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技術 熱型赤外線検出器およびその製造方法

出願人 三菱電機株式会社
発明者 杉野隆紀細見眞一原京史
出願日 2017年11月16日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2017-220609
公開日 2019年6月13日 (2ヶ月経過) 公開番号 2019-090739
状態 特許登録済
技術分野 測光及び光パルスの特性測定 固体撮像素子 光信号から電気信号への変換 熱電素子
主要キーワード 常温動作 下地構造体 半導体ライン 赤外線センサアレイ 共振運動 酸素原子濃度 赤外線吸収領域 断熱構造体
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課題

小型で高感度であり低価格な熱型赤外線検出器およびその製造方法を提供する。

解決手段

赤外線センサ1は、赤外線を透過させる支持体金属配線54を有する支持体5を備えている。支持体5は、赤外線検出部4と空間的に分離された異なる平面内に、赤外線検出部4の一部を覆うように設けられている。支持体5の内部に配置された支持体金属配線54は、酸素雰囲気下でプラズマ放電することにより、コバルト鉄膜の一部を酸化したものである。このような構造によれば、赤外線は支持体5を透過し、赤外線検出部4に吸収されるため、支持体5の上層赤外線吸収層を設ける必要がない。また、支持体5を広範囲に長く形成することができるため、支持基板10と赤外線検出部4を熱的に分離することができ、高感度化が図られる。

概要

背景

赤外線固体撮像装置等に用いられる赤外線検出器は、物体から放射される遠赤外線光子として捉える量子型と、分子共振運動により生じる熱エネルギーとして捉える熱型に大別される。量子型は、低雑音高感度高速応答という特徴を有するが、光が持つエネルギーが小さいことから撮像素子マイナス200℃付近まで冷却する必要がある。このため、装置内に撮像素子を冷却するための冷凍機が必要となり、装置が複雑で高価となる。

一方、熱型は常温動作が可能であり、温度センサを有する赤外線検出部と信号読出し回路半導体ラインで同時に形成できることから、量子型に比べ小型化および低価格化に有利である。このため、セキュリティー車載用等の民生分野においては熱型が主流となっており、小型で低価格であると共に高感度であることが求められている。

従来の熱型赤外線検出器においては、赤外線検出部を断熱構造体である支持脚によって保持し、基板と赤外線検出部を熱的に分離していた。先行技術では、支持脚をできるだけ長く形成することにより断熱特性を向上させ、高感度化を図っている。例えば特許文献1には、温度センサとなるボロメータ膜が、高い熱抵抗を持つ薄膜支持脚で基板上方に持ち上げられたブリッジ構造が開示されている。ボロメータ膜は、支持脚により基板から熱的に分離されると共に、支持脚の中に形成された薄膜金属配線により、ブリッジ下方の基板に形成された信号読出し回路と電気的に結合されている。

また、赤外線に対する感度を高めるためには、画素面積に占める赤外線吸収領域面積比である開口率をできるだけ大きく取ることが望ましい。しかしながら、熱型赤外線検出器の小型化を図るためには、赤外線センサアレイ画素ピッチを小さくする必要があり、画素面積が小さくなる。このため、特許文献1に記載されたような温度センサと支持脚が同一平面上に形成された構造では、開口率を大きく取ろうとすると支持脚を長くすることができなくなり、支持脚を長くすると開口率が大きく取れないという問題がある。

このような問題を解決するため、特許文献2および特許文献3では、温度センサと支持脚をそれぞれ離間した別の層で形成し、面積効率を高める工夫がなされている。特許文献2には、ボロメータ膜と赤外線吸収層を一体として広い領域に形成し、その下部に高い熱抵抗を持つ薄膜支持脚を別層で形成した2階建て構造が開示されている。

また、特許文献3には、赤外線の入射方向から見て、赤外線吸収層、断熱支持脚、温度センサの順に互いに空間的に分離した異なる平面内に形成した3階建て構造が開示されている。このような2階建てまたは3階建て構造とすることにより、支持脚を長くすることが容易であると共に画素の開口率を大きくすることができる。

