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技術 水素濃度測定システム

出願人 日立GEニュークリア・エナジー株式会社
発明者 石田直行
出願日 2017年11月7日 (2年7ヶ月経過) 出願番号 2017-214682
公開日 2019年6月6日 (1年1ヶ月経過) 公開番号 2019-086394
状態 未査定
技術分野 熱的手段による材料の調査、分析 原子炉の監視、試験 温度及び熱量の測定
主要キーワード 福島原子力発電所 水素爆発 水素割合 事故条件 凝縮熱伝達 水平伝熱管 特性データベース 電源喪失
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

事故の際に、格納容器内非凝縮性ガスを含む混合ガス凝縮させる冷却器を用いて、従来とは異なる新たな手法として、高温高圧蒸気を多量に含む条件下で水素濃度を測定する方法を追加し、水素濃度の測定方法多様化し、その信頼性を向上させる。

解決手段

格納容器の内部に設置され、冷却水分配され複数の冷却水流路を流れる構成を有する冷却器を含む、水素濃度測定システムであって、複数の冷却水流路は、鉛直方向に配置され、冷却器は、複数の冷却水流路のうち2つ以上に設置した冷却水の温度を測定する温度センサを含み、温度センサで測定された冷却水の温度分布から格納容器の内部における水素の発生又は濃度を検出する。

概要

背景

原子力発電プラントにおいて、過酷事故時にジルコニウム−水反応等で水素が発生すると、水素は非凝縮性ガスであるため、格納容器加圧する要因となる。沸騰水型原子力プラントBWR又はABWR)の格納容器内部は、窒素置換されているため、水素が発生しても格納容器内で水素爆発は発生しない。しかし、水素が格納容器の外へ漏洩すると、水素爆発を起こす可能性がある。したがって、水素発生をいち早く検知し、水素爆発防止への対応に早期に着手することが重要である。また、水素濃度で算出した水素量から、炉心損傷の割合や、格納容器に移行した炉心溶融物コンクリート浸食の程度等を逆算することができ、水素濃度の測定は、事故進展推定にも活用することができる。

現状の水素濃度の測定方法は、格納容器内のガスを格納容器外に吸引して水素濃度を測定するサンプリング方式である(例えば、特許文献1)。

一方、福島原子力発電所事故時には、電源喪失によりサンプリングができなくなったため、水素濃度を測定できなくなった。このため、サンプリング系を必要としない格納容器内で水素濃度を測定する手法が求められている。

非特許文献1によれば、水素吸蔵材料光ファイバーを用いた測定技術の開発が進められている。

概要

事故の際に、格納容器内の非凝縮性ガスを含む混合ガス凝縮させる冷却器を用いて、従来とは異なる新たな手法として、高温高圧蒸気を多量に含む条件下で水素濃度を測定する方法を追加し、水素濃度の測定方法を多様化し、その信頼性を向上させる。格納容器の内部に設置され、冷却水分配され複数の冷却水流路を流れる構成を有する冷却器を含む、水素濃度測定システムであって、複数の冷却水流路は、鉛直方向に配置され、冷却器は、複数の冷却水流路のうち2つ以上に設置した冷却水の温度を測定する温度センサを含み、温度センサで測定された冷却水の温度分布から格納容器の内部における水素の発生又は濃度を検出する。

目的

本発明は、事故の際に、格納容器内の非凝縮性ガスを含む混合ガスを凝縮させる冷却器を用いて、従来とは異なる新たな手法として、高温高圧の蒸気を多量に含む条件下で水素濃度を測定する方法を追加し、水素濃度の測定方法を多様化し、その信頼性を向上させることを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

格納容器の内部に設置され、冷却水分配され複数の冷却水流路を流れる構成を有する冷却器を含み、前記複数の冷却水流路は、鉛直方向に配置され、前記冷却器は、前記複数の冷却水流路のうち2つ以上に設置した前記冷却水の温度を測定する温度センサを含み、前記温度センサで測定された前記冷却水の温度分布から前記格納容器の内部における水素の発生又は濃度を検出する、水素濃度測定システム

