図面 (/)
課題
解決手段
モータグレーダMは、車両本体1と、車両本体1のスリップを検出するスリップ検出手段3と、地盤Gを切削する排土板25と、車両本体1における排土板25の相対位置を調整するとともに油圧によって作動する昇降シリンダ23及びチルトシリンダ24と、油圧を検出する油圧検出手段5と、排土板25の高さを情報化自動制御する情報化自動制御装置6と、スリップ検出手段3の検出情報に基づいて車両本体1がスリップしているか否かを判定するとともに油圧検出手段5の検出情報に基づいて油圧が所定の閾値よりも大きいか否かを判定するスリップ制御装置7とを備える。スリップ制御装置7は、スリップが検出された場合、又は、検出された油圧が閾値よりも大きい場合には、情報化自動制御を遮断し、閾値を再設定する。
概要
背景
道路工事等の整地作業に用いられるモータグレーダは、自走式の車両本体と、地盤を切削する排土板と、現場地形が目標仕上げ高さとなるように排土板の高さを情報化自動制御する情報化自動制御装置と、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
当該モータグレーダでは、地盤が硬かったり排土板に抱える土砂等の量が多かったりする場合でも、目標仕上げ高さまで排土板を下げようと情報化自動制御するため、排土板に過大な負荷が加わり、駆動力より排土板の負荷が大きくなり車輪がスリップする場合がある。
スリップへの対処方法として、特許文献1には、前輪と後輪とに回転センサを取り付け、前輪回転数と後輪回転数とを比較することにより後輪のスリップを検出した場合に排土板を上昇させる技術が開示されている。
概要
作業効率を向上させることができるモータグレーダを提供することを課題とする。モータグレーダMは、車両本体1と、車両本体1のスリップを検出するスリップ検出手段3と、地盤Gを切削する排土板25と、車両本体1における排土板25の相対位置を調整するとともに油圧によって作動する昇降シリンダ23及びチルトシリンダ24と、油圧を検出する油圧検出手段5と、排土板25の高さを情報化自動制御する情報化自動制御装置6と、スリップ検出手段3の検出情報に基づいて車両本体1がスリップしているか否かを判定するとともに油圧検出手段5の検出情報に基づいて油圧が所定の閾値よりも大きいか否かを判定するスリップ制御装置7とを備える。スリップ制御装置7は、スリップが検出された場合、又は、検出された油圧が閾値よりも大きい場合には、情報化自動制御を遮断し、閾値を再設定する。
目的
本発明は、このような観点から創案されたものであり、作業効率を向上させることができるモータグレーダを提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
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- 牽制数
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この技術が所属する分野
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請求項1
自走式の車両本体と、前記車両本体のスリップを検出するスリップ検出手段と、地盤を切削する排土板と、前記車両本体における前記排土板の相対位置を調整するとともに、油圧によって作動する位置調整手段と、前記油圧を検出する油圧検出手段と、前記排土板の高さを情報化自動制御する情報化自動制御装置と、前記スリップ検出手段の検出情報に基づいて前記車両本体がスリップしているか否かを判定するとともに、前記油圧検出手段の検出情報に基づいて前記油圧が所定の閾値よりも大きいか否かを判定するスリップ制御装置と、を備え、前記スリップ制御装置は、前記スリップが検出された場合、又は、検出された前記油圧が前記閾値よりも大きい場合には、情報化自動制御を遮断し、前記閾値を再設定することを特徴とするモータグレーダ。
請求項2
前記スリップ制御装置は、前記スリップが検出されず、かつ、検出された前記油圧が前記閾値よりも大きい場合、前記閾値を上げて再設定することを特徴とする請求項1に記載のモータグレーダ。
請求項3
前記スリップ制御装置は、前記スリップが検出された場合、前記閾値を下げて再設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモータグレーダ。
請求項4
前記閾値を下げる割合は、前記閾値を上げる割合よりも低いことを特徴とする請求項3に記載のモータグレーダ。
