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技術 光学フィルタおよび撮像装置

出願人 AGC株式会社
発明者 西本奈々子塩野和彦保高弘樹
出願日 2017年10月20日 (2年1ヶ月経過) 出願番号 2017-204016
公開日 2019年5月23日 (6ヶ月経過) 公開番号 2019-078816
状態 未査定
技術分野 カメラの遮光 染料
主要キーワード 遮光域 透過率損失 合計積層数 近赤外線カットフィルタ 近赤外線吸収ガラス タングステン酸セシウム 分光曲線 スクアリリウム骨格
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (3)

課題

近赤外光遮光性に優れ、高い角度で入射した光に対する入射角依存性を抑制できる、特には、高入射角での800〜900nmの波長域光漏れを低減できるとともに、可視光透過率が高く、耐光性にも優れる光学フィルタ、および該光学フィルタを用いた色再現性に優れる撮像装置の提供。

解決手段

ジクロロメタン中のモル吸光係数が150000[L/(mol・cm)]以上であり、最大吸収波長λmax−DCM(X)が800〜870nm、λmax−DCM(X)における透過率が10%となる濃度で測定される分光透過率曲線において、550〜650nmの平均透過率が90%以上、830〜900nmの平均透過率が65%以下であるスクアリリウム色素(X)と透明樹脂を含有する吸収層と、誘電体多層膜からなる反射層とを有する光学フィルタ。

概要

背景

固体撮像素子を用いた撮像装置には、色調を良好に再現し鮮明な画像を得るため、可視域の光(以下「可視光」ともいう)を透過し近赤外域の光(以下「近赤外光」ともいう)を遮断する光学フィルタが用いられる。該光学フィルタとしては、近赤外吸収色素を含む吸収層と、近赤外光を遮断する誘電体多層膜からなる反射層とを備えた近赤外カットフィルタが知られている(例えば、特許文献1を参照)。つまり、誘電体多層膜そのものは、入射角によって分光透過率曲線が変化するため、反射層と吸収層の両方を含む近赤外線カットフィルタは、吸収層の吸収特性により入射角依存性が抑制された分光透過率曲線が得られる。

ところが、近年、撮像装置の小型化に伴い、より高い角度、例えば50度以上で入射した光に対する入射角依存性を抑制する要求がある。特許文献1では、入射角30度までに十分対応可能な近赤外線カットフィルタが得られているが、例えば、入射角を50度程度まで高くすると、近赤外域のうち800〜900nmの波長域の光の透過率が高くなる領域が現れる光漏れ等の問題があった。

概要

近赤外光の遮光性に優れ、高い角度で入射した光に対する入射角依存性を抑制できる、特には、高入射角での800〜900nmの波長域の光漏れを低減できるとともに、可視光の透過率が高く、耐光性にも優れる光学フィルタ、および該光学フィルタを用いた色再現性に優れる撮像装置の提供。ジクロロメタン中のモル吸光係数が150000[L/(mol・cm)]以上であり、最大吸収波長λmax−DCM(X)が800〜870nm、λmax−DCM(X)における透過率が10%となる濃度で測定される分光透過率曲線において、550〜650nmの平均透過率が90%以上、830〜900nmの平均透過率が65%以下であるスクアリリウム色素(X)と透明樹脂を含有する吸収層と、誘電体多層膜からなる反射層とを有する光学フィルタ。

目的

本発明は、近赤外光の遮光性に優れ、高い角度で入射した光に対する入射角依存性を抑制できる、特には、高入射角での800〜900nmの波長域の光漏れを低減できるとともに、可視光の透過率が高く、耐光性にも優れる光学フィルタ、および該光学フィルタを用いた色再現性に優れる撮像装置の提供を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

下記(1)〜(4)の特性を有するスクアリリウム色素(X)と透明樹脂を含有する吸収層と、誘電体多層膜からなる反射層とを有する光学フィルタ。(1)ジクロロメタンに溶解させたときの、波長350〜1200nmの光における、モル吸光係数が150000[L/(mol・cm)]以上である。(2)ジクロロメタンに溶解させた溶液で測定される波長400〜1100nmの分光透過率曲線において、最大吸収波長λmax−DCM(X)が800〜870nmの波長領域にある。(3)ジクロロメタンに最大吸収波長λmax−DCM(X)における透過率が10%となるように溶解させた溶液で測定される、波長400〜1100nmの分光透過率曲線において、550〜650nmの波長領域における平均透過率が90%以上である。(4)ジクロロメタンに最大吸収波長λmax−DCM(X)における透過率が10%となるように溶解させた溶液で測定される、波長400〜1100nmの分光透過率曲線において、830〜900nmの波長領域における平均透過率が65%以下である。

請求項2

前記スクアリリウム色素(X)は、下記(5)〜(8)を満足する請求項1記載の光学フィルタ。(5)前記透明樹脂に含有させたときの、波長350〜1200nmの光における、質量吸光係数が2000/(cm・質量%)以上である。(6)前記透明樹脂に含有させて測定される波長400〜1100nmの分光透過率曲線において、最大吸収波長λmax−RE(X)が800〜870nmの波長領域にある。(7)前記透明樹脂に最大吸収波長λmax−RE(X)における透過率が10%となるように含有させて測定される、波長400〜1100nmの分光透過率曲線において、550〜650nmの波長領域における平均透過率が90%以上である。(8)前記透明樹脂に最大吸収波長λmax−RE(X)における透過率が10%となるように含有させて測定される、波長400〜1100nmの分光透過率曲線において、830〜900nmの波長領域における平均透過率が65%以下である。

請求項3

前記スクアリリウム色素(X)は、下記式(X−1)で示される化合物である請求項1または2記載の光学フィルタ。ただし、式(X−1)中、Aはそれぞれ独立して置換基を有してもよい、各環の員数が5〜6の単環〜三環芳香族環骨格とする基であって、前記芳香族環はN、S、OおよびSeから選ばれる1種以上のヘテロ原子を含んでよく、nはそれぞれ独立して0または1であり、R101はそれぞれ独立して置換されてもよい水素原子である。

請求項4

前記式(X−1)が、下記式(X−11)である請求項3に記載の光学フィルタ。ただし、式(X−11)中の記号は以下のとおりである。R101は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基であり、R102、R103、およびR105〜R107は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、スルホ基水酸基シアノ基ニトロ基カルボキシ基リン酸基、−NR108R109(R108およびR109は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜15の置換基を有してもよいアルキル基である。)であり、R104は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、−NR108R109(R108およびR109は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜15の置換基を有してもよいアルキル基である。)である。

請求項5

前記式(X−11)においてR104が、−NR108R109(R108およびR109は、それぞれ独立して、炭素数1〜15のアルキル基である。)である請求項4に記載の光学フィルタ。

請求項6

前記吸収層は、ジクロロメタンに溶解させた溶液で測定される波長400〜1100nmの分光透過率曲線において、600〜750nmに最大吸収波長λmax−DCM(A)を有する色素(A)をさらに含む請求項1〜5のいずれか1項記載の光学フィルタ。

請求項7

前記吸収層が前記スクアリリウム色素(X)を最大吸収波長λmax−RE(X)における透過率が10%となるように含有したときに、前記吸収層は、波長400〜1100nmの分光透過率曲線において、下記(ii−1)〜(ii−3)を満たす請求項6記載の光学フィルタ。(ii−1)550〜650nmの波長領域における平均透過率が85%以上である。(ii−2)680〜720nmの波長領域における平均透過率が20%以下である。(ii−3)810〜870nmの波長領域における平均透過率が25%以下である。

請求項8

前記吸収層が前記スクアリリウム色素(X)を最大吸収波長λmax−RE(X)における透過率が10%となるように含有したときに、下記(i−1)および(i−2)を満たす請求項1〜7のいずれか1項記載の光学フィルタ。(i−1)入射角0度において550〜650nmの波長領域における平均透過率が80%以上である。(i−2)入射角50度において810〜870nmの波長領域における透過面積が10%nm以下である。

請求項9

前記吸収層が前記スクアリリウム色素(X)を最大吸収波長λmax−RE(X)における透過率が10%となるように含有したときに、下記(i−3)を満たす請求項8に記載の光学フィルタ。(i−3)入射角50度において846nmの波長領域における透過率が1%以下である。

請求項10

請求項11

前記透明樹脂は、ガラス転移温度が140℃以上である請求項1〜10のいずれか1項記載の光学フィルタ。

請求項12

さらに透明基板を有し、前記吸収層および前記反射層は、それぞれ前記透明基板の主面上に設けられる請求項1〜11のいずれか1項記載の光学フィルタ。

請求項13

透明基板はガラスまたはサファイアからなる請求項12記載の光学フィルタ。

請求項14

固体撮像素子と、撮像レンズと、請求項1〜13のいずれか1項に記載の光学フィルタとを備えたことを特徴とする撮像装置

技術分野

0001

本発明は、可視光を透過し近赤外光遮断する光学フィルタ、および該光学フィルタを備えた撮像装置に関する。

背景技術

0002

固体撮像素子を用いた撮像装置には、色調を良好に再現し鮮明な画像を得るため、可視域の光(以下「可視光」ともいう)を透過し近赤外域の光(以下「近赤外光」ともいう)を遮断する光学フィルタが用いられる。該光学フィルタとしては、近赤外吸収色素を含む吸収層と、近赤外光を遮断する誘電体多層膜からなる反射層とを備えた近赤外カットフィルタが知られている(例えば、特許文献1を参照)。つまり、誘電体多層膜そのものは、入射角によって分光透過率曲線が変化するため、反射層と吸収層の両方を含む近赤外線カットフィルタは、吸収層の吸収特性により入射角依存性が抑制された分光透過率曲線が得られる。

