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図面 (10)

課題

がん診断治療に有効な新規ポリペプチド、DNA、抗メソセリン抗体複合体、さらに腫瘍イメージング剤の提供。

解決手段

下記の(a)〜(c)のいずれかを含むDNA、(a)特定の配列の16番目〜831番目、特定の配列の16番目〜822番目、特定の配列の16番目〜825番目、特定の配列の16番目〜819番目、特定の配列の16番目〜834番目、特定の配列の16番目〜828番目のいずれかの塩基配列を含むDNA、(b)特定の配列の1番目〜272番目、特定の配列の1番目〜269番目、特定の配列の1番目〜270番目、特定の配列の1番目〜268番目、特定の配列の1番目〜273番目、特定の配列の1番目〜271番目のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNA、(c)上記(a)又は(b)のDNAの相補鎖。上記(b)のポリペプチドおよび該ポリペプチドを含むイメージング剤

概要

背景

メソセリン(MSLN)は、GPIアンカーを介して膜に結合している40kDaの糖タンパク質である。MSLNは正常には胸膜腹膜心膜中皮限局して発現している。しかし、がん化した組織においては、中皮腫卵巣がん膵臓がん大腸がん乳がんなど多くのがん細胞に高発現することが知られている(非特許文献1〜2)。

MSLNは、まず全長71kDaの前駆体タンパク質として合成された後、Furinなどのタンパク質分解酵素により切断され、megakaryocyte potentiating factor(MPF)と呼ばれる31kDaのポリペプチドとGPIアンカーによって細胞膜に結合している40kDaのポリペプチド、すなわち成熟型MSLNとなる。さらに、GPIアンカー型のMSLNの一部は細胞膜から切り離され、遊離していることが報告されている(可溶型MSLN)。MSLNの機能としては細胞の接着や増殖に関与するという報告がある。

これらの背景から、MSLNは、がんの診断治療ターゲット分子として有望視されており、MSLNを認識する抗体はMORAb-009(amatuximab)、HN1などこれまでに多数作製、報告されている(非特許文献3〜5、特許文献1〜2)。

概要

がんの診断や治療に有効な新規なポリペプチド、DNA、抗メソセリン抗体複合体、さらに腫瘍イメージング剤の提供。下記の(a)〜(c)のいずれかを含むDNA、(a)特定の配列の16番目〜831番目、特定の配列の16番目〜822番目、特定の配列の16番目〜825番目、特定の配列の16番目〜819番目、特定の配列の16番目〜834番目、特定の配列の16番目〜828番目のいずれかの塩基配列を含むDNA、(b)特定の配列の1番目〜272番目、特定の配列の1番目〜269番目、特定の配列の1番目〜270番目、特定の配列の1番目〜268番目、特定の配列の1番目〜273番目、特定の配列の1番目〜271番目のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNA、(c)上記(a)又は(b)のDNAの相補鎖。上記(b)のポリペプチドおよび該ポリペプチドを含むイメージング剤

目的

本発明は、がんの診断や治療に有効な新規なポリペプチド、DNA、抗メソセリン抗体、複合体、さらに腫瘍イメージング剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

下記の(a)〜(c)のいずれかを含むDNA(a) 配列番号1の16番目〜831番目、配列番号3の16番目〜822番目、配列番号5の16番目〜825番目、配列番号7の16番目〜819番目、配列番号9の16番目〜834番目、配列番号11の16番目〜828番目、のいずれかの塩基配列を含むDNA(b) 配列番号2の1番目〜272番目、配列番号4の1番目〜269番目、配列番号6の1番目〜270番目、配列番号8の1番目〜268番目、配列番号10の1番目〜273番目、配列番号12の1番目〜271番目、のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNA(c) 上記(a)又は(b)のDNAの相補鎖

請求項2

配列番号2の1番目〜272番目、配列番号4の1番目〜269番目、配列番号6の1番目〜270番目、配列番号8の1番目〜268番目、配列番号10の1番目〜273番目、配列番号12の1番目〜271番目、のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチド。

請求項3

配列番号2の1番目〜272番目、配列番号4の1番目〜269番目、配列番号6の1番目〜270番目、配列番号8の1番目〜268番目、配列番号10の1番目〜273番目、配列番号12の1番目〜271番目、のいずれかのアミノ酸配列を含む抗メソセリン抗体

請求項4

請求項2に記載のポリペプチドを含む腫瘍イメージング剤

請求項5

さらに89Zrを含む、請求項4に記載の腫瘍イメージング剤。

請求項6

メソセリン発現している腫瘍イメージング用である、請求項4又は5に記載の腫瘍イメージング剤。

請求項7

請求項2に記載のポリペプチドと抗腫瘍物質を連結した複合体。

技術分野

0001

本発明は、DNA、ポリペプチド抗メソセリン抗体腫瘍イメージング剤及び複合体に関する。

背景技術

0002

メソセリン(MSLN)は、GPIアンカーを介して膜に結合している40kDaの糖タンパク質である。MSLNは正常には胸膜腹膜心膜中皮限局して発現している。しかし、がん化した組織においては、中皮腫卵巣がん膵臓がん大腸がん乳がんなど多くのがん細胞に高発現することが知られている(非特許文献1〜2)。

