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技術 単結晶ダイヤモンドおよびそれを用いた半導体素子

出願人 国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明者 大曲新矢山田英明茶谷原昭義杢野由明
出願日 2018年6月29日 (1年8ヶ月経過) 出願番号 2018-124605
公開日 2019年7月11日 (8ヶ月経過) 公開番号 2019-112290
状態 未査定
技術分野 ダイオード 結晶、結晶のための後処理 本体に特徴のある半導体装置
主要キーワード 核生成領域 タングステン濃度 単結晶ダイヤモンド層 存在箇所 熱フィラメントCVD装置 理想因子 アークジェット タングステン源
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (17)

課題

転位密度を低減した単結晶ダイヤモンドを提供する。

解決手段

単結晶ダイヤモンド10は、単結晶ダイヤモンド層2,3を備える。単結晶ダイヤモンド層2は、ダイヤモンド基板1上に形成され、点欠陥を含む。単結晶ダイヤモンド層3は、単結晶ダイヤモンド層2上に配置される。単結晶ダイヤモンド層2,3は、ダイヤモンド基板よりも低い転位密度を有する。

概要

背景

従来、ダイヤモンド膜転位密度を低減する方法として非特許文献1〜3に記載のものが知られている。

非特許文献1に記載の転位密度を低減する方法は、ダイヤモンド膜を厚膜化することによって転位密度を低減する方法である。そして、ダイヤモンド膜の膜厚を1mm以上に厚膜化にすることによって、転位密度を1×1010cm-2から4×107cm-2まで低減できることが記載されているが、低転位化によって転位線の間隔が広くなると、その効果は小さくなるので1×106cm-2を下回る密度まで転位密度を低減することはできない。

非特許文献2に記載の転位密度を低減する方法は、ヘテロエピタキシャル成長の前処理において核生成領域を限定したパターンを形成し、横方向結晶成長(ELO: Epitaxial Lateral Overgrowth)によって転位伝搬方向を制御することによって転位密度を低減する方法である。そして、この方法によって転位密度を1×108cm-2程度まで低減できる。

非特許文献3に記載の転位密度を低減する方法は、エッチピット(転位存在箇所)に金属ナノパーティクルを形成し、その後、CVDでダイヤモンド成長させることによって転位密度を低減する方法である。金属ナノパーティクルの形成を必要とするため、時間とコストを有する他、転位伝搬の制御性にも問題があり、1×106cm-2を下回る低転位化は実現されていない。

概要

転位密度を低減した単結晶ダイヤモンドを提供する。単結晶ダイヤモンド10は、単結晶ダイヤモンド層2,3を備える。単結晶ダイヤモンド層2は、ダイヤモンド基板1上に形成され、点欠陥を含む。単結晶ダイヤモンド層3は、単結晶ダイヤモンド層2上に配置される。単結晶ダイヤモンド層2,3は、ダイヤモンド基板よりも低い転位密度を有する。

目的

この発明の実施の形態によれば、転位密度を低減した単結晶ダイヤモンドを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

基板上に形成され、点欠陥を含む第1の単結晶ダイヤモンド層を備え、前記第1の単結晶ダイヤモンド層は、前記基板よりも低い転位密度を有する、単結晶ダイヤモンド

請求項2

前記第1の単結晶ダイヤモンド層上に配置され、前記基板よりも低い転位密度を有する第2の単結晶ダイヤモンド層を更に備える、請求項1に記載の単結晶ダイヤモンド。

請求項3

前記第1の単結晶ダイヤモンド層は、タングステンタンタルレニウム、鉄、ニッケルコバルトアルミニウムガリウムゲルマニウムイリジウムおよびリンのいずれかと、シリコンおよびモリブデンとを含む、請求項1または請求項2に記載の単結晶ダイヤモンド。

請求項4

前記第2の単結晶ダイヤモンド層は、前記基板よりも2桁以上少ない転位密度を有する、請求項2または請求項3に記載の単結晶ダイヤモンド。

請求項5

前記第1の単結晶ダイヤモンド層は、1μm以上の膜厚を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の単結晶ダイヤモンド。

請求項6

前記第2の単結晶ダイヤモンド層は、200μm以上の膜厚を有する、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の単結晶ダイヤモンド。

請求項7

前記第1の単結晶ダイヤモンド層は、更に、p型ドーパントを含む、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の単結晶ダイヤモンド。

請求項8

請求項7に記載の単結晶ダイヤモンドと、前記第2の単結晶ダイヤモンド層とショットキー接合を形成する第1の金属と、前記第1の単結晶ダイヤモンド層または前記第2の単結晶ダイヤモンド層とオーミック接合を形成する第2の金属とを備える半導体素子

技術分野

0001

この発明は、単結晶ダイヤモンドおよびそれを用いた半導体素子に関する。

背景技術

0002

従来、ダイヤモンド膜転位密度を低減する方法として非特許文献1〜3に記載のものが知られている。

0003

非特許文献1に記載の転位密度を低減する方法は、ダイヤモンド膜を厚膜化することによって転位密度を低減する方法である。そして、ダイヤモンド膜の膜厚を1mm以上に厚膜化にすることによって、転位密度を1×1010cm-2から4×107cm-2まで低減できることが記載されているが、低転位化によって転位線の間隔が広くなると、その効果は小さくなるので1×106cm-2を下回る密度まで転位密度を低減することはできない。

0004

非特許文献2に記載の転位密度を低減する方法は、ヘテロエピタキシャル成長の前処理において核生成領域を限定したパターンを形成し、横方向結晶成長(ELO: Epitaxial Lateral Overgrowth)によって転位伝搬方向を制御することによって転位密度を低減する方法である。そして、この方法によって転位密度を1×108cm-2程度まで低減できる。

0005

非特許文献3に記載の転位密度を低減する方法は、エッチピット(転位存在箇所)に金属ナノパーティクルを形成し、その後、CVDでダイヤモンド成長させることによって転位密度を低減する方法である。金属ナノパーティクルの形成を必要とするため、時間とコストを有する他、転位伝搬の制御性にも問題があり、1×106cm-2を下回る低転位化は実現されていない。

先行技術

0006

C. Stehl, M. Fischer, S. Gsell, E. Berdermann, M. S. Rahman, M. Traeger, O. Klein, and M. Scheck, “Efficiency of dislocation density reduction during heteroepitaxial growth of diamond for detector applications,”APPLIED PHYSICSLETTERS103, 151905 (2013).
Kimiyoshi Ichikawa, Hideyuki Kodama, Kazuhiro Suzuki, Atsuhito Sawabe, “Effect of stripe orientation on dislocation propagation in epitaxial lateral overgrowth diamond on Ir,”Diamond & Related Materials 72 (2017) 114-118.
M. Naamoun, A. Tallaire, P. Doppelt, A. Giccquel, J. Barjon, J. Achard, “Reduction of dislocation densities in single crystalCVD diamond by using self-assembled metallic masks,” Diamond & Related Materials 58 (2015) 62-68.

