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技術 車両用操舵装置

出願人 本田技研工業株式会社
発明者 田村憲史遠藤祐輝飯島健
出願日 2019年5月13日 (10ヶ月経過) 出願番号 2019-090751
公開日 2019年8月15日 (7ヶ月経過) 公開番号 2019-135152
状態 未査定
技術分野 走行状態に応じる操向制御 駆動装置の関連制御、車両の運動制御
主要キーワード 推移特性 C状態 最大制御量 片流れ現象 移動禁止 巡航制御 走行モータ用インバータ キャンセル判定
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (14)

課題

自車両の車速低車速域を経て高車速域移行した際でも、運転者に与える操舵感快適性を確保する。

解決手段

車両用操舵装置Sは、電動機3と、舵角センサ41と、操舵トルクセンサ42と、車輪速センサ44と、巡航制御部21と、電動機3に供給され車両Cの片流れ現象を抑制するための片流れ対応電流値演算する保舵支援制御部12と、を備える。保舵支援制御部12は、トルク積算値に応じて、車両の片流れ現象を抑制するための操舵系中点舵角に相当する片流れ対応舵角値の変位量を算出する片流れ対応舵角値算出部91を有する。保舵支援制御部12は、巡航制御中、かつ、車速Vが第1の閾値Vth1 未満の場合に、片流れ対応舵角値の変位量を、車速Vが第1の閾値Vth1 以上の際のそれと比べて低減させる制御を行う。

概要

背景

幅方向に沿って傾斜した道路であるカント路横風の中で車両を走行させる際には、カント路では重力の影響を受けて傾斜方向の下方側に車両が流される一方、横風の中では風力の影響を受けて風下側に車両が流される現象を生じる。こうした現象を、車両の片流れと呼ぶ。車両の片流れ現象に抗して車両を巡航制御しつつ直進走行させ続けるには、運転者操向ハンドルを傾斜方向の上方側や風上側に向けて切り続ける必要がある。つまり、車両の片流れ現象が生じる状況下では、車両の直進状態を維持するために、運転者は車両が流される方向(片流れの方向)とは逆の方向に操舵力絶えず与え続ける必要がある。

例えば、特許文献1には、電動機と、舵角センサと、操舵トルクセンサと、車両が直進状態にある場合に、操舵トルク及び舵角を含む車両情報に基づいて電動機に係る駆動電力を制御することにより、操舵系アシストトルクを付与する制御を行うEPS_ECUと、を有する車両用操舵装置が開示されている。特許文献1に係る車両用操舵装置において、EPS_ECUは、操舵トルクを積算したトルク積算値を算出する積算部と、トルク積算値が閾値以上のとき、トルク積算値に基づく片流れ対応制御を行わせる保舵支援制御部とを備える。
特許文献1に係る車両用操舵装置によれば、カント路走行時や横風走行時などにおいて車両の片流れ現象を抑制するための片流れ対応制御を実行することにより、車両の片流れ現象が生じる状況下であっても、運転者に与える操舵感快適性を確保することができる。

概要

自車両の車速低車速域を経て高車速域移行した際でも、運転者に与える操舵感の快適性を確保する。車両用操舵装置Sは、電動機3と、舵角センサ41と、操舵トルクセンサ42と、車輪速センサ44と、巡航制御部21と、電動機3に供給され車両Cの片流れ現象を抑制するための片流れ対応電流値演算する保舵支援制御部12と、を備える。保舵支援制御部12は、トルク積算値に応じて、車両の片流れ現象を抑制するための操舵系の中点舵角に相当する片流れ対応舵角値の変位量を算出する片流れ対応舵角値算出部91を有する。保舵支援制御部12は、巡航制御中、かつ、車速Vが第1の閾値Vth1 未満の場合に、片流れ対応舵角値の変位量を、車速Vが第1の閾値Vth1 以上の際のそれと比べて低減させる制御を行う。

目的

本発明は、カント路走行時や横風走行時などの車両の片流れ現象が生じる状況下で車両を巡航制御しつつ直進走行させる場合において、自車両の車速が低車速域を経て高車速域に移行した際でも、運転者に与える操舵感の快適性を確保可能な車両用操舵装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

車両の操舵系操舵アシストするためのアシストトルクを付与する電動機と、前記操舵系の操舵に要する操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、前記操舵系に係る舵角を検出する舵角検出部と、車速を検出する車速検出部と、前方車両との車間距離所定値に保つための巡航制御を、停車を含む低車速域から高車速域にわたって行う巡航制御部と、前記操舵トルクに基づいて前記電動機に係る駆動電流を制御することにより、前記操舵系に前記アシストトルクを付与する制御を行う制御装置と、を備える車両用操舵装置において、前記制御装置は、前記電動機に供給され前記車両の片流れ現象を抑制するための片流れ対応制御に係る制御量を演算する片流れ対応制御部を更に備え、前記片流れ対応制御部は、前記操舵トルクの積算値であるトルク積算値を算出する積算部と、当該トルク積算値に応じて、前記車両の片流れ現象を抑制するための前記操舵系の中点舵角に相当する片流れ対応舵角値の変位量を算出する片流れ対応舵角値算出部と、前記片流れ対応舵角値の変位量に対応する前記片流れ対応制御に係る制御量が関係付けられた関係情報を記憶する関係情報記憶部と、を有し、前記片流れ対応制御部は、前記関係情報を参照して、前記片流れ対応舵角値の変位量に対応する前記片流れ対応制御に係る制御量を演算し、前記巡航制御中、かつ、前記車速が所定の閾値未満の場合に、前記片流れ対応舵角値の変位量を、前記車速が前記所定の閾値以上の際のそれと比べて低減させる制御を行うことを特徴とする車両用操舵装置。

請求項2

請求項1に記載の車両用操舵装置において、前記片流れ対応制御部は、前記車速が前記所定の閾値未満となった場合に、前記片流れ対応舵角値を、前記車速が前記所定の閾値未満となる直前の値に保持することを特徴とする車両用操舵装置。

請求項3

請求項1又は2に記載の車両用操舵装置において、前記片流れ対応制御部は、前記巡航制御中、かつ、前記車速が所定の閾値未満の場合に、前記片流れ対応制御に係る制御量を、前記車速が前記所定の閾値以上の場合の前記片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させる制御を行うことを特徴とする車両用操舵装置。

請求項4

請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用操舵装置において、車速の変化に対する車速レシオの値を出力する車速レシオ出力部をさらに備え、前記車速レシオは、車速が第1の閾値を超える車速域では、車速レシオの値が1をとり、車速が第1の閾値〜第2の閾値の間に属する車速域では、その値が1から0に至るまで漸減し、車速が第2の閾値を下回る車速域では、車速レシオの値が0をとる特性に設定され、前記片流れ対応制御部は、前記片流れ対応舵角値に前記車速レシオの値を乗算することで当該片流れ対応舵角値を補正することを特徴とする車両用操舵装置。

技術分野

0001

本発明は、操舵用の電動機を備えた車両用操舵装置に関する。

背景技術

0002

幅方向に沿って傾斜した道路であるカント路横風の中で車両を走行させる際には、カント路では重力の影響を受けて傾斜方向の下方側に車両が流される一方、横風の中では風力の影響を受けて風下側に車両が流される現象を生じる。こうした現象を、車両の片流れと呼ぶ。車両の片流れ現象に抗して車両を巡航制御しつつ直進走行させ続けるには、運転者操向ハンドルを傾斜方向の上方側や風上側に向けて切り続ける必要がある。つまり、車両の片流れ現象が生じる状況下では、車両の直進状態を維持するために、運転者は車両が流される方向(片流れの方向)とは逆の方向に操舵力絶えず与え続ける必要がある。

0003

例えば、特許文献1には、電動機と、舵角センサと、操舵トルクセンサと、車両が直進状態にある場合に、操舵トルク及び舵角を含む車両情報に基づいて電動機に係る駆動電力を制御することにより、操舵系アシストトルクを付与する制御を行うEPS_ECUと、を有する車両用操舵装置が開示されている。特許文献1に係る車両用操舵装置において、EPS_ECUは、操舵トルクを積算したトルク積算値を算出する積算部と、トルク積算値が閾値以上のとき、トルク積算値に基づく片流れ対応制御を行わせる保舵支援制御部とを備える。
特許文献1に係る車両用操舵装置によれば、カント路走行時や横風走行時などにおいて車両の片流れ現象を抑制するための片流れ対応制御を実行することにより、車両の片流れ現象が生じる状況下であっても、運転者に与える操舵感快適性を確保することができる。

先行技術

0004

特開2015−37932号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1に係る車両用操舵装置では、前記片流れ対応制御は、例えば、車両の定速走行制御を行うクルーズコントロール連係して実行される。このクルーズコントロールとして、高車速域から低車速域停車を含む)に至る広範な車速域にわたって作動するものが知られている。

0006

ところで、一般に、前記のような低車速域では、前記高車速域や中車速域と比べて、自車両の進行方向を修正するためのハンドル操舵角度が大きくなる傾向がある。特に、片流れ対応制御では、(車両の片流れ現象を抑制するため)トルク積算値に基づいて操舵系の中点舵角(以下、単に“中点”と呼ぶ場合がある。)を移動させるため、前記低車速域では、適切でない舵角値への中点の移動(片流れ対応舵角値のブレ)が生じがちであった。

0007

そのため、片流れ対応制御の実行中に、自車両の車速が前記低車速域を経て前記高車速域に移行した際に、車両の片流れ現象を抑制可能な舵角に中点が収束(片流れ対応舵角値のブレが収束)するまでに相応の時間がかかり、その間、運転者に違和感を与え続けてしまうおそれがあった。

0008

そこで、本発明は、カント路走行時や横風走行時などの車両の片流れ現象が生じる状況下で車両を巡航制御しつつ直進走行させる場合において、自車両の車速が低車速域を経て高車速域に移行した際でも、運転者に与える操舵感の快適性を確保可能な車両用操舵装置を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0009