0003

MSLNは、まず全長71kDaの前駆体タンパク質として合成された後、Furinなどのタンパク質分解酵素により切断され、megakaryocyte potentiating factor(MPF)と呼ばれる31kDaのポリペプチドとGPIアンカーによって細胞膜に結合している40kDaのポリペプチド、すなわち成熟型MSLNとなる。さらに、GPIアンカー型のMSLNの一部は細胞膜から切り離され、遊離していることが報告されている(可溶型MSLN)。MSLNの機能としては細胞の接着や増殖に関与するという報告がある。

0004

これらの背景から、MSLNは、がんの診断治療ターゲット分子として有望視されており、MSLNを認識する抗体はMORAb-009(amatuximab)、HN1などこれまでに多数作製、報告されている(非特許文献3〜5、特許文献1〜2)。

0005

特開2014-221064
特表2011-504372

先行技術

0006

Eur. J. Cancer 44, 46-53、2008
Clin. Cancer Res. 10, 3937-3942, 2004
Lung Cancer, 68:455-459, 2010
Int. J. Cancer, 128: 2020-30, 2011
Scientific Reports 5:09928, 2015

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、がんの診断や治療に有効な新規なポリペプチド、DNA、抗メソセリン抗体、複合体、さらに腫瘍イメージング剤を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、以下のDNA、ポリペプチド、抗メソセリン抗体、腫瘍イメージング剤及び複合体を提供するものである。
項1. 下記の(a)〜(c)のいずれかを含むDNA
(a) 配列番号1の16番目〜831番目、
配列番号3の16番目〜822番目、
配列番号5の16番目〜825番目、
配列番号7の16番目〜819番目、
配列番号9の16番目〜834番目、
配列番号11の16番目〜828番目、
のいずれかの塩基配列を含むDNA
(b) 配列番号2の1番目〜272番目、
配列番号4の1番目〜269番目、
配列番号6の1番目〜270番目、
配列番号8の1番目〜268番目、
配列番号10の1番目〜273番目、
配列番号12の1番目〜271番目、
のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNA
(c) 上記(a)又は(b)のDNAの相補鎖
項2. 配列番号2の1番目〜272番目、
配列番号4の1番目〜269番目、
配列番号6の1番目〜270番目、
配列番号8の1番目〜268番目、
配列番号10の1番目〜273番目、
配列番号12の1番目〜271番目、
のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチド。
項3. 配列番号2の1番目〜272番目、
配列番号4の1番目〜269番目、
配列番号6の1番目〜270番目、
配列番号8の1番目〜268番目、
配列番号10の1番目〜273番目、
配列番号12の1番目〜271番目、
いずれかのアミノ酸配列を含む抗メソセリン抗体。
項4. 項2に記載のポリペプチドを含む腫瘍イメージング剤。
項5. さらに89Zrを含む、項4に記載の腫瘍イメージング剤。
項6.メソセリンを発現している腫瘍イメージング用である、項4又は5に記載の腫瘍イメージング剤。
項7. 項2に記載のポリペプチドと抗腫瘍物質を連結した複合体。

発明の効果

0009

従来の完全長抗体に比べ、本発明の抗MSLN scFvは低分子化されており、血中クリアランスが速いため放射標識scFvによるPETでは、MSLNを発現する腫瘍を従来に比し短時間かつ特異的に可視化することが可能である。

