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技術 摺動部材およびその製造方法

出願人 株式会社デンソー国立大学法人東北大学トーカロ株式会社
発明者 貴志健太郎新山泰徳足立幸志三木真哉
出願日 2017年12月25日 (3年1ヶ月経過) 出願番号 2017-247991
公開日 2019年7月11日 (1年7ヶ月経過) 公開番号 2019-112693
状態 未査定
技術分野 物理蒸着 その他の表面処理 CVD
主要キーワード 超低摩擦 マイクロビッカース試験 非晶質炭素皮膜 電磁気波 すべり運動 摺動環 ダイヤモンドライクカーボン層 非晶質炭素層
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年7月11日)のものです。
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図面 (13)

課題

初期の低い摩擦係数が長期間に渡って持続する摺動部材を提供する。

解決手段

摺動部材10は、母材11と、母材11の表面に形成された固体潤滑材層12と、固体潤滑材層12に材料の欠陥が導入されている欠陥層13とを有する。欠陥層13は、固体潤滑材層12から超低摩擦層14に変化するよりも、機械的な応力によって超低摩擦層14に変化しやすい。このため、摺動部材10としての使用によって、欠陥層13には、超低摩擦層14が形成される。この結果、初期の低い摩擦係数が長期間に渡って持続する。

概要

背景

特許文献1は、水素を含む非晶質炭素皮膜を有する摺動部材を開示する。特許文献1は、表面にグラファイトを含む層を有する。特許文献1の構成では、複数の非晶質炭素層が交互に積層されている。特許文献2は、硬質炭素膜コーティングした摺動部材を開示している。さらに、特許文献2は、液体が存在しない環境での「なじみ」処理の後に、液体が存在する環境で摺動部材を利用することを提案している。従来技術として列挙された先行技術文献の記載内容は、この明細書における技術的要素の説明として、参照により援用される。

概要

初期の低い摩擦係数が長期間に渡って持続する摺動部材を提供する。摺動部材10は、母材11と、母材11の表面に形成された固体潤滑材層12と、固体潤滑材層12に材料の欠陥が導入されている欠陥層13とを有する。欠陥層13は、固体潤滑材層12から超低摩擦層14に変化するよりも、機械的な応力によって超低摩擦層14に変化しやすい。このため、摺動部材10としての使用によって、欠陥層13には、超低摩擦層14が形成される。この結果、初期の低い摩擦係数が長期間に渡って持続する。

目的

開示されるひとつの目的は、利用開始初期の低い摩擦係数が長期間に渡って持続する摺動部材およびその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

母材(11、21)と、前記母材の表面に形成された固体潤滑材層(12、22)と、前記固体潤滑材層に材料の欠陥が導入されており、前記固体潤滑材層から超低摩擦層に変化するよりも、機械的な応力によって超低摩擦層に変化しやすい欠陥層(13、23)と、前記欠陥層の表面を覆う超低摩擦層(14、24)とを備える摺動部材

請求項2

前記固体潤滑材層は、炭素原子が結合した硬質炭素膜であり、前記欠陥層は、炭素の結合の欠陥によって形成されている請求項1に記載の摺動部材。

請求項3

前記固体潤滑材層は、ダイヤモンドライクカーボンである請求項2に記載の摺動部材。

請求項4

前記欠陥層は、ラマン分光法によって、ID/IG比において0.056以上、SD/SG比において0.048以上を示す請求項3に記載の摺動部材。

請求項5

前記固体潤滑材層は、窒化クロム窒化ケイ素、または炭化ケイ素である請求項1に記載の摺動部材。

請求項6

前記欠陥層の表面に付与された官能基を有する請求項1から請求項5のいずれかに記載の摺動部材。

請求項7

母材(11、21)を準備する段階(101)と、前記母材の表面に固体潤滑材層(12、22)を形成する段階(102)と、前記固体潤滑材層に材料の欠陥を導入し、前記固体潤滑材層から超低摩擦層に変化するよりも、機械的な応力によって前記超低摩擦層に変化しやすい欠陥層(13、23)を形成する段階(103)と、前記欠陥層が形成された後に、摺動環境下に置くことにより、機械的な応力によって前記欠陥層を前記超低摩擦層(14、24)に変化させる段階(104、105)とを備える摺動部材の製造方法。

