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技術 相互に少なくとも2つ以上の水素結合を形成する官能基とイオン性官能基を有する化合物を含む熱可塑性樹脂組成物

出願人 東レ株式会社
発明者 平野泰亮一瀬恵子山本大介
出願日 2017年12月12日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2017-237285
公開日 2019年6月27日 (8ヶ月経過) 公開番号 2019-104801
状態 未査定
技術分野 高分子組成物
主要キーワード 多重水素結合 ガスバリア性評価 核酸塩基誘導体 燃料電池向け ドナー成分 押出し成形品 差圧式 ビニルアルコール構造単位
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年6月27日)のものです。
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課題

ガスバリア性に優れ、さらに機械特性成形加工性を兼ね備えた熱可塑性樹脂組成物を提供する。

解決手段

少なくとも1種の熱可塑性樹脂(A)100重量部に、相互に少なくとも2つ以上の水素結合を形成し得る水素結合ドナーおよび/または水素結合アクセプターを有する官能基R(Rは互いに同一でも異なる構造でもよい)とイオン性官能基またはイオン性官能基の塩を分子内に少なくとも1つ有する化合物(B)が少なくとも1種、0.1〜50重量部配合してなる、熱可塑性樹脂組成物。

概要

背景

従来から食品医薬品包装材料として、高いガスバリア性を持つ材料が必要とされているが、特に近年ではこのような包装材料用途以外で日常生活産業活動で高いガスバリア性を利活用する用途、すなわち、水素エネルギー社会到来に向けた用途など、様々な分野で高いガスバリア性を持つ材料が必要とされている。特に、近年急速に開発が進んでいる燃料電池用水素タンク用途では、高い水素ガスバリア性と高い機械特性両立した樹脂材料が必要とされている。高い水素ガスバリア性を有する樹脂材料としては、従来からエチレンビニルアルコール共重合体が知られている。このエチレン−ビニルアルコール共重合体はその高いガスバリア性から、食品や医薬品包装材料に用いられてきた。一方で、エチレン−ビニルアルコール共重合体はポリエチレンポリエステルポリアミドといった一般的な他の樹脂材料に比べて靭性延伸性などの機械特性や、成形加工性耐熱水性に劣るため、例えば特許文献1には窒素気流下でエチレン−ビニルアルコール共重合体とポリアミドを溶融混練してなる樹脂組成物とすることで耐薬品性を改良して用いることが報告されている。また例えば、特許文献2には成形品表面に溶射法によりエチレン−ビニルアルコール共重合体を塗布することでガスバリア層として用いることが報告されている。また例えば、特許文献3に記載されているように、高靭性が要求される水素タンクへ適用するために、ポリアミド層との多層構造体とする方法が報告されている。

また、エチレン−ビニルアルコール共重合体の高いガスバリア性発現要因として、ビニルアルコール構造単位OH基により形成されるポリマー分子鎖間の水素結合が挙げられる。このような水素結合を利用した樹脂材料の機械特性改良技術として、複数の水素結合を有する多重水素結合構造成分ポリマー中に導入する研究が多くされている。例えば、特許文献4では多重水素結合形成部位を主鎖に共重合した、分子間で強い相互作用を示すポリマーが、髪のまとまりや良好な艶感を持たせる化粧品として有効であることが報告されている。また、特許文献5では、数平均分子量20,000以下のポリマー末端に多重水素結合を導入し、該多重水素結合が分子間で強く会合することにより、破断伸びが向上することが報告されている。また特許文献6では、数平均分子量1万程度のポリエステル末端に多重水素結合を導入することで、高温下では分子間水素結合解離するために、低分子量体由来する高い流動性を、常温では分子間水素結合により高分子量体のような機械特性を示すことが報告されている。また、特許文献7では、水素結合性ドナー成分として複素環アミン誘導体をポリマー中に導入することで、ポリマー間で水素結合を形成し、弾性率が向上することが報告されている。

概要

ガスバリア性に優れ、さらに機械特性、成形加工性を兼ね備えた熱可塑性樹脂組成物を提供する。少なくとも1種の熱可塑性樹脂(A)100重量部に、相互に少なくとも2つ以上の水素結合を形成し得る水素結合ドナーおよび/または水素結合アクセプターを有する官能基R(Rは互いに同一でも異なる構造でもよい)とイオン性官能基またはイオン性官能基の塩を分子内に少なくとも1つ有する化合物(B)が少なくとも1種、0.1〜50重量部配合してなる、熱可塑性樹脂組成物。なし

