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技術 表面粗化マグネシウム合金部材の製造方法

出願人 三井化学株式会社
発明者 富田嘉彦奥村浩士栗谷川瑞枝
出願日 2017年12月27日 (2年7ヶ月経過) 出願番号 2017-251426
公開日 2019年7月18日 (1年0ヶ月経過) 公開番号 2019-116666
状態 未査定
技術分野 金属の化成処理 エッチングと化学研磨(つや出し)
主要キーワード ワンサイクル 表面処理領域 ECUボックス 凹凸形成領域 フッ素プラスチック ヘリコプター用 ヨーヨー マグネシウム合金材料
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年7月18日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (3)

課題

粗化処理するマグネシウム合金部材処理量を増やした場合であっても、表面粗化マグネシウム合金部材の表面が褐色乃至暗褐色に着色することを抑制することが可能な表面粗化マグネシウム合金部材の製造方法を提供する。

解決手段

本発明の表面粗化マグネシウム合金部材の製造方法は、マグネシウム合金部材を酸性水溶液によって化学エッチングする化学エッチング工程と、化学エッチングされた上記マグネシウム合金部材を化成処理する化成処理工程と、を含む表面粗化マグネシウム合金部材の製造方法であって、上記化成処理工程では、化学エッチングされた上記マグネシウム合金部材を、25℃で測定したpH値が3.0以上3.7未満の範囲にある過マンガン酸塩水溶液で処理することを特徴とする。

概要

背景

近年、地球環境保全視点から、実用金属の中で最も軽量でリサイクル性に優れるマグネシウム合金を積極的に活用する動き活発化している。例えば自動車分野では燃費改善を目的とした車両軽量化指向によって、これまで鋼板アルミニウム合金を使用していた部材に対してマグネシウム合金を適用する検討が始まっている。また家電分野では、ノートパソコン携帯電話ECUボックス筐体部分において、従来のアルミニウム合金からマグネシウム合金への置き換えの動きが顕在化している。

このような金属材料置換の動きに伴い、既存のアルミニウム樹脂接合化技術に加えて、マグネシウム合金と樹脂とを接合して一体化する技術が、自動車分野、家電製品分野、産業機器等の部品製造分野等の幅広い分野から求められるようになってきた。このための接合手段として、特定の表面形状を満たす表面粗化マグネシウム合金の超微細凹凸形状部に接着剤侵入させ、その接着剤層樹脂部材をさらに接着させてマグネシウム合金複合体を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1)。

特許文献1に提案されているマグネシウム合金の表面粗化方法は以下のとおりである。すなわち、市販脱脂剤を用いてマグネシウム合金の表面部を脱脂し、次いで、1%〜数%濃度のカルボン酸鉱酸水溶液、好ましくはクエン酸マロン酸酢酸硝酸などの水溶液で化学エッチングし、次いで、塩基性水溶液スマット除去処理を行い、次いで、化成処理が行われる。化成処理は、酸化され易いマグネシウム合金部材表面の腐食防止措置として行われる表面処理であり、特許文献1には、弱酸性とした過マンガン酸カリウムの水溶液でマグネシウム合金部材を処理することによって、マグネシウム合金部材の表面に化成被膜としての二酸化マンガン層被覆する方法が化成処理の好ましい形態として記載されている。

概要

粗化処理するマグネシウム合金部材の処理量を増やした場合であっても、表面粗化マグネシウム合金部材の表面が褐色乃至暗褐色に着色することを抑制することが可能な表面粗化マグネシウム合金部材の製造方法を提供する。本発明の表面粗化マグネシウム合金部材の製造方法は、マグネシウム合金部材を酸性水溶液によって化学エッチングする化学エッチング工程と、化学エッチングされた上記マグネシウム合金部材を化成処理する化成処理工程と、を含む表面粗化マグネシウム合金部材の製造方法であって、上記化成処理工程では、化学エッチングされた上記マグネシウム合金部材を、25℃で測定したpH値が3.0以上3.7未満の範囲にある過マンガン酸塩水溶液で処理することを特徴とする。なし

目的

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、粗化処理するマグネシウム合金部材の処理量を増やした場合であっても、表面粗化マグネシウム合金部材の表面が褐色乃至暗褐色に着色することを抑制することが可能な表面粗化マグネシウム合金部材の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

マグネシウム合金部材酸性水溶液によって化学エッチングする化学エッチング工程と、化学エッチングされた前記マグネシウム合金部材を化成処理する化成処理工程と、を含む表面粗化マグネシウム合金部材の製造方法であって、前記化成処理工程では、化学エッチングされた前記マグネシウム合金部材を、25℃で測定したpH値が3.0以上3.7未満の範囲にある過マンガン酸塩水溶液で処理することを特徴とする表面粗化マグネシウム合金部材の製造方法。

請求項2

前記化学エッチング工程における前記酸性水溶液が有機酸を含む請求項1に記載の表面粗化マグネシウム合金部材の製造方法。

請求項3

前記過マンガン酸塩水溶液が、pH緩衝作用を有する酸性水溶液中に過マンガン酸塩が溶解している水溶液である請求項1または2に記載の表面粗化マグネシウム合金部材の製造方法。