発明が解決しようとする課題

0007

しかし、非特許文献1〜3に記載の方法では、ヘテロエピタキシャルダイヤモンドなどの比較的転位密度の大きい試料に対して有効であるが、一貫して1×106cm-2を下回る低転位化は不可能であり、転位の伝搬を完全には抑制できていない。

0008

そこで、この発明の実施の形態によれば、転位密度を低減した単結晶ダイヤモンドを提供する。

0009

また、この発明の実施の形態によれば、転位密度を低減した単結晶ダイヤモンドを用いた半導体素子を提供する。

課題を解決するための手段

0010

(構成1)
この発明の実施の形態によれば、単結晶ダイヤモンドは、第1の単結晶ダイヤモンド層を備える。第1の単結晶ダイヤモンド層は、基板上に形成され、点欠陥を含む。そして、第1の単結晶ダイヤモンド層は、基板よりも低い転位密度を有する。

0011

(構成2)
構成1において、単結晶ダイヤモンドは、第2の単結晶ダイヤモンド層を更に備える。第2の単結晶ダイヤモンド層は、第1の単結晶ダイヤモンド層上に配置され、基板よりも低い転位密度を有する。

0012

(構成3)
構成1または構成2において、第1の単結晶ダイヤモンド層は、タングステンタンタルレニウム、鉄、ニッケルコバルトアルミニウムガリウムゲルマニウムイリジウムおよびリンのいずれかと、シリコンおよびモリブデンとを含む。

0013

(構成4)
構成2または構成3において、第2の単結晶ダイヤモンド層は、基板よりも2桁以上少ない転位密度を有する。

0014

(構成5)
構成1から構成4のいずれかにおいて、第1の単結晶ダイヤモンド層は、1μm以上の膜厚を有する。

0015

(構成6)
構成2から構成5のいずれかにおいて、第2の単結晶ダイヤモンド層は、200μm以上の膜厚を有する。

0016

(構成7)
構成2から構成5のいずれかにおいて、第1の単結晶ダイヤモンド層は、更に、p型ドーパントを含む。

0017

(構成8)
また、この発明の実施の形態によれば、半導体素子は、構成7に記載の単結晶ダイヤモンドと、第1および第2の金属とを備える。第1の金属は、第2の単結晶ダイヤモンド層とショットキー接合を形成する。第2の金属は、第1の単結晶ダイヤモンド層または第2の単結晶ダイヤモンド層とオーミック接合を形成する。

発明の効果

0018

単結晶ダイヤモンドの転位密度を低減できる。

図面の簡単な説明

0019

この発明の実施の形態による単結晶ダイヤモンドの断面図である。
図1に示す単結晶ダイヤモンドの製造方法を示す工程図である。
この発明の実施の形態による半導体素子の断面図である。
この発明の実施の形態による別の半導体素子の断面図である。
実施例1における単結晶ダイヤモンドのカソードルミネッセンス測定結果を示す図である。
タングステンの深さ方向に対する分布を示す図である。
実施例3における単結晶ダイヤモンドのカソードルミネッセンスの測定結果を示す図である。
実施例4における単結晶ダイヤモンドのカソードルミネッセンスの測定結果を示す図である。
実施例5における単結晶ダイヤモンドのカソードルミネッセンスの測定結果を示す図である。
室温における実施例6および比較例2の半導体素子の電流−電圧特性を示す図である。
実施例6および比較例2の半導体素子の別の電流−電圧特性を示す図である。
室温における半導体素子のリーク電流電界強度との関係を示す図である。
室温における実施例7の半導体素子の電流−電圧特性を示す図である。
室温における実施例8および比較例3の半導体素子の電流−電圧特性を示す図である。
実施例8および比較例3の半導体素子の理想因子(n値)を示す図である。
実施例8および比較例3の半導体素子のバイアハイトを示す図である。

実施例

0020

図1は、この発明の実施の形態による単結晶ダイヤモンドの断面図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による単結晶ダイヤモンド10は、基板1と、単結晶ダイヤモンド層2,3とを備える。

0021

基板1は、単結晶ダイヤモンドまたはヘテロダイヤモンドからなる。単結晶ダイヤモンドは、例えば、1×102cm-2〜1×106cm-2の転位密度を有し、ヘテロダイヤモンドは、例えば、1×108〜1×1010cm-2の転位密度を有する。また、基板1は、複数のダイヤモンドを平板状(例えば、碁盤目状)に配列または接合した基板からなっていてもよい。更に、ヘテロダイヤモンドの場合、基板にイリジウム(Ir)、シリコン(Si)、シリコンカーバイト(SiC)、窒化ガリウム(GaN)および炭化タングステン(WC)等のダイヤモンド以外の材料を含んでいてもよく、それらの異種基板を取り除いた自立結晶でもよい。

0022

単結晶ダイヤモンド層2は、基板1の表面に接して基板1上に配置される。単結晶ダイヤモンド層2は、タングステン(W)、タンタル(Ta)、レニウム(Re)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、イリジウム(Ir)およびリン(P)のいずれかと、シリコン(Si)およびモリブデン(Mo)とを含む。W、Ta、Re、Fe、Ni、Co、Al、Ga、Ge、IrおよびPの各々は、原子半径カーボン(C)よりも大きく、かつ、単結晶ダイヤモンドの格子間に入る元素である。

