図面 (/)

技術 金属部材の化成処理方法および金属部材

出願人 ミリオン化学株式会社
発明者 松村健樹
出願日 2018年1月25日 (2年11ヶ月経過) 出願番号 2018-010545
公開日 2019年8月1日 (1年4ヶ月経過) 公開番号 2019-127626
状態 未査定
技術分野 金属の化成処理
主要キーワード グランダー 補完効果 硫酸セリウム水溶液 規制対象外 鉄鋼部材 指定物 リン酸鉄皮膜 マス数
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年8月1日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題

水質汚濁防止法に抵触することなく、リン酸亜鉛皮膜並の塗膜密着性が得られ、しかも鮮映性のある製品も形成可能な化成処理方法と、当該処理方法によって得られる金属部材とを提供する。

解決手段

金属部材に、リン酸塩および酸化剤を含有するリン酸処理水溶液を接触させてリン酸鉄皮膜化成処理を行うリン酸処理工程と、その後、セリウム化合物と酸化剤とを溶解させたセリウム処理水溶液に接触させるセリウム処理工程とを具備する化成処理方法。前記リン酸処理工程で、Pの皮膜元素量を25〜60mg/m2となるまで化成処理した後、セリウム処理工程で、3価のセリウム化合物と酸化剤とを溶解させたセリウム処理水溶液を使用してCeの皮膜元素量を3〜25mg/m2とし、なおかつ、Ce/Pを0.07〜0.65とする化成処理方法。およびこれよって得られる金属部材。

概要

背景

従来より、リン酸塩皮膜を形成した後に、セリウム化合物を微量含有する水溶液に浸漬することで、皮膜酸化、変色を防止して塗膜密着性を向上させる処理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。

概要

水質汚濁防止法に抵触することなく、リン酸亜鉛皮膜並の塗膜密着性が得られ、しかも鮮映性のある製品も形成可能な化成処理方法と、当該処理方法によって得られる金属部材とを提供する。金属部材に、リン酸塩および酸化剤を含有するリン酸処理水溶液を接触させてリン酸鉄皮膜化成処理を行うリン酸処理工程と、その後、セリウム化合物と酸化剤とを溶解させたセリウム処理水溶液に接触させるセリウム処理工程とを具備する化成処理方法。前記リン酸処理工程で、Pの皮膜元素量を25〜60mg/m2となるまで化成処理した後、セリウム処理工程で、3価のセリウム化合物と酸化剤とを溶解させたセリウム処理水溶液を使用してCeの皮膜元素量を3〜25mg/m2とし、なおかつ、Ce/Pを0.07〜0.65とする化成処理方法。およびこれよって得られる金属部材。 なし

目的

本発明は、係る実情に鑑みてなされたものであって、水質汚濁防止法に抵触することなく、リン酸亜鉛皮膜並の塗膜密着性が得られ、しかも鮮映性のある製品も形成可能な金属部材の化成処理方法と、当該化成処理方法によって得られる金属部材とを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

金属部材に、リン酸塩および酸化剤を含有するリン酸鉄処理水溶液を接触させてリン酸鉄皮膜化成処理を行うリン酸鉄処理工程と、その後、セリウム化合物と酸化剤とを溶解させたセリウム処理水溶液に接触させるセリウム処理工程とを具備することを特徴とする金属部材の化成処理方法

請求項2

前記リン酸鉄処理工程で、Pの皮膜元素量を25〜60mg/m2となるまで化成処理した後、セリウム処理工程で、3価のセリウム化合物と酸化剤とを溶解させたセリウム処理水溶液を使用してCeの皮膜元素量を3〜25mg/m2とし、なおかつ、Ce/Pを0.07〜0.65とする請求項1に記載の金属部材の化成処理方法。

請求項3

前記リン酸鉄処理工程において、Pとして1600〜16000ppmの濃度のリン酸塩と、酸化剤として50〜2000ppmの濃度のリン酸鉄処理水溶液を、金属部材に、pH4.0〜5.5、35〜55℃の温度で40〜180秒間接触させ、前記セリウム処理工程において、Ceとして80〜2000ppmの濃度の3価のセリウム化合物と、酸化剤として50〜300ppmの濃度のセリウム処理水溶液を、前記リン酸鉄処理工程後の金属部材に、pH3.0〜5.0、30〜55℃の温度で15〜180秒間接触させる請求項1または2記載の金属部材の化成処理方法。

