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技術 圧縮成形解析システム、圧縮成形解析方法、および圧縮成形解析プログラム

出願人 株式会社JSOL
発明者 林信哉
出願日 2017年10月31日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2017-210802
公開日 2019年5月30日 (2ヶ月経過) 公開番号 2019-082929
状態 特許登録済
技術分野 CAD プラスチック等の注型成形、圧縮成形 型の被覆による成形、強化プラスチック成形
主要キーワード 完全塑性 増分ベクトル 連成計 最大抵抗力 流動シミュレーション 部品性能 円板試験片 ビーム要素
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

繊維強化樹脂圧縮成形する場合でも、適切な圧縮成形解析を行うことができる圧縮成形解析システム、圧縮成形解析方法、および圧縮成形解析プログラムを提供すること。

解決手段

樹脂に繊維を混ぜ合わせた繊維強化樹脂の圧縮成形解析システムであって、繊維をビーム要素モデル化する繊維モデル部11と、ビーム要素の節点共有しない節点を有するように、樹脂をソリッド要素でモデル化する樹脂モデル部12と、ビーム要素の動きとソリッド要素の動きとの連成解析を行う連成解析部13と、ビーム要素およびソリッド要素について大変形解析を行う大変形解析部14と、を備え、連成解析部13は、大変形解析部14によるビーム要素およびソリッド要素の大変形中のビーム要素の動きとソリッド要素の動きとに基づいて、連成解析を行う。

概要

背景

地球温暖化対策は喫緊の課題であり、自動車メーカー等にはCO2排出量の削減のため、自動車の軽量化による大幅な燃費向上が求められている。従来の自動車部品等には鋼材が使われているが、近年、繊維強化樹脂代替材料として検討されている。その中で、炭素繊維強化樹脂は鋼材と同等、またはそれ以上の機械特性を有しながら、その重量は鋼材と比べて1/4に抑えることができる。

繊維強化樹脂は、繊維長が2mm以下の不連続短繊維強化樹脂、繊維長が2mm〜50mmの不連続長繊維強化樹脂、および繊維長が50mm以上の連続繊維強化樹脂分類される。繊維強化樹脂は、繊維長が長いほど優れた機械特性を有することが知られており、繊維長が10mm以上で高強度、繊維長が40mm以上で高靱性発現する。

不連続短繊維強化樹脂は射出成形によってリブのような複雑な形状を有する部品成形することが可能であるが、繊維長が短いため鋼材と同等な強度特性を持たせることが難しい。連続繊維プレス成形によって高強度かつ高靱性な部品に成形することができるが、リブのような複雑な形状を成形することができない。その中で、不連続長繊維強化樹脂は、圧縮成形によって複雑な形状に成形することが可能であり、様々な部品に適用することができる。さらに、炭素繊維を使用した場合は、鋼材と同等、またはそれ以上の高強度、高靱性を持たせることができるため、自動車の車体構造部品への全般的な適用が可能になり、自動車の大幅な軽量化が達成される

不連続長繊維強化樹脂を圧縮成形させると、繊維と樹脂流動して目的の部品形状に成形される。しかし、圧縮成形の中で繊維の配向(向き)や繊維の粗密が発生するため、成形された部品には剛性や強度が異なる領域が存在することが知られている。剛性や強度が低い箇所があると部品性能に大きく影響するため、繊維の配向(向き)や繊維の粗密を予測する数値シミュレーション技術が必要とされている。

従来、繊維配向については、不連続短繊維強化樹脂の射出成形の流動シミュレーションで使用されているFolgar-Tucker Modelに基づいた ARD(Anisotropic Rotary Diffusion)法等の繊維配向アルゴリズムで予測を行っていた(例えば、特許文献1)。

概要

繊維強化樹脂を圧縮成形する場合でも、適切な圧縮成形解析を行うことができる圧縮成形解析システム、圧縮成形解析方法、および圧縮成形解析プログラムを提供すること。樹脂に繊維を混ぜ合わせた繊維強化樹脂の圧縮成形解析システムであって、繊維をビーム要素モデル化する繊維モデル部11と、ビーム要素の節点共有しない節点を有するように、樹脂をソリッド要素でモデル化する樹脂モデル部12と、ビーム要素の動きとソリッド要素の動きとの連成解析を行う連成解析部13と、ビーム要素およびソリッド要素について大変形解析を行う大変形解析部14と、を備え、連成解析部13は、大変形解析部14によるビーム要素およびソリッド要素の大変形中のビーム要素の動きとソリッド要素の動きとに基づいて、連成解析を行う。

目的

本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、不連続長繊維強化樹脂等の繊維強化樹脂を圧縮成形する場合でも、適切な圧縮成形解析を行うことができる圧縮成形解析システム、圧縮成形解析方法、および圧縮成形解析プログラムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

樹脂に繊維を混ぜ合わせた繊維強化樹脂圧縮成形解析ステムであって、前記繊維をビーム要素で繊維モデルとしてモデル化する繊維モデル部と、前記ビーム要素の節点共有しない節点を有するように、前記樹脂をソリッド要素で樹脂モデルとしてモデル化する樹脂モデル部と、前記ビーム要素の動きと前記ソリッド要素の動きとの連成解析を行う連成解析部と、前記ビーム要素および前記ソリッド要素について大変形解析を行う大変形解析部と、を備え、前記連成解析部は、前記大変形解析部による前記ビーム要素および前記ソリッド要素の大変形中の前記ビーム要素の動きと前記ソリッド要素の動きとに基づいて、前記連成解析を行う、ことを特徴とする圧縮成形解析システム。

請求項2

前記大変形解析部は、アダプティブ・リメッシング法により、前記ソリッド要素について大変形解析を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の圧縮成形解析システム。

請求項3

前記連成解析部は、前記大変形解析部による前記ビーム要素および前記ソリッド要素の大変形中の前記ビーム要素の動きと前記ソリッド要素の動きに基づく前記ビーム要素と前記ソリッド要素について、前記ビーム要素の軸方向における相対的な変位すべり量として取得し、取得した前記すべり量から抵抗力を算出し、前記大変形解析部は、前記ビーム要素および前記ソリッド要素の節点に前記抵抗力を負荷として与える、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧縮成形解析システム。

請求項4

前記連成解析部は、前記大変形解析部による前記ビーム要素および前記ソリッド要素の大変形中の前記ビーム要素の動きと前記ソリッド要素の動きに基づく前記ビーム要素と前記ソリッド要素について、前記ビーム要素の軸方向における相対的な変位であるすべり量と、前記ソリッド要素の節点で計算される温度から補間して計算される前記ビーム要素の節点の位置での温度とを取得し、取得した前記すべり量および前記温度から抵抗力を算出し、前記大変形解析部は、前記ビーム要素および前記ソリッド要素の節点に前記抵抗力を負荷として与える、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧縮成形解析システム。

請求項5

前記連成解析部は、前記ビーム要素の軸方向に対する垂直方向については、コンストレイント法により前記ビーム要素の節点の動きと前記ソリッド要素の節点の動きとの連成解析を行い、前記ビーム要素の軸方向については、前記抵抗力を算出して前記ビーム要素の節点および前記ソリッド要素の節点に前記抵抗力を負荷として与えることにより連成解析を行う、ことを特徴とする請求項3ないし請求項4のいずれか1項に記載の圧縮成形解析システム。

請求項6

前記繊維モデル部は、前記ビーム要素に実物から計測された繊維の材料特性を設定し、前記繊維モデルの前記樹脂モデルに含まれる繊維体積分率が実物の繊維体積分率と同じになるように前記ビーム要素の断面積を設定し、前記樹脂モデル部は、前記ソリッド要素に実物から計測された樹脂の材料特性に(1−繊維体積分率)を掛けた値を設定する、ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の圧縮成形解析システム。

請求項7

前記繊維モデル部は、前記繊維を、断面形状の情報を持つ2節点のビーム要素でモデル化し、前記樹脂モデル部は、前記樹脂を、4節点4面体のソリッド要素でモデル化する、ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の圧縮成形解析システム。

請求項8

前記繊維は、繊維長があらゆる長さの繊維である、ことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の圧縮成形解析システム。

請求項9

前記樹脂は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂である、ことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の圧縮成形解析システム。

請求項10

樹脂に繊維を混ぜ合わせた繊維強化樹脂の圧縮成形解析方法であって、前記繊維をビーム要素で繊維モデルとしてモデル化し、前記ビーム要素の節点と共有しない節点を有するように、前記樹脂をソリッド要素で樹脂モデルとしてモデル化し、前記ビーム要素および前記ソリッド要素について大変形解析を行い、前記ビーム要素および前記ソリッド要素の大変形中の前記ビーム要素の動きと前記ソリッド要素の動きとに基づいて、前記ビーム要素の動きと前記ソリッド要素の動きとの連成解析を行う、ことを特徴とする圧縮成形解析方法。

請求項11

コンピュータに、樹脂に繊維を混ぜ合わせた繊維強化樹脂の圧縮成形解析を行わせる圧縮成形解析プログラムであって、前記繊維をビーム要素で繊維モデルとしてモデル化するステップと、前記ビーム要素の節点と共有しない節点を有するように、前記樹脂をソリッド要素で樹脂モデルとしてモデル化するステップと、前記ビーム要素および前記ソリッド要素について大変形解析を行うステップと、前記ビーム要素と前記ソリッド要素の大変形中の前記ビーム要素の動きと前記ソリッド要素の動きとに基づいて、前記ビーム要素の動きと前記ソリッド要素の動きとの連成解析を行うステップと、を備える、ことを特徴とする圧縮成形解析プログラム。

技術分野

0001

この発明は、圧縮成形解析ステム、圧縮成形解析方法、および圧縮成形解析プログラムに関する。

背景技術

0002

地球温暖化対策は喫緊の課題であり、自動車メーカー等にはCO2排出量の削減のため、自動車の軽量化による大幅な燃費向上が求められている。従来の自動車部品等には鋼材が使われているが、近年、繊維強化樹脂代替材料として検討されている。その中で、炭素繊維強化樹脂は鋼材と同等、またはそれ以上の機械特性を有しながら、その重量は鋼材と比べて1/4に抑えることができる。