概要

小型で高感度であり低価格な熱型赤外線検出器およびその製造方法を提供する。赤外線センサ1は、赤外線を透過させる支持体金属配線54を有する支持体5を備えている。支持体5は、赤外線検出部4と空間的に分離された異なる平面内に、赤外線検出部4の一部を覆うように設けられている。支持体5の内部に配置された支持体金属配線54は、酸素雰囲気下でプラズマ放電することにより、コバルト鉄膜の一部を酸化したものである。このような構造によれば、赤外線は支持体5を透過し、赤外線検出部4に吸収されるため、支持体5の上層に赤外線吸収層を設ける必要がない。また、支持体5を広範囲に長く形成することができるため、支持基板10と赤外線検出部4を熱的に分離することができ、高感度化がられる。

目的

本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、小型で高感度であり、且つ低価格な熱型赤外線検出器およびその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

基板上に、赤外線入射による温度変化電気信号に変換する温度センサを有する赤外線検出部と、前記温度センサから電気信号を読み出す支持体金属配線を有する支持体とを備え、前記赤外線検出部は、前記支持体によって前記基板との間に中空部を介して保持され、前記支持体は、前記赤外線検出部と空間的に分離された異なる平面内に、赤外線の入射方向から見て前記赤外線検出部の一部を覆うように設けられ、前記支持体金属配線には、赤外線を透過させる金属材料が用いられていることを特徴とする熱型赤外線検出器

請求項2

前記支持体金属配線は、酸化または窒化された金属膜であることを特徴とする請求項1記載の熱型赤外線検出器。

請求項3

前記支持体金属配線は、表面から膜厚方向に所定の深さの部分が酸化または窒化され、酸化または窒化されていない部分が残されていることを特徴とする請求項2記載の熱型赤外線検出器。

請求項4

前記支持体金属配線は、コバルト鉄であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の熱型赤外線検出器。

請求項5

前記支持体金属配線は、チタンアルミニウムクロム、またはこれらのいずれかを含む合金であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の熱型赤外線検出器。

請求項6

前記支持体金属配線は、第1の支持体金属配線と第2の支持体金属配線を含む2層以上の積層膜であり、前記積層膜の一部が酸化または窒化されていることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の熱型赤外線検出器。

請求項7

前記温度センサは、直列接続された複数のダイオードであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の熱型赤外線検出器。

請求項8

前記基板は、単結晶シリコン基板上に埋め込みシリコン酸化膜層を介して単結晶シリコン層が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の熱型赤外線検出器。

請求項9

赤外線検出部が支持体によって基板との間に中空部を介して保持された熱型赤外線検出器の製造方法であって、基板上に、赤外線の入射による温度変化を電気信号に変換する温度センサを有する前記赤外線検出部を形成する工程と、前記赤外線検出部を覆い、且つ前記基板と一部が接触した犠牲層を形成する工程と、前記犠牲層を部分的に除去して前記温度センサの一部を露出させる工程と、前記犠牲層の上に、前記犠牲層から露出した前記温度センサに電気接続するように支持体金属配線層を形成する工程と、前記支持体金属配線層を赤外線が透過するように改質する工程と、前記犠牲層および前記基板の一部を除去して前記支持体と前記中空部を形成する工程とを含むことを特徴とする熱型赤外線検出器の製造方法。

請求項10

前記支持体金属配線層を赤外線が透過するように改質する工程において、酸素または窒素雰囲気下でプラズマ放電することにより、前記支持体金属配線層の一部を酸化または窒化することを特徴とする請求項9記載の熱型赤外線検出器の製造方法。

請求項11

前記支持体金属配線層を赤外線が透過するように改質する工程において、酸素または窒素雰囲気下で熱処理することにより、前記支持体金属配線層の一部を酸化または窒化することを特徴とする請求項9記載の熱型赤外線検出器の製造方法。

請求項12

前記支持体金属配線層を赤外線が透過するように改質する工程において、前記支持体金属配線層の表面から膜厚方向に所定の深さの部分を酸化または窒化し、酸化または窒化されていない部分を残すことを特徴とする請求項10または請求項11に記載の熱型赤外線検出器の製造方法。

請求項13

前記支持体金属配線層として、コバルト鉄を用いたことを特徴とする請求項9から請求項12のいずれか一項に記載の熱型赤外線検出器の製造方法。

請求項14

前記支持体金属配線層として、チタン、アルミニウム、クロム、またはこれらのいずれかを含む合金を用いたことを特徴とする請求項9から請求項12のいずれか一項に記載の熱型赤外線検出器の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、赤外線を熱に変換して検出する熱型赤外線検出器およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

