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図面 (15)

課題

隣接ノズル吐出状態非吐出状態によらず、自ノズルと隣接ノズルと間の互いのクロストーク量を著しく抑制すること。

解決手段

印刷装置は、基準吐出波形遅延吐出波形、基準非吐出波形、または、遅延非吐出波形もしくは反転非吐出波形のいずれか、を発生する発生部と、画像の情報に基づいて、インク吐出を行うノズルに対しては基準吐出波形または遅延吐出波形を出力し、インクの吐出を行わないノズルに対しては基準非吐出点波形、遅延非吐出波形、または反転非吐出波形を出力する制御部と、を有する。制御部は、隣接する少なくとも2つ以上のノズルを含む隣接ノズル群からインクを吐出させる場合、隣接ノズル群の両側のダミーノズルに対して、遅延非吐出波形または反転非吐出波形を出力する。

概要

背景

有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイパネル有機発光層形成方法として、低分子有機材料または高分子有機材料溶媒塗布法にて形成する方法がある。

溶媒塗布法により有機発光層を形成する代表的な手段の一つに、インクジェット印刷装置を用いて、有機発光材料を含むインクの液滴を、ディスプレイ基板画素領域に吐出して、有機発光層を形成する方法がある。このとき吐出されるインクの液滴には、有機発光材料および溶媒が含まれる。

一般的なインクジェット印刷装置には、複数のノズルを有するインクジェットヘッドが用いられている。近年のディスプレイ高解像度化や大型化に伴い、ノズルの数は数万から十万個を超えているため、ノズル間のピッチは狭くなっている。よって、各ノズルから液滴が吐出されるときに、所定の吐出ノズル(以下、自ノズルという)に対して、その自ノズルに隣接する他のノズル(以下、隣接ノズルという)の振動が影響を及ぼす度合い(以下、クロストーク量という)が増えてしまう。なお、本明細書において、「隣接」とは、ノズル同士が所定間隔をおいて隣り合っていることを意味する。

また、自ノズルが吐出状態である場合において、隣接ノズルが吐出状態である場合と、隣接ノズルが非吐出状態である場合とでは、クロストーク量は一般に異なる。クロストーク量が異なると、自ノズルからの液滴の吐出速度および吐出体積量が変わってしまう。このため、隣接ノズルが吐出状態である場合と、隣接ノズルが非吐出状態である場合とでは、自ノズルから吐出される液滴の着弾位置や着弾体積量が異なってしまい、液滴は目標の画素領域からはみ出したり、着弾する液滴量が変化したりしてしまう。その結果、画素領域間の結合や発光層膜厚の変化が起こり、ディスプレイの画素に、混色点滅点、過発光点が発生してしまう。

このクロストーク量の変化を抑えるために、隣接ノズルの吐出状態、非吐出状態にかかわらず、クロストーク量を一定にする方法が考えられている。ノズルが非吐出状態である場合には、そのノズルを非吐出状態に維持できる微駆動パルス印加し、微振動非吐出状態にすることで、非吐出状態のノズルであっても吐出状態のときと同程度のクロストーク量を発生させることができる。この結果、吐出状態である全てのノズルの隣接ノズルからのクロストーク量を、ほぼ一定に保つことができる。クロストーク量を一定にすることにより、全てのノズルの着弾位置や体積量を変動させないようにできる(例えば、特許文献1参照)。

また、クロストーク量の変化を抑えるために、自ノズルに対する隣接ノズルの吐出タイミング微少量変化させ、自ノズルが受けるクロストーク時刻をずらし、吐出状態の変動が少なくなるようにする方法がある(例えば、特許文献2参照)。

ここで、特許文献1の技術について、図11(特許文献1の図8)を用いて説明する。特許文献1の技術は、吐出状態のノズルと非吐出状態のノズルとが隣り合うときに、圧力損失によって滴速度が低下して着弾位置ずれが生じる課題を解決するヘッド駆動制御方法である。

図11に示すように、共通駆動波形Vcomは、1駆動周期内の波形で、液滴を吐出させないでメニスカスを振動させる微駆動パルスP0と、液滴を吐出させる吐出パルスP1とからなる。微駆動パルスP0は、時系列で吐出パルスP1より前に配置されている。微駆動パルスP0と吐出パルスP1との時間間隔は、微駆動パルスP0によるメニスカス振動が、吐出パルスP1による吐出ノズルに伝搬し、メニスカス振動と、吐出振動が共振して振動するような時間差に設定されている。

また、図11に示すように、各ノズル1〜4は、非吐出受け持ち時刻の場合では微振動パルスP0で振動し、吐出受け持ち時刻の場合では吐出パルスP1で駆動する。これにより、非吐出ノズルから吐出ノズルに伝搬する振動が共振する。タイミングT2において、ノズル1の非吐出微動振動が、ノズル2の吐出振動に加わり、タイミングT3において、ノズル2の非吐出微動振動が、ノズル1とノズル3の吐出振動に重畳される。この結果、他ノズルが吐出状態であるか、非吐出状態であるかにかかわらず、自ノズルと他ノズルとの間のクロストーク量が一定となる。

次に、特許文献2の技術について、図12(特許文献2の図22)を用いて説明する。特許文献2の技術は、150ノズル×4列が一体高構造になったインクジェットヘッドにおいて、列間および列内で隣接するノズル間の駆動波形微小時間ずらすことにより、吐出液滴の体積量の変動を抑えることができるインク滴吐出方法である。各列のノズルは大玉小玉の2種類の液滴を吐出させることができる。

図12に示すように、大玉の吐出波形と小玉の吐出波形の列ごとの遅延量は、以下のとおりである。すなわち、第1列では、大玉の吐出波形の遅延量は0μsecであり、小玉の吐出波形の遅延量は4μsecである。第2列では、大玉の吐出波形の遅延量は1μsecであり、小玉の吐出波形の遅延量は6μsecである。第3列では、大玉の吐出波形の遅延量は2μsecであり、小玉の吐出波形の遅延量は7μsecである。第4列では、大玉の吐出波形の遅延量は3μsecであり、小玉の吐出波形の遅延量は8μsecである。このように、吐出波形ごとに異なる遅延量を持たせることで、他ノズルが発生するクロストーク振動が自ノズルに到達する時刻を分散させた時刻にすることができる。この結果、クロストークの影響が特定時刻に集中することがなくなり、吐出液滴の体積量の変動を少なくすることができる。

