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技術 金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルム

出願人 帝人フィルムソリューション株式会社
発明者 伊與直希矢野真司
出願日 2017年12月15日 (2年6ヶ月経過) 出願番号 2017-240542
公開日 2019年7月4日 (11ヶ月経過) 公開番号 2019-107786
状態 未査定
技術分野 積層体(2) 剛性または準剛性容器の細部
主要キーワード 着色顔料濃度 フィルム損傷 印刷下地 灰分重量 剥げ落ち 熱硬化性インキ 缶胴端 融点側
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

厳しい加工や高い温度の熱処理が施された場合でも、貼り合わせた後に等へ成形加工する際にフィルムが削れたり、疵付いたりすることのない優れた成形加工性発現し、かつ、優れた隠蔽性外観印刷性を有し、しかも印刷後の成形によっても印刷層密着性を確保することができる缶等の成形品が得られる金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルムを提供すること。

解決手段

融点TmAが230〜260℃であるポリエステル変性ポリオレフィンワックスから主になり、ポリマー部分固有粘度が0.46以上であり、変性ポリオレフィンワックスの含有量が、組成物の重量を基準として0.2重量%以上で、着色顔料の含有量が10重量%以下であり、外側表面における水との接触角が70°未満である表層(A層)と、融点TmBが230〜260℃であるポリエステルと着色顔料とから主になり、ポリマー部分の固有粘度が0.46以上であり、着色顔料の含有量が10重量%を超え50重量%以下である基材層B層)との少なくとも2層からなり、|TmB−TmA|が4℃以下である金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルムによって達成される。

概要

背景

金属缶には内外面の腐食防止として、一般に塗装が施されている。近年、工程簡素化、衛生性向上、公害防止等の目的で有機溶剤を使用せずに防錆性を付与する方法としてポリエステルフィルムのような熱可塑性樹脂フィルムによる被覆が行われている。すなわち、ブリキティンフリースチールアルミニウム等の金属板に熱可塑性樹脂フィルムをラミネートした後、絞り薄肉化絞り缶などのような厳しい成形加工が施される食缶飲料缶およびエアゾール缶用途へ使用されている。これらの用途に用いられる缶は、コスト低減の観点からさらに加工条件を厳しくした薄肉化絞り加工やしごき加工を施して製造されるようになってきている。

このような厳しい成形加工を施す場合、金属板の薄肉化に伴って樹脂フィルムも薄肉化する。食缶や飲料缶の外面は意匠性を高めるために一般に印刷が施されるが、樹脂フィルム被覆金属板から成形された缶においては、その印刷下地として金属板の色を隠蔽するために、白色または様々な色の顔料を含んだ樹脂フィルムを金属板にラミネートしたものが使用されている。このようなラミネート金属板に厳しい加工を施した場合、樹脂の厚さは大幅に薄くなり、添加した顔料の厚さ方向の絶対量が減少するため、十分な隠蔽性を得られないという問題が発生する。この問題を見越して顔料を予め多量に樹脂フィルム中に添加した場合には、樹脂フィルムの強度が低下し、加工時に樹脂フィルムが削れたり傷付きやすくなり、さらには樹脂フィルムが割れ剥げ落ちたりする現象が発生し、隠蔽性を向上させると共に被覆した樹脂フィルムの強度を高く保ち、十分な成形加工性を確保することは困難である。

例えば、二軸延伸ポリエステルフィルムを金属板にラミネートし、製缶材料として用いる方法(特許文献1)が提案されているが、より厳しい加工を施して成形する際に樹脂フィルムが削れたり傷付ついたり、極端な場合には破断が発生する。また、未延伸ポリエステルフィルムを金属板にラミネートし、製缶材料として用いる方法(特許文献2)が提案されているが、未延伸フィルムは非常に脆いため、製膜する際や取扱う際に切断し易く、生産性が悪いという問題がある。

このような課題に対して、特許文献3では、厳しい加工や高い温度の熱処理が施された場合でも、貼り合わせた後に缶等へ成形加工する際にフィルムが削れたり、フィルムにクラックが生じたりすることが抑制された優れた成形加工性を発現し、かつ、優れた隠蔽性、外観印刷性を有する缶等の成形品が得られる金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルムとして、水接触角を70〜120°とすることが提案されている。

しかしながら、ラミネート金属板は缶へ成形されたのちに、缶外面側には多種多様な印刷が施される。そして缶胴端部は成形工具によって最終的な缶の形状へと成形加工される。この際、印刷されたインキとフィルムとの密着性不足しているとインキの剥れが発生してしまい、外観を損なうことが問題となる。

概要

厳しい加工や高い温度の熱処理が施された場合でも、貼り合わせた後に缶等へ成形加工する際にフィルムが削れたり、疵付いたりすることのない優れた成形加工性を発現し、かつ、優れた隠蔽性、外観、印刷性を有し、しかも印刷後の成形によっても印刷層の密着性を確保することができる缶等の成形品が得られる金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルムを提供すること。融点TmAが230〜260℃であるポリエステル変性ポリオレフィンワックスから主になり、ポリマー部分固有粘度が0.46以上であり、変性ポリオレフィンワックスの含有量が、組成物の重量を基準として0.2重量%以上で、着色顔料の含有量が10重量%以下であり、外側表面における水との接触角が70°未満である表層(A層)と、融点TmBが230〜260℃であるポリエステルと着色顔料とから主になり、ポリマー部分の固有粘度が0.46以上であり、着色顔料の含有量が10重量%を超え50重量%以下である基材層B層)との少なくとも2層からなり、|TmB−TmA|が4℃以下である金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルムによって達成される。なし

目的

本発明は上記を鑑みなされたもので、その目的は、上記のように厳しい加工や高い温度の熱処理が施された場合でも、貼り合わせた後に缶等へ成形加工する際にフィルムが削れたり、疵付いたりすることのない優れた成形加工性を発現し、かつ、優れた隠蔽性、外観、印刷性を有し、しかも印刷後の成形によっても印刷層の密着性を確保することができる缶等の成形品が得られる金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルムを提供する