上記課題を解決するために、本発明に係る車両用操舵装置(1)は、車両の操舵系の操舵をアシストするためのアシストトルクを付与する電動機と、前記操舵系の操舵に要する操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、前記操舵系に係る舵角を検出する舵角検出部と、車速を検出する車速検出部と、前記車両の巡航制御を、停車を含む低車速域から高車速域にわたって行う巡航制御部と、前記操舵トルクに基づいて前記電動機に係る駆動電流を制御することにより、前記操舵系に前記アシストトルクを付与する制御を行う制御装置と、を備える車両用操舵装置が前提となる。
前記制御装置は、前記電動機に供給され前記車両の片流れ現象を抑制するための片流れ対応制御に係る制御量を演算する片流れ対応制御部を更に備える。前記片流れ対応制御部は、前記操舵トルクの積算値であるトルク積算値を算出する積算部と、当該トルク積算値に応じて、前記車両の片流れ現象を抑制するための前記操舵系の中点舵角に相当する片流れ対応舵角値の変位量を算出する片流れ対応舵角値算出部と、前記片流れ対応舵角値の変位量に対応する前記片流れ対応制御に係る制御量が関係付けられた関係情報を記憶する関係情報記憶部と、を有する。
前記片流れ対応制御部は、前記関係情報を参照して、前記片流れ対応舵角値の変位量に対応する前記片流れ対応制御に係る制御量を演算し、前記巡航制御中、かつ、前記車速が所定の閾値未満の場合に、前記片流れ対応舵角値の変位量を、前記車速が前記所定の閾値以上の際のそれと比べて低減させる制御を行うことを最も主要な特徴とする。

0010

いま、例えば、カント路や横風などの外乱の影響によって車両が進行方向左側に片流れする状況で、車両を巡航制御しつつ直進走行させる場合を考える。この場合、運転者は、操向ハンドルを進行方向右側に切り続けることで、車両の進行方向左側への片流れ傾向に抗して車両を巡航制御しつつ直進走行させようとする。かかる状況では、進行方向右側へのトルク積算値に基づいて、進行方向右側への操舵トルクを軽減させることで、車両の片流れ現象を抑制するように片流れ対応制御が行われる。その結果、本来であれば進行方向右側へ操向ハンドルを切り続けなければならなかった運転者の肉体的な負担が軽減される。
また、片流れ対応制御部は、巡航制御中、かつ、車速が所定の閾値(例えば、時速40キロなど;第3の閾値Vth3 が相当する)未満の場合に、片流れ対応舵角値の変位量を、車速が所定の閾値以上の際のそれと比べて低減させる。その結果、(片流れ対応舵角値のブレが生じがちな)巡航制御中かつ車速が所定の閾値未満の場合において、片流れ対応舵角値のブレを抑制することができる。

0011

本発明に係る車両用操舵装置(1)によれば、カント路走行時や横風走行時などの車両の片流れ現象が生じる状況下で車両を巡航制御しつつ直進走行させる場合において、自車両の車速が低車速域を経て高車速域に移行した際でも、車両の片流れ現象を抑制するための操舵系の中点舵角に相当する片流れ対応舵角値を迅速に適切な値に収束させることができるため、運転者に与える操舵感の快適性を確保することができる。
なお、後記する実施形態では、片流れ対応制御部は、トルク積算値が所定の閾値を超える場合に片流れ対応制御を行わせる例をあげて説明する。

0012

本発明に係る車両用操舵装置(2)は、車両用操舵装置(1)において、前記片流れ対応制御部は、前記車速が前記所定の閾値未満となった場合に、前記片流れ対応舵角値を、前記車速が前記所定の閾値未満となる直前の値に保持することを特徴とする。

0013

本発明に係る車両用操舵装置(2)によれば、片流れ対応制御部は、車速が所定の閾値未満となった場合に、片流れ対応舵角値を、車速が所定の閾値未満となる直前の値に保持するため、片流れ対応舵角値のブレを未然に回避することができる。その結果、カント路走行時や横風走行時などの車両の片流れ現象が生じる状況下で車両を巡航制御しつつ直進走行させる場合において、自車両の車速が低車速域を経て高車速域に移行した際でも、車両の片流れ現象を抑制するための操舵系の中点舵角に相当する片流れ対応舵角値を一層迅速に適切な値に収束させることができる。そのため、運転者に与える操舵感の快適性を高水準で確保することができる。

0014

本発明に係る車両用操舵装置(3)は、車両用操舵装置(1)又は(2)において、前記片流れ対応制御部は、前記巡航制御中、かつ、前記車速が所定の閾値未満の場合に、前記片流れ対応制御に係る制御量を、前記車速が前記所定の閾値以上の場合の前記片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させる制御を行うことを特徴とする。

0015

本発明に係る車両用操舵装置(3)では、片流れ対応制御部は、巡航制御中、かつ、車速が所定の閾値(例えば、時速50キロなど;第1の閾値Vth1 が相当する)未満の場合に、片流れ対応制御に係る制御量を、車速が前記所定の閾値(第1の閾値Vth1 )以上の場合の片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させる制御を行う。

0016

本発明に係る車両用操舵装置(3)によれば、片流れ対応制御部は、巡航制御中、かつ、車速が所定の閾値未満の場合に、片流れ対応制御に係る制御量を、車速が所定の閾値以上の場合の片流れ対応制御に係る制御量と比べて減少させるため、車両の片流れ現象が生じる蓋然性の低い車速が所定の閾値未満の場合における片流れ対応制御に係る稼働率を低減し適正化することができる。

0017

また、本発明に係る車両用操舵装置(4)は、本発明に係る車両用操舵装置(1)〜(3)のいずれかに記載の車両用操舵装置において、車速の変化に対する車速レシオの値を出力する車速レシオ出力部をさらに備え、前記車速レシオは、車速が第1の閾値を超える車速域では、車速レシオの値が1をとり、車速が第1の閾値〜第2の閾値の間に属する車速域では、その値が1から0に至るまで漸減し、車速が第2の閾値を下回る車速域では、車速レシオの値が0をとる特性に設定され、前記片流れ対応制御部は、前記片流れ対応舵角値に前記車速レシオの値を乗算することで当該片流れ対応舵角値を補正することを特徴とする。

0018

本発明に係る車両用操舵装置(4)では、車速レシオは、車速が第1の閾値を超える車速域では、車速レシオの値が1をとり、車速が第1の閾値〜第2の閾値の間に属する車速域では、その値が1から0に至るまで漸減し、車速が第2の閾値を下回る車速域では、車速レシオの値が0をとる特性に設定され、片流れ対応制御部は、片流れ対応舵角値に車速レシオの値を乗算することで当該片流れ対応舵角値を補正する。
なお、車速が第1の閾値以下の低車速域では、修正舵の量及び頻度が多くなる傾向があるため、片流れ対応制御に係る制御量を小さく補正するのが、適切でない片流れ対応舵角値への中点の移動(片流れ対応舵角値のブレ)を抑制する観点から好ましいと考えられる。

0019

本発明に係る車両用操舵装置(4)によれば、修正舵の量及び頻度が多くなる傾向がある車速が第1の閾値以下の低車速域では、片流れ対応制御に係る制御量を小さく補正するため、適切でない舵角値への中点の移動(片流れ対応舵角値のブレ)を適確に抑制することができる。
その結果、本発明に係る車両用操舵装置(4)によれば、本発明に係る車両用操舵装置(1)に比べて、運転者に与える操舵感の快適性を一層高めることができる。

発明の効果

0020

本発明によれば、カント路走行時や横風走行時などの車両の片流れ現象が生じる状況下で車両を巡航制御しつつ直進走行させる場合において、自車両の車速が低車速域を経て高車速域に移行した際でも、車両の片流れ現象を抑制するための操舵系の中点舵角に相当する片流れ対応舵角値を迅速に適切な値に収束させることができるため、運転者に与える操舵感の快適性を確保することができる。

図面の簡単な説明

0021

本発明の実施形態に係る車両用操舵装置を搭載した車両の全体構成を模式的に表す図である。
本発明の実施形態に係る車両用操舵装置の概略構成を表すブロック図である。
図2に示す保舵支援制御部の内部構成を表すブロック図である。
車速に応じて可変となる車速レシオ特性の一例を表す説明図である。
図3Aに示す中点移動制御部の内部構成を表すブロック図である。
車速の高低に応じて反転する中点移動の許可又は禁止状態を表す図である。
平坦な直線路を走行中の場合の、車体の傾斜及び操舵トルクの関係を表す説明図である。
カント路を走行中に片流れ対応制御なしの場合の、車体の傾斜及び操舵トルクの関係を表す説明図である。
カント路を走行中に片流れ対応制御ありの場合の、車体の傾斜及び操舵トルクの関係を表す説明図である。
カント路において車両に加わる外力と運転者の操舵の関係を表す図である。
車線によってカント路の傾斜が違うことを表す図である。
本発明の実施形態に係る車両用操舵装置において、巡航制御と片流れ対応制御との連係を簡易に表すフローチャートである。
(a)はCCスイッチ位置の時間推移を、(b)は実舵角の時間推移を、(c)は時刻t2の時点での舵角θを初期値とした片流れ対応舵角の時間推移を、(d)は時刻t2の時点での舵角ゼロを初期値とした片流れ対応舵角の時間推移を、模式的に示す片流れ対応制御のタイムチャートである。

実施例

0022

次に、本発明を実施するための形態について、添付の図面を参照しながら、詳細に説明する。

0023

(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る車両用操舵装置Sを搭載した車両Cの全体構成を模式的に示す図である。
図1に示すように、車両Cは、不図示の内燃機関を備え、車輪Wを4つ備える四輪自動車である。車輪WFは、転舵輪を示す。車両Cに搭載された車両用操舵装置Sは、電動パワーステアリング(Electric Power Steering:EPS)を制御するためのECU(Electronic Control Unit)であるEPS_ECU1や、転舵用の電動機3をはじめとした、電動パワーステアリング装置の構成を備えている。この電動パワーステアリング装置は、車輪Wを転舵する際に要する運転者の操舵力を、電動機3を駆動させることで軽減するようにアシストする周知の装置である。また、車両Cは、燃料噴射(Fuel Injection:FI)を制御するためのECUであるFI_ECU2を備える。
EPS_ECU1には、舵角センサ41、操舵トルクセンサ42、ヨーレートセンサ43、及び、車輪速センサ44を含む各種センサ4、並びに、巡航制御(クルーズコントロール:CC)スイッチ(以下、“巡航制御スイッチ”を“CCスイッチ”と省略する。)SWが接続されている。

