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技術 OTDR装置

出願人 日本電信電話株式会社
発明者 山本貴司坂本泰志和田雅樹漆原梓中島和秀
出願日 2017年10月25日 (2年1ヶ月経過) 出願番号 2017-205738
公開日 2019年5月23日 (6ヶ月経過) 公開番号 2019-078637
状態 未査定
技術分野 光学装置、光ファイバーの試験 交流方式デジタル伝送
主要キーワード テプリッツ行列 ODT Golay符号 測定トレース 信号パルス列 時間領域反射 拡大量 損失分布
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

本発明は、OTDRによる光ファイバ損失分布測定において、1回の測定トレースでのダイナミックレンジを拡大し、全体の測定時間を短縮することを目的とする。

解決手段

本発明に係るOTDR装置301は、被測定光ファイバ50に試験光パルス入射し、被測定光ファイバ50中で発生する後方散乱光コヒーレント受信し、被測定光ファイバ50の損失分布測定を行なうOTDR装置であって、入力されたIQ変調信号列で前記試験光パルス毎にIQ変調を行う光変調器13と、前記IQ変調信号列を用いてコヒーレント受信した受信信号から被測定光ファイバ50の距離に対する損失分布を導出する演算を行う信号処理手段18と、を備えることを特徴とする。

概要

背景

光ファイバ通信システムにおいて、光ファイバケーブルの敷設時の損失試験故障箇所調査システム容量アップグレード時の再評価には、光時間領域反射測定器(Optical Time Domain Reflectometer、OTDR)(例えば、非特許文献1を参照。)を用いた損失分布測定が不可欠である。

OTDRのダイナミックレンジは、被測定光ファイバ(Fiber Under Test、FUT)の測定可能な長さと測定の信頼性を決定する重要なパラメータであり、ダイナミックレンジを拡大するための多くの技術が提案されている。最も単純な方法として、試験光パルス幅を広げることによってダイナミックレンジを増加させることができるが、これは空間分解能の低下をもたらす。コヒーレントOTDR(CoherentODTR、C−OTDR)は、コヒーレント検出による受信感度を改善し、直接検波OTDRと比較してダイナミックレンジを増加させる(例えば、非特許文献2、3、4を参照。)。

一方、200個の周波数チャネル試験光パルスを用いた周波数分割多重OTDR(FDM−OTDR)による13dBのダイナミックレンジ改善が報告されている(例えば、非特許文献5を参照。)。また、Golay符号(例えば、非特許文献6、7を参照。)やSimplex符号(例えば、非特許文献8を参照。)などの特定の符号で符号化された試験光パルスを使用することにより、符号化利得とダイナミックレンジを増加させることができる。

最も一般的に用いられているダイナミックレンジ拡大方法は、OTDR測定を繰返し行い、得られたデータを平均化することである。この場合、測定回数をNmeasとするとダイナミックレンジは(Nmeas)^(1/2)だけ改善される。

概要

本発明は、OTDRによる光ファイバの損失分布測定において、1回の測定トレースでのダイナミックレンジを拡大し、全体の測定時間を短縮することを目的とする。本発明に係るOTDR装置301は、被測定光ファイバ50に試験光パルスを入射し、被測定光ファイバ50中で発生する後方散乱光コヒーレント受信し、被測定光ファイバ50の損失分布測定を行なうOTDR装置であって、入力されたIQ変調信号列で前記試験光パルス毎にIQ変調を行う光変調器13と、前記IQ変調信号列を用いてコヒーレント受信した受信信号から被測定光ファイバ50の距離に対する損失分布を導出する演算を行う信号処理手段18と、を備えることを特徴とする。

目的

最も一般的に用いられているダイナミックレンジ拡大方法は、OTDR測定を繰返し行い、得られたデータを平均化することである

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

被測定光ファイバ試験光パルス入射し、前記被測定光ファイバ中で発生する後方散乱光コヒーレント受信し、前記被測定光ファイバの損失分布測定を行なうOTDR(OpticalTimeDomainReflectometer)装置であって、入力されたIQ変調信号列で前記試験光パルス毎にIQ変調を行う光変調器と、前記IQ変調信号列を用いてコヒーレント受信した受信信号から前記被測定光ファイバの距離に対する損失分布を導出する演算を行う信号処理手段と、を備えることを特徴とするOTDR装置