概要

隣接ノズルの吐出状態、非吐出状態によらず、自ノズルと隣接ノズルと間の互いのクロストーク量を著しく抑制すること。印刷装置は、基準吐出波形、遅延吐出波形、基準非吐出波形、または、遅延非吐出波形もしくは反転非吐出波形のいずれか、を発生する発生部と、画像の情報に基づいて、インクの吐出を行うノズルに対しては基準吐出波形または遅延吐出波形を出力し、インクの吐出を行わないノズルに対しては基準非吐出点波形、遅延非吐出波形、または反転非吐出波形を出力する制御部と、を有する。制御部は、隣接する少なくとも2つ以上のノズルを含む隣接ノズル群からインクを吐出させる場合、隣接ノズル群の両側のダミーノズルに対して、遅延非吐出波形または反転非吐出波形を出力する。

目的

本発明の目的は、隣接ノズルの吐出状態、非吐出状態によらず、自ノズルと隣接ノズルと間の互いのクロストーク量を著しく抑制できる印刷装置および印刷方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

所定の波形に基づいてインク吐出が制御される複数のノズルを用いて、画像を対象物印刷する印刷装置であって、基準吐出波形、該基準吐出波形に対して所定の遅延量を有する遅延吐出波形、ティクル振動を発生する基準非吐出波形、または、該基準非吐出波形に対して所定の遅延量を有する遅延非吐出波形もしくは該遅延非吐出波形の波高反転させた反転非吐出波形のいずれか、を発生する発生部と、所定の記憶部から読み出した前記画像の情報に基づいて、インクの吐出を行うノズルに対しては前記基準吐出波形または前記遅延吐出波形を出力し、インクの吐出を行わないノズルに対しては基準非吐出点波形、前記遅延非吐出波形、または前記反転非吐出波形を出力する制御部と、を有し、前記制御部は、隣接する少なくとも2つ以上のノズルを含む隣接ノズル群からインクを吐出させる場合、前記隣接ノズル群の両側のダミーノズルに対して、前記遅延非吐出波形または前記反転非吐出波形を出力する、印刷装置。

請求項2

前記隣接ノズル群が、第1ノズル、および、該第1ノズルと隣接している第2ノズルを含む場合、前記制御部は、前記第1ノズルと前記第2ノズルとが隣接している側とは反対側において前記第1ノズルと隣接しているダミーノズル、および、前記反対側において前記第2ノズルと隣接しているダミーノズルに対して、前記遅延非吐出波形または前記反転非吐出波形を出力する、請求項1に記載の印刷装置。

請求項3

前記隣接ノズル群が、第1ノズル、該第1ノズルと隣接している第2ノズル、および、該第2ノズルと隣接している第3ノズルを含む場合、前記制御部は、前記第1ノズルと前記第2ノズルとが隣接している側とは反対側において前記第1ノズルと隣接しているダミーノズル、および、前記第2ノズルと前記第3ノズルとが隣接している側とは反対側において前記第3ノズルと隣接しているダミーノズルに対して、前記遅延非吐出波形または前記反転非吐出波形を出力し、前記第1ノズルまたは前記第3ノズルのいずれかに対して、前記遅延吐出波形を出力する、請求項1に記載の印刷装置。

請求項4

前記制御部は、前記対象物またはインクジェットヘッドの移動速度、および、前記対象物と前記インクジェットヘッドとの間隔に基づいて、吐出速度差を算出し、該吐出速度差の分だけ吐出速度が速くなるように前記遅延吐出波形を変形させ、変形された前記遅延吐出波形を、前記第1ノズルまたは前記第3ノズルのいずれかに出力する、請求項3に記載の印刷装置。

請求項5

前記制御部は、前記ダミーノズルのスキャン順奇数の場合、該ダミーノズルに対して、前記遅延非吐出波形または前記反転非吐出波形を出力し、前記ダミーノズルのスキャン順が偶数の場合、該ダミーノズルに対して、前記非吐出波形を出力する、請求項1から4のいずれか1項に記載の印刷装置。

請求項6

前記所定の遅延量は、前記ノズルの固有振動周期の1/2周期である、請求項1から5のいずれか1項に記載の印刷装置。

請求項7

所定の波形に基づいてインクの吐出が制御される複数のノズルを用いて、画像を対象物に印刷する印刷方法であって、前記画像の情報を所定の記憶部から読み出す読出ステップと、前記画像の情報に基づいて、インクの吐出を行うノズルに対しては、基準吐出波形、または該基準吐出波形に対して所定の遅延量を有する遅延吐出波形を発生させて出力し、インクの吐出を行わないノズルに対しては、ティクル振動を発生する基準非吐出点波形、該基準非吐出波形に対して所定の遅延量を有する遅延非吐出波形、または該遅延非吐出波形の波高を反転させた反転非吐出波形を発生させて出力する出力ステップと、を有し、前記出力ステップでは、隣接する少なくとも2つ以上のノズルを含む隣接ノズル群からインクを吐出させる場合、前記隣接ノズル群の両側のダミーノズルに対して、前記遅延非吐出波形または前記反転非吐出波形を出力する、印刷方法。

技術分野

0001

本発明は、印刷装置および印刷方法に関する。

背景技術

0002

有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイパネル有機発光層形成方法として、低分子有機材料または高分子有機材料溶媒塗布法にて形成する方法がある。

0003

溶媒塗布法により有機発光層を形成する代表的な手段の一つに、インクジェット印刷装置を用いて、有機発光材料を含むインクの液滴を、ディスプレイ基板画素領域に吐出して、有機発光層を形成する方法がある。このとき吐出されるインクの液滴には、有機発光材料および溶媒が含まれる。

