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技術 ポリイミドフィルムおよびそれを用いた光学部材

出願人 セントラル硝子株式会社
発明者 原由香里魚山大樹松永佳
出願日 2018年1月10日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-002064
公開日 2019年7月22日 (9ヶ月経過) 公開番号 2019-119829
状態 未査定
技術分野 高分子成形体の製造 偏光要素 含窒素連結基の形式による高分子化合物一般 高分子組成物
主要キーワード センサーフィルム 個数単位 光デバイス作製 ヘキサフルオロイソプロピルエーテル ヘコミ ガラスチューブオーブン GC装置 イナートガスオーブン
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重要な関連分野

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課題

溶液での塗布によって容易にフィルム成形が可能であるのに加え、フィルム成形後は表面欠陥が少なく透明性に優れ、耐熱性を併せ持つ透明ポリイミドフィルムの提供。

解決手段

式(1)で表される繰り返し単位を50モル%以上有するポリイミドを少なくとも含むポリイミド樹脂組成物成形体からなる、特定の有機溶剤に対する溶解性が高く、前駆体のポリアミック酸溶液のみならず、ポリイミド溶液での基体への塗布によって膜成形が可能であり、高い耐熱性と可視光域における透明性を併せ持つポリイミドフィルム。

概要

背景

透明フィルムは、光学部材として、例えば、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、以下、LCDと呼ぶことがある)用位相差フィルムタッチパネル有機エレクトロルミネッセンス(organic electro-luminescence)基板(以下、有機EL基板と呼ぶことがある)およびセンサーフィルムに使用されている。

透明フィルムの素材には、ポリメタクリル酸メチルポリカーボネートまたはポリエーテルスルホン等の透明樹脂を挙げることができる。しかしながら、これら透明樹脂のガラス転移温度は、ポリメタクリル酸メチルが90℃、ポリカーボネートが150℃、およびポリエーテルスルホンが230℃であり高いとはいえない。光学部材、例えば、光を利用して情報の記録または伝達を行う光デバイス光源高出力化により、耐熱性が求められる。さらに、光デバイス作製時には350℃を超える加熱処理を行う工程があることも多く、これら透明樹脂は耐熱性が不足している。

350℃以上の加熱に耐える耐熱性樹脂に、ポリイミドを挙げることができる。しかしながら、通常、ポリイミドは着色があり透明性に劣る。また、ポリイミドは有機溶剤溶け難く、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸の段階で有機溶剤に溶解させ、基体に塗布して塗膜成形後に加熱し。脱水環化イミド化と呼ぶことがある)してポリイミドフィルムとすることが常套である。ポリアミック酸の塗膜を加熱によりイミド化する際の構造の変化は大きく、得られたポリイミドフィルムにクラックハジキが起こり易い。また、平坦性の高い均一な膜厚のポリイミドフィルムを成形することは難しい。ポリイミドに比べポリミック酸は加水分解が起こりやすく、例えば、溶液状態での保存安定性に劣る。

特許文献1および特許文献2には、ヘキサフルオロイソプロパノール基(−C(CF3)2)OH、以下、HFIP基と呼ぶことがある)を含むポリイミド(以下、HFIPポリイミドと呼ぶことがある)を材料とする有機EL基板が開示されている。これらHFIPポリイミドは、ポリアミック酸ではなくポリイミドの状態で特定の有機溶剤に溶解することが可能である。

概要

溶液での塗布によって容易にフィルム成形が可能であるのに加え、フィルム成形後は表面欠陥が少なく透明性に優れ、耐熱性を併せ持つ透明ポリイミドフィルムの提供。式(1)で表される繰り返し単位を50モル%以上有するポリイミドを少なくとも含むポリイミド樹脂組成物成形体からなる、特定の有機溶剤に対する溶解性が高く、前駆体のポリアミック酸溶液のみならず、ポリイミド溶液での基体への塗布によって膜成形が可能であり、高い耐熱性と可視光域における透明性を併せ持つポリイミドフィルム。なし

目的

本発明は、前駆体のポリアミック酸溶液のみならず、ポリイミド溶液の状態で基体への塗布により塗膜成形が可能であり、膜成形後は、耐熱性と可視光域における透明性を併せ持つ、ポリイミドフィルムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを含む、ポリイミドフィルム。(式中、aは1または2の整数である。Gは芳香環を含む4価の有機基である。)

請求項2

式(1)で表される繰り返し単位を50%以上有するポリイミドを含む、請求項1に記載のポリイミドフィルム。

請求項3

前記Gが式(2)または式(3)で表される基である、請求項1または請求項2に記載のポリイミドフィルム。

請求項4

フィルムの厚さ、0.5μm以上、500μm以下において、波長420nmにおける光透過率が80%以上である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。

請求項5

5%重量分解温度が350℃以上である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。

請求項6

請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムを用いてなる光学部材

請求項7

請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムを用いてなる光学機器

請求項8

式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドと、有機溶剤を含む、ポリイミド溶液。(式中、aは1または2の整数である。Gは芳香環を含む4価の有機基である。)

請求項9

前記Gが式(2)または式(3)で表される基である、請求項8に記載のポリイミド溶液。

技術分野

0001

本発明は、ポリイミドフィルムおよびそれを用いた光学部材に関する。

背景技術

0002

透明フィルムは、光学部材として、例えば、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、以下、LCDと呼ぶことがある)用位相差フィルムタッチパネル有機エレクトロルミネッセンス(organic electro-luminescence)基板(以下、有機EL基板と呼ぶことがある)およびセンサーフィルムに使用されている。

