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技術 車両用無線通信システム

出願人 矢崎総業株式会社
発明者 池田浩太郎國立忠秀
出願日 2018年4月19日 (2年10ヶ月経過) 出願番号 2018-080706
公開日 2019年7月25日 (1年6ヶ月経過) 公開番号 2019-126018
状態 未査定
技術分野 乗員・歩行者の保護 移動無線通信システム 車両用電気・流体回路
主要キーワード ラジオスイッチ 優先度基準 窓開閉スイッチ 経路設計 優先度判別 域無線通信機 干渉性能 車両構造体
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図面 (12)

課題

車両上に多数の無線通信端末を設置してメッシュネットワークを形成する場合に、ネットワークリソースを効率的に利用してトラフィック量を抑制し、通信遅延時間を短縮すること。

解決手段

各無線通信端末がデータを送信する場合に、送信対象データの種類に応じて優先度を特定し、優先度が高い場合は広域無線通信機能を選択し、優先度が低い場合は狭域無線通信機能を選択して無線通信を行う。各データの優先度の高低は、緊急時などの状況の変化に応じて可変とする。各無線通信端末がデータを中継する場合も、データの種類に応じて優先度を特定し、広域無線通信と狭域無線通信とのいずれかを選択する。広域無線通信と狭域無線通信とは通信形式が互いに異なる。データの優先度は、宛先に応じて変化する。

概要

背景

例えば、車両上で様々な機器の間を、有線または無線によるメッシュ状のネットワークを介して接続することにより、必要に応じて様々な経路を利用して、互いに通信することができる。また、無線通信を利用する場合には、その経路の分だけワイヤハーネスの構造を簡略化したり、ワイヤハーネスの配索作業の負担を削減することができる。

また、メッシュネットワーク(mesh network)を構成する場合には、ある送信元ノードから別の送信先ノードまでの間で、様々な経路を選択的に利用して通信経路を確保できる。したがって、故障などで使えなくなった経路が発生しても別の経路に切り替えて継続的に接続できる。例えば、ダイナミックルーティング(dynamic routing)を利用すれば、メッシュ状のネットワーク上で、通信に使用する経路をその都度変えることができるので、故障などの影響を受けにくくなる。

また、例えば特許文献1は、複数の通信方式を備える情報処理装置画像形成装置との通信において、使用中の通信方式に比べて好ましい通信方式を見つけた場合に、より良い通信方式に切り替えて通信時間の短縮を図る技術を示している。

また、特許文献2のデータ通信装置は、通信アプリケーション毎に適切な通信速度でデータ通信を行わせるための技術を示している。具体的には、アプリケーション実行部の動作を監視し、データ通信開始要求を出した通信アプリケーションと、各通信処理部の接続状態に基づき通信方式特定部が特定したデータ通信に使用される通信方式(有線/無線)とに基づいて、通信速度設定テーブルの参照によりデータ通信に用いる通信速度を決定する。

また、特許文献3は、複数のノードで構成される通信システムにおいて、目的ノードまで迅速にデータを送信するための技術を示している。具体的には、各ノードA〜Dは、目的ノードへのデータの送信要求が発生すると、目的ノード宛にデータを含んだ直接通信データを送信する。また、自ノード宛の直接又は代理通信データを受信したとき、受信した旨を示すACKを送信する。また、自ノード宛でない直接通信データを受信し、その後、ACKを受信できなかった場合、直接通信データに含まれるデータを含んだ代理通信データを送信する。さらに、代理通信データを送信した後に、ACKを受信すると、直接通信データの送信元宛に代理通信完了通知を送信する。

また、特許文献4は、小型基地局が故障等により通信できなくなった場合に、その小型基地局がカバーしていたエリア内での通信を可能にするための技術を示している。具体的には、複数の基地局を制御する基地局制御装置が、各小型基地局の異常を検知して他の基地局の出力電波を変更することを示している。

概要

車両上に多数の無線通信端末を設置してメッシュネットワークを形成する場合に、ネットワークリソースを効率的に利用してトラフィック量を抑制し、通信遅延時間を短縮すること。各無線通信端末がデータを送信する場合に、送信対象データの種類に応じて優先度を特定し、優先度が高い場合は広域無線通信機能を選択し、優先度が低い場合は狭域無線通信機能を選択して無線通信を行う。各データの優先度の高低は、緊急時などの状況の変化に応じて可変とする。各無線通信端末がデータを中継する場合も、データの種類に応じて優先度を特定し、広域無線通信と狭域無線通信とのいずれかを選択する。広域無線通信と狭域無線通信とは通信形式が互いに異なる。データの優先度は、宛先に応じて変化する。

目的

本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両上に多数の無線通信端末を設置してメッシュネットワークを形成する場合に、ネットワークリソースを効率的に利用してトラフィック量を抑制すると共に、ネットワーク上で発生する通信遅延時間の短縮が可能な車両用無線通信システムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

車両上に搭載され、前記車両上で無線通信が可能な広域無線通信機能、および前記広域無線通信機能に比べて無線通信可能な領域が狭い狭域無線通信機能を有する複数の無線通信端末を備え、前記各無線通信端末がデータを送信する場合に、送信対象データの種類に応じて優先度を特定し、前記送信対象データの優先度が高い場合は少なくとも前記広域無線通信機能を選択し、前記送信対象データの優先度が低い場合は少なくとも前記狭域無線通信機能を選択して無線通信を行う、ことを特徴とする車両用無線通信システム

請求項2

前記各無線通信端末は、送信対象データの種類に応じた優先度を、状況の変化に対応して切り替える、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用無線通信システム。

請求項3

前記広域無線通信機能、および前記狭域無線通信機能の各々は送受信機能を含み、前記各無線通信端末は、受信したデータが自ノード宛てか否かを識別する宛先識別機能と、自ノード宛て以外の受信データを宛先に向けて無線送信する無線中継機能とを有し、前記無線中継機能がデータを送信する場合に、送信対象データの種類に応じて優先度を特定し、前記送信対象データの優先度が高い場合は少なくとも前記広域無線通信機能を選択し、前記送信対象データの優先度が低い場合は少なくとも前記狭域無線通信機能を選択して無線通信を行う、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用無線通信システム。

請求項4

前記広域無線通信機能は、広域の通信に適した第1の無線通信形式を利用し、前記狭域無線通信機能は、狭域の通信に適した第2の無線通信形式を利用する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両用無線通信システム。

請求項5

車両上に搭載され、前記車両上で無線通信が可能な広域無線通信機能、および前記広域無線通信機能に比べて無線通信可能な領域が狭い狭域無線通信機能を有する複数の無線通信端末を備え、各前記無線通信端末がデータを送信する場合に、自車両における緊急度高低を把握すると共に、少なくとも送信対象データの種類の違いを反映した優先度を特定し、前記緊急度および前記優先度に応じて、前記広域無線通信機能および前記狭域無線通信機能の一方を優先的に選択して無線通信を行う、ことを特徴とする車両用無線通信システム。

請求項6

自車両の事故発生を含む緊急時には、各前記無線通信端末がデータを送信する場合に、前記緊急度に基づき前記広域無線通信機能を優先的に選択して無線通信を行う、請求項5に記載の車両用無線通信システム。

請求項7

各前記無線通信端末がデータを送信する際に、前記狭域無線通信機能の通信により目的の宛先までの通信経路を確保できない場合には、前記緊急度に基づき前記広域無線通信機能を優先的に選択して無線通信を行う、請求項5に記載の車両用無線通信システム。

技術分野

0001

本発明は、車両用無線通信システムに関し、特に車両上に搭載された複数の無線通信端末の間で無線通信するための技術に関する。

背景技術

0002

例えば、車両上で様々な機器の間を、有線または無線によるメッシュ状のネットワークを介して接続することにより、必要に応じて様々な経路を利用して、互いに通信することができる。また、無線通信を利用する場合には、その経路の分だけワイヤハーネスの構造を簡略化したり、ワイヤハーネスの配索作業の負担を削減することができる。

0003

また、メッシュネットワーク(mesh network)を構成する場合には、ある送信元ノードから別の送信先ノードまでの間で、様々な経路を選択的に利用して通信経路を確保できる。したがって、故障などで使えなくなった経路が発生しても別の経路に切り替えて継続的に接続できる。例えば、ダイナミックルーティング(dynamic routing)を利用すれば、メッシュ状のネットワーク上で、通信に使用する経路をその都度変えることができるので、故障などの影響を受けにくくなる。