請求項5
前記位置調整手段は、前記排土板を昇降させる昇降シリンダを含み、前記油圧検出手段は、前記油圧として前記昇降シリンダの第一油圧を検出しており、前記スリップ制御装置は、前記スリップが検出された場合、又は、検出された前記第一油圧が所定の第一閾値よりも大きい場合には、前記第一閾値を再設定することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のモータグレーダ。
請求項6
前記位置調整手段は、前記車両本体の車幅方向に沿う軸を中心に前記排土板を傾動させるチルトシリンダを含み、前記油圧検出手段は、前記油圧として前記チルトシリンダの第二油圧を検出しており、前記スリップ制御装置は、前記スリップが検出された場合、又は、検出された前記第二油圧が所定の第二閾値よりも大きい場合には、前記第二閾値を再設定することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のモータグレーダ。
請求項7
前記情報化自動制御装置による前記排土板の制御と、前記スリップ制御装置による前記排土板の制御と、を切り換える切換装置をさらに備えており、前記スリップが検出された場合、又は、検出された前記油圧が前記閾値よりも大きい場合には、前記切換装置は、前記情報化自動制御装置による前記排土板の制御を前記スリップ制御装置による前記排土板の制御に切り換え、かつ、前記スリップ制御装置は、前記排土板が上昇するように制御することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のモータグレーダ。
請求項8
前記切換装置が前記情報化自動制御装置による前記排土板の制御を前記スリップ制御装置による前記排土板の制御に切り換えた場合に、その旨を報知する報知手段をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載のモータグレーダ。
技術分野
0001
本発明は、モータグレーダに関する。
背景技術
0002
道路工事等の整地作業に用いられるモータグレーダは、自走式の車両本体と、地盤を切削する排土板と、現場地形が目標仕上げ高さとなるように排土板の高さを情報化自動制御する情報化自動制御装置と、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
0003
当該モータグレーダでは、地盤が硬かったり排土板に抱える土砂等の量が多かったりする場合でも、目標仕上げ高さまで排土板を下げようと情報化自動制御するため、排土板に過大な負荷が加わり、駆動力より排土板の負荷が大きくなり車輪がスリップする場合がある。
0004
スリップへの対処方法として、特許文献1には、前輪と後輪とに回転センサを取り付け、前輪回転数と後輪回転数とを比較することにより後輪のスリップを検出した場合に排土板を上昇させる技術が開示されている。
先行技術
0005
特開平7−90879号公報
発明が解決しようとする課題
0006
特許文献1の技術では、既に発生したスリップを抑制することはできるものの、排土板に加わる負荷を測定することは何ら想定されていないため、スリップ直前の状態(負荷の限界点)を把握することができない。そのため、最適な駆動力で効率良く整地作業を行うことが困難であった。
0007
本発明は、このような観点から創案されたものであり、作業効率を向上させることができるモータグレーダを提供することを課題とする。
課題を解決するための手段
0008
前記課題を解決するため、本発明に係るモータグレーダは、自走式の車両本体と、前記車両本体のスリップを検出するスリップ検出手段と、地盤を切削する排土板と、前記車両本体における前記排土板の相対位置を調整するとともに、油圧によって作動する位置調整手段と、前記油圧を検出する油圧検出手段と、前記排土板の高さを情報化自動制御する情報化自動制御装置と、前記スリップ検出手段の検出情報に基づいて前記車両本体がスリップしているか否かを判定するとともに、前記油圧検出手段の検出情報に基づいて前記油圧が所定の閾値よりも大きいか否かを判定するスリップ制御装置と、を備える。前記スリップ制御装置は、前記スリップが検出された場合、又は、検出された前記油圧が前記閾値よりも大きい場合には、情報化自動制御を遮断し、前記閾値を再設定する。
0009