請求項2

請求項1記載の水素濃度測定システムであって、前記複数の冷却水流路の周囲には、水平方向に向かう2つの開口部が設けられ、前記冷却器は、前記複数の冷却水流路及び仕切り板を収容するケーシングを有し、前記ケーシングには、水平方向に向かう1つの開口部が設けられ、前記ケーシングの開口部と、前記複数の冷却水流路の周囲に設けられた前記2つの開口部のうちの1つと、が一致するように配置されている、水素濃度測定システム。

請求項3

請求項1記載の水素濃度測定システムであって、前記冷却器は、前記複数の冷却水流路を収容するケーシングを有し、前記ケーシングの上面及び下面には、鉛直方向に向かう開口部がそれぞれ設けられている、水素濃度測定システム。

請求項4

請求項1〜3のいずれか一項に記載の水素濃度測定システムであって、前記温度センサは、前記冷却水流路の出口近傍に設置されている、水素濃度測定システム。

請求項5

請求項1〜3のいずれか一項に記載の水素濃度測定システムであって、前記温度センサは、前記複数の冷却水流路の途中に設置されている、水素濃度測定システム。

請求項6

請求項1〜5のいずれか一項に記載の水素濃度測定システムであって、さらに、前記冷却器に固有伝熱データベースを含み、前記格納容器の内部の圧力及び温度のデータ並びに前記伝熱データベースを用いて、前記水素の前記濃度を算出する、水素濃度測定システム。

請求項7

請求項1〜6のいずれか一項に記載の水素濃度測定システムであって、鉛直方向に配置された前記複数の冷却水流路における前記冷却水の前記温度分布を表す曲線傾きの変化から、前記水素の発生を検出する、水素濃度測定システム。

請求項8

請求項6記載の水素濃度測定システムであって、鉛直方向に配置された前記複数の冷却水流路における前記冷却水の前記温度分布と、前記伝熱データベースに含まれる前記冷却水の前記温度分布と、を比較することにより、前記水素の前記濃度を算出する、水素濃度測定システム。

請求項9

格納容器の内部に設置され、冷却水流路を有する冷却器を含み、前記冷却器は、前記冷却水流路を流れる冷却水の温度を測定する複数の温度センサを含み、前記温度センサで測定された前記冷却水の温度分布から前記格納容器の内部における気流自然循環の変化を検出することにより、水素の発生又は濃度を検出する、水素濃度測定システム。

技術分野

0001

本発明は、原子炉格納容器内における水素の濃度を測定するシステムに関する。

背景技術

0002

原子力発電プラントにおいて、過酷事故時にジルコニウム−水反応等で水素が発生すると、水素は非凝縮性ガスであるため、格納容器加圧する要因となる。沸騰水型原子力プラントBWR又はABWR)の格納容器内部は、窒素置換されているため、水素が発生しても格納容器内で水素爆発は発生しない。しかし、水素が格納容器の外へ漏洩すると、水素爆発を起こす可能性がある。したがって、水素発生をいち早く検知し、水素爆発防止への対応に早期に着手することが重要である。また、水素濃度で算出した水素量から、炉心損傷の割合や、格納容器に移行した炉心溶融物コンクリート浸食の程度等を逆算することができ、水素濃度の測定は、事故進展推定にも活用することができる。

0003

現状の水素濃度の測定方法は、格納容器内のガスを格納容器外に吸引して水素濃度を測定するサンプリング方式である(例えば、特許文献1)。

0004

一方、福島原子力発電所事故時には、電源喪失によりサンプリングができなくなったため、水素濃度を測定できなくなった。このため、サンプリング系を必要としない格納容器内で水素濃度を測定する手法が求められている。

