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技術 自動給餌機構を有する装置に供するための反芻動物用飼料

出願人 日本製紙株式会社
発明者 中田咲子簑原大介佐藤加奈新倉宏黒須一博
出願日 2017年12月4日 (3年0ヶ月経過) 出願番号 2017-232902
公開日 2019年6月24日 (1年6ヶ月経過) 公開番号 2019-097495
状態 未査定
技術分野 特定動物用飼料 飼料(2)(一般) 家畜,動物の飼育(2)(給餌、給水)
主要キーワード デンプン含有率 アオダモ 高衝撃力 グラインダー処理 酸素添加率 ハリモミ 乳酸生成菌 自動給餌機
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重要な関連分野

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課題

アシドーシスリスクを抑えることが可能で、自動給餌機あるいは搾乳ロボット機等の自動給餌機構を有する装置に供するための反芻動物用飼料を提供する。

解決手段

リグノセルロース材料原料とし、セルラーゼ糖化率が75%以上であるクラフトパルプ及び濃厚飼料を含有し、全乾物中繊維(NDF)が8〜60質量%である反芻動物用飼料を、自動給餌機構を有する装置に供する。

概要

背景

近年、酪農現場において労働力低減のために、自動給餌機あるいは搾乳ロボット機等の自動給餌機構を有する装置(自動給餌機:特許文献1、4、搾乳ロボット機:特許文献2、3、5、6)が普及しており、それに伴い配合飼料を多量給与するケースが増えてきている。

このような自動給餌機構を有する装置において、飼料を多給できれば栄養の充足が高まり乳量乳成分が増加する。しかしながら、トウモロコジ等のデンプンを多量に含む飼料を多量に給与するとルーメン内のpHが低下する状態、いわゆるルーメンアシドーシスが生じ、それに起因する採食性の低下、生産性の悪化などの悪影響を引き起こし、反対に、飼料の栄養濃度が低過ぎると、の摂取欲求が低下し、給餌機寄付かない懸念があった。

ルーメンアシドーシスとは、反芻動物疾病一種であり、炭水化物富む穀物濃厚飼料果実類などを急激に摂取することにより引き起こされる。ルーメンアシドーシスにおいては、ルーメン内において、グラム陽性乳酸生成菌、特にStreptcoccus bovisおよびLactobacillus属微生物が増加し、乳酸あるいは揮発性脂肪酸(VFA:Volatile Fatty Acid)の異常な蓄積が生じ、ルーメン内のpHが低下する(pH5以下)。その結果、ルーメン内のプロトゾア原生動物)、及びある種の細菌の減少あるいは消滅を引き起こす。特に急性アシドーシスは、ルーメンの鬱血脱水症胃内容浸透圧の上昇に伴い体液が大量に胃内に移動)、さらには昏睡や死をもたらすため、極めて危険である。

ルーメンアシドーシスの予防には、飼料配合の急激な変化を避け、ルーメン発酵を安定化させ、pHの変動を少なくすることが重要である。また、唾液には重曹が含まれpH調節に寄与するため、十分な反芻により唾液分泌のできる飼料を給与することも重要である。ただし、ルーメンアシドーシスを防止するために飼料の栄養価を低くすると、エネルギー不足して乳生産量が低下してしまうという懸念もある。

以上のことから、自動給餌システムに用いる飼料に求められる要素として、エネルギー要求量を満たしつつ、且つルーメンアシドーシスのリスクを抑えた栄養濃度であることが求められている。

ルーメンアシドーシスを予防する飼料として、特許文献7には、木質原料高衝撃力を与えて粉砕微粒子化した家畜飼料が開示されている。さらに、特許文献8には、リグノセルロースバイオマスペレット化して反芻動物の飼料とすることが記載されている。また、特許文献9には、自動給餌機又は搾乳ロボット機に給与するに適した、繊維(NDF)が20〜26質量%で、大豆またはビートパルプが3質量%以上配合された泌乳牛飼料が開示されている。

概要

アシドーシスのリスクを抑えることが可能で、自動給餌機あるいは搾乳ロボット機等の自動給餌機構を有する装置に供するための反芻動物用飼料を提供する。リグノセルロース材料原料とし、セルラーゼ糖化率が75%以上であるクラフトパルプ及び濃厚飼料を含有し、全乾物中繊維(NDF)が8〜60質量%である反芻動物用飼料を、自動給餌機構を有する装置に供する。 なし