0003

透明フィルムの素材には、ポリメタクリル酸メチルポリカーボネートまたはポリエーテルスルホン等の透明樹脂を挙げることができる。しかしながら、これら透明樹脂のガラス転移温度は、ポリメタクリル酸メチルが90℃、ポリカーボネートが150℃、およびポリエーテルスルホンが230℃であり高いとはいえない。光学部材、例えば、光を利用して情報の記録または伝達を行う光デバイス光源高出力化により、耐熱性が求められる。さらに、光デバイス作製時には350℃を超える加熱処理を行う工程があることも多く、これら透明樹脂は耐熱性が不足している。

0004

350℃以上の加熱に耐える耐熱性樹脂に、ポリイミドを挙げることができる。しかしながら、通常、ポリイミドは着色があり透明性に劣る。また、ポリイミドは有機溶剤溶け難く、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸の段階で有機溶剤に溶解させ、基体に塗布して塗膜成形後に加熱し。脱水環化イミド化と呼ぶことがある)してポリイミドフィルムとすることが常套である。ポリアミック酸の塗膜を加熱によりイミド化する際の構造の変化は大きく、得られたポリイミドフィルムにクラックハジキが起こり易い。また、平坦性の高い均一な膜厚のポリイミドフィルムを成形することは難しい。ポリイミドに比べポリミック酸は加水分解が起こりやすく、例えば、溶液状態での保存安定性に劣る。

0005

特許文献1および特許文献2には、ヘキサフルオロイソプロパノール基(−C(CF3)2)OH、以下、HFIP基と呼ぶことがある)を含むポリイミド(以下、HFIPポリイミドと呼ぶことがある)を材料とする有機EL基板が開示されている。これらHFIPポリイミドは、ポリアミック酸ではなくポリイミドの状態で特定の有機溶剤に溶解することが可能である。

先行技術

0006

特開2016−76480号公報
特開2016−76481号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、前駆体のポリアミック酸溶液のみならず、ポリイミド溶液の状態で基体への塗布により塗膜成形が可能であり、膜成形後は、耐熱性と可視光域における透明性を併せ持つ、ポリイミドフィルムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

特許文献1および特許文献2に記載のHFIPポリイミドは、特定の有機溶剤に溶解性があり、ポリイミド溶液の状態で基体に塗布することで塗膜成形が可能であり、加熱し得られたフィルムは透明性に優れ耐熱性を有する。

0009

本発明者らが、HFIPポリイミドと同等の透明性とさらなる耐熱性を求め、鋭意検討を行ったところ、ヘキサフルオロイソプロピルエーテル基(−O−CH(CF3)2)を有する下記式(1)で表される繰り返し単位を好ましくは50モル%以上含有するポリイミドフィルムが、特許文献1〜2のHFIPポリイミドと同等の透明性を有し、且つ、より高い5%重量減少温度を有し耐熱性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った(後述の表1の実施例1〜3、比較例1〜2参照)。



(式中、aは1または2の整数である。Gは芳香環を含む4価の有機基である。)

0010

本発明は以下の発明1〜9を含む。
[発明1]
式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを含む、ポリイミドフィルム。



(式中、aは1または2の整数である。Gは芳香環を含む4価の有機基である。)

0011

[発明2]
式(1)で表される繰り返し単位を50%以上有するポリイミドを含む、発明1のポリイミドフィルム。

0012

[発明3]
前記Gが式(2)または式(3)で表される基である、発明1または発明2のポリイミドフィルム。

0013

[発明4]
フィルムの厚さ、0.5μm以上、500μm以下において、波長420nmにおける光透過率が80%以上である、発明1〜3のポリイミドフィルム。

0014

[発明5]
5%重量分解温度が350℃以上である、発明1〜4のポリイミドフィルム。

0015

[発明6]
発明1〜5のポリイミドフィルムを用いてなる光学部材。

0016

[発明7]
発明1〜5のポリイミドフィルムを用いてなる光学機器

0017

[発明8]
式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドと、有機溶剤を含む、ポリイミド溶液。



(式中、aは1または2の整数である。Gは芳香環を含む4価の有機基である。)

0018

[発明9]
前記Gが式(2)または式(3)で表される基である、発明8のポリイミド溶液。

発明の効果

0019

本発明のポリイミドフィルムが含むポリイミドは、特定の有機溶剤に対する溶解性が高く、前駆体のポリアミック酸溶液のみならず、ポリイミド溶液の状態での基体への塗布によって塗膜成形が可能であり、容易にポリイミドフィルムを成形することができる。本発明のポリイミドフィルムは、耐熱性と可視光域における透明性を併せ持つ。

0020

以下、本発明について詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
1.ポリイミドフィルム
本発明のポリイミドフィルムは、式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを含む。



(式中、aは1または2の整数である。Gは芳香環を含む4価の有機基である。)

0021

[膜厚]
本発明のポリイミドフィルムの厚さは、0.5μm以上、500μm以下である。好ましくは、1μm以上、100μm以下であり、特に好ましくは、10μm以上、80μm以下である。厚さが0.5μmより薄いポリイミドフィルムを得ることは難しく、500μmより厚いポリイミドフィルムは、ハジキ、ヘコミワレ等の欠陥が発生し、均一な膜厚を得難い。

