図面 (/)

技術 液体試料の蛍光X線分析法

出願人 住友金属鉱山株式会社
発明者 團上亮平加岳井敦
出願日 2018年1月19日 (2年1ヶ月経過) 出願番号 2018-007038
公開日 2019年6月20日 (8ヶ月経過) 公開番号 2019-095417
状態 未査定
技術分野 放射線を利用した材料分析
主要キーワード 中空ディスク ワッシャー状 繰り返し測定精度 試料保持具 塩化コバルト溶液 全量ピペット マスク穴 中空円柱
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年6月20日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (5)

課題

液体試料中所定元素定量分析する際、ろ紙滴下法を用い、XRFによる高精度且つ迅速な定量分析を可能とする液体試料蛍光X線分析法を提供する。

解決手段

液体試料中に含有される所定成分の濃度を定量分析する方法であって、前記液体試料をろ紙へ含浸させた後、前記ろ紙へ荷重をかけながら、蛍光X線分析法によって前記所定成分の濃度を定量分析する液体試料の蛍光X線分析法を提供する。

概要

背景

液体試料中所定元素定量分析する分析方法としてICP/OESがある。当該ICP/OESを用いて定量分析を行う際、液体試料の前処理において、被測定溶液の液体試料を、全量ピペットを使用して全量フラスコに移し入れ、適当な酸を添加して純水で一定量に定容する操作が必要である。当該希釈操作は30分間から1時間程度の時間を要している。

上述のICP/OESを用いた手法より迅速な測定として、前処理に要する時間の少ないXRFが挙げられる(例えば、非文献特許1参照)。XRFは試料X線照射し、当該試料から二次的に発生するX線(蛍光X線)を用いて、当該試料を構成する元素定性・定量分析を行う方法である。XRFは、湿式分析やICP分析、等と比較すると、短時間で分析結果を得ることが可能である。この為、分析コストの削減や、分析結果の迅速な工程へのフィードバックを目的として、原材料品質管理法として広く利用されている。

XRFを用いて固体の試料を分析する場合には、装置への試料のセットが容易であり、真空中での測定が可能である。例えば特許文献1には、自動粉砕装置自動プレス装置などを備えた、蛍光X線自動分析システムについて記載されており、XRFは自動化、省力化が可能であるという観点からも、プロセス操業中の分析方法として好適であることが知られている。

一方、XRFを用いて液体の試料を分析する場合には、真空系での測定が困難である。
だからと言って1気圧下での測定を行おうとしても、被測定試料中の軽元素から発生する長波長のX線は、空気によって吸収される為、高価なヘリウム雰囲気中で測定を行う必要がある。さらに、液体試料へのX線照射による気泡発生や、試料溶解に使用する酸による影響によっても測定誤差を生じる場合がある。この結果、定量値再現性が得られ難い場合がある。

上述の課題を解決する為、例えば特許文献2には、被測定対象である液体試料中におけ
る所定元素を濃縮することが可能な媒体へ当該液体試料を滴下した後、XRFを用いて測定を行うという、前処理操作方法が記載されている。この方法では、被測定対象の液体試料へ、当該液体試料中に含有されない元素を内部標準成分として添加して混合溶液とし、所定元素と当該内部標準元素との濃度比を求める。そして、当該濃度比と被測定対象の液体試料の密度とから、測定対象溶液中に含有される所定元素の濃度(体積分率)を求める定量分析方法が記載されている。

XRFを用いて液体の試料を分析する方法としては、この他に、X線を直接には液体試料へ照射しない方法がある。
例えば、被測定対象である液体試料をろ紙上に滴下し乾燥させた後、当該ろ紙にXRFを適用して所定元素を分析する、ろ紙滴下法がある。当該ろ紙滴下法によれば、液体試料をろ紙上において濃縮出来ることに加え、当該ろ紙を固体試料と同様の条件で測定することが可能である。この為、上述した気泡発生や、酸による影響等の課題を回避することが出来る。
しかしながら、当該ろ紙滴下法では、液体試料のろ紙への拡散面積が一定とならないことや、分析試料面(ろ紙)の凹凸が、分析結果に影響を及ぼすことがある。さらに、液体試料を乾燥する為にろ紙へ熱を加えると、当該ろ紙の収縮による測定面のゆがみが生じる等、分析結果の再現性に課題があった。