本発明によれば、油圧の検出により排土板に加わる負荷を測定することが可能になる。また、スリップの検出や検出した油圧に基づいて閾値の再設定を行うことにより、スリップ直前の状態(負荷の限界点)を把握することができる。これにより、施工現場ごとに最適な最大負荷設定圧力(閾値)以下で整地作業を行うことができるため、作業効率を向上させることができる。
0010
また、前記スリップ制御装置は、前記スリップが検出されず、かつ、検出された前記油圧が前記閾値よりも大きい場合、前記閾値を上げて再設定することが好ましい。このようにすると、施工現場ごとに最適な最大負荷設定圧力(閾値)を導き出すことができる。
0011
また、前記スリップ制御装置は、前記スリップが検出された場合、前記閾値を下げて再設定することが好ましい。このようにすると、施工現場ごとに最適な最大負荷設定圧力(閾値)を導き出すことができる。
0012
また、前記閾値を下げる割合は、前記閾値を上げる割合よりも低いことが好ましい。 このように閾値を上げ下げするときの割合を変えることで、施工現場ごとに最適な最大負荷設定圧力(閾値)を正確に導き出すことができる。
0013
また、前記位置調整手段は、前記排土板を昇降させる昇降シリンダを含み、前記油圧検出手段は、前記油圧として前記昇降シリンダの第一油圧を検出していることが好ましい。さらに、前記スリップ制御装置は、前記スリップが検出された場合、又は、検出された前記第一油圧が所定の第一閾値よりも大きい場合には、前記第一閾値を再設定することが好ましい。このようにすると、施工現場ごとに最適な最大負荷設定圧力(閾値)を正確に導き出すことができる。
0014
また、前記位置調整手段は、前記車両本体の車幅方向に沿う軸を中心に前記排土板を傾動させるチルトシリンダを含み、前記油圧検出手段は、前記油圧として前記チルトシリンダの第二油圧を検出していることが好ましい。さらに、前記スリップ制御装置は、前記スリップが検出された場合、又は、検出された前記第二油圧が所定の第二閾値よりも大きい場合には、前記第二閾値を再設定することが好ましい。このようにすると、施工現場ごとに最適な最大負荷設定圧力(閾値)を正確に導き出すことができる。
0015
また、前記モータグレーダは、前記情報化自動制御装置による前記排土板の制御と、前記スリップ制御装置による前記排土板の制御と、を切り換える切換装置をさらに備えていることが好ましい。また、前記スリップが検出された場合、又は、検出された前記油圧が前記閾値よりも大きい場合には、前記切換装置は、前記情報化自動制御装置による前記排土板の制御を前記スリップ制御装置による前記排土板の制御に切り換え、かつ、前記スリップ制御装置は、前記排土板が上昇するように制御することが好ましい。このようにすると、スリップを抑制乃至防止することができる。
0016
また、前記モータグレーダは、前記切換装置が前記情報化自動制御装置による前記排土板の制御を前記スリップ制御装置による前記排土板の制御に切り換えた場合に、その旨を報知する報知手段をさらに備えることが好ましい。このようにすると、情報化自動制御の遮断をオペレータに容易に認識させることができる。
発明の効果
0017
本発明のモータグレーダによれば、作業効率を向上させることができる。
図面の簡単な説明
0018
本発明の一実施形態であるモータグレーダを示す側面図である。
本発明の一実施形態であるモータグレーダの機能ブロック図である。
本発明の一実施形態に係るモータグレーダの閾値再設定処理を示すフローチャートである。
実施例
0019
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態のモータグレーダMは、図1に示すように、前進しながら地盤Gを切削することで整地する整地作業等に用いられるものである。モータグレーダMは、自走式の車両本体1と、作業機2と、を備える。
0021
リアフレーム11は、前後方向に延在する骨格部材である。リアフレーム11上には、操縦台13とエンジン室14とが前後に並んで設けられている。操縦台13には、ハンドル、アクセルペダル、ブレーキ、後記する情報化自動制御装置6、スリップ制御装置7、切換装置8等の操作機器が設けられている。
0022
フロントフレーム12は、リアフレーム11の前端部に連結された骨格部材である。フロントフレーム12は、作業機2を支持している。フロントフレーム12は、リアフレーム11の前端部から前方へ向かうほど上り傾斜する後部12aと、後部12aの上端部から前方へ略直線状に延出する中間部12bと、中間部12bの前端部から下方へ延出する前部12cと、を含んでいる。
0023
