩基性水溶液で中和する。中和した抽出液をイムノクロマト試験片に供給する。

0007

この方法で用いる亜硝酸抽出液は長時間保存することができないため、亜硝酸塩溶液と酸溶液試験直前に混合・調製をする必要がある。また、この亜硝酸抽出液はpHが低すぎて抗原抗体反応に支障をきたすことから、ある程度のpHまで中和する必要がある。

0008

しかし、2液を混合する工程とさらに中和する工程が増えることから、一般的なイムノクロマト法を原理とする迅速診断薬と比較して試薬がより多くなり、操作が煩雑になりやすくなる。そのため、既存の迅速診断試薬では、中和試薬をイムノクロマト試験片にあらかじめ含ませることにより、亜硝酸塩溶液と酸性溶液を混合する操作のみで検体処理ができるよう工夫されている。しかし、依然として従来のイムノクロマト法を原理とした迅速診断試薬に比較し操作工程が多いことから、混合する液量の間違いや混合する溶液の取り違い、2液を混合せずに抽出する等、正しく操作されないことから、正確に測定できないという問題があった。

0009

上述のようにイムノクロマトを原理とする迅速診断薬において、誤った方法で操作された場合、その迅速性・簡便性が故に誤った診断治療を促し、治療を遅らせ、患者不利益が生じる場合もある。

0010

そこで、イムノクロマト試験片に予め亜硝酸ナトリウムと中和試薬を含ませることにより、検体を酢酸等の酸性溶液に浮遊してイムノクロマト試験片に供給する操作のみで亜硝酸抽出処理をイムノクロマト試験片上で行う方法が報告されている(特許文献1)。

0011

しかし、亜硝酸ナトリウムは毒物及び劇物取締法で劇物に指定され、消防法危険物第1類に属し、さらに水質汚濁防止法施行令第2条有害物質に指定されていることから、取り扱いの難しい薬品である。上記イムノクロマト試験片を製造するにあたり、高濃度の亜硝酸ナトリウム水溶液をイムノクロマト試験片の部材に塗布した上で乾燥させる製造工程が必要であるが、その作業は危険が伴われる。

0012

そこで、亜硝酸ナトリウムではなく、酸性溶液を予めイムノクロマト試験片に含ませることが考えられるが、一般的に酸性溶液として使用される塩酸や酢酸では従来の予め2液を混合した亜硝酸抽出液で処理して中和する方法と比較して、著しく劣る性能しか示せなかった。

先行技術

0013

国際公開WO2005/121794号公報

発明が解決しようとする課題

0014

本発明の目的は、亜硝酸抽出により糖鎖抗原を抽出する際に必要な酸性試薬と中和試薬を予めイムノクロマト試験片に含ませることにより、亜硝酸抽出の操作を簡便化し、かつ従来の亜硝酸抽出法と比較しても性能に遜色なく正確に、糖鎖抗原を特異的に測定することを可能にするイムノクロマト試験片及びそれを用いたイムノクロマト法を提供することである。

課題を解決するための手段

0015

本願発明者らは、鋭意研究の結果、塩酸や酢酸等の液状酸性試薬は乾燥状態のイムノクロマト試験片上では揮発して消失することから、イムノクロマト試験片上には定着せず、十分な亜硝酸抽出が行われないことに着目した。そこで、酒石酸リンゴ酸マロン酸マレイン酸クエン酸等の固形状酸性試薬を用いることにより酸性試薬を乾燥状態のイムノクロマト試験片上でも揮発せずに定着させ、従来の予め亜硝酸ナトリウムと液状酸性試薬の2液を混合した亜硝酸抽出液で処理した後に中和する方法と比較して、迅速・簡便に測定でき、かつ性能も遜色なく測定することが可能であることを見出し、本発明を完成した。

0016

すなわち、本発明は、上流側からサンプルパッドと、標識体領域と、検出領域と、吸収帯等とを具備するイムノクロマト試験片であって、標識体領域よりも上流に、固形状酸性試薬と中和試薬が含浸されているイムノクロマト試験片を提供する。また、本発明は、上記本発明のイムノクロマト試験片を用いて行うイムノクロマト法を提供する。

