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技術 潤滑油組成物

出願人 EMGルブリカンツ合同会社
発明者 小西智也佐藤剛久
出願日 2018年1月18日 (2年5ヶ月経過) 出願番号 2018-006147
公開日 2019年7月25日 (11ヶ月経過) 公開番号 2019-123818
状態 未査定
技術分野 潤滑剤
主要キーワード ブロック試験片 オンリング ギア歯面 ギヤ歯面 油膜厚 標準試験片 部品保護 飽和ポリジエン
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (1)

課題

低粘度化及び低摩擦化しながらも、優れた摩耗防止性を有する潤滑油組成物の提供。

解決手段

(A)潤滑油基油と、(B)アルキル基を1つ又は2つ有し、該アルキル基はいずれも炭素数4〜8を有する、酸性リン酸エステルと、(C)下記(C1)及び(C2)から選択される少なくとも1つの化合物と、(C1)アルキル基を1〜3つ有し、該アルキル基はいずれも炭素数4〜8を有する、亜リン酸エステル、(C2)ホスホン酸エステルと、(D)硫黄極圧剤と、を含む潤滑油組成物。潤滑油基油が100℃における動粘度1〜15mm2/sを有する潤滑油組成物。更に(E)無灰分散剤を含む、潤滑油組成物。

概要

背景

潤滑油組成物自動車用及び機械用など多岐の用途に使用されている。近年、自動車用潤滑油組成物の低粘度化が、省燃費化の観点から求められている。しかし潤滑油組成物の低粘度化は油膜形成能に影響を及ぼす。低粘度化は、本来省燃費を実現させるためのものであるが、従来の潤滑油組成物として使用されたものをそのまま低粘度化しても、油膜形成能に劣るため、かえって摩擦が高くなることによって、省燃費を実現できなくなる場合がある。また、低粘度化によって、油膜形成能が低下すると、金属同士の直接的な接触が起こる結果、十分な潤滑がおこなわれなくなり、その結果として摩耗激しくなるため、潤滑油組成物としての機能を十分に果たさなくなる。

特許文献1には、自動車用ギヤ油として好適に使用される潤滑油組成物が記載されており、基油粘度指数向上剤モリブデン系摩擦調整剤ホウ素含有分散剤、並びに硫黄極圧剤リン系極圧剤、及び硫黄−リン系極圧剤から選ばれる少なくとも二種の極圧剤、又は硫黄−リン系極圧剤を含む潤滑油組成物が記載されている。特許文献1は、該潤滑油組成物は省燃費性と極圧性とを両立し、さらにはせん断定性酸化安定性、及び耐摩耗性を有すると記載している。

また特許文献2には、自動車用ギヤ油、とくにディファレンシャルギヤ油として好適な潤滑油組成物が記載されている。特定の硫黄系極圧剤を含む潤滑油組成物が、低粘度化してもベアリング摩耗、ギヤ歯面におけるスコーリングの発生を抑制できることを記載している。

概要

低粘度化及び低摩擦化しながらも、優れた摩耗防止性を有する潤滑油組成物の提供。(A)潤滑油基油と、(B)アルキル基を1つ又は2つ有し、該アルキル基はいずれも炭素数4〜8を有する、酸性リン酸エステルと、(C)下記(C1)及び(C2)から選択される少なくとも1つの化合物と、(C1)アルキル基を1〜3つ有し、該アルキル基はいずれも炭素数4〜8を有する、亜リン酸エステル、(C2)ホスホン酸エステルと、(D)硫黄系極圧剤と、を含む潤滑油組成物。潤滑油基油が100℃における動粘度1〜15mm2/sを有する潤滑油組成物。更に(E)無灰分散剤を含む、潤滑油組成物。なし

目的

本発明者らは、低粘度化及び低摩擦化しながらも、優れた摩耗防止性を有する潤滑油組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

(A)潤滑油基油、(B)アルキル基を1つ又は2つ有し、該アルキル基はいずれも炭素数4〜8を有する、酸性リン酸エステル(C)下記(C1)及び(C2)から選択される少なくとも1つの化合物(C1)アルキル基を1〜3つ有し、該アルキル基はいずれも炭素数4〜8を有する、亜リン酸エステル(C2)ホスホン酸エステル、及び(D)硫黄極圧剤を含むことを特徴とする潤滑油組成物

請求項2

前記(A)潤滑油基油が100℃における動粘度1〜15mm2/sを有する、請求項1記載の潤滑油組成物。

請求項3

前記(D)硫黄系極圧剤が、硫化オレフィン硫化油脂、及び硫化エステルから選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2記載の潤滑油組成物。

請求項4

前記(D)硫黄系極圧剤が活性硫黄量0.5〜30質量%を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。

請求項5

前記(B)成分の量が、潤滑油組成物全体の質量に対するリン原子含有量として100〜1500質量ppmである、請求項1〜4のいずれか1項記載の潤滑油組成物。

請求項6

前記(C)成分の量が、潤滑油組成物全体の質量に対するリン原子の含有量として100〜1500質量ppmである、請求項1〜5のいずれか1項記載の潤滑油組成物。

請求項7

さらに(E)無灰分散剤を含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の潤滑油組成物。

請求項8

前記(E)無灰分散剤がアルキルコハク酸イミド及びアルケニルコハク酸イミドから選ばれる少なくとも1種である、請求項7記載の潤滑油組成物。

請求項9

前記(E)成分がホウ素化無灰分散剤である、請求項7又は8記載の潤滑油組成物。

請求項10

ハイブリッド自動車用である、請求項1〜9のいずれか1項記載の潤滑油組成物。

請求項11

変速機用である、請求項1〜10のいずれか1項記載の潤滑油組成物。

請求項12

ギヤ油用である、請求項1〜10のいずれか1項記載の潤滑油組成物。

技術分野

0001

本発明は潤滑油組成物、特に、自動車用として適用できる潤滑油組成物に関する。より詳細には、自動車用変速機用として好適な潤滑油組成物、自動車用ギヤ油用として好適な潤滑油組成物、さらにはハイブリッド自動車用として好適な潤滑油組成物に関する。

