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技術 タンパク質凝集体の除去方法

出願人 昭和電工株式会社
発明者 松井菜津乃小木戸謙青木裕史米田正
出願日 2016年4月18日 (4年2ヶ月経過) 出願番号 2016-082707
公開日 2019年7月4日 (11ヶ月経過) 公開番号 2019-108274
状態 未査定
技術分野 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード 自己支持構造 流速条件 保護水 高分子構造体 保存過程 多孔質高分子 多孔性高分子 許容圧力
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

医薬品等原料として有用なタンパク質モノマーを、工業的かつ経済的に、高収率かつ高純度で得ることを目的とする。

解決手段

タンパク質モノマーおよびタンパク質凝集体を含む塩含有緩衝液移動相として、陰イオン交換基が固定された多孔性高分子自己支持構造物を保持するカラム通液することにより、凝集体をカラムに吸着させ、モノマーをフロースルー回収することを特徴とするタンパク質凝集体の除去方法

概要

背景

バイオ医薬品の製造工程の中で、タンパク質二量体三量体等の凝集体を形成し、形成されたタンパク質凝集体目的物質由来不純物となることがある。タンパク質は製造過程濃縮酸性pH暴露加温操作)や保存過程溶液凍結溶液凍結乾燥)において分子間で会合し、凝集体を形成することが知られており、これが薬効の低下や免疫原性発現等、医薬品にとって有害な影響をもたらすことが懸念されている。そのため、不純物である凝集体を人体に有害な影響がなくなる程度まで除去することが望まれている。
これをふまえ医薬用タンパク質、特に抗体タンパク質などを精製することを目的として、クロマトグラフィーによって凝集体を除去する方法が多数開発された。

報告された方法としてはアニオン交換多孔性膜を用いて、卵白タンパク質の分離を実施しているものがある(特許文献1)。その際にはアニオン交換多孔性膜に全てのタンパク質を吸着させる必要があり、大容量での分離は困難である。そこで、より工業的・経済的に分離できる方法が求められていた。

また、アニオン交換基が固定された多孔質吸着膜を用いた抗体モノマー精製方法について報告されている(特許文献2)。しかし、バイオテクノロジー産業において大量精製が必要となるのは、抗体だけに限らず種々のタンパク質であり、様々なタンパク質モノマーの精製に用いることが可能な方法が求められていた。

概要

医薬品等原料として有用なタンパク質モノマーを、工業的かつ経済的に、高収率かつ高純度で得ることを目的とする。 タンパク質モノマーおよびタンパク質凝集体を含む塩含有緩衝液移動相として、陰イオン交換基が固定された多孔性高分子自己支持構造物を保持するカラム通液することにより、凝集体をカラムに吸着させ、モノマーをフロースルー回収することを特徴とするタンパク質凝集体の除去方法。 なし

目的

そのため、不純物である凝集体を人体に有害な影響がなくなる程度まで除去することが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

タンパク質モノマーおよびタンパク質凝集体を含む塩含有緩衝液移動相として、陰イオン交換基が固定された多孔性高分子自己支持構造物を保持するカラム通液することにより、凝集体をカラムに吸着させ、モノマーをフロースルー回収することを特徴とするタンパク質凝集体の除去方法

請求項2

タンパク質モノマー、タンパク質凝集体を含む緩衝液を、陰イオン交換基が固定された多孔性高分子自己支持構造物を保持するカラムに給液することにより、前記タンパク質モノマー、前記タンパク質凝集体をカラムに負荷する工程と、前記タンパク質モノマー、前記タンパク質凝集体を負荷したカラムに、塩含有緩衝液を移動相として通液することにより前記凝集体を吸着させ、前記タンパク質モノマーをフロースルー様式で回収する工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の除去方法。

