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技術 有機/無機複合体粒子

出願人 三菱ケミカル株式会社
発明者 加藤波奈子平瀬昌平渡部拓海與田祥也万代修作
出願日 2018年11月15日 (1年8ヶ月経過) 出願番号 2018-215063
公開日 2019年6月13日 (1年1ヶ月経過) 公開番号 2019-090021
状態 未査定
技術分野 さく井用組成物 高分子組成物 けい素重合体 高分子物質の処理方法
主要キーワード 本願技術 水圧破砕 通風乾燥器 地下資源 湿潤粒子 スラリー移送 初期溶解速度 たん水
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (1)

課題

PVA系樹脂の、水への分散性向上と膨潤抑制を両立することを課題とする。

解決手段

好ましくは平均粒子径が、1μm以上、3000μm以下である有機無機複合体粒子であって、前記複合体粒子は、ポリビニルアルコール系樹脂と、アルコキシシラン及び/又はその低縮合物加水分解重縮合物由来する三次元シロキサン架橋構造を有する成分と、を含有し、前記アルコキシシランは、T単位及び/又はQ単位を構成単位として有し、複合体粒子の全重量に対するSi含有量が、SiO2換算で0.1重量%以上、23重量%以下である、複合体粒子により課題を解決する。

概要

背景

ポリビニルアルコール(以下、PVAとも称する。)系樹脂は、水溶性樹脂としてコーティング剤水溶性バインダー乳化分散剤土木建材混和剤石膏セメント)など様々な分野で使用される。特に粒子の形にしたPVA系樹脂を水に溶解させて使用する場合、水への溶解性が高いにもかかわらず、PVA系樹脂粒子が水に分散する前にその表面が膨潤して凝集し、継粉を形成することにより所要量のPVA系樹脂が溶解せず、溶け残りを生じることがある。低温溶解性の高いPVA系樹脂粒子では特にこの傾向が強い。また溶け残った集塊粒子は膨潤して大きな塊となり溶解作業遅延させる他、撹拌翼流路に付着し工程の妨げとなることがある。

このような問題に対し、従来PVA系樹脂粒子の水分散性を向上させる方法が種々知られている。
例えば、特許文献1では、微粒子水溶性ポリマーを0.1〜10重量%の疎水性フュームドシリカに接触させて被覆し、水溶性ポリマーの水分散性を改良する技術が開示される。
また、低温溶解性の高いPVA系樹脂粒子は継粉になりやすいため、溶解性の低いPVA系樹脂粒子を用いることで継粉を抑制することが検討されていたが、継粉を抑制すると溶解性が低下するのが問題であった。そこで、特許文献2では、特定の触媒を特定の条件下で重合系に導入し分岐の少ないポリビニルアルコール系重合体を製造することで、結晶性を高め、ケン化条件を更に限定することにより、50℃以上の温水又は熱水投入しても継粉を生じることなく分散させることが出来、且つ90℃〜95℃で完全に溶解した水溶液となる、溶解性の面で改良効果が高いポリビニルアルコール系重合体を得られる技術が開示される。
また、特許文献3では、水への溶解率が高い水溶性高分子を核とし、水への溶解性が低い水溶性高分子で核を被覆した水溶性高分子により、継粉になることなく、水、温水、または熱水に溶解させる技術が開示されている。

概要

PVA系樹脂の、水への分散性向上と膨潤抑制を両立することを課題とする。好ましくは平均粒子径が、1μm以上、3000μm以下である有機無機複合体粒子であって、前記複合体粒子は、ポリビニルアルコール系樹脂と、アルコキシシラン及び/又はその低縮合物加水分解重縮合物由来する三次元シロキサン架橋構造を有する成分と、を含有し、前記アルコキシシランは、T単位及び/又はQ単位を構成単位として有し、複合体粒子の全重量に対するSi含有量が、SiO2換算で0.1重量%以上、23重量%以下である、複合体粒子により課題を解決する。なし

目的

本発明は、PVA系樹脂粒子の、水への分散性向上と初期溶解抑制、膨潤抑制を両立し得る複合体粒子を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

有機無機複合体粒子であって、前記複合体粒子は、ポリビニルアルコール系樹脂と、アルコキシシラン及び/又はその低縮合物加水分解重縮合物由来する三次元シロキサン架橋構造を有する成分と、を含有し、前記アルコキシシランは、T単位及び/又はQ単位を構成単位として有し、複合体粒子の全重量に対するSi含有量が、SiO2換算で0.1重量%以上、23重量%以下である、複合体粒子。

請求項2

前記ポリビニルアルコール系樹脂が、前記三次元シロキサン架橋構造を含むSiO2層により被覆された構造を有する、請求項1に記載の複合体粒子。

請求項3

前記ポリビニルアルコール系樹脂が、前記三次元シロキサン架橋構造を有する成分と、水溶性樹脂とを含有するハイブリッド膜により被覆された構造を有する、請求項1に記載の複合体粒子。

請求項4

前記ハイブリッド膜におけるSi含有量が、SiO2換算で15重量%以上100重量%未満である請求項3に記載の複合体粒子。

請求項5

前記三次元シロキサン架橋構造を有する成分が、被覆されている前記ポリビニルアルコール系樹脂の表面近傍にも存在する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の複合体粒子。

請求項6

前記三次元シロキサン架橋構造を有する成分が、前記ポリビニルアルコール系樹脂内部に均一に存在する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合体粒子。

請求項7

前記ポリビニルアルコール系樹脂が、ノニオン性基を有するポリビニルアルコール系樹脂である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合体粒子。

請求項8

前記ポリビニルアルコール系樹脂の水酸基と、前記アルコキシシラン及び/又はその低縮合物の加水分解重縮合物の水酸基と、の反応に由来するSi−O−C構造を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合体粒子。

請求項9

請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機/無機複合体粒子を含有することを特徴とするダイバーティングエージェント

請求項10

請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機/無機複合体粒子を含有することを特徴とする逸泥防止剤

請求項11

請求項9に記載のダイバーティングエージェントを用いて、坑井壁の亀裂を一時的に塞ぐ、亀裂の目止め方法。

請求項12

請求項10に記載の逸泥防止剤を、坑井壁の亀裂に充填し、掘削泥水の逸泥を防止する方法。

技術分野

背景技術

0002

ポリビニルアルコール(以下、PVAとも称する。)系樹脂は、水溶性樹脂としてコーティング剤水溶性バインダー乳化分散剤土木建材混和剤石膏セメント)など様々な分野で使用される。特に粒子の形にしたPVA系樹脂を水に溶解させて使用する場合、水への溶解性が高いにもかかわらず、PVA系樹脂粒子が水に分散する前にその表面が膨潤して凝集し、継粉を形成することにより所要量のPVA系樹脂が溶解せず、溶け残りを生じることがある。低温溶解性の高いPVA系樹脂粒子では特にこの傾向が強い。また溶け残った集塊粒子は膨潤して大きな塊となり溶解作業遅延させる他、撹拌翼流路に付着し工程の妨げとなることがある。

0003

このような問題に対し、従来PVA系樹脂粒子の水分散性を向上させる方法が種々知られている。
例えば、特許文献1では、微粒子水溶性ポリマーを0.1〜10重量%の疎水性フュームドシリカに接触させて被覆し、水溶性ポリマーの水分散性を改良する技術が開示される。
また、低温溶解性の高いPVA系樹脂粒子は継粉になりやすいため、溶解性の低いPVA系樹脂粒子を用いることで継粉を抑制することが検討されていたが、継粉を抑制すると溶解性が低下するのが問題であった。そこで、特許文献2では、特定の触媒を特定の条件下で重合系に導入し分岐の少ないポリビニルアルコール系重合体を製造することで、結晶性を高め、ケン化条件を更に限定することにより、50℃以上の温水又は熱水投入しても継粉を生じることなく分散させることが出来、且つ90℃〜95℃で完全に溶解した水溶液となる、溶解性の面で改良効果が高いポリビニルアルコール系重合体を得られる技術が開示される。
また、特許文献3では、水への溶解率が高い水溶性高分子を核とし、水への溶解性が低い水溶性高分子で核を被覆した水溶性高分子により、継粉になることなく、水、温水、または熱水に溶解させる技術が開示されている。

先行技術

0004

特開昭63−48341号公報
特開2002−53616号公報
特開2017−48267号公報

発明が解決しようとする課題

0005

上記のような水への分散性向上と溶解性を両立させる技術が提案されている。しかしながら、特許文献1の技術では、ヒュームドシリカ粒子の隙間から水が浸入するため、ポリビニルアルコール系重合体の膨潤の抑制はできず、また、特許文献2の技術は全ての種類のポリビニルアルコール系重合体に適用できず、特許文献3の技術では、被覆層がPVA系樹脂であるので、被覆層が膨潤するため、継粉になることはなくとも膨潤の抑制はできない。
このように従来の技術では、PVA系樹脂粒子の、水への分散性向上と膨潤抑制を両立することは困難であった。特に低温溶解性(長期溶解性)を維持したまま初期溶解性PVA系樹脂粉末を水に投入し、溶解を始める初期段階の溶解性)の抑制、かつ膨潤性を抑
制することは困難であった。
また、PVA系樹脂粒子には、変性や粒子内架橋などにより溶解を抑制し吸水性ポリマーとして使用する用途もあるが、高吸水性を維持したまま膨潤、特に初期膨潤を抑制することは困難であった。
本発明は、PVA系樹脂粒子の、水への分散性向上と初期溶解抑制、膨潤抑制を両立し得る複合体粒子を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、PVA系樹脂と、アルコキシシラン及び/又はその低縮合物加水分解重縮合物由来する三次元シロキサン架橋構造を有する成分と、を含有する有機無機複合体粒子が、含まれるPVA系樹脂の初期溶解を抑制し、水中に投入後にPVA系樹脂の分散性を向上させ、且つ、PVA系樹脂が膨潤することを抑制できることを見出し、本発明に到達した。

0007

本発明は、以下のものを含む。
<1>有機/無機複合体粒子であって、
前記複合体粒子は、ポリビニルアルコール系樹脂と、アルコキシシラン及び/又はその低縮合物の加水分解重縮合物に由来する三次元シロキサン架橋構造を有する成分と、を含有し、
前記アルコキシシランは、T単位及び/又はQ単位を構成単位として有し、
複合体粒子の全重量に対するSi含有量が、SiO2換算で0.1重量%以上、23重量%以下である、複合体粒子。
<2>前記ポリビニルアルコール系樹脂が、前記三次元シロキサン架橋構造を含むSiO2層により被覆された構造を有する、<1>に記載の複合体粒子。
<3>前記ポリビニルアルコール系樹脂が、前記三次元シロキサン架橋構造を有する成分と、水溶性樹脂とを含有するハイブリッド膜により被覆された構造を有する、<1>に記載の複合体粒子。
<4>前記ハイブリッド膜におけるSi含有量が、SiO2換算で15重量%以上100重量%未満である<3>に記載の複合体粒子。
<5>前記三次元シロキサン架橋構造を有する成分が、被覆されている前記ポリビニルアルコール系樹脂の表面近傍にも存在する、<2>〜<4>のいずれかに記載の複合体粒子。
<6>前記三次元シロキサン架橋構造を有する成分が、前記ポリビニルアルコール系樹脂内部に均一に存在する、<1>〜<4>のいずれかに記載の複合体粒子。
<7>前記ポリビニルアルコール系樹脂が、ノニオン性基を有するポリビニルアルコール系樹脂である、<1>〜<6>のいずれかに記載の複合体粒子。
<8>前記ポリビニルアルコール系樹脂の水酸基と、前記アルコキシシラン及び/又はその低縮合物の加水分解重縮合物の水酸基と、の反応に由来するSi−O−C構造を有する、<1>〜<7>のいずれかに記載の複合体粒子。
<9><1>〜<8>のいずれかに記載の有機/無機複合体粒子を含有することを特徴とするダイバーティングエージェント
<10><1>〜<8>のいずれかに記載の有機/無機複合体粒子を含有することを特徴とする逸泥防止剤
<11><9>に記載のダイバーティングエージェントを用いて、坑井壁の亀裂を一時的に塞ぐ、亀裂の目止め方法。
<12><10>に記載の逸泥防止剤を、坑井壁の亀裂に充填し、掘削泥水の逸泥を防止する方法。