背景技術

0002

潤滑油組成物は自動車用及び機械用など多岐の用途に使用されている。近年、自動車用潤滑油組成物の低粘度化が、省燃費化の観点から求められている。しかし潤滑油組成物の低粘度化は油膜形成能に影響を及ぼす。低粘度化は、本来省燃費を実現させるためのものであるが、従来の潤滑油組成物として使用されたものをそのまま低粘度化しても、油膜形成能に劣るため、かえって摩擦が高くなることによって、省燃費を実現できなくなる場合がある。また、低粘度化によって、油膜形成能が低下すると、金属同士の直接的な接触が起こる結果、十分な潤滑がおこなわれなくなり、その結果として摩耗激しくなるため、潤滑油組成物としての機能を十分に果たさなくなる。

0003

特許文献1には、自動車用ギヤ油として好適に使用される潤滑油組成物が記載されており、基油粘度指数向上剤モリブデン系摩擦調整剤ホウ素含有分散剤、並びに硫黄極圧剤リン系極圧剤、及び硫黄−リン系極圧剤から選ばれる少なくとも二種の極圧剤、又は硫黄−リン系極圧剤を含む潤滑油組成物が記載されている。特許文献1は、該潤滑油組成物は省燃費性と極圧性とを両立し、さらにはせん断定性酸化安定性、及び耐摩耗性を有すると記載している。

0004

また特許文献2には、自動車用ギヤ油、とくにディファレンシャルギヤ油として好適な潤滑油組成物が記載されている。特定の硫黄系極圧剤を含む潤滑油組成物が、低粘度化してもベアリング摩耗、ギヤ歯面におけるスコーリングの発生を抑制できることを記載している。

先行技術

0005

特開2016−190897号公報
特開2017−132875号公報

発明が解決しようとする課題

0006

上記特許文献はいずれも、低粘度化に伴う省燃費性に加えて、低摩擦と低摩耗をさらに両立させることについては、課題として開示もなければ示唆もない。本発明者らは、低粘度化及び低摩擦化しながらも、優れた摩耗防止性を有する潤滑油組成物を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討し、添加剤を特定することで潤滑油組成物の表面平滑化をして低摩擦と摩耗防止性を両立させることを検討したところ、炭素数の少ない短鎖アルキル基を有する酸性リン酸エステルを含有することで、表面粗さが小さくなり、摩擦係数は低くなることを見出した。しかし、短鎖アルキル基を有する酸性リン酸エステルは反応性が高すぎるため、化学摩耗が起き、十分な摩耗防止性を得ることができない。そこで更に検討したところ、該短鎖酸性リン酸エステルと、特定のリン系極圧剤とを組合せることにより、表面平滑化して摩擦係数を低下し、且つ摩耗防止性を向上できることを見出し、本発明を成すに至った。

0008

即ち、本発明は、
(A)潤滑油基油
(B)アルキル基を1つ又は2つ有し、該アルキル基はいずれも炭素数4〜8を有する、酸性リン酸エステル
(C)下記(C1)及び(C2)から選択される少なくとも1つの化合物
(C1)アルキル基を1〜3個有し、該アルキル基はいずれも炭素数4〜8を有する、亜リン酸エステル
(C2)ホスホン酸エステル、及び
(D)硫黄系極圧剤
を含むことを特徴とする潤滑油組成物を提供する。

0009

さらに本発明は、下記(1)〜(9)の少なくとも1の特徴をさらに有する潤滑油組成物を提供する。
(1)前記(A)潤滑油基油が100℃における動粘度1〜15mm2/sを有する。
(2)前記(D)硫黄系極圧剤が、硫化オレフィン硫化油脂、及び硫化エステルから選ばれる少なくとも1種である
(3)前記(D)硫黄系極圧剤が活性硫黄量0.5〜30質量%を有する。
(4)さらに(E)無灰分散剤を含む。
(5)前記(E)無灰分散剤がアルキルコハク酸イミド又はアルケニルコハク酸イミドから選ばれる少なくとも1種である。
(6)前記(E)成分がホウ素化無灰分散剤である。
(7)ハイブリッド自動車用である潤滑油組成物。
(8)変速機用である潤滑油組成物。
(9)ギヤ油用である潤滑油組成物。

発明の効果

0010

本発明の潤滑油組成物は、低粘度化した場合においても低摩擦を有し、且つ、ギヤ油に要求される摩耗防止性を有することができる。本発明の潤滑油組成物は、特には、ハイブリッド自動車用、変速機用、及びギヤ油用として好適に使用することができる。

図面の簡単な説明

0011

ブロックオンリング摩擦試験の態様を示す模式図である。

0012

(A)潤滑油基油
本発明における潤滑油基油は特に限定されることはなく、潤滑油基油として従来公知のものが使用できる。潤滑油基油としては、鉱油系基油合成系基油、及びこれらの混合基油が挙げられる。

0013

鉱油系基油の製法は限定されるものではない。鉱油系基油としては、水素化精製油触媒異性化油などに溶剤脱蝋または水素脱蝋などの処理を施した高度に精製されたパラフィン系鉱油(高粘度指数鉱油系潤滑油基油)が好ましい。また、上記以外の鉱油系基油としては、例えば、潤滑油原料フェノールフルフラールなどの芳香族抽出溶剤を用いた溶剤精製により得られるラフィネートシリカアルミナ担体とするコバルトモリブデンなどの水素化処理触媒を用いた水素化処理により得られる水素化処理油などが挙げられる。例えば、100ニュートラル油、150ニュートラル油、500ニュートラル油などを挙げることができる。

