図面 (/)

技術 屋外貯蔵物の上屋の構築工法および上屋架構

出願人 株式会社巴コーポレーション
発明者 向山洋一
出願日 2017年10月31日 (3年1ヶ月経過) 出願番号 2017-210399
公開日 2019年5月30日 (1年6ヶ月経過) 公開番号 2019-082056
状態 特許登録済
技術分野 現場における建築要素の搬送及び組立作業 異常な外部の影響に耐えるための建築物 ヤードでの荷の取扱い 屋根構造 建築構造一般
主要キーワード 釣り合せる 組立て場所 スライド用レール 屋外貯蔵 組立場所 ローラー機構 既存物 スライド工法
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年5月30日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (13)

課題

既存の屋外貯蔵物に上屋を後で建設するスライド工法において、スライド移動中の柱脚水平反力を抑制する。

解決手段

スライド用レールを屋外貯蔵物1の両側に上屋組立て場所まで延長して敷設する。部分架構3aを、柱頭部Dと梁端部BDとの接合部は剛接合、柱頭部Cと梁端部BCとの接合部は回転許容接合として組立てる。剛接合側の柱脚部Fと梁Bの中間部とを繋ぐテンション材T1と、回転許容接合側の梁端部BCと梁Bの中間部とを繋ぐテンション材T2を、交差させかつ屋外貯蔵物1に干渉しない高さに取付ける。テンション材T1,T2に張力tを導入する。部分架構3aを所定位置までスライド移動させる。部分架構3aの構築とスライド移動を必要回数繰り返す。スライド移動が全て完了後、柱頭部Cと梁端部BCとの接合部に挿入部材を追加して剛接合にする。その後、テンション材T1,T2の張力tを解除し、撤去する。

概要

背景

燃料木質チップ石炭等(以下、貯蔵物と称す)を貯蔵する場合、屋外貯蔵方式と屋内貯蔵方式がある。屋内貯蔵方式の場合は貯蔵物上屋を先に建設してから、貯蔵物を収蔵するのが通常であるが、屋外貯蔵の貯蔵物(以下、屋外貯蔵物と称す)をそ
の場所に存置のまま、貯蔵物上屋を後で建設する場合があった。

屋外貯蔵物は、搬入されたヤード所定位置に、概ね一定の高さで円錐状や堤防状に積み付けされるので、その裾野はかなりの広がりを持つことになる。従って、その貯蔵物上屋は大張間架構となるが、屋外貯蔵物が存置された状態で上屋架構を構築するため、ベント等の支保工を用いる一般的な施工法は適用できない。

そのため、図1に図示のように、屋外貯蔵物1の両側に仮設スライド用レール2、2を敷設し、屋外貯蔵物1に近接した場所で上屋3の部分架構3a、3b、…もしくは上屋3全体を架設した後、仮設のスライド用レール2、2上を、矢印の方向に移動させるスライド工法が採用される場合があった。

スライド工法の場合、移動中も上屋3の部分架構3a、3b、…を構造的に安定させる必要があるが、図2に図示のように、柱脚部F、Fには、鉛直反力RV(鉛直矢印で表示)の他に、柱脚部F、Fが外側へ開こうとする大きな水平力抵抗する水平反力RH(水平矢印で表示)が作用する。そのため、従来のスライド工法では、柱脚部F、Fからの大きな水平力に抵抗できる連続した剛強な基礎を、全長に亘って構築する必要があったので、本来の基礎工事費とは別に費用が発生した。

しかも、仮設のスライド用レール2、2には、外側に広がろうとする柱脚部F、Fからの大きな水平力が常に作用しているので、スライド移動中の十分な安全対策が必要であった。

スライド移動中の部分架構3a、3b、…の柱脚部F、Fの水平力を抑制する方法として、例えば、梁間方向に両側柱の柱脚部F、F同士をつなぐテンション材を水平に設け、張力を導入して、水平方向に開こうとする大きな水平力と釣り合せる工法が考えられる。しかし、屋外貯蔵物1があるため、部分架構3a、3b、…がその上を移動する時、前記テンション材と干渉するので、この方法は採用できない。

大張間架構のスライド工法についての先行技術としては、例えば、特許文献1、2がある。特許文献1は、アーチ形架構を持つ重層建物レールに沿って移動する際に、前記アーチ形架構の足元同士を1階梁で構成された繋ぎ材で連結することにより、前記アーチ形架構の足元に作用するスラストを処理して、スラスト支持用のレールを不要とするスライド工法である。

この工法では、建物の最下層(1階)の梁にスラストを処理させるので、スライドの進行方向途中に既存物があると、その梁と干渉する。従って、特許文献1のスライド工法は、スライド進行方向に障害物が何もないことを前提としたものである。

特許文献2は、既にある柱列の各柱頭部に転がり支持装置を設置し、その転がり支持装置に架渡した移動用ビーム屋根架構を載置してスライドする工法であり、屋根架構の両側梁同士をタイバーで繋いで屋根架構の拡がりを抑制することにより、前記柱頭部に水平力を作用させないでスライドする方法が開示されている。

この工法では、スライドする以前に柱が既に設置されており、その上に屋根架構を架設するので、柱の高さまでの既存物があっても、スライド中に前記タイバーが前記既存物と干渉することはないが、前記タイバーの高さ以上の既存物がある場合には適用不可である。

