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技術 HB9調節物を用いたヒト胚性幹細胞の膵臓内分泌細胞への分化

出願人 ヤンセンバイオテツク,インコーポレーテツド
発明者 レザニア,アリレザ
出願日 2019年2月12日 (2年0ヶ月経過) 出願番号 2019-022275
公開日 2019年6月13日 (1年8ヶ月経過) 公開番号 2019-088316
状態 特許登録済
技術分野 微生物、その培養処理
主要キーワード 副項目 連続ステージ 中間ステージ 参照文 前部領域 切断材料 体系内 組合せ処理
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年6月13日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (18)

課題

PDX1、NKX6.1及びHB9を発現している膵臓内胚葉細胞への多能性幹細胞分化を促進するための方法の提供。

解決手段

多能性幹細胞から膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を製造する方法であって、a.多能性幹細胞を培養することと、b.多能性幹細胞を、前腸内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞に分化させることと、c.トリヨードチロニンチロキシン、トリヨードチロニンの類似体、チロキシンの類似体及びその混合物から選択される甲状腺ホルモン、又はALK5阻害剤、又は甲状腺ホルモンとALK5阻害剤両方を補充した培地での処理によって、前腸内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を、膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞に分化させることと、の段階を含む方法。

概要

背景

I型糖尿病に対する細胞置換療法における進展、及び移植可能ランゲルハンス島欠乏
が、生着に対して適切なインスリン産出細胞、又はβ細胞供給源を開発することに集中
した興味を持つ。1つのアプローチは、胚性幹細胞のような、多能性幹細胞からの、機能
的β細胞の製造である。

脊椎動物胚発生において、多能性細胞は、原腸形成として公知のプロセスにて、3つ
胚葉外胚葉中胚葉、及び内胚葉)を含む細胞のグループを生じる。例えば、甲状腺
胸腺膵臓、腸、及び肝臓などの組織は、内胚葉から中間ステージを経て発達する。こ
のプロセスにおける中間ステージは、胚体内胚葉の形成である。

原腸形成の終了までに、内胚葉は、内胚葉の前部、中間、及び後部の領域を特異的にマ
ークする因子パネル発現によって認識することができる前部−後部ドメインに分割さ
れる。例えば、CDX1、2及び4が、内胚葉の後部領域を同定する一方で、HHEX及
SOX2は、前部領域を同定する。

内胚葉組織の移行は、内胚葉を腸管の領域化に役立つ異なった中胚葉組織に近接させる
。これは、FGFs、WNTS、TGF−β、レチノイン酸(RA)及びBMPリガンド
及びそれらのアンタゴニストのような、分泌因子多血症によって達成される。例えば、
FGF4及びBMPは推定後腸内胚葉においてCDX2の発現を促進し、前方の遺伝子H
HEX及びSOX2の発現を阻害する(2000 Development,127:1
563〜1567)。WNTシグナル伝達はまた、後腸の発達を促進し、前腸運命を阻
害するために、FGFシグナル伝達と平行して作用することが示されている(2007
Development,134:2207〜2217)。最後に、間葉による分泌レチ
ノイン酸が、前腸−後腸境界を制御する(2002 Curr Biol,12:121
5〜1220)。

特異的転写因子発現レベルは、組織の同一性を指定するために使用できる可能性があ
る。原腸管への胚体内胚葉の形質転換中に、腸管は、制限された遺伝子発現パターンによ
分子レベルで観察することができる広いドメインに領域化される。腸管中の領域化され
た膵臓ドメインが、PDX1の非常に高い発現と、CDX2及びSOX2の非常に低い発
現を示す。PDX1、NKX6.1、PTF1A及びNKX2.2が、膵臓組織中で高く
発現し、CDX2の発現が、腸組織にて高い。

膵臓の形成は、胚体内胚葉の膵臓内胚葉への分化により起こる。背側と腹側の膵臓ドメ
インは、前腸上皮から生じる。前腸はまた、食道気管、甲状腺、、肝臓及び胆管
系に対して上昇を与える。

膵臓内胚葉の細胞は膵臓−十二指腸ホメオボックス遺伝子PDX1を発現する。PDX
1が存在しない場合、膵臓は、腹側及び背側芽の形成を越えて発達しない。したがって
、PDX1の発現は、膵臓器官形成において重要な工程を印している。成熟膵臓は、膵臓
内胚葉の分化より発生する、外分泌及び内分泌組織両方を含む。

D'Amour et al.は、高濃度アクチビン及び低血清の存在下、ヒト胚性
幹細胞由来胚体内胚葉の濃縮培養の製造を記述している(Nature Biotech
nology 2005,23:1534〜1541;米国特許第7,704,738号
明細書)。マウス腎臓カプセルの元でこれらの細胞を移植することは、内皮性組織の特
徴を有するより成熟した細胞への分化となることが報告された(米国特許第7,704,
738号明細書)ヒト胚性幹細胞由来胚体内胚葉細胞はさらに、FGF10及びレチノ
ン酸の添加後、PDX1陽性細胞へ分化可能である(米国特許第2005/026655
4号明細書)。免疫欠損マウスにおける脂肪パッド中の、これらの膵臓前駆細胞の続く移
植が、3〜4ヶ月の成熟化期間に続く、機能的膵臓内分泌細胞の形成となった(米国特許
第7,993,920号明細書及び同第7,534,608号明細書)。

Fiskからは、ヒト胚性幹細胞からの膵島細胞の産生のための系を報告している(米
国特許第7,033,831号明細書)。この場合、分化経路は3つの段階に分割された
。ヒト胚性幹細胞は、最初に、酪酸ナトリウムとアクチビンAとの組み合わせを用いて内
胚葉に分化された(米国特許第7,326,572号明細書)。次に細胞をNoggin
などのBMPアンタゴニストと共に、EGF又はベータセルリンと組み合わせて培養して
、PDX1陽性細胞を生成する。最終分化は、ニコチンアミドにより誘発された。

低分子阻害剤もまた、膵臓内分泌前駆細胞誘導のために使用されている。例えば、T
GF−β受容体及びBMP受容体の低分子阻害剤(Development 2011、
138:861〜871、Diabetes 2011、60:239〜247)は、
内分泌細胞の数を有意に増強するために使用されてきた。加えて、低分子活性化剤もま
た、胚体内胚葉細胞又は膵臓前駆細胞を生成するために使用されている(Curr Op
in Cell Biol 2009、21:727〜732;Nature Chem
Biol 2009,5:258〜265)。

(またHIXB9及びNMX1として知られる)HB9は、およそ胚性日8にて開始す
る膵臓発生において、早期に発現したBHLH転写活性化因子タンパク質である。HB9
はまた、ノトコード及び脊髄にて発現する。HB9の発現は、一過性であり、PDX1及
びNKX6.1発現細胞にて発現している膵臓上皮にて、約10.5日でピークとなる。
約12.5日にて、HB9発現は減少し、後期ステージで、β細胞にのみ制限されるよう
になる。HIXB9の無変異に対するマウスホモ接合体において、膵臓の背葉が、発生を
失敗する(Nat Genet 23:67〜70、1999;Nat Genet 2
3:71〜75:1999)。HB9−/−β細胞は、低レベルグルコーストランスポ
ーター、GLUT2及びNKX6.1を発現する。さらに、HB9−/−膵臓は、インス
リン陽性細胞の数において、有意な減少を示すが、一方で、他の膵臓ホルモンの発現に有
意に影響を与えない。したがって、HB9の時間制御が、正常β細胞発生及び機能に必須
である。β細胞中でHB9発現を制御している因子について、よくわかっていないけれど
も、ゼブラフィッシュにおける最近の研究は、レチノイン酸が、HB9の発現を正に制御
することを示唆している(Development,138、4596〜4608、20
11)。

甲状腺ホルモンチロキシン(「T4」)とトリオドチロニン(「T3])は、甲状腺
によって産出されるチロシンに基づくホルモンであり、主として代謝の制御に応答性であ
る。血中の甲状腺ホルモンの主要な形態は、T4であり、T3より長い半減期を有する。
血中に放出されたT3に対するT4の比は、およそ20対1である。T4は、脱ヨウ要素
酵素によって、細胞内で、より活性なT3(T4に比べて、3〜4倍強力である)に変換
される。

T3は、甲状腺ホルモン受容体、TRα1及びTRβ1(TR)に結合する。TRは、
核ホルモン受容体であり、レチノイド受容体ヘテロ二量体化する。二量体が、リガ
ドが存在しない状態で、甲状腺応答要素(TREs)に結合し、転写抑制剤として働く。
T3のTRへの結合が、TRE依存遺伝子の抑圧を減少させ、種々の標的遺伝子の発現を
誘導する。多数の研究が、β細胞増殖の増加、アポトーシスの減少及びインスリン分泌
改善におけるT3の役割を示した一方で、細胞分化におけるその役割は未定義である。

トランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)は、増殖制御、分化、遊走、細胞生
存、線維化及び発生運命の特性化を含む、多くの生物学的工程に関与する多面発現生サイ
トカインの大きなファミリーメンバーである。TGF−βスーパーファミリ−メンバー
は、II型及びI型受容体を含む、受容体複合体を通してシグナル伝達する。(アクチビ
ン及びGDFs(増殖分化因子)のような)TGF−Bリガンドが、I型受容体と共に、
II型受容体を有する。II型受容体は、複合体中のI型受容体をリン酸化及び活性化す
る。5つの哺乳類II型受容体、TβR−II、ActR−II、ActR−IIB、B
MPR−II及びAMHR−IIと、7つのI型受容体(ALKs 1〜7)がある。ア
クチビンと関連リガンドは、ActR−II又はActAR−IIB、及びALK4及び
ALK5の組合せを介してシグナル伝達し、BMPは、ActR−II、ActR−II
B又はBMPR−IIとのALK2、ALK3及びALK6の組合せを通してシグナル
達する。AMHはALK6とのAMHR−IIの複合体を通してシグナル伝達し、結節性
は、ActR−IIBとALK7の複合体を通してシグナル伝達することが最近示された
(Cell.2003,113(6):685〜700)。適切な受容体へのTGF−B
リガンドの結合に続いて、次のシグナルが、主に、Smadsの複合体の活性化を通して
、核に形質導入される。活性化に際して、I型受容体が、Smadの受容体制御ファミリ
ーのメンバーをリン酸化する。これは、それらを活性化し、それらが、共通の媒体Sma
dであるSmad4との複合体を形成することを可能にする。Smads 1、5及び8
は、ALKs 1、2、3及び6に対する基質であり、一方で、Smads 2及び3は
、ALKs 4、5及び7に対する基質である(FASEB J、13,2015〜21
24)。活性化Smad複合体は、核内に集積し、一方でこれらは、標的遺伝子の転写、
とりわけ、他の特定のDNA−結合転写因子にて、直接関与される。TGF−βに対する
受容体を選択的に阻害する化合物が、治療適用のため、及び種々の幹細胞集団からの再プ
ログラミング及び分化の文脈において、細胞運命を調節するために、開発されてきた。と
りわけ、ALK5阻害剤が、内分泌運命への胚性幹細胞の直接分化のために、先に使用さ
れてきた(Diabetes,2011,60(1):239〜47)。

一般に、前駆細胞を、機能的β細胞に分化する工程は、種々のステージを通して進む。
また、コミットメントのステージを通して進行して、インビトロにてヒト胚性幹細胞(「
ES」)をβ−細胞に似た細胞へ指向することはチャレンジングであり、hESからの
機能的β−細胞の製造は、直接的な工程ではない。前駆細胞を分化させる工程における各
段階は、固有のチャレンジを提示する。工程が、ヒト多能性幹細胞のような前駆細胞から
膵臓細胞を製造するためのプロトコールを改善することにおいて実施されるけれども、機
能的内分泌細胞、とりわけβ細胞をもたらすプロトコールを製造する必要性がまだ存在す
る。

概要

PDX1、NKX6.1及びHB9を発現している膵臓内胚葉細胞への多能性幹細胞の分化を促進するための方法の提供。多能性幹細胞から膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を製造する方法であって、a.多能性幹細胞を培養することと、b.多能性幹細胞を、前腸内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞に分化させることと、c.トリヨードチロニン、チロキシン、トリヨードチロニンの類似体、チロキシンの類似体及びその混合物から選択される甲状腺ホルモン、又はALK5阻害剤、又は甲状腺ホルモンとALK5阻害剤両方を補充した培地での処理によって、前腸内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を、膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞に分化させることと、の段階を含む方法。なし

目的

本発明はさらに、インビトロ細胞培養液を介したそのような細胞を得るための方法を
提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

多能性幹細胞から膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカー発現している細胞を製造する方法であって、a.多能性幹細胞を培養することと、b.多能性幹細胞を、前腸内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞に分化させることと、c.トリヨードチロニンチロキシン、トリヨードチロニンの類似体、チロキシンの類似体及びその混合物から選択される甲状腺ホルモン、又はALK5阻害剤、又は甲状腺ホルモンとALK5阻害剤両方を補充した培地での処理によって、前腸内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を、膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞に分化させることと、の段階を含む方法。

請求項2

得られる細胞の少なくとも10パーセントが、NKX6.1、PDX1及びHB9に対して陽性である、請求項1に記載の方法。

請求項3

NKX6.1陽性膵臓内胚葉前駆細胞中のHB9の発現を増強する、請求項1に記載の方法。

請求項4

NKX2.2の発現を減少させる、請求項1に記載の方法。

請求項5

SOX2とアルブミン発現を抑制する、請求項1に記載の方法。

請求項6

前記甲状腺ホルモンがトリヨードチロニンである、請求項1に記載の方法。

請求項7

段階(c)が、トリヨードチロニンとALK5阻害剤を補充した培地中で培養することを含む、請求項1に記載の方法。

請求項8

トリヨードチロニンとALK5阻害剤を補充した培地で培養されない細胞に対して、HB9発現を増強する、請求項7に記載の方法。

請求項9

前記段階(c)の培地にさらに、SANT−1、レチノイン酸及びアスコルビン酸を補充する、請求項1に記載の方法。

請求項10

段階(c)にさらに、トリヨードチロニンを補充した培地中、膵臓内胚葉内分泌前駆細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を培養することによる、膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞の形成が含まれる、請求項1に記載の方法。

請求項11

前記培地にさらに、ALK5阻害剤を補充する、請求項10に記載の方法。

請求項12

トリヨードチロニン、チロキシン、トリヨードチロニンの類似体、チロキシンの類似体及びその混合物から選択される甲状腺ホルモン、又はALK5阻害剤、又は甲状腺ホルモンとALK5阻害剤両方を補充した培地での処理によって、前腸内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を、膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞に分化させることを含む、膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を製造する方法。

請求項13

得られた細胞の少なくとも10パーセントが、NKX6.1、PDX1及びHB9に対して陽性である、請求項12に記載の方法。

請求項14

NKX6.1陽性膵臓内胚葉前駆細胞中のHB9の発現を増強する、請求項12に記載の方法。

請求項15

NKX2.2の発現を減少させる、請求項12に記載の方法。

請求項16

SOX2及びアルブミン発現を抑制する、請求項12に記載の方法。

請求項17

前記甲状腺ホルモンが、トリヨードチロニンである、請求項12に記載の方法。

請求項18

トリヨードチロニンとALK5阻害剤を補充した培地中で培養することを含む、請求項12に記載の方法。

請求項19

トリヨードチロニンとALK5阻害剤を補充した培地で培養されない細胞と比較した時に、HB9発現を増強する、請求項18に記載の方法。

請求項20

さらに、トリヨードチロニンを補充した培地中で、膵臓内胚葉/内分泌前駆細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を培養することによる、膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞の形成が含まれる、請求項12に記載の方法。

請求項21

前記培地にさらに、ALK5阻害剤を補充する、請求項20に記載の方法。

請求項22

前記培地にさらに、BMP受容体阻害剤と、PKアクチベータを補充する、請求項12に記載の方法。

請求項23

トリヨードチロニンとALK5阻害剤を補充する培地中、膵臓前腸前駆細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を培養することを含む、(a)HB9発現を増加させ、(b)SOX2とアルブミン発現を抑制する、方法。

請求項24

トリヨードチロニンと、ALK5阻害剤を補充した培地中で前記細胞を培養することを含む、膵臓前腸前駆細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞、膵臓内胚葉/内分泌前駆細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞、又は膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞中の、グルカゴンソマトスタチン及びグレリンダウンレギュレートする方法。

請求項25

前記培地にさらに、SANT−1、レチノイン酸及びアスコルビン酸を補充する、請求項24に記載の方法。

請求項26

前記細胞が、膵臓前腸前駆細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞であり、前記培地にさらに、FGF7を補充する、請求項25に記載の方法。

請求項27

前記ALK5阻害剤が、ALK5阻害剤II、ALK5i、SD208、TGF−B阻害剤SB431542、ITD−1、LY2109761、A83−01、LY2157299、TGF−β受容体inhV、TGF−β受容体inhI、TGF−β受容体inhIV、TGF−β受容体inhVII、TGF−β受容体inhVIII、TGF−β受容体inhII、TGF−β受容体inhVI、TGF−β受容体inhIIIからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。

