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図面 (20)

課題

異常ヘモグロビン症治療のための組成物および方法の提供。

解決手段

RNAポリメラーゼII発現のための特別に設計された合成BCL11A標的指向性マイクロRNA、および胎児型ヘモグロビンベル発現レベルを上昇させることによって鎌状赤血球症またはサラセミアなどの異常ヘモグロビン症を治療するための使用方法赤血球、赤血球始原細胞および胚性幹細胞を含む造血細胞および造血前駆細胞における遺伝子治療を達成するための改良された組成物および方法、並びに、造血関連障害を治療するための改良された遺伝子治療方法

概要

背景

背景
鎌状赤血球症鎌状赤血球貧血(SCD)およびサラセミア(THAL)を含む異常ヘモグロビン症は、ヒトにおいて最も有病率の高い遺伝性一遺伝子病である。世界人口のおよそ5%が、グロビン遺伝子突然変異を保有している。世界保健機構(World Health Organization)は、毎年約300,000人の幼児が重大なヘモグロビン障害を伴って生まれると推定している。SCDはサハラフリカ、インド、サウジアラビアおよび地中海諸国出身の集団に分離しており、これらの地域では全小児の最大2%がこの病状を伴って生まれるが、これはヘテロ接合性鎌状β-グロビン(βS)突然変異によって付与される、マラリア伝染に対する生存優位性のためである(WHO Report on Sickle-cell anaemia - A59.9. Fifty-ninth World Health Assembly - Provisional agenda item 114: United Nations; 2006:1-5(非特許文献1))。長い歴史のある移住および/または最近の移住が原因となって、今では先進諸国で見いだされる患者集団の数が増加しており、SCDの公衆衛生面での影響は重大である(Kauf et al., American Journal of Hematology. 2009;84:323-327(非特許文献2);Amendah et al., American Journal of Preventive Medicine. 2010;38:S550-556(非特許文献3))。米国では1994年に、異常ヘモグロビン症を有する患者生存期間中央値男性では42年、女性では48年であると推定されている(Piatt et al., New England Journal of Medicine. 1994;330:1639-1644(非特許文献4))。分子レベルでは、SCDは分子変更と関連づけられることになった最初の疾患である(Pauling et al., Science. 1949;10:543-548(非特許文献5))。単一ヌクレオチドの突然変異により、β-グロビンタンパク質の位置6にあるグルタミン酸バリンへの置換がもたらされる。この改変は、脱酸素条件下でのこの分子の重合およびそれに続く赤血球の「鎌状化」をもたらし、これは最終的には、溶血による貧血、ならびに腎臓、脳、などを含む複数の臓器に影響を及ぼす急性および慢性血管閉塞性および虚血性合併症を招く。予防的手段(化学的予防薬であるヒドロキシ尿素を含む)により、特定の患者群では苦難の中程度の減少が得られているものの、現時点でSCDに対して利用しうる根治療法は同種異系造血幹細胞移植(HSCT)のみである(Hsieh et al., New England Journal of Medicine. 2009;361:2309-2317(非特許文献6);Hsieh et al., Blood;Electronic pre-publication June 31, 2011(非特許文献7))。HSCTは残念ながら、SCDおよびTHALの状況では有意な死亡および病的状態を伴い、それは一部には、とりわけ、HSCT前の輸血に関連した鉄過剰、移植片対宿主病、および宿主移植前状態調節のために必要な高用量の化学療法放射線照射に起因する。

新たな分子療法も開発中である。例えば、米国特許第8,383,604号(特許文献1)は、BCL11Aが発生過程におけるグロビン遺伝子の重要な調節因子であることを記述している。特に、BCL11Aは、胎児発生過程における胎児型ヘモグロビン遺伝子の発現から成人型ヘモグロビン遺伝子の発現への移行切り換えを促進する。BCL11Aの抑制は、この移行切り換えを減少させ、胎児発生後にも胎児型ヘモグロビン遺伝子の有意に高い発現を維持させる。発現される胎児型ヘモグロビン遺伝子の量がより多いことにより、さまざまな異常ヘモグロビン症に伴う症状が改善される。

概要

異常ヘモグロビン症の治療のための組成物および方法の提供。RNAポリメラーゼII発現のための特別に設計された合成BCL11A標的指向性マイクロRNA、および胎児型ヘモグロビンレベル発現レベルを上昇させることによって鎌状赤血球症またはサラセミアなどの異常ヘモグロビン症を治療するための使用方法、赤血球、赤血球始原細胞および胚性幹細胞を含む造血細胞および造血前駆細胞における遺伝子治療を達成するための改良された組成物および方法、並びに、造血関連障害を治療するための改良された遺伝子治療方法

目的

本発明は、一部には、赤血球、赤血球始原細胞および胚性幹細胞を含む造血細胞および造血前駆細胞における遺伝子治療を達成するための改良された組成物および方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

a)第1のBCL11Aセグメントループセグメント;およびb)5'から3'への方向に直列に並んだ第2のBCL11Aセグメントを含む合成BCL11AマイクロRNAであって、該ループセグメントが第1および第2のBCL11Aセグメントの間にあってそれらと直接連結されており、かつ第1および第2のBCL11Aセグメントが塩基対合してヘアピンループを形成するように第2のBCL11Aセグメントが第1のBCL11Aセグメントに対して相補的であり、該ループセグメントがそのようにして形成されたヘアピンループのループ部分を形成している、前記合成BCL11AマイクロRNA。

請求項2

第1および第2のBCL11Aセグメントが約18〜25ヌクレオチド長である、請求項1記載の合成BCL11AマイクロRNA。

請求項3

第1のBCL11Aセグメントが、BCL11AmRNA配列由来する配列を含む、請求項1または2記載の合成BCL11AマイクロRNA。

請求項4

第1のBCL11Aセグメントが第2のBCL11Aセグメントに対して相補的である、請求項1〜3のいずれか一項記載の合成BCL11AマイクロRNA。

請求項5

第1のBCL11Aセグメントが5'末端にて-GCGC-で始まり、第2のBCL11Aセグメントが3'末端にて-GCGC-で終わる、請求項1〜4のいずれか一項記載の合成BCL11AマイクロRNA。

請求項6

第1のBCL11Aセグメントが、;本明細書に記載のBCL11A miR1オリゴに由来)、;本明細書に記載のBCL11A miR2オリゴに由来)、;本明細書に記載のBCL11A E3オリゴまたはshRNA1またはE3に由来)、;本明細書に記載のshRNA2またはB5に由来)、;本明細書に記載のshRNA4またはB11に由来)、;本明細書に記載のBCL11A D8オリゴまたはshRNA3またはD8に由来)、;本明細書に記載のshRNA5または50D12もしくはD12に由来)、;本明細書に記載のshRNA5または50A5に由来)、;本明細書に記載のshRNA7または50B11に由来)、;本明細書に記載のBCL11A XLC4、shRNA8および50C4に由来)、;本明細書に記載のBCL11A非標的指向性オリゴに由来)、;本明細書に記載のmiR1G5オリゴに由来)、;本明細書に記載のE3G5またはE3 modオリゴまたはshRNA1modに由来)、;本明細書に記載のB5G5またはshRNA2modに由来)、;本明細書に記載のB11G5またはshRNA4modに由来)、;本明細書に記載の50D12G5、D12G4またはshRNA5modに由来)、;本明細書に記載の50A5G5またはshRNA6modに由来)、;本明細書に記載の50B11G5またはshRNA7modに由来)、;本明細書に記載のBCL11A D8G5またはD8 modまたはshRNA3modに由来)、;本明細書に記載のBCL11A C4G5またはC4 modまたはshRNA8modに由来)、;本明細書に記載のBCL11A D12G5-2に由来)、および;本明細書に記載のBCL11A D12G5-2に由来)からなる群より選択される、請求項1〜5のいずれか一項記載の合成BCL11AマイクロRNA。

請求項7

ループセグメントがマイクロRNAに由来する、請求項1〜6のいずれか一項記載の合成BCL11AマイクロRNA。

請求項8

前記マイクロRNAが造血特異的マイクロRNAである、請求項7記載の合成BCL11AマイクロRNA。

請求項9

前記マイクロRNAがmiR223である、請求項8記載の合成BCL11AマイクロRNA。

請求項10

ループセグメントがctccatgtggtagagである、請求項9記載の合成BCL11AマイクロRNA。

請求項11

SEQID NO:1〜10、13〜18および25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項1〜10のいずれか一項記載の合成BCL11AマイクロRNA。

請求項12

対象において請求項1〜11のいずれか一項記載の少なくとも1種類の合成BCL11AマイクロRNAをインビボ発現させる段階を含む、対象における異常ヘモグロビン症治療するかまたはそれを発症するリスクを減少させる方法。

請求項13

インビボ発現が、対象における胚性幹細胞体性幹細胞始原細胞骨髄細胞造血幹細胞または造血始原細胞において起こる、請求項12記載の方法。

請求項14

請求項1〜11のいずれか一項記載の少なくとも1種類の合成BCL11AマイクロRNAを、対象の胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞、骨髄細胞、造血幹細胞または造血始原細胞において発現させる段階であって発現がエクスビボである段階、および該細胞を対象に移植する段階を含む、対象における異常ヘモグロビン症を治療するかまたはそれを発症するリスクを減少させる方法。

請求項15

細胞によって発現される胎児型ヘモグロビンベルを上昇させる方法であって、細胞において請求項1〜11のいずれか一項記載の少なくとも1種類の合成BCL11AマイクロRNAを発現させる段階を含み、該細胞が胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞、骨髄細胞、造血幹細胞または造血始原細胞である、前記方法。

請求項16

少なくとも1種類の合成BCL11AマイクロRNAが、真核細胞における発現のためにプロモーターと機能的に連結されてベクター中に構築されている、請求項12〜15のいずれか一項記載の方法。

請求項17

少なくとも1種類の合成BCL11AマイクロRNAがRNAIIポリメラーゼから発現される、請求項12〜16のいずれか一項記載の方法。

請求項18

少なくとも1種類の合成BCL11AマイクロRNAがRNAIIIポリメラーゼからは発現されない、請求項12〜17のいずれか一項記載の方法。

請求項19

プロモーターが、脾臓フォーカス形成ウイルスプロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、またはβ-グロビン遺伝子座制御領域およびβ-グロビンプロモーターからなる群より選択される、請求項18記載の方法。

請求項20

ベクターがウイルスである、請求項16〜19のいずれか一項記載の方法。

請求項21

ウイルスがレンチウイルスである、請求項20記載の方法。

請求項22

レンチウイルスが、ヒト免疫不全ウイルス1型HIV-1)、ヒト免疫不全ウイルス2型(HIV-2)、ヤギ関節炎脳炎ウイルスCAEV)、ウマ伝染性貧血ウイルスEIAV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、およびサル免疫不全ウイルス(SIV)からなる群より選択される、請求項21記載の方法。

請求項23

SEQID NO:1〜10、13〜18および25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子

請求項24

SEQID NO:1のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項25

SEQID NO:2のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項26

SEQID NO:3のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項27

SEQID NO:4のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項28

SEQID NO:5のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項29

SEQID NO:6のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項30

SEQID NO:7のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項31

SEQID NO:8のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項32

SEQID NO:9のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項33

SEQID NO:10のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項34

SEQID NO:13のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項35

SEQID NO:14のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項36

SEQID NO:15のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項37

SEQID NO:16のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項38

SEQID NO:17のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項39

SEQID NO:18のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項40

SEQID NO:25のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項41

SEQID NO:26のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項42

SEQID NO:27のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項43

SEQID NO:28のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項44

SEQID NO:29のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項45

SEQID NO:30のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項46

SEQID NO:31のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項47

SEQID NO:33のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項48

SEQID NO:34のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項49

SEQID NO:35のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項50

SEQID NO:36のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項51

SEQID NO:37のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項52

SEQID NO:38のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項53

SEQID NO:39のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項54

SEQID NO:40のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項55

SEQID NO:41のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項56

SEQID NO:42のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項57

SEQID NO:43のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項58

SEQID NO:44のヌクレオチド配列を含む、請求項23記載の単離された核酸分子。

請求項59

請求項23記載の単離された核酸分子を含むベクター。

請求項60

脾臓フォーカス形成ウイルスプロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、またはβ-グロビン遺伝子座制御領域およびβ-グロビンプロモーターをさらに含む、請求項59記載のベクター。

請求項61

請求項59または60記載のベクターを含む宿主細胞

請求項62

胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞、骨髄細胞、造血幹細胞または造血始原細胞である、請求項61記載の細胞。

請求項63

赤血球である、請求項61記載の細胞。

請求項64

請求項23記載の単離された核酸分子を含む細菌。

請求項65

請求項23記載の単離された核酸分子を含むウイルス。

請求項66

レンチウイルスである、請求項65記載のウイルス。

請求項67

レンチウイルスが、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)、ヒト免疫不全ウイルス2型(HIV-2)、ヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、およびサル免疫不全ウイルス(SIV)からなる群より選択される、請求項66記載のウイルス。

請求項68

請求項1〜58のいずれか一項記載の単離された核酸分子、請求項59もしくは60記載のベクター、請求項61〜63のいずれか一項記載の宿主細胞、または請求項65〜67のいずれか一項記載のウイルスを含む組成物

請求項69

請求項59もしくは60記載のベクター、請求項61〜63のいずれか一項記載の宿主細胞、または請求項65〜67のいずれか一項記載のウイルスを含む組成物。

請求項70

薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む、請求項68または69記載の組成物。

請求項71

対象における異常ヘモグロビン症の治療にまたはそれを発症するリスクを減少させるために用いるための、請求項68〜70のいずれか一項記載の組成物。

請求項72

対象における異常ヘモグロビン症の治療におけるまたはそれを発症するリスクを減少させるための医薬の製造に用いるための、請求項68〜70のいずれか一項記載の組成物。

請求項73

細胞によって発現される胎児型ヘモグロビンレベルを上昇させるのに用いるための、請求項68〜70のいずれか一項記載の組成物。

請求項74

細胞が胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞、骨髄細胞、造血幹細胞または造血始原細胞である、請求項73記載の組成物。

請求項75

請求項1〜58のいずれか一項記載の単離された核酸分子、請求項59もしくは60記載のベクター、請求項61〜63のいずれか一項記載の宿主細胞、または請求項65〜67のいずれか一項記載のウイルスの治療的有効量を対象に投与する段階を含み、それによって対象における異常ヘモグロビン症を治療するかまたはそれを発症するリスクを減少させる、対象における異常ヘモグロビン症を治療するかまたはそれを発症するリスクを減少させる方法。

請求項76

請求項68〜74のいずれか一項記載の組成物の治療的有効量を対象に投与する段階を含み、それによって対象における異常ヘモグロビン症を治療するかまたはそれを発症するリスクを減少させる、対象における異常ヘモグロビン症を治療するかまたはそれを発症するリスクを減少させる方法。

請求項77

対象において細胞によって発現される胎児型ヘモグロビンレベルを上昇させる段階を含む、対象における異常ヘモグロビン症を治療するかまたはそれを発症するリスクを減少させる方法。

請求項78

異常ヘモグロビン症を有するかまたは異常ヘモグロビン症を発症するリスクがある対象を選択する段階をさらに含む、請求項75〜77のいずれか一項記載の方法。

請求項79

異常ヘモグロビン症が鎌状赤血球症またはサラセミアである、請求項78記載の方法。

請求項80

酸素ヒドロキシ尿素葉酸または輸血を含む治療法を対象に施す段階をさらに含む、請求項75〜80のいずれか一項記載の方法。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2014年4月25日に提出された米国仮出願第61/984,247号、および2014年10月21日に提出された米国仮出願第62/066,783号の恩典を主張している国際出願であり、各出願の内容はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。

0002

政府援助
本発明は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって授与された助成金番号:5U01HL117720-03の下で、米国政府の援助を受けて行われた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。

0003

技術分野
本明細書において開示される態様は、異常ヘモグロビン症治療のための組成物および方法に関する。より詳細には、これらの態様は、内因性BCL11Aの選択的ノックダウンによって細胞内の胎児型ヘモグロビンを増加させる組成物および方法に関する。

背景技術

0004

背景
鎌状赤血球症鎌状赤血球貧血(SCD)およびサラセミア(THAL)を含む異常ヘモグロビン症は、ヒトにおいて最も有病率の高い遺伝性一遺伝子病である。世界人口のおよそ5%が、グロビン遺伝子突然変異を保有している。世界保健機構(World Health Organization)は、毎年約300,000人の幼児が重大なヘモグロビン障害を伴って生まれると推定している。SCDはサハラフリカ、インド、サウジアラビアおよび地中海諸国出身の集団に分離しており、これらの地域では全小児の最大2%がこの病状を伴って生まれるが、これはヘテロ接合性鎌状β-グロビン(βS)突然変異によって付与される、マラリア伝染に対する生存優位性のためである(WHO Report on Sickle-cell anaemia - A59.9. Fifty-ninth World Health Assembly - Provisional agenda item 114: United Nations; 2006:1-5(非特許文献1))。長い歴史のある移住および/または最近の移住が原因となって、今では先進諸国で見いだされる患者集団の数が増加しており、SCDの公衆衛生面での影響は重大である(Kauf et al., American Journal of Hematology. 2009;84:323-327(非特許文献2);Amendah et al., American Journal of Preventive Medicine. 2010;38:S550-556(非特許文献3))。米国では1994年に、異常ヘモグロビン症を有する患者生存期間中央値男性では42年、女性では48年であると推定されている(Piatt et al., New England Journal of Medicine. 1994;330:1639-1644(非特許文献4))。分子レベルでは、SCDは分子変更と関連づけられることになった最初の疾患である(Pauling et al., Science. 1949;10:543-548(非特許文献5))。単一ヌクレオチドの突然変異により、β-グロビンタンパク質の位置6にあるグルタミン酸バリンへの置換がもたらされる。この改変は、脱酸素条件下でのこの分子の重合およびそれに続く赤血球の「鎌状化」をもたらし、これは最終的には、溶血による貧血、ならびに腎臓、脳、などを含む複数の臓器に影響を及ぼす急性および慢性血管閉塞性および虚血性合併症を招く。予防的手段(化学的予防薬であるヒドロキシ尿素を含む)により、特定の患者群では苦難の中程度の減少が得られているものの、現時点でSCDに対して利用しうる根治療法は同種異系造血幹細胞移植(HSCT)のみである(Hsieh et al., New England Journal of Medicine. 2009;361:2309-2317(非特許文献6);Hsieh et al., Blood;Electronic pre-publication June 31, 2011(非特許文献7))。HSCTは残念ながら、SCDおよびTHALの状況では有意な死亡および病的状態を伴い、それは一部には、とりわけ、HSCT前の輸血に関連した鉄過剰、移植片対宿主病、および宿主移植前状態調節のために必要な高用量の化学療法放射線照射に起因する。