上述したろ紙滴下法の課題を解決する為、例えば、特許文献3、4には、液体試料を滴下したろ紙を固定する試料保持具が記載されている。そして、微量溶液の定量分析であっても、より少ない回数の滴下、乾燥で測定が可能であるとの記載がある。

概要

液体試料中の所定元素を定量分析する際、ろ紙滴下法を用い、XRFによる高精度且つ迅速な定量分析を可能とする液体試料の蛍光X線分析法を提供する。液体試料中に含有される所定成分の濃度を定量分析する方法であって、前記液体試料をろ紙へ含浸させた後、前記ろ紙へ荷重をかけながら、蛍光X線分析法によって前記所定成分の濃度を定量分析する液体試料の蛍光X線分析法を提供する。

目的

本発明は、上述した状況に鑑みて為されたものであり、液体試料中の所定元素を定量分析する際、ろ紙滴下法を用い、XRFによる高精度且つ迅速な定量分析を可能とする液体試料の蛍光X線分析法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

液体試料中に含有される所定成分の濃度を定量分析する方法であって、前記液体試料ろ紙含浸させた後、前記ろ紙へ荷重をかけながら、蛍光X線分析法によって前記所定成分の濃度を定量分析することを特徴とする液体試料の蛍光X線分析法。

請求項2

前記荷重をかける為の重しが、円柱形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の液体試料の蛍光X線分析法。

請求項3

前記ろ紙と前記重しとを密着させることにより、前記ろ紙へ均等な荷重をかけることを特徴とする請求項2に記載の液体試料の蛍光X線分析法。

請求項4

前記ろ紙にかける荷重が2.5g/cm2以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液体試料の蛍光X線分析法。

請求項5

前記荷重をかける為の重しが、前記ろ紙において液体試料を含浸させた部分の直上が中空である中空円柱形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の液体試料の蛍光X線分析法。

請求項6

前記ろ紙にかける荷重が6.9g/cm2以上であることを特徴とする請求項5に記載の液体試料の蛍光X線分析法。

請求項7

前記重しが、フッ素樹脂製であることを特徴とする請求項2、3、5、6のいずれかに記載の液体試料の蛍光X線分析法。

請求項8

前記フッ素樹脂が、PTFE、PFA、PCTFE、PVDF、PVF、ETFE、ECTFEの中から選択されるいずれか1種以上であることを特徴とする請求項7に記載の液体試料の蛍光X線分析法。

請求項9

前記ろ紙に含浸された前記所定成分の濃度が150μg/cm2未満であり、前記所定成分が金属元素を含有していることを特徴とする請求項1から8のいずれかに発明に記載の液体試料の蛍光X線分析法。

技術分野

0001

本発明は、液体試料中所定元素を、蛍光X線分析法(X−ray fluorescence analysis、本発明において「XRF」と記載する場合がある。)によって高精度に分析する方法に関する。

背景技術

0002

液体試料中の所定元素を定量分析する分析方法としてICP/OESがある。当該ICP/OESを用いて定量分析を行う際、液体試料の前処理において、被測定溶液の液体試料を、全量ピペットを使用して全量フラスコに移し入れ、適当な酸を添加して純水で一定量に定容する操作が必要である。当該希釈操作は30分間から1時間程度の時間を要している。

0003

上述のICP/OESを用いた手法より迅速な測定として、前処理に要する時間の少ないXRFが挙げられる(例えば、非文献特許1参照)。XRFは試料X線照射し、当該試料から二次的に発生するX線(蛍光X線)を用いて、当該試料を構成する元素定性・定量分析を行う方法である。XRFは、湿式分析やICP分析、等と比較すると、短時間で分析結果を得ることが可能である。この為、分析コストの削減や、分析結果の迅速な工程へのフィードバックを目的として、原材料品質管理法として広く利用されている。

0004

XRFを用いて固体の試料を分析する場合には、装置への試料のセットが容易であり、真空中での測定が可能である。例えば特許文献1には、自動粉砕装置自動プレス装置などを備えた、蛍光X線自動分析システムについて記載されており、XRFは自動化、省力化が可能であるという観点からも、プロセス操業中の分析方法として好適であることが知られている。

