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技術 抗LYSTによる免疫調整のための組成物及び方法

出願人 リサーチインスティチュートアットネイションワイドチルドレンズホスピタル
発明者 クリストファーブリューワー日比野成俊ビドゥガーグキャメロンベスト
出願日 2019年5月27日 (1年7ヶ月経過) 出願番号 2019-098654
公開日 2019年8月15日 (1年4ヶ月経過) 公開番号 2019-135267
状態 未査定
技術分野 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 医療用材料 化合物または医薬の治療活性 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 突然変異または遺伝子工学 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 医薬品製剤
主要キーワード シュレッタ 促進機構 不可逆的破壊 同心円層 ポリグリコール酸繊維 微小循環性 投与機構 薄肉管
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年8月15日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (6)

課題

血管組織再生の増強、ならびに新生内膜過形成および線維増殖性疾患に関連する罹患率および死亡率の軽減のための組成物デバイス、および方法を提供すること。

解決手段

LYSTタンパク質阻害組織損傷の部位での炎症応答の軽減および血小板活性の軽減に関連することを明らかにした。LYSTタンパク質の発現および機能の阻害のための組成物および方法を記載する。本組成物および方法は、再生促進性免疫応答を生じる、マクロファージ血小板、およびナチュラルキラー細胞の機能を変更することによる新生内膜の形成および線維増殖性障害に寄与する免疫過程の調整に有用であり得る。

概要

背景

発明の背景
組織修復は、傷害部位局所炎症促進性細胞由来刺激性サイトカインシグナル伝達に応答して死細胞または損傷細胞順序付けた除去および置き換えを容易にする複雑な段階的過程である(Wynn and Baron,Semin Liver Dis.,30(3):245−257(2010);Wynn,Clin.Invest.117:524−529(2007))。しかし、組織修復応答が不適切であるか、例えば、慢性疾患または傷害の繰返しに応答して長期間持続される場合、正常な再生機構が傷害部位での過剰な新組織(neotissue)成長および細胞外基質(ECM)成分の蓄積に起因する病
的状況を生じさせ得る。

血管傷害の部位での炎症機構および凝血促進機構の過剰な活性化または活性化の繰返しは、内膜過形成発症に有意に寄与すると考えられる。病的状態下で、血管傷害により、内皮層裸出が生じ、種々の成長因子および炎症性サイトカインの産生を特徴とする一連急性および慢性炎症応答が誘発される(Murakamiら,Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol.,272:L197−L202(1997);Cotranら,J Am Soc Nephrol.,1:225−235(1990))。冠動脈疾患および/または末梢動脈疾患のための外科的手順血管形成術およびステント留置など)、外科バイパスまたは動脈内膜切除後に生じる内膜過形成により、80%までの患者において血管の再狭窄が生じ得る(Seedialら,J Vasc Surg.,57(5):1403−1414(2013);Glagov,Circulation,89:2888−2891(1994))。新生内膜形成が血管内のプロテーゼなどの外来物質の存在によって促進され得、無制御の新生内膜過形成心血管介入の長期臨床効率を制限する主な障壁であることが示されている(Frankら,Curr.Opin.Lipidol.,15:523(2004))。さらに、新生内膜形成は、いくつかの増殖性心血管疾患アテローム性動脈硬化症高血圧症、および糖尿病性血管合併症が含まれる)の発症および進行に関連する。

内皮層の再生は、新生内膜の発達阻害し、血管修復を容易にする(Bautersら,Prog.Cardiovasc.Dis.,40:107−116(1997);Kinlayら,Curr.Opin.Lipidol.,12:383(2001))。しかし、現在利用可能な抗新生内膜薬は、内皮細胞(EC)および平滑筋細胞SMC)の両方の増殖を無差別遮断し、それにより、再内皮化に悪影響を及ぼし、創傷治癒過程を長期化させる。SMC感受性の抗増殖ストラテジーを開発することが依然として必要である。

反復組織損傷に対する無制御の炎症応答により、皮膚、肝臓心臓、およびなどの組織および器官の病的な線維症も生じ得る(Huang and Ogawa,Connect Tissue Res.,53(3):187−196(2012))。肝臓組織の慢性の損傷および炎症により、ECMタンパク質が蓄積し、それにより過剰な瘢痕形成が起こり、肝臓の構造を歪め、それにより肝硬変および肝不全に至る(Battler and Brenner,J Clin Invest.,115:209−218(2005))。同様に、肺内の線維症性組織の過剰な沈着により、肺構造の進行性瘢痕化および不可逆的破壊が起こり、最終的に、臓器機能不全ガス交換破壊、および呼吸不全由来する死亡に至る。

活性化血小板は、損傷内皮への白血球接着を増加させ、内皮上のケモカインの沈着を通じて白血球活性化を促進する。これにより、白血球が血管壁に強固に付着し、内皮下組織に遊出することができる。しかし、血小板由来ケモカインは、新生内膜増殖、動脈傷害後の再狭窄、およびアテローム性動脈硬化症で役割を果たすことも公知である(Chandrasekarら,J Am College Cardiology,Vol 35,No.3,pp.555−562(2000))。異常な血小板機能を有する一定の患者群(腎疾患糖尿病、および高脂血症を有する患者群が含まれる)も再狭窄リスクが高い。

線維増殖障害は、米国における罹患および死亡の主因である(Bitterman and Henke,Chest,99(3):s81−s84(1991))。特に、肝臓および肺の線維症性疾患は、典型的には処置難治性であり、死亡率が高い。確立した肝硬変の10年死亡率は34〜66%であり、米国のみで毎年およそ27,000人の死亡原因である。特発性肺線維症(IPF)の有病率は、100,000人あたり14人と42.7人との間と推定され、この数字は、ここ30年で10年毎に上昇している(Olsonら,Am J Respir Crit Care Med.176:277−2843(2007);Gribbinら,Thorax,61:980−985(2006))。現在、肝臓または肺の線維症の最も有効な処置は、臓器移植である。

したがって、本発明の目的は、被験体において新生内膜形成、狭窄、再狭窄、またはその組み合わせを軽減または防止するために免疫過程を調整するための組成物デバイスグラフト、およびその使用方法を提供することである。

また、本発明の目的は、被験体において不適切なまたは有害な血小板活性化を軽減または防止するための組成物、デバイス、グラフト、およびその使用方法を提供することである。

また、本発明の目的は、被験体における植込み型プロテーゼ(implantable prosthesis)に対する免疫応答を軽減または防止するための組成物、方法、およびデバイスを提供
することである。
本発明のさらなる目的は、被験体において治癒を促進し、瘢痕形成、癒着、および線維増殖性疾患を阻害するための組成物、方法、およびデバイスを提供することである。

概要

血管組織再生の増強、ならびに新生内膜過形成および線維増殖性疾患に関連する罹患率および死亡率の軽減のための組成物、デバイス、および方法を提供すること。LYSTタンパク質の阻害が組織損傷の部位での炎症応答の軽減および血小板活性の軽減に関連することを明らかにした。LYSTタンパク質の発現および機能の阻害のための組成物および方法を記載する。本組成物および方法は、再生促進性免疫応答を生じる、マクロファージ血小板、およびナチュラルキラー細胞の機能を変更することによる新生内膜の形成および線維増殖性障害に寄与する免疫過程の調整に有用であり得る。なし

目的

本発明の目的は、被験体において新生内膜形成、狭窄、再狭窄、またはその組み合わせを軽減または防止するために免疫過程を調整するための組成物、デバイス、グラフト、およびその使用方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

本明細書に記載の発明。

技術分野

0001

本出願は、2014年5月2日に出願された「抗LYSTによる免疫調整のための組成物及び方法」という名称の米国仮出願第61/987,910号の優先権を主張し、その内容は、その全体が参照によって組み込まれる。

0002

配列表への参照
テキストファイルとして2015年5月4日に提出され、「NWCH100 PCT_ST25.txt」という名前で、2015年5月1日に作成され、51,000倍とのサイズを有する配列表は、参照によって本明細書に組み込まれる。

0003

政府支援研究開発に関する声明
本発明は、米国国立衛生研究所によりChristopher Breuerに授与されたNIH助成金R01 HL098228の下で政府支援によりなされた。政府は本発明の特定の権利を有する。

0004

発明の分野
本発明の分野は、一般に、血管組織再生の増強、ならびに新生内膜過形成および線維増殖性疾患に関連する罹患率および死亡率の軽減のための組成物、デバイス、および方法に関する。

背景技術

0005

発明の背景
組織修復は、傷害部位局所炎症促進性細胞由来刺激性サイトカインシグナル伝達に応答して死細胞または損傷細胞順序付けた除去および置き換えを容易にする複雑な段階的過程である(Wynn and Baron,Semin Liver Dis.,30(3):245−257(2010);Wynn,Clin.Invest.117:524−529(2007))。しかし、組織修復応答が不適切であるか、例えば、慢性疾患または傷害の繰返しに応答して長期間持続される場合、正常な再生機構が傷害部位での過剰な新組織(neotissue)成長および細胞外基質(ECM)成分の蓄積に起因する病
的状況を生じさせ得る。

0006

血管傷害の部位での炎症機構および凝血促進機構の過剰な活性化または活性化の繰返しは、内膜過形成発症に有意に寄与すると考えられる。病的状態下で、血管傷害により、内皮層裸出が生じ、種々の成長因子および炎症性サイトカインの産生を特徴とする一連急性および慢性炎症応答が誘発される(Murakamiら,Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol.,272:L197−L202(1997);Cotranら,J Am Soc Nephrol.,1:225−235(1990))。冠動脈疾患および/または末梢動脈疾患のための外科的手順血管形成術およびステント留置など)、外科バイパスまたは動脈内膜切除後に生じる内膜過形成により、80%までの患者において血管の再狭窄が生じ得る(Seedialら,J Vasc Surg.,57(5):1403−1414(2013);Glagov,Circulation,89:2888−2891(1994))。新生内膜形成が血管内のプロテーゼなどの外来物質の存在によって促進され得、無制御の新生内膜過形成が心血管介入の長期臨床効率を制限する主な障壁であることが示されている(Frankら,Curr.Opin.Lipidol.,15:523(2004))。さらに、新生内膜形成は、いくつかの増殖性心血管疾患アテローム性動脈硬化症高血圧症、および糖尿病性血管合併症が含まれる)の発症および進行に関連する。

0007

内皮層の再生は、新生内膜の発達阻害し、血管修復を容易にする(Bautersら,Prog.Cardiovasc.Dis.,40:107−116(1997);Kinlayら,Curr.Opin.Lipidol.,12:383(2001))。しかし、現在利用可能な抗新生内膜薬は、内皮細胞(EC)および平滑筋細胞SMC)の両方の増殖を無差別遮断し、それにより、再内皮化に悪影響を及ぼし、創傷治癒過程を長期化させる。SMC感受性の抗増殖ストラテジーを開発することが依然として必要である。

0008

反復組織損傷に対する無制御の炎症応答により、皮膚、肝臓心臓、およびなどの組織および器官の病的な線維症も生じ得る(Huang and Ogawa,Connect Tissue Res.,53(3):187−196(2012))。肝臓組織の慢性の損傷および炎症により、ECMタンパク質が蓄積し、それにより過剰な瘢痕形成が起こり、肝臓の構造を歪め、それにより肝硬変および肝不全に至る(Battler and Brenner,J Clin Invest.,115:209−218(2005))。同様に、肺内の線維症性組織の過剰な沈着により、肺構造の進行性瘢痕化および不可逆的破壊が起こり、最終的に、臓器機能不全ガス交換破壊、および呼吸不全由来する死亡に至る。

0009

活性化血小板は、損傷内皮への白血球接着を増加させ、内皮上のケモカインの沈着を通じて白血球活性化を促進する。これにより、白血球が血管壁に強固に付着し、内皮下組織に遊出することができる。しかし、血小板由来ケモカインは、新生内膜増殖、動脈傷害後の再狭窄、およびアテローム性動脈硬化症で役割を果たすことも公知である(Chandrasekarら,J Am College Cardiology,Vol 35,No.3,pp.555−562(2000))。異常な血小板機能を有する一定の患者群(腎疾患糖尿病、および高脂血症を有する患者群が含まれる)も再狭窄リスクが高い。

0010

線維増殖性障害は、米国における罹患および死亡の主因である(Bitterman and Henke,Chest,99(3):s81−s84(1991))。特に、肝臓および肺の線維症性疾患は、典型的には処置難治性であり、死亡率が高い。確立した肝硬変の10年死亡率は34〜66%であり、米国のみで毎年およそ27,000人の死亡原因である。特発性肺線維症(IPF)の有病率は、100,000人あたり14人と42.7人との間と推定され、この数字は、ここ30年で10年毎に上昇している(Olsonら,Am J Respir Crit Care Med.176:277−2843(2007);Gribbinら,Thorax,61:980−985(2006))。現在、肝臓または肺の線維症の最も有効な処置は、臓器移植である。

0011

したがって、本発明の目的は、被験体において新生内膜形成、狭窄、再狭窄、またはその組み合わせを軽減または防止するために免疫過程を調整するための組成物、デバイス、グラフト、およびその使用方法を提供することである。

0012

また、本発明の目的は、被験体において不適切なまたは有害な血小板活性化を軽減または防止するための組成物、デバイス、グラフト、およびその使用方法を提供することである。

0013

また、本発明の目的は、被験体における植込み型プロテーゼ(implantable prosthesis)に対する免疫応答を軽減または防止するための組成物、方法、およびデバイスを提供
することである。
本発明のさらなる目的は、被験体において治癒を促進し、瘢痕形成、癒着、および線維増殖性疾患を阻害するための組成物、方法、およびデバイスを提供することである。

