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技術 ティルティングパッド軸受装置及び回転機械

出願人 株式会社日立製作所
発明者 佐藤基喜辺見真高橋直彦
出願日 2018年1月16日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2018-004635
公開日 2019年7月25日 (7ヶ月経過) 公開番号 2019-124277
状態 未査定
技術分野 すべり軸受 非容積形ポンプの構造 軸受の取付、その他
主要キーワード 導油溝 高周速化 パッド摺動面 油浴状態 大型回転機 油膜温度 オイルホイップ パッド中央
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年7月25日)のものです。
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図面 (8)

課題

パッド間の油温度及びパッド温度の双方を低減し、高回転速度においても軸受摺動面温度の上昇を抑制できる、ティルティングパッド軸受装置及び回転機械を提供する。

解決手段

軸受ハウジング4に対して、それぞれピボットを介して搖動自在に設けられ、回転軸を支持する複数のティルティングパッド2を有するティルティングパッド軸受装置において、ティルティングパッドに周方向に連通した冷却流路を設け、冷却流路の入口の軸方向位置がティルティングパッド間へ油を給油する給油孔7の軸方向位置と重ならないようにする。例えば冷却流路としてティルティングパッド2の軸方向側面に周方向に連通した冷却溝12を設ける。

概要

背景

近年産業用大型回転機械では、コスト削減に伴い軸受部高周速化が求められている。それらの機械では、薄い流体膜を介して回転軸荷重を支持する滑り軸受を主に使用している。滑り軸受は、転がり軸受と比較して耐荷重性能が高く、振動減衰性にも優れる。また、遠心圧縮機のような機械では、低荷重、高回転速度といった条件下において頻繁に使用されるため、滑り軸受の中でも特に振動定性に優れたティルティングパッド軸受を採用している。

ティルティングパッド軸受は、軸受ハウジングとこれに配設された複数のピボット、及びピボットを介して支持される複数のティルティングパッドで構成されている。パッドと回転軸の間に潤滑油を供給すると、油膜内に圧力が発生して回転軸を支持できる。また、パッドはピボットにより揺動可能となっており、油膜の圧力分布に応じてその傾きが変化し、オイルホイップなどの不安定振動を抑制することができる。

ただし、油膜は圧力を発生させると同時にせん断摩擦により発熱する。温度上昇した油の一部はそのまま軸受外部に排出されるが、残りの油はパッドやハウジングへと熱を伝えるため、それらも同時に温度上昇する。パッド摺動面には低融点金属鋳込んであるため、パッド温度融解温度以下に維持する必要があり、そのためには適切な量の潤滑油を供給しなくてはならない。

ティルティングパッド軸受の潤滑油供給方法は以下の二通りが存在する。すなわち、各パッドに形成された給油孔又は隣り合うティルティングパッドの間に配置された給油ノズルから潤滑油を摺動面に供給する直接潤滑式、及び軸方向に配設されたシールにより軸受ハウジング内に潤滑油を貯留させて摺動面に給油する油浴式である。

油浴式では、給油ポンプ故障等で給油が困難となった場合でも、軸の回転が停止するまでの間、油浴内の油で潤滑を維持することが可能であり、信頼性が高い。しかしながら、軸受ハウジング内部に潤滑油を常に満たす必要があるため、撹拌損失が大きく、油浴内の温度を冷却するため給油量が多くなる。また、軸受の周速増加に伴い攪拌損失はさらに大きくなるため、より多くの油が必要となる。給油量を増加させるためには、ポンプ等の補機容量を拡大しなくてはならず、コストが増大する可能性がある。そのため、給油量は変化させず、軸受の温度上昇を抑制することが課題となる。

ティルティングパッドの表面温度および油膜温度を低下させて、潤滑油量を低減し攪拌損失を低減させるようにしたものとして、ティルティングパッドにその内部を周方向に貫通する複数の冷却流路を形成したティルティングパッド型ジャーナル軸受が提案されている(特許文献1)。