0005

新たな分子療法も開発中である。例えば、米国特許第8,383,604号(特許文献1)は、BCL11Aが発生過程におけるグロビン遺伝子の重要な調節因子であることを記述している。特に、BCL11Aは、胎児発生過程における胎児型ヘモグロビン遺伝子の発現から成人型ヘモグロビン遺伝子の発現への移行切り換えを促進する。BCL11Aの抑制は、この移行切り換えを減少させ、胎児発生後にも胎児型ヘモグロビン遺伝子の有意に高い発現を維持させる。発現される胎児型ヘモグロビン遺伝子の量がより多いことにより、さまざまな異常ヘモグロビン症に伴う症状が改善される。

0006

米国特許第8,383,604号

先行技術

0007

WHO Report on Sickle-cell anaemia - A59.9. Fifty-ninth World Health Assembly - Provisional agenda item 114: United Nations; 2006:1-5
Kauf et al., American Journal of Hematology. 2009;84:323-327
Amendah et al., American Journal of Preventive Medicine. 2010;38:S550-556
Piatt et al., New England Journal of Medicine. 1994;330:1639-1644
Pauling et al., Science. 1949;10:543-548
Hsieh et al., New England Journal of Medicine. 2009;361:2309-2317
Hsieh et al., Blood;Electronic pre-publication June 31, 2011

0008

概要
特に例示的な態様において、本発明は、一部には、赤血球、赤血球始原細胞および胚性幹細胞を含む造血細胞および造血前駆細胞における遺伝子治療を達成するための改良された組成物および方法を提供する。本発明はさらに、造血関連障害を治療するための改良された遺伝子治療方法を提供する。

0009

その目標は、形質導入された生着可能な造血幹細胞由来する細胞において、BCL11Aを効率的にノックダウンすることである。γ-グロビンの誘導、ならびにそれ故に同時に起こるHbFの増加および突然変異体HbSの減少が成功するかどうかは、BCL11A転写物およびタンパク質の量的減少に依存する。本発明者らは、BCL11A shRNAをmir223ループ中に埋め込んだ。このアプローチにより、BCL11A shRNAが、ポリメラーゼIIIプロモーターではなくポリメラーゼII(pol II)プロモーターを介して転写されることが可能になる。これにより、マイクロRNAバイオジェネシス経路を利用して、生着可能なHSCにおけるBCL11A発現を標的とするsiRNAを作製することが可能になる。レンチウイルス導入遺伝子は、一次マイクロRNA(pri-miRNA)を模倣し、内因性マイクロプロセッサー(Microprocessor)複合体およびダイサー(Dicer)複合体によって逐次的にプロセシングを受けて、BCL11AメッセンジャーRNAmRNA)に対して相補的な配列を有する低分子干渉性RNA(siRNA)を生じるshRNAを発現するように操作される。

0010

1つの局面において、形質導入された生着可能な造血幹細胞に由来する細胞においてBCL11Aを効率的にノックダウンする組成物および方法が提供される。1つの態様において、BCL11A転写物およびタンパク質の量的減少により、γ-グロビン産生が誘導され、それ故にHbFの増加および突然変異体HbSの減少が起こる。1つの特定の態様において、BCL11A shRNAはmir223ループ中に埋め込まれる。特定の態様において、レンチウイルスは、pri-miRNAを模倣し、内因性マイクロプロセッサー複合体およびダイサー複合体によって逐次的にプロセシングを受けて、BCL11AmRNAに対して相補的な配列を有するsiRNAを生じるshRNAを発現するように操作される。

0011

したがって、さまざまな例示的な態様において、本明細書は、一部には、第1のBCL11Aセグメントループセグメント、および5'から3'への方向に直列に並んだ第2のBCL11Aセグメントを含む合成BCL11AマイクロRNAであって、ループセグメントが第1および第2のBCL11Aセグメントの間にあってそれらと直接連結されており、かつ、第1および第2のBCL11Aセグメントが塩基対合してヘアピンループを形成するように第2のBCL11Aセグメントが第1のBCL11Aセグメントに対して相補的であり、ループセグメントがそのようにして形成されたヘアピンループのループ部分を形成している、前記合成BCL11AマイクロRNAを提供する。

0012

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、第1および第2のBCL11Aセグメントは約18〜25ヌクレオチド長である。第1のBCL11AセグメントはBCL11A配列に由来し、かつ二重鎖siRNAへのshRNAプロセシング中にパッセンジャー鎖を生じ、第2のBCL11Aセグメントは第1のBCL11Aセグメントに対して相補的であり、ここで第2のBCL11Aセグメントはガイド鎖を生じ、それはRNA干渉またはBCL11A遺伝子サイレンシングのためのRNA干渉特異性複合体(RISC)に組み入れられる。

0013

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、第1および第2のBCL11Aセグメントは、BCL11AmRNA配列に由来する配列を含む。

0014

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、第1のBCL11Aセグメントは5'末端にて-GCGC-で始まり、第2のBCL11Aセグメントは3'末端にて-GCGC-で終わる。

0015

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、第1のBCL11Aセグメントはさらに、5'末端が-GCGC-からなり、第2のBCL11Aセグメントは3'末端にて-GCGC-で終わる。

0016

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、第1のBCL11Aセグメントは5'末端にて-GCGA-、-TCTG-、または-TG-で始まり、第2のBCL11Aセグメントは第1のBCL11Aセグメントに対して相補的である。

0017

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、第1のBCL11Aセグメントはさらに、5'末端が-GCGA-、-TCTG-、または-TG-からなる。

0018

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、第2のBCL11Aセグメントは3'末端にて-TTTT-で終わる。

0019

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、合成BCL11AマイクロRNAは、SEQID NO:1〜10、13〜18、25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む。

0020

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、合成BCL11AマイクロRNAは、本開示に記載されたもの由来のヌクレオチド配列またはセグメントを含む。

0021

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、合成BCL11AマイクロRNAは、SEQID NO:1〜10、13〜18、25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列からなる。

0022

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、合成BCL11AマイクロRNAは、本質的に、SEQID NO:1〜10、13〜18、25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列からなる。

0023

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、第1のBCL11Aセグメントは、

;本明細書に記載のBCL11A miR1オリゴに由来)、

;本明細書に記載のBCL11A miR2オリゴに由来)、

;本明細書に記載のBCL11A E3オリゴまたはshRNA1またはE3に由来)、

;本明細書に記載のshRNA2またはB5に由来)、

;本明細書に記載のshRNA4またはB11に由来)、

;本明細書に記載のBCL11A D8オリゴまたはshRNA3またはD8に由来)、

;本明細書に記載のshRNA5または50D12もしくはD12に由来)、

;本明細書に記載のshRNA5または50A5に由来)、

;本明細書に記載のshRNA7または50B11に由来)、

;本明細書に記載のBCL11A XLC4、shRNA8および50C4に由来)、

;本明細書に記載のBCL11A非標的指向性オリゴに由来)、

;本明細書に記載のmiR1G5オリゴに由来)、

;本明細書に記載のE3G5またはE3 modオリゴまたはshRNA1modに由来)、

;本明細書に記載のB5G5またはshRNA2modに由来)、

;本明細書に記載のB11G5またはshRNA4modに由来)、

;本明細書に記載の50D12G5、D12G4またはshRNA5modに由来)、

;本明細書に記載の50A5G5またはshRNA6modに由来)、

;本明細書に記載の50B11G5またはshRNA7modに由来)、

;本明細書に記載のBCL11A D8G5またはD8 modまたはshRNA3modに由来)、

;本明細書に記載のBCL11A C4G5またはC4 modまたはshRNA8modに由来)、

;本明細書に記載のBCL11A D12G5-2に由来)、および

;本明細書に記載のBCL11A D12G5-2に由来)からなる群より選択される。

0024

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、ループセグメントはマイクロRNAに由来する。1つの態様において、マイクロRNAは造血特異的マイクロRNA、例えば、miR-142、miR-155、miR-181およびmiR-223である。

0025

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、マイクロRNAはmiR223である。

0026

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、ループセグメントはctccatgtggtagag(SEQID NO:68)である。

0027

したがって、1つの局面において、本明細書は、SEQID NO:1〜10、13〜18、25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子、または本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAを提供する。

0028

したがって、1つの局面において、本明細書は、SEQID NO:1〜10、13〜18、25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む少なくとも1種類の核酸分子または本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAを含む組成物を提供する。

0029

したがって、1つの局面において、本明細書は、SEQID NO:1〜10、13〜18、25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子または本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAを含むベクターを少なくとも含む組成物を提供する。

0030

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:1のヌクレオチド配列を含む。

0031

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:2のヌクレオチド配列を含む。

0032

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:3のヌクレオチド配列を含む。

0033

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:4のヌクレオチド配列を含む。

0034

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:5のヌクレオチド配列を含む。

0035

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:6のヌクレオチド配列を含む。

0036

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:7のヌクレオチド配列を含む。

0037

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:8のヌクレオチド配列を含む。

0038

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:9のヌクレオチド配列を含む。

0039

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:10のヌクレオチド配列を含む。

0040

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:13のヌクレオチド配列を含む。

0041

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:14のヌクレオチド配列を含む。

0042

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:15のヌクレオチド配列を含む。

0043

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:16のヌクレオチド配列を含む。

0044

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:17のヌクレオチド配列を含む。

0045

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:18のヌクレオチド配列を含む。

0046

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:25のヌクレオチド配列を含む。

0047

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:26のヌクレオチド配列を含む。

0048

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:27のヌクレオチド配列を含む。

0049

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:28のヌクレオチド配列を含む。

0050

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:29のヌクレオチド配列を含む。

0051

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:30のヌクレオチド配列を含む。

0052

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:31のヌクレオチド配列を含む。

0053

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:32のヌクレオチド配列を含む。

0054

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:33のヌクレオチド配列を含む。

0055

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:34のヌクレオチド配列を含む。

0056

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:35のヌクレオチド配列を含む。

0057

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:36のヌクレオチド配列を含む。

0058

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:37のヌクレオチド配列を含む。

0059

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:38のヌクレオチド配列を含む。

0060

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:39のヌクレオチド配列を含む。

0061

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:40のヌクレオチド配列を含む。

0062

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:41のヌクレオチド配列を含む。

0063

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:42のヌクレオチド配列を含む。

0064

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:43のヌクレオチド配列を含む。

0065

記載されたいずれかの単離された核酸分子の1つの態様において、分子はSEQID NO:44のヌクレオチド配列を含む。

0066

1つの局面において、本明細書は、SEQID NO:1〜10、13〜18、25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む少なくとも1種類の核酸分子または本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAを含むベクターを提供する。

0067

記載されたいずれかのベクターの1つの態様において、ベクターは、脾臓フォーカス形成ウイルスプロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、またはβ-グロビン遺伝子座制御領域およびβ-グロビンプロモーターをさらに含む。プロモーターは、その中の核酸分子またはその中の合成BCL11AマイクロRNAの標的を定めた発現をもたらす。

0068

1つの局面において、本明細書は、SEQID NO:1〜10、13〜18、25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む少なくとも1種類の核酸分子または本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAを含むベクターを含む宿主細胞を提供する。

0069

本明細書に記載のいずれかの宿主細胞の1つの態様において、宿主細胞は、胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞、骨髄細胞、造血幹細胞、または造血始原細胞である。1つの態様において、宿主細胞は対象から単離される。1つの態様において、宿主細胞は、異常ヘモグロビン症を有すると診断された対象から単離される。診断は、当技術分野において公知の任意の方法によって、例えば、遺伝子検査によって、RT-PCRによって、および血液細胞診によって行うことができる。

0070

本明細書に記載のいずれかの宿主細胞の1つの態様において、宿主細胞は赤血球である。

0071

1つの局面において、本明細書は、SEQID NO:1〜10、13〜18、25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む少なくとも1種類の核酸分子もしくは本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAを含むベクターまたは細菌を含む宿主細胞を提供する。

0072

1つの局面において、本明細書は、SEQID NO:1〜10、13〜18、25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む少なくとも1種類の核酸分子または本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAを含むウイルスを含む宿主細胞を提供する。

0073

本明細書に記載のいずれかのウイルスまたはベクターの1つの態様において、ウイルスはレンチウイルスである。

0074

本明細書に記載のいずれかのベクターまたはウイルスの1つの態様において、レンチウイルスは、以下からなる群より選択される:ヒト免疫不全ウイルス1型HIV-1)、ヒト免疫不全ウイルス2型(HIV-2)、ヤギ関節炎脳炎ウイルスCAEV)、ウマ伝染性貧血ウイルスEIAV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、およびサル免疫不全ウイルス(SIV)。

0075

したがって、1つの局面において、本明細書は、胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞、骨髄細胞、造血幹細胞または造血始原細胞を、本明細書に記載の組成物の有効量、または少なくとも、本明細書に記載の単離された核酸分子の有効量と接触させる段階を含む、細胞によって発現される胎児型ヘモグロビンレベルを上昇させるための方法であって、それによって胎児型ヘモグロビンの発現が、細胞またはその子孫において、そのような接触の前の細胞に比して増加する方法を提供する。いくつかの態様において、組成物は、SEQID NO:1〜10、13〜18、25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む少なくとも1種類の核酸分子、または本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAを含む、少なくとも1種類のベクターまたは細胞を含む。1つの態様において、本方法は、接触のための幹細胞または始原細胞の試料を用意する段階をさらに含む。1つの態様において、細胞の試料はCD34+選択細胞を含む。1つの態様において、組成物は、SEQ ID NO:1〜10、13〜18、25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列の混合物を含む。例えば、組成物は、SEQ ID NO:1〜10、13〜18、25〜44からなる群より選択される2〜5種類のヌクレオチド配列を含む。例えば、組成物は、SEQ ID NO:34、37、39、41および43を含む。

0076

1つの局面において、本明細書は、対象における異常ヘモグロビン症、例えばSCDおよびTHALを治療するか、またはそれが発症するリスクを低下させる方法を提供する。本方法は、対象または個体の造血幹細胞におけるBCL11A遺伝子の選択的ノックダウンを含みうる。これらの対象は、異常ヘモグロビン症を発症するリスクがある。

0077

記載されたいずれかの方法の1つの態様において、造血幹細胞におけるBCL11A遺伝子の選択的ノックダウンは、SEQID NO:1〜10、13〜18、25〜44のヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を用いること、またはSEQ ID NO:1〜10、13〜18、25〜44のヌクレオチド配列のいずれか1つを含む核酸分子もしくは本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAを含むベクター(例えば、ウイルスベクター)を用いることを含む。

0078

記載されたいずれかの方法の1つの態様において、造血幹細胞におけるBCL11A遺伝子の選択的ノックダウンは、造血幹細胞を、少なくとも、SEQID NO:1〜10、13〜18、25〜44のヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を含む組成物と、または少なくとも、SEQ ID NO:1〜10、13〜18、25〜44のヌクレオチド配列のいずれか1つを含む核酸分子もしくは本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAを含むベクター(例えば、ウイルスベクター)を含む組成物と接触させることを含む。1つの態様において、造血幹細胞は接触の前に単離される。

0079

記載されたいずれかの方法の1つの態様において、造血幹細胞におけるBCL11A遺伝子の選択的ノックダウンは、インビボインビトロ、またはエクスビボで起こる。1つのさらなる態様において、選択的ノックダウンの標的とされる造血始原細胞は赤血球系列のものである。

0080

記載されたいずれかの方法の1つの態様において、造血幹細胞と本明細書に記載の組成物のいずれかとの接触は、インビボ、インビトロ、またはエクスビボで起こる。1つのさらなる態様において、接触される造血始原細胞は赤血球系列のものである。

0081

記載されたいずれかの方法の1つの態様において、造血幹細胞と本明細書に記載の組成物のいずれかとの接触は、インビボ、インビトロ、またはエクスビボで起こる。

0082

記載されたいずれかの方法の他の態様において、BCL11A遺伝子の選択的ノックダウンは、造血幹細胞または造血始原細胞に加えて、胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞、骨髄細胞でも起こる。1つの態様においては、胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞または骨髄細胞を、記載された組成物と接触させる。胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞または骨髄細胞は、接触の前に単離される。1つの態様において、胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞または骨髄細胞と本明細書に記載の組成物のいずれかとの接触は、インビボ、インビトロ、またはエクスビボで起こる。

0083

記載されたいずれかの方法の他の態様において、造血幹細胞は、末梢血臍帯血絨毛膜絨毛羊水胎盤血または骨髄から収集される。

0084

記載されたいずれかの方法の他の態様において、胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞または骨髄細胞は、末梢血、臍帯血、絨毛膜絨毛、羊水、胎盤血または骨髄から収集される。

0085

1つの局面において、本明細書は、本明細書に記載の1種類もしくは複数種類の単離された核酸分子、本明細書に記載のウイルスもしくはベクター、または本明細書に記載の細胞の治療的有効量を対象に投与し、それによって対象における異常ヘモグロビン症を治療するかまたはそれを発症するリスクを減少させる段階を含む、対象における異常ヘモグロビン症を治療するかまたはそれを発症するリスクを減少させる方法であって、ウイルス、ベクターまたは細胞が、少なくとも、SEQID NO:1〜10、13〜18、25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む1種類の核酸分子、または本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAを含む、前記方法を提供する。例えば、本明細書に記載の1種類もしくは複数種類の単離された核酸分子、本明細書に記載のウイルスもしくはベクター、または本明細書に記載の細胞の有効量を、対象の骨髄内に直接的に注入する。

