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課題

農薬による青果等の物品表面汚染分析するに当り、簡単な操作で信頼性の高い分析結果が得られるようにする。

解決手段

マイクロファイバーを用いて形成された採取体により青果の表面の少なくとも一部を拭い、その採取体に界面活性剤水溶液を添加する。界面活性剤水溶液を添加した採取体を農薬の分散媒に浸漬して振とうし、分散媒中に農薬が分散した分散液を調製する。下端フイルタ部材3により閉鎖された円筒状のチューブ2内に調製された分散液を注入してろ過し、分散媒から分離された農薬を捕集したフイルタ赤外分光スペクトルを測定する。この測定結果を予め作成しておいた定量モデルに適用し、青果から拭い取った農薬を定量する。

概要

背景

農薬による青果表面汚染分析するための方法として、主に、青果の表面に付着した農薬を直接的に分析する方法と、青果の表面に付着した農薬を溶剤に移して農薬溶液を調製し、その農薬溶液を分析する方法とが知られている。

前者の直接的に分析する方法として、例えば特許文献1は、青果の表面での赤外線反射光から変換される測定スペクトルを調べ、その情報に基づいて農薬による青果の表面汚染を分析する方法を開示している。しかし、この方法は、赤外線の反射光を利用することから、青果の表面状態によって反射光が不安定になり、分析結果の信頼性が損なわれることがある。例えば、レタス白菜等の葉菜類柑等の柑橘類は、表面に葉脈や微妙な凹凸を有することから反射光が不安定になり、分析結果の信頼性を欠くことがある。

一方、後者の農薬溶液を調製して分析する方法として、例えば特許文献2に記載の方法が知られている。この方法は、ガラスフイルタを敷いた容器に農薬溶液を入れて溶剤を乾燥または濃縮し、農薬をフイルタに付着させる。そして、そのフイルタの近赤外線スペクトルを測定し、当該近赤外線スペクトルに基づいて農薬溶液に含まれる農薬を分析する。しかし、この方法は、容器に入れた農薬溶液から溶剤を除去する必要があることから操作が煩雑であり、農薬の分析に長時間を要する。

概要

農薬による青果等の物品の表面汚染を分析するに当り、簡単な操作で信頼性の高い分析結果が得られるようにする。マイクロファイバーを用いて形成された採取体により青果の表面の少なくとも一部を拭い、その採取体に界面活性剤水溶液を添加する。界面活性剤水溶液を添加した採取体を農薬の分散媒に浸漬して振とうし、分散媒中に農薬が分散した分散液を調製する。下端フイルタ部材3により閉鎖された円筒状のチューブ2内に調製された分散液を注入してろ過し、分散媒から分離された農薬を捕集したフイルタの赤外分光スペクトルを測定する。この測定結果を予め作成しておいた定量モデルに適用し、青果から拭い取った農薬を定量する。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

農薬による物品表面汚染分析するために、前記物品から前記農薬を分離して分析用試料を調製するための方法であって、マイクロファイバーを用いて形成された採取体により前記物品の表面の少なくとも一部を拭う工程と、前記表面を拭った前記採取体を前記農薬の分散媒に浸漬して界面活性剤の存在下において振とうし、前記農薬の分散液を調製する工程と、を含む農薬汚染の分析用試料の調製方法

請求項2

前記表面を拭う前の前記採取体に界面活性剤が添加されている、請求項1に記載の農薬汚染の分析用試料の調製方法。

請求項3

前記採取体を前記分散媒に浸漬するときに前記採取体および前記分散媒の少なくとも一方に界面活性剤を添加する、請求項1または2に記載の農薬汚染の分析用試料の調製方法。

請求項4

農薬による物品の表面汚染を分析するための方法であって、請求項1から3のいずれかに記載の農薬汚染の分析用試料の調製方法により得られた分散液に含まれる前記農薬を捕集可能なフイルタを用いて前記分散液をろ過する工程と、前記フイルタに捕集された前記農薬を分析する工程と、を含む農薬汚染の分析方法

