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技術 密封装置

出願人 NOK株式会社
発明者 米内寿斗坂野祐也
出願日 2018年1月9日 (2年5ヶ月経過) 出願番号 2018-001001
公開日 2019年7月22日 (11ヶ月経過) 公開番号 2019-120327
状態 未査定
技術分野 弾性リップ型 軸受の密封 密封装置
主要キーワード クランク孔 側円盤 端面リップ 後方カバー 凹状空間 軸心合わせ 底部面 中空円盤状
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年7月22日)のものです。
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図面 (6)

課題

軸に対する摺動抵抗を増加させることなく密封対象物静止漏れを防止することができる密封装置を提供する。

解決手段

密封装置1は、密封装置本体2とスリンガ3とを備え、密封装置本体2は、環状の補強環10と、環状の弾性体部20とを備えている。スリンガ3は、外周側に向かって延びる環状の部分であるフランジ部31を有している。弾性体部20は、内側に向かって延びる、フランジ部31の外側面31dと接触する環状の端面リップ21を有している。スリンガ3のフランジ部31の外側面31dには、少なくとも1つの溝33が形成されており、前記溝は、その溝を形成している底面の挟角が130度よりも大きく180度よりも小さい。

概要

背景

車両や汎用機械等において、例えば潤滑油等の密封対象物漏洩の防止を図るために、軸とこの軸が挿入される孔との間を密封するために従来から密封装置が用いられている。このような密封装置においては、シールリップを軸に又は軸に取りけられる環状部材に接触させることにより軸と密封装置との間の密封を図っている。このような密封装置の中には、端面接触型と言われているものがある。端面接触型の密封装置は、軸に取り付けられたスリンガに対し軸に沿って延びるシールリップを接触させることにより密封対象物の漏洩の防止を図っている。

従来の端面接触型の密封装置には、シールリップが接触するスリンガに溝を設け、スリンガの回転時の溝のポンプ作用により、大気側の空気と一緒に油等の密封対象物を密封対象物側へ送ることによりシール性を向上させたものがある。このような従来の端面接触型の密封装置においては、上述のように、スリンガの回転時はポンプ作用により、滲み出た密封対象物を密封対象物側へ戻すことができるが、スリンガの停止時は、スリンガの溝と端面リップとの間に形成される隙間から密封対象物が漏れ出てしまう、所謂、静止漏れが発生してしまう場合がある。

この静止漏れを防止するため、従来の端面接触型の密封装置には、シールリップの内周側にスリンガと接触するシールリップを更に設けて、外周側のシールリップにおいて発生した静止漏れにより滲み出た密封対象物の更なる外部への漏洩の防止を図っているものがある(例えば、特許文献1参照。)。

概要

軸に対する摺動抵抗を増加させることなく密封対象物の静止漏れを防止することができる密封装置を提供する。密封装置1は、密封装置本体2とスリンガ3とを備え、密封装置本体2は、環状の補強環10と、環状の弾性体部20とを備えている。スリンガ3は、外周側に向かって延びる環状の部分であるフランジ部31を有している。弾性体部20は、内側に向かって延びる、フランジ部31の外側面31dと接触する環状の端面リップ21を有している。スリンガ3のフランジ部31の外側面31dには、少なくとも1つの溝33が形成されており、前記溝は、その溝を形成している底面の挟角が130度よりも大きく180度よりも小さい。

目的

本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、軸に対する摺動抵抗を増加させることなく密封対象物の静止漏れを防止することができる密封装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

軸と該軸が挿入される孔との間の環状の隙間の密封を図るための密封装置であって、前記孔に嵌着される密封装置本体と、前記軸に取り付けられるスリンガとを備え、前記密封装置本体は、軸線周りに環状の補強環と、該補強環に取り付けられている弾性体から形成されている軸線周りに環状の弾性体部とを有しており、前記スリンガは、外周側に向かって延びる前記軸線周りに環状の部分であるフランジ部を有しており、前記弾性体部は、軸線方向において一方の側に向かって延びる、前記フランジ部の前記軸線方向において他方の側の面に接触する前記軸線周りに環状のリップである端面リップを有しており、前記スリンガの前記フランジ部の前記他方の側の面には、少なくとも1つの溝が形成されており、前記溝は、その溝を形成している底面の挟角が130度よりも大きく180度よりも小さい、密封装置。