0003

ところが、近年、撮像装置の小型化に伴い、より高い角度、例えば50度以上で入射した光に対する入射角依存性を抑制する要求がある。特許文献1では、入射角30度までに十分対応可能な近赤外線カットフィルタが得られているが、例えば、入射角を50度程度まで高くすると、近赤外域のうち800〜900nmの波長域の光の透過率が高くなる領域が現れる光漏れ等の問題があった。

先行技術

0004

特開2011−100084号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は、近赤外光の遮光性に優れ、高い角度で入射した光に対する入射角依存性を抑制できる、特には、高入射角での800〜900nmの波長域の光漏れを低減できるとともに、可視光の透過率が高く、耐光性にも優れる光学フィルタ、および該光学フィルタを用いた色再現性に優れる撮像装置の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明は、下記(1)〜(4)の特性を有するスクアリリウム色素(X)と透明樹脂を含有する吸収層と、誘電体多層膜からなる反射層とを有する光学フィルタを提供する。
(1)ジクロロメタンに溶解させたときの、波長350〜1200nmの光における、モル吸光係数が150000[L/(mol・cm)]以上である。
(2)ジクロロメタンに溶解させた溶液で測定される波長400〜1100nmの分光透過率曲線において、最大吸収波長λmax−DCM(X)が800〜870nmの波長領域にある。
(3)ジクロロメタンに最大吸収波長λmax−DCM(X)における光の透過率が10%となるように溶解させた溶液で測定される、波長400〜1100nmの分光透過率曲線において、550〜650nmの光の平均透過率が90%以上である。
(4)ジクロロメタンに最大吸収波長λmax−DCM(X)における光の透過率が10%となるように溶解させた溶液で測定される、波長400〜1100nmの分光透過率曲線において、830〜900nmの光の平均透過率が65%以下である。

0007

本発明はまた、本発明の光学フィルタを備えた撮像装置を提供する。

発明の効果

0008

本発明によれば、高い角度で入射した光に対する入射角依存性を抑制できる。特に、高入射角での800〜900nmの波長域の光漏れを低減できるとともに、可視光の透過率が高く、耐光性にも優れる光学フィルタを提供できる。さらに、本発明によれば、該光学フィルタを用いた色再現性に優れる撮像装置を提供できる。

図面の簡単な説明

0009

実施形態の光学フィルタの一例を概略的に示す断面図である。
実施形態の光学フィルタの別の一例を概略的に示す断面図である。

0010

以下、本発明の実施形態について説明する。
本明細書において、近赤外線吸収色素を「NIR色素」、紫外線吸収色素を「UV色素」と略記することもある。
本明細書において、式(I)で示される化合物からなるNIR色素をNIR色素(I)ともいい、他の色素についても同様である(例えば、後述の式(I−1)で示される化合物からなるNIR色素をNIR色素(I−1)ともいう)。また、例えば、式(Ar1)で表される基を基(Ar1)とも記し、他の式で表される基も同様である。

0011

本明細書において、特定の波長域について、透過率が例えば90%以上とは、その全波長領域において透過率が90%を下回らないことをいい、同様に透過率が例えば1%以下とは、その全波長領域において透過率が1%を超えないことをいう。
本明細書において、数値範囲を表す「〜」では、上下限を含む。

0012

本明細書において、スクアリリウム色素とは、構造式において、下記式(S2)で示す共鳴構造を取りうる下記式(S1)で示されるスクアリリウム骨格を有する色素をいう。本明細書において、スクアリリウム骨格は、式(S1)または式(S2)のいずれかで示される。

0013

<光学フィルタ>
本発明の一実施形態の光学フィルタ(以下、「本フィルタ」ともいう)は、下記(1)〜(4)の特性を有するスクアリリウム色素(X)(以下、「色素(X)」ともいう。)と透明樹脂を含有する吸収層と、誘電体多層膜からなる反射層とを有する。以下の、説明において「反射層」は、誘電体多層膜からなる反射層を指す。

0014

(1)ジクロロメタンに溶解させたときの、波長350〜1200nmの光における、モル吸光係数が150000[L/(mol・cm)]以上である。以下、特に断りのない限り、色素の「モル吸光係数」は、ジクロロメタンに溶解させたときの、波長350〜1200nmの光における、モル吸光係数である。
(2)ジクロロメタンに溶解させた溶液で測定される波長400〜1100nmの分光透過率曲線において、最大吸収波長λmax−DCM(X)が800〜870nmの波長領域にある。
(3)ジクロロメタンに最大吸収波長λmax−DCM(X)における光の透過率が10%となるように溶解させた溶液で測定される、波長400〜1100nmの分光透過率曲線において、550〜650nmの波長領域における光の平均透過率が90%以上である。
(4)ジクロロメタンに最大吸収波長λmax−DCM(X)における光の透過率が10%となるように溶解させた溶液で測定される、波長400〜1100nmの分光透過率曲線において、830〜900nmの波長領域における光の平均透過率が65%以下である。

0015

本フィルタは、吸収層が(1)〜(4)の特性を有する色素(X)を含有することで、近赤外光の遮光性に優れるとともに、可視光の透過率が高い。さらに、これにより、本フィルタは、反射層を有することで生じる、高い角度で入射した光に対する入射角依存性を抑制できる、特には、高入射角での800〜900nmの波長域の光漏れを低減できる。また、本フィルタは、色素(X)がスクアリリウム骨格を有する化合物であることで耐光性にも優れる。

0016

色素(X)は、さらに以下の(5)〜(8)の特性を有することが好ましい。
(5)透明樹脂に含有させたときの、波長350〜1200nmの光における、質量吸光係数が2000/(cm・質量%)以上である。
(6)上記透明樹脂に含有させて測定される波長400〜1100nmの分光透過率曲線において、最大吸収波長λmax−RE(X)が800〜870nmの波長領域にある。
(7)透明樹脂に最大吸収波長λmax−RE(X)における光の透過率が10%となるように含有させて測定される、波長400〜1100nmの分光透過率曲線において、550〜650nmの波長領域における光の平均透過率が90%以上である。
(8)透明樹脂に最大吸収波長λmax−RE(X)における光の透過率が10%となるように含有させて測定される、波長400〜1100nmの分光透過率曲線において、830〜900nmの波長領域における光の平均透過率が65%以下である。

0017

すなわち、色素(X)は、吸収層に用いられる透明樹脂との組み合わせにおいても、ジクロロメタンに溶解させたときと同様の光学特性を有することが好ましい。なお、(5)〜(8)の特性の測定に用いられる色素(X)含有透明樹脂層膜厚は、1.0μm程度が好ましい。用いる透明樹脂についは、後述の透明性の要件を満たせばよい。

0018

また、質量吸光係数は、波長350〜1200nmの範囲における最大吸収波長での光の内部透過率T[%](=実測透過率[%]/(100−実測反射率[%])×100[%])を算出し、−log10(T/100)によって計算できる。以下、特に断りのない限り、色素の「質量吸光係数」は、上記方法により計算された質量吸光係数である。

0019

本フィルタは、透明基板をさらに有してもよい。この場合、吸収層および反射層は、透明基板の主面上に設けられる。本フィルタは、吸収層と反射層を、透明基板の同一主面上に有してもよく、異なる主面上に有してもよい。吸収層と反射層を同一主面上に有する場合、これらの積層順は特に限定されない。

0020

本フィルタは、また他の機能層を有してもよい。他の機能層としては、例えば可視光の透過率損失を抑制する反射防止層が挙げられる。特に、吸収層が最表面の構成をとる場合には、吸収層と空気との界面で反射による可視光透過率損失が発生するため、吸収層上に反射防止層を設けるとよい。

0021

次に、図面を用いて本フィルタの構成例について説明する。図1は、吸収層11の一方の主面上に反射層12を備えた光学フィルタ10Aの構成例である。光学フィルタ10Aにおいて、吸収層11は、色素(X)と透明樹脂とを含有する層で構成できる。なお、「吸収層11の一方の主面(上)に、反射層12を備える」とは、吸収層11に接触して反射層12が備わる場合に限らず、吸収層11と反射層12との間に、別の機能層が備わる場合も含み、以下の構成も同様である。

0022

図2は、透明基板と吸収層と反射層を有する実施形態の光学フィルタの一例を概略的に示す断面図である。光学フィルタ10Bは、透明基板13と透明基板13の一方の主面上に配置された吸収層11と透明基板13の他方の主面上に設けられた反射層12を有する。光学フィルタ10Bにおいて、吸収層11は、色素(X)と透明樹脂とを含有する層で構成できる。光学フィルタ10Bはさらに、吸収層11の透明基板13とは反対側の主面上に反射防止層14を有する。

0023

以下、吸収層、反射層、透明基板および反射防止層について説明する。
(吸収層)
吸収層は、上記(1)〜(4)の特性を有する、好ましくはさらに上記(5)〜(8)の特性を有する色素(X)と、透明樹脂とを含有する。