0024

舵角センサ41は、操舵系の舵角を検出する。本実施形態では、舵角センサ41を、電動機3の回転角度計測する角度センサ代用する例をあげて説明する。この舵角センサ41により、操向ハンドルHの舵角のほか、電動機3の回転速度(電動機回転速度、実質的に、操舵速度同義)を検出する。舵角センサ41は、本発明の“舵角検出部”に相当する。

0025

操舵トルクセンサ(図1では“トルクセンサ”と表記)42は、運転者が操向ハンドルHを介して入力する操舵トルク(手動操舵力)を検出する。操舵トルクセンサ42は、本発明の“操舵トルク検出部”に相当する。

0026

ヨーレートセンサ43は、車両Cのヨーレート旋回角速度)を検出する。
車輪速センサ44は、車輪Wの回転速度を車輪速パルス信号として検出する。図1では、車輪速センサ44を1つの車輪Wにのみ記載しているが、実際には4つの車輪Wのそれぞれに備えられている。
車両Cの車速Vは、例えば、4つの車輪Wのそれぞれに備えられている車輪速センサ44の検出値の平均をとるか、又は、従動輪となる2つの車輪Wに備えられている車輪速センサ44の検出値の平均をとることで算出すればよい。車輪速センサ44は、本発明の“車速検出部”に相当する。

0027

CCスイッチSWは、定速制御下で高速道路などを走行する際に、運転者によりオン操作される部材である。図1では、巡航制御スイッチを“CCスイッチ”と表記している。CCスイッチSWは、例えば、操向ハンドルH又はその近傍に設けられる。
CCスイッチSWは、運転者によるブレーキペダル踏み込み操作などの所定の条件を充足すると解除オフ)される。

0028

図1において、EPS_ECU1、FI_ECU2、各センサ4、CCスイッチSWなどの間は、例えば、CAN(Control Area Network)のような通信媒体Nを介して相互に接続されている。

0029

次に、本発明の実施形態に係る車両用操舵装置Sの概略構成について、図2を参照して説明する。図2は、図1の車両CにおけるEPS_ECU1及びFI_ECU2の概略構成と、両者の連係した関係を表すブロック図である。

0030

(EPS_ECU1)
図2に示すように、EPS_ECU1は、EPS用の電動機3の駆動制御を行う機能を有する。EPS_ECU1は、EPS制御部11、本発明の“片流れ対応制御部”に相当する保舵支援制御部12、ゼロ電流値出力部13、切替器14、リミッタ15、加算器16、及び、電動機駆動部17を備えて構成される。

0031

ちなみに、EPS_ECU1のうち、保舵支援制御部12、ゼロ電流値出力部13、切替器14、リミッタ15、及び、加算器16が、本発明に係る実施形態の特徴部分である。

0032

EPS制御部11は、車両Cの速度(車速V)、操向ハンドルHの舵角、操舵トルク、及び、電動機3の回転速度(操舵速度)を含む各種パラメータに基づいて、電動機3を駆動するための目標電流値(片流れ対応電流値概念を含む)をつくりだす機能を有する。

0033

保舵支援制御部12は、カント路などでの車両Cの片流れ現象が生じる状況下において、片流れを打ち消すための目標電流値(片流れ対応電流値)を、後段の切替器14に出力する、“片流れ対応制御”を行う機能を有する。保舵支援制御部12の詳細については、図3Aを参照し後記する。
ゼロ電流値出力部13は、加算器16に供給するゼロ電流値を、後段の切替器14に出力する機能を有する。

0034

切替器14は、巡航制御部21からのCC状態信号(巡航制御中フラグ)に基づき、CCスイッチSWがオン状態のときに保舵支援制御部12からの片流れ対応電流値を後段のリミッタ15に出力する一方、CCスイッチSWがオフ状態のときにゼロ電流出力部13からのゼロ電流値を後段のリミッタ15に出力する機能を有する。

0035

リミッタ15は、切替器14から出力される電流値の絶対値が、所定の制限値を超えないように制限する機能を有する。具体的には、リミッタ15は、例えば、CCスイッチSWがオン状態のときに、保舵支援制御部12から出力される片流れ対応電流値の絶対値が、所定の制限値を超えないように制限する。

0036

ここで、リミッタ15について、更に詳しく説明する。仮に、切替器14と加算器16との間を、リミッタ15を省いて直結したとする。この場合、加算器16には、切替器14の出力信号がそのまま入力される。切替器14の出力信号としては、保舵支援制御部12からの片流れ対応電流値に係る出力信号がある。片流れ対応電流値は、片流れを打ち消すために、保舵支援制御部12においてつくりだされる。強大な片流れ現象が車両Cに生じると、この強大な片流れを打ち消すために、片流れ対応電流値が過大な値となることがある。

0037

そうすると、過大な値となる片流れ対応電流値が、加算器16にそのまま入力される。すると、電動機駆動部17は、加算器16から出力される過大な片流れ対応電流値に基づいて電動機3を駆動する。つまり、EPS_ECU1では、適正な移動量を超えた中点の移動(片流れ対応舵角値の修正)を伴う片流れ対応制御が行われることになる。その結果、保舵力の制御を適切に行うことができないという課題が生じていた。

0038

そこで、切替器14と加算器16との間に、リミッタ15を設けると共に、リミッタ15で設定される電流制限値を、片流れ対応制御に係る最大制御量を超えない範囲内で設定することとした。
このように構成すれば、過大な片流れ対応電流値に基づく、適正な移動量を超えた中点の移動(片流れ対応舵角値の修正)を伴う片流れ対応制御を抑制して、保舵力の制御を適切に行うことができる。

0039

加算器16は、EPS制御部11が出力する目標電流値に対し、リミッタ15が出力する片流れ対応電流値を加算する機能を有する。具体的には、加算器16は、CCスイッチSWがオン状態の場合、EPS制御部11が出力する目標電流値に、保舵支援制御部12が出力する片流れ対応電流値を加算して電動機駆動部17に出力する機能を有する。

0040

電動機駆動部17は、不図示の演算装置インバータなどを備えてなる。電動機駆動部17は、加算器16から出力される加算処理後の目標電流値に基づいてPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成し、このPWM信号を用いてインバータを駆動し電動機3に供給する三相交流電流を生成し、電動機3をPWM駆動させる機能を有する。
(FI_ECU)

0041

FI_ECU2は、図2に示すように、点火時期や燃料噴射量などの制御を司るECUである。車両Cに搭載されたFI_ECU2は、巡航制御部21を備えている。FI_ECU2の巡航制御部21は、DBW(Drive-By-Wire)弁5の開度調整を行うことによって、適宜設定される車速Vで車両Cの巡航定速走行)制御を行う機能を有する。また、巡航制御部21は、操向ハンドルHに設けられているCCスイッチSWがオン状態のときに切替器14に信号(巡航制御中フラグ)を出力して、保舵支援制御部12が出力する片流れ対応電流値を後段のリミッタ15に出力させるように機能する。

0042

また、このCCスイッチSWがオン操作されたときは、巡航制御部21は、DBW(Drive By Wire)弁5を介してエンジンの出力をコントロールし、車両Cを巡航(定速走行)させる。この巡航制御機能を用いれば、例えば、信号機などがない長い直線路において、運転者がアクセルワークを行うことなく(アクセルペダルから足を離しても)、車両Cを巡航させることができる。
なお、巡航制御部21によるクルーズコントロールとして、加減速に加えて制動制御をも自動化することで前方車両との車間距離所定値(一定の値でもよいし、車速Vに応じて可変となる値でもよい。)に保つための制御を行うアダプティブクルーズ・コントロール(ACC)を適用してもよい。

0043

巡航制御部21と切替器14の連係は、次のようにしてなされる。すなわち、CCスイッチSWがオン状態であれば、片流れ対応制御(保舵支援制御)を行う場面を生じる蓋然性が高いとみなして、切替器14を保舵支援制御部12の側に切り替えて片流れ対応制御を有効とする。
一方、CCスイッチSWがオフ状態であれば、大きな操舵もなく、片流れ対応制御が運転者の快適性の支障になる場面を生じる蓋然性が低いとみなして、切替器14をゼロ電流出力部13の側に切り替えて、片流れ対応制御を無効とする。

0044

(保舵支援制御部)
次に、保舵支援制御部12の内部構成について、図3A図3Bを参照して説明する。図3Aは、図2に示す保舵支援制御部の内部構成を表すブロック図である。図3Bは、車速Vに応じて可変となる車速レシオ特性の一例を表す説明図である。
図3Aに示すように、保舵支援制御部12は、中点移動制御部120、減算部121、保舵支援電流値設定部122、ローパスフィルタLPF)123、第1レシオ出力部124、乗算部131、ダンパ電流値設定部126、第2レシオ出力部127、乗算部128、加算部133などを備える。

0045

本実施形態に係る保舵支援制御部12は、カント路や横風などのように車両Cに片流れ現象を生じさせる外乱(外力)に抗して、電動機3の動きを抑制するような目標電流値(片流れ対応用のベース電流値)を出力する機能を有する。

0046

中点移動制御部120は、ヨーレート、操舵トルク、保舵支援制御部12の出力電流値を入力して、例えば、操舵トルクの積算値(トルク積算値)が閾値(中点移動判定閾値)を超えた場合に、車両Cの片流れ現象を抑制するための操舵系の中点舵角に相当する片流れ対応舵角値の移動量(変位量)を出力する機能を有する。この中点移動制御部120については、後で、図4Aを参照して詳細に説明する。

0047

ちなみに、片流れ対応舵角値に係る初期値は、例えば、操舵系の中立位置に相当する0degに設定される。片流れ対応舵角値に係る初期値としては、例えば、操向ハンドルHの操舵角が所定の舵角閾値未満であるか、又は、ヨーレートが所定のヨーレート閾値未満の場合、その時の操向ハンドルHの操舵角を設定すればよい。また、操向ハンドルHの操舵角が所定の舵角閾値以上であるか、又は、ヨーレートが所定のヨーレート閾値以上の場合、片流れ対応舵角値に係る初期値として0degを設定すればよい。具体的には、片流れ対応舵角値に係る初期値は、例えば、実験シミュレーションなどにより得られる解析結果に基づいて、その値の大きさを適宜設定すればよい。

0048

減算部121は、前記片流れ対応舵角値に係る初期値(操舵系の中立位置に相当する0deg、又は、舵角センサ41から入力される現在の操向ハンドルHの操舵角)を基準として、中点移動制御部120から出力される片流れ対応舵角値の移動量(変位量)を減算する機能を有する。