請求項4

請求項1ないし3の何れか一に記載の方法によって得られる金属部材。

請求項5

蛍光X線分析装置により測定される、Ceの皮膜元素量が3〜25mg/m2とされ、Pの皮膜元素量が25〜60mg/m2とされ、なおかつ、Ce/Pが0.07〜0.65とされた請求項4に記載の金属部材。

請求項6

JISSPCC−SBにより規定される表面荒さが30nm以下のブライト鋼板に化成処理した後に測定される表面荒さが50nm以下となされた請求項4または5に記載の金属部材。

技術分野

0001

本発明は、有害物指定物質を含まない金属部材化成処理方法と、それによって得られる金属部材とに関するものである。

背景技術

0002

従来より、リン酸塩皮膜を形成した後に、セリウム化合物を微量含有する水溶液に浸漬することで、皮膜酸化、変色を防止して塗膜密着性を向上させる処理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。

先行技術

0003

特開2005−232505号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、フッ素化合物硝酸化合物等の有害物や、規制物質を含んだ従来の化成処理であるリン酸亜鉛処理ジルコニウム処理は、水質汚濁防止法に新たに地下浸透対策が追加されたことにより、排水経路防液堤の設置等の新たな設備対策が必要とされている。

0005

したがって、上記従来のリン酸塩皮膜としてリン酸亜鉛処理を行った場合には、水質汚濁防止法上の新たな設備対策が必要とされてしまう。

0006

そのため、リン酸塩皮膜として、水質汚濁防止法に抵触しないリン酸鉄皮膜を採用することが考えられるが、この場合、リン酸鉄皮膜処理の後に、セリウム皮膜の処理を行ったとしても、リン酸亜鉛皮膜並の塗膜密着性は得られない。

0007

一方、リン酸亜鉛処理は、水質汚濁防止法に抵触するだけでなく、処理表面が荒くなってしまうので、金属部材の表面を化成処理した後、当該化成処理によって得られる化成皮膜の表面に一回の塗装で塗膜を仕上げようとした場合、金属部材表面に形成された化成皮膜の平滑性を確保できないので、塗装後の表面に十分な鮮映性が得られる製品を得ることができないこととなる。

0008

本発明は、係る実情に鑑みてなされたものであって、水質汚濁防止法に抵触することなく、リン酸亜鉛皮膜並の塗膜密着性が得られ、しかも鮮映性のある製品も形成可能な金属部材の化成処理方法と、当該化成処理方法によって得られる金属部材とを提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0009

上記課題を解決するための本発明の金属部材の化成処理方法は、金属部材に、リン酸塩および酸化剤を含有するリン酸鉄処理水溶液を接触させてリン酸鉄皮膜の化成処理を行うリン酸鉄処理工程と、その後、セリウム化合物と酸化剤とを溶解させたセリウム処理水溶液に接触させるセリウム処理工程とを具備するものである。

0010

上記金属部材の化成処理方法において、前記リン酸鉄処理工程で、Pの皮膜元素量を25〜60mg/m2となるまで化成処理した後、セリウム処理工程で、3価のセリウム化合物と酸化剤とを溶解させたセリウム処理水溶液を使用してCeの皮膜元素量を3〜25mg/m2とし、なおかつ、Ce/Pを0.07〜0.65とするものであってもよい。

0011

上記金属部材の化成処理方法は、前記リン酸鉄処理工程において、Pとして1600〜16000ppmの濃度のリン酸塩と、酸化剤として50〜2000ppmの濃度のリン酸鉄処理水溶液を、金属部材に、pH4.0〜5.5、35〜55℃の温度で40〜180秒間接触させ、前記セリウム処理工程において、Ceとして80〜2000ppmの濃度の3価のセリウム化合物と、酸化剤として50〜300ppmの濃度のセリウム処理水溶液を、前記リン酸鉄処理工程後の金属部材に、pH3.0〜5.0、30〜55℃の温度で15〜180秒間接触させるものであってもよい。