発明の効果

0008

本発明により提供される複合体粒子は、使用するPVA系樹脂の分子構造を変えること
なくPVA系樹脂の長期溶解性を維持しつつ初期溶解を抑制し、水中に投入後にPVA系樹脂の分散性を向上させ、且つ、PVA系樹脂の膨潤を抑制できる。また、本発明により提供される複合体粒子は、膨潤に起因する凝集や継粉の形成が低減され、乾燥時にも凝集しにくく粉体流動性特性が向上する。

図面の簡単な説明

0009

実施例9〜13及び比較例6〜7における膨潤性試験の結果を示すグラフである。

0010

以下、本発明を実施形態に即して詳細に説明する。ただし、本発明は本明細書に明示的又は黙示的に記載された実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る複合体粒子は、ポリビニルアルコール系樹脂と、アルコキシシラン及び/又はその低縮合物の加水分解重縮合物に由来する三次元シロキサン架橋構造を有する成分を含有する、有機/無機複合体粒子である。

0011

(1)ポリビニルアルコール系(PVA系樹脂
本実施形態で用いるPVA系樹脂は、ビニルアルコール構造単位を有する樹脂であれば、その具体的な構造は特に限定されず、典型的には酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステルモノマーを重合したポリカルボン酸ビニルエステルケン化して得られるが、これに限られない。

0012

前記PVA系樹脂としては、未変性PVA、変性PVA系樹脂が挙げられる。
変性PVA系樹脂としては、PVA構造単位供与するビニルエステル系モノマー以外のモノマーを共重合することにより合成される共重合変性PVA系樹脂であってもよいし、未変性PVAを合成した後に主鎖または側鎖を適宜化合物で変性した後変性PVA系樹脂であってもよい。

0013

共重合変性PVA系樹脂に用いることができる共重合モノマー不飽和単量体)としては、例えば、エチレンプロピレンイソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類;3−ブテン−1オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類およびそのアシル化物などの誘導体アクリル酸メタクリル酸クロトン酸マレイン酸無水マレイン酸イタコン酸ウンデシレン酸等の不飽和酸類またはその塩;モノエステル、もしくはジアルキルエステルジアセトンアクリルアミドアクリルアミドメタクリルアミド等のアミド類エチレンスルホン酸アリスルホン酸メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸類あるいはその塩;ジアリルジメチルアンモニウムクロライドジアリルジエチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩酢酸イソプロペニル、1−メトキシビニルアセテート等の置換酢酸ビニル類ポリエチレングリコールアリルエーテルメトキシポリエチレングリコールアリルエーテルポリプロピレングリコールアリルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルエーテル、等のポリオキシアルキレン)基を有するアリルエーテル;等が挙げられる。

0014

また、共重合変性PVA系樹脂として、側鎖に一級水酸基を有するPVA系樹脂が挙げられる。かかるPVA系樹脂としては、例えば3,4−ジアセトキシ−1−ブテンビニルエチレンカーボネートグリセリンモノアリルエーテル等を共重合して得られる側鎖1,2−ジオール変性PVA系樹脂;1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジプロピオニルオキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジブチロニルオキシ−2−メチレンプロパン等のヒドロキシメチルビニリデンジアセテート;等を共重合し、ケン化して得られる側鎖にヒドロキシメチル基を有するPVA系樹脂が挙げられる。

0015

後変性PVA系樹脂の後変性の方法としては、未変性PVAあるいは上記変性PVA系樹脂をアセト酢酸エステル化、アセタール化ウレタン化エーテル化グラフト化リン酸エステル化、オキシアルキレン化する方法等が挙げられる。

0016

本実施形態では上記の未変性PVA、変性PVAいずれも使用できるが、未変性PVAの場合は部分ケン化品、変性PVAの場合は側鎖に親水性に優れた官能基、例えばカルボン酸基スルホン酸基などを有するアニオン変性基含有PVA、4級アンモニウム塩基などを有するカチオン変性基含有PVA、ヒドロキシアルキル基オキシエチレン基などを有するノニオン変性基含有PVAが好ましい。
初期溶解抑制を主目的とする場合には、特に後述する三次元シロキサン架橋構造の形成への影響が小さいことからノニオン変性基含有PVAが好ましく、中でもPVAの特徴である分子間水素結合力を維持したまま結晶性を乱すことで親水性を高めることが可能な、側鎖にヒドロキシアルキル基、特に1級水酸基を有する変性PVAが好ましく用いられる。
中でも以下の一般式(1)で表される側鎖に1,2−ジオール構造単位を有する変性PVAであることが、水分散後の溶解性に優れること、高い水素結合力により複合体粒子表面及び/又は内部に形成された三次元シロキサン架橋構造を有する成分との親和性に優れ、初期溶解性・膨潤性の抑制効果が得られやすいことの観点から好ましい。

0017

上記(1)で表される構造単位を有する場合、PVA系樹脂中の上記(1)で表される構造単位の含有量は特に限定されないが、通常0.01モル%以上、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.5モル%以上、また通常20モル%以下、好ましくは15モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。かかる含有量が少なすぎると溶解性が低下しすぎる傾向があり、多すぎると溶解性が高くなりすぎる傾向がある。

0018

PVA系樹脂はケン化度重合度によって溶解性が相違する。PVA系樹脂のケン化度は特段限定されないが、未変性PVAである場合、通常ケン化度70モル%以上、好ましくは78〜95モル%、特に好ましくは85〜90モル%である。通常、PVA系樹脂は、重合度、変性の種類等により多少の相違はあるものの、ケン化度88モル%付近で最も高い溶解率を示す傾向がある。したがって、ケン化度が88%付近より高くなりすぎても、低くなりすぎても溶解性が低下する傾向がある。
上記(1)で表される構造単位を有するPVA系樹脂の場合は高ケン化度であっても高い溶解性を有するため、通常ケン化度は85モル%以上であり、90モル%以上であることが好ましく、98モル%以上であることがより好ましい。また上限は通常100モル%以下であり、好ましくは99.8モル%以下である。ケン化度は、JIS K6726の滴定法で測定した値である。

0019

PVA系樹脂の平均重合度は特段限定されないが、未変性PVAである場合、通常200〜3000、好ましくは250〜2800、特に好ましくは300〜2600である。
上記(1)で表される構造単位を有するPVA系樹脂の場合、平均重合度は通常100以上であり、200以上であることが好ましく、250以上であることがより好ましい。この範囲にすることで、溶解性が高くなりすぎることを防ぎやすくなる。また通常4000以下であり、3500以下であることが好ましく、2800以下であることがより好ましい。この範囲にすることにより、溶解性が低くなりすぎることを防ぎやすくなる。かかる平均重合度は水溶液粘度測定法(JIS K 6726)で測定した値である。

0020

PVA系樹脂は、1種の樹脂のみを用いてもよく、2種以上の樹脂をブレンドして用いてもよい。この場合、構造単位が異なるものであってよく、ケン化度が異なるものであってよく、平均重合度が異なるものであってもよい。ブレンドして用いる場合のケン化度、平均重合度などは、全てのPVA系樹脂の平均値が上記の範囲内であればよい。
また、PVA系樹脂は部分的に変性されていてもよい。変性されている場合、PVA系樹脂の変性率は、当該樹脂粒子10gを20℃の攪拌下の水100gに分散後、撹拌下1℃/分で90℃まで昇温し、60分以内に90重量%以上溶解する範囲が好ましい。
変性の種類は水溶性を有する限り特段限定されないが、水中で強い酸又は塩基性有する基を導入する場合には、三次元シロキサン架橋構造の形成過程で触媒的な影響を示さない範囲の変性量とすることが好ましい。

0021

本発明の複合体粒子を、逸泥防止剤として用いる場合には、目止めの効果を高めるために、高吸水性を有するPVA系樹脂を用いることが好ましい。かかるPVA系樹脂としては、カルボキシル基含有PVA系樹脂が架橋されてなる架橋物を使用することが好ましい。

0022

カルボキシル基含有PVA系樹脂の架橋物について説明する。
前記架橋物を形成する方法(架橋方法)としては、例えば、熱処理、架橋剤処理、紫外線照射処理電子線照射処理等が用いられる。中でも好ましくは、熱処理により架橋された熱架橋物である。以下、架橋方法について説明する。

0023

まず、熱処理による架橋方法について説明する。
熱処理の方法については、通常はカルボキシル基含有PVA系樹脂を特定の熱処理に供する方法が挙げられる。熱処理条件として、熱処理温度は、通常、100〜220℃であり、好ましくは120〜200℃、より好ましくは130〜150℃である。熱処理温度をこの下限以上とすることで、耐水性が向上し、この上限以下とすることでPVA系樹脂が分解する恐れなく処理することができる。
また、熱処理時間は、通常、10〜600分であり、好ましくは20〜400分、より好ましくは100〜200分である。熱処理時間をこの下限以上とすることにより耐水性が向上し、上限以下とすることで、PVA系樹脂が分解する恐れなく処理できる。
また、溶融押出等により、熱処理を施すことも可能である。

0024

なお、本発明においては、カルボキシル基を有するPVA系樹脂の熱架橋物が、100〜220℃で、10〜600分間加熱されてなるものであることが好ましい。

0025

上記の熱処理における酸素濃度は、通常、3〜25体積%であり、好ましくは、5〜23体積%、より好ましくは10〜21体積%である。酸素濃度をこの下限値以上にすることにより耐水性が向上し、上限値以下とすることでPVA系樹脂が分解する恐れなく処理できる。

0026

また、上記の熱処理における窒素濃度は、通常、75〜98体積%であり、好ましくは78〜95体積%、より好ましくは80〜90体積%である。かかる窒素濃度をこの下限値以上にすることによりPVA系樹脂が分解する恐れなく処理でき、この上限値以下にす
ることにより耐水性が向上する。

0027

かかる熱処理により得られた熱架橋物の黄色度を表すイエローインデックス(YI)値は、通常、20〜100であり、好ましくは25〜80、より好ましくは55〜65である。YI値がこの下限以上にすることにより耐水性が向上し、上限値以下とすることによりPVA系樹脂の吸水性が向上する。
なお、YI値はJIS K 7373:2006の方法で求めることができる。