従って、特許文献1、2に開示されている先行技術では、屋外存置の既存物を覆う上屋を、柱と屋根架構一体でスライドする工法(図1参照)においては、柱脚部のスラストを抑制するという課題の解決はできない。また、その課題に対する解決策を示唆する記述もない。

概要

既存の屋外貯蔵物に上屋を後で建設するスライド工法において、スライド移動中の柱脚水平反力を抑制する。スライド用レールを屋外貯蔵物1の両側に上屋組立て場所まで延長して敷設する。部分架構3aを、柱頭部Dと梁端部BDとの接合部は剛接合、柱頭部Cと梁端部BCとの接合部は回転許容接合として組立てる。剛接合側の柱脚部Fと梁Bの中間部とを繋ぐテンション材T1と、回転許容接合側の梁端部BCと梁Bの中間部とを繋ぐテンション材T2を、交差させかつ屋外貯蔵物1に干渉しない高さに取付ける。テンション材T1,T2に張力tを導入する。部分架構3aを所定位置までスライド移動させる。部分架構3aの構築とスライド移動を必要回数繰り返す。スライド移動が全て完了後、柱頭部Cと梁端部BCとの接合部に挿入部材を追加して剛接合にする。その後、テンション材T1,T2の張力tを解除し、撤去する。

目的

本発明は、屋外貯蔵物をその場所に存置のまま、上屋を後で建設する工法としてスライド工法を用いる場合において、屋外貯蔵物に干渉することなく、前記上屋のスライド移動中における柱脚部の水平反力を抑制し、従来のスライド工法に比べて基礎工事費を縮減できる屋外貯蔵物の上屋の構築工法およびその上屋架構を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

屋外貯蔵物を挟んでその両側に敷設されるスライド用レールと、前記屋外貯蔵物の上屋架構組立て場所で組み立てられ、前記スライド用レールの上をスライド移動して前記屋外貯蔵物の上に設置される複数の部分架構からなる屋外貯蔵物の上屋の構築工法であって、以下の工程を含むことを特徴とする屋外貯蔵物の上屋の構築工法。(1)前記屋外貯蔵物を挟んでその両側の全長に亘り、スライド用レールを敷設する工程。(2)前記スライド用レールを前記上屋架構の組立て場所まで更に延長して敷設する工程。(3)前記上屋架構の組立て場所にて、前記屋外貯蔵物両側のスライド用レールの上をそれぞれスライド移動する複数の柱と、前記屋外貯蔵物を跨いで当該両柱間に架け渡される複数の梁とからなり、かつ前記両柱のうちの一方の柱の柱頭部と前記梁の一方の梁端部との接合部を剛接合、他方の柱の柱頭部と前記梁の他方の梁端部との接合部を回転許容接合とした複数の部分架構を組立てる工程。(4)前記部分架構に対して、両側の前記柱の柱頭部と前記梁の梁端部との接合部間またはその接合部近傍間にテンション材を設置する工程。(5)前記テンション材に張力を導入して、前記部分架構を構造的自立させる工程。(6)自立した前記部分架構を前記屋外貯蔵物の所定位置まで前記スライド用レールの上をスライド移動させる工程。(7)工程(3)〜(6)を、前記屋外貯蔵物の全体もしくはその必要な範囲を覆うまで繰り返す工程。(8)前記部分架構のスライド移動工程が全て完了した後、回転許容接合されている側の柱頭部と梁端部との接合部に挿入部材を追加して、当該接合部を剛接合する工程。(9)その後、前記テンション材の張力を解除し、当該テンション材を撤去する工程。

請求項2

屋外貯蔵物を挟んでその両側に敷設されるスライド用レールと、前記屋外貯蔵物の上屋架構の組立て場所で組み立てられ、前記スライド用レールの上をスライド移動して前記屋外貯蔵物の上に設置される複数の部分架構からなる屋外貯蔵物の上屋の構築工法であって、以下の工程を含むことを特徴とする屋外貯蔵物上屋の構築工法。(1)前記屋外貯蔵物を挟んでその両側の全長に亘り、スライド用レールを敷設する工程。(2)前記スライド用レールを前記上屋架構の組立て場所まで更に延長して敷設する工程。(3)前記上屋架構の組立場所にて、前記屋外貯蔵物の両側のスライド用レールの上をそれぞれスライド移動する複数の柱と、前記屋外貯蔵物を跨いで当該両柱間に架け渡される複数の梁とからなり、かつ前記両柱のうちの一方の柱の柱頭部と前記梁の一方の梁端部との接合部を剛接合、他方の柱の柱頭部と前記梁の他方の梁端部との接合部を回転許容接合とした複数の部分架構を組み立てる工程。(4)前記部分架構の剛接合側の柱脚部もしくはその柱脚部近傍と前記梁の中間部との間、および前記回転許容接合側の柱頭部と前記梁端部との接合部もしくはその接合部近傍と前記梁の中間部との間に、テンション材をそれぞれ両者相互に交差するように、かつ前記屋外貯蔵物と干渉しないように設置する工程。(5)前記テンション材に張力を導入して、前記部分架構を構造的に自立させる工程。(6)自立した前記部分架構を前記屋外貯蔵物の所定位置まで前記スライド用レールの上をスライド移動させる工程。(7)工程(3)〜(6)を、前記屋外貯蔵物の全体もしくはその必要な範囲を覆うまで繰り返す工程。(8)前記部分架構のスライド移動工程が全て完了した後、回転許容接合側の柱頭部と梁端部との接合部に挿入部材を取り付けて、当該接合部を剛接合する工程。(9)その後、前記テンション材の張力を解除し、当該テンション材を撤去する工程。