0014

合成系基油としては、例えば、メタン等の天然ガスからフィッシャートロプシュ合成で得られたワックス等の原料を水素化分解処理及び水素化異性化処理して得られる基油(いわゆるフィッシャー・トロプシュ由来基油)、ポリα−オレフィン基油、ポリブテンアルキルベンゼンポリオールエステルポリグリコールエステル、二塩基酸エステルリン酸エステル、及び、シリコン油などを挙げることができる。なお、ポリ−α−オレフィン(PAO)基油は、特に制限されるものではないが、例えば1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマーエチレンプロピレンオリゴマーイソブテンオリゴマー並びにこれらの水素化物を使用できる。

0015

上記潤滑油基油は1種単独でも良いし、2種以上の併用であってもよい。2種以上の潤滑油基油を併用する場合は、鉱油系基油同士、合成系基油同士、または鉱油系基油と合成系基油の組合せであってよく、その態様は限定されない。

0016

潤滑油基油の動粘度は、本発明の要旨を損なわない限り制限されることはない。特には、低粘度の潤滑油組成物を得るためには、潤滑油基油全体が100℃における動粘度1〜15mm2/sを有することが好ましく、さらに好ましくは1〜12mm2/s、一層好ましくは2〜10mm2/sを有するのがよい。潤滑油基油の100℃における動粘度が前記上限値超であると、潤滑油組成物の低粘度化を図ることが困難となり、省燃費性を達成することが困難となる可能性がある。また100℃における動粘度が前記下限値未満であると、省燃費性は達成できるが、摩耗特性に悪影響を及ぼすことがある。

0017

(B)炭素数4〜8のアルキル基を有する酸性リン酸エステル
本発明の潤滑油組成物は、(B)アルキル基を1つ又は2つ有し、該アルキル基がいずれも炭素数4〜8を有する、酸性リン酸エステルである(以下、単に、炭素数4〜8のアルキル基を有する酸性リン酸エステルという)を含有することを特徴の一つとする。該短鎖アルキル基を有する酸性リン酸エステルを含有することにより、潤滑油組成物の表面粗さを小さくすることができ、摩擦係数を低減することができる。酸性リン酸エステルのアルキル基の炭素数が上記上限値より長いと、潤滑油組成物の表面が粗くなる恐れがある。

0018

当該酸性リン酸エステルとは(R1O)aP(=O)(OH)3−a で表される。前記式においてa=1又は2であり、aが異なる値である化合物の混合物として使用することもできる。上記式において、R1は互いに独立に炭素数4〜8のアルキル基である。炭素数4〜8のアルキル基とは、ブチル基、ペンチル基ヘキシル基、及びオクチル基であり、分岐を有していてもよい。(B)成分は上記アルキル基を有する酸性リン酸エステルの1種単独でも2種以上の併用であってもよい。R1の炭素数は少ないほど好ましい。特には、炭素数4のアルキル基を有する酸性リン酸エステルが摩擦係数の低減効果により優れるため、好ましい。

0019

該酸性リン酸エステルとしては、好ましくは、酸性リン酸(ジ)ブチルエステル、酸性リン酸(ジ)ペンチルエステル、酸性リン酸(ジ)ヘキシルエステル、及び酸性リン酸(ジ)オクチルエステルが挙げられる。より好ましくは、酸性リン酸(ジ)ブチルエステル、又は酸性リン酸(ジ)ヘキシルエステルであり、最も好ましくは酸性リン酸(ジ)ブチルエステルである。

0020

本発明の潤滑油組成物中に含まれる酸性リン酸エステルの量は、特に限定されることないが、潤滑油組成物全体の質量に対して、リン原子含有量として100〜1500質量ppmが好ましく、180〜1200質量ppmがより好ましく、200〜1000質量ppmがさらに好ましい。含有量が上記上限値を超えると、スラッジが発生する可能性があり好ましくない。含有量が上記下限値を下回ると、摩擦が高くなる可能性が高く、省燃費に寄与しない可能性があり、好ましくない。2種以上の酸性リン酸エステルを併用する場合は合計としてのリン原子含有量が上記範囲を満たすように配合すればよい。

0021

(C) 特定のリン系極圧剤
本発明の潤滑油組成物は、上記(B)成分と併せて(C)特定のリン系極圧剤を含有することを特徴とする。(C)特定のリン系極圧剤とは、(C1)アルキル基を1〜3個有し、該アルキル基がいずれも炭素数4〜8を有する亜リン酸エステル(以下、単に炭素数4〜8のアルキル基を有する亜リン酸エステルという)、及び(C2)ホスホン酸エステルから選ばれる1以上である。(C1)及び(C2)のいずれか一方でもよいし、(C1)及び(C2)を併用してもよい。上述した通り、(C1)成分及び(C2)成分の少なくとも一と、上記(B)成分とを併用することにより、優れた表面平滑性を有し、摩擦係数を下げ、且つ、摩耗防止性を向上することができる。(B)成分のみでは十分な摩耗防止性を得ることができない。また(C)成分のみでは優れた摩耗防止性及び表面平滑性のいずれか又は両方を達成することができない。特には、(C2)ホスホン酸エステルと上記(B)成分との併用が好ましく、摩擦係数をより下げることができる。以下、(C1)成分及び(C2)成分についてより詳細に説明する。

0022

(C1)炭素数4〜8のアルキル基を有する亜リン酸エステルとは、例えば、下記式(1)又は(2)で表される化合物である。
(R2O)bP(=O)(OH)2−bH (1)
(R3O)3P (2)
上記式(1)においてb=1又は2であり、かつR2は、互いに独立に、炭素数4〜8のアルキル基である。
上記式(2)において、R3は、互いに独立に、炭素数4〜8のアルキル基である。
亜リン酸エステルのアルキル基の炭素数が上記上限値より長いと、潤滑油組成物の表面が粗くなる恐れがある。