0003

繊維強化樹脂は、繊維長が2mm以下の不連続短繊維強化樹脂、繊維長が2mm〜50mmの不連続長繊維強化樹脂、および繊維長が50mm以上の連続繊維強化樹脂分類される。繊維強化樹脂は、繊維長が長いほど優れた機械特性を有することが知られており、繊維長が10mm以上で高強度、繊維長が40mm以上で高靱性発現する。

0004

不連続短繊維強化樹脂は射出成形によってリブのような複雑な形状を有する部品成形することが可能であるが、繊維長が短いため鋼材と同等な強度特性を持たせることが難しい。連続繊維プレス成形によって高強度かつ高靱性な部品に成形することができるが、リブのような複雑な形状を成形することができない。その中で、不連続長繊維強化樹脂は、圧縮成形によって複雑な形状に成形することが可能であり、様々な部品に適用することができる。さらに、炭素繊維を使用した場合は、鋼材と同等、またはそれ以上の高強度、高靱性を持たせることができるため、自動車の車体構造部品への全般的な適用が可能になり、自動車の大幅な軽量化が達成される

0005

不連続長繊維強化樹脂を圧縮成形させると、繊維と樹脂流動して目的の部品形状に成形される。しかし、圧縮成形の中で繊維の配向(向き)や繊維の粗密が発生するため、成形された部品には剛性や強度が異なる領域が存在することが知られている。剛性や強度が低い箇所があると部品性能に大きく影響するため、繊維の配向(向き)や繊維の粗密を予測する数値シミュレーション技術が必要とされている。

0006

従来、繊維配向については、不連続短繊維強化樹脂の射出成形の流動シミュレーションで使用されているFolgar-Tucker Modelに基づいた ARD(Anisotropic Rotary Diffusion)法等の繊維配向アルゴリズムで予測を行っていた(例えば、特許文献1)。

先行技術

0007

米国特許第8,571,828号公報

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、特許文献1のようなFolgar-Tucker Modelに基づいたARD法においては、繊維は変形しない剛体として扱われており、繊維の重心位置の並進移動と回転のみが計算され、繊維の変形や応力を計算することができない。一方、実際の圧縮成形では繊維は変形して応力が発生し、繊維長が10mmを超える様な場合は繊維に大きな曲げうねり等の変形が発生して成形挙動に影響する。

0009

本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、不連続長繊維強化樹脂等の繊維強化樹脂を圧縮成形する場合でも、適切な圧縮成形解析を行うことができる圧縮成形解析システム、圧縮成形解析方法、および圧縮成形解析プログラムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

上述の課題を解決するために、本発明の圧縮成形解析システムの一態様は、樹脂に繊維を混ぜ合わせた繊維強化樹脂の圧縮成形解析システムであって、前記繊維をビーム要素で繊維モデルとしてモデル化する繊維モデル部と、前記ビーム要素の節点共有しない節点を有するように、前記樹脂をソリッド要素で樹脂モデルとしてモデル化する樹脂モデル部と、前記ビーム要素の動きと前記ソリッド要素の動きとの連成解析を行う連成解析部と、前記ビーム要素および前記ソリッド要素について大変形解析を行う大変形解析部と、を備え、前記連成解析部は、前記大変形解析部による前記ビーム要素および前記ソリッド要素の大変形中の前記ビーム要素の動きと前記ソリッド要素の動きとに基づいて、前記連成解析を行う、ことを特徴とする。

0011

本明細書において、「繊維強化樹脂」は、不連続長繊維強化樹脂、不連続短繊維強化樹脂、および連続繊維強化樹脂等を含む概念である。本明細書において、「樹脂」は、熱可塑性樹脂熱硬化性樹脂等を含む概念である。

0012

本発明によれば、繊維強化樹脂の圧縮成形解析システムにおいて、繊維モデル部は、繊維をビーム要素でモデル化する。樹脂モデル部は、ビーム要素の節点と共有しない節点を有するように、樹脂をソリッド要素でモデル化する。連成解析部は、ビーム要素の動きとソリッド要素の動きとの連成解析を行う。大変形解析部は、ビーム要素およびソリッド要素について大変形解析を行う。連成解析部による連成解析は、大変形解析部によるビーム要素およびソリッド要素の大変形中のビーム要素の動きとソリッド要素の動きとに基づいて行う。従って、繊維および樹脂の挙動、繊維の配向(向き)、繊維の粗密が、精度良く予測される。

0013

本発明の圧縮成形解析システムの他の態様は、前記大変形解析部は、アダプティブ・リメッシング法により、前記ソリッド要素について大変形解析を行ってもよい。

0014

この態様によれば、大変形解析部は、アダプティブ・リメッシング法により、ソリッド要素について大変形解析を行うので、例えば、リブが形成されるような変形の大きな箇所においても、安定して精度のよい大変形解析が行われる。

0015

本発明の圧縮成形解析システムの他の態様は、前記連成解析部は、前記大変形解析部による前記ビーム要素および前記ソリッド要素の大変形中の前記ビーム要素の動きと前記ソリッド要素の動きに基づく前記ビーム要素と前記ソリッド要素について、前記ビーム要素の軸方向における相対的な変位すべり量として取得し、取得した前記すべり量から抵抗力を算出し、前記大変形解析部は、前記ビーム要素および前記ソリッド要素の節点に前記抵抗力を負荷として与えてもよい。

0016

この態様によれば、連成解析部は、大変形解析部によるビーム要素およびソリッド要素の大変形中のビーム要素の動きとソリッド要素の動きに基づくビーム要素とソリッド要素について、ビーム要素の軸方向の相対的な変位をすべり量として取得する。また、連成解析部は、取得したすべり量から抵抗力を算出し、ビーム要素およびソリッド要素の節点に抵抗力を負荷として与える。従って、繊維強化樹脂が変形するときに樹脂の中を繊維が移動する現象が、精度良く再現される。

0017

本発明の圧縮成形解析システムの他の態様は、前記連成解析部は、前記大変形解析部による前記ビーム要素および前記ソリッド要素の大変形中の前記ビーム要素の動きと前記ソリッド要素の動きに基づく前記ビーム要素と前記ソリッド要素について、前記ビーム要素の軸方向における相対的な変位であるすべり量と、前記ソリッド要素の節点で計算される温度から補間して計算される前記ビーム要素の節点の位置での温度とを取得し、取得した前記すべり量および前記温度から抵抗力を算出し、前記大変形解析部は、前記ビーム要素および前記ソリッド要素の節点に前記抵抗力を負荷として与えてもよい。

0018

この態様によれば、連成解析部は、大変形解析部によるビーム要素およびソリッド要素の大変形中のビーム要素の動きとソリッド要素の動きに基づくビーム要素とソリッド要素について、ビーム要素の軸方向の相対的な変位であるすべり量と、ソリッド要素の節点で計算される温度から補間して計算されるビーム要素の節点の位置での温度とを取得する。また、連成解析部は、取得したすべり量および温度から抵抗力を算出し、ビーム要素およびソリッド要素の節点に抵抗力を負荷として与える。従って、繊維強化樹脂の樹脂が熱可塑性樹脂の場合であっても、高温に加熱された熱可塑性樹脂が温度を変化させながら圧縮成形により変形するときに熱可塑性樹脂の中を繊維が移動する現象が、精度良く再現される。

0019

本発明の圧縮成形解析システムの他の態様は、前記連成解析部は、前記ビーム要素の軸方向に対して垂直方向については、コンストレイント法により前記ビーム要素の節点の動きと前記ソリッド要素の節点の動きとの連成解析を行い、前記ビーム要素の軸方向については、前記抵抗力を算出して前記ビーム要素の節点および前記ソリッド要素の節点に前記抵抗力を負荷として与えることにより連成解析を行ってもよい。

0020

この態様によれば、連成解析部は、ビーム要素の軸方向に対する垂直方向については、コンストレイント法によりビーム要素の節点の動きとソリッド要素の節点の動きとの連成解析を行う。また、連成解析部は、ビーム要素の軸方向については、抵抗力を算出し、ビーム要素の節点およびソリッド要素の節点に抵抗力を負荷として与える。従って、繊維強化樹脂が変形するときに樹脂の中を繊維が移動する現象が、精度良く再現される。

0021

本発明の圧縮成形解析システムの他の態様は、前記繊維モデル部は、前記ビーム要素に実物から計測された繊維の材料特性を設定し、前記繊維モデルの前記樹脂モデルに含まれる繊維体積分率が実物の繊維体積分率と同じになるように前記ビーム要素の断面積を設定し、前記樹脂モデル部は、前記ソリッド要素に実物から計測された材料特性に(1−繊維体積分率)を掛けた値を設定してもよい。

0022

この態様において、「材料特性」とは、質量密度ヤング率降伏応力、粘度等を含む概念である。「繊維体積分率」とは、繊維強化樹脂に含まれる繊維の体積の割合を表す。

0023

この態様によれば、繊維モデル部は、実物から計測された繊維の材料特性を設定したビーム要素による繊維モデルの、樹脂モデルに含まれる繊維体積分率が、実物の繊維体積分率と同じになるように、ビーム要素の断面積を設定する。従って、実物の繊維より少ない本数で、ビーム要素による繊維モデルでのモデル化が行われる。樹脂モデル部は、ソリッド要素に実物から計測された材料特性に(1−繊維体積分率)を掛けた値を設定する。従って、樹脂モデルに、繊維モデルの体積を除いた材料特性を持たせることが行われる。

0024

本発明の圧縮成形解析システムの他の態様は、前記繊維モデル部は、前記繊維を、断面形状の情報を持つ2節点のビーム要素でモデル化し、前記樹脂モデル部は、前記樹脂を、4節点4面体のソリッド要素でモデル化してもよい。

0025

この態様によれば、繊維モデル部は、繊維を、断面形状の情報を持つ2節点のビーム要素でモデル化し、樹脂モデル部は、樹脂を、4節点4面体のソリッド要素でモデル化するので、繊維強化樹脂の適切な圧縮成形解析が行われる。

0026

本発明の圧縮成形解析システムの他の態様は、前記繊維は、繊維長があらゆる長さの繊維であってもよい。

0027

この態様によれば、繊維は、繊維長があらゆる長さの繊維なので、あらゆる種類の繊維強化樹脂について圧縮成形解析が適切に行われる。

0028

本発明の圧縮成形解析システムの他の態様は、前記樹脂は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂であってもよい。

0029

この態様によれば、樹脂は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂なので、様々な種類の繊維強化樹脂について圧縮成形解析が適切に行われる。

