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課題

メトキシシラン系第4級アンモニウム塩を含む抗ウィルス剤バインダーとを、1回の加工で同浴で付与できる製品を提供することを課題とする。また、抗ウィルス剤が洗濯耐久性を有するように固定化され、洗濯後抗ウィルス効果が維持される布帛を提供することを課題とする。

解決手段

メトキシシラン系第4級アンモニウム塩を含む抗ウィルス剤と、アクリル酸由来する構成単位と、エステル部分炭素数が4〜10であるアクリル酸エステルに由来する構成単位とを含む共重合ポリマーと、炭素数1〜5の低級アルコールと、水と、を含む組成物である。

概要

背景

近年、環境衛生に対する意識の高まりと関連して、多くの抗菌抗ウィルス剤や、抗菌・抗ウィルス剤を付与した素材が開発されてきた。ケイ素を含む抗菌剤・抗ウィルス剤として、加水分解可能な基を含むオルガノシラン化合物が公知である。これらの中で、素材の表面に固定化可能な抗ウィルス剤として、エトキシシラン系第4級アンモニウム塩が知られている(特許文献1)。この抗ウィルス剤は、分子中に、抗ウィルス性発現する比較的長鎖アルキル基を有するアンモニウム基と、素材の表面と共有結合を形成し得るアルコキシシリル基とを有しており、アルコキシシリル基が、無機材料等の表面に存在するヒドロキシル基等の含酸素官能基と反応し、共有結合を形成することによって、材料の表面に強固に固定化されるという特徴がある。

一方、前記の抗ウィルス剤を、表面に含酸素官能基を有さない物品、例えばポリエステル繊維等の合成繊維ポリプロピレン等の樹脂材料等に固定化する場合には、前処理の工程が必要とされていた。特許文献1には、物品の表面に含酸素官能基を付与するために、抗ウィルス剤を付与する前に、物品に対してオゾン水処理を行うことも開示されている。

また特許文献2には、合成樹脂の物品に前記の抗ウィルス剤を固定化する場合、抗ウィルス剤の固定化に先立ってプラズマ処理を行うことによって、合成樹脂がポリメタクリル酸メチル樹脂ポリエチレンテレフタレート樹脂である場合にも、抗ウィルス剤を効率的に固定化できることが開示されている。また特許文献3には、上記の抗ウィルス剤を物品の表面に固定化するために、オゾン水処理のほか、マイクロ波照射を行うことが記載されている。オゾン水処理及びマイクロ波照射はいずれも、物品の表面に−OH基や−CHO基(アルデヒド基)、又は−O−基等を生じさせるために行われている。

さらに特許文献4には、上記の抗ウィルス剤を合成繊維に固定化するために、抗ウィルス剤の固定化処理に先立って、合成繊維にカルボキシル基を有するバインダーを付与することが開示されている。特許文献4の発明によれば、ポリエステル繊維などの合成繊維等に対して、好適に抗ウィルス剤を付与できる。

概要

メトキシシラン系第4級アンモニウム塩を含む抗ウィルス剤とバインダーとを、1回の加工で同浴で付与できる製品を提供することを課題とする。また、抗ウィルス剤が洗濯耐久性を有するように固定化され、洗濯後抗ウィルス効果が維持される布帛を提供することを課題とする。メトキシシラン系第4級アンモニウム塩を含む抗ウィルス剤と、アクリル酸由来する構成単位と、エステル部分炭素数が4〜10であるアクリル酸エステルに由来する構成単位とを含む共重合ポリマーと、炭素数1〜5の低級アルコールと、水と、を含む組成物である。なし

目的

本発明は、メトキシシラン系第4級アンモニウム塩を含む抗ウィルス剤とバインダーとを、1回の加工で同浴で付与できる製品を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

メトキシシラン系第4級アンモニウム塩を含む抗ウィルス剤と、アクリル酸由来する構成単位と、エステル部分炭素数が4〜10であるアクリル酸エステルに由来する構成単位とを含む共重合ポリマーと、炭素数1〜5の低級アルコールと、水と、を含む組成物