請求項28

前記ALK5阻害剤が、ALK5阻害剤IIである、請求項27に記載の方法。

請求項29

前記ALK5阻害剤が、ALK5阻害剤II、ALK5i、SD208、TGF−B阻害剤SB431542、ITD−1、LY2109761、A83−01、LY2157299、TGF−β受容体inhV、TGF−β受容体inhI、TGF−β受容体inhIV、TGF−β受容体inhVII、TGF−β受容体inhVIII、TGF−β受容体inhII、TGF−β受容体inhVI、TGF−β受容体inhIIIからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。

請求項30

前記ALK5阻害剤が、ALK5阻害剤IIである、請求項29に記載の方法。

請求項31

前記BMP受容体阻害剤が、LDN−193189、Noggin及びChordinから選択され、前記PKCアクチベータが、TPB、PDBu、PMA及びILVから選択される、請求項22に記載の方法。

請求項32

a.培養容器と、b.大量の分化培地と、c.多能性幹細胞から誘導した分化した細胞の集団であって、少なくとも10パーセントの前記分化した細胞が、PDX1、NKX6.1及びHB9を共発現する、分化した細胞の集団と、を含む多能性幹細胞から誘導した細胞を分化するためのインビトロ細胞培養

請求項33

前記分化培地が、トリヨードチロニン、チロキシン、トリヨードチロニンの類似体、チロキシンの類似体及びその混合物から選択される甲状腺ホルモン、又はALK5阻害剤、又は甲状腺ホルモンとALK5阻害剤両方を補充した増殖培地を含む、請求項32に記載の細胞培養液

請求項34

前記増殖培地が、MCDB131である、請求項33に記載の細胞培養。

請求項35

前記分化した細胞が、膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を含む、請求項32に記載の細胞培養。

請求項36

前記増殖培地にさらに、1つ又は2つ以上のa.MRT10又はシクロパミンから選択される滑らかにされた受容体阻害剤と、b.SANT−1又はHPI−1から選択されるSHHシグナル伝達経路アゴニストと、c.LDN−193189、Noggin又はChordinから選択されるBMP受容体阻害剤と、d.TPB、PDBu、PMA及びILVから選択されるPKCアクチベータと、e.FGF7又はFGF10から選択される線維芽細胞増殖因子と、f.レチノイン酸と、g.アスコルビン酸と、h.ヘパリンと、i.硫酸亜鉛と、が補充される、請求項33に記載の細胞培養液。

請求項37

前記増殖培地にさらに、SANT−1、レチノイン酸及びアスコルビン酸を補充する、請求項36に記載の細胞培養液。

請求項38

膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している分化した多能性幹細胞の集団を含むインビトロ細胞培養液であって、少なくとも10パーセントの前記細胞が、HB9、PDX1及びNKX6.1を発現する、インビトロ細胞培養液。

請求項39

NKX6.1とPDX1両方を発現する前記細胞の少なくとも30パーセントが、HB9も発現する、請求項38に記載の細胞培養液。

請求項40

NKX6.1とPDX1両方を発現する前記細胞の少なくとも50パーセントが、HB9も発現する、請求項38に記載の細胞培養液。

請求項41

NKX6.1とPDX1両方を発現する前記細胞の少なくとも80パーセントが、HB9も発現する、請求項38に記載の細胞培養液。

請求項42

膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している前記細胞が、インスリン産出する、請求項1に記載の方法。

請求項43

膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している前記細胞が、インスリンを産出する、請求項12に記載の方法。

請求項44

前記分化した細胞が、β細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を含む、請求項35に記載の細胞培養液。

請求項45

前記分化した細胞が、インスリンを産出する、請求項44に記載の細胞培養液。

請求項46

トリヨードチロニン、チロキシン、トリヨードチロニンの類似体、チロキシンの類似体及びその混合物から選択される甲状腺ホルモン、又はALK5阻害剤、又は甲状腺ホルモンとALK5阻害剤両方を補充した増殖培地中で、多能性幹細胞から誘導した細胞を培養することを含む、膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を製造するための方法。

請求項47

多能性幹細胞から誘導した細胞を、約3〜約9日間、前記増殖培地中で培養する、請求項46に記載の方法。

請求項48

前記細胞を、甲状腺ホルモンを補充するが、ALK5阻害剤は補充しない第一増殖培地中、約2〜3日間培養し、続いて、得られた細胞集団を、甲状腺ホルモンとALK5阻害剤両方を補充した追加的増殖培地中、約3〜6日間培養する、請求項47に記載の方法。

請求項49

前記細胞をさらに、前記甲状腺ホルモンを含むが、ALK5阻害剤を含まない培地中、約3日間培養する、請求項48に記載の方法。

請求項50

前記甲状腺ホルモンが、トリヨードチロニンである、請求項48に記載の方法。

請求項51

前記ALK5阻害剤が、ALK5阻害剤II、ALK5i、SD208、TGF−B阻害剤SB431542、ITD−1、LY2109761、A83−01、LY2157299、TGF−β受容体inhV、TGF−β受容体inhI、TGF−β受容体inhIV、TGF−β受容体inhVII、TGF−β受容体inhVIII、TGF−β受容体inhII、TGF−β受容体inhVI、TGF−β受容体inhIIIからなる群から選択される、請求項48に記載の方法。

請求項52

膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している前記細胞が、インスリンを発現する、請求項46に記載の方法。

請求項53

前記細胞を、トリヨードチロニン、チロキシン、トリヨードチロニンの類似体、チロキシンの類似体及びその混合物から選択される甲状腺ホルモン、又はALK5阻害剤、又は甲状腺ホルモンとALK5阻害剤両方を補充した増殖培地中で培養させることを含む、多能性幹細胞又はそれより誘導した細胞の分化を介して、β細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞の収率を増加させるための方法。

請求項54

前記甲状腺ホルモンが、トリヨードチロニンである、請求項53に記載の方法。

請求項55

β細胞に特徴的なマーカーを発現している前記細胞が、インスリンを発現する、請求項54に記載の方法。

技術分野

0001

(関連出願の相互参照
本出願は、その全てが参照により組み込まれている、米国特許仮出願第61/747,
672号明細書(2012年12月31日出願)に基づく優先権を主張する。

0002

(発明の分野)
本発明は、細胞分化の分野にある。より詳細には、本発明は、膵臓内胚葉及び内分泌
胞中のHB9の調節物として、特定の甲状腺ホルモン又はその類似体、及びALK5阻害
剤の利用を含む。

背景技術

0003

I型糖尿病に対する細胞置換療法における進展、及び移植可能ランゲルハンス島欠乏
が、生着に対して適切なインスリン産出細胞、又はβ細胞供給源を開発することに集中
した興味を持つ。1つのアプローチは、胚性幹細胞のような、多能性幹細胞からの、機能
的β細胞の製造である。

0004

脊椎動物胚発生において、多能性細胞は、原腸形成として公知のプロセスにて、3つ
胚葉外胚葉中胚葉、及び内胚葉)を含む細胞のグループを生じる。例えば、甲状腺
胸腺、膵臓、腸、及び肝臓などの組織は、内胚葉から中間ステージを経て発達する。こ
のプロセスにおける中間ステージは、胚体内胚葉の形成である。

0005

原腸形成の終了までに、内胚葉は、内胚葉の前部、中間、及び後部の領域を特異的にマ
ークする因子パネル発現によって認識することができる前部−後部ドメインに分割さ
れる。例えば、CDX1、2及び4が、内胚葉の後部領域を同定する一方で、HHEX及
SOX2は、前部領域を同定する。

0006

内胚葉組織の移行は、内胚葉を腸管の領域化に役立つ異なった中胚葉組織に近接させる
。これは、FGFs、WNTS、TGF−β、レチノイン酸(RA)及びBMPリガンド
及びそれらのアンタゴニストのような、分泌因子多血症によって達成される。例えば、
FGF4及びBMPは推定後腸内胚葉においてCDX2の発現を促進し、前方の遺伝子H
HEX及びSOX2の発現を阻害する(2000 Development,127:1
563〜1567)。WNTシグナル伝達はまた、後腸の発達を促進し、前腸運命を阻
害するために、FGFシグナル伝達と平行して作用することが示されている(2007
Development,134:2207〜2217)。最後に、間葉による分泌レチ
ノイン酸が、前腸−後腸境界を制御する(2002 Curr Biol,12:121
5〜1220)。

0007

特異的転写因子発現レベルは、組織の同一性を指定するために使用できる可能性があ
る。原腸管への胚体内胚葉の形質転換中に、腸管は、制限された遺伝子発現パターンによ
分子レベルで観察することができる広いドメインに領域化される。腸管中の領域化され
た膵臓ドメインが、PDX1の非常に高い発現と、CDX2及びSOX2の非常に低い発
現を示す。PDX1、NKX6.1、PTF1A及びNKX2.2が、膵臓組織中で高く
発現し、CDX2の発現が、腸組織にて高い。

0008

膵臓の形成は、胚体内胚葉の膵臓内胚葉への分化により起こる。背側と腹側の膵臓ドメ
インは、前腸上皮から生じる。前腸はまた、食道気管、甲状腺、、肝臓及び胆管
系に対して上昇を与える。

0009

膵臓内胚葉の細胞は膵臓−十二指腸ホメオボックス遺伝子PDX1を発現する。PDX
1が存在しない場合、膵臓は、腹側及び背側芽の形成を越えて発達しない。したがって
、PDX1の発現は、膵臓器官形成において重要な工程を印している。成熟膵臓は、膵臓
内胚葉の分化より発生する、外分泌及び内分泌組織両方を含む。

0010

D'Amour et al.は、高濃度アクチビン及び低血清の存在下、ヒト胚性
幹細胞由来胚体内胚葉の濃縮培養の製造を記述している(Nature Biotech
nology 2005,23:1534〜1541;米国特許第7,704,738号
明細書)。マウス腎臓カプセルの元でこれらの細胞を移植することは、内皮性組織の特
徴を有するより成熟した細胞への分化となることが報告された(米国特許第7,704,
738号明細書)ヒト胚性幹細胞由来胚体内胚葉細胞はさらに、FGF10及びレチノ
ン酸の添加後、PDX1陽性細胞へ分化可能である(米国特許第2005/026655
4号明細書)。免疫欠損マウスにおける脂肪パッド中の、これらの膵臓前駆細胞の続く移
植が、3〜4ヶ月の成熟化期間に続く、機能的膵臓内分泌細胞の形成となった(米国特許
第7,993,920号明細書及び同第7,534,608号明細書)。

0011

Fiskからは、ヒト胚性幹細胞からの膵島細胞の産生のための系を報告している(米
国特許第7,033,831号明細書)。この場合、分化経路は3つの段階に分割された
。ヒト胚性幹細胞は、最初に、酪酸ナトリウムとアクチビンAとの組み合わせを用いて内
胚葉に分化された(米国特許第7,326,572号明細書)。次に細胞をNoggin
などのBMPアンタゴニストと共に、EGF又はベータセルリンと組み合わせて培養して
、PDX1陽性細胞を生成する。最終分化は、ニコチンアミドにより誘発された。

0012

低分子阻害剤もまた、膵臓内分泌前駆細胞誘導のために使用されている。例えば、T
GF−β受容体及びBMP受容体の低分子阻害剤(Development 2011、
138:861〜871、Diabetes 2011、60:239〜247)は、
内分泌細胞の数を有意に増強するために使用されてきた。加えて、低分子活性化剤もま
た、胚体内胚葉細胞又は膵臓前駆細胞を生成するために使用されている(Curr Op
in Cell Biol 2009、21:727〜732;Nature Chem
Biol 2009,5:258〜265)。

0013

(またHIXB9及びNMX1として知られる)HB9は、およそ胚性日8にて開始す
る膵臓発生において、早期に発現したBHLH転写活性化因子タンパク質である。HB9
はまた、ノトコード及び脊髄にて発現する。HB9の発現は、一過性であり、PDX1及
びNKX6.1発現細胞にて発現している膵臓上皮にて、約10.5日でピークとなる。
約12.5日にて、HB9発現は減少し、後期ステージで、β細胞にのみ制限されるよう
になる。HIXB9の無変異に対するマウスホモ接合体において、膵臓の背葉が、発生を
失敗する(Nat Genet 23:67〜70、1999;Nat Genet 2
3:71〜75:1999)。HB9−/−β細胞は、低レベルグルコーストランスポ
ーター、GLUT2及びNKX6.1を発現する。さらに、HB9−/−膵臓は、インス
リン陽性細胞の数において、有意な減少を示すが、一方で、他の膵臓ホルモンの発現に有
意に影響を与えない。したがって、HB9の時間制御が、正常β細胞発生及び機能に必須
である。β細胞中でHB9発現を制御している因子について、よくわかっていないけれど
も、ゼブラフィッシュにおける最近の研究は、レチノイン酸が、HB9の発現を正に制御
することを示唆している(Development,138、4596〜4608、20
11)。

0014

甲状腺ホルモン、チロキシン(「T4」)とトリオドチロニン(「T3])は、甲状腺
によって産出されるチロシンに基づくホルモンであり、主として代謝の制御に応答性であ
る。血中の甲状腺ホルモンの主要な形態は、T4であり、T3より長い半減期を有する。
血中に放出されたT3に対するT4の比は、およそ20対1である。T4は、脱ヨウ要素
酵素によって、細胞内で、より活性なT3(T4に比べて、3〜4倍強力である)に変換
される。

0015

T3は、甲状腺ホルモン受容体、TRα1及びTRβ1(TR)に結合する。TRは、
核ホルモン受容体であり、レチノイド受容体ヘテロ二量体化する。二量体が、リガ
ドが存在しない状態で、甲状腺応答要素(TREs)に結合し、転写抑制剤として働く。
T3のTRへの結合が、TRE依存遺伝子の抑圧を減少させ、種々の標的遺伝子の発現を
誘導する。多数の研究が、β細胞増殖の増加、アポトーシスの減少及びインスリン分泌
改善におけるT3の役割を示した一方で、細胞分化におけるその役割は未定義である。

0016

トランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)は、増殖制御、分化、遊走、細胞生
存、線維化及び発生運命の特性化を含む、多くの生物学的工程に関与する多面発現生サイ
トカインの大きなファミリーメンバーである。TGF−βスーパーファミリ−メンバー
は、II型及びI型受容体を含む、受容体複合体を通してシグナル伝達する。(アクチビ
ン及びGDFs(増殖分化因子)のような)TGF−Bリガンドが、I型受容体と共に、
II型受容体を有する。II型受容体は、複合体中のI型受容体をリン酸化及び活性化す
る。5つの哺乳類II型受容体、TβR−II、ActR−II、ActR−IIB、B
MPR−II及びAMHR−IIと、7つのI型受容体(ALKs 1〜7)がある。ア
クチビンと関連リガンドは、ActR−II又はActAR−IIB、及びALK4及び
ALK5の組合せを介してシグナル伝達し、BMPは、ActR−II、ActR−II
B又はBMPR−IIとのALK2、ALK3及びALK6の組合せを通してシグナル
達する。AMHはALK6とのAMHR−IIの複合体を通してシグナル伝達し、結節性
は、ActR−IIBとALK7の複合体を通してシグナル伝達することが最近示された
(Cell.2003,113(6):685〜700)。適切な受容体へのTGF−B
リガンドの結合に続いて、次のシグナルが、主に、Smadsの複合体の活性化を通して
、核に形質導入される。活性化に際して、I型受容体が、Smadの受容体制御ファミリ
ーのメンバーをリン酸化する。これは、それらを活性化し、それらが、共通の媒体Sma
dであるSmad4との複合体を形成することを可能にする。Smads 1、5及び8
は、ALKs 1、2、3及び6に対する基質であり、一方で、Smads 2及び3は
、ALKs 4、5及び7に対する基質である(FASEB J、13,2015〜21
24)。活性化Smad複合体は、核内に集積し、一方でこれらは、標的遺伝子の転写、
とりわけ、他の特定のDNA−結合転写因子にて、直接関与される。TGF−βに対する
受容体を選択的に阻害する化合物が、治療適用のため、及び種々の幹細胞集団からの再プ
ログラミング及び分化の文脈において、細胞運命を調節するために、開発されてきた。と
りわけ、ALK5阻害剤が、内分泌運命への胚性幹細胞の直接分化のために、先に使用さ
れてきた(Diabetes,2011,60(1):239〜47)。

0017

一般に、前駆細胞を、機能的β細胞に分化する工程は、種々のステージを通して進む。
また、コミットメントのステージを通して進行して、インビトロにてヒト胚性幹細胞(「
ES」)をβ−細胞に似た細胞へ指向することはチャレンジングであり、hESからの
機能的β−細胞の製造は、直接的な工程ではない。前駆細胞を分化させる工程における各
段階は、固有のチャレンジを提示する。工程が、ヒト多能性幹細胞のような前駆細胞から
膵臓細胞を製造するためのプロトコールを改善することにおいて実施されるけれども、機
能的内分泌細胞、とりわけβ細胞をもたらすプロトコールを製造する必要性がまだ存在す
る。