車輪1bは、フレーム1aに回転可能に設置されており、地盤G上を転動する。車輪1bは、フロントフレーム12に設置された被動輪である前輪15と、リアフレーム11に設置された駆動輪である後輪16と、を含んでいる。車輪1bの数は特に制限されないが、本実施形態では前輪15が左右一対、後輪16が左右二対設置されている。
0025
ドローバ21は、中間部12bの下方において、前後方向に延在する部材である。ドローバ21の前端部は、フロントフレーム12の前部12cに上下に揺動自在に連結されている。
0026
旋回サークル22は、ドローバ21の後部下面に旋回自在に連結された部材である。旋回サークル22は、ドローバ21に対して平面視で右周り及び左周りに旋回可能である。旋回サークル22には、後部が下方に屈曲しているガイド26が設置されている。ガイド26の後部は、旋回サークル22よりも下方に位置している。
0027
位置調整手段たる昇降シリンダ23は、油圧シリンダであって、フロントフレーム12に対してドローバ21の後端部を昇降自在に支持する部材である。昇降シリンダ23のシリンダ軸方向は、概ね上下方向を指向している。昇降シリンダ23の先端部は、ドローバ21の後端部に取り付けられている。昇降シリンダ23の基端部側は、フロントフレーム12に取り付けられている。昇降シリンダ23の数は特に制限されないが、車幅方向に互いに離間して二つ設置されている。
0028
位置調整手段たるチルトシリンダ24は、油圧シリンダであって、旋回サークル22に対して排土板25を傾動可能に支持する部材である。チルトシリンダ24は、地盤Gの仕上面性状を調整する役割を果たしている。チルトシリンダ24のシリンダ軸方向は、概ね前後方向を指向しており、詳細には前方へ向かうほど斜め下向きに僅かに傾斜している。チルトシリンダ24の先端部は、排土板25の上端部付近に取り付けられている。チルトシリンダ24の基端部は、旋回サークル22の後部下面に取り付けられている。チルトシリンダ24の数は特に制限されないが、車幅方向に互いに離間して二つ設置されている場合もある。
0029
排土板25は、前輪15と後輪16との間において車幅方向に延在しており、地盤Gを切削する部材である。排土板25は、側面視で後方に凸となる円弧状を呈する。排土板25は、旋回サークル22の下方において、ガイド26の前方に設置されている。排土板25は、昇降シリンダ23の伸縮により、ドローバ21及び旋回サークル22とともにフロントフレーム12に対して昇降可能である。排土板25は、車幅方向に沿って延びる軸27を介して、ガイド26に傾動可能に軸支されている。排土板25は、チルトシリンダ24の伸縮により、ガイド26及び旋回サークル22に対して軸27を中心に上下に傾動して、上下方向の傾きを変更可能である。つまり、昇降シリンダ23及びチルトシリンダ24は、車両本体1における排土板25の相対位置を調整する。
0030
位置検出装置用ポール28は、位置検出装置29を所定の位置に保持する柱状部材である。位置検出装置用ポール28は、上下方向に延在している。位置検出装置用ポール28は、前後方向及び上下方向において排土板25と一致する位置に設置されている。位置検出装置用ポール28は、フロントフレーム12の中間部12b等に固定されている。位置検出装置29の上端部は、モータグレーダMにおいて最も高い位置に配置されており、位置検出装置用ポール28の下端部は、排土板25付近に配置されている。
0031
位置検出装置29は、モータグレーダMの位置情報データを取得する装置である。位置検出装置29は、本実施形態では位置検出装置用ポール28の上端部に設置したプリズム及びモータグレーダMの周辺に設置したトータルステーションであるが、例えば、位置検出装置用ポール28の上端部に設置したGNSSアンテナ等でもよい。なお、図1では、説明の便宜上、トータルステーションを空中に浮いた状態で描画しているが、実際には地盤G上に設置する。
0032
図2は、本発明の一実施形態であるモータグレーダMの機能ブロック図である。図2に示すように、モータグレーダMは、スリップ検出手段3と、油圧機構4と、油圧検出手段5と、情報化自動制御装置6と、スリップ制御装置7と、切換装置8と、報知手段9と、リスタート手段10と、を備える。
0033
スリップ検出手段3は、車輪回転数を検出する手段である。スリップ検出手段3は特に制限されないが、例えば光電センサや近接センサ等である。スリップ検出手段3は、前輪15と後輪16(図1参照)とにそれぞれ取り付けられている。スリップ検出手段3は、有線又は無線により、スリップ制御装置7に電気的に接続されている。検出した前輪回転数及び後輪回転数情報は、スリップ制御装置7に送信されるようになっている。スリップ制御装置7は、スリップ検出手段3により検出した前輪回転数と後輪回転数とを比較することにより、後輪16がスリップしているか否かを判定する。
