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技術 積層チップ部品の外部電極形成用導電性ペーストおよび積層チップ部品

出願人 京都エレックス株式会社
発明者 中山豊
出願日 2017年10月26日 (2年1ヶ月経過) 出願番号 2017-206922
公開日 2019年5月23日 (7ヶ月経過) 公開番号 2019-079983
状態 未査定
技術分野 セラミックコンデンサ 抵抗器細部 固定コンデンサ及びコンデンサ製造装置 圧電、電歪、磁歪装置 導電材料
主要キーワード 両端部側面 電界ニッケルメッキ カーケンドール効果 側面部位 セラミックス素体 ニッケル陽極 バレルメッキ法 粉体形状
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重要な関連分野

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課題

積層チップ部品外部電極を形成する際に、カーケンダール効果を抑制して内部電極と良好な電気的接続を実現する導電性ペーストを提供する。

解決手段

導電性ペーストは、セラミック製の本体の側面にその端面が露出する内部電極に対して、電気的に接続する外部電極を形成するために用いられる。導電性ペーストは、(A)金属粉末としての(A−1)銀粉末および(A−2)金属シリコン粉末と、(B)ガラスフリットと、(C)有機ビヒクルとを含有する。(A−1)銀粉末と(A−2)金属シリコン粉末との含有量重量比は99:1〜85:15の範囲内であり、(A)金属粉末の総量と(B)ガラスフリットとの含有量の容量比が75:25〜95:5の範囲内である。また、(B)ガラスフリットの軟化点は450℃〜700℃の範囲内である。

概要

背景

積層チップコンデンサ積層チップバリスタ積層チップサーミスタ積層圧電素子等のような積層チップ部品においては、内部電極用の材料としてパラジウム(Pd)を用い、外部電極用の材料として銀(Ag)を用いる構成のものが知られている。

このような積層チップ部品の一般的な製造方法では、例えば、複数のセラミック層と複数の内部電極となる層とを交互に積層してセラミック製の積層体セラミック積層体またはセラミック素体)を形成する。この積層体の端部側面には、内部電極の端縁(端面)が露出しているので、この端部側面に導電性ペーストを塗布して焼成することにより、外部電極を形成する。ここで、導電性ペーストの焼成時には、カーケンダール効果(Kirkendall's effect/Kirkendall Effect)により、内部電極が外部電極(導電性ペースト)に対して突出するように成長することが知られている。

このようにカーケンダール効果により内部電極に「突出し」が生じると、内部電極と外部電極との接触面すなわち内部電極と外部電極との接合部には、カーケンダールボイド(Kirkendall Void)と呼ばれる空洞または空隙が生じることがある。これは、内部電極の突出し部分が成長するにともなって、接合部(言い換えれば内部電極と外部電極との界面)において外部電極の一部を突き上げるためであると考えられている。

従来、積層チップ部品の製造分野においては、内部電極および外部電極の接触を形成する場合に、カーケンダール効果の影響を軽減するための技術として、例えば、特許文献1〜5に開示される手法が提案されている。

特許文献1では、セラミック積層体において内部電極(Pdを含む)の端縁が露出する面上に、5〜60容量%の金属を含有するガラスペースト焼き付けガラス層を形成する手法が開示されている。この手法では、カーケンダール効果により内部電極の端縁からガラス層を貫通してガラス層の表面まで届くように、ガラスペースト中の金属を移動させて延長部を形成している。

また、特許文献2では、セラミックス素体の表面にガラスペーストを塗布および焼成することでガラス層により被覆するとともに、内部電極(Agおよび/またはPdを含む)が露出する端部側面(端面)に下地電極(外部電極)を形成する手法が開示されている。この手法では、形成されるガラス層には、内部電極の露出部位自己整合的に開口が設けられる。この開口部位では、下地電極(外部電極)から内部電極に金属が供給されることで、カーケンダール効果(特許文献2では「カーケンドール効果」)により、内部電極の端部が下地電極(外部電極)に向かって突き出して太くなっている。

また、特許文献3では、内部電極(少なくともPdを含む)が露出するセラミック素体の端部側面(端面)に外部電極を形成するための導電性ペーストとして、金属成分としてAgおよびPdを含み、ガラス成分として結晶化ガラスを含み、金属成分の割合と結晶化ガラスおよび空隙の割合を所定範囲に設定したものを用いる手法が開示されている。この手法では、導電性ペーストに結晶化ガラスを用いることでAgの拡散を抑制し、金属成分の割合と結晶化ガラスおよび空隙の割合を設定することで、導電性ペーストのAgが内部電極に拡散することを抑制している。

また、特許文献4では、内部電極(少なくともPdを含む)が露出するセラミック素体の端部側面(端面)に外部電極を形成するための導電性ペーストとして、金属成分として少なくともAgを含み、かつ、ガラス成分として結晶化ガラスを含むものを用いるとともに、この導電性ペーストの焼付温度を、結晶化ガラスの軟化点およびAgの融点を基準として設定する手法が開示されている。この手法では、導電性ペーストに結晶化ガラスを用いるとともに、焼付温度を所定範囲内にすることで、導電性ペーストのAgが内部電極に拡散することを抑制している。

また、特許文献5では、内部電極(少なくともPdを含む)が露出するセラミック素体の端部側面(端面)に外部電極を形成するための導電性ペーストとして、金属成分としてCuおよびAgを含み、ガラス成分として1種類以上の結晶化ガラスを含み、この結晶化ガラスとして、軟化点が焼付温度よりも高いものを50%以上含有するものを用いる手法が開示されている。この手法では、導電性ペーストに、軟化点が焼付温度よりも高い結晶化ガラスを主成分として用いることで、導電性ペーストのAgが内部電極に拡散することを抑制している。

概要

積層チップ部品の外部電極を形成する際に、カーケンダール効果を抑制して内部電極と良好な電気的接続を実現する導電性ペーストを提供する。 導電性ペーストは、セラミック製の本体の側面にその端面が露出する内部電極に対して、電気的に接続する外部電極を形成するために用いられる。導電性ペーストは、(A)金属粉末としての(A−1)銀粉末および(A−2)金属シリコン粉末と、(B)ガラスフリットと、(C)有機ビヒクルとを含有する。(A−1)銀粉末と(A−2)金属シリコン粉末との含有量重量比は99:1〜85:15の範囲内であり、(A)金属粉末の総量と(B)ガラスフリットとの含有量の容量比が75:25〜95:5の範囲内である。また、(B)ガラスフリットの軟化点は450℃〜700℃の範囲内である。 なし