請求項4

前記pH緩衝作用を有する酸性水溶液が、酢酸塩フタル酸塩クエン酸塩コハク酸塩乳酸塩酒石酸塩ホウ酸塩、およびリン酸塩から選ばれる少なくとも1種類を含有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の表面粗化マグネシウム合金部材の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、表面粗化マグネシウム合金部材の製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、地球環境保全視点から、実用金属の中で最も軽量でリサイクル性に優れるマグネシウム合金を積極的に活用する動き活発化している。例えば自動車分野では燃費改善を目的とした車両軽量化指向によって、これまで鋼板アルミニウム合金を使用していた部材に対してマグネシウム合金を適用する検討が始まっている。また家電分野では、ノートパソコン携帯電話ECUボックス筐体部分において、従来のアルミニウム合金からマグネシウム合金への置き換えの動きが顕在化している。

0003

このような金属材料置換の動きに伴い、既存のアルミニウム樹脂接合化技術に加えて、マグネシウム合金と樹脂とを接合して一体化する技術が、自動車分野、家電製品分野、産業機器等の部品製造分野等の幅広い分野から求められるようになってきた。このための接合手段として、特定の表面形状を満たす表面粗化マグネシウム合金の超微細凹凸形状部に接着剤侵入させ、その接着剤層樹脂部材をさらに接着させてマグネシウム合金複合体を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1)。

0004

特許文献1に提案されているマグネシウム合金の表面粗化方法は以下のとおりである。すなわち、市販脱脂剤を用いてマグネシウム合金の表面部を脱脂し、次いで、1%〜数%濃度のカルボン酸鉱酸水溶液、好ましくはクエン酸マロン酸酢酸硝酸などの水溶液で化学エッチングし、次いで、塩基性水溶液スマット除去処理を行い、次いで、化成処理が行われる。化成処理は、酸化され易いマグネシウム合金部材表面の腐食防止措置として行われる表面処理であり、特許文献1には、弱酸性とした過マンガン酸カリウムの水溶液でマグネシウム合金部材を処理することによって、マグネシウム合金部材の表面に化成被膜としての二酸化マンガン層被覆する方法が化成処理の好ましい形態として記載されている。

先行技術

0005

国際公開第2008/133096号

発明が解決しようとする課題

0006

本願発明者らは、特許文献1に記載された表面粗化方法、このようにして得られた表面粗化マグネシウム合金部材、および当該表面粗化マグネシウム合金部材に熱可塑性樹脂を接合させて得られるマグネシウム合金/樹脂複合構造体機械特性について鋭意検討を進めた。その結果、特許文献1に記載された粗化方法、具体的には実験例1に記載された粗化方法に準じて表面粗化を行った場合に工業的視点から、以下の課題が存在することが分かった。

0007

上記特許文献1に記載された段階的な薬液漬処理法の概念そのもの、すなわち少なくとも1つの各種の薬液が入れられた薬液槽と少なくとも1つの純水又は工業用水が入れられた水洗槽とからなる複数の処理槽(処理部)に、処理対象である金属部材を順次に浸漬させることによって、金属部材表面粗化する方法と装置は公知である。

0008

ここで、マグネシウム合金部材を薬液槽や水槽に順次浸漬処理して全浸漬処理を完結する工程をワンサイクルとして表面処理を行った場合、特許文献1に記載された粗化方法では、マグネシウム合金部材の処理量が増加、すなわちマグネシウム合金平板をバッチワイズに表面処理する場合はサイクル数が増加するに従って、或いはコイル状のマグネシウム合金部材のロールを連続的に表面処理する場合は連続処理時間の増加とともにマグネシウム合金部材表面が褐色乃至暗褐色に着色し易くなる傾向を示すこと、又このような着色傾向は化学エッチング用の薬液槽および/又は化成処理用の薬液槽の更新作業、すなわち浸漬を繰り返した古い薬液の一部乃至全量を新薬液に置換する作業の頻度を上げた場合であっても改善されないことが分かった。

0009

表面粗化マグネシウム合金表面が着色した場合、表面粗化マグネシウム合金表面に樹脂部材が接合してマグネシウム合金/樹脂複合構造体とした場合に、樹脂部材が接合されない部分には、表面粗化マグネシウム合金の粗化表面がそのまま露呈されることになるので、当該複合構造体をデザイン性美観が求められる用途に展開する上では問題が生じる場合がある。着色部分を無くすためにこの部分を薄く削り落として地肌再生させるなどの付加的な操作は工程全体を煩雑化すると同時に、削り落とす量が増えることはマグネシウム合金材料の有効利用率の低下にもつながるので好ましくない。

0010

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、粗化処理するマグネシウム合金部材の処理量を増やした場合であっても、表面粗化マグネシウム合金部材の表面が褐色乃至暗褐色に着色することを抑制することが可能な表面粗化マグネシウム合金部材の製造方法を提供するものである。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは上記問題点について鋭意検討を進め、上記着色の原因を追究した。その結果、上記化成処理における過マンガン酸塩水溶液のpHが、マグネシウム合金部材の処理量増加時における表面粗化マグネシウム合金部材表面の着色に大きな影響を与えることを見出し本発明に到達した。