0030

上述の課題を解決するために、本発明の圧縮成形解析方法の一態様は、樹脂に繊維を混ぜ合わせた繊維強化樹脂の圧縮成形解析方法であって、前記繊維をビーム要素で繊維モデルとしてモデル化し、前記ビーム要素の節点と共有しない節点を有するように、前記樹脂をソリッド要素で樹脂モデルとしてモデル化し、前記ビーム要素および前記ソリッド要素について大変形解析を行い、前記ビーム要素および前記ソリッド要素の大変形中の前記ビーム要素の動きと前記ソリッド要素の動きとに基づいて、前記ビーム要素の動きと前記ソリッド要素の動きとの連成解析を行う、ことを特徴とする。

0031

本発明の圧縮成形解析方法の一態様によれば、繊維はビーム要素でモデル化される。樹脂は、ビーム要素の節点と共有しない節点を有するようにソリッド要素でモデル化される。ビーム要素およびソリッド要素については、大変形解析が行われる。ビーム要素およびソリッド要素の大変形中のビーム要素の動きとソリッド要素の動きとに基づいて、ビーム要素の動きとソリッド要素の動きとの連成解析が行われる。従って、繊維および樹脂の挙動、繊維の配向(向き)、繊維の粗密が、精度良く予測される。

0032

上述の課題を解決するために、本発明の圧縮成形解析プログラムの一態様は、コンピュータに、樹脂に繊維を混ぜ合わせた繊維強化樹脂の圧縮成形解析を行わせる圧縮成形解析プログラムであって、前記繊維をビーム要素で繊維モデルとしてモデル化するステップと、前記ビーム要素の節点と共有しない節点を有するように、前記樹脂をソリッド要素で樹脂モデルとしてモデル化するステップと、前記ビーム要素および前記ソリッド要素について大変形解析を行うステップと、前記ビーム要素と前記ソリッド要素の大変形中の前記ビーム要素の動きと前記ソリッド要素の動きとに基づいて、前記ビーム要素の動きと前記ソリッド要素の動きとの連成解析を行うステップと、を備えることを特徴とする。

0033

本発明の圧縮成形解析プログラムの一態様によれば、繊維はビーム要素でモデル化される。樹脂は、ビーム要素の節点と共有しない節点を有するようにソリッド要素でモデル化される。ビーム要素およびソリッド要素については、大変形解析が行われる。ビーム要素およびソリッド要素の大変形中のビーム要素の動きとソリッド要素の動きとに基づいて、ビーム要素の動きとソリッド要素の動きとの連成解析が行われる。従って、繊維および樹脂の挙動、繊維の配向(向き)、繊維の粗密が、精度良く予測される。

発明の効果

0034

本発明によれば、繊維強化樹脂の圧縮成形における繊維および樹脂の変形挙動、繊維の配向(向き)、繊維の粗密を、精度良く予測することができる。

図面の簡単な説明

0035

本発明に係る一実施形態の圧縮成形解析システムの概略構成を示す図である。
圧縮成形解析システムの機能ブロックを示す図である。
不連続長繊維強化樹脂の実物を撮影した画像を示す図である。
不連続長繊維強化樹脂の上面を拡大した図である。
不連続長繊維強化樹脂の側面視における積層状態を説明するための図である。
(A)は、樹脂モデルを構成するテトラソリッド要素を示す図であり、(B)は、繊維モデルを構成するビーム要素と、樹脂モデルを構成するソリッド要素を示す図である。
繊維モデルを示す図である。
樹脂モデルを示す図である。
圧縮成形に用いる金型を示す図である。
(A)から(E)は、圧縮成形による不連続長繊維強化樹脂の形状の変化を説明する図である。
圧縮成形解析シミュレーションの繊維強化樹脂解析モデルを説明するための図である。
圧縮成形解析シミュレーションの動作を示すフローチャートである。
ビーム要素の節点とソリッド要素の各節点の質量を示す図である。
ビーム要素の節点とソリッド要素の各節点の速度ベクトルを示す図である。
ビーム要素の節点とソリッド要素の各節点の加速度ベクトルを示す図である。
ビーム要素の軸方向と垂直方向で構成される局所座標系を示す図である。
ビームソリッド・コンストレイント・カップリング機能を説明するための図であり、(A)はビーム要素の節点とソリッド要素の各節点の速度ベクトルを示す図、(B)はビーム要素の軸方向と垂直方向で構成される局所座標系に従って、ビーム要素の節点とソリッド要素の各節点の速度ベクトルを軸方向の成分と垂直方向の成分とに分解した図、(C)はビーム要素の節点とソリッド要素の各節点の速度ベクトルの軸方向の成分のみを示す図、(D)はビーム要素の節点とソリッド要素の各節点の速度ベクトルの垂直方向の成分のみを示す図である。
ビーム・ソリッド・コンストレイント・カップリング機能を説明するための図であり、(A)はビーム要素の節点とソリッド要素の各節点の質量を示す図、(B)はビーム要素の節点の質量がソリッド要素の各節点に分配されて計算されるソリッド要素の各節点の質量を示す図である。
ビーム・ソリッド・コンストレイント・カップリング機能を説明するための図であり、(A)はビーム要素の節点とソリッド要素の各節点の垂直方向における運動量ベクトルを示す図、(B)はビーム要素の節点の垂直方向における運動量ベクトルがソリッド要素の各節点に分配されて計算されるソリッド要素の各節点の垂直方向における運動量ベクトルを示す図である。
ビーム・ソリッド・コンストレイント・カップリング機能を説明するための図であり、(A)はソリッド要素の各節点の垂直方向における運動量ベクトルを示す図、(B)はソリッド要素の各節点の垂直方向における速度ベクトルが更新されることを示す図である。
ビーム・ソリッド・コンストレイント・カップリング機能を説明するための図であり、(A)はビーム要素の節点の位置でのソリッド要素の垂直方向における速度ベクトルをソリッド要素の各節点の垂直方向における速度ベクトルから形状関数による内挿補間で計算することを説明するための図、(B)は内挿補間で計算された速度ベクトルがビーム要素の節点の垂直方向における速度ベクトルとして更新されることを示す図である。
ビーム・ソリッド・コンストレイント・カップリング機能を説明するための図である。垂直方向における速度ベクトルの更新と同じ方法で、ビーム要素の節点とソリッド要素の各節点の加速度ベクトルが更新されることを示す図である。
ビーム要素の軸方向におけるビーム要素とソリッド要素との抵抗力の計算を説明するための図であり、(A)はビーム要素の節点とソリッド要素の各節点の軸方向における変位増分ベクトルを示す図、(B)はビーム要素の節点の位置でのソリッド要素の軸方向における変位増分ベクトルをソリッド要素の各節点の軸方向における変位増分ベクトルから形状関数による内挿補間で計算することを説明するための図である。
ビーム要素の軸方向におけるビーム要素とソリッド要素との抵抗力の計算を説明するための図であり、(A)はビーム要素の節点の位置におけるすべり量増分ベクトルを示す図、(B)はビーム要素の節点の位置におけるすべり量を示す図である。
ビーム要素の軸方向におけるビーム要素とソリッド要素との抵抗力の計算を説明するための図である。
弾完全塑性体による抵抗力モデルを説明するための図である。抵抗力の計算方法を示すフローチャートである。
弾完全塑性体による抵抗力モデルを説明するための図である。すべり量と抵抗力の関係を示す図である。
弾完全塑性体による抵抗力モデルを説明するための図であり、(A)はビーム要素が移動する前の状態を示す図、(B)はビーム要素をX軸の正方向に移動させた状態を示す図、(C)はビーム要素をさらにX軸の正方向に移動させた状態を示す図、(D)はビーム要素をX軸の負方向に移動させた状態を示す図、(E)はビーム要素をさらにX軸の負方向に移動させた状態を示す図、(F)はビーム要素をさらにX軸の負方向に移動させた状態を示す図、(G)はすべり量に対する抵抗力の変化を示す図である。
異なる温度の不連続長繊維強化樹脂の円板試験片について圧縮試験を説明する図であり、(A)は直径d1の不連続長繊維強化樹脂の円板試験片を高さh4となるように重ねた状態を示す図、(B)は円板試験片を加熱しながら圧縮成形と同じ速度で平板圧縮した状態を示す図である。
異なる温度の不連続長繊維強化樹脂の円板試験片について行った圧縮試験の結果示す図である。
温度依存弾完全塑性体による抵抗力モデルを説明するための図である。温度依存の抵抗力の計算方法を示すフローチャートである。
温度依存弾完全塑性体による抵抗力モデルを説明するための図である。ソリッド要素の各節点の温度からビーム要素の節点の位置でのソリッド要素の温度を内挿補間により計算することを示す図である。
温度依存弾完全塑性体による抵抗力モデルを説明するための図である。すべり量と温度依存の抵抗力の関係を示す図である。
熱伝導構造連成解析機能を用いた樹脂モデルの温度分布を、時系列に従って段階的に示す図であり、(A)から(C)は本実施形態における熱伝導・構造連成解析機能を用いた樹脂モデルの温度分布を時系列に従って段階的に示す図である。
不連続長繊維強化樹脂の圧縮成形試験の結果と、圧縮成形解析シミュレーションの結果とを示す図であり、(A)から(C)は不連続長繊維強化樹脂に対して圧縮成形試験を行った場合の不連続長繊維強化樹脂の形状を時系列に従って段階的に撮影した画像を示す図、(D)から(F)は圧縮成形試験の各段階に対応する本実施形態の圧縮成形解析シミュレーションによる樹脂モデルの形状を示す図である。
不連続長繊維強化樹脂の圧縮成形試験の結果と、圧縮成形解析シミュレーションの結果とを示す図であり、(A)および(B)は不連続長繊維強化樹脂に対して圧縮成形試験を行った場合の不連続長繊維強化樹脂の形状を時系列に従って段階的に撮影した画像を示す図、(C)および(D)は圧縮成形試験の各段階に対応する本実施形態の圧縮成形解析シミュレーションによる樹脂モデルの形状を示す図である。
不連続長繊維強化樹脂の圧縮成形解析シミュレーションの結果を示す図であり、(A)から(C)は本実施形態の圧縮成形解析シミュレーションによる繊維モデルにおけるリブの形成過程を時系列に従って段階的に示す図、(D)から(F)は本実施形態の圧縮成形解析シミュレーションによる樹脂モデルにおけるリブの形成過程を(A)から(C)に対応させて時系列に従って段階的に示す図である。
不連続長繊維強化樹脂の圧縮成形試験の結果と、圧縮成形解析シミュレーションの結果とを示す図であり、(A)は不連続長繊維強化樹脂に対して圧縮成形試験を行った場合の不連続長繊維強化樹脂の外縁部の形状を撮影した画像を示す図、(B)は本実施形態の圧縮成形解析シミュレーションによる繊維モデルの外縁部の形状を示す図、(C)は不連続長繊維強化樹脂に対して圧縮成形試験を行った場合の不連続長繊維強化樹脂のリブが形成される途中の段階を撮影した画像を示す図、(D)は本実施形態の圧縮成形解析シミュレーションによる途中の段階における繊維モデル上のリブを示す図である。
不連続長繊維強化樹脂の圧縮成形試験の結果と、圧縮成形解析シミュレーションの結果とを示す図であり、(A)は不連続長繊維強化樹脂に対して圧縮成形試験を行った場合の不連続長繊維強化樹脂のリブの断面を撮影した画像を示す図、(B)は本実施形態の圧縮成形解析シミュレーションによる繊維モデル上のリブの断面を示す図である。