請求項2

前記共重合ポリマーが、アクリル酸に由来する構成単位と、アクリル酸ブチル及びアクリル酸2−エチルヘキシルから選択される1種以上に由来する構成単位とを含む共重合ポリマーである、請求項1に記載の組成物。

請求項3

前記共重合ポリマーが、さらに、アクリル酸エチルに由来する構成単位を含む、請求項1又は2に記載の組成物。

請求項4

前記共重合ポリマーが、アクリル酸エチル及びアクリル酸ブチルに由来する構成単位を含み、アクリル酸エチルとアクリル酸ブチルとのモノマー比が2.5:1〜1:2である、請求項3に記載の組成物。

請求項5

前記メトキシシラン系第4級アンモニウム塩が、下記式(1)で表される構造の化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。

請求項6

請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物が処理されている、布帛

請求項7

(1)請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物を含む処理液を調製する工程、及び、(2)前記処理液と布帛とを接触させる工程、を含む、抗菌・抗ウィルス機能を有する布帛の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、抗ウィルス剤を含む組成物、及び、当該組成物で処理された布帛に関する。

背景技術

0002

近年、環境衛生に対する意識の高まりと関連して、多くの抗菌・抗ウィルス剤や、抗菌・抗ウィルス剤を付与した素材が開発されてきた。ケイ素を含む抗菌剤・抗ウィルス剤として、加水分解可能な基を含むオルガノシラン化合物が公知である。これらの中で、素材の表面に固定化可能な抗ウィルス剤として、エトキシシラン系第4級アンモニウム塩が知られている(特許文献1)。この抗ウィルス剤は、分子中に、抗ウィルス性発現する比較的長鎖アルキル基を有するアンモニウム基と、素材の表面と共有結合を形成し得るアルコキシシリル基とを有しており、アルコキシシリル基が、無機材料等の表面に存在するヒドロキシル基等の含酸素官能基と反応し、共有結合を形成することによって、材料の表面に強固に固定化されるという特徴がある。

0003

一方、前記の抗ウィルス剤を、表面に含酸素官能基を有さない物品、例えばポリエステル繊維等の合成繊維ポリプロピレン等の樹脂材料等に固定化する場合には、前処理の工程が必要とされていた。特許文献1には、物品の表面に含酸素官能基を付与するために、抗ウィルス剤を付与する前に、物品に対してオゾン水処理を行うことも開示されている。

0004

また特許文献2には、合成樹脂の物品に前記の抗ウィルス剤を固定化する場合、抗ウィルス剤の固定化に先立ってプラズマ処理を行うことによって、合成樹脂がポリメタクリル酸メチル樹脂ポリエチレンテレフタレート樹脂である場合にも、抗ウィルス剤を効率的に固定化できることが開示されている。また特許文献3には、上記の抗ウィルス剤を物品の表面に固定化するために、オゾン水処理のほか、マイクロ波照射を行うことが記載されている。オゾン水処理及びマイクロ波照射はいずれも、物品の表面に−OH基や−CHO基(アルデヒド基)、又は−O−基等を生じさせるために行われている。

0005

さらに特許文献4には、上記の抗ウィルス剤を合成繊維に固定化するために、抗ウィルス剤の固定化処理に先立って、合成繊維にカルボキシル基を有するバインダーを付与することが開示されている。特許文献4の発明によれば、ポリエステル繊維などの合成繊維等に対して、好適に抗ウィルス剤を付与できる。