請求項3

前記多孔性高分子自己支持構造物を構成するためのモノマーが、グリシジルメタクリレートアルキレンジメタクリレート類である請求項1または請求項2に記載の除去方法。

請求項4

前記アルキレンジメタクリレート類が、エチレングリコールジメタクリレートである請求項3に記載の除去方法。

請求項5

前記陰イオン交換基が、4級アンモニウム基である請求項1〜4のいずれかに記載の除去方法。

請求項6

前記多孔性高分子自己支持構造物の通液方向の厚さが、1〜100mmである請求項1〜5のいずれかに記載の除去方法。

請求項7

移動相の流速が2CV/分以上である請求項1〜6のいずれかに記載の除去方法。

請求項8

前記タンパク質が、アルブミン、またはイムノグロブリンである請求項1〜7に記載の除去方法。

技術分野

0001

本発明は、タンパク質モノマーおよびタンパク質凝集体を含む溶液からタンパク質凝集体を除去する方法に関する。

背景技術

0002

バイオ医薬品の製造工程の中で、タンパク質が二量体三量体等の凝集体を形成し、形成されたタンパク質凝集体が目的物質由来不純物となることがある。タンパク質は製造過程濃縮酸性pH暴露加温操作)や保存過程(溶液、凍結溶液凍結乾燥)において分子間で会合し、凝集体を形成することが知られており、これが薬効の低下や免疫原性発現等、医薬品にとって有害な影響をもたらすことが懸念されている。そのため、不純物である凝集体を人体に有害な影響がなくなる程度まで除去することが望まれている。
これをふまえ医薬用タンパク質、特に抗体タンパク質などを精製することを目的として、クロマトグラフィーによって凝集体を除去する方法が多数開発された。

0003

報告された方法としてはアニオン交換多孔性膜を用いて、卵白タンパク質の分離を実施しているものがある(特許文献1)。その際にはアニオン交換多孔性膜に全てのタンパク質を吸着させる必要があり、大容量での分離は困難である。そこで、より工業的・経済的に分離できる方法が求められていた。

0004

また、アニオン交換基が固定された多孔質吸着膜を用いた抗体モノマー精製方法について報告されている(特許文献2)。しかし、バイオテクノロジー産業において大量精製が必要となるのは、抗体だけに限らず種々のタンパク質であり、様々なタンパク質モノマーの精製に用いることが可能な方法が求められていた。

先行技術

0005

特開平11−12300号公報
特開2010−241761号公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、医薬品等原料として有用なタンパク質モノマーを、工業的かつ経済的に、高収率かつ高純度で得ることを目的とする。より具体的にはタンパク質モノマーおよびタンパク質凝集体を含む混合物からタンパク質凝集体を高速で除去し、タンパク質モノマーを高収率で得るための方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明らは、タンパク質凝集体の除去方法について鋭意検討を行った。その結果、陰イオン交換官能基が固定された多孔性高分子自己支持構造物を保持するカラムを用いてクロマトグラフィーを行うと、タンパク質モノマーを高流速条件回収できることを見出し、本発明を完成した。

0008

本発明は以下の通りである。
[1]タンパク質モノマーおよびタンパク質凝集体を含む塩含有緩衝液移動相として、陰イオン交換基が固定された多孔性高分子自己支持構造物を保持するカラムに通液することにより、凝集体をカラムに吸着させ、モノマーをフロースルーで回収することを特徴とするタンパク質凝集体の除去方法。
[2] タンパク質モノマー、タンパク質凝集体を含む緩衝液を、陰イオン交換基が固定された多孔性高分子自己支持構造物を保持するカラムに給液することにより、前記タンパク質モノマー、前記タンパク質凝集体をカラムに負荷する工程と、前記タンパク質モノマー、前記タンパク質凝集体を負荷したカラムに、塩含有緩衝液を移動相として通液することにより前記凝集体を吸着させ、前記タンパク質モノマーをフロースルー様式で回収する工程と、を有することを特徴とする[1]に記載の除去方法。
[3] 前記多孔性高分子自己支持構造物を構成するためのモノマーが、グリシジルメタクリレートアルキレンジメタクリレート類である[1]または[2]に記載の除去方法。
[4] 前記多孔性高分子自己支持構造物を構成するためのモノマーが、グリシジルメタクリレートとエチレングリコールジメタクリレートである[3]に記載の除去方法。
[5] 前記陰イオン交換基が、4級アンモニウム基である[1]〜[4]のいずれかに記載の除去方法。
[6] 前記多孔性高分子自己支持構造物の通液方向の厚さが、1〜100mmである[1]〜[5]のいずれかに記載の除去方法。
[7] 移動相の流速が2CV/分以上である[1]〜[6]のいずれかに記載の除去方法。
[8] 前記タンパク質が、アルブミン、またはイムノグロブリンである[1]〜[7]に記載の除去方法。