0028

次に、架橋剤による架橋方法について説明する。
架橋剤処理で用いる架橋剤としては、カルボキシル基を有するPVA系樹脂の架橋剤として公知のものを用いることができる。例えば、ホルムアルデヒドアセトアルデヒド等のモノアルデヒド化合物;グリオキザールグルタルアルデヒドジアルデヒド澱粉等の多価アルデヒド化合物などのアルデヒド化合物メタキシレンジアミンノルボルナンジアミン、1,3−ビスアミメチルシクロヘキサン、ビスアミノプロピルピペラジン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルジアミノジフェニルスルフォン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、3−メチル−1,2−フェニレンジアミン、4−メチル−1,2−フェニレンジアミン、2−メチル−1,3−フェニレンジアミン、4−メチル−1,3−フェニレンジアミン、2−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレンジアミン、2,4−ジエチル−6−メチル−1,3−フェニレンジアミン、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジアミン、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン等のアミン系化合物メチロール化尿素メチロール化メラミンなどのメチロール化合物ヘキサメチレンテトラミン等のアンモニアとホルムアルデヒドとの反応物ホウ酸ホウ砂などのホウ素化合物塩基性塩化ジルコニル硝酸ジルコニル酢酸ジルコニウムアンモニウムなどのジルコニウム化合物;テトラメチルチタネートのようなチタンオルソエステル類;チタンエチルアセトアセトナートのようなチタンキレート類;ポリヒドロキシチタンステアレートのようなチタンアシレート類などのチタン化合物アルミニウムアセチルアセトナートのようなアルミニウム有機酸キレート類などのアルミニウム化合物シランカップリング剤などの有機反応性基を有するオルガノアルコキシシラン化合物エチレングリコールジグリシジルエーテルポリエチレングリコールジグリシジルエーテルグリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の多価エポキシ化合物;各種イソシアネート系化合物ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン系樹脂などのポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン系樹脂;などが挙げられる。とりわけ、ポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン系樹脂が好ましい。

0029

かかる架橋剤の含有量はカルボキシル基含有PVA系樹脂100質量部に対して0.05〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜20質量部、特に好ましくは1〜10質量部である。架橋剤の含有量が少なすぎると、架橋剤による効果が乏しくなる傾向があり、また、上限値以下にすることにより吸水性を高い状態に保ちやすい。

0030

カルボキシル基を有するPVA系樹脂と架橋剤の混合方法としては、例えば、(i)カルボキシル基を有するPVA系樹脂水溶液と架橋剤水溶液を混合する方法、(ii)固体状粉末等)のカルボキシル基を有するPVA系樹脂に架橋剤水溶液を噴霧する方法、(iii)固体状の架橋剤にカルボキシル基を有するPVA系樹脂水溶液を噴霧する方法、などが用いられる。中でも、短い乾燥時間で固体状の架橋物が得られることから(ii)
の方法が好ましい。

0031

PVA系樹脂の粒子形状は特に限定されない。球状、針状、円柱状、ラグビーボール状、板状、破砕状不定形状などを目的に応じて単独で、あるいは組み合わせて用いることができる。

0032

PVA系樹脂は、市場入手できるものを用いてもよく、合成することで入手してもよい。合成する場合には、既知の方法により合成することができる。

0033

(2)三次元シロキサン架橋構造を有する成分
本実施形態の複合体粒子は、その表面及び/又は内部にアルコキシシラン及び/又はその低縮合物の加水分解重縮合物に由来する三次元シロキサン架橋構造を有する成分を含有する。複合体粒子が三次元シロキサン架橋構造を有する成分を含有することで、複合体粒子に含まれるPVA系樹脂の初期溶解を抑制し、水中に投入後にPVA系樹脂の分散性を向上させ、且つ、PVA系樹脂が膨潤することを抑制できる。

0034

本明細書において、三次元シロキサン架橋構造とは、前記アルコキシシランとして、1分子あたり3つのアルコキシ基を有するトリアルコキシシラン及び/又は1分子あたり4つのアルコキシ基を有するテトラアルコキシシランが互いに加水分解重縮合することにより形成される、シロキサン単位を主とした立体的網目構造を意味する。

0035

三次元シロキサン架橋構造は、アルコキシシラン及び/又はその低縮合物の加水分解重縮合物に由来し、T単位及び/又はQ単位を構成単位として有する。T単位は、Si原子に結合した酸素原子が3つである単位を示し、Q単位は、Si原子に結合した酸素原子が4つである単位を示す。アルコキシシランは、T単位及びQ単位以外の単位、例えばSi原子に結合した酸素原子が1つであるM単位、Si原子に結合した酸素原子が2つであるD単位を含んでもよい。
アルコキシシラン及び/又はその低縮合物中においてT単位は通常0モル%以上であり、また通常20モル%以下、好ましくは10モル%以下、特に好ましくは5モル%以下である。また、アルコキシシラン及び/又はその低縮合物中においてQ単位は通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上であり、また通常100モル%以下である。なお、アルコキシシラン及び/又はその低縮合物中において、T単位とQ単位の合計量は、通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上であり、また通常100モル%以下である。

0036

アルコキシシランは、アルコキシ基を有するシランであれば特段限定されず、アルコキシ基としては、メトキシ基エトキシ基プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10の脂肪族アルコキシ基、フェノキシ基アリールオキシ基等の炭素数6〜15の芳香族アルコキシ基があげられる。加水分解反応制御がしやすい点から、炭素数1〜4の脂肪族アルコキシ基が好ましい。

0037

アルコキシシランとしては、モノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランがあげられる。
より具体的には、ビニルジメチルエトキシシランなどのモノアルコキシシラン;ジメチルジメトキシシランなどのジアルキルジアルコキシシランジアリールジアルコキシシラン;3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチルアミノ]プロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ジアルコキシシラン;3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基含有ジアルコキシシラン;3−(メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有ジアルコキシシラン;ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルメチルジエトキシシラン等の
アルケニル基含有ジアルコキシシラン;3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルエチルジエトキシシランなどのエポキシ基含有ジアルコキシシラン類などのジアルコキシシランが挙げられる。

0038

また、トリメトキシシランのようなヒドロシリル基を有するトリアルコキシシラン類メチルトリエトキシシランメチルトリメトキシシランエチルトリメトキシシランエチルトリエトキシシランなどのアルキルトリアルコキシシラン類、フェニルトリメトキシシランフェニルトリエトキシシランなどのアリールトリアルコキシシラン類;2−アミノエチルトリメトキシシラン、2−[N−(2−アミノエチル)アミノ]エチルトリメトキシシラン等のアミノ基含有トリアルコキシシラン;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基含有トリアルコキシシラン;ビニルトリメトキシシラン等のアルケニル基含有トリアルコキシシラン;2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有トリアルコキシシラン;(グリシジルオキシアルキル)トリアルコキシシラン(例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどのエポキシ基含有トリアルコキシシラン;γ−イソシアノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアノプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基を有するトリアルコキシシラン;等のトリアルコキシシランが挙げられる。

0039

さらに、テトラメトキシシランテトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランテトラブトキシシランなどのテトラアルコキシシランが挙げられる。

0040

これらの中でもPVA系樹脂との複合体粒子とした場合にケイ素に結合した疎水基導入量少ないため得られた複合体粒子が水に濡れやすく、かつ三次元シロキサン架橋構造が高架橋となり樹脂の初期溶解抑制効果が大きく水中への分散性が良好となる点から、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシランが好ましく、テトラアルコキシシランがより好ましい。
これらのアルコキシシランは1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の目的が三次元シロキサン架橋構造の導入によるPVA系樹脂の初期溶解性抑制、膨潤抑制である観点から、低架橋性成分であるモノアルコキシシラン、ジアルコキシシランは機能性付与のための添加剤として使用し、複合体粒子中のPVA系樹脂成分の溶解や膨潤を助長しない最小限の量とすることが好ましい。

0041

アルコキシシラン及び/又その低縮合物は溶媒中では加水分解し、加水分解重縮合物として三次元シロキサン架橋構造を形成する。ここでいう低縮合物とは、アルコキシシランの2〜10量体程度のオリゴマーを意味し、2〜8量体程度のオリゴマーであってよく、2〜5量体程度のオリゴマーであってよい。溶媒としては、通常メタノールエタノールプロパノール等の炭素数1〜4の低級アルコールや、これらと水との混合物などが用いられる。

0042

本実施形態の複合体粒子に含有される三次元シロキサン架橋構造を有する成分は、複合体粒子の全重量に対するSi含有量として、SiO2換算で通常0.1重量%以上であり、0.5重量%以上であることが好ましく、また通常23重量%以下であり、20重量%以下であることが好ましい。なお、複合体粒子の全重量に対するSi含有量は、後述する複合体粒子の被覆量の説明の欄で説明する。
上記範囲で三次元シロキサン架橋構造を有する成分が複合体粒子に含有されることで、複合体粒子に含まれるPVA系樹脂の水への初期溶解速度が制限され、湿潤粒子の表面に
高濃度溶解樹脂成分による粘着性層が形成される前に粒子を水分散することが可能となる。また複合粒子表面にSiO2層としてシロキサン架橋構造が存在する場合はさらに湿潤粒子同士が付着しにくくなるため好ましい。これらの結果、用いるPVA系樹脂成分の分子構造や組成を大きく変更することなく凝集や継粉の発生を抑制することができ、膨潤した集塊粒子による流路の閉塞や撹拌翼への付着を低減できるため好ましい。
複合体粒子表面が十分に水和し含まれるPVA系樹脂成分の膨潤と溶出が進むと、三次元シロキサン架橋構造を有する成分による被膜網状構造は引き伸ばされて一部が切断、破壊され、その欠陥部分から樹脂成分が盛んに溶出するようになる。このため複合体粒子中のPVA系樹脂成分は最終的には完全に水に溶解させることができる。
PVA系樹脂溶解後の水溶液には不溶分として三次元シロキサン架橋構造由来のシリカ成分が残存するが、無色かつ非常に少量であるので得られる水溶液の粘度や組成物着色、耐久性などに影響を与えることが無い。また不溶分の増加が問題にならない用途であれば、さらに積極的にシリカ成分を導入し、本来の分子構造や粒子径により得られる性能と独立して溶解量、残存量を制御することも可能である。

0043

複合体粒子中の三次元シロキサン架橋構造を有する成分の有無は、例えば固体29Si−NMR核磁気共鳴スペクトル)により確認することができる。
三次元シロキサン架橋構造を有する成分が存在していれば、固体29Si−NMRスペクトルを測定において、有機基Rの炭素原子直接結合した3官能ケイ素単位(T単位:RSiO1.5)及び/又は有機基の炭素原子と結合していない4官能ケイ素単位(Q単位:SiO2)の架橋体に由来するブロードピーク群観測される。

0044

上記固体29Si−NMRを測定するためのサンプルとしては、三次元シロキサン架橋構造を有する成分を含む複合体粒子そのものをサンプルとすればよく、複合体粒子中のPVA系樹脂を全て水に溶解させた後に残るゲル状のシリカ残渣濾過遠心分離により回収、乾燥しサンプルとしてもよい。また、複合体粒子が、PVA系樹脂が、前記SiO2層又はハイブリッド膜により被覆された構造を有する場合は、該SiO2層又はハイブリッド膜を剥離回収してサンプルとしてもよく、複合体粒子中のPVA系樹脂を全て水に溶解させた後に残る殻状やゲル状のシリカ残渣を濾過や遠心分離により回収、乾燥しサンプルとすることもできる。