0017

本発明は以下のとおりである。
[1]検体を添加するサンプルパッド、糖鎖抗原に対する抗体を標識した標識抗体を含む標識体領域及び前記糖鎖抗原に対する抗体を固相化した検出領域を含み、検出領域において抗体-糖鎖抗原-標識抗体の複合体を形成させ、糖鎖抗原を測定するイムノクロマト試験片であって、前記標識体領域の上流に中和試薬を含浸させた領域を有し、さらに該中和試薬を含浸させた領域の上流に固形状酸性試薬を含浸させた領域を有するイムノクロマト試験片を用いてイムノクロマト法により検体中の糖鎖抗原を測定する方法であって、
検体を亜硝酸塩溶液と混合し、前記イムノクロマト試験片のサンプルパッドに添加することを含み、
固形状酸性試薬を含浸させた領域において、亜硝酸塩と固形状酸性試薬の反応により発生した亜硝酸の作用により検体から糖鎖抗原が抽出され、
中和試薬を含浸させた領域において、前記糖鎖抗原を含む酸性溶液が中和され、
検出領域において、抗体-糖鎖抗原-標識抗体の複合体が形成される、イムノクロマト法により検体中の糖鎖抗原を測定する方法。
[2] 固形状酸性試薬を含浸させた領域が、サンプルパッド上に存在する、[1]記載のイムノクロマト法により検体中の糖鎖抗原を測定する方法。
[3] 固形状酸性試薬が、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、クエン酸及び酒石酸からなる群から選択される、[1]又は[2]のイムノクロマト法により検体中の糖鎖抗原を測定する方法。
[4] 中和試薬が、トリスヒロキシメチルアミノメタン又は水酸化ナトリウムである、[1]〜[3]のいずれかのイムノクロマト法により検体中の糖鎖抗原を測定する方法。
[5] 糖鎖抗原が、原生動物真菌、細菌、マイコプラズマリケッチアクラミジア又はウイルスの糖鎖抗原である、[1]〜[4]のいずれかのイムノクロマト法により検体中の糖鎖抗原を測定する方法。

0018

[6]検体を添加するサンプルパッド、糖鎖抗原に対する抗体を標識した標識抗体を含む標識体領域及び前記糖鎖抗原に対する抗体を固相化した検出領域を含み、検出領域において抗体-糖鎖抗原-標識抗体の複合体を形成させ、糖鎖抗原を測定するイムノクロマト試験片であって、前記標識体領域の上流に中和試薬を含浸させた領域を有し、さらに該中和試薬を含浸させた領域の上流に固形状酸性試薬を含浸させた領域を有する検体中の糖鎖抗原を抽出し測定するためのイムノクロマト試験片。
[7] 固形状酸性試薬を含浸させた領域が、サンプルパッド上に存在する、[6]のイムノクロマト試験片。
[8] 固形状酸性試薬が、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、クエン酸及び酒石酸からなる群から選択される、[6]又は[7]のイムノクロマト試験片。
[9] 中和試薬が、トリスヒドロキシルメチルアミノメタン又は水酸化ナトリウムである、[6]〜[8]のいずれかのイムノクロマト試験片。
[10] 糖鎖抗原が、原生動物、真菌、細菌、マイコプラズマ、リケッチア、クラミジア又はウイルスの糖鎖抗原である、[6]〜[9]のいずれかのイムノクロマト試験片。

発明の効果

0019

本発明のイムノクロマト試験片を用いれば、従来の予め亜硝酸塩と液状酸性試薬の2液を混合した亜硝酸抽出液で処理した後に中和する方法と比較して、迅速・簡便に測定でき、かつ性能も遜色なく測定することが可能である。

図面の簡単な説明

0020

固形状酸性試薬領域及び中和試薬領域を有するイムノクロマト試験片(1枚パッド試験片)の構造を模式的に示す図である。
固形状酸性試薬領域及び中和試薬領域を有するイムノクロマト試験片(2枚パッド試験片)の構造を模式的に示す図である。

0021

本発明は、糖鎖抗原の亜硝酸抽出処理をイムノクロマト試験片上で行えるように簡便化し、被検出物質である糖鎖抗原を迅速かつ正確に測定することを可能にするイムノクロマト試験片に係る。

0022

イムノクロマト試験片は、被検出物質(抗原等)を捕捉する抗体(抗体1)が固定化された検出領域を有する支持体、移動可能な標識抗体(抗体2)を有する標識体領域、検体を滴加するサンプルパッド、展開された検体液を吸収する吸収帯、これら部材を1つに貼り合わせるためのバッキングシート等を具備する。