0049

保舵支援電流値設定部122は、片流れ対応舵角値の移動量(変位量)に対応する片流れ対応電流値(片流れ対応制御に係る制御量)が関係付けられた関係情報(舵角−電流特性)に基づいて、減算部121から入力した片流れ対応舵角値の移動量を片流れ対応電流値(ベース電流値:片流れ対応制御に係る制御量)に変換する機能を有する。なお、前記関係情報(舵角−電流特性)は、舵角の絶対値が大きくなるほどベース電流値の絶対値が大きくなる特性に設定される。運転者は、片流れの傾向が大きくなるほど、その傾向を打ち消すために、舵角を大きくして保舵しようとするからである。保舵支援電流値設定部122は、本発明の“関係情報記憶部”に相当する。

0050

補足すると、前記関係情報(舵角−電流特性)は、車両Cに片流れ現象を生じさせようとする外乱(外力)に抗して電動機3の動きが抑制されるような舵角−電流特性に設定される。電動機3の動きが抑制されると、操向ハンドルHの動きが抑制されるため、ひいては、操向ハンドルHを保舵する際の運転者の肉体的な負担を軽減することができるからである。

0051

図3Aの保舵支援電流値設定部122において示すグラフでは、横軸の中央から右側へ向かう舵角をプラスの値、左側へ向かう舵角をマイナスの値で示している。例えば、舵角がプラスの値の場合には、ベース電流値はマイナスの値に設定される。一方、舵角がマイナスの値の場合には、ベース電流値はプラスの値に設定される。

0052

なお、保舵支援電流値設定部122に設定される前記関係情報(舵角−電流特性)では、片流れ対応舵角値の初期値(図3Aの例では、0deg)を境界として、ベース電流値を立ち上げるか又は立下げる特性に設定している。前記関係情報(舵角−電流特性)を、このような特性に設定すると、片流れ対応舵角値の初期値付近における操向ハンドルHの舵角に対し、基準位置としての戻り感を付与することができる。以下の説明において、車両Cを直進走行させる際に基準となる操向ハンドルHの舵角を、“操舵系の中点舵角”と呼ぶ。この操舵系の中点舵角(中点)は、詳しくは後記するが、車両Cの走行環境(平坦な直線路か又はカント路か)に応じて変化する。

0053

なお、EPS制御部11においても、前記保舵支援制御部12と同様に、ベース電流値やダンパ電流値といった概念が存在する。しかし、保舵支援制御部12におけるベース電流値及びダンパ電流値は、保舵支援を狙った片流れ対応制御を行う際に用いられる概念であるのに対し、EPS制御部11におけるベース電流値及びダンパ電流値は、操舵に係るアシストトルク制御を行う際に用いられる概念である。そのため、保舵支援制御部12におけるベース電流値及びダンパ電流値と、EPS制御部11におけるそれとは、相互に概念が異なることを付言しておく。

0054

ローパスフィルタ123は、例えば、保舵支援電流値設定部122が出力するベース電流値に対して時間移動平均処理を行うことにより、ベース電流値の時間推移特性を鈍らせる機能を有する。ただし、保舵支援電流値設定部122に設定される前記関係情報(舵角−電流特性)を適宜調整することにより、ローパスフィルタ123を省略してもよい。

0055

ここで、ローパスフィルタ123について、更に詳しく説明する。仮に、ローパスフィルタ123を、保舵支援電流値設定部122の前段に設けたとする。この場合、ローパスフィルタ123には、舵角センサ41で検出した舵角信号が入力される。この際に、ローパスフィルタ123のカットオフ周波数を、比較的低い周波数に設定するのが通常である。舵角信号に含まれる高周波雑音を減らす(除去及び減衰を含む)ことにより、制御の信頼性を確保することができるからである。

0056

ところが、前記のように、ローパスフィルタ123のカットオフ周波数を、比較的低く設定すると、次に述べるような課題が生じる。すなわち、例えば、屈曲路走行時や車線変更時などにおいて、運転者が素早い操舵を行った結果、舵角信号の経時特性急変する場合がある。この際に、ローパスフィルタ123のカットオフ周波数が、比較的低く設定されている場合、舵角の急変に係る検出信号応答性が悪くなるため、舵角の急変に対する片流れ対応制御の応答性が損なわれてしまう。
また、前記とは逆に、ローパスフィルタ123のカットオフ周波数を、比較的高く設定すると、今度は、舵角信号に含まれる高周波雑音の除去が不十分となって、平坦路の直進走行時であっても、本来不要な場面で片流れ対応制御が行われるなど、片流れ対応制御の信頼性が損なわれてしまう。

0057

そこで、ローパスフィルタ123を、保舵支援電流値設定部122の後段に設けると共に、ローパスフィルタ123のカットオフ周波数を、比較的高く設定することとした。
このように構成すれば、片流れ対応制御の信頼性及び応答性を両立させることができる。また、ローパスフィルタ123のカットオフ周波数を設定する際の自由度を確保する効果を期待することもできる。

0058

第1レシオ出力部124は、操舵トルクの変化に対する第1レシオの関係情報(予め設定される)に基づいて、操舵トルクセンサ42から入力した操舵トルクを第1レシオに変換する機能を有する。ここで、第1レシオとは、ローパスフィルタ123が出力するベース電流値を、操舵トルクの大きさを考慮して好適に補正するための補正係数である。

0059

前記操舵トルクの変化に対する第1レシオの関係情報は、操舵トルクの値が所定の小さい領域では、第1レシオの値がほぼ一定の正の値をとると共に、操舵トルクの値が前記小さい領域を外れて大きくなるほど第1レシオの値が小さくなり、操舵トルクの値が所定の大きい領域では、第1レシオの値がゼロとなる特性に設定される。これは、運転者が車両Cの右左折車線変更障害物回避運動に伴う操舵を行う場合(操舵トルクの値は、前記大きい領域に属する。)に、片流れ対応電流値を小さく補正するのが、運転者の操舵を妨げない観点から好ましいと考えられるからである。

0060

車速レシオ出力部125は、車速Vの変化に対する車速レシオの関係情報(予め設定される)に基づいて、車輪速センサ44による車輪速に基づいて取得される車速Vを車速レシオに変換する機能を有する。ここで、車速レシオとは、ローパスフィルタ123が出力するベース電流値(片流れ対応制御に係る制御量)を、車速Vを考慮して好適に補正するための補正係数である。

0061

前記車速の変化に対する車速レシオの関係情報は、図3Bに示すように、車速Vが第1の閾値Vth1 (例えば時速50Kmなど)を超える中車速域では、車速レシオの値が一定の正の値(1)をとり、車速Vが第1の閾値Vth1 〜第2の閾値Vth2 (例えば時速30Kmなど)の間に属する低車速域では、その値が1から0に至るまで漸減し、車速Vが第2の閾値Vth2 を下回る極低車速域では、車速レシオの値が一定の値(0)をとる特性に設定される。これは、車速Vが第1の閾値Vth1 以下の低車速域では、修正舵の量及び頻度が多くなる傾向があるため、片流れ対応電流値を小さく補正するのが、適切でない舵角値への中点の移動(片流れ対応舵角値のブレ)を抑制する観点から好ましいと考えられるからである。

0062

乗算部131は、ローパスフィルタ123による高帯域成分除去処理がなされたベース電流値(片流れ対応舵角値)に対し、第1レシオ出力部124が出力する第1レシオ、及び、車速レシオ出力部125が出力する車速レシオを乗算する処理を施すことで、ベース電流値に対し、操舵トルクの大きさ及び車速Vの高低を考慮した補正を行う機能を有する。

0063

ダンパ電流値設定部126は、電動機回転速度の変化に対するダンパ電流値の関係情報(予め設定される)に基づいて、入力した電動機回転速度をダンパ電流値に変換する機能を有する。ここで、ダンパ電流値とは、電動機3を駆動するためのベース電流値を、電動機回転速度の高低を考慮して好適に補正するための補正係数である。

0064

電動機回転速度の変化に対するダンパ電流値の関係情報は、電動機回転速度がゼロを含む低速領域に属している場合に、電流値の大きさが線形増減すると共に、電動機回転速度が前記低速領域を外れると、それぞれの回転方向においてほぼ一定の電流値の値をとる特性に設定される。このように、電動機3の動きが急になるにつれて、その急な動きを抑制する特性を有する電流を電動機3に供給すると、電動機3の急な動きが抑制されて、操向ハンドルHの保舵に係る安定性が増すからである。なお、電動機回転速度に係る情報は、電動機3に設けられるレゾルバなどの回転速度センサから取得してもよいし、舵角センサ41に係る舵角の時間微分値に基づいて取得してもよい。

0065

ここで、前記ダンパ電流値設定部126で設定されるダンパ電流値と、EPS制御部11で設定されるダンパ電流値とは、下記の点で異なる。すなわち、EPS制御部11で設定されるダンパ電流値は、車両Cの高速走行中において、操向ハンドルHのふらつきを防止して安定した操舵感を運転者に与えるためのものである。これに対し、前記ダンパ電流値設定部126で設定されるダンパ電流値は、片流れ現象を抑制するためのものである。

0066

第2レシオ出力部127は、操舵トルクの変化に対する第2レシオの関係情報(予め設定される)に基づいて、操舵トルクセンサ42から入力した操舵トルクを第2レシオに変換する機能を有する。ここで、第2レシオとは、ダンパ電流値設定部126が出力するダンパ電流値を、操舵トルクの大きさを考慮して好適に補正するための補正係数である。

0067

前記操舵トルクに対する第2レシオの関係情報は、前記操舵トルクに対する第1レシオの関係情報と同様に、操舵トルクの値が所定の小さい領域では、第2レシオの値がほぼ一定の正の値をとると共に、操舵トルクの値が前記小さい領域を外れて大きくなるほど第2レシオの値が小さくなり、操舵トルクの値が所定の大きい領域では、第2レシオの値がゼロとなる特性に設定される。これは、運転者が車両Cの右左折、車線変更、障害物の回避運動に伴う操舵を行う場合(操舵トルクの値は、前記大きい領域に属する。)に、ダンパ電流値を小さく補正するのが、運転者の操舵を妨げない観点から好ましいと考えられるからである。

0068

乗算部128は、ダンパ電流値設定部126が出力するダンパ電流値に対し、第2レシオ出力部127が出力する第2レシオを乗算する処理を施すことで、操舵トルクの大きさを考慮したダンパ電流値の補正を行う機能を有する。

