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図面 (9)

課題

糖及び/又は脂質の代謝改善剤を提供すること。

解決手段

グルコース残基ヒドロキシ基が、一般式(1)で表される基及び一般式(2)で表される基、又は一般式(3)で表される基に置き換えられてなるβ−1,3−グルカン誘導体を含有する、糖及び/又は脂質の代謝改善剤。

概要

背景

食生活や生活習慣の変化に伴い、肥満(特に、内臓脂肪型肥満)、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病は、増加の一途をたどっている。例えば、現在、世界的には20数%もの人が肥満であるといわれている。これらは、心筋梗塞脳梗塞などのリスク要因であるとされており、予防又はより早期の改善が望まれる。ただ、通常、食生活や生活習慣自体を大きく変えることは困難である。このため、糖及び/又は脂質の代謝改善剤の摂取により、肥満などの予防又はより早期の改善を図ることが望ましい。

現在、各種の糖尿病治療薬肥満改善剤等が市販されている。ただ、これらは、通常は、糖及び脂質の一方の代謝しか改善しないものであり、糖及び脂質の両方の代謝を包括的に改善するものではない。

パラミロンは、ミドリムシが産生するβ−1,3−グルカンである。近年、パラミロンが、創傷治療アレルギー抑制などに有用であることが報告されている(特許文献1〜2)。

概要

糖及び/又は脂質の代謝改善剤を提供すること。グルコース残基ヒドロキシ基が、一般式(1)で表される基及び一般式(2)で表される基、又は一般式(3)で表される基に置き換えられてなるβ−1,3−グルカン誘導体を含有する、糖及び/又は脂質の代謝改善剤。なし

目的

本発明は、糖及び/又は脂質の代謝改善剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

グルコース残基ヒドロキシ基が、一般式(1)で表される基及び一般式(2)で表される基:[一般式(1)中、R1は各出現において独立して、単結合又は炭素原子数1〜3の二価鎖式炭化水素基を示す。一般式(2)中、R2は各出現において独立して、炭素原子数15〜30の一価の鎖式炭化水素基を示す。]、又は一般式(3)で表される基:[一般式(3)中、R3は各出現において独立して、ヒドロキシ基で置換された炭素原子数1〜3の二価の鎖式炭化水素基を示し、R4aは各出現において独立して、炭素原子数1〜3のアルキル基を示し、R4bは各出現において独立して、炭素原子数1〜3のアルキル基を示し、R4cは各出現において独立して、炭素原子数1〜3のアルキル基を示す。]に置き換えられてなるβ−1,3−グルカン誘導体を含有する、糖及び/又は脂質の代謝改善剤

請求項2

前記R1で示される二価の鎖式炭化水素基、前記R2で示される一価の鎖式炭化水素基、及び前記R3で示される二価の鎖式炭化水素基が、いずれも飽和炭化水素基である、請求項1に記載の代謝改善剤。

請求項3

前記β−1,3−グルカン誘導体がパラミロン誘導体又はカードラン誘導体である、請求項1又は2に記載の代謝改善剤。

請求項4

前記β−1,3−グルカン誘導体が直鎖状であり、且つ糖残基間の結合が全てβ−1,3−グルコシド結合である、請求項1〜3のいずれかに記載の代謝改善剤。

請求項5

前記β−1,3−グルカン誘導体の重量平均分子量が1×104〜5×106である、請求項1〜4のいずれかに記載の代謝改善剤。

請求項6

糖代謝及び脂質代謝の両方を改善するために用いられる、請求項1〜5のいずれかに記載の代謝改善剤。

請求項7

医薬である、請求項1〜6のいずれかに記載の代謝改善剤。

請求項8

(1)メタボリックシンドローム、又は(2)肥満糖尿病、及び脂質異常症からなる群より選択される少なくとも一種の予防又は改善に用いられる、請求項1〜7のいずれかに記載の代謝改善剤。

技術分野

0001

本発明は、糖及び/又は脂質の代謝改善剤に関する。

背景技術

0002

食生活や生活習慣の変化に伴い、肥満(特に、内臓脂肪型肥満)、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病は、増加の一途をたどっている。例えば、現在、世界的には20数%もの人が肥満であるといわれている。これらは、心筋梗塞脳梗塞などのリスク要因であるとされており、予防又はより早期の改善が望まれる。ただ、通常、食生活や生活習慣自体を大きく変えることは困難である。このため、糖及び/又は脂質の代謝改善剤の摂取により、肥満などの予防又はより早期の改善を図ることが望ましい。

0003

現在、各種の糖尿病治療薬肥満改善剤等が市販されている。ただ、これらは、通常は、糖及び脂質の一方の代謝しか改善しないものであり、糖及び脂質の両方の代謝を包括的に改善するものではない。

0004

パラミロンは、ミドリムシが産生するβ−1,3−グルカンである。近年、パラミロンが、創傷治療アレルギー抑制などに有用であることが報告されている(特許文献1〜2)。

先行技術

0005

特開2011-184371号公報
特開2014-231479号公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、糖及び/又は脂質の代謝改善剤を提供することを課題とする。好ましくは、本発明は、糖及び脂質両方の代謝改善剤を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意研究した結果、グルコース残基ヒドロキシ基が特定の基に置き換えられてなるβ−1,3−グルカン誘導体が、糖及び/又は脂質の代謝改善作用を発揮することを見出した。本発明者は、この知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明を完成させた。

0008

即ち、本発明は、下記の態様を包含する:
項1.グルコース残基のヒドロキシ基が、一般式(1)で表される基及び一般式(2)で表される基:

0009

0010

[一般式(1)中、R1は各出現において独立して、単結合又は炭素原子数1〜3の二価鎖式炭化水素基を示す。一般式(2)中、R2は各出現において独立して、炭素原子数15〜30の一価の鎖式炭化水素基を示す。]
、又は一般式(3)で表される基:

0011

0012

[一般式(3)中、R3は各出現において独立して、ヒドロキシ基で置換された炭素原子数1〜3の二価の鎖式炭化水素基を示し、R4aは各出現において独立して、炭素原子数1〜3のアルキル基を示し、R4bは各出現において独立して、炭素原子数1〜3のアルキル基を示し、R4cは各出現において独立して、炭素原子数1〜3のアルキル基を示す。]
に置き換えられてなるβ−1,3−グルカン誘導体を含有する、糖及び/又は脂質の代謝改善剤。