図面の簡単な説明

0018

A〜Cは、実施例1にて概要を示したような、膵臓内胚葉/内分泌前駆体に分化したヒト胚性幹細胞株H1の細胞内の、以下の遺伝子の発現のリアルタイムPCR解析からのデータを描写している。PDX1(図1A);NKX6.1(図1B);及びHB9(図1C)。
A〜Cは、実施例1にて概要を示したような、膵臓内胚葉/内分泌前駆体に分化したヒト胚性幹細胞株H1のFACS解析の結果を示す。PDX1(図2A)、NKX6.1(図2B)及びHB9(図2C)。
A及びBは、NXK6.1、インスリン又はHB9に対して免疫染色した細胞のイメージを示す。細胞を、実施例1にて概要を示したような、膵臓内胚葉/内分泌前駆体に分化させた。図3Aは、NKX6.1(左手パネル)及びインスリン(右手パネル)に対する免疫染色を示す。図3Bは、HB9(左手パネル)とインスリン(右手パネル)に対する免疫染色を示す。
A、B、及びCは、実施例2にて概要を示したように、ステージ4〜6に分化した胚性幹細胞H1の、ステージ4、3日目(パネルA)、ステージ5、4日目(パネルB)及びステージ6、3日目(パネルC)における、PDX1、NKX6.1及びHB9のパーセント発現に対するFACSデータを描写する。
実施例2にて概要を示したように分化した細胞に対して、ステージ2〜6でのヒト膵島と比較した、HB9のmRNA発現を示す。
実施例2にて概要を示したように分化し、NXK6.1(左手パネル)及びHB9(右手パネル)に対して免疫染色した、ステージ4、3日目細胞のイメージを描写している。
A〜Jは、実施例2にて概要を示したように、ステージ4に分化し、次いで、ステージ4のみ、ステージ4〜ステージ5、又はステージ4〜ステージ6で処理した、ヒト胚性幹細胞株H1の細胞内の、以下の遺伝子の発現のリアルタイムPCR解析からのデータを示す。図6A〜6Jは、以下に対するデータを示す。NKX6.1(図6A)、PDX1(図6B)、NKX2.2(図6C)、グルカゴン(図6D)、インスリン(図6E)、ソマトスタチン(図6F)、CDX2(図6G)、アルブミン(図6H)、ガストリン(図6I)及びSOX2(図6J)。
A及びBは、対照図7A)、及び実施例2にて概要を示すように処理した培養液図7B)の免疫染色の結果を示す。対照(図7A)とステージ6にて処理した培養液(図(7B)は、ステージ6での対照(図6A)と比較して、T3処理群図7B)中のHB9陽性細胞の数の有意な増加を明らかにした。
A及びBは、実施例3にて概要を示したように、ステージ6にて分化させた細胞に対する、ステージ6、7日目でのNKX6.1及びHB9に対する免疫染色を描写する。Cは、実施例3にて概要を示したように、ステージ6まで分化させた、ヒト胚性幹細胞株H1の細胞中の、HB9の発現のリアルタイムPCRからのデータを描写する。
A及びBは、実施例3にて概要を示したように、ステージ6まで分化させた、ヒト胚性幹細胞株H1の細胞中のHB9の、それぞれステージ6、5日目と15日目での、FACSデータを描写する。
A〜Eは、実施例4にて概要を示したプロトコールにしたがって分化した細胞に対する、ステージ6、6日目でのNKX6.1とHB9に対する免疫染色を描写する。用量依存様式にて、T3が、NKX6.1陽性膵臓内胚葉前駆細胞中のHB9陽性細胞の数を有意に増強する。
A〜Lは、実施例4にて概要を示したように、ステージ6まで分化したヒト胚性幹細胞株H1の細胞中の、以下の遺伝子の発現のリアルタイムPCR解析からのデータを描写する。SOX2(図11A)、mNKX6.1(図11B)、NKX2.2(図11C)、ガストリン(図11D)、PDX1(図11E)、NGN3(図11F)、PAX6(図11G)、PAX4(図11H)、インスリン(図11I)、グルカゴン(図11J)、グレリン(図11K)及びソマトスタチン(図11L)。

0019

本発明の以下の詳細な記述は、付随する図面と一緒読む場合に、よりよく理解される
であろう。図面は、本発明の特定の実施形態を図示する目的のために提供される。しかし
ながら、本発明は、示した精密な配置、例及び道具に制限はされない。開示を明確にする
ために、そして制限の方法ではなく、本発明の詳細な記述は、本発明の特定の特徴、実施
形態又は適用を記述、又は例示する副項目に分けられる。

0020

本発明は、特定の培養順序において、特定の甲状腺ホルモン又はその類似体、ALK5
(TGF−βI型受容体キナーゼ)阻害剤の利用を介して、NKX6.1、PDX1及び
HB9に対して陽性の膵臓内胚葉細胞の発生に関する。したがって、本発明は、NKX6
.1、PDX1及びHB9を発現するβ細胞系統に特徴的なマーカーを発現している細胞
に、多能性幹細胞から誘導した細胞を分化させるための、インビトロ細胞培養液を提供す
る。本発明はさらに、インビトロ細胞培養液を介したそのような細胞を得るための方法を
提供する。特定の実施形態において、本発明は、T3、T4又はその類似体の封入が、β
細胞への分化を促進するために、分化している細胞内でのHB9タンパク質発現の誘発因
子として働くことの発見に基づく。HB9は、ステージ3又はステージ4でのタンパク質
ベルで発現されない。したがって、本発明は、HB9タンパク質発現を制御することに
よって、幹細胞を分化する方法を提供する。特に、本発明は、特定の培養順序にて、T3
又はT4、又はその類似体、及びALK5阻害剤の利用を介した、HKX6.1、PDX
1及びHB9に対して陽性の膵臓内胚葉細胞の発生に対して提供する。

0021

定義
幹細胞は、単一細胞レベルでの自己再生能及び分化能の両方によって定義される未分化
細胞である。幹細胞は、自己再生前駆細胞、非再生性前駆細胞、及び最終分化細胞を含む
子孫細胞を生成することができる。幹細胞はまた、インビトロでの、複数の胚葉(内胚葉
、中胚葉及び外胚葉)から種々の細胞系統機能細胞へ分化させるそれらの能力によって
特徴付けられる。幹細胞は、移植後に複数の胚葉の組織を生じさせ、線維芽細胞注入
、実質的に(全てではないとしても)ほとんどの組織に寄与する。

0022

幹細胞は、それらの発生上の潜在能力によって分類される。多能性幹細胞は、全ての
性細胞型を形成することが可能である。

0023

分化は、未特定化未確定)又はほとんど特定されていない細胞が、例えば神経細胞
筋肉細胞のような、特定化した細胞の特徴を獲得する工程である。分化した細胞は、細
胞の系統の範囲内で、より特殊化した(「確定した」)位置を呈している細胞である。分
化プロセスに適用した際の用語「確定した」は、通常の環境下で特定の細胞型又は細胞型
の小集合に分化し続ける分化経路の地点に進行しており、通常の環境下で異なる細胞型に
分化し、又はより分化されていない細胞型に戻ることができない細胞を指す。「脱分化
とは、細胞が細胞の系統内においてより特殊化(又は確定)していない位置へと戻る工程
のことを指す。本明細書で使用するように、細胞の系統は、細胞の遺伝性を定義し、すな
わち、どの細胞がくるのか、及び何の細胞が形成されるのか、を定義する。ある細胞の系
統とは、所定の発生及び分化の遺伝体系内にその細胞を位置付けるものである。系統特異
的マーカーとは、対象とする系統の細胞の表現型と特異的に関連した特徴を指し、分化決
定されていない細胞の、対象とする系統への分化を評価するために使用することができる

0024

本明細書で使用するところの「マーカー」は、対象の細胞中で差異的に発現する核酸
ポリペプチド分子である。この文脈において、差異的な発現とは、未分化細胞と比較し
て、陽性マーカーのレベルの増加、及び陰性マーカーのレベルの減少を意味する。マーカ
ー核酸又はポリペプチドの検出可能なレベルは、他の細胞と比較して対象とする細胞にお
いて充分に高いか又は低いことから、当該技術分野において知られる各種の方法のいずれ
を用いても対象とする細胞を他の細胞から識別及び区別することが可能である。

0025

本明細書で使用するように、細胞は、特定のマーカーが、細胞内で十分検出される時に
、特定のマーカー「に対して陽性」であるか、「陽性」である。同様に、細胞は、特定の
マーカーが、細胞内で十分検出されない時に、特定のマーカー「に対して陰性」であるか
、「陰性」である。特に、FACSによる陽性は、通常2%より多く、一方でFACSに
よる陰性閾値は通常1%未満である。PCRによる陽性は通常、34サイクル(Cts)
未満であり、一方で、PCRによる陰性は、通常34.5サイクルより大きい。

0026

静的インビトロ細胞培養中の多能性幹細胞の、機能性膵臓内分泌細胞への分化を複製す
る試みにおいて、分化工程はしばしば、いくつかの連続ステージを通して処理することと
して見られる。特に、分化工程は、6ステージを通して処理することとして一般に見られ
る。本段階的処理において、「ステージ1」は、分化工程における第一段階を意味し、多
性幹細胞の、胚体内胚葉細胞に特徴的マーカーを発現している細胞(本明細書以下ある
いは、「ステージ1細胞」と呼ぶ)への分化を意味する。「ステージ2」は、第二段階
胚体内胚葉細胞に特徴的マーカーを発現している細胞の、腸管細胞に特徴的マーカーを発
現している細胞(本明細書以下あるいは、「ステージ2細胞」と呼ぶ)への分化を指す。
「ステージ3」は、第三段階、腸管細胞に特徴的マーカーを発現している細胞の、前腸内
胚葉細胞に特徴的マーカーを発現している細胞(本明細書以下あるいは、「ステージ3細
胞」と呼ぶ)への分化を指す。「ステージ4」は、第四段階、前腸内胚葉細胞に特徴的マ
ーカーを発現している細胞を、膵臓前腸前駆細胞に特徴的マーカーを発現している細胞(
本明細書以下あるいは、「ステージ4細胞」と呼ぶ)への分化を指す。「ステージ5」は
、第五段階、膵臓前腸前駆細胞の特徴的マーカーを発現している細胞の、膵臓内肺葉細胞
及び/又は膵臓内分泌前駆細胞の特徴的マーカーを発現している細胞(本明細書以下、合
わせて「膵臓内肺葉/内分泌前駆細胞」又あるいは、「ステージ5細胞」と呼ぶ)への分
化を指す。「ステージ6」は、膵臓内胚葉/内分泌前駆細胞に特徴的なマーカーを発現し
ている細胞の、膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞への分化を指す(
本明細書以下、あるいは、「ステージ6細胞」と呼ぶ。

0027

しかしながら、特定の集団中の全ての細胞が、同一の速度で、これらのステージを通し
て進むわけではないことが留意されるべきである。結果として、とりわけ後期分化ステー
ジにて、集団に存在する主要な細胞よりも、少なく、又は多く、分化経路を下って進んだ
細胞の存在を検出することは、インビトロ細胞培養において、一般的ではない。例えば、
ステージ5での細胞培養の間、膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーの発現が見られること
は一般的ではない。本発明を例示する目的のために、以上で同定したステージに関連した
種々の細胞型の特徴を本明細書で記述する。

0028

本明細書で使用するところの「胚体内胚葉細胞」は、原腸形成の間に外胚葉から発生す
る細胞の特徴を有し、胃腸管及びその誘導体を形成する細胞を指す。胚体内胚葉細胞は、
少なくとも1つの以下のマーカーを発現する。FOXA2(又は、肝細胞核因子3−β(
「HNF3β」)としても知られている)、GATA4、SOX17、CXCR4、Br
achyury、Cerberus、OTX2、グーセコイド、C−Kit、CD99及
MIXL1。胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーには、CXCR4、FOXA2及びS
OX17が含まれる。したがって、胚体内胚葉細胞は、CXCR4、FOXA2及びSO
X17のそれらの発現によって特徴付けられて良い。さらに、時間の長さに依存して、細
胞が、ステージ1に留まることが許容され、HNF−4αの増加が観察されうる。

0029

本明細書で使用するところの「腸管細胞」は、肺、肝臓、膵臓、胃及び腸のような全て
の内胚葉性器官を形成可能な、胚体内胚葉から由来する細胞を指す。腸管細胞は、胚体
胚葉細胞によって発現したものよりも、実質的に増加したHNF4αの発現によって特徴
付けられて良い。例えば、HNF4αのmRNA発現における10〜40倍増加が、ステ
ージ2の間観察されうる。

0030

本明細書で使用するところの「前腸内胚葉細胞」は、食道、肺、胃、肝臓、膵臓、胆嚢
及び十二指腸の一部を形成する内胚葉細胞を指す。前腸内胚葉細胞は、少なくとも1つの
以下のマーカーを発現する。PDX1、FOXA2、CDX2、SOX2及びHNF4α
。前腸内胚葉細胞は、腸管細胞と比較して、PDX1の発現における増加によって特徴付
けられて良い。例えば、ステージ3培養にて50パーセントより多くの細胞が、PDX1
を典型的に発現している。

0031

本明細書で使用するところの「膵臓前腸前駆細胞」は、以下のマーカー、PDX1、N
KX6.1、HNF6、NGN3、SOX9、PAX4、PAX6、ISL1、ガスト
ン、FOXA2、PTF1a、PROX1及びHNF4αの少なくとも1つを発現する細
胞を指す。膵臓前腸前駆細胞は、PDX1、NKX6.1及びSOX9の発現に対して陽
性であることによって特徴付けられて良い。

0032

本明細書で使用するところの「膵臓内胚葉細胞」は、以下のマーカーの少なくとも1つ
を発現する細胞を指す。PDX1、NKX6.1、HNF1β、PTF1α、HNF6、
HNF4α、SOX9、NGN3、ガストリン、HB9又はPROX1。膵臓内胚葉細胞
は、CDX2又はSOX2の実質的発現の欠如によって特徴付けられて良い。

0033

本明細書で使用するところの「膵臓内分泌前駆細胞」は、膵臓ホルモン発現細胞になる
ことが可能な膵臓内胚葉細胞を意味する。膵臓内分泌前駆細胞は、以下のマーカー、NG
N3、NKX2.2、NeuroD1、ISL1、PAX4、PAX6又はARXの少な
くとも1つを発現する。膵臓内分泌前駆細胞は、NKX2.2及びNeuroD1の発現
によって特徴付けられてよい。

0034

本明細書で使用するところの「膵臓内分泌細胞」は、以下のホルモン、インスリン、グ
カゴン、ソマトスタチン、グレリン及び膵臓ポリペプチドの少なくとも1つを発現可能
な細胞を指す。これらのホルモンに加えて、膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーとしては
、1つ又は2つ以上の、NGN3、NeuroD1、ISL1、PDX1、NKX6.1
、PAX4、ARX、NKX2.2及びPAX6が挙げられる。β細胞に特徴的なマーカ
ーを発現している膵臓内分泌細胞は、インスリンと、以下の転写因子、PDX1、NKX
2.2、NKX6.1、NeuroD1、ISL1、HNF3β、MAFA及びPAX6
の少なくとも1つの発現によって特徴付けることができる。

0035

「d1」、「1d」及び「1日目」、「d2」、「2d」及び「2日目」は、本明細書
互換的に使用される。これらの数字の組み合わせは、本願の段階的分化プロトコール中
の異なるステージにおけるインキュベーションの特定の日を指す。

0036

「グルコース」は、デキストロース天然に一般に見られる糖を指すために本明細書で
使用される。

0037

「NeuroD1」は、膵臓内分泌前駆細胞において発現するタンパク質と、それをコ
ードしている遺伝子を同定するために本明細書で使用される。

0038

「LDN−193189」は、Stemgent,Inc.,Cambridge,M
A,USAから、商標TEMLECULE(商標)のもと利用可能な、(塩酸(6−
(4−(2−ピペリジン−1−イルエトキシフェニル)−3−(ピリジン−4−イル
ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンDM−3189)BMP受容体阻害剤を指す。

0039

多能性幹細胞の特徴付け、供給源、増殖及び培養
A.多能性幹細胞の特徴付け
多能性幹細胞は、1つ又は2つ以上の、ステージ特異的胚性抗原SSEA)3及び4
と、Tra−1−60及びTra−1−81抗体(Thomson et al.199
8,Science 282:1145〜1147)を用いて検出可能なマーカーを発現
してよい。インビトロでの多能性幹細胞の分化は、Tra−1−60及びTra−1−8
1発現の欠損をもたらす。未分化多能性幹細胞は典型的に、アルカリホスファターゼ活性
を有し、これは、4%パラホルムアルデヒドで細胞を固定し、次いで製造業者(Vect
or Laboratories,CA,USA)によって記述されたように、基質とし
VECTOR((登録商標))Redで発色させることによって検出可能である。未分
化の多能性幹細胞はまた、RT−PCRにより検出されるように、一般にOCT4及びT
ERTも発現する。

0040

増殖した多能性幹細胞の他の望ましい表現型は、全ての3つの胚性層、内胚葉、中胚葉
及び外胚葉組織の細胞へ分化する潜在力である。幹細胞の多能性は、例えば、細胞を、種
々の組合せ免疫欠損(「SCID」)マウスに注入し、4%パラホルムアルデヒドを用い
て形成する奇形種を固定し、次いでこれら3つの胚性層からの細胞型の証拠組織学的に
試験することによって、確かめて良い。代替的に、多能性は、胚様体を形成し、この胚様
体を3つの胚葉に関連したマーカーの存在に関して評価することにより決定することがで
きる。