0005

一方、XRFを用いて液体の試料を分析する場合には、真空系での測定が困難である。
だからと言って1気圧下での測定を行おうとしても、被測定試料中の軽元素から発生する長波長のX線は、空気によって吸収される為、高価なヘリウム雰囲気中で測定を行う必要がある。さらに、液体試料へのX線照射による気泡発生や、試料溶解に使用する酸による影響によっても測定誤差を生じる場合がある。この結果、定量値再現性が得られ難い場合がある。

0006

上述の課題を解決する為、例えば特許文献2には、被測定対象である液体試料中におけ
る所定元素を濃縮することが可能な媒体へ当該液体試料を滴下した後、XRFを用いて測定を行うという、前処理操作方法が記載されている。この方法では、被測定対象の液体試料へ、当該液体試料中に含有されない元素を内部標準成分として添加して混合溶液とし、所定元素と当該内部標準元素との濃度比を求める。そして、当該濃度比と被測定対象の液体試料の密度とから、測定対象溶液中に含有される所定元素の濃度(体積分率)を求める定量分析方法が記載されている。

0007

XRFを用いて液体の試料を分析する方法としては、この他に、X線を直接には液体試料へ照射しない方法がある。
例えば、被測定対象である液体試料をろ紙上に滴下し乾燥させた後、当該ろ紙にXRFを適用して所定元素を分析する、ろ紙滴下法がある。当該ろ紙滴下法によれば、液体試料をろ紙上において濃縮出来ることに加え、当該ろ紙を固体試料と同様の条件で測定することが可能である。この為、上述した気泡発生や、酸による影響等の課題を回避することが出来る。
しかしながら、当該ろ紙滴下法では、液体試料のろ紙への拡散面積が一定とならないことや、分析試料面(ろ紙)の凹凸が、分析結果に影響を及ぼすことがある。さらに、液体試料を乾燥する為にろ紙へ熱を加えると、当該ろ紙の収縮による測定面のゆがみが生じる等、分析結果の再現性に課題があった。

0008

上述したろ紙滴下法の課題を解決する為、例えば、特許文献3、4には、液体試料を滴下したろ紙を固定する試料保持具が記載されている。そして、微量溶液の定量分析であっても、より少ない回数の滴下、乾燥で測定が可能であるとの記載がある。

0009

特開平01−059043号公報
特開2015−1482号公報
特開2000−155080号公報
WO2005−012889号公報

先行技術

0010

中井、「蛍光X線の分析実際」、書店、2014年7月25日、第10刷

発明が解決しようとする課題

0011

上述したように、液体試料をXRFにより分析する場合は、真空系での測定が困難である上、X線照射による気泡発生や試料溶解に使用する酸による影響で測定誤差を生じる等、分析結果の再現性が得られ難い。
ここで、X線を液体試料に直接照射しない方法として、ろ紙滴下法の適用が考えられる
。しかしながら、液体試料におけるろ紙への拡散面積の不均一が、分析結果の再現性に影響を及ぼす。さらに、ろ紙中の液体試料を乾燥する為に当該ろ紙へ熱を加えると、当該ろ紙の収縮により測定面のゆがみが生じる等により、分析結果の再現性に課題があった。そこで、ろ紙を固定する試料保持具の適用が考えられた(特許文献3、4参照)。

0012

しかしながら本発明者らの検討によると、上述した試料保持具を試料ごとに逐一セットすることは煩雑な作業である。具体的には、ろ紙を試料保持具へ固定する為に輪状の台座と、その台座に保持される周辺部およびX線を透過させる為の透過部を有する疎水性フィルムと、シート状の液体吸収材の準備とセットとが必要であり、当該準備とセットとは煩雑な作業である。
さらに、ろ紙への液体試料の滴下量が過剰であると、液体試料乾燥時に塩の析出を招く場合がある為、予め、液体試料の濃度の定量化(滴下濃度の上限設定)が求められるものである。

0013

本発明は、上述した状況に鑑みて為されたものであり、液体試料中の所定元素を定量分析する際、ろ紙滴下法を用い、XRFによる高精度且つ迅速な定量分析を可能とする液体試料の蛍光X線分析法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0014