0013

項2. 前記R1で示される二価の鎖式炭化水素基、前記R2で示される一価の鎖式炭化水素基、及び前記R3で示される二価の鎖式炭化水素基が、いずれも飽和炭化水素基である、項1に記載の代謝改善剤。

0014

項3. 前記β−1,3−グルカン誘導体がパラミロン誘導体又はカードラン誘導体である、項1又は2に記載の代謝改善剤。

0015

項4. 前記β−1,3−グルカン誘導体が直鎖状であり、且つ糖残基間の結合が全てβ−1,3−グルコシド結合である、項1〜3のいずれかに記載の代謝改善剤。

0016

項5. 前記β−1,3−グルカン誘導体の重量平均分子量が1×104〜5×106である、項1〜4のいずれかに記載の代謝改善剤。

0017

項6.糖代謝及び脂質代謝の両方を改善するために用いられる、項1〜5のいずれかに記載の代謝改善剤。

0018

項7.医薬である、項1〜6のいずれかに記載の代謝改善剤。

0019

項8. (1)メタボリックシンドローム、又は
(2)肥満、糖尿病、及び脂質異常症からなる群より選択される少なくとも一種の予防又は改善に用いられる、項1〜7のいずれかに記載の代謝改善剤。

発明の効果

0020

本発明によれば、糖及び/又は脂質の代謝改善剤を提供することができる。本発明の代謝改善剤によれば、糖及び脂質両方の代謝を改善することも可能である。さらに、本発明の代謝改善剤によれば、メタボリックシンドローム、肥満、糖尿病、脂質異常症等の予防又は改善を図ることもできる。

0021

なお、メタボリックシンドロームは内臓脂肪型肥満に加えて、(1)高血圧である、
(2)血糖値が高い、(3)HDLコレステロールが低いか中性脂肪が高い、の3つのうち、いずれか2つ以上あてはまる状態である。

図面の簡単な説明

0022

試験例1-3-1で測定された体重変化を示すグラフである。縦軸は体重を示し、横軸は試験飼育開始からの経過日数を示す。「Regular Chow」は通常飼料摂取群を示し、「Cellulose」は対照飼料摂取群を示し、「Compound C」は被検飼料(パラミロン誘導体C含有飼料)摂取群を示し、「Compound E」は被検飼料(パラミロン誘導体E含有飼料)摂取群を示し、「Compound I」は被検飼料(パラミロン誘導体I含有飼料)摂取群を示す(これらの表示の意味については、他の図においても同様である。)。
試験例1-3-2で測定された胆汁酸排泄量を示すグラフである。縦軸が、一日の胆汁酸排泄量を示し、横軸中、「Chow」は通常飼料摂取群を示し、「Cell.」は対照飼料摂取群を示し、「C」は被検飼料(パラミロン誘導体C含有飼料)摂取群を示す。「#」は通常飼料摂取群と比較した場合のp値(t-test)が0.05未満であることを示し、「*」は対照飼料摂取群と比較した場合のp値(t-test)が0.05未満であることを示す。
試験例1-3-3で測定されたトリグリセリド(TG)量を示すグラフである。縦軸が糞中トリグリセリド量を示す。
試験例1-3-4で測定された内臓脂肪量を示すグラフである。縦軸は、内臓脂肪腸管脂肪)量の相対重量(=体重100g当たりの内臓脂肪量)を示す。
試験例1-3-5で測定されたGLP-1濃度を示すグラフである。縦軸は、GLP-1濃度を示す。
試験例1-3-6で測定されたインシュリン濃度を示すグラフである。縦軸は、インシュリン濃度を示す。
試験例1-3-6で測定された血糖値を示すグラフである。縦軸は、血糖値を示す。
試験例1-3-7で測定された総コレステロール濃度を示すグラフである。縦軸は、総コレステロール濃度を示す。
試験例1-3-7で測定されたLDLコレステロール濃度を示すグラフである。縦軸は、LDLコレステロール濃度を示す。

0023

明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。

0024

本発明は、その一態様において、グルコース残基のヒドロキシ基が、一般式(1)で表される基及び一般式(2)で表される基、又は一般式(3)で表される基に置き換えられてなるβ−1,3−グルカン誘導体(本明細書において、「本発明のβ−1,3−グルカン誘導体」と示すこともある)を含有する、糖及び/又は脂質の代謝改善剤(本明細書において、「本発明の代謝改善剤」と示すこともある)に関する。以下に、これについて説明する。

0025

1.β−1,3−グルカン誘導体
本発明のβ−1,3−グルカン誘導体は、グルコース残基のヒドロキシ基が、一般式(1)で表される基及び一般式(2)で表される基、又は一般式(3)で表される基に置き換えられてなるβ−1,3−グルカン誘導体である。

0026

本発明のβ−1,3−グルカン誘導体の誘導体化前の「β−1,3−グルカン」は、グルコースがβ−1,3結合のみで連結してなる1本の糖鎖(又は糖鎖構造)を主鎖として有するものであれば特に制限されない。β−1,3−グルカンは、化学合成により得られたものであってもよいが、入手容易性等の観点から、各種生物が産生する天然β−1,3−グルカンが好ましい。天然β−1,3−グルカンとしては、例えばパラミロン、カードランラミナランカロースレンチナンシゾフィラン等が挙げられ、好ましくはパラミロン、カードラン等が挙げられ、より好ましくはパラミロンが挙げられる。

0027

パラミロンは、ミドリムシ属(=ユーグレナ属)に属する微細藻類(本明細書において、「ユーグレナ」と示すこともある。)由来のβ−1,3−グルカンであり、その限りにおいて特に制限されない。

0028

パラミロンが由来するユーグレナは、特に制限されないが、例えば、Euglena gracilis、Euglena longa、Euglena caudata、Euglena oxyuris、Euglena tripteris、Euglena proxima、Euglena viridis、Euglena sociabilis、Euglena ehrenbergii、Euglena deses、Euglena pisciformis、Euglena spirogyra、Euglena acus、Euglena geniculata、Euglena intermedia、Euglena mutabilis、Euglena sanguinea、Euglena stellata、Euglena terricola、Euglena klebsi、Euglena rubra、Euglena cyclopicolaなどが挙げられる。