0023

本発明のイムノクロマト試験片は、格納容器内に収められていてもよく、該格納容器により、例えば紫外線や空気中の湿気による劣化を防ぐことができる。また、汚染性感染性の有る検体試料を用いる場合、格納容器によりアッセイを行う試験者汚染又は感染するのを防止することができる。例えば適当な大きさの樹脂製ケースを格納容器として用い、該ケース中に本発明の装置を収納すればよい。また、抗原又は抗体を固定化した試験片の表面を樹脂製フィルム等(トップラミネート)で覆ってもよい。格納容器とその中に納められた試験片を、一体としてイムノクロマトデバイスという場合がある。

0024

なお、検出領域の数及び標識体領域に含まれる標識抗体の種類は1つに限られるものではなく、複数の被検出物質に対応する抗体を用いることで、2つ以上の抗原を同一の試験片にて測定することができる。

0025

支持体は、被検出物質(抗原)を捕捉するための抗体を固定化する性能を持つ材料であり、かつ液体が水平方向に通行することを妨げない性能を持つ。好ましくは、毛細管作用を有する多孔性薄膜であり、液体及びそれに分散した成分を吸収により輸送可能な材料である。支持体を成す材質は特に限定されるものではなく、例えばセルロースニトロセルロースセルロースアセテートポリビニリデンジフルオライドPVDF)、ガラス繊維ナイロンポリケトンなどが挙げられる。このうちニトロセルロースを用いて薄膜としたものがより好ましい。抗体を固定化したメンブレン抗体固定化メンブレンと呼ぶ。

0026

標識体領域は、標識抗体を含む多孔性基材から成り、基材の材質は一般的に用いられているガラス繊維や不織布等を用いることができる。該基材は、多量の標識抗体を含浸させるために、厚さ0.3mm〜0.6mm程度のパッド状であることが好ましい。標識抗体を含浸させ乾燥させた多孔性基材を乾燥パッドとも呼ぶ。

0027

標識抗体の標識には、アルカリフォスファターゼ西ワサビペルオキシダーゼのような酵素金コロイドのような金属コロイドシリカ粒子セルロース粒子、着色ポリスチレン粒子及び着色ラテックス粒子等が用いられることが多い。金属コロイド粒子、着色ポリスチレン粒子や着色ラテックス粒子等の着色粒子を用いる場合には、これらの標識試薬凝集することによって着色が生じるので、この着色を測定する。抗体を固定化した粒子を抗体固定化粒子と呼ぶ。

0028

検出領域は、被検出物質(抗原)を捕捉する抗体が固定化された支持体の一部の領域を指す。検出領域は、抗原を捕捉するための抗体を固定化した領域を少なくとも1つ設ける。検出領域は支持体に含まれていればよく、支持体上に抗体を固定化すればよい。

0029

サンプルパッドは、検体を滴加するための部位であり、多孔性材料である。サンプルパッドはイムノクロマト試験片の最も上流にある部位である。該材料には一般的に用いられるろ紙、ガラス繊維、不織布等を用いることができる。多量の検体を免疫測定に用いるために、厚さ0.3mm〜1mm程度のパッド状であることが好ましい。検体には、検体を他の溶液に浮遊して得られる試料等、検体を用いて調製された試料も含む。

0030

吸収帯は、支持体に供給され検出領域で反応に関与しなかった成分を吸収するための部材である。該材料には、一般的な天然高分子化合物合成高分子化合物等からなる保水性の高いろ紙、スポンジ等を用いることができるが、検体の展開促進のためには吸水性が高いものが好ましい。

0031

バッキングシートは、前述の全ての材料、すなわち支持体、サンプルパッド、標識体領域、吸収帯等が、部分的な重なりをもって貼付・固定されるための部材である。バッキングシートは、これらの材料が最適な間隔で配置・固定されるのであれば、必ずしも必要ではないが、製造上あるいは使用上の利便性から、一般的には用いた方が好ましい。

0032

本発明のイムノクロマト試験片には、さらに対照表示領域(部材)が存在していてもよい。対照表示領域は試験が正確に実施されたことを示す部位である。例えば、対照表示領域は、検出領域の下流に存在し、検体試料が検出領域を通過し、対照表示領域に到達したときに着色等によりシグナルを発する。対照表示領域には、標識担体を結合させた抗体に結合する物質を固相化しておいてもよいし、検体が到達したときに色が変化するpHインジケーター等の試薬を固相化しておいてもよい。標識担体を結合させた抗体がマウスモノクローナル抗体の場合、抗マウスIgG抗体を用いればよい。