先行技術

0006

特開2011−98976号公報
特開2007−126557号公報
WO2009/136561号公報
WO2013/047642号公報

発明が解決しようとする課題

0007

上述のとおり、エトキシシラン系第4級アンモニウム塩を物品の表面に固定化するために様々な方法が提案されているが、プラズマ処理を行うためにはプラズマ処理装置が必要となる。また、オゾン水処理やマイクロ波照射を行うためには、それぞれオゾン水を供給する設備や、マイクロ波を発生させるための専用の設備が必要となっていた。また、バインダーを付与する発明では、最初にバインダーの付与、その後に抗ウィルス剤の付与の2回に分けて加工を行うことが必要であり、生産効率コストを考えた時に不利益であった。また、抗ウィルス剤とカルボキシル基を有する樹脂成分の相溶性および抗ウィルス性能の検証は行われていなかった。

0008

この状況に鑑み本発明は、メトキシシラン系第4級アンモニウム塩を含む抗ウィルス剤とバインダーとを、1回の加工で同浴で付与できる製品を提供することを課題とする。さらに、本発明は、抗ウィルス剤が洗濯耐久性を有するように固定化され、洗濯後抗ウィルス効果が維持される布帛を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0009

発明者らは、上記課題について検討を進め、抗ウィルス剤としてメトキシシラン系第4級アンモニウム塩を含むものを用いることとし、バインダーとしてカルボキシル基を含むポリマー、具体的には(メタアクリル酸を含む共重合ポリマーを含むものを用いることとした。そして、メトキシシラン系第4級アンモニウム塩と、特定のアクリル酸及びアクリル酸エステルの共重合ポリマーとを併用した場合には、抗ウィルス剤とバインダーの相溶性が良好で、抗ウィルス剤を1回の加工で製品に固定化することが可能で、また、耐久性にも優れた抗菌性を有する布帛を得られることを見出し、本発明を完成した。
なお、本明細書中で「カルボキシル基を有する」とは、組成物中や布帛の表面に存在するカルボキシル基が、解離していないフリーのカルボキシル基(−COOH)として存在する場合だけでなく、末端水素原子離脱してカルボキシラートアニオンになっている場合やカルボキシラートアニオンと抗ウィルス剤分子とが化学的に結合している場合も、特に断りのない限り、含むものとする。

0010

すなわち、本発明は次の構成を有する。
[1]メトキシシラン系第4級アンモニウム塩を含む抗ウィルス剤と、
アクリル酸に由来する構成単位と、エステル部分炭素数が4〜10であるアクリル酸エステルに由来する構成単位とを含む共重合ポリマーと、
炭素数1〜5の低級アルコールと、
水と、
を含む組成物。
[2]前記共重合ポリマーが、アクリル酸に由来する構成単位と、アクリル酸ブチル及びアクリル酸2−エチルヘキシルから選択される1種以上に由来する構成単位とを含む共重合ポリマーである、[1]に記載の組成物。
[3]前記共重合ポリマーが、さらに、アクリル酸エチルに由来する構成単位を含む、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]前記共重合ポリマーが、アクリル酸エチルに由来する構成単位及びアクリル酸ブチルに由来する構成単位を含み、アクリル酸エチルに由来する構成単位とアクリル酸ブチルに由来する構成単位とのモノマー比が2.5:1〜1:2である、[3]に記載の組成物。
[5]前記メトキシシラン系第4級アンモニウム塩が、下記式(1)で表される構造の化合物である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の組成物。



[6][1]〜[5]のいずれか1項に記載の組成物が処理されている、布帛。
[7](1)[1]〜[5]のいずれか1項に記載の組成物を含む処理液を調製する工程、及び、
(2)前記処理液と、布帛とを接触させる工程、
を含む、抗ウィルス機能を有する布帛の製造方法。

発明の効果

0011

本発明の組成物は、1液中に、メトキシシラン系第4級アンモニウム塩を含む抗ウィルス剤とバインダーとを含むものであり、表面にヒドロキシル基を持たない合成繊維等に対しても、1度の加工で抗ウィルス剤を付与することができる。つまり、抗ウィルス剤処理に先立つ前処理の工程が不要となり、生産効率及びコスト面で有利である。また、本発明の組成物は、水等に希釈して処理液を調製し、布帛への加工を行う際にも樹脂カス等を発生することが無く、安定性に優れる。さらに、本発明の組成物を処理した布帛は、抗ウィルス剤が洗濯耐久性を有するように固定化され、多数回の洗濯後も抗ウィルス効果が維持される。本発明の製造方法は、従来、前処理と抗ウィルス剤処理とを2段階で行っていたところ、1段階での処理を可能にした方法であり、特別な設備を用いることなく低コストで安定的かつ効率的に、抗ウィルス性を有する布帛を製造することができる。

