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課題

熱安定性の高いヒマワリ油、当該油を含有するヒマワリ種子、および自花授粉の結果として、当該種子を産生するヒマワリ植物食糧および動物用飼料における当該油の使用およびバイオ潤滑油およびバイオ燃料の配合のための当該油の使用に関する。

解決手段

飽和脂肪酸パルミチン酸およびステアリン酸)含量が全脂肪酸の15〜45%であり、オレイン酸含量が全脂肪酸の45〜75%であり、ガンマトコフェロールおよびデルタ−トコフェロール合計含量が全トコフェロールの85%よりも多い、ヒマワリ油。

概要

背景

植物油高温が必要なまたは発生する処理に使用されるため、当該植物油は高い熱安定性または熱安定度を有することが要求される。植物油は、食品調理(揚げ調理焼き調理)または摩擦処理動力装置および機械装置への注油)の一般的な高温条件に供されると、酸化重合加水分解環化および異性化などの一連の油分解過程が起こり、結果として不愉快なにおいや風味のある生成物や栄養の点で好ましくない特性を示す生成物が形成される(非特許文献1)。油の熱安定性が高いほど、油分解過程の発生は少なくなるので、当該油の有効寿命は長くなる。

植物油の熱安定性は主に、当該油の不飽和度および当該油中抗酸化特性を有する物質の存在によって決まる。当該抗酸化特性を有する物質は、加熱時に油を保護し、分解過程の発生を遅らせる。油の不飽和度は脂肪酸分布によって決定される。脂肪酸は、その炭化水素鎖の不飽和度または二重結合の数が増えるほど、酸化に対する感受性がより強くなる。植物油における最も一般的な脂肪酸のうち、リノレン酸(多不飽和で3個の二重結合を有する)が酸化に対して最も感受性が強く、次いで、リノール酸(多不飽和で2個の二重結合を有する)、オレイン酸モノ不飽和で1個の二重結合を有する)、およびステアリン酸およびパルミチン酸(飽和で二重結合を含まない)の順で続く(非特許文献2)。

脂肪種子は抗酸化特性を有する物質を自然に産生し、中でもトコフェロールが傑出している。トコフェロールはクロマノール基およびフィチル側鎖からなる分子である。トコフェロールには天然に生じる4種類の形態が存在し、アルファ−、ベータ−、ガンマ−、およびデルタ−トコフェロールと呼ばれ、クロマノール環におけるメチル(Me)基の数および位置が互いに異なっている(図1)。

トコフェロールは脂溶性物質であるため、脂肪種子中に存在するトコフェロールは抽出処理中、油の方に移行する。ここで、トコフェロールは二重の抗酸化作用を示す。一方で、トコフェロールはインビトロ作用を示す。すなわちトコフェロールは、当該トコフェロールを含有する油と製品調理された食品)または当該油から誘導される製品(バイオ燃料バイオ潤滑油)を貯蔵時および使用時において酸化から保護する。他方で、トコフェロールは重要なインビボ抗酸化効果、すなわち生存細胞内での抗酸化効果を発揮する生理活性化合物である。このインビボ抗酸化活性ビタミンE活性として知られている(非特許文献3)。4種類のトコフェロールの間にはそれらのインビトロおよびインビボ抗酸化活性の関係において非常に大きな差がある。このため、アルファ−トコフェロールは、インビボ抗酸化剤またはビタミンEとして最高の有効性を有することで特徴付けられるが、そのインビトロ活性は他のトコフェロールと比較して低い。ポングラッツ等(非特許文献3)は、対照としてアルファ−トコフェロールの抗酸化活性を100%とすることにより、インビボ抗酸化剤としての相対的な有効性を、ベータ−トコフェロールは50%、ガンマ−トコフェロールは25%、デルタ−トコフェロールは1%と測定した。その一方、インビトロ抗酸化剤としての相対的な有効性は、ベータ−トコフェロールが182%、デルタ−トコフェロールが194%、ガンマ−トコフェロールが285%であった。

天然のヒマワリ油は、パルミチン酸(全脂肪酸の4〜8%)、ステアリン酸(全脂肪酸の2〜6%)、オレイン酸(全脂肪酸の20〜45%)およびリノール酸(全脂肪酸の45〜70%)からなる脂肪酸分布を示す。オレイン酸およびリノール酸の相対的な比率可変であり、種子の発育時の温度に大きく依存する(非特許文献4)。改良された脂肪酸分布を示す幅広ヒマワリ系統(sunflower lines)が遺伝子改良によって開発されている。開発された主な系統およびそれらの脂肪酸分布を表1に示す。

116:0=パルミチン酸; 18:0=ステアリン酸; 16:1=パルミトレイン酸
18:1 =オレイン酸; 18:2=リノール酸
寒冷環境下および温暖環境下でそれぞれ得られた標準的ヒマワリのデータ
著者によって提供されたものではないデータ

天然のヒマワリ油は、全トコフェロールの90%よりも多いアルファ−トコフェロールと、全トコフェロールの5%未満であるベータ−、ガンマ−、およびデルタトコフェロールからなるトコフェロール分布を有することによって特徴付けられる(非特許文献6)。ベータ−トコフェロール含量が高い(全トコフェロールの50%よりも多い)ヒマワリ系統、ガンマ−トコフェロール含量が高い(全トコフェロールの90%よりも多い)ヒマワリ系統、およびデルタ−トコフェロール含量が高い(全トコフェロールの65%よりも多い)ヒマワリ系統は遺伝子改良により開発されている(非特許文献5)。

主に飽和脂肪酸(ステアリン酸およびパルミチン酸)およびモノ不飽和脂肪酸(オレイン酸)からなる不飽和度の低いヒマワリ油は、不飽和度がより高い標準的なヒマワリ油よりも大きな熱安定性を示す(特許文献1)。さらに、アルファ−トコフェロールが、インビトロ抗酸化力がより高い他のトコフェロール、主にガンマ−およびデルタ−トコフェロールで部分的に置き換えられたヒマワリ油は、アルファ−トコフェロール含量が高い標準的なヒマワリ油よりも大きな熱安定性を示す(特許文献2)。飽和脂肪酸とモノ不飽和脂肪酸との含量によって決定される不飽和度が低く、かつトコフェロール分布におけるアルファ−トコフェロール含量が低い油を種子が産生するヒマワリ植物は現在までのところ開発されていない。

