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技術 水酸化カルシウムの製造方法

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 高橋貴文
出願日 2018年12月27日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2018-245973
公開日 2019年7月22日 (1年7ヶ月経過) 公開番号 2019-119671
状態 未査定
技術分野 固体廃棄物の処理 アルカリ土類,Al,希土類金属化合物
主要キーワード 円相当半径 反応遅延 金属基盤 結晶質成分 熟成機 過剰評価 カルシウム塩溶液 粉末XRDパターン
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年7月22日)のものです。
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課題

結晶粒径が大きな水酸化カルシウムを簡便な方法で製造可能な水酸化カルシウムの製造方法の提供。

解決手段

化学組成が3CaO・SiO2で表されるカルシウムシリケイトと、フライアッシュと、水とを混合して混合物とする工程と、前記混合物を養生する工程と、を備え、前記カルシウムシリケイトと前記フライアッシュとの混合比を、前記カルシウムシリケイトの質量に対し、前記フライアッシュ中非晶質成分質量比が2質量%以上25質量%未満になる範囲とする、ことを特徴とする水酸化カルシウムの製造方法を提供する。

概要

背景

水酸化カルシウムは、従来より、土壌中和剤排煙脱硫剤、排ガス中の脱塩素剤無機フィラー等、幅広い用途に用いられている。工業的には、石灰岩などを焼成して得られた石灰石消火器装入し、加水消化した後、熟成機内で熟成する方法などにより製造される。このような製造方法では、特に結晶の形状や結晶径の制御は行われない。一方、実用的には、結晶径の制御が可能になると、様々な用途開拓が進むと考えられている。例えば、農業用肥料用途としては、反応遅延型の粗大な水酸化カルシウム結晶が好まれる。これは、発達した結晶面にイオン吸着させたり、微細粒子よりも長期間安定して土壌中での効果を期待できるためと考えられる。また、無機フィラーとして、樹脂系材料に添加されることで、硬さ・曲げ強さ耐摩耗性等の特性向上につながることが知られている。

このような事情に鑑み、これまでにも水酸化カルシム結晶成長に関しては幾つかの技術が公開されている。特許文献1には、セメント系塗料金属基盤の上に塗布し、高温高圧環境下で養生することで、水酸化カルシウムの結晶成長を制御できる技術が記載されている。また、特許文献2では、カルシウム塩溶液アルカリ溶液を添加して、多価アルコール添加または超音波照射を行うことで、厚みが0.05μm〜0.6μm、結晶径が1μm〜10μm程度の無機フィラーに適した水酸化カルシウムが製造できるとされている。

しかしながら、例えば特許文献1では、高温高圧での養生が必要とされるため、養生環境を維持するための設備が必要になっていた。また、特許文献2では、アルカリ溶液を添加する必要があり、アルカリ溶液の取り扱いに注意を要していた。

概要

結晶粒径が大きな水酸化カルシウムを簡便な方法で製造可能な水酸化カルシウムの製造方法の提供。化学組成が3CaO・SiO2で表されるカルシウムシリケイトと、フライアッシュと、水とを混合して混合物とする工程と、前記混合物を養生する工程と、を備え、前記カルシウムシリケイトと前記フライアッシュとの混合比を、前記カルシウムシリケイトの質量に対し、前記フライアッシュ中非晶質成分質量比が2質量%以上25質量%未満になる範囲とする、ことを特徴とする水酸化カルシウムの製造方法を提供する。なし

目的

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、結晶粒径が大きな水酸化カルシウムを簡便な方法で製造可能な水酸化カルシウムの製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

化学組成が3CaO・SiO2で表されるカルシウムシリケイトと、フライアッシュと、水とを混合して混合物とする工程と、前記混合物を養生する工程と、を備え、前記カルシウムシリケイトと前記フライアッシュとの混合比を、前記カルシウムシリケイトの質量に対し、前記フライアッシュ中非晶質成分質量比が2質量%以上25質量%未満になる範囲とする、ことを特徴とする水酸化カルシウムの製造方法。

請求項2

前記カルシウムシリケイトと前記フライアッシュとの混合比を、前記カルシウムシリケイトの質量に対し、前記フライアッシュ中の非晶質成分の質量比が3質量%以上12質量%未満になる範囲とする、ことを特徴とする請求項1に記載の水酸化カルシウムの製造方法。

請求項3

前記養生の条件を、圧力制御を行わず、かつ、加熱または冷却を行わない条件とする、請求項1または請求項2に記載の水酸化カルシウムの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、水酸化カルシウムの製造方法に関する。