0012

すなわち、本発明によれば、以下に示す表面粗化マグネシウム合金部材の製造方法が提供される。
[1]
マグネシウム合金部材を酸性水溶液によって化学エッチングする化学エッチング工程と、
化学エッチングされた上記マグネシウム合金部材を化成処理する化成処理工程と、
を含む表面粗化マグネシウム合金部材の製造方法であって、
上記化成処理工程では、化学エッチングされた上記マグネシウム合金部材を、25℃で測定したpH値が3.0以上3.7未満の範囲にある過マンガン酸塩水溶液で処理することを特徴とする表面粗化マグネシウム合金部材の製造方法。
[2]
上記化学エッチング工程における上記酸性水溶液が有機酸を含む上記[1]に記載の表面粗化マグネシウム合金部材の製造方法。
[3]
上記過マンガン酸塩水溶液が、pH緩衝作用を有する酸性水溶液中に過マンガン酸塩が溶解している水溶液である上記[1]または[2]に記載の表面粗化マグネシウム合金部材の製造方法。
[4]
上記pH緩衝作用を有する酸性水溶液が、酢酸塩フタル酸塩クエン酸塩コハク酸塩乳酸塩酒石酸塩ホウ酸塩、およびリン酸塩から選ばれる少なくとも1種類を含有する上記[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の表面粗化マグネシウム合金部材の製造方法。

発明の効果

0013

本発明によれば、粗化処理するマグネシウム合金部材の処理量を増やした場合であっても、表面粗化マグネシウム合金部材の表面が褐色乃至暗褐色に着色することを抑制できる。

図面の簡単な説明

0014

本発明に係る実施形態のマグネシウム合金/樹脂複合構造体の構造の一例を模式的に示した外観図である。
本発明に係る実施形態のマグネシウム合金/樹脂複合構造体を製造する過程の一例を模式的に示した構成図である。
本実施形態に係る表面粗化マグネシウム合金部材の表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部の測定箇所を説明するための模式図である。

0015

以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には共通の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。文中の数字の間にある「〜」は特に断りがなければ、以上から以下を表す。

0016

<表面粗化マグネシウム合金部材の製造方法>
本実施形態の表面粗化マグネシウム合金部材103の製造方法について説明する。
本実施形態に係る表面粗化マグネシウム合金部材103の製造方法は、マグネシウム合金部材を酸性水溶液によって化学エッチングする化学エッチング工程と、化学エッチングされた上記マグネシウム合金部材を化成処理する化成処理工程と、を含む。
化学エッチング工程の前には、脱脂などを目的とした前処理工程を行ってもよい。また、化学エッチング工程の後には、エッチング面を酸化から守るための化成処理工程が行われる。
また、上記化成処理工程では、化学エッチングされた上記マグネシウム合金部材を、25℃で測定したpH値が3.0以上3.7未満の範囲にある過マンガン酸塩水溶液で処理する。
本実施形態に係る表面粗化マグネシウム合金部材103の製造方法によれば、表面粗化するマグネシウム合金部材の処理量を増やした場合であっても、表面粗化マグネシウム合金部材103の表面が褐色乃至暗褐色に着色することを抑制することが可能である。また、本実施形態に係る表面粗化マグネシウム合金部材103の製造方法によって得られる表面粗化マグネシウム合金部材103を用いることによって、接合強度に優れたマグネシウム合金/樹脂複合構造体106を安定的に得ることができる。

0017

本実施形態においては、上記の前処理工程、化学エッチング工程および化成処理工程の前後にいくつかの付加的な工程を任意に実施してもよい。このような任意の工程としては、例えば、化学エッチング工程の後に、主にスマット類の除去を目的として行われる無機酸水溶液による洗浄工程、酸性水溶液または塩基性水溶液との処理後に行われる中和工程や水洗工程等を挙げることができる。本実施形態に係る表面粗化マグネシウム合金部材103の製造方法は、後述する実施例で示されるようなバッチ処理方式であってもよいし、コイル状のマグネシウム合金部材からなるロールを連続的に薬液槽に通過させる、いわゆるロールツーロール方式であってもよいし、これらの方式を適宜組みわせたハイブリッド方式であってもよい。
以下、本実施形態の表面粗化方法の(1)前処理工程、(2)化学エッチング工程、および(3)化成処理後処理工程について、この順に詳説する。

0018

なお、本実施形態で表面粗化を受ける原材料のマグネシウム合金部材は特に限定されないが、好ましくは合金成分としてのMnの含有量が0.5質量%以下のマグネシウム合金部材である。例えば、Mgと、Al、Zn、Si、Cu、Fe、Mn、Ag、Zr、Sr、Pb、Re、Yやミッシュメタル等の希土類等との合金部材が挙げられる。代表的なマグネシウム合金部材としては、AZ91、AZ31、AM60、AM50、AM20、AS41、AS21、AE42等の市販のマグネシウム合金部材が挙げられる。
マグネシウム合金部材の形状は、樹脂部材105と接合できる形状であれば特に限定されず、例えば、平板状、曲板状、コイル状、棒状、筒状、塊状等とすることができる。また、これらの組み合わせからなる構造体であってもよい。

0019

マグネシウム合金部材は、切断;プレス等による塑性加工打ち抜き加工切削研磨放電加工等の除肉加工等によって、マグネシウム合金材料を上述した所定の形状に加工されたものが好ましい。