請求項2

前記スリンガは、複数の溝を有している、請求項1記載の密封装置。

請求項3

前記溝は、溝深さが0.1mm以下である、請求項2記載の密封装置。

請求項4

前記底面の頂部には、R面取り加工が施されている、請求項1乃至3の何れか一項に記載の密封装置。

技術分野

0001

本発明は、軸とこの軸が挿入される孔との間の密封を図るための密封装置に関する。

背景技術

0002

車両や汎用機械等において、例えば潤滑油等の密封対象物漏洩の防止を図るために、軸とこの軸が挿入される孔との間を密封するために従来から密封装置が用いられている。このような密封装置においては、シールリップを軸に又は軸に取りけられる環状部材に接触させることにより軸と密封装置との間の密封を図っている。このような密封装置の中には、端面接触型と言われているものがある。端面接触型の密封装置は、軸に取り付けられたスリンガに対し軸に沿って延びるシールリップを接触させることにより密封対象物の漏洩の防止を図っている。

0003

従来の端面接触型の密封装置には、シールリップが接触するスリンガに溝を設け、スリンガの回転時の溝のポンプ作用により、大気側の空気と一緒に油等の密封対象物を密封対象物側へ送ることによりシール性を向上させたものがある。このような従来の端面接触型の密封装置においては、上述のように、スリンガの回転時はポンプ作用により、滲み出た密封対象物を密封対象物側へ戻すことができるが、スリンガの停止時は、スリンガの溝と端面リップとの間に形成される隙間から密封対象物が漏れ出てしまう、所謂、静止漏れが発生してしまう場合がある。

0004

この静止漏れを防止するため、従来の端面接触型の密封装置には、シールリップの内周側にスリンガと接触するシールリップを更に設けて、外周側のシールリップにおいて発生した静止漏れにより滲み出た密封対象物の更なる外部への漏洩の防止を図っているものがある(例えば、特許文献1参照。)。

先行技術

0005

実開平4−88773号公報

発明が解決しようとする課題

0006

このような従来の端面接触型の密封装置においては、上述のように、内周側のシールリップによって静止漏れの防止を図っているが、スリンガに対して2つのシールリップが接触しているため、スリンガの回転時に軸に対する摺動抵抗が上昇してしまう。近年、車両等の低燃費化の要求から、密封装置には、軸に対する摺動抵抗の低減が求められており、端面接触型の密封装置に対しては、静止漏れを防止しつつ軸に対する摺動抵抗の低減を図ることができる構造が求められている。

0007

本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、軸に対する摺動抵抗を増加させることなく密封対象物の静止漏れを防止することができる密封装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

上記目的を達成するために、本発明に係る密封装置は、軸と該軸が挿入される孔との間の環状の隙間の密封を図るための密封装置であって、前記孔に嵌着される密封装置本体と、前記軸に取り付けられるスリンガとを備え、前記密封装置本体は、軸線周りに環状の補強環と、該補強環に取り付けられている弾性体から形成されている軸線周りに環状の弾性体部とを有しており、前記スリンガは、外周側に向かって延びる前記軸線周りに環状の部分であるフランジ部を有しており、前記弾性体部は、軸線方向において一方の側に向かって延びる、前記フランジ部の前記軸線方向において他方の側の面に接触する前記軸線周りに環状のリップである端面リップを有しており、前記スリンガの前記フランジ部の前記他方の側の面には、少なくとも1つの溝が形成されており、前記溝は、その溝を形成している底面の挟角が130度よりも大きく180度よりも小さい。