0023

上記亜リン酸エステルとしては、例えば、亜リン酸トリブチルエステル、亜リン酸ジブチルエステル、亜リン酸モノブチルエステル、亜リン酸トリペンチルエステル、亜リン酸ジペンチルエステル、亜リン酸モノペンチルエステル、亜リン酸トリヘキシルエステル、亜リン酸ジヘキシルエステル、亜リン酸モノヘキシルエステル、亜リン酸トリヘプチルエステル、亜リン酸ジヘプチルエステル、亜リン酸モノヘプチルエステル、亜リン酸トリオクチルエステル、亜リン酸ジオクチルエステル、及び亜リン酸モノオクチルエステルが挙げられる。中でも、亜リン酸トリブチルエステル、亜リン酸トリペンチルエステル、亜リン酸トリヘキシルエステル、亜リン酸トリヘプチルエステル、及び亜リン酸トリオクチルエステルが好ましく用いられる。

0024

(C2)成分はホスホン酸エステルであり、下記式で表される。
(R4O)(R5O)(R6)P(=O) (3)

式(3)において、R4及びR5は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜30の一価炭化水素基であり、R4及びR5の少なくとも一方は炭素数1〜30の一価炭化水素基であり、R6は炭素数1〜30の一価炭化水素基である。

0025

上記式(3)において、R4及びR5は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜30の一価炭化水素基であって、少なくとも一方が炭化水素基である。即ち、R4及びR5のうちいずれかは炭素数1〜30のアルキル基であり、好ましくは炭素数2〜20のアルキル基である。また、別の好ましい態様としては、R4及びR5が共に炭素数1〜30のアルキル基であり、より好ましくはR4及びR5が共に炭素数2〜20のアルキル基である。

0026

上記式(3)においてR6は、炭素数1〜30の一価炭化水素基であり、好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数2〜20のアルキル基であり、最も好ましくは炭素数4〜18のアルキル基であり、特には炭素数8又は18のアルキル基である。

0027

ホスホン酸エステルとしては、例えば、ブチルホスホン酸ジメチル、ブチルホスホン酸ジエチル、ブチルホスホン酸ジプロピル、ブチルホスホン酸ジブチル、ブチルホスホン酸ジペンチル、ブチルホスホン酸ジヘキシル、ブチルホスホン酸ジヘプチル、ブチルホスホン酸ジオクチル、ヘキシルホスホン酸ジメチル、ヘキシルホスホン酸ジエチル、ヘキシルホスホン酸ジプロピル、ヘキシルホスホン酸ジブチル、ヘキシルホスホン酸ジペンチル、ヘキシルホスホン酸ジヘキシル、ヘキシルホスホン酸ジヘプチル、ヘキシルホスホン酸ジオクチル、オクチルホスホン酸ジメチル、オクチルホスホン酸ジエチル、オクチルホスホン酸ジプロピル、オクチルホスホン酸ジブチル、オクチルホスホン酸ジペンチル、オクチルホスホン酸ジヘキシル、オクチルホスホン酸ジヘプチル、オクチルホスホン酸ジオクチル、デシルホスホン酸ジメチル、デシルホスホン酸ジエチル、デシルホスホン酸ジプロピル、デシルホスホン酸ジブチル、デシルホスホン酸ジヘキシル、デシルホスホン酸ジオクチル、デシルホスホン酸ジデシル、ドデシルホスホン酸ジメチル、ドデシルホスホン酸ジエチル、ドデシルホスホン酸ジプロピル、ドデシルホスホン酸ジブチル、ドデシルホスホン酸ジヘキシル、ドデシルホスホン酸ジオクチル、ドデシルホスホン酸ジデシル、ドデシルホスホン酸ジドデシル、テトラデシルホスホン酸ジメチル、テトラデシルホスホン酸ジエチル、テトラデシルホスホン酸ジプロピル、テトラデシルホスホン酸ジブチル、テトラデシルホスホン酸ジヘキシル、テトラデシルホスホン酸ジオクチル、テトラデシルホスホン酸ジデシル、テトラデシルホスホン酸ジドデシル、テトラデシルホスホン酸ジテトラデシル、ヘキサデシルホスホン酸ジメチル、ヘキサデシルホスホン酸ジエチル、ヘキサデシルホスホン酸ジプロピル、ヘキサデシルホスホン酸ジブチル、ヘキサデシルホスホン酸ジヘキシル、ヘキサデシルホスホン酸ジオクチル、ヘキサデシルホスホン酸ジデシル、ヘキサデシルホスホン酸ジドデシル、ヘキサデシルホスホン酸ジテトラデシル、オクタデシルホスホン酸ジメチル、オクタデシルホスホン酸ジエチル、オクタデシルホスホン酸ジプロピル、オクタデシルホスホン酸ジブチル、オクタデシルホスホン酸ジペンチル、オクタデシルホスホン酸ジヘキシル、オクタデシルホスホン酸ジヘプチル、オクタデシルホスホン酸ジオクチル、オクタデシルホスホン酸ジオタデシルなどが挙げられる。

0028

(C)成分の潤滑油組成物中における含有量は、特に限定されることないが、リン原子含有量として100〜1500質量ppmが好ましく、200〜1200質量ppmがより好ましく、300〜1000質量ppmがさらに好ましい。含有量が上記上限値を超えると、スラッジが発生する可能性があり、好ましくない。含有量が上記下限値を下回ると、摩擦が高くなる可能性が高く、省燃費に寄与しない可能性があり、好ましくない。2種以上を併用する場合は合計としてのリン原子含有量が上記範囲を満たすように配合すればよい。