目的

また、特許文献4に記載の技術は、ポリウレタンポリ尿素ポリエステルコポリマーに多重水素結合を共重合させたもので、化粧品として人体に用いたときの良外観付与を目的とした

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

少なくとも1種の熱可塑性樹脂(A)100重量部に、相互に少なくとも2つ以上の水素結合を形成し得る水素結合ドナーおよび/または水素結合アクセプターを有する官能基R(Rは互いに同一でも異なる構造でもよい)とイオン性官能基またはイオン性官能基の塩を分子内に少なくとも1つ有する化合物(B)が少なくとも1種、0.1〜50重量部配合してなる、熱可塑性樹脂組成物

請求項2

さらに、(B)の分子内のイオン性官能基とは反対の電荷を有するイオン性官能基またはイオン性官能基の塩を分子内に有するポリマー(C)を熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜50重量部配合してなる、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。

請求項3

前記化合物(B)が次の一般式(i)で表される構造である、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。(一般式(i)中のRは相互に少なくとも2つ以上の水素結合を形成し得る水素結合ドナーおよび/または水素結合アクセプターを有する官能基である。Wは炭素数1〜10000の直鎖構造分岐構造もしくは環状構造で、イオン性官能基またはイオン性官能基の塩を含む構造であり、ヘテロ原子を1つまたは複数含んでいてもよい。)

請求項4

請求項1〜3のいずれか記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品

技術分野

0001

本発明は相互に少なくとも2つ以上の水素結合を形成する官能基イオン性官能基を有する化合物を含む熱可塑性樹脂組成物に関するものである。

背景技術

0002

従来から食品医薬品包装材料として、高いガスバリア性を持つ材料が必要とされているが、特に近年ではこのような包装材料用途以外で日常生活産業活動で高いガスバリア性を利活用する用途、すなわち、水素エネルギー社会到来に向けた用途など、様々な分野で高いガスバリア性を持つ材料が必要とされている。特に、近年急速に開発が進んでいる燃料電池用水素タンク用途では、高い水素ガスバリア性と高い機械特性両立した樹脂材料が必要とされている。高い水素ガスバリア性を有する樹脂材料としては、従来からエチレンビニルアルコール共重合体が知られている。このエチレン−ビニルアルコール共重合体はその高いガスバリア性から、食品や医薬品包装材料に用いられてきた。一方で、エチレン−ビニルアルコール共重合体はポリエチレンポリエステルポリアミドといった一般的な他の樹脂材料に比べて靭性延伸性などの機械特性や、成形加工性耐熱水性に劣るため、例えば特許文献1には窒素気流下でエチレン−ビニルアルコール共重合体とポリアミドを溶融混練してなる樹脂組成物とすることで耐薬品性を改良して用いることが報告されている。また例えば、特許文献2には成形品表面に溶射法によりエチレン−ビニルアルコール共重合体を塗布することでガスバリア層として用いることが報告されている。また例えば、特許文献3に記載されているように、高靭性が要求される水素タンクへ適用するために、ポリアミド層との多層構造体とする方法が報告されている。

0003

また、エチレン−ビニルアルコール共重合体の高いガスバリア性発現要因として、ビニルアルコール構造単位OH基により形成されるポリマー分子鎖間の水素結合が挙げられる。このような水素結合を利用した樹脂材料の機械特性改良技術として、複数の水素結合を有する多重水素結合構造成分ポリマー中に導入する研究が多くされている。例えば、特許文献4では多重水素結合形成部位を主鎖に共重合した、分子間で強い相互作用を示すポリマーが、髪のまとまりや良好な艶感を持たせる化粧品として有効であることが報告されている。また、特許文献5では、数平均分子量20,000以下のポリマー末端に多重水素結合を導入し、該多重水素結合が分子間で強く会合することにより、破断伸びが向上することが報告されている。また特許文献6では、数平均分子量1万程度のポリエステル末端に多重水素結合を導入することで、高温下では分子間水素結合解離するために、低分子量体由来する高い流動性を、常温では分子間水素結合により高分子量体のような機械特性を示すことが報告されている。また、特許文献7では、水素結合性ドナー成分として複素環アミン誘導体をポリマー中に導入することで、ポリマー間で水素結合を形成し、弾性率が向上することが報告されている。