0024

吸収層は、典型的には、透明樹脂中に色素(X)が均一に溶解または分散した層または(樹脂)基板である。吸収層は、本発明の効果を損なわない範囲で色素(X)以外にその他のNIR色素を含有してもよい。さらに、吸収層は、本発明の効果を損なわない範囲でNIR色素以外の色素、特にはUV色素を含有してもよい。

0025

その他のNIR色素としては、下記(iii−1)の要件を満たす色素(A)を含有することが好ましい。
(iii−1)ジクロロメタンに溶解させた溶液で測定される波長400〜1100nmの分光透過率曲線において、600〜750nmに最大吸収波長λmax−DCM(A)を有する。

0026

さらに、色素(A)は、下記(iii−2)の要件を満たすことが好ましい。
(iii−2)ジクロロメタンに最大吸収波長λmax−DCM(A)における光の透過率が10%となるように溶解させた溶液で測定される、波長400〜1100nmの分光透過率曲線において、550〜650nmの光の波長領域における平均透過率が90%以上である。

0027

また、色素(A)の光吸収スペクトルにおいて、λmax−DCM(A)に吸収の頂点を有する吸収ピーク(以下、「λmax−DCM(A)の吸収ピーク」という)は、可視光側の傾きが急峻であるとよい。さらに、λmax−DCM(A)の吸収ピークは長波長側では傾きは緩やかであるとよい。

0028

[色素(X)]
色素(X)は、(1)〜(4)の特性を有する、スクアリリウム骨格の構造を有する色素である。(1)について、モル吸光係数は、250000[L/(mol・cm)]以上が好ましく、270000[L/(mol・cm)]以上がより好ましい。(2)について、最大吸収波長λmax−DCM(X)は、815〜860nmの波長領域にあるのが好ましく、825〜860nmの波長領域にあるのがより好ましい。(3)について、550〜650nmの波長領域における光の平均透過率は93%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。(4)について、830〜900nmの波長領域における光の平均透過率は、50%以下が好ましく、45%以下がより好ましい。

0029

色素(X)は、(5)〜(8)の特性を有する色素がより好ましい。(5)について、質量吸光係数は、3000[/(cm・質量%)]以上が好ましく、3300[/(cm・質量%)]以上がより好ましい。(6)について、最大吸収波長λmax−RE(X)は、825〜870nmの波長領域にあるのが好ましく、835〜870nmの波長領域にあるのがより好ましい。(7)について、550〜650nmの波長領域における平均透過率は90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。(8)について、830〜900nmの波長領域における平均透過率は、65%以下が好ましく、30%以下がより好ましい。

0030

色素(X)として、具体的には、共鳴構造を取りうる下記式(X−1)で示される化合物が挙げられる。化合物(X−1)の共鳴構造として、具体的には、下記式(X−1')または(X−1”)で示される化合物が挙げられる。

0031

0032

ただし、式(X−1)中、Aはそれぞれ独立して置換基を有してもよい、各環の員数が5〜6の単環〜三環芳香族環骨格とする基であって、前記芳香族環はN、S、OおよびSeから選ばれる1種以上のヘテロ原子を含んでよく、nはそれぞれ独立して0または1であり、R101はそれぞれ独立して置換されてもよい水素原子である。各環の員数が5〜6の単環〜三環のN、S、OおよびSeから選ばれる1種以上のヘテロ原子を含んでもよい芳香族環を、以下、芳香族環(Ar)もいう。

0033

以下、特に断りのない限り化合物(X−1)には、化合物(X−1’)および化合物(X−1”)が含まれる。他のスクアリリウム色素についても同様である。

0034

化合物(X−1)において、A、nおよびR1は、スクアリリウム骨格の左右で異なってもよく、同じでもよい。製造上の観点から、A、nおよびR101は、スクアリリウム骨格の左右で同一が好ましい。

0035

基Aはいずれも置換基を有してもよい芳香族環(Ar)を骨格とする基であり、直接またはメチン基を介してスクアリリウム環と結合する結合手は環を構成するいずれかの炭素原子が有する。

0036

芳香族環(Ar)としては、員数が5〜6の環が1〜3個結合した芳香族化合物であればよく、N、S、OおよびSeから選ばれる1種以上のヘテロ原子を含んでもよい。芳香族環(Ar)は環の構成元素としてヘテロ原子を含むことが好ましく、該ヘテロ原子は、N、Oが好ましい。また、環の数は2または3がより好ましい。

0037

芳香族環(Ar)として、具体的には、ベンゼン環インダゾール環、イミダゾール環ベンゾイミダゾール環、チアゾール環ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ピリジン環キノリン環インドリン環ピラン環、チオピラン環、セレノピラン環、ベンゾピラン環ベンゾチオピラン環、ベンゾセレノピラン環、ベンゾインドール環等が挙げられる。なお、芳香族環(Ar)は、基となった際に、環内で二重結合の位置が移動することがある。また、それに伴い環を構成する原子に結合する水素原子の数も変わる場合がある。芳香族環(Ar)を骨格とする基とは、このような場合も含む。例えば、以下の基(Ar8)はキノリン環を骨格とする基に含まれる。

0038

芳香族環(Ar)が有する水素原子を置換しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基(ハロゲン原子または炭素数1〜10のアルコキシ基)を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基またはアルコキシ基、炭素数1〜10のアシルオキシ基スルホ基水酸基シアノ基ニトロ基カルボキシ基リン酸基、−NR108R109(R108およびR109は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜15の置換基(ハロゲン原子または炭素数1〜10のアルコキシ基であり、R108およびR109は互いに連結して窒素原子と共に員数が5または6の複素環を形成してもよい。)を有してもよいアルキル基である。)が挙げられる。

0039

なお、本明細書において、特に断りのない限り、アルキル基は、直鎖状分岐鎖状、環状またはこれらの構造を組み合わせた構造でもよい。

0040

nが0の場合、基Aはスクアリリウム環に直接結合する。nが0の場合、基Aは上記の中でも、置換基を有してもよい、ベンゼン環、インダゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ピリジン環、キノリン環、インドリン環を骨格とする基が好ましい。以下、「ベンゼン環を骨格とする基」とは、水素原子が置換されベンゼン環を骨格とする基を含む。他の芳香族環(Ar)についても同様である。

0041

樹脂溶解性と合成の観点から、下記式(Ar1)〜(Ar4)にそれぞれ示される芳香族環を骨格とする基が好ましい。

0042

0043

式(Ar2)中、…Xb…は、Xbの存在が任意であることを意味する。式(Ar2)中、XaおよびXbは、独立して、炭素数2または3のアルキレン基を示す。式(Ar3)および式(Ar4)中、XcおよびXdは、独立して、炭素数1または2のアルキレン基を示す。

0044

nが1の場合、基Aは、上記の中でも、下記式(Ar5)〜(Ar9)にそれぞれ示される芳香族環を骨格とする基が好ましく、溶解性吸収波長の観点から、基(Ar6)、基(Ar7)、基(Ar9)を骨格とする基が好ましく、基(Ar9)を骨格とする基が特に好ましい。

0045

0046

化合物(X−1)としては、nが1であり、Aが基(Ar9)を骨格とする基である下記式(X−11)で示される化合物が、長波長吸収性、溶解性および合成の簡便さの点で好ましい。

0047

0048

ただし、式(X−11)中の記号は以下のとおりである。
R101は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基である。置換基としては、ハロゲン原子および炭素数1〜10のアルコキシ基が挙げられる。R101は、製造上の観点から、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基またはエチル基がより好ましい。

0049

R102、R103およびR105〜R107は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、−NR108R109(R108およびR109は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜15の置換基を有してもよいアルキル基である。)である。置換基としては、ハロゲン原子および炭素数1〜10のアルコキシ基が挙げられる。

0050

R102、R103およびR105〜R107は、合成の簡便性の観点から、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。R106およびR107は、透明樹脂や溶媒への溶解性の観点から、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数10以下の2級もしくは3級の分岐したアルキル基がより好ましく、ターシャリーブチル基イソプロピル基イソブチル基がさらに好ましい。

0051

R104は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、−NR108R109(R108およびR109は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜15の置換基(ハロゲン原子または炭素数1〜10のアルコキシ基)を有してもよいアルキル基である。)である。

0052

R104は、λmax−DCM(X)を上記範囲内に調整し易く、モル吸光係数を高くし易い点から、−NR108R109が好ましい。その場合の、R108およびR109は、それぞれ独立して、炭素数1〜15のアルキル基が好ましく、透明樹脂や溶媒への溶解性の観点から直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜15のアルキル基が好ましい。

0053

化合物(X−11)としては、より具体的に、以下の表1および表2に示す化合物が挙げられる。なお、表1および表2に示す化合物は全て、R101〜R107がスクアリリウム骨格の左右で同一である。

0054

0055

0056

これらの中でも、化合物(X−11)としては、化合物(X−11−1)、化合物(X−11−3)、化合物(X−11−4)が好ましい。

0057

化合物(X)は、例えば、以下の化合物(X−11)において、R104が−NR108R109である化合物(e)を得る際の反応経路(F1)に示すようにして製造できる。反応経路(F1)においてMeはメチル基を、Etはエチル基を示す。他の式においても同様である。