0029

(D)硫黄系極圧剤
本発明の潤滑油組成物は硫黄系極圧剤を含有する。硫黄系極圧剤は耐焼付性を付与し、ギア油用の潤滑油組成物として好適に機能することができる。(D)成分は公知の硫黄系極圧剤から選択されることができる。好ましくは、硫化オレフィン、硫化油脂、硫化エステル、及びポリサルファイドから選ばれる少なくとも1種であり、特には硫化オレフィンが好ましい。尚、本発明において(D)成分はリンを有する極圧剤を包含しない。

0030

硫化オレフィン及びポリサルファイドは下記一般式(4)で表される。なお、後述するように、硫化オレフィンはオレフィン類硫化して得られるものであり、ポリサルファイドはオレフィン類以外の炭化水素原料を硫化して得られる。
R5−Sx−(R6−Sx−)n−R7 (4)

0031

上記式(4)中、R5及びR7は互いに独立に、一価の炭化水素基であり、例えば炭素数2〜20の、直鎖構造または分岐鎖を有する、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、及び、炭素数2〜26の芳香族炭化水素基等を挙げることができる。より詳細には、エチル基プロピル基、ブチル基、ノニル基、ドデシル基プロペニル基ブテニル基ベンジル基フェニル基トリル基、及びヘキシルフェニル基などがある。

0032

上記式(4)中、R6は、炭素数2〜20の、直鎖構造または分岐鎖を有する、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、及び炭素数6〜26の芳香族炭化水素基等を挙げることができる。より詳細には、エチレン基プロピレン基ブチレン基、及びフェニレン基などが挙げられる。

0033

上記式(4)中、xは互いに独立に、1以上の整数であり、好ましくは1〜8の整数である。xが小さいと極圧性が小さくなり、xが大きすぎると熱酸化安定性が低下する傾向にある。極圧性及び熱酸化安定性を共に得るためには、括弧内に示される単位におけるxが1〜6の整数であるのが好ましく、より好ましくは2〜4の整数であり、特に好ましくは2または3である。

0034

硫化オレフィンとしては、例えば、ポリイソブチレン及びテルペン類などのオレフィン類を、硫黄その他の硫化剤で硫化して得られるものが挙げられる。

0035

ポリサルファイド化合物としては、例えば、ジイソブチルサルファイド、ジオクチルポリサルファイド、ジ−tert−ブチルポリサルファイド、及びジ−tert−ベンジルポリサルファイドなどが挙げられる。

0036

硫化油脂は、油脂と硫黄との反応生成物であり、油脂としてラード牛脂鯨油パーム油ヤシ油ナタネ油などの動植物油脂を使用し、これを硫化反応して得られるものである。この反応生成物は、単一のものではなく、種々の物質の混合物であり、化学構造そのものは明確でない。

0037

硫化エステルは、上記油脂と各種アルコールとの反応により得られる脂肪酸エステルを硫化することにより得られるものである。硫化油脂と同様、化学構造そのものは明確でない。

0038

上記硫黄系極圧剤の活性硫黄量は、特に限定されることはないが、活性硫黄を該極圧剤の質量に対して30質量%以下で有すること、好ましくは15質量%以下で有すること、より好ましくは13質量%以下で有することを特徴とする。活性硫黄量が上記上限値超であると、金属腐食を起こすだけでなく、摩耗の発生を抑制することができなくなる。なお、活性硫黄量の下限も特に限定されることはないが、極圧性確保のためには、極圧剤の質量に対して0.5質量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以上であり、一層好ましくは2質量%以上であるのがよい。

0039

ここで、活性硫黄量とはASTMD1662に規定される方法により測定されるものである。ASTM D1662に基づく活性硫黄量は、より詳細には以下の手順により測定することができる。
1.200ml用のビーカー硫黄系添加剤(活性硫黄系極圧剤)50gと銅粉5gを入れ、スターラ攪拌しながら温度を150℃まで上げる。
2.150℃に達したら、更に銅粉を5g加え、30分間攪拌する。
3.攪拌終了後、ASTM D130準拠銅板をビーカーへ入れて浸漬させる。このとき、銅板に変色が見られたら、さらに銅粉を5g加えて30分間攪拌する(この操作を変色が認められなくなるまで続ける)。
4.銅板変色が認められなくなったら、ろ過により硫黄系添加剤中の銅粉を除去し、添加剤に含まれる硫黄量を測定する。
活性硫黄量は以下のように算出される。
活性硫黄量(質量%)=銅粉と反応前の硫黄量(質量%)−銅粉と反応後の硫黄量(質量%)

0040

本発明の潤滑油組成物において上記硫黄系極圧剤の含有量は、潤滑油組成物全体の質量に対して0.1質量%〜15質量%、好ましくは0.2質量%〜12質量%、さらに好ましくは0.3質量%〜10質量%である。含有量が上記上限値を超えると摩耗発生は抑制できるがスラッジが発生するようになり、場合により金属腐食を発生させることがあるため好ましくない。

0041

(E)無灰分散剤
本発明の潤滑剤組成物はさらに無灰分散剤を含有することができる。無灰分散剤は従来公知のものを使用すればよく、特に制限されるものでない。例えば、炭素数40〜400の、直鎖構造又は分枝構造を有するアルキル基又はアルケニル基分子中に少なくとも1個有する含窒素化合物又はその誘導体、あるいはアルケニルコハク酸イミドの変性品等が挙げられる。無灰分散剤は1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。また、ホウ素化無灰分散剤を使用することもできる。ホウ素化無灰分散剤は潤滑油に用いられる任意の無灰分散剤をホウ素化したものである。ホウ素化は一般に、含窒素化合物にホウ酸を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和することにより行われる。

0042

上記アルキル基又はアルケニル基の炭素数は、好ましくは40〜400であり、より好ましくは60〜350である。アルキル基及びアルケニル基の炭素数が前記下限値未満であると、化合物の潤滑油基油に対する溶解性が低下する傾向にある。また、アルキル基及びアルケニル基の炭素数が上記上限値を超えると、潤滑油組成物の低温流動性が悪化する傾向にある。上記アルキル基及びアルケニル基は、直鎖構造を有していても分枝構造を有していてもよい。好ましい態様としては、例えば、プロピレン、1−ブテンイソブチレン等のオレフィンのオリゴマー、エチレンとプロピレンのコオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基又は分枝状アルケニル基等が挙げられる。