0086

1つの局面において、本明細書は、インビトロまたはエクスビボで、造血幹細胞の集団を、本明細書に記載の組成物と、または少なくとも、本明細書に記載の1種類もしくは複数種類の単離された核酸分子、本明細書に記載のウイルスもしくはベクターと接触させる段階、および接触された造血幹細胞またはその子孫細胞を対象に移植するかまたは投与する段階を含む、対象における異常ヘモグロビン症を治療するかまたはそれを発症するリスクを減少させる方法を提供する。1つの態様において、接触された造血幹細胞または子孫細胞は対象において生着する。1つの態様においては、接触された造血幹細胞またはその子孫細胞は、接触された細胞の生着を促進するために、プロスタグランジンE2および/または抗酸化物質N-アセチル-L-システイン(NAC)とともに移植される。

0087

1つの局面において、本明細書は、本明細書に記載の少なくとも1種類の合成BCL11AマイクロRNAを対象の胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞、骨髄細胞、造血幹細胞または造血始原細胞において発現させる段階であって発現がエクスビボまたはインビトロである段階、および該細胞を対象に移植または投与する段階を含む、対象における異常ヘモグロビン症を治療するかまたはそれを発症するリスクを減少させる方法を提供する。

0088

1つの局面において、本明細書は、本明細書に記載の少なくとも1種類の合成BCL11AマイクロRNAを対象の胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞、骨髄細胞、造血幹細胞または造血始原細胞において発現させる段階であって発現がエクスビボまたはインビトロまたはインビボである段階を含む、細胞によって発現される胎児型ヘモグロビンレベルを上昇させるための方法を提供する。1つの態様において、発現は、細胞を、本明細書に記載の組成物の有効量、または少なくとも、本明細書に記載の単離された核酸分子の有効量と接触させることによる。

0089

1つの局面において、本明細書は、本明細書に記載の少なくとも1種類の合成BCL11AマイクロRNAを対象の胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞、骨髄細胞、造血幹細胞または造血始原細胞において発現させる段階であって、発現がエクスビボまたはインビトロまたはインビボである段階を含む、細胞によって発現されるBCL11Aレベルを低下させるための方法を提供する。1つの態様において、発現は、胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞、骨髄細胞、造血幹細胞または造血始原細胞を、本明細書に記載の組成物の有効量、または少なくとも、本明細書に記載の単離された核酸分子の有効量と接触させ、それによって胎児型ヘモグロビンの発現が、細胞またはその子孫において、そのような接触の前の細胞に比して増加する段階を含む。いくつかの態様において、組成物は、SEQID NO:1〜10、13〜18、25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む少なくとも1種類の核酸分子または本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAを含む、少なくとも1種類のベクターまたは細胞を含む。

0090

本明細書に記載のいずれかの方法の1つのさらなる態様において、接触される造血幹細胞または造血始原細胞は赤血球系列のものである。

0091

本明細書に記載のいずれかの方法の1つの態様において、造血幹細胞または造血始原細胞は、末梢血、臍帯血、絨毛膜絨毛、羊水、胎盤血または骨髄から収集される。

0092

本明細書に記載のいずれかの方法の1つのさらなる態様において、レシピエント対象は、接触またはトランスフェクションを受けた細胞の移植の前に、化学療法および/または放射線照射による治療を受ける。

0093

1つの態様において、化学療法および/または放射線照射は、移植された細胞の生着を助長するために内因性幹細胞を減少させることを目的とする。

0094

1つの局面において、本明細書は、造血幹細胞を対象から用意する段階、インビトロまたはエクスビボで、該造血幹細胞を、本明細書に記載の組成物と、または本明細書に記載の少なくとも1種類もしくは複数種類の単離された核酸分子、本明細書に記載のウイルスまたはベクターと接触させる段階、および接触された造血幹細胞を同じ対象に戻して移植または再投与する段階を含む、対象における異常ヘモグロビン症を治療するかまたはそれを発症するリスクを減少させる方法を提供する。1つの態様において、接触された造血幹細胞または子孫細胞は対象において生着する。

0095

いずれかの方法の1つの局面において、接触された造血幹細胞、胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞、骨髄細胞、またはそれらの子孫細胞は、レシピエント対象におけるその後の生着を促進するために、エクスビボで、プロスタグランジンE2および/または抗酸化物質N-アセチル-L-システイン(NAC)によって処理される。

0096

いずれかの方法の1つの局面において、造血幹細胞または宿主細胞の集団は、異常ヘモグロビン症を発症するリスクがある対象、または異常ヘモグロビン症を有すると診断された対象から入手される。

0097

いずれかの方法の1つの局面において、造血幹細胞の集団は、対象にとって自己由来性または同種異系性である。

0098

いずれかの方法の1つの局面において、造血幹細胞または宿主細胞の集団は、本明細書に記載の組成物と、または本明細書に記載の少なくとも1種類もしくは複数種類の単離された核酸分子、本明細書に記載のウイルスもしくはベクターと接触させる前に、エクスビボにて培養下で拡大される。

0099

いずれかの方法の1つの局面において、造血幹細胞または宿主細胞の集団は、本明細書に記載の組成物と、または本明細書に記載の少なくとも1種類もしくは複数種類の単離された核酸分子、本明細書に記載のウイルスもしくはベクターと接触させた後に、エクスビボにて培養下で拡大される。

0100

いずれかの方法の1つの局面において、接触された造血幹細胞または宿主細胞の集団は、対象に移植する前に、エクスビボにて培養下で予備分化させられる。

0101

いずれかの方法の1つの局面において、接触された造血幹細胞は、対象に投与する前に、インビトロまたはエクスビボにて拡大される。いずれかの方法の1つの局面において、接触された造血幹細胞は、対象に投与する前に凍結保存される。いずれかの方法のもう1つの局面において、接触された造血幹細胞は、対象に投与する前に、インビトロまたはエクスビボにて拡大されて、凍結保存される。いずれかの方法のもう1つの局面において、接触された造血幹細胞は、凍結保存の後、対象に投与する前にインビトロまたはエクスビボにて拡大される。

0102

いずれかの方法の1つの局面において、対象はヒトである。いずれかの方法の1つの局面において、対象は異常ヘモグロビン症を有すると診断されている。

0103

いずれかの方法の1つの局面において、本方法は、異常ヘモグロビン症を有すると診断された対象、または異常ヘモグロビン症を発症するリスクがある対象を選択する段階をさらに含む。

0104

いずれかの方法の1つの局面において、異常ヘモグロビン症は鎌状赤血球症(SCD)またはサラセミア(THAL)、例えば、β-サラセミアである。

0105

本方法の1つの局面において、本方法は、酸素、ヒドロキシ尿素、葉酸または輸血を含む治療法を対象に施す段階をさらに含む。

0106

1つの局面において、本明細書は、対象において本明細書に記載の少なくとも1種類の合成BCL11AマイクロRNAをインビボで発現させる段階を含む、対象における異常ヘモグロビン症を治療するかまたはそれを発症するリスクを減少させる方法を提供する。

0107

いずれかの方法の1つの局面において、インビボ発現は、胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞、骨髄細胞、造血幹細胞または造血始原細胞において起こる。

0108

いずれかの方法の1つの局面において、胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞、骨髄細胞、造血幹細胞または造血始原細胞は、対象にとって自己由来性または同種異系性である。

0109

いずれかの方法の1つの局面において、本明細書に記載の少なくとも1種類の合成BCL11AマイクロRNAを発現する胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞、骨髄細胞、造血幹細胞または造血始原細胞は、対象に投与する前に、インビトロまたはエクスビボにて拡大される。1つのさらなる態様において、始原細胞、骨髄細胞、造血幹細胞および造血始原細胞は赤血球系列のものである。

0110

いずれかの方法の1つの局面において、本明細書に記載の少なくとも1種類の合成BCL11AマイクロRNAを発現する胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞、骨髄細胞、造血幹細胞または造血始原細胞は、対象に投与する前に凍結保存される。

0111

いずれかの方法のもう1つの局面において、本明細書に記載の少なくとも1種類の合成BCL11AマイクロRNAを発現する胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞、骨髄細胞、造血幹細胞または造血始原細胞は、対象に投与する前に、インビトロまたはエクスビボにて拡大されて、凍結保存される。

0112

いずれかの方法のもう1つの局面において、本明細書に記載の少なくとも1種類の合成BCL11AマイクロRNAを発現する胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞、骨髄細胞、造血幹細胞または造血始原細胞は、凍結保存の後、対象に投与する前にインビトロまたはエクスビボにて拡大される。

0113

いずれかの方法の1つの局面において、少なくとも1種類の合成BCL11AマイクロRNAは、真核細胞における発現のためにプロモーターと機能的に連結されてベクター中に構築される。

0114

いずれかの方法の1つの局面において、少なくとも1種類の合成BCL11AマイクロRNAは、RNAIIポリメラーゼから発現される。

0115

いずれかの方法の1つの局面において、少なくとも1種類の合成BCL11AマイクロRNAは、RNAIIIポリメラーゼからは発現されない。

0116

いずれかの方法の1つの局面において、プロモーターは、脾臓フォーカス形成ウイルスプロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、またはβ-グロビン遺伝子座制御領域およびβ-グロビンプロモーター、または造血特異的プロモーターからなる群より選択される。

0117

いずれかの方法の1つの局面において、ベクターはウイルスである。

0118

いずれかの方法の1つの局面において、ウイルスはレンチウイルスである。

0119

いずれかの方法の1つの局面において、レンチウイルスは、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)、ヒト免疫不全ウイルス2型(HIV-2)、ヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、およびサル免疫不全ウイルス(SIV)からなる群より選択される。

0120

いずれかの方法の1つの局面において、対象は動物、ヒトまたは非ヒト、および齧歯動物または非齧歯動物である。例えば、対象は任意の哺乳動物、例えば、ヒト、他の長動物、ブタマウスもしくはラットなどの齧歯動物、ウサギモルモットハムスター、ウシ、ウマネコイヌヒツジもしくはヤギ、または鳥類などの非哺乳動物であってよい。

0121

いずれかの方法の1つの局面において、本方法は、胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞、骨髄細胞、造血幹細胞または造血始原細胞の試料または集団を対象から得る段階を含む。

0122

1つの態様において、胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞、骨髄細胞、造血幹細胞、造血始原細胞は、宿主対象から単離され、トランスフェクトされ、培養されて(任意)、同じ宿主に戻して移植され、すなわち自己由来性細胞移植片となる。もう1つの態様において、胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞、骨髄細胞、造血幹細胞または造血始原細胞は、異常ヘモグロビン症を有すると診断されたか、またはそれを発症するリスクのある宿主(レシピエント)とHLA型が一致するドナーから単離される。ドナー-レシピエントの抗原型マッチングは当技術分野において周知である。HLA型には、HLA-A、HLA-B、HLA-CおよびHLA-Dが含まれる。これらは、移植のために必要とされる最小限の数の抗原マッチングである。すなわち、トランスフェクトされた細胞は、異なる宿主、すなわちレシピエント宿主対象にとって同種異系性である宿主に移植される。ドナーまたは対象の胚性幹細胞、体性幹細胞、始原細胞、骨髄細胞、造血幹細胞または造血始原細胞に本明細書に記載の核酸分子を含むベクターまたは核酸をトランスフェクトし、トランスフェクトされた細胞を培養で拡大させて、続いて宿主対象に移植することができる。1つの態様において、移植された細胞は宿主対象に生着する。また、トランスフェクトされた細胞をトランスフェクションおよび貯蔵の後に凍結保存すること、または細胞を増やした後に凍結保存して貯蔵することもできる。

0123

本明細書で用いる場合、対象における異常ヘモグロビン症を治療するかまたはそれを発症するリスクを減少させるとは、異常ヘモグロビン症の少なくとも1つの症状を改善することを意味する。1つの局面において、本発明は、対象における異常ヘモグロビン症を治療する、例えば、その重症度または進行を低下させる方法を特徴とする。もう1つの局面において、本方法はまた、対象における異常ヘモグロビン症を発症するリスクを減少させるため、対象における異常ヘモグロビン症の症状の発現を遅らせるため、または異常ヘモグロビン症を有する対象の寿命延長するために用いることもできる。1つの局面において、本方法は、対象を、それらが異常ヘモグロビン症を有するか、または異常ヘモグロビン症を発症するリスクはあるがまだそれを有してはいないか、または基礎疾患として異常ヘモグロビン症を有する対象であるかに基づいて選択する段階を含みうる。対象の選択には、異常ヘモグロビン症の症状の検出、血液検査、遺伝子検査、または診療記録が含まれうる。検査の結果によって対象が異常ヘモグロビン症を有することが指し示される場合には、本方法はまた、本明細書に記載の組成物を投与して、それによって対象、例えば、電気泳動によって遺伝子型HbSS、HbS/β0サラセミア、HbSD、またはHbSO、および/またはHbFが10%未満であるSCDと診断された対象における異常ヘモグロビン症を治療するかまたはそれを発症するリスクを減少させる段階も含みうる。

0124

本明細書で用いる場合、「異常ヘモグロビン症」という用語は、血中の異常ヘモグロビン分子の存在を伴う病状のことを指す。異常ヘモグロビン症の例には、SCDおよびTHALが非限定的に含まれる。また、異常ヘモグロビンの組み合わせが血中に存在する異常ヘモグロビン症も含まれる(例えば、鎌状細胞Hb-C症)。そのような疾患の例示的な例には、SCDおよびTHALが非限定的に含まれる。SCDおよびTHALならびにそれらの症状は当技術分野において周知であり、以下にさらに詳細に説明する。対象は、その対象が異常ヘモグロビン症を有すると認識する、理解する、認める、決定する、結論づける、考える、または決断する医療提供者医療介護者、医師看護師、家族または知人によって、異常ヘモグロビン症を有すると診断されうる。

0125

「SCD」という用語は、本明細書において、赤血球の鎌状化の結果として起こる、あらゆる症候性貧血病状を含むと定義される。SCDの症状発現には以下が含まれる:貧血;疼痛;および/または臓器機能不全、例えば腎不全網膜症、急性胸部症候群虚血持続勃起、および脳卒中。本明細書で用いる場合、「SCD」という用語は、SCDに、特にHbSにおける鎌状細胞置換に関してホモ接合性である対象に付随する種々の臨床的問題のことを指す。本明細書においてSCDという用語の使用によって言及される体質性症状発現には、成長および発達遅れ重篤感染症、特に肺炎球菌に起因するものを発症する傾向が大きくなること、機能の著明な障害、循環血中細菌の有効な排除が妨げられること、さらに脾組織再発性梗塞および最終的な破壊がある。また、「SCD」という用語には、主として腰椎腹部および大腿骨骨幹部が罹患し、機序および重症度の点で類似している、筋骨格痛急性発作も含まれる。成人では、そのような発作は、数週間毎または数カ月毎に起こる短期間の軽度または中等度の発作として現れることが多く、その合間に1年に平均約1回ほど、5〜7日間続く苦痛を伴う発作が起こる。そのような急性発作の引き金になることが知られている事象には、アシドーシス低酸素症および脱水があり、これらはすべてHbSの細胞内重合を増強する(J. H. Jandl, Blood: Textbook of Hematology, 2nd Ed., Little, Brown and Company, Boston, 1996, pages 544-545)。

0126

本明細書で用いる場合、「THAL」とは、ヘモグロビンの産生不全を特徴とする遺伝性障害のことを指す。1つの態様において、この用語は、ヘモグロビンの合成に影響を及ぼす突然変異が原因で起こる遺伝性貧血を範囲に含む。他の態様において、この用語は、重症サラセミアまたはβ-サラセミア、重症型サラセミア、中間型サラセミア、ヘモグロビンH症などのα-サラセミアといったサラセミア性病状に起因する、あらゆる症候性貧血を含む。β-サラセミアはβ-グロビン鎖における突然変異によって引き起こされ、重症型または軽症型として起こりうる。重症型のβ-サラセミアでは、小児は出生時には正常であるが、生後1年までの間に貧血を発症する。軽症型のβ-サラセミアでは小さな赤血球が生じる。α-サラセミアは、グロビン鎖からの1つまたは複数の遺伝子の欠失によって引き起こされる。

0127

「疾患を発症するリスク」という語句は、対照の対象または集団(例えば、健常な対象または集団)と比較して、対象が異常ヘモグロビン症を発症すると考えられる相対的確率を意味する。例えば、個体がSCDと関連のある遺伝子突然変異であるβ-グロビン遺伝子のA→T突然変異を保有し、その個体がその突然変異に関してヘテロ接合性またはホモ接合性であれば、その個体のリスクは増加する。

0128

阻害性RNA」という用語は、標的核酸のレベルまたは活性の低下を媒介する、標的核酸(例えば、標的マイクロRNA)に対して相補的な配列を含む核酸分子を含むことを意味している。阻害性RNAの非限定的な例には、干渉性RNA、shRNA、siRNA、リボザイムアンタゴmir(antagomir)、およびアンチセンスオリゴヌクレオチドが含まれる。阻害性RNAを作製するための方法は本明細書に記載されている。阻害性RNAを作製するそのほかの方法も当技術分野において公知である。1つの態様において、本明細書に記載のBCL11AマイクロRNAは、BCL11AmRNAの活性の低下を引き起こす阻害性RNAである。

0129

本明細書で用いる場合、「干渉性RNA」とは、RNA干渉を媒介することによって、直接的または間接的に(すなわち、変換後に)遺伝子発現阻害またはダウンレギュレートすることができる、あらゆる二本鎖または一本鎖RNA配列のことを指す。干渉性RNAには、低分子干渉性RNA(「siRNA」)および低分子ヘアピン型RNA(「shRNA」)が非限定的に含まれる。「RNA干渉」は、配列適合性メッセンジャーRNAの選択的分解のことを指す。