0010

また、抗体が低分子化されたため、高分子ミセルDDS製剤などの抗腫瘍剤への標的化のための修飾も可能である。

0011

また、崩壊の際にβ−線を放出しないPET核種である89Zrを用いることによって、より安全ながんのイメージングが可能となる。

図面の簡単な説明

0012

抗ヒトMSLN scFv抗体作製の構成図と抗ヒトMSLN scFv-cp3抗体の構造 a ヒトナイーブ抗体ファージライブラリー作製のスキーム。ヒト扁桃リンパ球よりライブラリを作製した。 b cp3配列を有するscFv抗体の構造リンカーで結合された重鎖ならびに軽鎖可変領域、軽鎖定常領域にPelBならびにcp3配列を付加した構造を持つ。PT7はT7プロモーターを示す。また可変領域は黒四角で、定常領域は灰色の四角で示した。 c cp3配列を有するscFv(cp3-scFv)抗体の濃縮、選択とHis-tag配列を有するscFv抗体作製のスキーム。cp3-scFv抗体は、His-tag(Dynabeads登録商標)His-tag Isolation & Pulldown : 10103D: Invitrogen)又はマウスモノクローナル抗His-tag抗体(MBL: M136-3)とプロテインG(Dynabeads(登録商標)protein G: 100.04D: Invitrogen)を介してヒト組換えMSLNを結合したビーズ(r-MSLN beads)を用いたカラム(r-MSLN column)を用いた4〜5回のバイオパンニングで濃縮した。濃縮後、個々のcp3-scFv抗体をクローニングし、固相酵素免疫測定法Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay (ELISA) によりMSLNに対する結合能を評価した。ELISAにより活性の高かったscFv抗体についてフローサイトメトリー(FCM)で、再度、がん細胞との結合能を確認し、反応性の高い5クローン選抜した。選抜されたscFvの配列情報を基にHis-tag配列を付加したscFv抗体のDNAを合成しChinese hamster ovary (CHO) 細胞により発現させ、FCMによりがん細胞との結合能を確認した。FCMによる評価の高かったHis-tag配列を付加したscFv抗体はPETイメージングにより評価された。VHは重鎖可変領域、VLは軽鎖可変領域、CLは軽鎖定常領域を示す。また可変領域を黒で、定常領域を灰色で示した。
cp3-scFvクローンの選択およびELISAによる評価 cp3-scFvのr-MSLNに対する特異性を評価するために96穴プレートにr-MSLNを固相化し、ELISAに用いた。Y軸は吸光度を、X軸にそれぞれのクローン名を表示し(スペースの関係で名前が1つおきになっている)、黒棒は固相化r-MSLNを示し、白棒はプレートに陰性コントロールとしてEGFRを固相化した場合のcp3-scFvクローンの反応を示す。また、灰色の棒はプレートにr-MSLNを固相化していないPBSのみとのcp3-scFvクローンの反応を示す。図中上段並びに中段の4th、5thは、パンニング回数を示し、4thは4回の、5thは5回のパンニングにより濃縮された後に得られたクローンを示す。また、4thはDynabeads(登録商標)His-tag Isolation & Pulldown : 10103D)に抗原r-MSLNを結合させたビーズ(以下、His-tagビーズ)により2回パンニングを行った後Dynabeads(登録商標)protein G: 100.04D: invitrogen)にマウスモノクローナル抗His-tag抗体(MBL: M136-3)を結合させ、ここに抗原r-MSLNを結合させたビーズ(以下、PGビーズ)により2回パンニングを行っている。 5thは、4回パンニングの後、さらにHis-tagビーズでパンニングを行っている。下段は、4回パンニングの後、さらにPGビーズでパンニングを行って得られたクローンを示す。 HR1はコントロールとして用いたハブ毒に特異的なpc3-scFvである。
フローサイトメトリー(FCM)による抗ヒトMSLN cp3-scFv抗体クローンの評価肺がん細胞NCI-H226、胃がん細胞NCI-N87、膵臓がん細胞BxPC-3ならびにPANC-1を用いて、抗ヒトMSLN cp3-scFv抗体クローンの反応性をFCMにより分析した。図中の黒は各抗ヒトMSLN cp3-scFv抗体クローンを、灰色はコントロールとして用いたHR1 007抗ハブ毒scFv抗体を示す。黒枠で囲まれたクローンがFCMによる反応性の高さにより選択されたクローンである。図中の数値は各抗ヒトMSLN cp3-scFv抗体クローンの平均蛍光強度mean fluorescence intensity (MFI) とコントロールとして使用したHR1 007抗ハブ毒scFv抗体のMFIの比である。
得られた抗ヒトMSLN His-tag-scFv抗体の構成とSDS-PAGEによる分析 a 抗ヒトMSLN His-tag-scFv抗体の構成 b 抗ヒトMSLN His-tag-scFv抗体のアミノ酸配列。軽鎖可変領域と重鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)を枠内に示す。(*)は各クローン間で異なるアミノ酸残基を、赤文字CDR領域内で変化の無いアミノ酸残基を示す。 His-tagは6残基のヒスチジンより構成される。SSシグナル配列を示す。相補性決定領域(CDR)は、V BASE(TheMRC Centre for Protein Engineering, MRC Laboratory of Molecular Biology )のデータを基に推定した。 c His-tag-scFv抗体クローンの還元SDS-PAGE分析試料の還元には100mMのジチオトレイトール(DTT)を用いた。レーン1:分子サイズマーカー、レーン2:His-Tag-scFv H1a050 (27064.24 Da)、レーン3: His-Tag-scFv H2a064 (26684.87 Da)、レーン4: . His-Tag-scFv H2a021 (26708.96 Da)、レーン5: His-Tag-scFv H2a006 (26701.85 Da)、レーン6: His-Tag-scFv H2a059 (27124.32 Da)、レーン7: His-Tag-scFv H2b011 (27033.18 Da)。分子量はいずれもアミノ酸配列より算出。
各種のがん細胞株による抗ヒトMSLN His-tag scFv抗体クローンの評価膵臓がん3種、肺がん2種、前立腺がん1種、子宮体がん1種、子宮頸がん2種、卵巣がん2種、胃がん3種に対する抗ヒトMSLN His-tag scFv抗体クローンの反応性をフローサイトメトリーにより分析した。図中の黒は各抗ヒトMSLN His-tag scFv抗体クローンを、灰色はコントロールとして1次抗体である抗ヒトMSLN His-tag scFv抗体クローンを用いずに2次抗体である抗His-tag抗体のみを用いたものである。 下段に完全長IgGマウス抗ヒトMSLN抗体11-25を用いたFCMの図を示す、図中の黒は完全長IgGマウス抗ヒトMSLN抗体を、灰色は陰性コントロールとしてIgGアイソタイプコントロールの抗KLH抗体を用いた結果を示す。図中の数値は各抗ヒトMSLN cp3-scFv抗体クローン並びに完全長IgGマウス抗ヒトMSLN抗体11-25の平均蛍光強度mean fluorescence intensity (MFI) とコントロールのMFIの比である。
モデルマウスを用いたヒトMSLMを認識する89Zr-DFO-scFv抗体を用いたPET・CT画像BALB/c nu/nu担がんマウスは、MSLN高発現胃がん細胞株MCI-N87(右肩)(白矢印)及び、NSLN低発現膵臓がん細胞株PANC-1(左肩)(青矢印)による腫瘍を有する。ヒトMSLMを認識する89Zr-DFO-scFv抗体を投与後3時間のPET・CT画像を示す。H2a064及びH1a050は抗ヒトMSLN His-tag scFv抗体のクローン名。
89Zr-DFO-scFvの生体内分布担がんマウスにおける89Zr-DFO-scFv静脈内注射後3時間の生体内分布。 データは、1グラム当たり注射用量の%(%ID / g tissue)として計算した。 図中の黒色のカラムはscFvクローンH1a050を示し、 白色のカラムはscFvクローンH2a064を示す。エラーバーはSDを示す。(*p < 0.01)
89Zr-DFO-scFv抗体の腫瘍、血液への経時的な集積を算出したグラフ。 一番上の行のY軸は血液中の抗体の蓄積を示す。下段は、MSLN高発現の胃癌細胞株(NCI-N87)、MSLN低発現の膵臓癌細胞株(PANC-1)由来の腫瘍における抗体の蓄積(%ID / g tissue)を示す。また図中のエラーバーはSD値を示す。
MSLNH1a050LHscFvのDNA配列およびアミノ酸配列を示す。