0012

(抗ウィルス剤)
本発明の組成物に含まれる抗ウィルス剤は、メトキシシラン系第4級アンモニウム塩を含む抗ウィルス剤であり、メトキシシラン系第4級アンモニウム塩は、抗ウィルス性を発現する比較的長鎖のアルキル基を有するアンモニウム基と、布帛表面のバインダーと共有結合を形成し得るアルコキシシリル基とを有している。メトキシシラン系第4級アンモニウム塩として具体的には、下記一般式(2)で表される化合物がある。

0013

(式(2)中、R1は炭素原子数12〜24のアルキル基を示し、R2及びR3は同一又は異なっていてもよい炭素原子数1〜6の低級アルキル基を示し、Xはハロゲンイオン又は有機カルボニルオキシイオン有機カルボン酸イオン)を示す。)

0014

式(2)中のXとしては、塩素イオン臭素イオンなどのハロゲンイオン、メチルカルボニルオキシイオン(アセテートイオン)、エチルカルボニルオキシイオン(プロピオネートイオン)、フェニルカルボニルオキシイオン(ベンゾエートイオン)などの有機カルボニルオキシイオン(有機カルボン酸イオン)を例示することができる。

0015

式(2)中のR1の炭素原子数12〜24のアルキル基としては、ドデシル基トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ウンエイコシル基、ドエイコシル基、トリエイコシル基、テトラエイコシル基などが例示できる。

0016

式(2)中のR2及びR3の同一又は異なっていてもよい炭素原子数1〜6の低級アルキル基としては、たとえば、メチル基エチル基プロピル基イソプロピル基ブチル基、ペンチル基、へキシル基シクロヘクシル基などを例示することができる。

0017

上記一般式(2)で表されるメトキシシラン系第4級アンモニウム塩の具体例としては、オクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピルアンモニウムクロライドドデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ドデシルジイソプロピル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジエチル(3−トリメトキシシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジ−n−プロピル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジエチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジ−n−プロピル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジエチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジ−n−プロピル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジエチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジ−n−プロピル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド等が挙げられ、これらの中でも、より生体毒性や使用時の環境負荷廃液の環境負荷の少ないオクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド(下記化学式(1))が好ましい。

0018

0019

本発明の組成物に含まれる抗ウィルス剤は、上記のメトキシシラン系第4級アンモニウム塩の1種又は2種以上であってもよいし、さらに他の抗ウィルス剤と併用することもできる。上記のメトキシシラン系第4級アンモニウム塩は、グラム陽性菌グラム陰性菌に対する抗菌(制菌)効果、及び、インフルエンザウィルスはしかウィルス等のエンベロープウィルスに対しても抗ウィルス作用を有している(以後、抗菌効果及び抗ウィルス効果をまとめて、抗ウィルス効果ということがある。)。さらに、抗ウィルス効果以外にも、制電効果防臭効果も同時に有するものと考えられている。

0020

抗ウィルス剤の濃度は、組成物中に安定に維持され、本発明の効果が得られる限り特に制限されないが、例えば、本発明の組成物中、未希釈の状態で0.01〜50重量%含まれるものとでき、0.02〜20重量%含まれていればより好ましい。また、布帛に処理を行う時には、処理液中の抗ウィルス剤濃度を0.01〜1.5重量%とでき、0.02〜0.45重量%であればより好ましい。

