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技術 低塩低アルコール醤油類の製造方法

出願人 株式会社フンドーダイ五葉
発明者 坂本幸二荒木啓輔梅崎宗規
出願日 2017年12月27日 (3年0ヶ月経過) 出願番号 2017-251569
公開日 2019年7月18日 (1年5ヶ月経過) 公開番号 2019-115304
状態 特許登録済
技術分野 醤油及び醤油関連製品
主要キーワード 減圧加熱装置 析出成分 イスラム教 別ロット 保管タンク 上澄み相 濃縮容器 保存瓶
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年7月18日)のものです。
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図面 (2)

課題

本発明は、塩分とアルコールとがいずれも低減された低アルコール醤油類を提供する。本発明により製造される低アルコール醤油類は、醤油風味が十分に維持された状態で、アルコール含有量が極めて少なく、塩分が低減された醤油類である。

解決手段

原料である前記醤油類を減圧下で加熱して留出成分を分離して前記醤油類の濃縮液を得る濃縮工程と、前記濃縮液中に析出した塩分を分離した低塩濃縮液を得る塩分分離工程とを有し、前記低塩濃縮液を用いる低塩低アルコール醤油類の製造方法。

概要

背景

醤油は、主に穀物原料として醸造発酵して製造される液体調味料であり、日本料理における基本的な調味料の一つである。醤油も醸造工程を有する調味料であり、ビールやみりん等に代表されるように醤油も醸造工程で生成したアルコールエチルアルコール)を含んでいる。

近年、宗教的な理由や、体質的な理由等により、種々の食品や調味料についても、アルコールが含まれていないことが求められるようになってきている。例えばイスラム教上のハラール(Halal)は、食品に微量なアルコールも含まないことが求められている。
このようなアルコールを低減した醤油として、特許文献1には、エチルアルコールを含有する発酵熟成後の液状発酵調味料から、40℃超〜70℃以下の加熱条件減圧濃縮によってエチルアルコールを1.0w/v%未満の濃度に分離除去してなるノンアルコール発酵調味料が開示されている。

一方、消費者の低食塩嗜好や食塩過剰摂取を意識することに応える技術として、特許文献2には、通常工程により製造した醸造醤油あるいはアミノ酸用醤油あるいはアミノ酸液等の醤油類火入れ加熱処理の前工程あるいは後工程において減圧下に加温濃縮して留出液回収し、加熱濃縮中に析出した食塩を分離して分離液を回収し、該分離液に前記の留出液を加えることを特徴とする低食塩濃度醤油の製造方法が開示されている。

概要

本発明は、塩分とアルコールとがいずれも低減された低アルコール醤油類を提供する。本発明により製造される低アルコール醤油類は、醤油の風味が十分に維持された状態で、アルコール含有量が極めて少なく、塩分が低減された醤油類である。原料である前記醤油類を減圧下で加熱して留出成分を分離して前記醤油類の濃縮液を得る濃縮工程と、前記濃縮液中に析出した塩分を分離した低塩濃縮液を得る塩分分離工程とを有し、前記低塩濃縮液を用いる低塩低アルコール醤油類の製造方法。

目的

そして、ハラールに対応するアルコールの低減や、健康影響の指標となりやすい塩分濃度を低減といった双方を満足する醤油を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

原料である醤油類減圧下で加熱し留出成分を分離することで前記醤油類を濃縮した濃縮液を得る濃縮工程と、前記濃縮液中に析出した塩分を分離した低塩濃縮液を得る塩分分離工程とを有し、前記低塩濃縮液を用いる低塩低アルコール醤油類の製造方法。

請求項2

前記低塩濃縮液を含む液を、滅菌処理する工程を有する請求項1記載の製造方法。

請求項3

前記低塩濃縮液を、希釈液により希釈する工程を有する請求項1または2記載の製造方法。

請求項4

前記濃縮工程の温度が、40℃以上80℃以下である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。

請求項5

前記濃縮工程における真空度が0.05MPa以下である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。

請求項6

前記濃縮工程による濃縮率が、原料の醤油類の充填量に対して得られる濃縮液の容積比(濃縮液容積/原料の醤油類容積×100)として35容積%以上60容積%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。