先行技術

0014

Wynn and Baron,Semin Liver Dis.,30(3):245−257(2010);Wynn,Clin.Invest.117:524−529(2007)
Murakamiら,Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol.,272:L197−L202(1997);Cotranら,J Am Soc Nephrol.,1:225−235(1990)
Seedialら,J Vasc Surg.,57(5):1403−1414(2013);Glagov,Circulation,89:2888−2891(1994)
Frankら,Curr.Opin.Lipidol.,15:523(2004)
Bautersら,Prog.Cardiovasc.Dis.,40:107−116(1997);Kinlayら,Curr.Opin.Lipidol.,12:383(2001)
Huang and Ogawa,Connect Tissue Res.,53(3):187−196(2012)
Battler and Brenner,J Clin Invest.,115:209−218(2005)
Chandrasekarら,J Am College Cardiology,Vol 35,No.3,pp.555−562(2000)
Bitterman and Henke,Chest,99(3):s81−s84(1991)
Olsonら,Am J Respir Crit Care Med.176:277−2843(2007);Gribbinら,Thorax,61:980−985(2006)

課題を解決するための手段

0015

発明の概要
リソソーム輸送制御因子(「LYST」)タンパク質の阻害が組織損傷部位の炎症応答の軽減に関連することを明らかにした。LYSTタンパク質の発現および機能の阻害のための組成物および方法を記載する。組成物および方法は、再生促進性免疫応答を生じるマクロファージ血小板、およびナチュラルキラー細胞の機能を変更することによる、新生内膜の形成および線維増殖性障害に寄与する免疫過程の調整に有用であり得る。

0016

被験体における瘢痕組織の形成の軽減または防止に有効な量で1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターを含む組成物を開示する。被験体における血小板の活性化の軽減または防止に有効な量で1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターを含む組成物も開示する。

0017

典型的には、組成物は、生理学的に許容され得るキャリアを含む。好ましい実施形態では、1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターの量は、被験体における血管新組織の形成を妨害しない。典型的には、組成物は、0.1〜1000mg/kgヒト体重の間の量で1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターを含む。

0018

1つの実施形態では、1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターは抗体である。

0019

別の実施形態では、1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターは機能的核酸である。例示的な機能的核酸には、アンチセンス分子、siRNA、miRNA、アプタマーリボザイム三重鎖形成分子、RNAi、および外部ガイド配列が含まれる。1つまたはそれを超える機能的核酸を、発現ベクターから発現することができる。

0020

いくつかの実施形態では、1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターの組成物は、送達ビヒクルを含む。例示的な送達ビヒクルには、ナノ粒子微粒子ミセル、合成リポタンパク質粒子リポソーム、およびカーボンナノチューブが含まれる。開示の組成物はまた、1つまたはそれを超えるさらなる治療剤を含むことができる。1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターを含む血管グラフトおよび医療デバイスを開示する。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターの組成物は、グラフトまたはデバイス上にコーティングされているか、グラフトまたはデバイス内に組み込まれている。例示的な医療デバイスには、ステント、植込物、針、カニューレカテーテルシャントバルーン、および弁が含まれる。医療デバイスは、1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターの組成物を溶出する薬剤溶出性ステントなどのステントであり得る。例示的な血管グラフトには、自己グラフト、保存自己グラフト、同種異系グラフト、異種グラフト、または合成グラフトが含まれる。

0021

被験体における瘢痕組織の形成を軽減または防止する方法であって、それを必要とする被験体に1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターを含む組成物を投与することを含む方法も提供する。被験体における静脈血栓症または動脈血栓症の発達を軽減または防止する方法は、それを必要とする被験体に1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターを含む組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、被験体は、再狭窄または他の血管増殖障害の発症リスクがあるか、発症していた。さらなる実施形態では、被験体は、血管外傷、血管形成術、血管手術、または移植動脈症を経験していたか、経験しているか、経験する。本方法は、非処置コントロール被験体と比較して被験体において治癒の促進、肥厚性瘢痕化ケロイド、または癒着の発症の軽減または防止、肝臓の線維症、肺の線維症、心臓の線維症、または腎臓の線維症の軽減または防止、新生内膜形成、狭窄、または再狭窄の軽減または防止、またはその任意の組み合わせが可能である。本方法は、ペースメーカー神経刺激器ペースメーカーリード置換心臓弁、および人工関節などの1つまたはそれを超える補綴具、またはその構成要素の組み込みを促進するが、その被包を遮断することができる。本方法は、非処置コントロール被験体と比較して被験体における血管植込物の植込の部位、血管傷害の部位、または手術の部位の新生内膜形成の処置または防止に有効であり得る。本方法は、非処置コントロール被験体と比較して被験体における血小板由来成長因子トランスフォーミング成長因子β、またはその任意の組み合わせの発現の軽減または防止に有効であり得る。
本発明は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
a)被験体における(in a subject in a subject)マクロファージ浸潤の軽減もしくは防止または血小板活性化の軽減もしくは防止に有効な量の1つまたはそれを超えるLYSTのインヒビター;および
b)生理学的に許容され得るキャリア
を含み、
1つまたはそれを超えるLYSTのインヒビターの該量が該被験体における血管新組織の形成を防止しない、薬学的組成物
(項目2)
0.1mg/kgヒト体重と1000mg/kgヒト体重との間の量の1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターを送達する投薬製剤中の項目1に記載の組成物。
(項目3)
マクロファージ浸潤を軽減または防止するのに有効な投薬量の項目1に記載の組成物。
(項目4)
血小板活性化を軽減または防止するのに有効な投薬量の項目1に記載の組成物。
(項目5)
1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターが、抗LYST抗体の結合特異性を有する抗体、抗体フラグメント、またはタンパク質である、項目1に記載の組成物。
(項目6)
1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターが、アンチセンス分子、siRNA、miRNA、アプタマー、リボザイム、三重鎖形成分子、RNAi、および外部ガイド配列からなる群から選択される機能的核酸である、項目1に記載の組成物。
(項目7)
1つまたはそれを超える機能的核酸が発現ベクターから発現される、項目6に記載の組成物。
(項目8)
ナノ粒子、微粒子、ミセル、エマルジョン、合成リポタンパク質粒子、リポソーム、カーボンナノチューブ、ゲル、またはコーティングからなる群から選択される送達ビヒクルをさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目9)
他の抗新生内膜剤、化学療法剤ステロイド性および非ステロイド性抗炎症薬、従来の免疫治療剤免疫抑制剤サイトカイン、ケモカイン、および成長因子からなる群から選択される1つまたはそれを超えるさらなる治療剤をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目10)
項目1〜9のいずれか1項に記載の組成物を含む血管グラフトまたは医療デバイス。
(項目11)
前記組成物が前記グラフトまたはデバイス上にコーティングされているか、該グラフトまたはデバイス内に組み込まれている、項目10に記載の血管グラフトまたは医療デバイス。
(項目12)
前記デバイスが、ステント、植込物、針、カニューレ、カテーテル、シャント、バルーン、および弁からなる群から選択される、項目11に記載の医療デバイス。
(項目13)
前記デバイスがステントである、項目12に記載の医療デバイス。
(項目14)
前記ステントが、前記組成物を溶出する薬剤溶出性ステントである、項目13に記載の医療デバイス。
(項目15)
前記グラフトが、自己グラフト、保存自己グラフト、同種異系グラフト、異種グラフト、または合成グラフトである、項目10に記載の血管グラフト。
(項目16)
被験体において瘢痕形成または狭窄を生じさせ得るマクロファージ浸潤を軽減または防止する方法であって、それを必要とする被験体に項目1または3〜9のいずれか1項に記載の組成物または項目10〜15のいずれか1項に記載のデバイスを投与することを含む、方法。
(項目17)
被験体において動脈血栓症または静脈血栓症を生じさせ得る血小板活性化を軽減または防止する方法であって、それを必要とする被験体に項目1〜9のいずれか1項に記載の組成物または項目10〜15のいずれか1項に記載のデバイスを投与することを含む、方法。
(項目18)
前記被験体が、再狭窄または他の血管増殖障害のリスクが有るか、再狭窄または他の血管増殖障害を有する、項目16または17に記載の方法。
(項目19)
前記被験体は、血管外傷、血管形成術、血管手術、または移植動脈症を経験していたか、経験しているか、経験する、項目16または17に記載の方法。
(項目20)
前記組成物またはデバイスを、非処置コントロール被験体と比較して、被験体における瘢痕組織の形成の軽減または防止、治癒の促進、肥厚性瘢痕化、ケロイド、または癒着の発症の軽減または防止、肝臓の線維症、肺の線維症、心臓の線維症、または腎臓の線維症の軽減または防止、新生内膜形成、狭窄、または再狭窄の軽減または防止、血栓症の軽減または防止、またはその任意の組み合わせのために使用する、項目16または17に記載の方法。
(項目21)
瘢痕組織の形成の軽減または防止により、ペースメーカー、神経刺激器、置換心臓弁、および人工関節からなる群から選択される1つまたはそれを超えるバイオプロテーゼデバイスの組み込みを促進するが、被包を遮断する、項目16に記載の方法。
(項目22)
瘢痕組織の形成の軽減または防止が、非処置コントロール被験体と比較して、被験体における血管植込物の植込の部位、血管傷害の部位、または手術の部位での新生内膜形成の処置または防止に有効である、項目16に記載の方法。
(項目23)
前記組成物またはデバイスを、非処置コントロール被験体と比較して、被験体における血小板由来成長因子、トランスフォーミング成長因子β、またはその任意の組み合わせの発現を軽減または防止するために使用する、項目17に記載の方法。
(項目24)
血管グラフトの狭窄または再狭窄を軽減する方法であって、被験体への該グラフトの植込前に項目1〜10のいずれか1項に記載の組成物で該グラフトをex vivoにて処置することを含む、方法。

図面の簡単な説明

0022

図1は、ベージュマウス(bg;黒色グラフ)および野生型マウス(WT;灰色のグラフ)への植込から2週間後の生分解性導管グラフト内の導管の直径(mm)を示すヒストグラムである。それぞれ、ベージュマウスおよびWTマウスについてN=10およびN=25。

0023

図2は、植込から2週間後にベージュマウス(Bg;灰色のグラフ)および野生型マウス(WT;黒色のグラフ)からそれぞれ外植した生分解性導管グラフト内のマクロファージ細胞数(細胞HPF)を示すヒストグラムである。P=0.0048。

0024

図3は、野生型(WT)マウスおよびベージュ(Bg)マウスのエクソン52上のLYST遺伝子中のヌクレオチド配列(上)の間の相違を示す略図である。WTマウスおよびBgマウスのLYSTタンパク質のアミノ酸配列間の対応する相違もアミノ酸配列アラインメント中に示す(中央)。アミノ酸配列アラインメント(下)は、ヒト、マウス、およびラット由来のLYSTポリペプチドのアミノ酸配列間の保存を示す。ベージュ(Bg)マウスのLYST内の欠失の位置を、*で示す。核酸およびアミノ酸を、それぞれ標準的な一文字表記を使用して示す。

0025

図4は、それぞれ野生型マウス(WT−1(1);WT−2(2))、ベージュマウス(Beige−1(3);Beige−2(4))、または標準的な「Raw」細胞株(5)から得た細胞中での5つの各々の異なるオリゴヌクレオチドプライマー(LYST−1、LYST−3、LYST−4、LYST−5、およびLYST−6)を使用して増幅したLYST遺伝子産物に対応する相対mRNAベルを示すヒストグラムである。

0026

図5は、2週間の植込後のC57BL/6(野生型)マウスおよびC57BL/6Lysttm1bノックアウトマウスの各々(n=5)における狭窄発生率(%)を示すヒストグラムである。***p=0.0001。

0027

図6は、静止コントロール)マウスおよびトロンビン活性化C57BL/6(野生型)マウス、ならびにC57BL/6ベージュ(Bg)マウスのそれぞれにおけるPRP由来の血小板由来成長因子(PDGF)の分泌量(μg/ml)を示すヒストグラムである。各群(n=7)由来のPDGFの総分泌濃度を、静止非活性化コントロール(n=5)と比較した。

0028

発明の詳細な説明
I.定義
用語「狭窄」は、血管壁(内皮)傷害後に生じる血管の異常な狭小化をいう。いくつかの実施形態では、狭窄は、50%またはそれを超える管腔外周の減少を含む。用語「再狭窄」は、既存の狭窄部位の狭窄または介入手順使用後の血管の管腔もしくは合成グラフトの狭小化をいう。再狭窄は、本明細書中で使用する場合、閉塞を含む。狭窄または再狭窄に至る例示的な傷害には、アテローム硬化性病変(血管形成術またはステントに伴って認められる)、病変切除(動脈内膜切除に伴って認められる)、外的傷害(例えば、クロスクランピングによる傷害)、または外科的吻合に対する外傷が含まれる。

0029

用語「新生内膜性狭窄」は、新生内膜形成に起因する血管中の異常な狭小化をいう。

0030

用語「新生内膜」は、傷害を受けた内皮細胞由来のシグナルに応答して血管中に形成される内膜内層)の再生または肥厚した層をいう。

0031

用語「瘢痕組織」および「瘢痕化」は、傷害後に損傷組織を置き換えるために生成された線維状組織をいう。

0032

用語「線維増殖性障害」、「FPD」、および「線維症性疾患」は、互換的に使用され、結合組織の異常且つ過剰な沈着に起因する良性および悪性の疾患または状態が含まれる。

0033

用語「血小板活性化」は、内皮の損傷または妨害などの組織傷害に応答して循環血小板の接着および凝集が起こる段階的な生理学的過程である。血小板活性化は、走化性作用因子(血小板由来成長因子(PDGF)およびトランスフォーミング成長因子β(TGFβ)など)を発現および分泌させる。

0034

薬学的に許容され得るキャリア」は、任意の標準的な薬学的キャリアリン酸緩衝食塩水、水、およびエマルジョン(水中油型または油中水型のエマルジョンなど)など)、ならびに種々のタイプの湿潤剤を含む。

0035

「阻害する(inhibit)」またはこの用語の他の形態(「阻害すること(inhibiting)」または「阻害(inhibition)」など)は、特定の特徴を妨げるか制限することを意味する。これは、典型的には、いくつかの標準または期待値との比較であり、すなわち、相対的であるが、必ずしも参照すべき標準または相対値が必要というわけではないと理解される。例えば、「LYSTを阻害する」は、標準またはコントロールと比較してLYST遺伝子活性を妨げること、それに干渉すること、またはそれを制限することを意味する。「LYSTを阻害する」は、標準またはコントロールと比較してLYSTタンパク質の合成、発現、または機能を妨げるか制限することも意味し得る。