請求項2

前記信号処理手段が行う前記演算は、前記IQ変調信号列をベクトルxprobe=[xprobe(1),xprobe(2),・・・,xprobe(Nprobe)]、及び前記受信信号をベクトルxobs=[xobs(1),xobs(2),・・・,xobs(Nobs)]としたとき、信号列ベクトルxprobeに基づくテプリッツ行列xprobe,tplと、テプリッツ行列xprobe,tplのムーアペンローズ逆行列xprobe,tpl+とを導出し、ムーアペンローズ逆行列xprobe,tpl+と受信信号ベクトルxobsとを乗算して得られた列ベクトルを前記被測定光ファイバの距離依存性に換算する演算であることを特徴とする請求項1に記載のOTDR装置。

請求項3

前記被測定光ファイバの長さの範囲をNlength個に分類し、前記被測定光ファイバの損失分布測定における空間分解能設定値をNsr個に限定し、NlengthとNsrの組み合わせ数に対応する(Nlength×Nsr)個のムーアペンローズ逆行列xprobe,tpl+を予め保持する記憶素子をさらに備え、前記信号処理手段は、所望の前記被測定光ファイバの長さの範囲と所望の前記空間分解能の設定値に応じたムーアペンローズ逆行列xprobe,tpl+を前記記憶素子から取り出し、前記演算を行うことを特徴とする請求項2に記載のOTDR装置。

請求項4

前記信号処理手段は、前記IQ変調信号列と前記受信信号をフーリエ変換し、前記演算を周波数領域で行なうことを特徴とする請求項1に記載のOTDR装置。

請求項5

前記信号処理手段が行う前記演算は、前記IQ変調信号列をベクトルxprobe=[xprobe(1),xprobe(2),・・・,xprobe(Nprobe)]、及び前記受信信号をベクトルxobs=[xobs(1),xobs(2),・・・,xobs(Nobs)]としたとき、ベクトルxprobeの要素数とベクトルxobsの要素数が一致するようにベクトルxprobeにゼロの要素を付加したベクトルxprobe’=(xprobe(1),xprobe(2),・・・,xprobe(Nprobe),0,0,・・・,0)をフーリエ変換してベクトルXprobe=(Xprobe(1),Xprobe(2),・・・,Xprobe(Nobs))を導出し、ベクトルxobsをフーリエ変換してベクトルXobs=(Xobs(1),Xobs(2),・・・,Xobs(Nobs))を導出し、ベクトルXobsの各々の要素をベクトルXprobeの各々の要素で除算したベクトルHを逆フーリエ変換して得られた列ベクトルを前記被測定光ファイバの距離依存性に換算する演算であることを特徴とする請求項4に記載のOTDR装置。

技術分野

0001

本開示は、光通信システム分野において光信号伝送媒体である光ファイバ損失分布評価や破断点の位置を試験するOTDR装置に関する。

背景技術

0002

光ファイバ通信システムにおいて、光ファイバケーブルの敷設時の損失試験、故障箇所調査システム容量アップグレード時の再評価には、光時間領域反射測定器(Optical Time Domain Reflectometer、OTDR)(例えば、非特許文献1を参照。)を用いた損失分布測定が不可欠である。

0003

OTDRのダイナミックレンジは、被測定光ファイバ(Fiber Under Test、FUT)の測定可能な長さと測定の信頼性を決定する重要なパラメータであり、ダイナミックレンジを拡大するための多くの技術が提案されている。最も単純な方法として、試験光パルス幅を広げることによってダイナミックレンジを増加させることができるが、これは空間分解能の低下をもたらす。コヒーレントOTDR(CoherentODTR、C−OTDR)は、コヒーレント検出による受信感度を改善し、直接検波OTDRと比較してダイナミックレンジを増加させる(例えば、非特許文献2、3、4を参照。)。

0004

一方、200個の周波数チャネル試験光パルスを用いた周波数分割多重OTDR(FDM−OTDR)による13dBのダイナミックレンジ改善が報告されている(例えば、非特許文献5を参照。)。また、Golay符号(例えば、非特許文献6、7を参照。)やSimplex符号(例えば、非特許文献8を参照。)などの特定の符号で符号化された試験光パルスを使用することにより、符号化利得とダイナミックレンジを増加させることができる。