技術分野

0001

本発明は低塩低アルコール醤油類の製造方法に関する。

背景技術

0002

醤油は、主に穀物原料として醸造発酵して製造される液体調味料であり、日本料理における基本的な調味料の一つである。醤油も醸造工程を有する調味料であり、ビールやみりん等に代表されるように醤油も醸造工程で生成したアルコールエチルアルコール)を含んでいる。

0003

近年、宗教的な理由や、体質的な理由等により、種々の食品や調味料についても、アルコールが含まれていないことが求められるようになってきている。例えばイスラム教上のハラール(Halal)は、食品に微量なアルコールも含まないことが求められている。
このようなアルコールを低減した醤油として、特許文献1には、エチルアルコールを含有する発酵熟成後の液状発酵調味料から、40℃超〜70℃以下の加熱条件減圧濃縮によってエチルアルコールを1.0w/v%未満の濃度に分離除去してなるノンアルコール発酵調味料が開示されている。

0004

一方、消費者の低食塩嗜好や食塩過剰摂取を意識することに応える技術として、特許文献2には、通常工程により製造した醸造醤油あるいはアミノ酸用醤油あるいはアミノ酸液等の醤油類を火入れ加熱処理の前工程あるいは後工程において減圧下に加温濃縮して留出液回収し、加熱濃縮中に析出した食塩を分離して分離液を回収し、該分離液に前記の留出液を加えることを特徴とする低食塩濃度醤油の製造方法が開示されている。

先行技術

0005

特開2016−111962号公報
特開昭56−109569号公報

発明が解決しようとする課題

0006

醤油は、広く常用されている調味料であり、長期保管に優れているという特徴を有している。これは、醤油は塩分濃度が比較的高く、かつアルコールを含有しているため雑菌等による腐敗が生じにくいためと考えられる。特許文献1では、醤油類からアルコールを低減することのみが開示されており元の食塩濃度還元することが開示されている。特許文献2では、醤油類から食塩を低減することのみが開示されており、アルコールを含む留出液や通常工程により製造した醤油類を加えてアルコールを含有する低食塩濃度醤油が提案されている。このような状況から、通常、アルコール濃度を低減することと、食塩濃度を低減することとを同時に達成した醤油は提供されていない。

0007

健康志向の高まりや健康上の問題から食塩摂取量の制限を受けているなど、醤油の塩分濃度を抑制した醤油類の需要がある。日本食は健康にもよい印象があり海外でも高く評価され日本食の需要は海外でも増えている。海外で日本食を普及するには、日本食特有風味の一部を抑えたり、日本食の健康によいイメージとも合致するものとすることが重要と考えられる。そして、ハラールに対応するアルコールの低減や、健康影響の指標となりやすい塩分濃度を低減といった双方を満足する醤油を提供することで、醤油類をさらに普及することが期待できる。係る状況下、本発明は、塩分とアルコールとが、いずれも低減された低アルコール醤油類を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。

0009

すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1>原料である醤油類を減圧下で加熱し留出成分を分離することで前記醤油類を濃縮した濃縮液を得る濃縮工程と、
前記濃縮液中に析出した塩分を分離した低塩濃縮液を得る塩分分離工程とを有し、
前記低塩濃縮液を用いる低塩低アルコール醤油類の製造方法。
<2> 前記低塩濃縮液を含む液を、滅菌処理する工程を有する前記<1>記載の製造方法。
<3> 前記低塩濃縮液を、希釈液により希釈する工程を有する前記<1>または<2>記載の製造方法。
<4> 前記濃縮工程の温度が、40℃以上80℃以下である前記<1>〜<3>のいずれかに記載の製造方法。
<5> 前記濃縮工程における真空度が0.05MPa以下である前記<1>〜<4>のいずれかに記載の製造方法。
<6> 前記濃縮工程による濃縮率が、原料の醤油類の充填量に対して得られる濃縮液の容積比(濃縮液容積/原料の醤油類容積×100)として35容量%以上60容量%以下である前記<1>〜<5>のいずれかに記載の製造方法。

発明の効果

0010

本発明の製造方法によれば、アルコール含有量が極めて少なく、食塩が低減された醤油類が提供される。この醤油類は、アルコールがほとんど含まれないことからハラール等にも対応することができる。また、塩分も少ないため、塩分の過剰摂取を抑えたい需要にもこたえることができる。