0004

また、例えば特許文献1は、複数の通信方式を備える情報処理装置画像形成装置との通信において、使用中の通信方式に比べて好ましい通信方式を見つけた場合に、より良い通信方式に切り替えて通信時間の短縮を図る技術を示している。

0005

また、特許文献2のデータ通信装置は、通信アプリケーション毎に適切な通信速度でデータ通信を行わせるための技術を示している。具体的には、アプリケーション実行部の動作を監視し、データ通信開始要求を出した通信アプリケーションと、各通信処理部の接続状態に基づき通信方式特定部が特定したデータ通信に使用される通信方式(有線/無線)とに基づいて、通信速度設定テーブルの参照によりデータ通信に用いる通信速度を決定する。

0006

また、特許文献3は、複数のノードで構成される通信システムにおいて、目的ノードまで迅速にデータを送信するための技術を示している。具体的には、各ノードA〜Dは、目的ノードへのデータの送信要求が発生すると、目的ノード宛にデータを含んだ直接通信データを送信する。また、自ノード宛の直接又は代理通信データを受信したとき、受信した旨を示すACKを送信する。また、自ノード宛でない直接通信データを受信し、その後、ACKを受信できなかった場合、直接通信データに含まれるデータを含んだ代理通信データを送信する。さらに、代理通信データを送信した後に、ACKを受信すると、直接通信データの送信元宛に代理通信完了通知を送信する。

0007

また、特許文献4は、小型基地局が故障等により通信できなくなった場合に、その小型基地局がカバーしていたエリア内での通信を可能にするための技術を示している。具体的には、複数の基地局を制御する基地局制御装置が、各小型基地局の異常を検知して他の基地局の出力電波を変更することを示している。

先行技術

0008

特開2011−49639号公報
特開平11−127218号公報
特開2014−225859号公報
特開2015−192405号公報

発明が解決しようとする課題

0009

例えば、通信可能な範囲が比較的狭い多数の無線通信端末を、様々な位置に分散した状態で配置し、これらの無線通信端末を利用してメッシュ状の無線通信ネットワークを単純に構成する場合を想定する。この場合、1つの送信元ノードの無線通信端末から他の宛先ノードの無線通信端末に対してデータを送信する際に、様々な端末の間で順次に、あるいは並列的に通信を行いながら、送信元から送信先までの通信に利用可能な経路を探索するための通信処理を行う必要がある。更に、通信に利用可能な経路が確定した後であっても、送信元から宛先にデータが届くまでの間に、このデータは多数の中継点を経由することになる。したがって、この無線通信ネットワーク上を通過するトラフィックが増大する。また、送信元から宛先までの間のデータ中継回数が増えるのに伴って通信の遅延時間も増大する。

0010

例えば、特許文献1のように複数の通信方式を備える場合には、より良い通信方式を自動的に選択することで、通信時間を短縮することができる。しかし、特許文献1の技術を採用する場合には、同じ通信相手との間で常に複数の通信方式を利用できるようにハードウェアなどのリソースを確保しておかなければならず、装置コストの増大が懸念される。特に、車載システムの場合には、無線通信端末の数が増えて、システム全体のコストが大幅に増大する可能性がある。また、ハードウェアなどのリソースが不足する場合には、必要な通信性能が得られない可能性がある。

0011

また、特許文献2の技術を採用する場合には、有線/無線通信の違いだけでなく、通信開始を要求した通信アプリケーションの違いを反映して、通信速度を最適化することができる。しかし、様々な通信アプリケーションの状態を監視しなければならないので、複雑な制御が必要になる。

0012

また、特許文献3の技術を採用する場合には、直接通信と代理通信とを使い分けることにより、送信元ノードと宛先ノードとの間に障害物が存在するような場合でも通信経路を確保することが容易になる。しかし、無線通信ネットワーク上を通過するトラフィックが増大する可能性がある。また、送信元から宛先までの間のデータ中継回数が増えるのに伴って通信の遅延時間も増大する。

0013

また、特に車両上で使用する無線通信システムの場合には、車両上の限られた狭い空間の中に、様々な種類の電装品の制御に用いる多数の無線通信端末が配置される可能性がある。更に、自車両上で行う無線通信の電波が、他の車両内の無線通信や、車両外の無線通信に影響を与えないように予め考慮しなければならない。したがって、車両上の各無線通信端末が送信する電波の出力電力を抑制し、車両全体よりも狭い範囲の狭域無線通信を行うことが望ましい。しかし、各無線通信端末の通信可能な範囲がごく狭い範囲に限られる場合には、上述のようにトラフィックの増大、および通信の遅延時間の増大が大きな問題になる。更に、通信システムのコストの上昇を抑制する必要がある。

0014

また、基地局などの無線機器の故障に備えて特許文献4のような技術を採用する場合には、専用の制御局を追加しなければならず、更にアンテナの制御や出力電波強度の制御が複雑になるという問題もある。

0015

本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両上に多数の無線通信端末を設置してメッシュネットワークを形成する場合に、ネットワークリソースを効率的に利用してトラフィック量を抑制すると共に、ネットワーク上で発生する通信遅延時間の短縮が可能な車両用無線通信システムを提供することにある。

課題を解決するための手段

0016

前述した目的を達成するために、本発明に係る車両用無線通信システムは、下記(1)〜(7)を特徴としている。
(1) 車両上に搭載され、前記車両上で無線通信が可能な広域無線通信機能、および前記広域無線通信機能に比べて無線通信可能な領域が狭い狭域無線通信機能を有する複数の無線通信端末を備え、
前記各無線通信端末がデータを送信する場合に、送信対象データの種類に応じて優先度を特定し、
前記送信対象データの優先度が高い場合は少なくとも前記広域無線通信機能を選択し、前記送信対象データの優先度が低い場合は少なくとも前記狭域無線通信機能を選択して無線通信を行う、
ことを特徴とする車両用無線通信システム。

0017

上記(1)の構成の車両用無線通信システムによれば、前記各無線通信端末がデータを送信する場合に、広域無線通信機能および狭域無線通信機能のいずれを選択して通信するのかを、送信対象データの種類に基づいて自動的に決めることができる。したがって、例えば通信の遅延時間を極力短くすることが求められる優先度の高いデータを送信する場合には、広域無線通信機能を選択することにより、送信元から宛先までのデータの中継回数を減らし、遅延時間を確実に短縮できる。また、優先度の低いデータを送信する場合には、遅延時間を短縮する必要がないので、狭域無線通信機能を選択して通信することができる。また、送信元および宛先が同一で、且つ同じ種類のデータを送信する場合には、広域無線通信機能および狭域無線通信機能のいずれか一方のリソースだけを確保すればよいので、残りのリソースは他の通信に割り当てることができる。つまり、限られたリソースを有効に活用できる。また、これによりネットワークに送出されるトラフィック量を削減できる。

0018

(2) 前記各無線通信端末は、送信対象データの種類に応じた優先度を、状況の変化に対応して切り替える、
ことを特徴とする上記(1)に記載の車両用無線通信システム。

0019

上記(2)の構成の車両用無線通信システムによれば、同じ種類のデータであっても、状況の変化に対応して優先度を高くしたり低くするように切り替えることができる。例えば、車両が通常の運転状態の状況では、運転の安全性を重視する必要があるので操舵系の機器に関連するデータの優先度は高くし、ドア開閉パワーウインドウの機器に関連するデータの優先度は低くすることが想定される。一方、車両が交通事故遭遇した場合のような緊急時には、運転操作よりも脱出機能を重視する必要があるので、操舵系の機器に関連するデータの優先度は低くして、ドアの開閉やパワーウインドウの機器に関連するデータの優先度は高くすることが想定される。

0020

(3) 前記広域無線通信機能、および前記狭域無線通信機能の各々は送受信機能を含み、
前記各無線通信端末は、受信したデータが自ノード宛てか否かを識別する宛先識別機能と、自ノード宛て以外の受信データを宛先に向けて無線送信する無線中継機能とを有し、
前記無線中継機能がデータを送信する場合に、送信対象データの種類に応じて優先度を特定し、前記送信対象データの優先度が高い場合は少なくとも前記広域無線通信機能を選択し、前記送信対象データの優先度が低い場合は少なくとも前記狭域無線通信機能を選択して無線通信を行う、
ことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の車両用無線通信システム。