0020

(1)前処理工程
上記したマグネシウム合金部材は、一般的には、ダイキャスト法、チクソモールド法と呼ばれる鋳造法により製造され、場合によっては展伸用マグネシウム合金板を用いたプレス成型法や鍛造法により製造される。元来、マグネシウム合金部材は、アルミニウム合金等とは異なり稠密六方格子(HCP)を持つため変形し難く、そのため成形時には多量の機械油離型剤等が用いられることが多い。その結果、マグネシウム合金部材の表面にはこれら油類が多量に付着、浸透して表面汚染されている可能性が高いので、化学エッチング処理に先立ち水酸化ナトリウム水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液や市販のマグネシウム合金用脱脂剤等による脱脂処理を行うことが望ましい。脱脂処理は例えば40〜70℃で数分間行われる。また脱脂処理前に、マグネシウム合金部材表面上に堆積した酸化膜等を、サンドブラスト加工研削加工等の機械研磨化学研磨等により除去する処理をおこなってもよい。

0021

(2)化学エッチング工程
本実施形態に係る化学エッチング工程は、マグネシウム合金部材表面上に微細凹凸形状を付与する工程である。化学エッチング工程で使用する化学エッチング剤(形態は水溶液又は懸濁液)は、例えば、有機酸または無機酸を含む酸性水溶液である。マグネシウム合金部材と樹脂部材との接合強度の点からは有機酸を含む酸性水溶液であっても無機酸を含む酸性水溶液であってもよいが、エッチング量を最小限量に抑え、かつ安定的に高い接合強度を発現できる視点からは、エッチング剤としては有機酸を含む酸性水溶液が好ましい。有機酸としては、脂肪族カルボン酸を含むことがより好ましい。脂肪族カルボン酸としては室温下で水溶性を示すものであれば制限なく使用できるが、より好ましい脂肪族カルボン酸としては、ヒドロキシ基を持たない多塩基酸(a1)と、ヒドロキシ基を持つ一塩基酸(a2)とヒドロキシ基を持つ多塩基酸(a3)に三分類される。ヒドロキシ基を持たない多塩基酸(a1)としては、シュウ酸、マロン酸、アジピン酸マレイン酸を例示できる。ヒドロキシ基を持つ一塩基酸(a2)としては、グリコール酸乳酸グリセリン酸、2−ヒドロキシ酪酸3−ヒドロキシ酪酸メバロン酸を例示できる。またヒドロキシ基を持つ多塩基酸(a3)としては、クエン酸、リンゴ酸酒石酸を例示できる。なお、多塩基酸を用いる場合は二つのカルボキシ基形式分子脱水縮合した、対応する酸無水物を使用してもよい。酸無水物は一般に水に溶かすことによって加水分解を受けて二塩基酸転換されるからである。これらの脂肪族カルボン酸の中では、粗化効率、すなわち最小限のエッチング量でもって効率的な接合強度を安定的に発現できる点、あるいはエッチング剤の化学安全性の視点から、ヒドロキシ基を持つ多塩基酸(a3)が好ましく、クエン酸、酒石酸が特に好ましく用いられる。またマロン酸も好ましく用いられる化学エッチング剤である。処理時においては、濃度が好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜5質量%濃度の脂肪族カルボン酸水溶液中に、任意に脱脂処理が行われたマグネシウム合金部材を1〜20分間、好ましくは2〜15分間浸漬して行うことができる。

0022

図3は、表面粗化マグネシウム合金部材103の表面110上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部を説明するための模式図である。
上記化学エッチングによって、表面粗化マグネシウム合金部材103の表面110上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(1)および(2)を同時に満たす微細凹凸構造が形成される。なお、上記6直線部は、例えば図3に示すような6直線部B1〜B6を選択することができる。ここで各直線間水平距離垂直距離D1〜D4は、例えば2〜5mmである。
(1)評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)の平均値が2.0μm超過20μm以下、好ましくは3.0μm以上15μm以下の範囲にある
(2)評価長さ4mmにける粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値が10μm超過200μm以下、好ましくは10μm以上200μm以下の範囲にある

0023

化学エッチング終了後に、必要に応じて弱塩基性水溶液および/または強塩基性水溶液による洗浄を行ってもよい。このような塩基性水溶液としては代表的には炭酸ナトリウム水溶液炭酸水素ナトリウム水溶液またはこれらの混合体を例示することができ、炭酸ナトリウム1質量%と炭酸水素ナトリウム1質量%が溶解したpHが9.8前後の弱塩基性水溶液が好ましく用いられる。また、強塩基性水溶液としては、例えば15質量%前後の水酸化ナトリウム水溶液が用いられる。なお、これらの弱塩基性水溶液および/または塩基性水溶液による洗浄の前後に水洗操作を加えてもよい。

0024

(3)化成処理工程
上記化学エッチングを終えたマグネシウム合金部材は、次いで化成処理され化成被膜が形成される。すなわち、マグネシウムイオン化傾向の高い部類の金属であるので空気中の湿気酸素による酸化速度が他の金属に比べて相対的に速い。マグネシウム合金部材は通常、自然酸化膜で被覆されているが耐食性の点から見て十分とは言い難く、通常の環境下でも自然酸化膜を拡散した水分子や酸素で酸化腐食が進行してしまう。このような酸化反応を抑制するために化成被膜を積極的に形成させる化成処理がこれまで行われてきた。