概要

熱安定性の高いヒマワリ油、当該油を含有するヒマワリ種子、および自花授粉の結果として、当該種子を産生するヒマワリ植物、食糧および動物用飼料における当該油の使用およびバイオ潤滑油およびバイオ燃料の配合のための当該油の使用に関する。飽和脂肪酸(パルミチン酸およびステアリン酸)含量が全脂肪酸の15〜45%であり、オレイン酸含量が全脂肪酸の45〜75%であり、ガンマ−トコフェロールおよびデルタ−トコフェロールの合計含量が全トコフェロールの85%よりも多い、ヒマワリ油。なし

目的

本発明の別の対象は、ヒトおよび動物食物のために、およびバイオ潤滑油およびバイオ燃料の製造のために、上記油を使用することである

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

飽和脂肪酸パルミチン酸およびステアリン酸)含量が油中に存在する全脂肪酸の15〜45%であり、オレイン酸含量が油中に存在する全脂肪酸の45〜75%であり、ガンマトコフェロールおよびデルタ−トコフェロール合計含量が油中に存在する全トコフェロールの85%よりも多い、熱安定性の高いヒマワリ油

請求項2

アルファ−トコフェロールの含量が該油中に存在する全トコフェロールの15%未満である、請求項1に記載の熱安定性の高いヒマワリ油。

請求項3

ステアリン酸の含量が該油中に存在する全脂肪酸の15%よりも多い、請求項1に記載の熱安定性の高いヒマワリ油。

請求項4

ステアリン酸の含量が該油中に存在する全脂肪酸の25よりも多い、請求項1に記載の熱安定性の高いヒマワリ油。

請求項5

ステアリン酸の含量が該油中に存在する全脂肪酸の35%よりも多い、請求項1に記載の熱安定性の高いヒマワリ油。

請求項6

パルミチン酸の含量が該油中に存在する全脂肪酸の15%よりも多い、請求項1に記載の熱安定性の高いヒマワリ油。

請求項7

パルミチン酸の含量が該油中に存在する全脂肪酸の25%よりも多い、請求項1に記載の熱安定性の高いヒマワリ油。

請求項8

パルミチン酸の含量が該油中に存在する全脂肪酸の35%よりも多い、請求項1に記載の熱安定性の高いヒマワリ油。

請求項9

ガンマ−トコフェロールの含量が該油中に存在する全トコフェロールの85%よりも多い、請求項1に記載の熱安定性の高いヒマワリ油。

請求項10

ガンマ−トコフェロールの含量が該油中に存在する全トコフェロールの95%よりも多い、請求項1に記載の熱安定性の高いヒマワリ油。

請求項11

デルタ−トコフェロールの含量が該油中に存在する全トコフェロールの25%よりも多い、請求項1に記載の熱安定性の高いヒマワリ油。

請求項12

デルタ−トコフェロールの含量が該油中に存在する全トコフェロールの55%よりも多い、請求項1に記載の熱安定性の高いヒマワリ油。

請求項13

デルタ−トコフェロールの含量が該油中に存在する全トコフェロールの75%よりも多い、請求項1に記載の熱安定性の高いヒマワリ油。

請求項14

パルミトレイン酸の含量が該油中に存在する全脂肪酸の5%よりも多い、請求項1に記載の熱安定性の高いヒマワリ油。

請求項15

パルミトレイン酸の含量が該油中に存在する全脂肪酸の10%よりも多い、請求項1に記載の熱安定性の高いヒマワリ油。

請求項16

リノール酸の含量が該油中に存在する全脂肪酸の10%未満、好ましくは5%未満である、請求項1に記載の熱安定性の高いヒマワリ油。

請求項17

全トコフェロールの含量が油1kgあたり500mgよりも多く、好ましくは750mgよりも多く、より好ましくは1250mgよりも多い、請求項1〜16のいずれかに記載の熱安定性の高いヒマワリ油。

請求項18

未精製油における温度110℃での10時間の誘導期の後、ランシマット型743装置(メトローム社製、ヘリザウ、スイス国)で測定された油安定性指数が35時間よりも長く、好ましくは50時間よりも長く、より好ましくは75時間よりも長い、請求項1〜17のいずれかに記載の熱安定性の高いヒマワリ油。

請求項19

未精製油における温度110℃での10時間の誘導期の後、ランシマット型743装置(メトローム社製、ヘリザウ、スイス国)で測定された油安定性指数が100時間よりも長く、好ましくは120時間よりも長い、請求項1〜17のいずれかに記載の熱安定性の高いヒマワリ油。

請求項20

スコトランドのアバディー所在のエヌ・シー・アイエム・ビー(NCIMB)(ナシナルコレクションオブインダストリアルマリンアンドフードバクテリア)社に2007年3月20日付で寄託番号NCIMB−41477にて寄託された種子系統IAS−1265のヒマワリの種子の抽出から得ることができる、請求項1〜19のいずれかに記載の熱安定性の高いヒマワリ油。

請求項21

請求項1〜20のいずれかに記載のヒマワリ油を含有する油の混合物

請求項22

請求項1〜20のいずれかに記載のヒマワリ油を抽出するための抽出工程の残渣として得られる粉体

請求項23

請求項1〜20に記載の脂肪酸およびトコフェロール特性を有する油を含有することによって特徴付けられるヒマワリの種子。

請求項24

請求項23に記載のヒマワリの種子であって、自花受精により、生長後に該種子中、該植物の栽培条件とは無関係に、請求項1〜20に記載の脂肪酸およびトコフェロール特性を有する油を含有する該ヒマワリの種子。