目的

本発明が解決しようとする課題は、配合飼料多給時でもアシドーシスのリスクを抑えることのできる、自動給餌機あるいは搾乳ロボット機等の自動給餌機構を有する装置に供するための反芻動物用飼料を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

リグノセルロース材料原料とする、下記に示すセルラーゼ糖化率が75%以上のクラフトパルプ及び濃厚飼料を含有し、全乾物中繊維(NDF)が8〜60質量%である、自動給餌機構を有する装置に供するための反芻動物用飼料。セルラーゼ糖化率:濃度1%、pH4.0に調整したパルプ懸濁液に、セルラーゼ濾紙崩壊力1350U/(パルプ絶乾重量g)となるように添加し、40℃で、72時間反応させた後、式1より糖化率を求める。セルラーゼ糖化率(%)=[(セルラーゼ処理前のパルプ重量−セルラーゼ処理後のパルプ重量)/セルラーゼ処理前のパルプ重量]×100(式1)

請求項2

リグノセルロース材料が木質材料を含む、請求項1に記載の反芻動物用飼料。

請求項3

クラフトパルプのカッパー価が40以下であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の反芻動物用飼料。

請求項4

クラフトパルプのカナダ標準濾水度が300ml以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の反芻動物用飼料。

請求項5

飼料の形態がペレット状である請求項1〜4のいずれかに記載の反芻動物用飼料。

請求項6

飼料の形態がフレーク状である請求項1〜4のいずれかに記載の反芻動物用飼料

請求項7

飼料の形態がシート状である請求項1〜4のいずれかに記載の反芻動物用飼料。

請求項8

請求項5〜7のいずれかに記載の反芻動物用飼料を自動給餌機構を有する装置に供する装置で給与する泌乳牛飼育方法

請求項9

クラフトパルプと少なくとも濃厚飼料を混合してペレット状とすることによってなる、請求項5記載の反芻動物用飼料。

請求項10

クラフトパルプと少なくとも濃厚飼料を混合してフレーク状とすることによってなる、請求項6記載の反芻動物用飼料。

請求項11

クラフトパルプと少なくとも濃厚飼料を混合してシート状とすることによってなる、請求項7記載の反芻動物用飼料。

技術分野

0001

本発明は、自動給餌機あるいは搾乳ロボット機等の自動給餌機構を有する装置に供するためのアシドーシス予防効果がある反芻動物用飼料に関する。

背景技術

0002

近年、酪農現場において労働力低減のために、自動給餌機あるいは搾乳ロボット機等の自動給餌機構を有する装置(自動給餌機:特許文献1、4、搾乳ロボット機:特許文献2、3、5、6)が普及しており、それに伴い配合飼料を多量給与するケースが増えてきている。

0003

このような自動給餌機構を有する装置において、飼料を多給できれば栄養の充足が高まり乳量乳成分が増加する。しかしながら、トウモロコジ等のデンプンを多量に含む飼料を多量に給与するとルーメン内のpHが低下する状態、いわゆるルーメンアシドーシスが生じ、それに起因する採食性の低下、生産性の悪化などの悪影響を引き起こし、反対に、飼料の栄養濃度が低過ぎると、の摂取欲求が低下し、給餌機寄付かない懸念があった。

0004

ルーメンアシドーシスとは、反芻動物疾病一種であり、炭水化物富む穀物濃厚飼料果実類などを急激に摂取することにより引き起こされる。ルーメンアシドーシスにおいては、ルーメン内において、グラム陽性乳酸生成菌、特にStreptcoccus bovisおよびLactobacillus属微生物が増加し、乳酸あるいは揮発性脂肪酸(VFA:Volatile Fatty Acid)の異常な蓄積が生じ、ルーメン内のpHが低下する(pH5以下)。その結果、ルーメン内のプロトゾア原生動物)、及びある種の細菌の減少あるいは消滅を引き起こす。特に急性アシドーシスは、ルーメンの鬱血脱水症胃内容浸透圧の上昇に伴い体液が大量に胃内に移動)、さらには昏睡や死をもたらすため、極めて危険である。