0041

増殖させた多能性幹細胞株は、標準的なGバンド法を使用し、対応する霊長類種発表
されている核型と比較することで、核型を決定することができる。細胞が正倍数体である
ことを意味する、「星状核型」を有する細胞を得ることが望ましく、そこでは全てのヒト
クロモソームが存在し、著しく変化しない。

0042

B.多能性幹細胞の供給源
使用してよい多能性幹細胞の例示型としては、妊娠の間、典型的には、しかし必須では
無く、妊娠のおよそ10〜12週前のいずれかの時間に取った、(例えば胚胎盤のような
前胚性組織、胚性組織、又は胎児組織を含む、多能性細胞の確立された株が挙げられる
非限定例は、例えばヒト胚性幹細胞株H1、H7及びH9(WiCell Resea
rch Institute,Madison,WI,USA)のような、ヒト胚性
胞又はヒト胚性生殖細胞の確立された株が挙げられる。フィーダー細胞のない状態ですで
に培養した多能性幹細胞集団から取った細胞もまた好適である。OCT4、NANOG、
SOX2、KLF4及びZFP42(Annu Rev Genomics Hum G
enet 2011,12:165〜185、又はIPS,Cell,126(4):6
63〜676を参照)のようないくつかの多能性関連転写因子強制発現を用いて、成人
体細胞から由来する、人工多能性幹細胞(IPS)又は再プログラムされた多能性細胞も
また使用してよい。本発明の方法に使用されるヒト胚性幹細胞は、Thomsonらによ
って記述されたように調製してもよい(米国特許第5,843,780号;Scienc
e,1998,282:1145〜1147;Curr Top Dev Biol 1
998,38:133〜165;Proc Natl Acad Sci U.S.A.
1995,92:7844〜7848)。BG01v(BresaGen,Athens
,Ga)のような変異体ヒト胚性幹細胞株、又はTakahashi et al.,C
ell 131:1〜12(2007)にて開示された細胞のような、成人ヒト体細胞
ら由来した細胞もまた使用してよい。特定の実施形態において、本発明での使用に好適な
多能性幹細胞は、Li et al.(Cell Stem Cell 4:16〜19
,2009);Maherali et al.(Cell Stem Cell 1:
55〜70,2007);Stadtfeld et al.(Cell Stem C
ell 2:230〜240);Nakagawa et al.(Nature Bi
otechnol 26:101〜106,2008);Takahashi et a
l.(Cell 131:861〜872,2007)及び米国特許第2011/010
4805号明細書に記述された方法にしたがって誘導してよい。特定の実施形態において
、多能性幹細胞は、非胚性由来のものであってよい。これらの参照、特許、特許出願の全
てが、とりわけ、多能性細胞の単離、培養、膨張及び分化に関連するので、その全てが参
照により本明細書に組み込まれている。

0043

C.多能性幹細胞の膨張及び培養
1つの実施形態において、多能性幹細胞は典型的には、種々の方法にて、多能性幹細胞
を支持するフィーダー細胞の層上で培養する。あるいは、多能性幹細胞を、フィーダー
胞を実質的に含まない培養系中で培養するが、それにもかかわらず、実質的な分化なしに
、多能性幹細胞の増殖を支持する。分化なしでフィーダーを含まない培養液中の多能性幹
細胞の増殖が、他の細胞型と先に培養することによって条件付けした培地を用いて支持さ
れる。あるいは、分化なしにフィーダーを含まない培養液中の多能性幹細胞の増殖が、化
学的に規定された培地を用いて支持される。

0044

多能性細胞は、種々のフィーダー層を用いて培養中に、又はマトリックスタンパク質
ート容器を用いることによって、簡単に増殖し得る。あるいは、mTesr((登録商標
))1培地(StemCell Technologies,Vancouver,Ca
nada)のような規定された培地との組合せでの化学的に規定された表面を、細胞の常
用膨張のために使用してよい。多能性細胞は、酵素消化機械的分離、又はEDTA(エ
レンジアミンテトラ酢酸)のような種々のカルシウムキレータを用いて、培養プレート
から簡単に除去してよい。あるいは、多能性細胞を、任意のマトリックスタンパク質又は
フィーダー層のない状態で、懸濁液中で膨張させて良い。

0045

多能性幹細胞を膨張させ、培養する多くの異なる方法を、請求された発明にて使用して
よい。例えば、本発明の方法は、Reubinoff et al.Thompson
et al.Richard et al.及び米国特許第2002/0072117号
明細書の方法を用いてよい。Reubinoff et al.(Nature Bio
technology 18:399〜404(2000))及びThompson e
t al.(Science 282:1145〜1147(1998))は、マウス胚
線維芽細胞フィーダー細胞層を用いて、ヒト線維芽細胞からの多能性幹細胞の培養を開
示している。Richardset al.(Stem Cells 21:546〜
556,2003)は、ヒト多能性幹細胞培養を支持するそれらの能力に関して、11の
異なるヒト成人、胎児及び新生児フィーダー細胞層のパネルを評価し、成人皮膚線維芽細
胞フィーダー上で培養したヒト胚性幹細胞株が、ヒト胚性幹細胞形態を維持し、多能性の
ままであることが留意される。米国特許第2002/0072117号明細書は、フィー
ダーを含まない培養液中での霊長類多能性幹細胞の増殖を支持する培地を産出する細胞株
を開示している。使用される細胞株は、胚組織から得た又は胚性幹細胞から分化した間葉
系細胞株、及び線維芽細胞様細胞株である。米国特許第2002/072117号明細書
はまた、霊長類フィーダー細胞層としての、細胞株の利用を開示する。

0046

多能性幹細胞を膨張し、培養する他の好適な方法が、例えば、Wang et al,
Stojkovic et al.,Miyamoto et al.及びAmit e
t al.にて開示されている。Wang et al.(Stem Cells 23
:1221〜1227,2005)は、ヒト胚性幹細胞から由来したフィーダー細胞上、
ヒト多能性幹細胞の長期増殖のための方法を開示する。Stojkovic et al
.(Stem Cells 2005 23:306〜314,2005)は、ヒト胚性
幹細胞の自発的分化から由来するフィーダー細胞系を開示する。Miyamoto et
al.(Stem Cells 22:433〜440,2004)は、ヒト胎盤から
得たフィーダー細胞の供給源を開示している。Amit et al.(Biol.Re
prod 68:2150〜2156,2003)は、ヒト包皮から由来するフィーダー
細胞層を開示する。

0047

他の実施形態において、多能性幹細胞を膨張し培養する好適な方法は、例えば、Inz
unza et al.,米国特許第6,642,048号明細書、国際特許第2005
/014799号パンフレット、Xu et al.及び米国特許第2007/0010
01号明細書に開示される。Inzunza et al.(Stem Cells 2
3:544〜549,2005)は、ヒト多能性幹細胞包皮線維芽細胞からのフィーダー
細胞層を開示している。米国特許第6,642,048号明細書は、フィーダーを含まな
い培養液中の霊長類多能性幹細胞の増殖を支持する培地と、そのような培地の産出のため
に有用な細胞株を開示している。米国特許第6,642,048号明細書は、胚性組織か
ら得、胚性幹細胞から分化した、間葉及び線維芽細胞様細胞株、並びにそのような細胞株
を誘導し、培地を処理し、そのような培地を使用して幹細胞を増殖する方法を報告する。
国際特許第2005/014799号明細書は、哺乳動物細胞の保持、増殖及び分化のた
めの条件培地を開示する。国際特許第2005/014799号は、本開示を介して製造
した培養培地は、齧歯類細胞、とりわけ分化し、不死化したトランスジェニック肝細胞、
MMH(Met Murine Hepatocytre)という名前のものの、細胞分
泌活性によって条件づけられることを報告する。Xu et al.(Stem Cel
ls 22:972〜980,2004)は、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素過剰発現
るように、遺伝的に改変したヒト胚性幹細胞誘導体から得た、条件培地を開示する。米国
特許第2007/0010011号パンフレットは、多能性幹細胞の維持のための、化学
的に規定された培養培地を開示する。

0048

代替的な培養系は、胚性幹細胞の増殖を促進することができる増殖因子で補充された無
血清培地を使用する。そのような培地系の例としては、Cheon et al.,Le
venstein et al.及び米国特許第2005/0148070号明細書が挙
げられるが、これらに限定はされない。Cheon et al.(BioReprod
DOI:10.1095/biolreprod.105.046870、Octob
er 19、2005)は、胚性幹細胞が、胚性幹細胞自己再生を引き起こすことが可能
な、異なる増殖因子を加えた未条件付け血清置換(SR)培地中で維持される、フィーダ
ーを含まない、血清を含まない培養系を開示する。Levenstein et al.
(Stem Cells 24:568〜574,2006)は、bFGFを加えた培地
を用いて、線維芽細胞又は条件培地のない状態での、ヒト胚性幹細胞の長期培養のための
方法を開示する。米国特許第2005/0148070号明細書は、血清なし、及び線維
芽細胞フィーダー細胞なしの規定培地中、ヒト胚性幹細胞を培養する方法を開示し、本方
法には、アルブミン、アミノ酸ビタミンミネラル、少なくとも1つのトランスフェリ
ン又はトランスフェリン基質、少なくとも1つのインスリン又はインスリン基質を含む培
養培地中で幹細胞を培養することを含み、培養培地は、哺乳動物胎児血清を実質的に含ま
ず、線維芽細胞増殖因子シグナル伝達受容体を活性化可能な、線維芽細胞増殖因子、少な
くとも約100ng/mlを含み、増殖因子が、ただ線維芽細胞フィーダー層以外の供給
源から供給され、培地が、フィーダー細胞又は条件培地なしに、未分化状態で、幹細胞の
増殖を支持した。

0049

多能性幹細胞を培養し、膨張する他の好適な方法が、米国特許第2005/02334
46号明細書、同66,800,480号明細書、同2005/0244962号明細書
及び国際特許第2005/065354号パンフレットにて開示される。米国特許第20
05/0233446号明細書は、未分化の霊長類原発幹細胞を含む、幹細胞を培養する
ことにおいて有用な規定培地を開示している。溶液中、培地は、培養されている幹細胞と
比較して実質的に等張である。該培養液中、特定の培地は、塩基培地及び原発幹細胞の実
質的に未分化の増殖を支持するのに必要な量の各bFGF、インスリン及びアスコルビン
酸を含む。米国特許第6,800,480号明細書は、霊長類由来原発幹細胞を、実質的
に未分化の状態で増殖させるための細胞培養培地が、霊長類由来原発幹細胞の増殖を支持
するために効果的である、低浸透圧、低内毒素基礎培地を含んで提供されることを報告し
ている。特許第6,800,480号明細書は、基礎培地が、霊長類由来原発幹細胞の増
殖を支持するのに効果的な栄養血清と、フィーダー細胞からなる群から選択される基質、
及びフィーダー細胞由来の細胞外マトリックス成分と組み合わされることをさらに報告し
ている。本培地はさらに、非必須アミノ酸抗酸化剤、及びヌクレオシド及びピルビン酸
塩からなる群から選択される第一増殖因子を含むと留意される。米国特許第2005/0
244962号明細書は、本開示の1つの態様が、霊長類胚性幹細胞を培養する方法を提
供することと、培養中の幹細胞が、哺乳動物胎児血清を実質的に含まず(好ましくはまた
任意の動物血清を実質的に含まず)、ただ線維芽細胞フィーダー層以外の供給源から供給
される線維芽細胞増殖因子の存在下であることを報告している。

0050

国際特許第2005/065354号パンフレットは、基礎培地、bFGF、インスリ
ン及びアスコルビン酸を含む実質的にフィーダーを含まず、血清を含まない、規定された
等張培養培地を開示する。さらに、国際特許第2005/086845号パンフレットは
、未分化幹細胞の維持のための方法を開示し、前記方法には、幹細胞を、望む結果を達成
するために十分な時間、未分化な状態に細胞を維持するのに十分な量の、タンパク質のト
ランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)ファミリーのメンバー、タンパク質の線
維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーのメンバー、又はニコチンアミド(NIC)に曝
露することが含まれる。

0051

多能性幹細胞は、好適な培養基質上に播くことができる。1つの実施形態において、好
適な培養基質は、基底膜から由来するもののような、又は、接着分子受容体−リガンド結
合の部分を形成し得る、細胞外マトリックス成分である。1つの実施形態において、好適
な培養基質は、MATRIGEL(商標)(Becton Dickenson)である
。MATRIGEL(商標)は、室温でゲル化し、再構成基底膜を形成する、Engel
breth−Holm Swarm腫瘍細胞からの可溶性調製物である。

0052

他の細胞外マトリックス成分及び成分混合物が、代替物として好適である。増殖させる
細胞型に応じて、これは、ラミニンフィブロネクチンプロテオグリカンエンタクチ
ン、ヘパラン硫塩、及び同様物を、単独で又は様々な組み合わせで含み得る。

0053

多能性幹細胞を、好適な分布で、培地の存在下、基質上にプレートしてよく、細胞生存
伝播及び望む特徴の保持を促進する。全てのこれらの特徴は、播種分布に対する注意
い注意からの利益であり、当業者によって簡単に決定されうる。好適な培養培地は、以下
の成分、Life Technologies Corporation,Grand
Island,NYにより商標GIBCO(商標)(Part番号11965−092)
の下販売されているダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、Life Techno
logies Corporation,Grand Island,NYにより商標G
IBCO(商標)(Part番号10829−018)の下販売されている、ノックアウ
トダルベッコ変法イーグル培地(KO DMEM)、ハムF12/50% DMEM基礎
培地、Life Technologies Corporation,Grand I
sland,NYにより商標GIBCO(商標)(Part番号115039−027)
の下販売されている、200mM L−グルタミン、Life Technologie
s Corporation,Grand Island,NYにより商標GIBCO(
商標)(Part番号11140−050)の下販売されている非必須アミノ酸溶液、β
メルカプトエタノール、Sigma−Aldrich Company,LLC Sa
int Louis,MOにより販売されている(Part番号7522)、Life
Technologies Corporation,Grand Island,NY
により商標GIBCO(商標)(Part番号13256−029)の下販売されている
ヒト組換え体塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)から作製されて良い。

0054

多能性幹細胞の分化
多能性幹細胞は、β細胞に向かって分化するにつれ、それぞれが、特定のマーカーが存
在する、又は存在しないことによって特徴付けられて良い、種々のステージを通して分化
する。これらのステージへの細胞の分化は、圧力、又は培養培地に加えた特定の因子の欠
如を含む、特定の培養条件によって達成される。一般に、本分化は、多能性幹細胞の、胚
体内胚葉への分化を含んでよい。これらの胚体内胚葉細胞は次いで、腸管細胞にさらに分
化し、続いて前腸内胚葉細胞に分化してよい。前腸内胚葉細胞は、膵臓前腸前駆細胞に分
化してよく、これは続いて、膵臓内胚葉細胞、膵臓内分泌前駆細胞又は両方に分化可能で
ある。これらの細胞は次いで、(β細胞のような)膵臓ホルモン産出細胞に分化してよい

0055

本発明は、(T3、T3の類似体、T4、T4の類似体、又はそれらの組合せ(合わせ
て本明細書以下「T3/T4」と呼ぶ)のような)甲状腺ホルモンと、ALK5阻害剤を
用いる、膵臓内分泌細胞への、多能性肝細胞のステージ化分化を提供する。本発明はまた
、(T3/T4のような)甲状腺ホルモン又はALK5阻害剤を用いて、膵臓内分泌細胞
への、多能性幹細胞のステージ化分化を提供する。好適な甲状腺ホルモン類似体としては
、R&D Systems,Inc.カタログ番号#4554から入手可能なGC−1(
Sobertirome)、DITPA(3,5−ジヨードチロプロピオン酸)、J.S
teroid Biochem.Mol.Biol.2008,111:262〜267
及びProc.Natl.Acad.Sci.US2003,100:10067〜10
072にて議論されるKB−141、Proc.Natl.Acad.Sci.US20
07,104:15490〜15495にて議論されるMB07344、PLoS On
o,2010,5e8722及びJ.Lipid Res.2009,50:938〜9
44にて議論されるT0681、及びPLoS One,2010 e8722及びEn
docr Pract.2012,18(6):954〜964にて議論されるGC−2
4が挙げられ、これらの開示はその全てが参照により本明細書に組み込まれている。有用
なALK5阻害剤としては、ALK5阻害剤II(Enzo,Farmingdale,
NY)、ALK5i(Axxora,San Diego,CA)、SD208(R&D
systems(MN))、TGF−B阻害剤SB431542(Xcess Bio
sciences(SanDiego,CA))、ITD−1(Xcess Biosc
iences(SanDiego,CA))、LY2109761(Xcess Bio
sciences(SanDiego,CA))、A83−01(Xcess Bios
ciences(SanDiego,CA))、LY2157299(Xcess Bi
osciences(SanDiego,CA))、TGF−β受容体inh V(EM
D Chemicals,Gibstown,NJ)、TGF−β受容体inh I(E
MD Chemicals,Gibstown,NJ)、TGF−β受容体inh IV
(EMD Chemicals,Gibstown,NJ)、TGF−β受容体inh
VII(EMD Chemicals,Gibstown,NJ)、TGF−β受容体i
nh VIII(EMD Chemicals,Gibstown,NJ)、TGF−β
受容体inh II(EMD Chemicals,Gibstown,NJ)、TGF
−β受容体inh VI(EMD Chemicals,Gibstown,NJ)、T
GF−β受容体inh III(EMD Chemicals,Gibstown,NJ
)が挙げられる。