0069

加算部133は、乗算部131が出力するベース電流値に対し、乗算部128が出力するダンパ電流値を加算する処理を施すことで、ダンパ電流値の大きさを考慮したベース電流値の補正を行う機能を有する。加算部133は、前記補正後のベース電流値を、片流れ対応電流値として出力する。

0070

本実施形態では、図2に示すように、前記片流れ対応電流値は、FI_ECU2の巡航制御部21における巡航制御中を表すオン状態の場合に、加算器16において、EPS制御部11が出力する目標電流値(EPS制御における目標電流値)に加算される。電動機駆動部17は、不図示のバッテリ電源から供給される電流を前記加算後の目標電流値に追従させるように電動機3の駆動を行う。

0071

(中点移動制御部)
次に、中点移動制御部120の内部構成について、図4A図4Bを参照して説明する。図4Aは、中点移動制御部120の内部構成を表すブロック図である。図4Bは、車速Vの高低に応じて反転する中点移動の許可又は禁止状態を表す図である。

0072

中点移動制御部120は、図4Aに示すように、ローパスフィルタ(LPF)1201、トルク換算部1202、加算トルク算出部1203、中点移動キャンセル判定部1204、積算部1205、中点舵角移動量設定部1206などを備えている。

0073

ローパスフィルタ1201は、操舵トルクセンサ42から時々刻々と出力される操舵トルク信号高周波成分を除去し、除去後の低周波成分を主とする操舵トルク信号を、後段の加算トルク算出部1203に出力する機能を有する。ローパスフィルタ1201は、路面の凹凸に起因する操舵トルク信号の高周波成分を除去し、カント路において保舵する際の低周波成分を主とする操舵トルク信号のみを後段の加算トルク算出部1203宛に出力する。

0074

トルク換算部1202は、保舵支援制御部12が出力したベース電流値(電動機3への入力電流値)を帰還入力し、このベース電流値に所定の換算係数を乗じることでベース電流値を操舵トルクに換算し、この換算した操舵トルクを後段の加算トルク算出部1203に出力する機能を有する。

0075

加算トルク算出部1203は、ローパスフィルタ1201が出力した操舵トルクに対し、保舵支援制御部12が出力したベース電流値をトルクに換算したトルク換算部1202の出力を加算することで加算トルクを算出し、この算出した加算トルクを後段の積算部1205に出力する機能を有する。加算トルク算出部1203は、トルク積算値を早期に増大させることにより、操向ハンドルHに係る中点舵角(中点)の移動(片流れ対応舵角値の修正)を迅速に行わせる役割を果たす。なお、操舵系の中点の移動を伴う片流れ対応制御が行われると、電動機3の作動に伴って、片流れ現象に対応するための操舵トルクが漸減していく。その結果、前記加算トルクは、ゼロに収束してゆくようになる。

0076

中点移動キャンセル判定部1204は、ヨーレートセンサ43で検出したヨーレートが所定の閾値を超えるか、電動機回転速度(操舵角速度:操舵角の時間微分値)が所定の閾値を超えるか、又は、車速Vが第3の閾値Vth3 (例えば時速40Kmなど)未満か(図4B参照)、のうちいずれかを充足した場合に、中点の移動をキャンセルするためのキャンセル条件成立したとみなして、中点の移動をキャンセルする旨のキャンセル信号移動許可フラグ移動禁止図4B参照)を生成し、後段の積算部1205に出力する機能を有する。

0077

詳しく述べると、中点移動キャンセル判定部1204は、車両Cが旋回状態から直進状態に移行しようとしている過渡期において、ヨーレートが所定の閾値以下となった後の所定の待機時間(例えば数秒などの、適宜変更可能な時間)が経過するまでの間は、旋回走行中(ヨーレートが所定の閾値を超える)の場合と同様に、キャンセル信号(移動許可フラグ:移動禁止)を積算部1205に出力し続けるように動作する。これにより、中点移動キャンセル判定部1204は、前記過渡期において、トルク積算値をゼロにリセットし続ける(トルク積算値が、中点移動判定閾値を超える事態を妨げる)ことで、中点の移動(片流れ対応舵角値の修正)を行わせないようにする。

0078

換言すれば、中点移動キャンセル判定部1204は、キャンセル条件の成立によって、中点移動キャンセル判定部1204がキャンセル信号(移動許可フラグ:移動禁止)を出力中である状況において、仮に、キャンセル条件が不成立に変わったとしても、キャンセル信号の出力をすぐにやめさせずに、前記所定の待機時間が経過するまでの間は、キャンセル条件が成立しているとみなして、キャンセル信号を出力し続けるように動作する。

0079

その理由は、以下の通りである。すなわち、前記過渡期では、操舵トルクセンサ42で検出される操舵トルクの値は、車両Cの姿勢変化の影響を受けて乱れ誤差を含みがちになる。そうすると、積算部1205における加算トルクの積算値(トルク積算値)も誤差を含みがちになる。その結果、中点の移動タイミング妥当性が損なわれてしまい、運転者に与える操舵感の快適性が損なわれるおそれがあるからである。具体的には、例えば、車両Cがカント路を走行中には、カント路の傾斜に見合った舵角となるように運転者が操向ハンドルHを操作するところ、その操作前に、仮に、片流れ対応制御がオン状態にされると、運転者に対し、操舵に係る違和感を与えるおそれがあるからである。

0080

前記中点移動キャンセル判定部1204では、ヨーレートが所定の閾値を超えるか、又は、電動機回転速度が所定の閾値を超えるかを通して、車両Cの挙動が、直進状態にあるか否かを判定している。ヨーレートが所定の閾値以下か、又は、電動機回転速度が所定の閾値以下の場合とは、車両Cの挙動が直進状態にある際に現われる現象だからである。

0081

また、中点移動キャンセル判定部1204では、車速Vが第3の閾値Vth3 未満か否かを通して、適切でない舵角値への中点の移動(片流れ対応舵角値のブレ)が生じがちか否かを判定している。車速Vが第3の閾値Vth3 未満のような低車速域になると、修正舵の量や頻度が多くなって、片流れ対応舵角値のブレが生じがちだからである。

0082

要するに、中点移動キャンセル判定部1204は、車両Cの挙動が直進状態にない場合や、片流れ対応舵角値のブレが生じがちな場合に、片流れ対応制御による中点移動(片流れ対応舵角値の修正)を許可すべきでないとみなして、中点移動をキャンセルするためのキャンセル信号(移動許可フラグ:移動禁止)を生成するように動作する。

0083

積算部1205は、加算トルク算出部1203が時々刻々と出力する加算トルクを所定のサンプリングレートで積算することでトルク積算値を求め、求めたトルク積算値を後段の中点舵角移動量設定部1206に出力する機能を有する。また、積算部1205は、中点移動キャンセル判定部1204からのキャンセル信号(移動許可フラグ:移動禁止)を入力した場合、トルク積算値をゼロにリセットする機能を有する。

0084

例えば、車両Cが旋回走行中である(ヨーレートが所定の閾値を超える)ために中点の移動がキャンセルされる場合には、旋回直前の片流れ対応舵角値が保持された状態で、中点の移動がキャンセルされる。その結果、車両Cが旋回走行中である際にも、旋回直前の片流れ対応舵角値に応じたベース電流値が、電動機3に出力され続ける。

0085

具体的には、例えば、片流れ対応舵角値が、ある値(例えば3deg)の際に車両Cが旋回をはじめた場合には、前記のある値(3deg)が保持された状態で旋回が行われる。車両Cの旋回走行中、片流れ対応舵角値の更新は行われない。車両Cの旋回が終了した場合、その終了時点から更に前記所定の待機時間が経過した後に、中点の移動(片流れ対応舵角値の修正)が許可されるようになる。

0086

また、例えば、車速Vが第3の閾値Vth3 未満となったために中点の移動がキャンセルされる場合には、車速Vが第3の閾値Vth3 未満となる直前の片流れ対応舵角値が保持された状態で、中点の移動がキャンセルされる。その結果、車速Vが第3の閾値Vth3 未満である際にも、前記直前の片流れ対応舵角値に応じたベース電流値が、電動機3に出力され続ける。

0087

具体的には、例えば、片流れ対応舵角値が、ある値(例えば3deg)の際に車速Vが第3の閾値Vth3 未満となった場合には、前記のある値(3deg)が保持された状態で巡航制御が行われる。車両Cの巡航制御中、片流れ対応舵角値の更新は行われない。車速Vが第3の閾値Vth3 を超えた場合、その超えた時点から更に所定の待機時間が経過した後に、中点の移動(片流れ対応舵角値の修正)が許可されるようになる。

0088

片流れ対応舵角値が初期値(中立位置を表すゼロ)にリセットされるのは、例えば、イグニッションスイッチオン又はオフ時、本発明の実施形態に係る車両用操舵装置Sのオン又はオフ時、及び、CCスイッチSWのオン又はオフ時のタイミングである。前記のタイミングでは、片流れ対応制御が開始又は終了される(走行環境が変わることが多い。)ため、片流れ対応舵角値を、直前の値に保持せずに、初期値にリセットする。

0089

中点舵角移動量設定部1206は、図4Aに示すように、片流れ対応舵角値算出部91を備える。中点舵角移動量設定部1206は、時々刻々と積算部1205から出力されるトルク積算値が、予め定められる中点移動判定閾値を超えるか否かを判定する。ここで、トルク積算値が中点移動判定閾値を超える可能性があるのは、ヨーレートが所定の閾値以下、電動機回転速度が所定の閾値以下、かつ、車速Vが第3の閾値Vth3 以上である旨の3つの条件を全て充足した場合に限定される。前記3つの条件のうちいずれかを充足しない場合のトルク積算値は、ゼロにリセットされるからである。

0090

片流れ対応舵角値算出部91は、トルク積算値が中点移動判定閾値を超えている場合、トルク積算値と、トルク積算値の変化に対応する片流れ対応舵角値の移動量が関係付けられた関係情報(トルク積算値−片流れ対応舵角値)とに基づいて、トルク積算値に対応する片流れ対応舵角値の移動量(変位量)を算出する。
なお、前記関係情報(トルク積算値−片流れ対応舵角値)を設定するに際しては、適正な片流れ対応制御が実行されるように、実車による実験やシミュレーションを通して適切な特性を適宜設定すればよい。