赤外線固体撮像装置等に用いられる赤外線検出器は、物体から放射される遠赤外線光子として捉える量子型と、分子共振運動により生じる熱エネルギーとして捉える熱型に大別される。量子型は、低雑音高感度高速応答という特徴を有するが、光が持つエネルギーが小さいことから撮像素子マイナス200℃付近まで冷却する必要がある。このため、装置内に撮像素子を冷却するための冷凍機が必要となり、装置が複雑で高価となる。

0003

一方、熱型は常温動作が可能であり、温度センサを有する赤外線検出部と信号読出し回路半導体ラインで同時に形成できることから、量子型に比べ小型化および低価格化に有利である。このため、セキュリティー車載用等の民生分野においては熱型が主流となっており、小型で低価格であると共に高感度であることが求められている。

0004

従来の熱型赤外線検出器においては、赤外線検出部を断熱構造体である支持脚によって保持し、基板と赤外線検出部を熱的に分離していた。先行技術では、支持脚をできるだけ長く形成することにより断熱特性を向上させ、高感度化を図っている。例えば特許文献1には、温度センサとなるボロメータ膜が、高い熱抵抗を持つ薄膜支持脚で基板上方に持ち上げられたブリッジ構造が開示されている。ボロメータ膜は、支持脚により基板から熱的に分離されると共に、支持脚の中に形成された薄膜金属配線により、ブリッジ下方の基板に形成された信号読出し回路と電気的に結合されている。

0005

また、赤外線に対する感度を高めるためには、画素面積に占める赤外線吸収領域面積比である開口率をできるだけ大きく取ることが望ましい。しかしながら、熱型赤外線検出器の小型化を図るためには、赤外線センサアレイ画素ピッチを小さくする必要があり、画素面積が小さくなる。このため、特許文献1に記載されたような温度センサと支持脚が同一平面上に形成された構造では、開口率を大きく取ろうとすると支持脚を長くすることができなくなり、支持脚を長くすると開口率が大きく取れないという問題がある。

0006

このような問題を解決するため、特許文献2および特許文献3では、温度センサと支持脚をそれぞれ離間した別の層で形成し、面積効率を高める工夫がなされている。特許文献2には、ボロメータ膜と赤外線吸収層を一体として広い領域に形成し、その下部に高い熱抵抗を持つ薄膜支持脚を別層で形成した2階建て構造が開示されている。

0007

また、特許文献3には、赤外線の入射方向から見て、赤外線吸収層、断熱支持脚、温度センサの順に互いに空間的に分離した異なる平面内に形成した3階建て構造が開示されている。このような2階建てまたは3階建て構造とすることにより、支持脚を長くすることが容易であると共に画素の開口率を大きくすることができる。

先行技術

0008

米国特許第5,286,976号公報
米国特許第6,144,030号公報
特許第3944465号公報

発明が解決しようとする課題

0009

しかしながら、特許文献2に開示された2階建て構造は、支持脚の上方に温度センサが設けられているため、温度センサの形成工程が最終工程となり、高温処理を必要とする温度センサを使うことができない。すなわち、下層の支持脚から基板にかけてアルミニウム等の金属配線が形成されるため、上層の温度センサの形成工程中における熱処理温度は金属配線に許容される温度(アルミニウムの場合約500℃)を超えることができない。

0010

このため、特許文献2では、形成工程で高温処理が必要な温度センサが使えないだけでなく、高温熱処理による効果、すなわち製造装置でのプラズマダメージ回復による電気特性の安定化、および電気的接触部で発生する雑音の抑制といった効果を享受することができない。

0011

一方、特許文献3に開示された3階建て構造では、支持脚を容易に長くすることができると共に、温度センサが下層であるため高温処理が必要な温度センサを使うことが可能である。このため、高温の熱処理による電気特性の安定化および雑音の抑制といった効果を享受することができる。さらに、最上層に設けた赤外線吸収層により赤外線を効率的に吸収することができ、赤外線センサのS/N比を向上することが容易であり、高性能化に対して有利である。しかし、3階建て構造であるため画素構造が複雑であり、製造工程も複雑となることから、低価格化を図ることが困難である。

0012

本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、小型で高感度であり、且つ低価格な熱型赤外線検出器およびその製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