背景技術

0002

水酸化カルシウムは、従来より、土壌中和剤排煙脱硫剤、排ガス中の脱塩素剤無機フィラー等、幅広い用途に用いられている。工業的には、石灰岩などを焼成して得られた石灰石消火器装入し、加水消化した後、熟成機内で熟成する方法などにより製造される。このような製造方法では、特に結晶の形状や結晶径の制御は行われない。一方、実用的には、結晶径の制御が可能になると、様々な用途開拓が進むと考えられている。例えば、農業用肥料用途としては、反応遅延型の粗大な水酸化カルシウム結晶が好まれる。これは、発達した結晶面にイオン吸着させたり、微細粒子よりも長期間安定して土壌中での効果を期待できるためと考えられる。また、無機フィラーとして、樹脂系材料に添加されることで、硬さ・曲げ強さ耐摩耗性等の特性向上につながることが知られている。

0003

このような事情に鑑み、これまでにも水酸化カルシム結晶成長に関しては幾つかの技術が公開されている。特許文献1には、セメント系塗料金属基盤の上に塗布し、高温高圧環境下で養生することで、水酸化カルシウムの結晶成長を制御できる技術が記載されている。また、特許文献2では、カルシウム塩溶液アルカリ溶液を添加して、多価アルコール添加または超音波照射を行うことで、厚みが0.05μm〜0.6μm、結晶径が1μm〜10μm程度の無機フィラーに適した水酸化カルシウムが製造できるとされている。

0004

しかしながら、例えば特許文献1では、高温高圧での養生が必要とされるため、養生環境を維持するための設備が必要になっていた。また、特許文献2では、アルカリ溶液を添加する必要があり、アルカリ溶液の取り扱いに注意を要していた。

先行技術

0005

特開2010−59034号公報
特開2000−7329号公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、結晶粒径が大きな水酸化カルシウムを簡便な方法で製造可能な水酸化カルシウムの製造方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0007

結晶粒径の大きな水酸化カルシウムを製造する方法を本発明者らが鋭意検討したところ、セメント材料等に含まれるカルシウムシリケイトを出発物質として、常温常圧で水酸化カルシウムの結晶化の促進を図る方法を見出した。本発明は以下の通りである。

0008

[1]化学組成が3CaO・SiO2で表されるカルシウムシリケイトと、フライアッシュと、水とを混合して混合物とする工程と、
前記混合物を養生する工程と、を備え、
前記カルシウムシリケイトと前記フライアッシュとの混合比を、前記カルシウムシリケイトの質量に対し、前記フライアッシュ中非晶質成分質量比が2質量%以上25質量%未満になる範囲とする、ことを特徴とする水酸化カルシウムの製造方法。
[2] 前記カルシウムシリケイトと前記フライアッシュとの混合比を、前記カルシウムシリケイトの質量に対し、前記フライアッシュ中の非晶質成分の質量比が3質量%以上12質量%未満になる範囲とする、ことを特徴とする[1]に記載の水酸化カルシウムの製造方法。
[3] 前記養生の条件を、圧力制御を行わず、かつ、加熱または冷却を行わない条件とする、[1]または[2]に記載の水酸化カルシウムの製造方法。

発明の効果

0009

本発明の水酸化カルシウムの製造方法によれば、カルシウムシリケイトと水とを混合することでカルシウムシリケイトの水和反応により水酸化カルシウムを形成する際に、フライアッシュを添加することにより、水酸化カルシウムの結晶成長を促すことができる。特に、カルシウムシリケイトの質量に対し、フライアッシュ中の非晶質成分の質量比を2質量%以上25質量%未満とすることで、カルシウムシリケイト水和物(Calcium silicate hydrate)の生成を抑制し、結晶粒径が大きな水酸化カルシウムを得ることができる。

0010

本発明の実施形態である水酸化カルシウムの製造方法について説明する。
化学組成が3CaO・SiO2で表されるカルシウムシリケイトの水和反応では、水酸化カルシウムとカルシウムシリケイト水和物とが生成する。この水和反応を高温高圧下で進めると、12時間程度の養生時間でも水酸化カルシウムの結晶が比較的大きく成長することが知られているが、常温常圧下では、同じ養生時間内に得られる水酸化カルシウムは、サイズが10μm以下で不定形な形態を有するものとなる。常温常圧下の水和反応において結晶粒が大きな水酸化カルシウムを得ようとして発明者らが鋭意検討したところ、少量のフライアッシュを添加して養生させ、カルシウムシリケイトの水和反応を進めることで、水酸化カルシウムの結晶が粒成長することが見いだされた。カルシウムシリケイトに対してフライアッシュを過剰に添加すると、いわゆるポゾラン反応が顕著となってカルシウムシリケイト水和物が生成されてしまうが、フライアッシュを適量にすることで、水和反応が適度に促進され、結晶粒の大きな水酸化カルシウムが得られるようになる。このときの養生は、常温常圧の条件で十分であり、加熱・冷却や加圧等の操作は必要ない。以下、本発明について説明する。