0034
油圧機構4は、各シリンダ23,24に作動油を供給する機構である。図示は省略するが、油圧機構4は、作動油を吐出する油圧ポンプ、作動油の供給を制御する制御バルブ、各シリンダ23,24の伸長用油室や収縮用油室に作動油を供給する油圧ホース等を含んで構成されている。油圧機構4は、有線又は無線により、切換装置8を介して情報化自動制御装置6及びスリップ制御装置7に電気的に接続されている。油圧機構4は、情報化自動制御装置6又はスリップ制御装置7から供給開始信号を受信していずれかの油室に作動油を供給するように構成されている。
0035
油圧検出手段5は、各シリンダ23,24に加わる油圧を検出する圧力センサである。油圧検出手段5は、昇降シリンダ23においては伸長用油室に通じる供給ライン(以下、「昇降伸長側供給ライン」と称する。)のみに設置されている。これは、地盤Gが極端に硬い場合には、昇降シリンダ23に対して情報化自動制御により延伸方向に油を供給しつづけ、車両本体1を持ち上げてしまうように制御を行ってしまう。それにより昇降伸長側供給ラインの油圧が高まり、当該油圧の検出により排土板25に加わる負荷を測定することができるからである。油圧検出手段5は、チルトシリンダ24においては伸長用油室に通じる供給ライン(以下、「チルト伸長側供給ライン」と称する。)及び収縮用油室に通じる供給ライン(以下、「チルト収縮側供給ライン」と称する。)にそれぞれ設置されている。これは、地盤Gが硬い場合には、チルトシリンダ24の収縮方向に力が作用してチルト伸長側供給ラインの油圧が高まり、当該油圧の検出により排土板25に加わる負荷を測定することができるからである。また、排土板25に抱える土砂等の量が多い場合には、チルトシリンダ24の伸長方向に力が作用してチルト収縮側供給ラインの油圧が高まり、当該油圧の検出により排土板25に加わる負荷を測定することができるからである。
0036
なお、昇降シリンダ23とチルトシリンダ24に加わる油圧を区別するときは、昇降シリンダ23の油圧を「第一油圧」、チルトシリンダ24の油圧を「第二油圧」と称する。油圧検出手段5は、有線又は無線により、スリップ制御装置7に電気的に接続されている。検出した油圧情報は、スリップ制御装置7に送信されるようになっている。
0037
情報化自動制御装置6は、設計地形データ等に基づいて、排土板25の制御等を行う機能を有する。情報化自動制御装置6は、設計地形データと位置情報データとに基づいて、モータグレーダMの前方の現場地形が設計地形となるように排土板25の高さを情報化自動制御する。具体的には、情報化自動制御装置6は、切換装置8を介して油圧機構4を作動させることにより、昇降シリンダ23の伸縮を制御し、排土板25の高さを情報化自動制御する。モータグレーダMの位置情報データは、モータグレーダM等に設置した位置検出装置29を用いて取得する。なお、排土板25の情報化自動制御を停止し、オペレータが図示せぬ操作レバーを操作することにより、排土板25の高さを手動調整することも可能である。
0039
受信部71は、スリップ検出手段3や油圧検出手段5から送信されてきた検出情報等の各情報を受信する機能を有する。各情報は、記憶部72に記憶される。
0040
記憶部72は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含んで構成されている。記憶部72は、受信部71が受信した車輪回転数や油圧情報等、閾値設定処理部73や制御部74が各処理を実行するための各種プログラムやデータ等を格納する機能を有する。記憶部72には、油圧の大小を判断する基準値となる初期の閾値、再設定した閾値等の情報が記憶される。なお、第一油圧と第二油圧に対する閾値を区別するときは、第一油圧に対する閾値を「第一閾値」、第二油圧に対する閾値を「第二閾値」と称する。
0041
初期の閾値は、事前試験により求めてもよい。すなわち、スリップが生じない第一油圧及び第二油圧の数値を事前試験により求めて、当該数値を初期の閾値に設定してもよい。但し、当該数値は地盤Gの状態や地質等によって変動し、また本実施形態のモータグレーダMは最適な閾値を導き出す機能を搭載するため、初期の閾値は低めに設定するのが好ましい。
0042