0021

上記(3)の構成の車両用無線通信システムによれば、各無線通信端末が他の無線通信端末からの自ノード宛てでないデータを受信し宛先に向けて無線中継する場合にも、広域無線通信機能および狭域無線通信機能のいずれを選択して通信するのかを、送信対象データの種類に基づいて自動的に決めることができる。

0022

(4) 前記広域無線通信機能は、広域の通信に適した第1の無線通信形式を利用し、
前記狭域無線通信機能は、狭域の通信に適した第2の無線通信形式を利用する、
ことを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の車両用無線通信システム。

0023

上記(4)の構成の車両用無線通信システムによれば、互いに異なる無線通信形式で前記広域無線通信機能および前記狭域無線通信機能を実現するので、システム全体を最適化することが可能である。例えば、通信経路上に障害物があっても電波回折などにより目的の端末まで電波が届きやすい通信方式を前記第1の無線通信形式として採用することにより、前記広域無線通信機能で車両の全体領域をカバーすることが容易になる。また、例えば干渉性能が高く、高速通信が可能な通信方式を前記第2の無線通信形式として採用することにより、前記狭域無線通信機能で通信する際に、車両内の狭い範囲に多数の無線通信端末が配置されているような環境であっても、確実に無線通信することが可能になる。

0024

(5) 車両上に搭載され、前記車両上で無線通信が可能な広域無線通信機能、および前記広域無線通信機能に比べて無線通信可能な領域が狭い狭域無線通信機能を有する複数の無線通信端末を備え、
各前記無線通信端末がデータを送信する場合に、自車両における緊急度高低を把握すると共に、少なくとも送信対象データの種類の違いを反映した優先度を特定し、
前記緊急度および前記優先度に応じて、前記広域無線通信機能および前記狭域無線通信機能の一方を優先的に選択して無線通信を行う、
ことを特徴とする車両用無線通信システム。

0025

上記(5)の構成の車両用無線通信システムによれば、送信対象データの種類の違いの他に、緊急度を考慮して広域無線通信と狭域無線通信とのいずれかを優先的に選択することができる。したがって、例えば自車両の事故発生や、無線機器の故障などの緊急時に適切な選択が可能になる。また、各無線通信端末自身が自律的に選択を実施できるので、特別な制御局を追加する必要がない。

0026

(6) 自車両の事故発生を含む緊急時には、各前記無線通信端末がデータを送信する場合に、前記緊急度に基づき前記広域無線通信機能を優先的に選択して無線通信を行う、
上記(5)に記載の車両用無線通信システム。

0027

上記(6)の構成の車両用無線通信システムによれば、緊急時には前記広域無線通信機能を優先的に選択するので、通信遅延時間を短縮できる。したがって、通常は優先度が低いデータを送信する場合であっても、事故発生のような緊急時には、通信遅延時間を短縮した状態で伝送することが可能になる。

0028

(7) 各前記無線通信端末がデータを送信する際に、前記狭域無線通信機能の通信により目的の宛先までの通信経路を確保できない場合には、前記緊急度に基づき前記広域無線通信機能を優先的に選択して無線通信を行う、
上記(5)に記載の車両用無線通信システム。

0029

上記(7)の構成の車両用無線通信システムによれば、一部の無線通信端末の故障などの影響により宛先までの通信経路が確保できない場合であっても、前記広域無線通信機能に切り替えることにより通信が可能になる。

発明の効果

0030

本発明の車両用無線通信システムによれば、車両上に多数の無線通信端末を設置してメッシュネットワークを形成する場合に、ネットワークリソースを効率的に利用してトラフィック量を抑制すると共に、ネットワーク上で発生する通信遅延時間の短縮が可能である。

0031

以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。

図面の簡単な説明

0032

図1は、本発明の実施形態の車両用無線通信システムに含まれる複数の無線通信端末の配置および無線通信回線の構成に関する具体例を示す平面図である。
図2は、本発明の実施形態の車両用無線通信システムにおけるネットワークの構成例を示す模式図である。
図3は、本発明の実施形態の車両用無線通信システムが使用する1つの無線通信端末の構成例を示すブロック図である。
図4は、各ノード位置の無線通信端末におけるデータ優先度決定処理概要を示すフローチャートである。
図5は、各ノード位置の無線通信端末における送信処理の概要を示すフローチャートである。
図6は、各ノード位置の無線通信端末における受信処理の概要を示すフローチャートである。
図7は、各ノード位置の無線通信端末が送受信するデータの構成例を示す模式図である。
図8は、データ優先度決定処理の変形例を示すフローチャートである。
図9は、送信処理の変形例を示すフローチャートである。
図10は、送信処理の変形例を示すフローチャートである。
図11は、受信処理の変形例を示すフローチャートである。

実施例

0033

本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
<各端末の配置および無線通信回線の構成の具体例>
本発明の実施形態の車両用無線通信システムに含まれる複数の無線通信端末の配置および無線通信回線の構成に関する具体例を図1に示す。

0034

図1に示した矩形形状の全体領域ARLは、一般的な自動車車両構造体の領域に相当する。図1は、車両構造体を上方から視た平面における各要素の配置状態を表している。図1の左端側がこの自動車の前方側を表し、図1の右端側がこの自動車の後方側を表す。

0035

図1に示した例では、全体領域ARL、すなわち車両構造体およびそれに隣接した領域の各部に多数の無線通信端末10−1、10−3、・・・、10−17が設置されている。これらの無線通信端末10−1〜10−17の各々を設置する位置や総数については、必要に応じて変更される。

0036

これらの無線通信端末10−1〜10−17の各々は、この自動車の各部に搭載されている様々な電装品、例えば電子制御モジュール(ECU)、各種センサ、各種スイッチ、各種負荷などがそれぞれ必要とする信号の送受信を無線通信により可能にするために設けてある。

0037

図1に示した例では、無線通信端末10−1〜10−17の無線通信機能を利用することにより、これらの間を接続する無線通信経路C01、C03、C04、・・・、C16を形成することができる。また、図1に示した例では、全体領域ARLの内側の空間内に、それよりも十分に小さい複数のスモールセル領域ARS1、ARS2、ARS3が形成されている。もちろん、各無線通信経路、各スモールセル領域の数、大きさ、位置などは必要に応じて変更される。

0038

また、互いに隣接しているスモールセル領域ARS1、ARS2は一部分が互いに重なった状態で形成されている。また、互いに隣接しているスモールセル領域ARS2、ARS3についても同様である。スモールセル領域ARS1の内側には無線通信端末10−3、10−4、10−8が配置され、スモールセル領域ARS2の内側には無線通信端末10−8、10−11が配置され、スモールセル領域ARS3の内側には無線通信端末10−12、10−13、10−15が配置されている。

0039

なお、図1に示した無線通信端末10−1〜10−17の各々は、図1中に示したスモールセル領域ARS1〜ARS3のいずれかの範囲内のように比較的小さい領域内での狭域の無線通信と、全体領域ARLに相当する範囲内の比較的大きい広域の無線通信との両方に対応している。

0040

なお、本実施形態における「広域」は、例えば3メートル程度の大きさ、「狭域」は例えば1メートル程度の大きさになると想定される。これにより、自車両内の車両用無線通信システムが送信した電波が、他の車両内の無線通信や、その他の自車両外部の様々な無線通信に影響を与えるのを抑制できる。

0041

<ネットワークの構成例>
本発明の実施形態の車両用無線通信システムにおけるネットワークの構成例を図2に示す。すなわち、図1に示した無線通信端末10−1〜10−17を用いて、図2に示すような無線通信のネットワークを形成することができる。

0042

図2に示したネットワークにおいては、互いに異なる4つのスモールセル領域AR−A、AR−B、AR−C、およびAR−Dが形成されている。ここで、互いに隣接している2つのスモールセル領域AR−A、AR−Bは、一部分が重なった状態になっている。互いに隣接している2つのスモールセル領域AR−B、AR−Cも同様である。互いに隣接している2つのスモールセル領域AR−C、AR−Dも同様である。