請求項5

前記農薬を捕集した前記フイルタに対して赤外分光法を適用することで前記農薬を分析する、請求項4に記載の農薬汚染の分析方法。

請求項6

物品に付着した農薬を分散媒に移して分散液を調製するために、前記物品から前記農薬を拭い取るための採取体であって、マイクロファイバーを用いて形成されている、農薬の採取体。

請求項7

界面活性剤が添加されている、請求項6に記載の農薬の採取体。

技術分野

0001

本発明は、農薬汚染分析用試料調製方法、特に、農薬による物品表面汚染分析するために、物品から農薬を分離して分析用試料を調製するための方法に関する。本願において農薬とは、樹木および農林産物を含む農作物または農用地等へ適用される各種薬剤等、例えば、殺虫剤殺菌剤、防かび剤、除草剤殺鼠剤忌避剤誘引剤植物生長調節剤補助剤展着剤および農薬肥料等であって、典型的には農薬取締法の対象となるものをいう。

背景技術

0002

農薬による青果の表面汚染を分析するための方法として、主に、青果の表面に付着した農薬を直接的に分析する方法と、青果の表面に付着した農薬を溶剤に移して農薬溶液を調製し、その農薬溶液を分析する方法とが知られている。

0003

前者の直接的に分析する方法として、例えば特許文献1は、青果の表面での赤外線反射光から変換される測定スペクトルを調べ、その情報に基づいて農薬による青果の表面汚染を分析する方法を開示している。しかし、この方法は、赤外線の反射光を利用することから、青果の表面状態によって反射光が不安定になり、分析結果の信頼性が損なわれることがある。例えば、レタス白菜等の葉菜類柑等の柑橘類は、表面に葉脈や微妙な凹凸を有することから反射光が不安定になり、分析結果の信頼性を欠くことがある。

0004

一方、後者の農薬溶液を調製して分析する方法として、例えば特許文献2に記載の方法が知られている。この方法は、ガラスフイルタを敷いた容器に農薬溶液を入れて溶剤を乾燥または濃縮し、農薬をフイルタに付着させる。そして、そのフイルタの近赤外線スペクトルを測定し、当該近赤外線スペクトルに基づいて農薬溶液に含まれる農薬を分析する。しかし、この方法は、容器に入れた農薬溶液から溶剤を除去する必要があることから操作が煩雑であり、農薬の分析に長時間を要する。

先行技術

0005

特開2007−139639号公報
特開2007−263883号公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、農薬による青果等の物品の表面汚染を分析するに当り、簡単な操作で信頼性の高い分析結果が得られるようにするものである。

課題を解決するための手段

0007

本発明は、農薬による物品の表面汚染を分析するために、物品から農薬を分離して分析用試料を調製するための方法に関するものである。この調製方法は、マイクロファイバーを用いて形成された採取体により物品の表面の少なくとも一部を拭う工程と、物品の表面を拭った採取体を農薬の分散媒に浸漬して界面活性剤の存在下において振とうし、農薬の分散液を調製する工程とを含む。

0008

この調製方法の一形態では、物品の表面を拭う前の採取体に界面活性剤が添加されている。また、この調製方法の他の一形態では、採取体を分散媒に浸漬するときに採取体および分散媒の少なくとも一方に界面活性剤を添加する。この形態において用いる採取体は、物品の表面を拭う前に界面活性剤が添加されたものであってもよい。

0009

他の観点に係る本発明は、農薬による物品の表面汚染を分析するための方法に関するものである。この分析方法は、本発明に係る農薬汚染の分析用試料の調製方法により得られた分散液に含まれる農薬を捕集可能なフイルタを用いて当該分散液をろ過する工程と、フイルタに捕集された農薬を分析する工程とを含む。

0010

この分析方法では、例えば、農薬を捕集したフイルタに対して赤外分光法を適用することで農薬を分析する。

0011

さらに他の観点に係る本発明は、物品に付着した農薬を分散媒に移して分散液を調製するために、物品から農薬を拭い取るための採取体に関するものである。この採取体は、マイクロファイバーを用いて形成されている。