目的

本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、積層チップ部品の外部電極を形成する際に、カーケンダール効果を抑制して内部電極と良好な電気的接続を実現する導電性ペーストを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

セラミック製の本体内に設けられ、当該本体の側面の少なくとも一部にその端面が露出する内部電極に対して、電気的に接続する外部電極を形成するために用いられ、(A)金属粉末としての(A−1)銀粉末および(A−2)金属シリコン粉末と、(B)ガラスフリットと、(C)有機ビヒクルとを含有し、前記(A−1)銀粉末と前記(A−2)金属シリコン粉末との含有量重量比が、99:1〜85:15の範囲内であり、前記(A)金属粉末の総量と(B)ガラスフリットとの含有量の容量比が、75:25〜95:5の範囲内であり、前記(B)ガラスフリットは、その軟化点が450℃〜700℃の範囲内であることを特徴とする、外部電極形成用の導電性ペースト

請求項2

前記(B)ガラスフリットは、その比重が2.5g/cm3 〜6.2g/cm3 の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の導電性ペースト。

請求項3

パラジウムを含有する内部電極と、請求項1または2に記載の導電性ペーストにより形成された外部電極と、を備えることを特徴とする、積層チップ部品

請求項4

積層セラミックコンデンサ積層チップバリスタ積層チップサーミスタ、または積層圧電素子であることを特徴とする、請求項3に記載の積層チップ部品。

技術分野

0001

本発明は、積層チップ部品外部電極の形成に用いられる導電性ペーストと、当該導電性ペーストを用いて形成される外部電極およびパラジウムを含有する内部電極を備える積層チップ部品とに関する。

背景技術

0002

積層チップコンデンサ積層チップバリスタ積層チップサーミスタ積層圧電素子等のような積層チップ部品においては、内部電極用の材料としてパラジウム(Pd)を用い、外部電極用の材料として銀(Ag)を用いる構成のものが知られている。

0003

このような積層チップ部品の一般的な製造方法では、例えば、複数のセラミック層と複数の内部電極となる層とを交互に積層してセラミック製の積層体セラミック積層体またはセラミック素体)を形成する。この積層体の端部側面には、内部電極の端縁(端面)が露出しているので、この端部側面に導電性ペーストを塗布して焼成することにより、外部電極を形成する。ここで、導電性ペーストの焼成時には、カーケンダール効果(Kirkendall's effect/Kirkendall Effect)により、内部電極が外部電極(導電性ペースト)に対して突出するように成長することが知られている。

0004

このようにカーケンダール効果により内部電極に「突出し」が生じると、内部電極と外部電極との接触面すなわち内部電極と外部電極との接合部には、カーケンダールボイド(Kirkendall Void)と呼ばれる空洞または空隙が生じることがある。これは、内部電極の突出し部分が成長するにともなって、接合部(言い換えれば内部電極と外部電極との界面)において外部電極の一部を突き上げるためであると考えられている。

0005

従来、積層チップ部品の製造分野においては、内部電極および外部電極の接触を形成する場合に、カーケンダール効果の影響を軽減するための技術として、例えば、特許文献1〜5に開示される手法が提案されている。

0006

特許文献1では、セラミック積層体において内部電極(Pdを含む)の端縁が露出する面上に、5〜60容量%の金属を含有するガラスペースト焼き付けガラス層を形成する手法が開示されている。この手法では、カーケンダール効果により内部電極の端縁からガラス層を貫通してガラス層の表面まで届くように、ガラスペースト中の金属を移動させて延長部を形成している。

0007

また、特許文献2では、セラミックス素体の表面にガラスペーストを塗布および焼成することでガラス層により被覆するとともに、内部電極(Agおよび/またはPdを含む)が露出する端部側面(端面)に下地電極(外部電極)を形成する手法が開示されている。この手法では、形成されるガラス層には、内部電極の露出部位自己整合的に開口が設けられる。この開口部位では、下地電極(外部電極)から内部電極に金属が供給されることで、カーケンダール効果(特許文献2では「カーケンドール効果」)により、内部電極の端部が下地電極(外部電極)に向かって突き出して太くなっている。

0008

また、特許文献3では、内部電極(少なくともPdを含む)が露出するセラミック素体の端部側面(端面)に外部電極を形成するための導電性ペーストとして、金属成分としてAgおよびPdを含み、ガラス成分として結晶化ガラスを含み、金属成分の割合と結晶化ガラスおよび空隙の割合を所定範囲に設定したものを用いる手法が開示されている。この手法では、導電性ペーストに結晶化ガラスを用いることでAgの拡散を抑制し、金属成分の割合と結晶化ガラスおよび空隙の割合を設定することで、導電性ペーストのAgが内部電極に拡散することを抑制している。

0009

また、特許文献4では、内部電極(少なくともPdを含む)が露出するセラミック素体の端部側面(端面)に外部電極を形成するための導電性ペーストとして、金属成分として少なくともAgを含み、かつ、ガラス成分として結晶化ガラスを含むものを用いるとともに、この導電性ペーストの焼付温度を、結晶化ガラスの軟化点およびAgの融点を基準として設定する手法が開示されている。この手法では、導電性ペーストに結晶化ガラスを用いるとともに、焼付温度を所定範囲内にすることで、導電性ペーストのAgが内部電極に拡散することを抑制している。

0010

また、特許文献5では、内部電極(少なくともPdを含む)が露出するセラミック素体の端部側面(端面)に外部電極を形成するための導電性ペーストとして、金属成分としてCuおよびAgを含み、ガラス成分として1種類以上の結晶化ガラスを含み、この結晶化ガラスとして、軟化点が焼付温度よりも高いものを50%以上含有するものを用いる手法が開示されている。この手法では、導電性ペーストに、軟化点が焼付温度よりも高い結晶化ガラスを主成分として用いることで、導電性ペーストのAgが内部電極に拡散することを抑制している。

先行技術

0011

特開平10−294239号公報
特開2010−080703号公報
特開2012−079862号公報
特開2012−079862号公報
特開2012−079862号公報

発明が解決しようとする課題

0012

しかしながら、特許文献1〜5に開示の手法は、いずれも基本的にカーケンダール効果を抑制するものではない。

0013

まず、特許文献1および2に開示の手法は、ガラス層を形成することでカーケンダール効果による内部電極の突出しを制御している。すなわち、これらの手法は、ガラス層を形成することによりカーケンダール効果を利用して、内部電極および外部電極の電気的接続を形成しているため、カーケンダール効果を抑制するものではない。また、これらの手法は、特別なガラスペーストを用いてガラス層を形成する工程が必須になるため、製造コストを抑制できず製造工程も増加する。