本発明に係る熱型赤外線検出器は、基板上に、赤外線の入射による温度変化電気信号に変換する温度センサを有する赤外線検出部と、温度センサから電気信号を読み出す支持体金属配線を有する支持体とを備え、赤外線検出部は、支持体によって基板との間に中空部を介して保持され、支持体は、赤外線検出部と空間的に分離された異なる平面内に、赤外線の入射方向から見て赤外線検出部の一部を覆うように設けられ、支持体金属配線には、赤外線を透過させる金属材料が用いられているものである。

0014

本発明に係る熱型赤外線検出器の製造方法は、赤外線検出部が支持体によって基板との間に中空部を介して保持された熱型赤外線検出器の製造方法であって、基板上に、赤外線の入射による温度変化を電気信号に変換する温度センサを有する赤外線検出部を形成する工程と、赤外線検出部を覆い、且つ基板と一部が接触した犠牲層を形成する工程と、犠牲層を部分的に除去して温度センサの一部を露出させる工程と、犠牲層の上に、犠牲層から露出した温度センサに電気接続するように支持体金属配線層を形成する工程と、支持体金属配線層を赤外線が透過するように改質する工程と、犠牲層および基板の一部を除去して支持体と中空部を形成する工程とを含むものである。

発明の効果

0015

本発明に係る熱型赤外線検出器によれば、赤外線検出部と異なる平面内に支持体を設けているので、赤外線検出部と同一平面内に支持体を設けた場合に比べて支持体を容易に長くすることができ、断熱特性が向上する。また、赤外線検出部の画素の開口率を大きくすることができ、赤外線に対する感度を高めることができる。さらに、支持体金属配線が赤外線を透過させる金属膜で構成されているため、赤外線検出部を覆うように支持体を配置することができ、支持体の上層に赤外線吸収層を設ける必要がないため簡素な構造となる。

0016

本発明に係る熱型赤外線検出器の製造方法によれば、赤外線検出部を支持体金属配線層よりも先に形成するので、支持体金属配線層に許容される温度を考慮する必要がなく、形成工程で高温処理が必要な温度センサを用いることが可能である。また、支持体が赤外線を透過させるため、支持体の上層に赤外線吸収層を設ける必要がなく、製造が容易である。よって、本発明によれば、小型で高感度であり、且つ低価格な熱型赤外線検出器が得られる。

図面の簡単な説明

0017

本発明の実施の形態1に係る熱型赤外線固体撮像装置の概略図である。
本発明の実施の形態1に係る赤外線イメージセンサを示す斜視図である。
本発明の実施の形態1に係る赤外線センサを模式的に示す断面図である。
本発明の実施の形態1に係る赤外線センサを模式的に示す斜視図である。
本発明の実施の形態1に係る赤外線センサの下地構造体の製造方法を説明する断面図である。
本発明の実施の形態1に係る赤外線センサの製造方法を説明する断面図である。
酸化されたコバルト鉄膜における波長10μmの赤外線透過率を示す図である。
本発明の実施の形態2に係る赤外線センサの製造方法を説明する断面図である。
本発明の実施の形態3に係る赤外線センサの支持体金属配線を構成する酸化されたコバルト鉄膜の深さ方向の酸素原子濃度を示す図である。

実施例

0018

実施の形態1.
以下に、本発明の実施の形態1に係る熱型赤外線検出器およびその製造方法について、図面に基づいて説明する。図1は、本実施の形態1に係る熱型赤外線検出器を備えた熱型赤外線固体撮像装置の概略図、図2は本実施の形態1に係る赤外線イメージセンサを示す斜視図、図3および図4は、本実施の形態1に係る赤外線センサ(図2中A−Aで示す部分)を模式的に示す断面図と斜視図である。なお、各図において、図中、同一、相当部分には同一符号を付している。

0019

熱型赤外線固体撮像装置100は、筐体に取り付けられたレンズ保護用窓101、赤外線を入射するための光学レンズ102、窓材103が取り付けられたパッケージ104に収納された赤外線イメージセンサ105、および出力された画像信号を処理する信号処理回路106等を備えている。

0020

赤外線イメージセンサ105は、図2に示すように、赤外線の入射による温度変化を電気信号に変換する熱型赤外線検出器である赤外線センサ1が2次元マトリックス状に配列された赤外線センサアレイ2と、赤外線センサアレイ2の周辺に配置された信号読出し回路3を備えている。信号読出し回路3は、個々の赤外線センサ1の電気信号を順次読み出し、入射した赤外線に応じた画像信号を出力する。