0005

非特許文献1によれば、水素吸蔵材料光ファイバーを用いた測定技術の開発が進められている。

0006

特開平5−249278号公報

先行技術

0007

原子力における水素安全対策高度化ハンドブック(第1版)、JAEA-Review 2016-038, pp.218-221

発明が解決しようとする課題

0008

過酷事故時には、崩壊熱で発生した蒸気でも格納容器が加圧される。沸騰水型原子力プラントの格納容器の使用圧力から、想定される最大の圧力は約1.0MPa、温度は約180℃(圧力1.0MPaにおける蒸気の飽和温度)となる。

0009

非特許文献1によれば、開発中の測定技術においては、高温高圧の蒸気を多量に含む環境への適用性の確認、評価が課題とされている。このため、異なる原理で高温高圧の蒸気を多量に含む環境下での水素濃度を測定できるシステムを適用すれば、水素濃度の測定方法を多様化信頼性を向上させることができる。

0010

本発明は、事故の際に、格納容器内の非凝縮性ガスを含む混合ガス凝縮させる冷却器を用いて、従来とは異なる新たな手法として、高温高圧の蒸気を多量に含む条件下で水素濃度を測定する方法を追加し、水素濃度の測定方法を多様化し、その信頼性を向上させることを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

上記目的を達成するために、本発明の水素濃度測定システムは、格納容器の内部に設置され、冷却水分配され複数の冷却水流路を流れる構成を有する冷却器を含み、複数の冷却水流路は、鉛直方向に配置され、冷却器は、複数の冷却水流路のうち2つ以上に設置した冷却水の温度を測定する温度センサを含み、温度センサで測定された冷却水の温度分布から格納容器の内部における水素の発生又は濃度を検出する。

発明の効果

0012

本発明によれば、高温高圧の蒸気を多量に含む条件下で水素濃度を測定することができ、従来とは異なる水素濃度測定原理を用いることにより、水素濃度の測定方法を多様化し、その信頼性を向上させることができる。

図面の簡単な説明

0013

本発明の第1実施形態に係る水素濃度測定システムの構成要素である冷却器の一例の概略構成を示す斜視図である。
図1の冷却器1において水素濃度が低い状態を示す模式縦断面図である。
図1の冷却器1において水素濃度が高い状態を示す模式縦断面図である。
図1の冷却器1の各段の水平伝熱管出口における冷却水温度を示すグラフである。
本発明の第2実施形態に係る水素濃度測定システムの構成要素である冷却器の一例の概略構成を示す斜視図である。
図1の冷却器1の各段の水平伝熱管出口における冷却水温度を示すグラフである。
図1の冷却器1の各段の水平伝熱管出口における冷却水温度を示すグラフである。
水素濃度に対する最上段の水平伝熱管出口における冷却水温度を示すグラフである。
本発明の第3実施形態に係る水素濃度測定システムの構成要素である冷却器の一例の概略構成を示す斜視図である。
冷却器を有する改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)を示す模式断面図である。

実施例

0014

本発明は、原子炉格納容器内における水素の発生又は濃度を検出するシステムに関する。

0015

本発明は、事故時に格納容器内の非凝縮性ガスを含む混合ガスを凝縮させる冷却器において、密度差により発生する自然循環流の向きが水素濃度によって変化し、多段で構成された伝熱管の冷却水の温度分布が変化することに着目した水素濃度測定システムに関するものである。冷却器は、高温高圧条件下で蒸気を凝縮させて格納容器の加圧を抑制するものであり、高温高圧の蒸気を多量に含む条件下でも水素濃度の測定を可能とし、信頼性を向上させる。

0016

なお、本明細書において説明している、多段で構成された「伝熱管」という用語は、鉛直方向に配置された複数の「冷却水流路」の一例であり、本発明を実現するにあたって様々な形態の熱交換器を用いることは、本発明の技術的思想に含まれる。