0004

一般的なインクジェット印刷装置には、複数のノズルを有するインクジェットヘッドが用いられている。近年のディスプレイ高解像度化や大型化に伴い、ノズルの数は数万から十万個を超えているため、ノズル間のピッチは狭くなっている。よって、各ノズルから液滴が吐出されるときに、所定の吐出ノズル(以下、自ノズルという)に対して、その自ノズルに隣接する他のノズル(以下、隣接ノズルという)の振動が影響を及ぼす度合い(以下、クロストーク量という)が増えてしまう。なお、本明細書において、「隣接」とは、ノズル同士が所定間隔をおいて隣り合っていることを意味する。

0005

また、自ノズルが吐出状態である場合において、隣接ノズルが吐出状態である場合と、隣接ノズルが非吐出状態である場合とでは、クロストーク量は一般に異なる。クロストーク量が異なると、自ノズルからの液滴の吐出速度および吐出体積量が変わってしまう。このため、隣接ノズルが吐出状態である場合と、隣接ノズルが非吐出状態である場合とでは、自ノズルから吐出される液滴の着弾位置や着弾体積量が異なってしまい、液滴は目標の画素領域からはみ出したり、着弾する液滴量が変化したりしてしまう。その結果、画素領域間の結合や発光層膜厚の変化が起こり、ディスプレイの画素に、混色点滅点、過発光点が発生してしまう。

0006

このクロストーク量の変化を抑えるために、隣接ノズルの吐出状態、非吐出状態にかかわらず、クロストーク量を一定にする方法が考えられている。ノズルが非吐出状態である場合には、そのノズルを非吐出状態に維持できる微駆動パルス印加し、微振動非吐出状態にすることで、非吐出状態のノズルであっても吐出状態のときと同程度のクロストーク量を発生させることができる。この結果、吐出状態である全てのノズルの隣接ノズルからのクロストーク量を、ほぼ一定に保つことができる。クロストーク量を一定にすることにより、全てのノズルの着弾位置や体積量を変動させないようにできる(例えば、特許文献1参照)。

0007

また、クロストーク量の変化を抑えるために、自ノズルに対する隣接ノズルの吐出タイミング微少量変化させ、自ノズルが受けるクロストーク時刻をずらし、吐出状態の変動が少なくなるようにする方法がある(例えば、特許文献2参照)。

0008

ここで、特許文献1の技術について、図11(特許文献1の図8)を用いて説明する。特許文献1の技術は、吐出状態のノズルと非吐出状態のノズルとが隣り合うときに、圧力損失によって滴速度が低下して着弾位置ずれが生じる課題を解決するヘッド駆動制御方法である。

0009

図11に示すように、共通駆動波形Vcomは、1駆動周期内の波形で、液滴を吐出させないでメニスカスを振動させる微駆動パルスP0と、液滴を吐出させる吐出パルスP1とからなる。微駆動パルスP0は、時系列で吐出パルスP1より前に配置されている。微駆動パルスP0と吐出パルスP1との時間間隔は、微駆動パルスP0によるメニスカス振動が、吐出パルスP1による吐出ノズルに伝搬し、メニスカス振動と、吐出振動が共振して振動するような時間差に設定されている。

0010

また、図11に示すように、各ノズル1〜4は、非吐出受け持ち時刻の場合では微振動パルスP0で振動し、吐出受け持ち時刻の場合では吐出パルスP1で駆動する。これにより、非吐出ノズルから吐出ノズルに伝搬する振動が共振する。タイミングT2において、ノズル1の非吐出微動振動が、ノズル2の吐出振動に加わり、タイミングT3において、ノズル2の非吐出微動振動が、ノズル1とノズル3の吐出振動に重畳される。この結果、他ノズルが吐出状態であるか、非吐出状態であるかにかかわらず、自ノズルと他ノズルとの間のクロストーク量が一定となる。

0011

次に、特許文献2の技術について、図12(特許文献2の図22)を用いて説明する。特許文献2の技術は、150ノズル×4列が一体高構造になったインクジェットヘッドにおいて、列間および列内で隣接するノズル間の駆動波形微小時間ずらすことにより、吐出液滴の体積量の変動を抑えることができるインク滴吐出方法である。各列のノズルは大玉小玉の2種類の液滴を吐出させることができる。

0012

図12に示すように、大玉の吐出波形と小玉の吐出波形の列ごとの遅延量は、以下のとおりである。すなわち、第1列では、大玉の吐出波形の遅延量は0μsecであり、小玉の吐出波形の遅延量は4μsecである。第2列では、大玉の吐出波形の遅延量は1μsecであり、小玉の吐出波形の遅延量は6μsecである。第3列では、大玉の吐出波形の遅延量は2μsecであり、小玉の吐出波形の遅延量は7μsecである。第4列では、大玉の吐出波形の遅延量は3μsecであり、小玉の吐出波形の遅延量は8μsecである。このように、吐出波形ごとに異なる遅延量を持たせることで、他ノズルが発生するクロストーク振動が自ノズルに到達する時刻を分散させた時刻にすることができる。この結果、クロストークの影響が特定時刻に集中することがなくなり、吐出液滴の体積量の変動を少なくすることができる。

先行技術

0013

特開2016−010941号公報
特開2005−238728号公報

発明が解決しようとする課題

0014

しかしながら、特許文献1の技術はクロストーク量を一定量にする方法であり、特許文献2の技術はクロストーク発生時刻を分散させるという方法であるため、各ノズルでの吐出体積量が少量の場合には、クロストーク量の絶対量を微少量に抑えることができないという問題があった。

0015

例えば表示パネルの高解像度化を実現するためには、同一の塗布領域に対して各ノズルでの体積量の減少と、ノズル間の距離(ノズルピッチ)の減少とが求められている。すなわち、各ノズルでは、吐出量を減らし、ノズル間の距離を縮め、吐出回数を増やす、ことが必要となる。