0045

(3)その他成分
本実施形態の複合体粒子は、PVA系樹脂と、アルコキシシラン及び/又はその低縮合物の加水分解重縮合物に由来する三次元シロキサン架橋構造を有する成分と、を含有するが、複合体粒子中及び/又は複合体粒子粉末中にこれ以外の成分を含有してもよい。換言すると、複合体粒子にその他成分が内添及び/又は外添されていてもよい。
その他成分としては、増量剤消泡剤剥離剤紫外線硬化剤粘度調整剤着色剤酸化防止剤、及び/又はその他の機能を有する添加剤があげられる。これらの成分を含有する場合、複合体粒子及び/又は複合体粒子粉末中、通常0.01重量%以上であり、0.1重量%以上であることが好ましく、また通常5重量%以下であり、3重量%以下であることが好ましい。また、必要に応じて特性を失わない範囲で、通常のPVA、澱粉カルボキシメチルセルロース等の水溶性樹脂を混合してもよい。
例えば複合体粒子表面にシロキサン架橋構造を有する成分と水溶性樹脂とを含有するハイブリッド膜を存在させても良い。シロキサン架橋構造を有する成分と水溶性樹脂との比率や水溶性樹脂の種類を変えることで用途に応じたレベルの初期溶解・膨潤の抑制効果を得ることができる。

0046

(4)複合体粒子
本実施形態の複合体粒子は、PVA系樹脂と、三次元シロキサン架橋構造を有する成分とで、複合体を形成する。複合体は、化学的に両者が何らかの結合を有している状態であ
ってもよく、単に両者が物理的に混在している状態であってもよい。

0047

一形態では、前記PVA系樹脂粒子が核となり、前記三次元シロキサン架橋構造を含むSiO2層により被覆された構造を有する。この場合、SiO2層によるPVA系樹脂粒子の被覆は、その表面の一部のみであってよく、また全体であってもよい。その被覆量は、好ましくは、複合体粒子中の核であるPVA系樹脂に対してSiO2換算で0.1重量%以上被覆され、より好ましくは0.5重量%以上被覆される。
この被覆量は、コーティング液のSiO2換算Si含有量が既知であればコーティング液とPVA系樹脂粒子の重量比から計算することができる。SiO2層とPVA系樹脂粒子の界面が明瞭である場合には、複合体粒子の断面をSEM観察し、被覆層がSiを含む組成であることを元素マッピングにより確認した上で、画像解析により被覆量を計算することができる。また、SiO2層とPVA系樹脂粒子の界面が不明瞭である場合は、複合体粒子を800℃〜1000℃で焼成し、焼成残分の重量からSiO2換算の被覆量を知ることができる。無機フィラーを含む粒子などでは、相補的に焼成残分の元素分析や複合体粒子の断面の画像解析を組み合わせて被膜由来のSiO2含有量を測定ことが出来る。なお、含まれるケイ素がT単位やQ単位ケイ素であることは、複合体粒子の固体29Si−核磁気共鳴分光法により測定することができる。
三次元シロキサン架橋構造がテトラアルコキシシランに由来する場合、PVA系樹脂の屈折率は通常SiO2の屈折率と異なるため、水の中で膨潤した粒子を目視観察すると、三次元シロキサン架橋構造に由来するSiO2成分が多い部分が強く白濁して見える。本形態では半透明の粒子表面に三次元シロキサン架橋構造に由来するSiO2層が白く薄い殻状に付着して見える。またPVA系樹脂成分の溶解後は、薄片状の殻の破片が残存する。なお、被覆量が少ない場合はSiO2被覆層が明瞭に視認できず粒子(PVA系樹脂粒子)全体が乳白色に見えることもある。

0048

また、別の形態では、前記PVA系樹脂粒子が核となり、前記SiO2層の代わりに三次元シロキサン架橋構造を有する成分と水溶性樹脂とを含有するハイブリッド膜により被覆された構造を有する。この場合、ハイブリッド膜は複合体粒子中のPVA系樹脂粒子に対してハイブリッド膜固形分として0.1重量%以上被覆され、より好ましくは0.5重量%以上被覆される。このハイブリッド膜固形分中のSi含有量は、好ましくはSiO2換算で15重量%以上100重量%未満である。

0049

また、別の形態では、前記PVA系樹脂粒子内部であって、その表面近傍に、三次元シロキサン架橋構造を有する成分が存在する。かかる構成において、三次元シロキサン架橋構造を有する成分は、前記PVA系樹脂粒子の内部において、表面近傍に存在していれば、表面近傍以外の部分に存在していても存在していなくてもよいが、表面近傍に偏在していることが好ましい。表面近傍とは、樹脂粒子の径に対して、中心から表面に向かって50%以上の距離にある領域をいい、好ましくは60%以上の距離にある領域であってよく、更に好ましくは70%以上の距離にある領域であってよく、特に好ましくは75%以上の距離にある領域であってよい。この場合、PVA系樹脂粒子は三次元シロキサン架橋構造を有する成分により表面全体又は一部が被覆されていてもよく、表面の一部が被覆されていなくてもよいが、通常表面全体が被覆された状態である。この形態では、前記SiO2層又はハイブリッド膜として、クラック欠陥が起きやすい配合を選んだ場合であっても、露出したPVA系樹脂粒子表面の初期溶解や膨潤をある程度抑制できるメリットがある。
三次元シロキサン架橋構造がテトラアルコキシシランに由来する場合、水の中で膨潤した粒子を目視観察すると、本形態では粒子(PVA系樹脂粒子)内部の表面近くが白濁強く、中心近くはやや透明に見える。なお、PVA系樹脂粒子の内部であって、表面近傍に三次元シロキサン架橋構造を有する成分が存在するか否かは、PVA系樹脂粒子のSEM−EDX分析を行い、Si原子の分布状況を確認することによっても確認することができ
る。
本形態の複合体粒子は、例えば後述するように、アルコキシシラン及び/又はその低縮合物の加水分解重縮合物を含有するコーティング液の一部が、コーティング処理の際にPVA系樹脂粒子表面に浸み込んで形成される。浸み込ませる液は被覆用のコーティング液であっても、別途準備した液であってもよい。

0050

また、別の形態では、前記PVA系樹脂粒子内部に均一に三次元シロキサン架橋構造を有する成分が存在する。ここでいう均一は、厳密な均一性を求められるものではなく、PVA系樹脂粒子内部のおおよそ全領域に渡り、三次元シロキサン架橋構造を有する成分が存在することを意味する。例えば、75%以上の領域に存在してもよく、好ましくは80%以上の領域に存在してもよく、更に好ましくは90%以上の領域に存在してもよく、特に好ましくは全領域に渡り存在することである。この形態では、PVA系樹脂の分子構造制御以外の手段で溶解や膨潤を抑制できるため、樹脂選定の自由度が高くなるメリットがある。
三次元シロキサン架橋構造がテトラアルコキシシランに由来する場合、水の中で膨潤した粒子を目視観察すると、本形態では粒子(PVA系樹脂粒子)全体が乳白色に見える。なお、PVA系樹脂粒子の内部であって、表面近傍に三次元シロキサン架橋構造を有する成分が存在するか否かは、PVA系樹脂粒子のSEM−EDX分析を行い、Si原子の分布状況を確認することによっても確認することができる。
本形態の複合体粒子は、例えば後述するように、PVA系樹脂水溶液とシリケート加水分解液均一混合液加熱乾燥して粒子化することで形成することができる。

0051

また、別の形態では、複合体粒子において、PVA系樹脂の水酸基と、アルコキシシラン及び/又はその低縮合物の加水分解重縮合物のケイ素に結合した水酸基(シラノール基)とが反応することで形成されるSi−O−C構造を有していてもよい。

0052

なお、上記複合体粒子中の三次元シロキサン架橋構造の存在は、29Si−核磁気共鳴分光法により確認することが可能であり、Si−O−C構造は、29Si−核磁気共鳴分光法や1H−核磁気共鳴分光法、により確認することが可能である。

0053

本実施形態に係る複合体粒子は、その目的により、任意の粒径とすることができるが、通常その平均粒子径d50が1μm以上、3000μm以下である。10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることが特に好ましい。また、2000μm以下であることが好ましく、1000μm以下であることがより好ましい。
平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計により測定することができる。
ただし、本発明は複合体粒子の粒径に関しては、非常に広い範囲に適用できるため、便宜上、多段を用いて、その重量比より概算で求めることもできる。
また、その形状は粉末の場合は顆粒状やパール状ペレットの場合は円筒型、球状などがあげられるが、特に限定されるものではない。

0054

本実施形態に係る複合体粒子を得る方法は、特段限定されないが、例えば以下に示す方法により、得ることができる。なお、以下ではPVA系樹脂を用いて説明する。PVA系樹脂は本発明において最も好適なものの一例であるが、本発明の構成上、特に(i)と(iii)は、中心部は水溶性のものであれば特に限定されず、例えばPVA樹脂と他の樹脂の混合物等であっても、適用が可能である。
(i)シリカコートによる製造方法
(ii)PVA系樹脂水溶液とシリケート加水分解液の均一混合による製造方法
(iii)水溶性樹脂水溶液とシリケート加水分解液の均一混合液をPVA系樹脂粒子に塗布するハイブリッドコートによる製造方法。

0055

(i)のシリカコートによる複合体粒子は、PVA系樹脂粒子を、アルコキシシラン及び/又はその低縮合物の加水分解重縮合物並びに希釈溶剤を含む液(コーティング液)で表面処理することにより製造し、主にPVA系樹脂粒子の表面に三次元シロキサン架橋構造を有する成分が存在している。PVA系樹脂が水や溶媒により膨潤しやすい分子構造である場合、樹脂粒子にコーティング液が浸透し、樹脂粒子内部表面近傍にも三次元シロキサン構造が形成されることがある。

0056

これに対し(ii)の複合体粒子はPVA系樹脂粒子をいったん水に溶解させ、アルコキシシラン及び/又はその低縮合物の加水分解物水溶液と混合後加熱乾燥し、再度粒子化したもので、複合体粒子の内部全体に三次元シロキサン架橋構造を有する成分が存在している。

0057

(iii)のハイブリッドコートによる複合体粒子は、PVA系樹脂粒子を、水溶性樹脂水溶液とシリケート加水分解液の均一混合液(コーティング液)で処理することにより製造し、得られるハイブリッド膜には三次元シロキサン架橋構造を有する成分と共に水溶性樹脂とが含まれている。これら(i)(ii)(iii)の方法は、単独あるいは組み合わせて実施することができる。

0058

(i)のシリカコートによる製造方法について詳述する。
シリカコートとは、アルコキシシラン及び/又はその低縮合物の加水分解重縮合物を含有するコーティング液で粒子表面をコーティングする方法であって、例えば、次のa)〜c)のような方法が挙げられる。
a)あらかじめアルコキシシラン及び/又はその低縮合物を溶剤中で加水分解重縮合・熟成したコーティング液にPVA系樹脂粒子を浸漬後、必要に応じて上澄みを濾過又はデカンテーションにより分離し、液状の加水分解重縮合物が付着した粒子を加熱乾燥する。
b)あらかじめアルコキシシラン及び/又はその低縮合物を溶剤中で加水分解重縮合・熟成したコーティング液をPVA系樹脂粒子に噴霧又は滴下し、液状の加水分解重縮合物を粒子表面に付着させた後加熱乾燥する。
c)加水分解用の水及び触媒を含む親水性溶媒中にPVA系樹脂粒子を浸漬後、アルコキシシラン及び/又はその低縮合物の溶剤希釈液を滴下し加水分解重縮合させる。液相中で樹脂粒子を核としてその表面にシリカ膜析出させた後、液相分離し粒子を加熱乾燥する。
なお、他の成分を含んだ被覆層を形成する場合、コーティング液に前記他の成分を溶解又は分散させた液を用いればよい。