先行技術

0004

特開2005−271460号公報
特開2002−96016号公報
特開2012−192744号公報
特開2007−161715号公報
特開2000−351824号公報
特開2004−250623号公報
特開2002−201265号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかし、特許文献1に記載の技術はエチレン−ビニルアルコール共重合体にポリアミドを混練することで、耐熱水性の改善を狙ったものであるが、他の材料と積層して用いるための技術であり、単独で水素タンク等の成形品に適用可能な機械特性を有するものではなかった。また、特許文献2に記載の技術は成形品表面にエチレン−ビニルアルコール共重合体を塗布することでガスバリア層を形成させるものであるが、水素タンクなどの成形品用途ではピンホールクラックが生じるために適用することが難しかった。また、特許文献3に記載されているようなガスバリア層を含む複数の材料を積層する方法は成形手順が煩雑である上、燃料電池向け水素タンク用途では、高圧水素充填、放圧の繰り返しにより樹脂中に浸透した水素ガスに起因する異種材料間での剥離が生じるという課題があった。

0006

また、特許文献4に記載の技術は、ポリウレタンポリ尿素ポリエステルコポリマーに多重水素結合を共重合させたもので、化粧品として人体に用いたときの良外観付与を目的としたものであり、靭性や強度などの機械特性が要求される用途で実用できる技術ではなく、材料のガスバリア性を向上させる技術でもなかった。また、特許文献5に記載の技術は、ポリマー中の多重水素結合濃度を高くすることで機械特性の改良効果を得るため、数平均分子量20,000以下とポリマーとして比較的低分子量のポリテトラヒドロフランを用いて検討したものであり、一般的な樹脂材料に適用可能な技術ではなく、またガスバリア性の効果的な向上が可能な技術でもなかった。また、特許文献6に記載の技術も同様に、数平均分子量1万程度のポリエステルについて実施しており、十分な高ガスバリア性材料が得られる技術ではなかった。また、特許文献7に記載の技術はポリアミドに多重水素結合とは異なる、アミド基ピリジン環からなる水素結合による分子間相互作用を用いた弾性率向上技術であり、効果的に十分なガスバリア性向上効果を得られる技術ではなかった。

0007

そこで本発明は、従来手法では困難であった、ガスバリア性に優れ、さらに機械特性、成形加工性を兼ね備えた熱可塑性樹脂組成物を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0008

上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
1.少なくとも1種の熱可塑性樹脂(A)100重量部に、相互に少なくとも2つ以上の水素結合を形成し得る水素結合ドナーおよび/または水素結合アクセプターを有する官能基R(Rは互いに同一でも異なる構造でもよい)とイオン性官能基またはイオン性官能基の塩を分子内に少なくとも1つ有する化合物(B)が少なくとも1種、0.1〜50重量部配合してなる、熱可塑性樹脂組成物、
2.さらに、(B)の分子内のイオン性官能基とは反対の電荷を有するイオン性官能基またはイオン性官能基の塩を分子内に有するポリマー(C)を可塑性樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜50重量部配合してなる、上記1項に記載の熱可塑性樹脂組成物、
3.前記化合物(B)が次の一般式(i)で表される構造である、上記1または2項に記載の熱可塑性樹脂組成物、

0009

0010

(一般式(i)中のRは相互に少なくとも2つ以上の水素結合を形成し得る水素結合ドナーおよび/または水素結合アクセプターを有する官能基である。Wはイオン性官能基またはイオン性官能基の塩を含む構造であり、炭素数1〜10000の直鎖構造分岐構造もしくは環状構造で、ヘテロ原子を1つまたは複数含んでいてもよい。)および
4.上記1〜3のいずれか記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。

発明の効果

0011

本発明は相互に少なくとも2つ以上の水素結合を形成する官能基を有する化合物を熱可塑性樹脂に配合することにより、熱可塑性樹脂の機械特性や成型加工性を損なうことなく高ガスバリア性付与が可能となる。

0012

以下、本発明を詳細に説明する。

0013

(1)熱可塑性樹脂(A)
本発明で使用する熱可塑性樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、特に制限はなく、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテルイミドポリエーテルケトンポリエーテルエーテルケトン液晶性ポリマーポリアミドイミドポリイミドポリアセタールポリカーボネートポリアリレートポリフェニレンスルフィドポリエーテルサルフォンポリサルフォンポリビニルアルコール、ポリエチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリウレタン、ノルボルネン樹脂フッ素樹脂が挙げられる。