0011

本実施形態の水酸化カルシウムの製造方法は、化学組成が3CaO・SiO2で表されるカルシウムシリケイトと、フライアッシュと、水とを混合して混合物とする工程と、混合物を養生する工程と、を備える。
カルシウムシリケイトとフライアッシュとの混合比は、カルシウムシリケイトの質量に対し、フライアッシュ中の非晶質成分の質量比が2質量%以上25質量%未満となる範囲としてもよい。
また、カルシウムシリケイトとフライアッシュとの混合比は、カルシウムシリケイトの質量に対し、フライアッシュ中の非晶質成分の質量比が3質量%以上12質量%未満となる範囲としてもよい。
養生工程は、圧力制御を行わず、かつ、加熱または冷却を行わない条件としてもよい。
養生工程における圧力は、大気圧であってもよい。また、養生時の雰囲気温度は、常温であればよく、より具体的には、10℃以上40℃以下であればよい。養生は、大気中で行ってもよい。
養生時間は、例えば、12時間以上とすればよく、これより長期、例えば24時間以上としてもよい。

0012

本実施形態において原料となるカルシウムシリケイトは、化学組成が3CaO・SiO2で表される。結晶系は、単斜晶系(monoclinic)に属するものが好ましい。単斜晶系のカルシウムシリケイトは、エーライトと呼ばれる無機化合物であり、ポルトランドセメントの構成成分として知られている。本実施形態では、単体としてのカルシウムシリケイトを用いることが好ましい。また、カルシウムシリケイトは、水と十分に反応させるために、粉体状であることが好ましい。

0013

フライアッシュは、石炭燃焼によって得られる副生成物であり、シリカ(SiO2)とアルミナ(Al2O3)を主成分とする微粒子である。粒子径状はその多くが球形である。平均粒径はおよそ50μm以下であり、フライアッシュをそのままの形態で混合して用いることが可能である。また、フライアッシュには、結晶質成分と非晶質成分とが含まれる。更に、フライアッシュには、未燃の炭素分が含まれていてもよい。カルシウムシリケイトに対するフライアッシュの添加量は、後述するように、非晶質成分の含有量に基づいて調整することが必要である。フライアッシュ中の結晶質、非晶質の各比率試料によって異なっており、フライアッシュの添加量で規定することは意味がないからである。結晶質成分はX線回折で特定可能であるが、非晶質成分はX線回折では検出されない。従って、フライアッシュ中の非晶質成分の含有量は、X線回折で特定された結晶質成分の含有量と、未燃の炭素分の含有量とを、フライアッシュ全量から差し引くことで求められる。未燃の炭素分は例えば燃焼法により求められる。非晶質成分の含有量の特定方法の詳細は後述する。

0014

混合工程では、カルシウムシリケイトと、フライアッシュと、水とを混合してペースト状、スラリー状、または懸濁質状の混合物とする。

0015

フライアッシュの混合比は、カルシウムシリケイトの質量に対し、フライアッシュ中の非晶質成分の質量比が2質量%以上25質量%未満となる範囲とすることが好ましく、3質量%以上12質量%未満となる範囲としてもよい。カルシウムシリケイトに対する非晶質成分の質量比が不足すると、水酸化カルシウムの結晶粒が粗大化しないため好ましくない。また、カルシウムシリケイトに対する非晶質成分の質量比が過剰になると、カルシウム分がカルシウムシリケイト水和物の生成に消費されてしまい、水酸化カルシウムの生成量が低下するため好ましくない。非晶質成分のより好ましい上限は15質量%以下である。

0016

水の混合比は、混合物全量に対し、質量比で25%以上が好ましく、30%以上がより好ましい。水の量を25%以上とすることにより、カルシウムシリケイトの水和反応が十分に進み、水酸化カルシウムの収率を向上できる。水の量の上限は特に規定する必要はないが、あまりにも水量が多いと混合物の全体量が必要以上に大きくなるので、混合物の全量に対して60%以下がよい。