請求項25

請求項23に記載のヒマワリの種子であって、該種子が由来する系統が、スコットランドのアバディーン所在のエヌ・シー・アイ・エム・ビー社に2007年3月20日付で寄託番号NCIMB−41477にて寄託されたヒマワリ系統IAS−1265である該ヒマワリの種子。

請求項26

自花受精により、請求項1〜20に記載の脂肪酸およびトコフェロール特性を有する油を含有する種子を産生するヒマワリ植物(ヘリアンサス・アニュース・エル)。

請求項27

請求項1〜20に記載の油を得るための、請求項23〜25いずれかに記載のヒマワリの種子の使用。

請求項28

ヒトおよび動物食物のための、請求項1〜20に記載のヒマワリ油の使用。

請求項29

バイオ潤滑油およびバイオ燃料の製造のための、請求項1〜20に記載のヒマワリ油の使用。

技術分野

0001

本発明は農業分野食品分野および工業分野に属するものである。本発明の対象とするヒマワリ油は現在、存在している他のヒマワリ油よりも非常に高い熱安定性を有する。本発明のヒマワリ油は、高い熱安定性により、食品分野(揚げ物)および工業分野(バイオ潤滑油バイオ燃料)の両分野において、高温が必要なまたは発生する家庭内処理および工業的処理に適している。

背景技術

0002

植物油は高温が必要なまたは発生する処理に使用されるため、当該植物油は高い熱安定性または熱安定度を有することが要求される。植物油は、食品調理(揚げ調理焼き調理)または摩擦処理動力装置および機械装置への注油)の一般的な高温条件に供されると、酸化重合加水分解環化および異性化などの一連の油分解過程が起こり、結果として不愉快なにおいや風味のある生成物や栄養の点で好ましくない特性を示す生成物が形成される(非特許文献1)。油の熱安定性が高いほど、油分解過程の発生は少なくなるので、当該油の有効寿命は長くなる。

0003

植物油の熱安定性は主に、当該油の不飽和度および当該油中抗酸化特性を有する物質の存在によって決まる。当該抗酸化特性を有する物質は、加熱時に油を保護し、分解過程の発生を遅らせる。油の不飽和度は脂肪酸分布によって決定される。脂肪酸は、その炭化水素鎖の不飽和度または二重結合の数が増えるほど、酸化に対する感受性がより強くなる。植物油における最も一般的な脂肪酸のうち、リノレン酸(多不飽和で3個の二重結合を有する)が酸化に対して最も感受性が強く、次いで、リノール酸(多不飽和で2個の二重結合を有する)、オレイン酸モノ不飽和で1個の二重結合を有する)、およびステアリン酸およびパルミチン酸(飽和で二重結合を含まない)の順で続く(非特許文献2)。

0004

脂肪種子は抗酸化特性を有する物質を自然に産生し、中でもトコフェロールが傑出している。トコフェロールはクロマノール基およびフィチル側鎖からなる分子である。トコフェロールには天然に生じる4種類の形態が存在し、アルファ−、ベータ−、ガンマ−、およびデルタ−トコフェロールと呼ばれ、クロマノール環におけるメチル(Me)基の数および位置が互いに異なっている(図1)。

0005

0006

トコフェロールは脂溶性物質であるため、脂肪種子中に存在するトコフェロールは抽出処理中、油の方に移行する。ここで、トコフェロールは二重の抗酸化作用を示す。一方で、トコフェロールはインビトロ作用を示す。すなわちトコフェロールは、当該トコフェロールを含有する油と製品調理された食品)または当該油から誘導される製品(バイオ燃料、バイオ潤滑油)を貯蔵時および使用時において酸化から保護する。他方で、トコフェロールは重要なインビボ抗酸化効果、すなわち生存細胞内での抗酸化効果を発揮する生理活性化合物である。このインビボ抗酸化活性ビタミンE活性として知られている(非特許文献3)。4種類のトコフェロールの間にはそれらのインビトロおよびインビボ抗酸化活性の関係において非常に大きな差がある。このため、アルファ−トコフェロールは、インビボ抗酸化剤またはビタミンEとして最高の有効性を有することで特徴付けられるが、そのインビトロ活性は他のトコフェロールと比較して低い。ポングラッツ等(非特許文献3)は、対照としてアルファ−トコフェロールの抗酸化活性を100%とすることにより、インビボ抗酸化剤としての相対的な有効性を、ベータ−トコフェロールは50%、ガンマ−トコフェロールは25%、デルタ−トコフェロールは1%と測定した。その一方、インビトロ抗酸化剤としての相対的な有効性は、ベータ−トコフェロールが182%、デルタ−トコフェロールが194%、ガンマ−トコフェロールが285%であった。

0007

天然のヒマワリ油は、パルミチン酸(全脂肪酸の4〜8%)、ステアリン酸(全脂肪酸の2〜6%)、オレイン酸(全脂肪酸の20〜45%)およびリノール酸(全脂肪酸の45〜70%)からなる脂肪酸分布を示す。オレイン酸およびリノール酸の相対的な比率可変であり、種子の発育時の温度に大きく依存する(非特許文献4)。改良された脂肪酸分布を示す幅広ヒマワリ系統(sunflower lines)が遺伝子改良によって開発されている。開発された主な系統およびそれらの脂肪酸分布を表1に示す。

0008

0009

116:0=パルミチン酸; 18:0=ステアリン酸; 16:1=パルミトレイン酸
18:1 =オレイン酸; 18:2=リノール酸
寒冷環境下および温暖環境下でそれぞれ得られた標準的ヒマワリのデータ
著者によって提供されたものではないデータ

0010

天然のヒマワリ油は、全トコフェロールの90%よりも多いアルファ−トコフェロールと、全トコフェロールの5%未満であるベータ−、ガンマ−、およびデルタトコフェロールからなるトコフェロール分布を有することによって特徴付けられる(非特許文献6)。ベータ−トコフェロール含量が高い(全トコフェロールの50%よりも多い)ヒマワリ系統、ガンマ−トコフェロール含量が高い(全トコフェロールの90%よりも多い)ヒマワリ系統、およびデルタ−トコフェロール含量が高い(全トコフェロールの65%よりも多い)ヒマワリ系統は遺伝子改良により開発されている(非特許文献5)。