発明の効果

0009

本発明のタンパク質凝集体の除去方法によれば、医薬品等の原料として有用なタンパク質モノマーを、工業的かつ経済的に、高収率かつ高純度で得ることができる。より具体的にはタンパク質モノマーおよびタンパク質凝集体を含む混合物からタンパク質凝集体を高速で除去し、タンパク質モノマーを高収率で得ることができる。

0010

以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、本発明はそれらに限定されるものではない。

0011

[タンパク質凝集体の除去方法]
本発明のタンパク質凝集体の除去方法は、タンパク質モノマーおよびタンパク質凝集体を含む塩含有緩衝液を移動相として、陰イオン交換基が固定された多孔性高分子自己支持構造物を保持するカラムに通液することにより、前記タンパク質凝集体を吸着させ、前記タンパク質モノマーをフロースルー様式で回収することを特徴とする。

0012

<陰イオン交換基>
本実施の形態において、陰イオン交換基は、液中で負に帯電したタンパク質等を吸着することができればよく、特に限定されないが、例えば、ジエチルアミノ基、四級アンモニウム基四級アミノエチル基ジエチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基などが挙げられる。陰イオン交換基としてはジエチルアミノ基及び四級アンモニウム基が好ましく、四級アンモニウム基がより好ましい。

0013

<多孔性高分子自己支持構造物>
多孔性高分子自己支持構造物とは、架橋された高分子構造体であり、多孔質である。自己支持構造物とは、粒子状等ではなく、それ自体が一つの塊であり、形状を保持できるものを意味する。この多孔性高分子自己支持構造物は、2つ以上のエチレン性二重結合を有するモノマー(ポリビニルモノマー)と、一つのエチレン性二重結合を有するモノマー(モノビニルモノマー)にポロゲン(後述)を加えてバルク重合することで得ることができる。不活性溶媒を除くことで多孔質となる。多孔質のその孔は全体にわたって均一な孔径分布を有する。孔径は1〜1000nmの範囲である。形状は、板状、管状、円筒状等、一体構造に形成されている。

0014

多孔性高分子自己支持構造物を構成するためのモノマーとしては、例えば、ポリビニルモノマーおよびモノビニルモノマーを使用することができる。

0015

ポリビニルモノマーとしては、ジビニルベンゼンジビニルナフタレン、ジビニルピリジン、ジメタクリレート類、ジアクリレート類、ビニルエステル類ジビニルエーテルなどのビニルエーテル類エチレンビスアクリルアミドプロピレンビスアクリルアミドなどのアルキレンビスアクリルアミド類及びそれらの混合物を使用することができる。
ジメタクリレート類としては、エチレングリコールジメタクリレートやプロピレングリコールジメタクリレートなどのアルキレンジメタクリレート類が挙げられる。さらにペンタエリトリトールジ−、トリ−若しくはテトラメタクリレートトリメチロールプロパントリメタクリレートまたはアクリレートを使用することができる。
ジアクリレート類としては、エチレングリコールジアクリレート類が挙げられる。さらにペンタエリトリトールジ−、トリ−、もしくはテトラアクリレートを使用することができる。