0036

「処置(treatment)」または「処置すること(treating)」は、望ましくない状態(例えば、再狭窄または線維増殖性障害)を有する被験体または系に組成物を投与することを意味する。状態には疾患が含まれ得る。「防止(prevention)」または「防止すること(preventing)」は、状態にリスクがある被験体または系に組成物を投与することを意味する。状態は、疾患素因であり得る。被験体への組成物の投与(処置および/または防止のいずれか)の影響は、状態の特定の症状の停止、状態の症状の軽減または防止、状態の重症度の軽減、状態の完全な除去、特定の事象または特徴の発症または進行の安定化または遅延、または特定の事象または特徴が起こる機会の最小化であり得るが、これらに限定されない。

0037

本明細書中で使用する場合、用語「抗体」を、他で明確に示さない限り、最も広い意味で使用する。したがって、「抗体」は、天然に存在するか人工物(従来のハイブリドーマテクノロジーによって産生されたモノクローナル抗体など)であり得る。抗体には、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体ならびにこれらの抗体の抗原結合ドメインおよび/または1つまたはそれを超える相補性決定領域を含むフラグメントが含まれる。「抗体」は、抗体またはその抗原結合フラグメントの任意の形態をいい、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体が含まれる)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および抗体フラグメントが含まれる。
II.組成物

0038

組織修復過程をLYST遺伝子の発現および機能の操作によって媒介することができることを明らかにした。具体的には、LYST遺伝子産物の機能喪失によって一定の免疫細胞で機能が異常になり、それにより、免疫機能障害が生じ、関連する増殖性障害が軽減する。LYST遺伝子またはLYSTタンパク質の調整に影響を受け得る免疫細胞には、自然免疫細胞、マクロファージ、および血小板が含まれる。
自然免疫細胞

0039

自然免疫過程(炎症、損傷細胞およびデブリの除去、ならびに新組織の発達および他の創傷修復機構が含まれる)は、傷害に対する生理学的応答重要な要素である。組織修復は、4つの異なる段階を有し、これらの段階には、以下が含まれる:a)凝固/凝血;b)炎症;c)線維芽細胞遊走/増殖;およびd)正常な組織構造回復される最終的なリモデリング期。組織損傷後最初期段階では、上皮細胞および/または内皮細胞は、炎症メディエーターを放出して抗線維素溶解性凝血カスケードを開始し、それにより、凝固および仮の細胞外基質(ECM)の発達を引き起こす。血小板の凝集およびその後の脱顆粒により、血管の拡張が促進されて透過性が増大し、それにより、炎症細胞好中球、マクロファージ、リンパ球、および好酸球など)が損傷組織に効率的に動員される。好中球は、創傷治癒の最初期段階における最も豊富な炎症細胞であるが、好中球の脱顆粒後にマクロファージに速やかに置き換えられる。活性化されたマクロファージおよび好中球は、創傷清拭し、任意の侵入生物を排除し、種々のサイトカインおよびケモカインを産生して炎症応答を増幅し、ならびに線維芽細胞の増殖および動員も引き起こす。活性化の際、線維芽細胞は、筋線維芽細胞に変換されてα−平滑筋アクチンおよびECM構成要素を分泌する。最後に、リモデリング期において、上皮/内皮細胞が分裂し、一時性マトリックス(temporary matrix)に遊走し、損傷組織を再生する。したがって、治癒および新組織の生成は、過剰な肥厚および狭窄または線維症を伴わずに組織の再生および血管壁の肥厚の要求の釣り合いを取る精密に制御された過程である。
マクロファージ

0040

循環単球および浸潤マクロファージの存在が創傷治癒および新組織の発達に重要であることが示されている(Arrasら,J Clin Invest,101(1):40−50(1998))。しかし、組織損傷部位におけるマクロファージ浸潤の程度は、増殖性の調節不全および新生内膜形成とも相関している(Hibinoら,FASEB J.25(12):4253−63(2011))。さらに、多くの研究により、マクロファージおよび線維芽細胞が線維症の病理発生に関与する主なエフェクター細胞であることが示されている(Wynn,Nat Rev Immunol.4(8):583−94(2004)に概説)。

0041

血管損傷後、炎症性単球細胞(ヒトにおけるCD16−hi、CD64−hi、およびCD14−hi;マウスにおけるCD115+、CD11b+、およびLy6c−hi)は、損傷組織に動員され、局所成長因子、炎症促進性サイトカイン、および微生物化合物(microbial compound)へ曝露されると活性化マクロファージ(ヒトにおけるEmr1−hi;マウスにおけるF4/80−hi)に分化する(Geissmannら,Science 327:656−661(2010))。過剰なマクロファージ浸潤によって狭窄に至り、一方で、マクロファージ浸潤の完全な阻害により新組織形成が防止される(Hibinoら、FASEB J.25(12):4253−63(2011)。

0042

マクロファージの分極活性化の以下の2つの異なる状況が定義されている:古典的に活性化された(M1)マクロファージ表現型および別経路で活性化された(M2)マクロファージ表現型(Gordon and Taylor,Nat.Rev.Immunol.5:953−964(2005);Mantovaniら,TrendsImmunol.23:549−555(2002))。古典的に活性化された(M1)マクロファージの役割は、TH1細胞性免疫応答におけるエフェクター細胞であるのに対して、別経路で活性化された(M2)マクロファージは、免疫抑制および創傷治癒/組織修復に関与するようである。M1およびM2マクロファージは、異なるケモカインおよびケモカイン受容体プロフィールを有し、ここで、M1はTH1細胞誘引ケモカインCXCL9およびCXCL10を分泌し、M2マクロファージはケモカインCCL17、CCL22、およびCCL24を発現する。

0043

M2マクロファージの存在は、新生内膜の発達および狭窄に関連している(Hibinoら,FASEB J.25(12):4253−63(2011))。組織グラフト植込後の一定の時点においてマクロファージ浸潤の程度、新組織形成、および狭窄の間に相関があり、この相関がマクロファージ活性の調整を通じて狭窄を防止する手段を提供する。

0044

さらに、マクロファージは、典型的には、コラーゲン産生筋線維芽細胞の近傍に局在し、単球由来マクロファージは線維症の必要条件として傷害後の炎症反応を持続させるのに不可欠であることが示されている(Wynn and Barron,Semin Liver Dis.,30(3):245−257(2010))。マクロファージは、線維芽細胞を活性化する線維症促進メディエーター(血小板由来成長因子(PDGF)、強力な走化性作用因子、およびトランスフォーミング成長因子β(TGF−B)が含まれる)を産生する。具体的には、マクロファージの非古典的M2(CD14+、CD16+)サブセットの顕著な増加は、慢性肝臓疾患に罹患している患者における炎症促進性サイトカインおよび臨床的進行に相関している。線維症が進行中、単球由来マクロファージは、慢性炎症を持続させるサイトカインを放出し、ならびに肝星細胞(HSC)を直接活性化し、その結果、該星細胞の増殖をもたらし、コラーゲン産生筋線維芽細胞に分化転換する(Zimmermannら,PLOS One,5(6):e11049(2010))。
血小板

0045

凝集血小板は、周囲の結合組織から創傷領域内に線維芽細胞を誘引する化学物質を分泌して、創傷を治癒するか、調節不全の炎症応答の場合、瘢痕組織を形成することによって血管の修復を補助する。組織傷害に応答して、血小板が活性化されるようになり、細胞外基質の沈着を刺激する多数の成長因子(血小板由来成長因子(PDGF)(強力な走化性作用因子)、ならびにトランスフォーミング成長因子β(TGF−β)など)を放出する。これらの成長因子の両方は、結合組織の修復および再生で重要な役割を果たすことが示されている。PDGFは、線維芽細胞および炎症細胞の流入を有意に増大させ、ならびに、細胞増殖および遺伝子発現を刺激する主要なマイトジェンおよび化学誘引物質として機能する。PDGFは、白血球を、血管壁に強固に付着させ、最終的に、内皮下組織内に遊出させることができる。しかし、血小板由来ケモカインはまた、平滑筋細胞(SMC)増殖を誘導し、新生内膜増殖および器官線維症で役割を果たすことが公知である(Chandrasekarら,J Am College Cardiology,Vol 35,No.3,pp.555−562(2000))。PDGFおよびその受容体の発現の増加は、強皮症肺組織および皮膚組織に関連する。具体的には、強皮症の肺線維芽細胞および皮膚線維芽細胞における自己分泌型PDGF−受容体媒介性のシグナル伝達ループ証拠が有り、TGF−β経路およびPDGF経路の両方が強皮症における慢性線維症に関与する(Trojanowska,Rheumatology;47:v2−v4(2008))。さらに、PDGFシグナル伝達の制御解除は、心血管の指標肺高血圧症およびアテローム性動脈硬化症など)に関連する。

0046

傷害誘導性PDGFに応答した中膜層平滑筋細胞(SMC)の増殖および遊走は、最終的に血管の狭小化および狭窄に至る新生内膜肥厚に寄与する不可欠な事象である(Fingerleら,Proc Natl Acad Sci.,86:8412(1989);Clowesら,Circ.Res.,56:139−145(1985))。

0047

血小板によって放出される他の治癒関連成因子には、塩基性線維芽細胞成長因子インスリン様成長因子1、血小板由来上皮成長因子、および血管内皮成長因子が含まれる。

0048

したがって、LYST遺伝子およびLYSTタンパク質のインヒビターは、再生促進性免疫環境を生じ、それにより、創傷治癒を強化し、内膜過形成などの増殖性障害、過剰な瘢痕組織の発達、および線維症性疾患を防止することができる。LYSTの調整はまた、血小板の活性および機能を調整することができる。したがって、LYST遺伝子および/またはLYSTタンパク質のインヒビターを使用して、血小板の生物学的機能血小板凝集および血小板由来成長因子(PDGF)の産生/発現など)を軽減または防止することができる。

0049

組織再生の促進ならびにLYSTタンパク質の発現および/または機能の遮断による過剰な瘢痕組織の形成を特徴とする疾患の防止または軽減のための組成物を開示する。
A.LYST

0050

リソソーム輸送制御因子(LYST)遺伝子産物は、リソソームへの細胞内物質輸送に関連する偏在性タンパク質である。LYSTタンパク質の機能を減少または阻害する変異がマクロファージの正常な機能に干渉し、また、ナチュラルキラー(NK)細胞および血小板の生物学的活性に影響を及ぼすことを明らかにした。LYSTタンパク質を調整することにより血管の増殖性障害、新生内膜形成、線維症、および過剰な瘢痕化を生じる免疫過程を調整する手段が得られると考えられる。
1.LYST遺伝子

0051

ヒトLYST遺伝子は、1番染色体セグメント1q42.1−q42.2;塩基対235,661,030〜235,883,707)に局在する(Barratら,Am.J.Hum.Genet,59:625−632(1996))。LYST遺伝子産物の核酸配列は、当該分野で公知である。例えば、NCBI参照配列:NM_000081.3、Homo sapiensリソソーム輸送制御因子(LYST)、転写物バリアント1、mRNA(以下の核酸配列を提供する)を参照のこと:

































(配列番号1)。配列番号1と少なくとも80%、85%、90%、95%、99%、または100%のアミノ酸配列が同一のヌクレオチド配列も開示する。
2.LYSTタンパク質

0052

LYSTポリペプチドは、分子量がおよそ429kDaの3,801アミノ酸の細胞質タンパク質(リソソーム輸送制御因子、CHSタンパク質、CHS1またはLYSTタンパク質としても公知)である(Barbosaら,Nature,382(6588):262−265(1996))。

0053

LYSTタンパク質は、3つのイソ型のうちの1つとして存在し、らせん構造を取ると予想される(Barbosaら,Nature,382(6588):262−265(1996))。

0054

LYSTタンパク質は、哺乳動物種間で高度に保存され、全細胞型において低レベルで発現されるが、成人および胎児胸腺末梢血白血球骨髄、ならびに成人脳のいくつかの領域で豊富に発現される(Dottaら,Orphanet Journal of Rare Diseases,8:168(2013)の概説およびその中の文献を参照のこと)。

0055

ヒトLYSTタンパク質のアミノ酸配列は、当該分野で公知である。例えば、以下のGenbank受入番号U67615を参照のこと:












(配列番号2)

0056

配列番号2に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、99%、または100%のアミノ酸配列が同一のLYSTポリペプチドを開示する。

0057

LYSTタンパク質は、特に、エンドソームおよびリソソームでの細胞内タンパク質輸送における多くの多様な細胞活動に関連しているが、LYSTタンパク質の生物学的機能の大部分が依然として未知である。

0058

LYST遺伝子産物の異常な発現および機能は、多くの病理学的障害自己免疫疾患過剰増殖性障害、および血小板機能障害が含まれる)に関与している。具体的には、LYST遺伝子の変異は、ヒト疾患であるチェディアック・東症候群(CHS)に関連する(Barratら,Am.J.Hum.Genet,59:625−632(1996))。CHS患者では、LYST遺伝子は、コードドメインヌクレオチド117〜118にフレームシフト変異を含む。

0059

CHSは、低色素沈着重症免疫欠損出血傾向、神経異常、リソソームへのおよびリソソームからの細胞内輸送の異常、種々の細胞型における巨大封入体を特徴とする稀なリソソーム蓄積障害である。チェディアック・東症候群を有する人々においてLYST遺伝子中に少なくとも30の変異が同定されている。これらの変異は、正常なリソソーム輸送制御因子タンパク質機能を損ない、リソソームおよび細胞内の関連構造体のサイズ、構造、および機能を破壊する。LYST変異を有する人々は、体内の至る所の細胞内に異常に巨大なリソソームおよび関連する構造体を有する。これらの巨大化された構造体は、正常細胞の機能に干渉する。免疫系細胞(マクロファージなど)中の巨大化リソソームは、これらの細胞が細菌および他の外来侵入者に対して適切に応答するのを防止し;巨大な核周囲のリソソームは、CHSを有する人のマクロファージ細胞内に管状に配置される。罹患した好中球および単球は、走化能および遊走能が正常細胞の約40%である。罹患患者はまた、血小板機能障害に起因した出血の傾向がある。走化性刺激に対する応答性が減少する結果として、機能不全に陥った免疫系が、重篤再発性感染から身体を防御することができない。患者が免疫無防備状態であり、感染に有効な免疫応答を開始することができないので、CHSはしばしば致命的である。