0012

上記課題を解決するための本発明の金属部材は、上記の方法によって得られるものである。

0013

上記金属部材は、蛍光X線分析装置により測定される、Ceの皮膜元素量が3〜25mg/m2とされ、Pの皮膜元素量が25〜60mg/m2とされ、なおかつ、Ce/Pが0.07〜0.65とされたものであってもよい。

0014

上記金属部材は、JIS SPCC−SBにより規定される表面荒さが30nm以下のブライト鋼板に化成処理した後に測定される表面荒さが50nm以下となされたものであってもよい。

0015

本発明の処理対象となる金属部材としては、鉄鋼部材合金部材、または、亜鉛メッキなどの各種表面処理鋼材、を構成材とした自動車部品鋼製家具などの様々な金属部材が挙げられる。また、金属部材は、鍛造品鋳造品プレス加工品など、各種加工成形されたものを使用することができる。特に、JIS SPCC−SBにより規定される表面荒さが30nm以下のブライト鋼板の場合は、化成処理後であっても、表面荒さを50nm以下に止めることができるので、化成処理後の鮮映性が求められるような金属部材は、好適に使用することができる。

0016

リン酸鉄皮膜の化成処理を行うリン酸鉄処理工程としては、リン酸塩と酸化剤とからなるリン酸処理水溶液に、処理対象となる金属部材を浸漬する、またはリン酸処理水溶液を、処理対象となる金属部材に所定時間噴霧して、当該金属部材とリン酸処理水溶液とを接触させる方法で処理される。

0017

この際、リン酸塩としては、特に限定されるものではなく、アンモニア化合物である第一リン酸アンモニウム以外であれば、リン酸鉄皮膜の化成処理を行う際の一般的なリン酸塩を使用することができる。特に、第一リン酸ソーダや、第一リン酸カリウムを使用することが好適である。また、酸化剤としては、リン酸鉄皮膜中のP成分を多く形成できるニトロベンゼンスルフォン酸ソーダ、またはブロム酸ソーダを用いることができる。リン酸塩の使用量としては、前記したリン酸塩を、リン酸鉄皮膜の化成処理を行う際の一般的な使用量で使用するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、リン酸処理水溶液中にPとして1600〜16000ppmの濃度となる使用量で使用することができる。同様に、酸化剤の使用量としては、前記した酸化剤を、50〜2000ppmの濃度となる使用量で使用することができる。リン酸処理工程の処理条件としては、後述する所定のリン酸鉄皮膜を形成することができる処理条件であれば、特に限定されるものではなく、例えばpH4.0〜5.5の範囲に調整し、35〜55℃の温度で40〜180秒の時間で行うことができる。この処理により、リン酸処理工程では、Pとして25〜60mg/m2の皮膜元素量となるように処理することができる。リン酸鉄皮膜は、リン酸鉄酸化鉄混合皮膜であり、リン酸鉄の割合の多い程耐食性が良好であり、Pとして25mg/m2未満の場合、耐食性の良好なリン酸鉄成分の絶対量が不足することとなるため、十分な性能が得られない。また、Pとして60mg/m2を超える場合、リン酸鉄皮膜の量が多すぎて、後に形成するセリウム皮膜を十分に形成することができず、Pとのバランスがとれなくなってしまう。

0018

セリウム処理工程としては、セリウム化合物と酸化剤とを溶解させたセリウム処理水溶液に、上記リン酸鉄処理工程を経た後の金属部材を浸漬する、またはセリウム処理水溶液を、上記リン酸処理工程を経た後の金属部材に所定時間噴霧して、当該金属部材とセリウム処理水溶液とを接触させる方法で処理される。