0043

図2の例では、Aグループに相当するスモールセル領域AR−Aに、3つのノードNA−1、NA−2、およびNA−3が含まれている。また、Bグループに相当するスモールセル領域AR−Bに、4つのノードNB−1、NB−2、NB−3、およびNB−4が含まれている。また、Cグループに相当するスモールセル領域AR−Cに、4つのノードNC−1、NC−2、NC−3、およびNC−4が含まれている。また、Dグループに相当するスモールセル領域AR−Dに、3つのノードND−1、ND−2、およびND−3が含まれている。

0044

図2に示した各ノードの中でスモールセル領域AR−AのノードNA−3と、スモールセル領域AR−BのノードNB−1とは共通であり、1台の無線通信端末10により構成される。スモールセル領域AR−BのノードNB−4と、スモールセル領域AR−CのノードNC−1についても同様である。また、スモールセル領域AR−CのノードNC−4と、スモールセル領域AR−DのノードND−1についても同様である。また、他のノードNA−1、NA−2、NB−2、NB−3、NC−2、NC−3、ND−2、およびND−3はそれぞれ1台の無線通信端末10により構成される。

0045

図2の例では、スモールセル領域AR−A内の各ノードNA−1〜NA−3は、無線通信回線により互いに接続可能な状態で配置されている。スモールセル領域AR−B内の各ノードNB−1〜NB−4についても同様である。また、スモールセル領域AR−C内の各ノードNC−1〜NC−4についても同様である。スモールセル領域AR−D内の各ノードND−1〜ND−3についても同様である。

0046

また、ノードNA−3とノードNB−1とが共通であるので、この共通のノードを経由することにより、互いに隣接しているスモールセル領域AR−AとAR−Bとの間で通信経路を確保することができる。同様に、ノードNB−4とノードNC−1とが共通であるので、互いに隣接しているスモールセル領域AR−BとAR−Cとの間で通信経路を確保できる。また、ノードNC−4とノードND−1とが共通であるので、互いに隣接しているスモールセル領域AR−CとAR−Dとの間で通信経路を確保できる。

0047

本実施形態においては、各ノードの位置に配置される無線通信端末10は、各スモールセル領域AR−A〜AR−Dに相当する狭い範囲の無線通信の他に、全体領域ARLに相当する広い範囲の無線通信を行う機能も備えている。したがって、必ずしも上記の共通のノードを設けなくても、全体領域ARLの内側の全てのノードが互いに無線通信することが可能である。

0048

<ネットワークの設計方法
図2に示したような通信ネットワークを実際に設計する場合には、例えば図1に示した無線通信端末10−1〜10−17を複数のグループに区分して、各々のグループを、例えば図2に示したスモールセル領域AR−A〜AR−Dのいずれかに対応付ける。そして、隣接する複数のスモールセル領域AR−A〜AR−Dを互いに接続するようにネットワークを構成する。複数のスモールセル領域間接続関係は予め決めておく。また、複数のスモールセル領域に跨がるノードを1つ以上含めるようにグループを作成することが望ましい。そして、スモールセル領域AR−A〜AR−Dの各々について、セル内のみで経路設計を行う。セル内の経路設計については、例えば「ダイナミックルーティング」の手順を用いることにより自動的に処理することができる。

0049

<ネットワーク上の一般的な通信動作例>
図2に示した通信ネットワークにおいて、送信元のノードNA−1からノードND−2を宛先としてデータを送信する場合を想定した一般的な動作例について、以下に説明する。但し、本実施形態のシステムの場合には、以下に示した動作とは異なる特別な動作を行うことができる。これについては後で説明する。

0050

1.ノードNA−1では、宛先がノードND−2の通信なので、自セルであるスモールセル領域AR−Aから、AR−B、AR−Cを経由して宛先を含むスモールセル領域AR−Dに繋がることを確認する。ここで、スモールセル領域AR−A、AR−B、AR−C、AR−Dの間のつながりが固定である場合には、例えば所定のテーブルに保持してある情報を参照することで、つながりを確認できる。なお、スモールセル領域AR−A、AR−B、AR−C、AR−Dの間のつながりが可変の場合には、例えば定期的に最新の状態を把握してテーブルに反映するように制御すればよい。

0051

2.宛先のノードを含むスモールセル領域AR−Dまでデータを転送するためには、まず自セルに隣接するスモールセル領域AR−Bにデータを送る必要があるので、ノードNA−1から、2つのスモールセル領域AR−A、AR−Bを跨ぐ位置に存在するノードNA−3までの通信経路を作成する。具体的には、送信元のノードNA−1の動作を契機として、スモールセル領域AR−A内で「ダイナミックルーティング」の手順が実行され、このセル内における各ノードの接続が確認され、通信に利用可能な適切な経路が自動的に作成される。

0052

3.上記の処理により作成した経路に従い、スモールセル領域AR−A内の各ノードが、ノードNA−1の出力した送信データをノードNA−3まで転送する。

0053

4.ここで、ノードNA−3がノードNB−1と共通であるので、ノードNB−1が受け取った送信データに基づき、スモールセル領域AR−B内で、上記「2.」「3.」と同様の動作を行う。これにより、スモールセル領域AR−B内でノードNB−1からノードNB−4までの経路が作成され、この経路を利用して、ノードNB−1の送信データがノードNB−4まで転送される。

0054

5.また、ノードNB−4がノードNC−1と共通であるので、ノードNC−1が受け取った送信データに基づき、スモールセル領域AR−C内で、上記「2.」「3.」と同様の動作を行う。これにより、スモールセル領域AR−C内でノードNC−1からノードNC−4までの経路が作成され、ノードNC−1の送信データがノードNC−4まで転送される。

0055

6.また、ノードNC−4がノードND−1と共通であるので、ノードND−1が受け取った送信データに基づき、スモールセル領域AR−D内で、「ダイナミックルーティング」の手順が実行され、このセル内における各ノードの接続が確認され、通信に利用可能な適切な経路が自動的に作成される。この経路に基づき、スモールセル領域AR−D内でノードND−1から宛先のノードND−2までの経路を特定し、ノードND−1の送信データがノードND−2まで転送される。

0056

なお、宛先のノードが送信元のノードに向けてデータを返信する場合には、送信元から宛先にデータを送信する場合と同一の経路を利用して逆方向に向かってデータを伝送する。また、各セル内で上記の経路を作成するための処理を事前に行い、その結果得られた情報を各ノードが保持しておくこともできる。その場合には、実際の送信データを転送する際に、上記の経路を作成するための所要時間が大幅に短縮される。

0057

図2に示したような通信ネットワークにおいては、多数のノードを必要に応じて利用できるので、様々な経路を選択的に利用してデータの送信元から送信先(宛先)までの通信経路を確保することが可能である。しかし、通信可能な相手ノードの数が多いので、経路を探索する際や、実際にデータを伝送する際の効率が低下する。すなわち、通信経路が確定していない状態で経路の探索を実施する時には、実際には使えない経路の相手ノードに対してもパケット等の信号をそれぞれ送信する必要があるため、相手ノードの数が増えると無駄なトラフィックが増えてネットワーク上の通信処理の負荷が増大し、信号の伝送遅延時間が増大する。また、通信経路が確定した後においても、この通信経路上で信号を中継するノードの数が増えるので、信号の伝送遅延時間が増大する。

0058

しかし、本実施形態のシステムにおいては、各無線通信端末10が各スモールセル領域AR−A〜AR−Dの範囲内で無線通信する機能の他に、全体領域ARLの範囲で無線通信する機能も備えている。したがって、例えばスモールセル領域AR−A内のノードNA−1が、スモールセル領域AR−D内のノードND−2を宛先としてデータを送信する場合に、スモールセル領域AR−A内からスモールセル領域AR−D内の各ノードとの間で直接無線送信することも可能である。この機能を利用して通信経路を適切に変更すると、送信元と宛先との間の経路における中継回数が減り、送信データの遅延時間が短縮される。また、ネットワーク上に発生するトラフィックも減らすことができる。

0059

<無線通信端末の構成例>
本発明の実施形態の車両用無線通信システムが使用する1つの無線通信端末10の構成例を図3に示す。図3に示した無線通信端末10は、広域通信モジュール21、狭域通信モジュール22、通信成功判別機能23、受信宛先判別機能24、受信データ出力機能25、出力インタフェース(I/F)26、入力インタフェース27、通信データ作成機能28、送信宛先判別機能29、優先度判別機能30、ルート検出・構築機能31、アンテナ32および33を備えている。