0016

吐出量の削減とノズルピッチの減少には、ノズル室の小型化が必要となり、ノズル室間で発生する自ノズルの振動発生量、他ノズルからの振動受け取り量は著しく増大する。このため、クロストーク量の絶対量を少なくする必要がある。

0017

本発明の目的は、隣接ノズルの吐出状態、非吐出状態によらず、自ノズルと隣接ノズルと間の互いのクロストーク量を著しく抑制できる印刷装置および印刷方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0018

本発明の一態様に係る印刷装置は、所定の波形に基づいてインクの吐出が制御される複数のノズルを用いて、画像を対象物印刷する印刷装置であって、基準吐出波形、該基準吐出波形に対して所定の遅延量を有する遅延吐出波形、ティクル振動を発生する基準非吐出波形、または、該基準非吐出波形に対して所定の遅延量を有する遅延非吐出波形もしくは該遅延非吐出波形の波高反転させた反転非吐出波形のいずれか、を発生する発生部と、所定の記憶部から読み出した前記画像の情報に基づいて、インクの吐出を行うノズルに対しては前記基準吐出波形または前記遅延吐出波形を出力し、インクの吐出を行わないノズルに対しては基準非吐出点波形、前記遅延非吐出波形、または前記反転非吐出波形を出力する制御部と、を有し、前記制御部は、隣接する少なくとも2つ以上のノズルを含む隣接ノズル群からインクを吐出させる場合、前記隣接ノズル群の両側のダミーノズルに対して、前記遅延非吐出波形または前記反転非吐出波形を出力する。

0019

本発明の一態様に係る印刷方法は、所定の波形に基づいてインクの吐出が制御される複数のノズルを用いて、画像を対象物に印刷する印刷方法であって、前記画像の情報を所定の記憶部から読み出す読出ステップと、前記画像の情報に基づいて、インクの吐出を行うノズルに対しては、基準吐出波形、または該基準吐出波形に対して所定の遅延量を有する遅延吐出波形を発生させて出力し、インクの吐出を行わないノズルに対しては、ティクル振動を発生する基準非吐出点波形、該基準非吐出波形に対して所定の遅延量を有する遅延非吐出波形、または該遅延非吐出波形の波高を反転させた反転非吐出波形を発生させて出力する出力ステップと、を有し、前記出力ステップでは、隣接する少なくとも2つ以上のノズルを含む隣接ノズル群からインクを吐出させる場合、前記隣接ノズル群の両側のダミーノズルに対して、前記遅延非吐出波形または前記反転非吐出波形を出力する。

発明の効果

0020

本発明によれば、隣接ノズルの吐出状態、非吐出状態によらず、自ノズルと隣接ノズルと間の互いのクロストーク量を著しく抑制できる。

図面の簡単な説明

0021

本発明の実施の形態に係るインクジェット印刷装置の構成例を示す図
本発明の実施の形態に係る画素分類波形分類との関係例を示す図
本発明の実施の形態に係るノズルの断面図
本発明の実施の形態に係る1ノズル吐出時の吐出波形および振動板干渉波の例を示す図
ノズルbの正弦波形の上部に示したストロボフラッシュ写真の拡大図
ノズルcの正弦波形の上部に示したストロボフラッシュ写真の拡大図
本発明の実施の形態に係る2ノズル吐出時の吐出波形および振動板干渉波の例を示す図
本発明の実施の形態に係る2ノズル吐出時に1/2周期遅延非吐出波形を用いてクロストーク量を抑制する例を示す図
本発明の実施の形態に係る2ノズル吐出時に反転位相ティクル波形を用いて振動板クロストーク量を抑制する例を示す図
本発明の実施の形態に係る3ノズル吐出時の吐出波形および振動板干渉波の例を示す図
本発明の実施の形態に係る3ノズル吐出時に1/2周期遅延吐出波形および1/2周期遅延非吐出波形を用いて振動板クロストーク量を抑制する例を示す図
本発明の実施の形態に係る3ノズル吐出時に1/2周期遅延吐出波形および反転位相ティクル波形を用いて振動板クロストーク量を抑制する例を示す図
特許文献1の技術の説明に供する図
特許文献2の技術の説明に供する図

実施例

0022

以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。

0023

装置構成
まず、図1を用いて、本発明の実施の形態に係るインクジェット印刷装置(本発明の印刷装置の一例)の構成について説明する。図1は、本実施の形態のインクジェット印刷装置の構成例を示す図である。

0024

基板1は、インクの液滴(以下、単にインクという)の着弾により画像が印刷される対象物である。基板1の素材としては、例えば、プラスチックガラス等が挙げられる。なお、基板1にインクが着弾することで、例えば、有機ELの機能膜が形成されてもよい。

0025

基板1上には複数のセル2(図の例では9つ)があり、各セル2は、3滴の吐出でインクの必要量が満たされるものとする。図中の黒丸吐出位置であり、図中の白丸は非吐出位置である。

0026

塗布画像3は、基板1におけるインクの吐出が行われる位置(画素)またはインクの吐出が行われない位置(画素)を示す情報(以下、吐出/非吐出情報ともいう)である。これらの位置は、ノズル配列方向と、基板1のステージスキャンSCAN)方向とからなる2次元座標の位置であり、図中の破線交点である。また、図中の長方円は上述したセル2であり、このセル2内に、ノズル配列方向に沿って1直線状に3滴のインクを吐出させる。また、各交点に示した黒丸は、吐出点(吐出画素)4aであり、黒三角は、吐出点(1/2周期遅延吐出画素)4bであり、白丸は、非吐出点(非吐出画素)4cであり、白三角は、非吐出点(1/2周期遅延ティクル非吐出画素)4dである。これらの違いについては、後述する。