0019

この際、セリウム化合物としては、硫酸セリウム(III)、塩化セリウム(III)を使用することができる。また、酸化剤としては、過酸化水素水モリブデン酸ナトリウムメタバナジン酸ナトリウム、ニトロベンゼンスルフォン酸ソーダ、ブロム酸ソーダなどを使用することができる。セリウム化合物の使用量としては、リン酸鉄皮膜との比率を所定の範囲にすることができるのであれば、特に限定されるものではなく、例えば、セリウム水溶液中にCeとして80〜2000ppmの濃度となる使用量で使用することができる。酸化剤の使用量としても、リン酸鉄皮膜との比率を所定の範囲内にすることかできるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、50〜300ppmとなる使用量で使用することができる。セリウム処理工程の処理条件としては、前記したリン酸鉄処理理工程後に、所定量のセリウム皮膜を形成することができる処理条件であれば、特に限定されるものではなく、例えばpH3.0〜5.0の範囲に調整し、30〜55℃の温度で15〜180秒の時間で行うことができる。この処理により、セリウム処理工程では、Ceとして3〜25mg/m2の皮膜元素量となるように処理することができる。Ceとして3mg/m2未満の場合、Ceの絶対量が不足することとなるため、十分な性能が得られない。また、Ceとして25mg/m2を超える場合、セリウム皮膜の量が多すぎて、Pとのバランスがとれなくなってしまい、やはり十分な性能が得られなくなってしまう。

0020

リン酸鉄処理工程によって得られるリン酸鉄皮膜におけるPと、セリウム処理工程によって得られるセリウム皮膜におけるCeとは、蛍光X線分析装置によって測定した時の、Ceの皮膜元素量が3〜25mg/m2とされ、Pの皮膜元素量が25〜60mg/m2とされ、なおかつ、Ce/Pが0.07〜0.65とされたものであることが好ましい。この比率は、上記した処理条件でリン酸鉄処理工程とセリウム処理工程とを行うことで、達成することができる。すなわち、リン酸鉄処理工程では、特定の酸化剤(特に、ニトロベンゼンスルフォン酸ソーダ、ブロム酸ソーダ)を用いることにより、Pが25mg/m2以上のリン酸鉄皮膜を形成することができる。この際の反応機構は以下である。

0021

まず処理液中に乖離しているリン酸により、鋼板がエッチングされ、2価の鉄イオン溶出する。(1)

0022

しかし、リン酸鉄皮膜処理液は液のpHが高いため、2価の鉄イオンは、特別の酸化剤がなくても3価の鉄イオンに自然酸化される。(2)

0023

3価の鉄イオンの一部はFe(OH)3を経て、皮膜乾燥時に脱水によりγFe2O3となり(3)、残りは処理液中のリン酸イオンと結合してFePO4・2H2Oとして沈殿析出する。(4)

0024

工業的には酸化剤を少量入れて(1)の反応を促進させているケースが多い。以上のようにリン酸鉄皮膜は酸化鉄(γFe2O3)とリン酸鉄(FePO4・2H2O)からなる複合化合物である。皮膜総量におけるFePO4・2H2Oの割合は20〜30%程度で残りがγFe2O3であると考えられている。化学的定性はFePO4・2H2OはγFe2O3より高い、即ちどのpH領域でも溶解性が小さいとみられ、FePO4・2H2Oの割合が大きいほど耐食性の高い皮膜であるとみられる。その理由は、塗膜下腐食においては、腐食先端部のアノードカソード領域では各々、酸性、及びアルカリ性となり、塗膜下地としての性能は下地皮膜の腐食先端部での皮膜ダメージが小さいこと、即ち皮膜の化学的安定性が高いことが有利であるからである。

0025

本発明のリン酸鉄処理工程では、特定の酸化剤(ニトロベンゼンスルフォン酸ソーダ、ブロム酸ソーダ)を用いることにより、上記のリン酸鉄の割合の大きい皮膜が形成でき、具体的にはPが25mg/m2〜60mg/m2の皮膜を形成できる。促進剤を用いない場合(自然酸化)や、そのほかのモリブデン酸化合物などの促進剤の場合はリン酸鉄の形成量が小さく、P量が25mg/m2以下の皮膜となる。特定の酸化剤がリン酸鉄の生成を多くする原理はあきらかではないが、(3)よりも(4)の反応を優先させるような働きをしているものとみられる。