実施例

0036

以下、本発明の一実施形態に係る圧縮成形解析システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る圧縮成形解析システム100の概略構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態の圧縮成形解析システム100は、中央演算装置1、表示装置2、記憶装置3、入力装置4、および出力装置5を備えている。

0037

本実施形態の圧縮成形解析システム100は、一例として、繊維強化樹脂として不連続長繊維強化樹脂を用い、成形法として圧縮成形を用いた場合の解析を行うシステムである。本実施形態では、圧縮成形解析システム100を用いて、不連続長繊維強化樹脂を圧縮成形した際の流動シミュレーションを行う例について説明する。

0038

中央演算装置1は、プログラムを実行可能なパーソナルコンピュータ等の装置であり、CPUおよびメモリ等を含む。表示装置2は、文字および画像を表示可能な液晶ディスプレイ等の装置である。記憶装置3は、HDD(Hard Disk Drive)等のプログラムおよびデータを記憶可能な装置であり、外部のデータベースサーバ等を用いてもよい。本発明のプログラムは、記憶装置3に格納されている。入力装置4は、ユーザによるデータまたは指示入力が可能なキーボード等の装置である。出力装置5は、文字および画像を出力可能プリンタ等の装置である。本実施形態の圧縮成形解析システム100においては、出力装置5は省略してもよい。

0039

図2は、中央演算装置1が本発明のプログラムを実行することにより機能する機能ブロックを示す図である。図2に示すように、中央演算装置1は制御部10として機能する。また、制御部10は、本発明のプログラムに応じて、繊維モデル部11、樹脂モデル部12、連成解析部13、および大変形解析部14として機能する。

0040

繊維モデル部11は、不連続長繊維を断面形状の情報を持つ2節点の有限要素法のビーム要素でモデル化し、実物から計測された繊維の材料特性を設定する。繊維モデル部11は、実物の不連続長繊維より少ない本数でビーム要素によりモデル化を行っている。そのため、繊維モデル部11は、ビーム要素による繊維モデルは、樹脂モデルに含まれる繊維体積分率が実物の繊維体積分率と同じになるように、ビーム要素の断面積を設定する。ビーム要素による繊維モデルの詳細については後述する。実物の不連続長繊維より少ない本数でビーム要素によりモデル化することにより、大変形解析および連成解析における計算時間を短縮することができる。

0041

樹脂モデル部12は、樹脂を4節点4面体の有限要素法のテトラソリッド要素でモデル化する。樹脂モデル部12は、ソリッド要素の節点を、ビーム要素の節点と共有しないように設定する。また、樹脂モデル部12は、樹脂モデルに、繊維モデルの体積を除いた材料特性を持たせるため、実物の樹脂から計測された材料特性に、(1−繊維体積分率)を掛けた値を設定する。ソリッド要素による樹脂モデルの詳細については後述する。

0042

連成解析部13は、ビーム要素の動きとソリッド要素の動きとの連成解析を行う。連成解析とは、異なる二つの現象が相互作用により影響し合いながら解析が行われることをいう。連成解析部13は、ビーム要素の垂直方向の動きに対してはビーム・ソリッド・コンストレイント・カップリング機能により連成解析を行い、ビーム要素の軸方向の動きに対してはビーム要素とソリッド要素のすべり量を取得して、取得したすべり量から抵抗力を算出して連成解析を行う。これにより、不連続長繊維強化樹脂が変形するときに樹脂の中を不連続長繊維が移動する現象を再現する。ビーム・ソリッド・コンストレイント・カップリング機能とすべり量と抵抗力の算出の詳細については後述する。

0043

大変形解析部14は、繊維モデルを構成するビーム要素、および樹脂モデルを構成するソリッド要素に対して、大変形解析を行う。大変形解析部14は、ソリッド要素に対しては、アダプティブ・リメッシュ機能を用いてソリッド要素の形状がいびつな形にならないようにソリッド要素を再作成しながら大変形解析を行う。また、大変形解析部14は、ビーム要素に対しては、ビーム要素はいびつな形にならないためアダプティブ・リメッシュ機能を用いずに大変形解析を行う。

0044

不連続繊維強化樹脂
次に、繊維モデル部11および樹脂モデル部12によりモデル化される不連続繊維強化樹脂について説明する。
繊維強化樹脂(FRP(Fiber Reinforced Plastics))とは、樹脂に繊維を混ぜ合わせた複合材料であり、繊維としては、ガラス繊維(Glass)あるいは炭素繊維(Carbon)がよく用いられる。ガラス繊維は、鉄鋼より軽量であるが、鉄鋼より剛性と強度が低いという特徴を有する。炭素繊維は、鉄鋼よりも軽量で、鉄鋼と同等またはそれ以上の剛性と強度を有するため、鉄鋼に代替可能な材料である。ただし、炭素繊維は、ガラス繊維や鋼材よりも高価である。

0045

樹脂には、熱硬化性の樹脂と、熱可塑性の樹脂がある。熱硬化性樹脂の例としては、エポキシ樹脂フェノール樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂は、一般的に室温で柔らかく、高温にすると化学反応硬化して固まるが、その化学反応には時間がかかるという特徴を有する。なお、熱硬化性樹脂は、硬化後に室温まで冷却しても固まったままであり、不可逆性を有する。この特性のため、一般的にはリサイクルが困難である。

0046

熱可塑性樹脂の例としては、ポリプロピレンポリアミド等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、一般的に室温で硬く、樹脂の溶融温度以上の高温にすると柔らかくなり、また、室温に戻すと硬くなることから、可逆性を有す。この特性のため、一般的にはリサイクルが容易である。熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂のように樹脂を硬化させるための化学反応が必要無いため、生産性が高いという利点を有する。

0047

繊維強化樹脂に用いられる繊維は、連続繊維と、不連続繊維とがある。連続繊維は、繊維長が50mm以上の繊維であり、非常に長い。不連続繊維は、繊維長が2mm〜50mmの場合には、不連続長繊維と呼ばれ、2mm以下の場合には、不連続短繊維と呼ばれる。繊維が長いほど強度特性が良くなり、繊維長が10mm以上で高強度を発現し、40mm以上で高靱性を発現する。

0048

本実施形態では、一例として、製品名をTepex(登録商標)flowcore という、Bond-LaminatesGmbH社製の不連続長繊維強化樹脂を圧縮成形した際の流動シミュレーションを行う。図3は、不連続長繊維強化樹脂の実物を撮影した画像を示す図である。図4は、不連続長繊維強化樹脂の上面を拡大した図である。図3に示す不連続長繊維強化樹脂20は、繊維がガラス(Glass)で、繊維長は、30〜50mmである。図4に示すように、繊維21の繊維配向は、2次元ランダムとなっている。樹脂には、熱可塑性のポリアミドナイロン6が用いられている。

0049

図5は、不連続長繊維強化樹脂の側面視における積層状態を説明するための図である。図5に示す不連続長繊維強化樹脂20の板厚dは2mmであり、約40層繊維層22が積層されている。繊維体積含有率は0.47(47%)である。繊維体積分率とは、繊維強化樹脂に含まれる繊維の体積の割合である。

0050

以上のような不連続長繊維強化樹脂20は、圧縮成形により、複雑な形状に成形できる。圧縮成形とは、雄型雌型からなる金型を用いて材料をプレスして成形する手法である。圧縮成形の特徴は、不連続長繊維強化樹脂20に含まれる繊維が切れることなく長繊維を維持しながら目的の形状に成形することができるため、成形後も高い強度特性を有することができる。また、熱可塑性の不連続長繊維強化樹脂20の場合、高温に加熱された不連続長繊維強化樹脂は、低温の金型に冷却されながら成形されて数分程度で硬化するため、成形開始から部品完成までの時間が短いことが利点である。

0051

(繊維モデルおよび樹脂モデル)
次に、繊維モデル部11および樹脂モデル部12による繊維モデルおよび樹脂モデルについて説明する。図6(A)は、樹脂モデルを構成するテトラソリッド要素を示す図である。図6(B)は、繊維モデルを構成するビーム要素と、樹脂モデルを構成するテトラソリッド要素を示す図である。なお、図6(B)においては、テトラソリッド要素を模式的に2次元で表現している。図13以降の図面に示すテトラソリッド要素についても同様である。図7は、繊維モデルを示す図である。図8は、樹脂モデルを示す図である。

0052

図6に示すビーム要素30の長さは、一例として、1mmとした。従って、不連続長繊維強化樹脂20の繊維長が40mmの場合には、ビーム要素30を40個連結する。各ビーム要素30は、節点31により連結される。ビーム要素30の節点31は、ソリッド要素40の節点41と共有しないように設定する。

0053

ビーム要素30の材料モデルは、弾性体または弾塑性体である。材料特性(質量密度、ヤング率、ポアソン比、降伏応力、加工硬化係数)は実物の繊維21と同じ値を設定する。なお、実物の繊維21の曲げ剛性は非常に小さいため、ビーム要素30の曲げ剛性も非常に小さく設定するか、またはゼロに設定する。実物の不連続長繊維強化樹脂20に含まれる繊維21の本数は莫大であり、同じ本数のビーム要素による繊維モデルを作成することは計算時間がかかりすぎるため現実的ではない。そのため、図7に示すように、繊維モデル50は、実物の繊維21の本数より少なくする。ただし、繊維体積分率が実物の不連続長繊維強化樹脂20と同じになるようにビーム要素30の断面形状の断面積を設定する。