0025

公知の化成処理方法としては、弱酸性とした過マンガン酸塩水溶液に浸漬して二酸化マンガン薄層で全面を覆う処理や、クロム酸重クロム酸カリ等の水溶液に浸漬して酸化クロムの薄層で全面を覆うクロメート処理(クロメート処理)等を行って腐食防止処置が行われるのが一般的である。本実施形態においては環境汚染の観点から前者の二酸化マンガン薄層を被膜する方法が好んで用いられる。

0026

本実施形態においては、弱酸性とした過マンガン酸塩水溶液の25℃で測定したpH値は本発明の効果を発揮するうえで極めて重要である。このpH値は3.0以上3.7未満であり、好ましくは3.1以上3.7未満であり、より好ましくは3.2以上3.6以下、さらに好ましくは3.3以上3.6以下である。過マンガン酸塩水溶液のpHが、このような範囲を満たすことによってマグネシウム合金部材の表面粗化のバッチ処理数を重ねた場合すなわち粗化処理するマグネシウム合金部材の処理量を増やした場合であっても、表面粗化マグネシウム合金部材103の表面が褐色乃至暗褐色に着色することを抑制できる。なお、過マンガン酸塩を構成するカチオン種としては、アンモニウムイオンナトリウムイオンカリウムイオン銀イオンおよび亜鉛イオンを例示できるが、化学物質としての安全性や空気中での取り扱い性からカリウムイオンがこの好ましい。過マンガン酸塩水溶液に占める過マンガン酸塩の濃度は、例えば0.5〜5質量%、好ましくは1〜3質量%である。
過マンガン酸塩の濃度が上記下限値以上であると、酸化能力がより良好になり、過マンガン酸塩の濃度が上記上限値以下であると、過マンガン酸塩の使用量を抑えながら化成被膜生成速度を適度な速度とすることができる。

0027

上記のような、特定の酸性領域のpH値を持つ過マンガン酸塩水溶液は、例えば、pH値が3.0以上3.7未満の範囲にあるpH緩衝能を有する酸性水溶液に過マンガン酸塩を溶解することにより容易に調製可能である。
上記pH緩衝能を有する酸性溶液として、酢酸塩、フタル酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩のうち、少なくとも1種類以上を各0.1〜5.0質量%の範囲で含有する酸性溶液を例示できる。具体的には、酢酸ナトリウム(CH3COONa)などの酢酸塩、フタル酸水素カリウム((KOOC)2C6H4)などのフタル酸塩、クエン酸ナトリウム(Na3C6H5O7)やクエン酸二水素カリウム(KH2C6H5O7)などのクエン酸塩、コハク酸ナトリウム(Na2C4H4O4)などのコハク酸塩、乳酸ナトリウム(NaCH3CHOHCO2)などの乳酸塩、酒石酸ナトリウム(Na2C4H4O6)などの酒石酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩のうち少なくとも1種類以上を0.1〜5.0質量%の濃度範囲で含有する水溶液を使用することができる。

0028

化学エッチングされたマグネシウム合金部材を、過マンガン酸塩の弱酸性水溶液で処理する場合、その処理温度は例えば25℃〜60℃、好ましくは30℃〜55℃、処理時間は5秒〜3分、好ましくは10秒〜2分程度である。処理温度が上記下限値以上であると、夏場においては冷凍機などの追加冷却設備等を用いる必要がないため好ましい。処理温度が上記上限値以下であると、過マンガン酸塩の短時間当たりの反応熱を抑制できるため好ましい。

0029

本実施形態に係る表面粗化マグネシウム合金部材103の製造方法によって得られた表面粗化マグネシウム合金部材103を用いることによって、樹脂部材105との接合、好ましくは射出接合インサート成形)によってマグネシウム合金/樹脂複合構造体106を得ることができる。上記樹脂部材105は熱可塑性樹脂組成物(P)からなる。熱可塑性樹脂組成物(P)は、樹脂成分として熱可塑性樹脂(A)と、必要に応じて充填材(B)とを含む。さらに、熱可塑性樹脂組成物(P)は必要に応じてその他の配合剤を含むことも任意である。