0012

この採取体の一形態は、界面活性剤が添加されている。

発明の効果

0013

本発明に係る農薬汚染の分析用試料の調製方法により調製された分散液は、分散媒中に分散した農薬を分離可能であるため、農薬汚染の分析用試料として用いることができる。

0014

本発明に係る農薬汚染の分析方法は、本発明の調製方法により得られた分散液をフイルタを用いてろ過し、フイルタに捕集された農薬を分析するため、農薬による物品の表面汚染についての信頼性の高い分析結果を得ることができる。

0015

本発明に係る農薬の採取体は、マイクロファイバーを用いていることから物品に付着した農薬の取りこぼしを抑えることができる。

図面の簡単な説明

0016

本発明の実施の一形態に係る農薬の分析方法において用いられるろ過器具の縦断面図。

0017

[農薬汚染の分析用試料の調製方法]
本発明は、農薬による物品の表面汚染を分析するために、物品から農薬を分離して分析用試料を調製するための方法に関するものである。本発明の調製方法の適用対象となる物品は、農作物、典型的には葉菜類や茎菜類等の各種の野菜および仁果類や柑橘類等の各種の果実など、種類が限定されない青果であって、例えば、出荷時のものや輸入時のもの等である。また、各種の農耕器具類や青果の搬送、輸送において用いられる篭その他の容器類も本発明の調製方法の適用対象である物品となり得る。

0018

さらに、最近は、食品の安全への関心の高まりに従って農薬の使用を抑えた有機栽培が盛んである。有機栽培農場は、近隣の農場において散布等された農薬による作物土壌汚染ドリフトと呼ばれる。)の程度を判定するためにシート状または板状の部材を配置し、その汚染を評価することがあるが、本発明の調製方法は、ドリフトの評価のために用いられる部材の農薬汚染を判定するための分析用試料を調製するために用いることもできる。

0019

本発明の調製方法では、物品の表面に付着している農薬を採取して分散媒へ移し、当該分散媒中に農薬が分散した分散液を調製する。

0020

ここで用いられる分散媒は、物品の表面から移された農薬を実質的に溶解せず、分散させることができるものである。農薬としては多種多様のものが存在するが、一般には水溶性のものと疎水性のものとに分類することができる。そこで、物品の表面に付着している農薬であって、分析対象となるものが水溶性の場合は疎水性の分散媒が用いられ、逆に分析対象となる農薬が疎水性の場合は親水性の分散媒が用いられる。

0021

ここで用いられる疎水性の分散媒は、水溶性の農薬を実質的に溶解しないものであればよく、通常は疎水性の有機溶媒である。疎水性の有機溶媒としては、例えば、ヘキサンヘプタンノナンデカンおよびイソオクタン等の脂肪族炭化水素類シクロヘキサンシクロオクタンおよびシクロヘキセン等の脂環式炭化水素類ベンゼントルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素類ジクロロメタントリクロロエチレンおよびテトラクロロエチレン等の有機塩素系化合物ジメチルエーテルおよびジエチルエーテル等のエーテル類酢酸エチルおよび酢酸ブチル等のエステル類、並びに、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン類等を挙げることができる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で用いられてもよいし、二種以上のものの混合溶媒であってもよい。

0022

親水性の分散媒は、疎水性の農薬を実質的に溶解しないものであればよく、通常は水、好ましくはイオン交換水蒸留水または純水などの精製水である。分散媒として用いられる水は、塩化ナトリウム塩化カリウム臭化カリウム塩化カルシウム若しくは硫酸ナトリウム等の塩が溶解した塩水であってもよく、また、各種の弱酸とその塩とが溶解した緩衝液、例えば、酢酸緩衝液リン酸緩衝液クエン酸緩衝液ホウ酸緩衝液炭酸緩衝液トリス緩衝液若しくは酒石酸緩衝液等であってもよい。また、親水性の分散媒として、親水性の有機溶媒、例えば、メタノールエタノール等のアルコール類を用いることもできる。親水性の有機溶媒は、二種以上のものの混合溶媒であってもよい。

0023

分散媒は、物品の表面から移された農薬を実質的に溶解せず、分散させることができるという条件を満足するものであれば、両親媒性のもの、例えば、アセトンアセトニトリルジメチルスルホキシドプロパノール若しくはテトラヒドロフラン等であってもよい。また、このような両親媒性の分散媒は、上記条件を損なわない限りにおいて、上述の疎水性の分散媒または親水性の分散媒に対して混合して用いることもできる。