0056

多能性幹細胞の、膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞への分化
多能性幹細胞の特徴は当業者に公知であり、多能性幹細胞の更なる特徴は、継続して同
定されている。多能性幹細胞マーカーとしては、例えば、以下の、ABCG2、クリプト
、FOXD3、CONNEXIN43、CONNEXIN45、OCT4、SOX2、N
ANOG、hTERT、UTF1、ZFP42、SSEA−3、SSEA−4、TRA−
1−60及びTRA−1−81の1つ又は2つ以上の発現が含まれる。

0057

例示多能性幹細胞としては、ヒト胚性幹細胞株H9(NIHコート:WA09)、ヒト
胚性幹細胞株H1(NIHコード:WA01)、ヒト胚性幹細胞株H7(NIHコード:
WA07)、及びヒト胚性幹細胞株SA002(Cellrtis,Sewden)が挙
げられる。また、以下の多能性細胞に特徴的なマーカー、ABCG2、クリプト、CD9
、FOXD3、CONNEXIN43、CONNEXIN45、OCT4、SOX2、N
ANOG、hTERT、UTF1、ZFP42、SSEA−3、SSEA−4、TRA−
1−60及びTRA−1−81の少なくとも1つを発現する細胞が好適である。

0058

胚体内胚葉系統に特徴的なマーカー、少なくとも1つを発現している細胞が、本発明に
おける使用のためにまた好適である。本発明の1つの実施形態において、胚体内胚葉系統
に特徴的なマーカーを発現している細胞は、霊長類原始線条前駆細胞である。他の実施形
態において、胚体内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現している細胞は、中胚葉細胞であ
る。他の実施形態において、胚体内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現している細胞は、
胚体内胚葉細胞である。

0059

また、少なくとも1つの膵臓内分泌系統に特徴的なマーカーを発現している細胞が、本
発明における利用のために好適である。本発明の1つの実施形態において、膵臓内分泌系
統に特徴的なマーカーを発現している細胞は、PDX1及びNKX6.1の発現が、CD
X2及びSOX2の発現より実質的に高い、膵臓内分泌細胞である。PDX1及びNKX
6.1の発現が、CDX2又はSOX2の発現よりも少なくとも2倍高い細胞がとりわけ
有用である。

0060

1つの実施形態において、膵臓内分泌細胞は、以下のホルモン:インスリン、グルカゴ
ン、ソマトスタチン又は膵臓ポリペプチドの少なくとも1つを発現可能な膵臓内分泌細胞
が製造される。膵臓内分泌系統に特徴的なマーカーを少なくとも1つ発現している前駆細
胞が、本発明における利用のために好適である本発明の1つの好ましい実施形態において
、膵臓内分泌系統に特徴的なマーカーを発現している細胞は、膵臓内分泌細胞である。好
ましい実施形態において、膵臓内分泌細胞は、インスリン産出β細胞である。

0061

本発明の特定の実施形態において、膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している
細胞に到着するために、多能性幹細胞、又は人工多能性幹細胞、好ましくは多能性幹細胞
で開始するプロトコールを使用する。本プロトコールは、以下のステージを含む。
ステージ1:細胞培養株から得た、胚性幹細胞のような、多能性幹細胞を、適切な因子
で処理して、胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞への分化を誘導する

ステージ2:ステージ1からの細胞を、適切な因子で処理して、腸管細胞に特徴的なマ
ーカーを発現している細胞へのさらなる分化を誘導する。
ステージ3:ステージ2からの細胞を、適切な因子で処理して、前腸内胚葉細胞に特徴
的なマーカーを発現している細胞へのさらなる分化を誘導する。
ステージ4:ステージ3からの細胞を、(特定の実施形態において、T3/T4を含む
)適切な因子で処理して、膵臓前腸前駆細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞への
さらなる分化を誘導する。
ステージ5:ステージ4からの細胞を、(特定の実施形態において、(i)T3/T4
、(ii)ALK5阻害剤、又は(iii)T3/T4及びALK5阻害剤両方を含む)
適切な因子で処理して、膵臓内胚葉/内分泌前駆細胞に特徴的なマーカーを発現している
細胞へのさらなる分化を誘導する。
ステージ6:ステージ5からの細胞を、(特定の実施形態において、T3/T4、AL
K5阻害剤、又は両方を含む)適切な因子で処理して、膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカ
ーを発現している細胞へのさらなる分化を誘導する。

0062

特定の実施形態において、本発明は、膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現してい
る細胞に、多能性幹細胞を分化させることを包含する一方で、本発明はまた、膵臓内分泌
細胞に向かう他の中間ステージからの結果である細胞を分化することを包含する。特に、
本発明は、膵臓前腸前駆細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞の、膵臓内分泌細胞
に特徴的なマーカーを発現している細胞への分化を包含する。さらに、工程が分離ステー
ジで記述されるけれども、分化工程を通した細胞の処理並びに工程は、連続性又は持続性
であってよい。

0063

培養又は単離された細胞中のタンパク質及び核酸マーカーの発現を評価する方法は、当
該技術分野にて標準的である。これらの方法としては、RT−PCR、ノザンブロット
インサイチューハイブリッド形成(例えばCurrent Protocols in
Molecular Biology(Ausubel et l.,eds.2001
補遺を参照)、及び免疫アッセイ切断材料の免疫染色化学解析のような、ウエスタン
ロッティング、及び無傷細胞中でアクセス可能なマーカーに対する、フローサイトメトリ
解析(FACS)(例えばHarlow and Lane,Using Antibo
dies:A Laboratory Manual,New York:Cold S
pring Hrbor Lbortory Press(1998)を参照)免疫アッ
セイが挙げられる。さらに、分化の効率は、対象の細胞型に特徴的なマーカーを発現して
いる細胞によって発現されたタンパク質マーカーを特異的に認識する(抗体のような)薬
剤へ、処理した細胞集団曝露することによって決定されてよい。

0064

分化細胞をまた、さらに精製しても良い。例えば、多能性幹細胞を、本発明の方法で処
理した後、分化した細胞を、処理した細胞集団を、精製している分化細胞によって特徴的
に発現されたタンパク質マーカーを特異的に認識する(抗体のような)薬剤に曝露するこ
とによって精製してよい。
ステージ1:多能性幹細胞の、胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞
への分化

0065

多能性幹細胞は、当該技術分野で公知の任意の好適な方法によって、又は本発明で提案
される任意の方法によって、胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞に分
化させてよい。多能性幹細胞を、胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞
に分化させるための好適な方法は、多能性幹細胞、及び胚体内胚葉系統に特徴的なマーカ
ーを発現している細胞への多能性幹細胞の分化に関するとして、その全てが参照により組
み込まれている、米国特許第2007/0254359号明細書、米国特許第2009/
0170198号明細書、米国特許第2009/0170198号明細書、米国特許第2
011/0091971号明細書、米国特許第2010/0015711号明細書、米国
特許第2010/0015711号明細書、米国特許第2012/0190111号明細
書、米国特許第2012/0190112号明細書、米国特許第2012/019636
5号明細書、米国特許第20100015711号明細書、米国特許第2012/019
0111号明細書、米国特許第2012/0190112号明細書、米国特許第2012
/0196365号明細書、米国特許第20100015711号明細書、米国特許第2
012/0190111号明細書、米国特許第2012/0190112号明細書、米国
特許第2012/0196365号明細書、米国特許仮出願第61/076,900号明
細書、米国特許仮出願第61/076,908号明細書、及び米国特許仮出願第61/0
76,915号明細書に開示されている。

0066

本発明の1つの実施形態において、多能性幹細胞を、アクチビンA及びWnt3Aを補
充した培地で処理し、胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞の発生とす
る。処理は、多能性幹細胞を、約50ng/ml〜約150ng/ml、あるいは約75
ng/kml〜約125ng/ml、あるいは約100ng/mlのアクチビンAを含む
培地と接触させることを含んでよい。処理はまた、細胞を、約10ng/ml〜約50n
g/ml、あるいは約15ng/ml〜約30ng/ml、あるいは約20ng/mlの
Wnt3Aと接触させることを含んでよい。多能性細胞を、およそ2〜5日間、好ましく
は2〜3日間培養して、それらの胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞
への分化を促進してよい。1つの実施形態において、細胞を、アクチビンAとWnt3の
存在下で1日培養し、続いてアクチビンA(Wnt3Aが存在せず)の存在下、残りの時
間培養する。

0067

本発明の他の実施形態において、多能性幹細胞を、増殖分化因子8(「GFD8」)と
(その全てが参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第2010/00157
11号明細書にて開示される環状アニリンピリジトリアジン化合物のような)グルカ
ゴンシンターゼキナーゼ−3β(「GSK3β」)阻害剤を補充した培地で処理して、胚
体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞への分化を誘導する。好ましいGS
K3β阻害剤は、本明細書で(「MCX化合物」)と呼ぶ、14−プロパ−2−エン−1
−イル−3,5,7,14,17,23,27−ヘプタアザテトラシクロ[19.3.1
.1〜2,6〜.1〜8,12〜]ヘプタコサ−1(25)、2(27)、3,5,8(
26)、9,11,21,23−ノネン−16−オンである。処理は、多能性幹細胞を、
約50ng/ml〜約150ng/ml、あるいは約75ng/kml〜約125ng/
ml、あるいは約100ng/mlのGDF8を補充した培地と接触させることを含んで
よい。処理はまた、細胞を約0.1〜5μM、あるいは約0.5〜約2.5μM、好まし
くは約1μMのMCX化合物と接触させることを含んでもよい。多能性幹細胞を、およそ
2〜5日間、好ましくは約3〜4間培養し、胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現し
ている細胞へのそれらの分化を促進してよい。1つの実施形態において、細胞を、GDF
8とMCX化合物の存在下、1日培養し、続いて、GDF8と低濃度のMCX化合物の存
在下、1日培養し、続いて、GDF8の存在下、MCX化合物のない状態で1日培養して
よい。特に、細胞を、GDF8と約1μMのMCX化合物の存在下で1日培養し、続いて
GDF8と約0.1μMのMCX化合物の存在下で1日培養し、続いてGDF8の存在下
、MCX化合物のない状態で、1日培養してよい。他の実施形態において、細胞を、GD
F8と約1μMのMCX化合物の存在下、1日培養し、続いて、GDF8と、約0.1μ
M MCX化合物の存在下、1日培養する。

0068

胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞の発生は、特定のプロトコール
に従う前、及び後に、マーカーの存在に関して試験することによって決定してよい。多能
性幹細胞は、典型的にはそのようなマーカーを発現しない。したがって、多能性細胞の分
化は、細胞が、胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現し始めた時に検出可能である。
ステージ2:胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している、腸管細胞に特徴的な
マーカーを発現している細胞への分化

0069

胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を、腸管細胞に特徴的なマーカ
ーを発現している細胞へさらに分化してよい。1つの実施形態において、腸管細胞に特徴
的なマーカーを発現している細胞の形成には、胚体内胚葉に特徴的なマーカーを発現して
いる細胞を、線維芽細胞増殖因子(「FGF」)7又はFGF10を含む培地で培養して
、これらの細胞を分化させることが含まれる。例えば、培養培地には、約25ng/ml
〜約75ng/ml、あるいは約30ng/mL〜約60ng/ml、あるいは約50n
g/mlのFGF7又はFGF10、好ましくはFGF7を含んでよい。細胞を、約2〜
3日、好ましくは約2日間、これらの条件下で培養してよい。

0070

他の実施形態において、腸管細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞への分化には
、胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を、FGF7又はFGF10及
びアスコルビン酸(ビタミンC)と培養することが含まれる。培養培地は、約0.1mM
〜約0.5mMアスコルビン酸、あるいは約0.2mM〜約0.4mM、あるいは約0.
25mMのアスコルビン酸を含んでよい。培養培地はまた、約10ng/ml〜約35n
g/ml、あるいは約15ng/ml〜約30ng/ml、あるいは約25ng/mlの
FGF7又はFGF10、好ましくはFGF7を含んでもよい。例えば、培養培地は、約
0.25mMのアスコルビン酸と約25ng/mlのFGF7を含んでよい。1つの実施
形態において、胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を、FGF7とア
スコルビン酸とで、2日間処理する。
ステージ3:腸管細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞の、前腸内胚葉細胞に特
徴的なマーカーを発現している細胞への分化

0071

腸管細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞をさらに、前腸内胚葉細胞に特徴的な
マーカーを発現している細胞に分化してよい。1つの実施形態において、ステージ2細胞
をさらに、これらの細胞を、(シクロパミン又はMRT10(N−[[[3−ベンゾイル
アミノ)フェニル]アミノ]チオキソメチル]−3,4,5−トリメトキシベンズアミド
))又はシクロパミンのような)Smoothened(「SMO」)受容体阻害剤、又
は(Smoothened Antagonist 1(「SANT−1」)((E)−
4−ベンジル−N−((3,5−ジメチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル
メチレンピペラジン−1−アミン)のような)Sonic Hedgehog(「SH
H」)シグナル伝達経路アンタゴニスト、又はHedgehog Pathway In
hibitor 1(「HPI−1」)(2−メトキシエチル1,4,5,6,7,8−
ヘキサヒドロ−4(3−ヒドロキシフェニル)−7−(2−メトキシフェニル)−2−メ
チル−5−オキソ−3−キノリンカルボキシレート))、レチノイン酸、及びNoggi
nを補充した培養培地中で培養することによって、ステージ3細胞に分化させる。あるい
は、培地には、SMO阻害剤、SHHシグナル伝達経路アンタゴニスト、レチノイン酸及
びNogginを補充してよい。細胞を、およそ2〜4日間、好ましくは2日間培養して
よい。1つの実施形態において、培地には、約0.1μM〜約0.3μMのSANT−1
、約0.5μM〜約3μMのレチノイン酸及び約75ng/ml〜約125ng/mlの
Nogginを補充する。他の実施形態において、培地には、約0.25μMのSANT
−1、約2μMのレチノイン酸及び約100ng/mlのNogginを補充する。

0072

他の実施形態において、ステージ2細胞を、FGF7又はFGF10、レチノイン酸、
(MRT10又はシクロパミンのような)SMO受容体阻害剤又は(SANT−1又はH
PI−1のような)SHHシグナル伝達経路アンタゴニスト、(((2S,5S)−(E
,E)−8−(5−(4−トリフルオロメチル)フェニル)−2,4−ペンタエノイル
イルアミノベンゾラクタム(「TPB」))EMD Chemicals,Inc.,
Gibbstown,NJ)のようなタンパク質キナーゼC(「PKC」)アクチベータ
ホルボール−12,13−ジブチルート(「PDBu」)、ホルボール−12−ミリス
テート−13−アセテート(「PMA])、又はインドラクタムV(「ILV」))、(
LDN−193189、Noggin又はChordinのような)骨形態形成タンパク
質(「BMP」)阻害剤、及びアスコルビン酸を補充した培地で処理することによって、
ステージ2細胞をさらにステージ3細胞に分化させる。他の実施形態において、培地に、
FGF7又はFHF10、レチノイン酸、SMO阻害剤、(SANT−1のような)SH
Hシグナル伝達アンタゴニスト、(TPBのような)PKCアクチベータ、(LDN−1
93189のような)BMP阻害剤及びアスコルビン酸を補充してよい。細胞を、これら
の増殖因子、低分子アゴニスト、及びアンタゴニストとの存在下、約2〜4日間、好まし
くは約2〜3日間、培養してよい。

0073

1つの実施形態において、培地には、約15ng/ml〜約35ng/mlのFGF7
、約0.5μM〜約2μMのレチノイン酸、約0.1μM〜約0.4μMのSANT−1
、約100nM〜約300nMのTRB、約50nM〜約200nMのLDN−1931
89、及び約0.15mM〜約0.35mMのアスコルビン酸を補充してよい。他の実施
形態において、培地には、約25ng/mlのFGF7、約1μMのレチノイン酸、約0
.25μMのSANT−1、約200nMのTPB、約100nMのLDN−19318
9、及び約0.25mMのアスコルビン酸を補充する。
ステージ4〜6:甲状腺ホルモンT3/T4又はALK5阻害剤、又はT3/T4及び
ALK5阻害剤両方を補充した培養培地での処理による、前腸内胚葉細胞に特徴的なマー
カーを発現している細胞の、膵臓内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞への
分化。

0074

本発明は、甲状腺ホルモンT3/T4又はALK5阻害剤、又はT3/T4及びALK
5阻害剤両方を補充した培養培地での処理による、前腸内胚葉細胞に特徴的なマーカーを
発現している細胞のさらなる分化を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、
1つ以上のこれらのステージにて、(a)T3、(b)ALK5阻害剤、又は(c)T3
とALK5阻害剤両方を補充した培養培地での処理による、ステージ4〜ステージ6での
そのような細胞の更なる分化を提供する。