効果

実績

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牽制数
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請求項1

融点が230〜260℃であるポリエステル変性ポリオレフィンワックスから主になり、ポリマー部分固有粘度が0.46以上であり、変性ポリオレフィンワックスの含有量が、組成物の重量を基準として0.2重量%以上で、着色顔料の含有量が10重量%以下であり、外側表面における水との接触角が70°未満である表層(A層)と、融点が230〜260℃であるポリエステルと着色顔料とから主になり、ポリマー部分の固有粘度が0.46以上であり、着色顔料の含有量が10重量%を超え50重量%以下である基材層B層)との少なくとも2層からなる着色二軸延伸ポリエステルフィルムであって、前記A層およびB層のポリエステルの融点が下記(1)式を満足する金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルム。|TmB−TmA|≦4℃———(1)(ただし、TmAはA層のポリエステルの融点を示し、TmBはB層のポリエステルの融点を示す。)

請求項2

B層を構成するポリエステルが、融点230〜255℃の共重合ポリエステルである、請求項1に記載の金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルム。

請求項3

A層を構成するポリエステルが、融点230〜255℃の共重合ポリエステルである、請求項1または2に記載の金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルム。

請求項4

A層およびB層を構成するポリエステルが、いずれも融点230〜255℃の共重合ポリエステルであり且ついずれもイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートである、請求項1に記載の金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルム。

請求項5

A層が、A層の重量を基準として0.2〜2.0重量%の変性ポリオレフィンワックスを含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルム。

請求項6

変性ポリオレフィンワックスが、酸変性ポリプロピレンワックス酸変性ポリエチレンワックス酸化ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックスの群より選ばれる少なくとも一つを含む請求項5に記載の金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルム。

請求項7

フィルムが、金属板の容器外面となる表面に貼り合わせられる請求項1〜6のいずれかに記載の金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルム。

技術分野

0001

本発明は、金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルムに関するものである。

背景技術

0002

金属缶には内外面の腐食防止として、一般に塗装が施されている。近年、工程簡素化、衛生性向上、公害防止等の目的で有機溶剤を使用せずに防錆性を付与する方法としてポリエステルフィルムのような熱可塑性樹脂フィルムによる被覆が行われている。すなわち、ブリキティンフリースチールアルミニウム等の金属板に熱可塑性樹脂フィルムをラミネートした後、絞り薄肉化絞り缶などのような厳しい成形加工が施される食缶飲料缶およびエアゾール缶用途へ使用されている。これらの用途に用いられる缶は、コスト低減の観点からさらに加工条件を厳しくした薄肉化絞り加工やしごき加工を施して製造されるようになってきている。

0003

このような厳しい成形加工を施す場合、金属板の薄肉化に伴って樹脂フィルムも薄肉化する。食缶や飲料缶の外面は意匠性を高めるために一般に印刷が施されるが、樹脂フィルム被覆金属板から成形された缶においては、その印刷下地として金属板の色を隠蔽するために、白色または様々な色の顔料を含んだ樹脂フィルムを金属板にラミネートしたものが使用されている。このようなラミネート金属板に厳しい加工を施した場合、樹脂の厚さは大幅に薄くなり、添加した顔料の厚さ方向の絶対量が減少するため、十分な隠蔽性を得られないという問題が発生する。この問題を見越して顔料を予め多量に樹脂フィルム中に添加した場合には、樹脂フィルムの強度が低下し、加工時に樹脂フィルムが削れたり傷付きやすくなり、さらには樹脂フィルムが割れ剥げ落ちたりする現象が発生し、隠蔽性を向上させると共に被覆した樹脂フィルムの強度を高く保ち、十分な成形加工性を確保することは困難である。

0004

例えば、二軸延伸ポリエステルフィルムを金属板にラミネートし、製缶材料として用いる方法(特許文献1)が提案されているが、より厳しい加工を施して成形する際に樹脂フィルムが削れたり傷付ついたり、極端な場合には破断が発生する。また、未延伸ポリエステルフィルムを金属板にラミネートし、製缶材料として用いる方法(特許文献2)が提案されているが、未延伸フィルムは非常に脆いため、製膜する際や取扱う際に切断し易く、生産性が悪いという問題がある。

0005

このような課題に対して、特許文献3では、厳しい加工や高い温度の熱処理が施された場合でも、貼り合わせた後に缶等へ成形加工する際にフィルムが削れたり、フィルムにクラックが生じたりすることが抑制された優れた成形加工性を発現し、かつ、優れた隠蔽性、外観印刷性を有する缶等の成形品が得られる金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルムとして、水接触角を70〜120°とすることが提案されている。

0006

しかしながら、ラミネート金属板は缶へ成形されたのちに、缶外面側には多種多様な印刷が施される。そして缶胴端部は成形工具によって最終的な缶の形状へと成形加工される。この際、印刷されたインキとフィルムとの密着性不足しているとインキの剥れが発生してしまい、外観を損なうことが問題となる。

先行技術

0007

特開平11−342577号公報
特開平11−348218号公報
特開2017−30231号公報

発明が解決しようとする課題

0008

特許文献3では実際にはポリエチレンワックスなどを添加することで水接触角を調整し、その量を制御することで、表面に印刷を施せるレベルまで改良はされてきたが、実際に印刷されたものをさらに成形加工を施そうとしたときに剥がれなどの問題があることを見出した。