図面の簡単な説明

0011

本発明の製造フローを説明するための概要図である。

0012

以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いる。

0013

本発明の製造方法は、原料である醤油類を減圧下で加熱し留出成分を分離することで前記醤油類を濃縮した濃縮液を得る濃縮工程と、前記濃縮液中に析出した塩分を分離した低塩濃縮液を得る塩分分離工程とを有し、前記低塩濃縮液を用いる低塩低アルコール醤油類の製造方法に関する。

0014

本発明の製造方法により製造される低塩低アルコール醤油類は、醤油の風味が十分に維持された状態で、アルコール含有量が極めて少なく、塩分が低減された醤油類である。アルコール含有量が極めて少ないことから、アルコール摂取厳格に避けるような用途にも使用できる調味料となる。また、塩分含有量が低減されることから塩分過剰摂取を避けるなどの健康志向にもこたえることができる調味料である。

0015

[原料]
本発明の製造方法は、醤油類を原料として用いる。この醤油類は、JAS(一般社団法人日本農林規格協会)規格による分類等がされているが、製造方式による分類における、本醸造方式、混合醸造方式、混合方式のいずれの製造方法で製造された醤油(しょうゆ)も用いることができ、これらの醤油(しょうゆ)を総称して醤油類と呼ぶ。JAS規格に基づく醤油について、より詳しくはしょうゆ品質表示基準(最終改正平成21年8月31日農林水産告示第1219号)に規定されており、本発明ではいずれの醤油(しょうゆ)も原料として用いることができる。また、その種類や等級による分類に基づく、いずれの醤油を用いてもよい。

0016

[濃縮(留出)工程]
本発明の製造方法は、醤油類を減圧下で加熱して留出成分を分離して醤油類の濃縮液を得る濃縮工程を有する。この留出成分の分離により、原料となる醤油類に含まれるアルコールを留出させて取り除く。

0017

(減圧(真空度))
この濃縮工程における減圧下とは、醤油類がおかれた雰囲気大気圧(約0.10MPa)よりも低い気圧として、醤油類中の成分が揮発しやすいものとした状態である。減圧下で処理することで、醤油類に含まれるアルコール等の留出成分が積極的に揮発し、一方で揮発性が低い成分は濃縮液となる液相側に残り、風味が変化しにくいものとなる。また、減圧下とすることで、醤油類の沸点が低下し留出成分の揮発もより短時間で起こるため、濃縮液と留出成分との分離がより効率的なものとなり、風味の変化を少なくできる。

0018

この濃縮工程における減圧下は、真空度0.05MPa以下の減圧下で行われることが好ましい。真空度が0.05MPaより高い場合、醤油類の沸点が高い状態での濃縮となり、濃縮工程の処理時間も長くなりやすく、得られる濃縮液等の風味が低下してしまう場合がある。この真空度の上限は、0.03MPa以下や、0.02MPa以下、0.01MPa以下とすることが好ましい。

0019

この濃縮工程における真空度の下限は本発明の製造方法を実施する装置で達成可能な範囲で適宜任意のものとしてよい。沸点が十分に低下し留出成分が揮発しやすい条件であればよく、留出成分の揮発により真空度が低下する影響も受けることから、過剰な真空度とする必要性は低い。このような観点から、真空度の下限は、0.0005MPa以上や、0.001MPa以上、0.002MPa以上の下限を設定してもよい。

0020

このような減圧下とするために、種々の減圧装置を用いることができる。濃縮工程を行う処理槽となるタンクなどに、原料となる醤油類を容れ、各種減圧装置により、醤油類を容れたタンクを真空(減圧)条件として処理する。減圧装置を例示すると、フラッシュエバポレータや、ロータリーエバポレータ等を用いることができる。

0021

(濃縮工程の加熱)
この濃縮工程における加熱とは、醤油類を加熱して常温(25℃程度)よりも高い温度に加熱して処理することである。醤油類を加熱して濃縮工程を行うことで、減圧下で行うことと同様に、醤油類に含まれるアルコール等の留出成分が積極的に揮発し、一方で揮発性が低い成分は濃縮液となる液相側に残り、風味が変化しにくいものとなる。