0009

本発明の一態様に係る密封装置において、前記スリンガは、複数の溝を有している。

0010

本発明の一態様に係る密封装置において、前記溝は、溝深さが0.1mm以下である。

0011

本発明の一態様に係る密封装置において、前記底面の頂部には、R面取り加工が施されている。

発明の効果

0012

本発明に係る密封装置によれば、軸に対する摺動抵抗を増加させることなく密封対象物の静止漏れを防止することができる。

図面の簡単な説明

0013

本発明の実施の形態に係る密封装置の概略構成を示すための軸線に沿う断面における断面図である。
本発明の実施の形態に係る密封装置の軸線に沿う断面の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。
本発明の実施の形態に係る密封装置におけるスリンガを外側から見た側面図である。
溝の形状を説明するための図であり、図4(A)は、互いに隣接する溝を外側から見たスリンガの部分拡大側面図であり、図4(B)は、軸線に沿う断面における挟角αの溝の形状を示すスリンガの部分拡大断面図であり、図4(C)は、挟角α´の溝の形状を示すスリンガの部分拡大断面図である。
図1に示す密封装置が取付対象としてのハウジング及びこのハウジングに形成された貫通孔である軸孔に挿入された軸に取り付けられた使用状態における密封装置の部分拡大断面図である。

実施例

0014

以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。

0015

図1は、本発明の実施の形態に係る密封装置1の概略構成を示すための軸線xに沿う断面における断面図であり、図2は、本発明の実施の形態に係る密封装置1の軸線xに沿う断面の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。

0016

本実施の形態に係る密封装置1は、軸とこの軸が挿入される孔との間の環状の隙間の密封を図るための密封装置であり、車両や汎用機械において、軸とハウジング等に形成されたこの軸が挿入される孔(軸孔)との間を密封するために用いられる。例えば、エンジンクランクシャフトフロントカバーシリンダブロック及びクランクケースに形成されている軸孔であるクランク孔との間の環状の空間を密封するために用いられる。なお、本発明の実施の形態に係る密封装置1が適用される対象は、上記に限られない。

0017

以下、説明の便宜上、軸線x方向において矢印a(図1参照)方向(軸線方向において一方の側)を内側とし、軸線x方向において矢印b(図1参照)方向(軸線方向において他方の側)を外側とする。より具体的には、内側とは、密封対象空間の側(密封対象物側)であり潤滑油等の密封対象物が存在する空間の側であり、外側とは内側とは反対の側である。また、軸線xに垂直な方向(以下、「径方向」ともいう。)において、軸線xから離れる方向(図1の矢印c方向)を外周側とし、軸線xに近づく方向(図1の矢印d方向)を内周側とする。

0018

図1に示すように、密封装置1は、後述する取付対象としての孔に嵌着される密封装置本体2と、後述する取付対象としての軸に取り付けられるスリンガ3とを備えている。密封装置本体2は、軸線x周りに環状の補強環10と、補強環10に取り付けられている弾性体から形成されている軸線x周りに環状の弾性体部20とを備えている。

0019

スリンガ3は、外周側(矢印c方向)に向かって延びる軸線x周りに環状の部分であるフランジ部31を有している。弾性体部20は、軸線x方向において一方の側(内側、矢印a方向)に向かって延びる、フランジ部31の軸線方向xにおいて他方の側(外側、矢印b方向側)の面である外側面31dと接触する軸線x周りに環状のリップである端面リップ21を有している。スリンガ3のフランジ部31の外側面31dには、少なくとも1つの浅い溝33が形成されている。以下、密封装置1の密封装置本体2及びスリンガ3の各構成について具体的に説明する。

0020

密封装置本体2において補強環10は、図1、2に示すように、軸線xを中心又は略中心とする環状の金属製の部材であり、後述するハウジングの軸孔に密封装置本体2が圧入されて嵌合されて嵌着されるように形成されている。補強環10は、例えば、外周側(矢印c方向)に位置する筒状の部分である筒部11と、筒部11の外側(矢印b方向)の端部から内周側(矢印d方向)へ延びる中空円盤状の部分である円盤部12と、円盤部12の内周側(矢印d方向)の端部から内側(矢印a方向)且つ内周側(矢印d方向)へ延びる円錐筒状の環状の部分である錐環部13と、錐環部13の内側(矢印a方向)又は内周側(矢印d方向)の端部から内周側(矢印d方向)へ径方向に延びて補強環10の内周側(矢印d方向)の端部に至る中空円盤状の部分である円盤部14とを有している。