0091

中点舵角移動量設定部1206は、片流れ対応舵角値算出部91で算出された片流れ対応舵角値の移動量(変位量)に係る制御信号を、中点移動制御部120の出力として、減算部121(図3A参照)に出力する。
なお、中点舵角移動量設定部1206は、片流れ対応舵角値が初期値にリセットされる前記のタイミングを除いて、片流れ対応舵角値算出部91で算出された片流れ対応舵角値(所定の移動量だけ移動した後の値)を、逐次更新記憶する。

0092

このように、中点移動制御部120では、高周波成分を減らした操舵トルク信号に対し、保舵支援制御部12が出力した電流値をトルクに換算したものを加算し、このトルク加算値を時間的に積算したトルク積算値と、前記関係情報(トルク積算値−片流れ対応舵角値)とに基づいて、トルク積算値に対応する片流れ対応舵角値の移動量(変位量)を設定するため、中点舵角の移動条件が成立しやすくなり、片流れ現象に対して迅速に対応することができる。

0093

(本発明の実施形態に係る車両用操舵装置Sの動作)
次に、本発明の実施形態に係る車両用操舵装置Sの動作について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図5A図5Cは、運転者が、車両Cを運転して道路を走行している場面での、車体の傾斜、操舵トルクの推移、及び、片流れ現象に対抗する運転者の操作の関係を表す図である。図5Aは、片流れ対応制御なしで平坦な直線路を走行している場面を表す。図5Bは、片流れ対応制御なし(片流れ対応制御のオン前)でカント路を走行している場面を表す。図5Cは、片流れ対応制御あり(片流れ対応制御のオン後)でカント路を走行している場面を表す。
図6Aは、カント路において車両Cに加わる外力と片流れ現象に対抗する運転者の操作の関係を表す図である。図6Bは、車線毎に傾斜が異なるカント路において車両Cに加わる外力と片流れ現象に対抗する運転者による操作の関係を表す図である。

0094

[平坦な直線路]
図5Aに示す平坦な直線路を走行中に、車両Cの車体は、ロール方向に対してほぼ水平な姿勢をとる。この際の操向ハンドルHの舵角は、基本的に、ほぼ中央に位置する。操舵トルクの推移特性は、中点(操舵系の中立位置)を中心にして左右に微小振動を繰り返す特性を示す。

0095

なお、平坦な直線路とは、道路の幅方向に沿って実質的に傾斜がない状況の直線道路(カント路ではない)を意味する。この場合において、その進行方向に沿った上下のうねり高低差)については、その有無を問題としない。

0096

図5Aに示す平坦な直線路を走行中に、仮に、車両Cの運転者が操向ハンドルHに設けられたCCスイッチSWをオン操作したとする。すると、図2に示すFI_ECU2の巡航制御部21は、DBW(Drive-By-Wire)弁5の開度調整を行うことによって、前方車両との車間距離を所定値に保つように車速Vを調整しながら車両Cの巡航制御を行う。これにより、運転者は、巡航を行うための煩わしいアクセルペダルの操作から解放される。

0097

また、CCスイッチSWがオン操作されると、FI_ECU2の巡航制御部21は、CCスイッチSWがオン操作された旨の信号を切替器14に出力する。この信号をトリガにして、切替器14は、ゼロ電流値出力部13が出力するゼロ電流値を遮断する一方、保舵支援制御部12が出力する片流れを打ち消すための目標電流値を後段のリミッタ15へと通過させる。加算器16は、保舵支援制御部12が出力する目標電流値を、EPS制御部11が出力する目標電流値に加算すると共に、加算後の目標電流値を、電動機駆動部17に出力する。

0098

ただし、平坦な直線路を走行中の場面では、操舵トルクの推移特性は、図5Aに示すように、中点(操舵系の中立位置)を中心にして左右に微小振動を繰り返す特性を示す。このため、図4Aに示す積算部1205で積算される加算トルクの値(積算トルク値)が、中点舵角移動量設定部1206で設定される中点移動判定閾値を超えることはない。

0099

つまり、平坦な直線路を走行中の場面では、図4Aに示す中点舵角移動量設定部1206は、片流れ対応舵角値として初期値(例えば0deg)を出力する。図3Aに示す保舵支援電流値設定部122は、前記関係情報(舵角−電流特性)に基づいて、片流れ対応舵角値の移動量(このケースでは0deg)をベース電流値に変換する。ここで、平坦な直線路を走行中の場面では、操舵トルク、舵角、電動機回転速度(舵角の時間微分値)はいブレも小さい。そのため、保舵支援制御部12が出力する片流れ対応電流値は、ゼロ又はゼロに近い微小な値となる。

0100

従って、運転者によりCCスイッチSWがオン操作され、EPS制御部11が出力する目標電流値に対し、保舵支援制御部12が出力する片流れ対応電流値が加算されたとしても、平坦な直線路を走行中の場面では、EPS制御部11が出力する目標電流値と実質的に同等程度の大きさの電流値が電動機駆動部17に供給される。

0101

なお、本実施形態の車両Cでは、保舵支援制御部12に属する各機能部は、常時動作していて、片流れ対応電流値を時々刻々とつくりだす例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。CCスイッチSWのオン操作をトリガとして、直前まで休んでいた保舵支援制御部12に属する各機能部が常時動作する構成を採用してもよい。

0102

[カント路(片流れ対応制御オン前の場合)]
図5Bに示すように、幅方向に沿って傾斜した道路であるカント路では、車両Cに対し重力による片流れ現象が生じる。図5Bに示すような左下がりに傾斜したカント路では、車両Cに左側に向かう片流れ現象が生じる。この片流れ現象に対抗するために、運転者は、操向ハンドルHを右方向に傾けた舵角状態を維持する保舵操作を行うことになる。

0103

本発明の実施形態に係る車両用操舵装置Sは、運転者の操舵に要する力をアシストする制御を行うEPS制御部11を有する電動パワーステアリング装置を備える。このため、車両用操舵装置Sによれば、操舵トルクの大きさに見合う目標電流値を設定すると共に、目標電流値に追従する大きさの電流値を電動機3に流通させることができる。

0104

例えば米国には、道路の水はけ向上を狙って、カント路が延々と続く道路が存在する。図5Bに示す左下がりに傾斜したカント路では、カント路の傾斜角に応じた外力が、フリクションなどによる抵抗力を超えた場合に、傾斜方向に沿う下方に車両Cの片流れ現象が生じる。かかる片流れ現象に対抗して直進状態を保持するために、運転者は、操向ハンドルHを右方向に傾けた状態を維持する保舵操作を強いられる。このため、運転者に対し、操舵に係る肉体的な負担をかけてしまう。その結果、運転者に与える操舵感の快適性が損なわれてしまっていた。

0105

仮に、車両Cが、平坦な直線路から、図5Bに示すような左下がりに傾斜したカント路へと移動してきたとする。また、CCスイッチSWは、車両Cが平坦な直線路を走行中に、既にオン操作されていたものとする。カント路では、車両Cの片流れ現象が生じる。

0106

そこで、車両Cの片流れ現象に対応するため、運転者は、操向ハンドルHを右方向に傾けた状態を維持する保舵操作を行う。カント路での車両Cを左側方向に片流れさせようとする力と、操向ハンドルHを右方向に傾けたことで車両Cに生じる抗力とが均衡すると、車両Cを直進状態に保持することができる。ただし、かかる状態が長く続けば、運転者に比較的大きい肉体的な負担を強いることになる。

0107

この際に、図4Aに示すように、ローパスフィルタ1201を通過する操舵トルクと、電動機3の出力電流をトルク換算部1202でトルクに換算した値との加算値が増大する。また、積算部1205で積算される加算トルクも増加し続ける。

0108

中点移動キャンセル判定部1204では、ヨーレートが所定の閾値を超えるか、電動機回転速度が所定の閾値を超えるか、又は、車速Vが第3の閾値Vth3 (図4B参照)未満になるか、のうちいずれかを充足した場合に、片流れ対応制御による中点移動(片流れ対応舵角値の修正)が不要とみなして、中点移動をキャンセルするためのキャンセル信号(移動許可フラグ:移動禁止、図4B参照)を生成し、後段の積算部1205に出力する。このキャンセル信号を受けて、積算部1205は、トルク積算値を0にする。前記のキャンセル条件が成立する時期としては、例えば、車線変更時、交差点での右左折時、操向ハンドルHの急峻な操作時、渋滞時などを想定することができる。

0109

中点舵角移動量設定部1206は、積算部1205が時々刻々と出力するトルク積算値が、予め定められる中点移動判定閾値を超えるか否かを判定し、トルク積算値が中点移動判定閾値を超える場合、中点の移動を指示する旨の制御信号を、中点移動制御部120の出力として、図3Aに示す減算部121に出力する。

0110

なお、トルク積算値が中点移動判定閾値を超えない限り、CCスイッチSWがオン操作されていても、運転者にとっての保舵に要する力は軽減されない。トルク積算値が中点移動判定閾値以下の場合の、保舵支援制御部12が出力する片流れ対応電流値の大きさは、保舵の支援を要するほど大きくないと考えられるからである。ちなみに、中点移動判定閾値を小さい値に設定するほど、片流れ対応制御がオンされるまでの待機時間は短くなる。

0111

[カント路(片流れ対応制御オン後の場合)]
図5Cに示すように、図5Bと同じカント路でも、EPS_ECU1の片流れ対応制御がオン状態の場合は、図3Aに示す保舵支援制御部12の中点移動制御部120が、中点を移動させる片流れ対応制御を行う。図2に示すEPS_ECU1において、加算器16は、図3Aに示す保舵支援制御部12が出力する片流れ対応電流値を、EPS制御部11が出力する目標電流値に加算する。その後、図2に示す電動機駆動部17は、電動機3へ供給する実電流を生成する。

0112

EPS_ECU1は、車両Cの片流れ現象を抑制する片流れ対応制御をオンすることにより、車両Cの片流れ現象が生じる状況下においても、運転者が操向ハンドルHを保舵する際の肉体的な負担を軽減して、平坦な直線路と同等の操舵負担を実現することができる。ここで、片流れ対応制御をオンするとは、片流れ対応制御を開始することを意味する。