0027

印刷データ保持メモリ5(記憶部の一例)は、塗布画像3を保持する。

0028

移動ステージ6は、基板1を載置し、その基板1を移動させる。

0029

位置検出器7は、移動ステージ6の移動中の位置を検出し、その位置を示す情報(以下、ステージ位置情報という)を吐出タイミング発生器8に出力する。

0030

吐出タイミング発生器8は、ステージ位置情報に示される位置に基づいて、インクを吐出させるタイミング信号を発生し、駆動波形信号発生器9へ出力する。

0031

駆動波形信号発生器9(発生部の一例)は、吐出タイミング発生器8から受け取ったタイミング信号に基づいて、波形9a〜9dの信号を発生する。波形9a〜9dの違いについては、後述する。

0032

ノズル駆動制御器10(制御部の一例)は、印刷データ保持メモリ5から吐出/非吐出情報(塗布画像3)を読み出し、その情報に基づいて、駆動波形信号発生器9から受け取った波形9a〜9dをインクジェットヘッド11の各ノズルa〜lへ出力する。

0033

インクジェットヘッド11は、インクを吐出する複数のノズルa〜lを有する。インクジェットヘッド11は、ノズル駆動制御器10からノズル毎に受け取ったいずれかの波形9a〜9dに基づいて、インクの液滴を吐出する。

0034

次に、吐出点4a、4bおよび非吐出点4c、4dと、波形9a〜9dとの関係について、図2を用いて説明する。図2は、吐出点4a、4bおよび非吐出点4c、4dのそれぞれに対する波形9a〜9eを示す図である。

0035

波形9a、9bは、吐出用の波形である。波形9aは、基準吐出波形である。波形9bは、波形9aに対して吐出振動周期の1/2周期分遅延した波形(遅延吐出波形の一例)である。

0036

波形9c、9d、9eは、非吐出用の波形であり、ティクル波形と呼ばれるノズル室(図3参照)内を揺動させる波形である。波形9cは、ティクル振動を発生する基準非吐出波形である。波形9dは、波形9cに対して揺動振動周期の1/2周期遅延した波形(遅延非吐出波形の一例。以下、1/2周期遅延のティクル波形ともいう)である。波形9eは、波形9cの波高を反転させたものであり、揺動振動の位相が反転するティクル波形(反転非吐出波形の一例。以下、反転位相ティクル波形ともいう)である。

0037

なお、本実施の形態では、波形9bおよび波形9dの遅延量を各ノズルの固有振動周期の1/2周期としたが、これに限定されない。

0038

ノズル駆動制御器10は、吐出/非吐出情報(塗布画像3)に基づいて、ノズルa〜l毎に、吐出点4aに対しては波形9aを出力し、吐出点4bに対しては波形9bを出力し、非吐出点4cに対しては波形9cを出力し、非吐出点4dに対しては波形9dまたは非吐出波形9eを出力する。

0039

<プロセス>
次に、本実施の形態の特徴である、隣接ノズルからのクロストークを中和する動作(以下、クロストーク中和動作という)について、図3を用いて説明する。図3は、ノズルがインクを吐出する瞬間を示した、3つのノズルの断面図である。

0040

圧電素子12a、12b、12cは、各ノズルからインクの吐出を行わせる素子である。固定板13は、圧電素子12a、12b、12cを固定し、圧電による力を受け止める部材である。振動板14は、圧電素子12a、12b、12cのそれぞれと結合され、圧電素子の電圧印加時に振動する部材である。

0041

インク室15は、インクが貯留される空間である。ノズル16は、インク室15内のインクを吐出させる開口部であり、インク室15から外部に向けて、円形の穴がテーパ状に形成されている。

0042

例えば圧電素子12aに吐出波形の電圧が印加されると、圧電素子12aは体積が増大し、振動板14をインク室15側(図中の下方)へ突き出す。これにより、インク室15内のインクは、ノズル16から外部へ、略球状の液滴を形成して吐出される。このとき、圧電素子12aと結合された固定板13は、インク室15がある方の逆側(図中の上方)へわずかに移動する。

0043

そして、固定板13は、隣接するノズルの圧電素子12b、12cとも結合されているため、圧電素子12b、12cに電圧が印加されていないにもかかわらず、圧電素子12b、12cと結合された各振動板14を図中の上方に移動させる。これにより、隣接するノズルに対応する各インク室15の体積が増大し、各インク室15内のインクがノズル側からわずかに図中の上方に引き戻され、メニスカス面が図中の上方に移動する。

0044

つまり、自ノズルの吐出状態のときに圧電素子12aが膨張すると、自ノズルに隣接する他ノズルが吐出状態ではないにもかかわらず、圧電素子12aに隣接する圧電素子12b、12cに結合された各振動板14が、圧電素子12aに結合された振動板14とは逆向きの方向に移動してしまう。このように、自ノズルの振動板と他ノズルの振動板とが互いに逆方向に移動する現象が、クロストークの原因である。

0045

クロストークは、自ノズルに隣接する他ノズルの圧電素子12b、12cを駆動させることで打ち消し、抑制することが可能である。この抑制動作が、本実施の形態の特徴であるクロストーク中和動作である。

0046

図4Aは、1つのノズルが吐出状態であるとき(1ノズル吐出時)における吐出波形および振動板干渉波の例を示す図である。図4Aでは、例として、図1に示したノズルa、b、c、d、eのうち、ノズルcの圧電素子に波形9aの電圧が印加され、ノズルa、b、d、eの各圧電素子にはいずれの波形の電圧も印加されない場合において、ノズルa、b、d、eへの影響を示している。

0047

ノズルcの正弦波形は、振動板14の振動の様子を模式的に表している(本来の振動は時間とともに減衰していく)。また、その正弦波形の上部には、ノズル16から吐出される液滴が球形になっていく様子を、ノズル面を連続的に撮影したストロボフラッシュ写真により示している。なお、図4Bは、ノズルbの正弦波形の上部に示したストロボフラッシュ写真の拡大図であり、図4Cは、ノズルcの正弦波形の上部に示したストロボフラッシュ写真の拡大図である。

0048

ノズルcに隣接するノズルb、dの正弦波形は、ノズルcのクロストークにより各々の振動板が振動する様子を表しており、振動の位相は反転し、振動波高は減衰している。また、正弦波形の上部のストロボフラッシュ写真からは、2周期目の時に振動によって液面(メニスカス面)がノズル面からノズル外に膨らんで振動している様子がわかる。