0011

主に飽和脂肪酸(ステアリン酸およびパルミチン酸)およびモノ不飽和脂肪酸(オレイン酸)からなる不飽和度の低いヒマワリ油は、不飽和度がより高い標準的なヒマワリ油よりも大きな熱安定性を示す(特許文献1)。さらに、アルファ−トコフェロールが、インビトロ抗酸化力がより高い他のトコフェロール、主にガンマ−およびデルタ−トコフェロールで部分的に置き換えられたヒマワリ油は、アルファ−トコフェロール含量が高い標準的なヒマワリ油よりも大きな熱安定性を示す(特許文献2)。飽和脂肪酸とモノ不飽和脂肪酸との含量によって決定される不飽和度が低く、かつトコフェロール分布におけるアルファ−トコフェロール含量が低い油を種子が産生するヒマワリ植物は現在までのところ開発されていない。

0012

国際公開第WO99/64546号(アール・ガーシェス(R. Garces)等、高安定性植物油)
国際公開第WO2004/089068号(エルベラスコ(L. Velasco)およびジェイ・エム・フェルナンデス・マルチネス(J. M. Fernandez-Martinez)、デルタ−トコフェロール含量が高いヒマワリ種子

先行技術

0013

スチダ(Bastida)およびサンチェス・ムニッツ(Sanchez Muniz)著「様々な食品について家庭内で不連続に40回揚げものをしたときの、オリーブ油、ヒマワリ油および両油の混合油熱酸化」(フードサイエンスアンドテクノロジーインターナシナル(Food Science and Technology International)、第7巻、第15−21頁、2001年)
エフ・ビー・パドレイ(F.B. Padley)等著、1994年、「油および脂肪産出および特性」(The Lipid Handbook、編集エフ・ディー・ガンストン(F.D. Gunstone)、ジェイ・エル・ハーウッド(J. L. Harwood)およびエフ・ビー・パドレイ、ロンドンチャップマン・アンド・ホール(Chapman & Hall)、第47−223頁)
ジー・ポングラッツ(G. Pongracz)等著「自然界のトコフェロールと抗酸化剤」(ファット・サイエンス・アンド・テクノロジー(Fat Science and Technology)、第97巻、第90−104頁、1995年)
フェルナンデス・マルチネス等著「ヒマワリの準同質遺伝的な高および低オレイン酸雑種体の性質」(クロップ・サイエンス(Crop Science)、第33巻、第1158−1163頁、1993年)
フェルナンデス・マルチネス等著「ヒマワリの品質改良」(メジョラ・ジェネチカ・デ・ラ・カリダッド・エンプランタス(Mejora Genetica de la Calidad en Plantas.)、編集:ジー・ラーサー(G. Llacer)、エム・ジェイ・ディーツ(M.J. Diez)、ジェイ・エム・カリーロ(J.M. Carrillo)、およびエム・エル・バデンス(M.L. Badenes)、ユニバーシダッド・ポリテクニカ・デ・バレンシア(Universidad Politecnica de Valencia)、第449−471頁、2006年)
デムリン(Demurin)等著「改良された油品質のための品種改良基礎としたヒマワリ種子におけるトコフェロール組成遺伝的変異」(プラントブリーディング(Plant Breeding)、第115巻、第33−36頁、1996年)

発明が解決しようとする課題

0014

本発明は、今まで開発された他のヒマワリ油と比較して大きい熱安定性をもたらす脂肪酸分布およびトコフェロール分布に関する一連の特性を有するヒマワリ種子から抽出されるヒマワリ油に関する。

課題を解決するための手段

0015

本発明の対象とするヒマワリ油は、飽和脂肪酸(パルミチン酸およびステアリン酸)含量が該油中に存在する全脂肪酸の15〜45%であり、オレイン酸含量が全脂肪酸の45〜75%であることを特徴とする。当該油はまた、主として主要な飽和脂肪酸がパルミチン酸のときのほとんどの場合は、全脂肪酸の5%よりも多くのパルミトレイン酸も含有し得る。リノール酸の含量は該油中に存在する全脂肪酸の10%未満であり、好ましくは5%未満である。さらにガンマ−およびデルタ−トコフェロールの合計含量は該油中に存在する全トコフェロールの85%よりも多く、アルファ−トコフェロールの含量は全トコフェロールの15%未満であり、全トコフェロールの当該油における含量は油1kgあたり500mg〜1250mg、または1250mgよりも多い。

0016

本発明のヒマワリ油は、未精製油における温度110℃での10時間の誘導期の後、ランシマット型743装置(Rancimat model 743 apparatus)(メトローム社製(Metrohm AG)、ヘリザウ、スイス国)で測定された油安定性指数が35時間〜120時間、または120時間よりも長い、熱安定性の高い油である。

0017

本発明は、上記した特性を有する油を含有するヒマワリの種子、および上記した特性を有する種子を自花受精により産生するヒマワリ植物にも関する。本発明の対象とする種子中において達成されるような脂肪酸およびトコフェロール分布の組み合わせの特性を有する油を産生するヒマワリの種子は現在、存在していない。

0018

本発明の別の対象は、ヒトおよび動物食物のために、およびバイオ潤滑油およびバイオ燃料の製造のために、上記油を使用することである。

0019

本発明は、ヘリアンサス・アニュース・エル種(Helianthus annuus L. species)の植物により産生される種子から抽出されたヒマワリ油に関するものであり、当該植物は、非常に優れた熱安定性をもたらす脂肪酸分布およびトコフェロール分布の特性を有する特別な油を産生する。