0059

a)、b)の方法では、あらかじめ水相溶性の溶媒に溶解したアルコキシシラン及び/又はその低縮合物に、これを理論上100%加水分解可能な量以上の水を添加する。またこの際水以外の溶媒を存在させることができ、用いられる溶媒としては、アルコール類、あるいはグリコール誘導体炭化水素類、エステル類、ケトン類エーテル類を1種、または2種以上混合し使用するとよい。これらの溶媒はいずれも用いることができるが、取扱い容易、液の保存安定性等の点からアルコールが好ましい。なかでもメタノール又はエタノールを用いることにより、高密度かつ密着性に優れたシリカ皮膜を樹脂粒子表面に形成することができる。

0060

溶媒の配合量は、アルコキシシラン及び/又はその低縮合物100重量部に対して好ましくは50〜2000重量部、より好ましくは100〜1000重量部である。50重量部以上とすることでコーティング液の保存安定がよくなりゲル化しにくいことと、樹脂粒子との均一混合が容易となる。また、2000重量部以下とすることで、樹脂粒子表面のシリカ被膜を十分な厚さに形成することが容易になる。

0061

a)、b)の方法では更に必要に応じて加水分解・重縮合用の触媒を添加することができる。触媒としては、無機酸、有機酸、アルカリ触媒有機金属金属アルコキシド有機スズ化合物、アルミニウムやチタン・ジルコニウム等何れかの金属を含む金属キレート化合物、ホウ素化合物等があるが、得られるコーティング剤の貯蔵安定性、及び得られるシリカ被膜の膜特性が優れている点からは、マレイン酸等の有機酸およびアルミニウムトリス(アセチルアセトネート)等の金属キレート化合物、金属アルコキシド、ホウ素化合物のうち1種又は2種以上を用いるのがよい。

0062

これら触媒成分の添加量は、触媒としての機能を発揮し得る量であれば特に制限されるものではないが、通常、アルコキシシラン及び/又はその低縮合物100重量部に対し、0.1〜10重量部程度の範囲から選択され、好ましくは0.5〜5重量部である。

0063

また、添加する水の量はアルコキシシラン及び/又はその低縮合物が含有するアルコキシ基総量に対して通常0.8〜2モル%、好ましくは1〜1.5モル%である。かかる量にすることにより、加水分解反応を適切に進行させることが容易になり、かつ加水分解反応速度が大きくなりすぎてポーラスな構造が形成されにくくなり、PVA系樹脂成分の初期溶解抑制効果、膨潤抑制効果が得られやすくなる。

0064

a)、b)の方法においては、さらにこれらの成分を配合して得られる配合液を熟成させる。かかる熟成工程を経ることにより、アルコキシシランの加水分解、縮合による部分架橋反応が充分に進み、原料粉体との密着性に優れたシリカ被膜を得ることができる。熟成温度は室温で良いが、溶媒の沸点以下の温度で加温して熟成を適宜加速してもよい。

0065

c)の方法では、アルコキシシラン及び/又はその低縮合物を加水分解、脱水重合させる工程を雰囲気温度0℃以上20℃以下の低温で行う。これにより、樹脂粒子の表面に均一な連続皮膜を形成することができる。液温は、好ましくは0℃以上であり、さらに好ましくは5℃以上である。また、好ましくは10℃以下である。溶媒は前述の溶媒を用いることができるが、中でもメタノール、エタノールが好ましく、溶媒の配合量はアルコキシシラン及び/又はその低縮合物100重量部に対し200重量部以上、好ましくは400重量部以上である。溶媒の配合量が少なすぎると、シリカ被膜の代わりに専ら球状シリカが生成するため、樹脂粒子表面に充分な厚みの連続的な皮膜が得られずPVA系樹脂成分の初期溶解抑制効果、膨潤抑制効果が不十分となる恐れがある。加水分解反応の触媒としては、例えばアンモニア水が使用できる。反応後の混合溶液静置し、皮膜とならなかった球状シリカ粒子等をデカンテーションにて上澄み液ごと除去し、必要に応じ濾過や遠心分離により固液分離した後、シリカ被膜付きの樹脂粒子を減圧乾燥あるいは加熱乾燥する。

0066

(ii)のPVA系樹脂水溶液とシリケート加水分解液の均一混合による製造方法では次の1)〜5)の工程を得て複合体粒子を得る。
1)シリケート水溶液(A)の調製
2)PVA系樹脂水溶液(B)の調製
3)(A)(B)の混合
4)溶媒除去と複合体粒子の取り出し
5)加熱乾燥

0067

1)シリケート水溶液(A)の調製
この工程ではアルコキシシラン及び/又はその低縮合物を溶媒存在下あるいは不存在下で触媒及び水と混合して加水分解し、任意に水希釈可能な液状加水分解体組成物とする。
溶媒としては、通常メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜4の脂肪族
低級アルコール類が用いられるが、水との相溶性高く、PVA系樹脂水溶液と混合してもPVAの析出が起こりにくいメタノール、エタノールが特に好ましい。無溶媒下でアルコキシシラン及び/又はその低縮合物と加水分解用の水を混合しても相溶しないが、加水分解の進行と共に添加した水が消費され対応するアルコールを生成するため、水の添加量少ない場合は無溶媒でも最終的に均一透明な組成物となる場合もある。溶媒の使用量は、(A)(B)混合液に含まれる水の量100重量部に対して30重量部以下、好ましくは20重量部以下であり、下限は0重量部である。この後、必要に応じて目的の濃度になるよう水希釈を行ってもよい。

0068

(A)調製時にアルコキシシラン及び/又はその低縮合物を加水分解(および/または
縮合)させるためには、触媒および水を用いる。
かかる触媒とは、通常、塩酸硫酸硝酸、フッ酸等の無機酸触媒、またはギ酸酢酸、マレイン酸、フマル酸パラトルエンスルホン酸などの有機酸触媒、アンモニア等の塩基触媒が、有機金属、金属アルコキシド、有機スズ化合物、アルミニウムやチタン・ジルコニウム等何れかの金属を含む金属キレート化合物、ホウ素化合物等が挙げられる。得られる加水分解体がシラノール基を多く有し水やPVA類樹脂と親和性高く、(A)が短時間でゲル化しにくく保存安定性に優れる点から、好ましくは酸触媒、有機金属、金属アルコキシド、金属キレート化合物、ホウ素化合物等である。

0069

かかる触媒の量は、アルコキシシラン及び/又はその低縮合物のアルコキシ基の総モル量に対して通常0.001〜0.3モル%、好ましくは0.002〜0.2モル%、特に好ましくは0.003〜0.1モル%であるである。かかる量を使用することにより加水分解反応が適切な速度で進行し、かつ(A)の保存安定性が高くなる。
また、(A)調製時の水の量はアルコキシシラン及び/又はその低縮合物の総アルコキシ基量に対して通常50〜200モル%、好ましくは55〜180モル%である。かかる量とすることで加水分解反応が進行しやすくなり、(A)を水希釈した場合に水と均一に相溶しやすい。また目的の複合体を取り出す際に多孔質となることを避けやすいほか、乾燥に無駄な熱量を使うことがない。通常は触媒と水を混合した混合物をアルコキシシラン及び/又はその低縮合物に一括して配合するが、別々に加えてもよい。

0070

(A)調製時のアルコキシシラン及び/又はその低縮合物の加水分解(および/または縮合)反応は通常10〜80℃である。かかる温度が高すぎた場合、加水分解反応速度が大きくなり(A)がゲル化しやすく、低すぎた場合反応が進行しにくくなるという傾向がある。反応は通常攪拌しながら行なう。

0071

また、反応時間はスケールにより異なるが、通常5分〜24時間、好ましくは10分〜8時間である。かかる時間とすることにより、(A)が高粘度化あるいはゲル化しにくく、また反応が不十分となりことを防ぎ、(B)と容易に透明相溶する。

0072

2)PVA系樹脂水溶液(B)の調製
この工程では、水または必要に応じて加温した水に撹拌下でPVA系樹脂粒子を投入することにより、前記樹脂粒子を水に溶解しPVA系樹脂水溶液(B)とする。水の温度は、10〜100℃、特に好ましくは25〜90℃であり溶解特性に応じて適宜選択される。PVA系樹脂粒子の投入は、一括投入でも分割投入でもよい。継粉を防ぎ完全に溶解させるために、必要に応じて投入終了後、溶液を加熱してもよい。また、加熱しながら投入してもよい。
水溶液濃度は(B)の粘度や使用樹脂の溶解特性、(A)との相溶性に応じて適宜選択することが出来、通常1〜30重量%、好ましくは2〜25重量%である。
(B)溶液の溶媒は通常水であるが、本発明の効果を損なわない範囲(例えば10重量%以下)にて炭素数1〜3の低級アルコールや、アセトン等の有機溶媒を含有していても
よい。

0073

3)(A)(B)の混合
この工程では上記の方法にて調製した(A)及び(B)を混合し、均一な水溶液とする。
ここで(A)のアルコキシシラン及び/又はその低縮合物が部分加水分解状態である場合には、(B)中の水の一部が(A)(B)混合時にシリケート成分の加水分解用の水として利用され、さらなる加水分解重縮合が進行する。(A)(B)の混合後、室温もしくは混合液の沸点以下の加温下で、必要に応じ10分から24時間の間熟成して均一な水溶液を得る。

0074

4)溶媒除去と複合体粒子の取り出し
この工程では前工程で得られた均一水溶液から溶媒を除去し、目的粒子径範囲の複合体粒子を取り出す。例えば以下の(a)〜(c)のような方法を系に応じて任意に選択することができる。
(a)(A)(B)混合液を粉砕できる程度に乾燥後、得られた固体をローラーミルジェットミル高速回転粉砕機容器駆動型ミルなどの粉砕機で粉砕する方法
(b)(A)(B)混合液と貧溶媒を混合し、複合体粒子を析出させ濾過又はデカンテーションにて粒子を捕集後乾燥する方法
(c)(A)(B)混合液のスプレードライによって造粒と乾燥を同時に行う方法
複合体粒子の乾燥工程において、シラノール基同士、あるいはPVA系樹脂の水酸基とシラノール基との間に脱水縮合が起こり複合体の強度が徐々に高くなるので、粉砕を行う場合は前工程の予備乾燥条件を低温の減圧乾燥や高温の常圧短時間乾燥とすると後工程の粉砕が容易になる。

0075

5)加熱乾燥
(a)〜(c)の方法にて得られた複合体粒子に対し、減圧あるいは常圧下で90℃以上150℃以下、好ましくは100℃以上140℃以下の温度範囲で1〜10時間、恒量となるまで加熱乾燥を実施する。加熱乾燥は(a)〜(c)の工程の中で実施することもできる。この温度範囲で乾燥することによりシラノール基同士、あるいはPVA系樹脂の水酸基とシラノール基との間に脱水縮合が促進され、より強固な三次元シロキサン架橋構造を形成し、PVA系樹脂の水酸基の少なくとも一部が三次元シロキサン架橋構造と結合する。乾燥温度は高いほど前記脱水縮合が促進されるが、上限温度は融点ガラス転移温度など使用するPVA系樹脂の特性に応じ適宜選択する。