0016

モノビニルモノマーとしては、スチレン置換スチレン(ただし、置換基クロロメチル基、18までの炭素原子を有するアルキル基水酸基、t−ブチルオキシカルボニル基、ハロゲン基ニトロ基アミノ基、保護水酸基またはアミノ基を包含する)、ビニルナフタレンアクリル酸エチルなどのアクリル酸エステル類、グリシジルメタクリレート、メチルメタクリレートヒドロキシエチルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル類酢酸ビニル及びN−ビニルピロリドン、並びにそれらの混合物を使用することができる。

0017

多孔性高分子自己支持構造物を構成するモノビニルモノマーとしては、陰イオン交換基を保持することのできる官能基を有するモノマーが好ましい。具体的にはグリシジルメタクリレートとアルキレンジメタクリレート類、好ましくはグリシジルメタクリレートとエチレングリコールジメタクリレートが挙げられる。

0018

多孔性高分子自己支持構造物としては、具体的には、CIM登録商標QADISK、QA−1Tube Monolothic Column, CIM QA−8 Tube Monolithic Column, CIM QA−80 Tube Monolithic Column, CIM QA−800 Tube Monolithic Column, CIM q、A−8000 Tube Monolithic Column,DEAEDISK、DEAE−1Tube Monolothic Column, CIM DEAE−8 Tube Monolithic Column, CIM QA−80 Tube Monolithic Column, CIM QA−800 Tube Monolithic Column, CIM DEAE−8000 Tube Monolithic Columnが挙げられる。 なお、これらは全てグリシジルメタクリレートとエチレングリコールジメタクリレートの共重合体変性物である。この共重合体は、ポロゲンと重合開始剤の存在下で、グリシジルメタクリレートとエチレングリコールジメタクリレートの混合物から製造される。
ポロゲンとは、多孔を形成するための添加物質であり、脂肪族炭化水素類芳香族炭化水素類エステル類アルコール類ケトン類エーテル類可溶性高分子、およびそれらの混合物のような異なる種類の材料などが使用できる。好ましくはノルマルヘキサンである。

0019

重合開始剤としては、フリーラジカル発生開始剤が使用できる。具体的にはアゾビスイソブチロニトリルや2,2’−アゾビスイソブチルアミドジヒドレートなどのアゾ化合物過酸化ベンゾイルや過酸化ジプロピルカルボン酸エステルなどの過酸化物が使用できる。種類の異なる重合開始剤を用いると、形の異なる孔構造を形成することができる。重合開始剤の量は、モノマー100質量部に対して好ましくは0.5〜4質量部である。
共重合体を製造するとき、ポロゲンとして可溶性高分子が添加されていてもよい。可溶性高分子は重合後に洗浄溶媒により溶解し除去される。可溶性高分子が添加されていると、孔構造がより多く形成される。可溶性高分子の量は、全体のモノマー100質量部に対して、好ましくは10〜40質量部の量である。
ポロゲンや重合開始剤を含むグリシジルメタクリレートとエチレングリコールジメタクリレートの混合物は、成形型の中に入れる前に、窒素又はアルゴンのような不活性ガスを用いて脱気することが好ましい。成形型は、空気汚染を防ぐために密封することが好ましい。
重合は、例えば、40〜50時間、50℃〜90℃の温度で加熱して行うことができる。
重合後、管を洗浄し、かつポロゲンとして用いた溶媒や可溶性高分子を除去する。洗浄のための溶媒としては、メタノールエタノールベンゼントルエンアセトンテトラヒドロフランなどが使用できる。洗浄工程は複数回繰り返してもよい。
また、陰イオン交換基として4級アンモニウム基を導入する場合の例としては、トリエチルアミンヒドロクロライドを使用して四級トリメチルアミノ基の導入を行うことができる。