0017

次に、養生工程では、カルシウムシリケイトの水和反応を進めるために、混合物を養生する。養生工程は、圧力制御を行わず、かつ、原則として加熱または冷却を行わない条件とするが、養生環境の温度が10℃未満の場合などは、10〜40℃の間に調整することが望ましい。
養生工程における雰囲気圧力は、大気圧であってもよい。雰囲気圧力は大気圧から加圧または減圧しても所望の水酸化カルシウムが得られるが、加圧または減圧のための設備が必要になるので、大気圧下で行えばよい。
また、養生時の雰囲気温度は、常温であればよく、より具体的には、10℃以上40℃以下であればよい。養生温度が10℃未満となれば反応速度が低下し所望の大きさの水酸化カルシウムを得られない可能性があり、また40℃を超えると水和反応自体が変化し、所望の水酸化カルシウムの形態自体も変化する可能性が高いため、10〜40℃の範囲で養生することが望ましい。

0018

養生時間は、たとえば、12時間以上とすればよく、24時間以上としてもよい。養生時間を長くするほど、水酸化カルシウムの結晶粒径を大きくすることができるが、12時間以上の養生時間を確保することで、平均結晶粒径が20μm以上の水酸化カルシウムを得ることができる。

0019

これらの養生条件を満たすことにより、結晶粒径が大きな水酸化カルシウムを得ることができる。

0020

養生工程後の混合物は、固形分が沈降し、その上を水が覆った状態になる。固形分を取り出して乾燥させた後、粉砕することで、結晶粒径が大きな水酸化カルシウムが得られる。例えば、養生時間を12時間以上とした場合には、平均結晶粒径が20μm以上の水酸化カルシウムが得られる。

0021

ここで、フライアッシュ中の非晶質成分の定量方法を説明する。まず、内標準物質としてのシリコン30mgと、フライアッシュ270mgを混合・粉砕し、内標準物質を10%含むXRD測定用試料を準備する。内標準物質の含有率は、非晶質成分の定量に影響するので、厳密な添加率量によって求め、これをASi[%]とする。内標準試料は、シリコンの他に、アルミナ、酸化亜鉛等を用いてもよい。

0022

次いで、X線回折にて、2θ=10〜80oまでの回折パターンを測定し、得られたパターンに対し、リートベルト解析を行って鉱物相の質量比を求める。この時点では非晶質成分の量は考慮されずに全体を100%とするため、全ての鉱物相の比率は過剰評価されている。ただし、添加した内標準物質(Si)の量は、予め約10%に設定されているので、秤量された添加内標準Si比率(Asi)、リートベルト解析で定量された内標準Siの比率Xsi(%)、リートベルト解析で定量されたn番目の鉱物相(i=1,2,…n)の比率をXi(%)とすれば、正しい鉱物相の割合Mi(%)は以下のように記述される。

0023

0024

ただし、この時点では、内標準物質(Si)、鉱物相、その他の和が100%となっている。したがって、フライアッシュ中の非晶質成分の量を求めるためには、内標準物質(Si)分を除いて100%換算する必要がある。下記の式(2)の右辺の最初の項は、この補正を意味する。この式から、フライアッシュ中の結晶性鉱物(結晶質成分)以外の部分の割合が求められる。その結晶質成分以外の部分とは、非晶質成分と未燃炭素から構成される。したがって、下記の式(2)に示すように、元素分析値から求められる未燃炭素の割合(Mcarbon[%])を差し引くことで、フライアッシュ中の非晶質成分の含有率Mamor[%]を求めることができる。

0025

0026

そして、求められた非晶質成分の含有率Mamor[%]と、フライアッシュの添加量[g]とを乗じることで、フライアッシュ中の非晶質成分の量[g]が求められる。

0027

混合工程では、フライアッシュの非晶質成分の質量が、カルシウムシリケイトの質量に対して、質量比で2質量%以上25質量%未満となるように、カルシウムシリケイトとフライアッシュの混合比を調整すればよい。また、フライアッシュの非晶質成分の質量を、カルシウムシリケイトの質量に対して、3質量%以上12質量%未満としてもよい。

0028

以上説明したように、本実施形態の水酸化カルシウムの製造方法によれば、カルシウムシリケイトと水とを混合することでカルシウムシリケイトの水和反応により水酸化カルシウムを形成する際に、フライアッシュを添加することにより、水酸化カルシウムの結晶成長を促すことができる。特に、カルシウムシリケイトの質量に対し、フライアッシュ中の非晶質成分の質量比を2質量%以上25質量%未満とするか、3質量%以上12質量%未満とすることで、結晶粒径が大きな水酸化カルシウムを得ることができる。
また、養生工程において、加熱や加圧を必要としないので、原料を混合してそのまま養生するだけで結晶粒径の大きな水酸化カルシウムを得ることができ、水酸化カルシウムの生産性を高めることができる。
更に、養生時間を調整することで、所望の大きさの結晶粒径をもつ水酸化カルシウムを得ることができる。