請求項3

屋外貯蔵物を挟んでその両側に敷設されるスライド用レールと、前記屋外貯蔵物の上屋架構の組立て場所で組み立てられ、前記スライド用レールの上をスライド移動して前記屋外貯蔵物の上に設置される複数の部分架構からなる屋外貯蔵物の上屋の構築工法であって、以下の工程を含むことを特徴とする屋外貯蔵物上屋の構築工法。(1)前記屋外貯蔵物を挟んでその両側の全長に亘り、スライド用レールを敷設する工程。(2)前記スライド用レールを前記上屋架構の組立て場所まで更に延長して敷設する工程。(3)前記上屋架構の組立て場所にて、前記屋外貯蔵物の両側のスライド用レールの上をそれぞれスライド移動する複数の柱と、前記屋外貯蔵物を跨いで当該両柱間に架け渡される複数の梁とからなり、かつ前記両柱のうちの一方の柱の柱頭部と前記梁の一方の梁端部との接合部を剛接合、他方の柱の柱頭部と前記梁の他方の梁端部との接合部を回転許容接合とした複数の部分架構を組み立てる工程。(4)前記部分架構の両側の柱の柱頭部と前記梁端部との接合部、もしくはその接合部近傍と前記梁の中間部との間に、テンション材をそれぞれ両者相互に交差するように、かつ前記屋外貯蔵物に干渉しないようにそれぞれ設置する工程。(5)前記テンション材に張力を導入して、前記部分架構を構造的に自立させる工程。(6)自立した前記部分架構を前記屋外貯蔵物の所定位置まで前記スライド用レールの上をスライド移動させる工程。(7)工程(3)〜(6)を、前記屋外貯蔵物の全体もしくは必要な範囲を覆うまで繰り返す工程。(8)部分架構のスライド移動工程が全て完了した後、回転許容接合側の柱頭部と梁端部との接合部に挿入部材を追加して、当該接合部を剛接合にする工程。(9)その後、前記テンション材の張力を解除し、当該テンション材を撤去する工程。

請求項4

屋外貯蔵物を挟んでその両側に敷設されるスライド用レールと、前記屋外貯蔵物の上屋架構の組立て場所で組み立てられ、前記スライド用レールの上をスライド移動して前記屋外貯蔵物の上に設置される複数の部分架構からなる屋外貯蔵物の上屋架構であって、前記部分架構は、前記屋外貯蔵物両側のスライド用レールの上をそれぞれスライド移動する複数の柱と、当該柱部間に前記屋外貯蔵物を跨いで架け渡される複数の梁とからなり、前記屋外貯蔵物両側の柱のうち、一方の柱の柱頭部と前記梁の一端部は剛接合され、他方の柱の柱頭部と前記梁の他端部は回転許容接合され、当該回転許容接合は回転を固定する挿入部材によって剛接合され、かつ前記剛接合側および回転許容接合側の柱頭部と梁端部との接合部相互間もしくはそれら接合部近傍相互間、または前記剛接合側の柱脚部もしくはその柱脚部近傍と前記梁の中間部間、および前記梁の回転許容接合側の柱頭部と梁端部との接合部もしくはその接合部近傍と前記梁の中間部間、或いは前記梁の剛接合側および回転許容接合側の両端部もしくはそれらの近傍と前記梁の中間部間に張力導入用のテンション材が設置されていることを特徴とする屋外貯蔵物の上屋架構。

請求項5

請求項4記載の屋外貯蔵物の上屋架構において、剛接合側の少なくとも一部の梁端部にエネルギー吸収部材が組み込まれていることを特徴とする屋外貯蔵物の上屋架構。

技術分野

0001

本発明は、屋外に積み付けされた燃料木質チップ石炭等の屋外貯蔵物を覆う屋外貯蔵物の上屋構築工法および上屋架構に関する。

背景技術

0002

燃料用木質チップや石炭等(以下、貯蔵物と称す)を貯蔵する場合、屋外貯蔵方式と屋内貯蔵方式がある。屋内貯蔵方式の場合は貯蔵物上屋を先に建設してから、貯蔵物を収蔵するのが通常であるが、屋外貯蔵の貯蔵物(以下、屋外貯蔵物と称す)をそ
の場所に存置のまま、貯蔵物上屋を後で建設する場合があった。

0003

屋外貯蔵物は、搬入されたヤード所定位置に、概ね一定の高さで円錐状や堤防状に積み付けされるので、その裾野はかなりの広がりを持つことになる。従って、その貯蔵物上屋は大張間架構となるが、屋外貯蔵物が存置された状態で上屋架構を構築するため、ベント等の支保工を用いる一般的な施工法は適用できない。

0004

そのため、図1に図示のように、屋外貯蔵物1の両側に仮設スライド用レール2、2を敷設し、屋外貯蔵物1に近接した場所で上屋3の部分架構3a、3b、…もしくは上屋3全体を架設した後、仮設のスライド用レール2、2上を、矢印の方向に移動させるスライド工法が採用される場合があった。