0020

この構造体は、静置したとき、その形状を自己支持できる機械的強度を保持する。すなわち、ビーズ状の多孔質高分子担体や、多孔膜を用いるものとは物理的構造が異なる。

0021

多孔性高分子自己支持構造物の通液方向の厚さは1〜100mmであることが好ましい。好ましくは2〜70mm、より好ましくは3〜60mm、さらに好ましくは3〜50mmである。多孔性高分子自己支持構造物の厚さを1mm以上とすることにより、十分な機械的強度を持つ。多孔性高分子自己支持構造物の厚さを100mm以下とすることにより、多孔性高分子自己支持構造物の破壊を生じない圧力を保ち、ポンプ圧の上昇を防ぐことができる。

0022

<カラム>
カラムは、陰イオン交換基が固定された多孔性高分子自己支持構造物を含んでいる。すなわち、カラムは、板状、管状、円筒状等の形状をなす多孔性高分子自己支持構造物のみから構成されていてもよく、所定量の多孔性高分子自己支持構造物を、筒状に容器に収容(保持)してなるものであってもよい。
カラムの大きさ(カラムボリューム)は特に制限されず、吸着させるタンパク質凝集体の量に応じて適宜調整される。

0023

<タンパク質>
本発明の方法によってタンパク質凝集体を除去できるタンパク質としては、特に制限されないが、水性溶液中で凝集を生じやすい凝集性タンパク質であることが好ましい。凝集性タンパク質の凝集の生じやすさは、タンパク質を構成するアミノ酸組成及びその配列、立体的配置に依存するとされる。凝集を生じやすいタンパク質の構造としては、、親水性側鎖を持つアミノ酸が分子表面の一部に局在するタンパク質、また水素結合力による会合を誘発する特定の高次構造、たとえばβシートなどを分子表面に提示するタンパク質、金属イオン等の結合によるキレート性の部位をもつタンパク質、等が挙げられる。これらはそれぞれのタンパク質の適正なフォールディングの結果これらの構造を有するタンパク質に限定されず、溶液のpHや疎水性変性剤の存在、加熱、振盪撹拌などの物理的作用により生じる変性電荷中和等の結果これら構造を有するよう変化したタンパク質も含まれる。これらの構造を有するタンパク質としては、IgGIgAIgM等のイムノグロブリン、インターロイキンケモカインインターフェロン、G−CSFエリスロポエチン、EGF、FGF、TGF、BDNF、VEGF、GM−CSF、PDGF、EPO、TPO、bFGF、HGF、TNF−α、TGF−β、PAI−1、HB−EGF、レプチン、アディポネプチン、NGF等のサイトカインヒト成長ホルモンインスリングルカゴン等のタンパク質ホルモン血液凝固因子、アルブミン、リゾチームRNaseA、シトクロムcなどが挙げられる。なかでも、疎水性の高いアミノ酸を分子の外側に多く配向する、またはそのようなアミノ酸が分子表面の一部に局在するタンパク質、双極子性に基づく分子間の静電的会合を生じやすいアニオン性またはカチオン性の電荷をもつアミノ酸がそれぞれ局在し分極傾向にあるタンパク質がさらに好ましく、このようなタンパク質として具体的には、IgG、IgA、IgM等のイムノグロブリン、アルブミンが挙げられる。

0024

<タンパク質モノマー>
タンパク質モノマーとは、タンパク質1分子のことを示す。

0025

<タンパク質凝集体>
タンパク質凝集体とは、タンパク質モノマーが疎水性相互作用静電的相互作用、その他の相互作用により可逆的または不可逆的に吸着、凝集したタンパク質複合体のことである。

0026

(第1実施態様)
<タンパク質凝集体のカラムへの吸着とタンパク質モノマーのフロースルー>
本発明の第1実施態様として、タンパク質モノマー、タンパク質凝集体を、緩衝液に溶解させて溶液を調整し(以下、この溶液を「タンパク質溶液」と言う。)、この溶液を移動相として陰イオン交換基が固定された多孔性高分子自己支持構造物を保持するカラムに通液することにより、タンパク質凝集体をカラムに吸着させ、タンパク質モノマーをフロースルーで回収することができる。タンパク質溶液に用いる緩衝液は緩衝液に無機塩を溶解させた塩含有緩衝液が好ましい。

