図面 (/)
課題
解決手段
本発明の昇降装置100は、昇降部20と、ベース部10と、前記昇降部とベース部との間にX状に配置されたXリンクが平行に配置された少なくとも2つ以上のリンク部30と、それぞれのリンク部のXリンクの所定の支持部を水平方向にスライド可能に支持する少なくとも2つの中央支持部材と、前記2つの中央支持部材間に水平に配置され、中央から対向する位置に正ねじと逆ねじが螺刻された水平シャフトと、前記水平シャフトに設けられたナット部材と、前記ナット部材とXリンクの所定の一点近傍との間に架設された水平リンク棒と、を備え、前記水平リンク棒の長さと、Xリンクの交差部と所定の一点との長さとが略同一長さに形成されていることを特徴とする。
概要
背景
物や人を昇降させる昇降装置として、様々な装置が実用化されている。クレーンのようにワイヤを利用したものや、フォークリフトのようにガイドレールを利用したもの等がある。
さらに、リンクを利用して昇降させるジャッキタイプのものがある。例えば、パンタグラフジャッキや、Xの形に繋いだリンクの角度を変えることにより昇降させる構造のものがある。このXリンクを用いたジャッキ構造は、リンク自体が昇降装置構と荷重を支える構造を兼ねるため、小スペースに優れるという利点がある。しかしながら、X構造のリンクの開閉の度合いによって、持ち上げに必要な力や昇降のストロークが変化するという欠点がある。例えば、パンタグラフジャッキは、上下のリンクが閉じた状態に近い場合は、台形ねじを1回転させることで一対のリンク連結点の間隔が狭くなり、リンク上端の上昇量が大きく、必要とするトルクも大きくなる。一方で、上下のリンクが大きく開いた状態では、台形ねじの回転に対するリンク上端の上昇量は小さく、必要なトルクは小さくなる。このようにXリンクを用いた昇降装置は、負荷に対する所要動力の不均一性があるため、電動化には不向きであるという欠点があった。
また、従来のXリンク式ジャッキは、Xリンクに沿った方向の力に対しては、Xリンクが引っ張りに耐える形で荷重を受け持つので高い剛性を誇るが、Xリンクを倒す方向の力に関しては、Xリンクが曲げられる方向で荷重を受け持つことから脆弱であるという欠点があった(特許文献1)。
概要
Xリンクタイプの昇降装置において、昇降台の昇降時において、所要トルクの変動が小さい昇降装置と提供する。 本発明の昇降装置100は、昇降部20と、ベース部10と、前記昇降部とベース部との間にX状に配置されたXリンクが平行に配置された少なくとも2つ以上のリンク部30と、それぞれのリンク部のXリンクの所定の支持部を水平方向にスライド可能に支持する少なくとも2つの中央支持部材と、前記2つの中央支持部材間に水平に配置され、中央から対向する位置に正ねじと逆ねじが螺刻された水平シャフトと、前記水平シャフトに設けられたナット部材と、前記ナット部材とXリンクの所定の一点近傍との間に架設された水平リンク棒と、を備え、前記水平リンク棒の長さと、Xリンクの交差部と所定の一点との長さとが略同一長さに形成されていることを特徴とする。
目的
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、Xリンクタイプの昇降装置において、昇降台の昇降時において、所要トルクの変動が小さい昇降装置を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
請求項1
昇降部と、ベース部と、前記昇降部と前記ベース部との間にX状に配置されたXリンクが平行に配置された少なくとも2つ以上のリンク部と、それぞれの前記リンク部の前記Xリンクを水平方向にスライド可能に支持する支持部を構成するスライド孔を有する少なくとも2つの中央支持部材と、2つの前記中央支持部材間に水平に配置され、中央から対向する位置に正ねじと逆ねじが螺刻された水平シャフトと、前記水平シャフトに設けられたナット部材と、前記ナット部材と前記Xリンクの支持部近傍との間に架設された水平リンク棒と、を備え、前記水平リンク棒の長さと、前記Xリンクの交差部と支持部の長さとが略同一の長さに形成されていることを特徴とする昇降装置。
請求項2
前記支持部は、前記Xリンクの端部近傍に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
請求項3
前記Xリンクが上下に2段以上配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の昇降装置。
技術分野
0001
本発明は、昇降装置に関する。
背景技術
0003