0005

スライド工法の場合、移動中も上屋3の部分架構3a、3b、…を構造的に安定させる必要があるが、図2に図示のように、柱脚部F、Fには、鉛直反力RV(鉛直矢印で表示)の他に、柱脚部F、Fが外側へ開こうとする大きな水平力抵抗する水平反力RH(水平矢印で表示)が作用する。そのため、従来のスライド工法では、柱脚部F、Fからの大きな水平力に抵抗できる連続した剛強な基礎を、全長に亘って構築する必要があったので、本来の基礎工事費とは別に費用が発生した。

0006

しかも、仮設のスライド用レール2、2には、外側に広がろうとする柱脚部F、Fからの大きな水平力が常に作用しているので、スライド移動中の十分な安全対策が必要であった。

0007

スライド移動中の部分架構3a、3b、…の柱脚部F、Fの水平力を抑制する方法として、例えば、梁間方向に両側柱の柱脚部F、F同士をつなぐテンション材を水平に設け、張力を導入して、水平方向に開こうとする大きな水平力と釣り合せる工法が考えられる。しかし、屋外貯蔵物1があるため、部分架構3a、3b、…がその上を移動する時、前記テンション材と干渉するので、この方法は採用できない。

0008

大張間架構のスライド工法についての先行技術としては、例えば、特許文献1、2がある。特許文献1は、アーチ形架構を持つ重層建物レールに沿って移動する際に、前記アーチ形架構の足元同士を1階梁で構成された繋ぎ材で連結することにより、前記アーチ形架構の足元に作用するスラストを処理して、スラスト支持用のレールを不要とするスライド工法である。

0009

この工法では、建物の最下層(1階)の梁にスラストを処理させるので、スライドの進行方向途中に既存物があると、その梁と干渉する。従って、特許文献1のスライド工法は、スライド進行方向に障害物が何もないことを前提としたものである。

0010

特許文献2は、既にある柱列の各柱頭部に転がり支持装置を設置し、その転がり支持装置に架渡した移動用ビーム屋根架構を載置してスライドする工法であり、屋根架構の両側梁同士をタイバーで繋いで屋根架構の拡がりを抑制することにより、前記柱頭部に水平力を作用させないでスライドする方法が開示されている。

0011

この工法では、スライドする以前に柱が既に設置されており、その上に屋根架構を架設するので、柱の高さまでの既存物があっても、スライド中に前記タイバーが前記既存物と干渉することはないが、前記タイバーの高さ以上の既存物がある場合には適用不可である。

0012

従って、特許文献1、2に開示されている先行技術では、屋外存置の既存物を覆う上屋を、柱と屋根架構一体でスライドする工法(図1参照)においては、柱脚部のスラストを抑制するという課題の解決はできない。また、その課題に対する解決策を示唆する記述もない。

先行技術

0013

特開平6−316975号公報
特開平9−72004号公報

発明が解決しようとする課題

0014

本発明は、屋外貯蔵物をその場所に存置のまま、上屋を後で建設する工法としてスライド工法を用いる場合において、屋外貯蔵物に干渉することなく、前記上屋のスライド移動中における柱脚部の水平反力を抑制し、従来のスライド工法に比べて基礎工事費を縮減できる屋外貯蔵物の上屋の構築工法およびその上屋架構を提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0015

本発明は、屋外貯蔵物を挟んでその両側に敷設されるスライド用レールと、前記屋外貯蔵物の上屋架構の組立て場所で組み立てられ、前記スライド用レールの上をスライド移動して前記屋外貯蔵物の上に設置される複数の部分架構からなる屋外貯蔵物の上屋の構築工法の発明であり、以下の工程を含むことを特徴とする。
(1)前記屋外貯蔵物を挟んでその両側の全長に亘り、スライド用レールを敷設する工程。
(2)前記スライド用レールを、前記上屋架構の組立て場所まで更に延長して敷設する工程。
(3)前記上屋架構の組立て場所にて、前記屋外貯蔵物両側のスライド用レールの上をそれぞれスライド移動する複数の柱と、前記屋外貯蔵物を跨いで当該両柱間に架け渡される複数の梁とからなり、かつ前記両柱のうちの一方の柱の柱頭部と前記梁の一方の梁端部との接合部を剛接合、他方の柱の柱頭部と前記梁の他方の梁端部との接合部をある程度回転許容する回転許容接合とした部分架構を前記スライド用レールの敷設方向複数組み立てる工程。
(4)前記部分架構に対して、両側の前記柱の柱頭部と前記梁の梁端部との接合部間
もしくはその接合部近傍間にテンション材を設置する工程(図4、5参照)。
なお、前記部分架構において、ある程度回転を許容する接合状態とした回転許容接合および前記剛接合の位置より下方部分を柱、上方部分を梁と称する。
(5)前記テンション材に張力を導入して、前記部分架構を構造的に自立させる工程。
(6)自立した前記部分架構を前記屋外貯蔵物の所定位置まで、前記スライド用レールの上をスライド移動させる工程。
(7)工程(3)〜(6)を、前記屋外貯蔵物の全体もしくはその必要な範囲を覆うまで繰り返す工程。
(8)前記部分架構のスライド移動工程が全て完了した後、回転許容接合されている側の柱頭部と梁端部との接合部に、前記回転許容接合部の回転を固定する挿入部材を取り付ける工程。
(9)その後、前記テンション材の張力を解除し、かつ前記テンション材を撤去する工程。