0013

本発明者らは、これまでにメソセリン(MSLN)タンパク質をマウスに免疫して得た、MSLNに対して親和性・特異性の高いIgG抗体を用いて、腫瘍細胞イメージング技術を開発したが、マウス型の抗体はヒトに投与すると免疫原性があり、投与抗体に対する抗体産生誘導してしまうため、複数回の投与が困難となる。そこで、抗原性を低くするために、ヒト抗体遺伝子由来の抗メソセリン抗体を樹立した。

0014

本発明で使用する抗体は、抗体のH鎖L鎖の可変領域のみを短いリンカーでつないだ低分子抗体であるscFvである。

0015

本発明の抗メソセリンscFv抗体は、配列番号2の1番目〜272番目、配列番号4の1番目〜269番目、配列番号6の1番目〜270番目、配列番号8の1番目〜268番目、配列番号10の1番目〜273番目、配列番号12の1番目〜271番目、のいずれかを含むポリペプチドである。このポリペプチドは、精製を容易にするために、Hisタグ、GST、MBPなどのタンパク質タグHAタグ、mycタグ、FLAGタグなどのタグを結合させてもよい。また、N末端C末端側に任意のペプチドを結合させたものも本発明のポリペプチドに含まれる。本発明の配列番号2,4,6,8,10,12のペプチドは、図4bに示されている。

0016

本発明の好ましいscFv抗体を図9に示す。

0017

本発明のDNAは、本発明のペプチドをコードするものであり、
(a) 配列番号1の16番目〜831番目、配列番号3の16番目〜822番目、配列番号5の16番目〜825番目、配列番号7の16番目〜819番目、配列番号9の16番目〜834番目、配列番号11の16番目〜828番目、のいずれかの塩基配列を含むDNA、
(b) 配列番号2の1番目〜272番目、配列番号4の1番目〜269番目、配列番号6の1番目〜270番目、配列番号8の1番目〜268番目、配列番号10の1番目〜273番目、配列番号12の1番目〜271番目のいずれかのアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするDNA、
(c) 上記(a)又は(b)のDNAの相補鎖
包含する。

0018

配列番号1,3,5,7,9,11は、5’末端側にHindIII認識配列, Kozak配列が付加され、3’末端側にEcoRI認識配列が含まれているが、これらに代えて、或いはこれらに加えて任意の配列が付加されていてもよい。例えば、本発明のDNAは、配列番号1の16番目〜831番目、配列番号3の16番目〜822番目、配列番号5の16番目〜825番目、配列番号7の16番目〜819番目、配列番号9の16番目〜834番目、配列番号11の16番目〜828番目のいずれかの塩基配列を組み込んだベクターを包含する。

0019

本発明のポリペプチドは、本発明のDNAを含むベクターにより細胞を形質転換し、形質転換細胞を培養することにより得ることができる。本発明のポリペプチドを製造するための細胞としては、酵母昆虫細胞(昆虫細胞/バキュロウイルス発現系)および哺乳動物細胞(CHOなど)を含む真核生物系、大腸菌および枯草菌を含む原核生物系ならびに古細菌が挙げられ、CHOが好ましい。

0020

本発明のポリペプチドは、標識物質で標識することができる。標識物質としては、89Zr,99mTc、111In、113mIn、67Ga、68Ga、201Tl、51Cr、57Co、58Co、60Co、85Sr、197Hg、64Cu、123I、125I、124I、131I、90Y、177Lu、186Re、188Re、211At、225Ac、213Bi、212Pb、166Ho、44Sc、47Sc、227Thなどの放射性核種、Fluorescein、Rhodamine、Cyanine dye、Alexa Fluor、Quantum Dot、Texas Red、Indocyanine green (ICG)などの蛍光物質が挙げられ、89Zrが好ましい。

