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課題
解決手段
概要
背景
従来、移動通信システムの基地局で複数のセクタセルを形成する場合、セクタセルの境界エリアでは隣接セクタセルからの干渉信号により通信品質(例えばSINR)が劣化する。そのため、複数のセクタセルで仮想的な同一セルを構成する仮想セル構成により、セクタセルの境界エリアでの干渉を改善する技術が知られている。
仮想セル構成では、いくつかの送信信号(例えば共通の制御信号)についてセクタセル間で同一信号を送信するため、セクタセル間のアンテナの距離が短い(アンテナ間相関が高い)場合、特定のビームパターン(合成アンテナ利得パターン)が発生し、特定の角度において弱電界エリアが発生してしまう。この弱電界エリアの発生を抑制するために、各セクタセルの送信アンテナから送信される信号に付加する周波数オフセットをランダマイズする周波数オフセット送信ダイバーシチが知られている(非特許文献1参照)。
概要
周波数オフセットをデジタル的にランダム発生させて付加するデジタル処理部を必要としない簡易な構成で、複数のセクタセルからなる仮想セル構成におけるビームパターンに起因した弱電界エリアの発生を抑制できる。複数のセクタセルからなる仮想セルを構成し前記複数のセクタセルそれぞれの下りリンクで送信される信号の全てまたは一部がセクタセル間で同一となる仮想セル構成方式を用いる無線装置であって、送信対象の中間周波数信号と基準信号とに基づいて高周波の送信信号を生成する送信信号生成部と、所定の目標周波数で基準信号を発生して送信信号生成部に供給する基準信号発生部とを、セクタセル毎に個別に備える。
目的
効果
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請求項1
複数のセクタセルからなる仮想セルを構成し前記複数のセクタセルそれぞれの下りリンクで送信される信号の全てまたは一部がセクタセル間で同一となる仮想セル構成方式を用いる無線装置であって、前記複数のセクタセルのそれぞれに対応するように、送信対象の中間周波数信号と局部発振信号とを混合して高周波の送信信号を生成する送信信号生成部と、所定の目標周波数で前記局部発振信号を発生して前記送信信号生成部に供給する局部発振部とを個別に備えることを特徴とする無線装置。
請求項2
請求項1の無線装置において、前記複数の局部発振部で発生する前記局部発振信号の周波数同期処理に用いる基準信号を発生する基準信号発生部と、前記複数の局部発振部に対して前記基準信号発生部の基準信号を互いに時間をずらして供給する基準信号供給部と、を備えることを特徴とする無線装置。
請求項3
請求項1の無線装置において、前記複数の局部発振部それぞれにおける前記局部発振信号の目標周波数は互いに異なる周波数に設定され、前記複数の局部発振部で発生する前記局部発振信号の周波数同期処理に用いる基準信号を発生する基準信号発生部と、前記複数の局部発振部に対して前記基準信号発生部の基準信号を同時に供給する基準信号供給部と、を備えることを特徴とする無線装置。
請求項4
請求項5
請求項6
技術分野
背景技術
0002
従来、移動通信システムの基地局で複数のセクタセルを形成する場合、セクタセルの境界エリアでは隣接セクタセルからの干渉信号により通信品質(例えばSINR)が劣化する。そのため、複数のセクタセルで仮想的な同一セルを構成する仮想セル構成により、セクタセルの境界エリアでの干渉を改善する技術が知られている。
0003
仮想セル構成では、いくつかの送信信号(例えば共通の制御信号)についてセクタセル間で同一信号を送信するため、セクタセル間のアンテナの距離が短い(アンテナ間相関が高い)場合、特定のビームパターン(合成アンテナ利得パターン)が発生し、特定の角度において弱電界エリアが発生してしまう。この弱電界エリアの発生を抑制するために、各セクタセルの送信アンテナから送信される信号に付加する周波数オフセットをランダマイズする周波数オフセット送信ダイバーシチが知られている(非特許文献1参照)。
先行技術
0004
鈴木和雅,石岡和明,平明徳,久保博嗣, “小電力センサネットワークにおける周波数オフセット送信ダイバーシチ方式に関する検討,”電子情報通信学会論文誌(B),J95−B/11,1599−1602,Nov.2012.