0016

なお、工程(4)と(5)に代えて、剛接合側の柱脚部もしくはその柱脚部近傍と前記梁の中間部との間、および前記回転許容接合側の柱頭部と前記梁の梁端部との接合部もしくはその接合部近傍と前記梁の中間部との間に、それぞれテンション材を両者相互に交差するように、かつ前記屋外貯蔵物と干渉しないように設置し、当該テンション材に張力を導入して、前記部分架構を構造的に自立させる工程でもよい(図7、8参照)。

0017

また、前記剛接合側の柱頭部もしくはその柱頭部近傍と前記梁の中間部との間、および前記回転許容接合側の柱頭部と前記梁端部との接合部もしくはその接合部近傍と、前記梁の中間部との間に、それぞれテンション材を両者相互に交差するように、かつ前記屋外貯蔵物と干渉しないように設置し、当該テンション材に張力を導入して前記部分架構を構造的に自立させる工程とすることもできる(図10、11参照)。

0018

また、上記何れの構築工法においても、前記部分架構相互を連結する時点は、(イ)各部分架構をスライド移動する直前、(ロ)各部分架構が所定位置までスライド移動工程を完了した後、もしくは上屋架構全体(全ての部分架構)のスライド移動工程が完了した後であって、前記テンション材の張力を解除する前の2通りが考えられる。

0019

前者(イ)では、スライド移動する前なので、部分架構の連結数が増えるとスライド重量が重くなるため、大容量のスライド装置が必要になる点が不利である。

0020

また、後者(ロ)では、スライド重量は1回分の部分架構重量のみなのでスライド装置の容量は小さくてよいが、スライド1回分の移動距離が長いので施工時間が長くなる点が不利である。
本発明の屋外貯蔵物の上屋架構は、上屋架構の組立て場所で組立てられた複数の部分架構を、前記屋外貯蔵物を挟んでその両側に敷設されたスライド用レールの上を前記屋外貯蔵物の所定位置までスライド移動させ、屋外貯蔵物の上を覆うように設置して構築される上屋架構であり、前記部分架構が前記屋外貯蔵物の両側のスライド用レールの上をそれぞれスライド移動する複数の柱と、当該両柱間に前記屋外貯蔵物を跨いで架け渡された複数の梁とを備え、かつ前記屋外貯蔵物両側の柱のうち、一方の柱の柱頭部と前記梁の一端部は剛接合され、他方の柱の柱頭部と前記梁の他端部は回転許容接合と当該回転許容接合の回転を固定する挿入部材とによって剛接合されていることを特徴とする。
また特に、前記部分架構の剛接合側および回転許容接合側の柱頭部と梁端部との接合部相互間、または前記剛接合側の柱脚部と前記梁の中間部間、および前記梁の回転許容接合側の梁端部と前記梁の中間部間、或いは前記梁の剛接合側および回転許容接合側の両梁端部もしくはその近傍と前記梁の中間部間に張力を導入するためのテンション材がそれぞれ設置されていることで、部分架構を屋外貯蔵物の所定位置までスライド用レールの上をスライド移動させる間、前記テンション材に張力を導入して部分架構を構造的に自立させることにより、スライド用レールを支える基礎を特に剛強にしなくても部分架構のスライド移動をきわめて安全に行うことができる。
また、部分架構の数量を、屋外貯蔵物の積み付け量に応じてスライド用レールの敷設方向に増減することにより、最適規模の上屋架構をきわめて容易にかつ経済的に構築することができる。

0021

さらに、部分架構の剛接合側の少なくとも一部の梁端部(柱頭部と梁との接合部もしくはその近傍)に座屈拘束ブレース等のエネルギー吸収部材を組み込むことにより、複数の部分架構を屋外貯蔵物の所定位置に設置して上屋架構が完成した後だけでなく、部分架構のスライド移動中に発生する地震に対しても安全性を高めることができる。

発明の効果

0022

本発明は、以上のような手段によるので、次のような効果が得られる。
既存の屋外貯蔵物に、スライド工法にて上屋を架設する際に、
(1)移動中の部分架構の柱脚部に水平反力を生じさせることなく、かつ部分架構の柱頭部が外側に水平変位(柱が傾斜)するのを抑制するテンション材が、高く積み付けされた屋外貯蔵物と干渉することもなく、スライド移動が実行できる。
(2)部分架構のスライド移動中に、部分架構の柱脚部に水平反力が生じないので、安全性が高い。
(3)従って、スライド移動時の水平反力に対する基礎の補強が、移動区間全長に亘り不要になる。
(4)よって、従来のスライド工法の場合に比べて、基礎工事費を大幅に縮減できる。
(5)部分架構の梁端部に座屈拘束ブレース等のエネルギー吸収部材を組み込むことにより、上屋完成後だけでなく、スライド移動中に発生する地震に対しても安全性が向上する。