0054

実物の不連続長繊維強化樹脂20と繊維モデル50とを比較すると以下のようになる。例えば、長さ100mm、幅100mm、板厚2mmの大きさで、繊維体積分率が47%、繊維長が40mmの不連続長繊維強化樹脂20の場合に、実物の不連続長繊維強化樹脂20と繊維モデル50を比較すると以下のようになる。

0055

<実物の不連続長繊維強化樹脂20>
繊維径:5〜10μm
繊維数:50,000,000〜120,000,000
積層数:32〜48層

0056

<繊維モデル50>
繊維径:100〜500μm
繊維数:50,000〜1,200,000
積層数:2〜12層

0057

図8に示す樹脂モデル60は、樹脂をテトラソリッド要素(4節点4面体要素)40でモデル化する。図6に示すように、ソリッド要素40の各面は、節点41により連結される。樹脂モデル60の材料モデルは、温度依存粘弾性体である。材料特性(質量密度、各温度のヤング率、各温度のポアソン比、各温度の粘度)は、実物の樹脂の特性に(1−繊維体積分率)を掛けた値を設定する。このように設定することにより、樹脂モデルに繊維モデルの体積を除いた材料特性を持たせることができる。

0058

(圧縮成形)
次に、本実施形態の圧縮成形解析シミュレーションを行う圧縮成形について説明する。図9は、圧縮成形に用いる金型を示す図である。図10は、圧縮成形による不連続長繊維強化樹脂の形状の変化を説明する図である。

0059

図9に示すように、圧縮成形に用いる金型は、雄型70と、雌型80とに分かれている。図9は、ZX平面で、雄型70、不連続長繊維強化樹脂20、および雌型80を切断した状態を示している。図9に示すように、雄型70は、X方向およびY方向の幅W2が130mmの平板部71を有しており、平板部71の中央部には、X方向およびY方向の幅W1が68mmの凸状部72が形成されている。凸状部72の内部には、高さh1が15mmのリブ形成部73が形成されている。雄型70は160℃に加熱された後、一定温度に保たれるように制御される。

0060

雌型80は、雄型70と同様に、X方向およびY方向の幅W2が130mmの平板部81を有しており、平板部81の中央部には、X方向およびY方向の幅W1が68mmの凹状部82が形成されている。凹状部82の深さh2は、25.4mmとなっている。雌型80は、雄型70と同様に、160℃に加熱された後、一定温度に保たれるように制御される。

0061

不連続長繊維強化樹脂20は、板厚7mmの不連続長繊維強化樹脂を用意して、初期温度として290℃に加熱され、雌型80上に載置され、雄型70を雌型80の方向に移動することにより、圧縮成形される。不連続長繊維強化樹脂20の表面から、雄型70の平板部71までの高さh3は、25.4mmとなっている。圧縮成形後、不連続長繊維強化樹脂20の板厚は2〜3mmになる。

0062

図10(A)〜図10(E)に示すように、不連続長繊維強化樹脂20は、雄型70および雌型80の移動により変形し、リブ形成部73内に不連続長繊維強化樹脂20が流動することにより、リブ24が形成される。

0063

(圧縮成形解析シミュレーション)
図11は、本実施形態における圧縮成形解析シミュレーションの繊維強化樹脂解析モデルを説明するための図である。本実施形態では、以上のような不連続長繊維強化樹脂20の圧縮成形時における流動シミュレーションを、図11に示す繊維モデル50の大変形解析と、樹脂モデル60の大変形解析とにより行う。この際、繊維モデル50および樹脂モデル60とは、互いに流動性に影響を与えるため、繊維モデル50を構成するビーム要素30の動きと、樹脂モデル60を構成するソリッド要素40の動きとの連成解析を行うことにより、解析モデル90の流動シミュレーションを行う。

0064

本実施形態では、以上のような圧縮成形解析シミュレーションを行うソフトウェアとして、Livermore Software Technology Corporation社により商用コード化され、高度な非線形有限要素法ソルバーとして、学界産業界などで幅広活用されているLS−DYNAを用いた。

0065

LS−DYNAは、現象時間をある時間間隔で細かく分割して各時刻における変形状態を陽解法または陰解法と呼ばれる直接積分法によって逐次変形解析を行う。この各時刻をステップと呼ぶ。

0066

LS−DYNAは、ビーム要素の大変形解析を行う機能を備えている。

0067

LS−DYNAは、金属の鍛造加工を行うために開発されたテトラソリッド要素のアダプティブ・リメッシュ機能を備えている。金属の鍛造加工のような大変形解析ではソリッド要素がいびつな形状になり、解析精度の悪化や計算時間の増大、解析計算が途中で止まるなどの問題が発生する。この問題を回避するために、ソリッド要素がいびつな形状になる前にソリッド要素が再作成され、再作成される前のソリッド要素が持っていた応力とひずみが再作成されたソリッド要素に自動的に引き継ぎながら解析計算を行うアダプティブ・リメッシュ機能が使用される。さらに、アダプティブ・リメッシュ機能は熱伝導解析との連成解析が可能であり、金属の熱間鍛造解析を行うことができる。金属の熱間鍛造解析では、高温に加熱されてヤング率や降伏応力が低くなり成形性が良くなった金属モデルが、低温の金型に冷却されながら成形される。本発明では、アダプティブ・リメッシュ機能の中でも計算精度が優れた3D アダプティブ EFG(Element Free Galerkin)機能を使用した。3D アダプティブ EFG機能は、メッシュフリーガラーキン法ベースにしたテトラソリッド要素のアダプティブ・リメッシュ機能である。なお、3D アダプティブ EFG機能以外のアダプティブ・リメッシュ機能を使用することもできる。

0068

LS−DYNAは、鉄筋コンクリート構造解析機能を行うために開発されたビーム・ソリッド・コンストレイント・カップリング機能を備えている。鉄筋コンクリート解析機能では、鉄筋をビーム要素、コンクリートをソリッド要素でモデル化して、ビーム要素の動きとソリッド要素の動きをビーム・ソリッド・コンストレイント・カップリング機能により連成解析で計算する。

0069

本実施形態では、繊維モデルのビーム要素30の大変形挙動を、前記ビーム要素の大変形解析機能により計算する。また、本実施形態では、上述のように一般的に金属の鍛造解析に用いられるアダプティブ・リメッシュ機能を、樹脂モデルの圧縮成形解析に適用し、樹脂モデルのソリッド要素40の大変形挙動を、前記アダプティブ・リメッシュ機能により計算する。さらに、本実施形態では、上述のように一般的に鉄筋コンクリートの構造解析に用いられるビーム・ソリッド・コンストレイント・カップリング機能を、樹脂モデルと繊維モデルで構成される繊維強化樹脂の圧縮成形解析に適用し、繊維モデルのビーム要素30の動きと樹脂モデルのソリッド要素40の動きの連成解析を、ビーム・ソリッド・コンストレイント・カップリング機能により計算する。

0070

鉄筋コンクリートの構造解析では、鉄筋はコンクリートの中で強固に拘束されており、ほとんどすべることは無いが、本実施形態では繊維モデルのビーム要素が柔らかい(低粘度)状態の樹脂モデルのソリッド要素の中で抵抗力を受けながら移動できる設定にしたことにより、繊維強化樹脂の圧縮成形時の変形挙動を再現することに成功した。

0071

図12は、本実施形態における圧縮成形解析シミュレーションの動作を示すフローチャートである。まず、繊維モデル部11は、不連続長繊維強化樹脂20をビーム要素30でモデル化する(S1)。また、樹脂モデル部12は、ビーム要素30の節点31と共有しない節点41を有するように、樹脂をソリッド要素40でモデル化する(S1)。

0072

次に、制御部10は、流動シミュレーションを行う(S2)。この時、大変形解析部14は、ビーム要素30についてはアダプティブ・リメッシュ機能を用いずに大変形解析を行う(S3)。また、大変形解析部14は、ソリッド要素40についてアダプティブ・リメッシュ機能を用いて大変形解析を行う(S5)。そして、連成解析部13は、ビーム・ソリッド・コンストレイント・カップリング機能とすべり抵抗力を用いて、ビーム要素30の動きとソリッド要素40の動きとの連成解析を行う(S4)。
流動シミュレーションが終了すると、制御部10は、出力装置5を用いて出力処理を行う(S5)。

0073

(ビーム・ソリッド・コンストレイント・カップリング機能)
次に、ビーム・ソリッド・コンストレイント・カップリング機能について説明する。図13から図22は、ビーム・ソリッド・コンストレイント・カップリング機能を説明するための図である。

0074

図13から図15に示すように、ビーム要素30の節点31およびソリッド要素40の節点41は、質量、速度ベクトル、および加速度ベクトルを有している。

0075

図13において、m1はビーム要素30の節点31の質量を表し、M1,M2,M3,M4はソリッド要素40の節点41の質量を表している。図14において、v1はビーム要素30の節点31の速度ベクトルを表し、V1,V2,V3,V4はソリッド要素40の節点41の速度ベクトルを表している。図15において、a1はビーム要素30の節点31の加速度ベクトル、A1,A2,A3,A4はソリッド要素40の節点41の加速度ベクトルを表している。

0076

なお、m,M,v,V,a,Aの添え字の番号は、説明のために節点31,41に付された番号を示している。以下、添え字の番号について同様である。

0077

ここで、図16に示すように、ビーム要素30の軸方向LCxと、軸方向LCxに垂直な垂直方向LCyとで構成される局所座標系を設定する。図17(A)に示すビーム要素30の節点31の速度ベクトルv1は、図17(B)に示すように、局所座標系に従って、ビーム要素30の軸方向の成分vT,1と、垂直方向の成分vN,1とに分解される。ちなみに、添え字のTは軸に沿った方向としての接線方向を意味するTangentialを表し、Nは垂直方向を意味するNormalを表す。