閾値設定処理部73は、検出した車輪回転数及び油圧情報等と各種プログラムとに基づいて、スリップ判定や油圧の大小判定等を行い、第一閾値及び第二閾値を再設定する部位である。閾値設定処理部73は、前輪回転数及び後輪回転数情報を記憶部72から読み出すとともに各種プログラムに基づいて、前輪回転数と後輪回転数とを比較してスリップしているか否かを判定する。スリップしている場合には、閾値設定処理部73は、後記するリスタート手段10が操作されたときに第一閾値及び第二閾値を所定の割合下げて再設定する。再設定した第一閾値及び第二閾値は、記憶部72に記憶される。
0043
また、閾値設定処理部73は、第一油圧及び第二油圧情報を記憶部72から読み出すとともに各種プログラムに基づいて、第一油圧が第一閾値よりも大きいか否かを判定するとともに、第二油圧が第二閾値よりも大きいか否かを判定する。スリップしていない場合であって、かつ、第一油圧が第一閾値よりも大きい場合又は第二油圧が第二閾値よりも大きい場合には、閾値設定処理部73は、後記するリスタート手段10が操作されたときに第一閾値及び第二閾値を所定の割合上げて再設定する。再設定した第一閾値及び第二閾値は、記憶部72に記憶される。閾値を下げる割合は、閾値を上げる割合よりも低く設定する。一例として、上げる割合を10%、下げる割合を5%に設定する場合が挙げられる。
0044
制御部74は、閾値設定処理部73の判定結果(スリップ発生判定、油圧が閾値よりも大きい判定等)に基づいて、排土板25の情報化自動制御を遮断することを決定するとともに、スリップしなくなるまで又は油圧が閾値以下になるまで排土板25が上昇するように油圧機構4及び昇降シリンダ23を制御する。制御部74は、排土板25の情報化自動制御の遮断を決定した場合には、情報化自動制御遮断信号を切換装置8及び報知手段9に送信する。
0046
切換装置8は、油圧機構4と情報化自動制御装置6及びスリップ制御装置7との間に介在し、情報化自動制御装置6による排土板25の制御とスリップ制御装置7による排土板25の制御とを切り換える装置である。スリップが検出された場合、又は、検出された油圧が閾値よりも大きい場合には、切換装置8は、情報化自動制御装置6による排土板25の制御をスリップ制御装置7による排土板25の制御に切り換える。一方、切換装置8は、後記するリスタート手段10が操作されたときにスリップ制御装置7による排土板25の制御を情報化自動制御装置6による排土板25の制御に切り換える。
0047
報知手段9は、制御部74から情報化自動制御遮断信号を受信したときに(切換装置8が情報化自動制御装置6による排土板25の制御をスリップ制御装置7による排土板25の制御に切り換えた場合に)、情報化自動制御装置6による排土板25の情報化自動制御が遮断状態であることを視覚的や聴覚的に報知するための手段である。報知手段9は特に制限されないが、例えば警告灯等の投光手段、スピーカーやサイレン等の音発生手段等である。報知手段9の設置位置は特に制限されないが、オペレータに報知しやすいように操縦台13内やその周辺等に設置されるのが好ましい。報知手段9は、有線又は無線により、スリップ制御装置7に電気的に接続されている。
0048
リスタート手段10は、情報化自動制御の遮断中にオペレータによって操作されると、情報化自動制御装置6による排土板25の情報化自動制御を再開する手段である。リスタート手段10は特に制限されないが、例えばボタン等の操作手段である。リスタート手段10の設置位置は特に制限されないが、オペレータが操作しやすいように操縦台13に設置されるのが好ましい。リスタート手段10は、有線又は無線により、スリップ制御装置7に電気的に接続されている。情報化自動制御再開信号は、スリップ制御装置7に送信されるようになっている。切換装置8は、リスタート手段10が操作されて情報化自動制御再開信号をスリップ制御装置7を介して受信した場合には、スリップ制御装置7による排土板25の制御を情報化自動制御装置6による排土板25の制御に切り換え、情報化自動制御装置6は、排土板25の情報化自動制御を再開する。
0049
本実施形態に係るモータグレーダMは、基本的に以上のように構成されるものである。次に、図3を参照して、モータグレーダMの閾値再設定処理の流れについて説明する。
0050
図3のフローチャートに示すように、情報化自動制御装置6は、設計地形データと位置情報データとに基づいて、モータグレーダMの前方の現場地形が設計地形となるように排土板25の高さを自動調整する情報化自動制御を開始すると同時に、スリップ制御装置7は、スリップ制御を開始する(ステップS1)。