0005

ルーメンアシドーシスの予防には、飼料配合の急激な変化を避け、ルーメン発酵を安定化させ、pHの変動を少なくすることが重要である。また、唾液には重曹が含まれpH調節に寄与するため、十分な反芻により唾液分泌のできる飼料を給与することも重要である。ただし、ルーメンアシドーシスを防止するために飼料の栄養価を低くすると、エネルギー不足して乳生産量が低下してしまうという懸念もある。

0006

以上のことから、自動給餌システムに用いる飼料に求められる要素として、エネルギー要求量を満たしつつ、且つルーメンアシドーシスのリスクを抑えた栄養濃度であることが求められている。

0007

ルーメンアシドーシスを予防する飼料として、特許文献7には、木質原料高衝撃力を与えて粉砕微粒子化した家畜飼料が開示されている。さらに、特許文献8には、リグノセルロースバイオマスペレット化して反芻動物の飼料とすることが記載されている。また、特許文献9には、自動給餌機又は搾乳ロボット機に給与するに適した、繊維(NDF)が20〜26質量%で、大豆またはビートパルプが3質量%以上配合された泌乳牛飼料が開示されている。

先行技術

0008

特表平09−502361号公報
特表平08−508401号公報
特許第4669550号公報
特開2003−180187号公報
特開2001−128580号公報
特開2009−296990号公報
特開2012−105570号公報
国際公開WO2011/097075
特許第6038378号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明が解決しようとする課題は、配合飼料多給時でもアシドーシスのリスクを抑えることのできる、自動給餌機あるいは搾乳ロボット機等の自動給餌機構を有する装置に供するための反芻動物用飼料を提供することである。

課題を解決するための手段

0010

発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねたところ、リグノセルロース材料原料とする、セルラーゼ糖化率が75%以上のクラフトパルプ及び濃厚飼料を含有し、全乾物中繊維(NDF)が8〜60質量%である反芻動物用飼料を用いることで、上記課題を解決できることを見出した。本発明の主な構成は以下の通りである。

0011

[1]リグノセルロース材料を原料とする、下記に示すセルラーゼ糖化率が75%以上のクラフトパルプ及び濃厚飼料を含有し、全乾物中繊維(NDF)が8〜60質量%である、自動給餌機構を有する装置に供するための反芻動物用飼料。
セルラーゼ糖化率:濃度1%、pH4.0に調整したパルプ懸濁液に、セルラーゼ濾紙崩壊力1350U/(パルプ絶乾重量g)となるように添加し、40℃で、72時間反応させた後、式1より糖化率を求める。
セルラーゼ糖化率(%)=[(セルラーゼ処理前のパルプ重量−セルラーゼ処理後のパルプ重量)/セルラーゼ処理前のパルプ重量]×100 (式1)
[2]リグノセルロース材料が木質材料を含む、上記[1]に記載の反芻動物用飼料。
[3]クラフトパルプのカッパー価が40以下であることを特徴とする、上記[1]または[2]に記載の反芻動物用飼料。
[4]クラフトパルプのカナダ標準濾水度が300ml以上であることを特徴とする、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の反芻動物用飼料。
[5]飼料の形態がペレット状である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の反芻動物用飼料。
[6]飼料の形態がフレーク状である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の反芻動物用飼料
[7]飼料の形態がシート状である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の反芻動物用飼料。
[8]上記 [5]〜[7]のいずれかに記載の反芻動物用飼料を自動給餌機構を有する装置に供する装置で給与する泌乳牛の飼育方法
[9]クラフトパルプと少なくとも濃厚飼料を混合してペレット状とすることによってなる、上記[5]記載の反芻動物用飼料。
[10]クラフトパルプと少なくとも濃厚飼料を混合してフレーク状とすることによってなる、上記[6]記載の反芻動物用飼料。
[11]クラフトパルプと少なくとも濃厚飼料を混合してシート状とすることによってなる、上記[7]記載の反芻動物用飼料。

発明の効果

0012

本発明の自動給餌機あるいは搾乳ロボット機等の自動給餌機構を有する装置に供するための反芻動物用飼料を給与して乳牛飼育すれば、エネルギー要求量を満たしつつ、アシドーシスのリスクを低減することができる。