0058

<ステップ1>
R108およびR109で置換されたアミノ基を3位に有するフェノール(a)に化合物(b)を添加し加熱撹拌する。反応終了後、室温に冷却し酢酸エチルと0.5Mの塩酸を添加した後、ヘキサンと酢酸エチルで抽出する。溶媒を除去した後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)にて色の油状物質を化合物(c)として単離する。

0059

<ステップ2>
ステップ1で得られた生成物(c)をテトラヒドロフランに溶解させ、1M臭化メチルマグネシウム滴下撹拌する。反応終了後に反応溶液氷水に注いだのち、テトラフルオロホウ酸水溶液を添加し撹拌する。ジクロロメタンで抽出したのち無水硫酸マグネシウムにて乾燥させ溶媒を除去する。得られた固体をヘキサンで洗浄色固体として化合物(d)を得る。

0060

<ステップ3>
ステップ2で得られた化合物(d)を1−ブタノールに溶解させ、米国特許出願公開2005/0202565号明細書を参考に合成したトリエチルアミンジシアノアルケンスクアリン酸塩(e)と、反応促進のための塩基としてキノリンを添加し、還流条件下で撹拌する。反応溶液を濾過した後、得られた茶色固体をフラッシュカラムクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン)にて精製し目的の化合物(f)を茶色固体として得る。

0061

0062

色素(X)は、1種の化合物からなってもよく、2種以上の化合物からなってもよい。2種以上の化合物からなる場合は、個々の化合物が色素(X)の性質を必ずしも有する必要はなく、混合物として、色素(X)の性質を有すればよい。

0063

[色素(A)]
色素(A)として、(iii−1)の要件を満たし、好ましくは、さらに(iii−2)の要件を満たす、シアニン色素フタロシアニン色素ナフタロシアニン色素ジチオール金属錯体色素ジイモニウム色素ポリメチン色素フタリド色素、ナフトキノン色素、アントラキノン色素インドフェノール色素、スクアリリウム色素からなる群から選ばれる少なくとも1種の色素が挙げられる。

0064

これらの中では(iii−1)の要件を満たし、好ましくは(iii−2)の要件を満たすスクアリリウム色素が特に好ましい。スクアリリウム色素からなる色素(A)は、上記吸収スペクトルにおいて、可視光の吸収が少なく、λmax−DCM(A)の吸収ピークが可視光側で急峻な傾きを有するとともに、保存安定性および光に対する安定性が高い。

0065

スクアリリウム色素である色素(A)として、λmax−DCM(A)が600〜750nmの波長領域にある、式(I)〜(III)のいずれかで示される化合物が好ましい。また、色素(A)は、透明樹脂に含有させたときの質量吸光係数が、1000/(cm・質量%)以上が好ましく、1500/(cm・質量%)以上がより好ましい。

0066

0067

ただし、式(I)中の記号は以下のとおりである。
R24およびR26は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、−NR27R28(R27およびR28は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、−C(=O)−R29(R29は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数6〜11のアリール基または、置換基を有していてもよく、炭素原子間酸素原子を有していてもよい炭素数7〜18のアルアリール基)、−NHR30、または、−SO2−R30(R30は、それぞれ1つ以上の水素原子がハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、またはシアノ基で置換されていてもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよい炭素数1〜25の炭化水素基)を示す。)、または、下記式(S)で示される基(R41、R42は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜10のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。kは2または3である。)を示す。

0068

0069

R21とR22、R22とR25、およびR21とR23は、互いに連結して窒素原子と共に員数が5または6のそれぞれ複素環A、複素環B、および複素環Cを形成してもよい。
複素環Aが形成される場合のR21とR22は、これらが結合した2価の基−Q−として、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアシルオキシ基で置換されてもよいアルキレン基、またはアルキレンオキシ基を示す。

0070

複素環Bが形成される場合のR22とR25、および複素環Cが形成される場合のR21とR23は、これらが結合したそれぞれ2価の基−X1−Y1−および−X2−Y2−(窒素に結合する側がX1およびX2)として、X1およびX2がそれぞれ下記式(1x)または(2x)で示される基であり、Y1およびY2がそれぞれ下記式(1y)〜(5y)から選ばれるいずれかで示される基である。X1およびX2が、それぞれ下記式(2x)で示される基の場合、Y1およびY2はそれぞれ単結合であってもよく、その場合、炭素原子間に酸素原子を有してもよい。

0071

0072

式(1x)中、4個のZは、それぞれ独立して水素原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルコキシ基、または−NR38R39(R38およびR39は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を示す)を示す。R31〜R36はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を、R37は炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示す。

0073

R27、R28、R29、R31〜R37、複素環を形成していない場合のR21〜R23、およびR25は、これらのうちの他のいずれかと互いに結合して5員環または6員環を形成してもよい。R31とR36、R31とR37は直接結合してもよい。
複素環を形成していない場合の、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基もしくはアリル基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜11のアリール基もしくはアルアリール基を示す。複素環を形成していない場合の、R23およびR25は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または、炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。

0074

0075

ただし、式(II)中の記号は以下のとおりである。
環Zは、それぞれ独立して、ヘテロ原子を環中に0〜3個有し、かつ置換されていてもよい、5員環または6員環であり、
R1とR2、R2とR3、およびR1と環Zを構成する炭素原子またはヘテロ原子は、互いに連結して窒素原子とともにそれぞれヘテロ環A1、ヘテロ環B1およびヘテロ環C1を形成していてもよく、ヘテロ環を形成していない場合、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または、炭素原子間に不飽和結合、ヘテロ原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよく、置換基を有してもよい炭化水素基を示し、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素原子間にヘテロ原子を含んでもよいアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。

0076

0077

ただし、式(III)中の記号は以下のとおりである。
R51は、それぞれ独立にハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、
R52〜R58は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を示す。
R52とR53は、互いに連結して、炭素数5〜15の飽和または不飽和の炭化水素環B2を形成していてもよく、炭化水素環B2の水素原子は炭素数1〜10のアルキル基に置換されていてもよく、
R54とR55は、互いに連結してベンゼン環A2を形成していてもよく、ベンゼン環A2の水素原子は炭素数1〜10のアルキル基に置換されていてもよい。

0078

化合物(I)としては、例えば、式(I−1)〜(I−4)のいずれかで示される化合物が挙げられる。

0079

0080

ただし、式(I−1)〜式(I−4)中の記号は、式(I)における同記号の各規定と同じであり、好ましい態様も同様である。

0081

化合物(I−1)〜(I−4)のうちでも、色素(A)としては、吸収層の可視光透過率を高くできる観点から化合物(I−1)〜(I−3)が好ましく、化合物(I−1)が特に好ましい。

0082

化合物(I−1)において、X1としては、基(2x)が好ましく、Y1としては、単結合または基(1y)が好ましい。この場合、R31〜R36としては、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましい。なお、−Y1−X1−として、具体的には、式(11−1)〜(12−3)で示される2価の有機基が挙げられる。

0083

−C(CH3)2−CH(CH3)− …(11−1)
−C(CH3)2−CH2− …(11−2)
−C(CH3)2−CH(C2H5)− …(11−3)
−C(CH3)2−C(CH3)(nC3H7)− …(11−4)
−C(CH3)2−CH2−CH2− …(12−1)
−C(CH3)2−CH2−CH(CH3)− …(12−2)
−C(CH3)2−CH(CH3)−CH2− …(12−3)

0084

また、化合物(I−1)において、R21は、溶解性、耐熱性、さらに分光透過率曲線における可視域と近赤外域の境界付近の変化の急峻性の観点から、独立して、式(4−1)または(4−2)で示される基がより好ましい。

0085

0086

式(4−1)および式(4−2)中、R71〜R75は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜4のアルキル基を示す。

0087

化合物(I−1)において、R24は−NR27R28が好ましい。−NR27R28としては、ホスト溶媒や透明樹脂への溶解性の観点から、−NH−C(=O)−R29が好ましい。化合物(I−1)において、R24が−NH−C(=O)−R29の化合物を式(I−11)に示す。

0088

0089

化合物(I−11)における、R23およびR26は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルコキシ基が好ましく、いずれも水素原子がより好ましい。

0090

化合物(I−11)において、R29としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基、または置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数7〜18のアルアリール基が好ましい。置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフロロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアシルオキシ基等が挙げられる。

0091

R29としては、フッ素原子で置換されてもよい直鎖状、分岐鎖状、環状の炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜6のフロロアルキル基および/または炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されてもよいフェニル基、および炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数7〜18の、末端に炭素数1〜6のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基および/または、炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されてもよいフェニル基を有するアルアリール基から選ばれる基が好ましい。

0092

R29としては、独立して1つ以上の水素原子がハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、またはシアノ基で置換されていてもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよい、少なくとも1以上の分岐を有する炭素数5〜25の炭化水素基である基も好ましく使用できる。このようなR29としては、例えば、下記式(1a)、(1b)、(2a)〜(2e)、(3a)〜(3e)で示される基が挙げられる。

0093

0094

0095

化合物(I−11)としては、より具体的に、以下の表3に示す化合物が挙げられる。なお、表3において、基(11−1)を(11−1)と示す。他の基についても同様である。以下の他の表においても基の表示は同様である。また、表3に示す化合物は、いずれもスクアリリウム骨格の左右において各記号の意味は同一である。以下の他の表に示すスクアリリウム色素においても同様である。