0060

また、広域通信モジュール21は広域無線受信機能21aおよび広域無線送信機能21bを含み、狭域通信モジュール22は狭域無線受信機能22aおよび狭域無線送信機能22bを含んでいる。

0061

なお、図3に示した無線通信端末10の各機能は、専用のハードウェアを用いて構成することもできるし、マイクロコンピュータを含む必要最小限のハードウェアとこのマイクロコンピュータが実行するソフトウェアとを用いて実現することもできる。

0062

広域無線受信機能21aおよび広域無線送信機能21bは、車両内の全体をカバーし、例えば図1に示した全体領域ARLの範囲内のどこでも中継なしに、送信元の端末と宛先の端末との間で直接無線通信ができるような特性を有する無線通信形式で無線信号の受信および送信を行う機能を有している。具体的には、通信系路上に障害物があっても電波回折などにより、送信した電波が目的の端末まで届きやすい通信形式を用いる。また、全体領域ARLのどこにでも電波が届くように、広域無線送信機能21bの送信出力は比較的大きく定める。

0063

一方、狭域無線受信機能22aおよび狭域無線送信機能22bは、全体領域ARLよりも小さい範囲、例えば図1に示したスモールセル領域ARS1〜ARS3のいずれかに限定した領域内の端末間で無線信号の受信および送信を行う機能を有している。狭域無線受信機能22aおよび狭域無線送信機能22bが採用する無線通信形式は、広域無線受信機能21a、広域無線送信機能21bとは異なり、スモールセルに適した特性のものとする。すなわち、小さなエリア内で確実に通信できるように干渉牲能を高めたり、高速通信を行うのに適した通信形式を用いる。また、狭域無線通信の通信エリアは広域無線通信よりも狭いので、狭域無線送信機能22bの送信出力は広域無線送信機能21bよりも小さく制限される。

0064

通信成功判別機能23は、広域無線受信機能21a又は狭域無線受信機能22aの受信データから、その通信が成功しているのか否かを判別する。
受信宛先判別機能24は、広域無線受信機能21a又は狭域無線受信機能22aから入力された受信データが自端末宛であるか否かを判別する。

0065

受信データ出力機能25は、無線通信により受信したデータが、自端末宛データであれば、このデータを出力インタフェース26を経由して外部へ出力する。例えば、自車両に搭載された電子制御モジュール(ECU)などの機器が出力インタフェース26と接続され、このECU上で動作するアプリケーションソフトウェアなどに対して、受信データが渡される。

0066

入力インタフェース27には、データを出力可能な様々な車載機器を接続することが可能である。例えば、ドアスイッチ窓開閉スイッチホーンラジオスイッチシートベルトセンサステアリングセンサワイパスイッチのような電装品の状態を表すデータを出力する機器が必要に応じて入力インタフェース27と接続される。

0067

通信データ作成機能28は、車載機器から入力インタフェース27を経由してこの無線端末へ入力されたデータに基づき、通信に必要な情報を付加して、通信データを生成する。例えば、図7に示すようなフレーム構成の通信データを通信データ作成機能28が作成する。図7に示したフレーム構成の信号は、送信元アドレスAs1、送信先アドレスAr1、送信元アドレスAs2、送信先アドレスAr2、データ種別k1、データD、およびエラーチェックコードを含んでいる。

0068

送信元アドレスAs2にはデータ送信要求が発生したノードのアドレスが格納され、送信先アドレスAr2には、データ送信の目的ノード(宛先)のアドレスが格納される。また、送信元アドレスAs1および送信先アドレスAr1には、実際の通信の送信元および送信先ノードのアドレスがそれぞれ格納される。また、送信元が送信するデータの本体はデータDに格納される。データ種別k1は、例えばデータDを送出した車載機器の種類やIDなどの情報を表す。

0069

送信宛先判別機能29は、通信データ作成機能28から入力される通信データに基づいてそのデータの送信先を決定する。

0070

優先度判別機能30は、入力された通信データと送信宛先判別機能29が判別した送信先の情報を基に、通信データの優先度を決定する。また、決定した通信データの優先度に基づいて、この通信データの送信に用いる通信手段として、広域無線通信と狭域無線通信とのいずれか一方を優先度判別機能30が選択する。詳細については後述する。

0071

ルート検出・構築機能31は、優先度判別機能30が狭域無線通信を選択した場合に、通信データの宛先情報から無線通信経路を決定する。なお、自端末のノードが所属しているスモールセル内で利用可能な経路については、事前に定めておくこともできるし、例えば「ダイナミックルーティング」により自動的に決定することもできる。

0072

アンテナ32は、広域無線受信機能21aおよび広域無線送信機能21bと接続されている。アンテナ33は、狭域無線受信機能22aおよび狭域無線送信機能22bと接続されている。すなわち、広域通信モジュール21が広域無線通信を行う場合には広域無線通信に適したアンテナ32を使用し、狭域通信モジュール22が狭域無線通信を行う場合には狭域無線通信に適したアンテナ33を使用する。

0073

<無線通信端末10の特徴的な動作の説明>
<データ優先度の決定>
各ノード位置の無線通信端末10におけるデータ優先度決定処理の概要を図4に示す。すなわち、送信対象のデータが受信宛先判別機能24又は送信宛先判別機能29から優先度判別機能30に入力された場合に、図4に示したデータ優先度決定処理を優先度判別機能30が実行する。図4の動作について以下に説明する。

0074

優先度判別機能30は、入力された送信対象データの種別k1をS11で特定する。この種別k1は、例えばドアスイッチ、窓開閉スイッチ、ホーン、ラジオスイッチ、シートベルトセンサ、ステアリングセンサ、ワイパスイッチなどのように、送信対象データに対応する車載機器を特定可能な情報とすることが想定される。

0075

実際には、通信データ作成機能28が作成する通信データや、広域無線受信機能21a又は狭域無線受信機能22aが受信した通信データに、図7に示すようにデータ種別k1の情報が含まれているので、この通信データから種別k1を特定できる。

0076

また、優先度判別機能30は入力された送信対象データの宛先k2をS12で特定する。受信宛先判別機能24又は送信宛先判別機能29から優先度判別機能30に入力される通信データには、図7に示すように「送信先アドレスAr2」として送信先(宛先)のノードを表す情報が含まれている。したがって、優先度判別機能30は入力された通信データから宛先k2の情報を抽出し取得できる。

0077

優先度判別機能30は、例えば予め用意された優先度テーブルTB1を参照することができる。本実施形態では、優先度テーブルTB1は、データ種別k1および宛先k2の様々な組合せのそれぞれについて、事前に定めた優先度の情報を保持している。

0078

そこで、優先度判別機能30はS11で特定した種別k1およびS12で特定した宛先k2をパラメータとして優先度テーブルTB1を参照し、k1、k2の組合せに対応する優先度Pxを、S13で優先度テーブルTB1から取得する。つまり、データの種別と宛先の情報に基づき、該当する通信データに対する適切な優先度Pxを決定する。

0079

<送信処理の概要>
各ノード位置の無線通信端末10における送信処理の概要を図5に示す。すなわち、各無線通信端末10がインタフェース27から入力される送信要求に従い、インタフェース27に入力されるデータを無線信号として他ノードの端末に送信する際に、該当する送信対象データの優先度を判別するために、優先度判別機能30が図5に示した送信処理(Send)を実行する。

0080

テップS21では、優先度判別機能30が送信対象の通信データの優先度Pxを、事前に定めた優先度基準値Prと比較する。ここで、通信データの優先度Pxは図4のS13で決定した値である。

0081

通信データの優先度Pxが優先度基準値Prよりも大きい場合には、優先度判別機能30はこの通信データの送信に用いる無線通信手段として、広域通信モジュール21をS22で選択する。

0082

通信データの優先度Pxが優先度基準値Pr以下の場合には、優先度判別機能30はこの通信データを狭域無線通信で送信する場合の通信経路を特定するために、S23でルート検出・構築機能31に対して指示を与える。ルート検出・構築機能31は、優先度判別機能30の指示に従い、該当する通信データを指定された宛先まで届けるのに適した通信経路を求める。また、優先度判別機能30は、該当する通信データの送信に用いる無線通信手段として、狭域通信モジュール22をS24で選択する。