0009

したがって、本発明は上記を鑑みなされたもので、その目的は、上記のように厳しい加工や高い温度の熱処理が施された場合でも、貼り合わせた後に缶等へ成形加工する際にフィルムが削れたり、疵付いたりすることのない優れた成形加工性を発現し、かつ、優れた隠蔽性、外観、印刷性を有し、しかも印刷後の成形によっても印刷層の密着性を確保することができる缶等の成形品が得られる金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルムを提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らの研究によれば、上記課題は以下の構成によって達成されることが見出された。
1.融点が230〜260℃であるポリエステル変性ポリオレフィンワックスから主になり、ポリマー部分固有粘度が0.46以上であり、変性ポリオレフィンワックスの含有量が、組成物の重量を基準として、0.2重量%以上で、着色顔料の含有量が10重量%以下であり、外側表面における水との接触角が70°未満である表層(A層)と、
融点が230〜260℃であるポリエステルと着色顔料とから主になり、ポリマー部分の固有粘度が0.46以上であり、着色顔料の含有量が10重量%を超え50重量%以下である基材層B層)との少なくとも2層からなる着色二軸延伸ポリエステルフィルムであって、
前記A層およびB層のポリエステルの融点が下記(1)式を満足する金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルム。
|TmB−TmA|≦4℃ ———(1)
(ただし、TmAはA層のポリエステルの融点を示し、TmBはB層のポリエステルの融点を示す。)
2.B層を構成するポリエステルが、融点230〜255℃の共重合ポリエステルである、上記1に記載の金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルム。
3.A層を構成するポリエステルが、融点230〜255℃の共重合ポリエステルである、上記1または2に記載の金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルム。
4.A層およびB層を構成するポリエステルが、いずれも融点230〜255℃の共重合ポリエステルであり且ついずれもイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートである、上記1に記載の金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルム。
5.A層が、A層の重量を基準として0.2〜2.0重量%の変性ポリオレフィンワックスを含有する、上記1〜4のいずれかに記載の金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルム。
6.変性ポリオレフィンワックスが、酸変性ポリプロピレンワックス酸変性ポリエチレンワックス酸化ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックスの群より選ばれる少なくとも一つを含む上記5に記載の金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルム。
7.フィルムが、金属板の容器外面となる表面に貼り合わせられる上記1〜6のいずれかに記載の金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルム。

発明の効果

0011

本発明の金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルムは、金属板に貼り合わせた後に缶等へ成形加工する際に缶壁部のフィルムに削れ、クラックが生じ難い優れた成形加工性を発現し、さらには成形後の隠蔽性、缶等の成形品の外観、印刷性も良好である。

0012

以下、本発明を詳しく説明する。

0013

本発明の金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルムは、表層(A層)と基材層(B層)の少なくとも2層からなる積層フィルムである。

0014

表層(A層)は、融点230〜260℃のポリエステルから主になる。ここで「主になる」とは、A層の重量を基準としてポリエステルと変性ポリオレフィンワックスの合計が、例えば80重量%以上、好ましくは85重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上であることを示す。

0015

基材層(B層)は、融点230〜260℃のポリエステルと着色顔料とから主になる。ここで「主になる」とは、B層の重量を基準としてポリエステルと着色顔料の合計が例えば80重量%以上、好ましくは85重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上であることを示す。

0016

A層およびB層のポリエステルの融点が上記範囲にあることによって、成形加工性に優れる。上記融点の下限より低いと成形加工時にフィルム削れが生じ、他方融点の上限より高いとクラックが生じる。

0017

また、本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムは、A層とB層の少なくとも2層からなるものであり、例えばA層/B層の2層構成、A層/B層/A層の3層構成等が挙げられる。さらに、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、A層とB層以外の層を有していても良い。その際、フィルムの少なくとも片方の表面はA層となるようにする。

0018

表層(A層)および基材層(B層)を構成するポリエステルは、上記の融点の要件を満たしていれば、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルとしてはホモのポリエチレンテレフタレートが好ましく挙げられる。また、共重合ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート共重合体ポリエチレン−2,6−ナフタレート共重合体、あるいは、これらや上記ホモポリエステルと、ポリブチレンテレフタレートとのブレンド体のいずれでもよいが、中でもポリエチレンテレフタレート共重合体が好ましい。

0019

(ホモポリエステル)
本発明においてA層および/またはB層を構成するポリエステルとして、融点が250℃を超え260℃以下のポリエステルを好ましく挙げることができる。このようなポリエステルを採用することで、成形加工性の中でも成形加工時におけるフィルム削れを抑制する効果に特に優れる。融点が上限より高いと、製缶時の延伸追従できないという観点での成形性に劣り、フィルムにクラックが生じてしまう。他方、融点が下限より低いとフィルム削れ抑制の向上効果が低くなる傾向にある。かかる観点から融点は、より好ましくは251〜260℃、さらに好ましくは253〜258℃、特に好ましくは254〜257℃である。

0020

このようなポリエステルとして、ホモポリエステル、好ましくはホモのポリエチレンテレフタレートや、上記融点範囲にある、融点の比較的高い(共重合量が比較的少ない)共重合ポリエステル、好ましくは共重合ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。特にホモのポリエチレンテレフタレートが、フィルム削れ抑制の観点から好ましい。なお、ここでホモのポリエチレンテレフタレートとは、不可避的に含有されるジエチレングリコール成分を含有することを除外するものではない。また、かかる融点の比較的高い共重合ポリエステルの共重合成分としては、後述する共重合ポリエステルにおける共重合成分が挙げられ、上記融点範囲となるように共重合成分の種類や共重合量を調整すればよい。

0021

A層とB層の両方を構成するポリエステルが上述した融点が250℃を超え260℃以下のポリエステルであることによって、上述の効果はさらに良好に奏され好ましい。

0022

(共重合ポリエステル)
本発明においてA層および/またはB層を構成するポリエステルとして、融点が230〜255℃の共重合ポリエステルを好ましく挙げることができる。このようなポリエステルを採用することで、成形加工性時のフィルムのクラックおよびフィルム削れの両方をバランス良く抑制する効果に優れる。融点が上限より高いとフィルムのクラックが生じ易くなる傾向にある。他方、下限より低すぎると、成形加工時の発熱によってフィルム削れが発生する。