0014

筆者らは本発明の熱可塑性樹脂への高ガスバリア性付与は、熱可塑性樹脂(A)と化合物(B)が水素結合を形成することにより相互作用し、熱可塑性樹脂組成物中の自由体積を減少させることにより効果的に実現可能であると考えている。このため、熱可塑性樹脂(A)としては化合物(B)と水素結合を形成し得る熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。具体的には、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶性ポリマー、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエチレン、ポリスチレンポリプロピレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリビニルアルコール、およびポリエチレン−ビニルアルコール共重合体から選択される一種または二種以上の熱可塑性樹脂が好ましく用いられる熱可塑性樹脂として挙げられる。また、得られる熱可塑性樹脂組成物の優れた機械特性が得られるという観点から、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶性ポリマー、ポリアミドイミド、およびポリイミドから選択される一種または二種以上の熱可塑性樹脂が特に好ましい。

0015

熱可塑性樹脂(A)として用いられるポリアミドの具体的な例としては、ポリカプロアミドナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミドナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)およびこれらの混合物ないし共重合体などが挙げられる。

0016

また、熱可塑性樹脂(A)として用いられるポリエステルの具体的な例としては、ポリエチレンテレフタレートポリプロピレンテレフタレートポリブチレンテレフタレートポリエチレンナフタレートポリブチレンナフタレートポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートおよびポリエチレン−1,2−ビスフェノキシエタン−4、4’−ジカルボキシレート、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4、4’−ジカルボキシレート、ポリエチレンイソフタレートテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレートおよびポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリエチレンマロネート、ポリエチレンプロピオネートポリブチレンマロネート、ポリブチレンプロピオネート、ポリエチレンアジペートポリブチレンアジペートポリグリコリドポリ乳酸およびこれらの混合物ないし共重合体などが挙げられる。

0017

本発明で用いられる熱可塑性樹脂の溶融粘度に特に制限はないが、樹脂が有する本来の特性が発現し、良好な成形加工性を得るという観点から、1〜1000Pa・sの範囲が好ましく、5〜500Pa・sがより好ましい。なお、本発明における熱可塑性樹脂の溶融粘度は、融点(Tm)+10℃、剪断速度1,000(1/秒)の条件下で高化式フローテスターによって測定した値を指す。ここで、融点(Tm)とは、示差熱量測定において、熱可塑性樹脂を室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を指す。

0018

(2)化合物(B)
本発明の化合物(B)は、相互に少なくとも2つ以上の水素結合を形成し得る水素結合ドナーおよび/または水素結合アクセプターを有する官能基Rとイオン性官能基またはイオン性官能基の塩を分子内に少なくとも1つ有するWで構成される化合物である。官能基Rは、複数種ある場合、互いに同一でも異なる構造でもよい。化合物(B)は、化合物(B)の官能基R同士で相互に少なくとも2つ以上の水素結合を形成し得る化合物である。また、化合物(B)は、官能基Rにより熱可塑性樹脂(A)と1つ以上の水素結合を形成し得るものである。

0019

本発明の化合物(B)は、上述のとおり化合物(B)同士で水素結合を形成すること、および化合物(B)と熱可塑性樹脂(A)とで水素結合を形成することから、熱可塑性樹脂組成物中には化合物(B)同士の反応物および熱可塑性樹脂(A)と化合物(B)との反応物も含まれることになる。それらの反応物の構造を特定することは実際的でない事情が存在することから、本発明は配合する成分により発明を特定するものである。

0020

本発明の化合物(B)は以下の構造で表すことができる。

0021

0022

上記一般式(i)中の本発明の化合物(B)の、少なくとも2つ以上の水素結合を形成し得る水素結合ドナーおよび/または水素結合アクセプターを有する官能基Rは、炭素原子窒素原子、および酸素原子から選択される少なくとも2種を含む複素環構造を有することが好ましく、単環式化合物多環式化合物が挙げられる。水素結合アクセプターは酸素原子および/または窒素原子であることが好ましい。Wは、イオン性官能基またはイオン性官能基の塩を含む構造であり、炭素数1〜10000の直鎖構造、分岐構造もしくは環状構造で、ヘテロ原子を1つまたは複数含んでいてもよい。Rは置換基を有する構造で、置換基の少なくとも1つがWである。