0130

本明細書で用いる場合、「shRNA」(低分子ヘアピン型RNA)とは、アンチセンス領域、ループ部分およびセンス領域を含むRNA分子のことを指し、ここでセンス領域は、アンチセンス領域と塩基対合して二重鎖ステムを形成する相補的ヌクレオチドを有する。転写後プロセシングの後に、低分子ヘアピン型RNAは、RNアーゼIIIファミリーメンバーである酵素ダイサーによって媒介される切断イベントにより、低分子干渉性RNAに変換される。本明細書で用いる場合、「転写後プロセシング」という語句は、転写後に起こり、例えば、酵素ダイサーおよび/またはドローシャ(Drosha)によって媒介されるmRNAプロセシングのことを指す。

0131

本明細書で用いる「低分子干渉性RNA」または「siRNA」とは、配列特異的な様式でRNA干渉を媒介することによって遺伝子発現を阻害またはダウンレギュレートすることができる、あらゆる低分子RNA分子のことを指す。小型RNAは、例えば、約18〜21ヌクレオチド長であってよい。各siRNA二重鎖は、ガイド鎖およびパッセンジャー鎖によって形成される。エンドヌクレアーゼであるアルノート2(Argonaute 2)(Ago 2)は、siRNA二重鎖の巻き戻しを触媒する。巻き戻されると、ガイド鎖はRNA干渉特異性複合体(RISC)に組み入れられ、一方でパッセンジャー鎖は遊離される。RISCはガイド鎖を用いて、標的mRNAのエンドヌクレアーゼ切断につながる相補的配列を有するmRNAを見いだす。

0132

レトロウイルスとは、その複製サイクルの間に逆転写酵素を利用するRNAウイルスである。「レトロウイルス」という用語は、あらゆる公知のレトロウイルス(例えば、c型レトロウイルス、例えば、モロニーマウス肉腫ウイルス(MoMSV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳癌ウイルス(MuMTV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、ネコ白血病ウイルスFLV)、スプマウイルス、フレンドマウス幹細胞ウイルス(MSCV)およびラウス肉腫ウイルス(RSV)など)のことを指す。また、本発明の「レトロウイルス」には、ヒトT細胞白血病ウイルスであるHTLV-1およびHTLV-2、ならびにレンチウイルスファミリーのレトロウイルス、例えばヒト免疫不全ウイルスであるHIV-1、HIV-2、サル免疫不全ウイルス(SW)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウマ免疫不全ウイルス(EIV)、ならびに他のクラスのレトロウイルスも含まれる。

0133

レトロウイルスのゲノムRNAは、逆転写酵素によって二本鎖DNAに変換される。この二本鎖DNA形態のウイルスは、感染細胞染色体に組み込まれうる;ひとたび組み込まれると、それは「プロウイルス」と称される。プロウイルスはRNAポリメラーゼIIのテンプレートとしての役を果たし、新たなウイルス粒子の産生のために必要とされる構造タンパク質および酵素をコードするRNA分子の発現を誘導する。

0134

プロウイルスの各末端には、「長い末端反復配列」または「LTR」と呼ばれる構造がある。「長い末端反復配列(LTR)」という用語は、その天然配列構成では直接反復配列であり、かつU3領域、R領域およびU5領域を含む、レトロウイルスDNAの末端に位置する塩基対ドメインのことを指す。LTRは一般に、レトロウイルス遺伝子の発現(例えば、遺伝子転写物の促進、開始、およびポリアデニル化)およびウイルス複製の基礎となる機能をもたらす。LTRは、転写調節エレメントポリアデニル化シグナル、ならびにウイルスゲノムの複製および組み込みのために必要な配列を含む、多数の調節シグナルを含む。ウイルスLTRは、U3、R、およびU5と呼ばれる3つの領域に分けられる。U3領域はエンハンサーエレメントおよびプロモーターエレメントを含む。U5領域はプライマー結合部位とR領域との間の配列であり、ポリアデニル化配列を含む。R(反復)領域は、U3領域とU5領域に挟まれている。U3領域、R領域およびU5領域で構成されるLTRは、ウイルスゲノムの5'末端および3'末端の両方に出現する。本発明の1つの態様において、5'LTRを含むLTR内のプロモーターは、異種プロモーターに置き換えられる。用いうる異種プロモーターの例には、例えば、脾臓フォーカス形成ウイルス(SFFV)プロモーター、テトラサイクリン誘導性(TET)プロモーター、β-グロビン遺伝子座制御領域およびβ-グロビンプロモーター(LCR)、ならびにサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターが含まれる。

0135

「レンチウイルス」という用語は、緩徐進展する疾患を生じさせるレトロウイルスの群(または属)のことを指す。この群に含まれるウイルスには、ヒト後天性免疫不全症候群(AIDS)の病原体であるHIV(ヒト免疫不全ウイルス;HIV1型およびHIV2型を含む);ヒツジにおいて脳炎ビスナ)または肺炎(マエディ)を引き起こすビスナ・マエディ、ヤギにおいて免疫欠損、関節炎、および脳症を引き起こすヤギ関節炎脳炎ウイルス;ウマにおいて自己免疫性溶血性貧血および脳症を引き起こすウマ伝染性貧血ウイルス;ネコにおいて免疫欠損を引き起こすネコ免疫不全ウイルス(FIV);ウシにおいてリンパ節症リンパ球増加症を引き起こし、おそらく中枢神経系感染も引き起こすウシ免疫不全ウイルス(BIV);ならびに、類人猿において免疫不全および脳症を引き起こすサル免疫不全ウイルス(SIV)が含まれる。これらのウイルスによって引き起こされる疾患は、潜伏期間が長く経過が遷延性であることを特徴とする。通常、これらのウイルスは単球およびマクロファージ潜在性に感染させ、これらから他の細胞に伝播する。HIV、FIVおよびSIVは、Tリンパ球、すなわちT細胞にも容易に感染する。

0136

「R領域」という用語は、キャッピング基開始点(すなわち、転写の開始点)で始まってポリAトラクトの開始点の直前で終わる、レトロウイルスLTR内の領域のことを指す。R領域はまた、U3領域とU5領域に挟まれているとも定義される。R領域は、逆転写の間に新生DNAをゲノムの一方の末端から他方の末端まで移行させる上で重要な役割を果たす。

0137

「プロモーター/エンハンサー」という用語は、プロモーター機能およびエンハンサー機能の両方をもたらしうる配列を含むDNAのセグメントのことを指す。例えば、レトロウイルスの長い末端反復配列は、プロモーター機能およびエンハンサー機能の両方を含む。エンハンサー/プロモーターは、「内因性」または「外因性」または「異種性」でありうる。「内因性」エンハンサー/プロモーターは、ゲノム中の所与の遺伝子と天然に連結されるエンハンサー/プロモーターである。「外因性」または「異種性」エンハンサー/プロモーターとは、その遺伝子の転写が、連結されたエンハンサー/プロモーターによって導かれるように、遺伝子操作(すなわち、分子生物学的手法)によって遺伝子に近接配置されたもののことである。

0138

別に定義しない限り、本明細書において用いられるすべての技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。方法および材料は、本発明における使用のために本明細書に記載されている;当技術分野において公知である他の適した方法および材料も用いることができる。材料、方法および例は例示であるに過ぎず、限定的であることは意図していない。本明細書中に言及されたすべての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。矛盾がある場合には、定義を含め、本明細書が優先する。本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および図、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。