請求項8

前記欠陥層を形成する段階(103)は、電磁気によって前記固体潤滑材層の表面および内部に前記欠陥を導入する段階を含む請求項7に記載の摺動部材の製造方法。

請求項9

前記欠陥層を形成する段階(103)は、高エネルギ化された原子物理的な作用により前記欠陥を導入する段階を含む請求項7または請求項8に記載の摺動部材の製造方法。

請求項10

前記固体潤滑材層は、硬質炭素膜であり、前記欠陥層を形成する段階は、前記硬質炭素膜を残しながら、前記硬質炭素膜の表面および内部に前記欠陥を導入する段階を含み、前記超低摩擦層に変化させる段階は、前記欠陥層を残しながら、前記欠陥層を表面から前記超低摩擦層に変化させる段階を含む請求項7から請求項9のいずれかに記載の摺動部材の製造方法。

技術分野

0001

この明細書における開示は、摺動部材およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

特許文献1は、水素を含む非晶質炭素皮膜を有する摺動部材を開示する。特許文献1は、表面にグラファイトを含む層を有する。特許文献1の構成では、複数の非晶質炭素層が交互に積層されている。特許文献2は、硬質炭素膜コーティングした摺動部材を開示している。さらに、特許文献2は、液体が存在しない環境での「なじみ」処理の後に、液体が存在する環境で摺動部材を利用することを提案している。従来技術として列挙された先行技術文献の記載内容は、この明細書における技術的要素の説明として、参照により援用される。

先行技術

0003

特許第5730960号公報
特許第6095090号公報

発明が解決しようとする課題

0004

特許文献1では、複数の非晶質炭素層が同時に剥離することがある。このため、グラファイトを含む層による低摩擦係数が長続きしない場合がある。また、特許文献2では、実際の利用に先立つ「なじみ」処理が必要である。上述の観点において、または言及されていない他の観点において、摺動部材およびその製造方法にはさらなる改良が求められている。

0005

開示されるひとつの目的は、利用開始初期の低い摩擦係数が長期間に渡って持続する摺動部材およびその製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0006

ここに開示された摺動部材は、母材(11、21)と、母材の表面に形成された固体潤滑材層(12、22)と、固体潤滑材層に材料の欠陥が導入されており、固体潤滑材層から超低摩擦層に変化するよりも、機械的な応力によって超低摩擦層に変化しやすい欠陥層(13、23)と、欠陥層の表面を覆う超低摩擦層(14、24)とを備える。

0007

開示される摺動部材によると、固体潤滑材層に材料の欠陥が導入された欠陥層が設けられる。この欠陥層は、固体潤滑材層から超低摩擦層に変化するよりも、機械的な応力によって超低摩擦層に変化しやすい。このため、利用開始初期の低い摩擦係数が長期間に渡って持続される。

0008

ここに開示された摺動部材の製造方法によると、母材(11、21)を準備する段階(101)と、母材の表面に固体潤滑材層(12、22)を形成する段階(102)と、固体潤滑材層に材料の欠陥を導入し、固体潤滑材層から超低摩擦層に変化するよりも、機械的な応力によって超低摩擦層に変化しやすい欠陥層(13、23)を形成する段階(103)と、欠陥層が形成された後に、摺動環境下に置くことにより、機械的な応力によって欠陥層を超低摩擦層(14、24)に変化させる段階(104、105)とを備える。