発明が解決しようとする課題
0005
しかしながら、上記従来の周波数オフセット送信ダイバーシチでは、セクタセルの送信アンテナごとに付加する周波数オフセットをデジタル的にランダム発生させて信号に付加するための追加デジタル回路構成(非特許文献1の図2における「Random Number Generator」及び「Adding Frequency Offset」参照)が必要になるという課題がある。
課題を解決するための手段
0006
本発明の一態様に係る無線装置は、複数のセクタセルからなる仮想セルを構成し前記複数のセクタセルそれぞれの下りリンクで送信される信号の全てまたは一部がセクタセル間で同一となる仮想セル構成方式を用いる無線装置であって、前記複数のセクタセルのそれぞれに対応するように、送信対象の中間周波数信号と局部発振信号とを混合して高周波の送信信号を生成する送信信号生成部と、所定の目標周波数で前記局部発振信号を発生して前記送信信号生成部に供給する局部発振部とを個別に備える。
前記無線装置において、前記複数の局部発振部で発生する前記局部発振信号の周波数同期処理に用いる基準信号を発生する基準信号発生部と、前記複数の局部発振部に対して前記基準信号発生部の基準信号を互いに時間をずらして供給する基準信号供給部と、を備えてもよい。
また、前記無線装置において、前記複数の局部発振部それぞれにおける前記局部発振信号の目標周波数は互いに異なる周波数に設定され、前記複数の局部発振部で発生する前記局部発振信号の周波数同期処理に用いる基準信号を発生する基準信号発生部と、前記複数の局部発振部に対して前記基準信号発生部の基準信号を同時に供給する基準信号供給部と、を備えてもよい。
0007
また、前記無線装置において、前記送信信号は、前記複数のセルに在圏する複数の端末装置が前記無線装置に接続するために各端末装置にOFDM伝送により送信される共通信号であってもよい。ここで、前記OFDM伝送により送信される送信信号は、PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)の下りリンク制御情報のフォーマット指示情報、PHICH(PhysicalHARQIndicator Channel)の下りリンクデータ送達確認情報信号、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)の下りリンク制御情報信号、セル参照信号、同期信号、システム情報信号の少なくとも一つを含んでもよい。
0008
また、前記無線装置は、移動通信の基地局、前記基地局で送受信される信号を中継する無線中継局又はデジタル放送装置であってもよい。また、前記無線装置は、地上又は海上に固定配置され、又は、地上又は海上を移動する移動体に組み込まれているものであってもよい。前記無線中継局はリピーターであってもよい。
0009
また、前記無線装置は、気球、ドローン、ソーラープレーンタイプ又は飛行船タイプ等のHAPS(高高度プラットフォーム局)、人工衛星などの上空に位置する浮揚体又は飛行体に組み込まれているものであってもよい。ここで、前記無線装置は、地上又は海面との間の所定のセル形成目標空域に3次元セルを形成し、前記セル形成目標空域の高度は10[km]以下であってもよい。前記浮揚体又は飛行体は、自律制御又は外部からの制御により所定高度の空域に位置するように制御されるものであってもよい。前記浮揚体又は飛行体は、気球、ドローン、ソーラープレーンタイプ又は飛行船タイプ等のHAPS(高高度プラットフォーム局)、人工衛星などであってもよい。また、前記浮揚体又は飛行体は、100[km]以下の高度に位置するものであってもよい。
0010
また、本発明の他の態様に係る通信システムは、前記いずれかの無線装置を複数備える。
発明の効果
0011