0005

最も一般的に用いられているダイナミックレンジ拡大方法は、OTDR測定を繰返し行い、得られたデータを平均化することである。この場合、測定回数をNmeasとするとダイナミックレンジは(Nmeas)^(1/2)だけ改善される。

先行技術

0006

M. K. Barnoski and S. M. Jensen, “Fiber waveguides: A novel technique for investigating attenuation characteristics”, Appl. Opt. 15(9), 2112−2115 (1976).
P. Healey and D. J. Malyon, “OTDRin single−mode fibre at 1.5 μm using heterodyne detection”, Electron. Lett. 18(20), 862−863 (1982).
Y. Koyamada, and H. Nakamoto, “High performance single mode OTDR using coherent detection and fibre amplifiers”, Electron. Lett. 26(9), 573−575 (1990).
H. Izumita, Y. Koyamada, S. Furukawa, and I. Sankawa, “The performance limit of coherent OTDR enhanced with optical fiber amplifiers due to optical nonlinear phenomena”, J. Lightw Technol. 12(7), 1230−1238 (1994).
H. Iida, K. Toge, and F. Ito, “200−subchannel ultra−high−density frequency division multiplexed coherent OTDR with nonlinear effect suppression”, in Proc. Optical Fiber Communication Conference 2013, paper OW1K.5.
M. Nazarathy, S. A. Newton,R. P. Giffard, D. S. Moberly, F. Sischka, W. R. Trutna, S. Foster, “Real−time long range complementary correlation optical time domain reflectometer”, J. Lightw. Technol. 7(1), 24−38 (1989).
H. Nakamoto, N. Ohta, and Y. Koyamada, “Use of signal processing techniques to improve the dynamic range of coherent OTDRs”. Electronics and Communications in Japan (Part I: Communications) 75(10), 42−54 (1992).
M. D. Jones, “Using simplex codes to improve OTDR sensitivity”,IEEE Photon. Technol. Letters. 5(7), 822−824 (1993).

発明が解決しようとする課題

0007

FDM−OTDRにおいては、試験光の周波数チャネル数を増やすことによってダイナミックレンジが拡大される。しかしながら、周波数チャネル数を増やすと各チャネル間の周波数間隔狭窄化し、試験光周波数間でのクロストークが発生し、OTDR測定の精度が劣化するという課題がある。また、補間相関Golay符号をC−OTDR測定において使用するとき、測定可能なFUTの長さが試験光光源位相雑音によって制限されると(例えば、非特許文献8を参照。)という課題もある。Simplex符号はGolay符号よりも大きな符号化利得を提供するが、多数の測定トレースが必要という課題がある。ダイナミックレンジ拡大のために測定回数を増大させることは海底ケーブルのOTDR測定に深刻な影響を与え得る。例えば、FUTの長さが12000kmで、Nmeas=2^16の場合、測定時間の合計は2時間を超えてしまう。

0008

本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、1回の測定トレースでのダイナミックレンジを向上し、且つ測定時間の短縮を可能とするOTDR装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

上記目的を達成するために、本発明に係るOTDR装置は、試験光として単一パルスではなくデータ変調された信号パルス列を用い、当該信号パルス列で発生した戻り光演算することでOTDR波形を得ることとした。

0010

具体的には、本発明に係るOTDR装置は、被測定光ファイバに試験光パルスを入射し、前記被測定光ファイバ中で発生する後方散乱光コヒーレント受信し、前記被測定光ファイバの損失分布測定を行なうOTDR(Optical Time Domain Reflectometer)装置であって、
入力されたIQ変調信号列で前記試験光パルス毎にIQ変調を行う光変調器と、
前記IQ変調信号列を用いてコヒーレント受信した受信信号から前記被測定光ファイバの距離に対する損失分布を導出する演算を行う信号処理手段と、
を備える。

0011

本OTDR装置は、試験光として単一パルスではなくデータ変調された信号パルス列を用いることによって、FUT内で発生する後方散乱光のパワーを増大させ、受信部での信号雑音比(signal to noise ratio、SNR)を改善する。その結果、受信後の信号処理によって導出されるOTDR波形のダイナミックレンジは、単一パルスを試験光として用いた場合よりも大きいものとなる。従って、本発明は、1回の測定トレースでのダイナミックレンジを向上し、測定時間の短縮を可能とするOTDR装置を提供することができる。