0076

(iii)のハイブリッドコートによる複合体粒子の製造方法では、次の1)から5)の工程を経て複合体粒子を得る。
1)シリケート水溶液(A)の調製
2)水溶性樹脂水溶液(B)の調製
3)(A)(B)の混合(コーティング液の調製)
4)PVA系樹脂粒子のコーティング処理
5)加熱乾燥
ここで、ハイブリッド膜を形成する水溶性樹脂は公知の水溶性樹脂のいずれでも良い。中でも被覆されるPVA系樹脂粒子より23℃の水に対する溶解性が低い水溶性樹脂が好ましいが、水溶性樹脂の方が溶解性が高い場合でもシロキサン架橋構造を有する成分の共存により、ハイブリッド膜としてPVA系樹脂粒子より溶解性が低い膜を得ることが可能となる。水溶性樹脂は、製膜性に優れ分子設計の自由度が大きく環境負荷少ない点から特にはポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。上記1)から3)までの工程は前記(ii)の製造方法の1)から3)までの工程と同様の方法で実施することができる。

0077

4)PVA系樹脂粒子のコーティング処理
この工程では3)で調製したコーティング液を、PVA系樹脂粒子に噴霧又は滴下し、コーティング液を粒子表面に付着させる。PVA系樹脂粒子が水を含むコーティング液に溶解したり、PVA系樹脂粒子同士融合せず独立した粒子形状を保つことができるよう、コーティング液の使用量はPVA系樹脂粒子全体の表面を濡らすことのできる最低限量とすることが好ましい。

0078

5)加熱乾燥
この工程は粒子同士の固着を防ぐため、コーティング層の欠陥ができない程度に解砕や撹拌を加えながら加熱乾燥を実施する。常温乾燥、減圧乾燥いずれも実施することができ、常圧乾燥時は90℃以上、好ましくは100℃以上、150℃以下好ましくは140℃以下、減圧乾燥時には40℃以上、好ましくは50℃以上、130℃以下、好ましくは120℃以下で加熱乾燥することができる。

0079

本実施形態の複合体粒子は粒子の表面及び/又は粒子内部に三次元シロキサン架橋構造を有する成分が存在する。またPVA系樹脂の水酸基の少なくとも一部が三次元シロキサン架橋構造に含まれるシラノール基との間で脱水縮合により結合し得る。この結果、複合体粒子に含まれるPVA系樹脂分子は水への自由な接触及び溶出が制限され、初期溶解抑制、膨潤抑制効果が発現する。このため、水に投入された複合体粒子粉末は、水中で個々の粒子に分散されるまでの間に、表層溶解や膨潤が起きにくく粒子同士が付着しない。
このように、本実施形態の複合体粒子を用いて、水溶液を調製する場合、継粉を生じることがないため、迅速に溶解させることができ、水溶液を容易に製造することができる。

0080

本実施形態に係る複合体粒子は、PVA系樹脂の初期溶解を抑制し、水中に投入後にPVA系樹脂の分散性を向上させることができる。
具体的には、室温の水100重量部に対して1重量部の複合体粒子を均一分散後に静置沈降させ6時間経過させた時の残存率が、対応する、三次元シロキサン架橋構造を有する成分を含有せず、平均粒子径が前記複合体粒子と同等のPVA系樹脂粒子の残存率に対して1.03倍以上、好ましくは1.1倍以上、さらに好ましくは2.0倍以上、また250倍以下、好ましくは10倍以下、さらに好ましくは7倍以下である。残存率の比がこの範囲であることで、室温での初期溶解抑制効果が良好となり、また、過剰な溶解抑制を回避することができるため、水へ溶解させる際には短時間での溶解が可能となる。室温で溶解しにくい複合体粒子を得るために前記残存率の比が1.03を下回るPVA系樹脂を用いる場合は、そのPVA系樹脂の推奨溶解条件で同様の比較を行う。適切な残存率の目標値は複合体粒子の用途によって異なるが、被覆量や三次元シロキサン架橋構造を有する成分の含有量によって任意に制御することができる。

0081

更に、本実施形態に係る複合体粒子は、水への溶解性が低く膨潤が顕著であるPVA系樹脂粒子に適用する場合には初期膨潤が抑制され、水に投入した際に不要な膨潤によるスラリー移送時の配管詰まりや、撹拌ハンドリング不良を起こすことが少ない。本発明において複合体粒子の初期膨潤度は、三次元シロキサン架橋構造を有する成分を含有せず、平均粒子径が前記複合体粒子と同等のPVA系樹脂粒子の同時間の膨潤度と比較して小さい。

0082

なお、本発明において複合体粒子の膨潤度は、以下の式(I)で表される。式(I)において、複合体粒子の一部が溶解する場合であっても、吸水後に溶解せず残存している複合体粒子の乾燥重量を分母の「吸水後の複合体粒子の乾燥重量」とする。また、複合体粒子の膨潤度は、樹脂の溶解が無視できる場合は、式(I)によらず、複合体粒子の膨潤前後の体積の比として算出することもできる。
膨潤度(%)=(吸水後の複合体粒子の重量/吸水後の複合体粒子の乾燥重量)×1
00 (I)

0083

この式(I)の測定の条件は、室温(23℃)の水100重量部に対して1重量部の複合体粒子を均一分散後に静置沈降させ3時間経過させた時の膨潤度になる。この値が、三次元シロキサン架橋構造を有さない粒子径同等のPVA系樹脂の膨潤度に対して0.9倍以下、好ましくは0.8倍以下、さらに好ましくは0.5倍以下、また0.005倍以上、好ましくは0.01倍以上、さらに好ましくは0.1倍以上となっていれば、本発明の複合粒子として適切なコート量であることが確認できる。膨潤度の比がこの範囲以内とすることにより膨潤抑制が適切に行われ、短時間に目的の溶解や膨潤作業を終了させること可能となる。また室温での十分な膨潤抑制効果が認められる。適切な膨潤度の比の目標値は複合体粒子の用途によって異なるが、コート量や三次元シロキサン架橋構造を有する成分の導入量によって任意に制御することができる。

0084

<ダイバーティングエージェントを用いた亀裂の目止め方法>
本発明の実施形態に係る有機/無機複合体粒子は、ダイバーティングエージェント(Diverting agent)に用いることができる。前記有機/無機複合体粒子を含有するダイバー
ィングエージェントは、例えば水圧破砕法による採掘方法に用いることができる。
前記採掘方法は、坑井壁に形成されている亀裂の一部に、本実施形態に係る有機/無機複合体粒子を含有するダイバーティングエージェントを充填し、前記亀裂を一時的に塞ぐ工程を含む。

0085

水圧破砕法では、例えばドリル等による掘削により形成された坑井を、流体で満たす。次いで、坑井中で予備爆破を行い、坑井壁に比較的大きな亀裂と共に、多数の小さな亀裂を形成する。その後、坑井内に前記流体を圧入することにより、これら亀裂に流体が流入し、これら亀裂に負荷が加えられることにより、亀裂が資源採取に好適な大きさに成長させる。そして、この亀裂を通して、地下資源を採取する。
本実施形態に係る有機/無機複合体粒子を含有するダイバーティングエージェントは、予備爆破により坑井壁形成された亀裂の一部、特に前記小さな亀裂に充填される。この状態で坑井内に前記流体を圧入することにより、他の亀裂内に流体が侵入していき、前記他の亀裂が成長する。これにより、大きな亀裂を効果的に形成することができる。また、このように大きな亀裂を有する坑井からは、水圧破砕の実施により、効率よく地下資源を採取することができる。複合体粒子は、水圧破砕実施後に、地熱により溶解し、充填されていた亀裂から排出されることが好ましい。
なお、採取する地下資源は、特に限定されず、例えば石油天然ガスシェールガス等が挙げられる。

0086

<逸泥防止剤を用いた逸泥を防止する法>
本発明の実施形態に係る有機/無機複合体粒子は、逸泥防止剤(Loss circulation material) に用いることができる。前記有機/無機複合体粒子を含有する逸泥防止剤は、例えば泥水工法による採掘方法に用いることができる。
前記採掘方法は、坑井壁に形成されている亀裂の一部に、本実施形態に係る有機/無機複合体粒子を含有する逸泥防止剤を充填し、前記複合体粒子を水で膨潤させて掘削泥水の逸泥を防止する工程を含む。

0087

泥水工法では、例えばドリル等による掘削により坑井を形成する工程において、坑井の底やドリル等の周辺から掘りを除去し、掘り屑を地上に上げたり、ドリル等を冷却し、潤滑性を与えたり、地下の圧力を抑えることにより噴出を防止したりするために泥水循環される。このとき、掘削中の坑井壁を通して、または坑井壁に存在する亀裂等を通して、泥水が逸出(逸泥)すると、坑井壁更には坑井孔崩壊を招いたり、予期しない地層流体の侵入が生じたりして危険である。本実施形態に係る有機/無機複合体粒子を含有する
逸泥防止剤は、坑井壁を目止めし、逸泥を防止することができる。逸泥防止剤は、予め泥水に配合して使用してもよく、逸泥が生じやすい地盤付近の泥水に給送してもよい。
なお、採取する地下資源は、特に限定されず、例えば石油、天然ガス、シェールガス等が挙げられる。
この様に本発明の実施形態に係る有機/無機複合体粒子は、坑井壁の亀裂を一時的に塞ぎ、亀裂の目止めを行ったり、坑井壁の亀裂に充填し、掘削泥水の逸泥を防止することができる。そして目的を果たした後は、PVA系樹脂の水溶性により全て溶解し、その後生物により分解され 、実質砂であるシリカのみが残るため、環境への影響も少ない。

0088

以下、実施例により、更に本発明を詳細に説明する。なお室温とは、特に断りのない限り23℃を示す。

0089

(実施例1)
<PVA系樹脂を核とする三次元シロキサン構造を有する成分のコート>
(コーティング液の調製)
重量平均分子量550、SiO2換算シリカ含有量52重量%、テトラメトキシシラン含有量0.2重量%以下であるテトラメトキシシランオリゴマー(メチルシリケート)30.80重量部に、メタノール62.39重量部を添加し、次いでアセチルアセトンアルミニウム塩の粉末0.31重量部を加えて撹拌し、室温にて均一に溶解した。次いで脱塩水6.50重量部を加えて均一になるまで撹拌し、室温で密閉下3日間静置熟成して加水分解重縮合を進め、SiO2換算シリカ含有量16重量%のシリケート加水分解液100重量部を得た。別容器にこのシリケート加水分解液の20.6重量部を計量し、希釈用メタノール17.9重量部を加えて希釈し、無色透明のコーティング液を得た。

0090

(PVA系樹脂粒子の三次元シロキサン構造を有する成分コート処理
以下の式(1a)〜(1c)に示す基本構造単位を有する、側鎖に1,2−ジオール構造単位を有する変性PVAからなるPVA系樹脂粒子A乃至Cを準備した。樹脂粒子A乃至Cの物性を、表1に示す。これらの樹脂粒子A乃至Cを用いて、PVA系樹脂の表面に三次元シロキサン構造を有する成分のコート(以下単にシリカコートと呼ぶことがある)を行った。
得られた複合体粒子の平均粒子径の測定は電磁振動式ふるい装置を用いて行った。
振動機はRetsch AS200を用い、篩い時間は30分、振幅は2mmとして測定した。

0091

・平均重合度:JIS K 6726に準じて測定
・側鎖1,2−ジオール構造単位含有割合:1H−NMR(400MHz、プロトンNMR、溶媒:重水溶液、温度:50℃)にて測定し、得られたNMRチャートに基づき、積分値より算出。
((1c)/((1a)+(1b)+(1c)))×100(mol%)
・ケン化度:JIS K 6726に準じて測定