0017

<第1実施形態>
(構成)
図1は、本実施形態に係る水素濃度測定システムの構成要素である冷却器の一例の概略構成を示したものである。

0018

本図に示す冷却器1は、通常運転時に格納容器内の温度を制御する空調機であり、沸騰水型原子力プラントではドライウェル冷却器である。

0019

冷却器1は、複数の水平伝熱管2と、各水平伝熱管2に冷却水を供給する入口ヘッダ3と、高温雰囲気ガス熱交換を行って温度が上昇した冷却水を各水平伝熱管2から収集する出口ヘッダ4と、を含む冷却コイルが、枠体5により取り囲まれた構成を有する熱交換器と、この熱交換器を内部に設置したケーシング6(筐体)と、を備えている。複数の水平伝熱管2は、鉛直方向に積層された構成(多段構成)を有する。

0020

なお、ケーシング6の内部には、図示しない送風機が設けられているが、過酷事故の際には、電源が得られない可能性があり、高温高湿度条件で電気部品故障する可能性が高く、送風機は停止すると想定している。

0021

冷却コイルの側面は、ケーシング6の開口部10(水平方向)となっている。これにより、冷却器1の外部は、冷却コイルを通して冷却器1の内部につながっている。このため、送風機が停止した状態においては、冷却コイルを流れる冷却水により冷却された気体は、自然循環により流動し、開口部10の上部及び下部において異なる向きの流れが生じ、冷却器1の内部の気体が出入りする。

0022

複数の水平伝熱管2と出口ヘッダ4との接続部付近には、冷却水の温度を測定するための温度計7a、7b、7c(温度センサ)が取り付けられている。本図においては、水平伝熱管2のうち、最上段に温度計7a、最下段に温度計7c、中間部に温度計7bが取り付けられている。温度計7a、7b、7cの信号は、ケーブル8を通して中央制御室コンピュータ9に取り込まれ、各水平伝熱管2の冷却水温度を中央制御室等のモニタに表示できるようになっている。

0023

(動作)
水素の発生を図1の冷却器1で検出する原理について説明する。

0024

通常運転時、沸騰水型原子力プラントの格納容器は、窒素で置換されている。事故時に原子炉燃料から発生する熱を発電プラント外部のヒートシンク(例えば海)に放出できなくなると、格納容器内に蒸気が充満し、格納容器内の圧力が上昇することがある。冷却器1の冷却コイルに通水すれば、水平伝熱管2の表面で蒸気が凝縮し、圧力上昇を抑制することができる。

0025

蒸気と窒素との混合ガスが冷却器1に流入すると、水平伝熱管2の表面で蒸気のみが凝縮する。蒸気が凝縮すると、混合ガスの窒素濃度が上昇する。蒸気と窒素との密度を比較すると、窒素の密度の方が大きいため、窒素濃度が上昇した混合ガスの密度は増加する。周囲の混合ガスと密度の増加した混合ガスとの密度差により、冷却器1の内部の混合ガスに下向きの力が働くため、混合ガスは冷却器1のケーシング6内を下方に流れ、自然循環流(自然対流)が発生する。

0026

図2は、この場合における図1の冷却器1の断面を示したものである。

0027

図2においては、混合ガスに含まれる水素の割合が少ない場合(水素濃度が低い場合)における混合ガスの流れ方向(自然循環流の向き)を矢印で示している。

0028

本図に示すように、この自然循環流により継続的に冷却器1へ蒸気を含む混合ガスが流入し、蒸気が凝縮するため、格納容器の圧力上昇が抑制される。

0029

この自然循環流が発生すると、上段の水平伝熱管における蒸気凝縮によって、下段の水平伝熱管における窒素濃度が相対的に高くなっていく。非凝縮性ガスである窒素は、蒸気の凝縮熱伝達阻害するので、窒素濃度が高くなると伝熱量が低下する。伝熱量が多いほど水平伝熱管内部を流れる冷却水の温度が上昇するので、下向きの自然循環流が発生している場合は、上段の水平伝熱管内部を流れる冷却水の温度が下段の冷却水温度よりも高くなる。

0030

図1の構成の場合においては、冷却水温度は、入口ヘッダ3から出口ヘッダ4に向けて単調に増加するので、水平伝熱管2の出口が各段での冷却水温度が最も高い位置となる。上段と下段との冷却水の温度差が大きいほど伝熱量の差を精度よく評価できるので、冷却水の温度は、なるべく水平伝熱管2の出口に近い位置が好ましい。