本発明によれば、複数のセクタセルのそれぞれに対応するように個別に設けられた複数の基準信号発生部で発生したランダムな周波数誤差を有する基準信号と、送信対象の中間周波数信号とに基づいて、送信信号生成部により高周波の送信信号を生成するため、複数のセクタセルそれぞれの下りリンクで送信される複数の送信信号がランダムな周波数差を有する。よって、複数のセクタセルからなる仮想セル構成におけるビームパターンに起因した弱電界エリアの発生を抑制できる。しかも、セクタセルの数に応じて、ランダムな周波数差を有する送信信号を生成するためにアナログ処理可能な基準信号発生部を追加していけばよく、周波数オフセットをデジタル的にランダム発生させて付加するデジタル処理部を必要としないため、簡易な構成にすることができる。
図面の簡単な説明
0012
本発明の実施形態に係る基地局を中心として形成される広域セルを構成するセクタセルの一例を示す説明図。
(a)は、基地局の第一アンテナ及び第二アンテナそれぞれから互いに異なる信号を互いに隣り合うセクタに送信する場合のビームの指向特性の一例を示す説明図。(b)は、基地局の第一アンテナ及び第二アンテナそれぞれから同一周波数の同一信号を互いに隣り合うセクタに送信する場合のビームの指向特性及び受信特性(合成アンテナ利得パターン)の一例を示す説明図である。(c)は、基地局の第一アンテナ及び第二アンテナそれぞれから異なる周波数で同一信号を互いに隣り合うセクタに送信する場合のビームの指向特性及び受信特性(合成アンテナ利得パターン)の一例を示す説明図である。
図1の2つのセクタそれぞれを形成するビームの指向特性、各セクタに向けて同一信号を同一周波数で送信したときの受信特性、及び各セクタに向けて同一信号を互いに異なる周波数で送信したときの受信特性の一例を示すグラフ。
本実施形態の基地局において周波数差が付与される信号・チャネルを含むリソースブロックの一構成例を示す説明図。
本実施形態の6セクタ方式の基地局におけるセクタ間に付与する周波数差(周波数オフセット)の一例を示す説明図。
本実施形態の上空に配置された複数の基地局それぞれから3次元的な広域セルを形成している様子の一例を示す説明図。
本実施形態に係る2セクタ構成の基地局の主要部の一構成例を示すブロック図。
参考構成例に係る2セクタ構成の基地局の主要部の構成例を示すブロック図。
本実施形態に係る2セクタ構成の基地局の主要部の他の構成例を示すブロック図。
本実施形態に係る2セクタ構成の基地局の主要部の更に他の構成例を示すブロック図。
実施例
0013
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る基地局10を中心として形成される仮想セル(以下「広域セル」という。)100の一例を示す説明図である。本実施形態の無線装置としての基地局10は、複数のセクタセル101,102,103からなる広域セル100を形成し、各セクタセル101,102,103の下りリンクで直交周波数分割多重(OFDM)伝送により送信される信号の全てまたは一部がセクタセル間で同一となる仮想セル構成方式を用いる。図1において、基地局10は、互いに異なる3方向に指向性を有する3つのビームで形成される3つのセクタセル(以下、実施形態において「セクタ」という。)101,102,103それぞれに位置する端末装置70に信号を送信する。セクタ101,102,103はそれぞれ、基地局10で個別に送信制御可能な通信サービス提供エリアである。
0014
なお、以下の実施形態では、直交周波数分割多重(OFDM)方式の信号を送信する移動体通信の基地局10の場合について説明するが、本発明は、複数のセクタからなる広域セルを形成するものであれば、OFDM以外の方式の信号を送信する基地局や、基地局以外の無線装置(例えば、リピーターなどの無線中継装置、衛星デジタル放送装置、地上デジタル放送装置など)にも適用できる。また、広域セルやそれを形成するセクタは地上又は海上などに2次元状に形成してもよいし、地上や海上の上空の空間に3次元状に形成してもよい。また、広域セルを構成するセクタの数は2であってもよいし、4以上であってもよい。
0015
また、端末装置70は、移動通信の携帯電話機やスマートフォンなどのユーザ装置としての移動局であってもよいし、自動車やドローンなどの移動体に組み込まれたモジュール状の移動局であってもよい。端末装置70は、IoT(Internet of Things)向けデバイスの端末装置であってもよい。