0049

ノズルcから2つ離れたノズルa、eの正弦波形は、ノズルb、dの正弦波形と同様に、ノズルcのクロストークにより各々の振動板が振動する様子を表しており、振動の位相は反転し、振動波高は減衰している。ただし、振動波高はさらに減衰している。また、正弦は径の上部のストロボフラッシュ写真では、メニスカス面の膨らみは観測できない程度となっている。

0050

<隣接する2つのノズルからインクが同時に吐出されるとき>
図5は、隣接する2つのノズルからインクが同時に吐出されるとき(以下、2ノズル吐出時という)における吐出波形および振動板干渉波の例を示す図である。図5では、例として、図1に示したノズルa、b、c、dのうち、ノズルb、cの各圧電素子に波形9aの電圧が印加され、ノズルa、dの各圧電素子にはいずれの波形の電圧も印加されない場合の、ノズルa、dへの影響を示している。

0051

ノズルbの圧電素子に波形9aの電圧が印加された場合、ノズルbでは吐出振動が発生する。これにより、ノズルbの振動板14には、正弦波w1の振動が発生する。この振動は、ノズルaとノズルcの両者に同等に到来し、減衰して位相が反転した正弦波w2の振動が、ノズルa、cの各インク室15内にもたらされる。

0052

ノズルcの圧電素子に波形9aの電圧が印加された場合、ノズルcでは吐出振動が発生する。これにより、ノズルcの振動板14には、正弦波w3の振動が発生する。この振動は、ノズルbとノズルdの両者に同等に到来し、減衰して位相が反転した正弦波w4の振動が、ノズルb、dの各インク室15内にもたらされる。

0053

以上の結果、ノズルaの振動板14には、減衰して位相が反転した正弦波w2の振動が発生する。ノズルbの振動板14には、吐出振動の正弦波w1と、減衰して位相が反転した正弦波w4との重畳波が発生する。ノズルcの振動板14には、吐出振動の正弦波w3と、減衰して位相が反転した正弦波w2との重畳波が発生する。ノズルdの振動板14には、減衰して位相が反転した正弦波w4の振動が発生する。

0054

本例におけるノズルb、cの振動は、以下の式で表すことができる。
ノズルbの振動=吐出振動+減衰位相反転振動
ノズルcの振動=吐出振動+減衰位相反転振動

0055

ノズルb、cの吐出振動波には、減衰して位相が反転した振動波(減衰位相反転振動)が重畳されるため、吐出振動に悪影響が及ぶ。

0056

図6は、図5に示した2ノズル吐出時に1/2周期遅延非吐出波形を用いてクロストーク量を抑制する例を示す図である。図6では、例として、クロストーク中和のために、図2に示した波形9d(1/2周期遅延のティクル波形)の電圧をノズルa、dに与えた場合を示している。

0057

ノズルaの圧電素子に波形9dの電圧が印加された場合、ノズルaではティクル1/2周期遅延振動が発生する。これにより、ノズルaのインク室15内の液面には、正弦波w5の振動が発生する。この液面振動は、ノズルbに到来し、減衰して位相が「反転+1/2=1周期」遅延した正弦波w6の振動が、ノズルbのインク室15内にもたらされる。

0058

ノズルdの圧電素子に波形9dの電圧が印加された場合、ノズルdではティクル1/2周期遅延振動が発生する。これにより、ノズルdのインク室15内の液面には、正弦波w5の振動が発生する。この液面振動は、ノズルcに到来し、減衰して位相が「反転+1/2=1周期」遅延した正弦波w6の振動が、ノズルcのインク室15内にもたらされる。

0059

図5を用いて説明したノズルb、cの各振動に上述した本例の各振動を重畳した振動は、以下の式で表すことができる。
ノズルbの振動=吐出振動+減衰位相反転振動+減衰位相1周期遅延振動=吐出振動
ノズルcの振動=吐出振動+減衰位相反転振動+減衰位相1周期遅延振動=吐出振動

0060

減衰位相反転振動と減衰位相1周期遅延振動は反転と正転の関係にあるので、重畳すると0となる。よって、ノズルb、cではクロストークは中和され、ノズルb、cの振動は、1ノズル吐出時と同じ吐出振動となる。

0061

なお、上記図6の説明では、クロストークを中和する際に波形9dを用いる場合を例に挙げて説明したが、波形9dの代わりに、図2に示した波形9e(反転位相ティクル波形)を用いてもよい。この場合の例を図7に示す。図7では、例として、クロストーク中和のために、図2に示した波形9eをノズルa、dに追加した場合を示している。

0062

図7において、位相反転と1/2周期遅延は、1波目の1/2周期時間を除き、図6に示した振動動作と同様となる。その結果、図6を用いて説明した効果に加え、1波目の1/2周期時間でもクロストークを中和する効果を得ることができる。

0063

<隣接する3つのノズルから同時にインクが吐出されるとき>
図8は、隣接する3つのノズルから同時にインクが吐出されるとき(以下、3ノズル吐出時という)における吐出波形および振動板干渉波の例を示す図である。図8では、例として、図1に示したノズルa、b、c、d、eのうち、ノズルb、c、dの各圧電素子に波形9aの電圧が印加され、ノズルa、eの各圧電素子にはいずれの波形の電圧も印加されない場合の、ノズルa、eへの影響を示している。

0064

ノズルb、cの各圧電素子に波形9aが印加された場合におけるノズルb、cの各振動については、図5を用いて説明したとおりであるので、ここでの説明は省略する。

0065

ノズルdの圧電素子に波形9aが印加された場合、ノズルdでは吐出振動が発生する。これにより、ノズルdの振動板14には、正弦波w7の振動が発生する。この振動は、ノズルcとノズルeの両者に同等に到来し、減衰して位相が反転した正弦波w8の振動が、ノズルc、eの各インク室15内にもたらされる。