0023

Rは、具体的には、プリンピリミジンプテリジンプテリンイミダゾールピラゾールピリダジンピラジントリアジンテトラジントリアゾールテトラゾールキナゾリンフタラジンベンゾイミダゾールベンゾトリアゾールキノキサリンシンノリンインダゾールピリミドピリミジン等のヘテロ環系およびその誘導体に由来する構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらを単独で、または2種以上混合して使用することができる。好ましくは、プリン誘導体に由来する構造、ピリミジン誘導体に由来する構造、プテリン誘導体に由来する構造であり、中でも、グアニンアデニンシトシンヒポキサンチンチミンウラシル、プテリンおよびこれらの誘導体に由来する構造がより好ましい。

0024

上記一般式(i)中のWは、以下の構造で表すことができる。

0025

0026

上記一般式(ii)中、nは0または1〜20の正の整数である。Yは、イオン性官能基またはイオン性官能基の塩であり、具体的には、カルボキシル基リン酸基スルホ基アミノ基等のイオン性官能基、カルボン酸塩リン酸塩スルホン酸塩アンモニウム塩塩酸塩硫酸塩、硝酸塩等のイオン性官能基の塩が挙げられ、好ましくは、カルボキシル基、リン酸基、カルボン酸塩、リン酸塩である。塩を構成する陽イオンとしては、ナトリウムイオンカリウムイオンリチウムイオンアンモニウムイオンオキソニウムイオン等が挙げられ、塩を構成する陰イオンとしては、ハロゲン化物イオン水酸化物イオン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。Xは、炭素数1〜10000の直鎖構造、分岐構造もしくは環状構造で、ヘテロ原子を1つまたは複数含んでいてもよい。ヘテロ原子としては、O、S、N、P、Cl、Br、F、Siが挙げられる。

0027

上記一般式(ii)で表される化合物(B)は、市販されている化合物を利用することができる。具体的には、グアニル酸アデニル酸シチジル酸イノシン酸チミジル酸ウリジル酸等のヌクレオチドおよびその誘導体、オロト酸ヒドラジン酸、チミン−1−酢酸、ウラシル−1−酢酸、5−ブロモウラシル−1−酢酸、ピリミジン−5−カルボン酸ヒドロキシニコチン酸、5−アミノオロト酸、5−フルオロオロト酸、葉酸等のヘテロ環合物およびその誘導体、グアノシン−5’−リン酸二ナトリウムアデノシン−5’−リン酸二ナトリウム、シチジン−5’−リン酸二ナトリウム、イノシン−5’−リン酸二ナトリウム、ウリジン−5’−リン酸二ナトリウム、チミジン−5’−リン酸二ナトリウム、デオキシグアノシン−5’−リン酸二ナトリウム、デオキシアデノシン−5’−リン酸二ナトリウム、デオキシシチジン−5’−リン酸二ナトリウム、デオキシイノシン−5’−リン酸二ナトリウム、デオキシウリジン−5’−リン酸二ナトリウム等のヌクレオチド塩およびその誘導体、6−アミノウラシル、6−アミノ−1−メチルウラシル、5−アミノウラシル、5,6−ジアミノ−1−メチルウラシル、6−アミノ−1−メチル−5−(プロピルアミノ)ウラシル、8−アミノグアニン等の核酸塩基誘導体およびその塩、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,2,4−トリアミノベンゼン、N−メチル−1,2−フェニレンジアミン、2,3−ジアミノナフタレン等のジアミノベンゼン誘導体およびその塩が挙げられ、中でも、ヌクレオチドおよびその誘導体、ヌクレオチド塩およびその誘導体が好ましく、葉酸、グアニル酸、イノシン酸、グアノシン−5’−リン酸二ナトリウム、イノシン−5’−リン酸二ナトリウムがより好ましい。