0030

(熱可塑性樹脂(A))
熱可塑性樹脂(A)としては特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂ポリメタクリル酸メチル樹脂等のポリメタクリル系樹脂ポリアクリル酸メチル樹脂等のポリアクリル系樹脂ポリスチレン樹脂ポリビニルアルコールポリ塩化ビニル共重合体樹脂ポリビニルアセタール樹脂ポリビニルブチラール樹脂ポリビニルホルマール樹脂ポリメチルペンテン樹脂無水マレイン酸スチレン共重合体樹脂ポリカーボネート樹脂ポリフェニレンエーテル樹脂ポリエーテルエーテルケトン樹脂ポリエーテルケトン樹脂等の芳香族ポリエーテルケトンポリエステル系樹脂ポリアミド系樹脂ポリアミドイミド樹脂ポリイミド樹脂ポリエーテルイミド樹脂スチレン系エラストマーポリオレフィン系エラストマーポリウレタン系エラストマーポリエステル系エラストマーポリアミド系エラストマーアイオノマーアミノポリアクリルアミド樹脂、イソブチレン無水マレイン酸コポリマー、ABS、ACS、AES、AS、ASA、MBS、エチレン塩化ビニルコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−酢酸ビニル塩化ビニルグラフトポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー塩素化ポリ塩化ビニル樹脂塩素化ポリエチレン樹脂塩素化ポリプロピレン樹脂カルボキシビニルポリマーケトン樹脂、非晶性コポリエステル樹脂ノルボルネン樹脂フッ素プラスチックポリテトラフルオロエチレン樹脂フッ素化エチレンポリプロピレン樹脂、PFAポリクロフルオロエチレン樹脂、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマーポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂ポリアリレート樹脂熱可塑性ポリイミド樹脂ポリ塩化ビニリデン樹脂ポリ塩化ビニル樹脂ポリ酢酸ビニル樹脂ポリサルホン樹脂ポリパラメチルスチレン樹脂ポリアリルアミン樹脂ポリビニルエーテル樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、オリゴエステルアクリレートキシレン樹脂マレイン酸樹脂ポリヒドロキシブチレート樹脂、ポリスルホン樹脂ポリ乳酸樹脂ポリグルタミン酸樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂ポリアクリロニトリル樹脂スチレンアクリロニトリル共重合体樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂(A)は一種単独で使用してもよいし、二種以上組み合わせて使用してもよい。

0031

これらの中でも、熱可塑性樹脂(A)としては、表面粗化マグネシウム合金部材103と樹脂部材105との接合強度向上効果をより効果的に得ることができる観点から、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂およびポリアミド系樹脂から選択される一種または二種以上の熱可塑性樹脂が好適に用いられる。

0032

(充填材(B))
熱可塑性樹脂組成物(P)は、表面粗化マグネシウム合金部材103と樹脂部材105との線膨張係数差の調整や樹脂部材105の機械的強度を向上させる観点から、充填材(B)をさらに含んでもよい。
充填材(B)としては、例えば、ガラス繊維炭素繊維炭素粒子粘土タルクシリカミネラルセルロース繊維からなる群から一種または二種以上を選ぶことができる。これらのうち、好ましくは、ガラス繊維、炭素繊維、タルク、ミネラルから選択される一種または二種以上である。

0033

なお、熱可塑性樹脂組成物(P)が充填材(B)を含む場合、その含有量は、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上80質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上70質量部以下であり、特に好ましくは10質量部以上50質量部以下である。

0034

(その他の配合剤)
熱可塑性樹脂組成物(P)には、機械的強度以外の固有の機能を更に付与する目的でその他の配合剤を含んでもよい。このような配合剤としては、熱安定剤酸化防止剤顔料、耐候剤、難燃剤可塑剤分散剤滑剤、離型剤、帯電防止剤等が挙げられる。なお、熱可塑性樹脂組成物(P)がその他配合剤を含む場合、その含有量は、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.0001〜5質量部であり、より好ましくは0.001〜3質量部である。

0035

本実施形態に係るマグネシウム合金/樹脂複合構造体106の製造方法、すなわち熱可塑性樹脂組成物(P)からなる樹脂部材105を表面粗化マグネシウム合金部材103に接合する方法としては、例えば、射出成形押出成形加熱プレス成形圧縮成形トランスファーモールド成形、注型成形レーザー溶着成形、反応射出成形RIM成形)、リム成形(LIM成形)、溶射成形等の樹脂成形方法が挙げられる。
これらの中でも、射出成形法が好ましく、具体的には、表面粗化マグネシウム合金部材103を射出成形金型キャビティ部にインサートし、熱可塑性樹脂組成物(P)を金型射出する射出成形法によって樹脂部材105を成形し、マグネシウム合金/樹脂複合構造体106を製造するのが好ましい。以下、具体的に説明する。

0036

図2は、本発明に係る実施形態のマグネシウム合金/樹脂複合構造体106を製造する過程の一例を模式的に示した構成図である。
本実施形態に係るマグネシウム合金/樹脂複合構造体106の製造方法は、例えば、以下の[1]〜[3]の工程を含んでいる。
[1]所望の熱可塑性樹脂組成物(P)を調製する工程
[2]凹凸形成領域を含む表面粗化マグネシウム合金部材103を射出成形用の金型102の内部に設置する工程
[3]熱可塑性樹脂組成物(P)を、射出成形機101を通して、表面粗化マグネシウム合金部材103の少なくとも凹凸形成領域と接するように、金型102内に射出成形し、樹脂部材105を形成する工程

0037

以下、[2]および[3]の工程による射出成形方法について説明する。
まず、射出成形用の金型102を用意し、その金型を開いてその一部に凹凸形成領域を含む表面粗化マグネシウム合金部材103を設置する。
その後、金型102を閉じ、熱可塑性樹脂組成物(P)の少なくとも一部が表面粗化マグネシウム合金部材103の表面110の凹凸形状形成領域と接するように、金型102内に[1]工程で得られた熱可塑性樹脂組成物(P)を射出して固化する。その後、金型102を開き離型することにより、マグネシウム合金/樹脂複合構造体106を得ることができる。