0060

ベージュ(Bg)マウス系統では、LYSTのマウスホモログ(「Lyst」)は、機能的Lystタンパク質の発現を不可能にする欠失によって破壊される。Bgマウスは、野生型マウスと比較して増殖性疾患の低下を示すこと(血管組織グラフト植込後の狭窄率がより低いことが含まれる)が見出された。骨髄移植実験(実施例を参照のこと)によって決定したところ、Bgマウスにおける機能障害性Lystタンパク質の影響は、高度にマクロファージ特異的である。
C.LYSTのインヒビター

0061

LYSTタンパク質の遮断により傷害後に血管の増殖性障害、線維増殖性疾患、および過剰な瘢痕組織を生じる免疫過程を軽減または防止することができることを明らかにした。LYSTタンパク質の転写翻訳、または機能を阻害または軽減する免疫調節剤を開示する。

0062

LYSTのインヒビターは、LYST遺伝子またはLYSTタンパク質に結合し、LYSTタンパク質の生物学的機能を直接または間接的に遮断することができる。インヒビターはまた、LYSTの下流の生物学的機能を構成する1つまたはそれを超えるシグナル伝達経路の生物学的機能を遮断することもできる。いくつかの実施形態では、LYSTのインヒビターは、LYSTタンパク質の内因性リガンドがLYSTタンパク質と相互作用することまたはLYSTタンパク質へ直接結合することを防止することによって作用する。インヒビターは、LYSTタンパク質が関与するタンパク質間相互作用を遮断することができるか、LYSTタンパク質とリガンドとの複合体の機能的活性を防止または軽減することができる。LYSTタンパク質に直接結合するインヒビターは、LYSTタンパク質の活性部位の直接的な閉塞またはLYST相互作用の立体的(stearic)遮断によるなどの間接的な閉塞を介して作用し得る。例えば、いくつかの実施形態では、インヒビターは、タンパク質相互作用ドメイン(WD40反復モチーフタンデムコピーによって形成されたソレノイドタンパク質ドメインなど)の機能を遮るか閉鎖する。他の実施形態では、インヒビターは、活性部位から空間的に離れた位置に結合する。

0063

LYSTタンパク質に結合するインヒビターは、機構(二量体化の誘導、オリゴマー化の誘導、高次構造の変化の誘導、触媒機能の防止、分解の誘導、免疫細胞による取り込みの誘導、標的細胞による取り込みの防止、リガンド結合の防止、リン酸化の防止、変性の誘導、1つまたはそれを超える翻訳後修飾の防止、または他の点ではLYSTタンパク質の天然の三次構造の変更が含まれるが、これらに限定されない)によってLYST機能を防止することができる。

0064

LYSTによる細胞シグナル伝達経路の開始または伝達にはLYSTタンパク質へのリガンドの結合が必要であり得ると理解されている。したがって、LYSTが関与するシグナル伝達経路を遮断し、任意選択的に、LYSTおよびその受容体の共ライゲーション(co−ligation)を防止するタンパク質、抗体、または小分子は、有用な免疫調整剤である。以下で考察するLYSTインヒビターのクラスには、抗体および機能的核酸が含まれる。
1.抗体

0065

LYSTタンパク質、そのリガンド、またはそのアクセサリー分子への直接的結合によってLYSTの機能を阻害する抗体を開示する。任意の特異的抗体を、本明細書中に提供した方法および組成物で使用することができる。抗体は、LYSTタンパク質上のエピトープに結合する抗原結合部位を含み得る。LYSTへの抗体の結合により、1つまたはそれを超える異なる機構を介してLYSTタンパク質の機能を阻害または軽減することができる。

0066

いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号2のアミノ酸配列によってコードされるタンパク質内のエピトープに特異的に結合する。エピトープは、線状エピトープであり得、配列番号2の一次配列の1つまたはそれを超える連続アミノ酸を含み得る。他の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、LYSTタンパク質の三次元表面フィーチャ(3-D surface feature)、形状、または三次構造を含む高次構造エピトープに結合することができる。いくつかの実施形態では、三次元表面フィーチャは、任意の数の配列番号2由来のアミノ酸、またはそのホモログ、オルソログパラログ、もしくはバリアント中の対応する残基を含み得る。

0067

いくつかの実施形態では、配列番号2のアミノ酸配列によってコードされるタンパク質内のエピトープに特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号2のアミノ酸配列によってコードされるタンパク質がリガンドまたは小分子によって結合されない場合に限り結合することができる。

0068

種々のタイプの抗体および抗体フラグメントを、開示の組成物および方法で使用することができ、この抗体および抗体フラグメントには、任意のクラスの全免疫グロブリン、そのフラグメント、および少なくとも抗体の抗原結合可変ドメインを含む合成タンパク質が含まれる。抗体は、IgG抗体IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4など)であり得る。抗体は、抗原結合フラグメントの形態であり得、このフラグメントには、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、および単鎖可変領域などが含まれる。抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体(mAb)であり得る。モノクローナル抗体には、重鎖および/または軽鎖の一部が特定の種に由来するか特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一であるか相同である一方で、鎖(複数可)の残部が別の種に由来するか別の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一であるか相同である「キメラ」抗体、ならびに、標的抗原に特異的に結合し、そして/または所望の生物学的活性を示す限り、かかる抗体のフラグメントが含まれる(米国特許第4,816,567号;およびMorrisonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851−6855(1984))。開示の抗体を、組換え手段(例えば、アミノ酸の欠失、付加、または置換によって)によって改変して、所望の機能を媒介することにおける抗体の有効性を増大させることもできる。置換は保存的置換であり得る。例えば、抗体の定常領域中の少なくとも1つのアミノ酸を、異なる残基で置き換えることができる(例えば、米国特許第5,624,821号;米国特許第6,194,551号;WO9958572号;およびAngalら,Mol.Immunol.30:105−08(1993)を参照のこと)。いくつかの場合、望ましくない活性(例えば、補体依存性細胞傷害性)を軽減するように変化させる。抗体は、少なくとも2つの異なる抗原性エピトープに対する結合特異性を有する二重特異性抗体であり得る。1つの実施形態では、エピトープは同一の抗原に由来する。別の実施形態では、エピトープは、2つの異なる抗原に由来する。二重特異性抗体には、二重特異性抗体フラグメントが含まれ得る(例えば、Hollingerら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,90:6444−48(1993);Gruberら,J.Immunol.,152:5368(1994)を参照のこと)。

0069

ヒトLYSTタンパク質に結合する種々の抗体は、複数の供給元(例えば、Santa Cruz Biotechnology,CA,USA,カタログ番号sc−136746)から市販されている。抗体を、当該分野で公知の任意の手段によって生成することができる。抗体の生成および産生手段の記載例には、Delves,Antibody Production:Essential Techniques(Wiley,1997);Shephardら,Monoclonal Antibodies(Oxford University Press,2000);Goding,Monoclonal Antibodies:Principles And Practice(Academic Press,1993);およびCurrent Protocols In Immunology(John Wiley & Sons,最新版)が含まれる。インタクトIg分子のフラグメントを、当該分野で周知の方法(酵素消化および組換え手段が含まれる)を使用して生成することができる。
2.機能的核酸

0070

LYST遺伝子産物の転写、翻訳、または機能を阻害する機能的核酸を開示する。機能的核酸は、特異的機能(標的分子への結合または特異的反応触媒など)を有する核酸分子である。以下により詳細に考察するように、機能的核酸分子を、以下の非限定的なカテゴリー分類することができる:アンチセンス分子、siRNA、miRNA、アプタマー、リボザイム、三重鎖形成分子、RNAi、および外部ガイド配列。機能的核酸分子は、標的分子が有する特異的活性エフェクター、インヒビター、調整因子刺激因子として作用することができるか、機能的核酸分子は、任意の他の分子から独立したde novo活性を有し得る。

0071

機能的核酸分子は、任意の高分子(DNA、RNA、ポリペプチド、または炭水化物鎖など)と相互作用することができる。したがって、機能的核酸は、LYSTポリペプチドのmRNAまたはゲノムDNAと相互作用することができるか、LYSTポリペプチド自体と相互作用することができる。機能的核酸は、しばしば、標的分子と機能的核酸分子との間の配列相同性に基づいて他の核酸と相互作用するようにデザインされる。他の状況では、機能的核酸分子と標的分子との間の特異的認識は、機能的核酸分子と標的分子との間の配列相同性に基づかないが、むしろ、特異的認識が起こることを可能にする三次構造の形成に基づく。したがって、開示の組成物は、LYSTタンパク質の発現または機能を軽減するようにデザインされた1つまたはそれを超える機能的核酸を含むことができる。

0072

いくつかの実施形態では、組成物は、LYSTmRNAを標的としてその発現または翻訳を軽減または阻害するか、LYSTタンパク質の発現を軽減または阻害するか、その活性を軽減するか、その分解を増加させるようにデザインされた機能的核酸またはポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、機能的核酸のin vivo発現に適切なベクターを含む。

0073

いくつかの実施形態では、機能的核酸またはポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列をコードする核酸のセグメントもしくはその相補物、または配列番号2のアミノ酸配列をコードする核酸と65%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一の核酸配列を有するそのバリアントを標的とするようにデザインされている。

0074

他の実施形態では、機能的核酸またはポリペプチドは、配列番号1の核酸配列のセグメントもしくはその相補物、または配列番号1と少なくとも65%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一の核酸配列を有するそのバリアントを標的とするようにデザインされている。

0075

いくつかの実施形態では、機能的核酸は、配列番号1の核酸またはその相補物と、例えば、ストリンジェントな条件下でハイブリッド形成する。いくつかの実施形態では、機能的核酸は、配列番号2をコードする核酸配列またはその相補物と、例えば、ストリンジェントな条件下でハイブリッド形成する。

0076

開示の機能的核酸(アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、miRNA、EGS、リボザイム、およびアプタマーなど)のin vivo発現のためのベクターの作製方法および使用方法は、当該分野で公知である。
i.アンチセンス分子

0077

機能的核酸は、アンチセンス分子であり得る。アンチセンス分子は、標準的なまたは非標準的な塩基対合のいずれかを通じて標的核酸分子と相互作用するようにデザインされている。アンチセンス分子と標的分子との相互作用は、例えば、RNAseH媒介性のRNA−DNAハイブリッド分解を通じて標的分子の破壊を促進するようにデザインされている。あるいは、アンチセンス分子は、標的分子上で通常起こることになるプロセシング機能(転写または複製など)を中断するようにデザインされている。アンチセンス分子を、標的分子の配列に基づいてデザインすることができる。標的分子の最もアクセス可能な領域を見出すことによってアンチセンス効率を最適にするための方法が多数存在する。例示的な方法には、in vitro選択実験ならびにDMSおよびDEPCを使用したDNA改変研究が含まれる。アンチセンス分子がLYST標的分子と10−6、10−8、10−10、もしくは10−12未満または10−6、10−8、10−10、もしくは10−12の解離定数(Kd)で結合することが好ましい。
ii.アプタマー

0078

機能的核酸はアプタマーであり得る。アプタマーは、好ましくは、特異的方法で、標的分子と相互作用する分子である。典型的には、アプタマーは、定義された二次構造および三次構造(ステム−ループまたはG−カルテットなど)に折り畳まれる15〜50塩基長の範囲の小さな核酸である。アプタマーは、小分子(ATPおよびテオフィリンなど)ならびに大分子(逆転写酵素およびトロンビンなど)に結合することができる。アプタマーは、10−12M未満のKdで標的分子と非常に強固に結合することができる。アプタマーが10−6、10−8、10−10、または10−12未満のKdでLYST標的分子と結合することが好ましい。アプタマーは、非常に高い特異度で標的分子に結合することができる。例えば、標的分子とこの分子上の単一の位置のみが異なる別の分子との間の結合親和性が10,000倍を超えて異なるアプタマーが単離されている。アプタマーのLYST標的分子とのKdが、バックグラウンド結合分子とのKdの少なくとも1/10、1/100、1/1000、1/10,000、または1/100,000であることが好ましい。ポリペプチドなどの分子について比較する場合、バックグラウンド分子が異なるポリペプチドであることが好ましい。
iii.リボザイム

0079

機能的核酸はリボザイムであり得る。リボザイムは、分子内または分子間のいずれかで化学反応を触媒することができる核酸分子である。リボザイムが分子間反応を触媒することが好ましい。天然の系で見出されるリボザイム(ハンマーヘッド型リボザイムなど)に基づいたヌクレアーゼまたは核酸ポリメラーゼ型反応を触媒する異なるリボザイム型を開示する。天然の系で見出されないが、de novoで特異的反応を触媒するように操作されたリボザイムも開示する。好ましいリボザイムは、RNA基質またはDNA基質を切断し、より好ましくは、RNA基質を切断する。リボザイムは、典型的には、標的基質の認識および結合を通じて核酸基質を切断し、その後に切断される。この認識は、しばしば、主に標準的(canonical)または非標準的な塩基対相互作用に基づく。標的基質の認識が標的基質配列に基づいているので、この塩基対相互作用に基づくという性質によりリボザイムは核酸の特異的切断のターゲティングのための特に良好な候補である。
iv.三重鎖形成オリゴヌクレオチド

0080

機能的核酸は、三重鎖形成オリゴヌクレオチド分子であり得る。三重鎖形成機能的核酸分子は、二本鎖または一本鎖の核酸のいずれかと相互作用することができる分子である。三重鎖分子が標的領域と相互作用する場合、ワトソンクリック型塩基対合およびフーグスティーン塩基対合の両方に依存して複合体を形成する3つのDNA鎖が存在する三重鎖と呼ばれる構造が形成される。三重鎖分子は高い親和性および特異性で標的領域と結合することができるので、三重鎖分子が好ましい。三重鎖形成分子が10−6、10−8、10−10、または10−12未満のKdで標的分子に結合することが好ましい。
v.外部ガイド配列