0013

また、本発明の反芻動物用飼料は、乳牛が搾乳ロボットに進入する動機付けとなり、搾乳ロボットの搾乳効率が向上する。

0014

さらに、本発明の反芻動物用飼料は高NDF、低デンプンなので、搾乳ロボット機等の自動給餌機構を有する装置内で配合飼料単体を多量給与することによる、牛のアシドーシス発生を防ぐことができる。

0015

本発明の反芻動物用飼料は、クラフトパルプ(KP)を含有するものであるが、他の公知のパルプ化法によって製造されたパルプを併用することができる。例えば、機械パルプ化学パルプのいずれもが適用可能である。機械パルプとしては、砕木パルプ(GP)、リファイナーグラウンドウッドパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等が挙げられる。化学パルプとしては、クラフトパルプ(KP)、溶解クラフトパルプ(DKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解サルファイトパルプ(DSP)等が挙げられる。また、漂白パルプ未漂白パルプのいずれも使用できる。これらの中では、酸素脱リグニン処理した化学パルプ、漂白化学パルプなどが好ましい。また、カッパー価が40以下であるパルプや、クラフトパルプがさらに好ましく、カッパー価が30以下である酸素脱リグニン処理したクラフトパルプ(酸素脱リグニンクラフトパルプ)が特に好ましい。

0016

本発明の反芻動物用飼料において、パルプは1種類のものから成るものでもよく、複数のパルプを混合したものでもよい。例えば、原料や製造方法の異なる化学パルプ(広葉樹クラフトパルプ針葉樹クラフトパルプ、溶解広葉樹クラフトパルプ、溶解針葉樹クラフトパルプ)、あるいは機械パルプ(砕木パルプ、リファイナーグラウンドウッドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ)、を2種以上混合して使用してもよい。

0017

機械パルプの場合、グラインダー処理(砕木パルプの場合)後、あるいはリフニング(リファイナーグラウンドウッドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプの場合)後に、精選工程を経ないで製造することにより繊維化されていない粕をパルプに含ませることが可能となる。

0018

原料の木材としては、例えば、広葉樹針葉樹、雑木、タケケナフバガスパーム油搾油後空房が使用できる。具体的には、広葉樹としては、ブナシナシラカバポプラユーカリアカシア、ナラ、イタヤカエデセンノキ、ニレキリホオノキヤナギ、セン、ウバメガシ、コナラ、クヌギ、トチノキ、ケヤキ、ミズメ、ミズキアオダモ等が例示される。針葉樹としては、スギエゾマツカラマツクロマツ、トドマツ、ヒメコマツ、イチイ、ネズコ、ハリモミ、イラモミイヌマキ、モミ、サワラ、トガサワラ、アスナロヒバツガ、コメツガ、ヒノキ、イチイ、イヌガヤ、トウヒイエローシーダーベイヒバ)、ロウソンヒノキ(ベイヒ)、ダグラスファーベイマツ)、シトカスプルースベイトウヒ)、ラジアータマツ、イースタンスプルース、イースタホワイトパイン、ウェスタンラーチ、ウェスタンファー、ウェスタンヘムロック、タマラック等が例示される。

0019

<クラフトパルプ>
本発明における反芻動物用飼料は、リグノセルロース原料クラフト蒸解して得られるクラフトパルプを含み、特に好ましくは木材由来のクラフトパルプを含む。特に本発明においては、カナダ標準濾水度(CSF)が300ml以上のクラフトパルプを使用することによって反芻動物のルーメンにおける消化速度を緩やかにし、ルーメンにおける反芻を促進するような飼料ペレットを製造することが可能になる。好ましい態様において、本発明に用いるクラフトパルプのカナダ標準濾水度は450ml以上であり、500ml以上や550ml以上としてもよい。一般に、クラフトパルプのカナダ標準濾水度は、公知の方法によって低下させることができる。

0020

本発明で使用するクラフトパルプのカッパー価は、40以下であることが好ましく、30以下がより好ましく、20以下や15以下としてもよい。カッパーの下限は特に制限されないが、0.1以上とすることができる。