本発明者らは上述の課題を解決する為に研究を行った。そして、液体試料の滴下した後のろ紙へ荷重を加えて反りによる変形を抑制することで、XRFにおける繰り返し測定の再現性が向上するという画期定な知見を得て本発明を完成した。

0015

即ち、上述の課題を解決する為の第1の発明は、
液体試料中に含有される所定成分の濃度を定量分析する方法であって、
前記液体試料をろ紙へ含浸させた後、前記ろ紙へ荷重をかけながら、蛍光X線分析法によって前記所定成分の濃度を定量分析することを特徴とする液体試料の蛍光X線分析法である。
第2の発明は、
前記荷重をかける為の重しが、円柱形状を有していることを特徴とする第1の発明に記載の液体試料の蛍光X線分析法である。
第3の発明は、
前記ろ紙と前記重しとを密着させることにより、前記ろ紙へ均等な荷重をかけることを特徴とする第2の発明に記載の液体試料の蛍光X線分析法である。
第4の発明は、
前記ろ紙にかける荷重が2.5g/cm2以上であることを特徴とする第1から第3の発明のいずれかに記載の液体試料の蛍光X線分析法である。
第5の発明は、
前記荷重をかける為の重しが、前記ろ紙において液体試料を含浸させた部分の直上が中空である中空円柱形状を有していることを特徴とする第1の発明に記載の液体試料の蛍光X線分析法である。
第6の発明は、
前記ろ紙にかける荷重が6.9g/cm2以上であることを特徴とする第5の発明に記載の液体試料の蛍光X線分析法である。
第7の発明は、
前記重しが、フッ素樹脂製であることを特徴とする第2、第3、第5、第6の発明のいずれかに記載の液体試料の蛍光X線分析法である。
第8発明は、
前記フッ素樹脂が、PTFE、PFA、PCTFE、PVDF、PVF、ETFE、ECTFEの中から選択されるいずれか1種以上であることを特徴とする第7の発明に記載の液体試料の蛍光X線分析法である。
第9の発明は、
前記ろ紙に含浸された前記所定成分の濃度が150μg/cm2未満であり、前記所定成分が金属元素を含有していることを特徴とする第1から第8の発明のいずれかに発明に記載の液体試料の蛍光X線分析法である。

発明の効果

0016

本発明によれば、液体試料をろ紙へ含浸させた後、前記ろ紙へ荷重をかけながら、XRFを適用するという簡便な操作により、当該液体試料に含有される所定元素を、高精度且つ迅速に定量分析することが出来た。

図面の簡単な説明

0017

本発明の実施例に係る液体試料の蛍光X線分析法における操作のフロー図である。
XRF測定装置におけるX線管試料ホルダ付近の断面の模式図である。
試料ホルダと、そこに設置される部材の模式図である。
標準試料溶液における、X線の強度比と所定成分の濃度比との関係(検量線)を示した図である。

0018

以下、本発明に係る液体試料の蛍光X線分析法について、本発明の実施例に係る液体試料の蛍光X線分析法における操作のフロー図である図1を参照しながら、1.被測定対象の溶液中に含有される所定成分、2.内部標準成分、3.混合溶液の調製、4.ろ紙への液体試料滴下、5.乾燥、6.XRF測定装置への装填、の順に説明する。

0019

1.被測定対象の液体試料中に含有される所定成分
被測定対象の液体試料中に含有される所定成分は、実用的にはNa(Z=11)以上の原子番号を持つ元素であれば良い。例えば近年、盛んに技術開発が進行している光学材料電池材料等を考えると、当該所定元素として例えば、Coや希土類元素等の金属元素が挙げられる。
勿論、本発明は、被測定溶液中に含有される所定元素は、それぞれのXRFを用いた測定強度が同じような挙動でばらつきかつ、十分な測定感度が得られるものであれば、Coや希土類元素以外の元素が所定元素であっても適用可能である。

0020

2.内部標準成分
内部標準成分としては、前記被測定対象の液体試料中に含有されない元素を選択する。例えば所定元素としてCoを含有する液体試料に対する内部標準元素であれば、例えばY(イットリウム)を選択することが出来る。勿論Y以外の元素を内部標準元素として測定することも可能である。