0009

開示される摺動部材の製造方法によると、固体潤滑材層に材料の欠陥を導入することで、欠陥層が形成される。この欠陥層は、固体潤滑材層から超低摩擦層に変化するよりも、機械的な応力によって超低摩擦層に変化しやすい。このため、摺動により生じる機械的な応力によって欠陥層が超低摩擦層に変化する。よって、利用開始初期の低い摩擦係数が長期間に渡って持続される。

0010

この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。

図面の簡単な説明

0011

第1実施形態に係る母材を示す断面図である。
母材と固体潤滑材層とを示す断面図である。
固体潤滑材層に形成された欠陥層を示す断面図である。
欠陥層に形成された超低摩擦層を示す断面図である。
摺動部材の製造方法を示すフローチャートである。
製造装置を示す断面図である。
製造装置を示す断面図である。
第2実施形態に係る製造装置を示す断面図である。
第3実施形態に係る製造装置を示す断面図である。
第4実施形態に係る摺動部材を示す断面図である。
第5実施形態に係る摺動部材を示す断面図である。
第6実施形態に係る摺動部材を示す断面図である。

実施例

0012

図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。

0013

第1実施形態
図1において、摺動部材10は、母材11を有する。母材11は、金属、または非金属によって提供される。母材11は、鉄、アルミニウムニッケル、およびそれらの合金によって提供できる。母材11は、無機化合物を焼き固めたセラミックスによって提供されてもよい。母材11は、試験片としての球、または円板として提供される。試験片が試験される試験機は、特許文献2を参照することができる。なお、特許文献2の記載は、この開示の一部として参照により導入される。この開示において、摺動の語は、広義解釈されるべきである。摺動の語は、摩擦を伴う相対的な2つの部材のすべり運動、および2つの部材の相対的な接触位置の移動であるころがり運動の両方を含む。

0014

図2において、摺動部材10は、固体潤滑材層12を有する。固体潤滑材層12は、母材11の表面上に配置されている。固体潤滑材層12は、母材11の表面を覆っている。固体潤滑材層12は、ダイヤモンドライクカーボン層(Diamond−Like Carbon層DLC層)である。固体潤滑材層12は、炭素原子が結合した硬質炭素膜とも呼ばれる。

0015

硬質炭素膜は、単結晶ダイヤモンド膜、および炭化水素、あるいは、炭素同素体からなる非晶質(アモルファス)の硬質膜を含む。さらに、硬質炭素膜は、上述の硬質炭素膜の表面に形成されたグラファイト層を含む硬質膜である。固体潤滑材層12は、窒化クロム(Crome Nitride:CrN)によって提供されてもよい。固体潤滑材層12は、窒化ケイ素(Silicon Nitride:Si3N4)によって提供されてもよい。固体潤滑材層12は、炭化ケイ素(Silicon Carbide:SiC)によって提供されてもよい。

0016

図3において、摺動部材10は、固体潤滑材層12を変化させることによって形成された欠陥層13を有する。欠陥層13は、炭素の結合の欠陥によって形成されている。欠陥層13は、材料における原子結合の構造が、固体潤滑材層12よりも変化しやすい状態にある。欠陥層13は、DLC層としての構造から、グラファイト層としての構造に変化しやすい状態にある。欠陥層13は、機械的な応力によって、グラファイト層に変化する。機械的な応力を受けた場合、固体潤滑材層12がグラファイト層に変化する変化しやすさよりも、欠陥層13がグラファイト層に変化する変化しやすさのほうが高い。言い換えると、欠陥層13の炭素の結合構造は、固体潤滑材層12よりもグラファイト層に変化しやすい。

0017

欠陥層13の表面の硬度は、固体潤滑材層12の表面の硬度より低い。欠陥層13が導入されたことにより、摺動部材10の表面の硬度は低下する。欠陥層13が導入される前の固体潤滑材層12の表面の硬度、および、欠陥層13の表面の硬度は、ナノインデーションを利用するナノインデンター、またはビッカース硬さを測定するマイクロビッカース試験機によって測定される。