概要

パッド間の油温度及びパッド温度の双方を低減し、高回転速度においても軸受摺動面温度の上昇を抑制できる、ティルティングパッド軸受装置及び回転機械を提供する。軸受ハウジング4に対して、それぞれピボットを介して搖動自在に設けられ、回転軸を支持する複数のティルティングパッド2を有するティルティングパッド軸受装置において、ティルティングパッドに周方向に連通した冷却流路を設け、冷却流路の入口の軸方向位置がティルティングパッド間へ油を給油する給油孔7の軸方向位置と重ならないようにする。例えば冷却流路としてティルティングパッド2の軸方向側面に周方向に連通した冷却溝12を設ける。

目的

本発明の目的は、パッド間の油温度及びパッド温度の双方を低減し、高回転速度においても軸受摺動面温度の上昇を抑制できる、ティルティングパッド軸受装置及び回転機械を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

油浴式のティルティングパッド軸受装置であって、前記ティルティングパッド軸受装置が支持する回転軸の下側のティルティングパッド周方向に連通した冷却流路を備え、前記冷却流路の入口の軸方向位置はティルティングパッド間への給油孔の軸方向位置と重ならないように設けられていることを特徴とするティルティングパッド軸受装置。

請求項2

軸受ハウジングと、前記軸受ハウジングに対してそれぞれピボットを介して搖動自在に設けられ、回転軸を支持する複数のティルティングパッドと、前記軸受ハウジングの軸方向の両側面に設けられたシールとを備えたティルティングパッド軸受装置であって、少なくとも前記回転軸の下側の前記ティルティングパッドは軸方向側面に周方向に連通した冷却溝を備えることを特徴とするティルティングパッド軸受装置。

請求項3

請求項1または2に記載のティルティングパッド軸受装置において、前記ティルティングパッドは、前記回転軸の回転方向から見て上流側の前記ティルティングパッドの周方向端部に軸方向から見て断面が円弧状の溝を備えることを特徴とするティルティングパッド軸受装置。

請求項4

請求項1または2に記載のティルティングパッド軸受装置において、前記ティルティングパッドは、前記回転軸の回転方向から見て上流側の前記ティルティングパッドの周方向端部に、軸方向中央対称に、摺動面側から軸方向中央に向かって、斜めに形成された切り欠きを備えることを特徴とするティルティングパッド軸受装置。

請求項5

回転軸と、前記回転軸を支持するラジアル軸受とを備えた回転機械であって、前記ラジアル軸受として請求項1または2に記載のティルティングパッド軸受装置を用いたことを特徴とする回転機械。

技術分野

0001

本発明は、ティルティングパッド軸受装置及び回転機械に関する。

背景技術

0002

近年産業用大型回転機械では、コスト削減に伴い軸受部高周速化が求められている。それらの機械では、薄い流体膜を介して回転軸荷重を支持する滑り軸受を主に使用している。滑り軸受は、転がり軸受と比較して耐荷重性能が高く、振動減衰性にも優れる。また、遠心圧縮機のような機械では、低荷重、高回転速度といった条件下において頻繁に使用されるため、滑り軸受の中でも特に振動定性に優れたティルティングパッド軸受を採用している。

0003

ティルティングパッド軸受は、軸受ハウジングとこれに配設された複数のピボット、及びピボットを介して支持される複数のティルティングパッドで構成されている。パッドと回転軸の間に潤滑油を供給すると、油膜内に圧力が発生して回転軸を支持できる。また、パッドはピボットにより揺動可能となっており、油膜の圧力分布に応じてその傾きが変化し、オイルホイップなどの不安定振動を抑制することができる。

0004

ただし、油膜は圧力を発生させると同時にせん断摩擦により発熱する。温度上昇した油の一部はそのまま軸受外部に排出されるが、残りの油はパッドやハウジングへと熱を伝えるため、それらも同時に温度上昇する。パッド摺動面には低融点金属鋳込んであるため、パッド温度融解温度以下に維持する必要があり、そのためには適切な量の潤滑油を供給しなくてはならない。