図面の簡単な説明

0139

図1は、開示される合成BCL11AマイクロRNAの2つの態様、すなわちBCL11A miR1およびBCL11A miR2オリゴヌクレオチドの略図である。オリゴヌクレオチド中のBCL11A標的指向性配列の相補的配列(太字大文字ヌクレオチド塩基)によって、ステム/ループ構造が生じる。BCL11A標的指向性配列はBCL11Aセグメントである。続いて、ステム/ループ構造をmiR-223/miR-30バックグラウンド(マイクロRNAバックグラウンド)中にクローニングする。続いて、miRNA/shRNA構造全体を、導入遺伝子レポーター(Venus)を含むSINレンチウイルスベクターを含むSFFV/LCR/TETカセット中にクローニングする。
図2は、SFFVプロモーター、TETプロモーターおよびLCRプロモーターを有するレンチウイルスベクタープロウイルスの概略図である。
図3は、SFFV-LVがBCL11Aを効率的にノックダウンしてεγ-グロビン発現を誘導することを示している2本の棒グラフパネルである。
図4は、LCR/TET-LVがBCL11Aを効率的にノックダウンしてεγ-グロビン発現を誘導することを描写している2本の棒グラフのパネルである。
図5は、形質導入されたCD34+ HSCがエクスビボで赤血球に分化してHbFを発現することを示している顕微鏡写真およびグラフのパネルである。
図6は、LCR-LVが形質導入されてNSGマウスに移植された、SCDを有する患者由来のCD34+ HSCを描写している散布図のパネルである。
図7は、リンパ系発生におけるBCL11Aの毒性に関する試験を示している顕微鏡写真およびグラフのパネルである。
pol IIIおよびpol II発現系におけるBCL11Aを標的とするshRNAのスクリーニングおよび評価を示している。shRNAカセットに埋め込まれた、それぞれRNAポリメラーゼIII(pol III、U6プロモーター、左側)およびRNAポリメラーゼII(pol II、SFFVプロモーター、右側)により駆動するshRNAおよびmiRNA(223)の概略図。いずれの発現カセットもレンチウイルスベクター中に人工的に導入した。さまざまな枠は、表記の通りのパッセンジャー鎖、ガイド鎖およびループ構造を表している。miRNA223スカフォールド点線の枠で表わされている。BCL11Aを標的とする種々のshRNA配列をこれらの2種のバックボーンにおいて発現させて、ノックダウン効率に関して評価した。
pol IIIおよびpol II発現系におけるBCL11Aを標的とするshRNAのスクリーニングおよび評価を示している。pol IIIベースのレンチウイルスベクターを用いたノックダウン効率に関する、BCL11AmRNAにおけるさまざまな領域を標的とする複数のshRNA配列のハイスループットスクリーニング(表記の通りの、XL/L共有アイソフォーム配列、XLに特異なコード配列およびXLアイソフォームの3'-UTR)。qPCRによるε-γの誘導およびFACSによるmCherryレポーターの誘導(レポーター細胞株におけるε-γ誘導の代用として)の両方を、BCL11Aノックダウンに関する機能的読み取りとして用いた。非標的指向性対照を基準とするε-γ mRNAの規格化された発現をy軸にプロットし、非形質導入対照を基準とするmCherry発現の平均蛍光強度MFI)をx軸にプロットした。さらに試験した11種のshRNAには丸印を付している。
pol IIIおよびpol II発現系におけるBCL11Aを標的とするshRNAのスクリーニングおよび評価を示している。図8Cおよび8Dは、pol IIIベースおよびpol IIベースの系における選択されたshRNAのノックダウン効率の比較を示す。MEL細胞に対して、表記のshRNAを発現させるためにLKOベクターまたはLEGOベクターによる形質導入を行い、形質導入細胞ピューロマイシンの存在下で選択するか(LKO)、またはVenus発現に関して選別した(LEGO)。miR1 shRNAは、Sankaran et al.()によって以前に報告されている。BCL11Aタンパク質レベルは、β-アクチンを対照とするイムノブロットによって示されている(図8C)。XLおよびLは、BCL11Aタンパク質の各アイソフォームの位置を示している。(図8D)バンド強度はImageJソフトウェアを用いて分析した。
詳細は図8Cの説明に記載の通り。
pol IIIおよびpol II発現系におけるBCL11Aを標的とするshRNAのスクリーニングおよび評価を示している。非標的指向性対照と比較したε-γの規格化された発現の誘導倍数値を、qPCRによって測定した。非標的指向性shRNAが形質導入されたMEL細胞を用い、発現を1に設定した。データは、三重反復試験として実施した3回の独立した実験のうち代表的な実験による平均±SDを表している。*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。
pol III転写物とpol II転写物とのプロセシングの差異を明示している、低分子RNA配列解析から収集したデータである。miR1またはC4 shRNAのいずれかを発現する、形質導入された、選別された、またはピューロマイシンにより選択されたMEL細胞から、全RNAを単離した。その結果得られたRNAを、続いてRNAディープシークエンシングに供した。(図9A)pol III(LKO)(SEQID NO:103)から転写された、プロセシングされた最終的なガイド鎖およびパッセンジャー鎖の配列をx軸上に表示し、各鎖の100万の総リード当たりの対応するリード数をy軸上にプロットしている。
pol III転写物とpol II転写物とのプロセシングの差異を明示している、低分子RNA配列解析から収集したデータである。miR1またはC4 shRNAのいずれかを発現する、形質導入された、選別された、またはピューロマイシンにより選択されたMEL細胞から、全RNAを単離した。その結果得られたRNAを、続いてRNAディープシークエンシングに供した。(図9B)pol II(LEGO)(SEQ ID NO:104)から転写された、プロセシングされた最終的なガイド鎖およびパッセンジャー鎖の配列をx軸上に表示し、各鎖の100万の総リード当たりの対応するリード数をy軸上にプロットしている。
pol III転写物とpol II転写物とのプロセシングの差異を明示している、低分子RNA配列解析から収集したデータである。(図9C)pol IIIプロモーターから転写された、miR1のプロセシングされた変異体ガイド鎖の配列をy軸上にプロットし、総リード数をx軸上にプロットしている。
pol III転写物とpol II転写物とのプロセシングの差異を明示している、低分子RNA配列解析から収集したデータである。(図9D)pol IIプロモーターから転写された、miR1のプロセシングされた変異体ガイド鎖の配列をy軸上にプロットし、総リード数をx軸上にプロットしている。
pol III転写物とpol II転写物とのプロセシングの差異を明示している、低分子RNA配列解析から収集したデータである。(図9E)pol IIIプロモーターから転写された、C4のプロセシングされた変異体ガイド鎖種の配列をy軸上にプロットし、総リード数をx軸にプロットしている。
pol III転写物とpol II転写物とのプロセシングの差異を明示している、低分子RNA配列解析から収集したデータである。(図9F)pol IIプロモーターから転写された、C4のプロセシングされた変異体ガイド鎖種の配列をy軸上にプロットし、総リード数をx軸にプロットしている。
shRNA配列の改変が、ノックダウンの増加およびガイド鎖とパッセンジャー鎖との比の向上をもたらすことを示している。4つの5'塩基が欠失し、GCGCが3'末端に付加されて、miR1 G5およびC4G5と名づけられた改変shRNAが生じるように、mIR1およびC4 shRNAを改変した。
shRNA配列の改変が、ノックダウンの増加およびガイド鎖とパッセンジャー鎖との比の向上をもたらすことを示している。改変shRNA配列および親shRNA配列のノックダウン効率の比較。MEL細胞に対して、pol IIプロモーターを介して表記のshRNAを発現させるためにLEGOによる形質導入を行い、形質導入細胞をVenus発現に関して選別した。BCL11Aタンパク質レベルを、β-アクチンをローディング対照とするイムノブロットによって測定した。XLおよびLは、BCL11Aタンパク質のこれらのアイソフォームの位置を指し示している
shRNA配列の改変が、ノックダウンの増加およびガイド鎖とパッセンジャー鎖との比の向上をもたらすことを示している。イムノブロットのバンド強度を、ImageJソフトウェアを用いて分析した。
shRNA配列の改変が、ノックダウンの増加およびガイド鎖とパッセンジャー鎖との比の向上をもたらすことを示している。qPCRによって測定した、改変/非改変shRNA配列によるε-γの非標的指向性対照と比較した規格化された発現の誘導倍数値。データは、同様の結果を示す三重反復試験として実施した3回の独立した実験のうち代表的な実験による平均±SDを表している。*P<0.05、**P<0.01。
図11A〜11Cは、4塩基対改変shRNAのRNA配列分析により、忠実度の高いプロセシングが示されたことを示している。図11A:改変miR1 shRNAおよび改変C4 shRNAを発現する、形質導入されて選別されたMELから、すべての低分子RNA(SEQ ID NO:141)を単離して、シークエンシングを行った。pol IIプロモーターから転写された改変miR1(miR1-G5およびC4G5)のプロセシングされたガイド鎖種の頻度分布をx軸上にプロットし、100万の総リード当たりのリードの割合をy軸にプロットしている。図11Bおよび11C:mIR1-G5およびC4-G5のプロセシングされた変異体ガイド鎖種の配列をy軸上に表示し、リードの頻度をx軸上に示している。
pLKOベクターを用いた、BCL11Aを標的とするshRNAスクリーニングによる候補。
PLKOにおけるガイド鎖配列の組成および分布。pLKO構築物を用いる場合には常に5'末端にシフトがあり、これは3'末端でのTリッチ配列の伸長に起因する可能性がある。付加されたTはpol III終止配列の一部である。成熟shRNA配列におけるこのシフトは、ダイサー媒介性プロセシングの間には3'カウントルール(3' counting rule)が優位であることを指し示しており、これはshRNAの切断が3'末端から21ntの箇所で開始されることを意味する。これは5'末端に3塩基対または4塩基対のシフトをもたらし、標的認識のための、同じくシフトしたシード領域ももたらす(ガイド鎖の塩基2〜7)。
LEGOにおけるガイド鎖配列の組成および分布。低分子RNAのディープシークエンシング分析により、pol III転写物とpol II転写物とのプロセシングの差異が明示されている。lego構築物を用いた場合には5'末端にシフトがなく、ガイド鎖はダイサーによって忠実にプロセシングされ、その結果、予想される産物が生じる。このため、pol III駆動性構築物とpol II駆動性構築物との間では最終的なガイド鎖が異なる。
pLKOベクターで産生される、成熟ガイド鎖を模倣する新たなshRNAのデザイン。shRNAをすべて、5'側の4塩基が欠失してGCGCが3'末端に付加されるように改変することで、miR1G5、E3G5、B5G5、D8G5、B11G5、50D12G5、50B11G5、50A5G5、50C4G5と名づけられた改変shRNAを生じさせた。このシフトを組み入れた場合には、BCL11Aノックダウンおよびε-γ誘導に関してE3G5、D8G5およびC4G5の有意な改善が観察された。「xxxx」は、非改変miR1、E3、B5、D8、B11、50D12(D12とも称される)、50B11、50A5(A5とも称される)および50C4(C4とも称される)からの4塩基の除去をもたらす4塩基対(bp)フレームシフトの位置を表している。
改変LEGOにおけるガイド鎖配列の組成および分布。改変shRNAのRNAディープシークエンシング分析により、4bpシフトを伴う忠実度の高いプロセシングが示されており、このことは、シフトを導入することによって本発明者らがpLKO-ベクターの産物を完全に模倣しうることを指し示している。有効なshRNAのスクリーニングのためにpLKOベクターを用いたことから、この改変は、pol II駆動性バックボーンの中にshRNAカセットを移入した場合に、正確な成熟産物ガイド配列を模倣する。
改変されたガイド配列によるBCL11Aノックダウンの比較。改変shRNA配列および親shRNA配列のノックダウン効率の比較。BCL11A発現を示しているウエスタンブロット(XLアイソフォームおよびLアイソフォーム、上のパネル)。赤の丸印は、4bpシフトの導入によってBCL11Aノックダウンの改善が達成されたshRNAを指し示している。下のパネル:qPCRによる測定で、改変/非改変shRNA配列によるε-γの規格化された発現の誘導倍数値を、非標的指向性対照と比較した。
改変されたガイド配列によるmiR発現の比較。ノーザン分析を改変された構築物において行い、改変されていないもの、特にE3G5、D8G5およびC4G5を用いて比較したところ、ノックダウン効率およびε-y誘導の増大に一致して、ガイド鎖発現は高度であった(これはノックダウン効率の増大につながる)。
LEGOベクターによるBCL11Aノックダウン効率およびεγ誘導。pLKOpol IIIベースの系およびpLEGO pol IIベースの系における、選択されたshRNAのノックダウン効率の比較。MEL細胞に対して、pLKOベクターまたはpLEGOベクターのいずれかの中にある表記のshRNAによる形質導入を行い、形質導入細胞をピューロマイシンの存在下で選択するか(pLKO)、またはVenus発現に関して選別した(pLEGO)。BCL11Aタンパク質レベルは、β-アクチンを対照とするイムノブロットによって測定した。非標的指向性対照と比較した規格化されたε-γの誘導倍数値はqPCRによって測定している。非標的指向性shRNAが形質導入されたMEL細胞を陰性対照として用いた。フレームシフトはノックダウン効率およびεγ誘導の両方に対して強い効果を及ぼす。XLアイソフォームを標的とするshRNAのみでも、εγ誘導に対して強い影響を及ぼす。データは、それぞれ三重反復試験として実施した3回の独立した実験による平均±SDを表している。*P<0.05。
図18は、pol-IIIshRNAベクターおよびpol-IIマイクロRNA適合shRNAベクターにおけるプロセシングの差異を示している。
図19A〜19Dは、pol III発現系およびpol II発現系におけるBCL11Aを標的とするshRNAのスクリーニングおよび評価を示している。図19A:LKO-U6-BCL11A-shRNA(左側)およびLEGO-SFFV-BCL11A-shRNAmiR(右側)の略図。両方の発現カセットを、材料および方法の項に記載したように、レンチウイルスベクター中に設計した。ライトグレーの枠はセンス鎖を表している;白の枠はアンチセンス鎖を表している;ダークグレーの枠はループ構造を表しており、miRNA223スカフォールドは点線によって指し示されている。ヘアピン構造は下方に示されている。BCL11Aを標的とする種々のshRNA配列をこれらの2種のバックボーンにおいて発現させ、ノックダウン効率に関して評価した。図19B:pol IIIベースのレンチウイルスベクターを用いた、BCL11A mRNAを標的とする複数のshRNA配列のノックダウン効率に関するハイスループットスクリーニング。qRT-PCRによるHbb-y mRNAの誘導、およびFACSによるmCherryレポーターの誘導(レポーター細胞株におけるε-γ誘導に関する代用として)の両方を、BCL11Aノックダウンに関する機能的読み取り値として用いた。非標的指向性対照を基準とするHbb-y mRNAの規格化された発現をy軸にプロットし、非形質導入対照を基準とするmCherry発現(平均蛍光強度、MFIによる)の誘導倍数値をx軸にプロットしている。スクリーニングにより単離されたshRNAのうち成績の良い上位8種をさらに試験し、1から8までのラベルを付した。図19C:pol III(U6)ベースおよびpol II(SFFV)ベースの系における選択されたshRNAのノックダウン効率の比較。MEL細胞に対して、表記のshRNAを発現させるためにU6-ベクター(上のパネル)またはSFFV-ベクター(下のパネル)による形質導入を行い、形質導入細胞をピューロマイシンの存在下で選択するか(pol III)、またはVenus発現に関して選別した(pol II)。BCL11Aタンパク質レベルは、β-アクチンを対照とするイムノブロットによって示されている。パネルの左側にあるXLおよびLは、BCL11Aタンパク質の各アイソフォームの位置を表している。図19D:qPCRによって測定した、非標的指向性対照と比較したHbb-yの規格化された発現の誘導倍数値。非標的指向性(NT)shRNAが形質導入されたMEL細胞における発現を1に設定した。黒のバーはU6プロモーターにより駆動されるshRNAによる相対的発現を表し、白のバーはSFFVプロモーターにより駆動されるshRNAを表している。データは、三重反復試験として実施した3回の独立した実験のうち代表的な実験による平均±SDを表している。*P<0.05。
低分子RNA配列分析により、pol III転写物とpol II転写物とのプロセシングの差異が明示されたことを示している。U6-shRNAおよびSFF V-shRNAmiR 1、2、3、4、7または8が形質導入されたMEL細胞の低分子RNAシークエンシングの結果。RNA配列を、各パネルの上部に太字で示された対応する参照ガイド鎖配列およびグレーで示された隣接配列に対してアラインメントした。(図20A)U6-shRNAから産生されたガイド鎖の種々の変異体をy軸上にプロットしている。各変異体の相対的寄与(%)を、参照shRNA配列と一致するリードの総数に基づいて算出してx軸上に示している。
低分子RNA配列分析により、pol III転写物とpol II転写物とのプロセシングの差異が明示されたことを示している。U6-shRNAおよびSFF V-shRNAmiR 1、2、3、4、7または8が形質導入されたMEL細胞の低分子RNAシークエンシングの結果。RNA配列を、各パネルの上部に太字で示された対応する参照ガイド鎖配列およびグレーで示された隣接配列に対してアラインメントした。(図20B)SFFV-shRNAmiRから産生されたガイド鎖の種々の変異体をy軸上にプロットしている。各変異体の相対的寄与(%)を、参照shRNA配列と一致するリードの総数に基づいて算出してx軸上に示している。
shRNA配列の改変が、MEL細胞において、ノックダウンの増加およびガイド鎖とパッセンジャー鎖との比の向上をもたらすことを示している。SFFV-shRNAmiRを、ガイド配列から最初の4塩基を欠失させて3'末端にGCGCを付加することによって改変した(改変shRNA)。
shRNA配列の改変が、MEL細胞において、ノックダウンの増加およびガイド鎖とパッセンジャー鎖との比の向上をもたらすことを示している。MEL細胞においてSFFV-pol IIプロモーターから発現させた改変shRNAmiR配列および親shRNAmiR配列のノックダウン効率の比較。BCL11Aタンパク質レベルは、FACSで選別された形質導入細胞において、β-アクチンをローディング対照とするイムノブロットによって測定した。上のパネルの左側にあるXLおよびLは、BCL11Aタンパク質のこれらのアイソフォームの位置を指し示している。PIII:pol IIIプロモーターベクター;PII:pol IIプロモーターベクター;PIIM:改変shRNAmiR配列を含むpol IIプロモーターベクター。
shRNA配列の改変が、MEL細胞において、ノックダウンの増加およびガイド鎖とパッセンジャー鎖との比の向上をもたらすことを示している。qRT-PCRによって測定した、非改変(白のバー)および改変(網掛けバー)shRNAmiR配列による、非標的指向性対照と比較したHbb-yの誘導倍数値。データは平均±SDを表している。**P<0.01。
shRNA配列の改変が、MEL細胞において、ノックダウンの増加およびガイド鎖とパッセンジャー鎖との比の向上をもたらすことを示している。複数のshRNAおよびshRNAmiRが形質導入された細胞から抽出した全RNAのノーザンブロット分析。shRNAおよびshRNAmiRの位置1から20までのガイド鎖およびパッセンジャー鎖に対して相補的なプローブ(20nt)を、プロセシングされた低分子RNAの存在量を測定するために利用した。5S RNAに対して相補的なプローブを、RNAローディングを判定するための内部対照として用いた。PIII:pol IIIプロモーターベクター;PII:pol IIプロモーターベクター;PIIM:改変shRNAmiR配列を含むpol IIプロモーターベクター。
shRNA配列の改変が、MEL細胞において、ノックダウンの増加およびガイド鎖とパッセンジャー鎖との比の向上をもたらすことを示している。shRNA 1、2、3、4、7または8を発現する形質導入MEL細胞の均質集団のRNAシークエンシングの結果。これらのRNAの配列を、各パネルの上部に示された対応する参照ガイド鎖配列に対してアラインメントした。種々のガイド鎖種の配列をy軸上に表示し、頻度をアラインメントされたリードのパーセンテージとしてx軸上に示している。
図22A〜22Eは、改変shRNAmiRが、ヒトCD34+由来赤血球系細胞におけるBCL11Aノックダウン効率の増大およびγグロビン誘導を招くことを示している。図22A:改変を伴うかまたは伴わない種々のshRNAを発現するpol IIIまたはpol IIベクターにより形質導入されたCD34+細胞を、ピューロマイシンの存在下で選択するか(pol III)、またはVenus発現に関して選別した(pol IIおよび改変pol II)。BCL11A発現は、分化第11日に、β-アクチンをローディング対照とするイムノブロットによって測定した。図22B:γ-グロビンmRNAの誘導を、分化第18日にqRT-PCRにより判定した。データは、β-遺伝子座産物全体(γ-グロビン+β-グロビン)のうちγ-グロビンのパーセンテージを、pol III(黒のバー)、pol II(白のバー)および改変pol II(グレーのバー)に関して表している。*p<0.05;***p<0.001。図22C:赤血球系分化マーカー(CD71、GpA)の定量および統計的分析、さらに核除去をフローサイトメトリーによって評価した。CTRL:対照ベクターSFFV-shRNAmiRNTおよびSEW;PIII:pol IIIベクター;PII:pol IIベクター;PIIM:改変shRNAmiR配列を含むpol IIベクター。データは3回の独立した実験による平均±SDを表している。***p<0.001。図22D:細胞溶解物ヘモグロビンFを、分化第18日にHPLCによって測定した。矢印はHbFピークを指し示しており、ヘモグロビン全体に占めるHbFのパーセンテージをクロマトグラムの下方に示している。図22E:qRT-PCRによって評価したγ-グロビンmRNA発現とHPLCによるHbFとの相関グラフ。黒の丸印はpol IIIベクターを表し、白抜き丸印およびグレーの丸印はそれぞれpol IIshRNAmiRまたは改変shRNAmiRを表している。相関係数(r2)を全データについて示している。
インビボでのHSCに対するBCL11Aノックダウンの悪影響が、発現を赤血球系細胞に限定することによって妨げられることを示している。β-YACマウスから単離された系列陰性骨髄細胞(CD45.2)に対して、エクスビボで、BCL11Aを標的とするshRNAmiR*を発現するLeGOベクター、または非標的指向性対照ベクター(SFF-shRNAmiRNT)による形質導入を行い、致死的な放射線照射BoyJレシピエント(CD45.1)に移植した。非形質導入対照細胞を対照として移植した。生着分析を、末梢血および骨髄のそれぞれにおいて移植後4週、8週および12週に行った(n=各群当たりマウス4匹)。
インビボでのHSCに対するBCL11Aノックダウンの悪影響が、発現を赤血球系細胞に限定することによって妨げられることを示している。これらのマウスにおける遺伝子改変細胞(Venus+細胞)の比率を、末梢血および骨髄において移植後4週、8週および12週に決定した。
インビボでのHSCに対するBCL11Aノックダウンの悪影響が、発現を赤血球系細胞に限定することによって妨げられることを示している。表記のベクターによって形質導入されたCD45.1およびCD45.2ドナー細胞を用いて競合的移植片を用意し、CD45.1/2ヘテロ接合性マウスに移植した(上方のパネル)。または、青色蛍光性タンパク質をコードする中立的ベクター(SFFV-BFP)を、CD45.2レシピエント環境でのCD45.1ドナーにおける競合体集団を同定するために用いた(下方のパネル)。示されているのは、形質導入から3日後に移植に用いた種々の混在性集団の代表的なドットブロットである。2種の競合性ベクターは各パネルの上方に指し示されており、最初のものはそれぞれCD45.2またはSFFV-BFPにより形質導入された集団を指し示している。
インビボでのHSCに対するBCL11Aノックダウンの悪影響が、発現を赤血球系細胞に限定することによって妨げられることを示している。競合的に再増殖させたマウスにおける遺伝子改変細胞の寄与を、末梢血(PB)において移植4週後および8週後に、または骨髄(BM)および脾臓(Spl)において第12週に分析した。2種の競合性ベクターにより形質導入された遺伝子改変細胞の相対的寄与を示している。言及した第1のベクターは造血性アウトプットを優位にした。各ドットは個々のレシピエントマウスを表している。
インビボでのHSCに対するBCL11Aノックダウンの悪影響が、発現を赤血球系細胞に限定することによって妨げられることを示している。BCL11A標的指向性ベクターと対照ベクター(SFF-shRNAmiRNTとSFFV-BFP、左のパネル)の間での、細胞の形質導入画分における骨髄B細胞画分のペアワイズ比較。同様に、形質導入細胞画分におけるLSK含有量も分析した。各ドットは個々のレシピエントを表しており、*および**はそれぞれp値≦0.05および≦0.01を指し示している。
インビボでのHSCに対するBCL11Aノックダウンの悪影響が、発現を赤血球系細胞に限定することによって妨げられることを示している。赤血球系特異的発現のために用いたLCR-shRNAmiRベクターの立体配置(詳細は本文中)。
インビボでのHSCに対するBCL11Aノックダウンの悪影響が、発現を赤血球系細胞に限定することによって妨げられることを示している。LCR-ベクターのインビボ発現プロフィールをさまざまな造血系列において移植12週後に分析した。各マウスにおけるVenus+細胞のパーセンテージを、CD71+/Ter119+赤血球系細胞に対して規格化した(n=4)。
インビボでのHSCに対するBCL11Aノックダウンの悪影響が、発現を赤血球系細胞に限定することによって妨げられることを示している。cおよびdに記載した通りの競合的移植実験を、shRNAmiR*を発現するLCRベクターまたはSFFVベクターを用いて行った。各ドットは個々のレシピエントを表している。
インビボでのHSCに対するBCL11Aノックダウンの悪影響が、発現を赤血球系細胞に限定することによって妨げられることを示している。動員された末梢血CD34+細胞に対して、LCR-shRNAmiR*、3および8またはSFFV-GFPモックベクターによる形質導入を行って、インビトロで赤血球系分化に供した。形質導入から7日後に、種々の赤血球系部分集団におけるSFFV-GFPベクターおよびLCR-ベクターのプロモーター活性を評価した。代表的な流れ図を示している。すべての図中でエラーバー=SDである。統計分析t-検定
改変shRNAmiRによる系列特異的BCL11Aノックダウンおよびγグロビン誘導を示している。LCR-shRNAmiR 3、8またはSFFV-GFPモックベクターによって形質導入されたCD34+ HSPCを、蛍光性レポーター発現に関してFACS選別し、分化第11日にBCL11A発現をβ-アクチンをローディング対照とするイムノブロットによって測定した。
改変shRNAmiRによる系列特異的BCL11Aノックダウンおよびγグロビン誘導を示している。γ-グロビンmRNAの誘導を、分化第18日にqRT-PCRにより判定した。データは、γ/(γ+β)グロビンのパーセンテージを表している。
改変shRNAmiRによる系列特異的BCL11Aノックダウンおよびγグロビン誘導を示している。フローサイトメトリー分析による赤血球系分化マーカー(CD71、GpA)および核除去の定量および統計的分析。CTRL:SFFV-GFP対照ベクター;LCRM:LCRプロモーターを介して発現される、図23Aに示されている改変shRNAmiR。データは3回の独立した実験による平均±SDを表している。
改変shRNAmiRによる系列特異的BCL11Aノックダウンおよびγグロビン誘導を示している。細胞溶解物のHbFレベルを、分化第18日にHPLCによって測定した。矢印はHbFピークを指し示しており、ヘモグロビン全体に占めるHbFのパーセンテージをクロマトグラムの下方に示している。
改変shRNAmiRによる系列特異的BCL11Aノックダウンおよびγグロビン誘導を示している。qRT-PCRによるγ-グロビン誘導とHPLCによるHbFの相関グラフ。エラーバーは、3回の独立した実験による±SDを指し示している。
改変shRNAmiRによる系列特異的BCL11Aノックダウンおよびγグロビン誘導を示している。骨髄CD34+ HSPCに対してLCR-shRNAmiR3またはNTによる形質導入を行い、致死量以下の放射線照射を行ったNSGマウス(n=1群当たり3匹)に移植した。非形質導入細胞を対照として用いた。14週後に、移植した動物の骨髄からCD34細胞を単離し、インビトロでの赤血球系分化に14日間供した。γ-グロビンおよびβ-グロビンの発現を、Venusレポーター発現に関して選別した細胞において評価した。
図25は、4種の細胞株における247種のプロセシングされたTRCshRNA産物のディープシークエンシングを示している。
図26は、LCR-shRNAmiRベクターのインビボ発現プロフィールを示している。
図27Aは、BCL11Aアイソフォーム(LおよびXL)およびローディング対照としてのβ-アクチンを示している、健常ドナー由来の形質導入CD34+細胞に由来するインビトロで分化させた赤血球系細胞のウエスタンブロットであり、BCL11A XLの有効なノックダウンを実証している。DNA PCRによって決定されたVCNを各レーンの下方に示している。図27Bは、赤血球系細胞におけるBCL11Aノックダウンの定量を示している。データは、図27Aに示すようなウエスタンブロットに由来する。データは、単一ドナー由来の細胞を用いた3回の独立した実験をまとめている(エラーバー:SD)。図27Cは、RT-qPCRによって評価した赤血球系細胞におけるγグロビンの誘導、およびHPLCによって評価したヘモグロビン(HbF)を示している(エラーバー:SD)。
図28は、RT-qPCRによって評価した、赤血球系細胞におけるγグロビンの誘導を示している。赤血球系細胞におけるγグロビン誘導の量は、細胞におけるインビボでのBCL11Aノックダウンの指標である。エラーバー:SD。1群当たり3匹ずつの移植を受けた動物によるデータを示している。
図29Aは、BCL11Aアイソフォーム(LおよびXL)およびローディング対照としてのβ-アクチンを示しているウエスタンブロットであり、BCL11A XLの有効なノックダウンを実証している。各パネル(レーンの下方のラベル表示1〜6)は、単一ドナー由来の細胞を用いた独立した実験を表している。図29Bは、赤血球系細胞におけるBCL11Aノックダウンの定量を示している。データは、図29Aに示されたウエスタンブロットに由来する(エラーバー:SD)。図29Cは、HPLCによるHbFの結果として起こる誘導を示している(エラーバー:SD)。
図30は、CD34+分化赤血球系細胞におけるBCL11AのノックダウンのためのSFFVバックボーンおよびLCRバックボーンの両方に用いた配列を示している。
図31は、CD34+分化赤血球系細胞におけるBCL11Aノックダウンのウエスタンブロットを示している。