0020

上記油は、飽和脂肪酸としてのパルミチン酸およびステアリン酸の含量が高く(当該油中の全脂肪酸の15〜45%)、オレイン酸の含量が高く(全脂肪酸の45〜75%)、およびガンマ−およびデルタ−トコフェロールの合計含量が高い(当該油中に存在する全トコフェロールの85%よりも多い)ことを特徴とする。これらの3つの特性の組み合わせによって、当該油に高い熱安定性が付与される。

0021

当該油はまた、当該油中に存在する全脂肪酸の10%未満、好ましくは5%未満のリノール酸に加えて、主要な飽和脂肪酸がパルミチン酸のときのほとんどの場合は、全脂肪酸の5%よりも多いパルミトレイン酸を含有し得る。

0022

本発明の1つの実施態様において、パルミトレイン酸含量は当該油中の全脂肪酸の10%よりも多い。

0023

油における最高の油安定性は飽和脂肪酸によってもたらされる。しかしながら、油中のこれら脂肪酸の含量が非常に高いと、揚げ物食品における低い煙点および低い油の栄養価をもたらす。オレイン酸は油に、飽和脂肪酸よりも低い油安定性を付与するが、より高い煙点およびより高い栄養価を付与する。ガンマ−およびデルタ−トコフェロールは、ベータ−およびアルファ−トコフェロールよりも、大きな油安定性を油に付与する。

0024

本発明の油中のアルファ−トコフェロール含量は当該油中に存在する全トコフェロールの15%未満である。全トコフェロール含量は油1kgあたり500mg〜1250mg、または1250mgよりも多くし得る。

0025

当該油は、ヒマワリにおいて既に従来から開発されている以下の個々の特徴を組み換えることにより得られた:
a)飽和脂肪酸含量が高いこと。種子の油中、脂肪酸を飽和脂肪酸の形態、すなわちパルミチン酸(16:0)およびステアリン酸(18:0)の両方の形態で15%〜45%有するヒマワリ系統は幾つか存在する。2種類の系統を用いた:1)高ステアリン系統、すなわちステアリン酸含量が当該種子の油中、全脂肪酸の15%〜45%のもの、および2)高パルミチン系統、すなわちパルミチン酸含量が当該種子の油中、全脂肪酸の15%〜45%であって、パルミトレイン酸(16:1)含量が当該種子の油中、全脂肪酸の5%〜15%のもの。

0026

b)オレイン酸(18:1)含量が高いこと。使用される「高オレイン」と呼ばれるヒマワリ系統は当該種子の油中、脂肪酸をオレイン酸の形態で85%〜95%有するものである。リノール酸(18:2)含量は当該種子の油中、全脂肪酸の2%〜10%である。

0027

c)ガンマ−トコフェロールおよびデルタ−トコフェロールの合計含量が高いこと。この特徴は幾つかのヒマワリ系統において存在し、当該系統において両方のトコフェロールの合計量は当該種子中に存在する全トコフェロールの85%よりも多い。2種類の系統を用いた:1)高ガンマ−トコフェロール系統、すなわちガンマ−トコフェロール含量が種子中の全トコフェロールの85%よりも多く、最高で、種子中の全トコフェロールの99%までの値に達し得るもの、および2)高デルタ−トコフェロール系統、すなわちデルタ−トコフェロール含量が種子中の全トコフェロールの65%よりも多く、かつガンマ−トコフェロール含量が種子中の全トコフェロールの20%よりも多く、デルタ−トコフェロールとガンマ−トコフェロールとの合計量が種子中の全トコフェロールの85%よりも多く、最高で、種子中の全トコフェロールの99%までの値に達し得るもの。両方の系統の種子は、全トコフェロール含量が油1kgあたり500〜1500mgであって、前記したトコフェロール分布を有する油をもたらす。

0028

これらの特徴は遺伝的複雑度(genetic complexity)が高いので、組換えは以下に説明する2つの工程で行った:
1)「飽和脂肪酸の含量が高い」特徴と「オレイン酸の含量が高い」特徴の組換え
飽和脂肪酸(パルミチン酸およびステアリン酸)含量が高い系統と、オレイン酸含量が高い系統との間で、制御交雑(controlled crossbreedings)を行い、F1雑種種子を得た。この種子を生長させ、対応する植物を自花受精させてF2種子を得たところ、当該種子は両方の特徴に対して分離(segregation)を示した。個々の特徴のそれぞれは、ほとんどが劣性の1−3遺伝子によって制御されるため、求める特徴、すなわち高い飽和脂肪酸含量と高いオレイン酸含量という特徴を併有する種子を得るためには、各々の交雑あたり平均100個のF2種子を分析する必要があった。当該2つの特徴が組み合わされた種子の発生頻度は低いため、当該2つの特徴が組み合わされた種子を十分な数で得るためには、各々の交雑あたり平均2000個の種子を分析する必要があった。

0029

改良された脂肪酸分布の特徴の組み合わせが商業的に有用であるためには、当該特徴は、遺伝性がなければならないし、ヒマワリ植物が栽培される環境条件とは無関係に発現されなければならない。このため、選択法(selection process)を実施して、当該特徴を定着(fixing)させ、かつ様々な環境条件下での該特徴の安定性を確かめた。この目的のために、選択されたF2種子をまき、各々のF2植物の自花受精から生じるF3種子、ならびに幾つかの環境で栽培された多くのF3植物から生じるF4種子の分析により、組み合わされた特徴の遺伝的安定性を確認した。

0030

この第1工程の結果として、油中に存在する全脂肪酸の15%〜45%という高含量の飽和脂肪酸、全脂肪酸の45%〜75%という高含量のオレイン酸、および全脂肪酸の10%未満という低含量のリノール酸を含有する種子をもたらす植物を得た。

0031

2)新規な「飽和脂肪酸の含量が高く、かつオレイン酸の含量が高い」特徴と「ガンマ−およびデルタ−トコフェロールの合計含量が高い」特徴の組換え
この第2工程では、先の工程1)で得られた高い飽和脂肪酸含量(油中に存在する全脂肪酸の15〜45%)および高いオレイン酸含量(油中に存在する全脂肪酸の45〜75%)を組み換えた植物、ならびにガンマ−トコフェロールとデルタ−トコフェロールの合計含量が高い(種子中に存在する全トコフェロールの85%よりも多い)植物を用いた。