0029

「グルコース残基」は、β−1,3−グルカンを構成するグルコースの残基である限り特に制限されず、例えばグルコースがβ−1,3結合のみで連結してなる1本の直鎖状の糖鎖におけるグルコース残基とは、式(a)〜(c):

0030

0031

で表される一価又は二価の基である。

0032

ヒドロキシ基が一般式(1)及び(2)、又は一般式(3)の基で置き換えられる「グルコース残基」は、β−1,3−グルカンを構成するグルコース残基の一部であってもよいし、全部であってもよい。

0033

一般式(1)及び(2)又は一般式(3)の基で置き換えられる「グルコース残基のヒドロキシ基」は、グルコース残基の構造内に(通常は複数個)存在するヒドロキシ基の内の、少なくとも1つのヒドロキシ基である限り特に制限されない。例えば式(a)において、グルコース残基の少なくとも1つのヒドロキシ基とは、*1で示されるヒドロキシ基、*2で示されるヒドロキシ基、及び*3で示されるヒドロキシ基からなる群より選択される少なくとも一種を意味する。

0034

本発明のβ−1,3−グルカン誘導体は、グルコース残基のヒドロキシ基が、一般式(1)で表される基及び一般式(2)で表される基に置き換えられている場合と、一般式(3)で表される基に置き換えられている場合の2つのパターンを包含する。前者の場合、一般式(1)で表される基に置き換えられるヒドロキシ基と一般式(2)で表される基に置き換えられるヒドロキシ基は、同一のグルコース残基内のヒドロキシ基であってもよいし、互いに異なるグルコース残基内のヒドロキシ基であってもよい。

0035

一般式(1)で表される基は、以下のとおりである。

0036

0037

[一般式(1)中、R1は各出現において独立して、単結合又は炭素原子数1〜3の二価の鎖式炭化水素基を示す。]
R1で示される二価の鎖式炭化水素基は、特に制限されず、直鎖状又は分岐鎖状(好ましくは直鎖状)のいずれのものも包含する。該二価の鎖式炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは2である。該二価の鎖式炭化水素基は、飽和炭化水素基及び不飽和炭化水素基のいずれも包含するが、好ましくは飽和炭化水素基である。該二価の鎖式炭化水素基の具体例としては、メチレン基エチレン基ノルマルプロピレン基イソプロピレン基等が挙げられる。

0038

一般式(2)で表される基は、以下のとおりである。

0039

0040

[一般式(2)中、R2は各出現において独立して、炭素原子数15〜30の一価の鎖式炭化水素基を示す。]
R2で示される一価の鎖式炭化水素基は、特に制限されず、直鎖状又は分岐鎖状(好ましくは直鎖状)のいずれのものも包含する。該一価の鎖式炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは26以下、より好ましくは22以下、さらに好ましくは16〜18である。該一価の鎖式炭化水素基は、飽和炭化水素基及び不飽和炭化水素基のいずれも包含するが、好ましくは飽和炭化水素基である。該一価の鎖式炭化水素基の具体例としては、ペンタデシル、9−ペンタデセニルヘキサデシルヘプタデシル、シス−9−ヘプタデセニル、11−ヘプタデセニル、シス,シス−9,12−ヘプタデカジエニル、9,12,15−ヘプタデカントリエニル、6,9,12−ヘプタデカントリエニル、9,11,13−ヘプタデカントリエニル、ノナデシル、8,11−ノナデカジエニル、5,8,11−ノナデカトリエニル、5,8,11,14−ノナデカテトラエニルヘンイコシルトリコシル、シス−15−トリコセニル、ペンタコシル、ヘプタコシル、ノナコシル等が挙げられる。

0041

一般式(3)で表される基は、以下のとおりである。

0042

0043

[一般式(3)中、R3は各出現において独立して、ヒドロキシ基で置換された炭素原子数1〜3の二価の鎖式炭化水素基を示し、R4aは各出現において独立して、炭素原子数1〜3のアルキル基を示し、R4bは各出現において独立して、炭素原子数1〜3のアルキル基を示し、R4cは各出現において独立して、炭素原子数1〜3のアルキル基を示す。]
R3で示される二価の鎖式炭化水素基は、少なくとも1つの水素原子がヒドロキシ基で置換されている二価の鎖式炭化水素基である限り特に制限されず、直鎖状又は分岐鎖状(好ましくは直鎖状)のいずれのものも包含する。該二価の鎖式炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは1〜3、より好ましくは3である。該二価の鎖式炭化水素基は、飽和炭化水素基及び不飽和炭化水素基のいずれも包含するが、好ましくは飽和炭化水素基である。該二価の鎖式炭化水素基におけるヒドロキシ基の数は、例えば1〜3、好ましくは1〜2、より好ましくは1である。該二価の鎖式炭化水素基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、ノルマルプロピレン基、イソプロピレン基等にヒドロキシ基が置換してなる基が挙げられる。R3の特に好ましい態様としては、以下の基:

0044

0045

が挙げられる。

0046

R4aで示されるアルキル基は、特に制限されず、直鎖状又は分岐鎖状(好ましくは直鎖状)のいずれのものも包含する。該アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜3、より好ましくは1である。該アルキル基の具体例としては、メチル基エチル基ノルマルプロピル基イソプロピル基等が挙げられる。

0047

R4b及びR4cについてはR4aと同様である。

0048

「グルコース残基のヒドロキシ基が一般式(1)で表される基及び一般式(2)で表される基、又は一般式(3)で表される基に置き換えられてなる」とは、換言すれば、グルコース残基のヒドロキシ基の代わりに一般式(1)で表される基及び一般式(2)で表される基、又は一般式(3)が存在してなることである。例えば、式(a)において、グルコース残基の6位のヒドロキシ基のみが一般式(3)に置き換えられている場合であれば、そのグルコース残基は式(a’):