0033

イムノクロマト試験片の大きさは限定されないが、例えば、縦の長さ数cm〜十数cm、横の長さ数mm〜数cm程度である。

0034

上記の形態の試験片において、検体は、サンプルパッド、標識体領域、支持体、検出領域、吸収帯等の一連の接続により形成された多孔性流路を通過する。よって本形態においては、これら全てが検体移動領域となる。各構成材料の材質や形態によって、検体が材料内部を浸透せず界面を通行する形態もありうるが、本明細書で定義する検体移動領域は材料の内部か界面かを問わないため、該形態の試験片も本明細書の範囲に含まれる。

0035

本発明のイムノクロマト試験片では、標識体領域よりも上流(検体の流れの上流でありサンプルパッドが存在する側)に、すなわち、サンプルパッド内又はサンプルパッドと標識体領域との間に、固形状酸性試薬と中和試薬が含浸されている。これにより、被検試料中の被検出物質を被検試料の試験に供される量によらず、正確に、特異的に測定することが可能になる。

0036

前記固形状酸性試薬は、サンプルパッドに含浸させてもよいし、サンプルパッドとは別の不織布等の多孔性材料に含浸させて、得られた固形状酸性試薬含浸多孔性材料を、サンプルパッドと標識体領域との間、すなわち標識体領域の上流側に配置してもよい。ここで、固形状酸性試薬を含浸させた領域とサンプルパッド又は標識体領域は接触していても、いなくてもよい。

0037

前記中和試薬は、固形状酸性試薬を含浸させる領域よりも下流に配置する。中和試薬は、サンプルパッドに含浸させてもよいし、支持体に含浸させてもよいし、支持体とは別の不織布等の多孔性材料に含浸させて、得られた中和試薬含浸多孔性材料を、固形状酸性試薬を含浸させた領域と標識体領域との間に配置してもよい。すなわち、標識体領域の上流に中和試薬を含浸させた領域を有し、さらに該中和試薬を含浸させた領域の上流に固形状酸性試薬を含浸させた領域を有する。ここで、中和試薬を含浸させた領域と固形状酸性試薬を含浸させた領域又は標識体領域は接触していても、いなくてもよい。

0038

固形状酸性試薬を含浸させた領域を固形状酸性試薬領域と呼び、中和試薬を含浸させた領域を中和試薬領域又は塩基性試薬領域と呼ぶ。

0039

固形状酸性試薬領域と中和試薬領域を有するイムノクロマト試験片は、支持体上に上流からサンプルパッド、固形状酸性試薬領域、中和試薬領域、標識体領域、検出領域及び吸収帯を有し、固形状酸性試薬領域はサンプルパッド上にあってもよい。また、サンプルパッド、固形状酸性試薬領域、中和試薬領域、標識体領域、検出領域及び吸収帯は、隣合う領域どうしで接触していても、いなくてもよい。さらに、固形状酸性試薬領域、中和試薬領域、標識体領域は必ずしも別々の多孔性材料に含浸する必要はなく、複数又は全ての領域を同一の多孔性材料に含浸させてもよい。

0040

本発明で用いられる固形状酸性試薬は常温において固形状のものであり、高温において揮発しないものである。

0041

本発明に用いられる好ましい固形状酸性試薬としては、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、酒石酸を挙げることができる。

0042

また、本発明で用いられる好ましい固形状酸性試薬としては、例えばクエン酸のような価数の多い酸を用いればより少ない量で抽出できる。また同じ価数ならより酸解離定数が小さい、例えばマレイン酸、酒石酸は効率が良い。

0043

また、本発明で用いられる好ましい固形状酸性試薬としては、イムノクロマト試験片上で着色されないような試薬、具体的には乾燥状態で白色又は乾燥熱や酸化で着色されにくい試薬が好ましい。

0044

本発明に用いられる固形状酸性試薬の使用量、すなわちイムノクロマト試験片に含浸させる量は、特に限定されないが、通常、イムノクロマト試験片の一試験片あたり0.01μg〜1mg程度であり、好ましくは0.1μg〜0.1mg程度である。もっとも、使用する固形状酸性試薬の種類、検体浮遊液の組成や滴加量などにより効果が得られる最適な量を選択することが好ましい。