0022

この加熱は、醤油類の温度が40〜80℃の温度となる加熱とすることが好ましい。この範囲の温度で加熱することで効率よく留出成分を分離しながら、濃縮液を得ることができる。この温度は、濃縮工程を行うタンク等に容れた醤油類の温度を測定可能温度計によりその液温を測定したものである。また、濃縮工程の減圧開始から終了までの平均温度として管理する。また、この平均温度を管理するとき上限温度は80℃を超えないものとして制御する。
この温度が40℃よりも低いとき、留出成分の分離が長時間化して、製造効率が低下する場合があり、醤油類が長時間加熱されたり酸化されたりして風味が低下する場合がある。この加熱温度の下限は、45℃以上とすることが好ましく、50℃以上とすることがより好ましく、60℃以上とすることが特に好ましい。

0023

この温度が80℃よりも高いとき、醤油類が高温で加熱されることにより風味が低下したり、アルコール等以外の成分まで留出成分に同伴されて揮発し風味が低下する場合がある。この加熱温度の上限は、78℃以下が好ましく、75℃以下がより好ましい。なお、この温度の上限は、そのときの真空度による沸点を上限とする管理としてもよい。

0024

このような加熱を行うために、汎用の加熱手段を用いることができる。加熱手段を例示すると、濃縮工程を行う処理槽となるタンク内に配置したヒーターや、タンク内の醤油類に接する投げ込み式のヒーター、タンク全体を加熱するジャケット式のヒーター等があげられる。

0025

(留出成分)
この濃縮工程により分離される留出成分は、アルコールを含むため、揮発せず残る濃縮液はアルコール濃度が低減されたものとなり、実質的に低アルコールや、ノンアルコールと呼べるものとすることができる。この留出成分には、アルコールのほかにも、一部発がん性物質の可能性が指摘もされているフランや、酢酸などが含まれる。なお、濃縮工程における分離とは、原料となる醤油類から留出成分を回収し、留出成分と濃縮液とに分けることである。

0026

濃縮工程は、減圧と加熱を行うことができる減圧加熱装置を用いて行う。そして、この濃縮工程で留出する留出液は、濃縮工程を行う処理槽となるタンクに揮発成分の回収ラインを設けて、回収ラインの先で揮発成分を冷却し、留出液として別のタンクなどに回収することで、減圧加熱装置のタンク内に残る濃縮液と、回収された留出液とが分離される。例えば、特許文献2(特開昭56−109569号公報)に開示されているような構成により留出成分を留出液として回収することができる。

0027

(濃縮率)
この濃縮工程は濃縮率により、その濃縮の程度を管理することができる。この濃縮率は、濃縮工程を行う減圧加熱装置のタンク内に充填した原料となる醤油類の充填量を元に設定する。濃縮率は、醤油類の充填量に対する、濃縮工程終了時のタンク内の濃縮液量をもとづいて、原料の醤油類の充填量に対して得られる濃縮液の容積比(「濃縮液容積/原料の醤油類容積」×100)として35容積%以上60容積%以下とすることが好ましい。このような範囲で濃縮することで、アルコールを十分に除去し、かつ、脱塩を効率よく行うことができる。なお濃縮率90容積%程度でほとんどのアルコールを除去でき、ほぼノンアルコールと呼べる程度まで低減できる。

0028

この濃縮率が60%を超えるとき、塩分の凝縮が十分ではなく塩分を析出させての沈降除去などが困難な場合がある。濃縮率の上限は58%以下や、55%以下、53%以下、50%以下とより濃縮することが特に好ましい。より濃縮して、濃縮液の残量が少なくなるほど、濃縮液中で塩分が析出しやすくなり、析出させた塩分を除去しやすくなる。

0029

この濃縮率が35%未満のとき、濃縮液の濃度が高くなりすぎて粘度が高く、塩分の除去が困難となる場合がある。濃縮率の下限は36%以上や、38%以上とすることができる。濃縮率の下限を高くするほど、濃縮液の粘度は低くなり塩分除去工程を行いやすくなる。

0030

(濃縮液)
このような濃縮工程により、醤油類の濃縮液が得られる。この濃縮液は、アルコールが十分に除去された状態である。一方で、醤油の風味は十分に維持されたものであり、析出された塩分が含まれた状態である。なお、この濃縮液は、原料とする醤油の種類や濃縮の程度にもよるが、粘度が向上したスラリー状に近い液となる。