0049

0050

で表すことができる。

0051

本発明のβ−1,3−グルカン誘導体は、グルコース及び/又は少なくとも1つのヒドロキシ基が一般式(1)で表される基及び一般式(2)で表される基、若しくは一般式(3)に置き換えられてなるグルコース誘導体がβ−1,3結合のみで連結してなる1本の糖鎖(又は糖鎖構造)を主鎖として有する限りにおいて特に制限されず、直鎖状のものに限らず、分枝鎖を有するものも包含する。

0052

直鎖状の場合、糖残基間の結合が全てβ−1,3−グルコシド結合である場合(すなわち、本発明のβ−1,3−グルカン誘導体が、グルコース及び/又は少なくとも1つのヒドロキシ基が一般式(1)で表される基及び一般式(2)で表される基、若しくは一般式(3)に置き換えられてなるグルコース誘導体がβ−1,3結合のみで連結した1本の糖鎖のみからなる場合)と、該糖鎖の末端と他の結合様式(例えば、β−1,4結合)の糖鎖の末端とが連結した場合が包含される。

0053

分枝鎖としては、特に制限されず、例えば主鎖上のグルコース残基及び/又は少なくとも1つのヒドロキシ基が一般式(1)で表される基及び一般式(2)で表される基、若しくは一般式(3)に置き換えられてなるグルコース誘導体残基の6位のヒドロキシ基と、他の糖のヒドロキシ基とが、グリコシド結合で連結し、そこから伸びていく分枝鎖が挙げられる。

0054

本発明のβ−1,3−グルカン誘導体は、好ましくは直鎖状であり、より好ましくは直鎖状であり且つ糖残基間の結合が全てβ−1,3−グルコシド結合である。

0055

また、同様の観点から、本発明のβ−1,3−グルカン誘導体において、主鎖(グルコース及び/又は少なくとも1つのヒドロキシ基が一般式(1)で表される基及び一般式(2)で表される基、若しくは一般式(3)に置き換えられてなるグルコース誘導体がβ−1,3結合のみで連結してなる1本の糖鎖(又は糖鎖構造))を構成する糖残基の数は、本発明のβ−1,3−グルカン誘導体全体を構成する糖残基の総数100%に対して、例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、よりさらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上である。

0056

本発明のβ−1,3−グルカン誘導体の重量平均分子量は、特に限定されないが、糖及び/又は脂質代謝改善作用をより確実に(例えば、より低濃度で、等)発揮できるという観点から、例えば1×104〜5×106、好ましくは2×104〜1×106、より好ましくは4×104〜3×105、さらに好ましくは5×104〜1×105である。

0057

なお、重量平均分子量は、SEC-MALS(Size Exclusion Chromatography−Multi Angle Light Scattering:サイズ排除クロマトグラフィー多角度光散乱)による絶対分子量測定法で決定することができる。

0058

本発明のβ−1,3−グルカン誘導体の数平均分子量は、特に限定されないが、糖及び/又は脂質代謝改善作用をより確実に(例えば、より低濃度で、等)発揮できるという観点から、例えば1×104〜5×106、好ましくは1×104〜5×105、より好ましくは2×104〜1×105、さらに好ましくは4×104〜8×105である。

0059

本発明のβ−1,3−グルカン誘導体が、グルコース残基のヒドロキシ基が一般式(1)で表される基及び一般式(2)で表される基に置き換えられてなるβ−1,3−グルカン誘導体である場合、好ましい置換度(1グルコース残基あたりの置換されたヒドロキシ基の平均数、Degree of Substitution(DS))は次のとおりである。一般式(1)で表される基の置換度は、好ましくは0.1〜2.5、より好ましくは0.3〜2.0、さらに好ましくは0.6〜1.5、よりさらに好ましくは0.8〜1.2である。一般式(2)で表される基の置換度は、好ましくは0.001〜1.0、より好ましくは0.005〜0.5、さらに好ましくは0.01〜0.1、よりさらに好ましくは0.015〜0.05である。

0060

本発明のβ−1,3−グルカン誘導体が、グルコース残基のヒドロキシ基が一般式(3)で表される基に置き換えられてなるβ−1,3−グルカン誘導体である場合、好ましい置換度(DS)は次のとおりである。一般式(3)で表される基の置換度は、好ましくは0.1〜2.5、より好ましくは0.2〜2.0、さらに好ましくは0.4〜1.5、よりさらに好ましくは0.6〜1.2である。

0061

本発明のβ−1,3−グルカン誘導体が、グルコース残基のヒドロキシ基が一般式(1)で表される基及び一般式(2)で表される基に置き換えられてなるβ−1,3−グルカン誘導体である場合、本発明のβ−1,3−グルカン誘導体においては、構成糖残基のヒドロキシ基の一部が、「一般式(1)で表される基及び一般式(2)で表される基」以外の他の基で置き換えられていてもよい。他の基の数は、「一般式(1)で表される基及び一般式(2)で表される基」の総数100%に対して、例えば10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下である。

0062

本発明のβ−1,3−グルカン誘導体が、グルコース残基のヒドロキシ基が一般式(3)で表される基に置き換えられてなるβ−1,3−グルカン誘導体である場合、本発明のβ−1,3−グルカン誘導体においては、構成糖残基のヒドロキシ基の一部が、一般式(3)で表される基以外の他の基で置き換えられていてもよい。他の基の数は、一般式(3)で表される基の総数100%に対して、例えば10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下である。

0063

本発明のβ−1,3−グルカン誘導体の好ましい一態様としては、例えば一般式(A):

0064

0065

[式中、R5及びR6は、各出現においてそれぞれ独立して、ヒドロキシ基、一般式(1)で表される基、又は一般式(2)で表される基を示す(但し、全てのR5及び全てのR6が同時にヒドロキシ基である場合、及び一般式(1)で表される基及び一般式(2)で表される基の一方が存在しない場合を除く)。nは25〜10000の整数を示す。]
で表される構造を主鎖として有するβ−1,3−グルカン誘導体が挙げられ、好ましくは一般式(B):

0066

0067

[式中、R5、R6、及びnは、前記に同じである。]
で表されるβ−1,3−グルカン誘導体が挙げられる。

0068

nは、糖及び/又は脂質代謝改善作用をより確実に(例えば、より低濃度で、等)発揮できるという観点から、好ましくは50〜5000、より好ましくは100〜2000、さらに好ましくは200〜1000である。