0081

機能的核酸は外部ガイド配列であり得る。外部ガイド配列(EGS)は、標的核酸分子に結合して複合体を形成する分子であり、この複合体はRNasePによって認識され、その後にRNasePが標的分子を切断する。EGSを、最適なRNA分子を特異的に標的とするようにデザインすることができる。RNAsePは、細胞内の転移RNAtRNA)のプロセシングを補助する。細菌RNAsePを補充し、EGSを使用して標的RNA:EGS複合体に天然のtRNA基質を模倣するようにさせることによって、実質的に任意のRNA配列を切断することができる。同様に、真核生物EGS/RNAsePに指示されたRNA切断を利用して、真核細胞内の所望の標的を切断することができる。EGS分子を作製および使用して種々の異なる標的分子の切断を容易にするための方法の代表例は、当該分野で公知である。
vi.RNA干渉

0082

いくつかの実施形態では、機能的核酸は、RNA干渉(siRNA)を通じてサイレンシングする遺伝子を誘導する。LYST遺伝子の発現を、RNA干渉を通じて高度に特異的な様式で有効にサイレンシングすることができる。

0083

遺伝子サイレンシングは、最初に、二本鎖RNA(dsRNA)の添加で観察された(Fireら(1998)Nature,391:806−11;Napoliら(1990)Plant Cell 2:279−89;Hannon,(2002)Nature,418:244−51)。一旦dsRNAが細胞に入ると、dsRNAは、ダイサーと呼ばれるRNaseIII様酵素によって、3’末端に2つのヌクレオチドオーバーハングを含む21〜23ヌクレオチド長の二本鎖低分子干渉RNA(siRNA)に切断される(Elbashirら,Genes Dev.,15:188−200(2001);Bernsteinら,Nature,409:363−6(2001);Hammondら,Nature,404:293−6(2000);Nykanenら,Cell,107:309−21(2001);Martinezら,Cell,110:563−74(2002))。iRNAもしくはsiRNAの影響またはその使用は、いかなるタイプの機構にも制限されない。

0084

1つの実施形態では、siRNAは、siRNAと標的LYST RNAの両方の間で配列が同一な領域内の相同LYSTRNA分子(LYSTmRNAなど)の特異的分解を引き起こす。

0085

配列特異的遺伝子サイレンシングを、哺乳動物細胞において酵素ダイサーによって産生されたsiRNAを模倣する合成された短い二本鎖RNAを使用して達成することができる(Elbashirら,Nature,411:494−498(2001))(Ui−Teiら,FEBSLett,479:79−82(2000))。

0086

siRNAは、化学合成またはin vitro合成することができるか、細胞内でのsiRNAにプロセシングされる短い二本鎖ヘアピン様RNA(shRNA)の結果であり得る。例えば、WO02/44321号は、3’オーバーハング末端と塩基対合した場合に標的mRNAを配列特異的に分解することが可能なsiRNAを開示しており、この文献は、これらのsiRNAの作製方法の参考として本明細書中に組み込まれる。合成siRNAを、一般に、アルゴリズムおよび従来のDNA/RNA合成機を使用してデザインする。供給業者には、Ambion(Austin,Texas)、ChemGenes(Ashland,Massachusetts)、Dharmacon(Lafayette,Colorado)、Glen Research(Sterling,Virginia)、MWB Biotech(Esbersberg,Germany)、Proligo(Boulder,Colorado)、およびQiagen(Vento,The Netherlands)が含まれる。siRNAを、AmbionのSILENCER登録商標)siRNA構築キットなどのキットを使用してin vitroで合成することもできる。いくつかの実施形態では、組成物は、機能的核酸を発現するベクターを含む。ベクターからのsiRNAの産生は、より一般的には、低分子ヘアピン型RNAse(shRNA)の転写を通じて行われる。shRNAを含むベクターの産生のためのキット(例えば、ImgenexのGENESUPPRESSOR(商標)構築キットおよびInvitrogenのBLOCK−IT(商標)誘導性RNAiプラスミドおよびレンチウイルスベクターなど)が利用可能である。いくつかの実施形態では、機能的核酸は、siRNA、shRNA、またはmiRNAである。
B.賦形剤、送達ビヒクル、およびデバイス

0087

LYSTインヒビターを投与し、送達ビヒクルの補助ありまたは無しで被験体の細胞内に取り込ませることができる。開示のインヒビターに適切な送達ビヒクルは、当該分野で公知であり、このビヒクルを特定のインヒビターに適するように選択することができる。1つの好ましい実施形態では、インヒビターを、静脈内、皮下、腹腔内、または局所への注射によって送達する。典型的なキャリアは、食塩水、リン酸緩衝食塩水、および他の注射用キャリアである。

0088

送達ビヒクルを含むか含まずに1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターを含む製剤を開示する。開示のLYSTインヒビターを、1つまたはそれを超える薬学的に許容され得るキャリアを含む薬学的組成物に製剤化することができる。薬学的組成物を、インヒビターおよび使用目的に応じて異なる投与機構のために製剤化することができる。非経口筋肉内、腹腔内、静脈内(IV)、または皮下注射)、局部、または経皮受動的イオン導入法もしくはエレクトロポレーションを使用するかのいずれか)への投与経路または生体浸食性インサートの使用による投与のために製剤化された薬学的組成物を開示する。
1.非経口投与

0089

いくつかの実施形態では、1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターおよび任意選択的に送達ビヒクルを、非経口注射による水溶液での投与のために製剤化する。製剤はまた、懸濁液またはエマルジョンの形態であり得る。一般に、有効量の活性薬剤ターゲティング部分、および任意選択的な送達ビヒクルを含む薬学的組成物を提供し、この薬学的組成物は、任意選択的に、薬学的に許容され得る希釈剤防腐剤可溶化剤(solubilizer)、乳化剤アジュバント、および/またはキャリアを含む。かかる組成物は、希釈剤
滅菌水、種々のバッファの内容(例えば、Tris−HCl、アセテートホスフェート)、pH、およびイオン強度緩衝食塩水、ならびに、任意選択的に、添加物界面活性剤および可溶化剤(solubilizing agent)(例えば、ポリソルベート20または80とも呼ばれるTWEEN(登録商標)20、TWEEN(登録商標)80)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸メタ重亜硫酸ナトリウム)、および防腐剤(例えば、チメロサール(Thimersol)、ベンジルアルコール)、ならびに増量物質(例えば、ラクトースマンニトール)など)を含む。非水性の溶媒またはビヒクルの例は、プロピレングリコールポリエチレングリコール植物油オリーブ油およびトウモロコシ油など)、ゼラチン、および注射用有機エステルオレイン酸エチルなど)である。製剤を凍結乾燥させ、使用直前再溶解再懸濁することができる。製剤を、例えば、細菌保持フィルター(bacteria retaining filter)による濾過、組成物への滅菌剤の組み込み、組成物の照射、または組成物の加熱によって滅菌することができる。
2.肺または粘膜への投与

0090

さらなる実施形態では、1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターおよび任意選択的に送達ビヒクルを、粘膜(口腔、眼、肺、、経口(下、頬側)、、または直腸の粘膜など)への投与のために製剤化する。

0091

粘膜への投与のための製剤は、典型的には、錠剤、ゲル、カプセル、懸濁液、またはエマルジョンに組み込むことができる噴霧乾燥した薬物粒子である。標準的な薬学的賦形剤を、任意の製剤従事者から入手可能である。

0092

1つの実施形態では、化合物を、肺送達(鼻腔内投与または経口吸入など)のために製剤化する。気道は、大気血流との間のガス交換に関与する構造物である。上気道および下気道を、誘導気道と呼ぶ。終末細気管支呼吸細気管支分岐し、次いで、最終的な呼吸領域である肺胞、すなわち肺深部に至る。肺深部、すなわち肺胞は、全身薬物送達のための吸入治療エアロゾルの主な標的である。肺内で活性な治療剤を全身投与し、経肺吸収を介してターゲティングすることができる。本明細書中で使用されるエアロゾルという用語は、噴射剤を使用して生成されるかどうかと関係なく、溶液または懸濁液であり得る微粒子状の微細ミストの任意の調製物をいう。エアロゾルを、標準的な技法超音波処理または高圧処理など)を使用して生成することができる。

0093

肺製剤のためのキャリアを、乾燥粉末製剤用および溶液としての投与用のキャリアに分類することができる。気道への治療剤の送達のためのエアロゾルは、当該分野で公知である。上気道を介した投与のために、製剤を、溶液(例えば、水または等張食塩水緩衝化または非緩衝化)に、または懸濁液として(鼻腔内投与のための液滴または噴霧剤として)製剤化することができる。好ましくは、かかる溶液または懸濁液は、鼻腔内の分泌物と比較して等張であり、且つほぼ同じpH(例えば、約pH4.0〜約pH7.4またはpH6.0〜pH7.0の範囲)のものである。緩衝液は生理学的に適合するべきであり、簡潔には、例として、リン酸緩衝液が含まれる。当業者は、鼻腔および/または上気道への投与に無害な水溶液に適切な食塩水の含量およびpHを容易に決定することができる。

0094

空気力学的直径が約5ミクロン未満のエアロゾルまたは噴霧乾燥粒子のいずれかとして送達した場合、組成物を吸入しながら肺に送達し、肺上皮内層を通過して血流に到達させることができる。

0095

大きな粒径の乾燥粉末製剤(「DPF」)は、流動性が改善されており(低凝集など)、エアロゾル化がより容易であり、潜在的に食作用が低い特徴を有する。一般に、平均直径が主に5ミクロン未満の範囲の吸入治療用乾燥粉末エアロゾルを生成するが、空気力学的直径の好ましい範囲は1ミクロンと10ミクロンの間である。大きな「キャリア」粒子(薬物を含まない)を治療エアロゾルと共送達することで、他のあり得る利点のうちの効率的なエアロゾル化の達成を補助している。肺送達用製剤には、単層リン脂質小胞、リポソーム、またはリポタンパク質粒子が含まれる。核酸を含む製剤およびかかる製剤の作製方法は、当業者に周知である。治療用生成物の肺送達のためにデザインされた広範な機械的デバイスを使用することができ、この機械的デバイスには、ネブライザー定量吸入器、および粉末吸入器(その全てについて当業者は精通している)が含まれるが、これらに限定されない。
3.局部投与および経皮投与

0096

活性薬剤および任意選択的な送達ビヒクルを、局部に適用することができる。局部投与には、例えば、手術中の血管系または組織もしくはプロテーゼへの直接適用、または皮膚への直接投与が含まれ得る。

0097

経皮製剤も調製することができる。これらは、典型的には、軟膏ローション、噴霧剤、またはパッチであり、これらの全てを、標準的なテクノロジーを使用して調製することができる。経皮製剤は、浸透促進剤を含むことができる。局部投与または経皮投与のための標準的な薬学的賦形剤を、任意の製剤従事者から入手可能である。
4.制御送達マトリックス

0098

ポリマーデバイスロッドシリンダーフィルムディスク)の植込または注射(微粒子)後の長期間の全身放出のための制御放出ポリマーデバイスを作製することができる。マトリックスは、ミクロスフィアなどの微粒子の形態であり得、ここで、LYSTインヒビターはコアポリマーシェルと異なる材料のものである固体ポリマーマトリックスまたはマイクロカプセル内に分散され、1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターがコア中に分散または懸濁し、インヒビターは本質的に液体または固体であり得る。本明細書中で特に定義しない限り、微粒子、ミクロスフィア、およびマイクロカプセルを、互換的に使用する。あるいは、ポリマーは、ナノメートルから4センチメートルの範囲の薄スラブまたは薄膜としての成型品磨砕もしくは他の標準的な技術によって生成された粉末、またはさらにゲル(ヒドロゲルなど)であり得る。

0099

非生分解性または生分解性のマトリックスのいずれかを、開示のLYSTのインヒビターの送達のために使用することができるが、生分解性マトリックスが好ましい。これらは、天然ポリマーまたは合成ポリマーであり得るが、分解および放出のプロフィールの特徴付けがより良好であるので、合成ポリマーが好ましい。ポリマーを、望ましい放出期間に基づいて選択する。いくつかの場合、直線的な放出が最も有用であり得るが、他の場合、パルス放出または「大量放出」でより有効な結果を得ることができる。ポリマーは、ヒドロゲル(典型的には、約90重量%までの水を吸収する)の形態であり得、任意選択的に、多価イオンまたはポリマーと架橋することができる。

0100

マトリックスを、溶媒蒸発、噴霧乾燥、溶媒抽出、および当業者に公知の他の方法によって形成することができる。生体浸食性ミクロスフィアを、例えば、Mathiowitz and Langer,J.Controlled Release 5:13−22(1987);Mathiowitzら,Reactive Polymers 6:275−283(1987);およびMathiowitzら,J.Appl.Polymer Sci.35:755−774(1988)に記載のように薬物送達用のミクロスフィアの作製のために開発された任意の方法を使用して調製することができる。デバイスを、典型的には、全身処置用の投薬量よりも遥かに少ない投薬量を送達する、植込または注射の領域を処置するための局所放出のために製剤化することができる。デバイスを、局所送達または全身送達のために製剤化することもできる。

0101

薬物および抗体などのカーゴを血管系、血管平滑筋の細胞もしくは部位、血餅、または血栓症に送達するようにデザインされた微粒子およびナノ粒子は当該分野で公知である。例えば、Wicklineら,Arteriosclerosis,Thrombosis,and Vascular Biology、26:435−441(2006),オンライン公開(Dec.2005)、ならびに米国特許出願公開第2002/0168320号、同第2003/0086867号、同第2003/0129136号、同第2004/0058951号、同第2004/0115192号、同第2006/0147380号、同第2006/0239919号、同第2007/0140965号、同第2007/0202040号、同第2007/0258908号、同第2008/0175792号、同第2008/0247943号、および同第2013/0064765号を参照のこと。