0021

本実施の形態1に係る赤外線センサ1の構造について、図3および図4を用いて説明する。なお、図3では、赤外線センサ1を構成する膜の詳細については、図示を省略している。赤外線センサ1の赤外線検出部4は、支持体5によって支持基板10との間に中空部6を介して断熱的に保持されている。赤外線検出部4には、温度センサとしてのPN接合ダイオード41が2個以上直列接続されており、個々のPN接合ダイオード41は金属配線45および支持体金属配線54により電気的に結合されている。

0022

熱型赤外線固体撮像装置100における赤外線イメージセンサ105の赤外線検出原理について簡単に説明する。被写体が発した赤外線は、赤外線センサアレイ2の赤外線センサ1に入射する。赤外線が入射した赤外線センサ1は、赤外線のエネルギーにより温度が上昇し、この温度変化に応じて赤外線検出部4のPN接合ダイオード41の電気特性が変化する。

0023

なお、赤外線検出部4の温度センサは、PN接合ダイオード41に限定されるものではなく、トランジスタ抵抗ボロメータ膜で構成された温度センサを用いてもよい。赤外線イメージセンサ105は、温度センサの電気特性の変化を信号読出し回路3により読み取り外部に出力することにより、被写体の熱画像を得る。

0024

すなわち、赤外線センサ1は、入射エネルギーに対して大きく温度上昇し、PN接合ダイオード41の電気特性が大きく変化することが望ましく、そのために、赤外線検出部4は、入射した赤外線をロスなく効率的に熱に変換することが重要である。本実施の形態1に係る赤外線センサ1は、入射した赤外線を効率的に赤外線検出部4に伝達することが可能な構造を備えたものである。

0025

本実施の形態1に係る赤外線イメージセンサ105の製造方法について説明する。まず、図5(a)から図5(e)を用いて、赤外線イメージセンサ105の下地構造体の製造工程について説明する。なお、図5(a)から図5(e)では、赤外線センサアレイ2の1つの画素を構成する赤外線センサ1の断面を示し、信号読出し回路3については図示を省略している。

0026

図5(a)に示すように、支持基板10として、単結晶シリコン支持基板11上に、埋め込みシリコン酸化膜層12、単結晶シリコン層13が順次積層された、いわゆるSOI(Silicon on Insulator)基板を準備する。

0027

次に、図5(b)に示すように、PN接合ダイオード41を分離するため、例えば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)分離法等の局所酸化法によって、それぞれのPN接合ダイオード41を熱酸化膜42により電気的に絶縁する。続いて、図示しない信号読出し回路3となる領域を、単結晶シリコン支持基板11上に形成する。

0028

さらに、写真製版技術およびイオン注入技術等により、PN接合ダイオード41の所定の位置に、N型またはP型不純物原子を所定の深さまで注入し、ダイオードとして機能するP型およびN型の不純物層(図示省略)を設ける。なお、所定の位置とは、PN接合順方向特性物理的に所望の動作となる位置であり、単結晶シリコン層13の不純物濃度分布が均一な領域、あるいは意図的に濃度勾配が設けられた領域が、所定の深さ形成される。

0029

次に、図5(c)に示すように、全面に第1の層間酸化膜43を堆積し、写真製版技術およびドライエッチング技術により、第1の層間酸化膜43の所定の位置に第1のコンタクトホール44を所定の深さまで開口する。これにより、PN接合ダイオード41の一部が露出する。

0030

さらに、図5(d)に示すように、PN接合ダイオード41と信号読出し回路3を電気的に接続する金属配線45を形成する。金属配線45の材料は、所望の抵抗値であれば特に限定されるものではない。また、ランプアニール技術等により金属シリサイド膜として用いてもよい。

0031

続いて、図5(e)に示すように、金属配線45を電気的に絶縁する第2の層間酸化膜46を堆積し、第2の層間酸化膜46の所定の位置に第2のコンタクトホール47とエッチングホール48を開口する。第2のコンタクトホール47により、PN接合ダイオード41および金属配線45は、後に形成される支持体金属配線54と電気的に接続される。エッチングホール48は、単結晶シリコン支持基板11まで達している。以上の工程により、赤外線センサ1の赤外線検出部4となる部分が形成された下地構造体が完成する。