0069

本発明のβ−1,3−グルカン誘導体は、塩の形態も包含する。塩は、薬学的に許容される塩である限り、特に制限されるものではない。該塩としては、特に制限されないが、例えば一般式(1)で表される基を有する場合は−COO-との塩基性塩が挙げられ、一般式(3)で表される基を有する場合は−N+R4aR4bR4cとの酸性塩が挙げられる。

0070

塩基性塩の例としては、ナトリウム塩、及びカリウム塩等のアルカリ金属塩; 並びにカルシウム塩マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩アンモニアとの塩;モルホリンピペリジンピロリジンモノアルキルアミンジアルキルアミントリアルキルアミンモノヒドロキシアルキルアミン、ジ(ヒドロキシアルキル)アミン、トリ(ヒドロキシアルキル)アミン等の有機アミンとの塩等が挙げられる。

0072

本発明のβ−1,3−グルカン誘導体は、溶媒和物の形態も包含する。溶媒としては、例えば、水や、薬学的に許容される有機溶媒(例えばエタノールグリセロール酢酸等)等が挙げられる。

0073

2.β−1,3−グルカン誘導体の製造方法
本発明のβ−1,3−グルカン誘導体は、様々な方法で合成することができる。

0074

2-1.製造方法1
グルコース残基のヒドロキシ基が一般式(1)で表される基及び一般式(2)で表される基に置き換えられてなるβ−1,3−グルカン誘導体であれば、例えば、一般式(1a)で表されるジカルボン酸、その無水物、そのハロゲン化物等及び、一般式(2a)で表される脂肪酸、その無水物、そのハロゲン化物等を用いて、β−1,3−グルカンとエステル化反応を行うことによって、得ることができる。

0075

0076

この場合、β−1,3−グルカンと一般式(2a)で表される脂肪酸のハロゲン化物とを反応させる工程(工程1)、及び工程1で得られた生成物と一般式(1a)で表されるジカルボン酸の無水物とを反応させる工程(工程2)を含む方法が、好ましい。

0077

工程1における、一般式(2a)で表される脂肪酸のハロゲン化物としては、例えば塩化物臭化物等が挙げられ、好ましくは塩化物が挙げられる。

0078

工程1における、一般式(2a)で表される脂肪酸のハロゲン化物の使用量は、収率等の観点から、β−1,3−グルカン1質量部に対して、例えば0.02〜0.4質量部、好ましくは0.05〜0.2質量部である。

0079

工程1は、塩基の存在下で行うことが好ましい。塩基としては、特に制限されるものではないが、例えばトリエチルアミン(Et3N)、N,N−ジメチル4−アミノピリジンDMAP)等が挙げられる。塩基は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。

0080

工程1における塩基の使用量は、塩基の種類によっても異なるが、一例として、β−1,3−グルカン1質量部に対して、例えば1〜5質量部、好ましくは1.5〜3質量部である。

0081

工程1は、溶媒中で行われる。溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒の一種又は二種以上を使用することができる。溶媒は、収率、合成の容易さ等の観点から、DMAcが好ましい。

0082

工程1においては、必要に応じて、多糖類の溶解を促進する成分、例えばハロゲン化リチウム等を添加することが好ましい。ハロゲン化リチウムは、塩化リチウム(LiCl)が好ましい。

0083

工程1の反応雰囲気は、特に制限されないが、通常は、窒素雰囲気である。反応温度は、加熱下で行うことができ、通常、50〜150℃(特に80〜120℃)で行うことが好ましい。反応時間は特に制限されず、通常、30分間〜8時間、好ましくは1時間〜5時間である。

0084

工程1の反応終了後は、必要に応じて常法にしたがって精製処理をすることもできる。また、精製処理を施さずに次の工程2を行うこともできる。生成物の構造は、元素分析、FT-IR、1H-NMR、13C-NMR等により決定することができる。

0085

工程2における、一般式(1a)で表されるジカルボン酸の無水物の使用量は、収率等の観点から、工程1で得られた生成物1質量部に対して、例えば0.3〜3質量部、好ましくは0.5〜1.5質量部である。

0086

工程2は、塩基の存在下で行うことが好ましい。塩基としては、特に制限されるものではないが、例えばEt3N、DMAP等が挙げられる。塩基は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。

0087

工程2における塩基の使用量は、塩基の種類によっても異なるが、一例として、工程1で得られた生成物1質量部に対して、例えば0.5〜4質量部、好ましくは1〜2質量部である。

0088

工程2は、溶媒中で行われる。溶媒としては、例えば、DMAc、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の極性溶媒の一種又は二種以上を使用することができる。溶媒は、収率、合成の容易さ等の観点から、DMAcが好ましい。

0089

工程2においては、上記成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜添加剤を使用することもできる。工程2における添加剤としては、例えば、ハロゲン化リチウムが挙げられる。ハロゲン化リチウムは、収率、合成の容易さ等の観点から、LiClが好ましい。

0090

工程2の反応雰囲気は、特に制限されないが、通常、窒素雰囲気である。反応温度は、常温下で行うことができ、通常、10〜50℃(特に15〜35℃)で行うことが好ましい。反応時間は特に制限されず、通常、30分間〜8時間、好ましくは1時間〜5時間とすることができる。

0091

工程2の反応終了後は、必要に応じて常法にしたがって精製処理をすることもできる。工程2の精製終了後は、生成物を完全に乾燥させないことが好ましく、生成物は例えばアルコール(好ましくはエタノール)中に保存することが好ましい。生成物の構造は、元素分析、FT-IR、1H-NMR、13C-NMR等により決定することができる。

0092

2-2.製造方法2
グルコース残基のヒドロキシ基が一般式(3)で表される基に置き換えられてなるβ−1,3−グルカン誘導体であれば、例えば、一般式(3a)で表される化合物のヒドロキシ基とβ−1,3−グルカンのヒドロキシ基とを縮合させることによって得ることができる。

0093

0094

また、β−1,3−グルカン誘導体におけるR3が以下の基:

0095

0096

である場合であれば、β−1,3−グルカンと一般式(3b)で表される化合物(又はその塩)とを反応させる工程(工程3)を含む方法によって、β−1,3−グルカン誘導体を得ることができる。