0023

W、Ta、Re、Fe、Ni、Co、Al、Ga、Ge、IrおよびPの各々の含有量は、1×1016cm-3〜1×1020cm-3である。SiおよびMoの各々の含有量は、W、Ta、Re、Fe、Ni、Co、Al、Ga、Ge、IrおよびPのいずれかの含有量よりも2桁以上少ない。単結晶ダイヤモンドにおいては、W、Ta、Re、Fe、Ni、Co、Al、Ga、Ge、IrおよびPの含有量は、1×1020cm-3が限度であり、W、Ta、Re、Fe、Ni、Co、Al、Ga、Ge、IrおよびPの含有量を1×1020cm-3よりも増加させることは好ましくない。W、Ta、Re、Fe、Ni、Co、Al、Ga、Ge、IrおよびPのいずれかと、SiおよびMoとは、単結晶ダイヤモンド層2に含まれることにより点欠陥を生成する。この点欠陥は、ダイヤモンドの格子間に形成される。単結晶ダイヤモンド層2の点欠陥密度は、例えば、1×1016cm-3〜1020cm-3である。そして、単結晶ダイヤモンド層2は、例えば、1〜2μmの厚みを有する。なお、単結晶ダイヤモンド層2は、1μm以上の厚みを有していればよい。1μm以上の厚みを有していれば、後述するように、単結晶ダイヤモンド層2,3の転位密度を基板1の転位密度よりも減少できるからである。

0024

単結晶ダイヤモンド層2は、ボロン(B)を含んでいてもよく、Bを含んでいなくてもよい。単結晶ダイヤモンド層2がBを含む場合、B濃度は、1×1018cm-3〜1×1021cm-3である。

0025

単結晶ダイヤモンド層3は、単結晶ダイヤモンド層2に接して単結晶ダイヤモンド層2上に配置される。

0026

単結晶ダイヤモンド層3は、Bを含んでいてもよく、Bを含んでいなくてもよい。単結晶ダイヤモンド層3がBを含む場合、B濃度は、1×1015cm-3〜1×1018cm-3である。そして、単結晶ダイヤモンド層3の厚みは、特に限定されないが、単結晶ダイヤモンド層3が宝石に用いられる場合、単結晶ダイヤモンド層3の厚みは、200μm以上である。

0027

単結晶ダイヤモンド層2は、2×106cm-2以下の転位密度を有する。単結晶ダイヤモンド層3は、例えば、0〜1×104cm-2(即ち、1×104cm-2以下)の転位密度を有する。このように、単結晶ダイヤモンド層2が点欠陥を含む(即ち、W、Ta、Re、Fe、Ni、Co、Al、Ga、Ge、IrおよびPのいずれかと、SiおよびMoとを含む)ことにより、単結晶ダイヤモンド層3の転位密度を基板1よりも2桁以上低減できる。

0028

基板1が単結晶ダイヤモンドからなる場合、単結晶ダイヤモンド層2,3は、ホモエピタキシャル成長され、基板1が単結晶ダイヤモンド以外のSi等からなる場合、単結晶ダイヤモンド層2,3は、ヘテロエピタキシャル成長される。

0029

図2は、図1に示す単結晶ダイヤモンド10の製造方法を示す工程図である。図2を参照して、まず、基板1を準備する(工程(a)参照)。基板1は、例えば、(100)面を有する単結晶ダイヤモンドである。

0030

次に、フィラメントが配置された真空容器中に基板1を配置し、炭素源を含むキャリアガスを真空容器内に導入する。そして、熱フィラメントCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって単結晶ダイヤモンド層2を基板1上に成長させる(工程(b)参照)。

0031

引き続いて、CVD法によって単結晶ダイヤモンド層3を単結晶ダイヤモンド層2上に成長させる(工程(c)参照)。これによって、単結晶ダイヤモンド10が製造される。CVD法としては、マイクロ波プラズマ、DCプラズマ燃焼法アークジェット法および熱フィラメント法を用いることができる。

0032

なお、基板1が単結晶ダイヤモンド以外のSi等からなる場合も、図2に示す工程図に従って単結晶ダイヤモンド10が製造される。
また、工程(b)において、単結晶ダイヤモンド層2は、炭素源を含むガスと、タングステン源を含むガス、タンタル源を含むガスおよびレニウム源を含むガスのいずれかと、シリコン源を含むガスと、モリブデン源を含むガスとを用いて、マイクロ波プラズマ、DCプラズマ、燃焼法およびアークジェット法等によって形成されてもよい。

0033

図3は、この発明の実施の形態による半導体素子の断面図である。図3を参照して、この発明の実施の形態による半導体素子100は、基板1と、単結晶ダイヤモンド層2,3と、電極4,5とを備える。即ち、半導体素子100は、図1に示す単結晶ダイヤモンド10に電極4,5を追加した構成からなる。

0034

電極4,5は、単結晶ダイヤモンド層3に接して単結晶ダイヤモンド層3上に配置される。電極4は、ショットキー接合用の電極であり、電極5は、オーミック接合用の電極である。

0035

電極4は、例えば、Mo/Au、Ru/Au、Au、Ru、PtおよびMoのいずれかからなり、電極5は、例えば、Ti/Mo/Au、Ti/Pt/AuおよびTi/Auのいずれかからなる。

0036

半導体素子100においては、単結晶ダイヤモンド層2は、Bがドープされたp型単結晶ダイヤモンドからなる。B濃度は、例えば、1×1020cm-3である。また、単結晶ダイヤモンド層3は、Bがドープされていてもよいし、Bがドープされていなくてもよい。Bがドープされる場合、B濃度は、1×1015cm-3〜1×1018cm-3である。

0037

半導体素子100は、図2に示す工程図に従って単結晶ダイヤモンド10を製造した後、例えば、蒸着法によって電極4,5を単結晶ダイヤモンド層3上に形成することによって製造される。

0038

図4は、この発明の実施の形態による別の半導体素子の断面図である。この発明の実施の形態による半導体素子は、図4に示す半導体素子100Aであってもよい。

0039

図4を参照して、半導体素子100Aは、基板1の一部をエッチングによって除去し、電極5を基板1および単結晶ダイヤモンド層2に接するように形成した構造からなる。半導体素子100Aにおいては、キャリア(正孔および電子)は、電極4,5間を縦方向に移動するので、直列抵抗を低減できる。