0024

分散液の調製においては、先ず、農薬を拭取り可能な採取体を用いて物品の表面を拭い、当該表面に付着している農薬を採取する(工程1)。そして、採取体により拭き取った農薬を分散媒に移し、分散液を調製する(工程2)。

0025

工程1において使用する採取体は、マイクロファイバーを用いて形成されたものである。ここで用いられるマイクロファイバーは、通常、直径が8μm以下、好ましくは5μm以下の極細合成繊維である。直径が8μmを超えるマイクロファイバーまたは繊維を用いた採取体は、物品の表面を拭ったときに農薬の取りこぼしが多くなる可能性がある。マイクロファイバーの素材は、農薬に対して不活性なものであり、かつ、分散媒に溶解しにくいものあれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリエステル樹脂ポリアミド樹脂レーヨンアクリル樹脂またはアセテートが好ましい。

0026

採取体を形成するためのマイクロファイバーは、上記条件を充足するものであれば、入手可能な種々のものから選択することができる。

0027

採取体は、通常、物品の表面から農薬を拭取り可能な形態のものが用いられる。例えば、上述のマイクロファイバーを用いて形成されたシート状や鞘状のものを採取体として用いることができる。シート状の採取体としては、例えば、上述のマイクロファイバーによる布帛や不織布を用いることができる。鞘状の採取体としては、例えば、上述のマイクロファイバーによる布帛や不織布を鞘状に成形したものを用いることができる。

0028

物品の表面を採取体により拭う作業においては、適当な治具を用いることができる。例えば、ガラス棒ガラス管のような棒状の治具の先端にシート状または鞘状の採取体を装着し、その治具を操作することで物品の表面を採取体により拭うと、当該表面に付着している農薬を採取することができる。この際、採取体は、治具の大きさに応じて適当な大きさに裁断または分割して用いられる。また、鞘状の採取体は、いわゆる指サック状に形成すると、作業者の指に装着することができ、その状態で物品の表面を拭うことができる。

0029

採取体は、使用に際し、少量の精製水(純水、蒸留水またはイオン交換水等)、食塩水や緩衝液などの塩を含む水、メタノール、アセトン若しくはアセトニトリルなどの有機溶媒またはこれらの混合溶媒を添加して潤すのが好ましい。

0030

採取体は、そのマイクロファイバーが繊維の軸方向(長さ方向)と交差する方向の断面に多数の角部を有していることから、その角部により物品の表面に付着した農薬を掻き取ることができ、また、掻き取った農薬を角部の間の空間等において安定に保持することができる。このため、採取体は、物品の表面の農薬を効率的に捕えて採取することができ、農薬の取りこぼしを抑えることができる。

0031

本工程において用いる採取体は、後記する界面活性剤が添加されていてもよい。この形態の採取体は、採取体に対して界面活性剤を精製水に溶解することで調製した水溶液を添加し、風乾することで作成することができ、また、使用時には少量の精製水を添加して潤す。この形態の採取体を用いた場合、採取体と物品の表面との間に界面活性剤が作用し、当該表面からの農薬の採取効率を高めることができる。

0032

工程1においては、物品の表面全体を採取体により拭ってもよいし、物品の表面の一部のみを採取体により拭ってもよい。

0033

工程2では、物品の表面を拭った採取体を分散媒に浸漬して界面活性剤の存在下において振とうし、採取された農薬の分散液を調製する。ここでは、界面活性剤の作用により、拭き取られた農薬が採取体から分散媒中へ分離しやすく、また、採取体から分離した農薬が分散媒中で安定に分散する。

0034

ここで用いられる界面活性剤は、アニオン性界面活性剤カチオン性界面活性剤両性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤等の合成界面活性剤天然界面活性剤のいずれの種類のものであってもよい。