0027

<フロースルー様式>
フロースルー様式とは、回収したい目的物クロマトグラフィーデバイスに吸着されず、通過することを意味する。本発明においては、タンパク質凝集体をカラムに吸着させ、タンパク質モノマーをこの様式により回収する。

0028

緩衝液としては特に制限されないが、例えば、リン酸緩衝液クエン酸緩衝液、トリス(トリスヒドロキシメチルアミノメタン)緩衝液、酢酸緩衝液ホウ酸緩衝液等が使用できる。これらの中でも、緩衝能を有する使用pH範囲の点から、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液が好ましい。
緩衝液の濃度は特に制限されないが、好ましくは1〜100mM、より好ましくは2〜50mM、さらに好ましくは5〜30mMである。
緩衝液のpHは特に制限されないが、好ましくはpH2〜9、より好ましくはpH3〜8、さらに好ましくはpH4〜7.5である。

0029

<塩>
塩含有緩衝液に用いる塩としては、例えば塩化ナトリウム硫酸ナトリウム酢酸ナトリウム硫酸アンモニウムなどのほか、クエン酸リン酸またはグリシン金属塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、さらに好ましくは塩化ナトリウムである。

0030

塩濃度はカラムにタンパク質モノマーは吸着せず、タンパク質凝集体のみが吸着するのに十分な量であることが好ましい。かつタンパク質モノマーおよびタンパク質凝集体の結合または沈殿を引き起こさないほど十分に少ない量であることが好ましい。具体的には、塩として塩化ナトリウムを用いる場合、緩衝液に対する濃度は、好ましくは0.05〜0.50M、より好ましくは0.05〜0.30M、さらに好ましくは0.10〜0.30Mである。それぞれの精製プロセスについて、予備実験等により塩の最適な量および好ましい種類を選択することが好ましい。

0031

タンパク質を塩含有緩衝液に溶解させるとき、濃度は、好ましくは0.01〜10mg/mL、より好ましくは0.1〜5mg/mL、さらに好ましくは0.2〜3mg/mLである。
カラム体積1mLあたりのタンパク質負荷量は、好ましくは250μg〜60mg、より好ましくは500μg〜50mg、さらに好ましくは750μg〜40mgである。

0032

タンパク質溶液をカラムに通液する前に、カラムに緩衝液を通して平衡化しておくことが好ましい。
平衡化に用いる緩衝液の種類、濃度、pHは、タンパク質を溶解する塩含有緩衝液と同様のものを用いることができる。
平衡化に要する緩衝液の量は特に制限されないが、好ましくは1CV(カラム容積倍数)以上、より好ましくは2CV以上、さらに好ましくは4CV以上である。

0033

カラムにタンパク質溶液を通液する際、カラムおよびタンパク質溶液の温度は、特に制限されないが、好ましくは2〜50℃、より好ましくは4〜40℃、さらに好ましくは8〜30℃である。当該範囲にすることにより、タンパク質溶液の凍結、タンパク質の破壊を防ぐことができる。

0034

タンパク質溶液の流速は目的を達成できる範囲であれば制限されないが、
好ましくは2〜12.5CV/分、より好ましくは2.5〜5CV/分、さらに好ましくは4〜5CV/分である。

0035

本発明においては、タンパク質溶液のpH範囲は限定されない。また、本発明は単独で行ってもよく、イオン交換クロマトグラフィー、アフィティークロマトグラフィーによる精製行程のあとに行ってもよい。
したがって本発明はより自由な条件のもとで、タンパク質モノマーを高収率かつ高純度で得ることができる。