0102

例えば、以前に人工血液代用物質と見なされたペルフルオロカーボンナノ粒子は、分子イメージングおよび標的化薬物送達のためのプラットフォームテクノロジー(すなわち、いわゆる「セラノスティック」テクノロジー)に発展している。通常の直径が250nmであるこれらの脂質被包粒子を、静脈内に投与することができ、この粒子は、典型的には、サイズによってインタクトな血管系に制限される。

0103

いくつかの実施形態では、送達ビヒクルはリポソームである。LYSTインヒビターが抗体、タンパク質、または小分子である場合、好ましい送達ビヒクルはリポソームであり得る。一定の細胞型(例えば、マクロファージ細胞)への開示のLYSTインヒビターの直接送達のためのリポソームを開示する。マクロファージ細胞は、リポソームを内在化し、それにより、1つまたはそれを超えるインヒビターをマクロファージの細胞内区画に送達することができる。リポソーム作製に適切な方法、材料、および脂質は、当該分野で公知である。リポソーム送達ビヒクルは、複数の供給元から市販されている。リポソームを、単一の脂質二重層(すなわち、リポソームは単層であり得る)またはいくつかの同心円状の脂質二重層(すなわち、リポソームは多重層であり得る)から形成することができる。リポソームを、単一の脂質から形成することができるが、いくつかの実施形態では、リポソームを、1つを超える脂質の組み合わせから形成する。脂質は、生理学的pHで中性陰イオン性、または陽イオン性であり得る。

0104

適切な中性および陰イオン性の脂質には、ステロールおよび脂質(コレステロールリン脂質リゾ脂質リゾリン脂質、およびスフィンゴ脂質など)が含まれる。中性および陰イオン性の脂質には、ホスファチジルコリン(PC)(PC、ダイズPCなど)(1,2−ジアシルグリセロ−3−ホスホコリンが含まれる);ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルグリセロールホスファチジルイノシトール(PI);糖脂質スフィンゴリン脂質スフィンゴミエリンなど)、スフィンゴ糖脂質(1−セラミジルグルコシドとしても公知)(セラミドガラクトピラノシドガングリオシド、およびセレブロシドなど);脂肪酸カルボン酸基を含むステロール(コレステロールまたはその誘導体など);ならびに1,2−ジアシル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンが含まれる)、または1,2−ジオレオリルグリセリルホスファチジルエタノールアミンDOPE)、1,2−ジヘキサデシルホスホエタノールアミン(DHPE)、1,2−ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、1,2−ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、および1,2−ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)が含まれるが、これらに限定されない。

0105

AP脂質とも呼ばれるトリメチルアンモニウム塩(例えば、メチル硫酸塩)。適切なTAP脂質には、DOTAP(ジオレオイル−)、DMTAP(ジミリストイル−)、DPTAP(ジパルミトイル−)、およびDSTAP(ジステアロイル−)が含まれるが、これらに限定されない。他の適切な陽イオン性脂質には、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミドDDAB)、1,2−ジアシルオキシ−3−トリメチルアンモニウムプロパン、N−[1−(2,3−ジオロイルオキシプロピル]−Ν,Ν−ジメチルアミンDODAP)が含まれる。他の適切な脂質には、上記の中性、陰イオン性、および陽イオン性の脂質のPEG化誘導体が含まれる。1つまたはそれを超えるPEG化脂質誘導体の組み込みにより、その表面上にポリエチレングリコール鎖を示すリポソームを得ることができる。得られたリポソームは、その表面上にPEG鎖欠くリポソームと比較して、in vivoでの安定性および循環時間が増加し得る。

0106

LYSTインヒビターが核酸またはベクターである場合、送達ビヒクルは、ウイルスベクター、例えば、アデノウイルスベクターなどの市販の調製物であり得る(Quantum Biotechnologies,Inc.(Laval,Quebec,Canada)。ウイルスベクター送達は、ウイルス系(組換えレトロウイルスゲノムをパッケージングすることができるレトロウイルスベクター系など)を介し得る(例えば、Pastanら,(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:4486;Millerら,(1986)Mol.Cell.Biol.6:2895を参照のこと)。次いで、組換えレトロウイルスを使用して感染させ、それにより、LYSTインヒビターをコードする核酸を感染細胞に送達することができる。変化させた核酸を哺乳動物細胞に正確に組み込む方法は、勿論、レトロウイルスベクターの使用に制限されない。この手順のために他の技術を広く利用可能であり、他の技術には、アデノウイルスベクター(Mitaniら,Hum.Gene Ther.5:941−948(1994))、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(Goodmanら,Blood 84:1492−1500(1994))、レンチウイルスベクター(Naidiniら,Science 272:263−267(1996))、偽型レトロウイルスベクター(Agrawalら,Exper.Hematol.24:738−747(1996))の使用が含まれる。

0107

リポソーム送達ならびに受容体媒介機構および他のエンドサイトーシス機構などの物理形質導入技術も使用することができる(例えば、Schwartzenbergerら,Blood 87:472−478(1996)を参照のこと)。市販のリポソーム調製物リポフェクチンリポフェクタミンGIBCO−BRL,Inc.,Gaithersburg,Md.)、スーパーフェクト(Qiagen,Inc.Hilden,Germany)、およびトランスフェクタム(Promega Biotec,Inc.,Madison,Wis.)、ならびに当該分野で標準的な手順にしたがって開発された他のリポソームなど)が周知である。さらに、開示の核酸またはベクターを、エレクトロポレーション(Genetronics,Inc.(San Diego,Calif.)から利用可能なテクノロジー)ならびにソノポレーションまたは超音波処理器(ImaRx Pharmaceutical Corp.,Tucson,Ariz.)の手段によってin vivoで送達することができる。開示の組成物および方法を、任意のこれらまたは他の一般的に使用されている遺伝子移入法と併せて使用することができる。
5.グラフトおよび医療デバイス

0108

LYSTの阻害による免疫調節のための開示の組成物を、医療デバイス上にコーティングするか医療デバイス内に組み込むことができるか、ex vivoでの植込み型血管グラフトを前処理するために使用することができる。
グラフト

0109

LYSTインヒビターを使用して、被験体への植込前にex vivoで血管グラフトを前処理することができる。1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターおよび任意選択的に送達ビヒクルを含む組成物を、組成物が接着し、薬物処置に最適な位置で組織またはグラフトにくまなく分布することが保障される方法によって組織に適用することができる。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターを、目的の領域に接着させるか、長期間の局所処置を提供するために十分な薬物負荷を保持するか、所望の速度またはスケジュールでLYSTインヒビターを放出するか、組織またはグラフト内の最適な範囲に浸透するか、その組み合わせが行えるようにデザインされたナノ粒子、微粒子、リポソーム、ミセル、エマルジョン、ゲル、またはコーティングを使用して送達する。

0110

手術で用いるグラフトを、生分解性足場上にex−vivoで細胞を播種することによって形成することもできる。グラフトは、自己グラフト、例えば、伏在静脈または橈骨動脈;保存自己グラフト(例えば、凍結保存静脈);同種異系グラフト;異種グラフト;または合成品(例えば、織状ポリエステルポリウレタン(LYCRA(登録商標))、ポリテトラフルオロエチレンPTFE)、GORE−TEX(登録商標)、またはポリエチレン(polyethelene)テレフタラート(DACRON(登録商標)))であり得る。内胸動脈、橈骨動脈、または内腸骨動脈を使用した人工同種グラフトは、有用且つ耐久性の有る血液導管の例である。例示的なグラフトを以下で考察する。
組織工学血管グラフト

0111

1つまたはそれを超えるLYSTのインヒビターを含む組織工学血管グラフト(tissue engineering vascular graft)(TEVG)を開示する。組織工学による血管グラフト(tissue-engineered vascular graft)(TEVG)は、その成長能力最大限活用することができれば、先天性心疾患の手術分野の進歩にかなり有望である。例えば、TEVGを、修正フォンタン手術を受けた患者において下大静脈肺動脈に接続する血液導管として使用するためにデザインすることができる。25人の単心室奇形患者におけるTEVGの使用を評価する長期間(10年超)のパイロット研究では、グラフトに関連する死亡またはグラフトの不全のないことが実証された。この研究では、TEVGの成長能力により成長能力を有する最初の人工グラフトが実現されることも確認された。主なグラフト関連合併症は狭窄であり、およそ30%の患者が罹患し、16%(4/25)が重篤な狭窄を処置するために血管形成術を必要とした。

0112

1つの実施形態では、TEVGを、ポリグリコール酸繊維の管から製作された生分解性管状足場から形成する。管を、ポリ乳酸(PLA)とポリカプロラクトンの比が50:50などのコポリマーでコーティングすることができる。被験体内への植込前に、足場に細胞を播種することができる。いくつかの実施形態では、細胞は、意図するレシピエント由来自己細胞である。

0113

組織工学による血管グラフト(TEVG)へのマクロファージの過剰な浸潤により瘢痕化が促進され、それにより、血管の肥厚、閉塞、および狭窄に至ることを明らかにした。したがって、本明細書中に記載の組成物および方法を使用して、1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターを局所的に且つ制御された様式でTEVGに送達し、それによりマクロファージによる浸潤を防止または阻害することができる。
バイパスグラフト

0114

1つまたはそれを超えるLYSTのインヒビターを含むバイパスグラフトを開示する。バイパス手術の一般的形態は、冠状動脈への自家移植のために脚部から伏在静脈を切除することを含む。相当数の症例において、これらのグラフトは、主に新生内膜過形成に原因する再狭窄のために失敗に終わる。本明細書中に記載の組成物および方法を使用して、1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターを局所的に且つ制御された様式で自己グラフトに送達することができる。インヒビターを、手術前、手術のとき、および/または手術の直後に投与することができる。伏在静脈の切除後、組織を、胸部開口およびグラフト植込のための調製中に食塩水に数時間(且つ頻繁に)懸濁することができる。1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターおよび任意選択的なターゲティングシグナル、送達ビヒクル、またはその組み合わせを含む組成物を、この期間中に伏在静脈とインキュベートすることができる。
動静脈グラフト

0115

1つまたはそれを超えるLYSTのインヒビターを含む動静脈グラフトを開示する。米国において末期腎疾患が増加している。血液透析アクセスによる病的状態は依然として患者の生活の質に関する大きな問題であり;社会にとって相当な負担でもある。ネイティブ動静脈フィステル(AVF)は依然として血液透析用のアクセスを得るための最適な導管であり、補綴具AVGなどの他の選択肢と比較して、優れた結果が得られる。不運なことに、各個体は、適切な部位および血管の数が限定されているために、作製することができるネイティブAVF数が制限される。末期腎疾患患者は、通常、重篤な共存症を有し、診断および治療のために広範な静脈穿刺が一生涯にわたって必要であるので、アクセス部位は制限される。最初のAVFの全ての選択肢を使い果たした患者では、新規のアクセス部位はAVグラフトを使用しなければならない。これらのグラフトは新生内膜過形成による再狭窄の影響を受けやすく、その有効性が制限される。1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターを含み、任意選択的にターゲティングシグナル、送達ビヒクル、またはその組み合わせを含む組成物のグラフト上でのインキュベーションを、手術のときに行うことができる。
医療デバイス

0116

いくつかの実施形態では、患者の新生内膜形成などの血管増殖障害を軽減または阻害するために、1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターを含む組成物で、医療デバイスまたはその構成要素上にコーティングするか、医療デバイスまたはその構成要素内(血管ステント中のポリマーリザーバ内など)に組み込む。デバイスは、被験体内に一過性に挿入されるデバイスまたは恒久的に植込まれるデバイスであり得る。いくつかの実施形態では、デバイスは外科的デバイスである。

0117

医療デバイスの例には、針、カニューレ、カテーテル、シャント、バルーン、および植込物(ステントおよび弁など)が含まれるが、これらに限定されない。

0118

いくつかの実施形態では、LYSTインヒビターまたは薬学的組成物を、医療デバイスへのその組み込みが可能なように製剤化することができ、それにより、再狭窄または他の血管増殖障害などの状態を防止または処置するためにインヒビターを部位に直接適用することができる。LYSTインヒビターまたはその薬学的組成物を、医療デバイス上のコーティング内に含めることによって製剤化することができる。処方期間にわたってインヒビターを放出することができる利用可能な種々のコーティング(例えば、ポリマーコーティングなど)が存在する。インヒビターまたはその薬学的組成物を、医療デバイス内に直接包埋することができる。いくつかの実施形態では、LYSTインヒビターの放出および送達を容易にする微粒子またはリポソームなどの送達ビヒクル中に含まれるLYSTインヒビターを、該デバイス上または該デバイス内にコーティングする。
ステント

0119

いくつかの実施形態では、医療デバイスは、ステントなどの血管植込物である。医学分野では、ステントを、血管の制限を防止または排除するために利用する。ステントを、制限された血管が広げられるように該制限された血管内に挿入することができる。かかる血管植込物を使用した経験から、隣接する細胞の過剰な成長により特に植込物の末端で血管が再度制限され、植込物の有効性が低下することが示されている。動脈硬化性狭窄の排除のためにステントをヒト動脈に挿入する場合、1年以内に血管植込物の末端に内膜過形成が起こり得、結果として狭窄が再発する。

0120

したがって、いくつかの実施形態では、ステントを、LYSTインヒビターおよび任意選択的に送達ビヒクルを含む組成物でコーティングまたは負荷する。

0121

多数のステントが市販されているか、別段当該分野で公知である。ステントを、適切な材料の薄肉管から形成(すなわち、エッチングまたは切断)するか、適切な材料の薄板から形成し、チューブへと巻くことができる。

0122

ステントに適切な材料には、ステンレス鋼イリジウム白金、金、タングステンタンタルパラジウム、銀、ニオビウムジルコニウムアルミニウム、銅、インジウムルテニウムモリブデン、ニオビウム、スズ、コバルトニッケル亜鉛、鉄、ガリウムマンガンクロムチタン、アルミニウム、バナジウム、およびカーボン、ならびにその組み合わせ、合金、および/または積層物が含まれるが、これらに限定されない。例えば、ステントを、コバルト合金(L605またはMP35N(登録商標)など)、ニチノール(ニッケル−チタン形状記憶合金)、ABI(パラジウム−銀合金)、Elgiloy(登録商標)(コバルト−クロム−ニッケル合金)などから形成することができる。MP35N(登録商標)と積層するタンタルなどの相互に積層される2つまたはそれを超える材料からステントを形成することができることも企図される。ステントを、異なる金属、合金、または他の材料の同心円層を有するワイヤから形成することもできる。ステントの実施形態を、中空管、または他の材料で充填された管から形成することもできる。上記の材料および積層物は、例であることを意図し、制限することを決して意図しない。