0021

(共重合ポリマー)
本発明の組成物は、アクリル酸系共重合ポリマーを含有する。アクリル酸系共重合ポリマーは、バインダーとして、繊維の表面に抗ウィルス剤を固定化する機能を有すると考えられている。アクリル酸系共重合ポリマーとしては、少なくともアクリル酸と1種類以上のアクリル酸エステルとを共重合したポリマーがある。本発明に用いられる共重合ポリマーでは、アクリル酸エステルとして、エステル部分の炭素数が4〜10であるアクリル酸エステルを使用することを特徴としている。エステル部分の炭素数が4〜10であるアクリル酸エステルとしては、アクリル酸n−ブチルアクリル酸イソブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。これらのアクリル酸エステルを1種類又は2種類以上組み合わせて、アクリル酸との共重合ポリマーとすることが好ましい。共重合ポリマーには、さらに、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、特にアクリル酸エチルを共重合することも好ましい。

0022

本発明に用いられる共重合ポリマーのモノマーであるアクリル酸エステルとしては、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルを用いることが特に好ましく、アクリル酸エチルとアクリル酸ブチルの組み合わせを用いることも特に好ましい。アクリル酸とこれらのアクリル酸エステルとを共重合した共重合ポリマーは、抗ウィルス剤との相溶性が高く、布帛に抗菌処理を行うための処理液において、樹脂カスが生じにくい。

0023

共重合ポリマーが、モノマーとして、アクリル酸エチル及びアクリル酸ブチルを含む場合、アクリル酸エチルとアクリル酸ブチルとのモノマー比(重量比)は、2.5:1〜1:2であることが好ましい。また、共重合ポリマーにおけるアクリル酸の割合は40〜55重量%(モノマーの重量%)、アクリル酸エステルが60〜45重量%とすることが特に好ましい。

0024

共重合ポリマーには、本発明の効果を有する限りにおいて、上記以外のモノマーが共重合されていてもよい。このようなモノマーとしては例えば、メタクリル酸メタクリル酸エステルイタコン酸フマル酸マレイン酸カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。メタクリル酸エステルとしてはメタクリル酸メチルメタクリル酸エチルメタクリル酸n−ブチルメタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ペンチル等が挙げられる。

0025

本発明の組成物は、上記の抗ウィルス剤及び共重合ポリマーが、低級アルコール及び/又は水に、溶解、懸濁又は分散されていることが好ましい。低級アルコールとしてはメタノールエタノールイソプロパノールブチルアルコールグリセリン等が挙げられ、人体への影響の観点からはメタノール又はエタノールであることが好ましい。例えば、エタノールと水との混合溶媒を用いてもよく、メタノール、エタノール、水の混合溶媒であってもよい。エタノールと水とを用いる場合、エタノールと水の割合は、例えば、99:1〜1:99とすることができる。

0026

また本発明の組成物には、各種の添加剤等が含まれていてもよい。例えば、本発明の効果を妨げない限りにおいて、分散安定剤、乳化剤増粘剤防腐剤緩衝材pH調整剤等が含まれていてもよい。

0027

(布帛)
本発明はまた、前記の組成物が処理されている布帛に関する。メトキシシラン系第4級アンモニウム塩を含む抗ウィルス剤は、従来、含酸素官能基を表面に有さない布帛には固定化されにくく、固定化を行う場合には前処理が必要とされていたが、本発明の組成物によれば、1回の処理で、すなわち同浴で、バインダーと抗ウィルス剤とを布帛に付与することができる。布帛は、織物編物、不織布のいずれであってもよく、用途及び目的によって適宜選択できる。布帛の材質は、天然繊維化学繊維、又はこれらの組み合わせであってもよく、天然繊維としては綿、ウール等、化学繊維としてはポリエステルポリウレタンポリアミドレーヨンアクリル等が挙げられ、これらを単独、又は組み合わせた布帛を選択することができる。さらに、用途及び意匠の観点から、他の繊維、例えば、金属繊維ガラス繊維等の無機繊維が含まれていてもよい。また、これらの布帛に対して各種の加工、例えば、難燃加工防汚加工等がされた布帛であってもよい。例えば、自動車シート等の車両内装用途では主にポリエステル系布帛が選択される。