0029

以下、本発明の実施例について説明する。
原料として、カルシウムシリケイトとフライアッシュを用意した。カルシウムシリケイトは、3CaO・SiO2の粉末XRDパターンICDD 00-055-0739)に一致する粉末XRDパターンを有するものを用いた。カルシウムシリケイトの形態は粉体であった。結晶系は単斜晶系(monoclinic)に属し、格子定数はa=9.2963、b=7.0823、c=12.2023、α=90.000、β=116.114、γ=90.000、格子体積=721.380であった。また、フライアッシュは、表1に示す成分を有するフライアッシュFA1及びFA2を用いた。フライアッシュの平均粒径は100μm以下であった。

0030

そして、カルシウムシリケイト、フライアッシュ及び水を表2に示す混合割合で混合し、大気圧下、23℃の大気中で12時間養生した。

0031

なお、フライアッシュ中の非晶質成分の量は次の手順で求めた。まず、内標準物質としてのシリコン30mgと、フライアッシュ270mgを混合・粉砕し、内標準物質を含むXRD測定用試料を準備した。内標準物質の含有率はASi[%]とした。

0032

次いで、X線回折にて、2θ=10〜80oまでの回折パターンを測定し、得られたパターンに対し、リートベルト解析を行って鉱物相の質量比を求めた。添加内標準Si比率(Asi)、リートベルト解析で定量された内標準Siの比率Xsi(%)、リートベルト解析で定量されたn番目の鉱物相(i=1,2,…n)の比率をXi(%)としたとき、鉱物相の割合Mi(%)は以下の式(3)から算出した。

0033

0034

更に、下記の式(4)に示すように、元素分析値から求められる未燃炭素の割合(Mcarbon[%])を差し引くことで、フライアッシュ中の非晶質成分の含有率Mamor[%]を求めた。

0035

0036

そして、求められた非晶質成分の含有率Mamor[%]と、フライアッシュの添加量[g]とを乗じることで、フライアッシュ中の非晶質成分の量[g]を求めた。

0037

養生後の混合物から固形分を採取し、大気圧走査電子顕微鏡を用いて水酸化カルシウムを観察し、結晶粒径を求めた。水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の結晶の大きさを数値化するため、電子顕微鏡で観察される水酸化カルシウム結晶の面積をS[μm2]とし、以下の式(5)より円相当半径・r[μm]換算で結晶粒径を求めた。結果を表2に示す。表2において、水酸化カルシウムの結晶粒径(μm)の欄に「−」が記載されているのは、水酸化カルシウムの結晶が観察されなかったことを意味する。

0038

0039

0040

0041

実施例1に示されるように、非晶質成分が4質量%となるようにフライアッシュ(FA1)を添加した場合には、水酸化カルシウムの結晶成長が認められた。
同様に、実施例2に示されるように、非晶質成分が3質量%となるようにフライアッシュ(FA2)を添加した場合や、実施例3に示されるように非晶質成分が10質量%となるようにフライアッシュ(FA1)を添加した場合にも、水酸化カルシウムの結晶成長が認められた。
実施例1,2,3では、12時間後には円相当半径で20μm以上の水酸化カルシウムの結晶が観察された。

0042

また、実施例4〜8に示すように、非晶質成分が2〜24質量%となるようにフライアッシュ(FA1)を添加した場合にも、水酸化カルシウムの結晶成長が認められた。

0043

一方、比較例1、2、6〜8のように、非晶質成分の割合が25質量%以上では、十分な水酸化カルシウムの成長が得られなかった。すなわち、比較例1、2、6,7,8に示されるように、非晶質成分の割合が質量%で25%(比較例1、7)、39%(比較例2)、42%(比較例6)、30%(比較例8)では、養生12時間以内に明確な水酸化カルシウム結晶を観測することさえできなかった。

実施例

0044

また、比較例3のようにフライアッシュを添加しなかった例や、比較例4、5のように、フライアッシュの非晶質成分の割合が2質量%未満の例では、養生を12時間行った後も、水和しきれない3CaO・SiO2の粒子が観察されたが、水酸化カルシウムの結晶は観察されなかった。

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