0097

0098

工程3における、一般式(3b)で表される化合物(又はその塩)の使用量は、収率等の観点から、β−1,3−グルカン1質量部に対して、例えば5〜40質量部、好ましくは10〜25質量部である。

0099

工程3は、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液中で行われる。

0100

工程3の反応雰囲気は、特に制限されないが、通常、窒素雰囲気である。反応温度は、加熱下及び常温下のいずれでも行うことができ、通常、20〜70℃(特に35〜55℃)で行うことが好ましい。反応時間は特に制限されず、通常、1時間〜10時間、好ましくは2時間〜6時間とすることができる。

0101

工程3の反応終了後は、通常は、必要に応じて常法にしたがって精製処理をする。生成物の構造は、元素分析、FT-IR、1H-NMR、13C-NMR等により決定することができる。

0102

3.用途
本発明のβ−1,3−グルカン誘導体は、糖及び/又は脂質の代謝改善作用を有することから、糖及び/又は脂質の代謝改善剤の有効成分として、利用することができる。

0103

また、糖及び/又は脂質の代謝改善作用に基づく他の用途、例えば、以下に列挙する用途:
(A)メタボリックシンドローム、又は高コレステロール血症高脂血症などの脂質異常症、糖尿病、肥満、及び脂肪肝からなる群より選択される少なくとも一種の疾患又は状態などの予防又は改善剤
(B)体重低下剤、
(C)体重増加抑制剤
(D)体脂肪及び/又は内臓脂肪抑制剤、
(E)体脂肪及び/又は内臓脂肪増加の抑制剤、
(F)糖及び/又は脂質吸収抑制剤
(G)脂肪消費促進剤、
(H)血中脂質(例えばコレステロール、中性脂肪等)及び/又は血糖値の抑制剤、
(I)血中脂質(例えばコレステロール、中性脂肪等)及び/又は血糖値上昇の抑制剤、
(J)血中LDLコレステロール生合成抑制剤、
(K)血中LDLコレステロール上昇の抑制剤、
(L)インスリン抵抗性改善剤
等の有効成分として、利用することができる。

0104

さらには、以下に列挙する用途、目的、対象:
(a)内臓脂肪を減らす
(b)体脂肪の増加を抑える、体脂肪を減らす、脂肪の吸収を抑える
(c)中性脂肪を減らす
(d)血中コレステロール値を低下させる、LDLコレステロール値下げ
(e) 内臓脂肪が高めの方へ
(f) BMIが高めの方へ
(g)コレステロールが高めの方へ
(h) 食後の血糖値が高めの方へ
に利用することもできる。

0105

なお、上記(e)については、実際には内臓脂肪は疾患レベルにはない場合にも使用する場合(主に、予防を目的とする場合)も包含される。

0106

本発明の剤は、各種分野において、例えば医薬、食品添加剤食品組成物(健康増進剤栄養補助剤サプリメントなど)を包含する)などとして用いることができる。

0107

本発明の剤の形態は、特に限定されず、用途に応じて、各用途において通常使用される形態をとることができる。

0108

形態としては、用途が医薬、食品添加剤、健康増進剤、栄養補助剤(サプリメントなど)などである場合は、例えば錠剤口腔内側崩壊錠咀嚼可能錠、発泡錠トローチ剤ゼリー状ドロップ剤などを含む)、丸剤顆粒剤細粒剤散剤硬カプセル剤軟カプセル剤ドライシロップ剤液剤ドリンク剤懸濁剤シロップ剤を含む)、ゼリー剤などが挙げられる。

0109

形態としては、用途が食品組成物の場合は、液状、ゲル状あるいは固形状の食品、例えばジュース清涼飲料スープ豆乳などの飲料、サラダ油ドレッシングヨーグルトゼリープリン、ふりかけ、育児用粉乳ケーキミックス粉末状または液状の乳製品パンクッキーなどが挙げられる。

0110

本発明の剤は、必要に応じてさらに他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、医薬、食品添加剤、食品組成物、健康増進剤、栄養補助剤(サプリメントなど)などに配合され得る成分である限り特に限定されるものではないが、例えば基剤担体溶剤分散剤乳化剤緩衝剤、安定剤、賦形剤結合剤崩壊剤滑沢剤増粘剤着色料香料キレート剤などが挙げられる。

0111

本発明の剤が本発明のβ−1,3−グルカン誘導体以外の成分を含む場合、有効成分の含有量は、用途、使用態様適用対象の状態などに左右されるものであり、限定はされないが、例えば0.0001〜95質量%、好ましくは0.001〜50質量%とすることができる。

0112

本発明の剤の適用(例えば、投与、摂取、接種など)量は、薬効発現する有効量であれば特に限定されず、通常は、有効成分である本発明のβ−1,3−グルカン誘導体の乾燥重量として、一般に一日あたり0.1〜10000 mg/kg体重である。上記適用量は1日1回以上(例えば1〜3回)に分けて適用するのが好ましく、年齢病態、症状により適宜増減することもできる。

0113

以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。

0114

以下の合成例中、DSlcaはステアロイル基の置換度を示し、DSsucはスクシニル基の置換度を示し、DShtaは2-ヒドロキシ-3-トリメチルアンモニオプロピル基の置換度を示し、Mwは重量平均分子量を示し、Mnは数平均分子量を示す。

0115

合成例1.パラミロンスクシネートステアレート(パラミロン誘導体C)の合成
パラミロン20.0g、LiCl 15.6g、及びDMAc 1.0Lを100℃で撹拌し、均一溶液を調製した。室温まで冷却後、Et3N43mLを加えた。続いてDMAc 200mLに溶解した塩化ステアロイル1.87gを滴下し、再び100℃に加熱し3時間撹拌を行った。室温まで冷却後、クロロホルム/メタノール混合溶液(2/1, v/v, 1.8L)に投入沈殿(パラミロンステアレート)を得た。遠心分離上澄液を除いたのちに風乾した。