0123

ステントは、薬剤溶出性ステントであり得る。壁組織に人工の放射支持物を提供する一方で、同時に処置部位治療物質を送達する種々の薬剤溶出性ステントが当該分野で公知である。ステントが含まれる管腔内デバイスを、その外面を薬物放出剤、成長因子、または抗体などの物質でコーティングすることができる。管腔の中心部から薬物を溶出させるために側壁横断する孔またはポートを有する中空管状構造を有するステントも開発されている。ステントの中空性により管腔の中心部に薬液が負荷され、ステントの側壁中のポートまたは孔を介して薬液が送達されるが、中空の環状構造は、血管内に適切な足場を提供するための適切な機械的強度がない場合がある。

0124

LYSTインヒビターを溶出するステントを開示する。いくつかの実施形態では、デバイスを、LYSTインヒビターおよび1つまたはそれを超えるさらなる治療剤(抗血小板剤抗凝固剤抗菌剤、および代謝拮抗剤が含まれるが、これらに限定されない)でコーティングするか、これらを浸透させることも行う。

0125

本明細書中に開示の組成物および方法と共に使用することができる例示的なステントには、米国特許第5,891,108号、同第6,918,929号、同第6,923,828号、同第6,945,992号、同第6,986,785号、同第7,060,090号、同第7,144,419号、同第7,163,555号、同第7,323,008号、同第7,651,527号、同第7,655,034号、同第7,678,141号、同第7,744,645号、同第7,942,917号、同第8,001,925号、同第8,001,925号、同第8,034,099号、同第8,048,149号、同第8,066,760号、同第8,100,960号、同第8,157,855号、同第8,172,893号、同第8,182,524号、同第8,187,284号、同第8,187,322号、同第8,197,528号、同第8,206,432号、同第8,221,490号、同第8,231,669号、同第8,236,044号、同第8,252,048号、同第8,252,065号、同第8,257,425号、同第8,257,431号、同第8,292,945号、同第8,298,278号、同第8,298,280号、同第8,348,991号、同第8,348,992号、同第8,348,993号、同第8,353,952号、同第8,359,998号、同第8,361,140号、同第8,372,134号、同第8,372,138号、同第8,377,112号、同第8,388,676号、同第8,398,695号、同第8,414,637号、同第8,414,639号、および同第8,414,656号に記載のステントが含まれるが、これらに限定されない。
バイオプロテーゼ

0126

複数の他の補綴具は、1つまたはそれを超えるLYSTのインヒビターを含むことができ、この補綴具には、心臓弁、人工関節、ペースメーカー、留置カテーテル、および美容的植込物が含まれるが、これらに限定されない。

0127

開示のLYSTインヒビターは、バイオプロテーゼの存在に関連する炎症応答および線維増殖性障害を軽減または防止することができると考えられる。したがって、いくつかの実施形態では、バイオプロテーゼを、LYSTインヒビターおよび任意選択的に送達ビヒクルを含む組成物を用いてコーティングするか負荷する。
IV.使用方法

0128

開示のLYSTインヒビターの使用方法を提供する。本方法は、被験体におけるLYSTの発現または機能を防止、軽減、または阻害するのに有効な量の1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターを含む組成物を該被験体に投与すること;該被験体内へのデバイスまたはグラフトの挿入または植込後の新生内膜形成を防止、軽減、または阻害するのに有効な量のLYSTインヒビターを含む組成物で医療デバイスまたは血管グラフトを前処理すること;またはその組み合わせを含むことができる。
A.処置すべき障害および疾患

0129

LYSTインヒビターを使用して、免疫機能(マクロファージ、血小板、およびナチュラルキラー細胞の機能が含まれるが、これらに限定されない)を変化させ、再生促進性免疫環境を引き起こすことができる。LYSTインヒビターの使用方法(LYSTタンパク質の転写、翻訳、または機能を阻害または遮断するようにデザインされた方法が含まれるが、これらに限定されない)を使用して、免疫応答を調整することができる。いくつかの実施形態では、本方法は、例えば、血管手術後の血管新組織の形成を促進し、新生内膜の形成を阻害し、血管開存性を改善する。生物学的および合成の血液導管の両方において内膜および新生内膜の過形成を防止するためのLYSTインヒビターの使用方法を提供する。本方法は、TEVG狭窄を軽減または防止し、TEVG機能を改善することができる。

0130

さらに、LYSTインヒビターは、組織再生の促進、創傷治癒の改善、および異物応答の調整により広く関与し得る。したがって、再生医学に適用するための補助手段としてのLYSTインヒビターの使用方法も記載する。いくつかの実施形態では、LYSTインヒビターの使用方法により、瘢痕形成の治癒および防止を促進(例えば、腹部手術後の癒着の治癒および防止を促進)することができる。

0131

本方法は、組織傷害の結果としての血小板由来成長因子(PDGF)の産生量を調整することができる。したがって、本方法は、過剰なまたは望ましくないPDGF発現に関連する疾患を処置することができる。

0132

本方法はまた、過剰な線維症に起因する疾患(例えば、肝臓、肺、または心臓の線維症性疾患)を防止または処置することができる。最後に、抗LYST治療方法により、異物反応を変化させて組み込みを促進するがバイオプロテーゼの被包を遮断するように免疫が調整され、それにより、ペースメーカーもしくは神経刺激器などのデバイスの機能および寿命または置換心臓弁もしくは人工関節の組み込みを改善することができる。

0133

好ましい実施形態では、1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターは、被験体における疾患、障害、または状態の1つまたはそれを超える症状を軽減、阻害、または遅延させるのに有効である。開示のLYSTインヒビターは、広範な種々の治療および予防で使用され、例えば、開示のLYSTインヒビターを使用して、傷害または種々の外科的手順後の血管増殖性障害、瘢痕化、および線維症性疾患を処置または防止することができる。過剰な瘢痕または線維症性組織の存在を特徴とする疾患の処置のための1つまたはそれを超えるLYSTのインヒビターの使用方法を記載する。抗血小板治療(例えば、異常な、過剰な、または、そうでなければ望ましくない血小板活性またはPDGFシグナル伝達に起因する疾患の処置)のための1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターの使用方法も提供する。
血管増殖性障害

0134

いくつかの実施形態では、開示のLYSTインヒビターを使用して、血管増殖性障害を処置または防止することができる。かかる障害の例には、アテローム性動脈硬化症に関与する血管増殖、血管内デバイス植込後の血管増殖、一般に血管再建術またはA−Vシャント術後に生じる血管吻合(anastamosis)部位での血管増殖、頸動脈内膜切除後の血管増殖、および移植血管症が含まれるが、これらに限定されない。

0135

1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターの投与による血管増殖性障害を処置または防止する方法を提供する。本方法は、典型的には、コントロールと比較して、マクロファージ細胞の浸潤、マクロファージ細胞のM1表現型からM2表現型への変換、またはその両方を軽減または阻害する。いくつかの実施形態では、本方法は、血管新組織の発達を減少させたり阻害したりすることなくマクロファージ細胞の増殖を軽減または阻害する。被験体は、狭窄、再狭窄、または他の血管増殖障害を有し得るか、再狭窄または他の血管増殖障害のリスクが有ると同定され得る(例えば、血管外傷、血管形成術、手術、または移植動脈症などを経験していたか、経験しているか、経験する被験体)。開示の組成物を使用して処置することができる疾患、障害、および状態を、以下でより詳細に考察する。血管傷害

0136

いくつかの実施形態では、1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターを、血管外傷前、血管外傷のとき、または血管外傷後に適用することができる。

0137

血管傷害は、内皮の裸出または機能障害、炎症、ならびに血管平滑筋細胞VSMC)の活性化および増殖を含む連続的に起こる事象を引き起こす。複数の成長因子およびサイトカインは、機能障害性内皮細胞、炎症細胞、血小板、およびVSMCによって放出される。これらの成長因子およびサイトカインは、化学誘引細胞遊走、増殖、アポトーシス、およびマトリックス調整を媒介し、多くの血管増殖性障害に関与する。

0138

血管増殖性の疾患および障害は、血管壁の機械的傷害、生化学的傷害、または免疫学的傷害によって開始され得る。典型的な血管外傷には、鈍的傷害および穿通性傷害の両方(裂傷刺創挫傷銃創ナイフ創、職業外傷、転落、および自動車事故、ならびに医学的介入(手術または血管形成術など)が含まれるが、これらに限定されない)に関連する血管外傷が含まれる。

0139

いくつかの実施形態では、被験体は、手術を経験していたか、経験しているか、経験する。手術には、侵襲手術、低侵襲手術、または経皮手術が含まれ得る。例えば、いくつかの実施形態では、被験体は、腹部大動脈瘤頸動脈狭窄、静脈瘤の静脈、末梢動脈閉塞性疾患、急性肢虚血、または大動脈解離を処置または修復するための手術を受けている。一般的な血管手術には、開腹腹部大動脈瘤修復、血管内動脈瘤修復(EVAR)、頸動脈内膜切除、頸動脈ステント留置、静脈抜去硬化療法およびフォーム硬化療法、静脈内レーザー処置高周波静脈焼灼、外来静脈切除、ステント留置使用/不使用の血管形成術、バイパス手術動脈内膜切除粥腫切除、バルーン塞栓摘出血栓摘出、バイパス手術、開放修復(open repair)、胸部血管内動脈瘤修復(TEVAR)が含まれるが、これらに限定されない。外科医は、手術のとき、手術前、手術後に、創傷治癒の過程を強化するか、血管増殖性障害(狭窄または再狭窄を引き起こす血管増殖性障害など)の発症を防止するために1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターを手術部位に適用することができる。
内膜過形成

0140

内膜過形成は、血管内皮の傷害に対する生理学的治癒応答である。内皮層の傷害によって一連の急性および慢性の炎症応答が誘発され、それにより、血小板の凝集、フィブリンの沈着を引き起こし、傷害領域に白血球が誘引される(Murakamiら,Am J Physiol.,272:L197−L202(1997);Cotranら,J Am Soc Nephrol.,1:225−235(1990))。したがって、新血管形成および内膜過形成を生じる再生過程は、ヒトの他の血管生物学的過程静脈グラフト適応など)における単球−マクロファージの提案された役割に類似する免疫媒介性の現象のようである(Ratliff and Myles,Arch.Pathol.Lab.Med.113:772−776(1989);Motwani and Topol,Circulation 97:916−931(1998))。
狭窄

0141

内膜過形成により血管内膜が肥厚し、血管狭窄合併症に至り得る。炎症機構および凝血促進機構の活性化は、狭窄の惹起および発達に有意に寄与すると考えられる。数週間から数ヶ月までの範囲の期間にわたり、傷害を受けた血管の内側領域由来の平滑筋細胞は、内膜領域に再配置される。これらの細胞は、瘢痕形成に類似の過程で、外傷部位で増殖し、細胞外基質を沈着して新生内膜を形成する(Fingerleら,Proc Natl Acad Sci.,86:8412(1989);Clowesら,Circ.Res.,56:139−145(1985))。したがって、頑強治癒反応により血管壁の内部肥厚が起こり(内膜過形成)、最終的に血管腔が減少し、狭窄を生じる。内膜過形成の形成は、血管内のプロテーゼなどの異物の存在によって加速され得、これは、血管内介入(血管形成術、バイパス、および移植動脈症などが含まれる)に起因し得る(Glagov,Circulation,89:2888−2891(1994))。

0142

したがって、内膜過形成および狭窄を防止する開示のLYSTインヒビターの使用方法を提供する。
再狭窄

0143

冠状血管系または末梢循環系の再狭窄を防止または軽減する方法を提供する。血管の再狭窄は、典型的には、内膜過形成に起因する。ステントなどの外科デバイスを、狭窄した血管を開けるために挿入することができるが、ステント自体がさらなる内膜過形成を刺激し得るので、これは問題でもある。さらに、過形成性内膜組織は、ベアステント間隙を通して成長し、血管が再狭窄に至り得る。被覆ステントはこの現象が起こるのを防止できる一方で、血管壁を最も刺激するステントの末端に依然として内膜過形成が生じ得る。ステント内再狭窄患者は、内膜過形成由来の狭窄がしばしば処置が困難であるので、重篤な合併症のリスクが有る。柔らかいアテローム斑と異なり、これらの狭窄は硬く、バルーンで拡張させるために高い膨張圧を長期間印加する必要がある。狭窄はしばしば再発し、血管拡張の反復により、内膜傷害が繰り返され、内膜治癒応答が持続する。

0144

したがって、開示の組成物、デバイス、またはグラフトを、平滑筋細胞の増殖、遊走、およびその組み合わせを軽減または阻害するために、新生内膜形成を軽減または阻害し、それにより、被験体における再狭窄および他の血管増殖障害を処置または防止するのに有効な量で被験体に投与することができる。いくつかの実施形態では、グラフトおよびデバイスの開存性を、LYSTインヒビターを含む組成物を使用して増加させることができる。したがって、LYSTインヒビターを含む組成物をデバイスおよびグラフトまたは被験体に、植込前または植込後に投与するための方法を提供する。
アテローム性動脈硬化症

0145

アテローム性動脈硬化症は、炎症、血管増殖、およびマトリックスの変化を含む複数の過程を含む(Dzauら,Nat Med,.8(11)(2002)に概説)。アテローム性動脈硬化症では、VSMCは、炎症を生じ、血液由来リポタンパク質を保持し、ならびにを構成する線維沈着物を発達させる。炎症は、アテローム性動脈硬化症の以下の全段階を媒介することが示されている:アテローム斑の発達において、VSMCは、単球化学誘引タンパク質などの炎症促進性メディエーターを産生し、血液由来のリポタンパク質を保持するマトリックス分子を合成する;斑の発達後、局所炎症環境がコラゲナーゼ発現を誘導してタンパク質分解インヒビターの発現を阻害することができ、それにより、線維性キャップ脆弱にして破裂しやすくする。したがって、いくつかの実施形態では、開示のLYSTインヒビターを、被験体における血管増殖障害を処置、軽減、阻害、または防止するために使用する。
血管形成術