0031

つぎに、混合ガスに水素が混入した場合について説明する。

0032

水素は蒸気よりも密度が小さいため、水素の比率(水素濃度)が上昇すると、窒素と水素で構成される非凝縮性ガスの平均密度が減少する。混合ガス中の非凝縮性ガスの平均密度と蒸気密度との差が小さくなるため、冷却器1の内部の混合ガスに働く力が減少し、自然循環流が弱くなる。伝熱量は、混合ガスの自然循環による流速にも依存するため、水素の比率が上昇すると伝熱量が低下する。伝熱量の低下に伴い、水平伝熱管出口の冷却水温度が低下する。

0033

このように、冷却器1の冷却水温度の低下から、水素の混入を判別することができる。

0034

水素の比率が上昇していくと、非凝縮性ガスの平均密度が小さくなっていく。非凝縮性ガスの平均密度が蒸気密度よりも小さくなると、冷却器1の内部の混合ガスに上向きの力が働くようになる。

0035

図3は、この場合における図1の冷却器1の断面を示したものである。

0036

図3においては、混合ガスに含まれる水素の割合が多い場合(水素濃度が高い場合)における混合ガスの流れ方向(自然循環流の向き)を矢印で示している。すなわち、上向きの自然循環流が発生する。

0037

本図に示すように、この場合、下段の水平伝熱管の内部を流れる冷却水の温度は、上段の水平伝熱管の内部を流れる冷却水の温度よりも高くなる。更に水素の比率が上昇していくと、非凝縮性ガスの平均密度が更に小さくなり、蒸気との密度差が拡大するため、上向きの自然循環流が強くなっていく。このため、自然循環流が下向きから上向きに転換した後は、水素の比率の上昇に伴って、冷却器1の伝熱量が増加し、水平伝熱管出口における冷却水の温度が上昇する。

0038

このように、非凝縮性ガス中の水素の比率の変化によって、冷却器内の混合ガスの流れが変化し、冷却水温度が変化する。したがって、複数の水平伝熱管出口で冷却水の温度を測定し、鉛直方向の温度分布を取得すれば、水素の発生の有無を確認することができる。

0039

図4は、非凝縮性ガスが窒素のみの場合と非凝縮性ガスが水素のみの場合とを比較するため、水平伝熱管出口における鉛直方向の冷却水温度分布について、数値解析を行った結果を示したものである。横軸に水平伝熱管段数縦軸に冷却水温度をとっている。実線は窒素のみの場合を、破線は水素のみの場合を示している。

0040

本図に示すように、窒素のみの場合は、最上段の水平伝熱管出口の冷却水温度が最も高く、下段方向に単調に温度が低下する。一方、水素のみの場合は、最上段の水平伝熱管出口の冷却水温度が最も低く、下段方向に単調に温度が上昇する。

0041

よって、本実施形態では、最上段の水平伝熱管出口の冷却水温度が最も低くなるような温度分布を示す場合に、非凝縮性ガス中に水素が含まれていると判断できる。言い換えると、本図に示すように、冷却水温度から温度分布が単調減少の状態(実線)から単調増加の状態(破線)に移行した場合には、水素が発生していることを検出することができる。更に言い換えると、鉛直方向に配置された複数の冷却水流路における冷却水の温度分布を表す曲線図4)の傾きの変化から、格納容器の内部における水素の発生を検出することができる。

0042

(効果)
本実施形態では、図1に示すように、冷却器1の複数の水平伝熱管2の出口付近で冷却水温度を測定するための温度計7a、7b、7cを設置し、中央制御室等で監視できるようにしている。冷却器1は、過酷事故時に格納容器の冷却に活用が検討されている機器であり、高温度高圧高湿度の条件にも十分耐えられることから、過酷事故条件に対して信頼性が高い。また、既設の冷却器を使用する場合は、温度計7a、7b、7cを追加で設置するだけでよく、低コスト水素検出方法の多様化が達成できる。