0140

詳細な説明
本明細書に記載の本開示は、一部には、造血幹細胞(HSC)の子孫においてBCL11A標的指向性shRNAを選択的に発現するレンチウイルス遺伝子治療ベクターの開発に基づく。したがって、本開示は、赤血球系細胞におけるγ-グロビン発現の調節のための新規方法を範囲に含む。より具体的には、これらの活性を、BCL11A遺伝子産物の阻害を介したγ-グロビンの誘導により、SCDおよびTHALを含む異常ヘモグロビン症の治療のための方法に利用することができる。特定の態様において、HSC、造血始原細胞、または胎児細胞などの他の幹細胞の子孫においてBCL11A標的指向性shRNAを選択的に発現するレンチウイルス遺伝子治療ベクターが提供される。

0141

正常な成人ヘモグロビンは4つのグロビンタンパク質で構成され、そのうち2つはアルファ(α)タンパク質であり、2つはベータ(β)タンパク質である。哺乳動物の胎児発生の間に、特にヒトにおいて、胎児は胎児型ヘモグロビンを産生し、これは2つのβ-グロビンタンパク質の代わりに2つのガンマ(γ)-グロビンタンパク質を含む。胎児発生中のある時点で、グロビンの胎児性スイッチングが起こり、その時点で胎児における赤血球は、主としてγ-グロビンを産生することから主としてβ-グロビンを産生するように切り替わる。胎児型ヘモグロビンまたはHbF(α2γ2)を主とする産生から、成人ヘモグロビンまたはHbA(α2β2)の産生への発生上のスイッチングは、妊娠約28週〜34週の間に起こり、HbAが主体となるまでは出生後も短期間続く。このスイッチングは主として、γ-グロビン遺伝子の転写の減少およびβ-グロビン遺伝子の転写の増加に起因する。正常成人の血液は平均するとHbFを約2%しか含有しないとはいえ、健常成人における残留HbFレベルには20倍を上回るばらつきがある(Atweh, Semin. Hematol. 38:367-73 (2001))。

0142

異常ヘモグロビン症は、赤血球(RBC)の産生の減少および/または破壊(溶血)の増加がみられる、遺伝的原因によるいくつかの貧血を範囲に含む。これらにはまた、異常ヘモグロビンの産生をもたらし、酸素濃度を維持する能力の障害を同時に伴う遺伝的欠陥も含まれる。そのような障害には、正常β-グロビンを十分な量で産生できなくなることを伴うものもあれば、正常β-グロビンを全く産生できなくなることを伴うものもある。β-グロビンタンパク質に関連するこれらの障害は、一般に異常ヘモグロビン症と称される。例えば、SCDはβ-グロビン構造遺伝子における点突然変異に起因し、それは異常(鎌状化)ヘモグロビン(HbS)の産生を招く。HbS RBCは正常RBCよりも脆弱であり、溶血をより容易に起こし、それは最終的に貧血を招く(Atweh, Semin. Hematol. 38(4):367-73 (2001))。THALはβ-グロビン遺伝子の部分的または完全な欠損に起因し、それはHbAの欠乏または欠如を招く。

0143

異常ヘモグロビン症の患者におけるグロビン鎖不均衡の軽減を目的とする治療の探索は、胎児HbFの薬理学的操作に着目してきた。そのようなアプローチの治療可能性は、β鎖異常を有しかつHbFが正常レベルよりも高い成人患者の特定の集団はHbFが正常成人レベルである患者よりも疾患の臨床経過が軽度であるという観察所見によって明示されている。例えば、HbFを20〜30%発現するサウジアラビア鎌状細胞貧血患者の群では、疾患の臨床症状発現は軽度に過ぎない(Pembrey, et al., Br. J. Haematol. 40: 415-429 (1978))。現在では、SCDおよびTHALなどの異常ヘモグロビン症がHbF産生の増加によって改善されることが受け入れられている(Jane et al., Br. J. Haematol. 102: 415-422 (1998);Bunn, N. Engl. J. Med. 328: 129-131 (1993))。

0144

転写リプレッサーであるBCL11Aは、β-異常ヘモグロビン症の治療標的である。造血細胞におけるBCL11A発現を低下させるために、pol IIIプロモーターにより発現される短鎖ヘアピンRNA(shRNA)を用いるRNA干渉を適用した。マウス造血幹細胞(HSC)におけるBCL11Aのノックダウンにより、長期的生着が損なわれた。HSC毒性を回避するために、pol IIプロモーターにより発現されるマイクロRNA適合shRNA(shRNAmiR)を介して、赤血球系細胞におけるBCL11Aの発現を選択的に抑制した。同一の標的に適合させた複数の配列を用いることにより、標的ノックダウンに強い影を及ぼす系同士の間でガイド鎖に3〜5ntの違いがあることが原因で、pol IIベクターを用いた際にノックダウンの著しい低下が観察された。対応する4ntシフトをshRNAmiRのガイド鎖に人工的に導入したところ、それは驚いたことに、かつ予想外のことに、BCL11Aのノックダウン、およびマウス赤血球系細胞株におけるヒトγ-グロビン遺伝子の機能的ホモログであるHbb-yの抑制解除を向上させた。改変shRNAmiRを赤血球系特異的な様式で発現させたところ、マウスHSC生着に対する有害作用が回避され、これにより、ヒトCD34由来赤血球系細胞において効率的なBCL11Aノックダウンおよび高レベルのHbFがもたらされた。pol IIIにより発現されるshRNAスクリーニング物に由来するshRNAmiRの前向きデザインのための戦略を開発した。この戦略は、遺伝子サイレンシング配列の系列特異的発現を必要とする異常ヘモグロビン症および他の疾患の遺伝子治療のための改良されたアプローチとなる。

0145

レトロウイルスベクターおよびレンチウイルスベクター
いくつかの態様において、本開示は、赤血球系細胞または赤血球前駆細胞における移入された治療用遺伝子持続的な高レベル発現を達成する、レトロウイルスに基づく、例えばレンチウイルスに基づく遺伝子送達ベクターを用いて、異常ヘモグロビン症を治療するための改良された組成物および方法を提供する。本発明の1つの態様において、ベクターは、内因性miR-223配列のステムループ内にクローニングされた、BCL11Aに対する標的指向性配列を含む人工的miRNAを含む(Amendola et al., Mol Ther 17:1039-52, 2009)。本ベクターのステム/ループ構造は、本明細書に開示されたSEQID NO:1〜18および25〜44オリゴヌクレオチドの相補的配列によって生成される。図1、12A、14A、21A、および実施例11を参照されたい。このステム/ループ構造を、miR-223/miR-30バックグラウンド中にクローニングした。続いて、このmiRNA/shRNA構造全体を、自己不活性化(SIN)ベクターの、SFFV、TETまたはLCRプロモーターを有するカセット内にクローニングした。本発明の具体的なレンチウイルスベクターは、参照により本明細書に組み入れられる、Pawliuk et al. (2001) Science 294:2368およびImren et al. (2002) PNAS 99: 14380に記載されている。

0146

したがって、1つの局面において、本明細書において提供されるのは、第1のBCL11Aセグメント、ループセグメント、および5'から3'への方向に直列に並んだ第2のBCL11Aセグメントを含む合成BCL11AマイクロRNAであって、ループセグメントが第1および第2のBCL11Aセグメントの間にあってそれらと直接連結されており、かつ、第1および第2のBCL11Aセグメントが塩基対合してヘアピンループを形成するように第2のBCL11Aセグメントが第1のBCL11Aセグメントに対して相補的であり、ループセグメントがそのようにして形成されたヘアピンループのループ部分を形成している、前記合成BCL11AマイクロRNAである。

0147

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、第1および第2のBCL11Aセグメントは約18〜25ヌクレオチド長である。第1のBCL11AセグメントはBCL11A配列に由来し、かつ二重鎖siRNAへのshRNAプロセシング中にパッセンジャー鎖を生じ、第2のBCL11Aセグメントは第1のBCL11Aセグメントに対して相補的であり、ここで第2のBCL11Aセグメントは、RNA干渉またはBCL11A遺伝子サイレンシングのためのRNA干渉特異性複合体(RISC)に組み入れられるガイド鎖を生じる。

0148

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、第1および第2のBCL11AセグメントはBCL11AmRNA配列に由来する。

0149

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、第1のBCL11Aセグメントは5'末端にて-GCGC-で始まり、第2のBCL11Aセグメントは3'末端にて-GCGC-で終わる。

0150

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、第1のBCL11Aセグメントはさらに、5'末端が-GCGC-からなり、第2のBCL11Aセグメントは3'末端にて-GCGC-で終わる。

0151

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、第1のBCL11Aセグメントは5'末端にて-GCGA-、-TCTG-、または-TG-で始まり、第2のBCL11Aセグメントは第1のBCL11Aセグメントに対して相補的である。

0152

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、第1のBCL11Aセグメントはさらに、5'末端が-GCGA-、-TCTG-、または-TG-からなる。

0153

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、第2のBCL11Aセグメントは3'末端にて-TTTT-で終わる。

0154

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、合成BCL11AマイクロRNAは、SEQID NO:1〜10、13〜18、25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む。

0155

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、合成BCL11AマイクロRNAは、SEQID NO:1〜10、13〜18、25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列からなる。

0156

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、合成BCL11AマイクロRNAは、本質的に、SEQID NO:1〜10、13〜18、25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列からなる。

0157

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、第1のBCL11Aセグメントは、

;本明細書に記載のBCL11A miR1オリゴに由来)、

;本明細書に記載のBCL11A miR2オリゴに由来)、

;本明細書に記載のBCL11A E3オリゴまたはshRNA1またはE3に由来)、

;本明細書に記載のshRNA2またはB5に由来)、

;本明細書に記載のshRNA4またはB11に由来)、

;本明細書に記載のBCL11A D8オリゴまたはshRNA3またはD8に由来)、

;本明細書に記載のshRNA5または50D12もしくはD12に由来)、

;本明細書に記載のshRNA5または50A5に由来)、

;本明細書に記載のshRNA7または50B11に由来)、

;本明細書に記載のBCL11A XLC4、shRNA8および50C4に由来)、

;本明細書に記載のBCL11A非標的指向性オリゴに由来)、

;本明細書に記載のmiR1G5オリゴに由来)、

;本明細書に記載のE3G5またはE3 modオリゴまたはshRNA1modに由来)、

;本明細書に記載のB5G5またはshRNA2modに由来);

;本明細書に記載のB11G5またはshRNA4modに由来);

;本明細書に記載の50D12G5、D12G4またはshRNA5modに由来);

;本明細書に記載の50A5G5またはshRNA6modに由来);

;本明細書に記載の50B11G5またはshRNA7modに由来);

;本明細書に記載のBCL11A D8G5またはD8 modまたはshRNA3modに由来)、

;本明細書に記載のBCL11A C4G5またはC4 modまたはshRNA8modに由来)、

;本明細書に記載のBCL11A D12G5-2に由来)、および

;本明細書に記載のBCL11A D12G5-2に由来)からなる群より選択される。

0158

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、ループセグメントはマイクロRNAに由来する。1つの態様において、マイクロRNAは造血特異的マイクロRNA、例えば、miR-142、miR-155、miR-181およびmiR-223である。

0159

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、マイクロRNAはmiR223である。

0160

本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAのいずれか1つの1つの態様において、ループセグメントは

である。

0161

1つの局面において、本明細書は、SEQID NO:1〜18、25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子、または本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAを提供する。

0162

したがって、1つの局面において、本明細書は、SEQID NO:1〜10、13〜18、25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む少なくとも1種類の核酸分子または本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAを含む組成物を提供する。

0163

したがって、1つの局面において、本明細書は、少なくとも、SEQID NO:1〜10、13〜18、25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子または本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAを含むベクターもしくは細菌を含む組成物を提供する。

0164

1つの局面において、本明細書は、SEQID NO:1〜10、13〜18、25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む少なくとも1種類の核酸分子または本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAを含むベクターまたはウイルスを含む宿主細胞を提供する。

0165

1つの局面において、本明細書は、SEQID NO:1〜10、13〜18、25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む少なくとも1種類の核酸分子または本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAを含むベクター、ウイルスまたは細菌を含む宿主細胞を提供する。

0166

1つの態様において、ベクターはウイルスベクターまたはウイルスである。

0167

短鎖干渉性RNA(siRNA)またはマイクロRNA(miRNA)によって媒介されるRNA干渉(RNAi)は、遺伝子発現の転写後調節のための強力な方法である。RNAiは哺乳動物細胞における生物過程の研究のために幅広く用いられており、遺伝子発現の選択的モジュレーションが望ましいと考えられるヒト疾患に対する治療アプローチになりうる可能性がある。miRNAと標的mRNA配列との相補性度合いに応じて、コグネイトmRNAの分解の誘導によって、または翻訳減衰によって、遺伝子発現の低下が起こる。内因性miRNAは一次転写物として転写され、その後にRNアーゼIII酵素ドローシャ(Drosha)(1)によってプロセシングされて、ステムループ構造を作り出す。核外移行およびダイサーによる切断によって、成熟した短い二本鎖分子(siRNA)が生じ、それはガイド鎖とパッセンジャー鎖に分かれる。ガイド鎖は、RISCタンパク質との機能的なガイド鎖結合を伴って標的mRNAの切断を媒介するエフェクター複合体であるRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)にロードされるが(2)、パッセンジャー鎖は分解される[(3)に概説されている]。ガイド鎖とパッセンジャー鎖のRISCへのローディングの違いはsiRNAの5'末端安定性に主に依存し、安定性の低い鎖の方がRISCに選好的に組み入れられるが(4、5)、哺乳動物細胞における正確な調節は完全には解明されていない。ガイド鎖の5'末端は「シード領域」を含み、それは標的識別にとって重大な意味を持つ(6,7)。ドローシャおよびダイサーによる的確な切断が、適切な標的mRNAへの効果的な結合を媒介する、所定のシード領域を有するガイドRNAの生成にとって、重大な意味を持つ。不正確なプロセシングはオフターゲット分子との結合をもたらすが、切断部位のシフトは二重鎖末端のヌクレオチド組成も変化させ、それはRISCへの鎖ローディングに対して重大な影響を及ぼす(8)。

0168

選択された標的ポリペプチドの発現の阻害は、RNA干渉物質の使用による。RNA干渉(RNAi)では、選択的分解のために標的ポリペプチドをコードするメッセンジャーRNAを標的とする低分子干渉性RNA(siRNA)二重鎖を用いる。遺伝子発現のsiRNA依存的な転写後サイレンシングは、siRNAによって導かれた部位で標的メッセンジャーRNA分子を切断することを伴う。RNAiは進化的に保存された過程であり、この過程では、標的遺伝子と同一であるか非常に類似する配列のRNAの発現または導入が、その標的遺伝子から転写されたメッセンジャーRNA(mRNA)の配列特異的分解または特異的転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)をもたらし(Coburn, G. and Cullen, B. (2002) J. Virology 76(18):9225を参照)、それによって標的遺伝子の発現を阻害する。1つの態様において、RNAは二本鎖RNAdsRNA)である。この過程は、植物、無脊椎動物、および哺乳動物細胞において記述されている。自然界では、RNAiは、長いdsRNAの、siRNAと名づけられた二本鎖断片への前進的切断(processive cleavage)を促進するdsRNA特異的エンドヌクレアーゼであるダイサーによって開始される。siRNAは、標的mRNAを認識して切断するタンパク質複合体(「RNA誘導サイレンシング複合体」または「RISC」と名づけられる)に組み込まれる。また、RNAiを、標的遺伝子の発現を阻害またはサイレンシングするために、核酸分子、例えば合成siRNAまたはRNA干渉物質を導入することによって開始させることもできる。本明細書で用いる場合、「標的遺伝子発現の阻害」は、RNA干渉が誘導されていない状況と比較した、標的遺伝子または標的遺伝子によってコードされるタンパク質の発現またはタンパク質活性またはレベルの何らかの低下を含む。この低下は、RNA干渉物質による標的とされていない標的遺伝子の発現または標的遺伝子によってコードされるタンパク質の活性もしくはレベルと比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、もしくは99%、またはそれ以上の低下であると考えられる。