0023

かかる共重合ポリエステルの共重合成分は、酸成分でもアルコール成分でも良い。酸成分としては、イソフタル酸フタル酸テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の如き主たる酸成分以外の芳香族ジカルボン酸アジピン酸アゼライン酸セバシン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸等を挙げることができ、アルコール成分としては、エチレングリコールトリメチルグリコールテトラメチレングリコール等が挙げられ、ジエチレングリコール等、ポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。また、1,6−ヘキサンジオールの如き脂肪族ジオール、1,4−ヘキサメチレンジメタノールの如き脂環族ジオール等を挙げることができる。これらは単独または2種以上を使用することができる。これらの中、イソフタル酸、セバシン酸が好ましく、特にイソフタル酸が好ましい。

0024

上記のような共重合ポリエステルの共重合成分の共重合割合は、A層の場合は共重合ポリエステルの融点(TmA)が230〜260℃の範囲となる割合にすればよく、好ましくは235〜260℃、より好ましくは238〜257℃、さらに好ましくは240〜255℃の範囲となる割合である。この融点が低いと耐熱性が劣り、成形加工時の発熱によって削れが発生するため好ましくない。一方、これより高いと共重合ポリエステルの結晶性が高くなる傾向にあり、成形加工性の向上効果が低くなり、クラックが発生し易くなる。

0025

B層の場合も同様に、共重合ポリエステルの融点(TmB)が230〜260℃の範囲となる割合にすればよく、好ましくは235〜260℃、より好ましくは238〜257℃、さらに好ましくは240〜255℃の範囲となる割合である。この融点が下限より低いと耐熱性が劣り、成形加工時の発熱によってB層が流動、変形し易くなり、それによる欠点が生じ易くなる。また、B層がフィルム表面にある場合は、削れが発生する。一方、融点が上限より高いと共重合ポリエステルの結晶性が高くなる傾向にあり、成形加工性の向上効果が低くなり、クラックが発生し易くなる。

0026

A層とB層の両方を構成するポリエステルが上記の融点が230〜260℃の共重合ポリエステルであることによって、上述の効果はさらに良好に奏され好ましい。

0027

A層およびB層を構成する共重合ポリエステルは、フィルム形成後の融点が上述の範囲となっていれば、いずれも樹脂原料として共重合ポリエステルのみを用いても、共重合ポリエステルとホモポリエステルとのブレンドを用いてもよい。これらの中でも、缶へ成形加工する際の成形加工性やフィルム品質の安定性の観点からは前者の方法が好ましく、特にA層、B層共に樹脂原料として共重合ポリエステルのみを用いることが好ましい。

0028

樹脂原料として共重合ポリエステルとホモポリエステルとのブレンドからなる樹脂原料を用いる場合、各層を構成するポリエステル全量を基準としてホモポリエステルの含有量は30〜60重量%の範囲であることが好ましい。

0029

さらに本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムは、厳しい条件で成形加工を施しても缶壁部に削れ、クラックなどが生じることのない良好な加工性を実現するために、ラミネート金属板のフィルムに加えられた歪みに伴う応力緩和する目的で、一連の製缶工程の途中で熱処理が施される。このため、A層とB層の融点差|TmB−TmA|は4℃以下である必要がある。この融点差が4℃を超えると、熱処理を施した際に高融点側の層では缶成形の際の残留応力が緩和(収縮)し、低融点側の層では融解して流動してしまい、フィルム表面の外観が不良となるため好ましくない。

0030

(固有粘度)
次に、本発明におけるA層とB層のポリマー部分の固有粘度は0.46以上である必要があり、好ましくは0.48以上、より好ましくは0.50以上である。この固有粘度が低い場合、フィルム延伸時のフィルム破断が多くなり、かつ得られたフィルムを金属板に貼り合わせた後、容器に成形する際破断を生じやすい。固有粘度が高いことは、成形加工性の観点からは好ましいことであるが、高すぎるものは生産性を低下させる等の問題が生じる場合があり、かかる観点からは例えば0.80以下が好ましく、より好ましくは0.75以下である。

0031

ここで、A層およびB層の共重合ポリエステルの固有粘度(IV)は、製膜に使用される原料共重合ポリエステル組成物o−クロロフェノールに溶解後、遠心分離機により着色顔料等を取り除き35℃溶液にて測定して得られる値(IVa)を、下記(2)式に代入して樹脂分の重量換算値として求めた。
IV=IVa/(1-C) −−−(2)
ここでいうCは各層の着色顔料濃度を指す。

0032

(変性ポリオレフィンワックス)
本発明に於いて、表層(A層)はカルボキシル基ケトン基および水酸基からなる群より選ばれる官能基が導入された変性ポリオレフィンワックスを、組成物の重量を基準として、0.2重量%以上含有している必要があり、0.3重量%以上であることがより好ましい。変性ポリオレフィンワックスの含有量が下限未満の場合には、フィルム表面の潤滑性が不足し、フィルムへのより厳しい負荷がかかる成形加工の際に、削れ、傷付きが発生しやすくなる。変性ポリオレフィンワックスの含有量が大きいことは、削れや傷付き等の成形加工性の観点からは好ましいことではあるが、多すぎるものは、フィルム表面に印刷されたインキとの密着性が損なわれ、その後の工程でインキ剥がれが発生する等の問題が生じる場合があり、かかる観点から、例えば、上限は好ましくは、2.0、より好ましくは、1.8、さらに好ましくは、1.4重量%である。加えて、フィルム表面にワックスが析出してフィルム製膜工程を汚染するため好ましくない。上記の範囲で変性ポリオレフィンワックスを含有することで、成形時の金属工具との摩擦が低減され、優れた成形加工性を発現できる。さらに、ワックスに上記の官能基が導入されていることで、印刷後の成形によってもポリエステルフィルムに積層された印刷層との密着性を確保することができる。