0031

[塩分分離工程]
本発明の製造方法は、濃縮工程により濃縮液中に析出した塩分を分離した低塩濃縮液を得る塩分分離工程を有する。

0032

濃縮液中に析出した塩分とは、原料となる醤油に含まれていた塩分等が析出したものの総称である。濃縮工程により、濃縮中に濃縮液には塩分の析出が生じたり、加熱を停止して冷却される過程で塩分の析出が生じる。この析出は、比較的粒子が大きい食塩(NaCl)の結晶や、難溶性のアミノ酸と考えられる微細な結晶の析出が生じる。本発明においては、これらの食塩やアミノ酸等を含み、醤油由来で濃縮工程により析出するもの(析出物)を総称して析出した塩分とする。

0033

塩分分離工程で、これらの析出した塩分を濃縮液から分離する。この分離は、濃縮工程後の濃縮液を静置して析出物を沈降させて上澄み側を回収することで、析出物含有量が多い高塩分濃縮液と分離して、その上澄み側を低塩濃縮液として得ても良い。また、濃縮液を遠心分離してより積極的に析出物と分離して上澄み側を低塩濃縮液として得たり、濾過して析出物を回収することでろ液を低塩濃縮液としてもよい。遠心分離するときの条件を例示すると、1000〜2000rpmで10〜30分程度遠心分離することで分離可能である。濾過する場合、ろ材として珪藻土や、二酸化ケイ素等を用いることで析出物を分離することができる。このように、塩分分離工程により塩分を含む析出物と分離して、濃縮液から低塩濃縮液が得られる。

0034

この低塩濃縮液は、アルコール等の留出成分が除去され、さらに原料となる醤油から塩分を除去したもので、留出成分や析出成分を除き醤油としての成分濃度が高い状態となっている。醤油の成分濃度等の指標となる全窒素(TN)濃度および食塩(NaCl)濃度を例に説明する。原料となる醤油がTN1.82g/dL(g/100mL)、NaCl17.0g/dLのものを用いるとき、濃縮率40%として回収した濃縮液はおよそTN4.55g/dL、NaCl42.5g/dLとなる。また、これを遠心分離して析出した塩分を除去して上澄み相当部を回収すると、TN3.80g/dL、NaCl15.8g/dLのものを得ることができる。アミノ酸が析出したり、飽和に近い程度溶解・分散していたNaClが析出物に同伴される等して、遠心分離により分離されると考えられる。
このようにして、原料となる醤油よりもTNが高く、醤油TN成分等に対する塩分比率が低下した低塩濃縮液となる。なお、この低塩濃縮液においては、濃縮液の段階でアルコール濃度は0.1w/v未満%まで低減され実質ノンアルコールと呼べる状態である。

0035

[低塩低アルコール醤油類]
前述したような低塩濃縮液を用いて低塩低アルコール醤油類は製造される。この低塩低アルコール醤油類は、濃口相当として利用する場合は、高濃度の低塩濃縮液をそのまま用いてもよい。また、適宜、水などで希釈して用いてもよい。または、醤油類を用いる各種調味料の原料として用いてもよい。この低塩濃縮液は、製造工程の濃縮率の調整や、希釈率の調整、希釈に用いる液の選択等により、醤油類として成分バランスを高い自由度で選択できる原料としても優れている。

0036

この低塩濃縮液は、濃縮工程によりアルコールに同伴するように揮発性有機酸フェノール類も留出成分として分離されているため、醤油特有薬品臭のような風味は抑制され、まろやかな味となっている。また、低塩されていることで、塩分摂取を抑える需要にも応えるものである。

0037

[希釈工程]
本発明の製造方法は、塩分分離工程を経て塩分が分離された低塩濃縮液を、希釈液により希釈する工程を有する低塩低アルコール醤油類の製造方法とすることができる。この希釈液としては、水、食酢だし汁等を用いることができる。低塩濃縮液と希釈液とを混合することで希釈工程を実施できる。希釈率は、適宜、濃縮液の濃縮率や、用途や風味のバランス等を考慮して設定することができる。