0021

本発明の複合体は、本発明のポリペプチドと抗腫瘍物質を含む。抗腫瘍物質としては、抗がん剤、高分子ミセル型DDS製剤などが挙げられる。抗がん剤としては、ドキソルビシンダウノルビシンシスプラチンオキザリプラチンカルボプラチンパクリタキセルイリノテカン、SN−38、アクチノマイシンDビンクリスチンビンブラスチンメトトレキサートアザチオプリンフルオロウラシルマイトマイシンCドセタキセルシクロホスファミドカペシタビンエピルビシンゲムシタビンミトキサントロンロイコボリンビノレルビントラスツズマブエトポシドエストラムスチンプレドニゾンインターフェロンαインターロイキン−2、ブレオマイシンイホスファミドメスナアルトレタミントポテカンシタラビンメチルプレドニゾロンデキサメタゾンメルカプトプリンチオグアニンフルダラビンゲムツズマブイダルビシン、ミトキサントロン、トレチノインアレムツズマブクロランブシルクラドリビンイマチニブ、エピルビシン、ダカルバジンプロカルバジン、メクロレタミン、リツキシマブデニロイキンジフチトクストリメトプリムスルファメトキサゾールアロプリノールカルムスチンタモキシフェンフィルグラスチムテモゾロマイドメルファラン、ビノレルビン、アザシチジンサリドマイド、およびマイトマイシンなどが挙げられるが、これらに限定されない。

0022

本発明でイメージングの対象となる腫瘍としては、メソセリンを発現している腫瘍であれば特に限定されないが、例えば小細胞肺がん非小細胞肺がん膵臓癌前立腺癌子宮頸癌子宮体癌卵巣癌乳癌胃癌などが挙げられる。

0023

本発明の腫瘍イメージング剤は、PET、SPECT、CT またはMRIを単独あるいは組み合わせたイメージング(例えば、PET/CT , SPECT/CT , SPECT/CT/PETなど)に使用することができる。

0024

本発明は以下の実施例によってさらに例示されるが、これらはさらなる限定として解釈されるべきではない。
実施例1
I 材料と方法
(1)試薬
Deferoxamine-p-SCN (DFO) は Macrocyclics (Dallas, TX)より購入した。 PD-10脱塩カラムはGE Healthcare (Uppsala, Sweden)より購入した。Amicon Ultra 0.5 centrifugal filter units はMerck Millipore (Billerica, MA)より購入した。また、その他の試薬については特級グレードのものを用いた。

0025

(2)抗ヒトMSLN-scFv作製
扁桃腺肥大・炎症患者口蓋扁桃リンパ球よりTotal RNAを抽出し定法に従いVH、VL並びにVL-CL配列それぞれに対するプライマーを用い逆転写法にてcDNAを得た。得られた配列に発現シグナルPelB及びファージのcp3配列を付加し、VH、VL-CL配列並びにVH、VL配列間を(G4S)3リンカーにより結合し、pTZ19R phagemidベクター(Thermo Fisher scientific, Massachusetts, U.S.A. )により大腸菌(DH12S)へ導入した。大腸菌にM13KO7ヘルパーファージを感染させ、ヒトナイーブ抗体ファージライブラリーを作製した(図1a,b )。VH、VL配列より構成されるscFvをH1、VH、VL-CL配列より構成されるscFv-CLをH2とした(図1c)。scFvの濃縮及び酵素結合免疫吸着法(ELISA)に用いたリコンビナントMSLN (以下r-MSLN)の調製については岩堀らの文献に示してある(Iwahori K. et al., Lung Cancer. 2008; 62(1): 45-54)。得られたH1及びH2のscFv-cp3はr-MSLNをビーズに結合させたカラムを用いたパンニングを4〜5回行うことにより濃縮し、r-MSLNを固相化したプレートを用いたELISAによりMSLNに対する特異的な親和性を確認した(図2)。ファージは大腸菌に感染させ平板培地コロニーを形成させる事によりクローニングされ、各クローンの遺伝子配列DNAシーケンサにより確認した。得られたヒトMSLN-scFv-cp3クローンは固相化r-MSLNを用いたELISAによりr-MSLNに対する反応性により選抜された。ELISAにより選抜されたscFv-cp3はさらにMSLN高発現のがん細胞株とMSLN低発現のがん細胞株を用いたFCMによりがん細胞に発現しているMSLNとの反応性が確認された(図3)。選抜された反応性の高いscFv-cp3のDNA配列からHis-tag配列を有するscFv遺伝子を合成し哺乳類細胞を用いてscFvを発現させた。ヒト化抗ヒトMSLN-scFv作製の全体の流れを図1cに示す。本研究は、岡山大学倫理委員会および医学生物研究所、倫理委員会の承認を受け、日本政府およびヘルシンキ宣言により制定されたヒトゲノム/遺伝子研究の倫理ガイドラインに従って実施された。