0083

<送信の場合の動作例>
車両においては、運転の安全性を確保することが非常に重要であるので、例えば車両の操舵と関連のあるステアリングセンサが出力するデータに対しては通常は高い優先度が割り当てられる。したがって、このようなデータを無線通信端末10が送信しようとする場合には、図5のS21の条件(Px>Pr)を満たすことになり、S22が実行される。つまり、広域通信モジュール21を使用して通信データを無線送信する。

0084

この場合、入力インタフェース27から入力されるデータに基づいて、通信データ作成機能28で通信データが生成される。この通信データは、送信宛先判別機能29を通って優先度判別機能30に入力される。そして、優先度判別機能30がS22で広域無線通信を選択するので、通信データは優先度判別機能30から広域無線送信機能21bを通り、アンテナ32から電波として送信される。

0085

ここで、広域通信モジュール21の通信範囲は全体領域ARLであるので、送信元と宛先のノード間距離の大小とは無関係に、中継なしに1回の無線通信だけで、送信元から宛先にデータを届けることが可能である。したがって、無線通信に伴って発生するデータの伝送遅延時間を最小限にできる。

0086

一方、パワーウィンドウなどの機器の動作は運転の安全性とは直接関係がないので、このような機器のデータに対しては通常は低い優先度が割り当てられる。したがって、このようなデータを無線通信端末10が送信しようとする場合には、図5のS21の条件(Px>Pr)を満たさないことになり、S23、S24が実行される。つまり、ルート検出・構築機能31で適切な経路を選択し、狭域通信モジュール22を使用して通信データを無線送信する。

0087

この場合、入力インタフェース27から入力されるデータに基づいて、通信データ作成機能28で通信データが生成される。この通信データは、送信宛先判別機能29を通って優先度判別機能30に入力される。そして、優先度判別機能30がS24で狭域無線通信を選択するので、通信データは優先度判別機能30からルート検出・構築機能31および狭域無線送信機能22bを通り、アンテナ33から電波として送信される。

0088

ここで、狭域通信モジュール22の通信範囲はスモールセル領域ARS1〜ARS3のいずれかのように比較的小さいので、送信元と宛先のノードが隣接した位置に存在する場合以外は、他のノードで通信の中継を行う必要がある。また、送信元と宛先のノード間の距離が大きい場合には、複数のスモールセル領域ARS1〜ARS3を跨ぐような経路を利用して通信を中継することになり、中継回数が増えて遅延時間が増大する。また、ネットワーク上に送出されるトラフィック量が増えると、各ノードにおける通信の待ち時間も増えることになり、無線通信に伴って発生するデータの伝送遅延時間が更に増大する可能性がある。

0089

ただし、狭域通信モジュール22の通信範囲は狭いことから、データ送信時に干渉を受けるノード数は、広域通信モジュール21により送信する場合よりも少なくなる。したがって、広域通信モジュール21を利用して送信する通信データは、運転の安全性と関係のある通信データなど他のデータ送信よりもできるだけ優先して送信されるべき通信データが選ばれる。

0090

<受信処理の概要>
各ノード位置の無線通信端末10における受信処理の概要を図6に示す。すなわち、他ノードの無線通信端末10から送信された電波を自ノードの無線通信端末10が受信し、通信に成功した場合に、無線通信端末10内の各機能が図6の受信処理(Recv)を実行する。

0091

受信宛先判別機能24は、広域無線受信機能21a又は狭域無線受信機能22aが受信した受信データの宛先(図7の送信先アドレスAr2)と自ノードのアドレスとを比較し、この受信データが自ノード宛てか他ノード宛てかをS31で判別する。

0092

無線通信端末10が自ノード宛てのデータを受信した場合には、この受信データを受信データ出力機能25がデータ処理する。すなわち、受信データ出力機能25は図7に示すようなフレームの中からデータDを抽出し、これを出力インタフェース26に接続された車載機器のアプリケーションソフトウェアなどに渡す。

0093

無線通信端末10が他ノード宛てのデータを受信した場合には、このデータの優先度Pxを図4と同様の処理により優先度判別機能30が特定する。更に、優先度判別機能30は受信データの優先度Pxと優先度基準値PrとをS33で比較する。ここで、受信データの優先度Pxは受信したフレーム(図7参照)に含まれているデータ種別k1に基づき図4のS13と同様の処理により決定した値である。

0094

受信データの優先度Pxが優先度基準値Prよりも大きい場合には、優先度判別機能30はこの受信データを他ノードへ中継するための送信に用いる無線通信手段として、広域通信モジュール21をS34で選択する。

0095

受信データの優先度Pxが優先度基準値Pr以下の場合には、優先度判別機能30はこの受信データを狭域無線通信で送信する場合の通信経路を特定するために、S35でルート検出・構築機能31に対して指示を与える。ルート検出・構築機能31は、優先度判別機能30の指示に従い、該当する受信データを指定された宛先まで中継して届けるのに適した通信経路を求める。また、優先度判別機能30は、該当する受信データの送信に用いる無線通信手段として、狭域通信モジュール22をS36で選択する。

0096

<受信の場合の動作例>
データの送信要求が発生した送信元ノードの無線通信端末10が広域通信モジュール21を利用し、全体領域ARLの範囲に通信データの電波を送信した場合であっても、この電波が宛先ノードの無線通信端末10に直接届く場合と、中継が必要な場合とが生じうる。送信元ノードが送信した電波が宛先ノードに直接届いた場合には、この宛先ノードの無線通信端末10において図6のS31、S32が実行されるので、この無線通信端末10から宛先の車載機器に受信データを渡すことができる。

0097

送信元ノードの無線通信端末10が送信した電波が宛先ノードの無線通信端末10に直接届かなかった場合には、他のノードの無線通信端末10が宛先ノードの代わりにこの電波を受信してそのデータを中継する。中継する無線通信端末10は、受信したデータについて、図6のS33で優先度Pxと優先度基準値Prとを比較した結果に応じて広域通信モジュール21および狭域通信モジュール22のいずれか一方を中継送信用に選択する。 すなわち、送信元ノードが広域通信モジュール21を用いて送信した場合には、他のノードが中継する場合にも広域通信モジュール21を用いてS34でデータを送信する。また、送信元ノードが狭域通信モジュール22を用いて送信した場合には、他のノードが中継する場合にも狭域通信モジュール22を用いてS36でデータを送信する。なお、後述するように、各ノードが宛先までの距離を把握している場合には、距離に応じて広域無線通信と狭域無線通信とを選択するようにしてもよい。この場合には、例えば宛先までの距離が短くこれ以上の中継が不要であることが確実なことを条件に狭域無線通信が行われるようになる。

0098

<データ優先度決定に関する変形:変形例−1>
図4に示したデータ優先度決定処理の変形例を図8に示す。すなわち、送信対象のデータが受信宛先判別機能24又は送信宛先判別機能29から優先度判別機能30に入力された場合に、図8に示したデータ優先度決定処理を優先度判別機能30が実行する。図8の動作について以下に説明する。

0099

車両においては、運転の安全性を確保することが非常に重要であるので、例えば車両の操舵と関連のあるステアリングセンサが出力するデータに対しては通常は高い優先度が割り当てられる。また、例えばパワーウインドウのスイッチが出力するデータは、車両の運転と直接の関連がないので、通常は低い優先度が割り当てられる。したがって、通常はステアリングセンサの通信データの優先度Pxは、パワーウインドウのスイッチの通信データと比べて高くなる。

0100

一方、自車両が交通事故に遭遇し乗員が車両内から脱出する必要があるような緊急時においては、運転の安全性よりも、脱出を容易にすることが重要になる。したがって、状況によってはパワーウインドウのスイッチの通信データの優先度Pxを、ステアリングセンサの通信データの優先度よりも高くした方がよい場合もある。

0101

そこで、図8に示したデータ優先度決定処理においては、状況に応じて使い分けできるように、通常走行用の優先度テーブルTB2と、緊急用の優先度テーブルTB3とを個別に予め用意してある。