0014

また、特許文献3〜5に開示の手法では、導電性ペーストに結晶化ガラスを用いることで、焼付け温度焼成温度)が当該結晶化ガラスの軟化点を超えても、当該結晶化ガラスが導電性ペースト中において固体で存在することを利用して、金属の拡散を物理的に抑制している。すなわち、これらの手法は、固体の結晶化ガラスにより金属同士の接触を阻害することで、内部電極の突出しを物理的に抑制しているため、カーケンダール効果を抑制するものではない。また、特許文献3に開示の手法では、内部電極だけでなく外部電極にも高価なPdを用いるため、製造コストが増大する。

0015

本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、積層チップ部品の外部電極を形成する際に、カーケンダール効果を抑制して内部電極と良好な電気的接続を実現する導電性ペーストを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0016

本開示に係る外部電極形成用の導電性ペーストは、前記の課題を解決するために、セラミック製の本体内に設けられ、当該本体の側面の少なくとも一部にその端面が露出する内部電極に対して、電気的に接続する外部電極を形成するために用いられ、(A)金属粉末としての(A−1)銀粉末および(A−2)金属シリコン粉末と、(B)ガラスフリットと、(C)有機ビヒクルとを含有し、前記(A−1)銀粉末と前記(A−2)金属シリコン粉末との含有量重量比が、99:1〜85:15の範囲内であり、前記(A)金属粉末の総量と(B)ガラスフリットとの含有量の容量比が、75:25〜95:5の範囲内であり、前記(B)ガラスフリットは、その軟化点が450℃〜700℃の範囲内である構成である。

0017

前記構成によれば、導電性ペーストには、(A)金属粉末として、(A−1)銀粉末だけでなく(A−2)金属シリコン粉末が含有されており、これら(A)金属粉末の含有量の重量比が所定範囲内に設定されるとともに、(A)金属粉末および(B)ガラスフリットの含有量の容量費が所定範囲内に設定されている。また、(B)ガラスフリットとして、その軟化点が焼成温度よりも50℃程度低いものを用いている。

0018

これにより、導電性ペーストを焼成して外部電極を形成する際に、カーケンダール効果を有効に抑制することができるので、外部電極および内部電極との接触面(接合部)に突出しが生じることを抑制することができるとともに、接合部に空隙が生じることも抑制することができる。さらに、外部電極そのものの品質を良好なものとすることができる。その結果、カーケンダール効果を抑制して内部電極と良好な電気的接続を実現する外部電極を得ることができる。

0019

前記構成の導電性ペーストにおいては、(B)ガラスフリットは、その比重が2.5g/cm3 〜6.2g/cm3 の範囲内であればよい。

0020

また、本開示に係る積層チップ部品は、パラジウムを含有する内部電極と、前記構成の導電性ペーストにより形成された外部電極と、を備える構成であればよい。

0021

前記構成の積層チップ部品としては、積層セラミックコンデンサ、積層チップバリスタ、積層チップサーミスタ、または積層圧電素子を挙げることができる。

発明の効果

0022

本発明では、以上の構成により、積層チップ部品の外部電極を形成する際に、カーケンダール効果を抑制して内部電極と良好な電気的接続を実現する導電性ペーストを提供することができる、という効果を奏する。

図面の簡単な説明

0023

本開示に係る積層チップ部品の代表例である積層セラミック素子の構成の一例を示す模式的断面図である。
(A)は、従来の積層チップ部品(従来の積層セラミック素子)の構成の一例を示す模式的断面図であり、(B)は、(A)に示す積層チップ部品の側面部位の一例を示す模式的部分断面図であり、(C)は、本開示に係る積層チップ部品における側面部位の一例を示す模式的部分断面図である。

0024

本開示に係る導電性ペーストは、複数のセラミック層と複数の内部電極とを交互に積層して形成されるセラミック積層体の側面に設けられ、当該側面に露出する内部電極の端面に電気的に接続する外部電極、すなわち積層チップ部品の外部電極を形成するために用いられる。この導電性ペーストは、(A)金属粉末(または(A)無機粉末)としての(A−1)銀粉末および(A−2)金属シリコン粉末と、(B)ガラスフリットと、(C)有機ビヒクルとを含有する。(A−1)銀粉末と(A−2)金属シリコン粉末との含有量の重量比は、99:1〜85:15の範囲内であり、(A)金属粉末の総量と(B)ガラスフリットとの含有量の容量比が、75:25〜95:5の範囲内であり、好ましくは、(B)ガラスフリットは、その軟化点が450℃〜700℃の範囲内である。以下、本発明の代表的な実施の形態を説明する。

0025

[(A−1)銀粉末]
本開示に係る導電性ペーストに用いられる(A−1)銀粉末の具体的な構成は特に限定されず、公知の導電性ペーストに用いられる一般的な銀粉末(または銀粒子等)を好適に用いることができる。本開示に係る導電性ペーストは、前記の通り、積層チップ部品の外部電極の形成に用いられるが、積層チップ部品の具体的な構成あるいは外部電極の具体的な構成等に応じて、好適な構成の銀粉末を適宜選択することができる。

0026

(A−1)銀粉末の代表的な構成としては、例えば、平均粒径が0.3μm〜20μmの範囲内、好ましくは0.5μm〜10μmの範囲内のものを用いることができる。(A−1)銀粉末の平均粒径が0.3μm未満であれば、導電性ペーストの組成にもよるが、ペースト化したときの粘度が高くなる傾向にあり、チクソ性も高くなる傾向にある。導電性ペーストの粘度およびチクソ性の少なくとも一方が相対的に高くなると、導電性ペーストの使用時のハンドリング性に影響を及ぼすおそれがある。

0027

また、(A−1)銀粉末の平均粒径が20μmを超えると、導電性ペーストの組成、積層チップ部品の具体的な構成、積層チップ部品の製造条件等にもよるが、外部電極を形成するための焼成時に(A−1)銀粉末の焼結不足が生じる可能性がある。焼結不足が生じると、得られる外部電極の密度が低くなるのみならず電極表面が粗くなってボイドの発生が多くなる。これにより、外部電極にメッキを施した場合に不具合が生じるおそれがある。