0022

[透明性]
本発明のポリイミドフィルムにおいて、フィルムの厚さ、0.5μm以上、500μm以下において、波長420nmにおける光透過率が80%以上、可視光における波長420nm以上、780nm以下で透過率が60%以上を得ることができる。有機ELディスプレイ用のボトムエミッション方式の基板に用いる場合、波長400nm以上、780nmで透過率が60%以上の透過率を得ることが好ましく、透過率が5%以下となるカットオフ周波数においては、380nm以下であることが好ましい(後述の表1における実施例1〜3参照)。

0023

[5%重量減少温度(Td5)]
本発明のポリイミドフィルムにおいて、5%重量減少温度(以下、Td5と呼ぶことがある)、350℃以上を得ることができる。好ましくは、400℃以上である。Td5が350℃以上あれば、光学部材または光学機器の製造工程における高温に耐えることができる。上限は500℃以下である、5%重量減少温度が350℃より低いと、前記製造工程での基板の劣化の原因となる。なお、5%重量減少温度は、熱重量分析装置を用いて熱重量測定を行い、初期のポリイミドフィルムの重量に対して5%の重量損失があった温度をいい、高い程の耐熱性に優れると見なせ、耐熱性の指標となる。

0024

本発明のポリイミドフィルムは、その用途に合わせ基体上に成形した状態で用いてもよく、剥がして用いてもよい。

0025

本発明のポリイミドフィルムはLCD用位相差フィルム用、タッチパネル用、有機EL用、センサーフィルム用に好適に使用できる。中でも、本発明の透明ポリイミドフィルムはLCD用位相差フィルム用、タッチパネル用に特に好適に使用できる。

0026

2.ポリイミド
本発明のポリイミドフィルムが含むポリイミドは、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する。



(式中、aは1または2の整数である。Gは芳香環を含む4価の有機基である。)

0027

本発明のポリイミドフィルムに高い耐熱性と可視光域における透明性を併せ持たせるためには、前記ポリイミド中の式(1)で表される繰り返し単位は、ポリイミドの繰り返し単位の全個数に対して、個数単位で50%以上である。好ましくは75%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。特に好ましくは、式(1)で表される繰り返し単位のみからなるポリイミドである。

0028

ポリイミドフィルムが含むポリイミド中の式(1)で表される繰り返し単位以外の、他の単位としては、ポリイミドが特定の有機溶剤に対し易溶であることを妨げない、繰り返し単位であればよい。ジアミンテトラカルボン酸二無水物脱水縮合した単位であり、例えば、後述の他のジアミンまたは後述のテトラカルボン酸二無水物が脱水縮合した繰り返し単位であることが好ましい。

0029

繰り返し単位(1)中のGは、芳香環を含む4価の有機基であって、例えば、以下の式(2)または式(3)で表される基を例示することができる。

0030

本発明のポリイミドフィルムを成形するポリイミドの重量平均分子量は特に制限されるものではないが、30,000以上、1,000,000以下が好ましく、さらに好ましくは40,000以上、500,000以下、特に好ましくは50,000以上、200,000以下である。重量平均分子量が30,000未満であると、ポリイミドフィルムとした際の寸法安定性が悪く、割れ等の欠陥を生じ易い。1,000,000を超えると、溶液の粘度が高く、フィルムに成形するのが困難になることがある。なお、上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、以下、GPCと呼ぶことがある)で測定し、ポリスチレン換算した値である。

0031

[他のポリイミド]
また、本発明のポリイミドフィルムは、式(1)で表される繰り返し単位を含有するポリイミド以外に、その他の成分を含んでいてもよい、その他の成分の種類は特に限定されないが、例えば、式(1)で表される繰り返し単位を含有するポリイミド以外の他のポリイミドが挙げられ、公知のポリイミドを一種または二種以上を適宜選択して使用することができる。他のポリイミドは、後述の他のジアミンまたはテトラカルボン酸二無水物を原料として合成されるポリイミドであってもよい。

0032

3.ポリイミドの原料化合物
以下に、本発明のポリイミドフィルムが含むポリイミドの原料化合物について記載する。当該ポリイミドは、ヘキサフルオロイソプロピルエーテル基を有するジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを原料とし合成する。

0033

[ヘキサフルオロイソプロピルエーテル基を有するジアミン]
本発明のポリイミドフィルム含む原料化合物として、式(4)で表されるヘキサフルオロイソプロピルエーテル基を有するジアミンを用いる。

0034

(aは1または2の整数である。)
本発明のポリイミドフィルムが含むポリイミドの合成において、式(4)で表されるヘキサフルオロイソプロピルエーテル基を有するジアミンを用いる(以下、本ジアミンと呼ぶことがある)。

0035

[他のジアミン]
本発明のポリイミドフィルムが含むポリイミドの合成において、本ジアミン以外の他のジアミンを、ポリイミドの物性調整のために併用してもよい。他のジアミンの使用量としては、本ジアミンと他のジアミンを併せた質量に対する質量%で表して、5%以上、50%以下であり、好ましくは10%以上、30%以下である。他のジアミンの含有割合が5%より少ないと、機械的強度等の調整の効果が小さくなり、他のジアミンの含有割合が50%より多いと、5%重量減少温度が低下し耐熱性が得られない虞、または着色を生じる虞がある。

0036

他のジアミンとして、ベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビストリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、o−フェニレンジアミンm−フェニレンジアミンp−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノm−キシレン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリメチルベンゼン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニルスルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−エチレンジアニリン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、または1,3−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼンを例示することができる。また、これら他のジアミンは、単独で使用してもよく、2種以上を併用することもできる。

0038

これら他のジアミンの中でも、入手が容易であることから、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノ−m−キシレン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、または2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンが好ましく、特に好ましくは、ポリイミドとした際の透過性の低下の少ない2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンである。