0102

すなわち、通常走行用の優先度テーブルTB2においては、例えばステアリングセンサの通信データの優先度Pxがパワーウインドウのスイッチの通信データと比べて高くなるようなデータが事前に登録してある。また、緊急用の優先度テーブルTB3においては、例えばパワーウインドウのスイッチの通信データの優先度Pxがステアリングセンサの通信データの優先度よりも高くなるようなデータが事前に登録してある。

0103

無線通信端末10の優先度判別機能30は、自車両の現在の状態を表す情報をS41で取得し、その状態に応じて優先度テーブルTB2、TB3のいずれかをS42で選択する。例えば、車両のエアバッグが作動した場合や、大きな加速度を検出し、且つ自車両が停止しているような状況であれば、緊急時とみなして優先度判別機能30が優先度テーブルTB3を選択する。緊急時でなければ、優先度テーブルTB2を選択する。

0104

また、図8のS45では、優先度判別機能30はS42で選択した優先度テーブルTB2又はTB3を利用し、データの種別k1および宛先k2に基づいて優先度Pxを決定する。

0105

<送信処理に関する変形:変形例−2>
図5に示した送信処理の変形例を図9に示す。すなわち、各無線通信端末10がインタフェース27から入力される送信要求に従い、インタフェース27に入力されるデータを無線信号として他ノードの端末に送信する際に、該当する送信対象データの優先度を判別するために、優先度判別機能30が図9に示した送信処理(Send)を実行する。

0106

図9の送信処理においては、同時に複数の送信要求が発生したか否かをS51で識別する。そして、同時に複数の送信要求が発生した場合には、次のS52で複数の送信要求の処理順序を各データの種別k1に応じて決定する。つまり、複数のデータの中で優先すべきデータ(例えば許容可能な遅延時間が短いデータ)を先に処理するように処理の順序を決める。

0107

また、優先度Pxを識別する前に、S53で宛先k2の距離の大きさを例えば所定の閾値と比較して近いか否かを識別する。そして、距離が近い場合にはS53からS56、S57に進み、狭域無線通信を選択する。

0108

宛先k2の距離が近くない場合は、次のS54で優先度Pxを参照し、図5の送信処理の場合と同様に、優先度Pxに応じて広域無線通信と狭域無線通信のいずれかを選択する(S55、S57)。

0109

なお、例えば図9のS53を省略し、その代わりに図4のS13で優先度Pxを決定する際に、宛先k2の距離が近い場合には優先度Pxを低くするように処理してもよい。その場合も、図9の処理と同様に宛先k2の距離が近い場合に、狭域無線通信が選択される。また、図9に示した各ステップS51〜S53と同じ処理を、図6に示した受信処理のS31とS33の間に追加してもよい。これにより、データを中継する際にも図9と同様の動作を行うことができる。

0110

<車両用無線通信システムの変形の可能性>
なお、図3に示した無線通信端末10は、送信対象データの種別や優先度に応じて広域通信モジュール21と狭域通信モジュール22との切替を行ったり、通信形式の切替を行っているが、更に、通信相手の方向に合わせてアンテナ32および33の指向性を切り替えるように制御してもよい。

0111

また、狭域通信モジュール22を用いて狭域無線通信を行う場合の送信元と宛先との間の通信経路の選択については、既存の様々な技術を利用することが考えられる。また、例えば特許文献3に示されている技術を利用して通信経路を選択してもよい。

0112

なお、図3に示した無線通信端末10の構成においては、通信データ作成機能28の作成した通信データに対して送信宛先判別機能29の処理を行った後で、優先度判別機能30の処理を行っているが、順番を逆にして、優先度判別機能30の処理を行ってから送信宛先判別機能29の処理を行ってもよい。

0113

なお、広域通信モジュール21の通信形式の具体例としては、狭帯域特性を有する通信形式を採用することが想定され、狭域通信モジュール22の通信形式の具体例としては、広帯域特性を有する通信形式を採用することが想定される。但し、このような通信形式は必要に応じて適宜変更される。

0114

<変形例−3>
図5に示した送信処理の変形例を図10に示す。すなわち、各無線通信端末10がインタフェース27から入力される送信要求に従い、インタフェース27に入力されるデータを無線信号として他ノードの端末に送信する際に、図10に示した送信処理(Send)が実行される。

0115

図10の送信処理においては、優先度判別機能30は、自車両の現在の状態を表す情報をS61で取得する。S61で取得する情報の中には、自車両の事故発生、すなわち衝突検知を表す情報も含まれる。例えば、エアバッグが作動するような大きな加速度を検知した場合には、これを自車両の衝突検知とみなして処理する。

0116

なお、自車両に搭載されているいずれかの車載機器が自車両の衝突を検知した場合には、その情報を全ての無線通信端末10が共有できるようにする。例えば、衝突を検知した車載機器に接続された無線通信端末10が、この情報を他の全ての無線通信端末10に向けてブロードキャストで送信する。

0117

通信データ作成機能28は、入力インタフェース27から入力された入力データに通信に必要な情報を付加して、送信対象の通信データを作成する(S62)。
送信宛先判別機能29は、通信データ作成機能28が作成した通信データから、その送信先を決定する(S63)。

0118

優先度判別機能30は、送信宛先判別機能29から入力される通信データに対して、例えば図4又は図8に示した処理を実行することにより、優先度Pxを決定する(S64)。また、S61で衝突検知状態を把握しているような場合には、乗員が車外へ脱出するために必要な窓やドアの開閉など、命の危険に関わるボタン等の操作情報については、通信データの優先度Pxを最高にして、優先度基準値Prを上回るようにする。

0119

優先度判別機能30は、S61で取得した情報に基づき、緊急度の高い状態か否かをS65で識別する。例えば、S61で衝突検知状態を把握しているような緊急時にはS65からS67に進む。緊急度の低い状態であればS65からS66に進む。

0120

優先度判別機能30は、S64で決定した通信データの優先度Pxを優先度基準値Prと比較し(S66)、「Px>Pr」であればS67に進み、「Px≦Pr」であればS68に進む。

0121

S68では、ルート検出・構築機能31が、狭域無線通信による宛先までの通信経路(通信ルート)を検出する。宛先まで狭域無線通信で通信できる状態であればS68からS69に進む。

0122

一方、無線機器の故障発生などに起因して宛先までの通信経路を確保できない状態であれば、ルート検出・構築機能31の「通信可否判定」機能が緊急度が高い状態とみなしてS68からS67に進む。

0123

例えば、宛先までの通信経路上で、送信した通信データに対する肯定応答(ACK)が一定時間以内に返ってこないような場合には、通信経路の生成に失敗したものとみなす。あるいは、狭域無線通信を行う無線通信端末10同士の間で、一定の時間周期ビーコン信号の送受信を行うように規定しておき、ビーコン信号を一定期間受信できない状態であれば、該当する通信経路は通信不可能とみなす。

0124

したがって、自車両の衝突検知状態のような緊急時である場合、通信データの優先度Pxが優先度基準値Prを超える場合、および故障等に起因して狭域無線通信で通信経路を確保できない場合に、広域通信モジュール21によりS67で広域無線通信が実行される。

0125

また、緊急時以外で、通信データの優先度Pxが優先度基準値Pr以下であり、且つ狭域無線通信で通信経路を確保できる状態であれば、狭域通信モジュール22によりS69で狭域無線通信が実行される。

0126

図6に示した受信処理の変形例を図11に示す。すなわち、他ノードの無線通信端末10から送信された電波を自ノードの無線通信端末10が受信した場合に、無線通信端末10内の各機能が図11の受信処理(Recv)を実行する。
通信成功判別機能23は、狭域無線受信機能22a又は広域無線受信機能21aが、他ノードの無線通信端末10から電波により送信された通信データの受信に成功したか否かをS71で識別し、成功の場合にS72に進む。

0127

受信宛先判別機能24は、狭域無線受信機能22a又は広域無線受信機能21aの受信した通信データの宛先が自ノードか否かをS72で識別する。自ノード宛ての通信データを受信した場合はS73に進み、受信データ出力機能25がデータ処理を行い、その結果を出力インタフェース26を介してアプリケーションソフトウェアに渡す。

0128

他ノード宛ての通信データを受信した場合は、それを中継処理するためにS74に進む。その場合は、優先度判別機能30が図10のS61と同様に、自車両の現在の状態を表す情報を取得する(S74)。また、優先度判別機能30が中継する通信データの優先度Pxを決定する(S75)。