0026

この第一工程であるリン酸鉄処理工程で形成されたリン酸鉄の割合の多い皮膜は、それ単独でもリン酸鉄の割合の小さい皮膜に比較して塗装耐食性は良好である。この皮膜に第二工程であるセリウム処理工程でセリウム処理を実施した場合、基本的にリン酸鉄皮膜の割合の小さい皮膜に比較して、同条件ではCe形成量は小さくなり、結果的にCe量は小さい皮膜となる。これは第一工程で形成された上記のリン酸鉄皮膜が化学的安定性の高い皮膜であることに起因するものとみられ、4価セリウムの形成が抑制されているとみられる。しかし、セリウム処理工程においても3価のセリウム化合物と酸化剤とを用いることにより、Ceが3〜25mg/m2の皮膜を形成できる。これは、セリウム処理工程により、鋼板上には上記リン酸鉄(FePO4・2H2O)、及び酸化鉄(γFe2O3)、さらにCe処理により3価、及び4価の酸化セリウム(Ce2O3、CeO2)や一部前段の皮膜のリンと反応しリン酸セリウムが(Ce2(PO4)3)が形成され、これら化合物の複合皮膜となっていると考えられる。前記の3価セリウムは、腐食反応におけるアノード、及びカソード反応抑制効果があり、またリン酸セリウムは化学的安定性の非常に優れた化合物であり、これらが塗膜下腐食の抑制の補完効果として働いているとみられる。以上より、前記方法により形成した皮膜はCeの皮膜元素量が3〜25mg/m2、Pの皮膜元素量が25〜60mg/m2、なおかつ、Ce/Pを0.07〜0.65の比率にすることができ、塗装下地耐食性に優れた皮膜を形成できることとなる。

0027

Ce/Pが0.07未満の場合、セリウム皮膜が少なすぎてリン酸鉄皮膜だけの場合と変わらない性能となってしまう。また、Ce/Pが0.65を超える場合、セリウムに対してベースとなるリン酸鉄皮膜の絶対量が不足するため十分な性能が得られないこととなってしまう。このCe/Pの比率は、前記したセリウム処理工程において十分な量のセリウム皮膜を形成しなければ達成できないが、前記したリン酸鉄処理工程においてPとして25〜60mg/m2の皮膜元素量となるように十分な量のリン酸鉄皮膜を形成した後に十分な量のセリウム皮膜を形成するためには、セリウム化合物の選択と酸化剤の選択が重要な要素となる。したがって、セリウム化合物としては、前記したように、3価のセリウム化合物、特に、硫酸セリウム(III)、塩化セリウム(III)を使用することが好ましく、酸化剤としては、過酸化水素水、モリブデン酸ナトリウム、メタバナジン酸ナトリウム、ニトロベンゼンスルフォン酸ソーダ、ブロム酸ソーダから選択されるものを使用することが好ましい。

0028

上記化成処理方法によって得られる金属部材は、リン酸鉄処理工程によるリン酸鉄皮膜を形成した後に、セリウム処理工程によるセリウム皮膜を形成することにより、リン酸亜鉛皮膜に匹敵する耐蝕性を発揮することができる。しかも、上記リン酸鉄処理工程とセリウム処理工程は、水質汚濁防止法による規制対象外であるため、既存の設備のままリン酸亜鉛処理に匹敵する塗膜密着性、耐蝕性等の優れた性能の化成皮膜を得ることができる。

0029

また、リン酸亜鉛処理を行った場合、基材の表面が荒れるため、鮮映性が低下することとなってしまうが、本発明の場合は、リン酸鉄皮膜とセリウム皮膜の組み合わせであるため、基材の表面を荒らすことがない。したがって、表面荒さが30μm以下のブライト鋼板の表面に化成処理した後、ワンコートで仕上げるような製品の場合、リン酸亜鉛皮膜並の塗膜密着性や耐蝕性を確保することができなかったが、本発明によって得られる化成皮膜によれば、化成処理後にワンコートの塗装で仕上げた場合であっても、リン酸亜鉛皮膜並の塗膜密着性や耐蝕性を確保することができ、塗装後の製品は、優れた鮮映性を得ることができることとなる。

発明の効果

0030

以上述べたように、本発明の金属部材の化成処理方法により、リン酸鉄処理工程後にセリウム処理工程を行うことにより、リン酸鉄皮膜の化成皮膜をベースとしてセリウム皮膜を形成して、リン酸亜鉛皮膜並の塗膜密着性や耐蝕性を得ることができることとなる。しかも、リン酸亜鉛皮膜を形成する場合のように水質汚濁防止法による規制対象にならないので、地下浸透対策のための追加設備が不要となり、既存の設備のまま、リン酸亜鉛皮膜に匹敵する優れた塗膜密着性や耐蝕性を得ることができる。