さらに、リンクを利用して昇降させるジャッキタイプのものがある。例えば、パンタグラフジャッキや、Xの形に繋いだリンクの角度を変えることにより昇降させる構造のものがある。このXリンクを用いたジャッキ構造は、リンク自体が昇降装置構と荷重を支える構造を兼ねるため、小スペースに優れるという利点がある。しかしながら、X構造のリンクの開閉の度合いによって、持ち上げに必要な力や昇降のストロークが変化するという欠点がある。例えば、パンタグラフジャッキは、上下のリンクが閉じた状態に近い場合は、台形ねじを1回転させることで一対のリンク連結点の間隔が狭くなり、リンク上端の上昇量が大きく、必要とするトルクも大きくなる。一方で、上下のリンクが大きく開いた状態では、台形ねじの回転に対するリンク上端の上昇量は小さく、必要なトルクは小さくなる。このようにXリンクを用いた昇降装置は、負荷に対する所要動力の不均一性があるため、電動化には不向きであるという欠点があった。
0004
また、従来のXリンク式ジャッキは、Xリンクに沿った方向の力に対しては、Xリンクが引っ張りに耐える形で荷重を受け持つので高い剛性を誇るが、Xリンクを倒す方向の力に関しては、Xリンクが曲げられる方向で荷重を受け持つことから脆弱であるという欠点があった(特許文献1)。
先行技術
0005
特開2010−155662号公報
発明が解決しようとする課題
課題を解決するための手段
0007
本発明は、上述の主目的の少なくとも1つを達成するために以下の手段を採った。
0008
本発明にかかる昇降装置は、
昇降部と、
ベース部と、
前記昇降部と前記ベース部との間にX状に配置されたXリンクが平行に配置された少なくとも2つ以上のリンク部と、
それぞれの前記リンク部の前記Xリンクを水平方向にスライド可能に支持する支持部を構成するスライド孔を有する少なくとも2つの中央支持部材と、
2つの前記中央支持部材間に水平に配置され、中央から対向する位置に正ねじと逆ねじが螺刻された水平シャフトと、
前記水平シャフトに設けられたナット部材と、
前記ナット部材と前記Xリンクの支持部近傍との間に架設された水平リンク棒と、
を備え、
前記水平リンク棒の長さと、前記Xリンクの交差部と支持部の長さとが略同一の長さに形成されていることを特徴とする。
0009
また、本発明にかかる昇降装置において、
前記支持部は、前記Xリンクの端部近傍に形成されていることを特徴とするものであってもよい。
0010
さらに、本発明にかかる昇降装置において、
前記Xリンクが上下に2段以上配置されていることを特徴とするものであってもよい。
図面の簡単な説明
0011
図1は、第1実施形態にかかる昇降装置100の構成の概略を示す分解斜視図である。
図2は、第1実施形態にかかる昇降装置100のバリエーションを示す斜視図である。
図3は、第2実施形態にかかる昇降装置100の構成の概略を示す斜視図である。
図4は、第2実施形態にかかる昇降装置100の平面図である。
図5は、第2実施形態にかかる昇降装置100の正面図である。
図6は、実施例1にかかる昇降時の作動時間(sec)とリフト上昇量(mm)の関係及び作動時間(sec)とモータ回転数(rpm)との関係を示すグラフである。
図7は、比較例にかかるXリンク式のジャッキ200を示す斜視図である。
図8は、比較例にかかる昇降時の作動時間(sec)とリフト上昇量(mm)の関係及び作動時間(sec)とモータ回転数(rpm)との関係を示すグラフである。
図9は、実施例2にかかる昇降時の作動時間(sec)とリフト上昇量(mm)の関係及び作動時間(sec)とモータ回転数(rpm)との関係を示すグラフである。
実施例
0012
(第1実施形態)
次に、本発明にかかる昇降装置100の第1実施形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。図1は第1実施形態にかかる昇降装置100の一部分解斜視図である。
0013
本発明にかかる昇降装置100は、図1に示すように、ベース部10と、昇降部20と、このベース部10とこの昇降部20との間に設けられるリンク部30と、このリンク部30を駆動するための水平リンク部40と、この水平リンク部40を駆動する駆動手段50と、を主として備えている。
0014