0016
図1は、基地局10を中心として形成される広域セル100を上方から見た図である。基地局10は、互いに120°ずつ離れた方向B1,B2,B3に指向性の中心を有する3つのビームで3つのセクタ101,102,103を形成する。各ビームの指向性中心方向B1,B2,B3の角度φdir[°]は図中の上方向を基準にした角度であり、右回転方向が+(プラス)の角度、左回転方向が−(マイナス)の角度である。
0017
図2は、図1の2つのセクタ101,102それぞれを形成する第一アンテナ194(1)及び第二アンテナ194(2)それぞれのビームの指向特性211〜214及び受信特性(合成アンテナ利得パターン)210,220を模式的に示した説明図である。
0018
図2(a)のビームの指向特性211、212に示すように基地局10の第一アンテナ194(1)及び第二アンテナ194(2)それぞれから互いに異なる信号をセクタ101,102に送信する場合は、各セクタ101,102に送信される信号が互いに異なるため、特定の角度に弱電界エリアができる合成アンテナ利得パターンは発生しない。
0019
前述の図1に示すように、互いに隣り合うセクタの境界のエリアであるセクタ境界エリア(セル境界エリア)A12,A23,A31では、各セクタのアンテナ指向性の中心方向と比較してアンテナ利得が低く、端末装置の受信レベルが低下するため、広域セル100のカバレッジ圏外となりやすい。そこで、各セクタ101,102,103に在圏するすべての端末装置70への共通信号について基地局10から同一信号を送信することで仮想的に広域セル100を構築する仮想セル構成が有効である。
0020
しかしながら、仮想セル構成時において基地局10から同一周波数ftの同一信号(例えば共通の制御信号)を各セクタ101,102に送信する場合、特定の角度に弱電界エリアを有する合成アンテナ利得パターンが発生するおそれがある。
0021
例えば、図2(b)の仮想セル構成のビームの指向特性211、213に示すように、基地局10の第一アンテナ194(1)及び第二アンテナ194(2)それぞれから同一周波数ftの同一信号(例えば共通の制御信号)をセクタ101,102に送信する場合、セクタ101,102のセクタ境界において同一周波数の同一信号が合成されることにより、特定の角度に弱電界エリア210aを有する合成アンテナ利得パターン210が発生するおそれがある。
0022
特に、本実施形態のHAPS60や衛星通信に利用可能な人工衛星等、上空から地上に向けてサービスエリアを構築する通信システムでは、上空のHAPS60や人工衛星等の無線中継装置に設置するアンテナは設置面積に制限があるため、アンテナ間距離が小さくなる。したがって、セクタがオーバーラップする境界エリア部分で上記特定の角度に弱電界エリアを有する合成アンテナ利得パターンが発生しやすい。また、地上セルラシステムにおいても、各セクタを形成するアンテナ間の距離が小さく、各セクタのカバーエリアが重なる(オーバーラップする)境界エリア部分では、上記特定の角度に弱電界エリアを有する合成アンテナ利得パターンが発生しやすい。
0023
そこで、本実施形態では、図2(c)の仮想セル構成のビームの指向特性211、214に示すように、基地局10の第一アンテナ194(1)及び第二アンテナ194(2)それぞれから互いに異なる周波数ft(1),ft(2)で同一信号(例えば共通の制御信号)をセクタ101,102に送信している。このように互いに異なる周波数ft(1),ft(2)で同一信号をセクタ101,102に送信することにより、セクタ101,102のセクタ境界における合成アンテナ利得パターン220には弱電界エリアが発生しにくくなり、仮想セル構成における特定のビームパターンに起因した弱電界エリアの発生を抑制できる。
0024