0032

次に、図6(a)から図6(d)を用いて、下地構造体形成以降の製造方法、すなわちPN接合ダイオード41を含む画素部と信号読出し回路(図示省略)を接続する支持体5の形成工程について説明する。図6(a)に示すように、下地構造体の表面に、赤外線検出部を覆い、且つ基板(ここでは単結晶シリコン支持基板11)と一部が接触した犠牲層51を形成する。犠牲層51としては、最終工程で赤外線センサ1の構成部材と選択的にエッチング除去可能な材料、例えば有機系材料が用いられる。

0033

次に、図6(b)に示すように、写真製版技術により犠牲層51の所定の位置を部分的に除去して犠牲層開口部52を形成し、温度センサの一部、ここではPN接合ダイオード41に接続された金属配線45を露出させる。続いて、例えばPECVD(Plasma−Enhanced Chemical Vapor Deposition)技術により、犠牲層51の上に、犠牲層開口部52を覆うように支持体下層膜53となるシリコン酸化膜(SiO2)を形成する。さらに、写真製版技術とエッチング技術により、支持体下層膜53となるシリコン酸化膜を、犠牲層開口部52の部分のみエッチング除去する。

0034

続いて、PVD(Physical Vapor Deposition)技術により、犠牲層51から露出した金属配線45に電気接続するように、支持体金属配線54となる支持体金属配線層を、犠牲層開口部52の内部および支持体下層膜53の上部に形成する。支持体下層膜53の上層となる部分の支持体金属配線層の膜厚は、例えば40Åとする。

0035

支持体金属配線層としては、酸化または窒化処理、あるいはそれらと同等の熱処理等により赤外線を透過するようになる金属材料が用いられる。本実施の形態1では、支持体金属配線層として、コバルト鉄(CoFe)を用いているが、これに限定されるものではなく、貴金属以外の金属材料、例えばチタン(Ti)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、およびこれらのいずれかを含む合金等から選択された金属材料を用いることができる。

0036

続いて、支持体金属配線層を赤外線が透過するように改質する。本実施の形態1では、酸素雰囲気下でプラズマ放電することにより、支持体金属配線層の一部を酸化する。この時のプロセス条件は、例えばRFパワー1400W、ステージ温度140度、酸素流量300cc、プロセス圧力130Pa、プロセス時間300秒である。

0037

なお、支持体金属配線層を赤外線が透過するように改質する工程では、酸素雰囲気下で熱処理することにより、支持体金属配線層の一部を酸化してもよい。あるいは、窒素雰囲気下でプラズマ放電または熱処理することにより支持体金属配線層の一部を窒化してもよい。いずれの場合も、支持体金属配線層の表面から膜厚方向に所定の深さの部分を酸化または窒化し、酸化または窒化されていない部分を残すことが望ましい。

0038

支持体金属配線層を形成後、例えばPECVD技術により支持体上層膜55となるシリコン酸化膜を堆積する。支持体下層膜53および支持体上層膜55は、可能な限り薄膜とすることが望ましい。これにより支持体5の断熱特性が改善され、赤外線センサ1の性能が向上する。また、支持体上層膜55および支持体下層膜53は、シリコン酸化膜に限定されるものではなく、シリコン窒化膜(SiN)でもよく、あるいはシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜と膜特性が同等かそれ以上の絶縁薄膜を用いることもできる。

0039

次に、図6(c)に示すように、写真製版技術とエッチング技術により、支持体上層膜55、支持体金属配線54、および支持体下層膜53を所望の形状に形成する。本実施の形態1においては、例えば365nmの水銀スペクトル波長であるi線を光源とする露光機を用い、フォトレジストを500nm幅となるように形成し、その後、DRYエッチング技術により不要な膜をエッチング除去している。

0040

続いて、図6(d)に示すように、例えば酸素プラズマ処理とTMAH(Tetra−Methyl−Ammoniumu−Hydroxide)等のエッチング技術を用い、犠牲層51および単結晶シリコン支持基板11の一部を除去して支持体5と中空部6を形成する。最後に、支持体5の支持体配線金属54全体を覆う保護膜(図示省略)として、例えばPECVD技術によりシリコン酸化膜を形成する。以上の工程により、赤外線検出部4が支持体5によって単結晶シリコン支持基板11との間に中空部6を介して保持された赤外線センサ1が完成する。