0032

ガンマ−およびデルタ−トコフェロールの合計含量が高い系統と、飽和脂肪酸含量が高くかつオレイン酸含量が高いF3植物との間で、制御交雑を行った後、F1雑種種子を得た。この種子を生長させ、対応する植物を自花受精させてF2種子を得たところ、当該種子は組換えの目的とする3つの特徴、すなわち高い飽和脂肪酸(パルミチン酸およびステアリン酸)含量、高いオレイン酸含量および高いガンマ−およびデルタ−トコフェロール合計含量に対して分離を示した。求める脂肪酸分布は4−6遺伝子によって制御され、また求めるトコフェロール分布は一般的に劣性の1−3遺伝子によって制御されるため、求める特徴、すなわち高い飽和脂肪酸含量、高いオレイン酸含量、および高いガンマ−およびデルタ−トコフェロール合計含量を併有する種子を得るためには、各々の交雑あたり平均400個のF2種子を分析する必要があった。当該2つの特徴が組み合わされた種子の発生頻度は低いため、当該2つの特徴が組み合わされた種子を十分な数で得るためには、各々の交雑あたり平均5000個の種子を分析する必要があった。

0033

改良された脂肪酸分布の特徴の組み合わせが商業的に有用であるためには、当該特徴は、遺伝性がなければならないし、ヒマワリ植物が栽培される環境条件とは無関係に発現されなければならない。このため、選択法を実施して、当該特徴を定着させ、かつ様々な環境条件下での該特徴の安定性を確かめた。この目的のために、選択されたF2種子をまき、各々のF2植物のF3種子、ならびに多くのF3植物から生じるF4種子の分析により、組み合わされた特徴の遺伝的安定性を確認した。これらの植物は、様々な環境で培養された。この結果、高い飽和脂肪酸含量、高いオレイン酸含量および高いガンマ−およびデルタ−トコフェロール合計含量の同時発現が、植物の培養条件とは無関係に発現される定着された安定な遺伝的性質の結果であることが確認された。

0034

この第2工程の結果として、油中に存在する全脂肪酸の15%〜45%という高含量の飽和脂肪酸、全脂肪酸の45%〜75%という高含量のオレイン酸、油中に存在する全トコフェロールの85%よりも多いという高い合計含量のガンマ−トコフェロールおよびデルタ−トコフェロールを含有する種子をもたらす植物を得た。飽和脂肪酸の源がパルミチン酸含量の高い系統(油中の全脂肪酸の15〜45%)であったときは、油中の全脂肪酸の5%よりも多い量でのパルミトレイン酸の存在も観察された。

0035

異なる組換え工程において用いられるヒマワリ系統の脂肪酸(パルミチン酸、ステアリン酸およびオレイン酸)およびトコフェロールの含量範囲を考慮すると、本発明において行われる特定の実施態様には、ステアリン酸含量が油中に存在する全脂肪酸の15%よりも多く、また25%よりも多く、さらには35%よりも多い油が包含される。本発明の他の実施態様には、パルミチン酸含量が油中に存在する全脂肪酸の15%よりも多く、また25%よりも多く、さらには35%よりも多い油が包含される。

0036

本発明の2つの他の実施態様においては、本発明の油のガンマ−トコフェロール含量は、油中に存在する全トコフェロールの85%よりも多く、さらには95%よりも多い。

0037

本発明の他の実施態様においては、当該油のデルタ−トコフェロール含量は、油中に存在する全トコフェロールの25%よりも多く、また55%よりも多く、さらには75%よりも多い。

0038

上記した植物によって産生された種子から抽出される油は、植物油の酸化および低い熱安定性の主要な原因となる不飽和度が低い脂肪酸分布により、また酸化および高温の影響に対する保護作用が強いトコフェロールの高比率での存在により、従来のどのヒマワリ油よりも非常に優れた熱安定性を示し、また改良された脂肪酸分布またはトコフェロール分布しか有さない他のどのヒマワリ油よりも非常に優れた熱安定性を示す。

0039

本発明の対象とする油の油安定性指数(OSI)は、未精製油における温度110℃での10時間の誘導期の後、ランシマット型743装置(メトローム社製、ヘリザウ、スイス国)で測定され、35〜120時間である。

0040

加熱時において油中に存在するトコフェロールの分解ならびに極性化合物およびポリマーの生成を検討することにより、油の熱的酸化分解(thermo-oxidative degradation)について評価する。本発明の対象とする油は、親種子として使用される種子から得られた油よりも、熱的酸化分解が少ないし、ポリマーおよび極性化合物の形成の割合が低い(半分)。

0041

油安定性が高く、熱的酸化分解に対する耐性が高い本発明の油は、これらの技術的特性が付与されているので、ヒトおよび/または動物の食物に安定的に使用できる。本発明の油はまた、バイオ潤滑油および/またはバイオ燃料の製造にも使用できる。

0042

本発明の1つの実施態様において、本発明の油は、スコットランドのアバディーン(Aberdeen)所在のエヌ・シー・アイ・エム・ビー(NCIMB)(ナショナル・コレクションオブインダストリアルマリン・アンド・フード・バクテリア(National Collection of Industrial, Marine and Food Bacteria))社に2007年3月20日付で寄託番号NCIMB−41477にて寄託された種子系統(seed line)IAS−1265のヒマワリの種子に由来する抽出物から得ることができる。