図3は、図1の2つのセクタ101,102それぞれを形成するビームの指向特性201,202、各セクタ101,102に向けて同一信号を同一周波数で送信したときの受信特性210、及び各セクタ101,102に向けて同一信号を互いに異なる周波数で送信したときの受信特性220それぞれの一例を示すグラフである。この図3のグラフは、コンピュータシミュレーションの結果である。表1に、図3におけるシミュレーション諸元を示す。
0025
0026
前述のように、各セクタ101,102,103に在圏するすべての端末装置70への共通信号について基地局10から同一信号を送信することで仮想的に広域セル100を構築するセル仮想化が有効である。しかしながら、すべてのセクタ101,102,103に向けて同一周波数で同一信号を送信した場合、各セクタのアンテナの配置に応じて位相合成による特定の合成アンテナパターンが出現し、平均的な合成アンテナ利得は向上するものの、特定のエリアにおいて位相が逆相で合成され受信レベルが逆に低下するケースが生じるおそれがある。例えば、図3の受信特性210に示すように、角度φdir=0°近傍のセクタ境界エリアA12(図1参照)において、周期的に受信レベルが大きく低下する特定の合成アンテナパターンが生じるおそれがある。
0027
上記特定の合成アンテナパターンの発生を抑制するために、本実施形態では、互いに隣接するセルの下りリンク信号間に周波数差(周波数オフセット)を付与している。このように周波数差を付与することにより、例えば図3の受信特性220に示すように角度φdir=0°近傍のセクタ境界エリアA12(図1参照)において、周期的に受信レベルが大きく低下する特定の合成アンテナパターンの発生を抑制することができる。
0028
図4は、本実施形態の基地局10において周波数差が付与される信号・チャネルを含むリソースブロック400の一構成例を示す説明図である。図4の例では、波線401で囲んだ7種類の信号及びチャネル(CRS:セル参照信号、PDCCH:物理下りリンク制御チャネル、PHICH:物理ハイブリッドAQR指示チャネル、PCFICH:物理制御フォーマット指示チャネル、SSS:セカンダリー同期信号,PSS:プリマリー同期信号、PBC:物理ブロードキャストチャネル)について、前記OFDMチャネルの同一信号に対する周波数差の付与の有無を判断して制御してもよい。また、周波数差を付与する同一信号は、PCFICHの下りリンク制御情報のフォーマット指示情報、PHICHの下りリンクデータ送達確認情報信号、PDCCHの下りリンク制御情報信号、セル参照信号(CRS)、同期信号(PSS,SSS)、システム情報信号(MIB,SIB)の少なくとも一つであってもよい。また、周波数差を付与する同一信号は、PDSCH(物理下りシェアドチャネル)の信号であってもよい。
0029
図5は、本実施形態の6セクタ方式の基地局10におけるセクタ間に付与する周波数差(周波数オフセット)の一例を示す説明図である。図5の例では、基地局10は、互いに異なる6方向に指向性を有する6つのビームで形成される6つのセクタ101〜106それぞれに位置する端末装置70に信号を送信する。ここで、セクタ間の周波数差が大きすぎると通信品質に影響を及ぼすため、各セクタに対して適切な周波数の割り当てが必要である。図5の6セクタ方式の基地局10では、セクタ間の隣接関係を考慮し、セクタ間の周波数差があまり大きくなりすぎないように、周方向で互いに隣接する隣接セクタ間に所定の最大周波数以下の範囲内の周波数差Df(=100[Hz])を付与している。この周波数差Df(=100[Hz])を付与セル間に付与するように、各セクタに周波数オフセットΔf(0[Hz]又は100[Hz])を設定している。キャリアの基準周波数(例えば2[GHz])に周波数オフセットΔf(0[Hz]又は100[Hz])を加算した周波数が、各セクタにおける送信信号の周波数になる。
0030
図6は、本実施形態の上空に配置された複数の基地局それぞれから3次元的な広域セル500〜560を形成している様子の一例を示す説明図である。図6では、広域セル500〜520を形成する上空の基地局50〜52のみ図示しているが、他の広域セル530〜560について上空の基地局で形成されている。また、図6では、広域セル500〜560の地上又は海上におけるセルのフットプリント状のエリアのみ図示しているが、そのフットプリント状のエリアと基地局との間には円錐状又は角錐状などの立体的な形状を有する3次元的な広域セルが形成されている。