0036

以上の知見を用いてタンパク質モノマーを選択的に回収するための条件検討を行えば、条件検討を短時間化することができる。特に、本発明においては、カラムの通液方向の厚さまたはカラムの直径を変更しても、カラムのイオン交換基構成モノマー・温度・圧力、緩衝液、塩含有緩衝液、移動相の流速(CV/分)等の条件を変更せずに精製することができるので、条件検討を短時間化することができる。

0037

<タンパク質凝集体の溶出とカラムの再生
なお、上述の方法でタンパク質モノマーを溶出させた後に、塩濃度を高めた塩含有緩衝液をカラムに通すことにより、タンパク質凝集体を溶出させることができる。タンパク質凝集体を溶出させた後、平衡化に用いる前述の緩衝液と同様のものを再び通すことにより、カラムを再生することもできる。

0038

(第2実施態様)
本発明においてはまた、カラムの平衡化の後、「タンパク質モノマーおよびタンパク質凝集体のカラムへの負荷」工程と、「タンパク質モノマーのフロースルー」工程とを分けて行うこともできる。

0039

第2実施態様のタンパク質凝集体の除去方法は、タンパク質モノマー、タンパク質凝集体を含む緩衝液を、陰イオン交換基が固定された多孔性高分子自己支持構造物を保持するカラムに給液することにより、前記タンパク質モノマー、タンパク質凝集体をカラムに負荷する工程と、前記タンパク質モノマー、前記タンパク質凝集体を負荷したカラムに、塩含有緩衝液を通すことにより前記タンパク質凝集体を吸着させ、前記タンパク質モノマーをフロースルー様式で回収する工程と、を有することを特徴とする。

0040

本工程に用いる緩衝液と塩は、上述第1実施態様に用いる緩衝液と塩を使用することができる。
緩衝液の種類、濃度、pHは、カラムを平衡化する緩衝液と同様のものを用いることができるし、異なっていてもよいが、同じであることが望ましい。

0041

カラムに移動相として塩含有緩衝液を通す際、カラムおよび移動相の温度は、特に制限されないが、好ましくは2〜50℃、より好ましくは4〜40℃、さらに好ましくは8〜30℃である。当該範囲にすることによりタンパク質溶液の凍結、タンパク質の破壊を防ぐことができる。

0042

<タンパク質凝集体の溶出とカラムの再生>
本発明の第2実施態様において、本発明の第1実施態様と同様に、タンパク質凝集体の溶出とカラムの再生をすることができる。

0043

以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
実施例において、回収率純度、凝集体含量を次のように定義する。
<回収率>
フロースルー様式でカラムから出たアルブミン全量とカラムに吸着させたアルブミン凝集体の全量、すなわちアルブミンおよびアルブミン凝集体の合計に対しての、フロースルー様式で回収されたアルブミンモノマーの比率として計算される。
具体的には、クロマトグラム上でのフロースルー部分の面積を、フロースルー部分とカラム再生時の塩含有緩衝液によるタンパク質凝集体溶出部分との面積の和で割った値を回収率とする。
<純度>
回収されたサンプル中のアルブミンの全量、すなわちアルブミンモノマーおよびアルブミン凝集体の合計に対してのアルブミンモノマーの比率として計算される。
具体的にはフロースルーでの回収分を昭和電工株式会社製のShodex(登録商標)KW403−4fによるサイズ排除クロマトグラフィーを用いて測定することにより求める。クロマトグラム上でのタンパク質モノマーのピーク面積をアルブミン全量の面積で割った値を純度とする。なお、アルブミン全量の面積は凝集体ピーク面積とモノマーのピーク面積との和とする。クロマトグラム作成には、島津製作所のUV−VIS検出器SPD−M30Aを用いた。単位は%である。
<凝集体含量>
凝集体が全く含まれない状態を100としたとき、100−純度(%)と定義する。なお、純度(%)はクロマトグラムにおける面積比として計算される。