0043

コハク酸イミドには、ポリアミンの一端に無水コハク酸が付加した、いわゆるモノタイプのコハク酸イミドと、ポリアミンの両端に無水コハク酸が付加した、いわゆるビスタイプのコハク酸イミドとがある。本発明の潤滑油組成物は、モノタイプ及びビスタイプのうちいずれか一方を含有してもよいし、あるいは双方を含有してもよい。

0044

上記アルケニルコハク酸イミドの変性品とは、例えば、アルケニルを有するコハク酸イミド化合物ホウ素化合物変性したものである(即ち、ホウ素化無灰分散剤)。ホウ素化合物で変性するとは、ホウ素化することを意味する(以下、ホウ素化コハク酸イミドという)。ホウ素化コハク酸イミドは1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。併用する場合は、ホウ素化コハク酸イミドと非ホウ素化コハク酸イミドとを併用してもよいし、ホウ素化コハク酸イミドの2種以上の組合わせであってもよい。また、併用する場合には、モノタイプ及びビスタイプの両方を含んでもよいし、モノタイプ同士の併用、又はビスタイプ同士の併用であってもよい。

0045

例えば、ホウ素化コハク酸イミドの製造方法としては、特公昭42−8013号公報及び同42−8014号公報、特開昭51−52381号公報、及び特開昭51−130408号公報等に開示されている方法等が挙げられる。具体的には例えば、アルコール類ヘキサンキシレン等の有機溶媒軽質潤滑油基油等にポリアミンとポリアルケニルコハク酸無水物)にホウ酸、ホウ酸エステル、又はホウ酸塩等のホウ素化合物を混合し、適当な条件で加熱処理することにより得ることができる。この様にして得られるホウ素化コハク酸イミドに含まれるホウ素含有量は通常0.1〜4質量%とすることができる。特に、アルケニルコハク酸イミド化合物のホウ素変性化合物(ホウ素化コハク酸イミド)は耐熱性酸化防止性及び摩耗防止性に優れるため好ましい。

0046

ホウ素化無灰分散剤中に含まれるホウ素含有量は特に制限はない。通常無灰分散剤の質量に対して0.1〜3質量%である。本発明の1つの態様としては、無灰分散剤中のホウ素含有量は、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上であり、また好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以下であるのがよい。ホウ素化無灰分散剤として好ましくはホウ素化コハク酸イミドであり、特にはホウ素化ビスコハクイミドが好ましい。ホウ素化無灰分散剤を使用する場合、そのホウ素含有量は、組成物全体の質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.025質量%以上であるのがよく、また0.15質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0.05質量%以下であるのがよい。

0047

ホウ素化無灰分散剤は、ホウ素/窒素質量比(B/N比)0.1以上、好ましくは0.2以上を有するものであり、好ましくは0.5未満、より好ましくは0.4以下を有するものが好ましい。

0048

潤滑油組成物中の無灰分散剤の含有量は適宜調整されればよいが、例えば潤滑油組成物全体の質量に対して、0.01〜20質量%であるのが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。無灰分散剤の含有量が上記下限値未満であると、清浄性向上効果が不十分となるおそれがある。また含有量が上記上限値を超えると、潤滑油組成物のスラッジが発生するおそれがある。

0049

(F) その他の添加剤
本発明の潤滑油組成物は、上記(A)〜(E)成分以外のその他の添加剤として、前記(B)成分及び(C)成分に該当しないリン系極圧剤、金属清浄剤、粘度指数向上剤、摩耗防止剤酸化防止剤腐食防止剤防錆剤抗乳化剤金属不活性化剤消泡剤摩擦調整剤及び流動点降下剤等を含有することができる。

0050

上記(B)成分及び(C)成分に該当しないリン系極圧剤としては、リン酸、亜リン酸、炭素数9以上の炭化水素基を有する酸性リン酸エステル、リン酸エステル(酸性リン酸エステルを除く)、炭素数9以上の炭化水素基を有する亜リン酸エステル、亜リン酸エステルのアミン塩、リン酸エステルのアミン塩、酸性リン酸エステルのアミン塩、チオリン酸エステル、チオリン酸エステルのアミン塩、チオ亜リン酸エステル、チオ亜リン酸エステルのアミン塩、ジチオリン酸亜鉛が挙げられる。上述した通り、炭素数8超の炭化水素基を有する酸性リン酸エステル又は亜リン酸エステルを含むと、潤滑油組成物の表面が粗くなる恐れがある。そのため、炭素数9以上の炭化水素基を有する酸性リン酸エステル及び炭素数9以上の炭化水素基を有する亜リン酸エステルは、本発明の効果を損ねない限りの量にて、上記(B)成分及び(C)成分と併用させるのがよい。

0051

炭素数9以上の炭化水素基を有する酸性リン酸エステルとしては、例えば、酸性リン酸ノニル、酸性リン酸デシル、酸性リン酸ウンデシル、酸性リン酸ドデシル、酸性リン酸トリデシル、酸性リン酸テトラデシル、酸性リン酸ペンタデシル、酸性リン酸ヘキシルデシル、酸性リン酸ペンチルデシル、及び酸性リン酸オクチルデシルなどが挙げられるが、これらに制限されるものでない。

0052

他のリン酸エステルとしては、リン酸ジデシル、亜リン酸ジデシル、リン酸ジドデシル、リン酸トリドデシル、亜リン酸ジドデシル、亜リン酸トリドデシル、チオリン酸トリドデシル、リン酸トリヘキサドデシル、亜リン酸トリヘキサドデシル、チオリン酸トリヘキサドデシル、リン酸トリオクタデセニル、亜リン酸トリオクタデセニル、チオリン酸トリオクタデセニル、リン酸トリ(オクチルフェニル)、及びリン酸トリ(オクチルシクロヘキシル)が挙げられる。