0051
続いて、スリップ検出手段3は、前輪回転数と後輪回転数を検出し、その検出情報をスリップ制御装置7に送信する(ステップS2)とともに、油圧検出手段5は、第一油圧と第二油圧を検出し、その検出情報をスリップ制御装置7に送信する(ステップS3)。
0052
続いて、閾値設定処理部73は、前輪回転数及び後輪回転数情報に基づいて、前輪回転数と後輪回転数とを比較してスリップしているか否かを判定する(ステップS4)。
ステップS4でNoの場合(スリップしていない場合)には、閾値設定処理部73は、第一油圧が第一閾値よりも大きいか否かを判定するとともに、第二油圧が第二閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS5)。
0053
ステップS5でNoの場合(第一油圧が第一閾値よりも小さい場合、かつ、第二油圧が第二閾値よりも小さい場合)には、制御部74は、作業が終了しているか否かを判定する(ステップS6)。作業の終了は、例えば、制御スイッチのOFFやエンジンの停止状態等に基づいて判定する。
ステップS6でYesの場合(作業が終了している場合)には、情報化自動制御装置6は、排土板25の情報化自動制御を停止し、スリップ制御装置7は、スリップ制御を停止し(ステップS7)、閾値再設定処理を終了する。
0054
ステップS6でNoの場合(作業が終了していない場合)には、ステップS2以降の処理が繰り返し行われる。
0055
一方、ステップS5でYesの場合(第一油圧が第一閾値よりも大きい場合又は第二油圧が第二閾値よりも大きい場合)には、制御部74は、排土板25の情報化自動制御を遮断することを決定するとともに排土板25が上昇するように油圧機構4及び昇降シリンダ23を制御する(ステップS8)。このとき、制御部74は、情報化自動制御遮断信号を切換装置8及び報知手段9に送信する。切換装置8は、情報化自動制御装置6による排土板25の制御をスリップ制御装置7による排土板25の制御に切り換える。そして、制御部74は、第一油圧が第一閾値以下及び第二油圧が第二閾値以下になるまで排土板25を上昇させる。具体的には、排土板25を所定時間(例えば1秒)上昇させ、その時点の各油圧が各閾値よりも大きいか否かを再度判定し、まだいずれか一方の油圧が閾値以上である場合には、さらに排土板25を所定時間(例えば1秒)上昇させる処理を行い、各油圧が各閾値以下になるまで当該処理を繰り返し行う。
0056
続いて、報知手段9は、情報化自動制御遮断信号を受信したときに、排土板25の情報化自動制御が遮断状態であることを視覚的や聴覚的に報知する(ステップS9)。
0057
続いて、情報化自動制御の遮断中にオペレータによってリスタート手段10が操作されると(ステップS10)、切換装置8は、スリップ制御装置7による排土板25の制御を情報化自動制御装置6による排土板25の制御に切り換える。閾値設定処理部73は、第一閾値及び第二閾値を所定の割合上げて再設定する(ステップS11)。すなわち、ここではスリップしていないため、閾値をもっと大きく設定できる筈であると判断し、第一閾値及び第二閾値を上げる。再設定した第一閾値及び第二閾値は、記憶部72に記憶される。また、ステップS11の後は、情報化自動制御装置6による情報化自動制御を再開し(ステップS12)、ステップS2以降の処理が繰り返し行われる。
0058
一方、ステップS4でYesの場合(スリップしている場合)には、制御部74は、排土板25の情報化自動制御を遮断することを決定するとともに排土板25が上昇するように油圧機構4及び昇降シリンダ23を制御する(ステップS13)。このとき、制御部74は、情報化自動制御遮断信号を切換装置8及び報知手段9に送信する。切換装置8は、情報化自動制御装置6による排土板25の制御をスリップ制御装置7による排土板25の制御に切り換える。そして、制御部74は、スリップを検出しなくなるまで排土板25を上昇させる。具体的には、排土板25を所定時間(例えば1秒)上昇させ、その時点でスリップしているか否かを再度判定し、まだスリップしている場合には、さらに排土板25を所定時間(例えば1秒)上昇させる処理を行い、スリップを検出しなくなるまで当該処理を繰り返し行う。
0059
続いて、報知手段9は、情報化自動制御遮断信号を受信したときに、排土板25の情報化自動制御が遮断状態であることを視覚的や聴覚的に報知する(ステップS14)。
0060