0116

得られたパラミロンステアレート20.0g、LiCl 15.6g、及びDMAc 1.0Lを100℃で撹拌し、均一溶液を調製した。室温まで冷却後、Et3N31mLを加えたのちに、DMAc 200mLに溶解した無水コハク酸21.6gを滴下し、続いて室温にて3時間撹拌した。エタノール2.0Lに投入し、沈殿を生じさせた。得られた沈殿をエタノール2.0Lに分散し、撹拌洗浄したのち遠心分離で取り出した。この洗浄操作を5回繰り返した。得られた固体はエタノールに浸した状態で保存した。
1H-NMR(D2O) δ4.43-3.52 (m), 3.13 (t), 2.59 (brs), 2.49 (brs), 1.22 (m), 0.82 (s);
FT-IR (cm-1) 3448, 2917, 1725, 1570, 1402, 1363, 1154, 1047;
DSlca 0.025, DSsuc 1.00 ± 0.08。

0117

なお、長鎖アシル基の置換度(DSlca)は1H-NMRによって決定した。すなわち、長鎖アシル基の(末端)メチルプロトン及びグルコース骨格のプロトンの積分比を比較することにより算出した。

0118

また、スクシニル基の置換度(DSsuc)は次に説明する中和滴定によって決定した。まず、スクシニル化したパラミロン誘導体約50mgをMilli-Q水30mLに分散した。次に、溶解するまで室温で機械撹拌した。その後、1規定水酸化ナトリウム水溶液を3.0mLを加え、3時間撹拌した。上記の工程を経て作成した溶液を0.1規定塩酸で中和滴定した。滴定終了点フェノールフタレイン液によって定めた。上記の方法を計3回行った。物質量の測定値等に基づいて、以下の方程式を用いて、式:DSsuc=x/zによりDSsucを算出した。

0119

0120

[式中、xはスクシネートのモル数(mmol)を示す。yは長鎖アシル基のモル数(mmol)を示す。zはグルコース残基のモル数(mmol)を示す。aは0.1規定塩酸の体積(mL) を示す。DSlcaは1H-NMRスペクトル積分値の比較より得られる。MWlcaは長鎖アシル基の分子量を示す。bは滴定に使用したパラミロン誘導体の質量(mg)を示す。]

0121

合成例2.2−ヒドロキシ−3-トリメチルアンモニオプロピルパラミロンクロライド(パラミロン誘導体E)の合成
パラミロン20.0gをMilli-Q水0.5Lに分散し30分間撹拌した。続いて2規定水酸化ナトリウム水溶液0.5Lを加え室温で撹拌し、均一溶液を得た。続いてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライド 350gを滴下し、45℃で4時間撹拌した。室温に戻した後に反応溶液をエタノール4Lに投入し沈殿を生じさせた。遠心分離で上澄液を除き、得られた固体をMilli-Q水120mLに溶解した。均一化後に塩酸水溶液を滴下して酸性(pH 約1.0)とした。この溶液をエタノール4Lに投入し沈殿を生じさせた。デカンテーションで固体を回収し、風乾した。
1H-NMR(D2O) δ 4.43 (brs), 3.92-3.47 (m), 3.21 (m);
FT-IR (cm-1) 3309, 2920, 1635, 1475, 1376, 1363, 1375, 1038, 910;
DShta 0.99;
Mw 7.503 X 104, Mn 5.572 X 104。

0122

なお、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)はSEC-MALSによって決定した。具体的には次のようにして決定した。SEC-MALSは以下の機材で実施した。

0123

mini-DAWN(Wyatt Technology社製):多角度光散乱検出器
quasi-electric light scattering(QELS) (Wyatt Technology):動的光散乱モジュール
Optilab T-rEX(Wyatt Technology):示差屈折率検出器
KD-805(Shodex):カラム
分析条件は以下のとおりである:
溶離液:クロロホルム
流速:1.0 mL/min
カラム温度:40℃
サンプルを溶かした溶液は孔径0.2μmのフィルターを通し、100μL注入した。
濃度:4.0 mg/mL
dn/dc:0.0372。

0124

合成例3.2−ヒドロキシ−3-トリメチルアンモニオプロピルパラミロンクロライド(パラミロン誘導体I)の合成
パラミロン20.0gに代えて、1規定水酸化ナトリウム水溶液溶解後メタノールへの投入による沈殿処理を行って得られたパラミロン13.8gを用いた以外は、合成例2と同様の方法で合成した。
1H-NMR(D2O) δ 4.43 (brs), 3.92-3.45 (m), 3.21 (m);
FT-IR (cm-1) 3318, 2876, 1635, 1473, 1363, 1045, 909, 836;
DShta 0.77;
Mw 8.702 X 104, Mn 5.895 X 104。

0125

試験例1.糖及び脂質代謝への影響の解析
マウスを、合成例1〜3で得られたパラミロン誘導体を含む飼料をとして飼育し、体重、胆汁酸排泄量、内臓脂肪量、及びGLP-1濃度を測定した。具体的には以下のようにして行った。

0126

<試験例1-1.飼料の調製>
合成例で得られたパラミロン誘導体(パラミロン誘導体C、E又はI)と粉末高脂肪飼料(D12492、リサーチダイエット、lot 16030403AmHS2.5、16040604A11mH2.5)を混合し、パラミロン誘導体を2重量%含有する被検飼料を調製した。一方で、パラミロン誘導体に代えて結晶セルロース日本クレア社製、T16102)を用いる以外は被検飼料と同様にして、対照飼料を調製した。また一方で、通常飼料(CE-2、日本クレア社製、lot 2016-JU)を準備した。

0127

<試験例1-2.実験動物及び飼育条件>
9週齢の雄C57BL/6Jマウス(日本チャールズリバー社製)を用いた。粉末高脂肪飼料又は通常飼料を与えて、約2週間馴化飼育した。馴化後、11〜12週齢となったマウスについて、粉末高脂肪飼料により馴化した群から、被検飼料であるパラミロン誘導体C含有飼料を摂取させる群(7匹)、被検飼料であるパラミロン誘導体E含有飼料を摂取させる群(7匹)、被検飼料であるパラミロン誘導体I含有飼料を摂取させる群(7匹)、及び対照飼料を摂取させる群(7匹)を、各群の体重及び摂餌量の平均値が均等になるように選び、通常飼料により馴化した群から通常食を摂取させる群(7匹)を選んだ。

0128

試験飼育において、マウスには、飼料(被検飼料(パラミロン誘導体C含有飼料、パラミロン誘導体E含有飼料、又はパラミロン誘導体I含有飼料)、対照飼料、又は通常飼料と水道水とを、5週間自由摂取させた。