0096

0097

化合物(I−1)において、R24は、可視光の透過率、特に波長430〜550nmの光の透過率を高める観点から、−NH−SO2−R30が好ましい。化合物(I−1)において、R24が−NH−SO2−R30の化合物を式(I−12)に示す。

0098

0099

化合物(I−12)における、R23およびR26は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルコキシ基が好ましく、いずれも水素原子がより好ましい。

0100

化合物(I−12)において、R30は耐光性の点から、独立して、分岐を有してもよい炭素数1〜12のアルキル基もしくはアルコキシ基、または不飽和の環構造を有する炭素数6〜16の炭化水素基が好ましい。不飽和の環構造としては、ベンゼントルエンキシレンフランベンゾフラン等が挙げられる。R30は、独立して、分岐を有してもよい炭素数1〜12のアルキル基もしくはアルコキシ基がより好ましい。なお、R30を示す各基において、水素原子の一部または全部がハロゲン原子、特にはフッ素原子に置換されていてもよい。なお、本フィルタが透明基板を含む構成の場合、水素原子のフッ素原子へ置換は、色素(I−12)を含有する吸収層と透明基板との密着性落ちない程度とする。

0101

不飽和の環構造を有するR30として具体的には、下記式(P1)〜(P8)で示される基が挙げられる。

0102

0103

化合物(I−12)としては、より具体的に、以下の表4に示す化合物が挙げられる。

0104

0105

化合物(II)としては、例えば、式(II−1)〜(II−3)のいずれかで示される化合物が挙げられる。

0106

0107

ただし、式(II−1)、式(II−2)中、R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1〜15のアルキル基を示し、R3〜R6はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を示す。

0108

ただし、式(II−3)中、R1、R4、およびR9〜R12は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1〜15のアルキル基を示し、R7およびR8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基を示す。

0109

化合物(II−1)および化合物(II−2)におけるR1およびR2は、透明樹脂への溶解性、可視光透過性等の観点から、独立して、炭素数1〜15のアルキル基が好ましく、炭素数7〜15のアルキル基がより好ましく、R1とR2の少なくとも一方が、炭素数7〜15の分岐鎖を有するアルキル基がさらに好ましく、R1とR2の両方が炭素数8〜15の分岐鎖を有するアルキル基が特に好ましい。

0110

R3は、透明樹脂への溶解性、可視光透過性等の観点から、独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、メチル基がより好ましい。R4は、可視域と近赤外域の境界付近の変化の急峻性の観点から、水素原子、ハロゲン原子が好ましく、水素原子がとくに好ましい。化合物(II−1)におけるR5および化合物(II−2)におけるR6は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、メチル基がより好ましい。

0111

化合物(II−1)および化合物(II−2)としては、より具体的に、それぞれ以下の表5および表6に示す化合物が挙げられる。表5および表6において、−C8H17、−C4H9、−C6H13は、直鎖のオクチル基、ブチル基、ヘキシル基をそれぞれ示す。

0112

0113

0114

化合物(II−3)におけるR1は、透明樹脂への溶解性、可視光透過性等の観点から、独立して、炭素数1〜15のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、エチル基、イソプロピル基が特に好ましい。

0115

R4は、可視光透過性、合成容易性の観点から、水素原子、ハロゲン原子が好ましく、水素原子が特に好ましい。R7およびR8は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、メチル基がより好ましい。

0116

R9〜R12は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。−CR9R10−CR11R12−として、上記基(11−1)〜(11−3)または、以下の式(11−5)で示される2価の有機基が挙げられる。
−C(CH3)(CH2−CH(CH3)2)−CH(CH3)−…(11−5)

0117

化合物(II−3)としては、より具体的に、以下の表7に示す化合物が挙げられる。

0118

0119

化合物(III)としては、例えば、式(III−1)または式(III−2)のいずれかで示される化合物が挙げられる。

0120

0121

ただし、(III−1)、(III−2)中、R52〜R62は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を示す。

0122

化合物(III−1)、化合物(III−2)中、R52、R53は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、メチル基がより好ましい。R58は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、合成容易性の観点から、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。R56、R57、R59〜R62は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、合成容易性の観点から、水素原子がより好ましい。化合物(III−1)、化合物(III−2)としては、より具体的に、以下の表8、表9にそれぞれ示す化合物が挙げられる。

0123

0124

0125

色素(A)は、1種の化合物からなってもよく、2種以上の化合物からなってもよい。2種以上の化合物からなる場合は、個々の化合物が色素(A)の性質を必ずしも有する必要はなく、混合物として、色素(A)の性質を有すればよい。

0126

化合物(I)〜(III)は、それぞれ公知の方法で、製造できる。化合物(I)について、化合物(I−11)は、例えば、米国特許第5,543,086号明細書に記載された方法で製造できる。化合物(I−12)は、例えば、米国特許出願公開第2014/0061505号明細書、国際公開第2014/088063号明細書に記載された方法で製造可能である。化合物(II)については、国際公開第2017/135359号明細書に記載された方法で製造可能である。

0127

色素(A)は、本フィルタの設計に応じて適宜構成を選択できる。色素(A)は、例えば、以下の特性を有する色素(A1)と色素(A2)の混合物であってよく、色素(A1)のみからなってもよい。

0128

(a−1)色素(A1)は、化合物(I)〜(III)から選ばれる1種以上であって、透明樹脂に含有させて測定される波長400〜1100nmの分光透過率曲線において、最大吸収波長λmax(A1)が680〜730nmの波長領域にあり、最大吸収波長λmax(A1)の透過率を10%に濃度調整したときに最大吸収波長λmax(A1)より短波長側での光の透過率が80%を示す波長(以下、「λSH80(A1)」で示す。)と最大吸収波長λmax(A1)の差が100nm以下である。

0129

(a−2)色素(A2)は、化合物(I)〜(III)から選ばれる1種以上であって、透明樹脂に含有させて測定される波長400〜1100nmの分光透過率曲線において、最大吸収波長λmax(A2)が720〜770nmの波長領域にある。

0130

(a−3)最大吸収波長λmax(A2)から最大吸収波長λmax(A1)を引いた値が30nm以上85nm以下である。

0131

色素(A1)としては、化合物(I)〜(III)のうちの化合物(I)、化合物(II−1)、化合物(II−2)が挙げられ、化合物(I−11−7)、化合物(I−12−15)、化合物(I−12−23)、化合物(I−12−24)、化合物(II−1−7)等が好ましい。色素(A2)としては、化合物(I)〜(III)のうちの化合物(II−3)、化合物(III−1)、化合物(III−2)が挙げられる。

0132

色素(A)は、色素(X)と共に用いた場合に、得られる吸収層が、後述の(ii−1)〜(ii−3)の要件を満たす化合物が好ましい。

0133

UV色素は、具体例に、オキサゾール系、メロシアニン系、シアニン系、ナフタルイミド系、オキサジアゾール系、オキサジン系、オキサゾリジン系、ナフタル酸系、スチリル系、アントラセン系、環状カルボニル系、トリアゾール系等の色素が挙げられる。この中でも、オキサゾール系、メロシアニン系の色素が好ましい。また、UV色素は、吸収層に1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0134

透明樹脂は、波長400〜900nmの光を透過する樹脂であれば、種類は特に制限されない。透明樹脂がこのような性質を有することで、上記色素(X)、色素(A)は、透明樹脂の吸収を考慮せずに、上記評価が可能である。

0136

上記透明樹脂は、透明性、および色素(X)、さらには色素(A)の溶解性、ならびに耐熱性の観点からは、ガラス転移点(Tg)が高い、例えば、Tgが140℃以上の樹脂が好ましい。具体的には、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、およびエポキシ樹脂から選ばれる1種以上が好ましく、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂から選ばれる1種以上がより好ましい。

0137

吸収層は、さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、密着性付与剤色調補正色素レベリング剤帯電防止剤熱安定剤光安定剤酸化防止剤分散剤難燃剤滑剤可塑剤等の任意成分を有してもよい。

0138

吸収層は、色素(X)をλmax−RE(X)における光の透過率が10%となるように含有したときに、本フィルタが(i−1)および(i−2)を満足するのが好ましく、さらに(i−3)を満足するのがより好ましい。
(i−1)入射角0度における550〜650nmの波長領域における平均透過率が80%以上である。
(i−2)入射角50度における810〜870nmの波長領域における透過面積が10%nm以下である。
(i−3)入射角50度において846nmの透過率が1%以下である。

0139

(i−1)における平均透過率は、85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。(i−2)における透過面積は、9.5%nm以下が好ましく、9.0%nm以下がより好ましい。(i−3)における透過率は、0.9%以下が好ましく、0.8%以下がより好ましい。

0140

なお、(i−1)の光学特性は、吸収層が色素(X)のみを含有する場合に比べて、色素(X)に加えて、他の色素、例えば以下に示す色素(A)を含有することで、平均透過率の低下が想定される。(i−1)の条件は、吸収層が色素(X)と他の色素を含有した場合でも満足することが好ましい条件である。ここで、色素(X)のみをλmax−RE(X)における透過率が10%となるように含有した吸収層を用いた本フィルタにおいては、入射角0度における550〜650nmの波長領域における光の平均透過率は90%以上が好ましい。