0169

「RNA干渉物質」および「RNA干渉」という用語は、それらが本明細書で用いられる場合、RNA干渉物質がsiRNA、miRNA、shRNA、または他の二本鎖RNA分子を含むか否かにかかわらず、二本鎖RNAによって媒介される遺伝子サイレンシングのそのような形態を範囲に含むことを意図している。siRNAは、例えばRNAiによって標的遺伝子の発現を阻害するように機能するRNA作用物質として定義される。siRNAは化学的に合成するか、インビトロ転写によって生成させるか、または宿主細胞内で産生させることが可能である。1つの態様において、siRNAは、長さが約15〜約40個のヌクレオチド、好ましくは約15〜約28個のヌクレオチド、より好ましくは長さが約19〜約25個のヌクレオチド、より好ましくは長さが約19、20、21、22、または23個のヌクレオチドの二本鎖RNA(dsRNA)分子であり、約0、1、2、3、4または5個のヌクレオチドの長さを有する3'および/または5'オーバーハングを各鎖上に含むことができる。オーバーハングの長さは2本の鎖間で独立しており、すなわち、一方の鎖上のオーバーハングの長さは、他方の鎖上のオーバーハングの長さに依存しない。好ましくは、siRNAは、標的メッセンジャーRNA(mRNA)の分解または特異的転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)を介してRNA干渉を促進することができる。

0170

siRNAには、低分子ヘアピン(ステムループとも呼ばれる)RNA(shRNA)も含まれる。1つの態様において、これらのshRNAは、短い(例えば、約19〜約25個のヌクレオチドの)アンチセンス鎖と、これに続く約5〜約9個のヌクレオチドのヌクレオチドループ、および類似のセンス鎖から構成される。または、センス鎖がヌクレオチドループ構造に先行してもよく、アンチセンス鎖が後に続いてもよい。これらのshRNAをプラスミド、レトロウイルス、およびレンチウイルス中に含めて、例えば、pol III U6プロモーターまたは別のプロモーターから発現させることができる(例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられるStewart, et al. (2003) RNA April;9(4):493-501を参照)。RNA干渉物質の標的遺伝子または配列は、細胞遺伝子またはゲノム配列、例えばBCL11A配列とすることができる。siRNAは、標的遺伝子もしくはゲノム配列、またはその断片と実質的に相同でありうる。これに関連して用いられる「相同」という用語は、標的のRNA干渉を生じさせるために、標的mRNAまたはその断片と、実質的に同一であること、十分に相補的であること、または類似していることとして定義される。標的配列の発現を阻害するかまたは発現に干渉するのに適したRNAには、ネイティブなRNA分子のほかに、RNA誘導体および類似体も含まれる。好ましくは、siRNAはその標的と同一である。siRNAはただ1つの配列を標的とすることが好ましい。siRNAなどのRNA干渉物質のそれぞれは、例えば、発現プロファイリングによって、可能性のあるオフターゲット効果についてスクリーニングすることができる。そのような方法は当業者に公知であり、例えば、Jackson et al. Nature Biotechnology 6:635-637, 2003に記載されている。発現プロファイリングに加えて、オフターゲット効果を有する可能性のある配列を同定するために、可能性のある標的配列を配列データベース中の類似配列についてスクリーニングすることもできる。例えば、配列同一性を有する15個の連続するヌクレオチド、またはおそらくは11個程度の短さの連続するヌクレオチドでも、標的としない転写産物のサイレンシングを導くのに十分である。このため、、可能性のあるオフターゲットサイレンシングを避けるために、BLASTなどの任意の公知の配列比較法による配列同一性分析を用いて、提案されたsiRNAを最初にスクリーニングすることができる。siRNA配列は、siRNAのアンチセンス(ガイド)鎖のRISCへの取り込みを最大にし、それによって分解のためにヒトGGTmRNAを標的とするRISCの能力を最大にするように選択される。これは、アンチセンス鎖の5'末端で最小の結合自由エネルギーを有する配列についてスキャニングを行うことによって達成することができる。より低い自由エネルギーはsiRNA二重鎖のアンチセンス鎖の5'末端の巻き戻しの強化を招き、それにより、アンチセンス鎖がRISCに取り込まれてヒトBCL11A mRNAの配列特異的切断を導くことを確実にする。siRNA分子は、RNAのみを含む分子に限定される必要はなく、例えば、化学的に修飾されたヌクレオチドおよび非ヌクレオチドをさらに範囲に含み、また、リボース糖分子が別の糖分子にまたは同様の機能を果たす分子に置換されている分子も含む。さらに、ヌクレオチド残基間の非天然の結合、例えば、ホスホロチオエート結合を用いることもできる。RNA鎖は、フルオロフォアなどのレポーター基反応性官能基によって誘導体化することができる。特に有用な誘導体は、RNA鎖の一端または両端において、典型的にはセンス鎖の3'末端において修飾されている。例えば、3'末端の2'-ヒドロキシルは種々の基で容易にかつ選択的に誘導体化することができる。他の有用なRNA誘導体は、2'O-アルキル化残基または2'-O-メチルリボシル誘導体および2'-O-フルオロリボシル誘導体といった修飾された糖質部分を有するヌクレオチドを組み入れている。RNA塩基を修飾することもできる。標的配列の発現を阻害するかまたは発現に干渉するために有用な任意の修飾塩基を用いることができる。例えば、5-ブロモウラシルおよび5-ヨードウラシルなどのハロゲン化塩基を組み入れることができる。また、塩基をアルキル化することもでき、例えば、7-メチルグアノシンをグアノシン残基の代わりに組み入れることができる。好首尾な阻害を生じさせる非天然塩基を組み入れることもできる。最も好ましいsiRNA修飾には、2'-デオキシ-2'-フルオロウリジンまたはロックド核酸(LNA)ヌクレオチド、およびホスホジエステルまたはさまざまな数のホスホロチオエート結合のいずれかを含むRNA二重鎖が含まれる。そのような修飾は当業者に公知であり、例えば、Braasch et al., Biochemistry, 42: 7967-7975, 2003に記載されている。siRNA分子にとって有用な修飾のほとんどは、アンチセンスオリゴヌクレオチド技術のために確立された化学反応を用いて導入することができる。好ましくは、修飾は2'-O-メチル修飾を最小限にしか含まず、好ましくはそのような修飾は除外される。修飾からは、好ましくはsiRNAの遊離5'-ヒドロキシル基の修飾も除外される。本明細書における実施例では、BCL11A mRNAを有効に標的とするshRNA分子といった、RNA干渉物質の具体的な例を提示している。

0171

ポリメラーゼ(pol)IIIにより駆動される短鎖ヘアピンRNA(shRNA)は、生物実験環境で最もよく用いられている。shRNAはmiRNA前駆中間体の構造を模しており、それ故にドローシャによって媒介される第1の切断段階を免れる。shRNAは効率的なノックダウンをもたらすために多量に発現される。しかし、高い感染多重度MOI)では、内因性RNAi機構過飽和が、場合によっては内因性miRNAの調節不全に起因する細胞毒性作用を伴うことが報告されている(9-11)。マイクロRNAプロセシングの2つの構成要素であるExportin5およびAgo2がこの経路の能力を制約しているように思われ、これらのタンパク質の過剰発現はノックダウン能力の増大をもたらす(12-15)。さらに、低分子RNAによって配列特異的かつ非特異的な様式で誘発される先天免疫応答の活性化も細胞毒性副作用を媒介する可能性があり(16、17)、このことは(18)に概説がある。これらの作用は、いくつかの実験的トランスジェニックモデル系においてマウスの死亡率増加をもたらしており、shRNA過剰発現の直接的な副作用として報告されている(14,19)。

0172

RNAiに基づく治療薬の臨床移行のためには、ポリメラーゼIIプロモーターを利用する代替的な発現系が必要になる可能性が高いと考えられる。このクラスのプロモーターは、系列特異的またはさらには細胞型特異的な発現のための適切な調節エレメントの利用を可能にする。これはまた、pol IIIプロモーターと比較してより低いレベルの発現をもたらしうると考えられ、それにより、高MOIで形質導入された細胞で報告されているプロセシング機構の過飽和が未然に防がれる可能性がある。shRNA発現のためのpol IIプロモーターの使用を複雑にするものであるが、効率的なプロセシングのために内因性miRNA前駆体に通常由来する隣接配列の中にshRNA配列を埋め込む必要がある。miRNAスカフォールドが隣接したshRNAは内因性miRNAの構造を模している(10,20)。今日に至るまで、ヒトmiRNA-30およびmiRNA-223に由来する隣接領域は、哺乳動物細胞における発現のための組換えshRNAの組み入れのために広く用いられており、この発現戦略をさらに良く理解するため、および改良するために数多くの取り組みが行われている(21)。後者のmiRNAは、造血細胞におけるshRNA発現のためのスカフォールドとして用いると特に有効であることが示されており、いくつかの造血細胞型において効率的なプロセシングおよびパッセンジャー鎖活性の低さの結果として標的mRNAの実質的なノックダウンを媒介する(21,22)。

0173

本開示において、本発明者らは、将来の治療用途のためにshRNAmiRのプロセシングおよび最適化を研究するための標的としてBCL11Aを利用した。BCL11Aは、主要な異常ヘモグロビン症である鎌状赤血球症(SCD)およびβ-サラセミアにおける、γ-グロビン遺伝子、それ故にHbF発現の再活性化のための実証された治療標的である。BCL11Aのダウンモジュレーションまたは遺伝子欠失はγ-グロビン抑制を軽減し(23)、赤血球系列におけるBCL11Aの不活性化は遺伝的に操作されたマウスにおけるSCD表現型および臓器毒性を妨げる(24)。マウス胚性Hbb-y遺伝子はヒトγ-グロビン遺伝子の機能的ホモログであり、それ故に、マウス赤白血病(MEL)細胞におけるBCL11Aノックダウンの影響の評価のための簡便な代用物としての役を果たす。当初、本発明者らは、pol IIベースのベクターを用いたshRNAの発現後に、pol IIIベースのベクターによる場合と比較して、BCL11Aのノックダウンの効率の著しい低下を観察した。pol IIIおよびpol II shRNAmiRのデザインは、典型的には、21塩基の標的部位に一致させた配列をパリンドローム性ヘアピンステムの中に組み入れているが、これらの2種類の発現カセットからの転写物は異なるようにプロセシングされると予想される(25)。pol II shRNAmiR転写物はドローシャプロセシングの上流でRNAiプロセシング経路に入るが、はるかに短いpol III産物はドローシャの下流で経路に入って、ダイサーによってループ末端でのみ切断されると予想される。pol IIIプロモーターおよびpol IIプロモーターに由来する、プロセシングされた低分子RNAの配列に基づいて、本発明者らは、pol III shRNAカセットおよびpol II shRNAmiRカセットが、21塩基の標的と一致する配列の相対位置の点で、異なるようにプロセシングされたshRNAを生じさせることを観察した。有効なpol IIIで駆動されるshRNAによって産生される成熟ガイド鎖配列を模した、再設計されたshRNAmiRは、プロセシング効率および標的mRNAの阻害の強化につながった。赤血球系特異的な哺乳動物発現ベクターへのこれらの改変の組み入れは、BCL11Aタンパク質の著しいノックダウンおよび胎児型ヘモグロビンの再誘導につながった。また、この戦略により、汎造血性shRNA発現を伴う造血幹細胞およびB細胞系列区画における毒性も回避された。以上をまとめると、これらのデータは、種々のベクター環境におけるshRNAの使用に関連するRNAプロセシングの臨床的特徴を実証しており、また、広範な発現の有害な帰結を免れる系列特異的遺伝子ノックダウンのための戦略も提示している。本発明者らの知見は、マイクロRNAに埋め込まれたshRNAの設計、およびRNAiに基づく遺伝子治療アプローチにおけるそれらの適用のために重要な意味を持つ。

0174

1つの態様において、RNA干渉物質は、薬学的に許容される担体中にある状態で送達されるか、または投与される。リポソームなどの追加の担体物質を、薬学的に許容される担体に加えることができる。もう1つの態様において、RNA干渉物質は、薬学的に許容される担体中にある、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)をコードするベクターによって、個体の器官の細胞に送達される。shRNAは、細胞によって、転写後に例えばBCL11Aを標的とすることができるsiRNAに変換される。

0175

1つの態様において、RNA干渉物質は、SEQID NO:1〜18および25〜44からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子、または本明細書に記載の合成BCL11AマイクロRNAである。

0176

1つの態様において、ベクターは、テトラサイクリン誘導性ベクターなどの、調節可能なベクターである。例えば、pTet-Onベクター(BD Biosciences Clontech, Palo Alto, CA)を用いる、Wang et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 100: 5103-5106に記載された方法を用いることができる。1つの態様において、本明細書に記載の方法に用いられるRNA干渉物質は、ベクターを用いることなく、静脈内注入、例えば水圧注入(hydrodynamic injection)の後にインビボで細胞によって能動的に取り込まれ、これはRNA干渉物質の効率のよいインビボ送達の例証となる。siRNAを送達するための1つの方法は、適切な薬学的に許容される担体中にある状態での局所投与による。また、本発明の方法に用いられるRNA干渉物質、例えばsiRNAまたはshRNAを送達するための他の戦略、例えば、ベクター、例えばプラスミド、またはレンチウイルスベクターなどのウイルスベクターによる送達を使用することもできる。そのようなベクターは、例えば、Xiao-Feng Qin et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 100: 183-188に記載されたように用いることができる。他の送達方法には、RNA干渉物質を塩基性ペプチド、例えばTATペプチドの断片とコンジュゲートさせるかもしくは混合することによって塩基性ペプチドを用いて、陽イオン性脂質と混合して、または粒子に製剤化して、本発明のRNA干渉物質、例えばsiRNAまたはshRNAなどを送達することが含まれる。RNA干渉物質、例えばBCL11AmRNAを標的とするsiRNAは、単独で送達してもよく、または他のRNA干渉物質、例えばsiRNA(例えば他の細胞遺伝子を対象とするsiRNAなど)と組み合わせて送達してもよい。BCL11A siRNAはまた、皮膚の炎症を含む疾患または障害を治療または予防するために用いられる他の医薬品と組み合わせて投与することもできる。shRNA分子を含む合成siRNA分子は、当業者に公知のいくつかの手法を用いて得ることができる。例えば、siRNA分子は、当技術分野において公知の方法を用いて、例えば、適切に保護されたリボヌクレオシドホスホロアミダイトおよび従来のDNA/RNA合成装置を用いて、化学的に合成すること、または組換え法によって生成させることができる(例えば、Elbashir, S.M. et al. (2001) Nature 411 :494-498;Elbashir, S.M., W. Lendeckel and T. Tuschl (2001) Genes & Development 15: 188-200;Harborth, J. et al . (2001) J. Cell Science 114:4557-4565;Masters, J.R. et al. (2001) Proc. Natl. Acad. Sci., USA 98:8012-8017;およびTuschl, T. et al . (1999) Genes & Development 13:3191-3197を参照)。または、いくつかの商業的なRNA合成の供給元を利用することもでき、これには、Proligo(Hamburg, Germany)、Dharmacon Research(Lafayette, CO, USA)、Pierce Chemical(Perbio Scienceの一部、Rockford,IL, USA)、Glen Research(Sterling, VA, USA)、ChemGenes(Ashland, MA, USA)、およびCruachem(Glasgow, UK)が非限定的に含まれる。このように、siRNA分子は合成することが過度に困難ではなく、RNAiに適した品質で容易に提供される。さらに、dsRNAを、プラスミドベクター、レトロウイルスおよびレンチウイルスによってコードされたステムループ構造として発現させることもできる(Paddison, P. J. et al. (2002) Genes Dev. 16:948-958;McManus, M.T. et al. (2002) RNA 8:842-850;Paul, CP. et al. (2002) Nat. Biotechnol. 20:505-508;Miyagishi, M. et al. (2002) Nat. Biotechnol. 20:497-500;Sui, G. et al. (2002) Proc. Natl. Acad. Sci., USA 99:5515-5520;Brummelkamp, T. et al. (2002) Cancer Cell 2:243;Lee, N.S., et al. (2002) Nat. Biotechnol. 20:500-505;Yu, J.Y., et al. (2002) Proc. Natl. Acad. Sci., USA 99:6047-6052;Zeng, Y., et al. (2002) Mol. Cell 9: 1327-1333;Rubinson, D.A., et al. (2003) Nat. Genet. 33:401-406;Stewart, S.A., et al. (2003) RNA 9:493-501)。これらのベクターは一般に、dsRNAの上流にpol IIIプロモーターを有し、センスおよびアンチセンスRNA鎖を別々におよび/またはヘアピン構造として発現することができる。細胞内で、ダイサーが短鎖ヘアピンRNA(shRNA)を有効なsiRNAにプロセシングする。本発明のsiRNA分子の標的領域は、所与の標的遺伝子配列、例えば、開始コドンの約25〜50ヌクレオチド、約50〜75ヌクレオチド、または約75〜100ヌクレオチド下流から始まる、BCL11Aコード配列から選択することができる。ヌクレオチド配列は、5'または3'UTRおよび開始コドンの近傍の領域を含んでもよい。本発明のsiRNA分子を設計する1つの方法は、23ヌクレオチドの配列モチーフを同定して、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%または75%のG/C含量を有するヒットを選択することを伴う。または、そのような配列が見いだされない場合には、モチーフNA(N21)を用いて検索拡張することができ、ここでNは任意のヌクレオチドであってよい。この状況では、センスsiRNAの3'末端を、センスおよびアンチセンス3'オーバーハングの配列組成に関して対称的な二重鎖の生成を可能にするために、TTに変換することができる。続いて、アンチセンスsiRNA分子を、23ヌクレオチド配列モチーフのヌクレオチド位置1〜21に対する相補鎖として合成させることができる。対称的な3' TTオーバーハングの使用は、低分子干渉リボ核タンパク質粒子(siRNP)を、センスおよびアンチセンス標的RNA切断siRNPに関しておよそ等しい比で確実に形成させるために好都合でありうる(Elbashir et al., (2001)前記およびElbashir et al, 2001 前記)。また、NCBI、BLAST、DerwentおよびGenSeqを非限定的に含む配列データベースの分析、ならびにOLIGOENGINE(登録商標)などの商業的に利用可能なオリゴ合成会社を利用して、ただ1つの遺伝子のみが確実に標的となるようにESTライブラリーに対してsiRNA配列を選択することもできる。