0053

リン酸エステル又は亜リン酸エステルのアミン塩としては、リン酸モノオクチルのアミン塩、リン酸ジオクチルのアミン塩、リン酸トリオクチルのアミン塩、亜リン酸ジオクチルのアミン塩、亜リン酸トリオクチルのアミン塩、チオリン酸ジオクチルのアミン塩、チオリン酸トリオクチルのアミン塩、リン酸ジデシルのアミン塩、亜リン酸ジデシルのアミン塩、リン酸ジドデシルのアミン塩、リン酸トリドデシルのアミン塩、亜リン酸ジドデシルのアミン塩、亜リン酸トリドデシルのアミン塩、チオリン酸トリドデシルのアミン塩、リン酸トリヘキサドデシルのアミン塩、亜リン酸トリヘキサドデシルのアミン塩、チオリン酸トリヘキサドデシルのアミン塩、リン酸トリオクタデセニルのアミン塩、亜リン酸トリオクタデセニルのアミン塩、チオリン酸トリオクタデセニルのアミン塩などが挙げられる。

0054

金属清浄剤は特に限定されるものでないが、カルシウムマグネシウムから選択された元素を有する金属清浄剤の1種以上であるのが好ましい。カルシウムを有する金属清浄剤としては、カルシウムスルホネートカルシウムフェネートカルシウムサリシレートが好ましい。これらの金属清浄剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。マグネシウムを有する金属清浄剤としては、マグネシウムスルホネート、マグネシウムフェネート、マグネシウムサリシレートが好ましい。これらの金属清浄剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。金属清浄剤の全塩基価は、限定的ではないが、好ましくは50〜〜600(mgKOH/g)、より好ましくは100〜500(mgKOH/g)、さらに好ましくは200〜300(mgKOH/g)である。

0055

粘度指数向上剤としては、例えば、各種メタクリル酸エステルから選ばれる1種又は2種以上のモノマー重合体又は共重合体、若しくはその水添物などの、いわゆる非分散型粘度指数向上剤、又は、さらに窒素化合物を含む各種メタクリル酸エステルを共重合させたいわゆる分散型粘度指数向上剤、非分散型又は分散型エチレン−α−オレフィン共重合体(α−オレフィンとしてはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等が例示できる)、若しくはその水素化物、ポリイソブチレン若しくはその水添物、スチレンジエン共重合体の水素化物、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体、及びポリアルキルスチレン等が挙げられる。

0056

粘度指数向上剤の分子量は、潤滑油組成物のせん断安定性を考慮して選定することが必要である。例えば、粘度指数向上剤の重量平均分子量は、分散型及び非分散型ポリメタクリレートの場合には、通常1,000〜1,000,000、好ましくは100,000〜900,000のものが、ポリイソブチレン又はその水素化物の場合は通常800〜5,000、好ましくは1,000〜4,000のものが、エチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物の場合は通常800〜500,000、好ましくは3,000〜200,000のものが用いられる。

0057

粘度指数向上剤の中でもエチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物を用いた場合には、特にせん断安定性に優れた潤滑油組成物を得ることができる。上記粘度指数向上剤の中から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物を任意の量で含有させることができる。

0058

酸化防止剤は潤滑油に一般的に使用されているものであればよく、例えば、フェノール系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤等の無灰系酸化防止剤及び有機金属系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤の添加により、潤滑油組成物の酸化防止性をより高められ、本発明の組成物鉛含有金属腐食又は腐食摩耗防止性能を高めるだけでなく、塩基価維持性をより高めることができる。

0059

腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、及びイミダゾール系化合物等が挙げられる。

0060

防錆剤としては、例えば、石油スルホネートアルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネートアルケニルコハク酸エステル、及び多価アルコールエステル等が挙げられる。

0062

金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリンピリミジン誘導体アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオベンゾイミダゾール、及びβ−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。

0063

摩擦調整剤としては、金属摩擦調整剤有機摩擦調整剤が挙げられる。金属摩擦調整剤としては、特にモリブデンを有する摩擦調整剤を挙げることができ、例えば、モリブデンジチオカーバメート(MoDTC)及びモリブデンジチオホスフェイト(MoDTP)を挙げることができる。さらに、米国特許第5,906,968号に記載されている三核モリブデン化合物を用いることもできる。有機摩擦調整剤としては、アミド系摩擦調整剤、エステル系摩擦調整剤、エーテル系摩擦調整剤を挙げることができ、特に代表的なものとして、グリセリンモノオレートGMO)を挙げることができる。

0064

消泡剤としては、例えば、25℃における動粘度1000〜10万mm2/sを有するシリコーンオイルアルケニルコハク酸誘導体ポリヒドロキシ脂肪族アルコール長鎖脂肪酸のエステル、メチルサリチレート及びo−ヒドロキシベンジルアルコール等が挙げられる。