0040

半導体素子100Aは、図2に示す工程図に従って単結晶ダイヤモンド10を製造した後、基板1の一部をエッチング除去し、例えば、蒸着法によって電極4を単結晶ダイヤモンド層3上に形成し、電極5を基板1および単結晶ダイヤモンド層2に接するように形成することによって製造される。

0041

上述したように、この発明の実施の形態による単結晶ダイヤモンド10は、点欠陥を有する単結晶ダイヤモンド層2を基板1上に形成し、単結晶ダイヤモンド層3を単結晶ダイヤモンド層2上に形成した構造からなる。

0042

単結晶ダイヤモンドの成長においては、基板1が転位を有する場合、基板1上に形成された単結晶ダイヤモンドは、基板1の転位を引き継いで成長する。しかし、単結晶ダイヤモンド層2を基板1上に形成した場合、単結晶ダイヤモンド層2中の点欠陥が基板1から引き継がれた転位の伝搬(厚み方向の伝搬)を抑制する。

0043

その結果、単結晶ダイヤモンド層2は、基板1よりも低い転位密度を有する。そして、単結晶ダイヤモンド層3を単結晶ダイヤモンド層2上に形成した場合、単結晶ダイヤモンド層3は、単結晶ダイヤモンド層2中の転位を引き継ぐだけである。その結果、単結晶ダイヤモンド層2,3中の転位密度を基板1の転位密度よりも低減できる。従って、単結晶ダイヤモンド10が基板1/単結晶ダイヤモンド層2/単結晶ダイヤモンド層3の構造からなることによって、基板1の転位密度が単結晶ダイヤモンド層2,3へ伝搬するのを抑制できる。

0044

なお、この発明の実施の形態による単結晶ダイヤモンドは、図1に示す単結晶ダイヤモンド10から単結晶ダイヤモンド層3を削除したものであってもよい。その理由は、次のとおりである、単結晶ダイヤモンドは、基板1/単結晶ダイヤモンド層2の構造からなるが、基板1から伝搬した転位は、単結晶ダイヤモンド層2の途中(単結晶ダイヤモンド層2の厚み方向の途中)で点欠陥によって単結晶ダイヤモンド層2の厚み方向に更に伝搬するのを抑制される。従って、この発明の実施の形態による単結晶ダイヤモンドが基板1/単結晶ダイヤモンド層2の構造を有していれば、基板1よりも低い転位密度を有する単結晶ダイヤモンドを形成できるからである。

0045

以下、この発明の実施の形態による単結晶ダイヤモンドおよびそれを用いた半導体素子について実施例を用いて詳細に説明する。

0046

(実施例1)
CVD製基板を基板1として用いた。CVD製基板は、(100)面を3°オフさせたものである。

0047

そして、sp3 Diamond Technologies社製、Model-650の熱フィラメントCVD装置を単結晶ダイヤモンド層2の成長に用いた。この熱フィラメントCVD装置は、並列に配置された19本の熱フィラメントを有する。熱フィラメントは、純度99.9%のタングステン(W)からなり、直径が0.12mmであり、長さが40cmである。また、熱フィラメントは、基板1との距離が15mmになるように配置された。

0048

CVD製基板を熱フィラメントCVD装置内の支持台上に配置し、熱フィラメントCVD装置内の圧力が1Paになるまで熱フィラメントCVD装置内を真空引きした。

0049

その後、180V、60Aの直流電力を熱フィラメントに印加し、熱フィラメントを2100℃に昇温した。

0050

そして、基板温度を700℃〜800℃に設定し、30sccmのメタン(CH4)ガスと1000sccmの水素(H2)ガスとを熱フィラメントCVD装置内に導入し、熱フィラメントCVD装置内の圧力を3990Paに設定した。その後、10時間、単結晶ダイヤモンドを成長させ、2μmの厚みを有する単結晶ダイヤモンド層2を基板1上に形成した。

0051

単結晶ダイヤモンド層2の形成後、基板1/単結晶ダイヤモンド層2を熱フィラメントCVD装置から取り出し、基板1/単結晶ダイヤモンド層2をSEKIDIAMOND SYSTEMS社製の5kWマイクロ波プラズマCVD装置内の支持台上に設置した。

0052

そして、マイクロ波プラズマCVD装置内の圧力が5×10-5Paになるまでマイクロ波プラズマCVD装置内を真空引きした。

0053

引き続いて、基板温度を900℃に設定し、20sccmのメタン(CH4)ガスと480sccmの水素(H2)ガスとをマイクロ波プラズマCVD装置内に導入し、マイクロ波プラズマCVD装置内の圧力を15960Paに設定した。

0054

そして、2500Wの高周波電力を印加し、マイクロ波プラズマCVD法によって、1時間、単結晶ダイヤモンドを単結晶ダイヤモンド層2上に成長させ、4μmの厚みを有する単結晶ダイヤモンド層3を単結晶ダイヤモンド層2上に形成した。

0055

実施例1における単結晶ダイヤモンド10−1のカソードルミネッセンスを測定した。測定に用いた装置は、日本電子社製のJSM-7001Fである。また、カソードルミネッセンスの測定条件は、加速電圧15kV、試料温度300K、バンドパスフィルター中心波長が430nmである。

0056

図5は、実施例1における単結晶ダイヤモンド10−1のカソードルミネッセンスの測定結果を示す図である。図5の(a)は、実施例1における単結晶ダイヤモンド10−1のカソードルミネッセンスの測定結果を示し、図5の(b)は、ダイヤモンド基板(ダイヤモンドからなる基板1)のカソードルミネッセンスの測定結果を示す。

0057

図5を参照して、実施例1における単結晶ダイヤモンド10−1からの発光は、殆ど、観測されない(図5の(a)参照)。一方、ダイヤモンド基板からは、多くの発光が観測された。
そして、カソードルミネッセンスの測定結果から転位密度を求めた結果、実施例1における単結晶ダイヤモンド10−1の転位密度は、2.6×104cm-2であり、ダイヤモンド基板の転位密度は、2.1×106cm-2であった。