0113

本実施形態では、図3Aに示すように、乗算部131は、保舵支援電流値設定部122で設定され、ローパスフィルタ123で高周波成分除去処理がなされたベース電流値に、第1レシオ出力部124が出力する第1レシオ、車速レシオ出力部125が出力する車速レシオを乗算する処理を行う。次いで、加算部133は、第1レシオ・車速レシオが乗算後のベース電流値に対し、ダンパ制御部126が出力するダンパ電流値を加算する処理を行う。

0114

次いで、乗算部128は、前記加算後の電流値に対し、第2レシオ出力部127が出力する第2レシオを乗算する処理を行う。前記乗算後のダンパ電流値は、速い操舵操作に対しては大きい値をとる一方、力強い操舵操作(右左折や車線変更や回避行動など)に対しては小さい値をとる。加算部133は、ベース電流値に対し、前記乗算後のダンパ電流値を加算する処理を行う。

0115

保舵支援制御部12は、カント路や横風などの外乱(外力)の影響を受けたとしても、運転者による操向ハンドルHの保舵位置(中点舵角)がぶれないように支援する駆動電流を電動機3に供給する制御を行う。

0116

保舵支援制御部12は、乗算部131で第1レシオ・車速レシオが乗算された後、加算部133でダンパ電流値が加算されたベース電流値を、片流れ対応電流値として出力する。加算器16は、EPS制御部11が出力する目標電流値に対し、図3Aに示す保舵支援制御部12が出力する片流れ対応の目標電流値を加算する。前記加算後の目標電流値を受けて、図2に示す電動機駆動部17は、電動機3へ供給する実電流を生成する。

0117

本実施形態の車両Cでは、EPS_ECU1は、片流れ対応制御のオン状態では、カント路や横風が吹く状況においても、車両Cの片流れ現象を抑制するように電動機3を駆動させる制御を行う。これにより、カント路の走行時における運転者の保舵による肉体的な負担が、平坦な直線路を走行するのと同等なレベルにまで軽減される。EPS_ECU1が実行する片流れ対応制御は、車両用操舵装置Sのオフ操作時や、運転者によるCCスイッチSWのオフ操作時に終了する。

0118

ヨーレートが所定の閾値を超えるか、電動機回転速度が所定の閾値を超えるか、又は、車速Vが所定の閾値Vth3 未満か(図4B参照)、のうちいずれかを充足すると、中点移動キャンセル判定部1204の指示によって、積算部1205における加算トルクを積算したトルク積算値がゼロにクリアされ、保舵支援電流値設定部122での中点の移動(片流れ対応舵角値の修正)は行われなくなる。ただし、片流れ対応制御それ自体のオン状態は継続している。そのため、保舵支援制御部12は、中点舵角移動量設定部1206に記憶保持されている片流れ対応舵角値に基づく片流れ対応制御を実行する。

0119

[巡航制御と片流れ対応制御との連係動作を表すフローチャート]
次に、本実施形態に係る車両用操舵装置Sの動作について、図7Aを参照して説明する。図7Aは、本実施形態での巡航制御と片流れ対応制御との連係を概略的に示すフローチャートである。

0120

図7Aに示すステップS1において、EPS_ECU1は、FI_ECU2の巡航制御部21が巡航制御中フラグを出力しているか否かを調べることにより、車両Cが巡航制御中であるか否かを判定する。ここで、巡航制御中フラグは、CCスイッチSWが運転者によりオン操作された場合に、FI_ECU2の巡航制御部21から出力される情報である。

0121

ステップS1の判定の結果、巡航制御中である旨の判定が下された場合(ステップS1の“Yes”)、EPS_ECU1は、処理の流れを次のステップS2へと進ませる。

0122

一方、ステップS1の判定の結果、巡航制御中でない旨の判定が下された場合(ステップS1の“No”)、EPS_ECU1は、処理の流れをステップS3へとジャンプさせる。

0123

ステップS2において、巡航制御中である旨の判定を受けて、EPS_ECU1の保舵支援制御部12は、保舵支援制御(片流れ対応制御)をオンする制御を行う。なお、巡航制御中である旨の判定が下されるのは、CCスイッチSWがオン状態にある場合である。

0124

一方、ステップS3において、巡航制御中でない旨の判定を受けて、EPS_ECU1の保舵支援制御部12は、保舵支援制御(片流れ対応制御)をオフする制御を行う。なお、巡航制御中でない旨の判定が下されるのは、CCスイッチSWがオフ状態にある場合である。

0125

[CCスイッチSWのオンオフ状態との連係動作を表すタイムチャート]
次に、実施形態に係る車両用操舵装置Sの動作について、時系列を追って説明する。
図7B(a)は、CCスイッチ位置の時間推移を表すタイムチャートである。図7B(b)は、操向ハンドルHに係る実舵角の時間推移を表すタイムチャートである。図7B(c)は、時刻t2の時点での舵角θを初期値とした片流れ対応舵角の時間推移を表すタイムチャートである。図7B(d)は、時刻t2の時点での舵角ゼロを初期値とした片流れ対応舵角の時間推移を模式的に示す片流れ対応制御のタイムチャートである。

0126

まず、時刻t1において、CCスイッチSWは、オフ状態にある(図7B(a)参照)。同時刻t1において、操向ハンドルHに係る実舵角はゼロ位置(操舵系の中立位置)にある(図7B(b)参照)。図7B(c)に示す片流れ対応舵角値では、操向ハンドルHの操舵角が所定の舵角閾値未満の場合、その時の操向ハンドルHの操舵角が初期値に設定される。図7B(b)の例では、操向ハンドルHの操舵角が所定の舵角閾値未満であるとする。この場合、片流れ対応舵角値は0となる。一方、図7B(d)に示す片流れ対応舵角値では、初期値がゼロに設定されている。この場合、片流れ対応舵角値はゼロとなる。

0127

時刻t1〜t2において、CCスイッチSWはオフ状態を維持している(図7B(a)参照)。同時刻t1〜t2において、操向ハンドルHに係る実舵角が漸増してきている。これは、車両Cがカント路に進入し、片流れ現象が生じはじめたことに対応して、運転者が操向ハンドルHを逆操作し続けていることに基づく。ただし、同時刻t1〜t2において、図7B(c)〜(d)に示す片流れ対応舵角値は、ゼロのままである。

0128

時刻t2において、CCスイッチSWがオン操作され、オフ状態からオン状態に切替えられている(図7B(a)参照)。同時刻t2のタイミングで、巡航制御部21は、巡航制御中フラグを、保舵支援制御部12宛に出力する。これを受けて、保舵支援制御部12は、片流れ対応制御の準備を開始する。同時刻t2において、操向ハンドルHに係る実舵角はθである(図7B(b)参照)。

0129

ここで、時刻t2において、トルク積算値が、所定の閾値を超えたものとする。これにより、時刻t2において、片流れ対応制御を開始するための条件(CCスイッチSWがオン状態、かつ、トルク積算値が所定の閾値を超えた)を充足する。その結果、同時刻t2において、図7B(c)に示す片流れ対応舵角値(初期値)はθとなる。一方、図7B(d)に示す片流れ対応舵角値(初期値)はゼロとなる。

0130

時刻t2以降において、CCスイッチSWは、オン状態を維持している(図7B(a)参照)。同時刻t2以降において、操向ハンドルHに係る実舵角が、引き続き漸増してきている。これは、同時刻t2以降において、車両Cがカント路を走行中であり、片流れ現象が継続していることに対応して、運転者が操向ハンドルHを逆操作し続けていることに基づく。

0131

同時刻t2以降において、操向ハンドルHに係る実舵角の漸増に対応して、図7B(c)〜(d)に示すように、片流れ対応舵角値が段階的に漸増してきている。その結果、運転者による操向ハンドルHの保舵に要する労力を軽減することができる。この際に、運転者は、操向ハンドルHの舵角に係る中立位置が移動したことに特段の違和感を抱くことなく、快適な操舵感をもって運転を継続することができる。

0132

仮に、車両Cの旋回走行中に片流れ対応制御が開始した場合に、その時の操向ハンドルHに係る実舵角を、片流れ対応舵角値の初期値として設定すると、過大な片流れ対応舵角値が設定される結果として、運転者に違和感を与えてしまう。この点、片流れ対応舵角値の初期値として0degを設定すると、前記のような違和感を運転者に与えてしまうことはなくなる。

0133

また、車両Cが旋回状態から直進状態に移行しようとしている過渡期において、ヨーレートが所定の閾値と比べて小さくなっても、中点移動キャンセル判定部1204は、所定の待機時間が経過するまでの間は、中点移動のキャンセル信号を積算部1205に出力し続ける。旋回状態から直進状態に移行しようとしている過渡期では、操舵トルクの乱れなどがあるので、この際のトルク加算値を積算部1205のトルク積算値に反映しないようにする趣旨である。

0134

(本実施形態のまとめ)
第1の観点(1)に係る車両用操舵装置Sは、操舵トルクに基づいて電動機3に係る駆動電流を制御することにより、操舵系にアシストトルクを付与する制御を行うEPS_ECU(制御装置)1を備える。
EPS_ECU1は、電動機3に供給され車両Cの片流れ現象を抑制するための片流れ対応制御に係る制御量を演算する保舵支援制御部(片流れ対応制御部)12を備える。
保舵支援制御部(片流れ対応制御部)12は、操舵トルクの積算値であるトルク積算値を算出する積算部1205と、トルク積算値に応じて、車両の片流れ現象を抑制するための操舵系の中点舵角に相当する片流れ対応舵角値の変位量を算出する片流れ対応舵角値算出部91と、片流れ対応舵角値の変位量に対応する片流れ対応制御に係る制御量が関係付けられた関係情報(舵角−電流特性)を記憶する保舵支援電流設定部(関係情報記憶部)122と、片流れ対応舵角値の変位量に基づく中点移動を許可するか禁止するかの判定を行う中点移動キャンセル判定部1204と、を有する。
保舵支援制御部(片流れ対応制御部)12は、前記関係情報(舵角−電流特性)を参照して、片流れ対応舵角値の変位量に対応する片流れ対応制御に係る制御量を演算する。

0135

いま、例えば、カント路や横風などの外乱の影響によって車両Cが進行方向左側に片流れする状況で、車両Cを巡航制御しつつ直進走行させる場合を考える。この場合、運転者は、操向ハンドルHを進行方向右側に切り続けることで、車両Cの進行方向左側への片流れ傾向に抗して車両Cを巡航制御しつつ直進走行させようとする。かかる状況では、進行方向右側へのトルク積算値に基づいて、進行方向右側への操舵トルクを軽減させることで、車両Cの片流れ現象を抑制するように片流れ対応制御が行われる。その結果、本来であれば進行方向右側へ操向ハンドルHを切り続けなければならなかった運転者の肉体的な負担が軽減される。