0038

[滅菌処理]
本発明の低塩低アルコール醤油類は、塩分もアルコールも少ないため、菌等による汚染品質経時劣化が生じやすい場合がある。このため、本発明の製造方法においては、滅菌処理を行うことが好ましい。滅菌工程は、醤油類から菌を取り除く、あるいは殺菌するものであり、主なものとして膜ろ過加熱殺菌があげられる。例えば、膜ろ過による滅菌処理の場合、孔径0.1〜5μm程度で、材質として無機系や有機系のろ過膜、ろ材形状としてディスク式や中空糸膜式のものなど公知の膜ろ過法用いることもできる。代表的なものとしては、孔径1μm以下(0.2μm程度)のMF膜(精密ろ過膜)でろ過することで醤油類はほぼ無菌となる。この膜ろ過を原料となる醤油類に行ったり、低塩低アルコール醤油として濃度を調製してから行うことで菌による汚染や品質劣化を防止することができる。また、他の加熱殺菌処理等により滅菌工程を行っても良い。また、滅菌は希釈工程を行った低塩低アルコール醤油類に行うことが好ましい。さらなる希釈時のコンタミネーションを防止でき、かつ、低塩濃縮液のままの場合、粘度が高くろ過や加熱処理を行いにくい場合があるためである。

0039

(加熱殺菌)
本発明の製造方法においては、低塩濃縮液を含む液を、加熱殺菌処理する工程を有することが好ましい。この工程により、より十分な滅菌ができ、低塩としアルコール濃度が低くても、汚染や品質劣化を防止して保存性にも優れた醤油類を得ることができる。加熱殺菌処理は、各種熱交換器により行うことができる。例えば、シェルチューブ式熱交換器や、プレート式熱交換器直接加熱滅菌装置などにより殺菌することができる。本発明においては、特にプレート式殺菌機により十分な加熱殺菌を行うことが好ましい。プレート式熱交換器で処理することで、100℃を超える加熱を短時間行うことができ、芽胞形成細菌食中毒原因菌では、セレウス菌(Bacilluscereus),ボツリヌス菌(ClostridiumbotulinumtypeA),ウエルシュ菌(C.perfringens)、腐敗細菌では、B.subtilis,B.coagulans,B.stearothermophilus,C.sporogenes胞子)の熱死滅条件である120℃以上の熱処理を行うこともできる。そして、処理温度を高温にしても処理時間等の管理が容易で、醤油類の風味を十分に維持したものを得ることができる。

0040

[低塩低アルコール醤油類]
本発明により製造される低塩低アルコール醤油類は、原料とした醤油よりも塩分濃度が低く、アルコールが低減された醤油類である。この低塩低アルコール醤油類は、濃縮工程によりアルコールが留出成分として除去されているため、アルコール含有量が極めて少ないものとなる。アルコール(エチルアルコール)濃度は、具体的には0.3g/dL以下であり、より好ましくは0.1g/dL以下、さらに好ましくは0.05g/dL以下や、0.02g/dL以下、0.01g/dL以下である。このアルコール濃度は酸化法により検出し、その検出下限程度(例えば0.05g/dL未満のとき、実質0.0g/dLと管理できる)として管理してもよい。

0041

本発明により製造される低塩低アルコール醤油類の塩分濃度は、原料とした醤油に基づいて、その量以下を管理指標としてよい。醤油類の塩分濃度はその種類等にもよるが、一般的には約15〜18g/dLである。本発明における低塩は、原料の塩分濃度に対して少なくとも5%以下、好ましくは10%以下低減していることで低塩として管理しても良い。また、具体的な塩分濃度としては、15g/dL以下が好ましく、12g/dL以下がより好ましく、10g/dL以下が特に好ましい。本発明では、例えば6〜8g/dL程度の塩分濃度であってもTN濃度が高く十分に醤油の風味を有する醤油類を得ることもできる。特に、濃縮液をより濃縮(例えば濃縮率50%以下)することで、希釈後にTN濃度が原料醤油相当で、醤油100g中の食塩量が9g以下の減塩相当の非常に塩分濃度が低い低塩低アルコール醤油とすることもできる。

0042

さらに、低塩低アルコール醤油類の成分は、適宜原料の醤油の指標として採用されているものなどを管理指標としてもよい。例えば、全窒素(TN)を指標として、こいくちの特級を原料としてその相当醤油類を得る場合、全窒素を、1.50%以上として管理できる。