ベース部10は、地面等に配置されてリンク部30及び昇降部20等を支持する部分である。本実施形態においては、左リンク下方支持部材11a及び右リンク下方支持部材11b(11)と、この左右のリンク下方支持部材11を連結する下方連結部材12を備えている。下方連結部材12は、左リンク下方支持部材11a及び右リンク下方支持部材11bの間隔を一定に維持するための部材である。下方支持部材11は、底面側を支持する底面部14と、後述するリンク部30と連結される立設片15とを有しており、立設片15の前方側には、略水平方向の長孔からなるスライド孔13が形成されている。なお、本実施形態においては、ベース部10に左右別体のリンク下方支持部材11を有する形態を採用しているが、底面側を支持する支持面と、リンク部30を連結する立設片15が設けられていれば、その形態は特に限定するものではない。例えば、図2に示すように、一枚の板を折り曲げて左右の両側に立設片15が形成されるようにベース部10を作製してもよい。
0015
昇降部20は、物や人を昇降させる部分である。本実施形態においては、昇降部20は、ベース部10の左リンク下方支持部材11a及び右リンク下方支持部材11b(11)に対して、それぞれ上下対称に作製された左リンク上方支持部材21a及び右リンク上方支持部材21b(21)とで形成されている。上方支持部材21には、リンク部30と連結可能な立設片25が設けられている。また、立設片25の前方側には、略水平方向の長孔からなるスライド孔23が形成されている。昇降部20には、図1に示すように昇降台26を取り付けてもよい。また、図2に示すように、一枚の板を折り曲げて左右の両側に立設片25が形成されるように昇降部20を作製してもよい。このように作製することにより、昇降部と昇降台の機能を兼ねることができる。
0016
リンク部30は、それぞれ下方支持部材11と上方支持部材21との間に配置されており、それぞれ右側と左側に配置されている。左右のリンク部30は、それぞれの同様の概念で構成されているので、右側のリンク部30の説明により左側リンク部30の説明に代える。リンク部30は、同じ長さに形成された2本のリンク棒(31aと31b又は31cと31d)がX状に配置されたXリンク32からなり、第1実施形態においては、2組のXリンク32a、32bが上下に2段重なるように配置されている。上下の2組のXリンク32は、それぞれ上方側Xリンク32aの下方端部と、下方側Xリンク32bの上方側端部とがそれぞれ回転自在となるように軸支された前後の2つリンク軸支部34が形成されている。それぞれ前後に形成され2つのリンク軸支部34は、それぞれ水平方向にスライド孔35aが前後に2つ形成された中央支持部材35にスライド自在に配置されている。本実施形態の場合は、このリンク支持部34が特許請求の範囲における「支持部」を構成する。上方側Xリンク32aと下方側Xリンク32bを構成するそれぞれのリンク棒31は、それぞれのリンク棒31の中心で構成する交差部31eにおいて互いに回転自在となるように軸支されている。
0017
上方側Xリンク32aは、一方のリンク棒31aの上方側の端部が上方支持部材21の前方側に設けられたスライド孔23に対してスライド自在に取り付けられており、他方のリンク棒31bは上方側の端部が上方支持部材21の後方側で立設片25に対して回転自在に軸支されている。
0018
下方側Xリンク32bは、一方のリンク棒31cの下方側の端部が下方支持部材11の前方側に設けられたスライド孔23に対してスライド自在に取り付けられており、他方のリンク棒31dは下方側の端部が下方支持部材11の後方側で立設片15に対して回転自在に軸支されている。
0019
こうして作製されたリンク部30は、左側も同様に作製され、左側のリンク部が形成されている。そして、それぞれ対応する左右リンク部30のリンク棒31a〜31dの端部同士、及び交差部31e同士の間に架設部材38が設けられており、それぞれの間隔を一定に維持して安定性を確保するとともに、それぞれが互いに同期して動くようにされている。
0020
水平リンク部40は、上述したリンク部30を駆動するためのリンクである。水平リンク部40は、水平に配置されたねじ溝が螺刻された水平シャフト41と、この水平シャフト41とリンク軸支部34との間に架設させた水平リンク棒42とを備えている。
0021
水平シャフト41は、左右のそれぞれの中央支持部材35の間を架設するように配置された棒状部材であり、台形ねじが螺刻されている。台形ねじは、水平シャフト41の略中央から左右のねじが反対となるように、一方が正ねじ、他方が逆ねじとなるように螺刻されている。
0022
水平リンク棒42は、水平シャフト41に設けられたナット部材43と、それぞれのリンク軸支部34との間に水平方向に回転自在に架設されている。それぞれ水平シャフト41に対して前後に対称となるように設けられる。水平リンク棒42は、リンク棒31のリンク軸支部34から交差部31eまでの長さと同一又はほぼ同一の長さとなるように形成される。好ましくは、水平リンク棒42は、リンク棒31のリンク軸支部34から交差部31eまでの長さの差は、水平リンク棒42の長さの10%以内となるように形成することが好ましい。