0037

両性界面活性剤の例として、アルキルベタイン脂肪酸アミドプロピルベタイン等のカルボキシベタイン型、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等の2−アルキルイミダゾリン誘導型、アルキルジエチレントリアミノ酢酸やジアルキルジエチレントリアミノ酢酸等のグリシン型、並びに、アルキルアミンオキシド等のアミンオキシド型のものを挙げることができる。

0038

ノニオン性界面活性剤の例として、グリセリン脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステル等のエステル型、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルおよびポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等のエーテル型脂肪酸ポリエチレングリコールおよび脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン等のエステルエーテル型、脂肪酸アルカノールアミド等のアルカノールアミド型のものを挙げることができる。

0039

天然界面活性剤の例として、レシチンサポニンを挙げることができる。

0040

本調製方法により調製した分析用試料を後記する赤外分光法により分析する場合、本調製方法において使用する界面活性剤は、赤外分光法を適用したときに複雑な吸収ピーク発現するものを回避するのが好ましい。

0041

この工程において界面活性剤を存在させるための方法は特に限定されるものではなく、各種の方法を採ることができる。例えば、工程1において界面活性剤が添加された採取体を用いて物品の表面を拭った場合、本工程において分散媒に浸漬した採取体から界面活性剤が浸出し、その界面活性剤の存在下において採取体が振とうされる。この場合、採取体を分散媒に浸漬する際に、採取体若しくは分散媒またはこれらの両方に対して界面活性剤をさらに添加してもよい。工程1において界面活性剤を添加していない採取体を用いて物品の表面を拭った場合、この工程において存在させる界面活性剤は、この工程において、採取体を分散媒に浸漬するときに当該採取体に対して添加されてもよいし、或いは、分散媒に対して添加されてもよい。また、採取体および分散媒の両方に対して添加されてもよい。採取体または分散媒に対して添加する界面活性剤は、通常、精製水に溶解した水溶液状のものが好ましい。

0042

この工程では、採取体の振とう中、または、振とうの前後において、分散媒に対して超音波照射することもできる。この場合、浸漬した採取体から分散媒への農薬の分離を促進させることができ、また、より安定な分散液が得られやすくなる。

0043

本発明の調製方法により得られた分散液は、通常、農薬による物品の表面汚染を分析するための分析用試料として用いられる。この分析用試料を用いた分析方法は以下のとおりである。

0044

[農薬の分析方法]
本発明の調製方法により得られた分散液、すなわち分析用試料に含まれる農薬を分析する場合は、先ず、分散液をろ過し、農薬と分散媒とを分離する。

0045

図1を参照して、分散液のろ過のために用いられるろ過器具の一例を説明する。図1において、ろ過器具1は、一端(図の下端)がフイルタ部材3により閉鎖され、かつ、他端が開放されたガラス製で円筒状のチューブ2と、分散媒に対して安定な樹脂材料からなる、両端が開放した筒状のキャップ4とを備えている。

0046

チューブ2の大きさは、特に限定されるものではないが、後記する農薬の分析操作において赤外分光法を採用する場合、内径が0.5〜20.0mmのものが好ましく、3.0〜10.0mmのものがより好ましい。

0047

フイルタ部材3は、分散媒を通過させることのできる微孔を全体に有するろ過フイルムであり、チューブ2の上記一端から側面にかけて密着するように、かつ、チューブ2から取り外しできるように装着されている。フイルタ部材3は、分散媒を円滑に通過させるとともに、分散液中で分散する農薬を捕捉して分散媒から分離可能なもの、通常は孔径が0.01〜5μmのもの、好ましくは0.05〜1μmのものであれば、種々の材料からなるものを用いることができる。

0048

但し、フイルタ部材3に捕集された農薬を後記する赤外分光法により分析する場合、フイルタ部材3は、赤外分光法を適用したときに吸収ピークが単純であるか少ない素材、例えば、ポリエチレン樹脂ポリプロピレン樹脂またはポリテトラフルオロエチレン樹脂等からなるものを用いるのが好ましい。この場合、赤外分光法を適用したときに吸収される赤外線を抑え、それによって赤外分光法の感度を高めることができるようにするため、フイルタ部材3は、厚さが1〜100μm程度の薄膜状のものが好ましい。フイルタ部材3の厚さは、50μm以下であればより好ましく、30μm以下であれば特に好ましい。