続いて、情報化自動制御の遮断中にオペレータによってリスタート手段10が操作されると(ステップS15)、切換装置8は、スリップ制御装置7による排土板25の制御を情報化自動制御装置6による排土板25の制御に切り換える。閾値設定処理部73は、第一閾値及び第二閾値を所定の割合下げて再設定する(ステップS16)。すなわち、ここではスリップしているため、閾値を大きく設定し過ぎたと判断し、第一閾値及び第二閾値を下げる。再設定した第一閾値及び第二閾値は、記憶部72に記憶される。また、ステップS16の後は、情報化自動制御装置6による情報化自動制御を再開し(ステップS17)、ステップS2以降の処理が繰り返し行われる。
0061
なお、ステップS5の処理では、いずれか一方の油圧が閾値以上である状態が所定の時間(例えば2秒)続いた場合にYesと判定してもよい。
0062
以上説明した本実施形態によれば、モータグレーダMのスリップ制御装置7は、スリップが検出された場合、又は、検出された油圧が所定の閾値よりも大きい場合には、情報化自動制御を遮断し、閾値を再設定するため、油圧の検出により排土板25に加わる負荷を測定することが可能になる。また、スリップの検出や検出した油圧に基づいて閾値の再設定を行うことにより、スリップ直前の状態(負荷の限界点)を把握することができる。これにより、施工現場ごとに最適な最大設定負荷圧力(閾値)以下で整地作業を行うことができるため、作業効率を向上させることができる。また、スリップを抑制できるとともにモータグレーダMへの過大な負荷を抑制できるので、二酸化炭素の排出量を削減することができる。
0063
また、本実施形態によれば、スリップ制御装置7は、スリップが検出されず、かつ、検出された油圧が閾値よりも大きい場合、閾値を上げて再設定するため、施工現場ごとに最適な最大負荷設定圧力(閾値)を導き出すことができる。
0064
また、本実施形態によれば、スリップ制御装置7は、スリップが検出された場合、閾値を下げて再設定するため、施工現場ごとに最適な最大負荷設定圧力(閾値)を導き出すことができる。
0065
また、本実施形態によれば、閾値を下げる割合は、閾値を上げる割合よりも低くなっており、このように閾値を上げ下げするときの割合を変えることで、施工現場ごとに最適な最大負荷設定圧力(閾値)を正確に導き出すことができる。
0066
また、本実施形態によれば、油圧検出手段5は、油圧として昇降シリンダ23の第一油圧を検出しており、スリップ制御装置7は、スリップが検出された場合、又は、検出された第一油圧が所定の第一閾値よりも大きい場合には、第一閾値を再設定するため、施工現場ごとに最適な最大負荷設定圧力(閾値)を正確に導き出すことができる。
0067
また、本実施形態によれば、油圧検出手段5は、油圧としてチルトシリンダ24の第二油圧を検出しており、スリップ制御装置7は、スリップが検出された場合、又は、検出された第二油圧が所定の第二閾値よりも大きい場合には、第二閾値を再設定するため、施工現場ごとに最適な最大負荷設定圧力(閾値)を正確に導き出すことができる。
0068
また、本実施形態によれば、スリップが検出された場合、又は、検出された油圧が閾値よりも大きい場合には、切換装置8は、情報化自動制御装置6による排土板25の制御をスリップ制御装置7による排土板25の制御に切り換え、かつ、スリップ制御装置7は、排土板25が上昇するように制御する。このため、スリップを抑制乃至防止することができる。
0069
また、本実施形態によれば、モータグレーダMは、切換装置8が情報化自動制御装置6による排土板25の制御をスリップ制御装置7による排土板25の制御に切り換えた場合に、その旨を報知する報知手段9を備えるため、情報化自動制御の遮断をオペレータに容易に認識させることができる。
0070
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態では、作業が終了するまで閾値再設定処理を繰り返したが、閾値再設定処理を所定の回数行った時点で終了して閾値を固定してもよい。本実施形態では、昇降シリンダ23及びチルトシリンダ24の両方の油圧を検出して、両方の油圧に基づいて閾値再設定処理を行ったが、一方の油圧のみを検出して、一方の油圧のみに基づいて閾値再設定処理を行ってもよい。
0071
Mモータグレーダ
1 車両本体
2作業機
23昇降シリンダ(位置調整手段)
24チルトシリンダ(位置調整手段)
25排土板
27 軸
3スリップ検出手段
4油圧機構
5油圧検出手段
6情報化自動制御装置
7スリップ制御装置
8切換装置
9報知手段
G 地盤