0092

0093

蓋のできる深型ステンレス製バットに核となる樹脂Aの粉末110gを仕込んだ後、上述のコーティング液38.5gを粉末全体湿るように滴下し、湿った状態の粉末を5分間ステンレス製のスプーンかき混ぜてコーティング液を粉全体にいきわたらせた。続いてバットに蓋をして、室温で1時間静置熟成した後、蓋を小開として105℃の熱風乾燥器に入れた。10分ごとにバットを取り出し加熱乾燥により生じた凝集粉を解砕することを繰り返し、凝集が見られなくなったら恒量になるまで105℃で通算3時間以上静置乾燥して、樹脂Aの100重量部にSi含有量がSiO2換算で3重量%の被覆層を設けた
樹脂Aのシリカコート粉末(3重量%シリカコート品)を得た。

0094

(実施例2)
原料粉を樹脂Bとし、コーティング液調製時の希釈用メタノール31.25gを23.4gに変更した他は実施例1と同様にして、樹脂Bのシリカコート粉末(3重量%シリカコート品)を得た。

0095

(実施例3)
原料粉を樹脂Cとし、コーティング液調製時の希釈用メタノール31.25gを23.4gに変更した他は実施例1と同様にして、樹脂Cのシリカコート粉末(3重量%シリカコート品)を得た。

0096

(実施例4)
<PVA系樹脂と三次元シロキサン構造を有する成分の複合体粒子>
(シリケート水溶液の調製)
重量平均分子量550、SiO2換算シリカ含有量52重量%、テトラメトキシシラン含有量0.2重量%以下であるテトラメトキシシランオリゴマー(メチルシリケート)2gに、0.1N塩酸1gを添加し強撹拌した。メチルシリケートと塩酸は当初2層に分離していたが、メチルシリケートのメトキシ基の加水分解により若干の発熱と共に相溶して一液となった。この液を発熱が無くなり室温に戻るまでさらに5分間撹拌継続し、無色透明のシリケート水溶液を得た。

0097

(PVA系樹脂水溶液の調製)
次いで別容器にて脱塩水20gを強撹拌し、表1の樹脂Aの粉末6gを継粉にならないよう徐々に添加して分散させ、完全に溶解するまで室温で撹拌継続し、淡黄色透明の樹脂Aの水溶液を得た。

0098

(シリケート複合体粒子の調製)
上述のシリケート水溶液に上述の樹脂Aの水溶液を全量添加し、30分間室温で撹拌継続することにより残余のメトキシ基を加水分解させ淡黄色透明の混合液を得た。この混合液を貧溶媒であるテトラヒドロフラン500gに滴下することにより、白色粉末を析出させた。デカンテーションにより白色粉末を取り出し、通風乾燥器中105℃で3時間恒量となるまで加熱することにより乾燥及び系内水酸基の縮合を促進させ、白色の樹脂Aのシリケート複合体粒子を得た。この粒子のSi含有量はSiO2換算で15重量%である。

0099

(比較例1〜3)
シリカコート及びシリケート複合を行わない表1の樹脂A、B、Cをそれぞれ比較例1、2、3の樹脂粉末として実施例の粉末と共に以下の評価を行い、実施例1〜4の粒子と性能比較を行った。結果を表2に示す。

0100

<Si含有量>
表2のSi含有量は、仕込組成より計算した。具体的にはシリケート原料のSiO2含有量と、配合に用いた各原料の重量比から得られる複合体粒子のSiO2換算のSi含有量を求めた。

0101

<粒子の水分散性>
50mlガラスサンプル瓶に脱塩水40mlを入れ、撹拌子で強撹拌した。薬包紙に実施例及び比較例の粉末4gを計量し、室温下で約10秒かけて撹拌中サンプル瓶の水中に粉末を投入した。投入開始から30秒間強撹拌を継続した後撹拌停止し、撹拌子を取り除いて静置し、粒子の水溶解初期の分散性を確認した。結果を表2に示す。

0102

実施例1〜4の処理粉末はいずれも速やかに均一に水に濡れ、継粉にならずに単分散可能であった。
これに対し比較例1〜3では水投入直後に渦の中央で粒子の一部が分散する間もなく凝集し継粉となった。継粉はそのまま膨潤して直径5mm〜2cmのゼリー状集塊粒子となり、撹拌のみでは単分散不可能となった。
結果を表2に示す。

0103

溶解性試験
50mlガラスサンプル瓶に実施例及び比較例の粉末を0.4g計量した後各サンプル瓶にポリエチレン製の洗瓶ノズルから室温の脱塩水40gを勢いよく注ぎ入れ、粉末を水中に舞い上がらせ単分散させた。すぐに蓋をしてさらに10秒間激しく上下に手振り撹拌し凝集の無いことを確認した後、静置して粉末を沈降させた。室温にて6時間静置した後上澄みをスポイトで捨てて、残存物をサンプル瓶ごと通風乾燥器中140℃3時間加熱乾燥し、試験前後のサンプル重量を比較して残存率(重量%)を求めた。同様に、静置時に40℃の恒温器を用いて40℃6時間の溶解性試験を行った。
この試験に使用するPVA系樹脂の量はいずれも撹拌継続すれば短時間に完全溶解できる量であるが、あえて静置し溶解速度の差を強調させている。結果を表2に示す。

0104

実施例1〜3の粒子はいずれも、対応する処理前の粉末(比較例1〜3)と比較して室温、40℃いずれの場合も残存率が大幅に高く、シリカコート量を考慮しても溶解速度が抑えられていた。低温溶解しにくい樹脂Cを使用したため室温試験では残存率の差が小さい実施例3と比較例3でも40℃試験においてはシリカコートした実施例3の方が残存率高くなった。実施例4の粒子については不溶性のシリカ成分15重量%が大きいため他の実施例より残存率は高めとなっているが、シリカ成分を差し引いた樹脂部分の残存率を計算すると室温6時間で37重量%、40℃6時間で5重量%となり、対応する比較例1の残存率と比較して依然として高めであり、シリケートとの複合化によって樹脂の溶出が抑制されていることがわかる。

0105

<膨潤性試験>
10mlガラスサンプル瓶に実施例及び比較例の粉末を1g計量し、乾燥時の層高を記録した。続いて各サンプル瓶にポリエチレン製の洗瓶のノズルから室温の脱塩水7gを勢いよく注ぎ入れ、粉末を水中に舞い上がらせ単分散させたのち沈降させた。継粉がある場合はスプーンでつぶし全ての粉末を水に接触させた後、静置して粉末を沈降させた。室温に静置し、水添加時から2時間後の層高を記録し乾燥時の層高との比を膨潤度とした。なお、層高は、目視により測定した。
この試験に使用するPVA系樹脂粒子の量はいずれも撹拌継続すれば短時間に完全溶解できる量であるが、あえて静置して溶解速度を落とし膨潤特性を見やすくしている。なお、水溶性樹脂の膨潤度は溶解性と膨潤特性の総和として観察される。また、膨潤粒子外観を目視により観察した。結果を表2に示す。

0106

実施例1及び2の複合体粒子のPVA系樹脂粒子は、全体が乳白色半透明であり、三次元シロキサン架橋構造を有する成分が、PVA系樹脂粒子内部に均一に存在しており、実施例3の複合体粒子のPVA系樹脂粒子は、表面近傍が乳白色半透明で中央が透明であり、三次元シロキサン架橋構造を有する成分が、PVA系樹脂粒子の表面近傍に偏在していることがわかった。また、実施例4の複合体粒子は、全体が乳白色であり、複合粒子全体にわたって三次元シロキサン架橋構造を有する成分が高濃度に存在することがわかった。

0107

0108

(実施例5〜8、比較例4、5)
<ハイブリッドコートによる複合体粒子>
初期溶解抑制を主目的とする有機/無機複合体粒子を以下の手順で調製した。
ハイブリッド膜用の水溶性樹脂原料として、前記式(1a)〜(1c)に示す基本構造単位を有するPVA系樹脂粒子A及びDを準備した。
また、核となるPVA系樹脂粒子として、前記式(1a)〜(1c)に示す基本構造単位を有する、樹脂粒子Eを準備した。
これらの粒子の23℃の水に対する溶けやすさを比較するため、0.1gの粉末をスターラー撹拌下で20gの水に投入し、溶解するまでの時間を比較した。
樹脂粒子A、D及びEの物性を、表3に示す。測定条件は表1と同様である。

0109

0110

(コーティング液の調製)
1)シリケート水溶液の調製
重量平均分子量550、SiO2換算シリカ含有量52重量%であるテトラメトキシシランオリゴマー(メチルシリケート)30.80gに、メタノール62.20g、川研ファインケミカル社製アルミキレートDを0.50g加えて撹拌し、室温にて均一に溶解した。次いで脱塩水6.50gを加えて均一になるまで撹拌し、室温にて密閉下一日熟成して加水分解重縮合を進め、SiO2換算シリカ含有量16重量%のシリケート加水分解液を得た。
このシリケート加水分解液に後述の表4の割合で脱塩水を加えてシリケート水溶液とした。
2)水溶性樹脂水溶液の調製
別容器に脱塩水32gを入れ、撹拌子で強撹拌し、表3のコート用水溶性樹脂Aの粉末8gを継粉にならないよう徐々に添加して分散させ、50℃に加温して完全に溶解するまで撹拌継続し、その後室温まで冷却して淡黄色透明の20重量%水溶液を得た。
さらに、前記樹脂Aを樹脂Dに変更する他は同様にして、無色透明の20重量%水溶性樹脂水溶液を得た。
3)ハイブリッドコート液の調製
後述の表4の割合でシリケート水溶液と水溶性樹脂水溶液を混合し、実施例及び比較例のハイブリッドコート液(コーティング液)を調製した。

0111

(PVA系樹脂粒子のコーティング処理)
50mlガラススクリュー管瓶にPVA系樹脂粒子5gを計量し、水溶性樹脂を含むハイブリッドコート液1.50gを、ピペットを使って粉全体にかかるよう滴下した。薬さじを用いて粉全体が均一に濡れるようにかき混ぜた後、蓋をして室温30分置き、コーティング液を馴染ませた。

0112

(加熱乾燥)
解砕を行いつつ通風乾燥器中105℃で3時間恒量となるまで加熱することにより乾燥及び系内水酸基の縮合を促進させ、実施例及び比較例の複合体粒子を得た。

0113

<ハイブリッド膜におけるSi含有量>
ハイブリッド膜におけるSi含有量は、仕込組成より計算した。具体的にはシリケート原料のSiO2含有量と、配合に用いた各原料の重量比から得られるハイブリッド膜のS
iO2換算のSi含有量を求めた。 結果を表4に示す。

0114

<溶解性試験>
この試験では以下の手順により実施例5〜8及び比較例4、5の粒子の溶解性試験を行った。
1)140ccのマヨネーズ瓶に23℃に調温した水100gを入れる。
2)ナイロンメッシュ布10cm×7cmを用意し、長辺を二つ折りにし、端をヒートシールして5cm×7cmの袋状にする。
3)メッシュ袋に1.0gのサンプルを入れ、蓋を三角パック状になるようにヒートシールする。
4)マヨネーズ瓶にメッシュ袋を投入し、23℃で1時間撹拌する。
5)撹拌を停止し、50℃の環境試験機に入れて静置し、1時間後にナイロンメッシュを
取り出し、サンプルを乾燥させ溶出前後の重量差で残存率を計算する。
6)同様の方法で、50℃7日後の試験を実施し、残存率を計算する。
試験結果を表4に示す。