0065

その他の添加剤として、少なくとも1の末端官能基を有するポリジエンを含むことができる。少なくとも1の末端に官能基を有するポリジエンとは、ポリジエンの分子鎖の少なくとも1の末端が官能基の導入により変性されたものである(以下、末端変性ポリジエンということがある)。ポリジエンとは、単量体ジエンを(共)重合して得られたものであり、飽和ポリジエンとは、前記のようにして得られたポリジエンの炭素炭素二重結合が水素化により飽和された水素化物である。当該末端変性ポリジエンは、末端変性不飽和ポリジエンであってもよいし、末端変性飽和ポリジエンであってもよい。なお、潤滑油基油への溶解性の観点からは、末端変性飽和ポリジエンを使用することが好ましい。官能性基を有するポリジエンは、摺動面に吸着し、部分的に組成物を高粘度化させて、潤滑油組成物の油膜厚さを厚くする。これにより、低粘度化した潤滑油組成物における、ギア歯面やベアリングの金属疲労や摩耗を抑制、部品保護性能を向上することができる。ここで、官能基とは、酸素イオウ、窒素およびリンからなる群より選択される少なくとも一種ヘテロ原子を含有する官能基であり、好ましい官能基としては、カルボキシル基エステル基無水カルボキシル基水酸基グリシジル基ウレタン基及びアミノ基等を挙げることができる。なお、末端変性ポリジエンの配合量は、特に限定されないが、潤滑油組成物全体の質量に対して0.6〜4.0質量%であり、好ましくは0.8〜3.8質量%であり、さらに好ましくは1.0〜3.6質量%である。

0066

潤滑油組成物は、上記(A)〜(D)成分並びに任意の(E)成分及び(F)その他の添加剤を混合することにより得られる。潤滑油組成物の動粘度は特に限定されることはないが、省燃費性を確保するため、100℃の動粘度が1〜25mm2/sであることが好ましく、2〜20mm2/sであることがより好ましい。

0067

以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。

0068

実施例及び比較例の潤滑油組成物を構成する各成分は以下の通りである。
(A)潤滑油基油
(A1) 高度精製水素化分解基油
(100℃の動粘度=4.2mm2/s、粘度指数=122、%Cp=72%、%Cn=28%)
(B)酸性リン酸エステル
(B1)炭素数4のアルキル基を有する酸性リン酸エステル(酸性リン酸ジブチルと、酸性リン酸モノブチルとの混合物)
(C)リン系極圧剤
(C1−1)下記一般式で表される、炭素数4のアルキル基を有する亜リン酸エステル
(R2O)P(=O)(OH)H、R2はC4H9(ブチル基)
(C1−2)下記一般式で表される、炭素数8のアルキル基を有する亜リン酸エステル
(R2O)P(=O)(OH)H、R2はC8H17(オクチル基)
(C1−3)下記一般式で表される、炭素数18のアルキル基を有する亜リン酸エステル(比較用)
(R2O)P(=O)(OH)H、R2はC18H37(オクタデシル基
(C2−1)下記一般式で表される、炭素数8のアルキル基を有するホスホン酸エステル
(R3O)(R4O)(R5)P(=O)、R3、R4、及びR5はC8H17(オクチル基)
(C2−2)下記一般式で表される、炭素数18のアルキル基を有するホスホン酸エステル
(CH3O)(CH3O)(R5)P(=O)、R5はC18H37(オクタデシル基)
(D)硫黄系極圧剤
(D1)硫化オレフィン(活性硫黄量;11質量%)
(D2)硫化エステル(活性硫黄量;1.4質量%)
(D3)硫化油脂(活性硫黄量;4.1質量%)
(E)無灰分散剤
(E1)ホウ素変性ポリイソブチレンコハク酸ビスイミド(ポリイソブチレンの分子量;2000、窒素含有量;1.7質量%、ホウ素含有量;0.3質量%)
(F) その他の添加剤
モリブデンジチオカーバメイト、フェノール系酸化防止剤、及びアミン系酸化防止剤からなるパッケージ

0069

[実施例1〜6及び比較例1〜5]
上記した各成分を表1に記載の組成及び量で混合して潤滑油組成物を調製した。表に記載の酸性リン酸エステル、亜リン酸エステル、及びホスホン酸エステルの量は、潤滑油組成物全体の質量部に対するリンの質量ppmである。硫黄系極圧剤、無灰分散剤、その他の添加剤の量は、潤滑油組成物全体の質量に対する質量%である。

0070

これらの潤滑油組成物について下記の試験を行った。結果を表1または2に示す。
(1)摩擦係数の測定方法
摺動面幅6mmのブロック試験片(鋼材(SAEO1)からなるFALEX社製標準試験片(硬さ RC58−63))と、相手となる外径35mm、幅9mmを有し鋼材からなるリング試験片(鋼材(SAE4620)からなるFALEX社製標準試験片(硬さ RC58-63))を用いて、ブロックオンリング摩擦試験を行った。図1に、ブロックオンリング摩擦試験の様子を模式図で示す。試験荷重294N、すべり速度0.3m/s、油温80℃(一定)として、30分間のブロックオンリング摩擦試験を行い、30分後の摩擦係数を本試験における摩擦係数とした。
(2)摩耗深さの測定方法:
上記ブロックオンリング摩擦試験前と試験後のブロック試験片の各々について、表面粗さ計(株式会社ミツトヨ社製、SURFTESSV−3200)にて表面粗さ測定をし、摩耗量を算出した。

0071

0072

実施例

0073

表2に示す通り、炭素数18の亜リン酸エステルと炭素数4の酸性リン酸エステルとを含む潤滑油組成物は摩擦係数が大きい(比較例1)。亜リン酸エステル及びホスホネートのいずれも含まず、炭素数4の酸性リン酸エステルのみを含む潤滑油組成物は耐摩耗性に劣る(比較例2)。短鎖アルキル基含有酸性リン酸エステルを含まない潤滑油組成物は、耐摩耗性に劣る、あるいは摩擦係数が低い(比較例3及び4)。
これに対し表1の実施例1〜6に示す通り、本発明の潤滑油組成物は、摩擦係数が低減され、且つ、良好な耐摩耗性を有する。

0074

本発明の潤滑油組成物は、低粘度化した場合においても低摩擦を有し、且つ、ギヤ油に要求される摩耗防止性を有することができる。本発明の潤滑油組成物は、特には、ハイブリッド自動車用、変速機用、及びギヤ油用として好適に使用することができる。

0075

荷重
2ブロック試験片
3リング試験片
4 潤滑油組成物

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