0041

図7は、酸化されたコバルト鉄膜の赤外線透過率について実験した結果を示している。図7において、縦軸は波長10μmの赤外線透過率(%)、横軸は、酸化されたコバルト鉄膜の膜厚(Å)を示している。実験の結果、酸化されたコバルト鉄膜の波長10μmの赤外線透過率は、膜厚60Å以下で50%以上、膜厚40Å以下では90%以上であった。

0042

本実施の形態1では、支持体金属配線54であるコバルト鉄膜の膜厚は40Åであるが、40Åの膜厚の大部分を酸化した場合、波長10μmの赤外線透過率は90%以上であり、赤外線の反射が殆ど無い。ただし、膜の全てを酸化すると配線抵抗が高くなるため、配線としての機能を維持できるように酸化されていない部分を残す必要がある。

0043

本実施の形態1によれば、支持体5に配置された支持体金属配線54が赤外線を透過させるため、支持体5が赤外線検出部4の一部を覆うように赤外線検出部4の直上に配置されていても、赤外線は支持体5を透過し赤外線検出部4に吸収される。よって、支持体5の上層に赤外線吸収層を設ける必要がなく、構造が簡素であり製造も容易である。これに対し、従来構造では、支持脚中に配置された金属配線は光学的には反射膜として作用するため、支持脚の上層に赤外線吸収層を設ける必要があり、構造が複雑であった。

0044

また、本実施の形態1では、支持体5を形成する層と赤外線検出部4を形成する層を別層とし、支持体5と赤外線検出部4とを異なる平面内に設けているので、支持体と赤外線検出部を同じ層に形成した従来構造よりも、支持体5を広範囲に長く形成することができる。これにより、支持基板10と赤外線検出部4を熱的に分離することができ、熱コンダクタンスを小さくすることができる。また、画素の開口率を大きく取ることができるため、入射した赤外線を効率的に赤外線検出部4に伝達させるがことが可能である。

0045

また、本実施の形態1に係る赤外線センサ1の製造方法では、赤外線検出部4を支持体金属配線54よりも先に形成するので、支持体金属配線54に許容される温度を考慮する必要がなく、形成工程で高温処理が必要な温度センサを用いることが可能である。さらに、高温の熱処理による効果、すなわち製造装置でのプラズマダメージの回復による電気特性の安定化、および電気的接触部で発生する雑音の抑制といった効果を享受することができる。

0046

また、本実施の形態1に係る赤外線センサ1の製造方法では、支持体金属配線層を赤外線が透過するように改質する工程が必要であるが、支持体金属配線層を酸化または窒化する工程は従来装置で容易に行うことが可能であり、複雑な工程や新たな設備投資は必要ないため、製造コストの上昇を抑制することができる。

0047

これらのことから、本実施の形態1によれば、小型で高感度であり、且つ低価格な赤外線センサ1を備えた赤外線イメージセンサ105が得られる。また、本実施の形態1に係る赤外線イメージセンサ105を備えた熱型赤外線固体撮像装置100は、小型で高感度であり、且つ低価格を実現することができる。

0048

実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る赤外線センサは、支持体5に配置される支持体金属配線を、第1の支持体金属配線54aと第2の支持体金属配線54bを含む積層膜とし、積層膜の一部を酸化または窒化したものである。それ以外の構成については、上記実施の形態1と同様であるので、以下の説明では上記実施の形態1との相違点のみ説明する。

0049

本実施の形態2に係る赤外線センサの製造方法について、図8を用いて説明する。なお、図8は、上記実施の形態1で説明した図6(b)に続く工程を示している。所定の位置に犠牲層開口部52(図6(b)参照)が形成され、PN接合ダイオード41に接続された金属配線45を露出させた犠牲層51の上に、例えばPECVD技術により、犠牲層開口部52を覆うように支持体下層膜53となるシリコン酸化膜を形成し、犠牲層開口部52の部分のみエッチング除去する。

0050

続いて、PVD技術により、犠牲層51から露出した金属配線45に電気接続するように、第1の支持体金属配線54aとなる第1の支持体金属配線層を膜厚40Å形成する。さらに、PVD技術により、第2の支持体金属配線54bとなる第2の支持体金属配線層を膜厚40Å形成する。本実施の形態2では、第1の支持体金属配線層および第2の支持体金属配線層としてコバルト鉄を用いている。