0031

しかも、この化成処理方法によって処理した金属部材は、リン酸鉄皮膜の化成皮膜をベースとしてセリウム皮膜を形成しているため、リン酸亜鉛皮膜のように、基材の表面が荒れることがない。したがって、化成処理後にワンコートの塗装で仕上げる場合のように、基材の凹凸が反映されるような仕上げの場合であっても、優れた鮮映性の製品とすることができる。

実施例

0032

以下、本発明に係る実施の形態について説明する。

0033

試験片
厚さ0.8mmの表面ダル仕上げ冷延鋼板である自動車用鋼板(JISSSCC−SD)を70mm×150mmの大きさに切断して複数枚用意し、試験片とした。

0034

(実施例1)
上記試験片を脱脂後、リン酸鉄処理工程、セリウム処理工程の順で処理を施した。
まず、アルカリ脱脂剤(ミリオ化学社製「グランダクリーナー487F1」)を水1リットル当たり20gの割合で溶解した水溶液を、上記試験片に、50度で2分間噴霧するシャワー処理を行って、当該試験片の脱脂処理を行った。
脱脂後に試験片を水洗した後、リン酸鉄処理工程を行った。

0035

リン酸鉄処理工程では、第一リン酸ナトリウムを水1リットル当たり10g溶解し、酸化剤としてニトロベンゼンスルフォン酸ソーダを1000ppm溶解したリン酸処理水溶液を、上記試験片に、45度で2分間噴霧するシャワー処理を行って、当該試験片のリン酸鉄処理を行った。
リン酸鉄処理後に試験片を水洗した後、セリウム処理工程を行った。

0036

セリウム処理工程では、硫酸セリウムを水1リットル当たり2000mg溶解し、酸化剤として過酸化水素水150mgを水1リットル当たり溶解したセリウム処理水溶液を、上記試験片に、40度で1分間噴霧するシャワー処理を行って、当該試験片のセリウム処理工程を行った。
脱イオン水で水洗後、100度で10分間乾燥させて本発明に係る処理を施した化成皮膜試験片を得た。

0037

(実施例2)
第一リン酸ナトリウムを水1リットル当たり10g溶解し、酸化剤としてニトロベンゼンスルフォン酸ソーダを1000ppm溶解し、ノニオン界面活性剤を水1リットル当たり5g溶解したリン酸鉄処理水溶液を、上記試験片に、45度で2分間噴霧するシャワー処理を行って、当該試験片の脱脂およびリン酸鉄処理を行った。
リン酸鉄処理後に試験片を水洗した後、上記実施例1と同じセリウム処理工程を行って本発明に係る処理を施した化成皮膜試験片を得た。

0038

(実施例3〜13)
表1に示す条件で、実施例2と同様の処理を行って本発明に係る処理を施した化成皮膜試験片を得た。

0039

0040

(比較例1)
上記試験片を、実施例1と同様の脱脂処理を行い水洗した後、当該試験片に、ジルコニウム系化成処理液(ミリオン化学社製「グランダクリーナーLE910」)の5%水溶液を、45度で2分間噴霧するシャワー処理を行った後、再度、水洗して化成皮膜試験片を得た。

0041

(比較例2)
上記試験片に、脱脂剤(ミリオン化学社製「グランダクリーナー487F1」)を水1リットルあたり20g溶解した水溶液を、50度で2分間噴霧するシャワー処理を行った後、水洗し、その後、表面調製剤(ミリオン化学社製「グランダファイナー♯10」)の0.2%水溶液を30秒間噴霧するシャワー処理を行った。
試験片を水洗後、リン酸亜鉛化成処理液(ミリオン化学社製「グランダー4179」)を水1リットル当たり44g溶解した水溶液を、45度で2分間噴霧するシャワー処理を行い、脱イオン水で水洗後、100度で10分間乾燥させて化成皮膜試験片を得た。