0023
駆動手段50は、水平シャフト41を回転させるための手段であり、本実施形態においては、駆動モータ51とこの駆動モータ51の回転を水平シャフト41に伝達するため水平シャフト41に固定されているギア52とを備えている。よって駆動モータの回転が所定比率で減速されて水平シャフト41に伝達される。しかしながら、駆動手段の構成は特に限定するものではなく、水平シャフト41を回転させる手段であればよく、手動であっても構わない。
0024
以上のように作製された昇降装置100は、昇降させる際に上下のXリンク32の角度を変更させるのに、直接ではなく直交する方向に台形ねじを有する水平シャフト41を配し、台形ねじの回転によって移動されるナット部材43に回転自在に接続された水平リンク棒42を介してXリンク32が移動されることになる。
0025
また、こうして作製された昇降装置100は、Xリンク32を倒す方向の力に対して水平リンクが引っ張りに耐える形で一部の荷重を受け持つので高い剛性を有する。
0026
(第2実施形態)
第2実施形態にかかる昇降装置100が図3に示されている。第2実施形態にかかる昇降装置100は、第1実施形態にかかる昇降装置100は、Xリンク32が上下に2段形成されていたが、1段のみ有している。すなわち、右側のXリンク32は、2本のリンク棒31により1つのXリンク32のみが設けられている。また、第2実施形態においては、第1実施形態における昇降部20と中央支持部材35が一体に形成された昇降部一体型中央支持部材39が設けられている。Xリンク32は、ベース部10と昇降部一体型中央支持部材39との間に設けられており、Xリンク32を構成するリンク棒31f、リンク棒31gのうち、一方のリンク棒31fは下方側端部がベース部10の後方に回転自在に軸支されており、上方側端部が昇降部一体型中央支持部材39の前方側に形成された水平方向のスライド孔35aにスライド可能に支持されており、他方のリンク棒31gは、下方側端部がベース部10の前方に形成されたスライド孔13にスライド自在に支持されており、上方側端部が昇降部一体型中央支持部材39の後方側に形成された水平方向のスライド孔35aにスライド可能に支持されている。本実施形態においては、このリンク棒31の上方側端部が支持部となる。
0027
昇降部一体型中央支持部材39には、水平シャフト41は、左右のそれぞれの昇降部一体型中央支持部材39の間を架設するように配置されており、第1実施形態と同様に台形ねじが螺刻されている。台形ねじは、水平シャフト41の略中央から左右のねじが反対となるように、一方が正ねじ、他方が逆ねじとなるように螺刻されている。
0028
水平リンク棒42は、水平シャフト41に設けられたナット部材43と、それぞれの支持部34との間に水平方向に回転自在に架設されている。水平リンク棒42は、リンク棒31の支持部34から交差部31eまでの長さと同一又はほぼ同一の長さとなるように形成される。
0029
駆動手段50は、第1実施形態と同様である。
0030
以上のように構成された昇降装置100は、第1実施形態と同様に昇降させる際に上下のXリンク32の角度を変更させるのに、直接ではなく直交する方向に台形ねじを有する水平シャフト41を配し、台形ねじの回転によって移動されるナット部材43に回転自在に接続された水平リンク棒42を介してXリンク32が移動されることになる。
0031
(実施例1)
以下、本実施形態にかかる昇降装置100の動作について詳細に説明する。例えば、実施例1では、第2実施形態のように、Xリンクが1段のタイプであって、Xリンク32のリンク棒31の長さを300mm、水平リンク棒の長さを150mmとしてある。また水平シャフト41の台形ねじが、時計周りに回転させた場合に、ナット部材43が中央に向かうように、それぞれ螺刻されている。
0032
この実施例1の昇降装置100において水平シャフト41を時計周りに回転させると、図4に示すように、水平リンク棒42の昇降部一体型中央支持部材39に対する角度(θ1)は大きくなり、それに伴いリンク軸支部34(図3参照)が前後中央に引っ張られる。これに伴い、図5に示すようにXリンク32の開閉角度(θ2)が大きくなり、昇降部20が上昇することになる。逆に、反時計周りに水平シャフト41を回転させた場合には、ナット部材43が中央から離れるように移動し、水平リンク棒42の昇降部一体型中央支持部材39に対する角度(θ1)は小さくなり、それに伴いリンク軸支部34が前後中央に引っ張られる。これに伴いXリンクの開閉角度(θ2)が小さくなり、昇降部20が下降することになる。