0005

ティルティングパッド軸受の潤滑油供給方法は以下の二通りが存在する。すなわち、各パッドに形成された給油孔又は隣り合うティルティングパッドの間に配置された給油ノズルから潤滑油を摺動面に供給する直接潤滑式、及び軸方向に配設されたシールにより軸受ハウジング内に潤滑油を貯留させて摺動面に給油する油浴式である。

0006

油浴式では、給油ポンプ故障等で給油が困難となった場合でも、軸の回転が停止するまでの間、油浴内の油で潤滑を維持することが可能であり、信頼性が高い。しかしながら、軸受ハウジング内部に潤滑油を常に満たす必要があるため、撹拌損失が大きく、油浴内の温度を冷却するため給油量が多くなる。また、軸受の周速増加に伴い攪拌損失はさらに大きくなるため、より多くの油が必要となる。給油量を増加させるためには、ポンプ等の補機容量を拡大しなくてはならず、コストが増大する可能性がある。そのため、給油量は変化させず、軸受の温度上昇を抑制することが課題となる。

0007

ティルティングパッドの表面温度および油膜温度を低下させて、潤滑油量を低減し攪拌損失を低減させるようにしたものとして、ティルティングパッドにその内部を周方向に貫通する複数の冷却流路を形成したティルティングパッド型ジャーナル軸受が提案されている(特許文献1)。

先行技術

0008

特開2009−063015号公報

発明が解決しようとする課題

0009

油浴式では、軸受ハウジング内に供給された油が、パッドとパッドの間を旋回し、その領域における油の温度を低下させる。さらに低下した油は摺動面へと供給される。

0010

本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載されたティルティングパッド型ジャーナル軸受では、パッド間の油を十分に冷却できず、冷却流路によりパッド温度を低減できても、軸受摺動面の温度を十分に低減できない可能性がある。

0011

本発明の目的は、パッド間の油温度及びパッド温度の双方を低減し、高回転速度においても軸受摺動面温度の上昇を抑制できる、ティルティングパッド軸受装置及び回転機械を提供することにある。

課題を解決するための手段

0012

本発明は、ティルティングパッドに周方向に連通した冷却流路を設け、冷却流路の入口の軸方向位置がティルティングパッド間へ油を給油する給油孔の軸方向位置と重ならないようにしたことを特徴とする。

発明の効果

0013

本発明によれば、パッド間の油温度及びパッド温度の双方を低減し、高回転速度においても軸受摺動面温度の上昇を抑制できる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。

図面の簡単な説明

0014

ティルティングパッド軸受装置の横断面図。
ティルティングパッド軸受装置の縦断面図。
ティルティングパッドの斜視図。
本発明の第1の実施例におけるティルティングパッドの斜視図。
本発明の第2の実施例におけるティルティングパッドの斜視図。
本発明の第3の実施例におけるティルティングパッドの斜視図。
本発明のティルティングパッド軸受装置が適用される遠心圧縮機の構成例を示す図。

0015

以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
先ず、図1図2を参照しながら本発明が適用されるティルティングパッド軸受装置の構成例を説明する。なお、ティルティングパッド軸受装置の構成はこれに限定されるものではない。

0016

図1はティルティングパッド軸受装置の横断面図(図2におけるI−I矢視断面図)である。図2はティルティングパッド軸受装置の縦断面図である。
図1及び図2に示す軸受は、回転軸1の径方向荷重を支持する油浴式ジャーナル軸受である。図1に示すように、ティルティングパッド軸受は、複数のティルティングパッド2と、複数のピボット3と、軸受ハウジング4と、軸受ケーシング5を備えている。複数のティルティングパッド2は、回転軸1の外周面に対向するように回転軸1の周方向に配設されている。軸受ハウジング4は、複数のピボット3を介して複数のティルティングパッド2を傾動搖動)可能に支持する。軸受ケーシング5は、図2に示すように、内周が軸受ハウジング4の外周と接しこれを保持する。