0075

1つの実施形態において、本発明は、以下
a.多能性幹細胞を培養することと、
b.多能性幹細胞を、前腸内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞に分化す
ることと、
c.(i)T3/T4、(ii)ALK5阻害剤、又は(iii)T3/T4とALK
5阻害剤両方を補充した培地での処理によって、前腸内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発
現している細胞を、多能性幹細胞からの膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現してい
る細胞に分化すること、とを含む、多能性幹細胞からの膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカ
ーを発現している細胞を製造するための方法を提供する。

0076

1つの実施形態において、膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞は、
β細胞である。他の実施形態において、得られた細胞は、NKX6.1、PDX1及びH
B−9に対して陽性である。本方法は、NKX6.1陽性膵臓内胚葉前駆細胞中のHB陽
性細胞の数を増強してよい。本方法はまた、NKX2.2又はSOX2、又は両方の発現
、並びにアルブミン発現も減少させて良い。本方法はまた、T3/T4を補充した培地中
の、膵臓内胚葉/内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を培養することによ
って、β細胞を含む、膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞も提供して
よい。多能性幹細胞から、膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を製造
する方法は、表I〜IIIにて示した、又は本明細書で記述した培養条件を利用してよい
。1つの実施形態において、ALK5阻害剤は、SD208((2−(5−クロロ−2−
フルオロフェニルプテリジン−4−イル]ピリジン−4−イルーアミン)である。他の
実施形態において、ALK5阻害剤II((2−(3−(6−メチルピリジン−2−イル
)−1H−ピラゾール−4−イル)−1,5−ナフチリジン)、ALX−270−445
、ENZO、Farmingdale,NY)も使用可能である。

0077

T3/T4、ALK5阻害剤、又は両方を補充した培養培地での、ステージ4〜6の細
胞の処理は、種々の利点を提供する。例えば、ステージ4〜ステージ6での甲状腺ホルモ
ンの添加は、グルカゴン、ソマトスタチンオ及びグレリンを有意にダウンレギュレート
、一方でステージ5にて、インスリン発現を穏やかに増加させる。ステージ4〜6でのT
3/T4の添加はまた、NKX2.2の発現を有意に減少させるように見え、一方でNK
X6.1及びPDX1発現には影響がない。さらに、ステージ4〜6のT3/T4添加が
、SOX2(胃マーカー)とアルブミン(肝臓マーカー)発現を抑制し、一方でCDX2
(腸マーカー)発現に影響を与えない。さらに、未処理対照と比較して、ステージ4での
T3での処理は、ステージ6でのHB9陽性細胞の数を増加させる。さらに、T3処理は
、HB9を発現するNKX6.1陽性細胞の数の増加をもたらした。ALK5阻害剤とT
3/T4両方への遅延性曝露は、NKX6.1の強い発現を維持する一方で、HB9の発
現を有意に増強するように見える。培養培地へのT3/T4の封入は、用量依存様式で、
NKX6.1陽性膵臓内胚葉前駆細胞中の、HB9陽性細胞の数を有意に増強するように
見える。

0078

したがって、特定の実施形態において、本発明は、少なくとも甲状腺ホルモンT3/T
4を補充した培地での処理によって、ステージ4〜ステージ6にて提供された分化した細
胞中のグルカゴン、ソマトスタチン及びグレリンをダウンレギュレートする方法を提供す
る。さらに、本発明はまた、少なくとも甲状腺ホルモンT3/T4を補充した培地での処
理によって、NKX6.1とPDX1を発現する、ステージ4〜ステージ6にて提供され
た分化した細胞中のNKX2.2発現を減少させる方法を提供する。さらに、本発明は、
甲状腺ホルモンT3/T4と、任意にALK5阻害剤を有する培地中で培養することによ
って、HB9を発現しているNKX6.1陽性細胞を増やすための方法を提供する。特定
の実施形態において、本方法は、表I〜IIIにて示した培養条件を使用する。

0079

本発明の1つの実施形態は、甲状腺ホルモンT3/T4、ALK5阻害剤、又は(T3
とALK5阻害剤のような)両方を補充した培地での処理によって、前腸内胚葉に特徴的
なマーカーを発現している細胞を、β細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞へ分化
させることを含む、β細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を形成する方法である
。得られる細胞は、NKX6.1、PDX1及びHb−9に対して陽性である。本方法は
、NKX6.1陽性膵臓内胚葉前駆細胞中、HB9陽性細胞の数を増強するために使用し
てよい。本方法はまた、NKX2.2の発現を減少させるために使用してもよい。さらに
、本方法は、SOX2とアルブミン発現を抑制するために使用してもよい。甲状腺ホルモ
ンは、T3であってよい。本方法はまた、T3及びALK5阻害剤を補充した培地で培養
されない細胞と比較して、HB9発現を増強するために使用してもよい。さらに、本方法
は、膵臓内胚葉/内分泌前駆細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を、T3.T4
を補充した培地中で培養することによって、β細胞に特徴的なマーカーを発現している細
胞の形成を含む。本発明は、本明細書で記述した表I〜IIIにて示した、又は本明細書
で記述した培養条件を使用してよい。

0080

本発明のまた他の実施形態は、T3/T4及びALK5阻害剤を補充した培地中で細胞
を培養することによって、膵臓前腸前駆細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞、膵
臓内胚葉/内分泌前駆細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞、又は膵臓内分泌細胞
に特徴的なマーカーを発現している細胞内の、グルカゴン、ソマトスタチン及びグレリン
をダウンレギュレートする方法である。培地にさらに、SMO阻害剤、(SANT−1の
ような)SHHシグナル伝達経路アンタゴニスト、レチノイン酸及びアスコルビン酸を補
充してよい。あるいは、培地にさらに、SMO阻害剤又はSHHシグナル経路アンタゴ
スト、レチノイン酸及びアスコルビン酸を補充してよい。とりわけステージ4にて使用し
た時に、培地に好ましくはFGF7を補充してよい。特定の実施形態において、本方法は
、表I〜IIIにて示した、又は本明細書で記述した培養条件を使用する。

0081

とりわけ、特定の実施形態において、細胞を、本発明の方法での使用のために好適な例
示培養条件を示す、以下の表Iにて概略を示したように、ステージ4〜ステージ6(すな
わちステージ4とステージ5とステージ6にて、又はステージ4とステージ5にて、又は
ステージ5とステージ6にて、又はステージ4とステージ6にて)処理してよい。特定の
実施形態において、1つのステージ(例えばステージ4)での任意の1つの処理を、他の
ステージ(例えばステージ5)での任意の1つの処理と組み合わせて良い。(例えばステ
ージ4)は、他のステージ(例えばステージ5)での任意の1つの処理と組み合わせてよ
い。

0082

他の実施形態において、本発明は、多能性幹細胞から由来する細胞を、膵臓内分泌β細
胞に特徴的なマーカー、並びにPDX1、NKX6.1及びHB9を発現している細胞へ
分化させるための、インビトロ細胞培養液を提供する。本細胞培養液は培養容器と、分化
培地と、多能性幹細胞から由来した分化した細胞の集団と、を含む。本細胞培養液は、分
化した細胞の集団を提供し、そこで、少なくとも10%の分化した細胞がPDX1、NK
X6.1及びHB9を発現する。本細胞培養液中で有用な培地が、表I〜IIIにて列記
されており、好ましくは、T3/T4又はALK5阻害剤、又は両方を含む。

0083

0084

T3が一般に好ましい一方で、他の甲状腺ホルモンを、T3の代わりに使用してよい。
特に、T4を、T3、並びにT3とT4の好適な類似体の代わりに使用してよい。好適な
甲状腺ホルモン類似体としては、R & D Systems,Inc.カタログ番号4
554から入手可能なGC−1(Sobertirome)、DITPA(3,5−ジヨ
ードチロプロピオン酸)、J.Steroid Biochem.Mol.Biol.2
008,111:262〜267及びProc.Natl.Acad.Sci.US20
03,100:10067〜10072にて議論されるKB−141、Proc.Nat
l.Acad.Sci.US2007,104:15490〜15495にて議論される
MB07344、PLoS Ono,2010,5e8722及びJ.Lipid Re
s 2009,50:938〜944にて議論されるT0681、及びPLoS One
,2010 e8722及びEndocr.Pract.2012,18(6):954
〜964にて議論されるGC−24が挙げられ、これらの開示はその全てが本明細書にて
参照により組み込まれている。T3、ALK5阻害剤、SANT−1、レチノイン酸、ア
スコルビン酸、FGF7、LDN−193189及びTPBは、各ステージで変化してよ
い。これらの成分の例示好適な範囲を、以下表UIIで示す。

0085

0086

1つの実施形態において、本発明の方法には、前腸内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発
現している細胞を、SANT−1、レチノイン酸(「RA」)、FGF7、LDN−19
3189、アスコルビン酸及びTPBを補充した培地で、2〜4日間、好ましくは約3日
間、処理して、それらを、膵臓前腸前駆細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞に分
化することを含む。特に、ステージ3細胞を、約0.25μM SANT−1、約100
nM RA、約2ng/ml FGF7、約100nM LDN−193189及び約0
.25mMアスコルビン酸、及び約100nM TPBを補充した培地で、3日間処理し
てよい。1つの実施形態において、培地にさらに、約1μMのT3のような、T3を補充
する。他の実施形態において、培地に、約1μM ALK5阻害剤のような、ALK5阻
害剤を補充してよい。

0087

他の実施形態において、本発明の方法には、膵臓前腸前駆細胞に特徴的なマーカーを発
現している細胞を、SANT−1、RA、アスコルビン酸及びALK5阻害剤を補充した
培地で、約2〜3日間処理して、この細胞を、膵臓内胚葉/内分泌前駆細胞に特徴的なマ
ーカーを発現している細胞に分化させることが含まれる。特定の実施形態において、培地
にはさらにT3を補充してよい。1つの実施形態において、約0.25μM SANT−
1、約50nM RA、約0.25mMアスコルビン酸及び約500nM ALK5阻害
剤を補充した培地で細胞を処理することによって、ステージ4細胞が、ステージ5細胞ま
で分化する。他の実施形態において、ステージ4細胞はさらに、約0.25μM SAN
T−1、約50nM RA、約0.25mMアスコルビン酸、約1μM ALK5阻害剤
及び0〜1000(例えば、100)nM T3/T4を補充した培地で細胞を、約2〜
4日間、好ましくは約3日間、処理することによって、ステージ5細胞まで分化する。1
00)nM T3/T4を補充した培地で細胞を、約2〜4日間、好ましくは約3日間、
処理することによって1つの実施形態において、本明細書の実施形態にしたがって誘導し
たステージ4細胞を使用し、ステージ5細胞まで分化させ、一方他の実施形態において、
他のプロトコールにしたがって誘導したステージ4細胞を使用してよい。

0088

本発明の1つの実施形態において、膵臓内胚葉/内分泌前駆細胞に特徴的なマーカーを
発現している細胞を、SANT−1、RA、アスコルビン酸及び(1)T3/T4又は(
2)T3/T4とALK5阻害剤いずれかを補充した培地で、約2〜4日間、好ましくは
約3日間、これらを処理することによって、膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現し
ている細胞に分化させる。例えば、ステージ5細胞を、約0.25μM SANT−1、
約50nM RA、約0.25mMアスコルビン酸、及び約1μMのT3/T4を補充し
た培地での、3日間の処理によって、ステージ6細胞まで分化させてよい。あるいは、ス
テージ5細胞を、約0.25μM SANT−1、約50nM RA、約0.25mMア
スコルビン酸、約500nM ALK5阻害剤及び10nM T3/T4を補充した培地
での、約3日間の処理によって、ステージ6細胞まで分化させてよい。あるいは、ステー
ジ5細胞を、約0.25μM SANT−1、約5n0nM RA、約0.25mMアス
コルビン酸、約1μM ALK5阻害剤及び0〜1000nM T3/T4を補充した培
地での、約3日間の処理によって、ステージ6細胞に分化させてよい。細胞をさらに、望
むように、例えば合計約15日間、そのような培地中で培養してよい。

0089

1つの実施形態において、本発明の実施形態にしたがって誘導したステージ5細胞を使
用し、ステージ6細胞に分化させ、一方他の実施形態において、他のプロトコールにした
がって誘導したステージ5細胞を使用してもよい。

0090

本発明の1つの態様は、T3/T4又はALK5阻害剤、又はその組合せを含む培地中
、ステージ4〜ステージ6細胞を処理することによって、HB9の発現を増強する方法を
提供する。ステージ4、ステージ5及びステージ6細胞は、それぞれ、膵臓前腸前駆細胞
、膵臓内胚葉/内分泌前駆細胞、及び膵臓内分泌細胞であってよい。いくつかの実施形態
において、処理した細胞集団は、未処理培養液の少なくとも2倍のHB9タンパク質を発
現する。他の実施形態において、インスリンの発現レベルは、未処理培養液と比較して、
処理培養液中で正に影響を受ける。しかしながら、ソマトスタチン、グレリン及びグルカ
ゴンの発現は、処理対未処理培養液で減少する。追加の実施形態において、ステージ5細
胞は、CDX2又はSOX2を実質的に発現しない。

0091

さらなる実施形態において、本発明は、ステージ4〜ステージ6細胞を、NKX6.1
、PDX1及びHB9タンパク質に対して陽性の膵臓内胚葉系統細胞の集団を発生させる
のに十分な量のT3/T4又はALK5阻害剤、又はこれらの組合せを含む培地中で培養
することを含む、多能性細胞を分化する段階的方法に関する。他の実施形態において、少
なくとも5%のPDX1及びNKX6.1共陽性細胞が、HB9タンパク質を発現する。
また他の実施形態において、少なくとも10%のPDX1及びNKX6.1共陽性細胞が
、HB9タンパク質を発現する。また他の実施形態において、少なくとも20%のPDX
1及びNKX6.1共陽性細胞が、HB9タンパク質を発現する。他の実施形態において
、少なくとも30%のPDX1及びNKX6.1共陽性細胞が、HB9タンパク質を発現
する。他の実施形態において、少なくとも40%のPDX1及びNKX6.1共陽性細胞
が、HB9タンパク質を発現する。他の実施形態において、少なくとも50%のPDX1
及びNKX6.1共陽性細胞が、HB9タンパク質を発現する。他の実施形態において、
少なくとも60%のPDX1及びNKX6.1共陽性細胞が、HB9タンパク質を発現す
る。他の実施形態において、少なくとも70%のPDX1及びNKX6.1共陽性細胞が
、HB9タンパク質を発現する。他の実施形態において、少なくとも80%のPDX及び
NKX6.1共陽性細胞が、HB9タンパク質を発現する。また他の実施形態において、
少なくとも90%のPDX及びNKX6.1共陽性細胞が、HB9タンパク質を発現する
。他の実施形態において、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%
、97%、98%又は99%のPDX1及びNKX6.1共陽性細胞が、HB9タンパク
質を発現する。

0092

いくつかの実施形態において、PDX1、NKX6.1及びHB9タンパク質陽性細胞
からなる膵臓内胚葉系統細胞集団を、機能的膵臓内分泌細胞へのさらなるインビボ成熟化
のために、糖尿病動物へ移植する。他の実施形態において、本発明はまた、本発明の方法
によって調製した、インスリン及びNKX6.1発現細胞を包含する。また他の実施形態
において、本発明は、多能性幹細胞のような前駆細胞を、HB9を発現している膵臓内胚
葉系統の細胞へ分化する段階的工程を包含する。本発明の方法は、1つ又は2つ以上のこ
れらの段階を含む。特に、本方法は、胚体内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している
細胞へ、多能性幹細胞を分化させる段階を包含する。本段階は、およそ3日間かかる場合
がある。これらの細胞を次いで、適切な条件下で細胞を培養することによって、腸管細胞
に特徴的なマーカーを発現している細胞に分化させる。1つの実施形態において、細胞を
、およそ2日間培養する。腸管細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を次いで、前
腸内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞に分化させる。この分化は、およそ
2日間、細胞を培養することによって達成してよい。さらなる実施形態において、多能性
幹細胞は、ヒト胚性多能性幹細胞である。

0093

これらの細胞を次いで、膵臓前腸前駆細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞に分
化させ、続いて膵臓内胚葉/内分泌前駆細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞に分
化させてよく、次いで膵臓内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞に分化させ
てよい。HB9を発現している膵臓内胚葉系統細胞への分化を達成するために、膵臓前腸
前駆細胞、及び膵臓内胚葉/内分泌前駆細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を、
アクチビン受容体阻害剤(好ましくはALK5阻害剤)及び/又はT3/T4甲状腺ホル
モンの1つ又は2つ以上と共に培養してよい。1つの実施形態において、膵臓前腸前駆細
胞、及び膵臓内胚葉/内分泌前駆細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を、T3/
T4と培養する。他の実施形態において、膵臓前腸前駆細胞、及び膵臓内胚葉/内分泌前
駆細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を、アクチビン受容体阻害剤と培養する。
他の実施形態において、細胞を、アクチビン受容体阻害剤と、T3/T4両方と培養する
。本発明の方法は、HB9を発現している膵臓内胚葉系統の細胞へ分化可能でありうる任
意の細胞に好適である。表IIIは、本発明の方法の実施形態での利用に好適な例示培養
条件を図示している。以下表IIIにて使用するように、「MCX」は、MXC化合物
あり、「AA」はアクチビンであり、「ALK5 inh.」は、ALK5阻害剤であり
、「RA]はレチノイン酸であり、「Vit.C」はアスコルビン酸であり、「inh.
」は阻害剤であり、「act」はアクチベータである。特定の実施形態において、1つの
ステージ(例えばステージ1、2、3、4、5又は6のいずれか1つ)での処理のいずれ
か1つを、他のステージ(例えば、ステージ1、2、3、4、5又は6のいずれか1つ)
でのいずれか1つの処理と組み合わせて良い。