0021

木材チップからクラフトパルプを製造する場合、木材チップは蒸解液と共に蒸解釜投入され、クラフト蒸解に供する。また、MCC、EMCC、ITC、Lo−solidなどの修正クラフト法蒸解に供しても良い。また、1ベッセル液相型、1ベッセル気相/液相型、2ベッセル液相/気相型、2ベッセル液相型などの蒸解型式なども特に限定はない。すなわち、本願のアルカリ性水溶液含浸し、これを保持する工程は、従来の蒸解液の浸透処理を目的とした装置や部位とは別個に設置してもよい。好ましくは、蒸解を終えた未晒パルプは蒸解液を抽出後、ディフュージョンウォッシャーなどの洗浄装置洗浄する。

0022

クラフト蒸解工程は、木材チップをクラフト蒸解液とともに耐圧性容器に入れて行うことができるが、容器の形状や大きさは特に制限されない。木材チップと薬液液比は、例えば、1.0〜5.0L/kgとすることができ、1.5〜4.5L/kgが好ましく、2.0〜4.0L/kgがさらに好ましい。

0023

また、本発明においては、絶乾チップ当たり0.01〜1.5質量%のキノン化合物を含むアルカリ性蒸解液を蒸解釜に添加することもできる。キノン化合物の添加量が0.01質量%未満であると添加量が少なすぎて蒸解後のパルプのカッパー価が低減されず、カッパー価とパルプ収率の関係が改善されない。さらに、粕の低減、粘度の低下の抑制も不十分である。また、キノン化合物の添加量が1.5質量%を超えてもさらなる蒸解後のパルプのカッパー価の低減、及びカッパー価とパルプ収率の関係の改善は認められない。

0024

使用されるキノン化合物はいわゆる公知の蒸解助剤としてのキノン化合物、ヒドロキノン化合物又はこれらの前駆体であり、これらから選ばれた少なくとも1種の化合物を使用することができる。これらの化合物としては、例えば、アントラキノンジヒドロアントラキノン(例えば、1,4−ジヒドロアントラキノン)、テトラヒドロアントラキノン(例えば、1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン、1,2,3,4−テトラヒドロアントラキノン)、メチルアントラキノン(例えば、1−メチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン)、メチルジヒドロアントラキノン(例えば、2−メチル−1,4−ジヒドロアントラキノン)、メチルテトラヒドロアントラキノン(例えば、1−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン、2−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン)等のキノン化合物であり、アントラヒドロキノン(一般に、9,10−ジヒドロキシアントラセン)、メチルアントラヒドロキノン(例えば、2−メチルアントラヒドロキノン)、ジヒドロアントラヒドロアントラキノン(例えば、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセン)又はそのアルカリ金属塩等(例えば、アントラヒドロキノンのジナトリウム塩、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム塩)等のヒドロキノン化合物であり、アントロンアントラノール、メチルアントロン、メチルアントラノール等の前駆体が挙げられる。これら前駆体は蒸解条件下ではキノン化合物又はヒドロキノン化合物に変換する可能性を有している。

0025

蒸解液は、対絶乾木材チップ重量当たり活性アルカリ添加率(AA)を10〜35質量%とすることが好ましい。活性アルカリ添加率を10質量%未満であるとリグニンヘミルロースの除去が不十分となり、35質量%を超えると収率の低下や品質の低下が起こる。ここで活性アルカリ添加率とは、NaOHとNa2Sの合計の添加率をNa2Oの添加率として換算したもので、NaOHには0.775を、Na2Sには0.795を乗じることでNa2Oの添加率に換算できる。また、硫化度は20〜35%の範囲が好ましい。硫化度20%未満の領域においては、脱リグニン性の低下、パルプ粘度の低下、粕率の増加を招く。

0026

クラフト蒸解は、120〜180℃の温度範囲で行うことが好ましく、140〜160℃がより好ましい。温度が低すぎると脱リグニン(カッパー価の低下)が不十分である一方、温度が高すぎるとセルロース重合度(粘度)が低下する。また、本発明における蒸解時間とは、蒸解温度が最高温度に達してから温度が下降し始めるまでの時間であるが、蒸解時間は、60分以上600分以下が好ましく、120分以上360分以下がさらに好ましい。蒸解時間が60分未満ではパルプ化が進行せず、600分を超えるとパルプ生産効率が悪化するために好ましくない。