0129

なお、飼育条件は次のとおりである。床敷アルファドライ、シェフファードスシャリティペーパーズ、lot 12115)及び環境エンリッチメント(7979C、ハーランラボラトリーズ、lot 040715P)を入れたプラスチックケージ(W160×D370×H130mm)で個別飼育した。床数の交換は週2回以上とし、新しい飼料を給餌する際に交換した。室温は22.1〜23.4℃(実測値)、相対湿度は39〜72%(実測値)、換気回数は1時間に10〜20回、照明は1日12時間(7時〜19時)点灯とした。

0130

<試験例1-3.評価>
<試験例1-3-1.体重>
試験飼育期間中、週2回以上体重を測定した(8時〜15時の間に行った)。結果を図1に示す。

0131

図1に示されるように、被検飼料摂取群は、対照飼料摂取群に比べて、顕著に体重増加が抑制されていた。このことから、被検飼料の摂取により、糖代謝や脂質代謝が改善したことが示唆された。

0132

<試験例1-3-2.胆汁酸排泄量>
胆汁酸は、消化管内において、食物脂肪の消化及び吸収を促進する役割を担っている。胆汁酸は、体内コレステロールを材料として肝臓で合成され、十二指腸分泌された後、小腸再吸収されて、再び肝臓へ戻るという循環プロセスを辿る。この循環プロセスが崩れて、胆汁酸が再吸収されずに体外に排出されると、再吸収できなかった分の胆汁酸が新規に合成されることになるので、その材料である体内コレステロールが減少することになる。このため、胆汁酸排泄量を向上させることにより、体内コレステロールの減少等の脂質代謝の改善が期待でき、ひいては脂質異常症、糖尿病、肥満等の予防や改善を期待することができる。そこで、胆汁酸排泄量について調べた。具体的には以下のようにして調べた。

0133

全個体について、試験飼育第5週において、新しい飼料を与える際にケージを交換し、翌日までに排推された糞を回収した。減圧濃縮装置で一晩乾燥させ、乾燥重量を測定した。糞の一部を分取(分取時に重量を測定する)し、破砕して、熱エタノールで抽出した。得られたサンプルを用いて、3α-hydroxysteroid dehydrogenase法により、糞中の総胆汁酸量を測定した。なお、測定は、胆汁酸測定キットアクオートカイノス TBA、カイノス社製)、及び臨床化学自動分析装置(TBA-120FR、東メディカルステムズ社製)を用いて行った。結果の一部を図2に示す。

0134

図2に示されるように、被検飼料摂取群は、対照飼料摂取群に比べて、有意に胆汁酸排泄量が高かった。

0135

<試験例1-3-3.糞中トリグリセリド量>
試験例1-3-2で得られた糞由来サンプルを用いて、LPL-GK-GPO-POD法により、糞中トリグリセリド量を測定した。なお、測定は、測定キット(シカリキッド-N TG、関東化学社製)、及び臨床化学自動分析装置(TBA-120FR、東芝メディカルシステムズ社製)を用いて行った。結果を図3に示す。

0136

図3に示されるように、被検飼料摂取群は、対照飼料摂取群に比べて、トリグリセリド排泄量が高かった。

0137

<試験例1-3-4.内臓脂肪量>
試験飼育第5週にマウスを剖検した。剖検日の、体重を測定し、1-2時間絶食させた。イソフルラン麻酔下で開腹し、ヘパリン処理したシリンジで腹大静脈から全採血後、安楽殺した。内臓脂肪である腸間膜脂肪採取して、その重量を測定した結果を図4に示す。

0138

図4に示されるように、被検飼料摂取群は、対照飼料摂取群に比べて、顕著に内臓脂肪量が抑制されていた。このことから、被検飼料の摂取により脂質代謝が改善したことが示唆された。

0139

<試験例1-3-5.GLP-1濃度>
試験例1-3-4における全採血により得られた血液は約400μLをEDTA/aprotinin/DPPIV inhibitor入り採血管へ、残りをヘパリン採血管へ移し、4℃(設定)、約2,000×gで約10分間遠心分離した。得られた血漿中のGLP-1濃度を、ECL-IA法により測定した。なお、測定は、測定キット(Active GLP-1 (ver.2) Kit、Meso Scale Diagnostics社製)及び検出装置(SECTOR Imager 2400、Meso Scale Diagnostics社製)を用いて行った。結果を図5に示す。

0140

図5に示されるように、パラミロン誘導体E摂取群及びパラミロン誘導体I摂取群は、対照飼料摂取群に比べて、顕著に血中GLP-1濃度が高かった。

0141

GLP-1受容体作動薬が糖尿病治療薬として知られているところ、血中GLP-1の向上により、糖代謝が改善、さらには糖尿病の予防や改善が期待できる。

0142

<試験例1-3-6.インシュリン濃度及び血糖値>
試験例1-3-5で得られた血漿中のインシュリン濃度を、ELISA法により測定した。なお、インシュリン濃度の測定は、測定キット(超高感度マウスインスリン測定キット、森永生科学研究所製)、及び検出装置(プレートリーダーFlex Station 3、Molecular Devices社製)を用いて行った。

0143

さらに、試験例1-3-5で得られた血漿中のグルコース濃度(血糖値)を、glucose dehydrogenase法により測定した。なお、グルコース濃度の測定は、測定キット(シカリキッドGLU(MR)、関東化学社製)、及び検出装置(プレートリーダーFlex Station 3、Molecular Devices社製)を用いて行った。結果を図6〜7に示す。

0144

図6〜7に示されるように、被検飼料摂取群は、対照飼料摂取群に比べて、インシュリン濃度が低いながらも、血糖値を同程度に抑えることができていた。

0145

<試験例1-3-7.コレステロール濃度
試験例1-3-5で得られた血漿中の総コレステロール濃度及びLDLコレステロール濃度を、ゲルろ過HPLC法により測定した。結果を図8〜9に示す。

実施例

0146

図8〜9に示されるように、被検飼料摂取群は、対照飼料摂取群に比べて、コレステロール濃度、特にLDLコレステロール濃度が低下傾向であった。

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