0033

本発明における変性ポリオレフィンワックスとしては、好ましくは、エチレンプロピレン、1-ブテン、1-ペンテンイソブテンイソブチレンブタジエン等の炭素数2〜8のオレフィンモノマー重合体またはその熱分解物に、140〜180℃の溶融状態で空気を導入することで酸化反応による官能基導入を行った酸化ポリオレフィンワックスや、アクリル酸メタクリル酸酢酸ビニルプロピオン酸ビニルマレイン酸無水マレイン酸イタコン酸マレイン酸モノメチルエステル等の炭素数3〜8の不飽和カルボン酸、およびそれらの酸の全体または一部がナトリウムカリウムリチウム亜鉛マグネシウムカルシウム等の1〜2価の金属陽イオン中和された金属塩アクリル酸メチルメタクリル酸メチルアクリル酸エチルメタクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、メタクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソブチルメタクリル酸イソブチルアクリル酸n-ブチルメタクリル酸n-ブチル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、マレイン酸モノメチルエステル、アクリル酸グリシジルメタクリル酸グリシジル、酢酸ビニル、アクリルアミンアクリルアミド等の官能基含有モノマーを共重合、ブロック重合またはグラフト重合させた酸変性ポリオレフィンワックス、またはそれらの混合物等が挙げられるが、中でも酸変性ポリエチレンワックス、酸変性ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス、またはそれらの混合物が好ましい。特に酸変性としては、マレイン酸変性または無水マレイン酸変性が好ましい。また、酸化ワックスとしては、カルボキシル基、ケトン基および水酸基が導入されていることが好ましい。

0034

また、本発明における変性ポリオレフィンワックスの酸価は、好ましくは1mgKOH/g以上50mgKOH/g未満であり、より好ましくは5mgKOH/g以上40mgKOH/g未満であり、さらに好ましくは8mgKOH/g以上30mgKOH/g未満であり、最も好ましくは12mgKOH/g以上28mgKOH/g未満である。例えば未変性ポリオレフィンワックスのように酸価が、下限未満の場合は、フィルムに印刷されたインキとの密着性が不足しインキ剥がれが発生しやすくなり好ましくない。酸価が、上限を越えた場合は、ワックスの耐熱性が劣るだけでなく、効果的な潤滑作用が失われるため、成形時の削れが発生し好ましくない。

0035

また、本発明における変性ポリオレフィンワックスは、その重量平均分子量が、好ましくは2,500以上80,000未満であり、より好ましくは5,000以上70,000未満である。特に、ポリエチレンワックスの場合は、5,000以上20,000未満が好ましく、さらに好ましくは5,000以上18,000未満であり、ポリプロピレンワックスの場合は、10,000以上70,000未満が好ましい。分子量が下限未満の場合は、ワックスの耐熱性が不足し、ポリエステルフィルムに添加した際に樹脂劣化欠陥の発生を誘発する。分子量が上限を超える場合は、効果的な潤滑作用が失われるため、成形時の削れが発生する。

0036

ポリエステルフィルムへのワックスの添加方法は特に限定されることはなく、フィルムを製膜する際にポリエステル樹脂ペレットと共に押出し機へ導入し、ワックスの分散とフィルムの成形を同時に行う方法や、あらかじめ混練押出し機を用いてポリエステル樹脂中にワックスを分散させたマスターペレットを、製膜時に他のポリエステル樹脂ペレットと混合して押出し機へ導入する方法等が挙げられるが、後者の方がワックスをより均一にポリエステルフィルム中に分散させることができるため好ましい。このような変性ポリオレフィンワックスとしては、酸変性ポリプロピレンワックスとしては、例えば、三洋化成製 ユーメックス5200、三洋化成製 ユーメックス5500、三洋化成製 ユーメックス1001、三洋化成製 ユーメックス1010、三洋化成製 ユーメックス100TS、三洋化成製 ユーメックス110TS、クラリアントケミカルズ製 Licocene PPMA6452、クラリアントケミカルズ製 Licocene PPMA7452、クラリアントケミカルズ製 Licocene PPMA1332、クラリアントケミカルズ製 Licocene PPMA6252、三井化学ハイワックスNP0555A、三井化学製 ハイワックスNP50605A、ハネウェル製 A−C597シリーズ、ハネウェル製 A−C907シリーズ、ハネウェル製 A−C950P、酸変性ポリエチレンワックスとしては、例えば、三井化学製 ハイワックス2203A、三井化学製 ハイワックス3202A、クラリアントケミカルズ製 Licocene PEMA4221、クラリアントケミカルズ製 Licocene PEMA4351、ハネウェル製 A−C573シリーズ、ハネウェル製 A−C575シリーズ、酸化ポリエチレンワックスとしては、例えば、三洋化成製サンワックスE−310、三洋化成製 サンワックスE−330、三洋化成製 サンワックスE−250P、三洋化成製 サンワックスLEL−400P、クラリアントケミカルズ製 LicolubH12、クラリアントケミカルズ製 LicowaxPED521、クラリアントケミカルズ製 LicowaxPED522、クラリアントケミカルズ製 LicowaxPED121、クラリアントケミカルズ製 LicowaxPED153、クラリアントケミカルズ製 LicowaxPED191、クラリアントケミカルズ製 LicowaxPED192、三井化学製 ハイワックス310MP、三井化学製 ハイワックス320MP、三井化学製 ハイワックス405MP、三井化学製 ハイワックス4051E、三井化学製 ハイワックス4052E、三井化学製 ハイワックス4202E、三井化学製 ハイワックス4252Eハネウェル製 A−C670シリーズ、ハネウェル製 A−C673シリーズ、ハネウェル製 A−C316シリーズ、ハネウェル製 A−C325、ハネウェル製 A−C330、ハネウェル製 A−C392、ハネウェル製 A−C395シリーズが市販されており、所望の酸価や重量平均分子量となるものを選択することができる。

0037

(接触角)
本発明では、A層の外側表面における水との接触角が70°未満である必要がある。水との接触角が、上記の範囲であると印刷後の成形によってもポリエステルフィルムに積層された印刷層との密着性を確保することができる。接触角が上限以上の場合、フィルム表面と印刷層との密着性が悪化し、印刷後の成形加工時にインキが剥がれやすくなり好ましくない。