0021

3.混合溶液の調製
前記所定元素と内部標準元素とを含む混合溶液の調製の際、重量として精確に量り取られた被測定対象の液体試料へ、当該液体試料中に含有されない元素を内部標準元素として含む内部標準溶液を、重量として精確に量り取って混合し、撹拌して混合溶液を得るという重量法により調製することが好ましい。
ここで、内部標準溶液は、内部標準元素を重量として精確に量り取り、一定重量の純水に混合して得られたものである。
この結果、当該混合溶液を得るまでの操作において、液体容量測定操作を行うことなく、液体重量量操作を行なうものとなり、高精度且つ迅速に定量分析を行う観点から好ましい。

0022

これは、上述したように、被測定対象の液体試料の一定容量分取するような操作において、作業者プッシュボタン式液体用量体積計(本発明において「マイクロピペット」と記載する場合がある)の操作習熟度未熟な場合には、分取誤差が大きくなり、結果として精確な測定が行えない場合があるからである。これに対し、液体重量を秤量する操作であれば、たとえ操作習熟度が未熟な場合であっても、誤差が小さく、より厳密な測定操作が容易に可能になることを知見したことによる。

0023

さらに本発明においては、上述した混合溶液の段階において、被測定対象の液体試料中に含有される所定元素と内部標準元素との比率が、厳密に決定出来ている。この結果、当該混合溶液の一定容量を媒体上に滴下する際、未熟な操作習熟度をもって液体容量の測定操作をおこなったとしても、所定元素と内部標準元素との比率自体は保持される。従って、測定精度を低下させることなく、たとえ未熟な操作習熟度であったとしても、液体容量の測定操作方法をもって当該混合溶液を取り扱うことが出来る。

0024

4.ろ紙への液体試料滴下
媒体であるろ紙への液体試料を滴下する量は、数十μL程度の少量しか滴下することが出来ないので、一般的にマイクロピペットを使用して液体試料の一定容量を分取することとなる。しかしながら、作業者のマイクロピペットの操作習熟度が未熟な場合には、分取誤差が大きくなり、結果として精確な測定が行えない可能性がある。

0025

上述した分取誤差を相殺する為、内部標準添加法を採用し、重量法を用いることが好ましい。具体的には、「3.混合溶液の調製」にて説明したように、液体試料と内部標準としてYを含有する溶液を重量で測り取って混合溶液とし、その比重を算出することにより、分析試料を採取する際の誤差を抑えることが出来るからである。

0026

さらに本発明では、ろ紙滴下の際における混合溶液の滴下量を150μg/cm2未満とすることが好ましい。これは、混合溶液の滴下量を150μg/cm2未満とすることにより、ろ紙における縦方向濃度勾配が無くなり、横方向へは均一に容易に分散させることが出来ることを、本発明者らが知見したことに拠る。

0027

5.乾燥
ろ紙への混合溶液の滴下が完了したら、当該ろ紙を乾燥させる。乾燥方法としては、自然乾燥ドライヤーを用いた乾燥等でも可能であるが、迅速且つ均一な乾燥を行う観点からは、電子レンジを用いた乾燥が好ましい。

0028

6.XRF測定装置への装填
ろ紙の乾燥が完了したら、当該ろ紙をXRF測定装置へ装填する。
ここで、混合溶液のXRF測定装置への装填について、図2、3を参照しながら説明する。
但し、図2はXRF測定装置おけるX線管、試料ホルダ付近の断面の模式図であり、図3は当該試料ホルダと、そこに設置される部材の模式図である。
図2に示すように、XRF測定装置には、X線管10、試料ホルダ20、X線検出器30が設けられている。

0029

試料ホルダ20においては、支持部22を有する枠体21に、上述した混合溶液の乾燥物を含浸している円形のろ紙26が、支持部22に載置されたマスク24に周囲を支持されて設置されており、当該ろ紙26のX線管10に相対しない側に、後述する円柱形状の重し28が設置されている。
ここで試料ホルダ20について、(1)枠体、マスクおよびろ紙、(2)重し、の順に説明する。