0039

[テトラカルボン酸二無水物]
本発明のポリイミドフィルムが含むポリイミドの製造において、原料化合物として、式(5)で表されるテトラカルボン酸二無水物を用いる。例えば、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物(以下、PMDAと呼ぶことがある)、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAと呼ぶことがある)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物(以下、6FDAと呼ぶことがある)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAと呼ぶことがある)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(以下、ODPAと呼ぶことがある)、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物を例示することができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。

0040

これらテトラカルボン酸二無水物の中でも、市販されており入手が容易であることから、PMDA、BPDA、BTDA、6FDAまたはODPAが好ましく、特に好ましくは、得られるポリイミドの可視光領域の透明性が高いことから、6FDAまたはODPAである。

0041

4.ポリイミドの合成方法
本発明のポリイミドフィルムが含む、繰り返し単位(1)を含有するポリイミドの合成方法について記載する。

0042

本発明のポリイミドフィルムが含む、繰り返し単位(1)を含有するポリイミドの合成方法は特に限定されない。

0043

[ポリイミドを直接得る方法]
繰り返し単位(1)を含有するポリイミドの合成方法は、例えば、式(4)で表されるヘキサフルオロイソプロピルエーテル基を含有するジアミンと、式(5)で表されるテトラカルボン酸二無水物を、温度150℃以上で溶融接触し反応させ、無溶媒で直接、繰り返し単位(1)を含有するポリイミドを得る方法を挙げることができる。

0044

[ポリアミック酸を得た後、イミド化してポリイミドを得る方法]
また、式(4)で表されるヘキサフルオロイソプロピルエーテル基を含有するジアミンと、式(5)で表されるテトラカルボン酸二無水物を、有機溶剤中で縮重合して得られるポリアミック酸をさらにイミド化することで、繰り返し単位(1)を有するポリイミドを合成する方法を挙げることができる。式(4)で表されるヘキサフルオロイソプロピルエーテル基を含有するジアミンと、式(5)で表されるテトラカルボン酸二無水物を、有機溶剤中で縮重合してポリアミック酸を得る際は、−20℃〜80℃で行うことが好ましく、式(4)で表されるヘキサフルオロイソプロピルエーテル基を含有するジアミンと、式(5)で表されるテトラカルボン酸二無水物を、モル比で表して1対1で縮重合させることが好ましい。

0045

(式中、aは1または2の整数である。)

0046

(式中、Gは式(1)のGと同義である。)

0047

<有機溶剤>
前記、縮重合の際に用いる有機溶剤として、原料化合物が溶解すれば特に制限されず、例えば、アミド系溶剤エーテル系溶剤芳香族系溶剤ハロゲン系溶剤、またはラクトン系溶剤を挙げることができる。これらの有機溶剤は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。

0048

アミド系溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミドヘキサメチルリン酸トリアミドまたはN−メチル−2−ピロリドンを例示することができる。

0050

芳香族系溶剤としては、ベンゼン、アニソールニトロベンゼンまたはベンゾニトリルを例示することができる。ハロゲン系溶剤としては、クロロホルムジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、または1,1,2,2−テトラクロロエタンを例示することができる。ラクトン系溶剤としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、またはα−メチル−γ−ブチロラクトンを例示することができる。

0051

これらの有機溶剤は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。

0052

[イミド化]
本発明のポリイミドフィルムが含むポリイミドは、前記縮重合反応で得られたポリアミック酸をさらにイミド化することで得られる。イミド化は、以下に示す加熱法または化学法にて行う。

0053

<加熱法>
加熱法は、前記縮重合反応で得られたポリアミック酸溶液を、150℃以上、350℃以下に加熱し有機溶剤を揮発させつつイミド化する方法である。

0054

<化学法>
化学法は、前記縮重合反応で得られたポリアミック酸溶液に、ピリジンまたはトリエチルアミン等の塩基無水酢酸を、原料として用いた式(4)で表されるジアミンに対して、それぞれ2モル当量以上10当量以下加え、0℃以上、50℃以下にて、溶液中でイミド化し、ポリイミド溶液を得る方法である。

0055

5.ポリイミド溶液
本発明のポリイミドフィルムを成形するためのポリイミド溶液は、前記加熱法によって得られたポリイミドを有機溶媒に溶解して濃度調整してもよい。また、化学法で得られたポリイミド溶液に有機溶剤を加えて濃度調整してもよい。

0056

また、ポリイミド溶液中に含まれる未反応の原料化合物、ポリイミドの低分子量体を除去する目的で、化学法で得られたポリイミド溶液を、水またはアルコール等の貧溶剤中に展開し、ポリイミドを沈殿し単離精製した後で、ポリイミドが可溶な有機溶剤に溶解させて、再度、ポリイミド溶液を得て所定の濃度に調整してもよい。この際の有機溶剤としては、本発明に係るポリイミドが溶解すれば特に制限されず、例えば、前記縮重合反応に使用できる有機溶剤で挙げたものと同様の種類の有機溶剤を使用することができる。これら有機溶剤は単独で用いてもよいし、二種以上の混合溶剤を用いてもよい。

0057

ポリイミド溶液の濃度は、5質量%以上、50質量%以下となるように調整することが好ましい。5質量%より少ないとポリイミド溶液が薄すぎて、後工程の膜の成形が困難となる。50質量%を超えるとポリイミドが溶解し難く析出する虞がある。好ましくは、10質量%以上、40質量%以下である。