0028

(3)ポリマー(C)
本発明のポリマー(C)は、(B)の分子内のイオン性官能基またはイオン性官能基の塩とは反対の電荷を有するイオン性官能基またはイオン性官能基の塩を分子内に有するポリマーで、重量平均分子量が500以上のもので、直鎖構造、分岐構造、環状構造を含んでいても、N、O、S、Pおよびハロゲンといったヘテロ原子を1つまたは複数含んでいてもよい。(B)と(C)はイオンコンプレックスを形成し、(B)のイオン性官能基が酸性官能基アニオン性官能基)のときは、(C)のイオン性官能基は塩基性官能基カチオン性官能基)が好ましく、(B)のイオン性官能基が塩基性官能基(カチオン性官能基)のときは、(C)のイオン性官能基は酸性官能基(アニオン性官能基)が好ましい。(B)が酸性官能基と塩基性官能基の両方のイオン性官能基を有する場合、(C)のイオン性官能基は酸性官能基か塩基性官能基の何れかである。(C)中のイオン性官能基またはイオン性官能基の塩としては、具体的には、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、アミノ基等のイオン性官能基、カルボン酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、アンモニウム塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等のイオン性官能基の塩が挙げられ、好ましくは、カルボキシル基、リン酸基、カルボン酸塩、リン酸塩である。塩を構成する陽イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、アンモニウムイオン、オキソニウムイオン等が挙げられ、塩を構成する陰イオンとしては、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、イオン性官能基またはイオン性官能基の塩は(C)中に1個以上含まれていればよい。

0029

(C)は、市販されているポリマーを利用することができる。具体的には、ポリエチレンイミンポリアリルアミンカチオン性ポリビニルアルコール(たとえば日本合成化学株式会社製の「ゴーセネックPVOH K」)、カチオン性グアーガム(たとえばDSP五橋フードケミカル株式会社製の「ラボールガムCG−M8M」)、カチオン化セルロースキトサンポリビニルピリジンポリビニルイミダゾール等のカチオン性官能基を有するポリマー誘導体およびその塩、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸アニオン性ポリビニルアルコール(たとえば日本合成化学株式会社製の「ゴーセネックス PVOH T」)等のアニオン性官能基を有するポリマー誘導体およびその塩が挙げられ、ポリエチレンイミン、カチオン性ポリビニルアルコールおよびその塩が、より好ましい。

0030

(4)熱可塑性樹脂組成物
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して化合物(B)を0.1〜50重量部配合してなる。化合物(B)の配合量がこの範囲から外れると、本発明の目的である高いガスバリア性向上効果を得ることができない。熱可塑性樹脂としての本来の機械特性を損なわず、効果的にガスバリア性向上効果が得られるとの観点から、化合物(B)の配合量は、好ましくは0.1〜20重量部であり、より好ましくは0.5〜15重量部である。

0031

また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、さらにポリマー(C)を熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜50重量部配合することができる。ポリマー(C)の配合量がこの範囲であるとき、化合物(B)とポリマー(C)は熱可塑性樹脂(A)中でイオンコンプレックスを形成する傾向にある。この結果、本発明の目的である高いガスバリア性向上効果が得られ易くなっていると筆者らは考えている。熱可塑性樹脂としての本来の機械特性を損なわず、効果的にガスバリア性向上効果が得られるとの観点から、ポリマー(C)の配合量は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部であり、より好ましくは0.5〜15重量部である。(B)と(C)の比率は、イオンコンプレックスを形成するのであれば特に制限されないが、好ましくは(B)のイオン性官能基1モルに対して、(C)のイオン性官能基のモル数が0.1〜10モル当量であるときであり、より好ましくは、(B)のイオン性官能基1モルに対して、(C)のイオン性官能基のモル数が1〜10モル当量のときである。

0032

なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物は以下に示す方法で製造することができる。

0033

(1)少なくとも1種の熱可塑性樹脂(A)100重量部と、前記化合物(B)0.1〜50重量部を加熱溶融下で混合する方法あるいは溶液状態で混合する方法。

0034

(2)少なくとも1種の熱可塑性樹脂(A)100重量部と、前記化合物(B)0.1〜50重量部およびポリマー(C)0.1〜50重量部を加熱溶融下で混合する方法あるいは溶液状態で混合する方法。