0066

本例におけるノズルb、c、dの振動は、以下の式で表すことができる。
ノズルbの振動=吐出振動+減衰位相反転振動
ノズルcの振動=吐出振動+2×(減衰位相反転振動)
ノズルdの振動=吐出振動+減衰位相反転振動

0067

ノズルb、dの吐出振動波には、減衰して位相が反転した振動波(減衰位相反転振動)が重畳されるため、吐出振動に悪影響が及ぶ。ノズルcの吐出振動波には、減衰して位相が反転した振動波(減衰位相反転振動)の2倍波が重畳されるため、吐出振動にさらに悪影響が及ぶ。

0068

図9は、図8に示した3ノズル吐出時に1/2周期遅延非吐出波形を用いてクロストーク量を抑制する例を示す図である。図9では、例として、クロストーク中和のために、図2に示した波形9d(1/2周期遅延のティクル波形)をノズルa、eに追加し、ノズルdでは、図8で説明した波形9aの代わりに波形9b(1/2周期遅延の吐出波形)に変更した場合を示している。

0069

ノズルaの圧電素子に波形9dの電圧が印加された場合、ノズルaではティクル1/2周期遅延振動が発生する。これにより、ノズルaの振動板14には、正弦波w9の振動が発生する。この振動は、ノズルbに到来し、減衰して位相が「1/2+1/2=1周期」遅延した正弦波w10の振動が、ノズルbのインク室15内にもたらされる。

0070

ノズルdの圧電素子に波形9bが印加された場合、ノズルdでは吐出振動が発生する。これにより、ノズルdの振動板14には、正弦波w11の振動が発生する。この振動は、ノズルcに到来し、減衰して位相が「反転+1/2=1周期」遅延した正弦波w12の振動が、ノズルcのインク室15内にもたらされる。

0071

ノズルeの圧電素子に波形9dが印加された場合、ノズルeではティクル1/2周期遅延振動が発生する。これにより、ノズルeの振動板14には、正弦波w9の振動が発生する。この振動は、ノズルdに到来し、減衰して位相が「反転+1/2=1周期」遅延した正弦波w10の振動が、ノズルdのインク室15内にもたらされる。

0072

図8を用いて説明したノズルb、c、dの各振動に上述した本例の各振動を重畳した振動は、以下の式で表すことができる。
ノズルbの振動=吐出振動+減衰位相反転振動+減衰位相1周期遅延振動=吐出振動
ノズルcの振動=吐出振動+減衰位相反転振動+減衰位相1周期遅延振動=吐出振動
ノズルdの振動=吐出位相1/2周期遅延振動+減衰位相反転振動+減衰位相1周期遅延振動=吐出位相1/2周期遅延振動

0073

ノズルb、c、dでは、クロストークが中和され、ノズルb、c、dの振動は、1ノズル吐出時と同じ吐出振動となる。

0074

なお、上記図9の説明では、クロストークを中和する際に波形9dを用いる場合を例に挙げて説明したが、波形9dの代わりに、図2に示した波形9e(反転位相ティクル波形)を用いてもよい。この場合の例を図10に示す。図10では、例として、クロストーク中和のために、図2に示した波形9eをノズルa、eに追加した場合を示している。

0075

図10において、位相反転と1/2周期遅延は、1波目の1/2周期時間を除き、図9に示した振動動作と同様となる。その結果、図9を用いて説明した効果に加え、1波目の1/2周期時間でもクロストークを中和する効果を得ることができる。

0076

以上説明したように、3ノズル吐出時においてクロストークの中和効果を得るためには、自ノズルおよびそれに隣接する両側の他ノズルの3つのノズルのうち、任意の1つのノズルと残りの2ノズルとが異なる周期遅延であればよい。3つのノズルの周期遅延の一覧を以下の表1に示す。なお、表1において、前隣接ノズルは、自ノズルの前側(左側と言い換えてもよい)に隣接する他ノズルであり、後隣接ノズルは、自ノズルの後側(右側と言い換えてもよい)に隣接する他ノズルである。また、表1において、「なし」は、周期遅延がないことを意味し、「1/2」は1/2周期遅延であることを意味する。

0077

上述したとおり、クロストーク中和動作では、波形9dの代わりに波形9eを用いてもよいが、実際に使用する全てのノズルの両脇にはダミーノズルを1つずつ(計2ノズル)を配置し、波形9d、9e、または9cを用いる必要がある。図6図7を用いて説明した2ノズル吐出時のクロストーク中和の例では、ノズルaおよびノズルdがダミーノズルである。また、図9図10を用いて説明した3ノズル吐出時のクロストーク中和の例では、ノズルaおよびノズルeがダミーノズルである。

0078

以上、2ノズル同時吐出時、3ノズル同時吐出時それぞれにおけるクロストーク中和の原理について説明したが、4つ以上のノズルが同時にインクを吐出する場合でも、上記クロストーク中和の原理を適用することができる。

0079

<クロストーク中和動作>
上述したクロストーク中和動作を、図1に示したインクジェット印刷装置で行った場合について、以下に説明する。

0080

ここでは、ノズル配列方向(図1における横方向)の10画素×ステージスキャン方向(図1における縦方向)の9画素である基板上格子に対して印刷を行う場合を例に挙げて説明する。上述したとおり、ノズル配列方向には印刷画素の両脇にダミー画素が必要となる。図1の例では、ノズル配列方向の10画素に2つのダミーノズルを加えた、12個のノズルa〜lが必要となる。

0081

基板1上に9個のセルが配置され、各セル2に3滴のインクを着弾させるとする。まず、ノズルa〜lに対して、画素の種類の割り当てを行う。

0082

例えば、ノズルaに対しては1/2周期遅延ティクル非吐出画素、ノズルb、cに対しては吐出画素またはティクル非吐出画素、ノズルd、eに対しては1/2周期遅延吐出画素またはティクル非吐出画素、というように割り当てる。ノズルlに対しては1/2周期遅延ティクル非吐出画素を割り当てる。