0028

なお、(A−1)銀粉末の平均粒径が0.5μm〜10μmの範囲内であれば、諸条件にもよるが、導電性ペーストのハンドリング性をより良好なものにできるとともに、焼成時に良好な焼結を実現して好適な外部電極を形成できる傾向にある。また、(A−1)銀粉末の平均粒径の測定方法は特に限定されないが、本開示においては、マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置、商品名:9320−HRA X−100)を用いて、平均粒径D50を測定して評価している。

0029

(A−1)銀粉末においては、前記の平均粒径に加えてBET比表面積が所定範囲内であることが好ましい。具体的には、例えば、(A−1)銀粉末のBET比表面積は、0.1〜2m2 /gの範囲内であればよいが、0.3〜1m2 /gの範囲内であればより好ましい。(A−1)銀粉末のBET比表面積が0.1m2 /gより小さければ、諸条件にもよるが、(A−1)銀粉末の接触面積が小さくなるため、(A−1)銀粉末同士もしくは内部電極との接触確率が低下することから、電極同士の接合が悪化し、電気特性に影響を及ぼす可能性がある。

0030

一方、(A−1)銀粉末のBET比表面積が2m2 /gを超えれば、(A−1)銀粉末同士の接触面積は大きくなるが、ペースト粘度が高くなる傾向にあり、ハンドリング性に影響を及ぼすおそれがある。なお、BET比表面積の測定方法は特に限定されないが、本開示においては、モノソーブ(カウンタクローム(Quanta Chrome)社製)を用いて窒素吸着によるBET1点法で測定して評価している。

0031

[(A−2)金属シリコン粉末]
本開示に係る導電性ペーストに用いられる(A−2)金属シリコン粉末の具体的な構成は特に限定されないが、その純度は90%以上であることが好ましい。また、(A−2)金属シリコン粉末の平均粒径も特に限定されないが、(A−1)銀粉末と同様に、0.3μm〜20μmの範囲内であればよく、好ましくは0.5μm〜10μmの範囲内のものを用いることができる。

0032

(A−2)金属シリコン粉末の平均粒径が0.3μm未満であれば、(A−1)銀粉末の場合と同様に、導電性ペーストの組成にもよるが、ペースト化したときの粘度が高くなる傾向にあり、チクソ性も高くなる傾向にある。導電性ペーストの粘度およびチクソ性の少なくとも一方が相対的に高くなると、導電性ペーストの使用時のハンドリング性に影響を及ぼすおそれがある。

0033

一方、(A−2)金属シリコン粉末の平均粒径が20μmを超えると、(A−1)銀粉末の平均粒径、導電性ペーストの組成、積層チップ部品の製造条件等にもよるが、外部電極を形成するための焼成時に(A−1)銀粉末と(A−2)金属シリコン粉末との合金化が進まない可能性がある。合金化が進まない場合、導電性ペーストの焼成時にカーケンダール効果を有効に抑制することができず、内部電極の外部電極への突出しが生じたり、外部電極と内部電極との接合部における空隙が生じたりする可能性がある。

0034

(A−2)金属シリコン粉末は、銀(Ag)およびパラジウム(Pd)の相互の拡散が開始する温度以下で銀と合金化する。これにより、パラジウム(Pd)と銀(Ag)との相互拡散が開始する温度以下で金属シリコン(Si)と銀(Ag)とが合金化するため、銀の拡散を有効に阻害し、カーケンダール効果を良好に抑制することができる。また、パラジウム(Pd)のような高価な金属ではなく安価な金属シリコン(Ag)を用いているので、導電性ペーストのコスト増大も有効に抑制することができる。

0035

[(B)ガラスフリット]
本開示に係る導電性ペーストに用いられる(B)ガラスフリットの具体的な構成は特に限定されず、焼成型の導電性ペーストの分野で公知のガラスフリットを好適に用いることができる。本開示に係る導電性ペーストは、前記の通り、積層チップ部品の外部電極の形成に用いられるが、積層チップ部品の具体的な構成あるいは外部電極の具体的な構成等に応じて、好適な構成のガラスフリットを適宜選択することができる。

0036

(B)ガラスフリットの代表的な構成としては、例えば、軟化点が450℃〜700℃の範囲内のものが挙げられる。本開示においては、外部電極を形成するための導電性ペーストの焼成温度(ピーク温度)としては、好ましくは500℃〜750℃の範囲内が挙げられるが、本開示においては(B)ガラスフリットは、この焼成温度よりも50℃程度低い温度で軟化するものであることが好ましい。

0037

(B)ガラスフリットの軟化点が700℃を超えると、(B)ガラスフリットの軟化点が高温過ぎるため、(A)金属粉末((A−1)銀粉末および(A−2)金属シリコン粉末)の焼結が先に進んだ後から(B)ガラスフリットが軟化することになる。これにより(B)ガラスフリットが導体内(外部電極内)に滞留し、積層チップ部品と外部電極との界面に移行しない。そのため、積層チップ部品の端部側面と外部電極との間で良好な密着性を実現できないおそれがあり、また、外部電極の表面にはガラスの滲み出しが生じたりメッキの付着不良が生じたりするおそれがある(後述の比較例6)。

0038

(B)ガラスフリットの軟化点が450℃未満であると、(B)ガラスフリットがすぐに軟化して低粘度で流動する可能性がある。これにより、(A)金属粉末((A−1)銀粉末および(A−2)金属シリコン粉末)の焼結する前に低粘度の(B)ガラスフリットの流動が生じることになり、(A−1)銀粉末および(A−2)金属シリコン粉末の合金化を妨げるおそれがある。その結果、カーケンダール効果を有効に抑制できない可能性がある(後述する比較例5)。

0039

また、一般的に、低軟化点のガラスフリットは耐酸性が低いことが知られている。それゆえ、低軟化点のガラスフリットを含有する外部電極においては、外部電極にメッキする際に、酸性メッキ液にガラスフリットが浸食され、積層チップ部品の端部側面と外部電極との間で良好な密着性を実現できない場合がある。その結果、積層チップ部品の端部側面と外部電極との間で良好な密着性を実現できなかったり、外部電極の表面にはガラスの滲み出しまたはメッキの付着不良が生じたりするおそれがある(後述の比較例6)。

0040

(B)ガラスフリットにおいては、軟化点以外の特性は特に限定されないが、その比重が所定範囲内にあるものを用いてもよい。具体的には、例えば、(B)ガラスフリットの比重は2.5g/cm3 〜6.2g/cm3 の範囲内であればよい。比重がこの範囲内であれば、積層チップ部品の端部側面と外部電極との間でより良好な密着性を実現することができる。なお、他の特性、例えば、(B)ガラスフリットの粉体形状は特に限定されず、球状粉末であってもよいし、各粒子の形状が揃っていない不定形状の粉末であってもよい。また、(B)ガラスフリットの平均粒径も特に限定されず、導電性ペーストの分野で公知の範囲の平均粒径であればよい。