0035

特に、加熱溶融下で混合する方法は、溶媒を必要とせず製造プロセスが簡易であるとの観点から、より好ましく採用できる。加熱溶融下で混合する方法は、通常公知の方法で行うことができる。例えば、方法(1)では熱可塑性樹脂(A)および化合物(B)を、方法(2)では熱可塑性樹脂(A)、化合物(B)およびポリマー(C)を、方法(3)では熱可塑性樹脂(A)、化合物(B)およびポリマー(C)の混合溶液を、それぞれ予備混合して、またはせずに押出機などに供給して、熱可塑性樹脂(A)の融点+5℃〜50℃の温度範囲において混練する方法である。混練温度は化合物(B)またはポリマー(C)の熱安定性の面から、100℃から400℃の温度範囲で行うことが好ましい。

0036

上記の製造方法を実施する場合、例えば“ユニメルト”タイプのスクリューを備えた単軸押出機二軸三軸押出機およびニーダタイプの混練機などを用いることができる。

0037

さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物には本発明の効果を損なわない範囲において、上述の溶融混練によってガラス繊維炭素繊維黒鉛繊維アラミド繊維単価ケイ素繊維、アルミナ繊維ボロン繊維などの充填材を配合することができる。充填材の配合量は、ポリアミド樹脂100重量部に対し、1〜100重量部が好ましく、より好ましくは10〜80重量部である。充填材の配合量が上記好ましい範囲にあるとき、充填材による強度、剛性の向上効果が得られやすく好ましい。また、改質を目的として、以下のような化合物の添加が可能である。ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物エステル系化合物有機リン系化合物などの可塑剤タルクカオリン有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤モンタン酸ワックス類、エチレンジアミンステアリン酸セバシン酸重縮合物シリコーン系化合物などの離型剤次亜リン酸塩などの着色防止剤、その他、滑剤紫外線防止剤着色剤発泡剤などの通常の添加剤を配合することができる。本発明の実施形態において、上記化合物はいずれも組成物全体の20重量部を越えると熱可塑性樹脂本来の特性が損なわれるため好ましくなく、10重量部以下、更に好ましくは1重量部以下の添加がよい。

0038

上述の溶融混練の際、原料の混合順序には特に制限はなく、全ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方法、一部の原材料を配合後上記の方法により溶融混練し、更に残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後単軸あるいは2軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。また、少量添加する成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加して成形に供することも勿論可能である。

0039

また本発明の組成物は、配合物固体状態錠剤形に圧縮して固め、これを射出成形などの成形に供する方法も採用することができる。

0040

本発明により得られる熱可塑性樹脂組成物は、成形品として広く用いることができる。成形品とは、例えば、フィルムシート、繊維・布、不織布、射出成形品押出し成形品真空圧空成形品、ブロー成形品、および他の材料との複合体などである。

0041

以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。これらの例は例示的なものであって限定的なものではない。

0042

(1)ガスバリア性評価
熱可塑性樹脂組成物ペレットに含まれる熱可塑性樹脂(A)の融点+20℃でプレス成形し、150μm厚みのフィルム成形品を得て、得られたフィルム成形品の水素透過係数差圧式ガス蒸気透過率測定装置GTR−30XATK、G6800T・F)を用いて35℃で測定した。

0043

実施例および比較例に用いた原料を次に示す。
(A−1)ポリアミド6:CM1010(東レ株式会社)
(B−1)葉酸(和光純薬工業株式会社)
(B−2)グアノシン−5’−リン酸二ナトリウム(東京化成工業株式会社)
(B−3)イノシン−5’−リン酸二ナトリウム(東京化成工業株式会社)
(C−1)ポリエチレンイミン(品名「P−70」、和光純薬工業株式会社)
(C−2)カチオン性ポリビニルアルコール(品名「ゴーセネックスPVOH K」、日本合成化学株式会社)
(D−1)チミン(東京化成工業株式会社)

0044

(実施例1〜4、比較例1〜2)
混練機(株式会社東洋精機製作所社製ラボプラストミル4C150)を用い、表1に示す組成となるように各種原料を供給して溶融混練した。スクリュー回転数は200rpm、混練時間は原料仕込み開始から6分間とした。混練されたサンプルはペレタイズした後、加熱プレスにより厚み150μmのフィルムに加工してガスバリア性評価サンプルとした。

0045

実施例

0046

実施例1〜4、比較例1〜2の比較により、本発明の2つ以上の水素結合を形成し得る官能基とイオン性官能基またはイオン性官能基の塩を分子内に少なくとも1つ有する化合物(B)を含む熱可塑性樹脂組成物は、水素透過係数が低下、つまり水素ガスバリア性の向上効果が得られていることが明らかである。

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