0027

また、本発明におけるクラフト蒸解は、Hファクター(Hf)を指標として、処理温度及び処理時間を設定することができる。Hファクターとは、蒸解過程で反応系に与えられた熱の総量を表す目安であり、下記の式によって表わされる。Hファクターは、チップと水が混ざった時点から蒸解終了時点まで時間積分することで算出する。Hファクターとしては、300〜2000が好ましい。

0028

Hf=∫exp(43.20−16113/T)dt
[式中、Tはある時点の絶対温度を表す]

0029

本発明においては、蒸解後得られた未漂白(未晒)パルプは、必要に応じて、種々の処理に供することができる。例えば、クラフト蒸解後に得られた未漂白パルプに対して、漂白処理を行うことができる。

0030

クラフト蒸解で得られたパルプについて、酸素脱リグニン処理を行うことができる。本発明に使用される酸素脱リグニンは、公知の中濃度法あるいは高濃度法がそのまま適用できる。中濃度法の場合はパルプ濃度が8〜15質量%、高濃度法の場合は20〜35質量%で行われることが好ましい。酸素脱リグニンにおけるアルカリとしては、水酸化ナトリウム水酸化カリウムを使用することができ、酸素ガスとしては、深冷分離法からの酸素、PSA(Pressure Swing Adsorption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing Adsorption)からの酸素等が使用できる。

0031

酸素脱リグニン処理の反応条件は、特に限定はないが、酸素圧は3〜9kg/cm2、より好ましくは4〜7kg/cm2、アルカリ添加率はパルプ絶乾重量当たり0.5〜4質量%、処理温度80〜140℃、処理時間20〜180分、この他の条件は公知のものが適用できる。なお、本発明において、酸素脱リグニン処理は、複数回行ってもよい。また、酸素脱リグニン処理などを施した後のクラフトパルプのカッパー価は30以下であることが好ましい。

0032

さらなるカッパー価の低下、白色度の向上を目的とする場合、酸素脱リグニン処理が施されたパルプは、例えば、次いで洗浄工程へ送られ、洗浄後、多段漂白工程へ送られ、多段漂白処理を行うことができる。本発明の多段漂白処理は、特に限定されるものではないが、酸(A)、二酸化塩素(D)、アルカリ(E)、酸素(O)、過酸化水素(P)、オゾン(Z)、過酸等の公知の漂白剤漂白助剤を組み合わせるのが好適である。例えば、多段漂白処理の初段は二酸化塩素漂白段(D)やオゾン漂白段(Z)を用い、二段目にはアルカリ抽出段(E)や過酸化水素段(P)、三段目以降には、二酸化塩素や過酸化水素を用いた漂白シーケンスが好適に用いられる。三段目以降の段数も特に限定されるわけではないが、エネルギー効率、生産性等を考慮すると、合計で三段あるいは四段で終了するのが好適である。また、多段漂白処理中にエチレンジアミンテトラ酢酸EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)等によるキレート剤処理段を挿入してもよい。

0033

本発明で使用するクラフトパルプのセルラーゼ糖化率は75%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、85%以上や90%以上としてもよい。セルラーゼ糖化率はTDN(Total Digestible Nutrients:可消化養分総量)と相関が高く、セルラーゼ糖化率が高いクラフトパルプを用いることで、エネルギー要求量を満たした反芻動物用飼料を製造することができる。

0034

なお、セルラーゼ糖化率とは、濃度1%、pH4.0に調整したパルプ懸濁液に、セルラーゼを濾紙崩壊力で1350U/(パルプ絶乾重量g)となるように添加し、40℃で、72時間反応させた後、式1より糖化率を求めるものである。
セルラーゼ糖化率(%)=[(セルラーゼ処理前のパルプ重量−セルラーゼ処理後のパルプ重量)/セルラーゼ処理前のパルプ重量]×100 (式1)

0035

本発明の反芻動物用飼料は、他の飼料と併せて反芻動物に給与することができる。他の飼料成分としては、粗飼料(例えば牧草)、濃厚飼料(例えばトウモロコシ、麦などの穀類、大豆などの豆類)、ふすま米糠、おから、蛋白質、脂質、ビタミンミネラルなどや添加剤保存料着色料香料等)、等が挙げられる。