0018

固体潤滑材層12の内部まで欠陥層13を導入することは、固体潤滑材層12への活性点の導入とも呼ばれる。欠陥層13は、原子レベルでの物理的作用を利用して固体潤滑材層12の表面および所定の深さ範囲にわたって導入される。欠陥層13は、元素を用いて導入される。欠陥層13は、原子高エネルギを与えて固体潤滑材層12に作用させる製造方法および製造装置によって形成される。固体潤滑材層12および欠陥層13の表面には、摺動部材10が利用される環境における雰囲気との親和性が高い官能基が付与されている。例えば、摺動部材10が、水が存在する環境において使用される場合、水との親和性、反応性が高い官能基が付与されている。ここで利用される官能基は、例えば、水酸基である。

0019

欠陥層13の存在は、固体潤滑材層12の膜内欠陥によって特定できる。膜内欠陥は、ラマン分光法によって測定することができる。欠陥層13は、膜内欠陥と相関のあるラマン分光法によって、ID/IG比において0.056以上、SD/SG比において0.048以上を示す。

0020

固体潤滑材層12は、厚さT2を有する。欠陥層13は、厚さT3を有する。厚さT3は、厚さT2より小さい。欠陥層13は、母材11にまで到達していない。欠陥層13と母材11との間には、欠陥層13よりも欠陥が少ない固体潤滑材層12が残されている。欠陥層13が形成された状態においても、固体潤滑材層12は、摺動範囲全域を覆うように広がっている。

0021

上述の硬質炭素膜、窒化クロム、窒化ケイ素、または炭化ケイ素によって提供された固体潤滑材層12は、材料の欠陥部分である欠陥層13をもつことができる。欠陥部分とは、(1)クラスター不整合等によって、元素の結合が欠けている、または、未結合の部分、および/または(2)ラジカル、クラスターが相対的に小さい部分、および/または(3)原子配列乱れ結晶構造の乱れによって生じた部分を表す。すなわち、欠陥部分とは、上記(1)、(2)、および(3)の少なくともひとつを表す。欠陥部分とは、上記(1)、(2)、および(3)のふたつ以上を表してもよい。

0022

図4は、摺動部材10の利用状態を示す。図4は、欠陥層13に形成された超低摩擦層14を示す。利用状態において、摺動部材10は、他の摺動部材20と摺動される。摺動(すべり、およびころがり)は、欠陥層13の表面に機械的な応力を与える。この機械的な応力は、欠陥層13を超低摩擦層14に変化させる。超低摩擦層14は、欠陥層13の表面を覆う。

0023

摺動部材10が摺動する過程において、欠陥層13は、その表面、すなわち摺動面に超低摩擦層14を生成する。言い換えると、摺動部材の製造方法は、摺動部材10を摺動環境下に置くことによって、欠陥層13の表面に超低摩擦層14を形成する。摺動環境は、摺動部材10が実際に利用される使用環境でよい。欠陥層13は、固体潤滑材層12から後述する超低摩擦層14に変化するよりも、機械的な応力によって超低摩擦層14に変化しやすい。超低摩擦層14は、グラファイト層である。

0024

超低摩擦層14は、厚さT4を有する。厚さT4は、厚さT3より小さい。超低摩擦層14は、固体潤滑材層12にまで到達していない。固体潤滑材層12と超低摩擦層14との間には、欠陥層13が残されている。よって、摺動部材10は、母材11の上に、固体潤滑材層12と、欠陥層13と、超低摩擦層14とを有する。

0025

超低摩擦層14は、超潤滑性(Super-lubricity)を発揮する層である。固体潤滑材層12が硬質炭素膜によって提供される場合、超低摩擦層14は、SP2結合がリッチなDLC層とも呼べる。SP2結合は、SP2軌道による原子の結合状態をいう。リッチとは、DLC層がグラファイト層としての性状を示していることを表す。摺動部材10は、相対的に摺動する2つの部材の少なくとも一方に、材料の欠陥層13、すなわち固体潤滑材層12よりも超低摩擦層14へ変化しやすい層が導入された摺動部材を提供する。