0058

このようにして、式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドと、有機溶剤を含む、ポリイミド溶液が得られる。



(式中、aは1または2の整数である。Gは芳香環を含む4価の有機基である。)

0059

前記Gが式(2)〜式(3)の何れかで表される基であることが好ましい。

0060

6.ポリイミドフィルムの成形方法
本発明のポリイミドフィルムは、前記ポリイミド溶液を、例えば、ガラス板などの基材に塗布し塗膜とする塗布工程、塗膜から溶剤を除去し乾燥させる乾燥工程、乾燥させた塗膜を加熱する加熱工程を経て得ることができる。

0061

乾燥工程における乾燥時間、加熱工程における加熱時間は、各々0.5時間以上、3時間以下であり、それぞれの工程を連続または個別に行うこともできる。

0062

[塗布工程]
塗布工程におけるポリイミド溶液からの塗膜の成形は、公知の装置を用いて基材に塗布することで成形することができる。公知の装置としては、スピンコーターバーコータードクターブレードコーターエアナイフコーターロールコーターロータリーコーター、フローコーターダイコーターまたはリップコーターを挙げることができる

0063

ポリイミド溶液を塗布する基材は、ポリイミド溶液が含む有機溶剤に侵されなければ、無機基材または有機基材のいずれであってもよく、特に限定されない。また、平板上であることが好ましい。無機基材としては、例えば、ガラスシリコンウエハステンレス鋼アルミナ、銅、またはニッケルを例示することができる。有機機材としては、ポリエチレンテレフタラートポリエチレングリコールテレフタラート、ポリエチレングリコールナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミドポリエーテルイミドポリエーテルエーテルケトンポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、またはポリフェニレンスルフィドを例示することができる。耐熱温度が高いことから、ガラス、シリコンウエハまたはステンレス鋼からなる無機基材を用いることが好ましい。

0064

ポリイミド溶液を基材に塗布し塗膜とした際の厚みは、ポリイミド溶液の濃度により調整することができる。塗膜の厚みは、通常1μm以上、1000μm以下であり、好ましくは、5μm以上、500μm以下である。塗膜が1μmより薄く塗布することは難しく、1000μmより厚いと、得られるポリイミドフィルムにハジキ、ヘコミ、ワレ等の欠陥が発生し易いばかりか、均一な膜厚を得難い。

0065

[乾燥工程]
乾燥工程は、前記塗布工程により塗膜を得た後、塗膜から溶剤を除去し乾燥する工程である。乾燥工程で、塗膜から溶剤を除去する際の温度は、揮発させる、有機溶剤の種類にもよるが、50℃以上、220℃以下であり、好ましくは、80℃以上、200℃以下である。50℃より低いと乾燥が不十分となり、220℃より高いと急激な溶剤蒸発が起こりハジキ、ヘコミ、ワレ等の欠陥、均一な膜とならない原因となる。

0066

[加熱工程]
乾燥工程後の基材上の塗膜を加熱して硬化させ、ポリイミドフィルムを得る工程である。加熱工程によって、乾燥工程で除去できなかった塗膜中の残存溶剤の除去、塗膜のイミド化率の向上、機械強度の向上の効果を得ることができる。

0067

本工程において、塗膜を加熱し硬化する際の加熱温度は、150℃以上、400℃以下であり、好ましくは、200℃以上、300℃以下である。加熱温度が150℃より低いと塗膜中に溶剤が残存する虞があり、400℃より高いと、得られるポリイミドフィルムにひび割れ等の欠陥が発生する原因となる。

0068

本工程において使用する加熱装置としては、基材上の塗膜を加熱できればよく、イナートガスオーブンホットプレート箱型乾燥機またはコンベアー型乾燥機の乾燥装置を挙げることができる。

0069

本工程において、塗膜の酸化および変性防止の目的で、不活性ガス気流下で塗膜を加熱することが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、窒素またはアルゴン等を挙げることができる。これら不活性ガスの流量は1L/分以上、200L/分以下である。不活性ガスの流量が1L/分より少ないと、塗膜からの残存溶剤除去および塗膜の硬化が不十分となることがあり、200L/分より多いと塗膜に割れが発生する原因となることがある。

0070

本発明のポリイミドフィルムは、ポリアミック酸溶液の状態で基板上に塗膜を成形できるだけでなく、ポリイミド溶液の状態で基体上に塗膜を成形することができる。ポリアミック酸溶液で基体上に塗膜した塗膜は、加熱することでイミド化が行える利点を有するが、クラックやハジキが起こり易く、平坦性が高く且つ膜厚が均一なポリイミドフィルムを得ることが難しい。ポリイミド溶液で塗膜を成形した場合は、ポリアミック酸溶液の場合と異なり、加熱による化学構造の変化がなくクラックやハジキが起こり難く、平坦性が高く且つ膜厚が均一なポリイミドフィルムを得ることが容易である。

0071

以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は係る実施例に限定されるものではない。

0072

1.ヘキサフルオロイソプロピルエーテル基を有するジアミンの合成
1−1.ヘキサフルオロイソプロピルエーテル基を有するジアミン(1)の合成
[ヘキサフルオロイソプロピルエーテル基を有するジニトロ化合物(1)の合成]
以下に示すジニトロ化合物(1A)と1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール(HC(CF3)2OH)以下、HFIPと呼ぶことがある)の反応により、ヘキサフルオロイソプロピルエーテル基を有するジニトロ化合物(1)(以下、単にジニトロ化合物(1)と呼ぶことがある)を合成した。