0017

軸受ハウジング4の外周面には、周方向に連通した導油溝6が設けられており、導油溝6から径方向内側に向かって給油孔7が複数設けられている。また、軸受ケーシング5には、径方向内側に向かって導油溝6に連通する導油孔8が設けられている。潤滑油は導油孔8から供給され、導油溝6を通って給油孔7より軸受内(隣接するティルティングパッド2間の周方向の空間:パッド間10)へと流入する。

0018

図2に示すように、軸受ハウジング4の軸方向の両側面にはシール9が設けられている。シール9は環状の部材で形成されている。軸受内へと流入した潤滑油は、シール9によって軸受内部に貯留され、軸受内は潤滑油で満たされる油浴状態となる。そして、導油孔8から供給された油量と、同量の潤滑油が回転軸1とシール9の隙間から排出される。一般的に、回転軸1とティルティングパッド2の隙間よりも、回転軸1とシール9の隙間のほうが大きくなるよう設計されている。

0019

図1に示す回転方向Aに向かって回転軸1が回転すると、給油孔7から軸受内に流入した潤滑油は、一旦パッド間10を経由して、回転軸1とティルティングパッド2の間である摺動面11へと供給される。すると、摺動面11に薄い流体膜が形成され、油膜内部に圧力が発生し、回転軸1を支持することができる。ただし、流体膜はせん断摩擦により発熱するため、貯留された潤滑油及び軸受全体は温度上昇する。

0020

次に、本発明に至った経緯について説明する。
特許文献1に記載されたティルティングパッド型ジャーナル軸受では、ティルティングパッドにその内部を周方向に貫通する複数の冷却流路を形成し、ティルティングパッドを冷却することにより、ティルティングパッドの表面温度および油膜温度を低下させるようにしている。しかしながら、特許文献1に記載されたティルティングパッド型ジャーナル軸受では、パッドの冷却効果は期待できるが、パッド中央部に冷却流路の入口があることにより、軸受ハウジング内(パッド間)に供給された油は、パッド間を旋回せずに冷却流路へ流入することになる。これでは、パッド間の油を十分に冷却できず、パッド間から軸受摺動面に供給される油の温度が高くなってしまう。本発明者らの検討によれば、パッド間の油を十分に冷却できないと、冷却流路によりパッド温度を低減できても、軸受摺動面の温度は十分に低減できない可能性がある。

0021

図3は一般的なティルティングパッド斜視図である。給油孔7から軸受内に流入した潤滑油は、潤滑油の流れBに示すように、パッド間10を複数回に亘って旋回し、摺動面11へと流入する。これにより、パッド間10の領域における油の温度が低減し、低温の油が摺動面11へと流れる。摺動面11の温度は、回転方向Aに沿ってほぼ線形に上昇し、下流側に高温部15が生ずる。高温部15の冷却のためには、本発明者らの検討によれば、パッド内部に冷却流路を設けてパッドを冷やすよりも、摺動面に供給される油の温度を低くした方が効果的である。すなわち、軸受摺動面温度を低減する上でパッド間の油温度が重要である。パッド間の油温度を低減するためには、給油量を増加させる方法もあるが、ポンプ等の補機容量を拡大しなくてはならない。このためには、給油量は変化させず、パッド間の油温度も低く維持し、軸受摺動面温度を低減できる軸受構造が望まれる。

0022

このような観点から、パッドの高温部15の効果的な冷却のためには、ティルティングパッド自体を冷却する構造に加えて、パッド間の油を十分に旋回させてパッド間の油温度を低くして摺動面に供給される油の温度を低下させる構造を備えることが必要である。そして、本発明では、これらを、ティルティングパッドに周方向に連通した冷却流路を設け、冷却流路の入口の軸方向位置(回転軸1の軸方向位置)が給油孔の軸方向位置と重ならないようにすることにより実現したものである。このような構造によれば、給油孔からパッド間に供給された温度が低い新油は、パッド間を旋回することなく冷却流路に流入することが抑制され、パッド間を複数回旋回することになるので、パッド間の油の温度を低くすることができる。このようにして温度が低く維持されたパッド間の油は、摺動面に供給されるとともに、ティルティングパッド自体を冷却する冷却流路にも供給される。これにより、パッド間から摺動面に供給される油温度及びパッド温度の双方を低減し、摺動面の高温部15を効果的に冷却することができる。そして、高回転速度においても軸受摺動面温度の上昇を抑制できる。