0026

(3)抗ヒトMSLN scFv-cp3のELISAによる選抜。
96穴MAXIsorpプレートにヒトr-MSLNならびに陰性コントロールとして上皮成長因子受容体epidermal growth factor receptor (EGFR)をそれぞれPBSに溶解して5μg/mL、50μLずつ分注し、4℃で一晩インキュベートすることにより固相化した。2.5%BSAを200μL加え室温で2時間インキュベートすることによりブロッキングした。各抗ヒトMSLN scFv-cp3クローンを50μL加え室温で1時間インキュベートした後、抗cp3ウサギポリクローナル抗体(5μg/mL)を50μL加え室温で1時間インキュベートした。PBSで5000倍に希釈した3次抗体Anti-IgG(H+L chain) (Rabbit) pAb-HRP (MBL458、Nagoya, JAPAN) を50μL加え室温で1時間インキュベートした後3,3',5,5'-tetramethylbenzidine 50μLで発色させ450nmの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。

0027

(4)抗ヒトMSLN-scFv-His tagの作製
臨床応用視野に入れ、哺乳類細胞で発現するscFvを作製した。ELISAとFCMにより選抜された抗MSLN scFv-cp3のVH、VL配列にリンカー並びにHis-tagを付加した人工遺伝子を合成し哺乳類細胞発現ベクターpCx17.4(Lonza, San Francisco, CA, U.S.A)に挿入しCHOK1-GSKOに遺伝子導入した(図4a,b)。抗ヒトMSLN-scFv-His-tagは、培養上清を1mLのNi-NTA agarose(QIAGEN)カラムにかけ、PBS洗浄後、200mMイミダゾール溶出3mL×4回 全量をPBSで終夜透析限外ろ過アミコン)で濃縮することにより精製しSDS-PAGEにより確認した。また分子量マーカーにはプレシジョンPlusプロテインTMプレステインドスタンダード Dual Color(Bio-rad, California, U.S.A)を用いた(図4c)。さらにMALDI-TOF-MS (AXIMA(登録商標) Performance, SHIMADZU, Kyoto, Japan) により分子量の測定を行った

0028

(5)細胞培養
各種の組織より樹立されたがん細胞株は、American Type Culture Collection(ATCC)並びにJCRB cell bankより分譲された。培地は各細胞のデーターシートに則りRPMI-1640、EMEM、DMEM、IMDMをそれぞれ基本に用い、ウシ胎児血清(FBS)を10から20%加え、細胞によってはインシュリン非必須アミノ酸(NEAA)等のサプリメント必要量加え、全ての培地に1%のpenicillin / streptomycinを加えている。培地、サプリメント等は(Gibco / Life Technologies、CA、USA)より購入した。細胞株の名称、組織の由来、疾患名等を表1に示す。培養は37℃、炭酸ガス濃度5%で加湿した培養器を用いて行った。

0029

0030

表1は、細胞株、組織、疾患、およびMSLN発現のレベルを示した。 3つの胃癌細胞株、4つの肺癌細胞株気管支を含む)、3つの膵臓癌細胞株、2つの卵巣癌細胞株、2つの子宮頸癌細胞株、3つの子宮癌細胞株、1つの前立腺癌細胞株、1つの結腸直腸癌細胞1つの皮膚癌細胞株、1つの神経芽細胞腫細胞株、1つのグリア細胞株、3つの白血病細胞株、1つの乳癌細胞株、1つの肝臓癌細胞株および1つの腎臓癌細胞株を含んでいる。

0031

FCM分析のために計28種の細胞株を使用した。 「MSLN exp ref」は以前の研究で示されたMSLN発現陽性を示す。「MSLN exp FCM」は、コントロールのMIFに対する各MSLN陽性癌細胞株におけるscFvクローンH1a050の平均蛍光強度(MFI)の比を示し、5以上を++、4.9-1.5を+、 1.4以下を−として示した。

0032

(6)抗体のFCM分析
各種のヒトがん細胞株(表1)を、Cell Dissociation Buffer, enzyme-free,PBS(Gibco / Life Technologies、CA、USA)で処理することによって単独細胞懸濁液にして収穫した。 1×106個の細胞を、2%FBSおよび1mMEDTAを含む冷PBSで1回洗浄し、完全長抗ヒトMSLN抗体、各抗ヒトMSLN cp3-scFvクローンまたは各His-tag scFvクローンを一次抗体として用いた。完全長抗ヒトMSLN抗体は、陰性コントロールに抗KLH抗体(IgG2b isotype control) を用い、2次抗体としてAlexa Fluor 488がラベルされたヤギ抗マウスIgG抗体を用いた。抗ヒトMSLN cp3-scFvは、陰性コントロールとしてハブ毒の出血因子HR1-007に対する抗体を用い、2次抗体としてウサギ抗cp3ポリクローナル抗体(MBL、Nagoya、Japan)を用いた。また3次抗体はAlexa Fluor 488で標識したヤギ抗ウサギポリクローナル抗体(Invitrogen:A11034、USA)を用いた。抗ヒトMSLN HisタグscFvについては、2次抗体にAlexa Fluor 488を標識したマウス抗His-tagモノクローナル抗体(No.D291-A48、MBL、nagoya, JAPAN)を用いた。対照として細胞をHisタグscFvなしで処理した。最後に死細胞選別するため5μLの7-Amino-Actinomycin D (immunostep, Salamanca, Spain)(7AAD)および1mM EDTAを含有する100μLのPBSに懸濁した後、 BDFACSAria IIIフローサイトメーター(BD Biosciences、NJ、USA)を用いて測定した。抗体の反応はいずれも上で1時間、また、抗体との反応の各段階で2%FBS と1mM EDTAを含む500μLのPBSで2回洗浄した。また、死細胞集団を除いた蛍光強度平均値はBD FACSDiva softwareを用いて取得し、Microsoft Excelを用いて計算した。