0043

<第2実施形態>
(構成)
図5は、本実施形態に係る水素濃度測定システムの構成要素である冷却器の一例の概略構成を示したものである。

0044

本図に示すように、第1実施形態と異なる点(図1と異なる点)は、冷却水温度分布に加えて、格納容器内の圧力及び温度のデータを同時に取り込み、あらかじめ用意した冷却器の伝熱データベースを参照して、水素濃度を算出する点である。

0045

(動作)
本実施形態においても、冷却器1での混合ガスの挙動は第1実施形態と同じである。本実施形態では、冷却水温度分布に加えて、水素濃度の算出のため、格納容器内の圧力及び温度のデータ並びに冷却器1に固有の伝熱データベース(伝熱量特性データベース)を用いる。

0046

格納容器内が蒸気だけで満たされている場合、格納容器内の温度は、格納容器内の圧力に対応する飽和温度となる。蒸気中に非凝縮性ガスが含まれる混合ガスの温度は、蒸気分圧に対応する飽和温度となる。圧力0.4MPaの飽和温度は約144℃であるので、例えば、測定した格納容器内の温度が約144℃であれば、蒸気100%と判断できる。測定した温度が約131℃であれば、131℃のときの飽和蒸気圧が約0.28MPaであるため、蒸気の体積割合は約70%と判断でき、蒸気以外の非凝縮性ガスの体積割合は30%と算出できる。このようにして、格納容器内の圧力及び温度のデータから、非凝縮性ガスの濃度を算出することができる。

0047

非凝縮性ガス中の水素の割合を算出する方法について説明する。

0048

非凝縮性ガスとして窒素のみが含まれる蒸気の場合、冷却器1内を上から下へ向かう自然循環流が発生する。上段の水平伝熱管2には、非凝縮性ガス濃度の低い混合ガスと熱交換を行うため、伝熱量が多く、水平伝熱管出口の冷却水温度が高くなる。下段の水平伝熱管2では、上段での蒸気凝縮により相対的に非凝縮性ガス濃度が高くなり、伝熱量が少なくなるため、水平伝熱管出口の冷却水温度は上段と比較して低くなる。

0049

図6は、水平伝熱管出口の冷却水温度分布を示すグラフである。横軸に水平伝熱管段数、縦軸に冷却水温度をとっている。実線は窒素のみの場合を、破線は全体の非凝縮性ガス濃度が変わらない場合であって水素が混入している場合を示している。

0050

本図に示すように、実線及び破線ともに、水平伝熱管の下段ほど冷却水温度が低下している。

0051

非凝縮性ガスに水素が混入すると、非凝縮性ガスの平均密度と蒸気密度との差が小さくなり、自然循環流の速度が低下する。速度が低下すると、伝熱量も低下するため、水平伝熱管出口の冷却水温度も低下する。水素が混入した場合は、窒素だけの場合と比較して、伝熱量が減少し、全体的に冷却水温度が低下する。なお、水素が混入した場合における最上段、最下段及び中間部付近の冷却水温度は、図中の○印で示している。

0052

水素の割合が更に上昇すると、冷却器内を下から上へ向かう自然循環流に変わる。

0053

図7は、水素の割合が上昇し自然循環流の向きが変わった場合における冷却水温度分布を示すグラフである。横軸に水平伝熱管段数、縦軸に冷却水温度をとっている。実線は水素のみの場合を、破線は全体の非凝縮性ガス濃度が変わらない場合であって窒素が混入している場合を示している。

0054

本図に示すように、実線及び破線ともに、最下段の水平伝熱管出口の冷却水温度が最も高くなり、上段ほど冷却水温度が低下する。水素の割合が更に上昇すると、非凝縮性ガスの平均密度と蒸気密度との差が拡大し、上向きの自然循環流の速度が増加する。速度が増加すると、伝熱量も増加するため、実線で示すように冷却水温度が全体的に上昇する。