0036

本発明の反芻動物用飼料は、前記工程で製造したクラフトパルプと濃厚飼料を含む。他の飼料成分として、粗飼料(例えば牧草)、脂質、ビタミン、ミネラルなどや添加剤(保存料、着色料、香料等)、等を含んでいてもよい。

0037

本発明における濃厚飼料とは特に制限されるものではないが、トウモロコシ、コーンスターチ小麦小麦粉大麦、米、あわ、ひえ、きび、もみ、えんどう、えん麦、ライ麦、ハダカ麦、キャッサバグレインソルガム、甘しょ、馬鈴薯でんぷん、そら豆、ルーピン、ふすま、大豆、大豆粕、きなこ、しょうゆ粕、豆腐粕綿実、綿実粕、ビール粕焼酎粕、アメ粕、麦芽根米胚芽ナタネ粕、落花生粕、アマニ粕、ゴマ粕、ヤシ粕、ヒマワリ粕、サフラワー粕、パーム核粕、カポック粕、コーングルテンミール小麦グルテンポテトプロテイン、こんにゃく飛粉クロレラ等である。

0038

本発明の反芻動物用飼料は、アシドーシス予防の観点から、NDFが飼料乾物量中8〜60質量%となることが好ましく、15〜50質量%がより好ましく、20〜40質量%がさらに好ましい。飼料中のNDF含有率が高いことで、ルーメン内の発酵が安定し、さらに反芻による唾液の分泌が促されるため、ルーメン内のpH変動を少なくすることができる。

0039

本発明の飼料の形状は特には限定されないが、自動給餌機又は搾乳ロボット機による給餌の容易さなどの点から、ペレット状であることが好ましく、シート状やフレーク状としても良い。

0040

以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、本明細書において、濃度や%は特に断らない限り質量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。

0041

[実施例1]
実施例1の作成には広葉樹由来の酸素脱リグニンパルプ、トウモロコシ圧片、大麦圧片、大豆粕、コーングルテンミール、コーングルテンフィード、コーンスターチ、大豆ホエー、ふすま、添加剤を用いた。
ユーカリ材のチップを活性アルカリ添加率16.0%、硫化度25%、Hファクター830にてクラフト蒸解を行い、未晒クラフトパルプを得た(カッパー価:19.0、ISO白色度:27.7%)。
上記未晒クラフトパルプを水道水で洗浄し濃度10%に調製後、酸素添加率2.1%(絶乾パルプ重量当たり)、水酸化ナトリウム1.6%(絶乾パルプ重量当たり)、100℃、60分にて酸素脱リグニン処理を行い、酸素脱リグニンクラフトパルプを得た(カッパー価:8.9、ISO白色度:46.1%)。得られた酸素脱リグニンクラフトパルプを水道水で洗浄した(水分率:76.1%)。なお、得られた酸素脱リグニンクラフトパルプのセルラーゼ糖化率は95%であった。得られたパルプ(カナダ標準濾水度:633ml)をスクリュープレス(SHX−200型、富国工業製)で脱水し、水分率を29.5質量%に調整した。
次に、脱水したパルプが飼料全体の12%含有されるようトウモロコシ圧片、大麦圧片、大豆粕、コーングルテンミール、コーングルテンフィード、コーンスターチ、大豆ホエー、ふすま、添加剤と混合し、リングダイ小型ペレタイザーカリフォルニアペレットミル製、モーター容量30kw)を用いて圧縮処理し、直径約4.8mm、長さ約37mmの飼料ペレットを製造した。ペレットは、送風乾燥機にて水分率を調製した(機械的耐久性:99.5%、水分率:約13.6%)。