0041

(B)ガラスフリットの具体的な種類は特に限定されないが、例えば、BiO3−B2O3−SiO2系ガラス、ZnO−B2O3−SiO2系ガラス、R2O−B2O3−SiO2(ただしRはアルカリ金属)等のホウケイ酸ガラス;Bi2O3−B2O3−SiC2系ガラス等のホウ素−炭化ケイ素系ガラス;等からなるものを好ましく用いることができる。これら(B)ガラスフリットは、1種類のみが用いられてもよいし、2種類以上が適宜組み合わせられて用いられてもよい。

0042

[(C)有機ビヒクル]
本発明に係る抵抗体ペースト組成物では、(A−1)銀粉末、(A−2)金属シリコン粉末、および(B)ガラスフリットに加えて、(C)有機ビヒクルが配合されている。

0043

(C)有機ビヒクルに用いられる有機バインダは、導電性ペーストの分野で公知の樹脂を好適に用いることができる。具体的な有機バインダとしては、例えば、メチルセルロースエチルセルロースヒドロキシエチルセルロース硝酸セルロース等のセルロース誘導体アクリル樹脂メタクリル樹脂アクリル酸エステル重合体メタクリル酸エステル重合体等のアクリル系樹脂ポリビニルブチラール樹脂等のビニルアセタール系樹脂;等が挙げられるが、特に限定されない。これら有機バインダは1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせてもよい。

0044

また、(C)有機ビヒクルに用いられる溶剤は、本開示に係る導電性ペーストの各種物性を妨げない範囲で、例えば、粘度または流動性等の物性を調整するために用いることができる。溶剤の具体的な種類は特に限定されないが、例えば、メチルエチルケトンメチルイソブチルケトンシクロヘキサノン等のケトン類テルピネオールジエチレングリコールモノエチルエーテルジエチレングリコールモノブチルエーテル等のアルコールもしくはグリコールエーテル類とその酢酸エステル類酢酸ブチル酢酸アミルγ-ブチロラクトン等のエステル系溶剤キシレンラウリルベンゼン等の芳香族系溶剤;これら溶剤は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。

0045

(C)有機ビヒクルは、前述した有機バインダに前述した溶剤を混合したものであればよい。また、有機バインダと溶剤との混合比率も特に限定されない。

0046

[導電性ペースト]
本開示に係る導電性ペーストの製造方法は特に限定されず、導電性ペーストの分野で公知の方法を好適に用いることができる。代表的な一例としては、前述した各成分を所定の配合割合で配合し、公知の混練装置を用いてペースト化する方法が挙げられる。混練装置としては、例えば、公知の3本ロールミル等を挙げることができるが特に限定されない。また、混練の前に各成分を予備混合してもよい。予備混合装置としては、例えば、公知の遊星式攪拌機を挙げることができるが、特に限定されない。

0047

また、本開示に係る導電性ペーストにおいては、前述した(A)金属粉末((A−1)銀粉末および(A−2)金属シリコン粉末)、(B)ガラスフリット、並びに(C)有機ビヒクルの各成分を含んでいればよいが、さらに、導電性ペーストの分野において公知である(D)その他の成分を含んでいてもよい。具体的な(D)その他の成分としては、例えば、分散剤、安定剤、酸化防止剤紫外線吸収剤消泡剤粘度調整剤等を挙げることができる。

0048

(A)金属粉末である(A−1)銀粉末および(A−2)金属シリコン粉末、(B)ガラスフリット、および(C)有機ビヒクル、必要に応じて(D)その他の成分の配合量、すなわち、本開示に係る導電性ペーストにおける(A)〜(D)成分の含有量(含有率)は特に限定されないが、(A)金属粉末の含有量については、(A−1)銀粉末と(A−2)金属シリコン粉末との含有量の重量比が、(A−1):(A−2)=99:1〜85:15の範囲内であればよい。なお、説明の便宜上、(A−1)銀粉末と(A−2)金属シリコン粉末との含有量の重量比を「含有量条件1」とする。

0049

含有量条件1が前記の範囲から外れると、後述する実施例に示すように、得られる外部電極の積層チップ部品に対する密着性が低下するおそれがある。また、(A)金属粉末のうち(A−1)銀粉末の含有量が多すぎると、カーケンダール効果が有効に抑制されず、内部電極の突出しまたは接合部の空隙が発生するおそれがある。また、(A)金属粉末のうち(A−2)金属シリコン粉末の含有量が多すぎると、外部電極の表面にガラスの滲み出しまたはメッキの付着不良が発生するおそれがある。

0050

また、本開示に係る導電性ペーストにおいては、前記の含有量条件1に加えて、(A)金属粉末の総量すなわち(A−1)銀粉末および(A−2)金属シリコン粉末の合計量と(B)ガラスフリットとの含有量の容量比が、(A):(B)=75:25〜95:5の範囲内である条件を満たしている。説明の便宜上、(A)金属粉末の総量と(B)ガラスフリットとの含有量の容量比を「含有量条件2」とする。

0051

ここで、含有量条件2における容量比について説明すると、各粉末の配合重量をその比重で除算することにより各粉末の容量(便宜上、配合容量とする)を算出し、各粉末の配合容量の比率を、含有量条件2の容量比としている。具体的には、(A−1)銀粉末であれば、銀の比重(文献値)は10.5g/cm3 であるので、本開示に係る導電性ペーストに配合(含有)される(A−1)銀粉末の重量を例えばWA-1 gとすれば、当該(A−1)銀粉末の配合容量VA-1 は、VA-1 [cm3 ]=WA-1 [g]÷10.5[g/cm3 ]として算出される。

0052

同様に、(A−2)金属シリコン粉末であれば、金属シリコンの比重(文献値)は2.33g/cm3 であるので、本開示に係る導電性ペーストに配合(含有)される(A−2)金属シリコン粉末の重量を例えばWA-2 gとすれば、(A−2)金属シリコン粉末の配合容量VA-2 は、VA-2 [cm3 ]=WA-2 [g]÷2.33[g/cm3 ]として算出される。なお、銀および金属シリコンの比重は、「化学大辞典」(共立出版株式会社、昭和59年第28刷)に記載される文献値である。