0038

また、上記[1]〜[3]の工程による射出成形にあわせて、射出発泡成形や、金型102を急速に加熱冷却する高速ヒートサイクル成形(RHCMヒート&クール成形)を併用してもよい。
射出発泡成形の方法として、化学発泡剤を樹脂に添加する方法や、射出成形機のシリンダー部に直接、窒素ガス炭酸ガス注入する方法、あるいは、窒素ガスや炭酸ガスを超臨界状態で射出成形機のシリンダー部に注入するMuCell射出発泡成形法があるが、いずれの方法でも樹脂部材105が発泡体であるマグネシウム合金/樹脂複合構造体106を得ることができる。また、いずれの方法でも、金型102の制御方法として、カウンタープレッシャーを使用したり、成形品の形状によってはコアバックを利用したりすることも可能である。
高速ヒートサイクル成形は、急速加熱冷却装置を金型102に接続することにより、実施することができる。急速加熱冷却装置は、一般的に使用されている方式で構わない。加熱方法として、蒸気式、加圧熱水式、熱水式、熱油式、電気ヒータ式、電磁誘導過熱式のいずれか一方式またはそれらを複数組み合わせた方式を用いることができる。冷却方法としては、冷水式、冷油式のいずれか一方式またはそれらを組み合わせた方式を用いることができる。高速ヒートサイクル成形法の条件としては、例えば、射出成形用の金型102を100℃以上250℃以下の温度に加熱し、熱可塑性樹脂組成物(P)の射出が完了した後、射出成形用の金型102を冷却することが望ましい。金型を加熱する温度は、熱可塑性樹脂組成物(P)を構成する熱可塑性樹脂(A)によって好ましい範囲が異なり、結晶性樹脂融点が200℃未満の熱可塑性樹脂であれば、100℃以上150℃以下が好ましく、結晶性樹脂で融点が200℃以上の熱可塑性樹脂であれば、140℃以上250℃以下が望ましい。非晶性樹脂については、100℃以上180℃以下が望ましい。

0039

本実施形態に係るマグネシウム合金/樹脂複合構造体106は、過酷な条件下でも高い接合強度を示すとともに軽量である利点を生かして様々な産業分野で用いられる。例えば、ノートパソコンのボトムケース液晶リアケースに代表されるパソコン分野;携帯電話用薄肉筐体フレームボディ等の携帯電話分野;デジタル一眼レフカメラ用のカバーミラーボックス等のカメラ分野;スピーカー振動板等のオーディオ分野;時計秒針;自動車ヘッドカバーオイルパンシリンダーブロックステアリングホイールステアリングメンバーミッションケースシートバックフレームロードホイール等の自動車分野;二輪車エンジン分野;飛行機エンジン部品ヘリコプター用ギアボックス等の航空分野鉄道車両分野;軽量ペンチ、軽量ハンマー等の工具分野;競技ヨーヨー等のスポーツ分野を挙げることができる。

0040

以上、本実施形態に係るマグネシウム合金/樹脂複合構造体106の用途について述べたが、これらは本実施形態の用途の例示であり、上記以外の様々な用途に用いることもできる。

0041

以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を含む。

0042

以下、本実施形態を、実施例・比較例を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。

0043

[実施例1]
(表面粗化)
マグネシウム合金板AZ31B(厚み:2.0mm)を、長さ45mm、幅18mmに切断し、平板状マグネシウム合金板を合計500枚作製した。次いで、このマグネシウム合金板を1枚ずつ以下の処理を行うことによって、中間処理体Cを調製した。
まず、マグネシウム合金板を、60℃の市販のマグネシウム合金用脱脂剤「クリーナー160(メルテックス株式会社製)」の7.5質量%水溶液に5分浸漬した後、水洗した。次いで、40℃で、かつ、クエン酸濃度が1質量%のクエン酸水溶液槽に4分間浸漬させて化学エッチングした後、室温で2分間超音波水洗を行った。その後、スマット除去を目的として、65℃の炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム混合水溶液(炭酸ナトリウムの濃度;1質量%、炭酸水素ナトリウムの濃度;1質量%、pH;9.8)に5分間浸漬した。次いで、65℃の15質量%水酸化ナトリウム水溶液に5分間浸漬したのちに水洗を行い、中間処理体Cを得た。ここで、脱脂槽中の脱脂剤水溶液、スマット除去槽中の炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム混合水溶液、スマット除去槽中の水酸化ナトリウム水溶液、クエン酸水溶液槽中のクエン酸水溶液および水洗槽中の水は、マグネシウム合金版の10枚分の処理が終わる毎に、新しく薬液調製したものを用いるようにした。
枚目、10枚目、30枚目、100枚目、200枚目、300枚目、400枚目および最後の500枚目の中間処理体Cをサンプリングし、これらの表面粗さを、東京精密社製の表面粗さ測定装置サーフコム1400D」で測定した。その結果、いずれの処理板についても十点平均粗さ(Rz)平均値が3μm〜7μmの範囲に偏在し、また粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値は70μm〜100μmの範囲に偏在していることが確認された。この結果から化学エッチング工程においては、ほぼ等しい酸条件下で微細凹凸構造が形成されていることが推定される。