0055

図6及び図7に示すように、非凝縮性ガスに含まれる水素の割合によって、水平伝熱管出口の冷却水温度の分布が変化する。

0056

実験や詳細な伝熱解析等で、圧力、非凝縮性ガス濃度、窒素/水素割合、水平伝熱管入口冷却水温度、冷却水流量等をパラメータとして構築した水平伝熱管出口の冷却水温度分布のデータベースを参照して、水素濃度を算出することができる。冷却水の温度分布がわかればよいので、全段の水平伝熱管出口の冷却水温度を測定する必要はなく、例えば、図6の○印で示す最上段、最下段及び中間部付近の冷却水温度から温度分布を推定して、水素濃度を算出することができる。また、データベースを用いることにより、正確な水素濃度を算出することができる。詳しくは、鉛直方向に配置された複数の水平伝熱管(冷却水流路)における冷却水の温度分布と、伝熱データベースに含まれる冷却水の温度分布と、を比較することにより、水素濃度を算出することができる。

0057

まとめると、水素濃度が低く冷却水温度から温度分布が図6のように単調減少の状態であって図7のように単調増加の状態に移行していない場合であっても、データベースを用いれば水素濃度を算出することができる。

0058

図8は、非凝縮性ガス中の水素の割合に対する冷却水温度の変化を示すグラフである。横軸に非凝縮性ガス中の水素の割合、縦軸に最上段の水平伝熱管出口における冷却水温度をとっている。

0059

本図に示すように、非凝縮性ガス中の水素の割合が0から増加すると、冷却水温度が低下する。そして、自然循環流の向きが変わる水素の割合に近くなると、冷却水温度が大きく低下する。自然循環流の向きが変わると、水素の割合の増加により自然循環流の速度が上昇するため、伝熱量が増加し、冷却水温度が上昇する。

0060

このため、例えば、1つの冷却水温度を示す破線と図中の曲線とは、2つの交点を有する。2つの交点に対応する水素の割合のうち、いずれが実際の値であるかは、不明であり、水素の割合を特定することはできない。1段の水平伝熱管出口だけの冷却水温度では水素の割合を特定することは困難であるが、少なくとも2段の水平伝熱管出口の冷却水温度を測定すれば、水素の割合を特定することができる。

0061

(効果)
本実施形態においては、第1実施形態の効果に加えて、冷却器1の伝熱データベースを参照することにより、水素濃度を精度よく算出することが可能である。

0062

<第3実施形態>
(構成)
図9は、本実施形態に係る水素濃度測定システムの構成要素である冷却器の一例の概略構成を示したものである。

0063

本図に示すように、第2実施形態と異なる点は、上下面に開口部21a、21b(鉛直方向)を有するケーシング36で水平伝熱管32を取り囲んだ冷却器31であって、冷却水温度を測定する温度計7d、7e(温度センサ)を水平伝熱管32の出口付近よりも上流側に設置している点である。言い換えると、温度計7d、7eは、複数の水平伝熱管32のうちの1つにおいては、冷却水の入口でも出口でもなく、当該1つの水平伝熱管32の途中に設置されている。

0064

更に詳しく述べると、冷却器31は、送風機を有しない構成であり、ケーシング36が冷却コイルの枠体に相当する構造を有する。ケーシング36の内側においては、水素濃度が低い状態では下降気流が生じ、水素濃度が高い状態では上昇気流が生じる。

0065

(動作)
本実施形態においても、動作は、第2実施形態と同じである。

0066

自然循環流は、鉛直方向に流れるため、上下面に開口部21a、21bを有する本実施形態の冷却器31では、第2実施形態の冷却器と比較して、自然循環流に対する抵抗が少なくなる。そして、その結果として、自然循環流の速度が増大する。したがって、本実施形態の冷却器31は、伝熱量が大きくなる。