0053

(B)ガラスフリットについては、当該(B)ガラスフリットとして用いられるガラスの種類に応じて比重が異なるので、まず、(B)ガラスフリットの真比重を測定する。本実施の形態では、真比重は、約5gのガラスフリットを軟化点以上で溶融し、得られたガラス塊からアルキメデス法にて測定する。測定されたガラスフリットの真比重を例えばSB g/cm3 とし、本開示に係る導電性ペーストに配合(含有)される(B)ガラスフリットの重量を例えばWB gとすれば、(B)ガラスフリットの金属シリコン粉末の配合容量VB は、VB [cm3 ]=WB [g]÷SB [g/mm3 ]として算出される。

0054

したがって、前述した例では、(A)金属粉末の総量((A−1)銀粉末および(A−2)金属シリコン粉末の合計量)と(B)ガラスフリットとの含有量の容量比は、(A):(B)=VA-1 +VA-2 :VB となる。

0055

含有量条件2が前記の範囲から外れると、後述する実施例に示すように、カーケンダール効果を抑制することは可能であっても、外部電極の品質が低下する傾向にある。(A)金属粉末の総量(体積)が多すぎると、外部電極の表面にガラスの滲み出しまたはメッキの付着不良が発生するおそれがある。また、(B)ガラスフリットの含有量(体積)が多すぎると、外部電極の積層チップ部品に対する密着性が低下するおそれがある。

0056

なお、(C)有機ビヒクルの配合量は特に限定されない。一般的には、例えば、導電性ペースト全体に対して0.05〜30重量%の範囲内を挙げることができる。この範囲内であれば、得られる導電性ペーストのハンドリング性を良好なものとすることができる。導電性ペーストを構成する(A)金属粉末および/または(B)ガラスフリットの具体的な種類、あるいは、(C)有機ビヒクルそのものの種類等に応じて、前記の範囲から外れた配合量で(C)有機ビヒクルを配合することができる。また、(D)その他の成分の配合量は特に限定されず、導電性ペーストおよび外部電極の物性および機能、(A)〜(C)の各成分による作用効果を妨げない範囲で配合すればよい。

0057

[積層チップ部品]
本開示に係る積層チップ部品(あるいは積層電子部品)は、前述した本開示に係る導電性ペーストを用いて形成される外部電極と、この外部電極に電気的に接続され、パラジウム(Pd)を含有する内部電極と、この内部電極が設けられるセラミック製の本体と、を備えるものであればよい。

0058

セラミック製の本体および内部電極の具体的な構成は特に限定されない。セラミック製の本体は、積層チップ部品の分野で公知のセラミック材料で構成された公知の形状または構造を有していればよい。また、内部電極は、セラミック製の本体内に設けられ、パラジウムを含有しており、その端面がセラミック材料の側面の少なくとも一部に露出していればよい。それゆえ、内部電極が本体の側面に露出している状態は特に限定されない。

0059

本開示に係る導電性ペーストは、このような構成のセラミック製の本体の側面に外部電極を形成する用途に好適に用いることができる。前記の通り、一般的に銀を含有する導電性ペーストで外部電極を形成した場合には、導電性ペーストの焼成時に、銀とパラジウムとの相互拡散に起因して、前記の通り外部電極の表面に「突出し」と呼ばれる現象が生じる(カーケンダール効果)とともに、外部電極内が空疎化する。これに対して、本開示に係る導電性ペーストは、前記の通りカーケンダール効果を有効に抑制することができるので、外部電極において突出しおよび/または空疎化の発生を有効に抑制することができる。

0060

代表的な積層チップ部品としては、例えば、図1に模式的に示すような構成の積層セラミック素子10を挙げることができる。この積層セラミック素子10は、セラミック素体11(セラミック積層体)および外部電極12を備えている。セラミック素体11は、複数のセラミック層21と複数の内部電極22とを有しており、これらセラミック層21と内部電極22とが交互に積層された積層構造を有している。セラミック層21は公知のセラミックで構成され、内部電極22はパラジウムを含有する。

0061

セラミック素体11の両側面には、内部電極22の端面が露出している。また、外部電極12は、このセラミック素体11の両側面と、それぞれの側面面近傍の表面の一部を覆うように設けられている。外部電極12は、銀を含有しており、内部電極22と電気的に接続されている。また、図1に示す構成では、外部電極12の表面には、公知の金属(例えばニッケル(Ni)、スズ(Sn)等)のメッキ層23が形成されている。このメッキ層23は外部電極12の端子として機能する。

0062

このような積層セラミック素子10の製造方法は特に限定されない。一般的には、複数層セラミックグリーンシートの間に内部電極22となる導電性ペースト層を介在するように積層し、得られる積層体を加熱圧着する等してから所定形状に加工して焼成することにより、セラミック素体11を製造することができる。このセラミック素体11の両側面に本開示に係る導電性ペーストを塗布して焼成することにより外部電極12を形成し、その後にメッキ層23を形成すればよい。なお、メッキ層23の形成方法は特に限定されず公知の方法を用いることができる。例えば後述する実施例ではバレルメッキ法を用いてメッキ層23を形成している。

0063

本開示に係る積層チップ部品が配線基板実装されたり他の電気素子に電気的に接続されたりする場合には、外部電極の表面に形成されたメッキすなわち外部電極端子と、配線基板または電気素子の電極端子とをはんだ等により電気的に接合する。したがって、外部電極においては、内部電極に対する内部的な電気的接続だけでなく、配線基板または他の電気素子等との外部的な電気的接続も良好なものとなっている必要がある。

0064

外部電極においては、カーケンダール効果による内部電極の突出しまたは接合部の空隙が、内部的な接続に影響を及ぼす。一方、外部電極そのものの空疎化、ガラス成分((B)ガラスフリットに由来)の滲み出し、あるいは、外部電極表面へのメッキ(端子)の付着不良が、外部的な接続に影響を及ぼす。本開示に係る導電性ペーストは、カーケンダール効果を抑制できるとともに、外部電極の空疎化を抑制し、ガラス成分の滲み出しまたはメッキの付着不良を有効に抑制することができる。その結果、外部電極を従来よりも一層良好なものとすることができるので、当該外部電極を備える積層チップ部品も良好なものとすることができる。

0065

この点について具体的に説明する。例えば、図2(A)に模式的に示すように、従来の積層セラミック素子100は、図1に示す本開示に係る積層セラミック素子10と基本的に同様の構成である(ただし、図2(A)に示す構成では、メッキ層23は形成されていない)。この従来の積層セラミック素子100は、前述した構成のセラミック素体11の側面に従来の導電性ペーストを塗布して焼成し、従来の外部電極112を形成する。図2(A)において破線で囲んだ領域S0は、従来の積層セラミック素子100において、セラミック素体11の側面に従来の外部電極112が形成された部位である。