図面の簡単な説明

0023

屋外貯蔵物に上屋を架設するスライド工法のイメージ斜視図である。
従来のスライド工法における、上屋移動中の柱脚部反力の状態を示す図である。
上屋の片側柱の柱頭部と梁との接合部を回転許容接合にした場合の変形と柱脚部反力の状態を示す図である。
本発明の第1実施例であり、上屋のスライド移動中の状態を示す説明図である。
本発明の第1実施例において、スライド移動工程完了後でテンション材撤去直前の架構の状態を示す図である。
本発明の第1実施例において、スライド移動工程完了後でテンション材撤去後の柱脚部反力の状態を示す図である。
本発明の第2実施例であり、上屋のスライド移動中の状態を示す説明図である。
本発明の第2実施例において、スライド移動工程完了後でテンション材撤去直前の架構の状態を示す図である。
本発明の第2実施例において、スライド移動工程完了後でテンション材撤去後の柱脚部反力の状態を示す図である。
本発明の第3実施例であり、上屋のスライド移動中の状態を示す説明図である。
本発明の第3実施例において、スライド移動工程完了後でテンション材撤去直前の架構の状態を示す図である。
本発明の第3実施例において、スライド移動工程完了後でテンション材撤去後の柱脚部反力の状態を示す図である。

実施例

0024

図1図3に図示する通り、本発明の屋外貯蔵物の上屋は、屋外貯蔵物1を挟んでその両側に敷設されたスライド用レール2、2間に屋外貯蔵物1の上方をスライド用レール2、2の軸直角方向にアーチ形状に跨いで構築された上屋架構3を備え、当該上屋架構3は、スライド用レール2、2の敷設方向に一定長ごとに組み立てられた複数の部分架構3a、3b、…より構築されている。
部分架構3a、3b、…は、スライド用レール2、2の上に屋外貯蔵物1を挟んでそれぞれ設置された複数の柱A1、A2と当該柱A1、A2間に屋外貯蔵物1の上方をスライド用レール2、2の軸直角方向に跨いでそれぞれ設置された複数のアーチ形状の梁B、Bとから構成されている。
柱A1の柱頭部Dと梁Bの梁端部BDおよび柱A2の柱頭部Cと梁Bの梁端部BCは、共に剛接合され、特に柱A2の柱頭部Cと梁Bの梁端部BCは、組立て途中においてはある程度回転を許容する状態で接合され(回転許容接合)、組立て完了後に挿入部材mを追加することにより剛接合されている。
続いて、本発明の屋外貯蔵物の上屋の構築工法の第1実施例を説明する(図1および図3乃至図6を参照)。
(1)最初に、円錐状や堤防状に積み付けされた屋外貯蔵物1を挟んでその両側の全長に亘り、スライド用レール2、2を敷設する(図1)。
(2)次に、スライド用レール2、2を上屋架構3の組立て場所まで更に延長して、上屋架構3の部分架構3a、3b、…の組み立てに必要な位置まで敷設する(図1参照)。
(3)次に、上屋架構3の組立て場所にて、スライド用レール2、2の上をスライド用レール2、2の敷設方向にスライド移動する部分架構3a、3b、…を組み立てる(図3参照)。部分架構3a、3b、…は、屋外貯蔵物1の積み付け量に応じて最適数を組み立てる。
組み立てに際しては、まず、スライド用レール2、2の上に複数の柱A1と柱A2をそれぞれスライド用レール2、2の軸方向に一定間隔をおいて設置し、当該各柱A1と柱A2間にそれぞれ梁Bを屋外貯蔵物1の上方をスライド用レール2の軸直角方向に跨いで設置する。
そして、柱A1の柱頭部Dと梁Bの梁端部BDとを剛接合し(以下「剛接合部n1」)、反対側の柱A2の柱頭部Cと梁Bの梁端部BCとをある程度回転を許容する接合状態に接合する(以下「回転許容接合部n2」)。
(4)次に、組み立てられた各部分架構3a、3b、…に対して、屋外貯蔵物1の高さが、剛接合部n1側の梁端部BDと回転許容接合部n2側の梁端部BCとを結ぶ直線Lの位置よりも低い場合においては、梁Bの両端部BCとBD間にテンション材T1を水平にかけ渡して梁Bの両梁端部BCとBDをテンション材T1によって繋ぐ図4参照)。
(5)次に、テンション材T1に張力tを導入して、部分架構3a、3b、…を構造的に安定させて自立させる(図4参照)。
(6)次に、自立した各部分架構3a、3b、…を、スライド用レール2、2の上を順にスライドさせて屋外貯蔵物1の所定位置までスライド移動させる(図4参照)。
(7)工程(3)〜(6)を、屋外貯蔵物1の全体もしくはその必要な範囲を覆うまで繰り返す。
(8)次に、部分架構3a、3b、…のスライド移動工程が全て完了した後、各部分架構3a、3b、…の回転許容接合部n2側の柱頭部Cと梁Bの端部BCとの接合部に挿入部材mを追加して、柱A2の柱頭部Cと梁Bの梁端部BCとの接合部を剛接合する(図5参照)。また、部分架構3a、3b、…どうしを互いに接合する。
(9)そして、その後、テンション材T1の張力tを解除し、テッション材T1を撤去して上屋架構3の組み立てを完了する(図6参照)。

0025

第1実施例は以上の通りであるので、次のような特徴がある。図2に図示した従来のスライド工法では、部分架構3a、3b、…の各柱A1、A2の柱脚部F、Fに水平反力RH(水平矢印で表示)が発生するが、図3に図示のように、柱A2の柱頭部Cと梁部Bの梁端部BCとの接合部をある程度回転を許容した回転許容接合にすれば、通常、柱脚部F、Fもある程度回転可能なので、部分架構3a、3b…の自重によって、柱A2の柱頭部Cには外側に水平変位δが生じ、柱脚部F、Fに水平反力RHは発生しない。即ち、柱頭柱脚共に回転許容接合の柱が水平方向のローラー機構を形成するためである。この時、部分架構3a、3b、…の張間方向水平剛性は、剛接剛部n1側の柱A1に頼ることになり、図3二点鎖線で表示のように、回転許容接合部n2側の柱A2は外側に傾斜し、梁Bは撓むが、大張間架構であることから、これらの変形量は大きいので、設計通りの架構を構築できない。