0023

本発明の第1の実施例について図4を用いて説明する。図4は本実施例におけるティルティングパッドの斜視図である。

0024

本実施例は、ティルティングパッド2の軸方向側面に、冷却流路として、周方向に連通した冷却溝12を設けたものである。冷却溝12はティルティングパッド2の上流側のパッド間10と下流側のパッド間10を連通している。冷却溝12の流路断面の大きさは、ティルティングパッド2の冷却効果が大きくなるように実験などにより適宜設定する。また、図4では冷却溝12として流路断面が矩形のものを図示しているがこれに限らない。例えば、半円形の流路断面を有する冷却溝でも良い。また、図4では、冷却溝12をティルティングパッド2の軸方向の両側面に設けておりその方がティルティングパッド2の冷却効果が高いが、片側にのみ冷却溝12を設けても良い。

0025

本実施例では、冷却溝12の入口の軸方向位置は給油孔7の軸方向位置と重ならない。したがって、本実施例では、給油孔7からパッド間10に流入した潤滑油は、図3に示す場合と同様に複数回に亘りパッド間10を旋回し、これによりパッド間の油温度が効果的に低下する。そして、温度が低下したパッド間の油を摺動面に供給することができる。さらに、旋回により温度が低下したパッド間の油の一部は冷却溝12へと流入し、高温となったティルティングパッド2も冷却することができる。これらにより高回転速度においても軸受摺動面温度の上昇を抑制できる。

0026

給油孔7から供給された油をパッド間10において効果的に旋回させるためには、上述したように、パッド冷却用の冷却流路の入口の軸方向位置が給油孔7の軸方向位置と重ならないようにして、パッド間10内に供給された新油が旋回することなく冷却流路に流入するのを抑制することが重要である。そのためには、ティルティングパッド2の軸方向側面に冷却流路としての冷却溝12を設ける必然性がないが、給油孔7が軸受幅方向の中央に形成されるのが一般的であること、また、冷却流路として冷却孔をティルティングパッド2内に形成するよりも、ティルティングパッド2の側面に冷却溝12を形成する方が製造しやすい(加工性が良い)。また、冷却溝12をティルティングパッド2の内部に設ける場合と比べて、応力集中による疲労が生じにくく耐久性に優れる。

0027

また、図4に示すティルティングパッド2の構造は、図1に示す周方向全てのティルティングパッドに適用しても良いが、荷重を受ける回転軸1の下側のティルティングパッドにのみ適用しても良い。すなわち、下側のティルティングパッドにおける回転軸1とティルティングパッド2の隙間が一番狭く、下側のティルティングパッド2における油膜のせん断摩擦による発熱が一番厳しいので、本実施例の構造により下側のティルティングパッド2における温度を低減すれば、ティルティングパッド軸受装置全体として、高回転速度における軸受摺動面温度の上昇を許容範囲に抑制できる。

0028

本発明の第2の実施例について図5を用いて説明する。図5は本実施例におけるティルティングパッドの斜視図である。
本実施例は、第1の実施例の構造に加えて、ティルティングパッド2の前端部(回転方向Aの上流側の端部)に円弧形状の溝13を設けたものである。円弧形状の溝13は、軸方向から見て断面が円弧形状をしており、給油孔側に円弧の中心が位置している。
本実施例では、給油孔7からパッド間10に流入した潤滑油は、円弧形状の溝13に沿って旋回するため、第1の実施例の構造よりも、パッド間10で旋回し易くなり、十分にパッド間の油温度を低減できる効果を奏する。