0038

A層の外側表面における水との接触角を70°未満にする方法は特に限定されないが、上述した変性ポリオレフィンワックスの含有量と、酸価の度合いで調整でき、ワックスによるフィルム表面の潤滑性を確保しつつ、水との接触角を抑えて印刷層との密着性も維持することができる。

0039

(着色顔料)
本発明においてB層は着色顔料を含有し、該着色顔料の含有量は、B層の重量を基準として10重量%を超え50重量%以下である必要があり、好ましい含有量は15〜40重量%、より好ましくは15〜35重量%の範囲である。着色顔料の含有量が下限以下の場合には隠蔽性に劣り、上限を超える場合には、隠蔽性の向上効果が飽和するだけでなく、フィルムが脆くなってフィルム延伸時にフィルム破断が生じやすくなり、かつ得られたフィルムを金属板に貼り合わせた後、缶に成形加工する際にクラックや破断が生じやすくなるので好ましくない。B層に含有させる着色顔料としては無機有機系のいずれであってもよいが、無機系の方が好ましい。無機系顔料としては、アルミナ二酸化チタン炭酸カルシウム硫酸バリウム等が好ましく例示され、なかでも二酸化チタンがより好ましい。

0040

A層については、着色顔料は、本発明の目的を阻害しない限り含有していても良いし、含有していなくても良い。含有する場合は、A層の重量を基準として10重量%以下とする。A層において着色顔料の含有量が上限を超えると、フィルムを金属板に貼り合わせた後に缶等へ成形加工する際、厳しい加工条件を伴うものであると缶壁部にクラックが生じ易くなる傾向にある。また、フィルムが脆くなってフィルム延伸時にフィルム破断が生じ易くなる傾向にある。かかる観点から、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。また、本発明において最も好ましい態様として、A層が実質的に着色顔料を含有しない態様が挙げられる。ここでいう「実質的に着色顔料を含有しない」とは、例えば二酸化チタンのような粒子(着色顔料であると同時に滑剤としても作用も有する)を表面平滑性を付与する目的で少量、例えばA層の重量を基準として0.5重量%以下、好ましくは0.3重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以下含有していてもよいことをいい、特に着色顔料を含有しないことが好ましい。こうすることにより、上述したような厳しい加工条件を伴う成形加工であっても缶壁部にクラックが生じることをさらに抑制でき、表面欠陥をさらに少なくできる。また、フィルムが脆くなることをさらに抑制でき、フィルム延伸時のフィルム破断をさらに抑制できる。

0041

(他の添加剤
なお、A層およびB層には、本発明の目的を阻害しない範囲内で、必要に応じて他の添加物、例えば蛍光増白剤酸化防止剤熱安定剤紫外線吸収剤帯電防止剤等を添加することができる。特に白度を向上させる場合には、蛍光増白剤が有効である。また、製膜工程や成形工程におけるハンドリング性を向上させるため、不活性粒子を添加してもよい。含有させる不活性粒子としてはポリマー中で安定的に存在できるものであれば特に制限されず、それ自体公知のものを採用でき、例えばポリスチレンポリアクリル酸メチルエステル、ポリアクリル酸エチルエステルポリメタクリル酸メチルエステルポリメタクリル酸エチルエステル、およびジビニルベンゼンから選ばれた、各単量体の重合体、あるいは共重合体、ポリテトラフルオロエチレンポリアクリロニトリルベンゾグアナミンシリコーン等の有機質シリカカオリンタルクグラファイト等の無機質のいずれかを用いるのが好ましい。これらの不活性粒子の好ましい粒径は0.1〜10μmであり、好ましい含有量は0.002〜0.5重量%の範囲である。

0042

(厚み)
次に本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの厚みは、必要に応じて適宜変更できるが全体の厚みで6〜75μmの範囲が好適であり、なかでも10〜75μm、特に15〜50μmの範囲が好ましい。厚みが下限未満では成形加工時に削れ等が生じやすくなり、一方上限を超えるものは過剰品質であって不経済である。

0043

さらにA層とB層の厚み比(XA/XB:但し、XAはA層の厚みの合計、XBはB層の厚みの合計)は、適した表面接触角、成形加工性、隠蔽性のバランスの観点から、好ましくは0.10〜0.60、より好ましくは0.15〜0.55、さらに好ましくは0.20〜0.45である。

0044

(製造方法)
以上に説明した本発明の金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法は特に限定されず、従来公知の製膜方法により先ず未延伸積層シートを作成し、次いで二方向に延伸すればよい。

0045

例えば、A層用にポリエステルに変性ポリオレフィンワックスと不活性粒子を添加したポリエステル組成物を調整し、十分に乾燥させた後、融点〜(融点+50)℃の温度で押出機内で溶融する。なお、ここで融点は用いたポリエステルの融点である。同時にB層用にポリエステルに着色顔料を添加したポリエステル組成物を調整し、十分に乾燥させた後、他の押出機に供給し、融点〜(融点+50)℃の温度で溶融する。続いて、両方の溶融樹脂ダイ内部で積層する方法、例えばマルチマニホールドダイを用いた同時積層押出法により、積層された未延伸積層シートが製造される。かかる同時積層押出法によると、一つの層を形成する樹脂の溶融物と別の層を形成する樹脂の溶融物はダイ内部で積層され、積層形態を維持した状態でダイよりシート状に成形される。

0046

次いで該未延伸積層シートを逐次または同時二軸延伸し、熱固定する方法で製造することができる。逐次二軸延伸により製膜する場合、未延伸積層シートをロール加熱、赤外線加熱等で加熱して先ず縦方向に延伸し、次いでステンターにて横延伸する。この時、延伸温度は、好ましくはポリエステル(好ましくは層Aのポリエステル)のガラス転移点(Tg)より20〜50℃高い温度が好ましく、縦延伸倍率は、好ましくは2.0〜5.0倍、より好ましくは2.2〜4.0倍、さらに好ましくは2.5〜3.6倍とし、横延伸倍率は、好ましくは2.5〜5.0倍、より好ましくは2.6〜4.0倍、さらに好ましくは2.6〜3.7倍の範囲である。熱固定の温度は、好ましくは150〜240℃、より好ましくは150〜230℃の範囲でポリエステルの融点に応じて、フィルム品質を調整するべく選択する。