0043

図1は、本発明の製造方法を実施する製造フローを説明するための構成の概要図である。ここでは製造前の段階では、原料タンク11に原料となる醤油類を保管した状態である。この原料タンク11の醤油類を、適宜配管等を用いて、濃縮タンク10に移送する。濃縮タンク10は、減圧と加熱ができるように減圧装置及び加熱手段を設けている。濃縮タンク10内の醤油類を減圧下で加熱して留出成分は配管22を介してチラー21で冷却され留出液タンク20に回収される。留出成分が除去された後の濃縮液がタンク10に残る。この濃縮液は濃縮タンク10から適宜保管タンク30に移送される。そして、さらに保管タンク30から遠心分離装置40で塩分を分離する。塩分が分離された後の低塩濃縮液は、低塩濃縮液タンク50に移送される。この低塩濃縮液をそのまま本発明の低塩低アルコール醤油類として用いることもできる。
または、さらに希釈液タンク60内の希釈液と、低塩濃縮液とを、混合タンク70で混合して、本発明の低塩低アルコール醤油類として用いてもよい。また、低塩濃縮液タンク50内の液も、混合タンク内の液も、さらに、殺菌手段80で殺菌し、殺菌後の滅菌液タンク90内に回収し、この殺菌後の滅菌液を本発明の低塩低アルコール醤油類として用いることもできる。

0044

以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。

0045

評価項目
[アルコール濃度]:酸化還元滴定法(酸化法)
[全窒素(TN)濃度]:燃焼法
[食塩(NaCl)濃度]:モール法
微生物の管理]:標準寒天平板培養法一般生菌数)により菌数を測定、また、BGLB法(大腸菌群)により判定

0046

[原料等]
・醤油類(1):醤油製造工程で得られたフンドーダイ五葉社製の火入生揚(TN1.82g/dL、NaCl17.0g/dL、アルコール1.5g/dL)を用いた。
・醤油類(2):醤油製造工程で得られたフンドーダイ五葉社製の火入生揚(TN1.96g/dL、NaCl17.0g/dL、アルコール1.7g/dL)であり、醤油類(1)と別ロットのものを用いた。

0047

[実施例1]
(1)濃縮工程
濃縮タンクに原料とする醤油類(1)を1000L容れた。この濃縮タンクを、真空ポンプ式減圧により、真空度0.01MPaまで減圧し、さらにプレート式加熱により70℃に昇温し70〜80℃の範囲に維持して、2時間減圧加熱を行った。濃縮タンクには、留出成分回収ラインが設けられ、留出成分は留出成分回収ラインで冷却されて留出液となり留出タンクに選択的に回収される構成である。
2時間減圧加熱後に、濃縮タンクには、400Lの液が残存した状態であり、濃縮率40%の濃縮液(1)を得た。

0048

(2)脱塩工程
前述した濃縮工程における濃縮液(1)を、遠心分離機を用いて遠心分離(1250rpm、20min)した。遠心分離により濃縮液(1)の析出物である塩分等と、上澄みとを分離し、上澄みを低塩濃縮液(1)として回収した。

0049

[評価]
前記工程で得られた液の成分を評価した結果を表1にしめす。

0050

0051

表1に示すように、本発明に係る濃縮工程、脱塩工程を経て得られた低塩濃縮液は、アルコール濃度が検出下限以下で含まれておらず、食塩濃度も十分に低減されたものであった。
この低塩醤油類(1)は、全窒素濃度が高いことからも明らかなように濃い状態の調味料であるが、そのままでも濃い醤油類として使用することができる。
低塩濃縮液(1)を、醤油の品質評価を行う者により官能評価した結果、原料とした醤油類(1)の風味は十分に維持され、まろやかで濃い醤油類であった。

0052

・低塩低アルコール醤油(A1)の調製
低塩濃縮液(1)は全窒素濃度が高い濃い状態のため、原料とした醤油類(1)相当の全窒素濃度となるように飲料水で希釈して、全窒素濃度を1.80g/dLの低塩低アルコール醤油(A1)とした。このときの食塩濃度は7.6g/dLであり非常に食塩濃度も低減したものであった。この醤油の品質評価を行う者により官能評価した結果、原料とした醤油類(1)の風味は十分に維持され、まろやかな口当たりの醤油類であった。