0026

そこで、第1実施例は、図4に図示のように、組み立てられた部分架構3a、3b、…に対して、回転許容接合側の梁端部BCと剛接合側の梁端部BDとを結ぶ直線Lの位置よりも、屋外貯蔵物1の高さが低い場合において、梁Bの両梁端部BCとBDを繋ぐテンション材T1を取り付け、更に、回転許容接合部n2側の柱A2の柱頭部Cの水平変位δがほぼになるように、張力tをテンション材T1に導入する工法である。よって、柱脚部F、Fに水平反力RHを発生させることなく、かつ変形量を制御できるので、設計通りの架構を構築することが可能になる。

0027

また、本実施例では、テンション材T1と梁Bとの最大距離S0が大きく確保されるので、張力tは比較的小さくてよく、更に、テンション材T1は1セットでよいのでコスト的にも有利である。

0028

なお、テンション材T1の取付け位置は、梁Bの両梁端部BC、BDよりも高くしても良いが、その場合は、最大距離S0が短くなるのでテンション材T1の効果が低下するため、より大きな張力tを導入する必要がある。

0029

また、図4点線で図示のように、テンション材T1の位置よりも高く積まれた屋外貯蔵物1aの場合には、屋外貯蔵物1がテンション材T1と干渉するので適用できない。

0030

次に、梁Bの両梁端部BC、BDを結ぶ直線Lの位置よりも屋外貯臓物1の高さが高い場合に好適な、本発明の第2実施例を説明する(図1図3および図7乃至図9を参照)。
なお、工程1〜3は、実施例1で説明した工程とほぼ同じなので、説明を省略し、工程4から説明する。
(4)工程1〜3で組立てられた各部分架構3a、3b、…に対して、剛接合部n1側の柱A1の柱脚部Fと梁Bの中間部とを繋ぐテンション材T1と、回転許容接合部n2側の梁Bの梁端部BCと梁Bの中間部とを繋ぐテンション材T2を、それぞれ両者相互に可能な限り大きく交差するように、かつ屋外貯蔵物1と干渉しないように設置する(図7参照)。
(5)次に、テンション材T1,T2に張力tを導入して、各部分架構3a、3b、…をそれぞれ構造的に安定させて自立させる(図7参照)。
(6)次に、自立した部分架構3a、3b、…を、スライド用レール2、2の上をスライドさせて屋外貯蔵物1の所定位置まで、順次スライド移動する(図7参照)。
(7)工程(3)〜(6)を、屋外貯蔵物1全体もしくはその必要な範囲を覆うまで繰り返す。
(8)次に、部分架構3a、3b、…のスライド移動工程が全て完了した後、回転許容接合部n2側の柱A2の柱頭部Cと梁Bの梁端部BCとの接合部に挿入部材mを追加して、柱A2の柱頭部Cと梁端部BCとの接合部を剛接合にする(図8参照)。また、部分架構3a、3b、…どうしを接合する。
(9)そして、その後、テンション材T1、T2の張力tを解除し、テンション材T1、T2を撤去して上屋架構3の施工を完了する(図9参照)。

0031

第2実施例は以上の通りであるので、次のような特徴がある。図7に図示のように、柱脚部Fと梁Bの中間部を繋ぐテンション材T1と梁Bとの最大距離S1は、第1実施例(図4参照)のS0よりもかなり短くなるので、張力tの導入量をより大きくする必要があり、また、テンション材T1、T2は1構面当り少なくとも2セット必要であるが、屋外貯蔵物1の高さが高い場合でも、柱脚部F、Fに水平反力RHを発生させることなく、かつ変形量を制御できるので、設計通りの架構を構築することが可能になる。

0032

次に、屋外貯臓物1の高さが高く、かつ、屋外貯臓物1と両側の柱A1、A2との空間が狭い場合に好適な、本発明の第3実施例を説明する(図1図3および図10乃至図12を参照)。なお、工程1〜3は、実施例1で説明した工程とほぼ同じなので、説明を省略し、工程4から説明する。
(4)工程1〜3で組み立てられた部分架構3a、3b、…の梁Bの梁端部BCおよびBDと梁Bの中間部とを繋ぐテンション材T1、T2を、それぞれ両者相互に可能な限り大きく交差するように、かつ屋外貯蔵物1に干渉しない高さに取り付ける(図10参照)。
(5)次に、テンション材T1、T2に張力tを導入して、部分架構3a、3b、…を構造的に安定させて自立させる工程(図10参照)。
(6)次に、自立した部分架構3a、3b、…を、スライド用レール2、2の上をスライドさせて屋外貯蔵物1の所定位置までスライド移動させる(図10参照)。
(7)工程(3)〜(6)を、屋外貯蔵物1の全体もしくはその必要な範囲を覆うまで繰り返す。
(8)部分架構3a、3b、…のスライド移動工程が全て完了した後、回転許容接合部n2側の柱A2の柱頭部Cと梁Bの梁端部BCとの接合部に挿入部材mを追加して、柱A2の柱頭部Cと梁端部BCを剛接合にする(図11参照)。また、部分架構3a、3b、…どうしを接合する。
(9)その後、テンション材T1、T2の張力tを解除し、テンション材T1、T2を撤去して上屋架構3の施工を完了する(図12参照)。