0141

また、(i−2)および(i−3)の光学特性に関しては、他の色素の影響を殆ど受けることのない色素(X)による特性である。

0142

吸収層は、色素(X)に加えて色素(A)を含有する場合、色素(X)をλmax−RE(X)における透過率が10%となるように含有したとき、波長400〜1100nmの分光透過率曲線において、(ii−1)〜(ii−3)を満たすのが好ましい。
(ii−1)550〜650nmの波長領域における光の平均透過率が85%以上であり、90%以上が好ましい。
(ii−2)680〜720nmの波長領域における光の平均透過率が20%以下である。
(ii−3)810〜870nmの波長領域における光の平均透過率が25%以下である。

0143

吸収層において色素(X)の含有量は、本フィルタの設計に応じて、好ましくは、本フィルタが(i−1)、(i−2)を満足するように、より好ましくは、さらに(i−3)を満足するように適宜選択するとよい。吸収層において色素(X)の含有量は、可視光の透過率を確保しつつ、近赤外光を遮光し、高い角度で入射した光に対する反射層の入射角依存性を抑制する、特に、高入射角での800〜900nmの波長域の光漏れを低減する観点から、透明樹脂100質量部に対して0.01〜20質量部が好ましく、溶解性の観点から0.03〜10質量部がより好ましい。

0144

吸収層が色素(X)と色素(A)を含有する場合、その含有量は、それぞれ、本フィルタの設計に応じて、例えば、(i−1)、(ii−1)〜(ii−3)の特性を満足するように適宜選択される。

0145

この場合、吸収層における色素(X)の含有量は上記と同様であり、色素(A)の含有量は、可視光の透過率を確保しつつ、色素(A)の特性を発揮できる観点から、透明樹脂100質量部に対して0.01〜20質量部が好ましく、0.03〜15質量部がより好ましい。さらに色素(X)と色素(A)の合計含有量は、透明樹脂100質量部に対して0.03〜20質量部が好ましく、0.03〜15質量部がより好ましい。

0146

本フィルタにおいて、吸収層の厚さは、0.1〜100μmが好ましい。吸収層が複数層からなる場合、各層の合計の厚さは、0.1〜100μmが好ましい。厚さが0.1μm未満では、所望の光学特性を十分に発現できないおそれがあり、厚さが100μm超では、層の平坦性が低下し、吸収率面内バラツキが生じるおそれがある。吸収層の厚さは、0.3〜50μmがより好ましい。また、反射層や、反射防止層等の他の機能層を備えた場合、その材質によっては、吸収層が厚すぎると割れ等が生ずるおそれがある。そのため、吸収層の厚さは、0.3〜10μmがより好ましい。

0147

吸収層は、例えば、色素(X)と、好ましくは色素(X)および色素(A)と、透明樹脂または透明樹脂の原料成分と、必要に応じて配合される各成分とを、溶媒に溶解または分散させて塗工液を調製し、これを基材に塗工し乾燥させ、さらに必要に応じて硬化させて形成できる。上記基材は、本フィルタに含まれる透明基板でもよいし、吸収層を形成する際にのみ使用する剥離性の基材でもよい。また、溶媒は、安定に分散できる分散媒または溶解できる溶媒であればよい。

0148

また、塗工液は、微小な泡によるボイド異物等の付着による凹み、乾燥工程でのはじき等の改善のため界面活性剤を含んでもよい。さらに、塗工液の塗工には、例えば、浸漬コーティング法キャストコーティング法、またはスピンコート法等を使用できる。上記塗工液を基材上に塗工後、乾燥させることにより吸収層が形成される。また、塗工液が透明樹脂の原料成分を含有する場合、さらに熱硬化光硬化等の硬化処理を行う。

0149

また、吸収層は、押出成形によりフィルム状に製造可能でもあり、このフィルムを他の部材に積層し熱圧着等により一体化させてもよい。例えば、本フィルタが透明基板を含む場合、このフィルムを透明基板上に貼着してもよい。

0150

吸収層は、本フィルタの中に1層有してもよく、2層以上有してもよい。2層以上有する場合、各層は同じ構成であっても異なってもよい。吸収層が色素(X)、色素(A)およびUV色素を含む場合を例とすれば、一方の層を、色素(X)および色素(A)と透明樹脂を含む近赤外吸収層とし、もう一方の層を、UV色素と透明樹脂を含む近紫外吸収層としてもよい。他の例として、一方の層を色素(A)と透明樹脂を含む第1の近赤外吸収層とし、もう一方の層を、色素(X)とUV色素と透明樹脂を含む第2の近赤外吸収層としてもよい。また、吸収層は、それ自体が基板(樹脂基板)として機能するものでもよい。

0151

(透明基板)
本フィルタに透明基板を用いる場合、透明基板は、略400〜700nmの可視光を透過すれば、構成する材料は特に制限されず、近赤外光や近紫外光を吸収する材料でもよい。例えば、ガラス結晶等の無機材料や、透明樹脂等の有機材料が挙げられる。

0152

透明基板に使用できるガラスとしては、フツリン酸塩系ガラスリン酸塩系ガラス等に銅イオンを含む吸収型のガラス(近赤外線吸収ガラス)、ソーダライムガラスホウケイ酸ガラス無アルカリガラス石英ガラス等が挙げられる。なお、「リン酸塩系ガラス」は、ガラスの骨格の一部がSiO2で構成されるケイリン酸塩ガラスも含む。

0153

ガラスとしては、ガラス転移点以下の温度で、イオン交換により、ガラス板主面に存在するイオン半径が小さいアルカリ金属イオン(例えば、Liイオン、Naイオン)を、イオン半径のより大きいアルカリイオン(例えば、Liイオンに対してはNaイオンまたはKイオンであり、Naイオンに対してはKイオンである。)に交換して得られる化学強化ガラスを使用してもよい。

0154

透明基板として使用できる透明樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレートポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレンポリプロピレンエチレン酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン樹脂、ノルボルネン樹脂ポリアクリレートポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ウレタン樹脂塩化ビニル樹脂フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂ポリビニルアルコール樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。

0155

また、透明基板に使用できる結晶材料としては、水晶ニオブ酸リチウムサファイア等の複屈折性結晶が挙げられる。透明基板の光学特性は、上記吸収層、反射層等と積層して得られる光学フィルタとして、前述した光学特性を有するとよい。結晶材料としてはサファイアが好ましい。

0156

透明基板は、光学フィルタとしての光学特性、機械特性等の長期にわたる信頼性に係る形状安定性の観点、フィルタ製造時のハンドリング性等から、無機材料が好ましく、特にガラス、サファイアが好ましい。

0157

透明基板の形状は特に限定されず、ブロック状、板状、フィルム状でもよく、その厚さは、例えば、0.03〜5mmが好ましく、薄型化の観点からは、0.03〜0.5mmがより好ましい。加工性の観点から言えば、ガラスからなる板厚0.05〜0.5mmの透明基板が好ましい。

0158

(反射層)
反射層は、誘電体多層膜からなり、特定の波長域の光を遮蔽する機能を有する。反射層としては、例えば、可視光を透過し、吸収層の遮光域以外の波長の光を主に反射する波長選択性を有するものが挙げられる。反射層は、近赤外光を反射する反射領域を有することが好ましい。この場合、反射層の反射領域は、吸収層の近赤外域における遮光領域を含んでもよい。反射層は、上記特性に限らず、所定の波長域の光、例えば、近紫外域をさらに遮断する仕様に適宜設計してよい。

0159

反射層が近赤外光を反射する反射領域を有する場合、吸収層と反射層は以下の関係を有することが好ましい。

0160

吸収層は、入射角0度の吸収領域において透過率が20%を示す波長の短波長側の波長λAB−SHT20が630〜690nmの波長領域に有り、反射層は、入射角0度の反射領域において透過率が20%を示す短波長側の波長λRE-SHT20が(iv−1)を満足するとよい。
(iv−1)λAB−SHT20+30nm≦λRE-SHT20≦λAB−SHT20+70nm

0161

反射層は、さらに(iv−2)を満足することが好ましい。
(iv−2)λRE-SHT20からλRE−SHT20+300nmまでの波長領域の光における平均透過率が10%以下である。

0162

本フィルタは、吸収層が、色素(X)を含有することで、反射層による高い角度で入射した光に対する反射層の入射角依存性を抑制できる、特に、高入射角での800〜900nmの波長域の光漏れを低減できる。

0163

反射層は、低屈折率誘電体膜低屈折率膜)と高屈折率の誘電体膜(高屈折率膜)とを交互に積層した誘電体多層膜から構成される。高屈折率膜は、好ましくは、屈折率が1.6以上であり、より好ましくは2.2〜2.5である。高屈折率膜の材料としては、例えばTa2O5、TiO2、Nb2O5が挙げられる。これらのうち、成膜性、屈折率等における再現性、安定性等の点から、TiO2が好ましい。

0164

一方、低屈折率膜は、好ましくは、屈折率1.6未満であり、より好ましくは1.45以上1.55未満である。低屈折率膜の材料としては、例えばSiO2、SiOxNy等が挙げられる。成膜性における再現性、安定性、経済性等の点から、SiO2が好ましい。