0021

補強環10の筒部11は、より具体的には、外周側(矢印c方向)に位置する円筒状又は略円筒状の部分である外周側円筒部11aと、外周側円筒部11aよりも外側(矢印b方向)及び内周側(矢印d方向)において延びる円筒状又は略円筒状の部分である内周側円筒部11bと、外周側円筒部11aと内周側円筒部11bとを接続する部分である接続部11cとを有している。

0022

筒部11の外周側円筒部11aは、密封装置本体2が後述するハウジング50(図3)の軸孔51に嵌着された際に、密封装置本体2の軸線xと軸孔51の軸線との一致が図られるように、軸孔51に嵌め込まれる。補強環10には、略外周側(矢印c方向)及び外側(矢印b方向)から弾性体部20が取り付けられており、補強環10により弾性体部20を補強している。

0023

弾性体部20は、図1,2に示すように、補強環10の円盤部14の内周側(矢印d方向)の端の部分に取り付けられている部分である基体部25と、補強環10の筒部11に外周側(矢印c方向)から取り付けられている部分であるガスケット部26と、基体部25とガスケット部26との間において外側から補強環10に取り付けられている部分である後方カバー部27とを有している。

0024

ガスケット部26は、より具体的には、図2に示すように、補強環10の筒部11の内周側円筒部11bに取り付けられている。また、ガスケット部26の外径は、後述する軸孔51の内周面51a(図5参照)の径よりも大きくなっている。このため、密封装置本体2が後述する軸孔51に嵌着された場合、ガスケット部26は、補強環10の内周側円筒部11bと軸孔51との間で径方向に圧縮され、軸孔51と補強環10の内周側円筒部11bとの間を密封する。これにより、密封装置本体2と軸孔51との間が密封される。

0025

また、ガスケット部26は、軸線x方向全体に亘って外径が軸孔51の内周面の径よりも大きくなっていなくてもよく、一部において外径が軸孔51の内周面の径よりも大きくなっていてもよい。例えば、ガスケット部26の外周側(矢印c方向)の面に、先端の径が軸孔51の内周面51aの径よりも大きい環状の凸部が形成されていてもよい。

0026

また、弾性体部20において、端面リップ21は、軸線xを中心又は略中心として円環状に基体部25から内側(矢印a方向)に向かって延びている。密封装置1が取付対象において所望の位置に取り付けられた使用状態において、端面リップ21は、端面リップ21の内周側(矢印c方向)の面である内周面22のスリンガ接触部23が所定の締め代を持ってスリンガ3のフランジ部31に外側(矢印b方向)から接触するように形成されている。

0027

端面リップ21は、例えば、軸線x方向において内側(矢印a方向)に向かうに連れて拡径する円錐筒状の形状を有している。つまり、図1,2に示すように、端面リップ21は、軸線xに沿う断面(以下、単に断面ともいう。)において、基体部25から内側(矢印a方向)及び外周側(矢印c方向)に、軸線xに対して斜めに延びている。

0028

また、弾性体部20は、ダストリップ28と中間リップ29とを有している。ダストリップ28は、基体部25から軸線xに向かって延びるリップであり、軸線xを中心又は略中心として円環状に基体部25から延びており、後述する密封装置1の使用状態において、先端部が所定の締め代を持ってスリンガ3に外周側(矢印c方向)から接触するように形成されている。

0029

ダストリップ28は、例えば、軸線x方向において外側(矢印b方向)に向かうに連れて縮径する円錐筒状の形状を有している。ダストリップ28は、使用状態において、密封対象物側とは反対側である外側(矢印b方向)からダストや水分等の異物が密封装置1の内部に侵入することの防止を図っている。ダストリップ28は、密封装置1の使用状態においてスリンガ3と接触しないように形成されていてもよい。