0078

また、図17(B)に示すように、ソリッド要素40の各節点41の速度ベクトルV1,V2,V3,V4も、局所座標系に従って、前記軸方向の成分VT,1,VT,2,VT,3,VT,4と、前記垂直方向の成分VN,1,VN,2,VN,3,VN,4とに分解される。

0079

図17(C)に、ビーム要素30の節点31の速度ベクトルv1と、ソリッド要素40の各節点41の速度ベクトルV1,V2,V3,V4とについて、前記軸方向の成分vT,1,VT,1,VT,2,VT,3,VT,4を示す。

0080

図17(D)に、ビーム要素30の節点31の速度ベクトルv1と、ソリッド要素40の各節点41の速度ベクトルV1,V2,V3,V4とについて、前記垂直方向の成分vN,1,VN,1,VN,2,VN,3,VN,4を示す。

0081

本実施形態においては、ビーム要素30の前記垂直方向については、コンストレイント・カップリング法を用いて、速度カップリング計算および加速度カップリング計算を行い、ビーム要素30の節点31およびソリッド要素40の節点41の動きを計算する。また、ビーム要素30の前記軸方向については、ビーム要素30とソリッド要素40の相対的な変位(すべり量)に応じた抵抗力の計算を行い、ビーム要素30の節点31およびソリッド要素40の節点41の動きを計算する。以下、ビーム要素30の前記垂直方向と、ビーム要素30の前記軸方向とに分けて、ビーム要素30における節点31およびソリッド要素40における節点41の動きの計算について説明する。

0082

<ビーム要素垂直方向の速度および加速度のカップリング計算>
まず、ビーム要素30の前記垂直方向の速度カップリング計算および加速度カップリング計算について説明する。
速度カップリング計算においては、図18(A)に示すビーム要素30の節点31の質量m1は、ソリッド要素40の形状関数N1,N2,N3,N4により、図18(B)に示すように、ソリッド要素40の節点41に分配される。分配後のソリッド要素40の節点41の質量M'1,M'2,M'3,M'4は、以下のように表される。

0083

M'1=M1+N1・m1
M'2=M2+N2・m1
M'3=M3+N3・m1
M'4=M4+N4・m1

0084

同様に、図19(A)に示すビーム要素30の節点31の前記垂直方向における運動量ベクトルm1・vN,1は、ソリッド要素40の形状関数N1,N2,N3,N4により、図19(B)に示すように、ソリッド要素40の節点41に分配される。分配後のソリッド要素40の節点41の前記垂直方向における運動量ベクトル(M1・VN,1)',(M2・VN,2)',(M3・VN,3)',(M4・VN,4)'は、以下のように表される。

0085

(M1・VN,1)'=M1・VN,1+N1(m1・vN,1)
(M2・VN,2)'=M2・VN,2+N2(m1・vN,1)
(M3・VN,3)'=M3・VN,3+N3(m1・vN,1)
(M4・VN,4)'=M4・VN,4+N4(m1・vN,i)

0086

次に、図20(A)に示すソリッド要素40の節点41の前記垂直方向における運動量ベクトル(M1・VN,1)',(M2・VN,2)',(M3・VN,3)',(M4・VN,4)'を、図20(B)に示すようにビーム要素30の節点31の質量m1が分配されたソリッド要素40の節点41の質量M'1,M'2,M'3,M'4で割ることにより、ソリッド要素40の節点41の前記垂直方向における速度ベクトルVN,1,VN,2,VN,3,VN,4を更新する。更新された速度ベクトルV'N,1,V'N,2,V'N,3,V'N,4は、以下のように表される。

0087

V'N,1=[M1・VN,1+N1(m1・vN,1)]/[M1+N1・m1]
V'N,2=[M2・VN,2+N2(m1・vN,1)]/[M2+N2・m1]
V'N,3=[M3・VN,3+N3(m1・vN,1)]/[M3+N3・m1]
V'N,4=[M4・VN,4+N4(m1・vN,1)]/[M4+N4・m1]

0088

次に、図21(A)に示すように、ビーム要素30の節点31の位置でのソリッド要素40の前記垂直方向における速度ベクトルを、更新されたソリッド要素40の節点41の前記垂直方向における速度ベクトルV'N,1,V'N,2,V'N,3,V'N,4から、ソリッド要素40の形状関数N1,N2,N3,N4による内挿補間で計算する。図21(B)に示すように、その値によりビーム要素30の節点31の前記垂直方向における速度ベクトルvN,1を更新する。更新された速度ベクトルv'N,1は、以下のように表される。

0089

v'N,1=ΣNk・V'N,k(kは、ソリッド要素40の節点41の番号を示す。)

0090

速度ベクトルの場合と同様に、ソリッド要素40における節点41の前記垂直方向における加速度ベクトルAN,1,AN,2,AN,3,AN,4を更新する。次に、ビーム要素30の節点31の位置でのソリッド要素40の前記垂直方向における加速度ベクトルを、ソリッド要素40の節点41の前記垂直方向における更新された加速度ベクトルA'N,1,A'N,2,A'N,3,A'N,4から、ソリッド要素40の形状関数N1,N2,N3,N4による内挿補間で計算する。次に、図22に示すように、その値によりビーム要素30の節点31の前記垂直方向における加速度ベクトルaN,1を更新する。更新された加速度ベクトルa'N,1は、以下のように表される。

0091

a'N,1=ΣNk・A'N,k(kは、ソリッド要素40の節点41の番号を示す。)

0092

<ビーム要素軸方向の抵抗力の計算>
次に、ビーム要素30の軸方向におけるビーム要素30とソリッド要素40との抵抗力の計算について説明する。図23から図25は、ビーム要素30の軸方向におけるビーム要素30とソリッド要素40との抵抗力の計算を説明するための図である。図17(C)に示すビーム要素30の節点31およびソリッド要素40の節点41の前記軸方向における速度ベクトルに後述する時間増分ΔTを掛けることにより、図23(A)に示すビーム要素30の節点31の前記軸方向における変位増分ベクトルΔdT,1と、ソリッド要素40の節点41の前記軸方向における変位増分ベクトルΔDT,1,ΔDT,2,ΔDT,3,ΔDT,4とが計算される。

0093

次に、図23(B)に示すように、ビーム要素30の節点31の位置でのソリッド要素40の前記軸方向における変位増分ベクトルを、ソリッド要素40の節点41の前記軸方向における変位増分ベクトルΔDT,1,ΔDT,2,ΔDT,3,ΔDT,4から、ソリッド要素40の形状関数N1,N2,N3,N4による内挿補間で計算する。計算されたビーム要素30の節点31の位置でのソリッド要素40の前記軸方向における変位増分ベクトルΔD'Tは、以下のように表される。

0094

ΔD'T=ΣNk・ΔDT,k(kは、ソリッド要素40の節点41の番号を示す。)

0095

図23(B)に、ビーム要素30の節点31の前記軸方向における変位増分ベクトルΔdT,1と、ビーム要素30の節点31の位置でのソリッド要素40の前記軸方向における変位増分ベクトルΔD'Tを示す。

0096

ビーム要素30の節点31の前記軸方向における変位増分ベクトルΔdT,1から、ビーム要素30の節点31の位置でのソリッド要素40の前記軸方向における変位増分ベクトルΔD'Tを引いたものが相対的な変位増分を表し、すべり量増分ベクトルΔS1になる。すべり量増分ベクトルΔS1は、次のように表される。

0097

ΔS1=ΔdT,1−ΔD'T

0098

図24(A)に、ビーム要素30の節点31の位置におけるすべり量増分ベクトルΔS1を示す。

0099

すべり量増分ベクトルΔS1を所定期間積算することにより、すべり量S1が計算される。

0100

図24(B)に、ビーム要素30の節点31の位置でのすべり量S1を示す。

0101

ビーム要素30の前記軸方向の抵抗力は、すべり量増分ベクトルΔS1から、後述する「弾完全塑性体による抵抗力モデル」、および「温度依存弾完全塑性体による抵抗力モデル」により計算される。図25に示すように、抵抗力はビーム要素30の節点31に抵抗力ベクトルFb1として与えられ、ソリッド要素40の節点41にはソリッド要素40の形状関数N1,N2,N3,N4により分配された抵抗力が反対方向に抵抗力ベクトルFs1,Fs2,Fs3,Fs4として与えられる。抵抗力ベクトルFs1,Fs2,Fs3,Fs4は、以下のように表される。

0102

Fs1=N1・Fb1
Fs2=N2・Fb1
Fs3=N3・Fb1
Fs4=N4・Fb1

0103

つまり、本実施形態においては、ビーム要素30の前記軸方向について、ビーム要素30の節点31の位置におけるビーム要素30とソリッド要素40とのすべり量増分ベクトルを計算し、ビーム要素30の節点31が前記軸方向にすべりが生じたと認識されたら、反対方向に抵抗力を与える。そして、その抵抗力を相殺するようにソリッド要素40の節点41に反力としての抵抗力を与える処理を行っている。

0104

ビーム要素30の節点31およびソリッド要素40の節点41における、ビーム要素30の前記軸方向の動きは、上述した速度ベクトル、加速度ベクトル、および抵抗力ベクトルが作用した運動方程式を計算することにより求められる。

0105

このような処理を行うことにより、不連続繊維強化樹脂の樹脂が柔らかい(低粘度の)状態で行われる圧縮成形において、樹脂の中を不連続繊維が抵抗力を受けながら移動する現象を、精度良く再現することができる。

0106

(弾完全塑性体による抵抗力モデル)
次に、弾完全塑性体による抵抗力モデルについて説明する。図26から図28は、弾完全塑性体による抵抗力モデルを説明するための図である。なお、上述したように、本実施形態の圧縮解析シミュレーションでは、現象時間をある時間増分ΔTで細かく分割して各時刻における変形状態を陽解法または陰解法と呼ばれる直接積分法によって逐次変形解析を行う。この各時刻をステップと呼ぶ。ここで説明する抵抗力の計算についても、ステップごとに計算を行う。

0107

抵抗力を計算するには、図26に示すように、まず、連成解析部13は、前ステップから本ステップの間で生じたすべり量増分ベクトルの成分ΔSを計算し、前ステップの抵抗力FbT-ΔTを記憶装置3から読み出す(S10)。なお、前ステップの抵抗力FbT-ΔTは予め記憶装置3に記憶させておく。