0044

<実施例1>
(1)カラムの平衡化
BIA separations社製のCIM(登録商標)QA−1 Tube(厚さ:4.2mm、外径:18.6mm、内径:6.7mm、空隙率:60v/v%)に、0.10Mの塩化ナトリウムを含んだ20mMリン酸緩衝液(pH7.4)を5CV以上通して平衡化した。なお、CIM QA−1 Tubeは、グリシジルメタクリレートとエチレングリコールジメタクリレートの共重合体の変性物であり、一部のグリシジルメタクリレートに四級アンモニウム基が保持されている多孔性高分子自己支持構造物である。また、装置の構造によりカラムの中心の孔がふさがれるので、インジェクトされた液がカラムの中心の孔をそのまま通り抜けることはない。
(2)アルブミンモノマーおよにアルブミン凝集体
ヒト血清アルブミン(SigmaAldrich社製)10mgを、0.10Mの塩化ナトリウムを含有させた10mLのpH7.4の20mMリン酸溶液溶解させた。この溶液をアルブミン溶液とする。この溶液の凝集体含量はおよそ85%であった。この溶液を(1)で平衡化したカラムに10mL注入し精製した。すなわちカラム体積1mLあたりのアルブミン負荷量は10mgである。溶液の流速は5CV/分とした。
(3)アルブミンのフロースルー
上記アルブミン溶液を10mL通液した際のアルブミンモノマーをフロースルー様式にて回収した。溶液の流速は5CV/分とした。
(4)アルブミン凝集体の溶出
その後、4Mの塩化ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.4)を7.5mLカラムに通し、アルブミン凝集体を溶出させた。溶液の流速は5CV/分とした。
なお実施例1においてカラム、タンパク質溶液、移動相の温度は25℃とし、カラムの圧力は0.3〜2MPaとした。

0045

<実施例2>
実施例1(2)の塩化ナトリウム濃度を0.15Mとした以外は実施例1と同様に実施した。
<実施例3>
実施例1(2)のカラム体積1mLあたりのアルブミン負荷量を30mL(30mg)に変更し、塩化ナトリウム濃度を0.07Mにしたこと以外は実施例1と同様に行った。

0046

<実施例4>
実施例1(1)のカラムとしてCIM(登録商標)DEAE−1 Tube(厚さ:4.2mm、外径:18.6mm、内径:6.7mm、空隙率:60v/v%)を用いたこと以外は実施例1と同様に実施した。なお、CIM DEAE−1Tubeは、製品情報よりグリシジルメタクリレートとエチレングリコールジメタクリレートの共重合体にジエチルアミノ基が保持されている多孔性高分子自己支持構造物である。
<実施例5>
実施例1(2)の緩衝液のpHを7.0としたこと以外は実施例1と同様に実施した。
実施例1〜5の結果を表1に記載した。

0047

<比較例1>
カラムを構成する多孔性高分子ビーズとして、GEヘルスケア社製の強陰イオン交換クロマトグラフィーHiTrap QFF平均粒子径90μm)を用い、カラム内におけるタンパク質溶液の流速を1CV/分とした以外は、実施例1と同様に実施して、アルブミンモノマーを溶出させた。

0048

<比較例2>
カラムを構成する多孔性高分子ビーズとして、GEヘルスケア社製のHiTrap QFF(平均粒子径90μm)を用い、カラム内におけるタンパク質溶液の流速が2CV/分となるようにした以外は、実施例1と同様にして、タンパク質溶液をカラムに注入した。その結果、カラム圧が上昇し、カラム許容圧を超え、運用できなかった。
比較例1、2の結果を表1に記載した。

0049

多孔性高分子ビーズを用いた比較例1では、タンパク質溶液の溶出流速を実施例の1/5程度として、実施例と同程度の回収率、純度を達成した。しかし、溶出流速を実施例の2/5程度まで上げた比較例2では、許容圧力を超えたため処理を継続することができなかった。

実施例

0050

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