窒素導入管および撹拌子を備えた容量100mLの三口フラスコを窒素で置換し、水素化ナトリウム(60質量%オイルディスパージョン)2.80g(70mmol)を加え、ヘキサン20mLで2回洗浄した。その後、THF100gを仕込み氷浴で冷却した。同様に冷却したHFIP、11.76g(70mmol)を滴下した後、ジニトロ化合物(1A)(東京化成工業株式会社製、製品コード、A5512、CAS登録番号、70−34−8)、55.8g(300mmol)をTHF150gに溶解させ滴下し、20分撹拌反応液を得た。氷浴を取り除き、室温に昇温して3時間撹拌した後、GC分析したところ、目的化合物であるジニトロ化合物(1)が96.2%生成していた。

0073

次いで、反応液に水50gを加えた後、減圧濾過を行った。反応液に酢酸エチル200gを加えて、純水200gで洗浄して有機層エバポレータ減圧濃縮した。得られた固形分をジイソプロピルエーテル100gとヘキサン100gで再結晶を実施し、ジニトロ化合物(1)の白色粉末を89g(266mmol)、収率88.8%で得た。GC分析による純度は、99.1%であった。NMR測定結果を以下に示す。
1H−NMR(基準物質重水素化溶媒残留プロトン、溶媒:重水素化ジメチルスルホキド(以下、DMSO−d6))σ(ppm):6.65(m,2H),6.79(m,2H),6.93(dd,1H,J=2.9,8.8Hz),7.04(m,1H),7.09(d,1H,J=8.8Hz)。19F−NMR(基準物質:ヘキサフルオロベンゼン、溶媒:DMSO−d6)σ(ppm):−74.8(s,6F)。

0074

[ヘキサフルオロイソプロピルエーテル基を有するジアミン(1)の合成]
以下に示すように、ジニトロ化合物(1)のパラジウム触媒を用いた接触還元法により、ヘキサフルオロイソプロピルエーテル基を有するジアミン(1)(以下、単にジアミン(1)と呼ぶことがある)を合成した。



温度計撹拌翼を備えた容量300mLのオートクレーブ内に、ジニトロ化合物(1)、60.0g(180mmol)、カーボンに10質量%濃度のパラジウム担持させたパラジウムカーボン(約55%水湿潤品)9.6g、メタノール120mLを仕込み、密閉し窒素で置換した後に、圧力が0.9MPaとなるように水素圧入した。次いで、オートクレーブを60℃に加温し、60℃に保った状態で41時間撹拌した。反応液をGC装置で分析したところ、目的化合物であるジアミン(1)が99.9%生成していた。攪拌後の反応液より減圧濾過にてパラジウムカーボンを除去後ナスフラスコに移し、エバポレータで減圧濃縮した。濃縮して得られた固体ガラスチューブオーブンで温度130℃、1.2kPaの条件で精製し、ジアミン(1)の白色粉末を34.6g(126mmol)、収率70.7%で得た。NMRの測定結果を以下に示す。ジアミン(1)のGC分析による純度は96.6%であった。

0075

1H−NMR(基準物質:重水素化溶媒の残留プロトン、溶媒:重水素化ジメチルスルホキド(以下、DMSO−d6))σ(ppm):6.65(m,2H),6.79(m,2H),6.93(dd,1H,J=2.9,8.8Hz),7.04(m,1H),7.09(d,1H,J=8.8Hz)。19F−NMR(基準物質:ヘキサフルオロベンゼン、溶媒:DMSO−d6)σ(ppm):−74.8(s,6F)。

0076

1−2.ヘキサフルオロイソプロピルエーテル基を有するジアミン(2)の合成
[ヘキサフルオロイソプロピルエーテル基を有するジニトロ化合物(2)の合成]
以下に示すジニトロ化合物(2A)とHFIPの反応により、ヘキサフルオロイソプロピルエーテル基を有するジニトロ化合物(2)(以下、単にジニトロ化合物(2)と呼ぶことがある)を合成した。



窒素導入管および撹拌子を備えた容量1000mLの四口フラスコに、水酸化カリウム66.1g(1.18mol)、脱イオン水196mLを仕込み、氷浴で冷却した。同様に冷却したHFIP、197.6g(1.18mol)を滴下した後、ジニトロ化合物(2A)(東京化成工業株式会社製、製品コード、D1649、CAS登録番号、327−92−4)、80.0g(392mmol)をTHF196mLに溶解させて滴下し、10分間撹拌し、反応液を得た。氷浴を取り除き、室温に昇温して18時間撹拌した後、反応液をGC装置にて分析し、目的化合物であるジニトロ化合物(2)が生成していることを同定した。次いで、水1000gに反応液を加えた後、pHが7になるように15%塩酸を加えた。分液ロートを用いて下層分取し、ジイソプロピルエーテルを加えた。溶液を水1000gで2回、飽和食塩水1000gで1回洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加え脱水した後、濾紙を用い無水硫酸マグネシウムを濾過にて除去した反応液をエバポレータで減圧濃縮した。得られた固形分を酢酸エチル100mLに溶解させ、ヘプタンを滴下して再結晶を実施し、ジニトロ化合物(2)の白色粉末を114.9g(230mmol)、収率58.9%で得た。GC分析による純度は95.7%であった。NMRの測定結果を以下に示す。

0077

1H−NMR(基準物質:テトラメチルシラン、溶媒:CDCl3)σ(ppm):5.93(m,2H),7.42(s,1H),8.73(s,1H)。19F−NMR(基準物質:トリクロロフルオロメタン、溶媒:CDCl3)σ(ppm):−73.6(s,12F)。