0033

(7)His-tag scFvへのDFO 修飾ならびに放射標識
His-tag scFvへの DFO 修飾は溶解したキレート剤deferoxamine (p-SCN-Bn-DFO):His-tag scFvの比が3対1になる様にpH 9.0の重炭酸塩緩衝液中で37℃、1時間インキュベートすることにより行った。89Zr はcyclotron (HM-12 cyclotron, Sumitomo Heavy Industries Ltd., Tokyo, Japan) により製造され、89Zr-シュウ酸塩を得た。89Zr-シュウ酸塩:Na2CO3(2M):HEPES(0.5M)を2:1:10になるよう混和してpH 7.0に調整し、溶媒ゲンチジン酸生理食塩水(5mg/mL)に置換されたDFO修飾His-tag scFvクローンと混和し37℃で30分間インキュベートして89Zr-DFO-scFvを得た。未結合の89Zr はAmicon Ultra 10K遠心フィルターを用いた限外ろ過により除去した。放射化学的純度は、薄層クロマトグラフィーによるオートラジオグラフィーTLC-ARG)とHPLC(LC-20, Shimadzu Co., Kyoto, Japan) によって決定した。 TLC-ARGは、サンプルをシリカゲルプレートシリカゲル、60 RP-18F254S、Millipore)上にスポットし、50mMEDTA(pH5.0)を移動相として用いて展開した。HPLCは、D-PBS(和光)(pH7.0)を移動相として、流速は0.75mL /分、Superdex 200 10/300カラム(10 mm × 30 cm, GE Healthcare, Buckinghamshire, England)で実施した。放射標識されたscFvの50%ヒト血漿/ PBS中での37℃、6時間のインキュベーション後のIn vitroでの安定性も分析した。89Zr-DFO-scFvまたは抗KLHscFv(50μL)を450μLのマウス血漿に添加した。混和直後および6時間インキュベーション後、放射標識したscFvと血漿との混合物の一部をHPLCで230nmおよび放射能をGABIstar(Raytest, straubenhardt, Germany)により測定した。さらに、DFO修飾、89Zr標識による結合能の変化を評価するために、それぞれの抗原であるr-MSLNに対する平衡解離定数(KD)をAmine-Reactive Second Genelation (AR2G)バイオセンサープローブを用いた分子間相互作用解析装置BLItz(ForteBio, Inc., CA, U.S.A)により測定した。

0034

(8)モデル動物
すべての動物実験は、岡山大学のガイドラインに従って行われ、大学の動物実験委員会(OKU-2013098)の承認を得た。5週齢の雄BALB / c nu / nuマウスをCharles River (Tokyo, Japan)から購入し、使用前に岡山大学 自然生命科学研究支援センター動物資源部門で特定の病原体のない条件下で維持した。PETイメージングのために、MSLN発現陽性培養細胞株NCI-N87、MSLN発現陰性培養細胞株PANC-1をそれぞれ培養し、ヌードマウスの右肩にNCI-N87細胞3×106個を左肩にPANC-1細胞1×107個を移植し担がんモデルマウスを作製した。イメージングは、腫瘍の直径が約8mmになった時点で行った。

0035

(9)小動物PET・CTイメージング
NCI-N87およびPANC-1細胞株による腫瘍を有する各マウスを、イソフルラン吸入により麻酔し、マウスの尾静脈より89Zr-DFO-scFvを麻酔下で投与し(n=3)、中動物用PET /CTシステム(Clairvivo PET, Shimadzu, Kyoto, Japan)を用いて撮像した。3時間の動的PETスキャンを行い、3D-DRAMA法を用いて画像を再構成した。平均投与量はそれぞれ、H1a050(6.0 MBq/8.3 μg)、H2a064(4.1 MBq/11.5 μg)である。またPETスキャンの前に、CTスキャナー(Eminence Stargate, Shimadzu)を用いて、CTデータを取得した。DICOMフォーマットに変換したPETおよびCT画像をPMODソフトウェアバージョン3.3 (PMOD Technologies Ltd., Zurich, Switzerland)を用いて融合しPET / CT画像上の腫瘍および血液プールとして心臓に3次元体積関心領域(VOI)を描き、組織1gあたりの注射された用量の平均百分率(%ID / g)を決定した。 CTスキャン後、生体内分布研究のために全てのマウスを安楽死させた。マウスの腫瘍および主要器官採取して量し、器官の放射能をガンマカウンター(AccuFLEXγ7001、Hitachi Aloka Medical、Tokyo、Japan)を用いて測定した。 生体内分布データは%ID / gとして表した。

0036

(10)統計解析
データは、平均±標準偏差として示す。統計的解析は、2つの群の比較のために、非対形成スチューデントt検定を用いて行った。 P <0.05を統計的有意性ありと判定した。