0136

また、保舵支援制御部(片流れ対応制御部)12は、巡航制御中、かつ、車速Vが所定の低減閾値(予め設定される、適宜変更可能な低車速値:第1の閾値Vth1 や第3の閾値Vth3 )未満の場合に、片流れ対応舵角値の変位量を、車速Vが所定の低減閾値以上の際のそれと比べて低減させる制御を行う。その結果、(片流れ対応舵角値のブレが生じがちな)巡航制御中、かつ、車速Vが所定の低減閾値未満の場合において、片流れ対応舵角値のブレを抑制することができる。

0137

さらに、保舵支援制御部(片流れ対応制御部)12のうち中点移動キャンセル判定部1204は、車速が所定のキャンセル閾値(図4Bに示す第3の閾値Vth3 参照)未満の場合に、片流れ対応舵角値の変位量に基づく中点移動を禁止するため、適切でない中点移動(片流れ対応舵角値のブレ)を抑制する効果を一層高めることができる。

0138

ここで、車速Vが所定の低減閾値未満の場合とは、車速Vが単に所定の低減閾値未満になった場合に加えて、車速Vが所定の低減閾値未満になっている期間が所定時間(予め定められる適宜変更可能な時間長)を超えた場合を含む。同様に、車速Vが所定の低減閾値以上の場合とは、車速Vが単に所定の低減閾値以上になった場合に加えて、車速Vが所定の低減閾値以上になっている期間が所定時間(予め定められる適宜変更可能な時間長)を超えた場合を含む。

0139

第1の観点(1)に係る車両用操舵装置Sによれば、カント路走行時や横風走行時などの車両Cの片流れ現象が生じる状況下で車両Cを巡航制御しつつ直進走行させる場合において、自車両Cの車速Vが低車速域を経て高車速域に移行した際でも、車両Cの片流れ現象を抑制するための操舵系の中点舵角に相当する片流れ対応舵角値を迅速に適切な値に収束させることができるため、運転者に与える操舵感の快適性を確保することができる。

0140

また、第2の観点(2)に係る車両用操舵装置Sでは、保舵支援制御部(片流れ対応制御部)12は、車速Vが所定の閾値(予め設定される、適宜変更可能な低車速値:第1の閾値Vth1 や第3の閾値Vth3 )未満となった場合に、片流れ対応舵角値を、車速Vが所定の閾値となる直前の値に保持する構成を採用している。

0141

第2の観点(2)に係る車両用操舵装置Sによれば、保舵支援制御部(片流れ対応制御部)12は、車速Vが所定の閾値未満となった場合に、片流れ対応舵角値を、車速Vが所定の閾値未満となる直前の値に保持するため、片流れ対応舵角値のブレを未然に回避することができる。その結果、カント路走行時や横風走行時などの車両Cの片流れ現象が生じる状況下で車両Cを巡航制御しつつ直進走行させる場合において、自車両Cの車速Vが低車速域を経て高車速域に移行した際でも、車両Cの片流れ現象を抑制するための操舵系の中点舵角に相当する片流れ対応舵角値を一層迅速に適切な値に収束させることができる。そのため、運転者に与える操舵感の快適性を高水準で確保することができる。

0142

車速Vが所定の閾値未満のような低車速域では、車両Cはカント路の傾斜の影響を比較的受けづらい。また、前記のような低車速域では、適切でない舵角値への中点の移動(片流れ対応舵角値のブレ)が生じがちであった。

0143

そこで、第3の観点(3)に係る車両用操舵装置Sでは、保舵支援制御部(片流れ対応制御部)12は、巡航制御中、かつ、車速Vが所定の閾値(予め設定される、適宜変更可能な低車速値:第1の閾値Vth1 :図3B参照)未満の場合に、片流れ対応制御に係る制御量(片流れ対応電流値)を、車速Vが所定の閾値(第1の閾値Vth1 )以上の場合の片流れ対応制御に係る制御量(片流れ対応電流値)と比べて減少させる制御を行う構成を採用することとした。

0144

第3の観点(3)に係る車両用操舵装置Sによれば、保舵支援制御部(片流れ対応制御部)12は、巡航制御中、かつ、車速Vが所定の閾値(第1の閾値Vth1 )未満の場合に、片流れ対応制御に係る制御量(片流れ対応電流値)を、車速Vが所定の閾値(第1の閾値Vth1 )以上の場合の片流れ対応制御に係る制御量(片流れ対応電流値)と比べて減少させるため、車両の片流れ現象が生じる蓋然性の低い車速域(車速Vが第1の閾値Vth1 未満)の場合における片流れ対応制御に係る稼働率を低減し適正化することができる。

0145

また、第4の観点(4)に係る車両用操舵装置Sは、(1)〜(3)のいずれかに記載の車両用操舵装置Sにおいて、車速Vの変化に対する車速レシオの値を出力する車速レシオ出力部125をさらに備え、前記車速レシオは、車速が第1の閾値を超える車速域では、車速レシオの値が1をとり、車速が第1の閾値〜第2の閾値の間に属する車速域では、その値が1から0に至るまで漸減し、車速が第2の閾値を下回る車速域では、車速レシオの値が0をとる特性に設定され、保舵支援制御部(片流れ対応制御部)12は、片流れ対応舵角値に車速レシオの値を乗算することで当該片流れ対応舵角値を補正する構成を採用することとした。

0146

第4の観点(4)に係る車両用操舵装置Sでは、車速レシオは、車速が第1の閾値を超える車速域では、車速レシオの値が1をとり、車速が第1の閾値〜第2の閾値の間に属する車速域では、その値が1から0に至るまで漸減し、車速が第2の閾値を下回る車速域では、車速レシオの値が0をとる特性に設定され、保舵支援制御部(片流れ対応制御部)12は、片流れ対応舵角値に車速レシオの値を乗算することで当該片流れ対応舵角値を補正する。
なお、車速Vが第1の閾値以下の低車速域では、修正舵の量及び頻度が多くなる傾向があるため、片流れ対応制御に係る制御量(片流れ対応電流値)を小さく補正するのが、適切でない舵角値への中点の移動(片流れ対応舵角値のブレ)を抑制する観点から好ましいと考えられる。

0147

第4の観点(4)に係る車両用操舵装置Sによれば、修正舵の量及び頻度が多くなる傾向がある車速が第1の閾値以下の低車速域では、片流れ対応制御に係る制御量(片流れ対応電流値)を小さく補正するため、適切でない舵角値への中点の移動(片流れ対応舵角値のブレ)を適確に抑制することができる。
その結果、(4)に係る車両用操舵装置Sによれば、(1)に係る車両用操舵装置Sに比べて、運転者に与える操舵感の快適性を一層高めることができる。

0148

〔その他の実施形態〕
以上説明した複数の実施形態は、本発明の具現化の例を示したものである。従って、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。

0149

例えば、本発明の実施形態に係る説明において、第3の閾値Vth3 (予め設定される、適宜変更可能な低車速値:例えば時速40Kmなど)を、第1の閾値Vth1 (予め設定される、適宜変更可能な低車速値:例えば時速50Kmなど)と比べて低い値に設定する例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。第3の閾値Vth3 を、第1の閾値Vth1 と共通の値に設定してもかまわない。

0150

また、本発明の実施形態に係る説明において、中点舵角移動量設定部1206は、トルク積算値に基づいて、車両Cの片流れ現象を抑制する際の操向ハンドルHに係る中点舵角に相当する片流れ対応舵角値の移動量(変位量)を設定する例をあげて説明した。
ただし、中点舵角移動量設定部1206は、トルク積算値の大きさに応じて、又は、トルク加算値に係る移動平均値の大きさに応じて、それぞれの値が大きくなるほど、片流れ対応舵角値の移動量(変位量)を増大させる構成を採用してもよい。
この場合において、車両挙動に乱れが生じた場合(ヨーレートや舵角が急変した場合など)には、トルク積算値をゼロクリアしたり、トルク加算値に係る移動平均値をゼロクリアしたりすることで、片流れ対応舵角値の移動量(変位量)の設定誤差を除くように構成すればよい。

0151

また、本発明の実施形態に係る説明において、切替器14やゼロ電流値出力部13は必須の構成ではない。そのため、これらを省略して、本実施形態に係る車両用操舵装置Sを構成してもよい。

0152

また、本発明の実施形態に係る説明において、中点舵角移動量設定部1206は、トルク積算値が中点移動判定閾値を超えた場合に、所定の手順に従って片流れ対応舵角値の移動量(変位量)を設定する構成を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、トルク積算値に所定の係数を乗算することで取得したトルク積算値の大きさに応じて片流れ対応舵角値の移動量(変位量)を設定する態様を、本発明の技術的範囲に包含させてもよい。

0153

また、本発明の実施形態に係る説明において、本発明を、内燃機関を備える車両Cに適用する例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。本発明に係る車両用操舵装置Sは、電気自動車燃料電池車などの、あらゆる種類の車両に適用可能である。ちなみに、本発明を電気自動車や燃料電池車等の車両Cに適用した場合において、例えば、走行モータ用インバータの駆動制御を行うことにより、車両Cの巡航制御を実現させればよい。

0154

また、本発明の技術的思想は、例えば小型船舶において、潮流や横風によって船体が横方向に流されることで片流れ現象を生じる場合においても、その片流れの程度に応じて船舶舵取り用操向ハンドルを運転者が保舵するような状況にも、同様に適用することができる。この場合、請求項に記載の車両の語を、船舶や乗り物に読み替えて適用すればよい。

0155

1EPS_ECU(制御装置)
11EPS制御部
12保舵支援制御部(片流れ対応制御部)
122 保舵支援電流設定部(関係情報記憶部)
125車速レシオ出力部
1205 積算部
1206中点舵角移動量設定部(片流れ対応制御部)
21巡航制御部
3電動機
4車輪速センサ(車速検出部)
41舵角センサ(舵角検出部)
42操舵トルクセンサ(操舵トルク検出部)
91 片流れ対応舵角値算出部
C 車両
S車両用操舵装置
H 操向ハンドル

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