0043

本発明の油を含有する複数の油の混合物に加えて、当該ヒマワリ種子から油を抽出するための抽出工程の残渣として得られる粉体もまた本発明の対象である。

0044

本発明の別の対象は、本発明の油の特性を有する油を含有するヒマワリの種子である。それらの種子は結果として特定の植物が得られる種子であり、当該植物は、自花受精により、生長後に自身の種子中に、当該植物の栽培条件とは無関係に、本発明の油の特性を有する油を含有する植物である。1つの実施態様においては、本発明の種子は、スコットランドのアバディーン所在のエヌ・シー・アイ・エム・ビー社の種子銀行に2007年3月20日付で寄託番号NCIMB−41477にて寄託されたヒマワリ系統IAS−1265から得られる。本発明の対象する種子は、本発明の油を得るために用いることができる。

0045

自花受精により、本発明の油を含有する種子を産生するヒマワリ植物(ヘリアンサス・アニュース・エル)もまた、本発明の別の対象である。

0046

種子の入手
5.1 「飽和脂肪酸含量が高い」特徴および「オレイン酸含量が高い」特徴の組換え
油中のパルミチン酸含量が高く(全脂肪酸の15%よりも多い)、かつ化学的突然変異誘発によって発育させたヒマワリ系統NP−40、および油中のオレイン酸含量が高い(全脂肪酸の85%よりも多い)ヒマワリ系統BSD−2−423のそれぞれについて、48個の種子を無作為に取り出し、個々の種子のそれぞれについて油中の酸の組成または分布を分析した。分析後に種子は生長できなければならないために、種子の分析は破壊的であってはならないので、当該分析はハーフ子法(half seed process)によって行った。当該方法は、裁断が種子の生長能に影響を及ぼさないように、に対して種子末端の少量部分を裁断することからなる。その後、裁断部分はその脂肪酸分布について、脂肪酸のメチルエステルガスクロマトグラフィーにより分析し(アール・ガーシェス(R. Garces)およびエム・マンチャ(M. Mancha)、「新鮮植物組織からの一段階での脂質の抽出と脂肪酸メチルエステルの調製」、分析生化学(Analytical Biochemistry)、第211巻:第139−143頁、1993年)、胚を含む当該種子の残りは、生長が当該分析結果に依存して起こる最適条件にて貯蔵する。

0047

各種子の脂肪酸分布を確認した後、当該種子を生長させ、対応する植物を温室で栽培し、NP−40植物とBSD−2−423植物との間で制御交雑を行った。当該交雑は、雌親として用いられる予定の植物においてが開いて花粉を放つ前、明け方に花の雄蕊またはおしべを除去し、その後、雄親として用いられる予定の植物の花粉を用いて人工授粉することからなる。本実施例では、雌親としてBSD−2−423植物を用い、雄親としてNP−40植物を用いたが、親を反対に用いても同じ結果が得られる。

0048

当該交雑から得られた雑種種子は、F1種子と呼ぶものとし、上記で説明したハーフ種子法により脂肪酸分布について分析した。F1種子におけるパルミチン酸の平均含量は油中の全脂肪酸の7.3%であり、一方、NP−40植物の種子における対応する値は30.0%であり、また、BSD−2−423植物の種子における対応する値は3.5%であった。F1種子におけるオレイン酸の平均含量は油中の全脂肪酸の69.8%であり、一方、NP−40種子における対応する値は8.0%であり、また、BSD−2−423種子における対応する値は89.6%であった。

0049

150個のF1種子を生長させ、対応する植物を自花受精させて、F2種子を得、脂肪酸分布について分析した。2348個のF2種子を分析し、パルミチン酸含有量オレイン酸含有量を調べた。F2種子におけるパルミチン酸含量は油中の全脂肪酸の3.1%〜37.8%であった。F2種子におけるオレイン酸含量は油中の全脂肪酸の6.9%〜92.2%の範囲で変化した。分析した2348個の種子のうち、104個の種子は、油中の全脂肪酸に対して15%よりも多い高パルミチン酸含量と、45%よりも多い高オレイン酸含量を示した。これらの104個の種子のうち、パルミチン酸含量がより高い種子は全脂肪酸に対して34%のパルミチン酸含量および55%のオレイン酸含量を示したが、オレイン酸含量がより高い種子は全脂肪酸に対して18%のパルミチン酸含量および73%のオレイン酸含量を示した。

0050

選択されたF2種子をまき、組み合わされた特徴の遺伝的安定性を、各々のF2植物のF3種子の分析により確認した。全3744個のF3種子の分析の結果、平均含量で27.7%±3.4%(平均値±標準偏差)のパルミチン酸、7.2%±1.7%のパルミトレイン酸、1.4%±0.3%のステアリン酸、59.8%±4.9%のオレイン酸、および3.9%±1.0%のリノール酸からなる種子油脂肪酸組成を得た。

0051

5.2 「飽和脂肪酸含量が高く、かつオレイン酸含量が高い」特徴と「ガンマ−およびデルタ−トコフェロールの合計含量が高い」特徴の組換え
先の工程で得られたF3種子であって、高パルミチン酸含量(15%よりも多い)と高オレイン酸含量(45%よりも多い)とが組み合わされた種子を48個取り出し、当該種子と、ガンマ−トコフェロール含量が高い(85%よりも多い)T2100系統の48個の種子とのそれぞれについて、油中の酸組成または分布およびトコフェロール組成または分布の両方を分析した。この分析は上記したハーフ種子法により行った。種子の裁断部分を2つに分け、一方の1/2では脂肪酸のメチルエステルのガスクロマトグラフィー(アール・ガーシェス(R. Garces)およびエム・マンチャ(M. Mancha)、1993年、上記の文献)により脂肪酸分布を分析し、他方の1/2では高性能液体クロマトグラフィー−HPLC(エフ・ゴッフマン(F. Goffman)等、「なたねバルシカ・ナプス・エル(Brassica napus L.))の単一種子におけるトコフェロールの定量的測定」、フェット(Fett)/リピッド(Lipid)、第101巻、第142−145頁、1999年)によりトコフェロール分布を分析した。