0078

[ヘキサフルオロイソプロピルエーテル基を有するジアミン(2)の合成]
以下に示すように、ジニトロ化合物(2)のパラジウム触媒を用いた接触還元法により、ヘキサフルオロイソプロピルエーテル基を有するジアミン(2)(以下、単にジアミン(2)と呼ぶことがある)を合成した。



温度計、撹拌翼を備えた容量300mLのオートクレーブ内にジニトロ化合物(2)、60.7g(121mmol)、10質量%濃度のパラジウムをカーボンに担持させたパラジウムカーボン(約55%水湿潤品)、6.46g、メタノール120mLを仕込み、密閉し窒素で置換した後に、圧力が0.9MPaとなるように水素を圧入した。次いで、オートクレーブを60℃に加温し、60℃に保った状態で24時間撹拌した。反応液をGC装置で分析したところ、目的化合物であるジアミン(2)が94.6%で生成していることを確認した。攪拌後の溶液を減圧濾過でパラジウムカーボンを除去してナスフラスコに移し、エバポレータを使用して減圧濃縮した。濃縮して得られた固体はガラスチューブオーブンを使用して温度155℃、2.0kPaとなる条件で精製して、ジアミン(2)の白色粉末を45.5g(103mmol)、収率85.4%で回収した。GC分析による純度は、96.6%であった。NMRの測定結果を以下に示す。

0079

1H−NMR(基準物質:テトラメチルシラン、溶媒:CDCl3)σ(ppm):3.68(s,4H),4.62(m,2H),6.15(s,1H),6.66(s,1H)。19F−NMR(基準物質:トリクロロフルオロメタン、溶媒:CDCl3)σ(ppm):−73.8(d,12F,J=6.2Hz)。

0080

2.ポリイミド溶液の調製、ポリイミドフィルムの成形および物性測定

0081

[ポリイミドフィルムの物性測定
<膜厚>
膜厚測定には、膜厚計、株式会社ニコン製、機種名:DIGIMICRMH−15を用いた。

0082

<透明性>
紫外可視近赤外分光光度計で波長420nmにおける光透過率(T420)を測定した。また、透過率が1%以下となる波長の最大値カットオフ波長(nm)とした。紫外可視近赤外分光光度計は、株式会社島津製作所製、機種名 UV−3150を用いた。

0083

熱分解温度
示差熱天秤で、5%重量減少温度(Td5)を測定した。示差熱天秤は、株式会社リガク製、機種名RIGAKU Thermo Plus TG8310を用いた。

0084

分子量>
ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと呼ぶことがある)で、重量平均分子量(Mw)および重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)を測定した。GPCには、東ソー株式会社製、機種名HLC−8320GPC、カラム名 TSKgel SuperHZM−Hを用い、溶剤にはテトラヒドロフラン(以下、THFと呼ぶことがある)を用いた。

0085

実施例1〜3ではヘキサフルオロイソプロピルエーテル基(−O−CH(CF3)2)を持つポリイミド(1)〜(3)を使用し、比較例1〜2ではHFIP基(−C(CF3)2OH)基を持つポリイミド(4)〜(5)を使用し、各々ポリイミド膜を成形し、透明性および耐熱性を評価した。以下、詳細に記載する。

0086

実施例1
[ポリイミド溶液の調製]
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、以下に示す様に、ジアミン(1)、19.19g(70mmol)、テトラカルボン酸二無水物6FDA、31.10g(70mmol)、およびN,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと呼ぶことがある)、89gを加え、窒素雰囲気下、20℃で20時間攪拌した。20時間経過後、ピリジン、16.61g(210mmol)、無水酢酸、44.9g(440mmol)を順に加え、さらに3時間攪拌し、ポリイミド(1)の溶液を得た。



GPCでポリイミド(1)の分子量を測定したところ、ポリイミド(1)の分子量は、重量平均分子量(Mw)=95000、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)=1.98であった。

0087

[ポリイミド膜の成形]
得られたポリイミド(1)の溶液を用い、DMAcを加えてポリイミド(1)の濃度が20質量%になるように調製した後、加圧濾過した。ポリイミド(1)の溶液を所定量、ガラス基板に垂らし、スピンコーターを用い回転速度600rpmに10秒かけて上昇させた後、10秒間保持し、ポリイミド(1)のようけいをガラス基板上に展開し、塗膜を成形した。窒素雰囲気下、基板を130℃に加熱し30分間保持し、さらに200℃で2時間加熱しDMAc、ピリジンおよび無水酢酸を除去した。その後、冷却し、ガラス基材から剥がし成形したポリイミド膜の膜厚を膜厚計で測定したところ、50μmであった。

0088

実施例2
[ポリイミド溶液の調製]
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、以下に示す様に、ジアミン(1)、20.34g(74mmol)、テトラカルボン酸二無水物ODPA、23.01g(74mmol)およびDMAc、73gを加え、窒素雰囲気下、25℃で20時間攪拌した。20時間経過後、ピリジン、17.61g(223mmol)、無水酢酸、22.77g(223mmol)を順に加え、さらに3時間攪拌し、ポリイミド(2)の溶液を得た。



GPCでポリイミド(2)の分子量を測定したところ、ポリイミド(2)の分子量は、重量平均分子量(Mw)=66970、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)=2.29であった。