0030

中間リップ29は、図2に示すように、基体部25から断面略字型に内側(矢印a方向)へ向かって延びるリップであり、軸線x方向を中心または略中心として円環状に基体部25から延びており、基体部25との間に内側(矢印a方向)に向かって開放する環状の凹部を形成している。

0031

中間リップ29は、密封装置1の使用状態においてスリンガ3と接触していない。このように中間リップ29が接触していない分だけ、従来に比して摺動抵抗が低減されている。中間リップ29は、使用状態において、端面リップ21がスリンガ3に接触するスリンガ接触部23を越えて密封対象物が内部に滲み入った場合に、この滲み入った密封対象物がダストリップ28側へ流れ出すことの防止を図るために形成されている。中間リップ29は、他の形状であってもよく、例えば軸線x方向において内側(矢印a方向)に向かうに連れて縮径する円錐筒状の形状を有していてもよい。

0032

上述のように、弾性体部20は、端面リップ21、基体部25、ガスケット部26、後方カバー部27、ダストリップ28、及び中間リップ29を有しており、各部分は一体となっており、弾性体部20は同一の材料から一体に形成されている。なお、弾性体部20の形状は、上述の形状に限られるものではなく、適用対象に応じて種々の形状とすることができる。

0033

上述の補強環10は、金属材から形成されており、この金属材としては、例えば、ステンレス鋼やSPCC(冷間圧延鋼)がある。また、弾性体部20の弾性体としては、例えば、各種ゴム材がある。各種ゴム材としては、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、アクリルゴムACM)、フッ素ゴム(FKM)等の合成ゴムである。

0034

補強環10は、例えばプレス加工鍛造によって製造され、弾性体部20は成形型を用いて架橋加硫成形によって成形される。この架橋成形の際に、補強環10は成形型の中に配置されており、弾性体部20が架橋接着により補強環10に接着され、弾性体部20と補強環10とが一体的に成形される。

0035

スリンガ3は、後述する密封装置1の使用状態において軸に取り付けられる環状の部材であり、軸線xを中心又は略中心とする円環状の部材である。スリンガ3は、断面が略L字状の形状を有しており、フランジ部31と、フランジ部31の内周側の端部に接続する軸線x方向に延びる筒状又は略筒状の筒部34とを有している。

0036

フランジ部31は、具体的には、筒部34から径方向に延びる中空円盤状の又は略中空円盤状の内周側円盤部31aと、内周側円盤部31aよりも外周側(矢印c方向)において広がっている径方向に延びる中空円盤状の又は略中空円盤状の外周側円盤部31bと、内周側円盤部31aの外周側(矢印c方向)の端部と外周側円盤部31bの内周側(矢印d方向)の端部とを接続する接続部31cとを有している。外周側円盤部31bは、内周側円盤部31aよりも軸線x方向において外側(矢印b方向)に位置している。

0037

なお、フランジ部31の形状は、上述の形状に限られるものではなく、適用対象に応じて種々の形状とすることができる。例えば、フランジ部31は、内周側円盤部31a及び接続部31cを有しておらず、外周側円盤部31bが筒部34まで延びて筒部34に接続しており、筒部34から径方向に延びる中空円盤状の又は略中空円盤状の部分であってもよい。

0038

スリンガ3が端面リップ21に接触する部分であるリップ接触部32は、フランジ部31において、外周側円盤部31bの外側(矢印b方向)に面する面である外側面31dに位置している。外側面31dは径方向に広がる平面に沿う面であることが好ましい。

0039

上述のように、スリンガ3の外側面31dには、少なくとも1つの浅い溝33が形成されている。本実施の形態においては、図3に示すように、スリンガ3の外側面31dには複数の溝33が形成されている。

0040

図3は、密封装置1におけるスリンガ3を外側から見た側面図である。図3に示すように、スリンガ3の外側面31dには、溝331,332,333・・・・33nのn個の溝33が形成されている。つまり、スリンガ3が有する溝33の数(条数)はnである。この場合、例えば4条である。

0041

複数の溝331〜33nの各溝33m(m=1,2,3,〜,n)は、図3に示すように、端面リップ21が接触する部分と交差している。具体的には、溝33mは、内周側(矢印d方向)と外周側(矢印c方向)との間に延びており、スリンガ3のフランジ部31の外周側円盤部31bの外側面31dにおける端面リップ21との接触部であるリップ接触部32と交差している。