0042

(比較例3)
上記実施例1のリン酸鉄処理工程のみを実施し、セリウム処理工程を行わないで化成皮膜試験片を得た。

0043

(比較例4)
上記実施例2のリン酸鉄処理工程のみを実施し、セリウム処理工程を行わないで化成皮膜試験片を得た。

0044

(比較例5)
硫酸セリウムを水1リットル当たり2000mg溶解したセリウム処理水溶液を、上記試験片に、40度で1分間噴霧するシャワー処理を行って、当該試験片のセリウム処理工程のみを行った。
脱イオン水で水洗後、100度で10分間乾燥させて本発明に係る処理を施した化成皮膜試験片を得た。

0045

(比較例6〜17)
表1に示す条件で、実施例2と同様の処理を行って本発明に係る処理を施した化成皮膜試験片を得た。

0046

(比較例18)
冷延鋼板ブライト仕上げ(JISSSCC SB)を比較例18の試験片とした。

0047

(塗装)
上記各実施例および比較例で得られた化成皮膜試験片に、エポキシ変性メラミン塗料(大日本塗料株式会社製「デリコン♯700」)を、バーコーターにより塗布し、焼付温度140度で20分間、焼付処理を行い20±3μmの膜厚焼付塗装を施した焼付塗装試験片を調製した。
また、別の化成皮膜試験片には、ポリエステル系粉体塗料(大日本塗料社製「VPET400」)を塗布し、焼付温度160度で25分間焼付処理を行い55±5μmの膜厚の粉体塗装を施した粉体塗装試験片を調製した。

0048

(皮膜評価)
−セリウム−
濾紙法により、硫酸セリウム水溶液単位面積当たり規定量含浸させた複数の水準検体を調製した。これら各検体に対応するX線強度を蛍光X線分析装置によって測定し、Ceの検量線を作成した。作成した検量線により、上記各実施例および比較例によって得られた各化成皮膜試験片の化成皮膜のCeの定量分析を行った。

0049

−リン−
検量線作成用化成処理板をリン酸鉄皮膜の反応時間量で変化させてPの量が異なる複数の水準の検体を調製した。湿式法によりICP分析装置で定量した単位面積当たりの数値によりPの検量線を作成した。作成した検量線により、上記実施例および比較例によって得られた各化成皮膜試験片の化成皮膜のPの定量分析を行った。

0050

−表面荒さ−
表面ブライト仕上げの冷延鋼板(JISSSCC SB)から切り出した試験片を用意し、各実施例および比較例の処理を行って皮膜を形成した化成皮膜試験片を調製した後、これら化成皮膜試験片の異なった3点において、レーザー顕微鏡オリンパス社製:OLS4000−SAT)により表面荒さを測定し、測定された平均表面荒さを、化成処理前の試験片の表面荒さと比較観察した。
皮膜評価の各結果を表2に示す。

0051

(塗膜評価)
−焼付塗装試験片−
上記焼付塗装試験片および粉体塗装試験片について、JIS Z 2371に基づく塩水噴霧試験を実施した。試験時間は、72時間とし、塗膜に入れたカット部からの最大テープ剥離幅を測定した。最大テープ剥離幅が2mm以下を合格とした。

0052

−粉体塗装試験片−
上記粉体塗装試験片については、試験時間を480時間とし、塗膜に入れたカット部からの最大テープ剥離幅を測定した。最大テープ剥離幅が2mm以下を合格とした。
また、粉体塗装試験片については、自動車用材料腐食試験方法(JASOM 609)により、60サイクルを行った後のカット部からの最大錆、膨れ幅を測定した。最大膨れ幅が2mm以下を合格とした。
さらに、粉体塗装試験片については、50度で240時間の温水浸漬試験後に1mm×1mmのカット碁盤目100箇所のテープ剥離後の残留マス数を測定する二次密着性試験を行った。残留マス数が100個を合格とした。
塗膜評価の各結果を表2に示す。

0053

0054

表2の結果から、本発明に係る処理を施した化成皮膜試験片は、リン酸亜鉛処理を施した化成処理試験片に匹敵する耐蝕性および塗膜密着性が得られることが確認できた。しかも、リン酸亜鉛処理の場合は、表面を荒らしてしまうことになるが、本発明に係る処理を施した化成皮膜は、試験片の表面をリン酸亜鉛処理の場合のように荒らしてしまうことにならないので、鮮映性に優れた化成皮膜を形成することができる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