0049

キャップ4は、フイルタ部材3が装着されたチューブ2の端部に対して着脱可能に装着されており、チューブ2に対して装着された状態において、フイルタ部材3を安定に保持している。

0050

ろ過器具1を用いて分散液をろ過するときは、チューブ2内に上端から分散液を注入し、フイルタ部材3により分散液をろ過する。この際、例えば、チューブ2の上端に分散液を貯えたガラス製等のリザーバを装着し、このリザーバからチューブ2内へ分散液を注入することもできる。分散液は、その自重によりフイルタ部材3を通過させることができるが、キャップ4の下端に吸引装置を装着することで吸引しながらろ過することもでき、或いは、リザーバ側に加圧装置を装着し、加圧しながらろ過することもできる。また、遠心分離機を用いて遠心力によりろ過することもできる。

0051

分散液をろ過することで、分散液中の農薬はフイルタ部材3により捕捉、捕集され、分散媒はフイルタ部材3を通過してキャップ4から排出される。この結果、分散液に含まれる農薬は、分散媒から分離される。

0052

次に、フイルタ部材3に捕集された農薬を分析する。捕集された農薬は、溶媒に溶解して溶液化等することで機器分析を含む種々の分析手法により分析することができるが、農薬を捕集したフイルタ部材3に対して光学的方法を適用することで分析することもできる。

0053

例えば、フイルタ部材3として上述のような赤外分光法に適したものを用いた場合、フイルタ部材3に対して直接に赤外分光法を適用することで捕集された農薬を分析することができる。フイルタ部材3に対して適用する赤外分光法は、分散型分光光度計およびフーリエ変換型分光光度計(FT−IR)のいずれを用いたものであってもよいが、通常は農薬の定性分析および定量分析により適したFT−IRを用いるのが好ましい。FT−IRによる場合、透過法またはATR法を採用することができる。

0054

透過法は、フイルタ部材3のろ過部分(すなわち、農薬を捕集した部分。)に対して干渉波を透過させる方法であり、簡易かつ迅速に測定対象物質赤外吸収スペクトルを得ることができる。この場合、例えば、チューブ2の内径と略同径の孔を形成した厚紙等の台紙を用意し、この台紙に対してチューブ2から取り外したフイルタ部材3を皺にならないように貼り付けて試料を作成する。この際、厚紙に設けた孔の部分とフイルタ部材3のろ過部分(すなわち、農薬を捕集した部分。)とを一致させる。そして、この試料をFT−IRのアタッチメントに装着し、赤外吸収スペクトルを測定する。また、透過法による場合、FT−IRの測定位置にチューブ2を配置することが可能であれば、フイルタ部材3は、チューブ2に装着したままの状態で赤外吸収スペクトルを測定することもできる。

0055

一方、ATR法は、プリズムにフイルタ部材3を密着させてプリズム側から赤外線を照射し、フイルタ部材3の表面に赤外光潜り込ませて全反射させる方法であり、赤外吸収スペクトルにおいてフイルタ部材3の素材の影響が発生しにくく、測定対象物質自体についてのノイズの少ないピークが得られるため、透過法よりも高感度の赤外吸収スペクトルを得ることができる。ATR法は、単反射型および多重反射型のいずれであってもよい。ATR法による場合、フイルタ部材3を直接にプリズムに密着させるか、或いは、透過法の場合と同様にフイルタ部材3を台紙に貼り付けた試料を作成してこの試料をプリズムに密着させるかし、赤外吸収スペクトルを測定する。

0056

透過法およびATR法のいずれの場合においても、400〜4,000cm−1の波数領域の赤外吸収スペクトルを測定するのが好ましい。

0057

FT−IRにより測定した赤外吸収スペクトルに基づく農薬の定量分析では、通常、赤外吸収スペクトルから分析対象となる農薬に固有の波数のピークを判別し、当該ピークの面積または高さを既知濃度標準液について予め測定した赤外吸収スペクトルにおける該当ピークの面積または高さと比較することで、分析対象の農薬の濃度を求めることができる。