0037

II 結果
(1)抗ヒトMSLN-scFv作製の作製ならびに選抜
扁桃腺肥大・炎症患者の口蓋扁桃腺リンパ球のcDNAにより抗体ファージライブラリーを作製し、4〜5回のバイオパンニングにより120種類の抗MSLN cp3-scFvクローンが得られた。得られた抗MSLN cp3-scFvの反応性を固相化r-MSLNによるELISAにより調べた結果、r-MSLNと反応性が高いscFvを15種類選択出来た。また、これらの15種類を選抜する際、各scFvクローンの遺伝子配列を確認し、同様の配列を持つクローンは選抜していない。また、培養がん細胞株を用いてこれら抗MSLN cp3-scFvクローンの反応性を確認した。対象としてMSLN強発現の肺がん細胞株NCI-H226、胃がん細胞株NCI-N87、膵臓がん細胞株BxPC-3ならびにMSLN発現が非常に弱い膵臓がん細胞株PANC-1を用いFCMによる分析を行った。FCM分析により、MSLN強発現がん細胞に対する反応性が高く、MSLN発現が非常に弱いがん細胞に対しては反応の低いscFvを6種類選抜した(図3)。

0038

(2)抗ヒトMSLN-scFv-His tag作製ならびに選抜
scFvそのものが抗原となることを防ぐために、scFvを哺乳類細胞で産生した。具体的には、上記(1)項で選抜された抗MSLN cp3-scFvクローンのDNA配列から哺乳類細胞で産生可能な抗ヒトMSLN-scFv-His-tag一本鎖抗体を遺伝子の全合成により作製した後、ベクターに挿入しCHO細胞に導入した(図4a,b)。6種類のscFvクローンを作製し各種がん細胞株を用いたFCMにより分析した。クローンH1a050 とH2a064はMSLN発現細胞株に対し高い反応性を示した。特に、クローンH1a050は様々な組織より樹立されたがん細胞株に対しても良好な反応性を示した(図5)。さらに、H1a050 scFvは全長抗MSLN抗体11-25と同様の反応性を示した(図5)。抗ヒトMSLN His-tag scFv(図4a)および6つのscFvクローンのアミノ酸配列の構造を示す(図4b)。DNA配列から推定される分子量と計算により求められるモル吸光係数は、それぞれHis-tag scFv H1a050(27063.24 Da、ε=45130)、His-tag scFv H2a064(26683.87 Da、ε=49980)である。CHO細胞により産生されたHis-tag抗ヒトMSLN scFvクローンはSDS-PAGEにより目的とする分子量のscFvとして作製されていることが確認された(図4c)。また、MALDI-TOF-MSを用いた分子量の分析では、それぞれHis-tag scFv H1a050(26926.58 Da)、His-tag scFv H2a064(26547.88 Da)であり計算値から1アミノ酸残基程度の分子量の差異があるものの、ほぼ目的とする分子量のペプチドが得られたことが確認された。

0039

(3)His-tag scFvへのDFO 修飾ならびに放射標識
DFO修飾したHis-tag scFvの 89Zr標識後の比放射能(specific activity)はそれぞれ、H1a050:(0.496 MBq/μg)、H2a064(0.365 MBq/μg)であった。89Zr標識されたscFvの50%ヒト血漿中での37℃、6時間のインキュベーション後のin vitroでの安定性はそれぞれ、H1a050:(98.3%)、H2a064(100%)であった。また、DFO修飾、89Zr標識がscFvの結合能に与える影響については未標識、DFO修飾後、89Zr標識後の各scFvの平衡解離定数(KD)を以下に示す、H1a050:(4.68E-09、3.38E-09、4.62E-08)、H2a064(5.96E-08、1.14E-07、7.82E-08)単位はいずれもmol/Lである。

0040

(4)小動物PET・CTイメージング
89Zr標識DFO-His-tag-scFvを投与して3時間後のPET・CTイメージング画像を図6に示す。抗ヒトMSLN-scFv-His tagクローンはH1a050、H2a064のどちらもMSLN強発現細胞であるNCI-N87の移植腫瘍への特異的な集積を示し、特にクローンH1a050は、H2a064に比し高い集積を示した。図7に89Z標識抗ヒトMSLN-scFv-His tagクローンのPET・CTイメージング後の生体内分布を示す。89Z標識H1a050はPANC-1由来の腫瘍に比しNCI-N87由来の腫瘍に優位に高く集積することが確認された。しかしながら腎臓肝臓に対する強い89Zr(DFO-His-tag-scFv)の集積も確認された。

0041

図8は、PET画像から得られた血液中、NCI-N87腫瘍およびPANC-1腫瘍の89Z放射能の経時的変化を示すグラフである。 これらのデータから、標識抗体の投与直後から血液ならびにMSLNを発現する腫瘍に抗体が取り込まれていることが確認できる。これらのデータは、血液中の急速な排泄とは対照的に、腫瘍における89Zr放射能は徐々に減少し、投与後3時間を経過しても高濃度で依然として保持されていることを示した。

実施例

0042

図8下段に、MSLN弱発現およびMSLN強発現腫瘍への89Zr 標識scFvの蓄積の経時変化を示すグラフを提示する。放射標識された抗ヒトMSLN-scFvは、NCI-N87腫瘍においてPANC-1腫瘍よりも蓄積が高かった。さらに、NCI-N87腫瘍におけるscFvクローンH1a050の放射能はH2a064に比べ緩やかな減少を示した。

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