0031
図6において、第1の基地局50は空中浮揚型の通信中継装置としてのソーラープレーンタイプの高高度プラットフォーム局(HAPS)60に設けられている。第2の基地局51は無人飛行船タイプのHAPS61に設けられている。第3の基地局52は、係留気球(係留型のHAPS)62に設けられている。各基地局50〜52は、所定高度の空域に位置して、所定高度のセル形成目標空域に3次元的なセル(3次元エリア)を形成する。基地局50、51が設けられたHAPS60,61は、例えば、自律制御又は外部から制御により地面又は海面から100[km]以下の高高度の空域(浮揚空域)に浮遊あるいは飛行して位置するように制御される浮揚体(例えば、ソーラープレーン、飛行船)に搭載されている。HAPS60,61の位置する空域は、例えば、高度が11[km]以上及び50[km]以下の成層圏の空域である。この空域は、気象条件が比較的安定している高度15[km]以上25[km]以下の空域であってもよく、特に高度がほぼ20[km]の空域であってもよい。
0032
例えば、図6の3次元的な広域セル500〜560において、その広域セル500〜560の複数のセクタのうち、隣接セクタ間では所定の最大周波数差以下の範囲内の周波数差を付与する。更に、隣接する広域セル間においても、所定の最大周波数差以下の範囲内の周波数差を付与してもよい。非隣接セクタ間では、前記最大周波数差以下の範囲内の周波数差を付与するか、又は周波数差を付与しなくてもよい。
0033
図7は、本実施形態に係る2セクタ構成の基地局10の主要部の一構成例を示すブロック図である。他の基地局50〜52についても同様に構成することができる。図7において、基地局10は、送信機190を有するとともに、セクタの数に対応させて複数のアンテナ194(1)、194(2)と複数の送信信号生成部としての混合器191(1)、191(2)と複数の局部発振部としての局部発振器192(1)、192(2)と複数の高周波増幅器193(1)、193(2)とを備える。
0034
アンテナ194(1)、194(2)は、セクタごとに生成された所定周波数の送信信号の電波を各セクタに向けてビーム状に放射する。アンテナ194(1)、194(2)は、各セクタに共通のアンテナで構成してもよいし、セクタごとに独立した複数のアンテナで構成してもよい。また、図示の例は、各セクタのアンテナの本数が1本の場合の例であるが、各セクタのアンテナの本数は複数であってもよい。すなわち、一つのセクタに対して複数本のアンテナを設けてもよい。
0035
送信機190は、複数のセクタそれぞれに対する送信対象の各種信号を生成する。送信機190は、例えばベースバンドユニットなどを有する。ベースバンドユニットは、所定の無線伝送方式(例えば3GPPのLTE、LTE−Advanced、5Gなどで規定されている無線伝送方式)に基づいて送信データを変調することにより、セクタごとに送信対象の同一信号の中間周波数信号を生成する。
0036
局部発振器192(1)、192(2)は、セクタ毎に個別に設けられている。局部発振器192(1)、192(2)はそれぞれ、中間周波数fi(1),fi(2)の信号と混合する局部発振信号を生成する。局部発振器192(1)、192(2)は同じ目標発信周波数が設定されているが、局部発振器192(1)、192(2)から出力される局部発振信号の周波数fLO(1),fLO(2)は、局部発振器間で互いに異なる周波数誤差や周波数ドリフトなどにより、ランダムに発生する周波数差(例えば100[Hz]程度)だけ互いにずれている。
0037
混合器191(1)、191(2)はそれぞれ、送信機190から出力された各セクタの送信対象の周波数fi(1),fi(2)の中間周波数信号と、局部発振器192(1)、192(2)から出力された所定の周波数差(例えば100[Hz]程度)だけ互いにずれた周波数fLO(1),fLO(2)の局部発振信号とを混合して、所定の周波数差だけ互いにずれた高周波の周波数ft(1),ft(2)の送信信号を生成する。