0094

以下余白

0095

0096

1つの実施形態において、本発明は、ALK5阻害剤を含む培地中の、膵臓内胚葉系統
細胞の集団を培養することによる、HB9の発現を増強する方法を提供する。いくつかの
実施形態において、膵臓内胚葉系統細胞の集団は、CDX2又はSOX2を実質的に発現
しない。他の実施形態において、膵臓内胚葉系統細胞の集団は、多能性細胞の段階的な分
化によって得る。追加の実施形態において、多能性細胞は、ヒト胚性多能性細胞である。

0097

1つの実施形態において、本発明は、ALK5阻害剤を含む培地中、膵臓内胚葉系統細
胞の集団を培養することによる、HB9の発現を増強する方法を提供する。いくつかの実
施形態において、膵臓内胚葉系統細胞の集団を、多能性細胞の段階的分化によって得る。
いくつかの実施形態において、多能性細胞は、ヒト胚性多能性細胞である。

0098

好ましい実施形態において、本発明は、ALK5阻害剤とT3を含む培地中、膵臓内胚
葉系統細胞の集団を培養することによる、HB9の発現を増強する方法に関する。いくつ
かの実施形態において、膵臓内胚葉系統細胞の集団を、多能性細胞の段階的分化によって
得る。追加の実施形態において、多能性細胞は、ヒト胚性多能性細胞である。

0099

他の実施形態において、本発明は、十分な量のT3、ALK5阻害剤又はその組合せを
含む培地中でそのような細胞を処理することによる、PDX及びNKX6.1共発現細胞
中のHB9の発現を増強する方法に関する。

0100

本発明の1つの実施形態は、(a)多能性肝細胞を培養することと、(b)多能性幹細
胞を、前腸内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞に分化することと、(c)
T3/T4、又はALK5阻害剤、又は両方を補充した培地での処理によって、前腸内胚
葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を、β細胞に特徴的なマーカーを発現して
いる細胞に分化することと、の段階を含む、多能性幹細胞からβ細胞に特徴的なマーカー
を発現している細胞を製造するための方法である。得られた細胞は、NKX6.1、PD
X1及びHb−9に対して陽性であってよい。本方法は、膵臓内胚葉前駆細胞に特徴的な
マーカーを発現している、NKX6.1陽性細胞中の、HB9陽性細胞の数を増強するた
めに使用してよい。本方法は、NKX2.2の発現を減少させるために使用してもよい。
さらに、本方法は、SOX2及びアルブミン発現を抑制する。さらに、本方法は、インス
リンを発現している細胞の収率を増加させるために使用してよい。

0101

1つの実施形態において、T3を使用する。本方法には、T3及びALK5阻害剤を補
充した培地中で細胞を培養することが含まれてよい。本方法はまた、T3及びALK5阻
害剤を補充した培地で培養しない細胞と比較して、HB9発現を増強してよい。培地はま
た、任意の1つ又は2つ以上(例えば1、2、3又は全て)のSMO阻害剤、(SANT
−1のような)SHHシグナル伝達経路アンタゴニスト、レチノイン酸及びアスコルビン
酸と補充してよい。1つの実施形態において、本方法は、ALK5阻害剤をさらに補充し
ても良い、T3を補充した培地中、膵臓内胚葉/内分泌前駆細胞に特徴的なマーカーを発
現している細胞を培養することによる、β細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を
提供する。

0102

本発明の他の実施形態は、T3/T4、ALK5阻害剤又は両方を補充した培地での処
理による、腸内胚葉細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を、β細胞に特徴的なマ
ーカーを発現している細胞へ分化することを含む、β細胞に特徴的なマーカーを発現して
いる細胞を提供する方法である。特定の実施形態において、培地にさらに、BMP受容体
阻害剤とPKCアクチベータを補充する。得られた細胞は、NKX6.1、PDX1及び
Hb−9に対して好ましくは陽性である。本方法は、NKX6.1陽性膵臓内胚葉前駆細
胞中のHB9陽性細胞の数を増強し、NKX2.2の発現を減少させ、及び/又はSOX
2及びアルブミン発現を抑制するために使用してよい。好ましい実施形態において、T3
を使用する。本方法はまた、T3とALK5阻害剤を補充した培地中で細胞を培養するこ
とを含んでよい。本方法はまた、T3及びALK5阻害剤を補充した培地で培養しない細
胞と比較した時に、HB9発現を増強してもよい。さらに、本方法には、T3及び任意に
ALK5阻害剤を補充した培地中の膵臓内胚葉/内分泌前駆細胞に特徴的なマーカーを発
現している細胞を培養することによる、β細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞の
形成が含まれてよい。

0103

本発明のまた他の実施形態は、T3/T4及びALK5阻害剤を補充した培地中、膵臓
前腸前駆細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞を培養することによる、HB9発現
を増加させ、SOX2とアルブミン発現を抑制する方法である。本発明の他の実施形態は
、T3/T4及びALK5阻害剤を補充した培地中で細胞を培養することを含む、膵臓前
腸前駆細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞、膵臓内胚葉/内分泌前駆細胞に特徴
的なマーカーを発現している細胞、又は内分泌細胞に特徴的なマーカーを発現している細
胞中の、グルカゴン、ソマトスタチン及びグレリンをダウンレギュレートする方法である
。培地にはさらに、1つ又は2つ以上のSMO阻害剤、(SANT−1のような)SHH
シグナル伝達アンタゴニスト、レチノイン酸及びアスコルビン酸を補充してよい。1つの
実施形態において、細胞は、ステージ4細胞であり、培地にさらに、FGF7が補充され
る。

0104

本発明はまた、本発明の方法によって得ることが可能な細胞、又は細胞の集団を提供す
る。本発明はまた、本発明の方法によって得た細胞、又は細胞の集団を提供する。

0105

本発明は、処置方法を提供する。とりわけ、本発明は、糖尿病を患っている、又発達す
リスクのある患者処置する方法を提供する。

0106

本発明はまた、処置方法での使用のための、本発明の方法によって得ることが可能、も
しくは得た細胞又は細胞の集団を提供する。特に、本発明は、糖尿病を患っている、又は
発達するリスクのある患者を処置する方法における使用のための、本発明の方法によって
得ることが可能、もしくは得た細胞又は細胞の集団を提供する。

0107

糖尿病は1型、又は2型糖尿病であってよい。

0108

1つの実施形態において、処置法には、患者に、本発明の方法によって得た、又は得る
ことが可能な細胞を移植することが含まれる。

0109

1つの実施形態において、処置方法には、例えば本明細書で記述するように、多能性幹
細胞をインビトロにて、ステージ1、ステージ2、ステージ3、ステージ4、ステージ5
又はステージ6細胞に分化させることと、患者に、分化した細胞を移植することと、が含
まれる。

0110

1つの実施形態において、本発明はさらに、多能性幹細胞を分化させる段階の前に、例
えば、本明細書で記述したように、多能性幹細胞を培養する段階を含む。

0111

1つの実施形態において、方法にはさらに、移植の段階の後、インビボで、細胞を分化
させる段階が含まれる。

0112

1つの実施形態において、患者は哺乳動物、好ましくはヒトである。

0113

1つの実施形態において、細胞を、分散した細胞として移植してよく、又は肝門脈内に
浸出してよいクラスタを形成してよい。あるいは細胞は、生体適合性分解性ポリマー
持体多孔性非分解性デバイス内に提供されてもよく、又は宿主免疫応答から保護され
るよう封入されてもよい。細胞は、レシピエント内の適切な部位内に埋め込まれてもよい
。埋め込み部位としては、例えば肝臓、天然の膵臓、腎被膜下空間、網、腹膜漿膜下空
間、腸、胃、又は皮下ポケットが挙げられる。

0114

インビボにて、移植した細胞のさらなる分化、生存又は活性を増強するために、増殖因
子、抗酸化剤又は抗炎症剤のような追加因子を、細胞の投与前、同時又は後に投与可能で
ある。これらの因子は、内在性細胞により分泌され、投与された細胞にインサイチューで
曝露されてもよい。埋め込まれた細胞には、当該技術分野で既知内因性の及び外因性
投与された増殖因子の任意の組み合わせにより、分化を誘発させることもできる。

0115

埋め込みに使用する細胞の量は、患者の状態及び治療に対する応答を含む、いくつかの
様々な因子に基づいて当業者により決定され得る。

0116

1つの実施形態において、処置方法にはさらに、移植の前の、三次元支持体内への細胞
の組込が含まれる。細胞は、患者に埋め込む前に、インビトロでこの支持体上に維持して
もよい。あるいは細胞を含む支持体を、インビトロでさらに培養することなく直接患者に
埋め込んでもよい。支持体は、場合により、埋め込まれた細胞の生存及び機能を亢進する
少なくとも1つの医薬品を組み込んでもよい。

0117

文書を通して引用した発行物は、その全てが参照により本明細書に組み込まれている
。本発明はさらに、以下の実施例によってさらに例示されるが、これに限定はされない。

0118

(実施例1)
ヒト多能性細胞から由来した膵臓内胚葉集団を産出している先に発行されたプロトコー
ルは、実質的にHB9タンパク質を発現しない。
本例は、本実施例にて記述したような多能性幹細胞から由来する細胞中のHB9の発現
パターンの同定を指向する。ヒト胚性幹細胞株H1(継代40)を、10μMのY276
32(Rock阻害剤、カタログ番号Y0503、Sigma−Aldrich,St.
Louis,MO)を補充したmTESR((登録商標))1培地(StemCell
Technologies,Vncouver,Cananda)中のMATRIGEL
(商標)(1:30希釈;BD Biosciences,Franklin Lake
s,NJ)−コートディッシュ上に、1×105細胞/cm2にて、単一細胞として播いた
。播種48時間後、培養液を、不完全PBS(Mg又はCaなしのリン酸緩衝食塩水)で
洗浄した。培養液を次いで、Diabetes、61,2016,2012にて先に記述
されたように、膵臓内胚葉/内分泌前駆細胞に分化された。使用した分化プロトコールは
以下のようであった。
a.1:30 MATRIGEL(商標)コート表面上にプレートした未分化H1細胞
の60〜70%コンフルエント接着培養液を、0.2%ウシ胎児血清(FBS)(Hyc
lone,Ytah)、100ng/mlアクチビン−A(AA;Pepro−tech
;Rochy Hill,NJ)及び20ng/mlのWnt3(R&D System
s)を補充したGIBCO((登録商標))RPMI1640培地(Invitroge
n)に、1日目のみ曝露した。次の2日間、細胞を、0.5% FBSと100ng/m
l AAを含むGIBCO((登録商標)))RPMI中で培養した。
b.(a)から得られた細胞を、2% FBSと50ng/mlのFGF7(Pepr
o−tech)を補充したDMEM−12培地(Invitrogen)に、3日間曝露
した。
c.(b)から得られた培養液を、0.25μM SANT−1(Sigma−Ald
rich;St.Louis,MO)、2μMレチノイン酸(Sigma−Aldric
h)、100ng/mlのNoggin(R&D Systems)及び1%(v/v)
の、Life Technologies Corporation,Grand Is
land,NYにより商標B27((登録商標))の下売られている栄養補助物カタ
グ番号:17504044)を補充した、DMEM−HG培地(Invitrogen)
中、4日間続けた。
d.(c)から得られた細胞を、単層フォーマットにて、0.1μM ALK5阻害剤
(ALK5i;Farmingdale,NY)、100ng/mLのNoggin、5
00nMTPB((2S,5S)−(E,E)−8−(5−(4−(トリフルオロメチ
ル)フェニル)−2,4−ペンタジエノイルアミノ)ベンゾラクタム、EMD Chem
icals Inc,Gibbstown NJ)及び1% B27で補充したDMEM
−HG培地中で3日間培養した。培養の最後の日のために、細胞を5mg/mLジスパー
ゼで5分間処理し、続いて穏やかにピペッティングして、混合し、細胞クラスタ(100
ミクロン未満)に破壊した。細胞クラスタを、使い捨てポリスチレン125ml Spi
nner Flask(Corning)に移し、1μM ALK5阻害剤、100ng
Noggin及び1% B27を補充したDMEM−HGを含む懸濁液中、終夜80〜
100rpmにて回転させた。

0119

(d)の最後に、mRNAを、関連する膵臓内胚葉/内分泌遺伝子のPCR解析のため
回収した。トータルRNAを、RNeasy((登録商標))Mini Kit(Qi
agen;Valencia,CA)で抽出し、製造業者の説明書にしたがって、Hig
h CapacitycDNAReverse Transcription Ki
t(Applied Biosystems,FosterCity,CA)を用いて
逆転写した。cDNAを、カスタムTaqman((登録商標))Arrays(App
lied Biosystems)上へ前もってロードしたTaqman((登録商標)
) Universal Master MixとTaqman((登録商標))Gen
e Expression Assaysを用いて増幅した。データを、Sequenc
e Detection Software(Applied Biosystems)
を用いて解析し、ΔΔCt法(すなわち、内部標準相関したqPCR結果(ΔΔCt=
ΔCt試料−ΔCtreference))を用いて、未分化ヒト胚性幹(hES)細胞に対して
標準化した。全てのプライマーは、Applied Biosystemsから購入され
た。FACS及び免疫蛍光解析を、先に記述された(Diabetes,61,2012
6,2012)ように実施した。HB9抗体は、Developmental Stud
ies Hybridoma Bank(University of Iowa,Io
wa)から得た。実施例で使用したように、Y27632((1R,4r)−4−((R
)−1−アミノエチル)−N−(ピリジン−4−イル)シクロヘキサンカルボキシアミド
)は、細胞透過性低分子Rho−関連キナーゼ(ROCK)阻害剤である。

0120

図1A〜図1Cは、実施例1に概要を示したように、膵臓内胚葉/内分泌前駆体に分化
したヒト胚性幹細胞株H1の細胞内の以下の遺伝子の発現の、リアルタイムPCR解析か
らのデータを記述している。PDX1(図1A)、NKX6.1(図1B)及びHB9(
図1C)。図1で示すように、PDX1、NKX6.1及びHB9の強力なmRNA発現
がこれらの培養液中で検出された。さらに、HB9のmRNA発現が、ヒト死体小島と比
較して、これらの細胞において等しいか、より高かった。しかしながら、図2にて示した
ように、PDX1とNKX6.1に対する遺伝子発現データが、FACS解析によって測
定されるように、相当するタンパク質の高発現と一致した一方で、HB9のmRNA発現
は、HB9のタンパク質発現と不一致であった。(d)の完了に続く日、すなわち5日目
に、およそ1%の細胞が、HB9に対して陽性であり、一方でおよそ50%の細胞が、N
KX6.1陽性であり、およそ90%がPDX1陽性であった。細胞クラスタの免疫染色
が又、FACSデータを確認した。図3A〜Bにて示すように、有意な数のNKX6.1
陽性細胞と、わずかなインスリン陽性細胞がクラスタ内に存在した。しかしながら、免疫
染色によって検出されたHB9陽性細胞は存在しなかった(図3B)。

0121

(実施例2)
ステージ4〜ステージ6でのT3の添加は、HB9陽性細胞の数を増強する
本実施例は、HB9陽性細胞の数を有意に増強するための、ステージ4〜ステージ6で
のT3の添加を指向する。

0122

ヒト胚性幹細胞株H1(継代40)の細胞を、10μMのY27632を補充した、m
TeSR((登録商標))1培地中、MATRIGEL(商標)1:30希釈;BD B
iosciences,NJ)−コートディッシュ上で、1×105細胞/cm2にて、単
一細胞として播いた。播種48時間後、培養液を、不完全PBS(Mg又はCaなしのリ
ン酸緩衝食塩水)で洗浄した。培養液を次いで、以下に概要を記したプロトコールによっ
て、膵臓内胚葉/内分泌前駆細胞に特徴的なマーカーを発現している細胞に分化した。