0066

図2(B)は、図2(A)における領域S0の模式的部分断面図である。図2(B)に示すように、セラミック素体11の側面には、内部電極22の端縁が露出しているが、従来の導電性ペーストで従来の外部電極112を形成すると、従来の導電性ペーストの焼成時には、カーケンダール効果により、内部電極22から外部電極112に突出するように成長し、突出し22aが形成される。

0067

従来の導電性ペーストの焼成に伴い、突出し22aが外部電極112に向かって成長すると、内部電極22と外部電極112との接触面(または界面、あるいは内部電極22と外部電極112との接合部)において、外部電極112の一部が突き上げられる。その結果、例えば、図2(B)に模式的に示すように、突出し22aの周囲に空洞d0(または空隙)が生じてしまう。このような空洞d0が生じれば、外部電極112が空疎化することになる。

0068

これに対して、本開示に係る積層セラミック素子10では、図2(C)に模式的に示すように、内部電極22の端縁22bには突出し22aが生じることが実質的に回避または抑制される。そのため、外部電極12に空洞d0等が生じることが有効に抑制される。これは、前述したように、外部電極12に用いられる本開示に係る導電性ペーストが、(A−1)銀粉末と(A−2)金属シリコン粉末との含有量の重量比が、(A−1):(A−2)=99:1〜85:15の範囲内であるという含有量条件1と、(A)金属粉末の総量((A−1)銀粉末および(A−2)金属シリコン粉末の合計量)と(B)ガラスフリットとの含有量の容量比が、(A):(B)=75:25〜95:5の範囲内であるという含有量条件2とを満たしているためである。また、本開示に係る導電性ペーストにおいては、(B)ガラスフリットの比重が2.5g/cm3 〜6.2g/cm3 の範囲内であれば、カーケンダール効果をより一層有効に抑制することも可能になる。

0069

本開示に係る積層チップ部品の具体的な種類等については特に限定されない。代表的な積層チップ部品としては、積層セラミックコンデンサ、積層チップバリスタ、積層チップサーミスタ、または積層圧電素子等を挙げることができる。また、内部電極は、セラミック積層体等のようなセラミック製の本体内に少なくとも1つ設けられればよい。また、内部電極の端面は、セラミック製の本体の側面の少なくとも一部において露出していればよく、外部電極は、この露出した内部電極の端面に電気的に接続できればよい。

0070

このように、本開示に係る導電性ペーストには、(A)金属粉末として、(A−1)銀粉末だけでなく(A−2)金属シリコン粉末が含有されており、これら(A)金属粉末の含有量の重量比が所定範囲内に設定されるとともに、(A)金属粉末および(B)ガラスフリットの含有量の容量費が所定範囲内に設定されている。また、(B)ガラスフリットとして、その軟化点が焼成温度よりも50℃程度低いものを用いている。

0071

これにより、導電性ペーストを焼成して外部電極を形成する際に、カーケンダール効果を有効に抑制することができるので、外部電極および内部電極との接触面(接合部)に突出しが生じることを抑制することができるとともに、接合部に空隙が生じることも抑制することができる。さらに、外部電極そのものの品質を良好なものとすることができる。その結果、カーケンダール効果を抑制して内部電極と良好な電気的接続を実現する外部電極を得ることができる。

0072

本発明について、実施例および比較例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、以下の実施例における各種合成反応や物性等の測定・評価は次に示すようにして行った。

0073

評価方法
[外部電極と内部電極との接合部における空隙評価]
実施例または比較例で得られた外部電極付積層チップ部品を包埋用樹脂(ビューラー(BUEHLER)社製、製品名:EPOXI CURE(登録商標)で包埋し、グラインダーポリッシャーにて削り出すことにより研磨した。この研磨により得られた断面の形状を、走査型電子顕微鏡(SEM日本電子株式会社製、製品名:JSM−6510A)にて観察した。外部電極と内部電極との接合部に空隙があれば「×」、空隙がなければ「○」として評価した。

0074

[内部電極の外部電極への突出し評価]
実施例または比較例で得られた外部電極付積層チップ部品を、前記空隙評価と同様に包埋用樹脂で包埋して研磨し、この研磨により得られた断面の形状を、前記空隙評価と同様にSEMにて観察した。外部電極と内部電極との接合部に、内部電極の突出しがあれば「×」、突出しがなければ「○」として評価した。

0075

[ガラスの滲み出しまたはメッキの付着不良]
実施例または比較例で得られた外部電極付積層チップ部品の表面をSEMで観察した。ガラスの滲み出しまたはメッキの付着不良があれば「×」、なければ「○」として評価した。

0076

[外部電極の素子への密着性]
実施例または比較例で得られた外部電極付積層チップ部品をJIS C5101にしたがって、銅張りプリント基板上に半田付け実装し、引張り圧縮試験機(株式会社今田製作所製、製品名:SH−14ND−20RE)にて側面より5N加圧した。端子電極剥離または剥離の徴候がなければ「○」、剥離、破壊等の不具合が発生すれば「×」として評価した。

0077

((A)金属粉末、(B)ガラスフリット、および(C)有機ビヒクル)
実施例または比較例では、(A)金属粉末である(A−1)銀粉末および(A−2)金属シリコン粉末としては、次の表1に示す符号A11〜A12およびA21〜A23を用いた。また、(B)ガラスフリットとしては、次の表2に示す符号B1〜B6に示すものを用いた。また、(C)有機ビヒクルとしては、実施例および比較例のいずれも、エチルセルロース樹脂ダウケミカル社製、製品名:エトセルSTD100)をテルピネオール/ジエチレングリコールモノブチルエーテル/ジエチレングリコールモノブチルエーテル=5/3/2の混合溶媒に溶解したものを用いた。なお、エチルセルロース樹脂と上記の混合溶媒との混合比は92:8とした。

0078

0079

0080

(実施例1)
外部電極が形成される前の積層セラミックコンデンサ(MLCC,Multi-Layer Ceramic Capacitor)素子として、1608サイズ(1.6mm×0.8mm)、静電容量1nF、内部電極がPd製の素子を用いた。

0081

(A)金属粉末である(A−1)銀粉末および(A−2)金属シリコン粉末、(B)ガラスフリット、並びに(C)有機ビヒクルを表3に示す組成(表1および表2参照)で配合し、遊星式攪拌機で予備混合した後、3本ロールミルで混練かつ分散させて、実施例1に係る導電性ペーストを調製(製造)した。