0165

さらに、反射層は、透過域と遮光域の境界波長領域で透過率が急峻に変化することが好ましい。この目的のためには、反射層を構成する誘電体多層膜の合計積層数は、15層以上が好ましく、25層以上がより好ましく、30層以上がさらに好ましい。ただし、合計積層数が多くなると、反り等が発生したり、膜厚が増加したりするため、合計積層数は100層以下が好ましく、75層以下がより好ましく、60層以下がより一層好ましい。また、誘電体多層膜の膜厚は、2〜10μmが好ましい。

0166

誘電体多層膜の合計積層数や膜厚が上記範囲内であれば、反射層は小型化の要件を満たし、高い生産性を維持しながら入射角依存性として、上記(1)の範囲を満足できる。また、誘電体多層膜の形成には、例えば、CVD法スパッタリング法真空蒸着法等の真空成膜プロセスや、スプレー法ディップ法等の湿式成膜プロセス等を使用できる。

0167

反射層は、1層(1群の誘電体多層膜)で所定の光学特性を与えたり、2層で所定の光学特性を与えたりしてもよい。2層以上有する場合、各反射層は同じ構成でも異なる構成でもよい。反射層を2層以上有する場合、通常、反射帯域の異なる複数の反射層で構成される。

0168

例として、2層の反射層を設ける場合、一方を、近赤外域のうち短波長帯の光を遮蔽する近赤外反射層とし、他方を、該近赤外域の長波長帯および近紫外域の両領域の光を遮蔽する近赤外・近紫外反射層としてもよい。また、例えば、本フィルタが透明基板を有する場合に、2層以上の反射層を設ける際には、全てを透明基板の一方の主面上に設けてもよく、各反射層を、透明基板を挟んでその両主面上に設けてもよい。

0169

(反射防止層)
反射防止層としては、誘電体多層膜や中間屈折率媒体、屈折率が漸次的に変化するモスアイ構造などが挙げられる。中でも光学的効率、生産性の観点から誘電体多層膜が好ましい。反射防止層は、反射層と同様に誘電体膜を交互に積層して得られる。

0170

本フィルタは、他の構成要素として、例えば、特定の波長域の光の透過と吸収を制御する無機微粒子等による吸収を与える構成要素(層)などを備えてもよい。無機微粒子の具体例としては、ITO(Indium Tin Oxides)、ATO(Antimony-doped Tin Oxides)、タングステン酸セシウムホウ化ランタン等が挙げられる。ITO微粒子、タングステン酸セシウム微粒子は、可視光の透過率が高く、かつ1200nmを超える赤外波長領域広範囲光吸収性を有するため、かかる赤外光遮蔽性を必要とする場合に使用できる。

0171

本フィルタは、反射層と、色素(X)を含有する吸収層を有することで、高い角度で入射した光に対する入射角依存性を抑制できる、特には、高入射角での800〜900nmの波長域の光漏れを低減できるとともに、可視光の透過率が高く、耐光性にも優れる。

0172

本フィルタは、吸収層が色素(X)をλmax−RE(X)における透過率が10%となるように含有したときに、上記(i−1)および(i−2)を満足するのが好ましく、さらに、上記(i−3)を満足するのがより好ましい。

0173

本フィルタは、吸収層がさらに色素(A)を含有する場合、以下の(i−4)および(i−5)の光学特性を満足するのが好ましい。
(i−4)703〜739nmの波長領域における、入射角0度と入射角30度の光の透過率の差の平均が、10%/nm以下である。
(i−5)入射角0度における713〜763nmの波長領域における光の最大透過率が20%以下である。

0174

上記(i−4)における透過率の差の平均は、8%/nm以下がより好ましく、5%/nm以下がさらに好ましい。なお、(i−4)における透過率の差の平均とは、波長703〜739nmの範囲で、1nmおきに、入射角0度の透過率と入射角30度の透過率の差分をとり、それら差分の合計の透過率[%]を、サンプリングした波長の数(=37点)で割った結果に相当する。(i−5)における最大透過率は、15%以下がより好ましく、12%以下がさらに好ましい。

0175

本フィルタは、例えば、デジタルスチルカメラ等の撮像装置に使用した場合に、色再現性に優れる撮像装置を提供できる。本フィルタを用いた撮像装置は、固体撮像素子と、撮像レンズと、本フィルタとを備える。本フィルタは、例えば、撮像レンズと固体撮像素子との間に配置されたり、撮像装置の固体撮像素子、撮像レンズ等に粘着剤層を介して直接貼着されたりして使用できる。

0176

以下に本発明の実施例を説明する。まず、実施例の吸収層に用いる色素(X)、色素(A)、その他の色素(D)の例および特性を説明する。次いで、光学フィルタの実施例について説明する。

0177

<色素の合成・準備>
実施例で使用する色素(X)として、化合物(X−11−1)、(X−11−4)および(X−11−3)を以下の方法で、色素(A)として化合物(I−12−24)を常法により合成した。

0178

また、比較例で使用する色素(X)の特性を満たさない下記式(SQ−1)で示されるスクアリリウム色素(SQ−1)、下記式(CY−1)および(CY−2)でそれぞれ示されるシアニン色素(CY−1)、シアニン色素(CY−2)を常法により合成した。さらに、市販のフタロシアニン色素を3種類、FDN−015、FDN−002、FDN−003(いずれも、山田化学社製の商品名)準備した。なお、これらの色素の光学特性の評価には、紫外可視分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ社製、U−4100形)を用い、以下の光学特性(分光透過率曲線)の評価にも同様に、U−4100を用いた。

0179

0180

(1)色素(X−11−1)の製造
以下に示す反応経路にしたがい、色素(X−11−1)を合成した。なお、以下の反応経路の式中、「t−But」は、ターシャリーブチル基を、「n−But」はn−ブチル基を示す。他の式においても同様である。

0181

0182

<ステップ1>
200mlのナスフラスコにN,N−ジエチル−3−アミノフェノール(5g、30.3mmol)と4,4−ジメチル−3−オキソ吉草酸メチル(6.1g、60.6mmol)と添加し窒素雰囲気化、180℃で35時間加熱撹拌した後、再び4,4−ジメチル−3−オキソ吉草酸メチル(6.1g、60.6mmol)を添加し15時間加熱撹拌した。反応終了後、室温に冷却し酢酸エチルと0.5Mの塩酸を添加した後、ヘキサンと酢酸エチルで抽出した。溶媒を除去した後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)にて茶色の油状物質(4.6g、21.2mmol、収率70%)を単離した。

0183

<ステップ2>
ステップ1で得られた生成物(4g、18.5mmol)を500mlのナスフラスコにいれテトラヒドロフラン40mlに溶解させた。窒素雰囲気化、0℃にて10mlの1M臭化メチルマグネシウムを滴下し、室温に昇温した後20時間撹拌した。再び10mlの1M臭化メチルマグネシウムを室温で滴下した後のち12時間撹拌し、さらに10mlの1M臭化メチルマグネシウムを追加し1時間撹拌した。反応終了後に反応溶液を氷水50mlに注いだのち、42%テトラフルオロホウ酸水溶液40mlを添加し室温にて1時間撹拌した。ジクロロメタンで抽出したのち無水硫酸マグネシウムにて乾燥させ溶媒を除去した。得られた固体をヘキサンで洗浄し朱色固体(4.6g、15.2mmol、83%)を得た。

0184

<ステップ3>
ステップ2で得られた生成物(4.6g、12.8mmol)をフラスコに入れ、1−ブタノール70mlに溶解させ、米国特許出願公開2005/0202565号明細書を参考に合成したトリエチルアミン−ジシアノアルケンスクアリン酸塩(2.1g、6.5mmol)とキノリン(1.7g、13.0mmol)を添加し、還流条件下で2時間撹拌した。反応溶液を濾過した後、得られた茶色固体をフラッシュカラムクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン)にて精製し目的の茶色固体(1.8g、3.2mmol、収率49%)を単離した。

0185

得られた茶色固体を1H NMRにより同定し、化合物(X−11−1)であることを確認した。

0186

(2)色素(X−11−4)の製造
原料にN,N−ジブチル−3−アミノフェノール(10g、45.1mmol)を用いたこと以外は色素(X−11−1)の製造方法と同様の方法で色素(X−11−4)を茶色固体(2.5g、3.75mmol)として総収率52%で得た。得られた茶色固体、化合物(X−11−4)の同定は、1H NMRで行った。

0187

0188

(3)色素(X−11−3)の製造
以下に示す反応経路にしたがい、色素(X−11−3)を合成した。

0189

0190

<ステップ1>
五酸化二リン(30g、106mmol)をメタンスルホン酸300gに溶解させ4,4−ジメチル−3−オキソ吉草酸メチル(25.2g、249mmol)とレゾルシノール(16.5g、150mmol)を添加し室温で22時間加熱撹拌した。0℃で水1Lを添加した後、得られた固体を濾過した。メタノール/水=9/1で再結晶して目的の黄色固体(10.1g、46.4mmol、収率31%)を得た。

0191

<ステップ2>
フラスコにステップ1で得られた生成物(2g、9.2mmol)、炭酸カリウム(1.5g、11.0mmol)、微量のヨウ化カリウムをいれ、10mlのイソプロパノールと20mlのメチルエチルケトンに溶解させ、反応溶液を還流条件下で14時間撹拌した。水を加え室温に戻し、酢酸エチルで抽出したのち、硫酸マグネシウムで乾燥させ溶媒を除去した。得られた固体をメタノールで再結晶し白色固体(1.3g、4.2mmol、46%)を得た。