0047

(用途)
本発明の金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルムは、金属板の容器外面となる表面に貼り合わされる用途に好適に用いられる。容器内面には通常印刷性が要求されないためである。

0048

本発明の金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルムが貼り合わされる金属板、特に製缶用金属板としては、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウム等の板が適切である。金属板への貼り合わせは、例えば、金属板をフィルムの融点(フィルムにおいて金属板に接する層を構成するポリエステルの融点)以上に加熱し、フィルムを貼り合わせた後冷却し、金属板に接するフィルムの層を非晶化して融着させる方法で行うことができる。この場合、缶内面被覆用ポリエステルフィルムも、該金属板のもう一方の表面に貼り合わせて、同時に融着させることができる。なお、フィルムがA層/B層の2層構成である場合は、B層が金属板に接し、また、フィルムがA層/B層/A層の3層構成である場合は、任意の一方のA層が金属板に接するようになる。他の積層構成であっても同様に、A層が金属板とは反対のフィルム表層を形成していればよく、フィルムにおいてかかる表層を形成するA層とは反対側の表層を形成している層が金属板との貼り合せ側となる。

0049

このようにして、金属板の両面に缶外面被覆用ポリエステルフィルムと缶内面用ポリエステルフィルムとが貼合された後、数段階の絞りしごき加工によって金属缶等に成形される。この際、フィルムラミネート金属板のフィルムに加えられた歪みに伴う応力を緩和することにより、その後の成形加工に於けるフィルム損傷を低減する目的で、一連の製缶工程の途中で熱処理が施される。本発明は、該熱処理が施されたとしても外観に優れるものである。

0050

特性値
[クラック]
試料フィルムを、2層構成のものはB層(金属板貼り合せ面)のポリエステルの融点以上(おおよそ融点+10℃)に、3層構成のものは金属板貼り合せ面となるA層のポリエステルの融点以上(おおよそ融点+10℃)に加熱した板厚0.230mmのティンフリースチールの片面に貼り合わせ、水冷した後150mm径円板状に切り取りダイスポンチを用いて5段階の絞りしごき加工を施し、55mm径の側面無継目容器を作成した。この缶について缶壁におけるポリエステルフィルム層のクラックの発生状況を評価する。

0051

本発明の金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルムのクラックは、缶体1000缶の缶壁におけるポリエステルフィルム層のクラックの発生状況により、好ましくはフィルムに小さなクラックが認められる程度であり、より好ましくはフィルムにクラックは認められない程度である。

0052

インキ密着性
軸延伸フィルムサンプルを貼合せた金属板からなる缶に、公知の熱硬化性インキDIC株式会社製、MC QL R−3 赤-3)、熱硬化性仕上げニス(DIC株式会社製、6WB117)を缶胴に塗布した後、オーブンにて200℃、30秒の焼付け硬化を行った。得られた缶700個を切り開き、缶胴部を平らに伸ばして試験片とした。得られた試験片のインキが印刷された面を、鉛筆硬度試験器(株式会社丸菱科学機械製作所製 PS-310)を用いて500g荷重下、10mm/minの速度で走査し、インキ剥がれが発生しない最大の鉛筆硬度で判定する。

0053

本発明の金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルムのインキ密着性は、好ましくは鉛筆硬度がHであり、より好ましくは2Hであり、さらに好ましくは3H以上である。

0054

[隠蔽性]
上記で得られた缶体を用い、缶胴部を目視観察し、隠蔽性を評価する。
本発明の金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルムの隠蔽性は、好ましくは金属板地肌の色が殆ど見えず、良好な隠蔽性を示し、より好ましくは金属板地肌の色が全く見えず、優れた隠蔽性を示す。

0055

以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各特性値は以下の方法で測定した。また、実施例中の部および%は、特に断らない限り、それぞれ重量部および重量%を意味する。

0056

(融点)
共重合ポリエステルの融点測定はTA Instruments Q100DSCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める方法により行った。なおサンプルはなおサンプルはフィルム各層から削り取ったポリエステル組成物を10mg用いる。

0057

(固有粘度)
フィルム各層から削り取ったポリエステル組成物をo−クロロフェノール25ml中に溶解後、一旦冷却させ、遠心分離機により着色顔料等を取り除き、その溶液をオストワルド粘度管を用いて35℃の温度条件で測定した溶液粘度から検量線を作成し、算出した。

0058

(着色顔料濃度)
A層、B層の着色顔料濃度は、フィルム各層から削り取ったポリエステル組成物約1〜2gを、セラミック製の坩堝に入れ電気乾燥機内で600℃、6時間以上加熱した後、坩堝に残った灰分重量を、もとのポリエステル組成物の重量で除して求めた。フィルム全体の着色顔料濃度は、製膜した2軸延伸ポリエステルフィルム1gを用いて同様の方法で算出した。

0059

(水との接触角)
協和科学(株)製、接触角測定装置を用いて測定した。フィルムサンプルを、温度25℃、湿度50%の環境下に24時間以上置いたのち、フィルムのA層が最表層に存在している面上に蒸留水を5mg滴下し、水平の方向から20秒後に写真撮影した。フィルムと水滴の接線が水滴側に形成する角度を接触角とする。

0060

(フィルム各層の厚み)
サンプルを長手方向2mm、幅方向2cmに切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(Reichert-Jung製 Supercut)で幅方向に垂直に切断、50μm厚の薄膜切片にする。走査型電子顕微鏡日立4300SE/N)を用いて、加速電圧20kVにて観察撮影し、写真から各層の厚みを測定し、5点の平均厚みを求めた。