0051

続いて、第1の支持体金属配線層および第2の支持体金属配線層を、酸素雰囲気下でプラズマ放電することにより酸化し、赤外線が透過するように改質する。その後、例えばPECVD技術により支持体上層膜55となるシリコン酸化膜を堆積する。なお、本実施の形態2では、支持体金属配線を2層の積層膜としたが、2層以上の積層膜であってもよい。

0052

本実施の形態2では、支持体金属配線が各々膜厚40Åの第1の支持体金属配線54aと第2の支持体金属配線54bを含む積層膜であるため、上記実施の形態1の単層の膜厚40Åの支持体金属配線54よりも赤外線透過率は低下する。ただし、積層膜とすることにより、コンタクト部のカバレジが向上し、コンタクト抵抗が小さくなり、雑音が小さくなる効果が得られる。

0053

なお、単層で膜厚を厚くすることによっても上記効果は得られるが、その場合、高い赤外線透過率を得ることが難しくなる。図7の実験結果によると、膜厚40Åの酸化されたコバルト鉄膜の波長10μmの赤外線透過率は90%以上であり、これを2層重ねて膜厚80Åの積層膜としても、90%の2乗で80%以上の赤外線透過率が得られる。一方、単層で膜厚80Åの酸化されたコバルト鉄膜では、40%以下の赤外線透過率しか得られないため、積層膜とすることが望ましい。

0054

本実施の形態2によれば、上記実施の形態1と同様の効果に加え、支持体金属配線を2層以上の積層膜とすることにより低雑音化が図られ、小型、低雑音、および高感度であり、且つ低価格な赤外線イメージセンサが得られる。

0055

実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る赤外線センサは、上記実施の形態2と同様に、支持体に配置される支持体金属配線を、第1の支持体金属配線54aと第2の支持体金属配線54bを含む積層膜とし、積層膜の一部を酸化または窒化したものである。本実施の形態3では、上記実施の形態2よりもさらに支持体金属配線の配線抵抗を小さくするため、第1の支持体金属配線54aの膜厚を70Åとしている。それ以外の構成および製造方法については、上記実施の形態1および実施の形態2と同様であるので、ここでは説明を省略する。

0056

図9は、本実施の形態3に係る赤外線センサの支持体金属配線を構成する酸化されたコバルト鉄膜の深さ方向の酸素原子濃度を示している。図9において、縦軸は酸素原子濃度(%)、横軸は支持体金属配線の表面からの深さ(Å)である。コバルト鉄膜の全てが酸化された場合、膜抵抗すなわち配線抵抗が高くなり、配線としての機能から逸脱する。このため、本実施の形態3では、第1の支持体金属配線54aの膜厚を70Åと厚くし、膜底部に酸化されていない金属層を残存させている。

0057

図9に示すように、本実施の形態3において酸化されたコバルト鉄膜は、表面から深さ30Å程度までは安定して30%以上の酸素原子濃度となっているが、表面からの深さが50Å程度になると膜中の酸素原子濃度は数%と少なくなる。このため、第1の支持体金属配線54aの膜厚を70Åとし、酸化されていない層を10Å〜40Å程度残すことにより、配線として妥当抵抗が得られる。また、コンタクト抵抗がさらに低下し、オーミックコンタクトが実現する。

0058

本実施の形態3によれば、上記実施の形態1および実施の形態2と同様の効果に加え、支持体金属配線を2層以上の積層膜とし、上記実施の形態2よりも第1の支持体金属配線54aの膜厚を厚くすることにより、コンタクト抵抗をさらに低下させることが可能となる。なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。

0059

本発明は、赤外線固体撮像装置等に用いられる赤外線検出器およびその製造方法として利用することができる。

0060

1赤外線センサ、2赤外線センサアレイ、3信号読出し回路、4赤外線検出部、5支持体、6中空部、10支持基板、11単結晶シリコン支持基板、12 埋め込みシリコン酸化膜層、13単結晶シリコン層、41PN接合ダイオード、42熱酸化膜、43 第1の層間酸化膜、44 第1のコンタクトホール、45金属配線、46 第2の層間酸化膜、47 第2のコンタクトホール、48エッチングホール、51犠牲層、52 犠牲層開口部、53 支持体下層膜、54 支持体金属配線、54a 第1の支持体金属配線、54b 第2の支持体金属配線、55 支持体上層膜、100熱型赤外線固体撮像装置、101レンズ保護用窓、102光学レンズ、103窓材、104パッケージ、105赤外線イメージセンサ、106 信号処理回路

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