0026

図5は、摺動部材10の製造方法を示す。ステップ101では、母材11を準備する。ステップ102では、母材11に固体潤滑材層12を形成する。固体潤滑材層12がDLC層である場合、PVD(Physical Vapor Deposition)法、およびCVD(Chemical Vapor Deposition)法を含む多様な製造方法を利用することができる。

0027

ステップ103では、固体潤滑材層12に材料の欠陥を導入することによって、欠陥層13を形成する。同時に、固体潤滑材層12の表面、すなわち欠陥層13の表面には、官能基が付与される。欠陥層13は、固体潤滑材層12から超低摩擦層14に変化するよりも、機械的な応力によって超低摩擦層14に変化しやすい。機械的な応力は、欠陥層13または固体潤滑材層12に作用する応力である。この機械的な応力は、摺動部材10をその利用環境、すなわち摺動環境におくことによって生じる応力である。

0028

ステップ103における欠陥層13を導入する段階は、後述する製造装置によって行われる。欠陥層13を形成する段階は、電磁気によって固体潤滑材層12の表面および内部に欠陥を導入する段階を含む。欠陥層13を形成する段階は、高エネルギ化された原子の物理的な作用により欠陥を導入する段階を含む。欠陥層13を形成する段階は、硬質炭素膜である固体潤滑材層12を残しながら、固体潤滑材層12の表面および内部に欠陥を導入する段階を含む。

0029

ステップ104では、固体潤滑材層12と欠陥層13とを有する摺動部材10を摺動環境下に置く。摺動環境は、摺動部材10が利用される使用環境である。ステップ105では、摺動部材10の欠陥層13に、摺動に伴う機械的な応力を与えることによって、欠陥層13の表面に超低摩擦層14を形成する。欠陥層13を超低摩擦層14に変化させる段階は、欠陥層13を下部層として残しながら、欠陥層13を表面から超低摩擦層14に変化させる段階を含む。ステップ105の段階は、摺動部材10の実際の使用期間の初期によって提供されてもよい。ステップ105の段階は、実際の使用とは区別された、ならし期間によって提供されてもよい。ステップ106では、摺動部材10を摺動環境下で継続使用する。

0030

ステップ104からステップ106の過程は、欠陥層13が形成された後に、摺動環境下に置くことにより、機械的な応力によって欠陥層13を超低摩擦層14に変化させる段階でもある。ステップ104からステップ106の過程において、欠陥層13は、摩耗しながら、摺動面を形成してゆく。欠陥層13は、超低摩擦層14より硬い硬度を提供して、摺動環境下においても超低摩擦層14より高い耐久性を発揮する。欠陥層13は、固体潤滑材層12より高い弾性を提供して、摺動環境下において高い形状追従性を発揮する。この結果、欠陥層13は、大きな剥離を生じることなく、徐々に摩耗してゆく。言い換えると、欠陥層13は、機械的な「なじみ」を提供する。さらに、「なじみ」後の表面には、超低摩擦層14が生成される。よって、欠陥層13は、「なじみ」によって局所的な面圧を低減し、さらに、「なじみ」を促進する。

0031

継続使用によって、超低摩擦層14または欠陥層13の一部は摩耗する。しかし、摺動によって新たに欠陥層13が超低摩擦層14に変化する。欠陥層13は、固体潤滑材層12に欠陥を導入することによって表面から所定の深さにわたって形成されている。よって、超低摩擦層14が持続される。さらに、母材11の表面には、固体潤滑材層12、欠陥層13、および超低摩擦層14のすべてが存在するから、それらが同時に掘り起こされる事態が抑制される。この結果、超低摩擦層14による超低摩擦状態が継続的に持続される。