0089

[ポリイミド膜の成形]
得られたポリイミド(2)の溶液を用い、DMAcを加えてポリイミド(2)の濃度が20質量%になるように調製した後、加圧濾過した。ポリイミド(2)の溶液を所定量、ガラス基板に垂らし、スピンコーターを用い回転速度500rpmに10秒かけて上昇させた後、10秒間保持し、ポリイミド(2)の溶液を基板上に展開し、塗膜を成形した。窒素雰囲気下、基板130℃に加熱し、さらに200℃で2時間加熱しDMAc、ピリジンおよび無水酢酸を除去した。その後、冷却し、ガラス基板から剥がし成形したポリイミド膜の膜厚を膜厚計で測定したところ、50μmであった。

0090

実施例3
[ポリイミド溶液の調製]
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、以下に示す様に、ジアミン(2)、25.52g(58mmol)、テトラカルボン酸二無水物6FDA、25.76g(58mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと呼ぶことがある)、51gを加え、窒素雰囲気下、25℃で20時間攪拌した。20時間経過後、ピリジン、13.76g(174mmol)、無水酢酸、17.77g(174mmol)を順に加え、さらに3時間攪拌し、ポリイミド(3)の溶液を得た。



GPCでポリイミド(3)の分子量を測定したところ、ポリイミド(3)の分子量は、重量平均分子量(Mw)=57500、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)=2.79であった。

0091

[ポリイミド膜の成形]
得られたポリイミド(3)の溶液を用い、DMAcを加えてポリイミド(3)の濃度が20質量%になるように調製した後、加圧濾過した。ポリイミド(3)の溶液を所定量、ガラス基板に垂らし、スピンコーターを用い回転速度300rpmに10秒かけて上昇させた後、10秒間保持し、ポリイミド(3)の溶液をガラス基板上に展開し、塗膜を成形した。窒素雰囲気下、基板を130℃に加熱し30分間保持し、さらに200℃で2時間加熱しDMAc、ピリジンおよび無水酢酸を除去した。その後、冷却し、ガラス基材から剥がし成形したポリイミド膜の膜厚を膜厚計で測定したところ、57μmであった。

0092

比較例1
[ポリイミド溶液の調製]
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、以下に示す様に、ジアミン(HFIP−MDA)、58.3g(110mmol)、テトラカルボン酸二無水物(6FDA)、48.9g(110mmol)、DMAc、220gを加え、窒素雰囲気下、20℃で20時間攪拌した。20時間経過後、ピリジン、34.8g(440mmol)、無水酢酸、44.9g(440mmol)を順に加え、さらに24時間攪拌し、ポリイミド(4)の溶液を得た。



GPCでポリイミド(4)の分子量を測定したところ、ポリイミド(4)の分子量は、重量平均分子量(Mw)=96400、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)=1.98であった。

0093

[ポリイミド膜の成形]
得られたポリイミド(4)の溶液を用い、DMAcを加えてポリイミド(4)の濃度が20質量%になるように調製した後、加圧濾過した。ポリイミド(4)の溶液を所定量、ガラス基板に垂らし、スピンコーターを用い回転速度600rpmに10秒かけて上昇させた後、10秒間保持し、ポリイミド(4)の溶液をガラス基板上に展開し、塗膜を成形した。窒素雰囲気下、基板を180℃に加熱し30分間保持し、さらに250℃で2時間加熱しDMAc、ピリジンおよび無水酢酸を除去した。その後、冷却し、ガラス基材から剥がし成形したポリイミド膜の膜厚を膜厚計で測定したところ、50μmであった。

0094

比較例2
[ポリイミド溶液の調製]
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、以下に示す様に、ジアミン(HFIP−MDA)、58.3g(110mmol)、テトラカルボン酸二無水物(ODPA)、34.1g(110mmol)およびDMAc、160gを加え、窒素雰囲気下、20℃で20時間攪拌した。20時間経過後、ピリジン、34.8g(440mmol)、無水酢酸、44.9g(440mmol)を順に加え、さらに24時間攪拌し、ポリイミド(5)の溶液を得た。



GPCでポリイミド(5)の分子量を測定したところ、ポリイミド(5)の分子量は、重量平均分子量(Mw)=82300、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)=2.08であった。

0095

[ポリイミド膜の成形]
得られたポリイミド(5)の溶液を用い、DMAcを加えてポリイミド(5)の濃度が20質量%になるように調製した後、加圧濾過した。ポリイミド(1)の溶液を所定量、ガラス基板に垂らし、スピンコーターを用い回転速度700rpmに10秒かけて上昇させた後、10秒間保持し、ポリイミド(5)の溶液をガラス基板上に展開した。窒素雰囲気下、基板を180℃に加熱し30分間保持し、さらに200℃で2時間加熱しDMAc、ピリジンおよび無水酢酸を除去した。その後、冷却し、ガラス基材から剥がし成形したポリイミド膜の膜厚を膜厚計で測定したところ、49μmであった。

0096

物性評価
表1に実施例1〜3および比較例1〜2で得られたポリイミド膜の種類、膜厚、波長420nmにおける光透過率(T420)、カットオフ周波数、5%重量減少温度および重量平均分子量を示す。

0097

実施例

0098

実施例1〜3のポリイミド膜(1)〜(3)は比較例1〜2のポリイミド膜(4)〜(5)と比べて、波長420nmにおける光透過率(T420)およびカットオフ波長は同等であり、同様の透明性をしました。しかしながら、実施例1〜3のポリイミド膜(1)〜(3)は比較例1〜2のポリイミド膜(4)〜(5)と比べて、波5%重量減少温度が50℃以上高く、耐熱性に優れていた。

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