0039
図7の構成例によれば、仮想セル構成の互いに隣接する複数のセクタに対して、所定の周波数差だけ互いにずれた高周波の周波数ft(1),ft(2)の送信信号を送信することができるので、隣接セクタ間の境界エリアにおいてビームパターンに起因した弱電界エリアの発生を抑制できる。また、セクタの数に対応させて局部発振器を増やせばよく、従来のような周波数オフセットをデジタル的にランダム発生させて付加するデジタル処理部が不要であり、簡易な構成にすることができる。
0040
一方、図8の参考構成例では、混合器191(1)、191(2)に用いる局部発振信号が、各セクタに共通の単一の局部発振部としての局部発振器192で生成した単一周波数fLOの信号であるため、仮想セル構成の互いに隣接する複数のセクタに対して、同一の高周波の周波数(ft(1)=ft(2))の送信信号が送信される。従って、隣接セクタ間の境界エリアにおいてビームパターンに起因した弱電界エリアが発生しやすい。
0041
なお、図7の構成例において、隣接セクタ間の送信信号の周波数差が大きくなりすぎると、隣接セクタ間の境界エリアに位置する端末装置70は通信品質劣化となるおそれがある。そこで、隣接セクタ間の送信信号の周波数差が大きくなりすぎないように、局部発振器192(1)、192(2)の周波数ドリフトを定期的に抑えるように構成してもよい。これにより、隣接セクタ間の送信信号の周波数差の増大による境界エリアに位置する端末装置70における通信品質劣化を抑制することができる。
0042
図9は、本実施形態に係る2セクタ構成の基地局10の主要部の他の構成例を示すブロック図である。なお、図9において、前述の図7と共通の部分については同じ符号を付し、説明を省略する。
図9の基地局10は、基準信号発生部としての基準発振器195と、基準信号供給部196とを更に備える。基準発振器195は、局部発振器192(1)、192(2)の周波数ドリフトを定期的に抑えるための所定の基準周波数f0の基準信号を発生する。基準信号は、例えば、10MHz基準信号でもよいし、GPS信号から取得した1pps信号でもよい。基準信号供給部196は、局部発振器192(1)、192(2)に対して、基準発振器195の基準周波数f0の基準信号を互いに時間をずらして供給する。局部発振器192(1)、192(2)はそれぞれ、基準発振器195からの基準周波数f0の基準信号に基づいて、局部発振信号の周波数fLO(1),fLO(2)をドリフト前の目標周波数に戻すように同期処理を定期的に行う。
0043
図9の構成例によれば、上記局部発振器192(1)、192(2)の定期的な同期処理により、隣接セクタ間の送信信号の周波数差が大きくなりすぎないようになるので、隣接セクタ間の送信信号の周波数差の増大による境界エリアに位置する端末装置70における通信品質劣化を抑制することができる。しかも、基準信号供給部196から局部発振器192(1)、192(2)への基準信号の供給を互いに時間をずらして行っているので、局部発振器192(1)、192(2)の同期処理時の周波数誤差等により、同期処理後の局部発振器192(1)、192(2)から出力される局部発振信号の周波数fLO(1),fLO(2)にランダムな周波数差が付与できる。従って、仮想セル構成の互いに隣接する複数のセクタに対して、所定の周波数差だけ互いにずれた高周波の周波数ft(1),ft(2)の送信信号を送信することができるので、隣接セクタ間の境界エリアにおいてビームパターンに起因した弱電界エリアの発生を抑制できる。
0044
図10は、本実施形態に係る2セクタ構成の基地局10の主要部の更に他の構成例を示すブロック図である。なお、図10において、前述の図7と共通の部分については同じ符号を付し、説明を省略する。