0012

本発明に係るOTDR装置は、時間領域で戻り光の信号処理を行う場合、次のように演算する。
前記信号処理手段が行う前記演算は、
前記IQ変調信号列をベクトルxprobe=[xprobe(1), xprobe(2),・・・,xprobe(Nprobe)]、及び
前記受信信号をベクトルxobs=[xobs(1), xobs(2),・・・,xobs(Nobs)]としたとき、
信号列ベクトルxprobeに基づくテプリッツ行列xprobe,tplと、テプリッツ行列xprobe,tplのムーアペンローズ逆行列xprobe,tpl+とを導出し、
ムーアペンローズ逆行列xprobe,tpl+と受信信号ベクトルxobsとを乗算して得られた列ベクトルを前記被測定光ファイバの距離依存性に換算する演算である。

0013

信号パルス列をFUTに入射した場合、戻り光は各パルスによる後方散乱光が重畳した光となる。本OTDR装置は、上記演算により戻り光を受光した受信信号から各パルス毎に後方散乱光の情報を分離して加算し、FUTの距離に対する損失分布に変換することでOTDR波形を得ている。

0014

本発明に係るOTDR装置は、前記被測定光ファイバの長さの範囲をNlength個に分類し、前記被測定光ファイバの損失分布測定における空間分解能の設定値をNsr個に限定し、NlengthとNsrの組み合わせ数に対応する(Nlength×Nsr)個のムーアペンローズ逆行列xprobe,tpl+を予め保持する記憶素子をさらに備え、
前記信号処理手段は、所望の前記被測定光ファイバの長さの範囲と所望の前記空間分解能の設定値に応じたムーアペンローズ逆行列xprobe,tpl+を前記記憶素子から取り出し、前記演算を行うことが好ましい。

0015

FUTが長いほど、また、試験光パルス幅が小さいほど、テプリッツ行列やムーアペンローズ逆行列のサイズは大きくなり、信号処理部での計算負荷の増大につながる。このため、FUTの長さ範囲とOTDR波形の空間分解能を複数種類に限定し、それぞれの組み合わせに応じて、テプリッツ行列やムーアペンローズ逆行列をあらかじめ計算し、その結果を信号処理部内の高速読み込み可能なメモリーに保存しておくことで、演算を短縮化できる。

0016

本発明に係るOTDR装置の前記信号処理手段は、前記IQ変調信号列と前記受信信号をフーリエ変換し、前記演算を周波数領域で行なうこととしてもよい。

0017

この場合、次のように演算する。
前記信号処理手段が行う前記演算は、
前記IQ変調信号列をベクトルxprobe=[xprobe(1), xprobe(2),・・・,xprobe(Nprobe)]、及び
前記受信信号をベクトルxobs=[xobs(1), xobs(2),・・・,xobs(Nobs)]としたとき、
ベクトルxprobeの要素数とベクトルxobsの要素数が一致するようにベクトルxprobeにゼロの要素を付加したベクトルxprobe’=(xprobe(1),xprobe(2),・・・,xprobe(Nprobe),0,0,・・・,0)をフーリエ変換してベクトルXprobe=(Xprobe(1),Xprobe(2),・・・,Xprobe(Nobs))を導出し、
ベクトルxobsをフーリエ変換してベクトルXobs=(Xobs(1),Xobs(2),・・・,Xobs(Nobs))を導出し、
ベクトルXobsの各々の要素をベクトルXprobeの各々の要素で除算したベクトルHを逆フーリエ変換して得られた列ベクトルを前記被測定光ファイバの距離依存性に換算する演算である。

発明の効果

0018

本発明は、1回の測定トレースでのダイナミックレンジを向上し、測定時間の短縮を可能とするOTDR装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