0058

このように、単結晶ダイヤモンド層2/単結晶ダイヤモンド層3の構成を採用することによって、転位密度を約2桁低減できる。ダイヤモンドの分野においては、研究者は、転位密度を減少できるとの認識を有していない。従って、実施例1に示すように転位密度を減少できるとの効果は、当業者予測できない効果である。そして、2.1×106cm-2から2.6×104cm-2へと2桁、転位密度を減少できるという効果は、当業者が全く予測できない効果である。このように、単結晶ダイヤモンド層2/単結晶ダイヤモンド層3の構成を採用することによって、当業者が予測できない顕著な効果を享受できる。

0059

単結晶ダイヤモンド層2中のタングステン濃度を調べるためにSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)を測定した。SIMSの測定に用いた装置は、CAMECA社製のIMS-7fである。

0060

図6は、タングステンの深さ方向に対する分布を示す図である。図6において、縦軸は、タングステン濃度を表し、横軸は、深さ方向の距離を表す。なお、SIMSの測定に用いた単結晶ダイヤモンド層2の厚みは、7.5μmである。

0061

図6を参照して、タングステンは、深さ方向において約2×1018cm-3の濃度で均一に分布することが分かった。このように、タングステンからなる熱フィラメントを用いて熱フィラメントCVD法によって単結晶ダイヤモンドを成長させた場合、タングステンが単結晶ダイヤモンド中に取り込まれることが分かった。また、熱フィラメントCVD法によって成長させたダイヤモンドは、SIMSの測定結果から1.4×1016cm-3のMoおよび1.0×1016cm-3のSiを含むことも分かった。このように、SiおよびMoの含有量は、Wの含有量よりも2桁以上少ない。

0062

そして、上述したカソードルミネッセンスおよびSIMSの測定結果によれば、単結晶ダイヤモンド層2がタングステン、タンタル、レニウム、鉄、ニッケル、コバルト、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、イリジウムおよびリンのいずれかと、MoおよびSiとを含むことによって転位密度を2.6×104cm-2に低減できることが分かった。タングステン、モリブデンおよびシリコンが単結晶ダイヤモンド層2中に含まれることによって単結晶ダイヤモンド10−1の転位密度が低減できることが示されていれば、タングステンと同じように、原子半径がカーボンよりも大きく、かつ、単結晶ダイヤモンドの格子間に入る元素であるタンタル、レニウム、鉄、ニッケル、コバルト、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、イリジウムおよびリンのいずれかと、MoおよびSiとが、単結晶ダイヤモンド層2中に入ることによって、単結晶ダイヤモンド10−1の転位密度を低減できることを容易に理解できるからである。

0063

(比較例1)
実施例1と同じCVD製基板を基板1として用いた。そして、比較例1として、実施例1における単結晶ダイヤモンド層3の形成条件を用いてマイクロ波プラズマCVD法によって単結晶ダイヤモンド層(1層の単結晶ダイヤモンド層からなる)を基板1上に形成した。

0064

そして、形成した単結晶ダイヤモンド層についてカソードルミネッセンスを測定し、転位密度を求めた結果、2.1×106cm-2であった。なお、カソードルミネッセンスの測定に用いた装置および測定条件は、実施例1と同じである。

0065

マイクロ波プラズマCVD法によって単結晶ダイヤモンド層を成長させる場合、タングステン源、シリコン源およびモリブデン源は、マイクロ波プラズマCVD装置内に存在しないので、マイクロ波プラズマCVD法によって成長した単結晶ダイヤモンド層は、タングステン、シリコンおよびモリブデン(即ち、点欠陥)を含まない。その結果、転位密度を基板の転位密度よりも低減することができない。つまり、転位密度の伝搬を抑制できない。タングステンの代わりに、タンタル、レニウム、鉄、ニッケル、コバルト、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、イリジウムおよびリンのいずれかを用いた場合も、同様である。

0066

(実施例2)
転位密度が1×104cm-2である高温高圧基板(HPHT製Ib基板)を基板1として用いた。そして、実施例1における単結晶ダイヤモンド層2の形成条件と同じ条件を用いて熱フィラメントCVD法によってp+型単結晶ダイヤモンドからなる単結晶ダイヤモンド層2を基板1上に形成し、その後、単結晶ダイヤモンド層2の形成条件と同じ形成条件を用いて熱フィラメントCVD法によってp型単結晶ダイヤモンドからなる単結晶ダイヤモンド層3を単結晶ダイヤモンド層2上に形成して単結晶ダイヤモンド(基板1/単結晶ダイヤモンド層2/単結晶ダイヤモンド層3)を作製した。

0067

この場合、p+型単結晶ダイヤモンドを形成する材料ガスとして水素希釈の2%トリメチルボロン(TMB:B(CH3)3)ガスを5sccm、熱フィラメントCVD装置内に導入した。単結晶ダイヤモンド層2のB濃度は、1×1020cm-3である。また、p型単結晶ダイヤモンドを形成する材料ガスとして水素希釈の2%トリメチルボロン(TMB:B(CH3)3)ガスを1sccm、熱フィラメントCVD装置内に導入した。単結晶ダイヤモンド層3のB濃度は、2×1018cm-3である。

0068

そして、実施例2における単結晶ダイヤモンド10−2の単結晶ダイヤモンド層2および単結晶ダイヤモンド層3の各々についてカソードルミネッセンスを測定した。その結果、単結晶ダイヤモンド層2および単結晶ダイヤモンド層3の転位密度は、0cm-2であった。
このように、単結晶ダイヤモンド層2および単結晶ダイヤモンド層3の両方を熱フィラメントCVD法で形成することにより、単結晶ダイヤモンドの転位密度を0cm-2にできることが分かった。

0069

(実施例3)
1.2×106cm-2の転位密度を有する基板1を用いた以外は、実施例1と同様にして基板1/単結晶ダイヤモンド層2/単結晶ダイヤモンド層3からなる単結晶ダイヤモンドを作製した。

0070

図7は、実施例3における単結晶ダイヤモンド10−3のカソードルミネッセンスの測定結果を示す図である。カソードルミネッセンスの測定に用いた測定装置および測定条件は、実施例1において説明したとおりである。