0053

・低塩低アルコール醤油(B1)の調製
低塩低アルコール醤油(A1)を、プレート式熱交換器により、130℃加熱が処理時間1分以上行われるように熱処理して、低塩低アルコール醤油(B1)を得た。これを通常の保存瓶封入し、保管したが18か月間、菌増殖による腐敗等は生じなかった。
また、一般生菌の数を標準寒天平板培養法で評価した結果、10個/mL以下であり無菌状態相当と判断された。
また、大腸菌群の数をBGLB法で評価した結果、陰性であり無菌状態相当と判断された。

0054

[実施例2]
前記実施例1に準じて、試験装置を小型化した試験を行った。
濃縮容器(濃縮タンク相当)に醤油類(2)を1000mL容れた。これをロータリーエバポレータ—・アスピレーターを用いて真空相当に減圧し、温度を70℃とし、減圧乾燥時間30分間として濃縮した。濃縮後、濃縮容器に残存する液量は600mLであり、濃縮率60%の濃縮液(2)を得た。この濃縮液(2)を、ブフナー漏斗に50メッシュゴース布を乗せたものを用いて吸引ろ過することで脱塩工程を行い、低塩濃縮液(2)を得た。
低塩濃縮液(2)は、原料とした醤油類よりもアルコールが低減され、低塩醤油類の調整にも適していた。また、本醸造醤油本来の風味を有しており、味も良好だった。実施例1よりも除去できた塩分濃度が少なく、やや塩分濃度が高いものであり、原料の醤油類相当まで希釈したときの食塩濃度は12.4g/Lであった。

0055

[実施例3]
前記実施例2に準じて、濃縮工程の減圧乾燥時間を60分として、濃縮した。濃縮容器に残存する液量は400mLであり、濃縮率40%の濃縮液(3)を得た。この濃縮液(3)を同様に脱塩工程を行い低塩濃縮液(3)を得た。
低塩濃縮液(3)は、原料とした醤油類よりもアルコールが低減され、低塩醤油類の調整にも適していた。また、実施例1と同様、本醸造醤油本来の風味を有しており、味も良好だった。

0056

[実施例4]
前記実施例2に準じて、濃縮工程の減圧乾燥時間を90分として、濃縮した。濃縮容器に残存する液量は350mLであり、濃縮率35%の濃縮液(4)を得た。この濃縮液(4)を同様に脱塩工程を行い低塩濃縮液(4)を得た。
低塩濃縮液(4)は、原料とした醤油類よりもアルコールが低減され、低塩醤油類の調整にも適していた。若干加熱臭焦げ臭)を感じるが、その風味等の品質としては許容出来るものだった。一方実施例3の濃縮率40%のものよりも濃縮に濃縮程度に比してより長時間を要し、粘度が向上しているため脱塩工程の運転負荷が大きかった。

0057

[実施例5]
前記実施例4に準じて、さらに濃縮して、濃縮容器に残存する液量320mLであり、濃縮率32%の濃縮液(5)を調整した。この濃縮液(5)を同様に脱塩工程を行い低塩濃縮液(5)を得た。
低塩濃縮液(5)は、実施例3よりも濃縮液の粘度が高く、塩分が分離されにくく塩分を除去しにくかった。このため、遠心分離の回転数、時間を長時間化させる必要があった。

0058

実施例2〜4で調製した濃縮液および低塩濃縮液の成分測定結果を表2に示す。

0059

0060

[参考例1]
低塩濃縮液(1)に、濃縮工程で回収した留出成分の留出液を混合して醤油類(ア)を調製した。低塩され風味に優れたものであったが、留出液のアルコールを含むものであった。

実施例

0061

[参考例2]
濃縮液(1)を、飲用水で原料の醤油類(1)相当の濃度まで希釈し、醤油類(イ)を調製した。留出成分を分離しているためアルコールを低減しているが、塩分濃度が原料の醤油類(1)と同程度であり、低塩されたものではなかった。

0062

本発明は、醤油類の製造方法に関する。この製造方法により製造される醤油類は、従来の醤油類と同様に食品として用いることができる醤油類に関し、産業上有用である。特に、低塩による健康志向や、アルコール低減による各種用途拡大等も可能である。

0063

10濃縮タンク
11原料タンク
22配管
21チラー
20留出液タンク
30保管タンク
40遠心分離装置
50 低塩濃縮液タンク
60希釈液タンク
70混合タンク
80 殺菌手段
90 滅菌液タンク

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