0029

本発明の第3の実施例について図6を用いて説明する。図6は本実施例におけるティルティングパッド斜視図である。
本実施例は、第1の実施例の構造に加えて、ティルティングパッド2の前端部に軸方向中央対称に、摺動面側から軸方向中央に向かって、斜めに切削された複数の切り欠き14を設けたものである。
本実施例では、パッド間10を旋回する潤滑油は、切り欠き14に沿って軸方向中央へ流れようとするため、第1の実施例の構造よりも、パッド間10において旋回し易くなる。なお、切り欠きを複数設けているが、切り欠きは軸方向中央を対称に少なくとも一つ設ければ効果が期待できる。
<ティルティングパッド軸受装置を適用した回転機械の構成例>
次に、図7を用いて本発明のティルティングパッド軸受装置を適用した回転機械の構成例を説明する。図7は、代表的なターボ機械の1つである遠心圧縮機の全体構造を示す縦断面図である。

0030

図7において、遠心圧縮機100は、円筒状などに形成され静止部(ステータ)となるケーシング110と、このケーシング110内にラジアル軸受120、130及びスラスト軸受140により支持されて回転可能に設けられた回転軸150と、この回転軸150に装着された複数段図7では5段)の羽根車160とを備えている。回転軸150と羽根車160によりロータ170を構成している。なお、本実施例では、1本の回転軸150に羽根車160を多段に設けた一軸多段遠心圧縮機を例に説明するが、羽根車160が1段のみの単段遠心圧縮機にも同様に適用できるものである。

0031

ケーシング110には、1段目の羽根車160に作動流体である気体を導入する吸込流路180と、各段の羽根車160から出た気体の運動エネルギー圧力エネルギーに変換するディフューザ190と、このディフューザ190からの圧縮された気体を次段の羽根車160に導入する戻り流路200と、最終段の羽根車160から出た気体をケーシング110外に吐出するための吐出流路210などが設けられている。

0032

ロータ170の回転軸150は、ケーシング110の吸込側図7中の左側)端部及び吐出側(図7中の右側)端部に設けられたラジアル軸受120、130を介し回転可能に支持されている。また、回転軸150の吸込側端部にはスラスト荷重を受けるスラスト軸受140が設けられ、回転軸150における最終段の羽根車160の吐出側にはスラスト荷重を相殺すバランスピストン220が設けられている。

0033

回転軸150の吐出側端部には、モータ等の駆動機(図示省略)が連結されており、この駆動機によってロータ170を回転駆動する。また、ロータ170が回転することにより、気体が吸込流路180から吸い込まれて、複数段の羽根車160で順次圧縮され、最終的に吐出流路210から吐出されるようになっている。

0034

上述の構成において、ラジアル軸受120,130に本発明のティルティングパッド軸受装置が用いられている。遠心圧縮機を小型・高速化させるためには、軸受周速を増加させる必要がある。軸受周速の増加に伴い軸受温度は上昇し軸受損傷リスクが増大する。ラジアル軸受120,130として、本発明のティルティングパッド軸受装置を用いることにより、軸受温度の上昇を抑制して、遠心圧縮機の小型・高速化を実現できる。

実施例

0035

なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。

0036

1・・・回転軸、2・・・ティルティングパッド、3・・・ピボット、4・・・軸受ハウジング、5・・・軸受ケーシング、6・・・導油溝、7・・・給油孔、8・・・導油孔、9・・・シール、10・・・パッド間、11・・・摺動面、12・・・冷却溝、13・・・溝、14・・・切り欠き、15・・・高温部、A・・・回転方向、B・・・潤滑油の流れ、100・・・遠心圧縮機、110・・・ケーシング、120,130・・・ラジアル軸受、140・・・スラスト軸受、150・・・回転軸、160・・・羽根車、170・・・ロータ、180・・・吸込流路、190・・・ディフューザ、200・・・戻り流路、210・・・吐出流路、220・・・バランスピストン。

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