0028

布帛のうち、例えば綿やウール等の表面にヒドロキシル基を有する繊維には、上記の抗ウィルス剤を比較的固定化しやすいが、さらに本発明の組成物を用いると、1回の処理で、多回数洗濯を経ても抗ウィルス剤が脱落しない洗濯耐久性にも優れた布帛を得ることができる。

0029

布帛に付与される抗ウィルス剤及びバインダーの付着量は、本発明の効果を有する限り特に制限されないが、例えば、抗ウィルス剤の付着量を0.01〜50g/m2とでき、0.03〜4g/m2とすることがより好ましい。抗ウィルス剤が0.01g/m2よりも少ないと十分な抗ウィルス効果を得ることが難しく、4g/m2を超えると燃焼性低下のおそれがある。また、バインダーの付着量は0.01〜50g/m2とでき、0.06〜4g/m2とすることがより好ましい。バインダーが0.06g/m2よりも少ないと抗ウィルス剤の洗濯耐久性が低下するおそれがあり、4g/m2を超えると素材の柔らかさが損なわれるおそれがある。

0030

布帛にはさらに、本発明の効果を有する限りにおいて、さらなる添加剤等が含まれていてもよい。このような添加剤等としては例えば、例えば、着色剤酸化防止剤光安定剤紫外線吸収剤難燃剤柔軟剤や他の熱可塑性樹脂等が添加されていてもよい。

0031

(製造方法)
本発明の組成物に含まれるバインダーである共重合ポリマーは、従来公知の方法でモノマー成分を重合して製造することができ、例えば、固形分が10〜50重量%である水系分散体又は乳化液として入手可能である。また、本発明の組成物に含まれる抗ウィルス剤は例えば、固形分が40〜80重量%の水系分散体、水/アルコール溶液、或いは乳化液として入手可能である。これらを、アルコール及び/又は水で、所定の濃度になるように希釈して、布帛に抗ウィルス剤を付与するための処理液として用いることができる。

0032

布帛に抗ウィルス剤を処理する際、処理液における抗ウィルス剤の濃度は例えば、0.01〜1.5重量%(抗ウィルス剤の有効成分濃度)とすることができ、効率及びコストの観点からは0.02〜0.45重量%とすることが好ましい。処理液は、水及び/又は有機溶媒(例えば、エタノール、プロパノールアセトンアセトニトリル)、又はこれらの混合物溶媒として用いることができる。また、処理液におけるバインダーの濃度は例えば、0.005〜1重量%(バインダーの有効成分濃度)とすることができ、効率及びコストの観点からは0.01〜0.2重量%とすることが好ましい。

0033

いずれの場合も、まず、上述の抗ウィルス剤及び共重合ポリマー(バインダー)を、所定の濃度になるように、アルコール及び/又は水で希釈して処理液を調製する。続いて、当該処理液と布帛とを接触させて、抗菌性を有する布帛を製造する。

0034

処理液と布帛とを接触させる方法としては、例えば、Dip−Nip法、吸尽法コーティング法等が挙げられる。Dip−Nip法で処理を行う場合、まず、布帛を処理液に浸漬し、マングル等で絞った後に加熱乾燥し、布帛に処理液を付着させる。続いて、加熱乾燥処理を行って、抗ウィルス剤を固定化することができる。

0035

処理温度は特に制限されず、常温を含む温度範囲で行うことができる。例えば、110℃〜180℃において処理を行う。メトキシシラン系第4級アンモニウム塩は、比較的短時間で物品の表面に固定化されるものと考えられており、処理時間は30秒〜10分、好ましくは1分〜3分とすることができる。