0071

図7を参照して、実施例3における単結晶ダイヤモンド10−3からの発光は、全く、観測されない。従って、実施例3における単結晶ダイヤモンド10−3の転位密度は、0cm-2であることが分かった。なお、カソードルミネッセンスは、単結晶ダイヤモンド10−3の数か所の領域について測定されたが、その全ての領域において、単結晶ダイヤモンド10−3からの発光が観測されず、単結晶ダイヤモンド10−3の転位密度が0cm-2であることを確認した。

0072

(実施例4)
ヘテロダイヤモンドを基板1として用いた。そして、実施例1と同様の熱フィラメントCVD装置を用いてp型単結晶ダイヤモンドからなる単結晶ダイヤモンド層2を基板1上に形成した。

0073

この場合、熱フィラメントの温度、基板温度および熱フィラメントCVD装置内の圧力は、実施例1と同じに設定された。また、材料ガスとして、メタン(CH4)ガス、水素(H2)ガスおよびトリメチルボロン(TMB:B(CH3)3)ガスを用い、メタン(CH4)ガスの流量は、30sccmであり、水素(H2)ガスの流量は、1000sccmである。p型単結晶ダイヤモンドの膜厚は、3μmである。

0074

実施例4における単結晶ダイヤモンド10−4のカソードルミネッセンスを測定した。測定に用いた装置は、実施例1における装置と同じである。カソードルミネッセンスの測定条件は、加速電圧15kV、試料温度80K、バンドパスフィルターの中心波長が430nmである。

0075

図8は、実施例4における単結晶ダイヤモンド10−4のカソードルミネッセンスの測定結果を示す図である。図8の(a)は、実施例4における単結晶ダイヤモンド10−4のカソードルミネッセンスの測定結果を示し、図8の(b)は、ヘテロダイヤモンド(=基板)のカソードルミネッセンスの測定結果を示す。
図8を参照して、実施例4における単結晶ダイヤモンド10−4からの発光は、ヘテロダイヤモンドからの発光よりも少ない。

0076

そして、カソードルミネッセンスの測定結果から転位密度を求めた結果、実施例4における単結晶ダイヤモンド10−4の転位密度は、2×106cm-2であり、ヘテロダイヤモンドの転位密度は、1×108cm-2であった。

0077

このように、単層の単結晶ダイヤモンド層2を基板1上に形成することによって、単結晶ダイヤモンド層2の転位密度を基板1の転位密度よりも約2桁低減できることが分かった。

0078

(実施例5)
実施例1と同じCVD製基板を基板1として用いた。そして、純度99.9%のタンタル(Ta)からなる熱フィラメントを用いて、実施例1の単結晶ダイヤモンド層2の形成条件と同じ形成条件で基板1上に単結晶ダイヤモンド層2を形成し、基板1/単結晶ダイヤモンド層2を作製した。

0079

図9は、実施例5における単結晶ダイヤモンドのカソードルミネッセンスの測定結果を示す図である。図9の(a)は、実施例5における単結晶ダイヤモンド10−5のカソードルミネッセンスの測定結果を示し、図9の(b)は、ダイヤモンド基板(ダイヤモンドからなる基板1)のカソードルミネッセンスの測定結果を示す。なお、カソードルミネッセンスの測定に用いた装置および測定条件は、実施例1と同じである。

0080

図9を参照して、実施例5における単結晶ダイヤモンド10−5からの発光は、殆ど、観測されない(図9の(a)参照)。一方、ダイヤモンド基板からは、多くの発光が観測された。
そして、カソードルミネッセンスの測定結果から転位密度を求めた結果、実施例5における単結晶ダイヤモンド10−5の転位密度は、7.6×104cm-2であり、ダイヤモンド基板の転位密度は、2.1×106cm-2であった。

0081

このように、Taからなる熱フィラメントを用いて単結晶ダイヤモンド層2を形成することによって、転位密度を2.1×106cm-2から7.6×104cm-2へと減少できた。これは、Taからなる熱フィラメントを用いて単結晶ダイヤモンド層2を形成することによって、Ta、SiおよびMoが単結晶ダイヤモンド層2中に入り、点欠陥を形成し、基板1からの転位の伝搬が抑制されたためと考えられる。従って、Taからなる熱フィラメントを用いた場合も、基板1からの転位の伝搬を抑制し、単結晶ダイヤモンド層2の転位密度を低減できることが実証された。
実施例1〜5に示したように、単結晶ダイヤモンド層2の厚みが1μm以上であれば、転位密度を104cm-2台に低減でき、好ましくは、2桁以上低減できることが分かった。

0082

(実施例6)
実施例1と同じCVD製基板を基板1として用いた。そして、実施例1における単結晶ダイヤモンド層2の形成条件と同じ条件を用いてp型単結晶ダイヤモンドからなる単結晶ダイヤモンド層2を基板1上に形成し、その後、実施例1と同様にして単結晶ダイヤモンド層3を単結晶ダイヤモンド層2上に形成して単結晶ダイヤモンド(基板1/単結晶ダイヤモンド層2/単結晶ダイヤモンド層3)を作製した。この場合、p型単結晶ダイヤモンドを形成する材料ガスとして水素希釈の2%トリメチルボロン(TMB:B(CH3)3)ガスを5sccm、熱フィラメントCVD装置内に導入した。また、単結晶ダイヤモンド層2のB濃度は、1×1020cm-3である。

0083

その後、1000℃、15960Pa、5分の条件でマイクロ波プラズマCVD法による水素プラズマを用いて、単結晶ダイヤモンド層3の表面を水素によって終端した。
そして、蒸着法によって、オーミック電極としてTi/Mo/Auを単結晶ダイヤモンド層3上に形成した。この場合、Tiは、10nmの厚みを有し、Moは、10nmの厚みを有し、Auは、30nmの厚みを有する。

0084

オーミック電極の形成後、単結晶ダイヤモンド層3の表面を酸素プラズマによって処理した。この場合、基板温度は、室温であり、酸素(O2)ガスの流量は、60sccmであり、圧力は、5Paである。