0082

ここで、本実施例1では、表3に示すように(A−1)銀粉末の配合量は70.2重量部であり、(A−2)金属シリコン粉末の配合量は0.709重量部である。また、(B)ガラスフリットとしては、表2に示すガラスフリットB2を9.09重量部の配合量で用いている。前記の通り、銀の比重(文献値)が10.5g/cm3 であり、金属シリコンの比重(文献値)が2.33g/cm3 であり、ガラスフリットB2の比重(真比重、測定値)は5.2g/cm3 (表2参照)である。

0083

それゆえ、本実施例1に係る導電性ペーストの容量比(A):(B)は、(70.2÷10.5)+(0.709÷2.33):(9.09÷5.2)=6.99:1.75=80.0:20.0(表3参照)となる。なお、実施例2〜11および比較例1〜6における容量比(A):(B)の算出の詳細については省略する。

0084

得られた導電性ペーストを、ディップコーターにより前記MLCC素子の両端部側面(Pd製の内部電極の端面が露出している面)にディップコートし、150℃10分間乾燥した後に、Box炉にて加熱焼成した。加熱焼成条件は、昇温:20℃/分、ピーク温度:700℃(表3参照)、降温:自然冷却とした。これにより、MLCC素子の両端部側面に外部電極を形成した。

0085

このようにして得られた外部電極付MLCC素子に対して、バレルメッキ試験機(株式会社山本鍍金試験機製、商品名:ミニバレル1−B型)を用いて電界ニッケルメッキを施すことにより、外部電極に対してメッキ層を形成した。なお、メッキ層を形成する条件は、高pH、Watt浴中において、陽極としてニッケル陽極板(住友金属鉱山株式会社製)を用いるとともに陰極としてクロムメッキした2mmφボールを用い、陰極表面積当たり3A/dm2 の電流を30分間流す条件とした。これにより、実施例1に係る外部電極付積層チップ部品を得た。

0086

得られた外部電極付積層チップ部品について、前述した通り、外部電極と内部電極との接合部における空隙、内部電極の外部電極への突出し、ガラスの滲み出しまたはメッキの付着不良、並びに、外部電極の素子への密着性について評価した。その結果を表3に示す。

0087

(実施例2〜4)
表3に示すように、(A−1)銀粉末および(A−2)金属シリコン粉末の含有量の重量比を変化させるとともに、(A)金属粉末および(B)ガラスフリットの容量比を80:20とするように調整した以外は、実施例1と同様にして実施例2〜4に係る導電性ペーストを調製するとともに、実施例2〜4に係る外部電極付積層チップ部品を得た。

0088

得られた外部電極付積層チップ部品について、前述した通り、外部電極と内部電極との接合部における空隙、内部電極の外部電極への突出し、ガラスの滲み出しまたはメッキの付着不良、並びに、外部電極の素子への密着性について評価した。その結果を表3に示す。

0089

(実施例5〜8)
表3または表4に示すように、(A−1)銀粉末および(A−2)金属シリコン粉末の種類を変更して(表1参照)含有量の重量比を変化させるとともに、(B)ガラスフリットの種類を変更して(表2参照)(A)金属粉末および(B)ガラスフリットの容量比を変化させた以外は、実施例1と同様にして実施例5〜8に係る導電性ペーストを調製するとともに、実施例5〜8に係る外部電極付積層チップ部品を得た。

0090

得られた外部電極付積層チップ部品について、前述した通り、外部電極と内部電極との接合部における空隙、内部電極の外部電極への突出し、ガラスの滲み出しまたはメッキの付着不良、並びに、外部電極の素子への密着性について評価した。その結果を表3または表4に示す。

0091

0092

(実施例9〜11)
表4に示すように、(A−1)銀粉末および(A−2)金属シリコン粉末の種類を変更して(表1参照)含有量の重量比を90:10に調整するとともに、さらに、(B)ガラスフリットの種類を変更して(表2参照)(A)金属粉末および(B)ガラスフリットの容量比を変化させた以外は、実施例1と同様にして実施例9〜11に係る導電性ペーストを調製するとともに、実施例9〜11に係る外部電極付積層チップ部品を得た。

0093

得られた外部電極付積層チップ部品について、前述した通り、外部電極と内部電極との接合部における空隙、内部電極の外部電極への突出し、ガラスの滲み出しまたはメッキの付着不良、並びに、外部電極の素子への密着性について評価した。その結果を表4に示す。

0094

0095

(比較例1〜6)
表5に示すように、(A−1)銀粉末および(A−2)金属シリコン粉末の含有量の重量比を99:1〜85:15の範囲外に調整するか(比較例1、比較例2)、(A)金属粉末および(B)ガラスフリットの容量比を75:25〜95:5の範囲外に調整するか(比較例3、比較例4)、あるいは、(B)ガラスフリットとして、軟化点が450℃〜700℃の範囲外のものを用いた(比較例5、比較例6)以外は、実施例1と同様にして比較例1〜6に係る導電性ペーストを調製するとともに、比較例1〜6に係る外部電極付積層チップ部品を得た。

0096

得られた外部電極付積層チップ部品について、前述した通り、外部電極と内部電極との接合部における空隙、内部電極の外部電極への突出し、ガラスの滲み出しまたはメッキの付着不良、並びに、外部電極の素子への密着性について評価した。その結果を表5に示す。

0097

0098

(実施例および比較例の対比)
実施例1〜11の結果から明らかなように、本開示に係る導電性ペーストは、(A)金属粉末である(A−1)銀粉末および(A−2)金属シリコン粉末と、(B)ガラスフリットと、(C)有機ビヒクルとを含有し、特に(A)金属粉末および(B)ガラスフリットにおいて前述した含有量条件1および含有量条件2を満たしていれば、カーケンダール効果を有効に抑制して良好な外部電極を形成することができる。

0099

一方、比較例1〜6の結果から明らかなように、導電性ペーストにおいては含有量条件1または含有量条件2を満たさない場合には、カーケンダール効果を有効に抑制できないか、外部電極の品質が低下する。また、含有量条件1および含有量条件2を満たしていても、(B)ガラスフリットの軟化点が所定の範囲から外れれば、カーケンダール効果を有効に抑制できない、外部電極の素子との密着性が不十分である、または外部電極表面へのガラスの滲み出しによるメッキの濡れが悪化する等の不具合が発生した。

実施例

0100

なお、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。

0101

本発明は、外部電極を備える積層チップ部品の分野に広く好適に用いることができる。

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