0019

本発明に係るOTDR装置の第1実施形態の構成を示すブロック図である。
本発明に係るOTDR装置における受信パワー時間変化を3種類の試験光(単一パルス、BPSK信号QPSK信号)、4種類の試験光パルス幅(10000ns、1000ns、100ns、10ns)について比較する図である。
本発明に係るOTDR装置における平均受信パワーの試験光パルス幅依存性を3種類の試験光(単一パルス、BPSK信号、QPSK信号)について比較する図である。
試験光が単一パルスである場合のOTDR波形を4種類の試験光パルス幅(10000ns、1000ns、100ns、10ns)について比較する図である。
試験光がBPSK信号である場合の本発明に係るOTDR装置におけるOTDR波形を4種類の試験光パルス幅(10000ns、1000ns、100ns、10ns)について比較する図である。
試験光がQPSK信号である場合の本発明に係るOTDR装置におけるOTDR波形を4種類の試験光パルス幅(10000ns、1000ns、100ns、10ns)について比較する図である。
本発明に係るOTDR装置におけるダイナミックレンジの試験光パルス幅依存性を3種類の試験光(単一パルス、BPSK信号、QPSK信号)について比較する図である。

実施例

0020

以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。

0021

(実施形態1)
図1は、本実施形態のOTDR装置301を説明するブロック図である。OTDR装置301は、被測定光ファイバ50に試験光パルスを入射し、被測定光ファイバ50中で発生する後方散乱光をコヒーレント受信し、被測定光ファイバ50の損失分布測定を行なうOTDR装置であって、
入力されたIQ変調信号列で前記試験光パルス毎にIQ変調を行う光変調器13と、
前記IQ変調信号列を用いてコヒーレント受信した受信信号から被測定光ファイバ50の距離に対する損失分布を導出する演算を行う信号処理手段18と、
を備えることを特徴とする。

0022

以下に本OTDR装置301の動作原理を示す。レーザ光源11から出力されたCW光は、光カプラ12によって2つに分割され、出力の1つは、コヒーレント受信器16のローカル光として使用され、他方は試験光パルスを生成する光変調器13に結合される。試験光パルスは、光サーキュレータ14を介して被測定光ファイバ(FUT)50に結合される。試験光パルスの一部は、被測定光ファイバ50中のレイリー散乱や、接続点故障点でのフレネル反射によって後方反射される。反射された試験光パルスは、光サーキュレータ14を介してコヒーレント受信器16に結合され、受信された試験光の振幅および位相が測定される。

0023

従来のOTDR装置においては、光変調器を駆動する電気信号として単一パルス(インパルス)信号が用いられるのに対し、OTDR装置301は、IQ変調信号列発生手段15から出力されるQPSK信号等のIQ変調信号列によって光変調器13が駆動され、その結果、光変調器13からIQ変調信号光が出力される。ここでIQ変調信号列の信号情報信号パターン)は固定パターンであり、OTDR装置301の使用者はその信号情報を把握しているものとする。なお、IQ変調信号列発生手段15はパルス・パターンジェネレータファンクション・ジェネレータ等の装置、若しくはこれらの装置の機能を本発明に適した形で限定的に実現した装置によって構成される。

0024

ここで試験光をパルス列と考え、次式のようにNprobe個の要素からなる列ベクトルxprobeで表わす。



本実施形態では、試験光として、単一パルス、BPSK信号、QPSK信号の3通りを考える。それぞれを次式で表わす。

0025

OTDRの空間分解能ΔLsrは次式で与えられる。



ここで、cは真空中の光速度、T0は試験光のパルス幅、ngは被測定光ファイバの群屈折率である。

0026

被測定光ファイバの後方散乱インパルス応答を次式のようにNh個の要素からなる列ベクトルhとする。



Nhは次式で与えられる。



ここで、LFUTは被測定光ファイバの長さ、LextraはLFUTを超えた領域での雑音のパワーを考慮するために付与される長さである。

0027

hは時間依存性を表わすベクトルであるが、これをファイバ長さ依存性に換算したものがOTDR波形である。また、hは複素ベクトルであり、その各要素の絶対値は、被測定光ファイバの損失、レイリー後方散乱係数、空間分解能ΔLsrによって決まる。本計算においては、hの各要素の位相はランダム固定値であるとする。