0042

[比較例1]
比較例1の作成には広葉樹由来の未晒クラフトパルプ、トウモロコシ圧片、大麦圧片、大豆粕、コーングルテンミール、コーングルテンフィード、コーンスターチ、大豆ホエー、ふすま、添加剤を用いた。
ユーカリ材のチップを活性アルカリ添加率12.0%、硫化度25%、Hファクター830にてクラフト蒸解を行い、未晒クラフトパルプを得た(カッパー価:69.0、ISO白色度:11.8%)。
得られた未晒クラフトパルプを水道水で洗浄した(水分率:73.1%)。なお、得られた未晒クラフトパルプのセルラーゼ糖化率は70%であった。得られたパルプ(カナダ標準濾水度:750ml)をスクリュープレス(SHX−200型、富国工業製)で脱水し、水分率を29.5質量%に調整した。
次に、脱水したパルプが飼料全体の12%含有されるようトウモロコシ圧片、大麦圧片、大豆粕、コーングルテンミール、コーングルテンフィード、コーンスターチ、大豆ホエー、ふすま、添加剤と混合し、実施例1と同様の方法でペレットを製造した。

0043

[比較例2]
実施例1と同様の原料を用いた。脱水したパルプが飼料全体の3%含有されるようトウモロコシ圧片、大麦圧片、大豆粕、コーングルテンミール、コーングルテンフィード、コーンスターチ、大豆ホエー、ふすま、添加剤と混合し、実施例1と同様の方法でペレットを製造した。

0044

[比較例3]
比較例1と同様の原料を用いた。脱水したパルプが飼料全体の3%含有されるようトウモロコシ圧片、大麦圧片、大豆粕、コーングルテンミール、コーングルテンフィード、コーンスターチ、大豆ホエー、ふすま、添加剤と混合し、実施例1と同様の方法でペレットを製造した。

0045

試料成分分析
試料の一般成分分析は常法に従った(AOAC International 2000)。
中性デタージェント繊維(NDF)はVan SoestとWine(1967)の方法に、デンプンはAOAC 966.11に従って求めた。

0046

<クラフトパルプのセルラーゼ糖化率測定>
飼料サンプル(クラフトパルプ、絶乾重量500mg)を、樹脂サンプル瓶(60ml容)に正確に量した。pH4.0の0.1M酢酸緩衝液にセルラーゼ(商品名:セルラーゼオノズカ飼料分析用ヤクルト薬品工業(株)製)を濾紙崩壊力で1350U/(パルプ絶乾重量g)となるように添加した懸濁液49.5mlを容器に添加し、40℃にて72時間糖化処理を行った。
72時間後の時点でサンプルを採取し、糖化されたパルプの割合(セルラーゼ糖化率)を測定した。具体的には、あらかじめ恒量を求めたろ紙上でろ過し、4回水洗を行った後に、105℃の通風乾燥機中で2時間乾燥し、残渣の乾物重量を測定した。セルラーゼ糖化率は以下の式から算出した。
セルラーゼ糖化率(%)=[(セルラーゼ処理前のパルプ重量−セルラーゼ処理後の残渣重量)/セルラーゼ処理前のパルプ重量]×100 (式1)
セルラーゼ糖化率は、反芻動物における消化率と高い相関があり、糖化率が高いほど、反芻動物において消化されやすく、TDNが高い飼料となる。

0047

実施例及び比較例の各飼料の成分を表1に示した。

0048

0049

乳脂率の低下防止とルーメン内環境の安定のため、デンプン含有率は25%以下が推奨されている(新得畜産試験場酪農科・衛生科、「単味飼料成分組成と泌乳牛における混合飼料中のNDFとデンプンの給与比率(ルーメントコントロールによる高品質牛乳の安定生産技術確立に関する試験)」(1995))。本発明に係るセルラーゼ糖化率95%のクラフトパルプを含有するNDF15〜40%の自動給餌機又は搾乳ロボット機用飼料(実施例1)はデンプン含有率が25%以下となり、アシドーシスの予防に寄与するものと考えられた。比較例1はクラフトパルプのセルラーゼ糖化率が70%と低く、クラフトパルプから摂取できるエネルギー量が低下し、飼料全体のエネルギー量の低下を防止するためにデンプンの含有率が増して25%以上となったことで、実施例1よりもアシドーシスの予防への寄与は小さいと考えられた。比較例2、3はNDF含有率が低くなった分デンプンの含有率が増し、25%以上となったことで、実施例1よりもアシドーシスの予防への寄与は小さいと考えられた。

実施例

0050

このように、本発明によって、エネルギー要求量を満たしつつ、且つルーメンアシドーシスのリスクを抑えた栄養濃度の自動給餌機又は搾乳ロボット機用飼料を発明した。

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