0033

第3実施例は以上の通りであるので、次のような特徴がある。第3実施例では、図10に図示のように、梁Bの梁端部BCおよびBDと梁Bの中間部とを繋ぐテンション材T1(T2)と梁Bとの最大距離S2は、第2実施例(図7参照)のS1よりも短くなるので、張力tの導入量をもっと大きくする必要があり、また、テンション材T1、T2は1構面当り少なくとも2セット必要であるが、屋外貯蔵物1の高さが高く、かつ、屋外貯臓物1と両側の柱A1、A2との空間が狭い場合であっても、柱脚部F、Fに水平反力RHを発生させることなく、かつ変形量を制御できるので、設計通りの架構を構築することが可能になる。

0034

なお、以上の各実施例において、挿入部材mを追加する位置は、柱A2の柱頭部Cと梁Bの端部BCとの接合部の屋内側(屋外側が回転許容接合。図5他参照)となっているが、屋外側(屋内側が回転許容接合。図示せず)でもよい。

0035

また、本発明に係る屋外貯蔵物の上屋架構は、上記実施例の何れかのスライド工法で用いられ、部分架構3a、3b、…において、以下に記載のように、少なくとも剛接合n1側の梁端部BDに座屈拘束ブレース等のエネルギー吸収部材(図示せず)を組み込むことにより、複数の部分架構3a、3b、…を屋外貯蔵物1の所定位置に設置して上屋架構3が完成した後だけでなく、部分架構3a、3b、…のスライド移動中に発生する地震に対しても安全性が向上する。
なお、座屈拘束ブレース等のエネルギー吸収部材は、必要に応じて、剛接合部n1側の一部の梁端部BDまたは全ての梁端部BDに設けてもよく、また、剛接合部n1側および回転許容接合部n2側の両方の梁端部BC、BDに設けてもよい。

0036

上屋架構3の部分架構3a、3b、…は、スライド移動が完了するまでの間は、柱A2の柱頭部Cと梁Bの梁端部BCとの接合部には挿入部材mが無い状態であり、張間方向の地震力に対して、挿入部材mが追加された後に比べ耐震性がかなり劣ることは明らかである。また、スライド移動中において、張間方向の地震が発生した時、剛接合部n1側の柱頭部Dと梁端部BDとの接合部に作用する曲げモーメントは、完成後の架構に比べて相当に大きく、梁端部BDに位置する部材には圧縮と引張の高軸力が繰り返し作用する。

0037

以上のことから、このような位置(梁端部BD)にある部材を座屈拘束ブレース等のエネルギー吸収能力の高い部材(図示せず)とすれば、部分架構3a、3b、…のスライド移動中に大きな地震が発生しても、その座屈拘束ブレース等がエネルギーを吸収して、部分架構3a、3b、…のその他部位が損傷することを避けることが可能になる。

0038

更にまた、梁端部BC側にある挿入部材m(図5他参照)も座屈拘束ブレース等のエネルギー吸収部材とすれば、完成後の上屋3は、大地震時には、梁Bの両梁端部BC、BDの2カ所でエネルギー吸収するので、より高い耐震性能を有する上屋3が建設可能になる。

0039

本発明は、屋外に貯蔵されている既存の屋外貯蔵物(燃料用木質チップや石炭等)を、その場所に存置のまま貯蔵物上屋を建設する施工法としてスライド工法が採用された場合に、上屋のスライド移動中における柱脚部の水平反力を抑制できるので、従来のスライド工法に比べて施工中の安全性向上が図れ、かつ基礎構造の簡素化による工事費縮減にも大きく寄与するものである。

0040

1:屋外貯蔵物
1a:屋外貯蔵物
2:スライド用レール
3:上屋(貯蔵物上屋)
3a、3b:部分架構
A1:剛接合部側の柱
A2:回転許容接合部側の柱
B:梁
BC:回転許容接合部側の梁端部、
BD:剛接合部側の梁端部
C:柱頭部
D:柱頭部
F:柱脚部
T1:テンション材
T2:テンション材
t:張力
m:挿入部材
n1:剛接合部
n2:回転許容接合部
δ:水平変位
RH:水平反力
RV:垂直反力

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 黒沢建設株式会社の「 バネ式制震ダンパー」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】巨大地震時に積層ゴム免震装置の過大変形を防止すると共に、速やかな変形復元機能を付与して積層ゴムの損傷を防ぐことができるバネ式制震ダンパーを提供することを目的とする。【解決手段】本発明に係るバネ... 詳細

  • 株式会社フジタの「 滑り支承」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】上部構造体を水平方向に移動可能に支持する機能に加え、エネルギーを減衰する機能を持たせた滑り支承を提供すること。【解決手段】滑り支承16Aは、上部構造体12に設けられた下向きの滑り面20と、下部... 詳細

  • 株式会社フジタの「 粘性ダンパ」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】大きさが異なる振動に対応して減衰力を可変させることで振動エネルギーを確実に吸収する。【解決手段】内部にシリコンオイルが封入されたシリンダ20と、シリンダ20の内部に挿通されたピストンロッド30... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