0028

コヒーレント受信器16で受信される信号をxrecとすると、xrecはxprobeとhの畳込みで表される。



xrecの要素数は次式で与えられる。



数8の畳込みは、xprobeをテプリッツ行列化したxprobe、tplとベクトルhの乗算で表すことができる。



ここで行列xprobe、tplは次式で与えられる。



xprobe、tplの行数はNrec、列数はNhである。

0029

コヒーレント受信器で付与される雑音は白色ガウス雑音として表現されるショット雑音である。このショット雑音を次式のような要素数NrecのベクトルxWGNとして考える。



コヒーレント受信器で観測される信号xobsはxrecとxWGNの和であることから、次式が得られる。



xprobe、tplは縦長の行列であるから(Nrec>Nh)、xprobe、tplのムーアペンローズ逆行列を数13の両辺の左側から乗算することによって次式が得られる。



ここで、xprobe、tpl+はxprobe、tplのムーアペンローズ逆行列であり、次の関係式が用いられた。



但し、INhは行数、列数がともにNhである単位行列である。

0030

実際の測定においては雑音xWGNの情報を得ることはできないので、信号処理手段内での次式を用いた演算により、xobsのみからhを推定する必要がある。推定するhをhetmと記載する。



受信器で付与される雑音によって、hとhetmとの間の差が生じる。

0031

試験光ベクトルの要素数Nprobeが増えるほどコヒーレント受信器に入射される後方散乱光のパワーが増大し、コヒーレント受信器での信号対雑音比が改善され、その結果、OTDR装置の1回の測定トレースでのダイナミックレンジが改善される。しかしながら、試験光ベクトルの要素数Nprobeの最大値はレーザ光源の位相雑音(即ち線幅Δν)によって制限される。即ち、試験光パルス列を発生している途中でレーザ光源の位相が変化すると、hを正しく推定することができなくなる。ここで、レーザ光源のコヒーレンス時間τcの間においては出力光の位相が一定であるとする。この場合、Nprobeの最大値は次式で与えられる。



数17より、試験光パルス幅T0とレーザ光源の線幅Δνの積が小さいほどOTDRのダイナミックレンジの拡大量が大きいことが分かる。

0032

被測定光ファイバが長いほど、また、試験光パルス幅が小さいほど、数11で与えられる行列のサイズは大きくなり、これは信号処理部での計算負荷の増大につながる。しかしながら、被測定光ファイバの長さの範囲をNlength個に分類・設定し、OTDR波形の空間分解能をNsr種類に限定し、それぞれの組み合わせに応じて、Nlength×Nsr個のxprobe、tplをあらかじめ計算し、その結果を信号処理部内の高速読み込み可能なメモリーに保存しておくことで、数16の計算を短時間で実現することが可能となる。

0033

続いて、ここまで述べた動作原理に基づくOTDR装置について、シミュレーションを行った結果を示す。レーザ光源の線幅はΔν=1kHzとした。これはコヒーレンス時間τc=797.9μsに相当する。単一パルス、BPSK信号、QPSK信号のパルス幅はT0=10000、1000、100、10nsのいずれかに設定した。これらのパルス幅はそれぞれ、変調信号における要素数の上限Nprobe=80、798、7979、79789個に相当する。BPSK信号、QPSK信号の信号パターンはランダムな固定値とした。被測定光ファイバに入射する試験光のピークパワーは10mWとした。被測定光ファイバは長さLFUT=100km、損失α=0.2dB/km、群屈折率ng=1.46、レイリー後方散乱係数Rrbs=4.7E−8m−1とした。また、被測定光ファイバの終端でのフレネル反射のパワー比を−14dBとした。

0034

図2は、試験光が単一パルス、BPSK信号、およびQPSK信号の場合の単一トレースにおける受信パワーの比較を示す図である。図2(a)はT0=10000nsの場合、図2(b)はT0=1000nsの場合、図2(c)はT0=100nsの場合、図2(d)はT0=10nsの場合である。図2横軸は、Trtを被測定光ファイバ内の単一パルス試験光の往復時間とした場合のTrtによって正規化された時間を表わす。単一パルス試験光の場合、時間とともに受信電力が減少し、また、パルス幅を短くするほどSNRが低下することが示されている。BPSKまたはQPSK信号列を被測定光ファイバに入射した場合、信号パターンに依存して受信パワーは時間とともに変動するが、多くの試験光パルスが次々に被測定光ファイバに入射されるため、受信パワーは単一パルス試験光の場合よりもはるかに大きくなっている。