0032

図6および図7は、ステップ103における製造段階で利用される製造装置30を示す。製造装置30は、摺動部材10を収容するチャンバ31と、チャンバ31内に反応ガスを供給するガス供給器有する場合もある。チャンバ31は、固体潤滑材層12を形成した母材11を有する摺動部材10を収容する。製造装置30は、高周波電源41と、スイッチ42とを有する。製造装置30は、高電圧電源43と、スイッチ44とを有する。スイッチ42とスイッチ44とは、交互に開閉される。製造装置30は、電磁気的な作用を利用して、場合によっては元素に高エネルギを与え、欠陥層13を導入する。製造装置30は、電気的な処理装置であるといえる。製造装置30は、場合によっては反応ガスの元素を利用して、固体潤滑材層12の表層から内部における原子の結合を切断し、活性点を導入することにより、欠陥層13を形成する。

0033

図6に図示されるように、スイッチ42だけが閉じられている期間において、高周波電源41は、場合によっては反応ガスに高エネルギを付与し、プラズマ化する。

0034

図7に図示されるように、高電圧パルス電源43は、場合によってはプラズマ化した元素によって、固体潤滑材層12の結晶構造を変化させる。

0035

以上に述べた実施形態によると、利用開始初期の低い摩擦係数が長期間に渡って持続する摺動部材10を提供することができる。

0036

第2実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、高電圧を利用して、電磁気的に欠陥層13を導入する。これに代えて、欠陥層13は、光エネルギによって導入されてもよい。

0037

図8に図示されるように、製造装置230は、線源251を有する。線源251は、可視光ではない高エネルギの電磁波を、母材11に形成された固体潤滑材層12に照射する。電磁波としては、アルファ線ガンマ線X線などを利用可能である。この実施形態では、欠陥層13は、電磁気波によって導入される。

0038

第3実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、高電圧を利用して、電磁気的に欠陥層13を導入する。これに代えて、欠陥層13は、熱エネルギによって導入されてもよい。

0039

図9に図示されるように、製造装置330は、複数の電気ヒータ361を有する。電気ヒータ361は、例えば、母材11に形成された固体潤滑材層12に熱エネルギQを付与し、欠陥層13を導入する。加熱は、真空雰囲気において、大気中の酸素との反応を抑制しながら行うことが望ましい。

0040

第4実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、摺動部材10と摺動する摺動部材20の構造を特定していない。これに代えて、摺動部材10と摺動する部材は、多様な部材によって提供することができる。

0041

図10において、摺動部材10は、摺動部材420と摺動する。摺動部材420は、摺動部材10と同様の構造を有する。すなわち、摺動部材420は、母材21、固体潤滑材層22、欠陥層23、および超低摩擦層24を有する。この実施形態によると、超低摩擦層14と超低摩擦層24とが摺動するから、初期の低い摩擦係数が長期間に渡って持続する。

0042

第5実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。

0043

図11において、摺動部材10は、摺動部材520と摺動する。摺動部材520は、母材21、および固体潤滑材層22を有する。この実施形態でも、初期の低い摩擦係数が長期間に渡って持続する。

0044

第6実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。

0045

図12において、摺動部材10は、摺動部材620と摺動する。摺動部材520は、母材21のみを有する。この実施形態でも、初期の低い摩擦係数が長期間に渡って持続する。

0046

他の実施形態
この明細書における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。

0047

10摺動部材、 11母材、 12固体潤滑材層、
13欠陥層、 14超低摩擦層、
20 摺動部材、 21 母材、 22 固体潤滑材層、
23 欠陥層、 24 超低摩擦層、
30製造装置、 31チャンバ、
41高周波電源、 42 スイッチ、
43高電圧パルス電源、 44 スイッチ、
101、102、103、104、105 段階、
230 製造装置、 251線源、
330 製造装置、 361電気ヒータ、
420 摺動部材、 520 摺動部材、 620 摺動部材。

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