0067

冷却水温度は、入口ヘッダ3から出口ヘッダ4に向けて単調に増加する。ただし、冷却水温度が周囲の混合ガス温度まで到達すると、混合ガスと冷却水との温度差がなくなり、伝熱しなくなるため、冷却水温度は、周囲の混合ガス温度で一定となる。冷却水流量が低下した場合や本実施形態のような伝熱量の大きい冷却器を用いた場合には、水平伝熱管出口までに冷却水温度が周囲の混合ガス温度まで上昇する可能性がある。例えば、鉛直方向すべての水平伝熱管出口の冷却水温度が周囲の混合ガス温度になると、混合ガスが上下のどちらの方向に流れているかが判別できず、水素濃度を算出できなくなる。

0068

そこで、本実施形態では、伝熱量が大きくなる場合に、冷却水温度が周囲ガス温度に到達する前の位置に温度計7d、7eを設置し、鉛直方向に冷却水温度に差が表れる温度分布を測定できるようにしている。温度計7d、7eの位置は、試験または詳細な数値解析により冷却水の温度上昇予測して決定する。

0069

水平伝熱管の上段と下段で冷却水温度の差がある温度分布を測定することにより、伝熱データベースを参照して水素濃度を算出することができる。

0070

(効果)
水平伝熱管出口で冷却水温度が周囲の混合ガス温度に到達する場合でも、伝熱データベースを参照して水素濃度を算出することができる。

0071

なお、図9の冷却器31と、水平伝熱管32の出口よりも上流側に設置した温度計7d、7eとの組み合わせは、本実施形態での一例として示したものであり、冷却器31の性能によっては、温度計7d、7eを設置する位置を水平伝熱管32と出口ヘッダ4との接続部付近としてもよい。また、本実施形態では温度計を2つとしているが、3つ以上設置しても問題はない。また、図1に示す冷却器1においても、本実施形態のように、温度計を水平伝熱管2の出口よりも上流側にのみ設置してもよいし、上流側に追加で設置してもよい。

0072

また、本システムを用いて蒸気による格納容器の圧力上昇を抑制するには、冷却器31の水平伝熱管32を多数設置する必要があるが、水素濃度測定に特化すれば、冷却器31は少ない水平伝熱管本数で構成でき、冷却器31を小型化できる。格納容器がコンパクトに設計されている既設の沸騰水型原子力プラントにも、設置場所を選ばずに適用が可能である。大きな容積の格納容器をもつ加圧水型原子力プラントへは、更に適用が容易である。

0073

図10は、沸騰水型原子力プラント(改良型沸騰水型軽水炉(ABWR:Advanced Boiling Water Reactor))のドライウェル冷却器であって本発明の水素濃度測定システムの冷却器として用いることができるものの設置状態を示したものである。

0074

本図において、沸騰水型原子力プラントの格納容器100の内部には、圧力容器110と、ドライウェル冷却器130と、が設置されている。格納容器100の内部は、ドライウェル120と、ウェットウェル122と、に区画されている。ウェットウェル122には、サプレッションプール124が設けられている。

0075

ドライウェル冷却器130は、通常運転時には、格納容器100内の温度を制御する空調機として機能する。

0076

過酷事故の際においても、ドライウェル冷却器130に外部から冷却水を送ることにより、格納容器100の内部を冷却することができ、格納容器100の内部の圧力を抑制することができる。これに加えて、ドライウェル冷却器130に外部から冷却水を送っている状態において、当該冷却水の温度を測定することにより、ドライウェル冷却器130における気相の自然循環を検知し、格納容器100の内部の水素濃度を測定することができる。

0077

本発明によれば、温度センサで測定された冷却水の温度分布から格納容器の内部における気流の変化を検出することにより、水素の発生又は濃度を検出することができる。

0078

1、31:冷却器、2、32:水平伝熱管、3:入口ヘッダ、4:出口ヘッダ、5:枠体、6、36:ケーシング、7a、7b、7c、7d、7e:温度計、8:ケーブル、9:コンピュータ、10、21a、21b:開口部、100:格納容器、110:圧力容器、120:ドライウェル、122:ウェットウェル、124:サプレッションプール、130:ドライウェル冷却器。

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