0085

酸素プラズマによる処理を行った後、蒸着法によって、ショットキー電極としてMo/Auを単結晶ダイヤモンド層3の表面に形成して半導体素子(図3に示す構造からなる)を作製した。この場合、Moは、10nmの厚みを有し、Auは、30nmの厚みを有する。

0086

(比較例2)
実施例1と同じCVD製基板を基板1として用いた。そして、実施例1における単結晶ダイヤモンド層3の形成条件と同じ形成条件を用いてマイクロ波プラズマCVD法によって単結晶ダイヤモンド層(1層の単結晶ダイヤモンド層からなる)を基板1上に形成した。

0087

その後、実施例6と同様にして単結晶ダイヤモンド層上にオーミック電極およびショットキー電極を形成して半導体素子(基板/単結晶ダイヤモンド層/電極の構造からなる)を作製した。

0088

実施例6における半導体素子および比較例2における半導体素子について室温における電流−電圧特性を測定した。

0089

図10は、室温における実施例6および比較例2の半導体素子の電流−電圧特性を示す図である。図10において、縦軸は、電流を表し、横軸は、電圧を表す。また、図10の(a)は、実施例6における半導体素子の電流−電圧特性を示し、図10の(b)は、比較例2における半導体素子の電流−電圧特性を示す。

0090

図10を参照して、実施例6の半導体素子は、非常に良い整流特性を示し、逆方向飽和電流が1×10-11A未満である(図10の(a)参照)。

0091

一方、比較例2の半導体素子は、整流特性が悪い(図10の(b)参照)。また、比較例2の半導体素子においては、逆方向飽和電流は、1×10-8A〜1×10-6Aであり、実施例6の半導体素子の逆方向飽和電流よりも3桁〜5桁大きい。

0092

図11は、実施例6および比較例2の半導体素子の別の電流−電圧特性を示す図である。図11において、縦軸は、電流密度を表し、横軸は、電圧を表す。また、図11の(a)は、実施例6における10個の半導体素子の電流−電圧特性を示し、図11の(b)は、比較例2における10個の半導体素子の電流−電圧特性を示す。

0093

図11を参照して、実施例6の半導体素子は、非常に良い整流特性を示し、逆方向飽和電流が1×10-7(A/cm2)程度である。また、実施例6の半導体素子は、均一性の良い電流−電圧特性を示す(図11の(a)参照)。

0094

一方、比較例2の半導体素子は、整流特性が悪く、逆方向飽和電流が10-7(A/cm2)〜10-1(A/cm2)台である。従って、比較例2の半導体素子においては、電流−電圧特性のバラツキが非常に大きい(図11の(b)参照)。

0095

図12は、室温における半導体素子のリーク電流と電界強度との関係を示す図である。図12において、縦軸は、リーク電流を表し、横軸は、電界強度を表す。また、曲線k1は、実施例6における半導体素子のリーク電流と電界強度との関係を示し、曲線k2は、比較例2における半導体素子のリーク電流と電界強度との関係を示す。

0096

図12を参照して、実施例6における半導体素子のリーク電流は、電界強度が1.4[MV/cm]までは、1×10-10[A]よりも小さく、電界強度が2[MV/cm]よりも大きくなるに従って増加する。そして、実施例6における半導体素子は、約4.0[MV/cm]の電界強度でブレークダウンする(曲線k1参照)。

0097

一方、比較例2における半導体素子のリーク電流は、電界強度が0.3[MV/cm]までは、1×10-8[A]以下である。そして、比較例2における半導体素子は、0.4[MV/cm]の電界強度でブレークダウンする(曲線k2参照)。

0098

従って、実施例6における半導体素子は、比較例2における半導体素子よりもリーク電流が小さく、ブレークダウン電界強度が10倍以上大きい。このように、大きいブレークダウン電界強度が得られるのは、単結晶ダイヤモンド層2,3の転位密度が低減されたからであると考えられる。

0099

ショットキー接合を有する半導体素子の電流−電圧特性は、次式によって表される。
I=I0[exp(qV/nkT)−1]・・・(1)
式(1)において、Iは、電流であり、Vは、電圧であり、I0は、飽和電流であり、qは、素電荷であり、kは、ボルツマン定数であり、nは、理想因子である。nが理想値である“1”に近い方が電流−電圧特性が良いことを表す。

0100

実測した電流−電圧特性を式(1)にフィッティングすることによって、実施例6および比較例2の半導体素子についてn値を求めた。その結果、実施例6の半導体素子のn値は、1.1であり、比較例2の半導体素子のn値は、2.7であった。

0101

また、ショットキー接合の障壁高さ(Barrier Height)を実施例6および比較例2の半導体素子について求めた。その結果、実施例6の半導体素子の障壁高さは、1.38eVであり、比較例2の半導体素子の障壁高さは、0.95eVであった。

0102

このように、実施例6の半導体素子は、比較例2の半導体素子よりもn値が理想値に近く、障壁高さが大きいことが分かった。これは、上述したように単結晶ダイヤモンド層2,3の転位密度が低減されたからであると考えられる。

0103

(実施例7)
転位密度が1×104cm-2である高温高圧基板(HPHT製Ib基板)を基板1として用いた。そして、実施例2における基板1/単結晶ダイヤモンド層2/単結晶ダイヤモンド層3を作製した後、実施例6と同様にして、オーミック電極としてTi/Mo/Auを単結晶ダイヤモンド層3の表面に形成し、ショットキー電極としてMo/Auを単結晶ダイヤモンド層3の表面に形成して半導体素子(図3に示す構造からなる)を作製した。この場合、オーミック電極におけるTi,Mo,Auの各々の厚み、およびショットキー電極におけるMo,Auの各々の厚みは、上述したとおりである。

0104

図13は、室温における実施例7の半導体素子の電流−電圧特性を示す図である。図13において、縦軸は、電流密度を表し、横軸は、電圧を表す。図13を参照して、p型単結晶ダイヤモンドからなる単結晶ダイヤモンド層3をドリフト層として用いた半導体素子(ショットキー素子)は、整流特性を示すことが分かった。実施例2に示すように、単結晶ダイヤモンド層3が2.0×1018cm-3のB濃度を含んでいるのにも拘わらず、半導体素子(ショットキー素子)は、整流特性を示すことが実証された。従来の半導体素子(ショットキー素子)においては、ドリフト層が1018cm-3台のB濃度を含んでいれば、整流特性が得られない。