0058

また、赤外吸収スペクトルが農薬以外の夾雑物スペクトルを含み、当該夾雑物のスペクトルが分析対象の農薬の定量に影響する可能性がある場合、分析対象の農薬の定量分析は、部分最小二乗法PLS法)によるのが好ましい。この場合、分析対象の農薬を濃度段階に応じて希釈した試料を調製し、各濃度段階の試料について複数回FT−IRで赤外吸収スペクトルを測定する。そして、測定した赤外吸収スペクトルから適切な波数領域を1〜4箇所選択し、部分最小二乗法により定量モデルを作成する。この際、微分等の前処理は、農薬種に応じて選択する。また、分析対象の農薬について作成した定量モデルは、他の農薬の影響等を確認し、必要に応じて適宜調整する。分析対象の農薬の濃度(mg/kg)は、測定した赤外吸収スペクトルから定量モデルに基づいて存在絶対量(μg)を求め、その値を物品の重量(kg)で除することで求めることができる。なお、物品が青果であり、当該青果に対して採取体を適用して農薬を拭き取る場合、青果の表面形状や農薬の浸透移行性強弱によって採取体での拭取りによる農薬の回収率が青果種や農薬種の組み合わせに応じて異なることから、農薬の定量結果は、青果の種類に応じて農薬の拭取り率を案した係数を用いて補正されてもよい。

0059

物品に付着している農薬を定量する場合であって、分析用試料の調製時に物品の表面の一部を採取体により拭ったときは、当該一部の表面積と物品の全表面積との関係から物品に付着している全農薬量(農薬濃度)を算出する必要がある。

0060

農薬を捕集したフイルタ部材3に対して適用する、農薬の分析のための光学的方法としては、赤外分光法以外の方法を採用することもできる。例えば、フイルタ部材3に捕集された農薬をそれと反応可能な発光物質により処理し、農薬と発光物質との反応生成物可視紫外スペクトルを測定することで農薬の有無を判定したり、農薬を種類毎に定量したりすることもできる。

0061

採取体により物品から拭い取られた農薬において分散媒に溶解し易い農薬種が含まれる場合、本発明の調製方法により得られる分散液は、分散媒に当該農薬種が溶解状態で含まれる。この場合は、ろ過後の分散媒、すなわちろ液も当該農薬種を分析するための試料として用いることができる。例えば、このろ液は、適宜精製、濃縮等の処理をした後、機器分析を含む種々の分析手法を適用することができ、それによって分散媒に溶解した農薬種を分析することができる。

0062

試験青果の調製]
小売店において市販されている青果を購入して洗浄し、表面の残留農薬等を洗い流した後に重量を測定した。そして、洗浄後の青果の表面全体に所定量のN,N’−エチレンビスジチオカルバメート系の農薬であるマンゼブの製剤(ダウ・アグロサイエンス社の商品名「ジマンダイセン」:マンゼブ含有量80重量%)を均一に展着し、15〜20時間風乾することで試験青果を調製した。青果としては日本国内産のトマトピーマン、にんじん、りんごおよび温州みかんを用い、これらの青果についての試験青果を調製した。各試験青果について、展着したマンゼブ量からマンゼブの重量濃度(mg/kg)を算出した。

0063

採取器の作成]
採取器A:
面積が約2.25cm2のマイクロファイバークロス(東レ株式会社の商品名「トレシーMK」:マイクロファイバーの繊維径2μm)を直径8mm、長さ100mmのガラス管の先端に両面テープで装着し、採取器Aを作成した。

0064

採取器B:
採取器Aのマイクロファイバークロスに対して界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(MP Biomedicals社の商品名「tween80」)の水溶液(濃度2重量%)0.2mLを添加して馴染ませ、風乾することで採取器Bを作成した。

0065

採取器C:
マイクロファイバークロスを略同面積のポリビニルアルコール系の水溶性繊維からなるシート(ニチビ株式会社の商品名「ソルブロン基布」:水溶性繊維の繊維径約50μm)に変更することで採取器Aと同様の採取器Cを作成した。