0030

(1)枠体、マスクおよびろ紙
図3(A)に示すように、枠体21は例えば筒状を有し、当該枠体の底部には支持部22があり、当該支持部は穴部23を有する。そして、枠体21内に設置されるマスク24は、平面ワッシャー状の円形金属平板であって、穴部25を有する。材質アルミニウム真鍮であり、厚みは1mm程度である。

0031

図3(B)に示すマスク24は、後述する円柱形状の重し28により荷重をかけられたろ紙26を支えると伴に、円柱形状の重し28と協働してろ紙26の変形を抑制する。尚、試料ホルダ20の設計によっては、マスク24の機能を試料ホルダ20に兼ねさせることで、マスク24を省略することも可能である。

0032

図3(C)に示すろ紙26は、枠体21の内部に収まる外径を有し、上述した穴部23の位置を示す円周27が描かれている場合もある。当該円周27は、上述した混合溶液をろ紙26中へ注ぐ際、注ぐ位置の目安とするものである。

0033

X線管10で発生した一次X線X1は、試料ホルダ20の穴部23、マスク24の穴部25を通過してろ紙26に照射される。ろ紙26に含浸された混合溶液の乾燥物を構成している元素が一次X線X1の照射を受け、それぞれの元素が固有の蛍光X線X2を発生させる。当該蛍光X線X2は、最終的にX線検出器30に到着してX線強度が測定される。当該測定データは分析装置送付され、混合溶液中の各元素が定量されこととなる。
当該観点から、一般的に(試料ホルダ20の穴部23の径)≧(マスク24の穴部25の径)である。

0034

(2)重し
図2に示すように、本発明においては、当該ろ紙26のX線管10に相対しない側に、円柱形状の重し28が設置されている。当該円柱形状の重し28の斜視図を図3(D)に示す。そして、当該円柱形状の重し28は円柱形状を有し、枠体21の内部に収まる外径を有している。
尚、本発明において円柱形状とは、当該円柱の上面と下面とが同径であるものの他、上面と下面との径が若干異なる略円柱形状も含む概念である。
また、重しの異なる態様として図3(E)に、円柱形状の積層型重し41の斜視図を示す。
当該円柱形状の積層型重し41は、1枚以上のディスク形状の重し42の適宜枚を積層したものである。ディスク形状の重し42の積層枚数増減することで、円柱形状の積層型重し41の重量を増減することが出来る。
一方、ろ紙26が収縮する際の応力打ち勝って、ろ紙26の変形を抑止する観点およびろ紙26へ均等な荷重をかける観点から、重しは、ろ紙26のX線管10に相対しない側の全面を覆うことの出来る断面積を有していることが好ましい。

0035

重しは、その構成元素として前記被測定対象および内部標準元素を含有せず、且つ、前記被測定対象および内部標準元素が発生する蛍光X線の検出を妨害する波長の蛍光X線を発生しないことに加え、適宜な重量を有するものであることが好ましい。つまり、当該重しは円柱形状を有し、X線管と相対しない側から、ろ紙26の上へ載置することで均等な荷重をかけて、ろ紙26の平滑性担保することが出来るものであることが好ましい。当該観点から重しは、ろ紙26へ密着する形状を有し、当該ろ紙26へ均等な荷重をかけるものであることが好ましい。当該荷重は、2.5g/cm2以上が好ましく、5.0g/cm2以上であることがさらに好ましい。

0036

上述したように、重しの具体的構成元素は、前記被測定対象および内部標準元素を含有しないこと、且つ、化学的コンタミネーションの発生がなく、適宜な重量を有すべきことからフッ素樹脂が好ましい。さらにフッ素樹脂中でも、PTFE、PFA、PCTFE、PVDF、PVF、ETFE、ECTFEから選択される1種以上が好ましい。
以上説明した重しの構成は、測定の定量性を担保する観点において優れるものである。

0037

尤も、例えばフッ素樹脂にて円柱形状の重し28を作製した場合であっても、当該フッ素樹脂に由来して僅かなバックウラウンドのX線が発生し、前記被測定対象および内部標準元素が発生する蛍光X線X2に重複することも考えられる。
この結果、例えば、微弱なX2を測定する場合等には、当該バックグウラウンドのX線が僅かであっても、測定を妨害する可能性が考えられる。