0045

固形状酸性試薬をサンプルパッド又は多孔性材料に含浸させるには、固形状酸性試薬を一度溶解させて塗布し乾燥させる。

0046

本発明に用いられる中和試薬は常温において固形状のものであり、高温において揮発しないものである。

0047

本発明に用いられる好ましい中和試薬としては、トリス(トリスヒドロキシルメチルアミノメタン)、水酸化ナトリウム、リン酸水素二カリウムクエン酸三ナトリウムアルカリ領域緩衝能をもつグッドバッファーを挙げることができる。

0048

本発明に用いられる中和試薬の使用量、すなわちイムノクロマト試験片に含浸させる量は、特に限定されないが、通常、イムノクロマト試験片の一試験片あたり0.01μg〜1mg程度であり、好ましくは0.1μg〜0.1mg程度である。もっとも、使用する中和試薬の種類、検体浮遊液の組成や滴加量などにより効果が得られる最適な量を選択することが好ましい。

0049

中和試薬をサンプルパッド又は多孔性材料に含浸させるには、中和試薬を一度溶解させて、溶液をサンプルバッド又は多孔性材料に塗布し、その後乾燥させればよい。

0050

図1及び図2は、典型的なイムノクロマト試験片の好ましい1形態を示した図である。なお、イムノクロマト試験片は、図1及び図2に示すものに限定されるものではない。図1及び図2中、1が支持体、2が標識体領域、3が検出領域、4がサンプルパッド、7が吸収帯、8がバッキングシートを指している。また、試験片全体の上にトップラミネートを貼り付けてもよい。

0051

図1A及び図2Aが上面図、図1B及び図2Bが切断断面図である。図1の例では、樹脂等でできたバッキングシート8上に1個の検出領域3が形成された支持体1、吸収帯7、標識体領域2、サンプルパッド4等がそれぞれ積層されている。そして図1に示すように、吸収帯7の一方の端部と支持体1の一方の端部、支持体1の他方の端部と標識体領域2の一方の端部、標識体領域2の他方の端部とサンプルパッド4の一方の端部がそれぞれ重ね合わされており、サンプルパッド4の上流部に固形状酸性試薬が含浸され、少し間を離してサンプルバッドの下流部に中和試薬が含浸されている。固形状酸性試薬が含浸された領域を固形状酸性試薬領域5と呼び、中和試薬が含浸された領域を中和試薬領域6と呼ぶ。この試験片においては、サンプルパッドが固形状酸性試薬領域5及び中和試薬領域6を兼ねている。すなわち、固形状酸性試薬領域及び中和試薬領域がサンプルパッド上に存在する。この試験片においては、固形状酸性試薬領域及び中和試薬領域が1枚の多孔性材料(パッド)状に設けられているので、1枚パッド試験片と呼ぶことがある。図2の例では、標識体領域2の上流に固形状酸性試薬領域5及び/又は中和試薬領域6が存在し、これらが重ね合わされており、これにより連続したラテラルフローの流路が形成されている。図2に示す試験片においては、固形状酸性試薬領域5がサンプルパッドを兼ねている。すなわち、固形状酸性試薬領域がサンプルパッド上に存在する。この試験片においては、固形状酸性試薬領域及び中和試薬領域が別々の2枚の多孔性材料(パッド)状に設けられているので、2枚パッド試験片と呼ぶことがある。固形状酸性試薬領域の上流にさらにサンプルパッドが存在してもよい。また、図2に示す試験片では、固形状酸性試薬領域5及び中和試薬領域6は異なる多孔性材料に含浸させているが、図1の試験片のサンプルパッドのように同じ多孔性材料(パッド)上の上流部に固形状酸性試薬領域5を設け、下流部に中和試薬領域6を設けてもよい。

0052

図1の形態に基づき、本発明の試験片の使用方法について述べる。測定は、検体又は検体を用いて調製された試料を亜硝酸塩溶液と接触混合させ、検体を亜硝酸塩溶液に浮遊させ、サンプルパッドに添加して供することにより開始される。この際、検体5〜100μLと0.1M〜8Mの亜硝酸塩0.01〜2mLを混合し、5〜200μLをサンプルバッドに供すればよい。亜硝酸塩として、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム等が挙げられる。