0066

[マンゼブの部分最小二乗法(PLS法)定量モデルの作成]
注射に入れた2mLの純水にマンゼブ製剤((ダウ・アグロサイエンス社の商品名「ジマンダイセン」:マンゼブ含有量80重量%)を加えて懸濁させ、懸濁液を調製した。ここでは、純水に対するマンゼブ製剤の添加量を有効成分であるマンゼブ相当量として0〜400μgの範囲で100μg毎に五段階に変更し、五種類のマンゼブ濃度の懸濁液を調製した。そして、各懸濁液をポリテトラフルオロエチレン製のフイルタ(孔径0.45μm、厚さ30μm)を用いて個別にろ過(マニホールドを用いた減圧ろ過)し、フイルタ上において直径5mm程度の円形になるようマンゼブを捕集した。

0067

フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光株式会社の型番「FT/IR−4100」)を用い、分解能4cm−1、積算回数18、波数範囲4,000〜400cm−1の条件で各フイルタのろ過部分(マンゼブの捕集部分)の赤外吸収スペクトルを透過法により測定した。ここでは、各フイルタに対してそのまま赤外吸収スペクトルの測定ができるような治具を作成し、この治具を用いてフイルタをフーリエ変換赤外分光光度計に装着した。測定した赤外吸収スペクトルにおいてマンゼブの特徴波数(900〜976cm−1、1,500〜1,560cm−1)を選択し、それらを一次微分したスペクトルを用いてPLS法定量モデルとなる検量線を作成した。

0068

[実施例1]
採取器Bのマイクロファイバークロスを少量の純水(約50μL)で湿らせた後、この採取器Bのマイクロファイバークロスで試験青果の表面全体からマンゼブを拭い取った。そして、採取器Bのガラス管から取り外したマイクロファイバークロスに界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(MP Biomedicals社の商品名「tween80」)の水溶液(濃度2重量%)40μLを添加した。

0069

一方、下部先端をキャップにて密栓した容量5mLの注射筒を用意し、これに純水1mLを注入した。この純水中に界面活性剤水溶液を添加した上記マイクロファイバークロスを浸漬し、注射筒を激しく振とうした。これにより、マイクロファイバークロスにより拭き取られたマンゼブを純水中へ分離・移行させ、純水中にマンゼブが分散した分散液を調製した。

0070

[比較例1]
採取器Cのシートを少量の食塩水(約50μL)で湿らせた後、この採取器Cのシートで試験青果の表面全体からマンゼブを拭い取った。

0071

一方、実施例1で用いたものと同様の注射筒を用意し、これに純水1mLを注入した。この純水中に採取器Cのガラス管から取り外した上記シートを浸漬して70℃に加熱した後、注射筒を激しく振とうした。これにより、シートを純水中に溶解させ、純水中にマンゼブが分散した分散液を調製した。

0072

[比較例2]
温州みかんによる試験青果のみを用いた点、採取器Bを採取器Aに変更した点、および、採取器Aのガラス管から取り外したマイクロファイバークロスに界面活性剤水溶液を添加しなかった点を除いて実施例1と同様に操作し、純水中にマンゼブが分散した分散液を調製した。

0073

[評価]
実施例1および比較例1、2において調製した分散液をポリテトラフルオロエチレン製のフイルタ(孔径0.45μm、厚さ30μm)を用いてにろ過(マニホールドを用いた減圧ろ過)し、フイルタ上において直径5mm程度の円形になるようマンゼブを捕集した。

0074

フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光株式会社の型番「FT/IR−4100」)を用い、分解能4cm−1、積算回数18、波数範囲4,000〜400cm−1の条件でフイルタのろ過部分(マンゼブの捕集部分)の赤外吸収スペクトルを透過法により測定した。ここでは、PLS法定量モデルとなる検量線作成時のものと同じ治具を用いてフイルタをフーリエ変換赤外分光光度計に装着した。PLS法定量モデルとなる検量線に基づいて赤外吸収スペクトルの測定結果から採取器A、BまたはCにより採取したマンゼブ量を定量し、その値から試験青果におけるマンゼブの重量濃度(mg/kg)を求めた。この重量濃度から算出したマンゼブの回収率を表1に示す。

実施例

0075

0076

3 フイルタ部材

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