0038

当該妨害を回避する為、円柱形状の重し28を、液体試料を含浸させた円周27部分の
直上が中空である中空円柱形状とする態様として、バックグウラウンドのX線発生を回避するという態様が考えられる。
そこで、当該態様に係る重しであって一体型のものの斜視図を図3(F)に、分割型のものの斜視図を図3(G)に示す。

0039

図3(F)に、上述したろ紙26において液体試料を含浸させた円周27部分の直上が中空部44である中空円柱形状の重し43を示す。ここで中空部44の径は、ろ紙26において、上述した混合溶液が注がれる部分(例えば、上述した円周27の部分)と同じ、または、より大きいことが好ましい。

0040

また、図3(G)に、所定個中空ディスク形状の重し46の積層により形成された、ろ紙26において液体試料を含浸させた円周27部分の直上が中空部44である、液体試料を含浸させた部分の直上が中空である中空円柱形状の積層型重し45を示す。

0041

当該中空部を有する重しを用いる場合、ろ紙26の変形を抑制し平滑性を担保する観点から、ろ紙への荷重は、6.9g/cm2以上が好ましい。
以上説明した中空部を有する重しの構成は、微弱なX線を測定する観点において優れるものである。

0042

以上説明したように、乾燥したろ紙26および円柱形状の重し28、円柱形状の積層型重し41、中空円柱形状の重し43、中空円柱形状の積層型重し45のいずれかを試料ホルダ20に設置し、当該試料ホルダ20をXRF測定装置へ装填する。そして、被測定対象である前記所定元素および内部標準元素が発生する蛍光X線X2を測定し、当該測定結果から前記所定元素の定量結果を算出する。

0043

以下、本発明について実施例を用いてさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。また、本発明は発明の要旨を逸脱しない範囲で変形することが出来る。

0044

(実施例1)
ポリスチレン製試験管へ、所定元素としてCoを含有する被測定溶液1.0mLを、精密天秤を用いて0.1mgの桁まで精確に量り取った。
内部標準元素としてYを選択し、前記ポリスチレン製試験管へ、Y濃度が8g/Lの内部標準溶液3mLを、精密天秤を用いて0.1mgの桁まで精確に量り取った。
さらに、前記ポリスチレン製試験管を密栓し、攪拌して混合溶液を得た。

0045

前記ポリスチレン製試験管内の混合溶液を、マイクロピペットを用いて20μLずつ分取し、外径50mm(試料含浸部を示す円周の径19mm)を有する円形ろ紙(No.5C)3枚の、それぞれ円周の内部へ滴下した。
当該3枚のろ紙を10秒間以上放置した後に、電子レンジ(600W)へ装填し、2分間の加熱を行って乾燥させて、実施例1に係る分析サンプル1〜3を得た。

0046

前記乾燥させたろ紙(分析サンプル1〜3)を、それぞれ試料ホルダ(内径52mmの枠体)内に設置した。そして、当該ろ紙のX線管と相対しない側に、径43.5mmを有し16mmの厚みを有するPTFEを載置した。このとき、ろ紙にかかる荷重は2.6g/cm2である

0047

上述したろ紙が設置されPTFEの重しが載置された試料ホルダを、XRF測定装置に装填した。そして、CoおよびYの蛍光X線強度を測定し、CoとYとのX線強度比を算出し、混合溶液中のCo濃度を測定した。

0048

そして、当該XRF測定後に、試料ホルダ内のろ紙(分析サンプル1〜3)の状態を確認したところ、変形や変質は観察されなかった。

0049

図1分析フローをもとに、測定試料としてCoCl2溶液(約70g/L)の採取量を変化させ、検量線を作成した。当該検量線の相関係数を算出したところ0.999であり、当該検量線の直線性は非常に良好であった。当該検量線を図4に示す。
また、同一試料を10回繰り返しXRF測定した結果、XRFの繰り返し測定精度変動係数(RSD)が0.13%と良好であった。