0083

本例では、クロストーク中和原理に従い、スキャン位置がセル2上では、ノズルa、e、lには1/2周期遅延ティクル非吐出画素(図1において白三角で示す非吐出点4d)が割り当てられと、ノズルb、c、f、g、j、kはに吐出画素(図1において黒丸で示す吐出点4a)が割り当てられ、ノズルd、h、iには1/2周期遅延吐出画素(図1において黒三角で示す吐出点4b)が割り当てられている。また、スキャン位置がセル2以外の基板上格子では、ノズルa、d、e、h、i、lには1/2周期遅延ティクル非吐出画素(図1において白三角で示す非吐出点4d)は割り当てられ、ノズルb、c、f、g、j、kには非吐出画素(図1において白丸で示す非吐出点4c)が割り当てられている。

0084

駆動波形信号発生器9は、図2に示した波形9a〜9dを発生させる準備をしておく。移動ステージ6に基板1を装着し、移動ステージ6を移動させると、移動ステージ6からは正弦波またはパルス波の4相位置信号が位置検出器7へ出力される。位置検出器7は、その4位相信号を、微細位置信号に変換したのち吐出タイミング発生器8へ出力する。

0085

吐出タイミング発生器8は、位置信号に基づいて、塗布画像3がもれなく基板1上に印刷されるように吐出タイミング信号を発生する。そして、吐出タイミング発生器8は、吐出タイミング信号を、駆動波形信号発生器9および印刷データ保持メモリ5へ出力する。

0086

駆動波形信号発生器9は、吐出タイミング信号に基づいて、図2に示した4種類の波形9a〜9dをノズル駆動制御器10へ出力する。

0087

印刷データ保持メモリ5は、吐出タイミング信号に基づいて、吐出タイミングごとにノズルa〜lの画素データをノズル駆動制御器10へ出力する。画素データは、例えば、印刷データ保持メモリ5内の塗布画像3に対応する4種類の画素4a〜4d(図2参照)のデータである。

0088

ノズル駆動制御器10は、印刷データ保持メモリ5からの4種類の画素データに基づいて、駆動波形信号発生器9からの4種類の波形9a〜9dを選択する。この選択は、ノズルa〜1毎に行われる。そして、ノズル駆動制御器10は、選択した波形9a〜9dのいずれかを、ノズルa〜l毎にインクジェットヘッド11へ出力する。

0089

インクジェットヘッド11は、波形9a〜9dに基づいて、ノズル毎に、インクを吐出させたり、吐出させないようにしたりする。

0090

以上の動作が塗布画像3のスキャン画素分行われると、基板1上に塗布画像3が印刷されることになる。

0091

上記説明では、全てのスキャン位置でノズルaに対して1/2周期遅延ティクル非吐出画素(図1において白三角で示す非吐出点4d)を割り当てる場合を例に挙げたが、これに限定されない。

0092

例えば、奇数のスキャン位置(スキャン順が奇数の場合)では、ノズルaに1/2周期遅延ティクル非吐出画素(図1において白三角で示す非吐出点4d)を割り当て、偶数のスキャン位置(スキャン順が偶数の場合)では、ノズルaを非吐出画素(図1において白丸で示す非吐出点4c)を割り当ててもよい。すなわち、ノズル駆動制御器10は、スキャン順が奇数の場合、波形9d(波形9eでもよい)をノズルaに出力し、スキャン順が偶数の場合、波形9cをノズルaに出力してもよい。この方法では、ステージスキャン方向の着弾位置が一定間隔でなくなるため、セル2内の微量な筋現象を回避できる可能性がある。

0093

また、1/2周期遅延させた波形9bに基づいて吐出されたインクの基板1上の着弾位置と、遅延させない波形9aに基づいて吐出されたインクの基板1上の着弾位置とでは、ずれが生じる。これは、移動ステージ6が1/2周期遅延する時間の間に基板1を移動させるためである。

0094

そこで、上記ずれを補正するために、例えばノズル駆動制御器10は、基板1またはインクジェットヘッド11の移動速度と、インクジェットヘッド11と基板1との間隔とに基づいて吐出速度差を算出し、この吐出速度差分だけ吐出速度が速くなるように波形9bを変形させ、変形後の波形9bを所定のノズル(例えば、3ノズル同時吐出時のノズルd)に出力してもよい。波形9bを変形させる方法としては、例えば、波形の矩形部分立ち上がりの角度(スルーレート)を上げる方法、または、矩形波高値電位を上げる方法などがある。

0095

また、図1の例では、インクジェットヘッド11のノズルa〜lの配置が基板1に対して垂直に配置しているが、ノズル間ピッチをより狭めるために、ノズルa〜l毎を斜めに配置してもよい。

0096

上述したクロストーク中和動作によれば、吐出波形または非吐出波形において基準波形と固有振動周期の1/2周期遅延させた波形とを用意し、それらを2ノズル毎に繰り返し割り当て、その2ノズル全体に隣接する両側のノズルには、非吐出の1/2周期遅延波形を割り当てることにより、隣接ノズル間でのクロストークを全て中和することができる。

0097

したがって、本実施の形態によれば、隣接ノズルの吐出状態、非吐出状態によらず、自ノズルと隣接ノズルと間の互いのクロストーク量を著しく抑制できる。その結果、例えば、吐出の着弾位置、吐出体積量が安定し、画素領域からのはみ出しなく、発光層膜厚が均一にでき、画素に滅点、混色点、輝度ムラのない高解像度品質ディスプレイを有する電子機器を製造することができる。

0098

なお、本発明は、上記実施の形態の説明に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。

0099

本発明は、複数のノズルからインク液滴を吐出して印刷を行う技術全般に利用可能である。

0100

1基板
2セル
3塗布画像
4a、4b吐出点
4c、4d 非吐出点
5印刷データ保持メモリ
6移動ステージ
7位置検出器
8吐出タイミング発生器
9駆動波形信号発生器
9a、9b、9c、9d、9e波形
10ノズル駆動制御器
11インクジェットヘッド
12a、12b、12c圧電素子
13固定板
14振動板
15インク室
16 ノズル

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