0177

本発明のレンチウイルスベクターには、ヒト免疫不全ウイルス(例えば、HIV-1、HIV-2)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、およびウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)が非限定的に含まれる。治療法に用いるためにそれらの安全性を高めるため、および、異常ヘモグロビン症を非限定的に含む病状を治療するためのsiRNAをコードする下記のものなどの適した発現エレメントおよび治療用遺伝子を含めるために、当技術分野で認知された手法を用いて、これらのベクターを構築して操作することができる。

0178

レンチウイルスの想定される毒性を考慮して、遺伝子治療の用途におけるそれらの安全性を高めるために、さまざまなやり方でベクターを設計することができる。例えば、その内容が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,365,150号に記載されているように、必要なレンチウイルス遺伝子(例えば、gagおよびpol)を別々のベクターに分離することによって、ベクターをより安全にすることができる。すなわち、レトロウイルスコード配列(gag、pol、env)が、レトロウイルスを複製能欠損性にする関心対象の遺伝子によって置き換えられるように、組換えレトロウイルスを構築することができる。続いて、複製能欠損レトロウイルスを、標準的な手法によるヘルパーウイルスまたはパッケージング細胞株の使用を通じて、ビリオン内にパッケージングする。組換えレトロウイルスを作製するため、およびインビトロまたはインビボで細胞をそのようなウイルスに感染させるためのプロトコールは、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel, F. M. et al. (eds.) Greene Publishing Associates, (1989), Sections 9.10-9.14および他の標準的な実験マニュアルに記載がある。

0179

ウイルスを遺伝子送達ベクターとして用いるための主要な必要条件は、特に細胞集団における野生型ウイルスの伝播の可能性に関して、その使用の安全性を確保することである。複製能欠損レトロウイルスのみを産生する開発用パッケージング細胞株により、遺伝子治療に対するレトロウイルスの有用性が高まり、欠損レトロウイルスは遺伝子治療を目的とする遺伝子移入における使用に関して十分に特徴づけられている(概説については、Miller, A. D. (1990) Blood 76:271を参照)。したがって、本発明の1つの態様において、パッケージング細胞株が、ベクターウイルスの力価を高める目的で、本発明のベクター(例えば、レンチウイルスベクター)を増殖させるために用いられる。パッケージング細胞株の使用はウイルスを増殖させるための安全なやり方とも考えられるが、これは、この系を用いると、組換えが起こって野生型ウイルスが生じる可能性が低くなるためである。加えて、パッケージングタンパク質の発現によって引き起こされる細胞への毒性を低下させるために、ウイルスのパッケージング機能をコードするプラスミドが例えば化学的手段によって一過性にのみトランスフェクトされるパッケージング系を用いることもできる。

0180

もう1つの態様において、特定のレンチウイルス配列を非レンチウイルス配列に置き換えることにより、ベクターをより安全にすることができる。したがって、本開示のレンチウイルスベクターは、その機能(例えば、ウイルス力価感染性、組込み、ならびに高レベルおよび長期間の治療用遺伝子の発現を付与する能力)が実質的に低下しない限り、部分的(例えば、分割)遺伝子レンチウイルス配列、および/または非レンチウイルス配列(例えば、他のレトロウイルス由来の配列)を含んでもよい。ウイルスベクター中にクローニングしうる要素には、プロモーター、パッケージングシグナル、LTR、ポリプリントラクト、および逆応答エレメント(RRE)が非限定的に含まれる。

0181

本開示の1つの態様において、LTR領域は、ウイルスLTRプロモーターを異種プロモーターに置き換えることによって改変される。1つの態様において、5' LTRのプロモーターは異種プロモーターに置き換えられる。用いうる異種プロモーターの例には、脾臓フォーカス形成ウイルス(SFFV)プロモーター、テトラサイクリン誘導性(TET)プロモーター、β-グロビン遺伝子座制御領域およびβ-グロビンプロモーター(LCR)、およびサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターが非限定的に含まれる。

0182

いくつかの態様において、本開示のレンチウイルスベクターには、遺伝子治療における遺伝子送達物質としてのベクターの使用における安全性を改善するために改変されたベクターも含まれる。本発明の1つの態様においては、ベクターのLTR領域、例えば3'LTRなどが、U3および/またはU5領域において改変され、SINベクターが作り出される。そのような改変は、遺伝子送達を目的とするベクターの安全性の増大に寄与する。1つの態様において、本発明のSINベクターは、U3領域の一部分がインスレーターエレメントに置き換えられ、3' LTRにおける欠失を含む。インスレーターは、ベクター内のエンハンサー/プロモーター配列付近のゲノム中の遺伝子の発現に影響を及ぼすのを防止し、かつその反対に、付近のゲノム配列がベクター内の遺伝子の発現に影響を及ぼすのを防止する。本発明の1つのさらなる態様において、3' LTRは、U5領域が例えば理想的なポリ(A)配列に置き換えられるように改変される。LTRの改変、例えば3' LTR、5'LTR、または3' LTRと5'LTRとの両方の改変なども、本発明に含まれることに留意すべきである。

0183

レンチウイルスベクターのプロモーターは、特定遺伝子の5'隣接領域に天然に付随する(すなわち、インビボで細胞に存在する)ものでもよく、または非天然性に付随するものであってよい。プロモーターは、真核生物ゲノム、ウイルスゲノム、または合成配列に由来しうる。プロモーターは、非特異的(すべての組織において活性がある)(例えば、SFFV)、組織特異的(例えば、(LCR)、天然の調節過程によって調節される、外因性に適用された薬物によって調節される(例えば、TET)、または急性期応答中に活性化されるかもしくは複製中の細胞のみにおいて活性化されるプロモーターなどのように特定の生理的状態によって調節される)であるように選択することができる。本発明におけるプロモーターの非限定的な例には、脾臓フォーカス形成ウイルスプロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、β-グロビン遺伝子座制御領域およびβ-グロビンプロモーター(LCR)、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、レトロウイルスLTRプロモーター、サイトメガロウイルス前初期プロモーター、SV40プロモーター、およびジヒドロ葉酸レダクターゼプロモーターが含まれる。また、プロモーターを、異常ヘモグロビン症を非限定的に含む病状と関連することが見いだされていてもよい選ばれた細胞型において特異的に発現されることが示されているものから選択することもできる。本発明の1つの態様において、プロモーターは、遺伝子発現が赤血球に限定されるように細胞特異的である。赤血球特異的発現は、ヒトβ-グロビンプロモーター領域および遺伝子座制御領域(LCR)を用いることによって達成される。

0184

当業者は、関心対象のポリヌクレオチドを発現させるためのプロモーターの選択が、ベクター、核酸カセット、標的とされる細胞型、および所望の生物学的効果に依存すると考えられることを認識しているであろう。当業者はまた、プロモーターの選択において、パラメーターには以下が含まれうることも認識しているであろう:生理的効果を達成するのに十分に高いレベルの遺伝子発現を達成すること;決定的なレベルの遺伝子発現を維持すること;遺伝子発現の時間的調節を達成すること;細胞型特異的発現を達成すること;遺伝子発現の薬理学的、内分泌的、パラクリン性またはオートクリン性調節を達成すること;および、不適切なまたは望ましくないレベルの発現を防止すること。選択要求条件のいかなる所与のセットも諸条件に依存すると考えられるが、特定の要求条件が決定されれば容易に決定することができる。本発明の1つの態様において、プロモーターは、遺伝子発現が赤血球に限定されるように細胞特異的である。赤血球特異的発現は、ヒトβ-グロビンプロモーター領域および遺伝子座制御領域(LCR)を用いることによって達成される。

0185

本発明に用いるのに適した発現ベクターの構築のための標準的な手法は当業者には周知であり、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed. Cold Spring Harbor, N.Y.などの刊行物に記載がある。DNAの断片のライゲーションのためには種々の戦略が利用可能であり、その選択はDNA断片の末端の性質に依存し、選択は当業者によって容易に行われうる。

0186

前述のレンチウイルスベクターなどの本発明の遺伝子治療ベクターは、形質転換された赤血球系細胞において種々の治療用siRNAを発現させるために用いることができる。1つの態様において、ベクター中で発現させようとする関心対象のsiRNAは、異常ヘモグロビン症を治療するために用いうる遺伝子に由来し、例えば、BCL11Aに対するsiRNAなどである。

0187

本発明の具体的な遺伝子治療用構築物には、図2に示されたものが非限定的に含まれる。本明細書に記載の3種のレンチウイルスベクターが、BCL11AmRNA標的指向性配列を含むshRNAのステムとともに図式的に示されており、ループはmiR223特異的である。すべてが蛍光色素マーカー(Venus)を含み、自己不活性化(SIN)delta-U3LEGOバックボーン(Ferhse Lab, Germany)内に構築されている。標的指向性shRNAの機能および毒性を評価するために、標的指向性shRNAが極めて強く遍在性に発現されるSFFVプロモーターを介して発現される、構成的ノックダウンレンチウイルスを用いた。標的指向性shRNAの機能、用量およびスケジュール依存的効果を評価するために、shRNAがPGKテトラサイクリン誘導性プロモーターを介して発現される誘導性ノックダウンレンチウイルスを用いた。shRNAがβ-グロビンLCRプロモーターランドスケープ(HS2/3 DNA高感受性部位、Naldini Lab, Italy)を介して発現される系列特異的レンチウイルスを、インビボ系で検証するための治療選択肢とした。LTR領域はさらに、U3およびU5領域、ならびにR領域も含む。U3およびU5領域を併せてまたは独立に改変することで自己不活性化性であるベクターを作り出すことができ、そうすることで遺伝子送達に用いるためのベクターの安全性を高めることができる。U3およびU5領域は、インスレーターエレメントを含むようにさらに改変することができる。

0188

細胞における感染性ウイルス粒子の産生を容易にする段階は、従来の手法、例えば標準的な細胞培養増殖手法を用いて実施することができる。当業者により所望であれば、本発明のベクターおよび方法を用いて、レンチウイルス保存溶液を調製してもよい。ウイルス保存溶液を調製する方法は当技術分野において公知であり、例えば、Y. Soneoka et al. (1995) Nucl. AcidsRes. 23:628-633およびN. R. Landau et al. (1992) J. Virol. 66:5110-5113に記載さている。本発明において保存溶液を作製する方法では、レンチウイルス許容性細胞(本明細書ではプロデューサー細胞と称する)を、本発明のベクター系によってトランスフェクトさせる。続いて細胞を適した細胞培養条件下で増殖させて、レンチウイルス粒子を上記のように細胞自体または細胞培地のいずれかから収集する。適したプロデューサー細胞株には、ヒト胚性腎臓細胞株293、ウマ真皮細胞株NBL-6およびイヌ胎児胸腺細胞株Cf2THが非限定的に含まれる。

0189

感染性ウイルス粒子を収集する段階も、従来の手法を用いて実施しうる。例えば、当技術分野において公知であるように、感染性粒子細胞溶解または細胞培養物上清の収集によって収集することができる。任意で、収集されたウイルス粒子を所望であれば精製してもよい。適した精製手法は当業者には周知である。

0190

遺伝子治療におけるウイルスベクターの使用に関する他の方法は、例えば、Kay, M. A. (1997) Chest 111(6 Supp.): 1385-1425;Ferry, N. and Heard, J. M. (1998) Hum. Gene Ther. 9: 1975-81;Shiratory, Y. et al. (1999) Liver 19:265-74;Oka, K. et al. (2000) Curr. Opin. Lipidol. 11: 179-86;Thule, P. M. and Liu, J. M. (2000) Gene Ther. 7: 1744-52;Yang, N. S. (1992) Crit. Rev. Biotechnol. 12:335-56;Alt, M. (1995) J. Hepatol. 23:746-58;Brody, S. L. and Crystal, R. G. (1994) Ann. N.Y. Acad. Sci. 716:90-101;Strayer, D. S. (1999) Expert Opin. Investig. Drugs 8:2159-2172;Smith-Arica, J. R. and Bartlett, J. S. (2001) Curr. Cardiol. Rep. 3:43-49;およびLee, H. C. et al. (2000) Nature 408:483-8に記載がある。

0191

上記のようなレンチウイルスベクターを含むレトロウイルスベクター、またはそれを含む細胞は、当技術分野において周知であるように、任意の適した経路によって対象にインビボで投与することができる。「投与」という用語は、製剤化されたベクターの体内への導入の経路のことを指す。例えば、投与は、血管内、動脈内、静脈内、筋肉内、局所的、経口的であるか、または遺伝子銃もしくはハイポスプレー装置によるものであってよい。したがって、投与は標的組織に対して直接的であってもよく、または全身送達を経由してもよい。投与が骨髄内への直接注射であってもよい。標的組織への直接的な投与には、針注射、ハイポスプレーエレクトロポレーション、または遺伝子銃が含まれる。例えば、参照により本明細書に組み入れられるWO 93/18759号を参照のこと。

0192

または、本発明のレトロウイルスベクターを、当技術分野において周知の標準的なトランスフェクション手法を用いて、エクスビボまたはインビトロで細胞または組織に投与することもできる。

0193

1つの態様において、本発明のレトロウイルスベクターを、胚性幹細胞、体性幹細胞または始原細胞を含む宿主細胞に形質導入することができる。本発明のレトロウイルスベクターによって形質導入しうる始原宿主細胞の例には、赤血球の前駆細胞および造血幹細胞が含まれる。もう1つの態様において、宿主細胞は赤血球である。形質導入された宿主細胞を、異常ヘモグロビン症の治療において関心対象の遺伝子の赤血球系特異的発現を達成する方法に用いることができる。

0194

本発明のもう1つの局面は、本発明のレンチウイルスベクターの薬学的組成物に関する。1つの態様において、組成物は、異常ヘモグロビン症を治療するかまたはそれを発症するリスクを減少させる(例えば、異常ヘモグロビン症の症状を改善する)のに十分な治療的有効量にあるレンチウイルスベクターと薬学的に許容される担体とを含む。「治療的有効量」とは、必要な投与量および期間で、所望の治療結果、例えば、異常ヘモグロビン病状の治療または予防を達成するのに有用な量のことを指す。レンチウイルスベクターの治療的有効量は、個体の疾患状態年齢性別および体重、ならびにレンチウイルスベクターがその個体において所望の応答を誘発する能力といった要因に応じて異なりうる。投薬レジメンは、最適な治療反応が得られるように調整することができる。治療的有効量はまた、レンチウイルスベクターのいかなる毒性または有害な作用よりも、治療上有益な効果の方が上回る量でもある。本発明のレンチウイルスベクターについて考えられる毒性を、細胞ベースアッセイまたは当技術分野で認知された動物モデルを用いてアッセイし、顕著な毒性を示さない、治療的に有効なモジュレーターを選択することができる。1つの好ましい態様において、レンチウイルスベクターの治療的有効量は、異常ヘモグロビン症を治療するのに十分である。

0195

滅菌注射用溶液は、必要量のレンチウイルスベクターを、必要に応じて上に列挙されている種々の他の成分とともに適切な溶媒中に組み入れ、その後に濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散物は、種々の滅菌された活性成分を、基本的な分散媒および上に列挙されているものからの必要な他の成分を含有する滅菌媒体中に組み入れることによって調製される。滅菌注射用溶液を調製するための滅菌粉末の場合には、好ましい調製方法は、活性成分および任意の追加的な所望の成分の粉末が、予め滅菌濾過したそれらの溶液から得られる、真空乾燥および凍結乾燥技法である。

0196

投与量の値は、軽減しようとする病状の重症度に応じて異なりうることに留意されたい。任意の特定の対象に関して、特定の投薬レジメンを、その個体の必要性および、この組成物を投与する者または組成物の投与を監督する者の専門家としての判断にしたがって、時間経過とともに調整することができること、および、本明細書に記載される投与量範囲は例示というだけであり、特許請求される組成物の範囲または実施の制限を意図したものでないことが、さらに理解されるべきである。1つの態様において、投与量は103〜108個のウイルス粒子/50kg体重の範囲である。他の態様において、投与量は103〜105個のウイルス粒子/50kg体重、104〜106個のウイルス粒子/50kg体重、105〜107個のウイルス粒子/50kg体重、103〜108個のウイルス粒子/50kg体重の範囲である。1つの態様において、投与量は約104個のウイルス粒子/50kg体重である。

0197

組成物中のウイルスベクターの量は、個体の疾患状態、年齢、性別および体重といった要因に応じて異なりうる。投薬レジメンは、最適な治療反応が得られるように調整することができる。例えば、例えば、単回ボーラスを投与してもよいし、いくつかの分割用量を時間をかけて投与してもよいし、または治療状況の要件によって示される通りに用量を比例的に増減してもよい。投与の簡便性および投与量の均一性のために、非経口組成物を単位剤形で製剤化することが特に有利である。本明細書で用いられる単位剤形とは、治療される哺乳動物対象に対する単位投与量として適した物理的に分離した単位を指し、各単位は、必要な薬学的担体とともに、所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性化合物を含む。本発明の単位剤形の仕様は、(a)活性化合物の独自の特徴、および達成しようとする特定の治療効果、ならびに(b)個体における過敏症の治療のためにこのような活性化合物を配合する分野に固有の制約によって規定され、これらに直接依存する。しかし、いかなる所与の場合についても、適切な「有効量」は、慣行的な実験のみを用いて当業者によって決定されうる。

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