0042

図4は、溝33m(m=1〜n)の形状を説明するための図であり、図4(A)は、互いに隣接する溝33m,33m+1(m=1〜n)を外側から見たスリンガ3の部分拡大側面図であり、図4(B)は、軸線に沿う断面における挟角αの溝の形状を示すスリンガの部分拡大断面図であり、図4(C)は、挟角α´の溝の形状を示すスリンガの部分拡大断面図である。図4(A)に示すように、互いに隣接し互いに異なる溝33mと溝33m+1との間には、径方向における間隔(ピッチ)pが設けられている。

0043

また、図3に示すように、溝33mは螺旋状(渦巻き状)に延びており、溝33mのリードは、リードlとなっている。なお、リードlは、溝33mが一周した際に、溝33mが径方向に広がる幅である。

0044

また、図4(B)に示すように、溝33mは内側(矢印a方向)へ向かって凹んだ凹状空間であり、例えば底面44がv字状の又は略v字状の輪郭を有している。底面44の挟角は角度α(以下、これを「挟角α」ともいう。)となっており、従来の溝よりも大きな挟角αとなっている。この挟角αは、0度<α<180度である。ただし、溝33mは、底面44がv字状又は略v字状に限らず、U字状または略U字状の輪郭を有していてもよい。

0045

また、溝33mの深さは深さhとなっており、溝33mの径方向の幅は幅wrとなっている。溝33mの幅wrは、スリンガ3の外側面31dと底面44の一方の辺44aおよび他方の辺44bとの交点k1、k2間の距離である。この場合、溝33mの深さhが一定のまま、溝33mの挟角αを従来に比して大きくするものとする。ただし、これに限るものではなく、溝33mの深さhが例えば0.1mmよりも浅くなってもよい。

0046

なお、溝33mの底面44の底部(辺44a、辺44bの交点となる頂部)には、面取部44ecが形成されている。この面取部44ecは、頂部において交差する辺44aおよび辺44bの2辺と内接する半径r44の内接円Cir44の一部分の形状を有し、辺44aと辺44bと滑らかに繋がるR面を為している。ここで、溝33mの深さhは、溝33mの面取部44ecにおける最底点bt1と、フランジ部31の外側面31dとの間の距離である。

0047

図4(C)に示すように、挟角αを挟角α´のように大きくした溝33mmの場合(α<α´)であっても、底面45の底部(辺45a、辺45bの交点となる頂部)には、面取部45ecが形成されており、当該溝33mmの深さhが溝33mの深さhと同じである。このため、溝33mmの底面45の一方の辺45aおよび他方の辺45bとの交点k11、k12間の距離である幅wwが挟角α´と連動して大きくなる。

0048

因みに、溝33mおよび溝33mmにおいて双方ともに内接円Cir44の一部分の形状を有するR面から為るが、これに限るものではなく、溝33mmの底面45の底部においては、内接円Cir44よりも大きな半径を有する内接円の一部分の形状を有するR面からなる面取部が形成されていてもよい。

0049

次いで、上述の構成を有する密封装置1の作用について説明する。図5は、密封装置1が取付対象としてのハウジング50及びこのハウジング50に形成された貫通孔である軸孔51に挿入された軸52に取り付けられた使用状態における密封装置1の部分拡大断面図である。

0050

ハウジング50は、例えばエンジンのフロントカバー、又はシリンダブロック及びクランクケースであり、軸孔51は、フロントカバー、又はシリンダブロック及びクランクケースに形成されたクランク孔である。また、軸52は、例えば、クランクシャフトである。

0051

図5に示すように、密封装置1の使用状態において、密封装置本体2は軸孔51に圧入されて軸孔51に嵌着されており、スリンガ3は軸52に締り嵌めされて軸52に取り付けられている。