0053

サンプルパッド4に供された被検出物質である糖鎖抗原を含む検体は毛管作用によって、サンプルパッド4上の固形状酸性試薬領域5及び中和試薬領域6へ展開され、さらに、標識体領域2、支持体1、吸収帯7へと順次、水平方向に展開される。固形状酸性試薬領域5において、検体に混合した亜硝酸塩と固形状酸性試薬領域5上の固形状酸性試薬が反応し、遊離の亜硝酸が発生し、その亜硝酸の作用によって検体から糖鎖抗原が抽出される。抽出された糖鎖抗原は酸性展開溶液と共に中和試薬領域6に展開移動し、中和試薬領域6で糖鎖抗原を含む酸性の展開溶液のpHが中和され中性域に調整される。その結果、糖鎖抗原は中性条件下においてさらに下流に展開移動する。標識体領域2では検体試料の展開と共に標識抗体が液中に放出され支持体1へと展開される。検体試料中に糖鎖抗原が存在する場合において、支持体1の検出領域3では捕捉抗体により糖鎖抗原が特異的に捕捉され、なおかつ糖鎖抗原は標識抗体とも特異的反応により複合体を形成する。これにより検出領域3では糖鎖抗原を介した抗体のサンドイッチ成立し、標識抗体−糖鎖抗原複合物を検出領域3にて測定することができる。

0054

本発明のイムノクロマト試験片を用いた方法によれば、検体中の糖鎖抗原の抽出はイムノクロマト試験片上で行われるため、イムノクロマト試験片を用いた測定の前にあらかじめ検体中の糖鎖抗原を抽出する必要はなく、1ステップで検体中の糖鎖抗原を測定することができる。

0055

本発明の方法において、検体となる生体試料は、特に限定されないが、血清血漿、血液、尿、便、唾液組織液髄液、拭い液等の体液等又はその希釈物が挙げられる。

0056

本発明のイムノクロマト試験片を用いた方法において、測定対象となる被検出物質はイムノアッセイ、すなわち抗原抗体反応を利用したアッセイで測定し得る糖鎖抗原である。抗原としては亜硝酸抽出処理によって抽出される細菌の細胞壁に存在する糖鎖抗原である多糖体等が挙げられる。これらの物質を含む原生動物、真菌、細菌、マイコプラズマ、リケッチア、クラミジア、ウイルス等も測定し得る。本発明のイムノクロマト試験片を用いた方法により、被験体生体試料中に原生動物、真菌、細菌、マイコプラズマ、リケッチア、クラミジア、ウイルス等に由来する糖鎖抗原が含まれているか否かを確認することができ、糖鎖抗原が含まれている場合、被験体は原生動物、真菌、細菌、マイコプラズマ、リケッチア、クラミジア、ウイルス等による感染症罹患していると判断することができる。例えば、A群β溶血性レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、大腸菌レジオネラカンピロバクター等の感染の有無を検出することができる。

0057

以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。

0058

実施例1:従来法と本発明法による効果
1.抗Streptococcus pyogenes(A群β溶血性レンサ球菌)抗体のニトロセルロースメンブレンへの固定化
抗Streptococcus pyogenes抗体を1.0mg/mLになるように精製水希釈した液及び抗ウサギIgG抗体を準備し、PETフィルム裏打ちされたニトロセルロースメンブレンのサンプルパッド側に抗Streptococcus pyogenes抗体、吸収帯側に抗ウサギIgG抗体をそれぞれ線状に塗布した。その後、ニトロセルロースメンブレンを45℃、30分間乾燥させ、抗Streptococcus pyogenes抗体固定化メンブレンを得た。このメンブレンを本実施例において、「抗体固定化メンブレン」と呼ぶ。

0059

2.抗Streptococcus pyogenes抗体の着色ポリスチレン粒子への固定化
抗Streptococcus pyogenes抗体を1.0mg/mLになるように精製水で希釈し、これに着色ポリスチレン粒子を0.1%になるように加え、攪拌後、カルボジイミドを1%になるように加え、さらに攪拌する。遠心操作により上清を除き、50mM Tris(pH9.0)、3%BSAに再浮遊し、0.04%抗Streptococcus pyogenes抗体結合着色ポリスチレン粒子浮遊液を得た。この粒子を、本実施例において、「抗体固定化粒子」と呼ぶ。