0036

吸尽法で処理を行う場合、抗ウィルス剤とバインダーとを含む組成物(処理液)を80℃〜140℃に加温し、続いて液中に布帛を浸漬し、マングル等で絞った後に加熱乾燥し、布帛にバインダー及び抗ウィルス剤を付着させて、抗ウィルス剤を固定化することができる。

0037

コーティング法で処理を行う場合、本発明の組成物を適切な粘度を有するように調整し、組成物(処理液)を布帛にコーティングした後乾燥させて、抗ウィルス剤を固定化することができる。コーティング方法としては、特に限定されるものではないが、例えばグラビアロール加工、スプレー加工ロールコーター加工、ジェットプリント加工転写プリント加工、スクリーンプリント加工等が挙げられる。

0038

バインダー及び抗ウィルス剤を含む処理液を付与した布帛の乾燥・熱処理温度は、100〜190℃とすることができ、110〜160℃であることが好ましい。

0039

布帛に抗ウィルス剤及びバインダーを含む処理液を処理した後は、必要に応じて洗浄し、自然乾燥させてもよいし、加熱乾燥を行うこともできる。加熱乾燥の場合、例えば、ドライヤーギアオーブンテンター等の加熱乾燥装置を使用し、乾燥することができる。また、抗ウィルス剤と布帛との接触には、他にも、噴霧や塗布によることができる。

0040

また、乾燥・熱処理時間は、製造する布帛の材質、目付けや用途によって適宜選択することができるが、1〜5分間であることが好ましい。乾燥・熱処理には、ループ式乾燥機ネット式ドライヤー、オーブンヒートセッターなどの装置を用いることができる。

0041

次に、本発明に組成物ないし布帛に関する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。

0042

[材料]
1.抗ウィルス剤:3−(トリメトキシシリルプロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライドのメタノール溶液(表1)

0043

0044

2.バインダー:表2に示す、カルボキシル基を含有するバインダー1〜7

0045

0046

[組成物の作成]
表1の抗ウィルス剤及び表2のバインダーを組み合わせて、表3に示す各組成物を作成した。

0047

0048

[一液化試験
表3に示す組成物1〜14を水に希釈し、希釈後の組成物の樹脂カス有無により、〇(樹脂カス発生有り)、×(樹脂カス無し)で評価した。
希釈後の濃度及び評価結果を表4に示す。

0049

0050

表4に示されるとおり、バインダー4〜7(組成物4〜7、11〜14)を用いた実施例1〜8は、抗ウィルス剤A、Bいずれを用いた場合にも樹脂カスが発生しなかった。一方、バインダーの共重合ポリマー中に、C4以上のアクリル酸エステルを含まないバインダー1(組成物1、8)、アクリル酸を含まないバインダー2(組成物2、9)及びバインダー3(組成物3、10)を用いた比較例1〜6は、樹脂カスの発生がみられ、1液化に不適切であった。

0051

[抗ウィルス剤の付着確認試験]
1.抗ウィルス剤の検出
布帛に付着した抗ウィルス剤の検出には、ブロモフェノールブルーアンモニウム塩とのカチオン性呈色反応を用いた。
具体的には、抗ウィルス剤の固定処理後の布帛、又は、当該布帛を所定回数洗濯した後の布帛について5cm×5cmのサンプル片切り出し、ブロモフェノールブルーの呈色反応(反応剤濃度:0.03%sol、反応時間:180秒)を行い、乾燥した後、呈色後の試験片の△Eを分光光度計(コニカミノルタ社製)にて測定、算出した。測定及び算出方法は、JIS Z 8781に準じた。抗ウィルス剤の保持率は抗ウィルス剤の固定化処理後(つまり、洗濯0回)の布帛の△Eを100として、所定の回数洗濯後の△Eの値を算出し、抗ウィルス剤の保持率とした。
2.洗浄方法
JIS L 0217 No.103 2項(普通)洗浄方法に準拠した。洗剤は、JAFET標準洗剤を用いた。