0108

次に、連成解析部13は、試行抵抗力Fbtrialの計算を行う(S11)。試行抵抗力Fbtrialは次式により計算する。

0109

Fbtrial=FbT-ΔT+K・ΔS

0110

ここで、Kは、弾完全塑性体すべり抵抗力モデルにおける弾性域の傾きである。図27に、弾完全塑性体すべり抵抗力モデルを示す。図27に示すように、弾完全塑性体すべり抵抗力モデルは、すべり量がある範囲内の場合には、抵抗力Fbが弾性域で変化する。しかし、すべり量SがS1となり、抵抗力Fbが最大抵抗値Fbmaxに達した場合には、完全塑性域となり、その後、すべり量が大きくなっても抵抗力Fbは変化しない。このような弾完全塑性体すべり抵抗力モデルにおいて、弾性域の傾きKは次式で表される。

0111

K=Fbmax/S1

0112

本発明者等は、ビーム要素30の軸方向におけるビーム要素30の節点31の挙動については、すべり量に対する抵抗力が弾完全塑性体の特性を有すると考えられることを見出し、この弾完全塑性体すべり抵抗力モデル、および後述する温度依存弾完全塑性体による抵抗力モデルにより抵抗力の計算を行うこととした。

0113

本実施形態の不連続長繊維強化樹脂20は、樹脂が熱可塑性樹脂であるため、温度依存弾完全塑性体による抵抗力モデルにより抵抗力が計算されるが、温度依存弾完全塑性体による抵抗力モデルの説明を行う前に、ここでは、温度に依存しない弾完全塑性体による抵抗力モデルを用いた抵抗力の計算について説明する。

0114

次に、連成解析部13は、試行抵抗力Fbtrialが弾完全塑性体すべり抵抗力モデルの弾性域の抵抗力なのか、あるいは完全塑性域の抵抗力なのかを判断するために、降伏計算を行う(S12)。降伏計算は次式により行う。

0115

|Fbtrial| < Fbmax

0116

連成解析部13は、降伏計算の結果、試行抵抗力Fbtrialの絶対値が最大抵抗値Fbmaxよりも小さい場合には(S12:YES)、試行抵抗力Fbtrialは弾性域にあると判断し、試行抵抗力Fbtrialを本ステップの抵抗力FbTとして求める(S13)。

0117

しかし、連成解析部13は、降伏計算の結果、試行抵抗力Fbtrialの絶対値が最大抵抗値Fbmax以上である場合には(S12:NO)、試行抵抗力Fbtrialは完全塑性域にあると判断し、次式により抵抗力FbTを求める(S14)。

0118

FbT =Fbmax・(Fbtrial/|Fbtrial|)

0119

連成解析部13は、以上のようにして求めた本ステップの抵抗力FbTを、ビーム要素30の節点31およびソリッド要素40の節点41に負荷として与える(S15)。

0120

図28は、弾完全塑性体すべり抵抗力モデルを用いた場合に、ビーム要素30の軸方向におけるビーム要素30の節点31のすべり量に対して、抵抗力がどのように変化するのかを説明するための図である。この例では、説明を簡単にするために、固定したソリッド要素40の中でビーム要素30を強制的に移動させた場合について説明する。

0121

図28(A)は、ビーム要素30が移動する前の状態を示している。この場合は、すべり量がゼロであり、図28(G)に示す(a)のポイントに対応している。図28(G)から明らかなように、この場合の抵抗力はゼロとなる。

0122

次に、図28(B)に示すように、ビーム要素30を点線で示す矢印の方向、つまり、X軸の正方向(図28において右方向)に移動させ、すべり量が図28(G)に示す(a)のポイントから(b)のポイントまで変化した場合を考える。この場合には、図28(G)に示すように、抵抗力はFb1となり、ビーム要素30の移動方向とは反対方向(図28(B)において左方向)に抵抗力Fb1が与えられる。

0123

さらに、図28(C)に示すように、ビーム要素30をX軸の正方向に移動させると、すべり量が図28(G)に示す(b)のポイントから(c)のポイントまで変化し、抵抗力は、最大抵抗力Fbmaxに到達する。その後もビーム要素30をX軸の正方向に移動させると、すべり量は図28(G)に示す(c)のポイントから(d)のポイントまで変化するが、抵抗力は最大抵抗力Fbmaxのままビーム要素30の節点31に与えられる。図28(C)は、ビーム要素30の節点31に最大抵抗力Fbmaxが与えられている状態を示している。

0124

次に、図28(D)に示すように、ビーム要素30をX軸の負方向(図28において左方向)に移動させると、すべり量が図28(G)に示す(d)のポイントから(e)のポイントに向かって変化し、抵抗力は減少する。そして、すべり量が図28(G)に示す(e)のポイントに達すると、抵抗力はゼロになる。図28(D)は、ビーム要素30の節点31における抵抗力がゼロになった状態を示している。

0125

さらに、図28(E)に示すように、ビーム要素30をX軸の負方向に移動させると、ビーム要素30の移動方向とは反対方向(図28において右方向)に抵抗力が発生し、すべり量が図28(G)に示す(f)のポイントに達すると、抵抗力は最大抵抗力Fbmaxとなる。図28(E)は、ビーム要素30の節点31に最大抵抗力Fbmaxが与えられている状態を示している。

0126

その後も、図28(F)に示すように、ビーム要素30をX軸の負方向に移動させると、すべり量は図28(G)に示す(f)のポイントから(g)のポイントまで変化するが、抵抗力は図28(F)に示すように、最大抵抗力Fbmaxのままビーム要素30の節点31に与えられる。

0127

これ以降、ビーム要素30の節点31をX軸の正方向に移動させれば、図28(G)に点線の矢印で示すようにすべり量が変化し、弾完全塑性体すべり抵抗力モデルに従って抵抗力が変化することになる。

0128

不連続長繊維強化樹脂における樹脂が、熱硬化性樹脂である場合には、圧縮成形において温度変化が無いため、上述した弾完全塑性体すべり抵抗力モデルを用いることにより、ビーム要素30の節点31を、ビーム要素30の軸方向に移動させる際の抵抗力を計算することができる。

0129

なお、ビーム要素30の節点31はソリッド要素40の節点41と連成計算を行うカップリング・ポイントであるが、節点31以外にもビーム要素30上に任意の個数のカップリング・ポイントを設定して、連成解析を行うこともできる。

0130

(熱可塑性樹脂)
上述した弾完全塑性体すべり抵抗力モデルは、温度のパラメータは考慮されていない。しかし、本実施形態の不連続長繊維強化樹脂20のように、樹脂が熱可塑性樹脂の場合には、圧縮成形において温度変化が発生するため、硬さ(粘度)が変化する。

0131

図29は、異なる温度の不連続長繊維強化樹脂の円板試験片について行った圧縮試験を説明する図である。図30は、圧縮試験の結果を示す図である。圧縮試験においては、図29(A)に示すように、直径d1が75mmの不連続長繊維強化樹脂20の円板試験片を、高さh4が6mmとなるように重ね、これらの円板試験片を、160℃、250℃、280℃とそれぞれ異なる温度に加熱した。そして、図29(B)に示すように、圧縮成形と同じ速度で平板を板厚方向に圧縮した。以下の説明において円板試験片を変位させる方向は板厚方向である。なお、不連続長繊維強化樹脂20の樹脂である熱可塑性のポリアミドナイロン6の溶融温度は、225℃である。

0132

図30に示すように、温度が溶融温度より低い160℃の場合には、円板試験片を0.2mm変位させるのに約2000N程度の荷重が必要であり、その後も円板試験片を2mm変位させるのに約5000N程度の荷重が必要となることが分かる。

0133

しかし、温度が250℃の場合には、円板試験片を0.2mm変位させるのに必要な荷重は約500N程度であり、その後も円板試験片を2mm変位させるのに必要な荷重は約1000N程度であることが分かる。

0134

さらに、温度が280℃の場合には、円板試験片を0.2mm変位させるのに必要な荷重は約100N程度であり、その後も円板試験片を2mm変位させるのに必要な荷重は約300N程度であることが分かる。

0135

以上のように、樹脂が熱可塑性の場合には、温度により硬さ(粘度)が異なるため、本実施形態では、以下のような、温度依存弾完全塑性体すべり抵抗力モデルを用いている。

0136

(温度依存弾完全塑性体すべり抵抗力モデル)
図31から図33は、温度依存弾完全塑性体すべり抵抗力モデルを説明するための図である。

0137

抵抗力を計算するには、図31に示すように、まず、連成解析部13は、前ステップから本ステップの間で生じたすべり量増分ベクトルの成分ΔSを計算し、ビーム要素30の節点31の位置におけるソリッド要素40の温度Tsを計算する(S20)。また、連成解析部13は、前ステップの抵抗力FbT-ΔTを記憶装置3から読み出す(S20)。なお、前ステップの抵抗力FbT-ΔTは予め記憶装置3に記憶させておく。

0138

図32に示すように、ビーム要素30の節点31の位置でのソリッド要素の温度Tsは、ソリッド要素40の節点41の温度Ts,K(Kは、ソリッド要素40の節点41の番号を示す。)を形状関数により内挿して計算する。図32に示すように、ソリッド要素40の節点41の温度が、270℃、280℃、250℃、240℃の場合には、ビーム要素30の節点31でのソリッド要素の温度は、260℃となる。この場合、ビーム要素30の節点31の位置でのソリッド要素40の温度Tsは、次のように表される。

0139

Ts=ΣNK・Ts,K(Kは、ソリッド要素40の節点41の番号を示す。)

0140

次に、連成解析部13は、試行抵抗力Fbtrialの計算を行う(S21)。試行抵抗力Fbtrialは次式により計算する。

0141

Fbtrial=FbT-ΔT+K(Ts)・ΔS

0142

ここで、K(Ts)は、温度依存弾完全塑性体すべり抵抗力モデルにおける弾性域の傾きである。K(Ts)は、Kが温度Tsの関数であることを示す。図33に、温度依存弾完全塑性体すべり抵抗力モデルを示す。図33に示すように、温度依存弾完全塑性体すべり抵抗力モデルは、すべり量がある範囲内の場合には、抵抗力Fbが弾性域で変化する。しかし、すべり量SがS1となり、抵抗力Fbが最大抵抗値Fbmax(Ts)に達した場合には、完全塑性域となり、その後、同じ温度であればすべり量が大きくなっても抵抗力Fbは変化しない。最大抵抗値Fbmax(Ts)は、Fbmaxが温度Tsの関数であることを示す。このような温度依存弾完全塑性体すべり抵抗力モデルにおいて、弾性域の傾きK(Ts)は次式で表される。