0052

具体的には、補強環10の外周側円筒部11aが軸孔51の内周面51aに接触して、密封装置本体2の軸孔51に対する軸心合わせが図られ、また、弾性体部20のガスケット部26が軸孔51の内周面51aと補強環10の内周側円筒部11bとの間で径方向に圧縮されてガスケット部26が軸孔51の内周面51aに密着して、密封装置本体2と軸孔51との間の密封が図られている。また、スリンガ3の円筒部35が軸52に圧入され、円筒部35の内周面35aが軸52の外周面52aに密着し、軸52にスリンガ3が固定されている。

0053

密封装置1の使用状態において、弾性体部20の端面リップ21が、内周面22の先端21a側の部分であるスリンガ接触部23において、スリンガ3のフランジ部31の外周側円盤部31bの外側面31dの部分であるリップ接触部32と接触するように、密封装置本体2とスリンガ3との間の軸線x方向における相対位置が決められている。

0054

密封装置1の非使用状態、特に軸52の回転していない静止状態において、端面リップ21とフランジ部31のリップ接触部32との接触により、密封装置本体2とスリンガ3との間の密封が図られており、密封対象物側からの密封対象物の漏洩の防止が図られている。

0055

なお、ダストリップ28は先端側の部分においてスリンガ3の筒部34に外周側から接触している。ダストリップ28は、例えば、スリンガ3の円筒部35の外周面35bに接触している。

0056

また、上述のように、溝33mは、端面リップ21が接触するスリンガ3の部分であるリップ接触部32を内周側(矢印d方向)と外周側(矢印c方向)との間で交差しており、互いに接触するスリンガ接触部23とリップ接触部32との間に、溝33mによって内周側(矢印d方向)と外周側(矢印c方向)との間に延びる隙間が形成される。このため、軸52が静止している、つまりスリンガ3が静止している密封装置1の静止状態において、溝33mを通って密封対象物側から密封対象物が滲み出てくる静止漏れが発生すると考えられる。

0057

しかしながら、本発明の密封装置1では、上述したように、端面リップ21の内周面22のスリンガ接触部23が所定の締め代を持ってスリンガ3のフランジ部31に外側(矢印b方向)から接触する際、端面リップ21のスリンガ接触部23が従来よりも大きな挟角α(α´)を有する溝33m(溝33mm)の凹部空間に対して容易に入り込んで底面44(底面45)と密着する。これにより、端面リップ21のスリンガ接触部23とスリンガ3のフランジ部31の外側面31dとの間が更に一段と密封されるため、密封装置1の静止状態においても、静止漏れの発生を防止することができる。

0058

さらに、この場合、溝33m(溝33mm)の底面44(底面45)の底部を形成する辺44a、44b(辺45a、45b)の交点である頂部にR面取加工が施された面取部44ec(面取部45ec)と端面リップ21のスリンガ接触部23とが隙間無く密着するため、密封装置1の静止状態における静止漏れ防止性能を一段と向上させることができる。

0059

なお、本発明の密封装置1では、特に軸52の回転する動作状態において、当該軸52の高速回転によって端面リップ21のスリンガ接触部23が溝33m(溝33mm)の底面44(底面45)から僅かに浮き上がるため、ポンプ作用が生じて油等の密封対象物を密封対象物側へ送ることによりシール性を発揮することができる。すなわち、密封装置1では、軸52の回転時および静止時の何れにおいても油等の密封対象物に対するシール性を確保することができる。

0060

次いで、本発明の実施の形態に係る密封装置1の密封性能について説明する。具体的には、密封装置1の静止漏れ防止性能について説明する。

0061

本出願人は、底面44(底面45)の挟角α(挟角α´)を従来に比して大きくした溝33m(溝33mm)を有する本発明の実施の形態に係る密封装置1を製作し(試験例1、2および比較例(従来技術))、密封装置1の静止漏れ防止性能の評価試験を行った。その評価試験の結果を下記の表1において示す 。