0052

[洗濯耐久性試験]
抗ウィルス剤を固定化した布帛の作成は次の通りとした。
質量390g/m2のポリエステル原布Aからタテ、ヨコ各20cmの布帛片を切り出し、表3の組成物を抗ウィルス剤付着量が0.57g/m2になるように調製し、布帛を溶液に浸漬した後、マングルにて絞った。この時、布帛のピックアップ率は70%であった。その後、ヒートセッターを用い、設定温度150℃で乾燥した。抗ウィルス剤とバインダー付着量は表5に示す。洗濯は前記の洗浄方法を用い、洗濯0回、1回、3回、5回、10回後の各布帛について抗ウィルス剤の付着量を測定した。
抗ウィルス剤の検出は前述の呈色反応を用いた。
結果を表5に示す。

0053

0054

表5に示されるとおり、バインダー4〜7を用いた実施例9〜16では、洗濯10回後にも抗ウィルス剤が保持されており、高い洗濯耐久性を有することが確認された。一方、処理液にバインダー(アクリル酸系共重合ポリマー)を含まない比較例7及び比較例8は、抗ウィルス剤が洗濯によって脱落することが確認された。

0055

[抗ウィルス性能試験]
質量390g/m2のポリエステル原布Aからタテ、ヨコ各20cmの布帛片を切り出し、表3の組成物6を、抗ウィルス剤付着量が0.06〜1.15g/m2になるよう調製し、布帛を溶液に浸漬した後、マングルにて絞った。この時、布帛のピックアップ率は70%であった。その後、ヒートセッターを用い、設定温度150℃で乾燥した。この時、バインダー付着量は表6に示す。抗ウィルス性能試験はISO 18184 抗ウィルス性試験に準じて行った。結果を表6に示す。

0056

0057

表6に示されるとおり、抗ウィルス剤Aとバインダー6とを含む実施例11、17〜19の布帛は、優れた抗ウィルス活性を示した。

0058

[洗濯耐久性試験(布帛への付着量の検討)]
質量390g/m2のポリエステル原布Aからタテ、ヨコ各20cmの布帛片を切り出し、表3の組成物を抗ウィルス剤付着量が0.02〜1.15g/m2になるように調製し、布帛を溶液に浸漬した後、マングルにて絞った。この時、布帛のピックアップ率は70%であった。その後、ヒートセッターを用い、設定温度150℃で乾燥した。バインダー付着量を表7に示す。
洗濯は前記の洗浄方法を用い、洗濯0回、1回、3回、5回、10回後の各布帛について抗ウィルス剤の付着量を測定した。抗ウィルス剤の検出は前述の呈色反応を用いた。結果を表7に示す。

0059

0060

表7に示されるとおり、抗ウィルス剤Aとバインダー6とを含む本発明の組成物で処理した実施例11、17〜19の布帛、抗ウィルス剤Bとバインダー6とを含む本発明の組成物で処理した実施例20〜23の布帛は、様々なバインダー付着量及び抗ウィルス剤付着量で、高い洗濯耐久性を示した。

0061

[同浴処理試験
質量390g/m2のポリエステル原布Aからタテ、ヨコ各20cmの布帛片を切り出し、また、表8に示す濃度に各薬剤を調製し、抗ウィルス剤とバインダーを布帛へ同浴で1度に処理を行った。この時、布帛のピックアップ率は70%であった。その後、ヒートセッターを用い、設定温度150℃で乾燥した。この時の樹脂カスの有無、バインダー付着量、抗ウィルス剤付着量、呈色反応の結果を表8に示す。

0062

実施例

0063

表8に示されるとおり、抗ウィルス剤A又はBと、バインダー4〜7とを含む本発明の組成物(実施例24〜31)は、樹脂カスの発生が無く、バインダーと抗ウィルス剤を同浴で1度に処理することができた。一方、バインダーの共重合ポリマーにC4以上のアクリル酸エステルを含まないバインダー1、アクリル酸を含まないバインダー2及び3を用いた比較例10〜15は樹脂カスの発生がみられ、同浴で1度に処理することができなかった。

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