0044

次いで、上記化学エッチングとスマット除去操作を終えた、1枚の中間処理体Cを、25℃で測定したpHが3.3の過マンガン酸カリウム水溶液中に、35℃で1分間浸漬後、室温で5分間の超音波水洗を行い、次いで、温風乾燥機中で乾燥することによって表面粗化体A1を得た。ここで、25℃で測定したpH3.3の過マンガン酸カリウム水溶液は、0.5質量%の酢酸ソーダ・3水和物水溶液に酢酸を添加してpHを3.3(25℃測定)に緩衝させた酢酸/酢酸ソーダ水溶液中に、2質量%分の過マンガン酸カリウムを溶解することによって調製した。

0045

この一連サイクル操作を、中間処理体Cを新しいものに変更して350回繰り返し、途中の100枚目の表面粗化体A100と200枚目の表面粗化体A200と350枚目の表面粗化体A350を確保した。なお表面粗化体350を調製後の過マンガン酸カリウム水溶液のpHは3.6であった。

0046

表面粗化体A1、表面粗化体A100、表面粗化体A200および表面粗化体A350について、粗化面から5点を任意に選定し、色調を目視観察した。その結果、すべての粗化体について、5点の色調は鮮やかな黄色であった。

0047

(射出成形)
得られた表面粗化体A1、表面粗化体A100、表面粗化体A200および表面粗化体350を、日本製鋼所社製のJ55AD−30Hに装着された小型ダンベル金属インサート金型102内にそれぞれ設置した。次いで、金型102内に樹脂組成物(P)であるポリプラスチックス社製PBT樹脂(ジュラネックス930HL)を、シリンダー温度270℃、金型温度160℃、射出一次圧90MPa、保圧80MPaの条件にて射出成形し、マグネシウム合金/樹脂複合構造体A1、マグネシウム合金/樹脂複合構造体A100、マグネシウム合金/樹脂複合構造体A200およびマグネシウム合金/樹脂複合構造体A350をそれぞれ得た。

0048

引っ張り試験機モデル1323(アイコエンジニヤリング社製)」を使用し、引張試験機に専用の治具を取り付け、室温(23℃)にて、チャック間距離60mm、引張速度10mm/minの条件にて接合強度の測定をおこなった。破断荷重(N)をマグネシウム合金/樹脂接合部分の面積で除することにより接合強度を得た。測定は5サンプルについて行い、それらの平均値を接合強度(SA)とした。マグネシウム合金/樹脂複合構造体A1、マグネシウム合金/樹脂複合構造体A100、マグネシウム合金/樹脂複合構造体A200およびマグネシウム合金/樹脂複合構造体A350の接合強度SA1、SA100、SA200およびSA350は、それぞれ31MPa、31MPa、31MPaおよび31MPaであった。破壊面はいずれも樹脂母材破壊であった。

0049

[比較例1]
pH3.3の過マンガン酸カリウム水溶液の代わりに、25℃で測定したpHが3.7の過マンガン酸カリウム水溶液を用いた以外は実施例1と同様に、1枚の中間処理体Cを化成処理して、表面粗化体B1を得た。ここで、25℃で測定したpH3.7の過マンガン酸カリウム水溶液は、酢酸ソーダ・3水和物水溶液に酢酸を添加してpHを3.7(25℃測定値)に緩衝させた酢酸/酢酸ソーダ水溶液中に、過マンガン酸カリウムを溶解することによって調製した。ここで、25℃で測定したpH3.7の過マンガン酸カリウム水溶液における、酢酸ソーダ・3水和物の濃度は0.5質量%、酢酸の濃度は1質量%、過マンガン酸カリウムの濃度は2質量%である。なお、pH3.7の過マンガン酸カリウム水溶液は、国際公開第2008/133096号の実験例1に開示された過マンガン酸カリウム水溶液に相当する。

0050

この一連のサイクル操作を100回繰り返して、途中の40回目の表面粗化体B40と100回目の表面粗化体B100を確保した。なお、表面粗化体B100調製後の過マンガン酸カリウム水溶液のpHは4.2まで上昇していた。

0051

表面粗化体B1、表面粗化体B40および表面粗化体B100について、粗化面から5点を任意に選定して表面色調を目視観察した。その結果、表面粗化体B1については5点ともに鮮やかな黄色、表面粗化体B40については5点のうち4点が褐色、残り1点が淡褐色、表面粗化体B100については、5点すべてが暗褐色であった。

0052

(射出成形)
得られた表面粗化体B1、表面粗化体B40および表面粗化体B100に、実施例1の射出成形と同様な条件下で、ポリプラスチックス社製PBT樹脂(ジュラネックス930HL)を射出成形して、マグネシウム合金/樹脂複合構造体B1、マグネシウム合金/樹脂複合構造体B40およびマグネシウム合金/樹脂複合構造体B100をそれぞれ得た。

実施例

0053

次いで、マグネシウム合金/樹脂複合構造体B1、マグネシウム合金/樹脂複合構造体B40およびマグネシウム合金/樹脂複合構造体B100について実施例1に記載の方法と同様にして接合強度SB1、SB40およびSB100を求めた。その結果、SB1、SB40およびSB100は、それぞれ31MPa、28MPaおよび26MPaであった。

0054

101射出成形機
102金型
103表面粗化マグネシウム合金部材
104接合部表面(表面処理領域
105樹脂部材
106マグネシウム合金/樹脂複合構造体
107ゲートランナー
110 表面粗化マグネシウム合金部材の表面

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