0060

3.抗Streptococcus pyogenes抗体結合着色ポリスチレン粒子の塗布・乾燥
2で作製した抗体固定化粒子浮遊液を不織布に所定量を塗布し、45℃、30分間乾燥させた。得られた不織布を、本実施例において、「乾燥パッド」と呼ぶ。

0061

4.中和試薬(塩基性試薬)の塗布
中和試薬(塩基性試薬)として、2Mトリス(Trizma Base)を15μL/cmで濾紙の一端に塗布した。

0062

5.酸性試薬含浸不織布の作製
中和試薬を塗布した濾紙のもう一端に酸性試薬として、1M塩酸、1M酢酸、1Mマロン酸、1Mリンゴ酸、1Mマレイン酸、1Mクエン酸、1M酒石酸を3.75μLずつ塗布した。塗布後に直ちに45℃、1時間、乾燥して、酸性試薬含浸不織布を得た。

0063

6.Streptococcus pyogenes試験片の作製
1で作製した抗体固定化メンブレン、3で作製した乾燥パッド、4、5で作製した酸性試薬及び中和試薬(塩基性試薬)含浸濾紙を他部材(バッキングシート、吸収帯)と貼り合せて5mm幅に切断し、Streptococcus pyogenes試験片とした。酸性試薬及び中和試薬(塩基性試薬)含浸濾紙をサンプルパッドとして用いた試験片を本実施例において、「本発明試験片」と呼ぶ。構造は図2に示すとおりである。4、5で作製した酸性試薬及び中和試薬(塩基性試薬)含浸濾紙の替わりに何も塗布していない濾紙を用いて同様の試験片を作製し、従来例として使用した。何も塗布していない濾紙をサンプルパッドとして用いた試験片を「従来法試験片」と呼ぶ。なお、試験片は、検体の流れに沿って、上流から、酸性試薬含浸不織布、中和試薬(塩基性試薬)含浸不織布、乾燥パッド(標識体領域)、抗体固定化メンブレン(検出領域)、吸収帯を具備するものである。

0064

7.検体
Streptococcus pyogenesを培養し、培養液生理食塩水菌数1.0×107CFU/mLと0.25×107CFU/mLに調製した。
また、陰性検体として、生理食塩水を用いた。

0065

8.測定
検体20μLを亜硝酸ナトリウム溶液(2M NaNO3)180μLに浮遊し、そのうち75μLを本発明試験片に滴加した。また、従来法として亜硝酸ナトリウムと塩酸を混合した亜硝酸抽出液に検体を浮遊した後、トリス溶液で中和した検体浮遊液を従来法試験片に50μL滴加した。5分後に抗Streptococcus pyogenes抗体を固定化した所定位置上の着色ポリスチレン粒子の堆積の有無とその程度を目視判定にて行った。その線状の堆積の程度が強いものを順に+++、++、+とし、判定が難しい場合を±、堆積がみられなかったものを−とした。
また比較例として、従来法である予め亜硝酸ナトリウムと酢酸を混合した亜硝酸抽出溶液に検体を浮遊した後、中和した検体を従来法試験片に滴加する方法も実施した。

0066

9.結果

0067

表1に示されるように、従来法と比較して酸性試薬として塩酸、酢酸はStreptococcus pyogenesの検出感度が著しく低下した。これは、塩酸及び酢酸は揮発する性質を持つことから、酸性試薬含浸不織布を作成する際の乾燥工程において揮発することにより塗布量が減り、その結果、亜硝酸抽出処理ができなかったためと考えられる。

0068

一方、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、酒石酸はそれぞれ常温では粉末状として存在するものであり、揮発性がないことから、酸性試薬含浸不織布を作製する際の乾燥工程においても塗布量が減ることなく、従来法と比較しても遜色なく亜硝酸抽出処理ができることから、感度が大幅に低下することは無かった。さらに従来法と比較して少ない操作で測定できた。

0069

実施例2:酸性試薬の塗布量の検討
実施例1における酸性試薬の塗布量を変え、試験結果(表2)を比較検討した。

0070

実施例

0071

表2に示されるように、塗布量が1.875μL以下の塗布量では感度が低下する傾向が見られた。また、3.75μL以上に塗布しても感度が大幅に上がる傾向は見られなかった。

0072

1支持体(検出領域を含む)
2標識体領域
3 検出領域
4サンプルパッド
5固形状酸性試薬領域
6中和試薬領域
7吸収帯
8 バッキングシート

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