0035

図3は、平均受信パワー(受信パワーの時間平均)と試験光パルス幅の関係を示す図である。単一パルス試験光の平均受信パワーは、試験光パルス幅を短くするにつれて減少していることが分かる。一方、BPSK信号およびQPSK信号の平均受信パワーは、パルス幅によらずほぼ一定であり、また、QPSK信号の方がBPSK信号よりも約3dB平均受信パワーが大きい。図3には、受信器におけるショット雑音パワーの試験光パルス幅依存も示されている。コヒーレント受信器の帯域幅が試験光パルス幅の逆数に比例するため、試験光のパルス幅を短くするとショット雑音パワーは増加する。これは、試験光パルス幅を減少させるにつれてダイナミックレンジを劣化させることにつながる。

0036

図4図5図6は、試験光がそれぞれ単一パルス、BPSK信号、QPSK信号である場合について、数16を用いて計算されたOTDR波形をプロットしたものである。それぞれの図で(a)はT0=10000nsの場合、(b)はT0=1000nsの場合、(c)はT0=100nsの場合、(d)はT0=10nsの場合である。いずれの試験光においても、パルス幅が小さくなると被測定光ファイバの遠端におけるSNRが低下することが分かる。SNRの劣化は試験光が単一パルスであるときに顕著であり、試験光パルス幅が10nsの場合、OTDR波形のほぼ全体が雑音に埋もれた状態になっている。一方、BPSK、及びQPSK信号においては、単一パルスの場合よりも全体的にSNRの高いOTDR波形が得られている。パルス幅が10nsと小さい場合でも、被測定光ファイバの遠端点の位置がはっきりと識別可能である。

0037

図7は、ダイナミックレンジと試験光パルス幅の関係を示す図である。試験光のパルス幅を短くするにつれて、OTDRのダイナミックレンジは減少するが、その減少率はBPSK、及びQPSK信号の方が、単一パルス試験光よりも小さい。したがって、試験光のパルス幅を短くするにつれてBPSK、及びQPSK信号の方がより大きいダイナミックレンジを実現できる。また、QPSK信号は、BPSK信号よりも1.6〜1.8dB高いダイナミックレンジを実現している。T0=10nsで単一パルスの代わりにQPSK信号を使用することにより、20dBを超えるダイナミックレンジの改善が実現されることが分かる。

0038

(実施形態2)
実施形態1では信号処理部18が時間領域で演算を行った。本実施形態では、信号処理部18が演算を周波数領域で行なう。周波数領域で演算を行うことによって、任意の被測定光ファイバ長、及び任意の空間分解能(即ち、試験光パルス幅)における演算を短い時間で完了することが可能となる。以下に、この周波数領域での演算によるOTDR波形の導出手順を示す。

0039

まずIQ変調信号列xprobeの要素数Nprobeが受信器で観測される信号光xobsの要素数Nobsと一致するように、ベクトルxprobeの後段に適当な要素数のゼロを付加したxprobe’を考える。



数18をフーリエ変換することで試験光ベクトルを周波数領域での表現に変換する。

0040

コヒーレント受信器16で観測される信号xobsについてもフーリエ変換を行なう。



ベクトルXobsの各々の要素をベクトルXprobeの各々の要素で除算することにより、要素数NobsのベクトルHが得られる。



このHの逆フーリエ変換を計算することによってOTDR波形hが得られる。

0041

本実施形態においてはフーリエ変換や逆フーリエ変換の計算が必要であるが、実施形態1の数14におけるムーアペンローズ逆行列の導出と比較すると、特にNobsが大きい場合に、その計算量は少なくて済む。

0042

本発明は、光通信システムにおける伝送媒体である光ファイバの損失分布測定を短時間、且つ、高精度に実現するものであり、現存の光通信システムの信頼性の維持や、新規光通信システムの構築を目的として利用することが可能である。

0043

11:光源
12:光カプラ
13:光変調器
14:光サーキュレータ
15:IQ変調信号列発生手段
16:コヒーレント受信器
17:A/D変換器
18:信号処理手段
19:記憶素子
50:被測定光ファイバ
301:OTDR装置

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