0146

いくつかの実施形態では、被験体は、血管形成術を経験していたか、経験しているか、経験する。血管形成術は、狭小化したか閉塞した動脈(アテローム性動脈硬化症の結果として閉塞した動脈など)を機械的に拡張する技術である。一般に、血管形成術は、ガイドワイヤ上の空でしぼんだバルーン(バルーンカテーテルとして公知)を被験体の血管系に挿入し、狭小化した位置に通し、次いで、固定サイズ膨張させることを含む。バルーンは、内部の白血球/クロットプラークの沈着物および周囲の筋肉壁強制的に拡大して血管を広げて血流を改善し、次いで、バルーンを収縮させて引き抜く。確実に血管が開いたままになるようにバルーン膨張のときにステントを挿入してもしなくても良い。血管形成術には、末梢血管形成術(すなわち、腹部または脚部などの冠状動脈の外側の血管)、冠動脈血管形成術、腎動脈血管形成術、頸動脈血管形成術、および大脳動脈血管形成術が含まれる。

0147

いくつかの実施形態では、被験体は、経皮的経管的冠動脈形成術PTCA)を経験していたか、経験しているか、経験する。PTCAの使用により、心筋梗塞に罹患の患者の致死数が非常に減少した(Fischmanら,N Engl J Med.,331:496−501(1994);Eleziら,Circulation 98:1875−1880(1998);Bennett and O’Sullivan,Pharmacol Ther.,91:149−166(2001))。PTCA中、動脈壁は、管腔の直径を増加させて血流を改善するために元の直径の数倍に拡大される。不運なことに、この技術では、血管の再狭小化または再狭窄の発生率が高いことに悩まされており、30〜40%患者においてこの手順の6ヶ月以内におこる(Andersonら,J Interv.Cardiol.,6:187−202(1993);Fischmanら,N Engl J Med,331:496−501(1994);Eleziら,Circulation 98:1875−1880(1998);Bennett and O’Sullivan,Pharmacol Ther,91:149−166(2001);Heckenkampら,J Cardiovasc.Surg.(Torino),43:349−357(2002))。

0148

首尾の良いPTCA後の再狭窄の防止は、閉塞性冠状動脈疾患の処置において依然として最も困難な課題の1つである。この増殖応答を向上させる試みには冠動脈ステントの使用が含まれ、このステントの使用により、冠状動脈血管再建術による介入後の短期間および長期間の両方の結果が有意に改善されている。ステント配置による再狭窄率の軽減にもかかわらず、再狭窄は、依然として15〜30%の患者において6ヶ月以内に生じる(Fischmanら,N Engl J Med,331:496−501(1994);Eleziら,Circulation,98:1875−1880(1998))。このステント内再狭窄の発生率は、冠動脈ステント留置がより頻繁になり、あまり理想的でない病変で用いられるにつれて増加すると予想される。開示のLYSTインヒビターを使用して、血管形成術後の再狭窄、腹部癒着、および瘢痕化を処置または防止することができる。
移植片動脈症

0149

いくつかの実施形態では、被験体は、移植を経験していたか、経験しているか、経験する。慢性移植片動脈症(CTA)は、心臓または腎臓の移植後の後期同種異系移植片喪失の主因である(Taylorら,J.Heart Lung Transplant.,24:945−955(2005),Burkeら,Transplantation,60:1413−1417(1995);Cornell and Colvin,Curr.Opin.Nephrol Hypertens.,14:229−234(2005))。したがって、いくつかの実施形態では、開示のLYSTインヒビターを使用して、移植レシピエントにおける移植片動脈症を軽減、阻害、または防止する。
過剰な瘢痕化

0150

開示のLYSTインヒビターを使用して、例えば、傷害、疾患、または外科的手順後の瘢痕化(ケロイドの形成および腹部癒着が含まれる)を処置、遅滞、または防止することができる。

0151

傷害の部位または手術の部位の血管成長量を減少させるための1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターの使用方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法により、瘢痕化、ケロイド、または癒着を生じる高密度の細胞および結合組織の形成を防止または減少させる。好ましくは、1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターの量は、創傷治癒を防止しない。
肥厚性瘢痕化

0152

いくつかの実施形態では、開示のLYSTインヒビターを使用して、肥厚性瘢痕の発達を処置、軽減、阻害、または防止する。過剰な瘢痕化は、組織応答が正常な修復および治癒に必要な瘢痕組織の量との釣り合いを失った場合に起こり得る。深い創傷により相当な真皮の喪失を伴う場合、創傷部位に肥厚性瘢痕組織が沈着し得る。瘢痕組織は、高密度の細胞を含み、結合組織の体積が増加し、血管数の増加に起因して血管供給が増加する。肥厚性瘢痕は、組織修復のリモデリング期の欠陥の結果として生じ得る(Ehrlich and Kelley,Plast Reconstr Surg.,90:993−998(1992))。

0153

開示のLYSTインヒビターを使用して、創傷領域中の血管の発達を減少または防止し、それにより、肥厚性瘢痕化の発達を軽減、遅滞、または防止することができる。
ケロイド

0154

いくつかの実施形態では、開示のLYSTインヒビターを使用して、ケロイド瘢痕の発達を処置、軽減、阻害、または防止する。ケロイド瘢痕は、傷害の境界を超えた隆起または肥厚した瘢痕であり、長期間にわたって発達および拡大し続け得る。ケロイド成長の発達中、創傷修復で使用されるコラーゲンが過剰に成長して、元の瘢痕の塊よりも大きな塊を何度も産生する。

0155

LYSTインヒビターを使用して、皮膚傷害(例えば、ピアシング、裂傷、熱傷ワクチン接種、または炎症過程)に関連するケロイド発達を防止することができる。LYSTインヒビターを、必要に応じて、局所または局部に適用することができる。
癒着

0156

癒着は、しばしば手術中の傷害の結果としての組織と器官との間に形成される線維帯である。癒着は、通常は結合しない組織を、大抵は腹膜腔などの実質的な空間を横切って結合する内部瘢痕組織と考えることができる。腹部手術または外傷後、傷害により線維素溶解酵素の産生または活性が損なわれて線維素性癒着が発達し得る。これが起こる場合、組織修復細胞(マクロファージ、線維芽細胞、および他の血管細胞など)が線維素性癒着を浸透してコラーゲンおよび他のマトリックス物質が沈着し、それにより永続的な線維状癒着が形成される。

0157

開示のLYSTインヒビターによって処置、軽減、または防止することができる例示的な癒着には、腹部癒着、骨盤内癒着(子宮内膜症に起因する骨盤内癒着が含まれる)、心膜癒着硬膜外癒着、および周囲の癒着が含まれる。癒着の症状には、腹痛、遮断、慢性骨盤痛痙攣嘔気、柔軟性の制限、および癒着部位の炎症または腫脹が含まれ得る。他の線維増殖性疾患

0158

いくつかの実施形態では、1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターを、線維増殖性疾患を処置するために適用することができる。

0159

線維症は、炎症および/または損傷に応答した器官または組織中の過剰な線維状結合組織の沈着である(Wynn,Nat Rev Immunol.,4(8):583−594(2004))。損傷組織の修復は、組織傷害部位での細胞外基質成分の産生を含む。マクロファージおよび損傷組織は、結合組織(コラーゲンおよびグリコサミノグリカンが含まれる)を蓄えるように細胞を刺激するサイトカインおよびTGFβを放出する。しかし、この過程の調節不全によりこの結合組織が過剰に沈着し、その下にある器官の構造および機能が破壊され、線維症性疾患の病状をもたらし得る。線維症は、体内の多くの組織(肝臓、肺、心臓、および腎臓が含まれる)で生じ得る。主要器官の線維症および線維増殖性障害の処置方法を提供する。
肝硬変

0160

肝臓の線維症は、肝硬変として公知の過程において肝細胞非機能性瘢痕組織によって置き換えられるとおりの肝臓損傷をもたらす(Masuokaら Ann NY Acad.Sci.,1281:106−122(2013))。肝線維症および結果として生じる肝硬変は、実質的に全ての慢性肝臓疾患の最終共通経路をあらわし、肝不全、肝臓がん、および肝臓関連死に至り得る。肝硬変は、正常な実質が瘢痕組織に置き換わる場合におこる。急性肝傷害(例えば、ウイルス性肝炎)後、炎症応答に関連する過程においては、実質細胞が再生し、壊死細胞またはアポトーシス細胞にとってかわる。肝傷害が持続する場合、肝臓の再生過程が最終的に崩壊し、肝細胞が豊富な細胞外基質(線維性コラーゲンが含まれる)に置き換えられる。進行性線維症は、線維性コラーゲン(主に、コラーゲンIおよびコラーゲンIII)が豊富な細胞外基質タンパク質の蓄積を特徴とする(Iredale,J Clin Invest.,117(3):529−548(2007);Bataller and Brenner,J Clin Invest,115(2):209−218(2005)に概説されている)。コラーゲンを分泌するように肝星細胞(HSC)を活性化する炎症細胞は、線維症性肝臓疾患における重要な因子である。単球数の増加は、疾患の進行、特に、非肝硬変性疾患から肝硬変性疾患への進行に関連している。

0161

非処置コントロール被験体と比較して肝臓疾患の1つまたはそれを超える症状を軽減、減少、制限、または防止するのに有効な量の1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターを被験体に投与することを含む、被験体における肝線維症を処置する方法を提供する。肝臓疾患の典型的な症状には、腹部腫瘤(abdominal mass)の増大、疲労、腹痛、悪液質黄疸閉塞症候群(リンパ遮断および腹水の蓄積が含まれる)、貧血、および背部痛が含まれるが、これらに限定されない(Sunら,Clin J.Oncol.Nurs.,12:759−766(2008))。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターは、非処置コントロール被験体と比較して肝臓疾患を有する被験体において肝機能を改善するか、炎症を軽減するか、線維症を軽減するか、これらの組み合わせである。
肺線維症

0162

肺線維症は、顕著な構造上の歪みおよび肺胞腔の喪失を生じ、臓器不全、最終的には呼吸不全に起因する死に至る肺内の過剰な線維状組織の沈着を特徴とする。肺線維症は、酸素拡散能の不可逆的な減少を引き起こす、正常な肺実質の線維症性組織での段階的交換を含む。

0163

肺線維症(特発性線維化肺胞炎としても公知)は、間質性肺疾患(ILD)(結合組織病など)または慢性炎症性疾患(例えば、関節リウマチ)、感染症、特発性肺疾患、および悪性疾患に関連する。吸入された毒素への環境曝露、薬物適用、および放射線療法も肺線維症に関連している。

0164

非処置コントロール被験体と比較して肺線維症の1つまたはそれを超える症状を軽減、減少、制限、または防止するのに有効な量の1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターを被験体に投与することを含む、被験体における肺線維症を処置または防止する方法を提供する。典型的な症状には、慢性乾性咳嗽息切れ、疲労および脱力感、胸部不快感食欲不振、ならびに体重減少が含まれる。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターは、非処置コントロール被験体と比較して肺線維症を有する被験体において呼吸機能を改善するか、炎症を軽減するか、線維症を軽減するか、これらの組み合わせである。
他の線維症性疾患

0165

非処置コントロール被験体と比較して過剰な線維症の1つまたはそれを超える症状を軽減、減少、制限、または防止するのに有効な量の1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターを被験体に投与することを含む、被験体における過剰な線維症を特徴とする疾患を処置または防止する方法を提供する。開示の方法によって処置することができる例示的な疾患および障害には、腎硬化症、強皮症、シャープ症候群、神経線維腫症骨髄線維症全身性硬化症デュピュイトラン拘縮、および黄斑変性が含まれる。さらに、外科合併症、化学療法、または他の薬物誘発性線維症、放射線誘発性線維症、傷害および熱傷に起因する線維症に関連する瘢痕化および線維症の処置方法を提供する。
血小板機能に関連する疾患

0166

過剰なもしくは有害な血小板活性化および/または血小板由来成長因子(PDGF)媒介性シグナル伝達を特徴とする疾患を処置または防止する方法を提供する。血小板が血液凝固過程において重要な役割を果たすので、血小板を対象とした治療は、心臓および脳の血管疾患との戦いにおいて最も重要な治療のうちのいくらかを占める。不適切なまたは過剰な血小板の活性化により、インタクトな血管内にクロット形成が生じ得る(血栓症)。遊離し、体内を駆け巡り始めるクロット(血栓塞栓症)は、血管の閉鎖または閉塞、鬱血、虚血、卒中、および/または死を引き起こし得る。

0167

LYSTの軽減により、血小板活性化の軽減およびPDGF発現の軽減もたらすことを明らかにした(実施例7を参照のこと)。したがって、LYST−インヒビターを、抗血小板薬として使用して、有害な血小板凝集および血栓形成を軽減または防止することができる。非処置コントロール被験体と比較して有害なまたは過剰な血小板凝集の1つまたはそれを超える症状を軽減、減少、制限、または防止するのに有効な量の1つまたはそれを超えるLYSTインヒビターを被験体に投与することを含む、被験体における有害なまたは過剰な血小板活性化を特徴とする疾患を処置または防止する方法を提供する。したがって、LYSTインヒビターを使用して、望ましくないか有害な血小板機能に関連する疾患または障害を処置または防止することができる。血小板の不適切な/有害な活性化に起因する障害の例には、血小板の高凝集または平均血小板容積(MPV)の増加および血小板増加性(thrombocytosisl)動脈血栓症;静脈血栓症(バッドキアリ症候群;海綿静脈洞血栓症;脳静脈洞血栓症深部静脈血栓症;パジェットシュレッター病;門脈血栓症頸静脈血栓症;腎静脈血栓症);および微小循環性血栓症が含まれる。動脈血栓症は、血流を部分的または完全に閉塞して、下流の虚血、卒中、または心筋梗塞を生じ得る。

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