0143

K(Ts)=Fbmax(Ts)/S1

0144

次に、連成解析部13は、試行抵抗力Fbtrialが温度依存弾完全塑性体すべり抵抗力モデルの弾性域の抵抗力なのか、あるいは完全塑性域の抵抗力なのかを判断するために、降伏計算を行う(S22)。降伏計算は次式により行う。

0145

|Fbtrial| < Fbmax(Ts)

0146

連成解析部13は、降伏計算の結果、試行抵抗力Fbtrialの絶対値が最大抵抗値Fbmax(Ts)よりも小さい場合には(S22:YES)、試行抵抗力Fbtrialは弾性域にあると判断し、試行抵抗力Fbtrialを本ステップの抵抗力FbTとして求める(S23)。

0147

しかし、連成解析部13は、降伏計算の結果、試行抵抗力Fbtrialの絶対値が最大抵抗値Fbmax(Ts)以上である場合には(S22:NO)、試行抵抗力Fbtrialは完全塑性域にあると判断し、次式により抵抗力FbTを求める(S24)。

0148

FbT =Fbmax(Ts)・(Fbtrial/|Fbtrial|)

0149

連成解析部13は、以上のようにして求めた本ステップの抵抗力FbTを、ビーム要素30の節点31およびソリッド要素40の節点41に負荷として与える(S25)。

0150

(熱伝導・構造連成解析)
本実施形態の圧縮成形解析シミュレーションのソフトウェアに実装されている、熱伝導・構造連成解析機能を使用して計算した。図34(A),(B),(C)は、本実施形態における熱伝導・構造連成解析機能を用いた樹脂モデル60の温度分布を、時系列に従って段階的に示す図である。

0151

図34(A),(B),(C)において、樹脂モデル60の温度が高い部分は薄い色で表され、温度が低い部分は濃い色で表されている。図34(A)に示すように、圧縮成形の開始前においては、樹脂モデル60の温度は高い。しかし、図34(B),(C)に示すように、圧縮成形が開始されると、樹脂モデル60の温度は、雄型70および雌型80と接触する部分から温度が低下していくことが分かる。

0152

樹脂モデル60および繊維モデル50の挙動は、上述した温度依存弾完全塑性体すべり抵抗力モデルにより、温度が低い箇所は硬く(高粘度)、高い領域は柔らかい(低粘度)特性で計算されている。

0153

以上のように、本実施形態によれば、熱伝導・構造連成解析において抵抗力を温度に依存させることにより、樹脂が熱可塑性の場合の不連続長繊維強化樹脂の中で不連続繊維が抵抗力を受けながら移動する現象を、精度良く再現することができる。

0154

(不連続長繊維強化樹脂の圧縮成形試験と、圧縮成形解析シミュレーションとの比較)
次に、不連続長繊維強化樹脂の圧縮成形試験と、圧縮成形解析シミュレーションとの比較について説明する。
図35から図39は、不連続長繊維強化樹脂の圧縮成形試験の結果と、圧縮成形解析シミュレーションの結果とを示す図である。
図35(A),(B),(C)、および図36(A),(B)は、不連続長繊維強化樹脂20に対して圧縮成形試験を行った場合の不連続長繊維強化樹脂20の形状を、時系列に従って段階的に撮影した画像を示す図である。
図35(D),(E),(F)、および図36(C),(D)は、前記圧縮成形試験の各段階に対応する本実施形態の圧縮成形解析シミュレーションによる樹脂モデル60の形状を示す図である。

0155

図35および図36から明らかなように、本実施形態の圧縮成形解析シミュレーションは、不連続長繊維強化樹脂20の形状変化を精度良く表している。

0156

特に、雄型70のリブ形成部73内に不連続長繊維強化樹脂20が流動していくことにより形成されるリブ24と、本実施形態の圧縮成形解析シミュレーションによる樹脂モデル60上のリブ61との形状が一致しており、その成形過程が精度良く表わされていることが分かる。

0157

図37(A),(B),(C)は、本実施形態の圧縮成形解析シミュレーションによる繊維モデル50におけるリブ61の形成過程を、時系列に従って段階的に示す図である。
図37(D),(E),(F)は、本実施形態の圧縮成形解析シミュレーションによる樹脂モデル60におけるリブ61の形成過程を、図37(A),(B),(C)に対応させて時系列に従って段階的に示す図である。

0158

図37(A),(B),(C)と図37(D),(E),(F)とを比較すると良く分かるように、本実施形態では、上述したコンストレイント・カップリング計算とすべり抵抗力による連成解析を行いながら、ビーム要素とソリッド要素の大変形解析を行っている。

0159

また、圧縮成形においては、ウェルドラインと呼ばれる凹部が形成されるが、図37(F)に示すように、樹脂モデル60上にウェルドライン62が表されている。このウェルドライン62が形成される箇所を繊維モデル50で見てみると、図37(C)に矢印で示すように、繊維の配向(向き)を確認することができる。

0160

図38(A)は、不連続長繊維強化樹脂20に対して圧縮成形試験を行った場合の不連続長繊維強化樹脂20の外縁部の形状を撮影した画像を示す図である。図38(B)は、本実施形態の圧縮成形解析シミュレーションによる繊維モデル50の外縁部の形状を示す図である。
図38(C)は、不連続長繊維強化樹脂20に対して圧縮成形試験を行った場合の不連続長繊維強化樹脂20のリブ24が形成される途中の段階を撮影した画像を示す図である。図38(D)は、本実施形態の圧縮成形解析シミュレーションによる前記途中の段階における繊維モデル50上のリブ61を示す図である。

0161

図38(A)と図38(B)とを比較すると良く分かるように、実物の不連続長繊維強化樹脂20の外縁部において発生している皺の形状と、繊維モデル50における皺の形状とが一致しており、本実施形態の圧縮成形解析シミュレーションにより実物の成形状態を精度良く再現できる。

0162

また、図38(C)に示すように、不連続長繊維強化樹脂20は、白色の矢印の方向に流動してリブ24を形成するが、図38(D)の繊維モデル50上のリブ61についても、形成途中の形状が一致しており、本実施形態の圧縮成形解析シミュレーションにより実物の成形過程を精度良く再現できることが分かる。

0163

図39(A)は、不連続長繊維強化樹脂20に対して圧縮成形試験を行った場合の不連続長繊維強化樹脂20のリブ24の断面を撮影した画像を示す図である。図39(B)は、本実施形態の圧縮成形解析シミュレーションによる繊維モデル50上のリブ61の断面を示す図である。

0164

図39(A)と図39(B)とを比較すると良く分かるように、繊維モデル50を構成している繊維層は、実物の不連続長繊維強化樹脂20の繊維よりも太く、その数も少ないが、繊維の配向(向き)や繊維の粗密については、精度良く表されていることが分かる。なお、繊維モデル50は、設定した断面積の円柱形状になっているが、これは解析結果を見やすくするために描画を行っているだけである。つまり、解析では2節点のビーム要素で計算されている。

0165

以上のように、本実施形態によれば、不連続長繊維強化樹脂の圧縮成形解析シミュレーションにおいて、不連続長繊維をモデル化したビーム要素、および樹脂をモデル化したソリッド要素の大変形解析を行う際に、大変形中のビーム要素の動きとソリッド要素の動きとに基づいて連成解析を行う。従って、不連続長繊維および樹脂の挙動、不連続長繊維の配向(向き)、不連続長繊維の粗密を、精度良く予測することができる。

0166

特に、本実施形態によれば、ビーム要素およびソリッド要素の大変形中のビーム要素の動きとソリッド要素の動きに基づくビーム要素とソリッド要素のすべり量を取得し、取得したすべり量から抵抗力を算出し、ビーム要素およびソリッド要素の節点に抵抗力を負荷として与える。従って、不連続長繊維強化樹脂が変形するときに樹脂の中を不連続長繊維が移動する現象を、精度良く再現することができる。

0167

また、本実施形態によれば、ソリッド要素の節点で計算される温度から補間して計算されるビーム要素の温度を取得し、前記すべり量と前記温度とから抵抗力を算出し、ビーム要素およびソリッド要素の節点に抵抗力を負荷として与える。従って、不連続長繊維強化樹脂の樹脂が熱可塑性樹脂の場合であっても、熱可塑性樹脂が変形するときに熱可塑性樹脂の中を不連続長繊維が移動する現象を、精度良く再現することができる。

0168

以上の実施形態は例示であり、この発明の範囲から離れることなく様々な変形が可能である。

0169

上述した実施形態では、繊維強化樹脂の一例として、不連続長繊維強化樹脂を用いたが、本発明はこのような態様に限定される訳ではなく、不連続繊維強化樹脂として不連続短繊維強化樹脂を用いた場合でも同様に適用することができる。また、連続繊維強化樹脂であっても同様に適用することができる。

0170

繊維は、繊維長が上述した実施形態で示した長さの不連続繊維に限定されるものではなく、あらゆる長さの繊維長の繊維に本発明を適用することができる。例えば、連続繊維であってもよい。

0171

上述した実施形態では、圧縮成形の一例として、圧縮成形を行う際の解析シミュレーションについて説明したが、本発明はこのような態様に限定される訳ではなく、プレス成形を行う際の解析シミュレーションにも適用可能である。

0172

上述した実施形態では、樹脂を4節点4面体のテトラソリッド要素でモデル化した態様について説明したが、本発明はこのような態様に限定される訳ではなく、テトラソリッド要素以外のソリッド要素にも適用可能である。

0173

以上の態様に係る圧縮成形解析システムのプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピュータにインストールされ得る。記録媒体は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、CD-ROM等の光学式記録媒体が好例であるが、半導体記録媒体磁気記録媒体等の公知の任意の形式の記録媒体を包含し得る。なお、通信網を介した配信の形態で前述のプログラムを提供してコンピュータにインストールすることも可能である。

0174

以上、本発明の実施形態に係る圧縮成形解析システム、圧縮成形解析方法、および圧縮成形解析プログラムについて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。

0175

11 繊維モデル部
12樹脂モデル部
13連成解析部
14大変形解析部
100圧縮成形解析システム

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