0062

0063

この評価試験においては、比較例(従来)、試験例1、試験例2の全てにおいてリードl=5.6mm、条数n=4の溝33mとした。

0064

評価試験は、以下の試験条件で行った。
[試験条件]
軸52の軸偏心:0.2mmT.I.R.(Total Indicator Reading)
取付偏心(軸孔51の偏心):0.2mmT.I.R.(Total Indicator Reading)
スリンガ3の面ぶれ:0.05mm(実測値
油温:120℃
油種:0W−20(SEA規格、SAEJ300エンジン油粘度分類(2015年1月)に基づく。)
油量:充満密封対象の空間がオイルで満たされている状態であり、リップ全周の背面までオイルが満たされている。)
軸52(スリンガ3)の回転速度:0rpm

0065

評価試験は、1,000時間を上限として、上記試験条件での漏れの発生が確認されるまでの時間を測定することにより行われた。また、評価試験は、図5に示すような使用状態を擬似的に作った評価装置において行われた。この評価装置において、密封対象物側に上述の密封対象物としての油を注ぎ、密封対象物側において密封装置1全体が油に覆われるようにした。なお、静止漏れ開始時間(h)とは、オイルの静止漏れ量を測定するために、ダストリップ28、中間リップ29を削除し、試験開始後に端面リップ21から染み出たオイルが密封装置1の外に漏れるまでを時間(h)とする。

0066

表1に示すように、比較例(従来)、試験例1、試験例2の全てにおいて底面44の面取部44ecにおける底部面取Rが0.3(mm)、および、深さhが0.1(mm)であり、比較例(従来)では溝33mの挟角αは130度、試験例1では溝33mの挟角αは140度、試験例2では溝33mの挟角αは150度とした。

0067

比較例(従来)の溝33m(挟角α=130度)における静止漏れ開始時間(h)は16時間であったのに対し、試験例1の溝33m(挟角α=140度)における静止漏れ開始時間(h)は22時間となり、試験例2の溝33m(挟角α=150度)における静止漏れ開始時間(h)は33時間となった。

0068

すなわち、溝33mは、挟角αが130度を超えて大きくなればなるほど静止漏れ開始時間(h)が長くなることが分かった。これは、挟角αが130度を超えて大きくなるとともに幅wが広がるため、端面リップ21のスリンガ接触部23が溝33mに対して容易に入り込んで底面34(辺34a、辺34b)と密着する度合いが増し、密封性能が上がるためであると考えられる。

0069

このように、上述の静止漏れ防止性能の評価試験の結果から、溝33mは、挟角αが130度を超えて大きくなればなるほど、静止漏れを抑制することができ、静止漏れ防止性能が高いことが分かった。より具体的には、本静止漏れ防止性能の評価試験から、静止漏れ防止に関しては、試験例1、2の中で、試験例2、試験例1の順で好ましいことが分かった。

0070

このように、本発明の実施の形態に係る密封装置1によれば、軸52(スリンガ3)に対する摺動抵抗を増加させることなく密封対象物の静止漏れを防止することができる。

0071

以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に係る密封装置1に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。

0072

また、本実施の形態に係る密封装置1は、エンジンのクランク孔に適用されるものとしたが、本発明に係る密封装置の適用対象はこれに限られるものではなく、他の車両や汎用機械、産業機械等、本発明の奏する効果を利用し得るすべての構成に対して、本発明は適用可能である。

0073

1…密封装置、2…密封装置本体、3…スリンガ、10…補強環、11…筒部、11a…外周側円筒部、11b…内周側円筒部、11c…接続部、12…円盤部、13…錐環部、14…円盤部、20…弾性体部、21…端面リップ、21a…先端、22…内周面、23…スリンガ接触部、25…基体部、26…ガスケット部、27…後方カバー部、28…ダストリップ、29…中間リップ、21…端面リップ、31…フランジ部、31a…内周側円盤部、31b…外周側円盤部、31c…接続部、31d…外側面、32…リップ接触部、33m…溝、34…筒部、35…円筒部、35a…内周面、35b…外周面、44、45…底面、44a、44b、45a、45b…辺、50…ハウジング、51…軸孔、51a…内周面、52…軸、52a…外周面、h…深さ、l…リード、p…ピッチ、S…挟空間、w…幅、x…軸線、α…挟角

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