0123

a.ステージ1(3日間)幹細胞を、2%脂肪酸フリーBSA(Proliant、カ
ログ番号68700)、0.0012g/ml重炭酸ナトリウム(Sigma−Ald
rich、カタログ番号S3187)、1X GlutaMax(商標)(Invitr
ogen、カタログ番号35050−079)、4.5mM D−グルコース(Sigm
a−Aldrich、カタログ番号G8769)、100ng/mlGDF8(R&D
Systems)及び1μM MCX化合物を補充した、MCDB−131培地(In
vitrogenカタログ番号10372−019)中で1日培養した。細胞を次いで、
2%脂肪酸フリーBSA、0.0012g/ml重炭酸ナトリウム、1X GlutaM
ax(商標)、4.5mM D−グルコース、100ng/ml GDF8及び0.1μ
M MCX化合物を補充したMCDB−131培地中、さらに1日培養した。細胞を次い
で、2%脂肪酸フリーBSA、0.0012g/ml重炭酸ナトリウム、1X Glut
aMax(商標)、4.5mM D−グルコース及び100ng/ml GDF8を補充
したMCDB−131培地中、さらに1日培養した。
b.ステージ2(2日間):ステージ1細胞を次いで、2%脂肪酸フリーBSA、0.
0012g/ml重炭酸ナトリウム、1X GlutaMax(商標)、4.5mM D
−グルコース、0.25mMアスコルビン酸(Sigma,MO)及び25ng/ml
FGF7(R&D Systems,MN)を補充したMCDB−131培地で2日間処
理した。
c.ステージ3(2日間):ステージ2細胞を次いで、ITS−XGibco(登録商
標)Insulin,−Transferrin−Selenium−Ethanola
mine;Invitrogen,Ca)の1:200希釈、4.5mMグルコース、1
X GlutaMax(商標)、0.0017g/ml重炭酸ナトリウム、2%脂肪酸フ
リーBSA、0.25μM SANT−1(Sigma、MO)、1μM RA(Sig
ma,MO)、25ng/ml FGF7、0.25mMアスコルビン酸、200nM
TPB(PKCアクチベータ、カタログ番号565740、EMD Chemicals
,Gibbstown,NJ)及び100nM LDN−193189(BMP受容体阻
害剤、カタログ番号04−0019、Stemgent)を補充したMCDB−131培
地で、2日間処理した。
d.ステージ4(3日間):ステージ3細胞を次いで、ITS−X(Invitrog
en,CA)の1:200希釈、4.5mMグルコース、1X GlutaMax(商標
)、0.0017g/ml重炭酸ナトリウム、2%脂肪酸フリーBSA、0.25μM
SANT−1、100nM RA、2ng/ml FGF7、100nM LDN−19
3189、0.25mMアスコルビン酸、10nM T3(T6397,Sigma)及
び100nM TPBを補充したMCDB−131培地で、3日間処理した。
e.ステージ5(3日間):ステージ4細胞を次いで、ITS−Xの1:200希釈、
4.5mMグルコース、1X GlutaMax(商標)、0.0015g/ml重炭酸
ナトリウム、2%脂肪酸フリーBSA、0.25μM SANT−1、50nM RA、
0.25mMアスコルビン酸、10nM T3、50nM LDN−193189、50
0nM ALK5阻害剤SD208を補充した、MCDB−131培地で、3日間処理し
た。SD208は、Molecular Pharmacology 2007,72:
152−161に開示された、式Iに示した構造を有する、(2−(5−クロロ−2−フ
ルオロフェニル)プテリジン−4−イル]ピリジン−4−イル−アミン)は、2,4−二
置換プテリジンである。SD208は、2,4−二置換プテリジン、TGF−βRIキナ
ーゼのATP競合阻害剤である。

0124

f.ステージ6(3〜15日間):ステージ5細胞を次いで、ITS−Xの1:200
希釈、4.5mMグルコース、1X GlutaMax(商標)、0.0015g/ml
重炭酸ナトリウム、2%脂肪酸フリーBSA、0.25μM SANT−1、50nM
RA、0.025mMアスコルビン酸、500nM ALK5阻害剤、0.1nM T3
を補充したMCDB−131培地で、3日間処理した。

0125

いくつかの培養液にて、1μM T3(T6397、Sigma,MO)を、ステージ
4〜6に加えた。ステージ4〜6の最後に、対照と処理した培養液を、FACSと免疫染
色によって解析した。さらに、mRNAを、ステージ2〜6で、対照と処理した培養液に
対して回収した。

0126

図4は、PDX1、NKX6.1及びHB9に対する、ステージ4(図4A)、ステー
ジ5(図4B)及びステージ6(図4C)でのFACSデータを描写している。実施例1
からのデータと一致して、ステージ4〜6で、実質的な数のPDX1及びNKX6.1陽
性細胞が存在したけれども、HB9の発現は非常に低かった。ステージ5にてピークとな
ったHB9に対する発現は、ステージ6で消滅した。全体として、実施例2にて概要を記
したプロトコールを用いて発生した細胞に対するHB9の発現は、実施例1にて概要を記
したプロトコールを用いて発生した細胞と比較してより高かった。図5Aは、ステージ2
〜6での、ヒト膵島と比較して、HB9のmRNA発現を示す。実施例1と同様に、ステ
ージ3〜4でのHB9のmRNA発現レベルがヒト膵島と等価であったけれども、HB9
タンパク質発現がステージ4にて非常に低かった(図5B)。

0127

図6A〜6Jは、実施例2にて概要を説明したようにステージ4で分化し、ステージ4
のみ、ステージ4〜ステージ5、又はステージ4〜ステージ6で処理した、ヒト胚性幹細
胞株H1中の以下の遺伝子の発現の、リアルタイムPCR解析んからのデータを描写する
。NKX6.1(図6A)、PDX1(図6B)、NKX2.2(図6C)、グルカゴン
(図6D)、インスリン(図6E)、ソマトスタチン(図6F)、CDX2(図6G)、
アルブミン(図6H)、ガストリン(図6I)及びSOX2(図6J)。ステージ4〜6
でのT3の添加は、グルカゴン、ソマトスタチン及びグレリンを有意にダウンレギュレ
トし、一方で、ステージ5にてインスリン発現が穏やかに増加した。ステージ4〜6での
T3の添加は、NKX2.2の発現を有意に減少させたように見え、一方でNKX6.1
とPDX1発現に明確な影響は無かった。さらに、T3添加は、SOX2(胃マーカー)
及びアルブミン(肝マーカー)発現を抑制する一方で、CDX2(腸マーカー)発現に影
響は無かった。ステージ6での対照及び処理した培養液の免疫染色は、ステージ6での対
照(図7A)と比較して、T3処理群(図7B)中のHB9陽性細胞の数での有意な増加
を明らかにした。さらに、増加量のNKX6.1陽性細胞が、T3処理培養液中のHB9
の発現を示した。

0128

(実施例3)
ステージ6でのT3とALK5阻害剤での組合せ処理は、
HB9の発現を増強する本実施例は、ステージ6での培地中の、ALK5阻害剤とT3
の組合せが、HB9の発現を有意にブーストすることが明らかであることを実証する。

0129

ヒト胚性幹細胞株H1(継代40)の細胞を、10μMのY27632を補充した、m
TeSR((登録商標))1培地中、MATRIGEL(商標)(1:30希釈;BD
Biosciences,NJ)−コートディッシュ上で、1×105細胞/cm2にて、
単一細胞として播いた。播種48時間後、培養液を、不完全PBS(Mg又はCaなしの
リン酸緩衝食塩水)で洗浄した。培養液を次いで、以下に概要を記したプロトコールによ
って、膵臓内胚葉/内分泌系統に分化した。
a.ステージ1(3日間):細胞を、2%脂肪酸フリーBSA(Proliant、カ
タログ番号68700)、0.0012g/ml重炭酸ナトリウム(Sigma−Ald
rich、カタログ番号S3187)、1X GlutaMax(商標)(Invitr
ogen、カタログ番号35050−079)、4.5mM D−グルコース(Sigm
a−Aldrich、カタログ番号G8769)、100ng/mlGDF8(R&D
Systems)及び1μM MCX化合物を補充した、MCDB−131培地(In
vitrogenカタログ番号10372−019)中で1日間培養した。細胞を次いで
、2%脂肪酸フリーBSA、0.0012g/ml重炭酸ナトリウム、1X Gluta
Max(商標)、4.5mM D−グルコース、100ng/ml GDF8及び0.1
μM MCX化合物を補充したMCDB−131培地中、さらに1日培養した。細胞を次
いで、2%脂肪酸フリーBSA、0.0012g/ml重炭酸ナトリウム、1X Glu
taMax(商標)、4.5mM D−グルコース及び100ng/ml GDF8を補
充したMCDB−131培地中、さらに1日培養した。
b.ステージ2(2日間):ステージ1細胞を次いで、2%脂肪酸フリーBSA、0.
0012g/ml重炭酸ナトリウム、1X GlutaMax(商標)、4.5mM D
−グルコース、0.25mMアスコルビン酸(Sigma,MO)及び25ng/ml
FGF7(R&D Systems,MN)を補充したMCDB−131培地で2日間処
理した。
c.ステージ3(2日間):ステージ2細胞を次いで、ITS−X(Invitrog
en,CA)の1:200希釈、4.5mMグルコース、1X GlutaMax(商標
)、0.0017g/ml重炭酸ナトリウム、2%脂肪酸フリーBSA、0.25μM
SANT−1(Sigma、MO)、1μM RA(Sigma,MO)、25ng/m
l FGF7、0.25mMアスコルビン酸、200nMTPB(PKCアクチベータ
、カタログ番号565740、EMD Chemicals,Gibbstown,NJ
)及び100nM LDN−193189(BMP受容体阻害剤、カタログ番号04−0
019、Stemgent)を補充したMCDB−131培地で、2日間処理した。
d.図テージ4(3日間)ステージ3細胞を次いで、ITS−X(Invitroge
n,CA)の1:200希釈、4.5mMグルコース、1X GlutaMax(商標)
、0.0017g/ml重炭酸ナトリウム、2%脂肪酸フリーBSA、0.25μM S
ANT−1(Sigma、MO)、100nM RA、2ng/ml FGF7、100
nM LDN−193189、0.25mMアスコルビン酸、10nM T3(T639
7,Sigma)及び100nM TPB及び1μM T3を補充したMCDB−131
培地で、3日間処理した。
e.ステージ5(3日間):ステージ4細胞を次いで、ITS−Xの1:200希釈、
4.5mMグルコース、1X GlutaMax(商標)、0.0015g/ml重炭酸
ナトリウム、2%脂肪酸フリーBSA、0.25μM SANT−1、50nM RA、
0.25mMアスコルビン酸、1μM T3、50nM LDN−193189、100
0nM ALK5阻害剤SD208及び100nMのT3を補充した、MCDB−131
培地で、3日間処理した。
f.ステージ6(3〜15日間):ステージ5細胞を、ITS−Xの1:200希釈、
4.5mMグルコース、1X GlutaMax(商標)、0.0015g/ml重炭酸
ナトリウム、2%脂肪酸フリーBSA、0.25μM SANT−1、500nM AL
K5阻害剤、50nM RA、0.25mMアスコルビン酸、及び10nM T3を補充
した、MCDB−131培地で、3日間処理した。

0130

図8Aと8Bは、ステージ6、7日目でのNKX6.1とHB9に対する免疫染色を描
写している。図8Cは、実施例3にて概要を示した、ステージ6まで分化した、ヒト胚性
幹細胞株H1の細胞内の、HB9の発現のリアルタイムPCR解析からのデータを描写す
る、免疫染色イメージと一緒に、HB9のmRNA発現は、ALK5阻害剤とT3への延
長した曝露が、NKX6.1の強力な発現を維持する一方で、HB9の発現を有意に増強
するように見えることを示す。図9A及び9Bは、それぞれステージ6、5日目及び15
日目でのFACSデータを描写している。ステージ6細胞の有意な画分は、ステージ6、
15日目の培養液中、HB9の発現を示す。

0131

(実施例4)
用量依存様式でのT3は、HB9の発現を増強する
本実施例は、用量依存様式でのT3が、ステージ6でのNKX6.1の発現を維持する
一方で、HB9の発現を増強するために使用してよいことを示す。ヒト胚性幹細胞株H1
(継代40)の細胞を、10μMのY27632を補充した、mTeSR((登録商標)
)1培地中、MATRIGEL(商標)1:30希釈;BD Biosciences,
NJ)−コートディッシュ上で、1×105細胞/cm2にて、単一細胞として播いた。播
種の48時間後に、培養物は、不完全なPBS(Mg又はCaを含まないリン酸緩衝生理
食塩水)中で洗浄した。培養液を次いで、以下に概要を記したプロトコールによって、膵
臓内胚葉/内分泌前駆細胞の特徴であるマーカーを発現している細胞に分化した。
a.ステージ1(3日間):細胞を、2%脂肪酸フリーBSA(Proliant、カ
タログ番号68700)、0.0012g/ml重炭酸ナトリウム(Sigma−Ald
rich、カタログ番号S3187)、1X GlutaMax(商標)(Invitr
ogen、カタログ番号35050−079)、4.5mM D−グルコース(Sigm
a−Aldrich、カタログ番号G8769)、100ng/mlGDF8(R&D
Systems)及び1μM MCX化合物を補充した、MCDB−131培地(In
vitrogen カタログ番号10372−019)中で1日間培養した。細胞を次い
で、2%脂肪酸フリーBSA、0.0012g/ml重炭酸ナトリウム、1X Glut
aMax(商標)、4.5mM D−グルコース、100ng/ml GDF8及び0.
1μM MCX化合物を補充したMCDB−131培地中、さらに1日培養した。細胞を
次いで、2%脂肪酸フリーBSA、0.0012g/ml重炭酸ナトリウム、1X Gl
utaMax(商標)、4.5mM D−グルコース及び100ng/ml GDF8を
補充したMCDB−131培地中、さらに1日培養した。
b.ステージ2(2日間):ステージ1細胞を次いで、2%脂肪酸フリーBSA、0.
0012g/ml重炭酸ナトリウム、1× GluatMaxTM、4.5mM D−グ
ルコース、0.25mMアスコルビン酸(Sigma,MO)及び25ng/ml FG
F7(R&D Systems,MN)を補充したMCDB−131培地で2日間処理し
た。
c.ステージ3(2日間)ステージ2細胞を次いで、ITS−X(Invitroge
n,Ca)の1:200希釈、4.5mMグルコース、1X GlutaMax(商標)
、0.0017g/ml重炭酸ナトリウム、2%脂肪酸フリーBSA、0.25μM S
ANT−1(Sigma、MO)、1μM RA(Sigma,MO)、25ng/ml
FGF7、0.25mMアスコルビン酸、200nMTPB(PKCアクチベータ、
カタログ番号565740、EMD Chemicals,Gibbstown,NJ)
及び100nM LDN−193189(BMP受容体阻害剤、カタログ番号04−00
19、Stemgent)を補充したMCDB−131培地で、2日間処理した。
d.ステージ4(3日間):ステージ3細胞を次いで、ITS−X(Invitrog
en,CA)の1:200希釈、4.5mMグルコース、1X GlutaMax(商標
)、0.0017g/ml重炭酸ナトリウム、2%脂肪酸フリーBSA、0.25μM
SANT−1(Sigma、MO)、100nM RA、2ng/ml FGF7、10
0nM LDN−193189、0.25mMアスコルビン酸、及び100nM TPB
を補充したMCDB−131培地で、3日間処理した。
e.ステージ5(3日間):ステージ4細胞を次いで、ITS−Xの1:200希釈、
4.5mMグルコース、1X GlutaMax(商標)、0.0015g/ml重炭酸
ナトリウム、2%脂肪酸フリーBSA、0.25μM SANT−1、50nM RA、
0.25mMアスコルビン酸、1μM ALK5阻害剤SD208、及び0〜1000n
M T3を補充した、MCDB−131培地で、3日間処理した。
f.ステージ6(6日間):ステージ5細胞を次いで、ITS−Xの1:200希釈、
4.5mMグルコース、1X GlutaMax(商標)、0.0015g/ml重炭酸
ナトリウム、2%脂肪酸フリーBSA、0.25μM SANT−1、500nM AL
K5阻害剤、50nM RA、0.25mMアスコルビン酸、及び0〜1000nM T
3を補充した、MCDB−131培地で、6日間処理した。

0132

図10A〜10Eは、ステージ6、6日目でのNKX6.1及びHB9に対する免疫染
色を描写している。用量依存様式でのT3は、NKX6.1陽性膵臓内胚葉前駆細胞中の
、HB9陽性細胞の数を有意に増強した。図11A〜11Lは、実施例4にて概要を記し
たようにステージ6まで分化したヒト胚性幹細胞株H1の細胞中の、以下の遺伝子の発現
の、リアルタイムPCR解析からのデータを描写している。SOX2(図11A)、NK
X6.1(図11B)、KNKX2.2(図11C)、ガストリン(図11D)、PDX
1(図11E)、NGN3(図11F)、PAX6(図11G)、PAX4(図11H)
、インスリン(図11I)、グルカゴン(図11J)、グレリン(図11K)、及びソマ
スタチン(図11L)。

実施例

0133

以上、本発明を、様々な特定の材料、手順及び実施例を参照しながら本明細書に説明及
び例示したが、本発明は、その目的のために選択された特定の材料及び手順の組み合わせ
に限定されない点は理解されるであろう。当業者には認識されるように、このような細部
には多くの変更を行い得ることが示唆される。本明細書及び実施例はあくまで例示的なも
のとしてみなされるべきものであり、発明の真の範囲及び趣旨は以下の「特許請求の範囲
」によって示されるものである。本出願において引用される参照文献、特許及び特許出願
は、いずれもその全てが参照により本明細書にに組み込まれているものとする。

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