0061

(成形加工性)
試料フィルムを、2層構成のものはB層(金属板貼り合せ面)のポリエステルの融点以上(おおよそ融点+10℃)に、3層構成のものは金属板貼り合せ面となるA層のポリエステルの融点以上(おおよそ融点+10℃)に加熱した板厚0.230mmのティンフリースチールの片面に貼り合わせ、水冷した後150mm径の円板状に切り取り、ダイスとポンチを用いて5段階の絞りしごき加工を施し、55mm径の側面無継目容器を作成した。この缶について缶壁におけるポリエステルフィルム層の削れおよびクラックの発生状況により、以下の基準で成形加工性を評価した。

0062

[削れ]
缶体1000缶の缶壁におけるポリエステルフィルム層の削れの発生状況により、以下の基準で成形加工性を評価した。
◎:削れ、剥がれの発生率が0.1%未満。
○:0.1〜0.5%の缶に削れ、剥がれの発生が認められるが実用上の問題なし。
×:0.1〜0.5%の缶に実用上問題となる削れ、剥がれが認められる。
××:0.5%を超える缶に実用上問題となる削れ、剥がれが認められる。

0063

[クラック]
○:フィルムにクラックは認められない。
△:フィルムに小さなクラックが認められる。
×:フィルムに大きなクラックが認められる。

0064

(インキ密着性)
インキ密着性を鉛筆硬度試験で評価した。
2軸延伸フィルムサンプルを貼合せた金属板からなる缶に、公知の熱硬化性インキ(DIC株式会社製、MC QL R-3 赤-3)、熱硬化性仕上げニス(DIC株式会社製、6WB117)を缶胴に塗布した後、オーブンにて200℃、30秒の焼付け硬化を行った。得られた缶700個を切り開き、缶胴部を平らに伸ばして試験片とした。得られた試験片のインキが印刷された面を、鉛筆硬度試験器(丸菱科学機械製作所製 PS−310)を用いて500g荷重下、10mm/minの速度で走査し、インキ剥がれが発生しない最大の鉛筆硬度を測定し、下記基準で判定した。
◎:鉛筆硬度が3H以上
○:鉛筆硬度が2H
△:鉛筆硬度がH
×:鉛筆硬度がF以下

0065

(隠蔽性)
上記で得られた缶体を用い、缶胴部を目視観察し、以下の基準で隠蔽性を評価した。
◎:金属板地肌の色が全く見えず、優れた隠蔽性を示す。
○:金属板地肌の色が殆ど見えず、良好な隠蔽性を示す。
×:金属板地肌の色が見え、隠蔽性が劣る。

0066

(熱処理後の外観)
成型加工性が良好な缶について、オーブン中で250℃で90秒保持した後の缶の外観を、下記の基準で評価した。
○:缶のフィルム表面に外観不良の発生が認められない。
×:缶のフィルム表面が粗れており外観不良の発生が認められる。

0067

[実施例1〜8、比較例1〜2、12、16]
表1に示すA層用ポリエステル組成物およびB層用ポリエステル組成物をそれぞれ独立に乾燥・A層、B層共に280℃で溶融後、3層フィードブロックによりA/B/Aの3層構成に積層し、隣接したダイより共押出し、急冷固化して未延伸積層フィルムを得た。次いで、この未延伸フィルムを100℃で3.0倍に縦延伸した後、130℃で3.0倍に横延伸し、続いて165℃で熱固定して二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。

0068

なお、表1に示す様に着色顔料としてルチル型酸化チタン平均粒径0.5μm)を用いた。また、A層用のポリエステル組成物には不活性粒子として粒子径2.0μmのシリカ粒子を0.1重量%添加し、変性ポリオレフィンワックスとして酸変性ポリプロピレンワックスを用いた。ワックスの酸価は26mgKOH/g、重量平均分子量は45,000であった。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの評価結果を表2に示す。

0069

[実施例9〜16、比較例3〜4、13]
表1に示す様に変性ポリオレフィンワックスとして酸変性ポリエチレンワックスを用いた以外は、実施例1〜8に示す方法と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。ワックスの酸価は30mgKOH/g、重量平均分子量は2,700であった。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの評価結果を表2に示す。

0070

[実施例17〜24、比較例5〜6、14]
表1に示す様に変性ポリオレフィンワックスとして酸化ポリエチレンワックスを用いた以外は、実施例1〜8に示す方法と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。ワックスの酸価は15mgKOH/g、重量平均分子量は12,000であった。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの評価結果を表2に示す。

0071

[実施例25〜32、比較例7〜8、15]
表1に示す様に変性ポリオレフィンワックスとして酸化ポリエチレンワックスを用いた以外は、実施例1〜8に示す方法と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。ワックスの酸価は24mgKOH/g、重量平均分子量は8,800であった。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの評価結果を表2に示す。

0072

[実施例33]
表1に示す様に2層フィードブロックによりA/Bの2層構成に積層した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの評価結果を表2に示す。

0073

[比較例9〜10]
表1に示す様に変性ポリオレフィンワックスの代わりにポリエチレンワックスを用いた以外は、実施例1〜8に示す方法と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。ワックスの酸価は0mgKOH/g、重量平均分子量は18,000であった。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの評価結果を表2に示す。

0074

[比較例11]
表1に示す様に変性ポリオレフィンワックスの代わりにモンタンエステルワックスを用いた以外は、実施例1〜8に示す方法と同様にして二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。ワックスの酸価は17mgKOH/gであった。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの評価結果を表2に示す。

0075

0076

0077

0078

実施例

0079

表1においてPETはホモポリエチレンテレフタレート、PET−IAxは、xモル%イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートである。また、PET−IAx//PBTは、xモル%イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートの50/50(重量比)のブレンド体である。

0080

本発明の金属板貼合せ成形加工用着色二軸延伸ポリエステルフィルムは、隠蔽性に優れ、金属板に貼り合わせた後に厳しい条件で例えば缶へ成形加工しても、缶壁部のフィルムに削れ、クラックが生じることのない優れた成形加工性を発現し、さらには缶成形後の外観にも優れ、印刷性にも優れるので、例えば飲料缶、食品缶、エアゾール缶等の金属缶用として、特にこれらの缶外面用として好適に使用することができる。

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