0050

そして、分析サンプル1〜3に対して、XRFをそれぞれ10回繰り返して測定した結果を表1に示す。表1の結果より、分析サンプル1〜3におけるXRFの繰り返し測定精度は、RSDの平均値が0.617%と良好であった。
一方、後述する、ろ紙への荷重を実施しなかった比較例1において、RSDの平均値が0.851%であったことから、ろ紙への荷重によって、XRFの繰り返し測定値の変動が大きく減少したことが理解出来る。
尚、実施例1においてRSDの値が0.401%と、最も小さかった分析サンプル2は、ろ紙の反りが少なかった分析サンプルである。

0051

実施例1に係るろ紙への、滴下液均一性の検証する為、ろ紙(分析サンプル1〜3)の観察を行った。尚、塩化コバルト溶液は、色であるが、電子レンジで加熱後には次式脱水反応が起こり、青色に変化する。
実施例1に係るろ紙(分析サンプル1〜3)においては、青色の部分が、混合溶液の滴下点から外側へ向かって均一に分布しており、前記混合溶液がろ紙上に均一に拡がっていることが確認された。

0052

0053

(実施例2)
上述したように実施例1において、実施例1においてRSDの値が0.40%と、最も小さかった分析サンプル2は、ろ紙の反りが少なかったものであった。そこで、測定面におけるろ紙の平滑性を保つ為、PTFEの重しの重量を増加した。
具体的には、ろ紙にかかる荷重を8.6g/cm2であって、均等な荷重とすることで、ろ紙の平滑性を保つこととした。この為、径50mmを有し40mmの厚みを有し、中空の物ではないPTFEを載置した。さらに、ろ紙と重しとの密着性が密着に留意した重しを使用した。
上述した以外は実施例1と同様にして、混合溶液中のCo濃度を測定した。測定した結果を表2に示す。表2の結果より、XRFの繰り返し測定精度の値は、RSDの平均値が0.379であった。即ち、XRFの繰り返し測定値におけるバラつきをさらに抑制出来ることが判明した。
また、実施例2に係るろ紙(分析サンプル1〜3)においては、青色の部分が、混合溶液の滴下点から外側へ向かって均一に分布しており、前記混合溶液がろ紙上に均一に拡がっていることが確認された。

0054

0055

(比較例1)
ろ紙へ混合溶液を滴下した後の乾燥操作、および、XRF測定の際に重しを載せない他は、実施例1、2と同様にして、混合溶液中のCo濃度を測定した。測定した結果を表3に示す。表3の結果より、XRFの繰り返し測定精度の値は、RSDの平均値が0.851%となり、実施例1、2と比較して、XRFの繰り返し測定値におけるバラつきが大きいことが判明した。
そして、ろ紙への荷重を実施しなかった比較例1に係るろ紙(分析サンプル1〜3)においては、青色の部分が、混合溶液の滴下点から外側へ向かって均一に分布しておらず、厚み方向にもムラがあることが確認された。

実施例

0056

0057

10:X線管
20:試料ホルダ
21:枠体
22:支持部
23:穴部
24:マスク穴
25:穴部
26:ろ紙
27:円周
28:円柱形状の重し
30:X線検出器
41:円柱形状の積層型重し
42:ディスク形状の重し
43:中空円柱形状の重し
44:中空部
45:中空円柱形状の積層型重し
46:中空ディスク形状の重し
X1:一次X線
X2:蛍光X線

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社システムスクエアの「 検査装置」が 公開されました。( 2019/09/19)

    【課題】TDI方式と同様な効果をシンプルかつ小型な構成で実現可能な検査装置を提供する。【解決手段】搬送面に載置された検査対象物を所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、検査対象物に電磁波を照射する電磁波照... 詳細

  • プライムアースEVエナジー株式会社の「 電極の状態測定方法、電池状態判定方法、及び電極試料作製方法」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題】電池の電極上の位置に対して電極の表面を構成する電極材料の状態を測定することのできる電極の状態測定方法、電池状態判定方法、及び電極試料作製方法を提供する。【解決手段】電極の状態測定方法は、正極板... 詳細

  • 株式会社リガクの「 X線発生装置、及びX線分析装置」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題】簡単な構成でビームサイズが小さい集束X線ビームを実現できる、X線発生装置、及びX線分析装置の提供。【解決手段】線状X線源と、多層膜鏡と、2枚の凹面鏡が接合線を共有するよう互いに接合される、サイ... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