図10の基地局10は、基準信号発生部としての基準発振器195を更に備える。基準発振器195は、局部発振器192(1)、192(2)の周波数ドリフトを定期的に抑えるための所定の基準周波数f0の基準信号を発生する。局部発振器192(1)、192(2)はそれぞれ、基準発振器195からの基準周波数f0の基準信号に基づいて、局部発振信号の周波数fLO(1),fLO(2)を、ドリフト前の所定の周波数差を有する互いに異なる目標周波数に戻すように、同期処理を定期的に行う。
0045
図10の構成例によれば、上記局部発振器192(1)、192(2)の定期的な同期処理により、隣接セクタ間の送信信号の周波数差が大きくなりすぎないようになるので、隣接セクタ間の送信信号の周波数差の増大による境界エリアに位置する端末装置70における通信品質劣化を抑制することができる。しかも、局部発振器192(1)、192(2)の同期処理が所定の周波数差が付与された互いに異なる目標周波数に戻すように行われている。従って、仮想セル構成の互いに隣接する複数のセクタに対して、所定の周波数差だけ互いにずれた高周波の周波数ft(1),ft(2)の送信信号を送信することができるので、隣接セクタ間の境界エリアにおいてビームパターンに起因した弱電界エリアの発生を抑制できる。
0046
なお、図7〜図10はセクタの数が2の場合について例示しているが、セクタの数が3以上の場合も同様に構成することができる。例えば、セクタの数が3の場合についても、セクタごとに局部発振器を個別に設ける。このセクタごとに個別に設けた3つの局部発振器に対して、基準発振器の基準周波数f0の基準信号を互いに時間をずらして供給し、各局部発振器が、基準発振器からの基準周波数f0の基準信号に基づいて、局部発振信号の周波数をドリフト前の目標周波数に戻すように同期処理を定期的に行うようにしてもよい。また、セクタごとに個別に設けた3つの局部発振器の周波数ドリフトを定期的に抑えるための所定の基準周波数f0の基準信号を発生する基準発振器を設け、各局部発振器が、基準発振器からの基準周波数f0の基準信号に基づいて、局部発振信号の周波数を、ドリフト前の所定の周波数差を有する互いに異なる目標周波数に戻すように、同期処理を定期的に行ってもよい。
0047
なお、本明細書で説明された処理工程並びに通信システム、無線装置、基地局、無線中継局(リピーター、リピーター子機、リピーター親機)及び端末装置(ユーザ装置移動局、移動機)の構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。例えば、本実施形態の基地局等の無線装置における制御・処理は、後述のハードウェアに所定のプログラムが読み込まれて実行されたり、後述のハードウェアに予め組み込まれた所定のプログラムが実行されたりすることにより、実現される。
0048
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、Node B、端末、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
0049
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、FLASHメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
0050
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
0051
10基地局
11,12,13,14,15,16 基地局
50,51,52 基地局
60ソーラープレーンタイプのHAPS
61無人飛行船タイプのHAPS
62係留気球
70端末装置
71リピーター親機
72 リピーター子機
90固定基地局
100広域セル
101,102,103セクタ(セクタセル)
190送信機
191(1),191(2)混合器
192(1)、192(2)局部発振器
193(1)、193(2)高周波増幅器
194(1)、194(2)アンテナ
195基準発振器
196基準信号供給部
400リソースブロック
500,510,520,530,540,550,560 広域セル
A12,A23,A31セクタ境界エリア
B1,B2,B3ビームの指向性中心方向