0033
次に、かかる構成によって作製された昇降装置100の効果について比較例と比較して説明する。負荷をW、台形ねじのトルクからナットの推進力の変換係数をαとすると、台形ねじの所要トルクTは、以下の式となる。
T=(W/α)×[{cos(θ2)×sin(θ1)}/{sin(θ2)×cos(θ1)}]
θ1及びθ2の角度が昇降時に一致することになる。そのため上記式の大括弧[ ]内は、常に1となり、所要トルクは一定となる。かかる条件においては、負荷が一定であるので、駆動モータに対しての減速比を大きくとる必要がなくなる。そこで、1:4の減速機により、高速トルク0.4N・m、無負荷回転数3000rpmのDCモータで、リンク初期角度θ1=10°で駆動したデータのグラフを図6に示す。図6の左側のグラフは、作動時間(sec)に対するリフト上昇量(mm)を表すグラフであり、右側のグラフは、作動中の作動時間(sec)に対する電動モータの回転数(rpm)を表すグラフである。かかるデータによれば、リフト上昇量は、上昇中のどの位置においても一定の速度を保ち、モータ回転数も一定であることがわかる。本条件では、300mmのリフト高さに到達するのに、6秒かかった。
0034
(比較例)
一方、図7に示すような単純なXリンク式のジャッキ200の場合、負荷をW、リンク角度θ3、台形ねじのトルクからナットの推進力の変換係数をαとすると、台形ねじの所要トルクTは、
T=(W/α)×cos(θ3)/sin(θ3)
となる。上式からわかるとおり、リンク角度θ3が小さい場合は所要トルクは非常に大きくなり、ねじの回転に伴う上昇量はリンク角度が小さいほど大きくなる。リンク長さ300mm、リンク初期角度10°のジャッキを実施例と同様の電動モータを使用して、減速比1:12の減速機を用いて駆動させた場合のシミュレーション結果を図8に示す。図8の左側のグラフは、作動時間(sec)に対するリフト上昇量(mm)を表すグラフであり、右側のグラフは、作動中の作動時間(sec)に対する電動モータの回転数(rpm)を表すグラフである。かかる結果によれば、ジャッキの上昇に伴い、所要トルクが低減されることで、電動モータの回転数が上昇していることがわかる。逆にいうと、初期の所要トルクが大きい領域で動作できるよう減速機を設定する必要があるので、所要トルクが低くなると、モータの低負荷、高回転領域で動作せざるを得ないので、電動モータの性能を無駄にすることになる。
0035
(実施例2)
実施例2として、第1実施形態と同様の2段式のXリンク型の昇降装置100において、Xリンクのリンク棒31の長さ520mm、水平リンク棒42の長さは228mm、初期角度は、θ1が5.5°、θ2が5.1°に構成された昇降装置を使用し、高速トルク0.76N・m、無負荷回転数4000rpmのDCモータで、減速比1:8で駆動した。結果を図9に示す。図9の左側のグラフは、作動時間(sec)に対するリフト上昇量(mm)を表すグラフであり、右側のグラフは、作動中の作動時間(sec)に対する電動モータの回転数(rpm)を表すグラフである。実施例2にかかる昇降装置100は、レイアウトの制約上、リンク長さは完全に2:1ではなく初期角度も同じではないが、θ1とθ2が近い値で推移するので、所要トルクに大きな変動はなく、モータ回転数は、ほぼ一定の値で動作することがわかる。
0036
上述した実施の形態で示すように、昇降装置として利用することができる。
0037
10…ベース部、11…リンク下方支持部材、11a…左リンク下方支持部材、11b…右リンク下方支持部材、12…下方連結部材、13…スライド孔、14…底面部、15…立設片、20…昇降部、21…上方支持部材、21a…左リンク上方支持部材、21b…右リンク上方支持部材、23…スライド孔、25…立設片、26…昇降台、30…リンク部、31…リンク棒、31a…リンク棒、31b…リンク棒、31c…リンク棒、31d…リンク棒、31e…交差部、31f…リンク棒、31g…リンク棒、32…Xリンク、32a…Xリンク、32b…下方側Xリンク、34…リンク軸支部、35…中央支持部材、35a…スライド孔、38…架設部材、39…昇降部一体型中央支持部材、40…水平リンク部、41…水平シャフト、42…水平リンク棒、43…ナット部材、50…駆動手段、51…駆動モータ、52…ギア、100…昇降装置、200…ジャッキ