0129

優先度判別機能30は、S74で取得した情報に基づき、緊急度の高い状態か否かをS76で識別する。例えば、S74で衝突検知状態を把握しているような緊急時にはS76からS78に進む。緊急度の低い状態であればS76からS77に進む。

0130

優先度判別機能30は、S75で決定した通信データの優先度Pxを優先度基準値Prと比較し(S77)、「Px>Pr」であればS78に進み、「Px≦Pr」であればS79に進む。

0131

S79では、ルート検出・構築機能31が、狭域無線通信による宛先までの通信経路(通信ルート)を検出する。宛先まで狭域無線通信で通信できる状態であればS79からS80に進む。また、無線機器の故障発生などに起因して宛先までの通信経路を確保できない状態であれば、ルート検出・構築機能31の「通信可否判定」機能が緊急度が高い状態とみなしてS79からS78に進む。

0132

したがって、各無線通信端末10が通信データを中継する場合にも、自車両の衝突検知状態のような緊急時である場合、通信データの優先度Pxが優先度基準値Prを超える場合、および故障等に起因して狭域無線通信で通信経路を確保できない場合に、広域通信モジュール21によりS78で広域無線通信が実行される。

0133

また、緊急時以外で、通信データの優先度Pxが優先度基準値Pr以下であり、且つ狭域無線通信で通信経路を確保できる状態であれば、狭域通信モジュール22によりS80で狭域無線通信が実行される。

0134

なお、図10の処理においてはS65で緊急時か否かを識別しているが、S64で緊急度を優先度Pxに反映する場合には、S65を省略しても構わない。その場合は、次のS66の判別により、緊急時に広域無線通信を優先的に選択することができる。図11の受信処理についても同様である。

0135

<車両用無線通信システムの利点>
以上のように、本発明の実施形態に係る車両用無線通信システムによれば、各無線通信端末10が通信データの無線送信を行う場合に、データの種別k1やその優先度Pxに応じて広域通信モジュール21および狭域通信モジュール22のいずれか一方を選択することになる。したがって、同じ通信相手との間で通信するために、広域通信モジュール21および狭域通信モジュール22の両方のリソースを同時に確保する必要はなく、使用していない残りのリソースは、他の通信相手との通信を行う場合に利用できる。つまり、無線通信のための限られたリソースを有効に利用して、効率よく通信できる。また、ネットワークに送出されるトラフィック量を削減できる。

0136

また、各無線通信端末10が優先度の高い通信データを送信する場合には、常に広域通信モジュール21を選択し全体領域ARLの範囲で無線通信を行うので、無線通信に伴う通信の遅延時間を短縮し、確実に通信品質を上げることができる。

0137

また、各無線通信端末10は、通信データの無線送信を行う場合にデータの種別k1やその優先度Pxに応じて広域通信と狭域通信とを切り替えるので、送信元の車載機器におけるアプリケーションソフトウェアの動作を監視する必要はなく、制御が容易になる。

0138

また、無線通信端末10が図4に示したデータ優先度決定処理を実行する場合には、送信対象データの種別k1と、その宛先k2との組合せ毎にそれぞれ適切な優先度Pxを割り当てることができる。

0139

また、無線通信端末10が図8に示したデータ優先度決定処理を実行する場合には、車両の状況に応じて、例えば緊急時に、各通信データの優先度の高低を適切に切り替えることができる。

0140

また、各無線通信端末10が図10および図11の処理を実行することにより、衝突など自車両の事故が発生した場合や、車載システムに含まれる一部の無線通信端末10の故障発生により狭域無線通信で通信経路を確保できないような緊急時に、広域無線通信を自動的に選択できる。これにより、緊急度の高い通信を行う場合に、通信遅延時間を短縮できる。また、緊急度や優先度が低い通信を行う際には、狭域無線通信を選択することにより、多数の無線通信端末10からそれぞれ送信される電波の干渉や影響を抑制できる。

0141

ここで、上述した本発明の実施形態に係る車両用無線通信システムの特徴をそれぞれ以下[1]〜[7]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 車両上に搭載され、前記車両上で無線通信が可能な広域無線通信機能(広域通信モジュール21)、および前記広域無線通信機能に比べて無線通信可能な領域が狭い狭域無線通信機能(狭域通信モジュール22)を有する複数の無線通信端末(10)を備え、 前記各無線通信端末がデータを送信する場合に、送信対象データの種類(k1)に応じて優先度(Px)を特定し、
前記送信対象データの優先度が高い場合は少なくとも前記広域無線通信機能を選択し、前記送信対象データの優先度が低い場合は少なくとも前記狭域無線通信機能を選択して無線通信を行う(図5参照)、
ことを特徴とする車両用無線通信システム。

0142

[2] 前記各無線通信端末は、送信対象データの種類(k1)に応じた優先度(Px)を、状況の変化に対応して切り替える(図8参照)、
ことを特徴とする上記[1]に記載の車両用無線通信システム。

0143

[3] 前記広域無線通信機能、および前記狭域無線通信機能の各々は送受信機能を含み、
前記各無線通信端末は、受信したデータが自ノード宛てか否かを識別する宛先識別機能(受信宛先判別機能24)と、自ノード宛て以外の受信データを宛先に向けて無線送信する無線中継機能(優先度判別機能30:S33〜S36)とを有し、
前記無線中継機能がデータを送信する場合に、送信対象データの種類に応じて優先度(Px)を特定し、前記送信対象データの優先度が高い場合は少なくとも前記広域無線通信機能を選択し、前記送信対象データの優先度が低い場合は少なくとも前記狭域無線通信機能を選択して無線通信を行う、
ことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の車両用無線通信システム。

0144

[4] 前記広域無線通信機能は、広域の通信に適した第1の無線通信形式を利用し、
前記狭域無線通信機能は、狭域の通信に適した第2の無線通信形式を利用する、
ことを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の車両用無線通信システム。

0145

[5] 車両上に搭載され、前記車両上で無線通信が可能な広域無線通信機能(広域通信モジュール21)、および前記広域無線通信機能に比べて無線通信可能な領域が狭い狭域無線通信機能(狭域通信モジュール22)を有する複数の無線通信端末(10)を備え、
各前記無線通信端末がデータを送信する場合に、自車両における緊急度の高低を把握すると共に、少なくとも送信対象データの種類の違いを反映した優先度(Px)を特定し(S64,S75)、
前記緊急度および前記優先度に応じて、前記広域無線通信機能および前記狭域無線通信機能の一方を優先的に選択して無線通信を行う(S65〜S69,S76〜S80)、
ことを特徴とする車両用無線通信システム。

0146

[6] 自車両の事故発生を含む緊急時には、各前記無線通信端末がデータを送信する場合に、前記緊急度に基づき前記広域無線通信機能を優先的に選択して無線通信を行う(S65,S67)、
上記[5]に記載の車両用無線通信システム。

0147

[7] 各前記無線通信端末がデータを送信する際に、前記狭域無線通信機能の通信により目的の宛先までの通信経路を確保できない場合には、前記緊急度に基づき前記広域無線通信機能を優先的に選択して無線通信を行う(S68,S67)、
上記[5]に記載の車両用無線通信システム。

0148

10無線通信端末
21広域通信モジュール
21a広域無線受信機能
21b 広域無線送信機能
22 狭域通信モジュール
22a 狭域無線受信機能
22b 狭域無線送信機能
23通信成功判別機能
24受信宛先判別機能
25 受信データ出力機能
26出力インタフェース
27入力インタフェース
28通信データ作成機能
29送信宛先判別機能
30優先度判別機能
31 ルート検出・構築機能
32,33アンテナ
TB1,TB2,TB3優先度テーブル
Px優先度
Pr優先度基準値
AR−A,AR−B,AR−C,AR−Dスモールセル領域
ARL全体領域
ARS1,ARS2,ARS3 スモールセル領域
C01,C03,C04,C05,C07無線通信経路
C08,C09,C11,C12,C13,C14 無線通信経路
C15,C16 無線通信経路
NA−1,NA−2,NA−3,NB−1,NB−2,NB−3,NB−4ノード
NC−1,NC−2,NC−3,NC−4,ND−1,ND−2,ND−3 ノード

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