0115

溶解性試験の結果からわかるように、ハイブリッドコートを行った複合体粒子は何れも継粉にならず水分散性良好であり、コート無しのPVA系樹脂粒子と比較して、室温1時間撹拌後の初期溶解性抑制される一方、50℃7日目には完全溶解し、PVA系樹脂粒子本来の溶解性を阻害することが無かった。
実施例6のハイブリッド膜中の水溶性樹脂であるPVA系樹脂Aに代え、より分子量が大きく溶解性が低いPVA系樹脂Dを用いた実施例8では、50℃7日後の残存率が膜中樹脂の溶解性を反映して多くなっており、複合体粒子の溶解速度は膜中SiO2濃度の他、膜中水溶性樹脂を選択することにより制御することができる。
ハイブリッドコートに用いた水溶性樹脂のみを使ってコートした比較例4の粒子は、初期溶解性は抑制されていたが、水中の粒子は凝集して継粉状態になっており、分散性が不良であった。よって分散不良により残存量が増加したと考えられる。
実施例に用いた水溶性樹脂であるPVA系樹脂A、Dは表3に示す通り何れも核となるPVA系樹脂粒子を形成するPVA系樹脂より水溶性高いものであったが、シリケートとの複合により初期溶解性を抑制できることが示された。

0116

<粒子の水分散性>
上記溶解性試験の際の水分散性は、水投入5分後のメッシュ袋の中の複合体粒子を、撹拌を止めて目視観察することにより確認した。結果を表4に示す。

0117

粒子の水分散性試験の結果からわかるように、実施例5〜8の粒子はいずれも速やかに均一に水に濡れ、継粉にならずに単分散可能であった。
これに対し比較例4〜5では水投入直後に袋の中で粒子の一部が分散する間もなく凝集し継粉となった。個々の粒子径が大きいため全体が集塊粒子になることはなかったが、数個の粒子同士が付着して粘液に包まれている様子が確認出来た。

0118

0119

<ハイブリッド膜の耐水性試験
ハイブリッドコート膜の耐水性を調べるために、実施例5〜7及び比較例4で用いたコーティング液をスライドガラススパチュラで塗布し、105℃で1時間乾燥、硬化させて厚さ約20μmの透明塗膜を得た。この塗膜をスライドガラスごと23℃の水に1時間浸漬後取り出して風乾し、塗膜の様子を観察した。結果を表5に示す。

0120

比較例4の水溶性樹脂単独膜は試験後に全く残存せず全て溶解したが、実施例5〜7のハイブリッド膜はいずれも少なくとも一部がスライドガラス上に残存した。特に実施例6の塗膜は外見上全く変化無い状態であった。このように水溶性高く単独では耐水性無い樹脂でもシロキサン架橋構造有する成分の共存により耐水性向上し、コアとなる樹脂粒子の初期溶解を抑制するハイブリッド膜として使用可能であることが確認できた。

0121

0122

(実施例9〜13、比較例6、7)
<ハイブリッドコートによる複合体粒子>
初期膨潤抑制を主目的とする有機/無機複合体粒子を以下の手順で調製した。
ハイブリッド膜用の水溶性樹脂原料として、前出のPVA系樹脂A及びDを準備した。PVA系樹脂A及びDの物性は、前記表3の通りである。
PVA系樹脂粒子として、土壌保水材等に使用される高吸水性樹脂であるカルボン酸変性PVA系樹脂の熱処理品マレイン酸変性PVA系樹脂の熱処理品)を準備した。なお、マレイン酸変性PVA系樹脂の熱処理は、ジャケット温度130〜135℃の熱処理内で5時間真空乾燥させた後、常圧状態窒素ガスを24Nm3/hの速度で熱処理缶に流しながら3時間、130〜135℃で行った。該カルボン酸変性PVA系樹脂の熱処理品の諸特性を表6に示す。測定条件は表1と同様である。

0123

0124

コーティング液の調製、PVA系樹脂粒子のコーティング処理、及び加熱乾燥の工程は前記実施例5〜8の有機/無機複合体粒子の製造方法と同様の方法で行い、複合体粒子を得た。配合組成を表7に示す。
なお実施例13においては、シリケート加水分解液として、メチルシリケートのかわりに重量平均分子量483、SiO2換算シリカ含有量40重量%であるテトラエトキシシランオリゴマー(エチルシリケート)39.74g、メタノール53.21g、アルミキレートDを0.50g、脱塩水6.55gを用いて上記と同様に加水分解重縮合を進め、SiO2換算シリカ含有量16重量%としたものを使用した。

0125

<ハイブリッド膜におけるSi含有量>
ハイブリッド膜におけるSi含有量の測定方法は、実施例5と同様である。結果を表7に示す。

0126

<粒子の水分散性>
下記膨潤性試験の際の水投入5分後の粒子の状態を目視観察することにより、水分散性を評価した。結果を表7に示す。
ここで用いたPVA系樹脂粒子は水への溶解は殆ど無い吸水用途の粒子であるので、粒子同士の付着や継粉の発生は無く水分散性はいずれも良好であった。

0127

<膨潤性試験>
100mlガラススクリュー管瓶に実施例9〜13及び比較例6、7の粉末を0.1g計量した。続いてメスシリンダーを用いて23℃の脱塩水100mlを勢いよく注ぎ入れ、粉末を水中に舞い上がらせ単分散させたのち沈降させて23℃で静置した。所定の時間ごとに膨潤粒子の層高を記録して膨潤速度を測定し、初期の膨潤が抑制されるか比較した。結果を表7及び図1に示す。

0128

表7及び図1に示すように、実施例9〜13の有機/無機複合体粒子はいずれも、コート無しの比較例7の粒子と比較して初期1時間後、5時間後の膨潤が大きく抑制された。一方で、144時間後の層高はコート無し品とほぼ変わらず、土壌保水材や土木用止水剤など膨潤を利用する用途において、核となるPVA系樹脂粒子本来の膨潤特性を阻害せず利用できることがわかった。
エチルシリケートを使用した実施例13も、メチルシリケート使用した他の実施例同様の膨潤抑制効果があった。
水溶性樹脂のみを使ってコートした比較例6の粒子は、1時間後の膨潤抑制するものの、本願実施例の複合体粒子よりその効果は大きく劣るものであった。また、5時間後には比較例7のコート無し粒子同等の層高に達し、膨潤抑制効果は認められなくなった。
実施例10のハイブリッド膜中の水溶性樹脂であるPVA系樹脂Aに代え、より分子量が大きく溶解性が低いPVA系樹脂Dを用いた実施例12では、1時間後、5時間後の層高が低くなっており、複合体粒子の膨潤速度は膜中SiO2濃度の他、膜中水溶性樹脂を選択することにより制御することができる。

0129

PVA系樹脂粒子以外の吸水性樹脂粒子にも本願技術は適用できるが、PVA系樹脂粒子との組み合わせでは全成分を環境負荷低いもので構成できるメリットがある。このような粒子は、例えば坑井掘削用途における逸泥防止剤として好適に用いることができる。

0130

0131

<ダイバーティングエージェント性能試験
本発明の複合体粒子がシェールガス等掘削用の低温地層用ダイバーティングエージェント(坑内亀裂の一時的な目止め剤)として使用可能性あることを確かめるため、実施例2のシリカコートを施した複合体粒子、実施例6、8のハイブリッドコートを施した複合体粒子、及び実施例2のコート無し品である比較例2の樹脂粒子を用いて透水性試験を実施
した。また、実施例2、比較例2、及びPVA系樹脂粒子(前記表1の粒子C)を用いて溶解性試験を実施した。

0132

透水試験
実施例2、6及び8の複合体粒子並びに比較例2の樹脂粒子と、PVA系ペレットとを、表8に示す質量比にて混合し、試験片を得た。但し、PVA系ペレットとして側鎖に1,2−ジオール構造単位を有するPVA系樹脂ペレットであって、1,2−ジオール構造単位含有量2モル%、ケン化度99モル%、重合度530のPVA系ペレットを用いた。
ビーカーに水20gと前記試験片1gを投入し、60分間撹拌した後、シリンジテルモ株式会社製「S−20ESz」(筒先の開口:約2mm))に入れて、筒先を下側に向けて立てた状態で1分間静置した。その後、シリンジのプランジャーを約2kgの荷重をかけて30秒間押し、筒先から流出する水を回収し、水の流出量を量し、透水量とした。透水試験の結果を表8に示す。

0133

シリカコートを施した実施例2の複合体粒子は、コート無しの比較例2のPVA系樹脂粒子を下回る低い流出量であり、良好な塞栓性示した。またシリンジを開放して粒子を観察したところ、個々の粒子形状は保たれ水の流通できる状態であった。ハイブリッドコートを施した実施例6、実施例8の複合体粒子はさらに良好な塞栓性を示し、膜中樹脂として実施例6より溶解性が低いPVA系樹脂使用した実施例8の方が、より流出量が低く、特に良好な塞栓性示した。

0134

0135

(溶解性試験)
撹拌1時間後の保持温度を40℃にした他は実施例5に係るハイブリッドコートによる複合体樹脂粒子の溶解性試験と同様の手順にて実施例2、同じPVA系樹脂粒子でシリカコート無しの比較例2、及び前述の参考例1の粒子の溶解性試験を行った。同時に水投入時の分散性も目視観察した。
試験結果を下記表9に示す。なお、PVA系樹脂粒子の特性は前記表1の通りである。

0136

実施例2の複合体粒子は、1日後は三次元シロキサン架橋構造の導入により溶解抑制され比較例2や参考例1の樹脂粒子より高い残存率を示すが、その後急速に溶解進み、28日後は参考例1の樹脂粒子より低い残存率を示す。シリカコートの無い比較例2の粒子は類似の溶解特性示すが水分散時に継粉になりやすいため、スラリー化が困難と思われた。これに対して参考例1の粒子は1日目以降残存率がほとんど変化せず、28日後も3割以上が残存したままであった。
すなわち、40℃付近の低温地熱層において、実施例2の複合体粒子はクラックに圧入後水圧破砕の実施される1日以内は粒子残存して塞栓性を発揮し、その後は速やかに溶解してガス採掘を可能にする。
これに対し、参考例1の樹脂粒子は初期に溶解しにくいものを選択した結果、28日後も溶解進みにくく、塞栓状態が長く続くことになる。
なお、実施例6、実施例8についても、前記表4に示す通り初期溶解抑制され、その後50℃で速やかに溶解するので、50℃の地熱を有する低温地層で同様にダイバーティングエージェント(クラックの一時的な目止め剤)として使用することができる。

0137

実施例

0138

本願発明の複合体粒子は、水溶性あるいは膨潤性であるPVA系樹脂粒子の基本性能を維持しつつ、シロキサン架橋構造を含ませることによってその溶解速度や膨潤速度を広く制御することができる。特にシリカコートやハイブリッドコートによりPVA系樹脂粒子の表面に被覆層を設けた場合は、水中に分散した場合に低温溶解性を維持したまま初期の急激な膨潤や溶解を抑制し水中分散やスラリー移送などを容易にすることができる。
PVA系樹脂は生分解性樹脂としても有用であるが、本願の複合体樹脂粒子とするために持ち込まれるSiO2成分もまた、環境負荷の少ない成分である。
本願発明のこのような特性によって、PVA系樹脂粒子を溶解、膨潤させる従来公知の用途においてハンドリング性の向上が期待される。
さらには農業用土壌改良剤、土木建築トンネル掘削や石油・天然ガス・シェールガス坑井掘削用途(逸泥防止剤、ダイバーティングエージェント)などに、生分解性水溶解性保水材、止水剤、充填剤として活用する新たな用途への展開が期待される。

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