0052

各種子の脂肪酸およびトコフェロール分布を確認した後、当該種子を生長させ、対応する植物を温室で栽培し、F3種子から生じる植物とT2100植物との間の制御交雑を、5.1欄に記載の方法と同様にして行った。F1種子中の脂肪酸およびトコフェロール分布について分析した。F1種子におけるパルミチン酸の平均含量は油中の全脂肪酸の6.8%であり、一方、NP−40植物の種子における対応する値は28.9%であり、また、T2100植物の種子における対応する値は3.2%であった。F1種子におけるオレイン酸含量は油中の全脂肪酸の72.6.8%であり、一方、BSD−2−423種子における対応する値は90.3%であり、または、T2100種子における対応する値は12.1%であった。F1種子におけるガンマ−トコフェロール含量は全トコフェロールの1.2%であり、対照として使用したNP−40種子およびBSD−2−423種子における対応する値は0.0%であり、また、T2100種子における対応する値は99.2%であった。

0053

100個のF1種子を生長させ、対応する植物を自花受精させて、F2種子を得、脂肪酸分布について分析した。8952個のF2種子を分析し、パルミチン酸含有量とオレイン酸含有量とガンマ−トコフェロール含有量を調べた。F2種子におけるパルミチン酸含量は油中の全脂肪酸の2.2%〜37.6%であった。F2種子におけるオレイン酸含量は油中の全脂肪酸の5.8%〜94.2%の範囲で変化した。ガンマ−トコフェロール含量は種子中の全トコフェロールの0.0%〜99.6%の範囲で変化した。分析した8952個の種子のうち、51個の種子は、全脂肪酸の15%よりも多い高パルミチン酸含量と、油中の全脂肪酸の45%よりも多い高オレイン酸含量と、種子中の全トコフェロールの85%よりも多い高ガンマ−トコフェロール含量とを示した。

0054

選択されたF2種子をまき、組み合わされた特徴の遺伝的安定性を、各々のF2植物のF3種子の分析により確認した。全3204個のF3種子の分析の結果、平均含量で28.9%±3.3%(平均値±標準偏差)のパルミチン酸、7.3%±1.1%のパルミトレイン酸、1.6%±0.5%のステアリン酸、52.5%±3.9%のオレイン酸、および4.2%±0.7%のリノール酸からなる種子油の脂肪酸組成、ならびに2.8%±1.3%のアルファ−トコフェロール、96.6%±1.8%のガンマ−トコフェロールおよび0.6%±0.2%のデルタ−トコフェロールからなるトコフェロール画分(fraction)の組成を得た。

0055

油の抽出
150gのF3種子を用い、石油エーテル沸点40〜60℃)およびソックスレー抽出系により、スペイン標準化協会による方法(標準カタログマドリッド、1991年)に従って油を抽出した。油中の脂肪酸およびトコフェロール組成について分析し、その結果、29.2%のパルミチン酸、7.5%のパルミトレイン酸、1.7%のステアリン酸、52.4%のオレイン酸、および4.2%のリノール酸からなる脂肪酸組成、ならびに2.4%のアルファ−トコフェロール、96.4%のガンマ−トコフェロールおよび1.2%のデルタ−トコフェロールからなるトコフェロール画分の組成を得た。

0056

得られた油の技術的特性
a)様々な種類のヒマワリ油における油安定性指数(OSI)の測定
米国オイル化学者協会(米国オイル化学者協会の公式方法および推奨する方法、第4版、AOCS、シャペーンイリノイ州、米国、1994年)の標準プロトコルに従って、以下の種類のヒマワリ油について、110℃で10時間加熱した後、油安定性指数(OSI)を測定した。
油1:標準ヒマワリ油(標準的な脂肪酸およびトコフェロール分布)
油2:オレイン酸含量が高く、かつトコフェロール分布が標準的な油
油3:パルミチン酸含量が高く、オレイン酸含量が高く、かつトコフェロール分布が標準的な油
油4:パルミチン酸含量が高く、オレイン酸含量が高く、かつトコフェロール分布が改良された(ガンマ−トコフェロール含量が高い)本発明の油。

0057

4種類のヒマワリ油の脂肪酸およびトコフェロール組成ならびに110℃で10時間加熱後のOSIを表2に示す:

0058

0059

a16:0=パルミチン酸; 18:0=ステアリン酸; 18:1=オレイン酸; 18:2=リノール酸; 16:1パルミトレイン酸
bA−T=アルファ−トコフェロール; B−T=ベータ−トコフェロール; G−T=ガンマ−トコフェロール; D−T=デルタ−トコフェロール

0060

b)加熱時におけるトコフェロールの分解ならびに極性化合物およびポリマーの生成に関する検討
油中において既に改良された脂肪酸分布におけるトコフェロール分布改良の相乗効果を検討するために、a)欄で記載の油3および油4を長時間(25時間)の高温(180℃)に付し、油の熱的酸化分解に直接的に関係する以下のパラメータを測定した:

0061

−全トコフェロール含量;当該トコフェロール含量は油1kgあたりのトコフェロールの総mg数で表し、国際純正応用化学連合(IUPAC、「油、脂肪および誘導体の分析のための標準的方法」、第7版の第1増補、パーガモン(Pergamon)出版オックスフォード、英国、1992年)の標準的方法に従って測定した。
−極性化合物の形成は油の総重量に対する割合(%)で表し、エム・シー・ドバーガンス(M.C. Dobarganes)等によって記述された方法に従って測定した(「加熱された脂肪および非加熱の脂肪における極性化合物の高性能サイズ排除クロマトグラフィー」、ファット・サイエンス・アンド・テクノロジー(Fat Science and Technology)、第90巻、第308−311頁、1988年)。
−ポリマーの形成は油の総重量に対する割合%で表し、国際純正応用化学連合(IUPAC、上記の研究)の標準的方法に従って測定した。
結果を表3に示す。

0062

実施例

0063

aA−T=アルファ−トコフェロール; B−T=ベータ−トコフェロール; G−T=ガンマ−トコフェロール; D−T=デルタ−トコフェロール
初期濃度(0)および上記条件で加熱25時間後に得られた濃度(25)を示す。

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