0192

<ステップ3>
ステップ1で得られた生成物(1.3g、4.2mmol)をフラスコにいれテトラヒドロフラン10mlに溶解させた。窒素雰囲気化、0℃にて10mlの1M臭化メチルマグネシウムを滴下し、室温に昇温した後12時間撹拌した。再び10mlの1M臭化メチルマグネシウムを室温で滴下した後5時間撹拌した。反応終了後に反応溶液を氷水100mlに注いだのち、42%テトラフルオロホウ酸水溶液を75ml添加し室温にて1時間撹拌した。ジクロロメタンで抽出たのち無水硫酸マグネシウムにて乾燥させ溶媒を除去し、茶色の油状物質を定量的(1.6g、4.2mmol)に得た。

0193

<ステップ4>
ステップ3で得られた生成物(1.6g、4.2mmol)をフラスコにいれ1−ブタノール20mlに溶解させ、US特許の20050202565を参考に合成したトリエチルアミン−ジシアノアルケンスクアリン酸塩(0.64g、2.0mmol)とキノリン(0.6g、4.7mmol)を添加した後、還流条件下で2時間撹拌した。反応溶液を濾過した後、ジクロロメタンとヘキサンにて再沈殿した。得られた茶色固体をフラッシュカラムクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン)にて精製し目的の茶色固体(0.67g、1.1mmol、収率55%)を単離した。

0194

得られた茶色固体を1H NMRにより同定し、化合物(X−11−3)であることを確認した。

0195

<光学特性>
以下のようにして色素(X)、色素(D)の光学特性を評価した。結果を表10に示す。
(ジクロロメタン中)
(1)モル吸光係数[L/(mol・cm)]
上記で準備した色素(X)、色素(D)のジクロロメタン中のモル吸光係数を測定した。

0196

(2)λmax−DCM(X)、(D)[nm]
色素(X)、色素(D)のジクロロメタンに溶解させた溶液で測定される波長400〜1100nmの分光透過率曲線における、最大吸収波長λmax−DCM(x)、最大吸収波長λmax−DCM(X)を測定した。

0197

(3)平均透過率:550−650[%]
ジクロロメタンにλmax−DCM(X)、(D)における透過率が10%となるように溶解させた溶液で測定される、波長400〜1100nmの分光透過率曲線において、550〜650nmの波長領域の光における平均透過率を求めた。

0198

(4)平均透過率:830−900[%]
上記(3)の分光透過率曲線において、830〜900nmの波長領域の光における平均透過率を求めた。

0199

(透明樹脂中)
(5)質量吸光係数[/(cm・質量%)]
上記で準備した色素(X)、色素(D)のそれぞれについて、ポリイミド樹脂C3G30(商品名;三菱ガス化学製)、シクロヘキサノン中で十分に撹拌し、均一に溶解した。得られた溶液をガラス板(D263;SCHOTT製)上に塗布し、乾燥して膜厚1.0μmの吸収層を得た。質量吸光係数は、波長350〜1200nmの範囲における最大吸収波長での光の内部透過率T[%](=実測透過率[%]/[100[%]−実測反射率[%]]×100[%])を算出し、−log10(T/100)によって計算した。

0200

(6)λmax−RE(X)、(D)[nm]
上記(5)と同様にして、膜厚1.0μmの吸収層付きガラス板を得た。波長400〜1100nmの吸収層付きガラス板の分光透過率曲線とガラス板の分光透過率曲線を用いて、吸収層の分光透過率曲線を得た。該分光透過率曲線における、最大吸収波長λmax−RE(X)、最大吸収波長λmax−RE(D)を測定した。

0201

(7)平均透過率:550−650[%]
上記(6)において色素(X)、色素(D)の添加量をλmax−RE(X)、(D)での光の透過率が10%になるように調整して吸収層付きガラス板を得た。波長400〜1100nmの吸収層付きガラス板の分光透過率曲線とガラス板の分光透過率曲線を用いて、吸収層の分光透過率曲線を得、550〜650nmの波長領域における光の平均透過率を求めた。

0202

(8)平均透過率:830−900[%]
上記(7)の分光透過率曲線において、830〜900nmの波長領域における光の平均透過率を求めた。

0203

色素残存率(耐光性)
上記(7)と同様にして吸収層付きガラス板を得、さらに、吸収層付きガラス板の吸収層上に蒸着機で誘電体多層膜からなる反射防止層を形成し耐光性試験用のサンプルとした。

0204

キセノンランプ光源とするウエザーメーター試験機(スガ試験機社製)を用いて得られたサンプルの耐光性試験を行った。波長300〜400nmにおいて積算光量で6000J/m2照射後に、最大吸収波長における色素の残存率を評価した。残存率は照射前の質量吸光係数に対する照射後の質量吸光係数の百分率として算出した。残存率が90%以上のものを「○」、80%以上90%未満を「△」とした。

0205

(吸収層(色素(A)を含む))
上記で準備した色素(X)、色素(D)のそれぞれについて、添加量をλmax−RE(x)、(D)での光の透過率が10%になるように調整して、さらに、色素(A)として化合物(I−12−24)を添加して、ポリイミド樹脂C3G30(商品名;三菱ガス化学製)、シクロヘキサノン中で十分に撹拌し、均一に溶解した。得られた溶液をガラス板(D263;SCHOTT製)上に塗布し、乾燥して膜厚1.0μmの吸収層を得た。表10にポリイミド樹脂100質量部に対する色素(X)または色素(D)および色素(A)の含有量[質量部]を併せて示す。

0206

波長400〜1100nmの吸収層付きガラス板の分光透過率曲線とガラス板の分光透過率曲線を用いて、吸収層の分光透過率曲線を得、(ii−1)550〜650nmの波長領域における光の平均透過率、(ii−2)680〜720nmの波長領域における光の平均透過率、(ii−3)810〜870nmの波長領域における光の平均透過率を求めた。

0207

0208

[例1〜7]
ガラス板(D263;SCHOTT製、厚さ;0.21mm)の一方の主面上に表11に示す吸収層をそれぞれ作製した。透明樹脂はポリイミド樹脂C3G30(商品名;三菱ガス化学製)を用い、吸収層の膜厚は1μmとした。表11中の色素の含有量は、透明樹脂100質量部に対する質量部であり、色素(X)、色素(D)のそれぞれについて、添加量をλmax−RE(x)、(D)での光の透過率が10%になるように調整した量である。得られた吸収層付きガラス板の他方の主面に誘電体多層膜からなる近赤外線反射領域を有する反射層を設計して光学フィルタとした。例1は実施例であり、例2〜7は比較例である。

0209

なお、用いた反射層の光学特性は、入射角0度において550〜650nmの波長領域における光の平均透過率が94[%]、入射角50度において810〜870nmの波長領域における光の透過面積が61[%nm]、入射角50度において846nmの波長領域における光の透過率が6.4[%]であった。

0210

得られた光学フィルタについて、入射角0度および入射角50度において、波長400〜1100nmの分光透過率曲線を測定し、以下の光学特性を評価した。結果を表11に示す。

0211

(i−1)入射角0度における550〜650nmの光の波長領域における平均透過率。
(i−2)入射角50度における810〜870nmの光の波長領域における透過面積。
(i−3)入射角50度における846nmの波長領域における光の透過率。

0212

0213

表11からわかるように、本フィルタの実施例である例1は、近赤外光の遮光性に優れ、高い角度で入射した光に対する入射角依存性を抑制できる、特には、高入射角での800〜900nmの波長域の光漏れを低減できるとともに、可視光の透過率が高く、表10に示すとおり耐光性にも優れる。なお、比較例である例6および例7の光学フィルタは表10に示すとおり吸収層の耐光性が十分ではない。

0214

[例8〜14]
例1〜7において、吸収層がさらに色素(A)として化合物(I−12−24)をポリイミド樹脂100質量部に対して3.9質量部含有する以外は全く同様にして、例8〜14の光学フィルタを作製した。例8は実施例であり、例9〜14は比較例である。

0215

得られた光学フィルタについて、入射角0度、入射角30度および入射角50度において、波長400〜1100nmの分光透過率曲線を測定し、上記(i−1)〜(i−3)および以下の光学特性を評価した。結果を表12に示す。

0216

(i−4)703〜739nmの波長領域における、入射角0度と入射角30度の光の透過率の差の平均。
(i−5)入射角0度における713〜763nmの波長領域における光の最大透過率。

0217

実施例

0218

表12からわかるように、色素(X)に加えて色素(A)を含有する本フィルタの実施例である例8は、近赤外光の遮光性に優れ、高い角度で入射した光に対する入射角依存性を抑制できる、特には、高入射角での800〜900nmの波長域の光漏れを低減できるとともに、可視光の透過率が高く、分光曲線は近赤外光と可視光の境界領域で傾きが急峻であり、耐光性にも優れる。

0219

本発明の光学フィルタは、近赤外光の遮光性に優れ、高い角度で入射した光に対する入射角依存性を抑制できる、特には、高入射角での800〜900nmの波長域の光漏れを低減できるとともに、可視光の透過率が高く、耐光性にも優れるので、近年、高性能化が進むデジタルスチルカメラ等の撮像装置等の用途に有用である。

0220

10A,10B…光学フィルタ、11…吸収層、12…反射層、13…透明基板、14…反射防止層。

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