0105

(実施例8)
実施例1と同じCVD製基板を基板1として用いた。そして、実施例1における単結晶ダイヤモンド層2の形成条件と同じ形成条件を用いて熱フィラメントCVD法によってp型単結晶ダイヤモンドからなる単結晶ダイヤモンド層2を基板1上に形成し、その後、基板1/単結晶ダイヤモンド層2を熱フィラメントCVD装置から取り出し、基板1/単結晶ダイヤモンド層2をSEKIDIAMOND SYSTEMS社製の5kWマイクロ波プラズマCVD装置内の支持台上に設置した。

0106

そして、マイクロ波プラズマCVD装置内の圧力が5×10-5Paになるまでマイクロ波プラズマCVD装置内を真空引きした。

0107

引き続いて、基板温度を900℃に設定し、20sccmのメタン(CH4)ガスと480sccmの水素(H2)ガスとをマイクロ波プラズマCVD装置内に導入し、マイクロ波プラズマCVD装置内の圧力を15960Paに設定した。

0108

そして、2500Wの高周波電力を印加し、マイクロ波プラズマCVD法によって、1時間、p型単結晶ダイヤモンドからなる単結晶ダイヤモンド層3を単結晶ダイヤモンド層2上に形成した。

0109

その後、実施例6と同様にして、オーミック電極としてTi/Mo/Auを単結晶ダイヤモンド層3の表面に形成し、ショットキー電極としてMo/Auを単結晶ダイヤモンド層3の表面に形成して半導体素子(図3に示す構造からなる)を作製した。この場合、オーミック電極におけるTi,Mo,Auの各々の厚み、およびショットキー電極におけるMo,Auの各々の厚みは、上述したとおりである。

0110

p型単結晶ダイヤモンドからなる単結晶ダイヤモンド層2は、1.4μmの厚みを有し、2.5×1018cm-3のB濃度を有する。また、p型単結晶ダイヤモンドからなる単結晶ダイヤモンド層3は、5μmの厚みを有し、2×1015cm-3のB濃度を有する。

0111

(比較例3)
実施例1と同じCVD製基板を基板1として用いた。そして、実施例8における単結晶ダイヤモンド層3の形成条件と同じ形成条件を用いて、p型単結晶ダイヤモンドからなる単結晶ダイヤモンド層3を基板1上に形成した。単結晶ダイヤモンド層3は、5μmの厚みを有し、2×1015cm-3のB濃度を有する。

0112

そして、実施例6と同様にして、オーミック電極としてTi/Mo/Auを単結晶ダイヤモンド層3の表面に形成し、ショットキー電極としてMo/Auを単結晶ダイヤモンド層3の表面に形成して半導体素子を作製した。オーミック電極におけるTi,Mo,Auの各々の厚み、およびショットキー電極におけるMo,Auの各々の厚みは、実施例8と同じである。

0113

図14は、室温における実施例8および比較例3の半導体素子の電流−電圧特性を示す図である。図14において、縦軸は、電流密度を表し、横軸は、電圧を表す。また、図14の(a)は、実施例8における半導体素子の電流−電圧特性を示し、図14の(b)は、比較例3における半導体素子の電流−電圧特性を示す。

0114

図14を参照して、実施例8の半導体素子は、非常に良い整流特性を示し、逆方向飽和電流が2×10-7A未満である (図14の(a)参照)。図14の(a)においては、65個の半導体素子の電流−電圧特性を示すが、実施例8における65個の半導体素子は、非常に均一性が良い電流−電圧特性を示す。

0115

一方、比較例3の半導体素子においては、実施例8の半導体素子と同程度の整流特性を示す半導体素子が23個であり、42個の半導体素子は、10-7〜100(A/cm2)台の逆方向飽和電流を示す(図14の(b)参照)。このように、比較例3の半導体素子は、均一性が非常に悪い電流−電圧特性を示す。

0116

このように、実施例8の半導体素子は、非常に均一性が良い整流特性を示すが、これは、単結晶ダイヤモンド層3の転位密度が低いためであると考えられる。

0117

なお、図14に示す実施例8および比較例3の半導体素子の電流−電圧特性においては、順方向飽和電流密度が約100(A/cm2)と同じレベルであるので、図14に示す電流−電圧特性は、電流が単結晶ダイヤモンド層3を基板1に平行な方向に流れるときの電流−電圧特性を示すものである。

0118

図15は、実施例8および比較例3の半導体素子の理想因子(n値)を示す図である。図15を参照して、実施例8の半導体素子は、1.29〜1.50の範囲のn値を有し、比較例3の半導体素子は、1.21〜5.71の範囲のn値を有する。

0119

このように、実施例8の半導体素子のn値は、均一性の良い分布を示し、比較例3の半導体素子のn値は、非常にバラツキの大きい分布を示す。

0120

図16は、実施例8および比較例3の半導体素子のバイアハイトを示す図である。図16を参照して、実施例8の半導体素子は、1.30〜1.39の範囲のバリアハイトを有し、比較例3の半導体素子は、0.68〜1.34のバリアハイトを有する。

0121

このように、実施例8の半導体素子は、バリアハイトにおいても均一性の良い分布を示し、比較例3の半導体素子は、バリアハイトにおいても非常にバラツキの大きい分布を示す。

0122

上述したように、電流が単結晶ダイヤモンド層3を基板1に平行な方向に流れる半導体素子(ショットキー素子)において、単結晶ダイヤモンド層2/単結晶ダイヤモンド層3の構成を採用することによって、電流−電圧特性の均一性が飛躍的に向上することが分かった。これは、実施例8の半導体素子が均一性の良いn値およびバリアハイトを有するためである。

0123

この発明は、単結晶ダイヤモンドおよびそれを用いた半導体素子に適用される。

0124

1基板
2,3単結晶ダイヤモンド層
4,5電極
10単結晶ダイヤモンド
100,100A半導体素子。

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